(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-10
(45)【発行日】2023-08-21
(54)【発明の名称】クロマトグラフィー装置
(51)【国際特許分類】
G01N 30/02 20060101AFI20230814BHJP
G01N 30/32 20060101ALI20230814BHJP
G01N 30/46 20060101ALI20230814BHJP
G01N 30/26 20060101ALI20230814BHJP
G01N 30/82 20060101ALI20230814BHJP
G01N 30/60 20060101ALI20230814BHJP
G01N 30/74 20060101ALI20230814BHJP
【FI】
G01N30/02 Z
G01N30/32 C
G01N30/46 Z
G01N30/26 M
G01N30/82
G01N30/26 Q
G01N30/60 E
G01N30/26 H
G01N30/74 E
(21)【出願番号】P 2020516802
(86)(22)【出願日】2018-09-21
(86)【国際出願番号】 EP2018075693
(87)【国際公開番号】W WO2019057936
(87)【国際公開日】2019-03-28
【審査請求日】2021-08-23
(32)【優先日】2017-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】597064713
【氏名又は名称】サイティバ・スウェーデン・アクチボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【氏名又は名称】崔 允辰
(74)【代理人】
【識別番号】100207158
【氏名又は名称】田中 研二
(72)【発明者】
【氏名】ニルス・スタッフストローム
(72)【発明者】
【氏名】ラーシュ・オロフ・ニルス・ローセングレーン
(72)【発明者】
【氏名】シェシュティン・エリサベト・エリクソン
(72)【発明者】
【氏名】トマス・イングヴェ・アーグレン
(72)【発明者】
【氏名】イングヴェ・エル・ハレランド
(72)【発明者】
【氏名】ティム・フランソワ
(72)【発明者】
【氏名】アニタ・ヨンソン
(72)【発明者】
【氏名】ジャンヌ・チェン
(72)【発明者】
【氏名】アンナ・アンデション
【審査官】大瀧 真理
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2008/156484(WO,A1)
【文献】特開平07-229885(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0107476(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0109473(US,A1)
【文献】特開2000-097924(JP,A)
【文献】特表2012-529650(JP,A)
【文献】特開2001-255316(JP,A)
【文献】特開2013-137331(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/00 - 30/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体試料中の分
子混合物を分離するためのクロマトグラフィーシステムであって、
複数のクロマトグラフィーカラムと、
少なくとも1つのポンプ、および
前記複数のクロマトグラフィーカラムに連結可能なカラム弁ユニットを含む複数のモジュールと、
前記カラム弁ユニットにおける選択的な弁の開放による、1つだけのカラムを用いるクロマトグラフィー、および、2つ以上のカラムを用いるクロマトグラフィーを含む、異なるクロマトグラフ過程を実施するために、前記ポンプまたは各ポンプおよび前記カラム弁ユニットを制御するように動作可能である制御装置と
を備えた、クロマトグラフィーシステムにおいて、
それぞれのモジュール間に必要な液体連結が、当該クロマトグラフィーシステムの前面でのみ行うことができるように、前記複数のモジュールの少なくとも1つは、当該クロマトグラフィーシステムの筐体の開口付き前パネルから取り外し可能で、その1つの鉛
