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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-10
(45)【発行日】2023-08-21
(54)【発明の名称】黒菊芋ゼリー状物質の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 19/10 20160101AFI20230814BHJP
   A23L 29/244 20160101ALI20230814BHJP
【FI】
A23L19/10
A23L29/244
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020173679
(22)【出願日】2020-10-15
(65)【公開番号】P2022013558
(43)【公開日】2022-01-18
【審査請求日】2021-08-26
(31)【優先権主張番号】10-2020-0082363
(32)【優先日】2020-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】720008793
【氏名又は名称】金 富姫
(72)【発明者】
【氏名】金富姫
【審査官】安田 周史
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第103039915(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103039929(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103039943(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103060167(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109221860(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111296598(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111165694(CN,A)
【文献】Amebaブログ, 2016.01.28 [検索日 2021.12.10], インターネット:<URL:https://ameblo.jp/kanauta717/entry-12123246137.html>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 19/10
A23L 29/244
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然の菊芋を原料としてまず洗い、該菊芋を温度60℃~70℃で14日~20日間熟成させて後、自然放置して黒菊芋エキスを作る第1段階と、
該第1段階で作られた黒菊芋エキスと該黒菊芋エキス中に分散する菊芋自体を取り出して黒菊芋とする第2段階と、
該黒菊芋を10日~20日間乾燥させて第1のゼリー状物質を作る第3段階と、
該第3段階を経て乾燥させた前記第1のゼリー状物質を、温度30℃で3日~4日間天然発酵熟成させた後、さらに4日~7日間乾燥させた第2のゼリー状物質を作る第4段階と、
を有することを特徴とする黒菊芋ゼリー状物質の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天然の菊芋を利用した黒菊芋ゼリー状物質の製造方法に関する。
ここで、黒菊芋ゼリー状物資とは、天然の菊芋を原料として所定の温度で熟成し所定期間放置して出来た自然の物質であり、ゼリーのような形態の自然物質をいう。
【背景技術】
【0002】
従来は主に菊芋と砂糖を混合して糖発酵したり、他の酵母を入れアルコールを発酵させ酒を作ったり、また種酢(vinegar starter)を入れて酢酸発酵させて天然酢を作ったりしていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
