(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-10
(45)【発行日】2023-08-21
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/04 20230101AFI20230814BHJP
H04W 16/14 20090101ALI20230814BHJP
H04W 24/02 20090101ALI20230814BHJP
H04B 17/373 20150101ALI20230814BHJP
H04B 17/391 20150101ALI20230814BHJP
G06F 17/10 20060101ALI20230814BHJP
【FI】
G06Q10/04
H04W16/14
H04W24/02
H04B17/373
H04B17/391
G06F17/10 Z
G06F17/10 F
(21)【出願番号】P 2020109072
(22)【出願日】2020-06-24
【審査請求日】2022-05-31
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和2年度総務省「異システム間の周波数共用技術の高度化に関する研究開発」、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】599108264
【氏名又は名称】株式会社KDDI総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】長尾 竜也
【審査官】宮地 匡人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/235253(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第105096159(CN,A)
【文献】特開2019-101792(JP,A)
【文献】特開2013-050975(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0370704(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
H04W 16/14
H04W 24/02
H04B 17/373
H04B 17/391
G06F 17/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析対象となる領域に含まれる複数の部分領域についてクラスタリングを行い、前記クラスタリングによって得られたクラスタごとに前記部分領域のデータの分析を行い、前記クラスタごとの前記分析の結果に基づいて前記部分領域ごとの分析の結果を取得する制御部を備え
、
前記データは、無線システムの受信電力のデータであり、
前記分析は、前記受信電力について、将来における受信電力のデータの予測である、
情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記部分領域ごとの前記データに基づいて前記クラスタリングを行う、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記部分領域ごとの前記データおよび環境情報に基づいて前記クラスタリングを行う、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、次元削減をして得られるクラスタリング用の特徴量に基づいて前記クラスタリングを行う、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記部分領域ごとの前記データを前記部分領域ごとに正規化した結果に基づいて前記クラスタリングを行い、前記クラスタごとの前記分析の結果に基づいて前記部分領域ごとに前記正規化に対する逆正規化を行って前記部分領域ごとの分析の結果を取得する、
請求項1から請求項
4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
情報処理装置が、
分析対象となる領域に含まれる複数の部分領域についてクラスタリングを行い、
前記クラスタリングによって得られたクラスタごとに前記部分領域のデータの分析を行い、
前記クラスタごとの前記分析の結果に基づいて前記部分領域ごとの分析の結果を取得
し、
前記データは、無線システムの受信電力のデータであり、
前記分析は、前記受信電力について、将来における受信電力のデータの予測である、
情報処理方法。
【請求項7】
コンピュータに、
分析対象となる領域に含まれる複数の部分領域についてクラスタリングを行うステップと、
前記クラスタリングによって得られたクラスタごとに前記部分領域のデータの分析を行うステップと、
前記クラスタごとの前記分析の結果に基づいて前記部分領域ごとの分析の結果を取得するステップと、
を実行させるための
プログラムであって、
前記データは、無線システムの受信電力のデータであり、
前記分析は、前記受信電力について、将来における受信電力のデータの予測である、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の無線システムが同一の周波数を共用する場合がある。このような場合、これら複数の無線システムでの干渉の問題を解消する必要がある。
【0003】
複数の異なる無線システムで周波数を共用する場合、1次利用者が提供する既存の無線システムに対する影響を小さくする(好ましくは、影響を与えない)ために、2次利用者が無線局を利用することが可能な場所および時間などには大きな制約が生じ得る。
このため、2次利用者の投資判断あるいは利用計画策定などの観点から、1次利用者による周波数の利用状況の将来予測をすることが望ましい。
【0004】
例えば、特許文献1に記載されたチャネル状態予測装置では、1次利用者による周波数の利用の有無として、無線チャネルのビジー状態およびアイドル状態の時系列データの将来のデータを確率的ニューラルネットワークにより予測することが行われている(特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の技術では、1次利用者による周波数の利用状況を予測する際に、予測対象となる場所ごとに、それぞれの場所に合った個別の予測モデルを構築することが必要であった。
