(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-10
(45)【発行日】2023-08-21
(54)【発明の名称】甘味料または甘味増強剤としての新規なトリテルペン-グリコシド
(51)【国際特許分類】
A23L 27/00 20160101AFI20230814BHJP
A23L 27/10 20160101ALI20230814BHJP
A61K 47/28 20060101ALI20230814BHJP
C07J 9/00 20060101ALN20230814BHJP
【FI】
A23L27/00 E
A23L27/10 C
A61K47/28
C07J9/00
(21)【出願番号】P 2020534274
(86)(22)【出願日】2018-10-30
(86)【国際出願番号】 EP2018079659
(87)【国際公開番号】W WO2019120716
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-10-20
(32)【優先日】2017-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】512112437
【氏名又は名称】アナリティコン・ディスカバリー・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100150500
【氏名又は名称】森本 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100176474
【氏名又は名称】秋山 信彦
(72)【発明者】
【氏名】カルステン・ジームス
(72)【発明者】
【氏名】グリット・クルーゲ
(72)【発明者】
【氏名】スヴェン・ヤクポヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】グレゴール・ヘッターリング
(72)【発明者】
【氏名】フォティニ・ツィクリンツ
【審査官】山本 英一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2007/065539(WO,A1)
【文献】Pui Kei Wu et al,Chemical and DNA authentication of taste variants of Gynostemma,Food Chemistry,128,2011年,70-80
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の化合物:
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
および
【化10】
からなる群から選択される少なくとも1つの化合物の少なくとも1つ、を含むか、または、からなる、甘味組成物。
【請求項2】
植物アマチャヅル(Gynostemma pentaphyllum)の水および/またはアルコール抽出により得られる、化合物の1つまたは複数を含む、抽出物であって、
該化合物が、以下の化合物:
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
および
【化20】
からなる群から選択される少なくとも1つの化合物である、抽出物。
【請求項3】
請求項1に記載の甘味組成物、または請求項2に記載の抽出物、を含む、食品組成物。
【請求項4】
追加の甘味料または甘味化合物、芳香化合物、香味化合物、およびそれらの混合物からなる群から選択される成分をさらに含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
請求項1に記載の甘味組成物、または請求項2に記載の抽出物、を含む、口腔用組成物。
【請求項6】
追加の甘味料または甘味化合物、芳香化合物、香味化合物、およびそれらの混合物からなる群から選択される成分をさらに含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
請求項1に記載の甘味組成物、または請求項2に記載の抽出物、を含む、医薬組成物。
【請求項8】
追加の甘味料または甘味化合物、芳香化合物、香味化合物、およびそれらの混合物からなる群から選択される成分をさらに含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
請求項1に記載の甘味組成物または請求項2に記載の抽出物を、口腔での使用を意図する組成物に、所望の程度の甘味を与えるのに十分な有効量で加えることを含む、食品または医薬組成物における、甘味作用を創出または増強する方法。
【請求項10】
甘味組成物または抽出物が、最終組成物で計算して、1~
2000ppmの量で、食品、口腔用または医薬組成物に添加される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
請求項1に記載の甘味組成物または請求項2に記載の抽出物の、食品または医薬組成物の甘味料としての使用。
【請求項12】