直平面に装着可能であ
り、
各カラムは、クロマトグラフ分離媒体を収容するための、容積が可変な室と、各前記容積を増加または減少させるために移動可能なアダプタとを含み、
前記カラム弁ユニットは、各前記アダプタと流体連通しており、流体圧力変化を用いて各前記アダプタを独立してまたは集合的に移動させて、結果として、各前記容積を変化させるように、および、使用中に、前記カラムの各容積内の媒体の圧縮または圧縮からの解放をもたらすように、選択的に動作可能であることを特徴とする、クロマトグラフィーシステム。
【請求項2】
前記選択的な弁の開放は、前記複数のクロマトグラフィーカラムのうちの1つまたは複数における使用中の流れ方向の反転を可能にする、請求項1に記載のクロマトグラフィーシステム。
【請求項3】
表示画面をさらに含み、前記制御装置は、ソフトウェアに従って前記複数のモジュールを制御するように動作可能であり、前記ソフトウェアは、前記表示画面に複数のアイコンを表示するのに適しており、前記アイコンをドラッグアンドドロップして、ユーザ定義のクロマトグラフィー制御方法を表す一連のアイコンを形成するために、前記表示画面上の前記アイコンのユーザ操作を可能にする、請求項1または2に記載のクロマトグラフィーシステム。
【請求項4】
前記ユーザ定義の方法は、前記2つ以上のクロマトグラフィーカラムを用いる連続クロマトグラフィー過程を含む、請求項3に記載のクロマトグラフィーシステム。
【請求項5】
前記制御装置は、カラム詰込み、カラム詰込み試験、および当該クロマトグラフィーシステムの少なくとも一部の洗浄のうちの1つまたは複数を実施するようにさらに動作可能である、請求項1から4のいずれか一項に記載のクロマトグラフィーシステム。
【請求項6】
前記複数のモジュールは、システム筐体における1つの鉛直な面の開口に交換可能に装着可能であり、
前記複数のモジュールは、配管による選択的な流体相互連結のために適合されており、前記複数のモジュールのうちの少なくとも1つが、前記カラム弁ユニットを含む、請求項1から
5のいずれか一項に記載のクロマトグラフィーシステム。
【請求項7】
前記複数のモジュールは、前記1つの鉛直な面において、配管による選択的な流体相互連結のために適合されており、それにより、使用中に、前記複数のモジュールおよび前記配管が、鉛直に延びる体積を占めて当該クロマトグラフィーシステムの接地面積を最小にする、請求項
6に記載のクロマトグラフィーシステム。
【請求項8】
前記1つの鉛直な面以外に、前記システム筐体は平坦なまたは湾曲した面を有し、前記平坦なまたは湾曲した面は、前記平坦なまたは湾曲した面の縁における以外に結合部がない、請求項
6または
7に記載のクロマトグラフィーシステム。
【請求項9】
液体試料中の分子混合物を分離するためのクロマトグラフィーシステムであって、
少なくとも1つのポンプ、および複数のクロマトグラフィーカラムに連結可能なカラム弁ユニットを含む複数のモジュールと、
前記カラム弁ユニットにおける選択的な弁の開放による、1つだけのカラムを用いるクロマトグラフィー、および、2つ以上のカラムを用いるクロマトグラフィーを含む、異なるクロマトグラフ過程を実施するために、前記ポンプまたは各ポンプおよび前記カラム弁ユニットを制御するように動作可能である制御装置と
を備えた、クロマトグラフィーシステムにおいて、
それぞれのモジュール間に必要な液体連結が、当該クロマトグラフィーシステムの前面でのみ行うことができるように、前記複数のモジュールの少なくとも1つは、当該クロマトグラフィーシステムの筐体の開口付き前パネルから取り外し可能で、その1つの鉛直平面に装着可能であり、
前記複数のモジュールは、pHモニタ、出口弁、伝導性モニタ、カラム弁、入口弁、システム液体ポンプ、流れ制限器、混合器、空気トラップ、空気トラップ弁、空気トラップ通気口、およびUVモニタのうちの1つまたは複数を備え、
前記クロマトグラフィーカラムからの産出物は、ポートを通じて伝導性モニタ、UV光吸収モニタ、および、pHモニタへと通され、分離された分別物が適切な容器に捕集されるように、3つのモニタからの信号に応じて、適切な保存容器へと向けられ
ていることを特徴とする、クロマトグラフィーシステム。
【請求項10】
カラム洗浄物は廃液容器に捕集される、請求項
9に記載のクロマトグラフィーシステム。