このため、従来の技術では、予測対象となる場所の範囲を拡大するときには、当該範囲の大きさに比例などして多数の予測モデルの構築が必要となり、計算量が膨大となることがあった。
【0007】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、例えば受信電力の時系列データの予測などのような、データの分析を効率的に行うことができる情報処理装置、情報処理方法およびプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一構成例として、分析対象となる領域に含まれる複数の部分領域についてクラスタリングを行い、前記クラスタリングによって得られたクラスタごとに前記部分領域のデータの分析を行い、前記クラスタごとの前記分析の結果に基づいて前記部分領域ごとの分析の結果を取得する制御部を備え、前記データは、無線システムの受信電力のデータであり、前記分析は、前記受信電力について、将来における受信電力のデータの予測である、情報処理装置である。
【0009】
一構成例として、情報処理装置が、分析対象となる領域に含まれる複数の部分領域についてクラスタリングを行い、前記クラスタリングによって得られたクラスタごとに前記部分領域のデータの分析を行い、前記クラスタごとの前記分析の結果に基づいて前記部分領域ごとの分析の結果を取得し、前記データは、無線システムの受信電力のデータであり、前記分析は、前記受信電力について、将来における受信電力のデータの予測である、情報処理方法である。
【0010】
一構成例として、コンピュータに、分析対象となる領域に含まれる複数の部分領域についてクラスタリングを行うステップと、前記クラスタリングによって得られたクラスタごとに前記部分領域のデータの分析を行うステップと、前記クラスタごとの前記分析の結果に基づいて前記部分領域ごとの分析の結果を取得するステップと、を実行させるためのプログラムであって、前記データは、無線システムの受信電力のデータであり、前記分析は、前記受信電力について、将来における受信電力のデータの予測である、プログラムである。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る情報処理装置、情報処理方法およびプログラムによれば、例えば受信電力の時系列データの予測などのような、データの分析を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係る情報処理システムの概略的な構成を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る予測対象領域のメッシュの概略的な構成を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る予測対象領域の地形情報の一例を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る予測対象領域のメッシュごとの受信電力の一例を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態(第1実施形態)に係る予測処理におけるクラスタリングフェーズの処理の手順の一例を示す図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る予測対象領域のメッシュごとの受信電力の時系列データの一例を示す図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る予測対象領域のメッシュごとの正規化された受信電力の時系列データの一例を示す図である。
【
図8】(A)は本発明の実施形態に係る一のクラスタにおける代表値の時系列データの一例を示し、(B)は本発明の実施形態に係る他のクラスタにおける代表値の時系列データの一例を示す図である。
【
図9】(A)は本発明の実施形態に係る一のクラスタに分類された正規化された受信電力の時系列データの一例を示し、(B)は本発明の実施形態に係る他のクラスタに分類された正規化された受信電力の時系列データの一例を示す図である。
【
図10】本発明の実施形態に係る予測処理におけるクラスタリング後予測フェーズの処理の手順の一例を示す図である。
【
図11】(A)は本発明の実施形態に係る一のクラスタについて予測された代表値の受信電力の時系列データの一例を示し、(B)は本発明の実施形態に係る他のクラスタについて予測された代表値の受信電力の時系列データの一例を示す図である。
【
図12】本発明の実施形態に係るメッシュごとに予測された受信電力の時系列データの一例を示す図である。
【
図13】本発明の実施形態(第2実施形態)に係る予測処理におけるクラスタリングフェーズの処理の手順の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
【0014】
(第1実施形態)
<複数の無線システム>
本実施形態では、複数の無線システムが同一の周波数を共用し、1次利用者が2次利用者よりも優先されている。そして、2次利用者の無線システムでは、1次利用者の無線システムにおける周波数の利用状況に応じて、1次利用者の無線システムに対する影響を小さくする(好ましくは、影響を与えない)ことが必要であるとする。このため、2次利用者は、1次利用者の無線システムにおける周波数の利用状況の予測を行う。
【0015】
本実施形態では、2次利用者は、1次利用者の無線システムにおける周波数の利用状況の予測を行う情報処理装置を含む情報処理システムを有する。当該情報処理装置および当該情報処理システムは、例えば、2次利用者の無線システムと一体に備えられてもよく、あるいは、2次利用者の無線システムとは別体で備えられてもよい。
なお、1次利用者の無線システムは、例えば、1つの無線システムであってもよく、あるいは、同一の1次利用者が有する2以上の無線システムがまとめて捉えられたものであってもよく、または、2以上の異なる1次利用者が有する2以上の無線システムがまとめて捉えられたものであってもよい。
【0016】
<情報処理システム>
図1は、本発明の実施形態に係る情報処理システム1の概略的な構成を示す図である。
情報処理システム1は、情報処理装置11と、受信電力データベース21と、環境情報データベース22と、クラスタ時系列データベース23と、予測受信電力データベース24と、回線31と、を備える。
【0017】
