IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニーの特許一覧

<>
  • 特許-注入システム 図1
  • 特許-注入システム 図2
  • 特許-注入システム 図3
  • 特許-注入システム 図4
  • 特許-注入システム 図5
  • 特許-注入システム 図6
  • 特許-注入システム 図7
  • 特許-注入システム 図8A
  • 特許-注入システム 図8B
  • 特許-注入システム 図9A
  • 特許-注入システム 図9B
  • 特許-注入システム 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-10
(45)【発行日】2023-08-21
(54)【発明の名称】注入システム
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/06 20060101AFI20230814BHJP
【FI】
A61M25/06 500
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020138089
(22)【出願日】2020-08-18
(62)【分割の表示】P 2018245595の分割
【原出願日】2012-02-08
(65)【公開番号】P2020185459
(43)【公開日】2020-11-19
【審査請求日】2020-09-17
(31)【優先権主張番号】61/441,258
(32)【優先日】2011-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417-1880, UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ ソンダーレッガー
(72)【発明者】
【氏名】ウェストン ハーディング
【審査官】上石 大
(56)【参考文献】
【文献】特表2004-524926(JP,A)
【文献】特表2008-532663(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0185441(US,A1)
【文献】国際公開第2008/122983(WO,A1)
【文献】特開2002-095754(JP,A)
【文献】国際公開第2009/098291(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部と、
前記基部に取り付けられ、カテーテル管とアダプタを含む、一体型カテーテルと、
前記アダプタ内に少なくとも部分的に受容された隔壁と、
前記基部に取り外し可能に取り付けられるハブであって、流体コネクタと先の鈍いカニューレと前記ハブを前記基部に取り付けるためのロックリングを含み、前記ロックリングは、前記流体コネクタおよび前記先の鈍いカニューレとは別体で形成され、前記流体コネクタおよび前記先の鈍いカニューレに対して相対的に回転する、前記ハブを備え、
前記先の鈍いカニューレが前記基部に対して押し下げられると、前記先の鈍いカニューレは、前記隔壁を穿刺して、前記流体コネクタから前記カテーテル管の外端への流体経路を形成することを特徴とする注入システム。
【請求項2】
前記カテーテル管の端部は、前記カテーテル管と前記アダプタとの間の流体連通のために、前記アダプタに接続されることを特徴とする、請求項1に記載の注入システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構成要素の数を最小にしながらその機能性を犠牲にしない、医療用のカテーテルおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2011年2月9日に米国特許商標庁で出願された米国特許仮出願第61/441,258号明細書の利益を主張する。前記出願の開示は、全体として参照により本明細書に組み込まれている。
【0003】
カテーテルは、医療の適用分野で広く使用されている。末梢または静脈内カテーテルおよび注入セットカテーテルは、2つの頻繁に使用されるタイプのカテーテルである。末梢または静脈内(IV)カテーテルは、薬剤または他の流体を血管内へ直接注入する。注入セットカテーテルは、使用者によって吸収されるインスリンなどの薬剤を皮膚内へ送達する注入セットの一体部分である。
【0004】
