(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-10
(45)【発行日】2023-08-21
(54)【発明の名称】吸入器用の気化器ユニット、特に電子たばこ製品用の気化器ユニット
(51)【国際特許分類】
A24F 40/44 20200101AFI20230814BHJP
A24F 40/10 20200101ALI20230814BHJP
A24F 40/46 20200101ALI20230814BHJP
A24F 40/42 20200101ALI20230814BHJP
【FI】
A24F40/44
A24F40/10
A24F40/46
A24F40/42
(21)【出願番号】P 2020520586
(86)(22)【出願日】2018-10-11
(86)【国際出願番号】 EP2018077737
(87)【国際公開番号】W WO2019072969
(87)【国際公開日】2019-04-18
【審査請求日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】102017123868.9
(32)【優先日】2017-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】595112018
【氏名又は名称】ケルバー・テクノロジーズ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(72)【発明者】
【氏名】チエウ・ホック・キエム
(72)【発明者】
【氏名】カライジエン・カレン
(72)【発明者】
【氏名】ボーネ・スヴェン
【審査官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/096780(WO,A1)
【文献】特表2013-520982(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105661649(CN,A)
【文献】特表2012-506263(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの流入面(61)と1つの流出面(64)とを有する電気操作可能な1つのヒーター(60)と、前記ヒーター(60)を貫通して前記流入面(61)から前記流出面(64)までそれぞれ延在する複数の微細流路(62)とを備える吸入器用の気化器ユニット又は電子たばこ製品用の気化器ユニットであって、
前記ヒーター(60)は、加熱電圧を印加することによって前記複数の微細流路(62)を通じて移送された液体を気化させるように適合されている当該気化器ユニットにおいて、
多孔性及び/又は毛細管状の1つの芯組織(19)が、前記ヒーター(60)の前記流入面(61)に配置されていて、当該芯組織(19)は、前記ヒーター(60)に平面状に且つ接触するように密接し、前記流入面(61)にある前記複数の微細流路(62)の全体を覆うこと
、
前記ヒーター(60)に対する接触領域内の前記芯組織(19)の複数の孔又は複数の毛細管の平均孔サイズ/毛細管サイズは、前記複数の微細流路(62)の最小の細径よりも少なくとも
一桁小さいこと
、
前記気化器ユニットは、前記ヒーター(60)及び/又は前記芯組織(19)を保持するために1つの貫通開口部(25)を有する1つのキャリア(23)を備えること、及び
前記気化器ユニットは、プレストレスを発生させる少なくとも1つの挟持要素(37)を有し、当該挟持要素(37)は、前記ヒーター(60)をキャリア(23)上に挟持するように配置されていて且つ適合されていることを特徴とする気化器ユニット。
【請求項2】
前記ヒーター(60)に対する接触領域内の前記芯組織(19)の複数の孔又は複数の毛細管の平均孔サイズ/毛細管サイズは、2つの微細流路(62)同士の最小間隔よりも小さく又は少なくとも
一桁小さいことを特徴とする請求項1に記載の気化器ユニット。
【請求項3】
前記芯組織(19)内の前記平均孔サイズ/毛細管サイズは、前記ヒーター(60)までの間隔が減少するにつれて単調に変化することを特徴とする請求項1又は2に記載の気化器ユニット。
【請求項4】
前記芯組織(19)内の前記平均孔サイズ/毛細管サイズは、前記ヒーター(60)までの間隔が減少するにつれて、単調に減少することを特徴とする請求項3に記載の気化器ユニット。
【請求項5】
前記芯組織(19)は、1つ又は複数の多孔性の層及び/又は毛細管状の層を有し、当該層の複数の孔又は複数の毛細管はそれぞれ、一定の平均孔サイズ/毛細管サイズを有することを特徴とする請求項3又は4に記載の気化器ユニット。
【請求項6】
前記芯組織(19)は、前記平均孔サイズ/毛細管サイズが前記ヒーターに向かって徐々に変化する又は徐々に減少する多孔性の層及び/又は毛細管状の層を有することを特徴とする請求項3又は4に記載の気化器ユニット。
【請求項7】
前記芯組織(19)の移送速度は、前記ヒーター(60)の最大気化速度と少なくとも同じ大きさであることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の気化器ユニット。
【請求項8】
前記芯組織は、
材料である綿、セルロース、アセテート、ガラス繊維織物、ガラス繊維セラミック、焼結セラミック、セラミックペーパー、アルミノシリケートペーパー、発泡金属、海綿状金属から成る材料群
又は前述の材料のうちの2つ以上の材料から成る複合構造のうちの1つの材料又は複数の材料から構成されることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の気化器ユニット。
【請求項9】
前記芯組織(19)は、マイクロガラス繊維から成るフィルター層(55)を有することを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の気化器ユニット。
【請求項10】
前記芯組織(19)は、繊維ペーパー層(56)を有することを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の気化器ユニット。
【請求項11】
前記芯組織(19)は、セラミック芯層(57)を有することを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の気化器ユニット。
【請求項12】
前記芯組織(19)は、油灯用芯層(58)を有することを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の気化器ユニット。
【請求項13】
前記気化器ユニットは、前記芯組織(19)を保持するために、1つの貫通開口部(27)を有する1つの保持要素(26)を備えることを特徴とする請求項1~
12のいずれか1項に記載の気化器ユニット。
【請求項14】
前記ヒーター(60)用の加熱電圧Uhの周波数及び/又はデューティー比が、前記複数の微細流路(62)内で発生する気泡の振動の固有振動及び/又は固有周波数に適合されていることを特徴とする請求項1~
13のいずれか1項に記載の気化器ユニット。
【請求項15】
前記加熱電圧Uhの周波数及び/又はデューティー比は、気化すべき前記液体の混合比に応じて最適に選択されていることを特徴とする請求項
14に記載の気化器ユニット。
【請求項16】
前記加熱電圧Uhの周波数は、20Hz~200Hzの範囲内にあることを特徴とする請求項
14又は
15に記載の気化器ユニット。
【請求項17】
前記ヒーター(60)用の加熱電圧Uhによって発生した最大加熱電流は、7A未満であることを特徴とする請求項1~