【請求項11】
当該クロマトグラフィーシステムは、2つの液体ポンプを含み、前記液体ポンプのうちの1つが、選択的に単独で動作可能であり、または、両方の液体ポンプが、選択的に一緒に動作可能であり、それによって、2つ以上のモードのクロマトグラフィー過程に適した流体流れの範囲を提供する、請求項1から
10のいずれか一項に記載のクロマトグラフィーシステム。
【請求項12】
プレカラム伝導性モニタおよび/または調節可能足部をさらに含む、請求項1から
11のいずれか一項に記載のクロマトグラフィーシステム。
【請求項13】
前記カラム弁ユニットは、カラムの内容物を圧縮するために液圧シリンダの容積を変更するために使用できるポートをさらに含む、請求項1から
12のいずれか一項に記載のクロマトグラフィーシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体クロマトグラフィー装置に関し、特に、異なるクロマトグラフ処理および都合のよい自動化された使用のために都合のよい再構成を可能にする、汎用的な性質の研究用または「ベンチトップ型」の大きさの機器に関するが、これに限らない。本発明は、このような機器を動作させるための方法にも及ぶ。
【背景技術】
【0002】
液体クロマトグラフィーは、分子の混合物を分離するための、例えば液体試料中のタンパク質を分離するための、よく知られている処理である。タンパク質は、典型的には、流体中に懸濁され、緩衝液と共にクロマトグラフィー分離媒体を通じて駆動させられ得る。混合物の様々な試料分子が、クロマトグラフィー媒体を通じて異なる速度で進み、それらを分離させる。この分離は、例えばクロマトグラフィー装置の出口弁によって、移動相が異なる容器へ向けられ得る分別ステップによって完了され得る。
【0003】
いくつかの用途、例えば生物薬剤学的分野では、遺伝子工学および細胞培養技術における最近の進歩は、発現レベルをこれまでより高いものに至らしめており、下流の浄化、特に分別ステップに対して、相当な負担を課している。新たなクロマトグラフィー媒体組成の導入が、従来の固定床クロマトグラフィーに基づく過程の効率を著しく改善する一方で、連続的な手法で動作させることで、追加的な利得が達成され得る。追加的な利得は、連続的な生物反応器、例えば潅流モードで動作させられる連続的な生物反応器などが用いられるときに、特に魅力的である。
【0004】
連続クロマトグラフィーでは、2つ以上の同一のカラムが、方法の要件に応じて、カラムを直列および/または並列で動作させることを可能にする配置で連結される。したがって、すべてのカラムが、原則として同時に、ただし異なる段階で、実行され得る。処理は、各カラムが過程において数回にわたって充填され/詰め込まれ、溶離され、および再生されるように、繰り返され得る。単一のクロマトグラフィーサイクルが、いくつかの連続したステップ、例えば充填、洗浄、溶離、および再生などに基づく、「従来」のクロマトグラフィーと比較して、複数の同一のカラムに基づく連続クロマトグラフィーでは、すべてのこれらのステップが同時に、ただし異なるカラムで行われる。連続クロマトグラフィー動作は、クロマトグラフィー媒体組成のより良好な利用、処理時間の短縮、および緩衝流体の要件の低減をもたらし、これらのすべてが、過程の経済性にとって利益となる。連続クロマトグラフィーは、疑似移動床(SMB)クロマトグラフィーと表されることがある。
【0005】
前述したように、各カラムは、過程において数回にわたって充填され/詰め込まれ、溶離され、洗浄され、および再生され得る。信頼できる連続クロマトグラフィー過程のための必須の要因は、使用されるカラムの品質であり、より明確には、各カラムにおける媒体の類似性または均一な密度である。カラム同士が同一でない場合、理論的な計算が正しくならず、効率的で堅牢な連続クロマトグラフィー過程を設計することが困難になる。しかしながら、カラムをクロマトグラフィー媒体組成で充填/詰込みすることは、再現可能な結果を得るために非常に複雑である。板の数または他の詰込み特性における小さな違いでさえ、最終結果に大きな影響を有することがある。
【0006】