甘味組成物または抽出物が、最終組成物で計算して、1~
2000ppmの量で、食品、口腔用または医薬組成物に添加される、請求項11に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製剤および組成物、特に経口可食組成物において、甘味料または甘味増強剤として有用である、アマチャヅル(Gynostemma pentaphyllum)の抽出物から得られる新規なトリテルペン-グリコシド化合物、およびその生理学的に許容される塩、に関する。
【背景技術】
【0002】
甘味は、動物およびヒトのどちらにも主要な味および欲求の1つである。この自然の欲求を満たすための天然由来および合成の甘味料の至る所での使用により、それに伴う生理学的な不利益、例えば、肥満、栄養バランスの崩れ、および虫歯、が避けられなくなっている。これらの望ましくない不利益を克服するために、代替の化合物、例えば、栄養価がなく、カロリー摂取のない天然由来甘味料または合成甘味料の代替物など、を開発するために、かなりの研究努力と支出がなされてきた。これらの人工甘味料は幅広い用途を享受し、栄養価のない甘味の要件を満たし、カロリーを与えたり歯を損傷したりすることなく使用できるが、それらは、例えば、毒性(p-エトキシフェニル尿素)または染色体損傷および膀胱障害(シクラミン酸ナトリウム)のために、意図した目的への使用を妨げる固有の欠点を有することが、しばしば見られた。したがって、これらの甘味料は、甘味料としての使用を安全に推奨することができず、消費に受け入れられないようである。また、サッカリン化合物は、シクラメートが行政の規制下に置かれているため、人工甘味料として一般的に使用されている。サッカリン化合物は、甘味特性を有しているにもかかわらず、ほとんどのユーザーが感じる苦い後味が長引くため、ほとんどの食品および飲料の組成物における単一の甘味剤としては望ましくない。サッカリンおよびシクラメートは、長年、人工甘味剤として一般的に使用されてきたが、より最近になって、一連の新しい人工甘味料が発見されている。
【0003】
例えば、US3,087,821(GENTILI ET AL)は、甘味剤として、糖置換基を有する様々なジヒドロカルコン(ジヒドロカルコングリコシド)の使用を教示している。甘味のあるジヒドロカルコンはすべて、甘草のような後味があり、しばらくの間、口に残る。
【0004】
ウリ科の一員であるラカンカ(Siraitia grosvenori:Luo han guo)は、南アジアおよび中国のいくつかの地域に自生する植物である。ラカンカ(Luo han guo)の果実の甘い味は、モグロシドとして一般に知られているトリテルペングリコシドに主に由来する。ラカンカでは多くのモグロシドが同定されているが、一般的にモグロシドV(CAS No:88901-36-4)は、他のものと比較して、最も濃度が高い(表1)。モグロールグリコシドは、同じコア分子であるモグロールまたはオキソ-モグロールを有し、モグロールまたはオキソ-モグロールの分子に結合したグリコシド残基の数と種類により、互いに異なる[US2012/0059071、Kasai et al. AGRIC BIOL CHEM(1989),p3347-3349;Matsumoto et.al. CHEM PHARM BULL(1990)p2030-2032参照]。ラカンカの主要なトリテルペングリコシドである、モグロシドV、およびその異性体のイソモグロシドV(US2011 0027413)などの、いくつかのモグロシドは、非常に甘く、しばしばスクロースよりも100倍以上甘い(EP3099186A2,ANALYTICON DISCOVERY)が、それらはすべて、特定の苦い後味がある。
【0005】
ステビア(Stevia rebaudiana)の葉は、甘いジテルペングリコシドの含有により、その甘味がよく知られている。ステビアの主要な甘味化合物の1つであるレバウジオシドAは、米国(2008年以降)およびEU(2011年以降)において、天然甘味料として承認されている。その甘味とは別に、ステビアの甘味料はすべて、砂糖よりも開始時間が遅く、持続時間が長く、高濃度では苦いまたは甘草のような後味がある[Lemus-Mondaca et al. FOOD CHEM 132(2012)p1121-1132]。
【0006】
別の例は、トリテルペンおよびトリテルペングリコシドおよび/またはそれらの生理学的に許容される塩に関する、EP2529633A1(SYMRISE)である。トリテルペンは、好ましくは、経口摂取製剤において甘い感覚を生じさせるため、または経口摂取製剤の甘い感覚を増強するための、ミセチア・バランサ(Mycetia balansae)由来の天然のトリテルペンおよびトリテルペングリコシドである。これらのトリテルペン-グリコシドは、本発明で特許請求されるトリテルペンとは構造が異なる。
【0007】