16のいずれか1項に記載の気化器ユニット。
【請求項18】
少なくとも2つの挟持要素(37)が、前記ヒーター(60)の相対向する両側に設けられていることを特徴とする請求項
17に記載の気化器ユニット。
【請求項19】
前記少なくとも1つの挟持要素(37)は、前記ヒーター(60)に線状に接触する1つの挟持クランプ(38)を有することを特徴とする請求項
17又は
18に記載の気化器ユニット。
【請求項20】
前記少なくとも1つの挟持要素(37)は、前記流出面に対して平行に横方向に、及び/又は流出面(64)に向かって直角方向に、及び/又は前記キャリア(23)の角溝内で前記ヒーター(60)を挟持することを特徴とする請求項
17~
19のいずれか1項に記載の気化器ユニット。
【請求項21】
前記少なくとも1つの挟持要素(37)は、前記ヒーター(60)に電気接触し給電するための電極として使用されることを特徴とする請求項
17~
19のいずれか1項に記載の気化器ユニット。
【請求項22】
前記キャリア(23)の孔(45)を貫通して延在する少なくとも1つの導電体(12)が、前記挟持要素(37)に接触するために設けられていることを特徴とする請求項
21に記載の気化器ユニット。
【請求項23】
前記少なくとも1つの導電体(12)は、前記キャリア(23)の、前記ヒーター(60)に面しない側に離間して配置されている1つのプリント基板(26)に接触することを特徴とする請求項
22に記載の気化器ユニット。
【請求項24】
前記キャリア(23)は、プリント基板として形成されていることを特徴とする請求項
17~
23のいずれか1項に記載の気化器ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気操作可能な、特に扁平な、1つの流入面と1つの流出面とを有する1つのヒーターと、当該ヒーターを貫通して当該流入面から当該流出面までそれぞれ延在する複数の微細流路とを備える吸入器用の気化器ユニット、特に電子たばこ製品用の気化器ユニットに関する。この場合、当該ヒーターは、加熱電圧を印加することによって当該複数の微細流路を通じて移送された液体を気化させるように適合されている。
【背景技術】
【0002】
従来の技術では、一般に、当該液体は、芯を用いて毛細管現象によりヒーターに供給される。当該使用された芯は、移送方向に沿って理想的には一定の気化速度を呈する。当該移送速度が、要求された気化速度よりも小さいと、当該芯は、当該ヒーターのすぐ近くで乾燥する。空焚き吸引(いわゆる、ドライパフ)が発生し、有害物質が放出される。
【0003】
扁平なヒーターの場合、当該ヒーターの表面にわたる一定の温度分布、すなわち均一で、有害物質を放出しない気化を保証するため、当該ヒーターは、それぞれの時間とそれぞれの場所とに対して芯によって可能な限り均一に湿潤されなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、ヒーターの流入面での気泡の発生及び乾燥の進行に起因する問題が回避される気化器ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、独立請求項に記載の特徴によって解決される。
【0006】
ヒーターの流入領域内での蒸気気泡の発生(Blasenbildung)が、本発明の芯組織によって阻止され得る。当該領域内では、当該ヒーターの微細流路内で発生する蒸気粒子(Blaeschen)が、流入面から上流に向かって拡散できず、当該ヒーターの流入領域の乾燥が進行せず、したがって気化器の機能が損なわれない。当該芯組織の領域内で発生し得る蒸気粒子が、この芯組織の孔又は毛細管内で捕捉されていて、大きい蒸気気泡に成長し得ない。この場合、当該芯組織が、当該ヒーターの流入面に平面状に且つ接触して密接し、全ての微細流路を当該流入面で覆い、したがって当該微細流路内で発生する個々の蒸気粒子が、間違った方向に、すなわち当該微細流路の流入面から液体タンクに向かって流出できないことが重要である。むしろ、本発明の芯組織による流入面の遮断は、当該微細流路内で発生する当該微細流路内の蒸気粒子が、流出面に向かって移動することに寄与する。当該蒸気粒子は、この流出面で当該微細流路から流出され、したがって問題はもはや発生し得ない。
【0007】
液体が、ヒーターの流入面に密接する芯組織の一部に均一に供給されるように、当該ヒーターからさらに離れていて、液体貯蔵部の近くに存在する当該芯組織の領域内よりも緩やかに且つ均一に、当該液体を当該ヒーターの流入面に密接する芯組織の一部で移送させることが有益である。このため、当該芯領域は、好ましくは、当該ヒーターの方向に大きい勾配から小さい勾配になる孔サイズ/毛細管サイズの勾配を有する。その結果、当該芯組織に沿った移送速度が、当該ヒーターの方向に向かって有益に減少する。当該液体の表面張力及び粘度が一定の場合、当該芯組織の移送速度は、当該芯材量の疎水性度及び孔サイズ/毛細管サイズだけに依存する。
【0008】
芯組織の多孔性又は毛細管状の材料中の複数の孔又は複数の毛細管状の平均サイズは、好ましくは所定の規則に従う。したがって、ヒーターに対する接触領域内の当該芯組織の複数の孔又は複数の毛細管の平均孔サイズ/毛細管サイズは、好ましくは最小であり、特に好ましくは、2つの微細流路同士の最小間隔よりも、好ましくは少なくとも一桁小さい。こうして、1つの微細流路内で発生する気泡が、当該ヒーターの流入面で隣接した1つの微細流路内に侵入又は浸入し得ることが有益に阻止される。換言すれば、説明されている特徴によって、個々の微細流路が、当該流入領域内の液体を介して互いに繋がることが阻止される。さもなければ、個々の微細流路の気化状態が、相互に作用する複数の微細流路によって安定し得ない。さらに、当該ヒーターの流入面で発生する当該芯組織内の大きい蒸気気泡が、複数の微細流路の複数の流入開口部を同時に塞ぎ得る。これにより、これらの微細流路が過熱し得る。
【0009】
同時に好ましくは、ヒーターに対する接触領域内の芯組織の複数の孔又は複数の毛細管の平均孔サイズ/毛細管サイズは、複数の微細流路の最小の細径(又は水力直径)よりも小さく、特に少なくとも一桁小さい。こうして、当該複数の微細流路内で発生する気泡が、当該複数の孔又は複数の毛細管を通じて当該芯組織の内部に不利に浸入し得ることが効果的に阻止される。さらに、当該芯組織の内部では、起こり得る最大の気泡サイズが、好ましくは複数の孔のサイズ又は複数の毛細管のサイズに限定される。
【0010】
特に好適な実施の形態では、芯組織にわたる平均孔サイズ/毛細管サイズは、一定ではなくて、ヒーターまでの間隔が減少するにつれて、特に減少する(特に単調に減少する)。この場合、当該孔サイズ/毛細管サイズの単調な減少は、当該孔サイズ/毛細管サイズが部分的に同じままであることを含むが、どんな場合でも、当該ヒーターまでの間隔が減少するにつれて増大しない。
【0011】
液体は、ヒーターの下方の当該液体を加熱することによって芯組織から微細流路内に移動する。したがって、当該加熱は、当該加熱に関連して、さらに当該加熱によって強まった毛細管力によって当該液体の表面張力を低下させる。当該液体が、当該ヒーター内で蒸発すると、圧力差及び濃度変化が、当該ヒーターの流出面の方向に下り勾配になる。当該圧力差は、個々の微細流路内の毛細管圧力を増大させる。その結果、同様に、蒸発した液体は、隣接した微細流路に影響を及ぼすことなしに、当該芯組織だけから気化し得る。
【0012】
ここでは、平均孔サイズ/毛細管サイズは、対応する複数の孔又は複数の毛細管にわたって平均されたことを意味する。平均孔サイズは、対応する複数の孔と同じ体積をそれぞれ有する複数の球の複数の直径に対する平均値を意味する。平均毛細管サイズは、対応する複数の毛細管と同じ長さ及び同じ体積をそれぞれ有する複数の円柱の複数の直径に対する平均値を意味する。