自然な菊芋を食品とし長期間保存して食べるのが難しかったし、菊芋を利用した発酵食品酒は長期間発酵しなければならなかった。
【0004】
近年の菊芋を使った食品は菊芋の商品として食べることが出来る保存期間が短く、かつ、微生物の活動が抑制されているために天然発酵食品の製造が難しかった。
そこで、本発明ではこれらの課題を解決し、長期間保存でき菊芋商品として食べることが出来る、天然発酵食品を得るための基礎となる黒菊芋ゼリー状物質の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような目的を達成するため、本発明では、 天然の菊芋を原料としてまず洗い、該菊芋を温度60℃~70℃で14日~20日間熟成させて後、自然放置して黒菊芋エキスを作る第1段階と、
該第1段階で作られた黒菊芋エキスと該黒菊芋エキス中に分散する菊芋自体を取り出して黒菊芋とする第2段階と、
該黒菊芋を10日~20日間乾燥させて第1のゼリー状物質を作る第3段階と、
該第3段階を経て乾燥させた前記第1のゼリー状物資を、温度30℃で3日~4日間天然発酵熟成させた後、さらに4日~7日間乾燥させた第2のゼリー状物資を作る第4段階と、
を有することを特徴とする。
かかる製造工程で得たゼリー状物質を利用することにより黒菊芋酵母茶、黒菊芋天然発酵醤油、黒菊芋天然発酵味噌、黒菊芋天然発酵コチュジャン、黒菊芋天然発酵酢、黒菊芋天然発酵酒、黒菊芋天然発酵飲料水など、多種多様な発酵製品の製造が可能となる。
【発明の効果】
【0006】
上述のように本発明の製造工程を利用することにより黒菊芋酵母茶、黒菊芋天然発酵醤油、黒菊芋天然発酵味噌、黒菊芋天然発酵コチュジャン、黒菊芋天然発酵酢、黒菊芋天然発酵酒、黒菊芋天然発酵飲料水など、多種多様な発酵製品の製造が可能となる。このため薬ではなく自然食品を通じて一般人の健康維持と現代人の様々な病気の発生を抑制できる。なお、菊芋は虫と病虫害が少ない植物なので、農薬成分がなく、無農薬で栽培が可能である。有機栽培のものでも十分な価値があり、すべてが自然の豊かな恵みで作ることができる純粋な植物であるこの植物を応用した食品は、現代人には必要成人病を予防できる天然食品で、豊かな栄養分と多様な食品を摂取できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】黒菊芋、黒菊芋エキス、黒菊芋ゼリー状物質(第1のゼリー状物質)、黒菊芋天然酵母ゼリー状物質(第2のゼリー状物質)の製造方法を示すブロック図である。
図2】黒菊芋天然酵母ゼリー(第2のゼリー状物質)を使用し、黒菊芋天然発酵醤油、味噌、コチュジャン、酒、茶の製造方法を示すブロック図である。
図3】黒菊芋エキスを示す写真である。
図4】黒菊芋自体を示す写真である。
図5】黒菊芋ゼリー状物質(第1のゼリー状物質)を示す写真である。
図6】黒菊芋天然酵母ゼリー(第2のゼリー状物質)を作る途中の写真である。
図7完成した黒菊芋天然酵母ゼリー(第2のゼリー状物質)を示す写真である。
図8】黒菊芋天然発酵醤油の製造途中を示す写真である。
図9完成した黒菊芋天然発酵醤油を示す写真である。
図10完成した黒菊芋天然発酵味噌を示す写真である。
図11】黒菊芋天然発酵酢の製造途中を示す写真である。
図12】黒菊芋天然発酵酒の製造途中を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は添付図面を参照し、詳細に説明する前に菊芋の成分について説明する。 菊芋(Helianthus tuberosus)は1年生植物で、キク科に属し、ひまわり状の花が咲き、根はイヌリン(inulin)が多く、食物繊維として作用して腸の健康によく、便秘にも効果があり、体脂肪を分解して、体内の中性脂肪の濃度を減らしてくれる(表1)(書籍名:菊芋とは何か。 著者:高橋玄朴。 出版社:鷹書房弓プレス)
【0009】
【表1】
【0010】
また、血糖値を下げるヘモグロビン濃度を下げる例を表2に示す。
【0011】
【表2】