アマチャヅル(Gynostemma pentaphyllum)は、中国において、伝統的に天然甘味剤として使用されている。アマチャヅルからは少なくとも85個のトリテルペングリコシドが単離されているが、その甘味で知られているのはジペノシド(Gypenoside)XXのみである(KINGHORN et al.,Terpenoid Glycoside Sweeteners in Natural Occurring Glycosides:Chemistry,Distribution and Biological Properties. John Wiley and Sons. Chichester,UK,1999,p.399-429)。
【0008】
したがって、本発明の主な目的は、食品および経口組成物において優れた甘味の利益を有する、新規な甘味化合物およびその生理学的に許容される塩、を提供することである。特に、その目的は、従来技術の甘味料に関する上述の不利益を克服するために、甘味の程度と甘味作用を得るために投与されるべき量との間のバランスをとりつつ低くするという方法で、飲食可能な組成物に甘味を与えることが可能な甘味化合物を提供することである。本発明の別の目的は、収斂性または苦味の後味のない甘味化合物を提供することである。特定される甘味化合物は、毒物学的に安全で、比較的低濃度においてすでに有効であり、消化に十分耐えられ、安定しており(特に通常の化粧品および/または医薬品製剤において)、製剤化が容易であり、製造が経済的である。
【発明の概要】
【0009】
本発明の目的は、一般式(I)
【化1】
[式中、
R
1、R
1aおよびR
1bは、互いに独立して、OH、Oグルコース、またはOキシロース、またはOガラクトース、またはOアラビノースを表し、
R
2は、次の構造
【化2】
のいずれか1つであり、
A
1、A
2およびA
3は、互いに独立して、H、OH、OOH、またはOMeを表し、
B
1およびB
2は、互いに独立して、H、OH、OOH、OMe、またはOを表し、
点線は、単結合または二重結合を意味する。]
で示される化合物の少なくとも1つ、を含むか、または、からなる、甘味組成物、である。
【0010】
甘味料に関する広範な研究の過程で、本発明者らは、新規な式(I)の甘味化合物の単離に成功し、これら式(I)の甘味化合物が、スクロースと比較して、驚くほど良好で強い甘味を示すことを見出した。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【発明を実施するための形態】
【0012】
好ましい化合物
特に有利なものは、以下のように同定される式(I)の化合物である:
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
抽出物
【0026】
本発明の別の目的は、植物アマチャヅル(Gynostemma pentophyllum)の水および/またはアルコール抽出により得られる、式(I)の化合物の1つまたは複数を含む抽出物、に関する。特に好ましいのは、アマチャヅルの葉から製造した抽出物である。
【0027】
抽出方法
【0028】
本発明による抽出物は、それ自体が既知の方法により、すなわち、例えば、植物またはその一部の、水、アルコール、または水/アルコール抽出によって、製造することができる。適した抽出方法は、浸軟、再浸軟、消化、撹拌浸軟、ボルテックス抽出、超音波抽出、向流抽出、浸出、再浸出、蒸発(減圧下での抽出)、ジアコレーション(diacolation)、および、連続還流下での固体/液体抽出などの、従来からの抽出方法である。浸出は、産業用途に有利である。
【0029】
抽出物を得るのに有用な植物材料としては、花、果実、芽、根、種子および/または葉からなる群から選択される植物全体の一部、または植物全体自体を挙げることができる。しかしながら、葉は、出発物質として好ましく用いられ、抽出前に機械的にサイズを小さくすることができる。専門家に知られているサイズの縮小方法、例えば、凍結粉砕が、用いられてもよい。抽出に好ましい溶媒は、有機溶媒、水(好ましくは80℃を超える、特には95℃を超える、熱水)、または有機溶媒と水の混合物、特には概ね高含水量の低分子量アルコール、である。メタノール、エタノール、およびそれらの水含有混合物による抽出が、特に好ましい。抽出は、一般に、約20~約100℃、好ましくは約30~約70℃で行う。好ましい一実施形態では、抽出は、抽出物の成分の酸化を避けるために、不活性ガス雰囲気中で行う。これは、40℃を超える温度で抽出を行う場合に特に重要である。抽出時間は、出発材料、抽出プロセス、抽出温度、および、溶媒と原料の比率などに応じて、専門家により選択される。抽出の後、得られた粗抽出物は、任意に、例えば、精製、濃縮および/または脱色などの、他の典型的な工程に付してもよい。所望により、こうして製造された抽出物は、例えば、個々の望ましくない成分を選択的に除去するようにしてもよい。抽出は、どの程度行ってもよいが、通常、抽出し尽くすまで続けられる。出発物質の抽出における通常の収率(=使用する原料の量に対する、抽出乾燥物)は、約5~約35%、好ましくは約10~約30、より好ましくは約15~25重量%のオーダーであり、出発物質に基づいて計算される。特に好ましいのは、次の工程:
(a)アマチャヅルの葉の、水、C1-C4脂肪族アルコール、またはそれらの混合物の懸濁液を得ること、