【0013】
上記の芯組織は、複数の方式で有益に構成され得る。好適な実施の形態では、芯組織は、不連続に又は多段式に構成されてもよく、それぞれ1つの一定の平均孔サイズ/毛細管サイズを有する、互いに密接する複数の孔層及び/又は毛細管層を有してもよい。この実施の形態は、製造技術的に非常に簡単に製造可能である。
【0014】
別の実施の形態では、芯組織は、平均孔サイズ/毛細管サイズがヒーターまでの間隔に依存して徐々に変化する構成要素として構成され得る。それ故に、このバリエーションでは、孔サイズ/毛細管サイズが当該ヒーターの方向に徐々に且つ単調に変化する、特に減少するただ1つの層が存在する。このことには、部品数が減少するという利点がある。
【0015】
上記の複数の実施の形態の混合形も可能である。例えば、一定で小さい平均孔サイズ/毛細管サイズを有する1つの層が、ヒーターの流入面の範囲内に設けられ、徐々に又は連続して増大する孔サイズ/毛細管サイズを有する1つの層が、液体タンクに向かって当該一定で小さい平均孔サイズ/毛細管サイズを有する1つの層に密接して設けられてもよい。
【0016】
好ましくは、当該芯組織の移送速度は、当該ヒーターの最大気化速度と少なくとも同じ速度である。したがって、常に、液体の十分な移送が保証される。その結果、当該ヒーターが、不利に空になることが阻止される。この場合、当該気化速度は、当該ヒーターの幾何構造(容積対表面)と気化器の出力とによって決定される。
【0017】
したがって、毛細管状の芯組織の全体の容積を通じて液体をヒーターに均一に移送するように、当該芯組織は適合されている。当該芯組織の移送速度が、少なくとも当該ヒーターの気化速度を制御できるように、当該移送速度と当該気化速度とが互いに調整されている。こうして、非常に少ない液体が、気化工程中に当該ヒーターに流入することによって、このヒーターが乾燥することが阻止される。
【0018】
好ましくは、当該芯組織の全部又は一部が、綿、セルロース、アセテート、ガラス繊維織物、ガラス繊維セラミック、焼結セラミック、セラミックペーパー、アルミノシリケートペーパー、発泡金属、海綿状金属、耐熱性で、多孔性及び/又は毛細管状の、適切な移送速度を呈するその他の物質、及び/又は前述の材料のうちの2つ以上の材料から成る複合構造から構成され得る。
【0019】
特に、当該ヒーター用の加熱電圧Uhの周波数及び/又はデューティー比が、当該複数の微細流路内で発生する気泡の振動の固有振動及び/又は固有周波数に適合されている。このことは、本発明の場合のように、液体が芯組織を用いて毛細管現象による受動的な供給で気化される一方で、当該液体が能動的な供給によって気化されるという認識に基づいている。蒸気を均一に有害物質なしに生成して、当該ヒーターに向かう液体の移送速度に特に依存する気化を最適にするため、当該移送速度が、微細流路内でのバルク沸騰中に発生する気泡の固有振動に適合されているように、当該ヒーター用の加熱電圧が、好ましくはパルス制御される。
【0020】
当該加熱電圧Uhの周波数及び/又はデューティー比は、気化すべき当該液体の混合比に応じて最適に選択されている。何故なら、問題となる液体及び液体混合物の気泡振動の固有周波数が変化し得るからである。
【0021】
しかし、20Hz~200Hzの範囲内、好ましくは25Hz~100Hzの範囲内、さらにいっそう好ましくは30Hz~70Hzの範囲内で、例えば50Hzの好適な加熱周波数が、問題となる液体及び液体混合物の大部分を網羅することが分かっている。
【0022】
また、好ましくは、過熱を回避しつつ濃縮蒸気を保証するためには、加熱電圧Uhによって発生した最大加熱電流が、好ましくは7A未満にしなければならない。
【0023】
特に、プレストレスを発生させる少なくとも1つの挟持要素が設けられている。当該挟持要素は、当該ヒーターを当該キャリア上に挟持するように配置されていて且つ適合されている。当該ヒーターは、当該挟持要素によって当該キャリア上に固定挟持され、こうして気化器ユニット内に確実に且つ不変に保持される。
【0024】
同時に、当該少なくとも1つの挟持要素は、当該ヒーターに電気接触し給電するための電極として使用される。この場合、当該ヒーターに電気接触するための独立した電極は不要である。
【0025】
特に、少なくとも2つの挟持要素が、当該ヒーターの相対向する両側に設けられている。このことは、非常に高い機械的安定性を比較的低いコストで可能にする。好適な実施の形態では、当該少なくとも1つの挟持要素は、当該ヒーターに線状に接触する1つの挟持クランプを有する。当該挟持クランプと当該ヒーターとの間の線接触に起因して、当該挟持要素と当該ヒーターとが、良好に電気接続すると同時に、面接触がない故に、当該挟持要素と当該ヒーターとが、理想的に熱絶縁される。
【0026】
当該少なくとも1つの挟持要素は、当該流出面に対して平行に横方向に、及び/又は流出面に向かって直角方向に、及び/又は当該キャリアの角溝内で当該ヒーターを挟持できる。最後に言及した可能性は、2つの接触線を当該挟持クランプと当該ヒーターとの間に含む。その結果、当該電気接触はさらに改善される。1つの挟持要素が、1つよりも多い挟持クランプを有してもよく、特に、これらの挟持クランプのうちの任意の2つの挟持クランプ又は全ての3つの挟持クランプを有してもよい。
【0027】
好適な実施の形態では、当該キャリアの孔を貫通して延在する少なくとも1つの導電体が、当該挟持要素に接触するために設けられ得る。当該少なくとも1つの導電体は、当該キャリアの、当該ヒーターに面しない側に離間して配置されている、特に1つのプリント基板に接触する。しかし、好ましくは、キャリア自体が、プリント基板として形成されていることも可能である。このことには、部品の数を削減し、したがって製造コストを減少させる。
【0028】
したがって、好適な気化器ユニットが提唱される。当該気化器ユニットでは、特に扁平なヒーターが、例えば相対向する両側で線状に挟持され、これと同時に電気接触される。挟持圧力が、気化圧力を調整する弾性挟持によって当該ヒーターの下にある芯組織に印加される。当該芯組織は、1つのキャリアの1つの貫通開口部内に保持されていて、液体貯蔵部が、このキャリアの下に結合されている。ヒーターと芯との間の空気の閉じ込めが回避されるように、当該挟持は実行される。
【0029】
特に扁平で機械的に安定なヒーターの構造が、このヒーターの下にある芯組織に対する均一で平坦な押圧、すなわち均一な液体供給を促進する。当該芯組織は、好ましくはキャリアの上方で隆起して終端している。これにより、当該密接しているヒーターは、周囲にさらに機械的に接触せず、伝熱ブリッジが発生しない。
【0030】
必要な最大加熱電流が、最小限の接触面で通電され得るように、当該電気接触は適用されている。当該均一な接触は、ヒーターのそれぞれの側にわたって均一に形成されている。その結果、当該ヒーターの境界領域内の不規則な加熱を引き起こす不正確な接触による無駄な遷移接触が発生しない。金属とシリコンとの接触部分が、共融混合物の生成によるショットキーにしたがったダイオード効果も回避する。その結果、荷電キャリア輸送が、好ましくはオームの法則に従う。
【0031】
以下に、本発明を好適な実施の形態に基づいて添付図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図2】本発明の気化器ユニットの概略横断面図である。
【
図3】本発明の気化器ユニットの投影横断面図である。