情報処理装置11と、受信電力データベース21と、環境情報データベース22と、クラスタ時系列データベース23と、予測受信電力データベース24と、は、回線31を介して接続されている。
ここで、回線31は、例えば、有線の回線であってもよく、無線の回線であってもよく、あるいは、有線と無線を含む回線であってもよい。
【0018】
なお、他の構成例として、受信電力データベース21と、環境情報データベース22と、クラスタ時系列データベース23と、予測受信電力データベース24とのうちの1以上が、情報処理装置11と一体に備えられる構成が用いられてもよい。
【0019】
<情報処理装置>
情報処理装置11は、入力部111と、出力部112と、記憶部113と、通信部114と、制御部115と、を備える。
制御部115は、予測部131を備える。
【0020】
入力部111は、外部から情報を入力する。
入力部111は、一例として、ユーザ(人)によって操作される操作部を有し、当該操作部によって受け付けられた操作に応じた情報を入力してもよい。入力部111は、他の例として、可搬型の記憶装置などのような外部の装置と接続し、当該外部の装置から出力される情報を入力してもよい。
【0021】
出力部112は、外部に情報を出力する。
出力部112は、一例として、情報を表示出力する画面を備えた表示部を有し、当該表示部によって当該画面に情報を表示出力してもよい。出力部112は、他の例として、情報を音出力するスピーカを有し、当該スピーカによって情報を音出力してもよい。出力部112は、他の例として、可搬型の記憶装置などのような外部の装置と接続し、当該外部の装置に情報を出力してもよい。
【0022】
記憶部113は、情報を記憶する。
記憶部113は、例えば、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を含む。
記憶部113は、例えば、所定のプログラムおよび各種のパラメータなどを記憶する。
【0023】
通信部114は、他の装置と回線31を介して通信を行う。
本実施形態では、通信部114は、受信電力データベース21と、環境情報データベース22と、クラスタ時系列データベース23と、予測受信電力データベース24とのそれぞれと、回線31を介して、通信を行う。
ここで、本実施形態では、説明の便宜上、通信部114を入力部111および出力部112とは別の機能部として示すが、通信部114の機能が入力部111および出力部112に含まれると捉えられてもよい。
【0024】
制御部115は、情報処理装置11において、各種の処理を行う。
本実施形態では、制御部115は、CPU(Central Processing Unit)を有しており、記憶部113に記憶されたプログラムを実行することで、各種の処理を行う。制御部115は、各種の処理を行う際に、記憶部113に記憶された各種のパラメータを使用してもよい。
【0025】
予測部131は、1次利用者の無線システムにおける周波数の利用状況の予測を行う。
なお、予測部131は、分析部の一例である。分析部としては、例えば、本実施形態に係る予測以外の分析を行う構成であってもよい。
【0026】
<各種のデータベース>
受信電力データベース21は、予測対象となる受信電力に関する情報を記憶する。当該情報は、例えば、予測処理の前に、あらかじめ記憶される。
環境情報データベース22は、環境に関する情報を記憶する。当該情報は、例えば、予測処理の前に、あらかじめ記憶される。
クラスタ時系列データベース23は、クラスタごとの時系列の情報を記憶する。当該情報は、例えば、予測処理の途中において、記憶される。
予測受信電力データベース24は、予測結果の受信電力に関する情報を記憶する。
【0027】
ここで、本実施形態では、説明の便宜上、それぞれの情報をそれぞれ別のデータベースに記憶する構成を示すが、他の構成例として、2以上のデータベースが一体化されてもよい。
また、それぞれのデータベースの名称は、任意であってもよい。
【0028】
<予測処理>
図2~
図12を参照して、情報処理システム1において、情報処理装置11により行われる予測処理について説明する。
【0029】
図2は、本発明の実施形態に係る予測対象領域211のメッシュ231の概略的な構成を示す図である。
図2には、予測対象領域211の一例を示してある。
予測対象領域211は、地理的な領域である。
図2の例では、正方形状の予測対象領域211を示してあるが、予測対象領域211の形状は任意であってもよい。また、
図2の例では、2次元の予測対象領域211を示してあるが、3次元に適用されてもよい。
【0030】
予測対象領域211は、複数の部分領域であるメッシュ231に区切られている。なお、本実施形態では、説明の便宜上、それぞれの部分領域をメッシュと呼ぶが、他の任意の名称で呼ばれてもよい。また、
図2の例では、図を見やすくするために、1個のメッシュ231のみに符号を付してある。
図2の例では、それぞれのメッシュ231は正方形状であるが、メッシュ231の形状は任意であってもよい。
また、
図2の例では、複数のメッシュ231の形状は同じであるが、他の構成例として、複数のメッシュ231に、異なる形状のメッシュが含まれてもよい。
【0031】
図3は、本発明の実施形態に係る予測対象領域211の地形情報の一例を示す図である。なお、説明の便宜上、当該地形情報を領域地形情報311と呼んで説明する。
図3の例では、
図2に示される予測対象領域211と同じ領域について、領域地形情報311の一例を示してある。
領域地形情報311は、複数の部分領域であるメッシュ331に区切られている。
図3の例では、図を見やすくするために、1個のメッシュ331のみに符号を付してある。
【0032】
ここで、
図2に示されるそれぞれのメッシュ231と、
図3に示されるそれぞれのメッシュ331とは、同じ部分領域に対応している。つまり、
図3の例では、それぞれのメッシュ331の地形情報は、
図2に示されるそれぞれのメッシュ231の地形情報を表している。
【0033】
図3の例では、4種類の地形のそれぞれを表すマークとして、4種類の地形マーク351~354が用いられている。
すなわち、それぞれのメッシュ331の地形は、当該メッシュ331に表されている地形マーク(地形マーク351~354のうちのいずれか)によって示されている。
なお、地形の種類の数は、2種類または3種類であってもよく、あるいは、5種類以上であってもよい。
地形の種類としては、任意の地形が用いられてもよく、例えば、平地、山、川、森林などが用いられてもよい。
【0034】