従来の解決策による問題は、連続クロマトグラフィーを実施することが面倒で複雑な時間の掛かる作業であることである。しばしば、過程は、流体継手/管の再連結の実施、カラムの詰込みまたはあらかじめ詰め込まれたカラムの装填、洗浄作業の実施などを行うために、中断されなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】GB1710279
【文献】WO2007045491
【文献】GB1713993
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、連続クロマトグラフィーを実施するための改善されたクロマトグラフィー装置の必要性がある。
【0009】
さらに、例えばGE HealthcareによるAKTApilotの商品名で販売されているものなど、前述の種類の連続クロマトグラフィーを実施するクロマトグラフィー装置が知られており、これらの知られている機器は良好に機能し、必要とされる場合に異なる機能のために再配管することができる汎用的な機器を提供しているが、これらの機器は、それらが用いられ得る唯一の特定の処理があるように、幾らかの機能性を欠いており、汎用性の拡張は商業的に魅力的であるが、機器の大きさ、汎用性の維持、内部および外部の洗浄の容易性などの実用上の側面、およびコストといった競合する制約の中で達成するのは容易ではない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施形態は、前述した問題に対処する。それによって、本発明の目的は、増加した機能性、例えば、連続クロマトグラフィーだけでなく、従来のバッチクロマトグラフィーにおいても動作することができること、より幅広い範囲の用途にわたって使用可能であること、実質的に増加した全体的な大きさまたは製造コストを有しないこと、および、動作させるのが簡単であること、のうちの1つまたは複数を伴うクロマトグラフィー機器を提供することである。
【0011】
適正製造基準(GMP)は、従う場合に清浄度の基準を必要とするバイオプロセス処理のための指針を明示している。有利には、その基準は、提案される装置で達成することがより容易であり、その装置では、例えば、機器における流体通路が、少なくとも1つの構成では、実質的な淀み部分を伴わない連続的な流路を有し、それによって流体導路を分解する必要のない完全な洗浄を提供する。提案されている機器の実施形態は、GMP作業と非GMP作業との両方に適する衛生的で小規模なクロマトグラフィー機器を提供する。機器の機能的に幅広い流れおよび圧力の範囲は、機器を、技術的なバッチ処理とスケールアップ研究の生成と、GMPグレード材料の小規模な生成との両方に適したものとする。ポンプの高度な正確性および流量範囲は、広範囲なクロマトグラフィーカラムの大きさと、より再現可能な結果とを網羅する、正確な勾配の形成を可能にする。
【0012】
実施形態では、モジュール式の構造が、様々な使用のために増加した機能性を提供する。双方向制御ソフトウェアは、変化がリアルタイムで行われること、および予期せぬ逸脱が素早く特定されることを可能にする。小さいベンチトップ型の大きさは、研究室の空間を解放する。機器は、機器に連結されている一方で、クロマトグラフ処理を実施する前に流体導管を連結解除する必要なく、その場でのカラムの詰込みを可能にし、つまり、2つ以上のカラムが使用される場合にカラムにおいて、または各カラムにおいて、クロマトグラフィー媒体を圧縮する能力を可能にする。
【0013】
本発明の一態様によれば、装置の独立クレームにおいて明示されている特徴を有する、本明細書において特許請求されているようなクロマトグラフィー機器が提供され、さらなる好ましい特徴は、装置の従属クレームにおいて明示されている。
【0014】
本発明の別の態様によれば、方法の独立クレームにおいて明示されている特徴を有する、本明細書において特許請求されているようなクロマトグラフィー機器を動作させるための方法が提供され、さらなる好ましい特徴は、方法の従属クレームにおいて明示されている。
【0015】
本発明は、本明細書において記載されているいかなる特徴にも及ぶ。実施形態が、本明細書において特徴を組み合わせて図示および/または記載する場合、前記組み合わされた特徴のうちの1つまたは部分セットのみを含む請求項は、本明細書において開示されている本発明の範囲内に収まるように明示的に考慮されている。
【0016】
本発明のさらなる利点および利益は、以下の詳細な記載を考慮すれば、当業者には容易に明らかとなるであろう。