図1は、インスリン療法を送達するために注入セットカテーテルとともに使用するための従来の注入セット10を示す。注入セット10は、延長セットと、基部19と、基部19に取り付けられたカテーテル14とを備える。延長セットは、ハブ12と、コネクタ18と、ハブ12とコネクタ18を接続する流体線管セット16と、コネクタ18に接続されたポンプ(図示せず)とを備え、したがってポンプからのインスリンは、カテーテル14を通って送達される。挿入デバイスにより、カテーテルが使用者に挿入され、または取り付けられる。注入セットと挿入デバイスを組み合わせて、1つのユニットにすることもできる。
【0005】
別のタイプのインスリン注入デバイスは、パッチポンプである。従来の注入ポンプとは異なり、パッチポンプとは、流体構成要素のほとんどまたはすべてを組み合わせて単一の筐体内に入れ、その筐体を注入部位に接着で取り付ける一体型のデバイスであり、別個の注入(管類)セットの使用を必要としない。パッチポンプは皮膚に接着し、インスリン(または他の薬剤)を収容し、その薬品を一定期間にわたって、通常は一体型の皮下カテーテルを介して送達する。パッチポンプおよび注入セットは、普通なら合併症が発生することがあるため、3日おきなど、頻繁に付け直す必要がある。
【0006】
注入セットおよびパッチポンプで使用されるカテーテルは、末梢またはIVカテーテルに構造上は類似しているが、通常、注入セットのカテーテルは寸法上がより小さい。
【0007】
従来の末梢またはIVカテーテルを図2に示す。末梢カテーテル14’は通常、Teflon(登録商標)などのポリマーから作られる。従来、カテーテル管144は、剛性の金属またはプラスチックのウェッジ143に接続される。ウェッジ143とは、カテーテルをカテーテルのアダプタまたはハブ142に取り付ける漏斗状のデバイスである。ウェッジ143の頸部がカテーテル管144の端部内へ挿入され、カテーテルは変形して、カテーテル自体を摩擦によってカテーテルアダプタ142内へ押し込む。カテーテル14’は、開いた遠位端145を含む。
【0008】
そのような構造では、衝撃または振動の力が伝達されると、衝撃を受けた点ならびにカテーテルとウェッジの接続部でカテーテルを損傷し、その結果、接続部が弱くなり、かつ/または接続部から漏れが生じる可能性がある。また、カテーテルとウェッジとの間の接続部が弱くなると、使用中にカテーテルがウェッジから外れることもある。
【0009】
完全なIVカテーテルアセンブリ10’を図3に示す。このデバイスは、Becton,Dickinson and Company(BD)から、BD Nexiva(商標) Closed IV Catheter Systemとして入手可能である。体内に残されるカテーテル部分は、BDのVialon(商標)という生体材料から作られており、この生体材料は、機械的静脈炎(カテーテルが静脈内皮を刺激することによって引き起こされる)および浸潤(IV流体または薬剤が偶発的に血管ではなく周辺組織に入ると生じる)を低減させ、滞留時間を最大にし、ねじれ耐性(流体の流れを妨害または阻止するねじれを形成するような出っ張り、結び目、または急な湾曲に対するカテーテルの耐性)およびねじれからの回復を提供し、ならびに血管内で柔らかくなる。
【0010】
従来の注入セットおよび/またはパッチポンプのカテーテル、ならびに末梢または静脈内カテーテルは、ねじれなどの通常の摩耗による損傷を受けやすい。従来の注入セットカテーテルはまた、その構造および材料のために脆いことがあり、導入針を介してカテーテルの挿入を機械化する際、過度のはね返りまたは振動による損傷を受けやすく、その結果、カテーテルに過度の力が伝達されることがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は、カテーテル挿入のためのコラム強度、使用者の快適さのための柔軟性、ならびに耐久性、挿入、および除去のための引っ張り強度を最適化しながら、構成要素の数を最小にするように構成および配置されたカテーテルを提供することである。
【0012】
上記およびその他の目的は、従来の構成要素を組み合わせて成形された一体型のユニットにすることによって構造が簡略化されたカテーテルを提供し、そのユニットにアダプタ、ウェッジ、およびカテーテル管類の機能を組み合わせて、カテーテルからの薬剤の漏れを防止するのに肝要な点で構造の全体的な強度を増大できるようにすることによって実質上実現される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明の例示的な実施形態の様々な目的、利点、および新規な特徴は、添付の図面と一緒に読めば、以下の詳細な説明からより容易に理解されよう。
【0014】
図1】従来の注入セットの斜視図である。
図2】従来の末梢または静脈内カテーテルの端部の拡大横断面図である。