予測対象領域211の情報および領域地形情報311は、例えば、環境情報データベース22に記憶されて、情報処理装置11によって環境情報データベース22から取得されてもよい。
また、予測対象領域211の情報および領域地形情報311は、例えば、情報処理装置11によって画面に表示されてもよい。
なお、本実施形態では、説明の便宜上、予測対象領域211の情報と、領域地形情報311とを別の情報として説明したが、これらの情報は一体化されてもよい。
【0035】
図4は、本発明の実施形態に係る予測対象領域211のメッシュ231ごとの受信電力の一例を示す図である。
図4に示されるグラフにおいて、横軸は時間を表しており、縦軸は受信電力を表している。受信電力としては、例えば、RSSI(Received Signal Strength Indication)が用いられてもよく、単位は[dBm]である。
図4には、1個のメッシュ231の受信電力特性411を示してある。
【0036】
本実施形態では、統一されたメッシュ231ごとの単位で、過去における受信電力の時系列データ、および、環境情報のデータが、受信電力データベース21、および、環境情報データベース22に格納されている。
【0037】
本実施形態では、説明の便宜上、予測処理を、クラスタリングフェーズと、クラスタリング後予測フェーズと、に分けて説明する。
図5は、本発明の実施形態(第1実施形態)に係る予測処理におけるクラスタリングフェーズの処理の手順の一例を示す図である。
【0038】
図5には、情報処理装置11の予測部131が有する機能部である、正規化部T1、クラスタリング部T2、代表値取得部T3と、RMSE算出部T4と、基準値判定部T5と、クラスタ数判定部T6を示してある。
ここで、本実施形態では、これらの機能部は一体化されている。
なお、これらの機能部が別々に備えられる場合には、初期または途中の処理を行う機能部は処理後の情報を次段以降の機能部に送信し、当該次段以降の機能部は当該情報を受信する。
【0039】
受信電力データベース21は、メッシュID、および、受信電力の時系列データを記憶している。メッシュIDと、受信電力の時系列データとが、対応付けられている。
メッシュIDは、予測対象領域211のそれぞれのメッシュ231を識別する情報である。
受信電力の時系列データは、予測対象領域211のそれぞれのメッシュ231ごとにおける、受信電力の時系列データである。
【0040】
図6は、本発明の実施形態に係る予測対象領域211のメッシュ231ごとの受信電力の時系列データの一例を示す図である。
図6に示されるグラフにおいて、横軸は時間を表しており、縦軸は受信電力を表している。
図6には、4個のメッシュ231のそれぞれにおける受信電力特性611~614を示してある。
なお、
図6の例では、4個のメッシュ231について受信電力特性611~614を示すが、すべてのメッシュ231について受信電力特性が受信電力データベース21に記憶されている。
【0041】
環境情報データベース22は、メッシュID、および、環境情報を記憶している。メッシュIDと、環境情報とが、対応付けられている。
環境情報は、予測対象領域211のそれぞれのメッシュ231ごとにおける、環境情報である。
一例として、環境情報は、
図3に示される地形情報であってもよい。
例えば、環境情報は、衛星画像などによる地理的な情報、交通量の情報、天候の情報など、様々な環境の情報であってもよい。
地理的な情報には、例えば、建物の密度、あるいは、住宅地または商業地域などの区分などの情報が含まれてもよい。
また、環境情報は、例えば、2種類以上の環境の情報を含んでもよい。
【0042】
(予測部131が有する正規化部T1としての処理)
情報処理装置11では、予測部131は、予測対象となるすべてのメッシュ231について、受信電力データベース21に記憶されているメッシュ231ごとの受信電力の時系列データを読み出して取得し、取得したメッシュ231ごとの受信電力の時系列データを正規化する。
また、予測部131は、それぞれのメッシュ231について行った正規化の変換に関する情報(正規化情報)を記憶する。本実施形態では、当該正規化情報は、正規化の変換に対して逆変換を行う際に用いられる。
【0043】
ここで、本実施形態では、受信電力の時系列データの変動パターン(変動要素)を異なるメッシュ231の間で比較することができるように、正規化の変換が行われる。
正規化としては、例えば、時系列データの値が0以上1以下の範囲となるように、時系列データを変換する正規化が用いられてもよい。
正規分布にしたがう正規化では、平均値が0となり、標準偏差が1となる。
なお、本実施形態では、すべてのメッシュ231について、同じ正規化の手法が用いられるが、他の構成例として、一部のメッシュ231について異なる正規化の手法が用いられてもよい。
【0044】
図7は、本発明の実施形態に係る予測対象領域211のメッシュ231ごとの正規化された受信電力の時系列データの一例を示す図である。
図7に示されるグラフにおいて、横軸は時間を表しており、縦軸は正規化された受信電力を表している。
図7には、4個のメッシュ231のそれぞれにおける正規化された受信電力特性711~714を示してある。
なお、
図7の例では、4個のメッシュ231について受信電力特性711~714を示すが、すべてのメッシュ231について正規化された受信電力特性が求められている。
【0045】
(予測部131が有するクラスタリング部T2としての処理)
情報処理装置11では、予測部131は、予測対象となるすべてのメッシュ231について、正規化された受信電力の時系列データを取得する。
また、予測部131は、予測対象となるすべてのメッシュ231について、環境情報データベース22に記憶されているメッシュ231ごと(メッシュ331ごと)の環境情報を読み出して取得する。
そして、予測部131は、正規化された受信電力の時系列データおよびメッシュ231ごとの環境情報に基づいて、予測対象となるすべてのメッシュ231について、クラスタリングを行う。
【0046】
ここで、本実施形態では、予測部131は、クラスタリングによって、複数のメッシュ231を2以上のクラスタに分類する。
クラスタリングの手法としては、種々な手法が用いられてもよく、本実施形態では、例えば、クラスタの数(k)が指定されるクラスタリングの手法として、k-shape、あるいは、k-meansなどの手法が用いられてもよい。なお、クラスタリングにおけるクラスタの数の初期値としては、任意の値が設定されてもよい。