(b)水、C1-C4脂肪族アルコール、またはそれらの混合物を用いて、約30~約70℃の温度で、前記懸濁液を抽出にかけること、および、任意に、
(c)溶媒を分離すること、
を含む、式(I)に記載の化合物が豊富なアマチャヅルの抽出物を得る方法、である。
【0030】
なお、化合物(A)から(L)のそれぞれの抽出物中の含有量は、使用するアマチャヅルの葉の原料に応じて、バッチごとに異なる。
【0031】
組成物
【0032】
式(I)の甘味化合物の少なくとも1つを含む本発明の製剤は、飲料、食用の食材、歯磨剤、リップスティックなど、様々な口腔用および食品組成物ならびに医薬組成物に、所望の甘味および/または香味を付与するために使用することができ、他の香料や甘味料を使用してもしなくてもよく、体内に取り込んでも取り込まなくてもよい。本発明はまた、式(I)の化合物の少なくとも1つを甘味料および/または香味剤として用いる、様々な口腔用および食品組成物などに関する。
【0033】
本発明の甘味料は、一般に、主に、キャンディー、菓子類および加工食品などの食品組成物、ならびにビールおよびソフトドリンクなどの飲料において、幅広い可食性の物質における適用が見出される。また、医薬品、歯磨きペースト、切手や封筒の接着剤、動物の飼料や餌など、他の可食性の物質に甘い風味を与えるのにも適している。これらの例は、単に例示のために挙げたものであり、本発明の範囲を、特定のタイプの可食性物質を甘くすることに限定するものではない。原則として、本甘味料は、甘味が望まれる用途において、使用することができる。本甘味料は、単独で、または他の甘味料、栄養分または非栄養分と組み合わせて使用することができる。また、所望により、結合剤または希釈剤を甘味料に加えてもよい。しかしながら、甘味料は取り扱い性の優れた固体であるため、通常、それは必要でない。これにより、甘味料と可食性物質との混合は、簡単な従来の操作になる。甘味料は、所望により、固体または溶液として可食性物質と混合することができる。
【0034】
本発明はさらに、所望の程度の甘味を与えるのに十分な有効量で個体に投与される組成物または製剤における、甘味を付与、または甘味作用を増強するための、式(I)の甘味化合物の使用、に関する。
【0035】
したがって、本発明は、さらに、式(I)の甘味化合物を所望の程度の甘味を与えるのに十分な有効量で個体に投与することを含む、組成物における甘味作用および/または甘味作用の増強を与える方法、に関する。
【0036】
有効量は、好ましくは、組成物の総重量および式(I)の化合物の全合計量に基づいて、1ppm~2000ppmである。
【0037】
食品、口腔用および医薬組成物を、さらに詳細に説明する。
【0038】
食品組成物
【0039】
本発明の別の目的は、上記に開示された甘味組成物または抽出物を含む食品組成物に関する。
【0040】
本発明による食品組成物は、飲食用に適し、栄養または嗜好目的で使用される、製剤または組成物であり、一般に、ヒトまたは動物の口腔に導入して、一定時間そこに留まりその後、食べられるか(例えば、すぐに食べられる食品または飼料、下記の記載も参照)、または、再び口腔から取り出されること(例えば、チューインガム)を意図した生成物である。そのような生成物には、加工された、または部分的に加工された、あるいは加工されていない状態で、ヒトまたは動物が摂取するようにした、物質または生成物が含まれる。それらはまた、それらの製造、調製または処理の間に経口摂取可能な生成物に加えられ、そしてヒトまたは動物の口腔に導入されることを意図する、物質が含まれる。
【0041】
本発明による食品組成物には、そのままで、あるいは処理または製剤化された状態で、ヒトまたは動物が摂取した後、消化される物質、も含まれており、この点で、本発明による経口摂取生成物には、同時に摂取されるか、または摂取されることが予期され得る、ケーシング、コーティングまたは他のカプセル化剤も含まれる。「経口摂取生成物」という表現は、すぐに食べられる食品および飼料、つまり、味に重要な物質について既に完成している食品や飼料をカバーしている。「すぐに食べられる食品」および「すぐに食べられる飼料」という表現には、飲料、および固体または半固体のすぐに食べられる食品または飼料も含まれる。例えば、食べる前に解凍して食べる温度まで加熱することを要する、冷凍製品を挙げることができる。ヨーグルトやアイスクリーム、ならびにチューインガムやハードキャラメルなどの製品も、すぐに食べられる食品または飼料に含まれる。
【0042】
本発明による食品組成物には、好ましくは、「半完成品」も含まれる。本明細書の文脈において、半完成品は、香味料および味付与物質の含有量が非常に高いために、すぐに食べられる経口摂取生成物(特に食品または飼料)としての使用には適さない、経口摂取生成物であると理解されるものである。少なくとも1つの追加の成分との混合(例えば、問題となる香味料および味付与物質の濃度を下げる)、および、任意に追加される加工工程(たとえば、加熱、冷凍)によるだけで、半完成品は、すぐに食べることができる経口取生成物(特に食品または飼料)に変換することができる。半完成品の例としては、本明細書で述べられるとおりである。