【
図4】
図2による気化器ユニットの概略拡大図である。
【
図5】1つの実施の形態における芯組織の平均孔サイズ/毛細管サイズとヒーターまでの間隔との間の関数関係を示すためのグラフである。
【
図6】1つの実施の形態における芯組織の平均孔サイズ/毛細管サイズとヒーターまでの間隔との間の関数関係を示すためのグラフである。
【
図7】本発明の実施の形態における気化器ユニットの概略横断面図である。
【
図8】気化器ユニットのキャリアのヒーター側の図である。
【
図9】気化器ユニットのキャリアの液体を移送する反対側の図である。
【
図10】本発明の別の実施の形態における気化器ユニットの横断面である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
吸入器10、ここでは電子たばこ製品は、空気通路30が少なくとも1つの空気流入口31とたばこ製品10のマウスエンド32にある空気流出口24との間に設けられているハウジング11を有する。この場合、たばこ製品10のマウスエンド32は、喫煙者が喫煙の目的で吸引し、これによりたばこ製品10が負圧にされ、気流34が空気通路30内で発生する端部を意味する。
【0034】
たばこ製品10は、好ましくは基幹部16と消耗ユニット17とから成る。この消耗ユニット17は、気化器ユニット20と液体タンク18とを有し、特に交換可能なカートリッジとして構成されている。流入口31を通じて吸引された空気が、空気通路30内で少なくとも1つの気化器ユニット20に向けて又は当該気化器ユニット20に沿って送られる。気化器ユニット20は、少なくとも1つの液体50が貯蔵されている少なくとも1つの液体タンク18に接続されているか又は接続可能である。気化器ユニット20は、この気化器ユニット20の液体タンク18から供給される液体50を気化させ、当該気化した液体をエアロゾル/蒸気として流出面64で気流34中に混入する。液体タンク18の有益な容積は、0.1ml~5ml、特に0.5ml~3ml、さらに特に0.7ml~2mlの範囲内にあるか又は1.5mlである。
【0035】
さらに、電子たばこ10は、蓄電部14と電子制御機構部15とを有する。一般に、蓄電部14は、基幹部16内に配置されていて、特に、使い捨ての電気化学電池又は再使用可能な電気化学電池、例えばリチウムイオン電池でもよい。電子制御機構部15は、デジタルデータ処理装置、特にマイクロプロセッサ及び/又はマイクロコントローラを(
図1に示されたような)基幹部16及び/又は消耗ユニット17内に有する。
【0036】
好ましくはセンサ、例えば圧力スイッチ又は流れスイッチが、ハウジング11内に配置されている。この場合、制御機構部15は、当該センサから出力されるセンサ信号に基づいて、喫煙者が喫煙するためにたばこ製品10のマウスエンド32で吸引することを確認できる。この場合、液体タンク18からの液体50をエアロゾル/蒸気として気流34中に混入するため、制御機構部15は、気化器ユニット20を制御する。
【0037】
液体タンク18内に貯蔵された配量すべき液体50は、例えば、1,2-プロピレングリコール、グリセリン、水、少なくとも1つのアロマ(フレーバー)及び/又は少なくとも1つの作用物質、特にニコチンから成る混合物である。
【0038】
消耗ユニット又はカートリッジ17は、当該消耗ユニット又はカートリッジ17に関する情報又はパラメータを記憶するために、好ましくは不揮発性のデータメモリを有する。当該データメモリは、電子制御機構部15の一部でもよい。当該データメモリ内には、好ましくは、液体タンク18内に貯蔵された液体の組成に関する情報、プロセスプロファイル、特に出力制御/温度制御に関する情報、状態監視又はシステム検査、例えば漏れ試験に関するデータ、コピープロテクション及び改竄保護に関するデータ、消耗ユニット又はカートリッジ17を一義的に識別するためのID(識別情報)、シリアルナンバー、製造年月日及び/又は使用期限、及び/又は、吸引回数(喫煙者による喫煙の回数)若しくは使用期間が記憶されている。当該データメモリは、好ましくは、接触子及び/又は導線を介して制御機構部15に接続されているか又は接続可能である。
【0039】
本発明の好適な実施の形態が、
図2に示されている。気化器ユニット20は、ブロック状の、好ましくは一体構造の、導電材料、好ましくはシリコン、ドープされたセラミック、金属セラミック、フィルタセラミック、半導体、特にゲルマニウム、グラファイト、半金属及び/又は金属から成るヒーター60を有する。ヒーター60の全体が、導電材料から成る必要はない。例えば、ヒーター60の表面が、導電性に、例えば金属で被覆されていることで十分である。この場合、全ての表面が被覆される必要はなく、例えば、導電路が、非導電性の基体上に設けられてもよい。ヒーター60の全体が加熱することは必ずしも必要でない。例えば、流出面64の領域内のヒーター60の一部又は加熱層が加熱するだけで十分である。
【0040】
ヒーター60は、液体を導くようにこのヒーター60の流入面61を流出面64に接続する複数の微細流路62を有する。流入面61は、液体を導くように芯組織19を介して液体タンク18に接続されている。芯組織19は、毛細管力によって液体を液体タンク18からヒーター60に受動的に送る役割をする。
【0041】
微細流路62の平均直径は、特に5μm~200μmの範囲内にあり、さらに好ましくは30μm~150μmの範囲内にあり、いっそうさらに好ましくは50μm~100μmの範囲内にある。これらの寸法に起因して、毛細管作用が有益に発生する。その結果、微細流路62が、液体で充填されるまで、流入面61から微細流路62内に浸入する液体が、微細流路62を通じて上に向かって上昇する。ヒーター60の多孔率と呼ばれ得るヒーター60に対する微細流路62の体積比は、例えば、10%~50%の範囲内にあり、好ましくは15%~40%の範囲内にあり、さらに好ましくは20%~30%の範囲内にあり、例えば25%である。微細流路62を有するヒーター60の面の流路長さは、例えば0.5mm~3mmの範囲内にある。微細流路62を有するヒーター60の面の寸法は、例えば、0.95mm×1.75mm、又は1.9mm×1.75mm又は1.9mm×0.75mmであり得る。ヒーター60の辺の長さは、例えば0.5mm~5mmの範囲内にあり、好ましくは0.75mm~4mmの範囲内にあり、さらに好ましくは1mm~3mmの範囲内にあり得る。ヒーター60の面積(チップサイズ)は、例えば1mm×3mm又は2mm×3mmであり得る。ヒーター60の幅b(
図10参照)は、好ましくは1mm~5mmの範囲内にあり、さらに好ましくは2mm~4mmの範囲内にあり、例えば3mmである。ヒーター60の高さh(
図10参照)は、好ましくは0.05mm~1mmの範囲内にあり、さらに好ましくは0.1mm~0.75mmの範囲内にあり、いっそうさらに好ましくは0.2mm~0.5mmの範囲内にあり、例えば0.3mmである。
【0042】
微細流路62の数は、好ましくは4~1000の範囲内にある。こうして、微細流路62内への熱入力が最適化され得て、保証された高い気化出力と十分に大きい蒸気流出面とが実現され得る。
【0043】
複数の微細流路62が、正方形、長方形、多角形、円形、楕円形又はその他の別の形のアレイを成して配置されている。当該アレイは、s個の列とz個の行とを有するマトリクスとして構成され得る。この場合、sは、好ましくは2~50の範囲内にあり、さらに好ましくは3~30の範囲内にあり、及び/又は、zは、好ましくは2~50の範囲内にあり、さらに好ましくは3~30の範囲内にある。こうして、保証された高い気化出力を有する効率的に且つ簡単に製造可能な複数の微細流路62の配置が実現され得る。