【0047】
それぞれのクラスタには、正規化された受信電力の時系列データおよび環境情報に関して類似したメッシュ231が集約される。これにより、それぞれのクラスタのクラスタIDと、当該クラスタに分類されたすべてのメッシュ231のメッシュIDとが対応付けられる。
クラスタIDは、それぞれのクラスタを識別する情報である。
【0048】
ここで、本実施形態では、好ましい一例として、それぞれのメッシュ231における正規化された受信電力の時系列データおよび環境情報に基づいてメッシュ231のクラスタリングを行うが、他の構成例として、それぞれのメッシュ231における正規化された受信電力の時系列データに基づいてメッシュ231のクラスタリングを行ってもよい。この場合、それぞれのクラスタには、正規化された受信電力の時系列データに関して類似したメッシュ231が集約される。
【0049】
図8(A)は、本発明の実施形態に係る一のクラスタに分類された正規化された受信電力の時系列データの一例を示す図である。
図8(B)は、本発明の実施形態に係る他のクラスタに分類された正規化された受信電力の時系列データの一例を示す図である。
図8(A)および
図8(B)のそれぞれに示されるグラフにおいて、横軸は時間を表しており、縦軸は正規化された受信電力を表している。
図8(A)には、1個のクラスタに分類された正規化された受信電力特性812、814を示してある。
図8(b)には、他の1個のクラスタに分類された正規化された受信電力特性811、813を示してある。
なお、
図8(A)および
図8(B)の例では、それぞれのクラスタに2個のメッシュ231が分類された場合を示してあるが、それぞれのクラスタに分類されるメッシュ231の数は、1個であってもよく、あるいは、3個以上であってもよい。
【0050】
(予測部131が有する代表値取得部T3としての処理)
情報処理装置11では、予測部131は、すべてのクラスタについて、それぞれのクラスタに含まれるメッシュ231ごとの正規化された受信電力の時系列データを取得する。
そして、予測部131は、クラスタごとに正規化された受信電力の時系列データの代表値を決定し、クラスタごとに代表値からなる時系列データを取得する。
【0051】
ここで、代表値は、例えば、正規化された受信電力の時系列データから、一定の時間ごとに決定されてもよい。
また、代表値としては、例えば、中央値、あるいは、平均値などが用いられてもよい。
【0052】
図9(A)は、本発明の実施形態に係る一のクラスタにおける代表値の時系列データの一例を示す図である。
図9(B)は、本発明の実施形態に係る他のクラスタにおける代表値の時系列データの一例を示す図である。
図9(A)および
図9(B)のそれぞれに示されるグラフにおいて、横軸は時間を表しており、縦軸は正規化された受信電力を表している。
【0053】
図9(A)には、1個のクラスタにおける代表値の受信電力特性911を示してある。
図9(A)の例は、
図8(A)の例に対応しており、参考として、代表値が求められた元となる受信電力特性812、814を示してある。
図9(B)には、他の1個のクラスタにおける代表値の受信電力特性912を示してある。
図9(B)の例は、
図8(B)の例に対応しており、参考として、代表値が求められた元となる受信電力特性811、813を示してある。
【0054】
(予測部131が有するRMSE算出部T4としての処理)
情報処理装置11では、予測部131は、すべてのクラスタについて、それぞれのクラスタにおける代表値の受信電力の時系列データを取得するとともに、すべてのメッシュ231について、それぞれのメッシュ231ごとに正規化された受信電力の時系列データを取得する。
そして、予測部131は、すべてのクラスタについて、クラスタごとに、所定の二乗平均平方根誤差(RMSE:Root Mean Square Error)を算出する。
【0055】
当該RMSEは、クラスタごとに、当該クラスタに含まれるすべてのメッシュ231の正規化された受信電力の時系列データについて、代表値との差分の二乗に関して取得される値である。
ここで、クラスタのRMSEが小さい方が、当該クラスタに含まれるメッシュ231の類似度が高いと考えられる。
なお、クラスタごとのメッシュ231の類似度を判定するための指標としては、他の任意の指標が用いられてもよい。
【0056】
(予測部131が有する基準値判定部T5としての処理)
情報処理装置11では、予測部131は、算出されたRMSEを取得する。
そして、予測部131は、当該RMSEが所定の基準値以下であるか否かを判定する。
この判定の結果、予測部131は、当該RMSEが所定の基準値を超える(つまり、所定の基準値以下ではない)と判定した場合、クラスタ数指定部T6の処理を行う。
一方、この判定の結果、予測部131は、RMSEが所定の基準値以下であると判定した場合、すべてのクラスタについて、それぞれのクラスタにおける代表値の受信電力の時系列データ、クラスタID、それぞれのクラスタに含まれるメッシュ231のメッシュID、それぞれのメッシュ231ごとの正規化情報をクラスタ時系列データベース23に記憶する。
【0057】
(予測部131が有するクラスタ数指定部T6としての処理)
情報処理装置11では、予測部131は、算出されたRMSEの値が所定の基準値を超えた場合、クラスタリング部T2の処理においてクラスタの数(クラスタ数)を1つ増加するように、クラスタ数を指定する。
【0058】
ここで、本実施形態では、クラスタリング部T2は、指定されたクラスタ数でクラスタリングを行う。クラスタリングにおけるクラスタ数が増加されることで、メッシュ231の分類の精度が高められる。
なお、クラスタ数指定部T6は、クラスタ数を2つ以上増加するように、クラスタ数を指定してもよい。
また、本実施形態では、クラスタリングの結果が不十分であると判定された場合に、クラスタ数を増加させてクラスタリングを再度行う構成としたが、他の構成例として、クラスタ数以外のパラメータを変化させてクラスタリングを再度行う構成が用いられてもよい。
【0059】
図10は、本発明の実施形態に係る予測処理におけるクラスタリング後予測フェーズの処理の手順の一例を示す図である。
図10には、情報処理装置11の予測部131が有する機能部である、時系列予測部T11と、逆正規化部T12と、を示してある。