【0043】
本発明による食品組成物には、好ましくは、栄養または嗜好目的のための1つ以上の製剤が含まれる。これらは、特に、(カロリー減の)焼き菓子(例えば、パン、ドライビスケット、ケーキ、その他の焼き菓子)、菓子類(例えば、チョコレート、チョコレートバー、棒形態の他の製品、フルーツガム、糖衣菓子、ハードおよびソフトキャラメル、チューインガム)、ノンアルコール飲料(例えば、ココア、コーヒー、緑茶、紅茶、(緑茶、紅茶)抽出分の豊富な(緑茶、紅茶)飲料、ルイボス茶、その他のハーブティー、果物入りソフトドリンク、アイソトニック飲料、清涼飲料水、ネクター、フルーツおよび野菜ジュース、フルーツまたは野菜ジュースの調製物)、インスタント飲料(例えば、インスタントココア飲料、インスタント茶飲料、インスタントコーヒー飲料)、肉製品(例えば、ハム、新鮮なソーセージまたは生ソーセージの調製物、スパイスまたはマリネした生または塩漬けの肉製品)、卵または卵製品(乾燥卵、卵白、卵黄)、シリアル製品(例えば、朝食用シリアル、ミューズリーバー、調理済み即席米製品)、乳製品(例えば、全脂肪または低脂肪または無脂肪乳飲料、ライスプディング、ヨーグルト、ケフィア、クリームチーズ、ソフトチーズ、ハードチーズ、粉乳、ホエー、バター、バターミルク、一部または全部が加水分解された乳タンパク質含有製品)、大豆タンパク質または他の大豆画分から製造した製品(例えば、豆乳およびそれから製造される製品、分離または酵素処理された大豆タンパク質を含む飲料、大豆粉を含む飲料、大豆レシチンを含む調製物、豆腐やテンペなどの発酵製品、またはそれらから製造される製品、および果物の調製物と任意の香味料との混合物)、果物の調製物(例えば、ジャム、シャーベット、フルーツソース、フルーツフィリング)、野菜の調製物(例えば、ケチャップ、ソース、乾燥野菜、冷凍野菜、調理済み野菜、煮込み野菜)、スナック(例えば、焼いたまたは揚げたポテトチップスまたはポテト生地製品、トウモロコシまたは落花生ベースの押出成形物)、脂肪および油ベースの製品またはそれらの乳化物(例えば、マヨネーズ、レムラード、ドレッシング、それぞれ、全脂肪または低脂肪)、その他の既製の料理やスープ(例えば、乾燥スープ、インスタントスープ、調理済みスープ)、スパイス、スパイスミックス、特に、例えばスナック分野で使用される調味料、甘味料製剤、錠剤またはサシェ、その他の甘くする製剤、ホワイトニング飲料、またはその他の食品、が含まれる。本発明の範囲内の製剤は、栄養または嗜好目的のためのさらなる製剤の製造のための半完成品の形態で使用することもできる。本発明の範囲内の製剤はまた、カプセル剤の形態、錠剤(コーティングされていないおよびコーティングされた錠剤、例えば腸溶性コーティング)、糖衣錠、顆粒、ペレット、固体混合物、液相中の分散物の形態、エマルションの形態、粉末の形態、溶液の形態、ペーストの形態、または、飲み込む、もしくは噛むことができる他の製剤の形態、および食品サプリメントの形態、であり得る。
【0044】
製剤はまた、カプセル剤の形態、錠剤(コーティングされていないおよびコーティングされた錠剤、例えば腸溶性コーティング)、糖衣錠、顆粒、ペレット、固体混合物、液相中の分散物の形態、エマルションの形態、粉末の形態、溶液の形態、ペーストの形態、または、飲み込む、または噛むことのできる他の製剤の形態、例えば食品サプリメントの形態、であり得る。
【0045】
半完成品は、一般に、栄養または嗜好目的のために、すぐに使用できる、またはすぐに食べられる製剤の調製に使用される。
【0046】
栄養または嗜好目的のためのすぐに食べられる製品または半完成品のさらなる構成成分は、食品または嗜好食品のための、従来のベース物質、補助物質および添加剤であり得、例えば、水、生または加工された野菜または動物のベースまたは生の物質の混合物(例えば、生の、ローストした、乾燥した、発酵した、燻製した、および/または煮た、肉、骨、軟骨、魚、野菜、ハーブ、ナッツ、野菜ジュース、野菜ペースト、またはそれらの混合物)、消化性または非消化性の炭水化物(例えば、スクロース、マルトース、フルクトース、グルコース、デキストリン、アミロース、アミロペクチン、イヌリン、キシラン、セルロース、タガトース)、糖アルコール(例えば、ソルビトール、エリスリトール)、天然または硬化の脂肪(例えば、獣脂、ラード、パーム脂肪、ココア脂肪、硬化野菜脂肪)、油(例えば、ひまわり油、落花生油、トウモロコシ胚芽油、オリーブ油、魚油、大豆油、ゴマ油)、脂肪酸またはそれらの塩(例えば、ステアリン酸カリウム)、タンパク質構成またはタンパク質非構成アミノ酸および関連化合物(例えば、γ-アミノ酪酸、タウリン)、ペプチド(例えば、グルタチオン)、天然または加工タンパク質(例えば、ゼラチン)、酵素(例えば、ペプチダーゼ)、核酸、ヌクレオチド、不快な味のための味調整剤、さらに一般的な不快な味のためではない味調節剤、その他の味調節物質(例えば、イノシトールリン酸、グアノシン一リン酸、アデノシン一リン酸などのヌクレオチド、または、グルタミン酸ナトリウムまたは2-フェノキシプロピオン酸などの