【0044】
これらの微細流路62の横断面は、正方形、長方形、多角形、円形、楕円形又はその他の別の形でもよく、及び/又は長手方向に部分的に変化してもよく、特に大きくしてもよく、小さくしてもよく又は一定のままでもよい。
【0045】
1つ又はそれぞれの微細流路62の長さは、好ましくは100μm~1000μmの範囲内にあり、さらに好ましくは150μm~750μmの範囲内にあり、いっそうさらに好ましくは180μm~500μmの範囲内にあり、例えば300μmである。こうして、最適な液体吸収及び配分(Portionsbildung)が、ヒーター60から微細流路62内への十分に良好な熱入力で実現され得る。
【0046】
2つの微細流路62の間隔は、特に1つの微細流路62の細径の1.3倍である。この場合、当該間隔は、2つの微細流路62の中心軸線同士の間隔である。当該間隔は、1つの微細流路62の細径の好ましくは1.5~5倍でもよく、さらに好ましくは2~4倍でもよい。こうして、当該複数の微細流路内への最適な熱入力と、当該複数の微細流路の十分に安定な配置及び壁厚とが保証され得る。
【0047】
上記の特徴に起因して、ヒーター60は、ブロックヒーター(Volumenheizer)とも呼ばれ得る。
【0048】
気化器ユニット20は、特に制御機構部15によって制御可能な加熱電圧源71を有する。当該加熱電圧源71は、ヒーター60の対向する両面の複数の電極72を介してこのヒーター60に接続されている。その結果、加熱電圧源71から発生した電圧Uhが、電流をヒーター60に通電させる。導電性のヒーター60のオーミック抵抗に起因して、当該通電は、ヒーター60を加熱し、それ故に複数の微細流路62内に含まれている液体を気化させる。したがって、ヒーター60は、気化器として作用する。こうして発生した蒸気/エアロゾルが、これらの微細流路62から流出面64に向かって放出し、気流34が混入される(
図1参照)。喫煙者の吸引によって引き起こされた空気通路30を通じた気流34の確認時に、制御機構部15が、加熱電圧源71をより正確に制御する。この場合、自動的な加熱によって、これらの微細流路62内に存在する液体が、蒸気/エアロゾルとしてこれらの微細流路62から放出される。
【0049】
ステップごとの気化が、喫煙者によって監視されないにもかかわらず、エアロゾルが、ほぼ均一に、心地よい風味で、繰り返し可能に、正確に生成されることが保証されるように、液体の個々の部分の個々の成分の温度及び/又は気化が異なる場合でも、個々の気化ステップの期間が、短く保持され得て、及び/又は、当該個々の気化ステップが、1つの制御周波数によって制御され得る。特に、好ましくは最初に、液体のより容易に沸騰する成分が、第1気化期間中に第1温度Aで気化され、次いで、当該液体のより高温で沸騰する成分が、第2気化期間中に温度Aを超える第2温度Bで気化される。
【0050】
特に、使用される液体混合物に適合された電圧曲線Uh(t)が、吸入器10のデータメモリ内に記憶されている。当該記憶は、電圧曲線Uh(t)を使用される液体に適合されるように予め設定することを可能にする。その結果、ヒーター60の加熱温度と、毛細管状の微細流路62の温度とが、それぞれの液体の既知の気化特性にしたがって気化工程にわたって時間制御され得る。これにより、最適な気化結果が入手可能である。気化温度は、特に100℃~400℃、さらに好ましくは150℃~350℃、いっそうさらに好ましくは190℃~290℃の範囲内にある。
【0051】
多孔性で及び/又は毛細管状で液体透過性の芯組織19が、ヒーター60の流入面61に配置されている。
図2及び
図3で分かるように、芯組織19は、ヒーター60の流入面61に平面状に接触し、流入面側で全ての微細流路62を覆う。当該芯組織は、ヒーター60に対向する面で液体タンク18に液体透過性に接合されている。
図1及び2に示された芯組織19に対する液体タンク18の直接の接合は、一例に過ぎない。特に、1つの液体インターフェース及び/又は複数の液体管路が、液体タンク18と芯組織19との間に設けられてもよい。それ故に、液体タンク18は、芯組織19から離間して配置されてもよい。液体タンク18の寸法が、芯組織19よりも大きくできる。芯組織19は、例えば、液体タンク18のハウジングの開口部内に嵌入されてもよい。複数の気化器ユニット20が、1つの液体タンク18に割り当てられてもよい。
【0052】
微細流路62の無流通と、このことから発生する問題とを阻止するため、芯組織19は、多孔性及び/又は毛細管状の材料から成る。当該材料は、ヒーター60から気化する液体を、毛細管作用によって液体タンク18からヒーター60に十分な量で受動的に送ることができる。
【0053】
芯組織19に通流する液体の望ましくない加熱を回避するため、芯組織19は、好ましくは絶縁性材料から成る。
【0054】
芯組織19は、好ましくは、材料である綿、セルロース、アセテート、ガラス繊維織物、ガラス繊維セラミック、焼結セラミック、セラミックペーパー、アルミノシリケートペーパー、発泡金属、海綿状金属、適切な移送速度を呈するその他の耐熱性の材料、多孔性の材料及び/又は毛細管状の材料のうちの1つ以上の材料、又は前述の材料のうちの2つ以上の材料から成る複合構造から構成される。実際の好適な実施の形態では、芯組織19は、少なくとも1つのセラミックペーパー及び/又は多孔性セラミックを含み得る。芯組織19の体積は、好ましくは1mm3~10mm3の範囲内にあり、さらに好ましくは2mm3~8mm3の範囲内にあり、さらにいっそう好ましくは3mm3~7mm3の範囲内にあり、例えば5mm3である。
【0055】
芯組織19が、伝導性の材料から成る場合(このことは排除されない)、好ましくは、電気及び/又は熱絶縁材料、例えばガラス、セラミック又は合成樹脂から成る絶縁層が、この絶縁層にわたって延在し、複数の微細流路62に対応する複数の貫通開口部を伴って芯組織19とヒーター60との間に設けられている。
【0056】
芯組織19の材料中の複数の孔又は複数の毛細管のサイズは、好ましくは所定の規則に従う。したがって、ヒーター60に対する接触領域35,61内の芯組織19の複数の孔又は複数の毛細管の平均孔サイズ/毛細管サイズDwは、好ましくは最小であり、すなわちDw=Pminであり(
図5,6参照)、及び/又は好ましくは、2つの微細流路62同士の最小間隔Dpよりも、好ましくは少なくとも
2倍、さらに好ましくは少なくとも
5倍小さく、すなわちDw≪Dpである(
図4)。さらに、ヒーター60に対する接触領域35,61内の芯組織19の複数の孔又は複数の毛細管の平均孔サイズ/毛細管サイズDwは、好ましくは、1つの微細流路62の最小の細径よりも、好ましくは少なくとも
2倍、さらに好ましくは少なくとも
5倍小さく、すなわちDw≪Dpwである。
【0057】
ヒーター60から芯組織19及び/又は液体タンク18内への気泡を含む液体の望まない逆流を阻止するため、ヒーター60に対する接触領域35,61内の芯組織19は、液体を均一に分散させ、耐熱性を呈し、当該芯組織19の比較的小さい孔及び/又は細い毛細管によって或る種の逆止弁を形成する役割をする。
【0058】
図2による実施の形態では、芯組織19は、例えば2つの平板層35,36、すなわちヒーター60の流入面61に平面状に密接し、この流入面61に接触する芯層35と、この芯層35に隣接する、液体タンク18に液体透過性に接合されていて且つより離れた芯層と呼ばれ得る芯層36とを有する。
【0059】