なお、これらの機能部が別々に備えられる場合には、初期または途中の処理を行う機能部は処理後の情報を次段の機能部に送信し、当該次段の機能部は当該情報を受信する。
【0060】
(予測部131が有する時系列予測部T11としての処理)
時系列予測部T11は、クラスタ時系列データベース23から、すべてのクラスタについて、それぞれのクラスタにおける代表値の受信電力の時系列データを取得する。
他の例として、基準値判定部T5から時系列予測部T11に、すべてのクラスタについて、それぞれのクラスタにおける代表値の受信電力の時系列データが出力されてもよい。
情報処理装置11では、予測部131は、クラスタ時系列データベース23から、すべてのクラスタについて、それぞれのクラスタにおける代表値の受信電力の時系列データを読み出して取得する。
そして、予測部131は、それぞれのクラスタにおける代表値の受信電力の時系列データに基づいて、すべてのクラスタについて、将来におけるそれぞれのクラスタにおける代表値の受信電力の時系列データの予測を行う。
【0061】
ここで、時系列データの予測を行う手法としては、任意の手法が用いられてもよい。
時系列データの予測を行うモデルとして、例えば、自己回帰(AR:Auto Regressive)モデル、自己回帰和分移動平均(ARIMA:Auto Regressive Integrated Moving Average)モデル、カルマンフィルターのモデル、粒子フィルターのモデル、あるいは、LSTM(Long Short-Term Memory)などのニューラルネットワークのモデルなどが用いられてもよい。
【0062】
図11(A)は、本発明の実施形態に係る一のクラスタについて予測された代表値の受信電力の時系列データの一例を示す図である。
図11(B)は、本発明の実施形態に係る他のクラスタについて予測された代表値の受信電力の時系列データの一例を示す図である。
図11(A)および
図11(B)のそれぞれに示されるグラフにおいて、横軸は時間を表しており、縦軸は予測された受信電力を表している。
【0063】
図11(A)には、1個のクラスタにおける予測された代表値の受信電力特性1111を示してある。
図11(A)の例は、
図9(A)の例に対応している。
図11(B)には、他の1個のクラスタにおける予測された代表値の受信電力特性1112を示してある。
図11(B)の例は、
図9(B)の例に対応している。
【0064】
(予測部131が有する逆正規化部T12としての処理)
時系列予測部T11から逆正規化部T12に、すべてのクラスタについて、それぞれのクラスタごとに予測された代表値の受信電力の時系列データを出力する。
また、逆正規化部T12は、クラスタ時系列データベース23から、すべてのメッシュ231について、それぞれのメッシュ231ごとの正規化情報を取得する。
他の例として、基準値判定部T5から逆正規化部T12に、すべてのメッシュ231について、それぞれのメッシュ231ごとの正規化情報が出力されてもよい。
情報処理装置11では、予測部131は、すべてのクラスタについて、それぞれのクラスタごとに予測された代表値の受信電力の時系列データを取得する。
また、予測部131は、クラスタ時系列データベース23から、すべてのメッシュ231について、それぞれのメッシュ231ごとの正規化情報を読み出して取得する。
【0065】
そして、予測部131は、すべてのメッシュ231について、それぞれのクラスタごとに予測された代表値の受信電力の時系列データと、それぞれのメッシュ231ごとの正規化情報に基づいて、正規化情報に応じた逆正規化を行うことによって、それぞれのメッシュ231ごとに、予測された受信電力の時系列データを取得する。
予測部131は、すべてのメッシュ231について、それぞれのメッシュ231ごとに予測された受信電力の時系列データ、メッシュID、および、クラスタIDを予測受信電力データベース24に記憶する。
【0066】
ここで、逆正規化では、正規化の変換の逆変換が行われる。
具体的には、予測部131は、それぞれのメッシュ231について、当該メッシュ231が含まれるクラスタについて予測された代表値の受信電力の時系列データを逆正規化することで、当該メッシュ231における受信電力の絶対値を反映させる。つまり、予測部131は、クラスタごとに代表値について予測を行い、当該予測の結果に、当該クラスタに含まれるそれぞれのメッシュ231における受信電力の絶対値を反映させることで、それぞれのメッシュ231ごとに、予測された受信電力の時系列データを取得する。
【0067】
図12は、本発明の実施形態に係るメッシュ231ごとに予測された受信電力の時系列データの一例を示す図である。
図12に示されるグラフにおいて、横軸は時間を表しており、縦軸は正規化された受信電力を表している。
【0068】
図12には、4個のメッシュ231について、メッシュ231ごとに予測された受信電力特性1211~1214を示してある。
図12の例は、
図6の例に対応しており、
図12に示されるメッシュ231ごとに予測された受信電力特性1211~1214は、
図6に示されるメッシュ231ごとの受信電力特性611~614に対応する。
【0069】
<第1実施形態について>
以上のように、本実施形態に係る情報処理システム1では、情報処理装置11において、メッシュ231ごとのデータに基づいて類似性が高いメッシュ231をクラスタリングにより集約し、クラスタごとに分析を行うことで、データの分析を効率的に行うことができる。
例えば、時系列データの分析として、同じ周波数を使用する他の無線システムにおける周波数の利用状況の予測を効率的に行うことができる。
【0070】
また、本実施形態に係る情報処理システム1では、情報処理装置11において、メッシュ231ごとのデータおよび環境情報に基づいて類似性が高いメッシュ231をクラスタリングにより集約してもよく、この場合、例えば、地理的な情報が考慮されるという効果が得られる。具体的には、例えば、地理的な状況によって、人の流れに周期的パターンがある、などの影響が考慮され得る。
【0071】
本実施形態では、例えば、複数のメッシュ231について時系列データを分析する際に、複数のメッシュ231をクラスタごとに分類し、クラスタの数と同数の予測モデルを用いることで、精度を十分に保ったままで、モデル数を少なくして計算負荷および計算時間を小さくすることができる。このため、例えば、分析対象となる領域が拡張される場合においても、計算負荷および計算時間を抑制して、効率的な分析を実現することができる。