他の物質)、乳化剤(例えば、レシチン、ジアシルグリセロール、アラビアガム)、安定剤(例えば、カラギーナン、アルギン酸塩)、保存料(例えば、安息香酸およびその塩、ソルビン酸およびその塩)、抗酸化剤(例えば、トコフェロール、アスコルビン酸)、キレート剤(例えば、クエン酸)、有機または無機の酸性化剤(例えば、酢酸、リン酸)、苦味添加物質(例えば、キニーネ、カフェイン、リモネン、アマロゲンチン、フムロン、ルプロン、カテコール、タンニン)、酵素による褐色化を防止する物質(例えば、亜硫酸塩、アスコルビン酸)、エーテル油、植物抽出物、天然または合成の着色料または着色顔料(例えば、カロチノイド、フラボノイド、アントシアン、クロロフィル、およびそれらの誘導体)、スパイス、三叉神経活性物質またはそのような三叉神経活性物質を含む植物抽出物、合成、天然性または天然と同一の香味料、または着香料ならびに香り調整剤、であり得る。
【0047】
本発明による食品組成物、例えば、調製品または半完成品の形態のものは、味および/または香りを完成および精製するために、香味組成物を含むことが好ましい。調製品は、成分として、固体担体および香味組成物を含むことができる。適切な香味組成物は、例えば、合成、天然性または天然と同一の香味料、着香料、および味付与物質、反応性香味料、燻煙香味料、または他の香味付与製剤(例えば、タンパク質(部分)加水分解物、好ましくは、アルギニン高含有のタンパク質(部分)加水分解物、バーベキュー風味料、植物抽出物、スパイス、スパイス調製物、野菜および/または野菜調製物)、ならびに適切な補助物質、および担体、を含む。ここで特に適しているのは、ローストした味、肉のような味(特に、鶏肉、魚肉、シーフード、牛肉、豚肉、ラム肉、羊肉、ヤギ肉)、野菜のような味(特に、トマト、タマネギ、ニンニク、セロリ、ネギ、キノコ、ナス、海藻)、スパイシーな味(特に、黒および白コショウ、カルダモン、ナツメグ、ピメント、マスタード、およびマスタード製品)、揚げた味、酵母のような味、煮た味、脂の味、塩味、および/または辛い味、の味覚を与える香味組成物またはその成分であり、それにより、スパイシーな印象を高めることができる。香味組成物は、一般に、上述の成分を複数含む。
【0048】
本発明の食品組成物は、好ましくは、以下を含む群から選択される:
・菓子、好ましくは低カロリーまたはカロリーフリーの菓子であり、好ましくはミューズリーバー製品、フルーツガム、糖衣菓子、ハードキャラメルおよびチューインガム、を含む群から選択される、菓子、
・ノンアルコール飲料、好ましくは、緑茶、紅茶、(緑茶、紅茶)抽出分の豊富な(緑茶、紅茶)飲料、ルイボス茶、その他のハーブティー、果物入りの低糖または無糖のソフトドリンク、アイソトニック飲料、ネクター、フルーツおよび野菜ジュース、フルーツおよび野菜ジュース調製物、を含む群から選択される、ノンアルコール飲料、
・インスタント飲料、好ましくは、インスタント(緑茶、紅茶、ルイボス茶、ハーブ茶)飲料からなる群から選択される、インスタント飲料、
・シリアル製品、好ましくは、低糖および無糖の朝食用シリアルおよびミューズリーバーからなる群から選択される、シリアル製品、
・乳製品、好ましくは、低脂肪および無脂肪の牛乳、ヨーグルト、ケフィア、ホエー、バターミルク、およびアイスクリームからなる群から選択される、乳製品、
・大豆タンパク質またはその他の大豆画分から得られる製品、好ましくは、豆乳、豆乳から製造される製品、分離または酵素処理された大豆タンパク質を含む飲料、大豆粉を含む飲料、大豆レシチンを含む調製物、大豆レシチンを含む製剤から製造される製品、および、果物の調製物と任意の香味料との混合物、を含む群から選択される、製品、
・甘味製剤、錠剤、サシェ、
・無糖の糖衣錠、
・ミルクベースの成分を含む、または含まない、好ましくは無糖の、アイスクリーム。
【0049】
食品添加物
【0050】
本発明による食品組成物は、追加の甘味料または甘味化合物、芳香化合物、香味化合物およびそれらの混合物からなる群から選択される成分をさらに含んでもよい。
【0051】
芳香化合物または香味化合物
【0052】
本発明の香味組成物には、当該技術分野でよく知られている芳香化合物および香味剤を添加することができる。これらの香味剤は、植物の葉、花、果実など、およびそれらの組み合わせに由来する、合成香味液および/または油から、選択することができる。代表的な香味液としては、ユーカリ、レモン、オレンジ、バナナ、グレープ、ライム、アプリコット、およびグレープフルーツのオイル、ならびに、リンゴ、イチゴ、チェリー、オレンジ、パイナップルなどのフルーツエッセンスなどの、人工、天然、または合成のフルーツ香味料;コーヒー、ココア、コーラ、ピーナッツ、アーモンドなどの豆やナッツ由来の香味料;および、甘草やショウガなどの根由来の香味料、が挙げられる。
【0053】