接触層35は、ほぼ一定の孔サイズ/毛細管サイズ分布を呈し、2つの微細流路62同士の最小間隔Dpよりも著しく小さく、1つの微細流路62の最小の細径Dpwよりも著しく小さい(Dw≪Dp,Dpw)ほぼ一定の平均孔サイズ/毛細管サイズDwを有する。
【0060】
より離れた芯層36は、ほぼ一定の孔サイズ/毛細管サイズ分布を呈し、接触層35の平均孔サイズ/毛細管サイズDwよりも著しく大きく(Dw′>Dw)、しかし好ましくはDp及び/又はDpwよりも依然として小さい(Dw′<Dp,Dpw)ほぼ一定の平均孔サイズ/毛細管サイズDw′を有する。
【0061】
図2及び4による芯組織19の積層構造35,36における平均孔サイズ/毛細管サイズとヒーター60に対する間隔dとの間の上記の関係は、
図6によるグラフに示されている。
【0062】
好適な実際の実施の形態では、接触層35は、例えば繊維ペーパー層若しくはセラミックペーパー層でもよく、及び/又は、層36は、多孔性のセラミックでもよい。
【0063】
また、基本的に、微細流路62内で発生する気泡が、接触層35、すなわち芯層内に浸入できず、隣接した微細流路62内にも飛び移り得ないことが、
図4から分かる。
【0064】
当然に、芯組織19は、2つよりも多い芯層35,36,…を有してもよい。2つよりも多い芯層35,36,…の場合でも、当該平均孔サイズ/毛細管サイズは、ヒーター60に対する間隔が減少するにつれて、好ましくは単調に(すなわち、芯層から芯層にかけて)より小さくなるか、及び/又は同じままであり、それ故にどんな場合でも減少しない。
【0065】
図3による実施の形態では、芯組織19は、ヒーター60に対する間隔dが減少するにつれて、当該平均孔サイズ/毛細管サイズが単調に小さくなる1つの層だけから成る。
図3による単層構造における平均孔サイズ/毛細管サイズとヒーター60に対する間隔dとの間の関係は、
図5によるグラフに示されている。
【0066】
全ての実施の形態では、希望した孔サイズ/毛細管サイズの勾配が、最適に調整され得て、ヒーター60に向かう液体の流れが、緩やかになり且つ均一にされる。
【0067】
ヒーター60に対する間隔が減少するにつれて、芯組織19内の平均孔サイズ/毛細管サイズが、当該ヒーターの流入面61に対して垂直方向に、すなわちヒーター60と芯組織19との間の接触面に対して垂直方向に、又は微細流路62の延在方向に対して平行に図示されたように減少する。これに対して、ヒーター60に対して同じ間隔dを成す1つの層内では、液体が、ヒーター60の全ての微細流路62に均一に供給されるように、芯組織19内の平均孔サイズ/毛細管サイズは、好ましくは一定である。
【0068】
好ましくは、微細流路62の長手軸が、層19,35,36に対して直角に配置されているか、又は任意の積層に対して共通に配置されている。こうして、ヒーター60から微細流路62内への最適な熱入力が実現され得る。
【0069】
好ましくは1000μm未満、さらに好ましくは750μm、さらにいっそう好ましくは500μm未満の層厚を有するヒーター60が、薄膜技術によって、好ましくは1つのウェハの複数の部分から製造され得る。ヒーター60の表面は、好ましくは親水性でもよい。ヒーター60の流出面64は、好ましくは微細構造化されてもよく、又は複数の微細溝を有してもよい。
【0070】
液体が、好ましくは1μl~10μl、さらに好ましくは2μl~10μl、さらにいっそう好ましくは3μl~5μlの範囲内で、一般には4μlで喫煙者の吸引ごとに添加されるように、気化器ユニット20は調整されている。好ましくは、気化器ユニット20は、吸引ごとの液体量/蒸気量に関して、すなわち1秒~3秒の吸引期間ごとの液体量/蒸気量に関して調整可能でもよい。
【0071】
気化器ユニット20の好適な実施の形態が、
図7~10に示されている。
【0072】
図7による実施の形態では、芯組織19は、2つよりも多い、ここでは4つの層を有する。特に1つ以上のマイクロガラス繊維層から成り得るフィルター層55が、ヒーター60に直接に密接して且つこのヒーター60に平面状に接触して配置されている。繊維ペーパー層56が、当該フィルター層55に平面状に密接して配置されてもよい。好ましくは、複数の芯層57,58、例えばセラミック芯層57及び油灯用芯層58、すなわち従来では油灯の芯用に使用されるガラス繊維の芯材料が、当該繊維ペーパー層56に平面状に密接して設けられている。
【0073】
図7による実施の形態では、好ましくは、ヒーター60に平面状に密接する層55が、孔サイズ/毛細管サイズに関する上記の複数の要件Dw≪Dp,Dpwを少なくとも満たす。好ましくは、層57及び/又は層58も、これらの要件を満たし得る。さらに、液体を液体タンク18からヒーター60に毛細管現象により移送するための毛細管力が、芯層57,58から主に又は完全に提供され得る。一般に、芯組織19の全ての層が、当該液体を毛細管現象により移送するための毛細管力を提供することは必要でない。芯組織19のただ1つの層が、当該液体を毛細管現象により移送するための毛細管力を提供することだけで十分である。
【0074】
図7~10に示されているように、好ましくは、気化器ユニット20は、ヒーター60及び/又は芯組織19を保持するために、特に板状キャリア23を有する。このキャリア23は、適切な材料、例えばセラミック、ガラス及び/又は繊維強化プラスチック、例えばプリント基板材料を含む合成樹脂から成り得て、芯組織19が貫通して延在し且つこの芯組織19が保持されている1つの貫通開口部25を有する。
【0075】
キャリア23の厚さD(
図10参照)は、好ましくは0.5mm~4mmの範囲内にあり、さらに好ましくは1mm~3mmの範囲内にあり、さらにいっそう好ましくは1mm~2mmの範囲内にあり、例えば1.6mm又は2mmでもよい。キャリア23の貫通開口部25内に配置された芯層57の厚さは、キャリア23の厚さに適合に適合されてもよく、又はこの厚さに相当してもよく、それ故に例えば、同様に1.6mm又は2mmでもよい。
【0076】
貫通開口部25は、好ましくは、製造しやすい円形を成す。貫通開口部25の直径d又は場合によっては平均直径(
図6参照)は、好ましくは0.5mm~4mmの範囲内にあり、好ましくは1mm~3mmの範囲内にあり、さらに好ましくは1.5mm~2.5mmの範囲内にあり、例えば2mmである。
【0077】
貫通開口部25の直径dは、好ましくは、ヒーター60の幅b以下又は未満である(
図6参照)。貫通開口部25の容積又は貫通開口部25内の芯の容積は、好ましくは1mm3~8mm3の範囲内にあり、2mm3~6.5mm3の範囲内にあり、さらに好ましくは2.5mm3~5mm3の範囲内にある。
【0078】
貫通開口部25内での軸29の追加の保持力を発生させるため、軸部29は、取り付ける前の自由な状態で余裕寸法(Uebermass)、すなわち貫通開口部25よりも大きい直径を有してもよい。
【0079】
芯層35の直径t(
図10参照)は、好ましくは、貫通開口部25の直径dよりも大きい。特に、芯層35は、その全周にわたって貫通開口部25から余長部分kだけ張り出している。芯層35が、貫通開口部25から全方向に張り出しているので、当該芯層35、すなわち芯組織19の全体が、キャリア23上へのヒーター60の挟持時に気化器ユニット20内に確実に保持される。
【0080】
ヒーター60は、このヒーター60の相対向する両側でこのヒーター60を把持する少なくとも2つの挟持要素37によってキャリア23上に挟持される(特に
図8参照)。それぞれの挟持要素37は、好ましくは挟持クランプ38を有する。当該挟持クランプ38は、互いに離間した2つの固定点39でキャリア23に弾性固定されていて、プレストレスを発生させる。ヒーター60及び円板28が、キャリア23上に固定挟持される。