例えば、(10km×10km)の領域を(50m×50m)のメッシュで区切った場合、40000(=200×200)個のメッシュとなるが、それよりも少ないクラスタとして、クラスタごとに将来予測を行うことで、効率的な分析が実現される。
【0072】
なお、分析としては、様々な分析が用いられてもよく、例えば、将来の予測、過去の分析、メッシュごとに受電電力が上下変動する大きさの分析などが用いられてもよい。
【0073】
(第2実施形態)
本実施形態では、第1実施形態と相違する部分について詳しく説明し、第1実施形態と同様な部分については詳しい説明を省略する。
本実施形態では、概略的には、第1実施形態に対して、情報処理システム1において行われる予測処理のクラスタリングフェーズが第1実施形態に係る
図5の例とは相違する点で異なり、他の点で同様である。なお、本実施形態では、情報処理システム1において行われる予測処理のクラスタリング後予測フェーズについては、例えば、第1実施形態に係る
図10の例と同様であってもよい。
なお、本実施形態では、説明の便宜上、クラスタリングフェーズに係る機能部以外の構成については、第1実施形態と同じ符号を付して説明する。
【0074】
<予測処理におけるクラスタリングフェーズ>
図13は、本発明の実施形態(第2実施形態)に係る予測処理におけるクラスタリングフェーズの処理の手順の一例を示す図である。
【0075】
図13には、情報処理装置11の予測部131が有する機能部である、正規化部T31と、次元削減部T32と、クラスタリング部T33と、代表値取得部T34と、RMSE算出部T35と、基準値判定部T36と、クラスタ数指定部T37と、を示してある。
なお、これらの機能部が別々に備えられる場合には、初期または途中の処理を行う機能部は処理後の情報を次段の機能部に送信し、当該次段の機能部は当該情報を受信する。
【0076】
(予測部131が有する正規化部T31としての処理)
情報処理装置11では、予測部131は、正規化部T31としての処理として、第1実施形態に係る
図5に示される正規化部T1と同様な処理を行う。
【0077】
(予測部131が有する次元削減部T32としての処理)
情報処理装置11では、予測部131は、予測対象となるすべてのメッシュ231について、正規化された受信電力の時系列データを取得する。
また、予測部131は、予測対象となるすべてのメッシュ231について、環境情報データベース22に記憶されているメッシュ231ごと(メッシュ331ごと)の環境情報を読み出して取得する。
そして、予測部131は、正規化された受信電力の時系列データおよびメッシュ231ごとの環境情報に基づいて、予測対象となるすべてのメッシュ231について、所定の次元削減の処理を行う。
【0078】
ここで、本実施形態では、次元削減の処理は、正規化された受信電力の時系列データおよびメッシュ231ごとの環境情報に関して、クラスタリングに適した情報のみを抽出し、新たな特徴量を生成する処理である。本実施形態では、当該特徴量は、クラスタリング用の特徴量として用いられる。
次元削減の処理を行う手法としては、任意の手法が用いられてもよく、例えば、主成分分析(PCA:Principal Component Analysis)の手法が用いられてもよい。
【0079】
(予測部131が有するクラスタリング部T33としての処理)
情報処理装置11では、予測部131は、予測対象となるすべてのメッシュ231について、クラスタリング用の特徴量を取得する。
そして、予測部131は、クラスタリング用の特徴量に基づいて、予測対象となるすべてのメッシュ231について、クラスタリングを行う。
クラスタリングの手法としては、例えば、第1実施形態に係る
図5に示されるクラスタリング部T2と同様な手法が用いられてもよい。
【0080】
ここで、本実施形態では、好ましい一例として、それぞれのメッシュ231における正規化された受信電力の時系列データおよび環境情報に基づいて、メッシュ231のクラスタリングを行うための特徴量を求めるが、他の構成例として、それぞれのメッシュ231における正規化された受信電力の時系列データに基づいてメッシュ231のクラスタリングを行うための特徴量を求めてもよい。
【0081】
(予測部131が有する代表値取得部T34としての処理)
情報処理装置11では、予測部131は、すべてのクラスタについて、それぞれのクラスタに含まれるメッシュ231のメッシュIDを取得する。
また、情報処理装置11では、予測部131は、すべてのメッシュ231について、メッシュ231ごとに正規化された受信電力の時系列データを取得する。
そして、予測部131は、クラスタごとに正規化された受信電力の時系列データの代表値を決定し、クラスタごとに代表値からなる時系列データを取得する。
代表値からなる時系列データを取得する手法としては、例えば、第1実施形態に係る
図5に示される代表値取得部T3と同様な手法が用いられてもよい。
【0082】
(予測部131が有するRMSE算出部T35としての処理)
情報処理装置11では、予測部131は、RMSE算出部T35としての処理として、第1実施形態に係る
図5に示されるRMSE算出部T4と同様な処理を行う。
【0083】
(予測部131が有する基準値判定部T36としての処理)
情報処理装置11では、予測部131は、基準値判定部T36としての処理として、第1実施形態に係る
図5に示される基準値判定部T5と同様な処理を行う。
【0084】
(予測部131が有するクラスタ数判定部T37としての処理)
情報処理装置11では、予測部131は、クラスタ数判定部T37としての処理として、第1実施形態に係る
図5に示されるクラスタ数判定部T6と同様な処理を行う。
【0085】
<第2実施形態について>
以上のように、本実施形態に係る情報処理システム1では、第1実施形態と同様な効果を得ることができ、さらに、クラスタリング用の特徴量を用いることで、例えば、第1実施形態と比べて、分析の精度を向上させることが可能である。
【0086】
<構成例>
一構成例として、情報処理装置11では、分析対象(実施形態では、予測対象)となる領域(
図2の例では、予測対象領域211)に含まれる複数の部分領域(
図2の例では、メッシュ231)についてクラスタリングを行い、当該クラスタリングによって得られたクラスタごとに部分領域のデータ(実施形態では、受信電力のデータ)の分析を行い、クラスタごとの分析の結果に基づいて部分領域ごとの分析の結果を取得する制御部115を備える。