【0012】
次に、早稲田大学生理薬理学研究室平成31年3月には、「朝の菊芋は一日血糖値上昇を抑制する」とのタイトルで、一日(朝食、昼食、夕食)後の血糖値の変化が示されており、この結果を表3に示す。
【0013】


【0014】
【表3】

【0015】
またミネラル成分、天然インスリン成分が多く糖尿病に血糖調節に効果的で、ヘモグロビン濃度が下がる例を、(書籍名:菊芋の驚くべき効能。 著者:高橋玄朴 出版社:いしずえ)を参考にして、これを表4示す。
【0016】
【表4】

【0017】
また、骨密度を高め、ビタミンKが作られるところの菊芋の効能が世界各国で研究されている。
本発明は、図1に示すようにまず菊芋を洗う→菊芋を熟成(14日から20日間)(60℃~70℃)→自然放置 黒菊芋エキス 第1段階→エキスと分離して取り出す→黒菊芋 第2段階→さらに、かかる黒菊芋を干す(10日から20日間)→黒菊芋ゼリー(第1のゼリー状物質) 第3段階→黒菊芋(温度30℃で3日から4日間)天然発酵熟成→該黒菊芋を干す(4日から7日間)→黒菊芋天然酵母ゼリー(第2のゼリー状物質)とする黒菊芋ゼリー状物質の製造方法である。
【0018】
上記の第1段階の黒菊芋エキスでは、純粋な菊芋を原料に固体の菊芋を利用してエキスとして開発した。かかる栄養価が高い液体の黒菊芋を利用して様々な発酵食品を製造でき、微生物の活動より活発化させ、当該製品を早く熟成させることができる。
第2段階の黒菊芋は純粋な黒菊芋を原料とし、高い栄養価を維持することができる。
第3段階の黒菊芋ゼリー(第1のゼリー状物質)は、純粋な菊芋を原料にして栄養価を高め、保存しやすく、防腐剤は必要なく、とてもおいしい天然ゼリー状物質となる。
第4段階の黒菊芋天然酵母ゼリー(第2のゼリー状物質)は、第3段階で開発した黒菊芋ゼリー(第1のゼリー状物質)を特別に熟成天然発酵させ、酵母の入っているゼリー状物質を製造し、新しい発酵食品として既存の納豆、乳酸菌の入っているヨーグルト、醤油、味噌、コチュジャン、酢、酒など様々な製品を作ることができる。
【0019】
また、黒菊芋天然酵母ゼリー(第2のゼリー状物質)をそのまま食べることもでき、お湯を入れて茶として飲めるし、沸騰して麦茶のように飲める。生きている有益菌を摂取できる良い食品である。これは、黒菊芋酵母茶として新たに脚光を浴びることも期待できる。
【0020】
本発明で開発した黒菊芋天然酵母ゼリー(第2のゼリー状物質)を使用し、正統方式の味噌玉麹のような効果がある醤油と味噌の開発が可能である。その製造方法は次の通りである。
【0021】
黒菊芋天然酵母ゼリー(第2ゼリー状物質)と塩水(塩15%)と干し唐辛子と干しナツメと黒菊芋エキスなどを混ぜて熟成させ、醤油、味噌、さらにはコチュジャンの製造が可能である。
【0022】
既存の菊芋を使用した味噌の開発は、天然の菊芋を使っていた。しかし、本発明では、黒菊芋を使用し、ゼリー状物質を使用して開発されるため、より早く熟成させることができる。また、かかるゼリー状物質を使用し、天然黒菊芋酒と天然黒菊芋酢の開発も可能である。
【0023】
本発明により開発される酢は、黒菊芋天然酵母ゼリー(第2ゼリー状物質)20%~25%、自然菊芋75%~80%を入れて混合熟成させる。味を調整するためにリンゴやレモンなど様々な果物を追加することも可能である。
【0024】
しかし、砂糖や糖蜜を入れることなく、黒菊芋天然酵母ゼリー(第2ゼリー状物質)を使用する。これまでは砂糖や糖蜜を入れるが、これを入れるとphが強酸性3.5以下に落ちる。菊芋を使かえばph6.5程度に安定する。つまり、黒菊芋天然酵母ゼリー(第2ゼリー状物質)と菊芋を熟成させ、天然発酵酢と酒の発酵製造が可能である。
【0025】
また、様々な果物と一緒に天然発酵酢や酒の製造も可能である。菊芋を使用した従来の酢や酒は、自然の菊芋のみを使用していたが、上記のものは、果物と共に黒菊芋天然酵母ゼリー(第2ゼリー状物質)を使用し、天然酢と酒の製造が可能で、より短期間で製造が可能となる。
【0026】
請求項1に記載した黒菊芋、黒菊芋ゼリー(第1のゼリー状物質)、黒菊芋エキスは、菊芋の成分分析表1.ドイツ ベルリン工科大学分析表(表5)、2.日本食品分析表を参照
【0027】
【表5】

【0028】
菊芋はインスリン約60.0%、ブドウ糖0.5%、脂肪1.8%、果糖2.7%、たんぱく質5.9%、子糖8.0%のインスリン、糖分、ミネラル、各種ビタミン類が豊富に含まれており、現代人を脅かす糖尿病の血糖数値を抑制する効果がすでに世界的に証明されており、がん患者にもがん数値を下げる効果など多様な発表が出ている。
【0029】
高濃度の栄養分を季節に関係なく食べられる方法を工夫して、本発明ではゼリー状物質を介して保存する製造方法である。すなわち、純粋な菊芋を熟成させ、乾燥させることで黒菊芋、黒菊芋ゼリー(第1ゼリー状物質)が作られ、いわゆるゼリー成分が引き続き保たれる。黒菊芋ゼリー(第1ゼリー状物質)だけでも約2年間防腐剤が必要なく保管でき、かつ、保管し続けてもカビが生じず腐敗しない。また、黒菊芋エキスは、多様な飲料水、茶などが製造でき、また糖分が豊富であるため、発酵食品を製造するのに砂糖や糖蜜を必要とせず、純粋な菊芋だけでも多様な健康食品及び薬成分が製造可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12