【0081】
1つの挟持クランプ38の2つの固定点39同士の間隔aは、好ましくは4mm~10mmの範囲内にあり、さらに好ましくは5mm~8mmの範囲内にあり、例えば6mmである。2つの挟持クランプ38の複数の固定点39同士の間隔cは、好ましくは5mm~12mmの範囲内にあり、さらに好ましくは6mm~10mmの範囲内にあり、例えば8mmである。例えば長方形のキャリア23の寸法は、好ましくは6mm~20mmの範囲内にあり、さらに好ましくは8mm~17mmの範囲内にあり、さらにいっそう好ましくは10mm~14mmの範囲内にある。
【0082】
特に好ましくは、これらの挟持要素37は同時に、ヒーター60に接触し、このヒーター60に加熱電流を供給するために使用される。このため、これらの挟持要素37又は挟持クランプ38は、好ましくは、導電性の材料から成り、例えば金属線でもよく、例えば黄銅線でもよい。挟持クランプ38とヒーター60との間の線接触に起因して、挟持要素37とヒーター60とが、良好に電気接続すると同時に、面接触がない故に、挟持要素37とヒーター60とが、理想的に熱絶縁される。ヒーター60から挟持要素37への熱放出が僅かであるので、電極38は、ヒーター60よりも著しく冷たいままである。ダイオード効果が回避され、純粋にオーミックな荷電キャリア輸送が可能になる。
【0083】
挟持クランプ38は、流出面64に対して平行に横方向にヒーター60を挟持してもよく(
図10の位置38A)、及び/又は流出面64に向かって直角方向にヒーター60を挟持してもよく(
図10の位置38B)、及び/又は溝又は段差内で、例えば30°~60°の中間角度を成してヒーター60を挟持してもよく、流出面64に向かって横方向にヒーター60を挟持してもよく、流出面64に向かって直角方向にヒーター60を挟持してもよい(
図10の位置38C)。最後に言及した可能性は、2つの接触線を挟持クランプ38とヒーター60との間に含む。その結果、当該電気接触はさらに改善される。1つの挟持要素37が、1つよりも多い挟持クランプ38を有してもよく、特に、これらの挟持クランプ38A,38B,38Cのうちの任意の2つの挟持クランプ又は全ての3つの挟持クランプを有してもよい。
【0084】
電子制御機構部15とヒーター60に電力を供給するための電源46とに電気接続するため、挟持要素37が、導電体12によって、好ましくは消耗ユニット17内に設けられているプリント基板26(PCB)に接続されている。好ましくは、消耗ユニット17の電子部品が、プリント基板26上に配置されている。
【0085】
図7による実施の形態では、プリント基板26は、独立した部品であり、キャリア23から離間した、ヒーター60に面しない下面43に配置されている。プリント基板26は、芯組織19が貫通して延在し、この芯組織19が保持され得る1つ貫通開口部27を有する。ここでは、複数の導電体12が、例えば4つの金属ピン44を有する。これらの金属ピン44は、キャリア23の上面33の複数の固定点39内で複数の挟持要素37に接続されていて、それぞれ1つの貫通孔45を通じてキャリア23を貫通されていて、反対側の下面43でキャリア23とプリント基板26との間の間隔をブリッジする。
【0086】
別の実施の形態では、キャリア23は、プリント基板26を形成する。このとき、導電体12は省略できる。気化器ユニット20自体が、プリント基板を有しないで、挟持クランプ38が、例えばフレキシブルに絶縁された導電体12を介して、又は別の適切な方法で、例えば基幹部16内に配置されたプリント基板に接続されていることも可能である。
【0087】
キャリア23を液体タンク18又はキャリア23の下に配置された別の構成要素のハウジングに対して密封するため、密封要素73、例えば密封リングが、キャリア23の下面43に配置されてもよい(
図10参照)。
【0088】
以下に、気化工程のシーケンスを説明する。
【0089】
初期状態では、加熱工程用の電圧源71は停止されている。
【0090】
液体50を気化させるため、ヒーター60用の電圧源71が起動される。この場合、ヒーター60内と微細流路82内との気化温度が、使用される液体混合物の個々の気化挙動に適合されているように、電圧Uhが調整される。その結果、局所的な過熱の危険と、当該加熱による有害物質の発生とが阻止される。
【0091】
微細流路62の容積に相当するか又は当該容積に関連する液体量が気化した直後に、加熱電圧源71が停止される。好ましくは、液体特性及び液体量が、正確に既知であるので、この時点は、非常に正確に制御され得る。それ故に、気化器ユニット20のエネルギー消費が、公知の装置に比べて減少され得る。何故なら、必要な気化エネルギーが、配量され得て、したがってより正確に生成され得るからである。ヒーター60の当該構成に起因して、このヒーター60は、従来の平面状の気化器(Flaechenverdampfer)とは違って容量式の気化器(Volumenverdampfer)とも呼ばれ得る。
【0092】
当該加熱工程の終了後に、微細流路62が、ほぼ又は完全に空にされる。このとき、当該微細流路82が、芯組織19を通じた液体の供給によって再び充填されるまで、加熱電圧源71が停止されたままである。当該微細流路82が、芯組織19を通じた液体の供給によって再び充填されると、その次の加熱サイクルが、加熱電圧源71を起動することによって開始され得る。
【0093】
一般に、加熱電圧源71によって生成されたヒーター60の制御周波数は、好ましくは1Hz~50Hzの範囲内にあり、好ましくは30Hz~30kHzの範囲内にあり、いっそうさらに好ましくは100Hz~25kHzの範囲内にある。
【0094】
ヒーター60用の加熱電圧Uhの周波数及びデューティー比が、好ましくは、バルク沸騰(Blasensierung)中の気泡振動(Blasenschwingung)の固有振動又は固有周波数に適合されている。好ましくは、当該加熱電圧の周期1/fは、それ故に5ms~50ms、さらに好ましくは10ms~40ms、さらにいっそう好ましくは15ms~30msの範囲内でもよく、例えば20msでもよい。気化した液体の組成に応じて、上記の周波数とは違う周波数が、当該気泡振動の固有振動又は固有周波数に適合されてもよい。
【0095】
さらに、過熱を回避しつつ濃縮蒸気を保証するためには、加熱電圧Uhによって発生した最大加熱電流が、好ましくは7A未満、さらに好ましくは6.5A未満、さらにいっそう好ましくは6A未満にしなければならず、最適には4A~6Aの範囲内にしなければならないことが分かっている。
【0096】
液体が、常に十分に移送され得て、ヒーター60の前方の領域での当該液体の欠乏が回避されるように、芯組織19の移送速度が、ヒーター60の気化速度に最適に適合されている。
【0097】
気化器ユニット20は、特に微小電気機械システム技術に基づいて、特にシリコンから製造されていて、それ故に、好ましくは微小電気機械システムである。
【0098】
上記にしたがって、好ましくは少なくとも流入面61上の、シリコンを母材とする扁平なヒーター60と、このヒーター60の下にある、好ましくは異なる孔サイズを有する毛細管状組織19とから成る層構造が有益に提唱される。気泡が、さらなる移送作用を阻止すると同時に、当該液体の流れの阻止による不十分な冷却に起因して、ヒーター60が(局所的に)過熱される一方で、ヒーター60の流入面61に直接に配置された当該芯組織19は、ヒーター60の流入面61での気泡の発生を阻止する。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下の構成も包含し得る:
1.