【0087】
一構成例として、情報処理装置11では、制御部115は、部分領域ごとのデータに基づいてクラスタリングを行う。
一構成例として、情報処理装置11では、制御部115は、部分領域ごとのデータおよび環境情報に基づいてクラスタリングを行う。
一構成例として、情報処理装置11では、制御部115は、次元削減をして得られるクラスタリング用の特徴量に基づいてクラスタリングを行う(
図13の例)。
一構成例として、情報処理装置11では、データは、無線システムの受信電力のデータである。また、分析は、当該受信電力について、将来における受信電力のデータの予測である。
一構成例として、情報処理装置11では、制御部115は、部分領域ごとのデータを部分領域ごとに正規化した結果に基づいてクラスタリングを行い、クラスタごとの分析の結果に基づいて部分領域ごとに正規化に対する逆正規化を行って部分領域ごとの分析の結果を取得する。
【0088】
一構成例として、情報処理方法(実施形態では、情報処理装置11において行われる処理の方法)では、情報処理装置11が、分析対象となる領域に含まれる複数の部分領域についてクラスタリングを行い、クラスタリングによって得られたクラスタごとに部分領域のデータの分析を行い、クラスタごとの分析の結果に基づいて部分領域ごとの分析の結果を取得する。
【0089】
一構成例として、プログラムは、コンピュータ(実施形態では、情報処理装置11を構成するコンピュータ)に、分析対象となる領域に含まれる複数の部分領域についてクラスタリングを行うステップと、クラスタリングによって得られたクラスタごとに部分領域のデータの分析を行うステップと、クラスタごとの分析の結果に基づいて部分領域ごとの分析の結果を取得するステップと、を実行させるためのプログラムである。
【0090】
なお、以上に説明した情報処理装置11などの任意の装置における任意の構成部の機能を実現するためのプログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録し、そのプログラムをコンピュータシステムに読み込ませて実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、オペレーティングシステム(OS:Operating System)あるいは周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD(Compact Disc)-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークあるいは電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバーやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0091】
また、上記のプログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワークあるいは電話回線等の通信回線のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記のプログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上記のプログラムは、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイルであってもよい。差分ファイルは、差分プログラムと呼ばれてもよい。
【0092】
以上に説明した任意の装置における任意の構成部の機能は、プロセッサーにより実現されてもよい。例えば、実施形態における各処理は、プログラム等の情報に基づき動作するプロセッサーと、プログラム等の情報を記憶するコンピュータ読み取り可能な記録媒体により実現されてもよい。ここで、プロセッサーは、例えば、各部の機能が個別のハードウェアで実現されてもよく、あるいは、各部の機能が一体のハードウェアで実現されてもよい。例えば、プロセッサーはハードウェアを含み、当該ハードウェアは、デジタル信号を処理する回路およびアナログ信号を処理する回路のうちの少なくとも一方を含んでもよい。例えば、プロセッサーは、回路基板に実装された1または複数の回路装置、あるいは、1または複数の回路素子のうちの一方または両方を用いて、構成されてもよい。回路装置としてはIC(Integrated Circuit)などが用いられてもよく、回路素子としては抵抗あるいはキャパシターなどが用いられてもよい。
【0093】
ここで、プロセッサーは、例えば、CPUであってもよい。ただし、プロセッサーは、CPUに限定されるものではなく、例えば、GPU(Graphics Processing Unit)、あるいは、DSP(Digital Signal Processor)等のような、各種のプロセッサーが用いられてもよい。また、プロセッサーは、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)によるハードウェア回路であってもよい。また、プロセッサーは、例えば、複数のCPUにより構成されていてもよく、あるいは、複数のASICによるハードウェア回路により構成されていてもよい。また、プロセッサーは、例えば、複数のCPUと、複数のASICによるハードウェア回路と、の組み合わせにより構成されていてもよい。また、プロセッサーは、例えば、アナログ信号を処理するアンプ回路あるいはフィルター回路等のうちの1以上を含んでもよい。
【0094】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0095】
1…情報処理システム、11…情報処理装置、21…受信電力データベース、22…環境情報データベース、23…クラスタ時系列データベース、24…予測受信電力データベース、31…回線、111…入力部、112…出力部、113…記憶部、114…通信部、115…制御部、131…予測部、211…予測対象領域、231、331…メッシュ、311…領域地形情報、411、611~614、711~714、811~814、911~912、1111~1112、1211~1214…受信電力特性、T1、T31…正規化部、T2、T33…クラスタリング部、T3、T34…代表値取得部、T4、T35…RMSE部、T5、T36…基準値判定部、T6、T37…クラスタ数指定部、T11…時系列予測部、T12…逆正規化部、T32…次元削減部