図3】完全な末梢または静脈内カテーテルアセンブリの斜視図である。
図4】本発明の一実施形態による基部構造を含む例示的な一体型カテーテルの拡大横断面図である。
図5】本発明の一実施形態による基部構造を含む例示的な一体型カテーテルの拡大横断面図である。
図6】本発明の一実施形態による例示的な一体型カテーテルを含む注入セットの拡大横断面図である。
図7】本発明の一実施形態による例示的な一体型カテーテルを有する注入セットの拡大横断面図である。
図8A】注入セットの斜視図である。
図8B図8Aの注入セットの横断面図である。
図9A】本発明の一実施形態による例示的な一体型カテーテルを挿入するように用意された導入デバイスの拡大横断面図である。
図9B図9Aのインスリンデバイスの拡大横断面図である。
図10】針の基部が作動した後の図9Aおよび図9Bの導入デバイスの横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の例示的な実施形態では、図4~6に示すように、アダプタとカテーテルは単一のユニット内に成形されており、アダプタ、カテーテル管類、ウェッジを含む別個の構成要素の製造および組立て、ならびにフレア加工、スエージ加工、切断、およびRFチッピング動作などの様々なチッピング動作の必要がなくなる。さらに、図5および図6に示すカテーテルを基部にロックするための保持タブ、ならびに注入セットの流体コネクタと連通するための1つまたは複数の側面ポートなど、より複雑な形状寸法を成形してカテーテルアダプタにすることもできる。
【0016】
図4は、カテーテルに対する製造工程を改善する本発明の一実施形態を示す。図4に示す例示的なカテーテル20では、好ましくはポリマー材料を所望の温度まで加熱してから射出成形するシングルショット射出成形工程において、カテーテル管22がアダプタ21とともに成形される。そのようなシングルショット射出成形工程を使用して、図2に示したものに類似のIVカテーテルを作製することもできる。図4に示すように、アダプタ21は引き込み部分211を含み、引き込み部分211は漏斗形状を有するものとして示す。図4に示す横断面図では、アダプタ21の頂端212でカテーテル管22の端部222がアダプタ21に接続(ともに溶融)されており、したがってカテーテル20は単体であることをさらに示す。カテーテル管22のうち、端部222から離れた反対側の端部には、カテーテル20の開いた遠位端221が位置し、開いた遠位端221を通って薬液が患者に投与される。
【0017】
図4を参照すると、図面に示す実施形態は、圧力を蓄積してから急速に解放する成形工程を使用することによって、シングルショット射出工程で成形することができる。図4に示す実施形態の場合、コアピンの両側で圧力を等しくし、したがってコアピンの湾曲を低減させるために、アダプタ領域内で対称に位置決めされた2つの位置にゲートを作製することが好ましい。
【0018】
図5の横断面図は、注入セットにおける使用に適合された本発明の別の例示的な実施形態を示す。図5に示すカテーテル30は、その円筒形の主空胴315内で隔壁(図示せず)を受容するように寸法設定および構成されたアダプタ31を含む。さらに、アダプタ31は、基部に取り付けられるようにまたは基部へ案内されるように構成された、半径方向に延びる保持タブ313を含む(図9Aおよび図10参照)。アダプタ31の下部には漏斗状の引き込み部分311が形成され、カテーテル管類33の端部332に接続される。カテーテル管33は、図4に示す実施形態のものに比べて、長さが短くされている。カテーテル管33の開いた遠位端331から引き込み部分311を通って流体経路が延びる。引き込み部分311の頂端312は、カテーテル管33の端部332に接続される場所である。図4の実施形態と同様に、図5に示す例示的なカテーテル30は、好ましくはシングルショットで成形された一体型設計である。
【0019】
図9Aおよび図10に示すように、カテーテル30のアダプタ31内には隔壁402が受容される。保持タブ313は、基部600、600’のガイド601、601’間にスロットを有し、したがって、導入部500、500’が作動してカテーテル30を有する導入針502、502’を使用者内へ挿入した後、保持タブ313は、ガイド601、601’によって基部600、600’へ固定される。
【0020】
本発明の一体型カテーテル設計にはいくつかの利点がある。一体型カテーテル設計は、カテーテルの基部に取り付けるために従来のカテーテル(図1に示す)で必要とされるウェッジの必要を排除する。そのようなウェッジは通常、金属または他の硬化材料から作られており、従来のカテーテルを構築するには追加の材料および工程の使用が必要とされる。