電気操作可能な、特に扁平な、1つの流入面(61)と1つの流出面(64)とを有する1つのヒーター(60)と、前記ヒーター(60)を貫通して前記流入面(61)から前記流出面(64)までそれぞれ延在する複数の微細流路(62)とを備える吸入器用の気化器ユニット、特に電子たばこ製品用の気化器ユニットであって、
前記ヒーター(60)は、加熱電圧を印加することによって前記複数の微細流路(62)を通じて移送された液体を気化させるように適合されている当該気化器ユニットにおいて、
多孔性及び/又は毛細管状の1つの芯組織(19)が、前記ヒーター(60)の前記流入面(61)に配置されていて、当該芯組織(19)は、前記ヒーター(60)に平面状に且つ接触するように密接し、前記流入面(61)にある前記複数の微細流路(62)の全体を覆う当該気化器ユニット。
2.
前記ヒーター(60)に対する接触領域内の前記芯組織(19)の複数の孔又は複数の毛細管の平均孔サイズ/毛細管サイズは、2つの微細流路(62)同士の最小間隔よりも小さく、特に少なくとも一桁だけ小さい上記1に記載の気化器ユニット。
3.
前記ヒーター(60)に対する接触領域内の前記芯組織(19)の複数の孔又は複数の毛細管の平均孔サイズ/毛細管サイズは、前記複数の微細流路(62)の最小の細径よりも小さく、特に少なくとも一桁だけ小さい上記1又は2に記載の気化器ユニット。
4.
前記芯組織(19)内の前記平均孔サイズ/毛細管サイズは、前記ヒーター(60)までの間隔が減少するにつれて、特に単調に変化する上記1~3のいずれか1つに記載の気化器ユニット。
5.
前記芯組織(19)内の前記平均孔サイズ/毛細管サイズは、前記ヒーター(60)までの間隔が減少するにつれて、特に単調に減少する上記4に記載の気化器ユニット。
6.
前記芯組織(19)は、1つ又は複数の多孔性の層及び/又は毛細管状の層を有し、当該層の複数の孔又は複数の毛細管はそれぞれ、一定の平均孔サイズ/毛細管サイズを有する上記4又は5に記載の気化器ユニット。
7.
前記芯組織(19)は、前記孔サイズ/毛細管サイズが前記ヒーターに向かって徐々に変化する、特に徐々に減少する多孔性の層及び/又は毛細管状の層を有する上記4又は5に記載の気化器ユニット。
8.
前記芯組織(19)の移送速度は、前記ヒーター(60)の最大気化速度と少なくとも同じ大きさである上記1~7のいずれか1つに記載の気化器ユニット。
9.
前記芯組織は、
材料である綿、セルロース、アセテート、ガラス繊維織物、ガラス繊維セラミック、焼結セラミック、セラミックペーパー、アルミノシリケートペーパー、発泡金属、海綿状金属から成る材料群、適切な移送速度を呈するその他の耐熱性で多孔性及び/又は毛細管状の材料、又は前述の材料のうちの2つ以上の材料から成る複合構造のうちの1つの材料又は複数の材料から構成される上記1~8のいずれか1つに記載の気化器ユニット。
10.
前記芯組織(19)は、特にマイクロガラス繊維から成るフィルター層(55)を有する上記1~9のいずれか1つに記載の気化器ユニット。
11.
前記芯組織(19)は、繊維ペーパー層(56)を有する上記1~10のいずれか1つに記載の気化器ユニット。
12.
前記芯組織(19)は、セラミック芯層(57)を有する上記1~11のいずれか1つに記載の気化器ユニット。
13.
前記芯組織(19)は、油灯用芯層(58)を有する上記1~12のいずれか1つに記載の気化器ユニット。
14.
前記気化器ユニットは、前記ヒーター(60)及び/又は前記芯組織(19)を保持するために1つの貫通開口部(25)を有する1つの基板(23)を備える上記1~13のいずれか1つに記載の気化器ユニット。
15.
前記気化器ユニットは、前記芯組織(19)を保持するために、特にプリント基板として形成された1つの貫通開口部(27)を有する1つの保持要素(26)を備える上記1~14のいずれか1つに記載の気化器ユニット。
16.
前記ヒーター(60)用の加熱電圧Uhの周波数及び/又はデューティー比が、前記複数の微細流路(62)内で発生する気泡の振動の固有振動及び/又は固有周波数に適合されている上記1~15のいずれか1つに記載の気化器ユニット。
17.
前記加熱電圧Uhの周波数及び/又はデューティー比は、気化すべき前記液体の混合比に応じて最適に選択されている上記16に記載の気化器ユニット。
18.
前記加熱電圧Uhの周波数は、20Hz~200Hzの範囲内にある上記16又は17に記載の気化器ユニット。
19.
前記ヒーター(60)用の加熱電圧Uhによって発生した最大加熱電流は、7A未満である上記1~18のいずれか1つに記載の気化器ユニット。
20.
前記気化器ユニット(20)は、プレストレスを発生させる少なくとも1つの挟持要素(37)を有し、当該挟持要素(37)は、前記ヒーター(60)をキャリア(23)上に挟持するように配置されていて且つ適合されている上記1~19のいずれか1つに記載の気化器ユニット。
21.
少なくとも2つの挟持要素(37)が、前記ヒーター(60)の相対向する両側に設けられている上記20に記載の気化器ユニット。
22.
前記少なくとも1つの挟持要素(37)は、前記ヒーター(60)に線状に接触する1つの挟持クランプ(38)を有する上記20又は21に記載の気化器ユニット。
23.
前記少なくとも1つの挟持要素(37)は、前記流出面に対して平行に横方向に、及び/又は流出面(64)に向かって直角方向に、及び/又は前記キャリア(23)の角溝内で前記ヒーター(60)を挟持する上記20~22のいずれか1つに記載の気化器ユニット。
24.
前記少なくとも1つの挟持要素(37)は、前記ヒーター(60)に電気接触し給電するための電極として使用される上記20~23のいずれか1つに記載の気化器ユニット。
25.
前記キャリア(23)の孔(45)を貫通して延在する少なくとも1つの導電体(12)が、前記挟持要素(37)に接触するために設けられている上記24に記載の気化器ユニット。
26.
前記少なくとも1つの導電体(12)は、前記キャリア(23)の、前記ヒーター(60)に面しない側に離間して配置されている1つのプリント基板(26)に接触する上記25に記載の気化器ユニット。
27.
前記キャリア(23)は、プリント基板として形成されている上記1~26のいずれか1つに記載の気化器ユニット。
【符号の説明】
【0099】
10 吸入器、たばこ製品、電子たばこ
11 ハウジング
12 導電体
14 蓄電部、エネルギー源
15 電子制御機構部
16 基幹部
17 消耗ユニット、カートリッジ
18 液体タンク
19 芯組織、芯、毛細管状組織
20 気化器ユニット
23 板状キャリア、キャリア、基板
24 空気流出口
25 貫通開口部
26 プリント基板、保持要素
27 貫通開口部
28 円板
29 軸部、軸
30 空気通路
31 空気流入口、流入口
32 マウスエンド
33 キャリアの上面
34 気流
35 芯層、接触領域、平板層、繊維ペーパー層、セラミックペーパー層、接触層
36 芯層、より離れた芯層、平板層
37 挟持要素
38 挟持クランプ、電極
38A 挟持クランプ
38B 挟持クランプ
38C 挟持クランプ
39 固定点
43 キャリアの下面
44 金属ピン
45 貫通孔、孔
46 電源
50 液体
55 フィルター層、層
56 繊維ペーパー層、セラミックペーパー層
57 芯層、セラミック芯層、セラミック層、層
58 芯層、油灯用芯層、層
60 ヒーター
61 流入面、接触領域
62 微細流路
64 流出面
71 加熱電圧源
72 電極
73 密封要素、密封リング