【0017】
ここで、本発明は、添付の図面を参照して、より詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】新たなクロマトグラフィー装置の透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明の一態様によるクロマトグラフィー装置100を示す。本装置は、後に列記されているような個別のモジュール1~25を備えるが、これらに限定されず、個別のモジュール1~25のうちの少なくとも一部は、装置100の筐体110の開口付き前パネル120から取り外し可能であり、1つの概ね鉛直の平面に装着され、そのため、モジュール間で必要とされる液体連結は前面120のみにおいて行うことができる。実際には、取り外し可能なモジュールは、必要とされる場合、異なる処理に適合するためにパネル120に再位置決めされ得る2つ以下の標準的な大きさを有する。各モジュールは、シリアルバス通信連結部と動力連結部とを有し、その物理的な位置は、制御装置にとっては重要ではなく、例えば筐体110に、または遠隔に位置させられる。それによって、モジュールは、モジュール式と解釈されることが可能であり、それによって再位置決め可能および/または交換可能と解釈されることが可能である。
【0020】
図1に示したクロマトグラフィー装置は、以下のモジュール式モジュールを有する。
1 制御パネル
2 pHモニタ
3 出口弁1~3、ポート1は廃棄のために使用され得る
4 出口弁4~6
5 伝導性モニタ
6 出口弁7~9
7 プレカラム伝導性モニタ
8 プレカラム圧力センサとポストカラム圧力センサとを含むカラム弁
9 ポンプ濯ぎ溶液のためのボトル
10 入口弁A1~A3
11 入口弁A4~A6
12 入口弁B1~B3
13 入口弁B4~B6
14 固定ゴム足部
15 調節可能足部
16 システムポンプA
17 システムポンプB
18 システム圧力モニタを含む流れ制限器
19 混合器モジュール
20 混合器弁
21 空気センサを含む空気トラップ弁
22 空気トラップ
23 オン/オフボタン
24 直列フィルタのための保持体(典型的には、図示されているフィルタカプセル)
25 UVモニタ
【0021】
モジュールは、先に説明したように、省略または再位置決めされ得る。いくつかのモジュールが、他のモジュールで置き換えられ得ること、または、省略されたモジュールによって残された空間が、ブランキング板(例えば、
図4の26を参照)で満たされ得ることは、明らかであろう。必要な場合には、同じ符号のモジュールのうちの2つ以上が使用され得る。
【0022】
装置の流体取り扱いモジュール同士の間、つまり、モジュール1、15、23、および、例えば試料投入容器、緩衝流体容器、クロマトグラフィーカラム、分別捕集器具、および、
図1において示されていないすべてのものを除く先に列記されたすべてのモジュール同士の間の流体相互連結は、この場合には柔軟なプラスチック配管の形態での流体導管を介して行われ、柔軟なプラスチック配管は、例えば、参照により本明細書に組み込まれている、2017年6月28日に出願された関連出願GB1710279において開示されているような継手を用いて、流体取り扱いモジュールの対応するポートに任意の所望の形態で容易に結合および結合解除され得る。
【0023】
図2は、この場合では2つのクロマトグラフィーカラム200および300に連結されたクロマトグラフィー装置の主モジュール式モジュール同士の間の1つの可及的な液体相互連結構成を示しているが、装置は、モジュールと、複数のカラムおよび液体容器などの追加の部品との間の任意の作用可能な相互連結を可能にしている。再構成可能な液体相互連結は鎖線80によって示されている。
【0024】