【0021】
対照的に、本発明の例示的な実施形態では、一体型カテーテル20、30は、ポリマーなどの1つの材料だけを使用することができ、それによって生産コストを低減させる。さらに、本発明の例示的な実施形態は一体型設計であるため、従来のカテーテル設計の複数の構成要素を排除する。
【0022】
図6は、図5のものに類似の例示的な一体型カテーテルを有する注入セットの拡大横断面図を示す。図6に示す実施形態では、カテーテル40は、カテーテル管43およびアダプタ41を含む。カテーテル40は基部45に取り付けられる。カテーテル40と基部45は、必要に応じて、シングルショット成形工程を介して単一ユニットのカテーテル-基部アセンブリを形成するように、ともに成形することができる。カテーテル-基部アセンブリはまた、ツーショット成形工程によって形成することもでき、このツーショット成形工程では、使用者の体内で長期間にわたって残されるのに適当な材料からなる加熱されたポリマーを使用する第1のショット成形工程で、カテーテル40を形成する。その後、第1のショットで使用したものと同じでも異なってもよい加熱されたポリマーを使用する第2の成形工程で、基部45を形成し、カテーテル40に取り付ける。あるいは、第1の成形工程で基部45を形成し、第2のショット成形工程でカテーテルを形成して基部45に取り付けることもできる。構成要素の射出成形は、製造工程を簡略化することによって、コストを低減させることができる。
【0023】
シングルショット成形工程では、工程に適した温度までポリマーを加熱して射出成形し、第1の要素(たとえば、カテーテル)を形成する。第1の要素に第2の要素(たとえば、基部)を追加するために追加の成形工程が必要とされる場合、同じポリマーまたは異なるポリマーを、第2のショット成形工程に適した温度まで加熱して射出成形し、第2の要素を形成することができる。第2のショット成形工程はまた、第1の要素を第2の要素に溶融させることもできる。これらの成形工程で使用されるポリマーは、同じ材料または異なる材料を利用することができ、よりはっきりした視覚的な識別のために、必要に応じて同じ色または異なる色を有することができる。カテーテルを射出成形するのに好ましいポリマーは、Teflon(登録商標)である。Teflon(登録商標)を使用してカテーテルを射出成形する場合、基部もTeflon(登録商標)から作製することができ、または別のポリマー、たとえばBecton,Dickinson and Company(BD)によるVialon(商標)という生体材料などのポリウレタン製品から作製することもできる。
【0024】
カテーテルはまた、複数ショットの成形工程を使用して形成することもでき、その場合、様々な構成要素を順次成形することができる。たとえば、カテーテル管とアダプタは、ツーショット成形工程を使用して異なる材料から作製することができる。
【0025】
図6の実施形態は、カテーテル43を介して手動の挿入および針の除去を行い、それに続いて取り外し可能な注入流体コネクタおよび管セット(図示せず)を取り付けることを特徴とするカテーテル注入セットを示す。
【0026】
図6では、好ましくはTeflon(登録商標)などのポリマーを使用して成形される一体型カテーテル40は、ツーショット成形工程が使用される場合、同じポリマーまたは異なるポリマーから作られた基部45を含む。アダプタ41の主空胴内に隔壁70が配置されており、この主空胴を導入針60が貫通しているところを示す。導入針60は、その筐体、針ハンドル、または基部45内に位置するところを示す。針ハンドル50に取り付けられた導入針60は、カテーテル40から取り外すことができる。カテーテル40は、アダプタ41を基部45に接続する保持リング46を含む。アダプタ41は、スロット付きのリング状構造またはフランジ413を含むことができ、フランジ413を管セットコネクタ(図示せず)に取り付け、または接続して、アダプタ内へ流体を受容することができ、したがって流体は、カテーテル管43を通って流れることができる。
【0027】
図6に示す実施形態では、アダプタ41とカテーテル管43との間の接続は、図5のものに類似している。アダプタ41の下部には、頂端412を有する漏斗状の引き込み部分411が位置する。頂端412では、カテーテル管43の端部432がアダプタ41に接続される。図6にはカテーテル管43の開いた遠位端431も示されており、流体は、アダプタ41の内壁から引き込み部分411およびカテーテル管43を通って、開いた遠位端431から外側へ流れ出る。皮膚接着部460は、基部45を使用者に取り外し可能に取り付ける。カテーテル40をシングルショット成形工程で形成し、基部45を第2のショット成形工程によって形成して、カテーテル-基部構造を形成することができる。
【0028】
図7は、例示的な注入セットの横断面図であり、注入セット100は、本発明の例示的な実施形態による別の一体型カテーテル101を利用する。カテーテル101は、上記のように複数の構成要素を有する従来のカテーテルの代わりに使用することができる。図7は、流体コネクタまたは管セット102をさらに示し、ハブ12’の先の鈍いカニューレ103が、カテーテル101のアダプタ/基部内に収容された隔壁104に穴を開け、したがって、ハブ12’が基部19’から取り外されるとき、隔壁104は自動的に閉じて、粒子状の異物がカテーテル101内に入るのを防止する。ハブ12’が基部19’に取り付けられているとき、管セット102からカテーテル101の外端105まで流体経路が形成される。
【0029】
図8Aおよび図8Bは、別の例示的な注入セット300をさらに示し、図7のものに類似の一体型カテーテル3320が利用される。図8Aでは、使用者は、ハブ360を基部380に取り付けたり基部380から取り外したりすることができる。ハブ360は、タブ364を有するロックリング362を含み、タブ364は、基部330の対応するスロット382に固定される。タブ364がスロット382内へ挿入された後、使用者はハブ360を回転させて、タブ364を基部380に噛み合わせることができる。基部3350にカテーテル3320が固定される。図8Bは、図8Aの注入セットの横断面図である。皮膚接着部390が、基部380を使用者に取り外し可能に取り付ける。図8Bに示すように、カテーテル101は円筒形の主空胴を含み、主空胴内に隔壁104が受容される。ハブ360が基部380に取り付けられているとき、ハブ360の先の鈍いカニューレ366が隔壁104を貫通し、薬液をカテーテル101内へ送り込むことができる。薬液は、ポンプ(図示せず)から管セット16’を通って先の鈍いカニューレ366内へ送られ、カテーテル101から出る。
【0030】
図9Aおよび図9Bは、アダプタ部分内に隔壁402を収容する本発明の一実施形態による例示的な一体型カテーテル400をどのように使用できるかを示し、導入針502を備える針ハンドル520を有する導入部500は、皮膚接着部610が取り付けられた基部600より上に位置する。導入部500はばね式であり、カテーテル400および導入針502を使用者内へ挿入するように解放できる準備ができている。図9Bは、起動されるとカテーテル400および導入針502を使用者内へ挿入するばね式機構510のさらなる詳細を示す。
【0031】
図10は、図9Aおよび図9Bの実施形態に類似の一体型カテーテル400’の挿入を示し、一体型カテーテル400’、ならびに導入針502’は、導入部500’のばね式機構510’を解放することによって、使用者内へ挿入される。導入針502’およびカテーテル400’を使用者に挿入すると、導入部500’および導入針502’はカテーテル400’から取り外され、カテーテル400’は、図示のように、基部600’にロックされた状態またはロック可能状態になる。
【0032】
一体型カテーテルには多くの利点がある。たとえば、一体型カテーテルの全体的な強度は、ポリマーおよび金属の構成要素を利用する従来の複数の部品からなるアセンブリより概ね強い。さらに、異なる材料、寸法、および形状の多数の構成要素をなくすことによって、製造コストが低減される。さらに、本発明の一体型カテーテルの例示的な実施形態では、従来のウェッジに対する従来のカテーテルの摩擦係合の場合のような接続接合部がないため、そのような接合部で普通なら起こりうる漏れの可能性が最小になる。さらに、例示的な一体型カテーテルは、従来の複数の構成要素からなるカテーテルと比較すると、カテーテルが使用者内へ挿入されるときに衝撃力をカテーテル全体により均一に伝達することができ、したがって一体型カテーテルは、従来の複数の構成要素からなるカテーテルの場合に起こりうるように、特定の位置で弱まることなく挿入することができる。
【0033】
上記の詳細では、本発明のいくつかの例示的な実施形態のみについて説明したが、例示的な実施形態では、本発明の新規な教示および利点を実質的に逸脱することなく、多くの修正が可能であることが、当業者には容易に理解されよう。したがって、そのような修正はすべて、添付の特許請求の範囲およびその均等物に規定する本発明の範囲内に含まれるものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10