装置100の中心にはカラム弁8があり、カラム弁8は、この場合には、本出願と同日に出願された、「VALVE UNIT FOR A CHROMATOGRAPHY APPARATUS」という名称の同時係属中の特許出願に開示されているような構造を有し、この特許出願は、参照により本明細書に組み込まれている。弁ユニット8は、一方または両方のカラム200/300においていずれかの方向に(図面では上または下へ)流れを可能にするために、流れの複数の切り替えを提供する。ユーザは、上向き流または下向き流を選択することができる、または、一方もしくは両方のカラムを迂回するように選択することができる。流れは、廃棄へと、または、流路における次の構成要素へと向けられ得る。カラムは直列で連結されてもよい。カラム弁はプレカラム圧力センサとポストカラム圧力センサとを含む。また、弁は、例えば、カラム詰込みとしても知られているカラムの内容物の圧縮を提供するために、カラム200および300の一部である液圧シリンダ210および310の容積を変化させるために使用することができるポート150を有する。この詰込みの処理は自動化され得る。このようなシステムでは、約25~250mmの間のカラム直径がこの方法で詰込み可能になることが見出されている。カラムは、あらかじめ詰め込まれ得るが、例えば、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれているWO2007045491に記載されているような、知られている手順に従って、カラム内の圧力から生じる背圧を測定する弁ユニット8における圧力センサの助けで、濯がれて再び固められてもよい。
【0025】
残りのシステム100は、液体緩衝液を収容する試料を含む選択可能な液体、および洗浄流体を提供するのに適した入口弁群AおよびB、10、11、12および13を備える。
【0026】
入口弁は、2つのシステムポンプを供給し、それらシステムポンプは、一対のピストンと、関連付けられた逆止弁とを各々有し、各々1分間あたり0~600ml(最大1200ml/分)の可変流量を提供し、流れの大きな体積および分解能によって正確な流量を維持させることができる。このような正確性は、幅広い範囲のカラム直径に対して結果の優れた再現性を可能にする。
【0027】
ポンプは、汲み上げられた液体がカラム弁ユニット8へと分岐される前に、システム圧力モニタ、混合器弁20、および混合器モジュール19を含む、流れ制限器18を直列に供給する。
【0028】
同伴された空気は、空気トラップ弁21および空気トラップ通気口22を介して逃げることができ、空気トラップ通気口22は、空気をカラム200および300からも逃がす。空気トラップは、2017年4月5日に出願された係属中の出願GB1713993に従って構築され得、この係属中の出願の開示内容は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0029】
液体は、カラム弁ユニットに到達すると、「VALVE UNIT FOR A CHROMATOGRAPHY APPARATUS」という名称の前記同時係属中の出願に記載されている構成に従って経路決定され得、それによって、真っ直ぐなクロマトグラフ分離過程が1つだけのカラムを使用して実施される単純なバッチ作業から、1つのものが使用のために準備される一方で他のものが分離のために使用される2つ以上のカラムが用いられ得る、より大きな規模の商業的な処理をより厳密に模した処理まで、クロマトグラフィーの数多くのモードが実施することができる。使用されている弁ポートの符号付けは、前記同時係属中の出願において使用されるものと同じであり、ここでは同じ構成を有する。
【0030】
クロマトグラフィーカラムからの産出物は、ポート120を通じて伝導性モニタ5、UV光吸収モニタ25、およびpHモニタ2へと通され、次に、3つのモニタからの信号に依存して適切な保管容器へと向けられ、それによって分離された分別物は適切な容器501において捕集される。カラム洗浄物は廃棄容器500において捕集され得る。
【0031】
図2における一点鎖線は、信号および電力を前述のモジュールと制御装置600との間でやり取りするシステムバス610を表す。信号を制御および監視することは、知られているプロトコルに従って無線で送信され、通信バスの必要性を排除することが、理解されるであろう。クロマトグラフィーシステム100は、表示画面30も含む。制御装置上で実行されるソフトウェアは、使用の容易性のため、画面30に複数のアイコンを表示し、アイコンをドラッグアンドドロップして、ユーザ定義のクロマトグラフィー制御方法を表す一連のアイコンを形成するために、画面上のアイコンのユーザ操作を可能にする。
【0032】
図3、
図4、および
図5は、様々な構成のために配管と連結されたシステムを示しており、
図1で言及したモジュールのうちの一部だけがこれらの図では所定位置に残っており、取り外されたモジュールによって残された開口は、筐体110への偶発的な液体の侵入を防止するために、開口を覆う場所でネジ留めされたブランキング板26で閉じられている。
【0033】
図3では、規制された環境に適するモジュールの構成を伴うシステム100'が、工場において注文で作られている。システムは、装着、キャリブレーション、および性能試験されて運ばれており、GMP環境における作業に適している。
図4は、一部のモジュールが取り外されている1つのシステムを示しており、
図5は、
図1と同様に、より多くのモジュールが所定位置にあるシステム100'''を示しており、典型的な管状の相互連結部80を示している。
【0034】
使用中、モジュールは、システムに対して容易に取り外しまたは追加され、設置は、各モジュールを認識することができるソフトウェアにおけるワンクリックでの作動を通じて完了する。ソフトウェアは、分かりやすいカスタマイズ可能な動作制御と、予防保守とを提供することができる。前述したモジュールに加えて、入力-出力通信モジュールが、アナログおよび/もしくはデジタルの外部センサ、または、自動分別捕集装置などの他の機器とインターフェース接続するために使用され得る。幅広い流量および圧力の範囲は、25~250mmの範囲の内径のカラムにおける40を超えるフォールドのスケーリングを可能にする。この幅広い範囲は、装置を、GMP環境への移行を埋めるのに適したものにする。
【0035】
前述したシステムを用いてのクロマトグラフィーカラムの詰込み(および再詰込み)は、制御パネル1によって開始される制御装置600によって十分に制御可能である。制御装置600は、詰込みの過程および進行の視覚化を助けるために、表示画面30(
図2)を駆動することができる。制御ソフトウェアは、アクセス可能なカラム詰込み記録を含む。そのため、カラム詰込み記録は、トレーサビリティおよび品質確保の目的のために、ソフトウェアから定義、作成、および更新することができる。また、記録は、カラム性能を監視するために、ならびに、使用、分離性能、および詰込み間隔についての統計値を提供するために、使用されてもよい。
【0036】
表示画面は、動作ステップおよび警報を通じて、オペレータにシステムの機能、進行の概略を素早く提供する過程視覚化を提供することができ、各ステップにおいて所望の量の情報だけを提供する。ユーザエラーを最小にするため、作動中の流路は過程視覚化において常に表示される。リアルタイムの変化は、視覚画面上で適切な過程を選択すること、例えば画面上のアイコンを選択またはドラッグすることにより行われ得る。制御のグラフィカルインターフェースが、カラム弁8などの特定の区域に提供される。
【0037】
あらかじめプログラムされたステップが用いられるが、これらは、追加されたカスタマイズのためのユーザによって定められたステップとして変形および保存されてもよい。
【0038】
先に記載および図示されているシステムは、衛生的な環境のために設計されている。例えば、システムシャーシ110は、面の縁において以外に結合部、隙間、または著しい凹面のない平坦または湾曲であり、これは、埃および液体を拭き取ること、ならびに、埃および液体の捕集の機会を減らすことを容易にする。pHモニタ2はインラインキャリブレーションを有し、カラム弁8は進行中のカラム詰込みを提供し、そのため、動作を通じる閉じた流路が用いられてもよく、これは、流体通路における中断が、1つまたは複数のクロマトグラフィーカラム詰込み/再生の段階を通じて、および、分離動作を通じて行われる必要がないことを意味する。
【0039】
本発明は、前述した実施形態によって限定されるものとして理解されるべきではなく、当業者にとっては容易に明らかであるように、添付の特許請求の範囲の範囲内で変化させることができる。
【符号の説明】
【0040】
1~25 モジュール
26 ブランキング板
30 表示画面
80 相互連結部
100、100'、100"、100''' クロマトグラフィー装置、クロマトグラフィーシステム
110 筐体
120 前パネル、前面、ポート
150 ポート
200、300 クロマトグラフィーカラム
210、310 液圧シリンダ
500 廃棄容器
501 容器
600 制御装置
610 システムバス