香味剤は、好ましくは、例えば、アニソール、バジルオイル、ベルガモットオイル、ビターアーモンドオイル、カンフルオイル、シトロネラオイル、レモンオイル;ユーカリシトリオドラオイル、ユーカリオイル、フェンネルオイル、グレープフルーツオイル、カモミールオイル、スペアミントオイル、キャラウェイオイル、ライムオイル、マンダリンオイル、ナツメグオイル(特にナツメグブロッサムオイル=メイスオイル、メイスオイル)、ミルラオイル、クローブオイル、クローブブロッサムオイル、オレンジオイル、オレガノオイル、パセリ(シード)オイル、ペパーミントオイル、ローズマリーオイル、セージオイル(クラリーセージ、ダルマチアまたはスパニッシュ・セージオイル)、スターアニスオイル、タイムオイル、バニラエキス、ジュニパーオイル(特にジュニパーベリーオイル)、ウィンターグリーンオイル、シナモンリーフオイル;シナモンバークオイル、およびそれらの画分、またはそれらから単離された成分、などの、精油および抽出物、チンキ剤および香油(balsams)、からなる群から選択される。
【0054】
本発明による香味組成物が、以下の群から選択される、少なくとも1つの香味剤、好ましくは、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つまたはそれ以上の香味剤を含む場合、特に有利である:メントール(好ましくはl-メントールおよび/またはラセミ体のメントール)、アネトール、アニソール、アニスアルデヒド、アニシルアルコール、(ラセミ体の)ネオメントール、ユーカリプトール(1,8-シネオール)、メントン(好ましくはL-メントン)、イソメントン(好ましくはD-イソメントン)、イソプレゴール、メンチルアセテート(好ましくはL-メンチルアセテート)、メンチルプロピオネート、カルボン(好ましくは(-)-カルボン、任意にスペアミントオイルの成分として)、サリチル酸メチル(任意にウィンターグリーンオイルの成分として)、酢酸オイゲノール、イソオイゲノールメチルエーテル、β-ホモシクロシトラール、オイゲノール、イソブチルアルデヒド、3-オクタノール、ジメチルスルフィド、ヘキサノール、ヘキサナール、トランス-2-ヘキセナール、シス-3-ヘキセノール、4-テルピネオール、ピペリトン、リナロール、8-オシメニルアセテート、イソアミルアルコール、イソバレルアルデヒド、α-ピネン、β-ピネン、リモネン(好ましくはD-リモネン、任意にエッセンシャルオイルの成分として)、ピペリトン、トランス-サビネン水和物、メントフラン、カリオフィレン、ゲルマクレンD、シンナムアルデヒド、ミントラクトン、チモール、γ-オクタラクトン、γ-ノナラクトン、γ-デカラクトン、(1,3E,5Z)-ウンデカトリエン、2-ブタノン、ギ酸エチル、3-オクチルアセテート、イソ吉草酸イソアミル、シス-およびトランス-カルビルアセテート、p-シモール、ダマセノン、ダマスコン、シス-ローズオキシド、トランス-ローズオキシド、フェンコール、アセトアルデヒドジエチルアセタール、1-エトキシエチルアセテート、シス-4-ヘプテナール、シス-ジャスモン、ジヒドロジャスモン酸メチル、2’-ヒドロキシプロピオフェノン、メンチルメチルエーテル、酢酸ミルテニル、2-フェニルエチルアルコール、2-フェニルエチルイソブチレート、2-フェニルエチルイソバレレート、ゲラニオール、ネロール、およびビリジフロロール、からなる群。
【0055】
特に好ましい芳香化合物または香味化合物は、メントール、シネオール、オイゲノール、チモール、シンナムアルデヒド、ペパーミントオイル、スペアミントオイル、ユーカリオイル、タイムオイル、シナモンオイル、クローブオイル、スプルースニードルオイル、フェンネルオイル、セージオイル、アニスオイル、スターアニスオイル、カモミールオイル、およびキャラウェイオイル、ならびにそれらの混合物を含む。
【0056】
甘味料および甘味物質
【0057】
「甘味料」との用語は、ここでは、スクロースの甘味力(したがって、甘味力が1である)を基準として、25以上の相対甘味力を有する物質を示す。本発明による経口摂取生成物(特に食品、飼料または医薬品)に用いられる甘味料は、好ましくは、非う食性であり、および/または、経口摂取生成物1グラム当たり5kcal以下のエネルギー量である。
【0058】
本発明による好ましい経口摂取生成物(特に食品、飼料または医薬品)における有利な甘味料は、以下の群(a1)および群(a2)から選択される:
【0059】
天然甘味料、好ましくは以下を含む群から選択されるもの
・ミラクリン、モネリン、マビンリン、ソーマチン、クルクリン、ブラゼイン、ペンタイジン(pentaidin)、D-フェニルアラニン、D-トリプトファン、および、それらのアミノ酸および/またはタンパク質、ならびにそれらのアミノ酸および/またはタンパク質の生理学的に許容される塩(特にナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩またはアンモニウム塩)を含む、天然源から得られる抽出物または分画物;
・ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、ナリンギンジヒドロカルコン、ステビオシド、ステビオールビオシド、レバウジオシド、特にレバウジオシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドC、レバウジオシドD、レバウジオシドE、レバウジオシドF、レバウジオシドG、レバウジオシドH、ズルコシド(dulcosides)およびルブソシド、スアビオシドA、スアビオシドB、スアビオシドG、スアビオシドH、スアビオシドI、スアビオシドJ、バイユノシド1、バイユノシド2、フロミソシド1、フロミソシド2、フロミソシド3およびフロミソシド4、アブルソシドA、アブルソシドB、アブルソシドC、アブルソシドD、オスラジン、ポリポドシドA、ストロギン1、ストロギン2、ストロギン4、セリグアイン(selligueain)A、ジヒドロケルセチン3-アセテート、ペリラルチン、テロスモシドA15、ペリアンドリンI-V、プテロカリオシド、シクロカリオシド、ムクロジオシド、トランス-アネトール、トランス-シンナムアルデヒド、ブリオシド、ブリオノシド、ブリオノズルコシド(bryonodulcosides)、カルノシフロシド、スカンデノシド、トリロバチン、フロリジン、ジヒドロフラバノール、ヘマトキシリン、シアニン、クロロゲン酸、アルビジアサポニン、テロスモシド、ガウジチャウジオシド(gaudichaudioside)、モグロシド、モグロシドV、ヘルナンズルシン、モナチン、フィロズルチン、グリチルレチン酸およびその誘導体、特にグリチルリチンなどのそのグリコシド、ならびにそれらの化合物の生理学的に許容される塩、特にナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩またはアンモニウム塩;
・タウマトコックス(Thaumatococcus)抽出物(katamfe植物)、ステビア(Stevia rebaudiana)の抽出物、ツルレイシ(Momordica)またはラカンカ(Siratia grosvenorii)(Luo-Han-Guo)の抽出物、カンゾウ属(Glycyrrhiza ssp.)(特にGlycyrrhiza glabra)の抽出物、キイチゴ属(Rubus ssp.)の抽出物(特にRubus suavissimus)、およびスイートハーブ・メキシカン(Lippia dulcis)の抽出物、を含む群から選択される抽出物または抽出物の濃縮分画物;
【0060】
合成甘味物質、好ましくは、マガップ(magap)、シクラミン酸ナトリウム、またはシクラミン酸の他の生理学的に許容される塩、アセスルファムK、またはアセスルファムの他の生理学的に許容される塩、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、ナリンギンジヒドロカルコン、サッカリン、サッカリンナトリウム塩、アスパルテーム、スーパーアスパルテーム、ネオテーム、アリテーム、アドバンテーム、ペリラルチン、スクラロース、ルグズナム(lugduname)、カレラーム(carrelame)、スクロノネート(sucrononate)、およびスクロオクテート(sucrooctate)、を含む群から選択されるもの。
【0061】
適切な甘味物質、例えば、下記の例のような天然源の物質に含まれるもの
・甘味のある炭水化物または糖(例えば、スクロース(サッカロースと同義)、トレハロース、ラクトース、マルトース、メリジトース、ラフィノース、パラチノース、ラクツロース、D-フルクトース、D-グルコース、D-ガラクトース、L-ラムノース、D-ソルボース、D-マンノース、D-タガトース、D-アラビノース、L-アラビノース、D-リボース、D-グリセルアルデヒド、マルトデキストリン)、または
・主にこれらの炭水化物を含む野菜調製物(例えば、テンサイ(Beta-vulgaris ssp.、砂糖画分、砂糖シロップ、糖蜜)から、サトウキビ(Saccharum officinarum ssp.、例えば糖蜜、砂糖シロップ)から、シュガーメイプル(Acer ssp.)から、リュウゼツラン(アガベの濃厚ジュース)から)、
・デンプンまたはスクロースの、合成/酵素加水分解物(例えば、転化糖シロップ、トウモロコシデンプンから製造される高濃度果糖シロップ)、
・果実濃縮物(例えば、リンゴまたはナシ、リンゴシロップ、ナシシロップから)、
・糖アルコール(例えば、エリスリトール、スレイトール、アラビトール、リビトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、ズルシトール、ラクチトール)、
・タンパク質(例えば、ミラクリン、モネリン、ソーマチン、クルクリン、ブラゼイン)、
・人工甘味料(マガプ(magap)、シクラミン酸ナトリウム、アセスルファムK、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、サッカリンナトリウム塩、アスパルテーム(登録商標)、スーパーアスパルテーム、ネオテーム、アリテーム、スクラロース、ルグズナム(lugduname)、カレラーム(carrelame)、スクロノネート(sucrononate)、スクロオクテート(sucrooctate)、モナチン)、
・特定の甘味のあるアミノ酸(グリシン、D-ロイシン、D-スレオニン、D-アスパラギン、D-フェニルアラニン、D-トリプトファン、L-プロリン)、
・その他の甘味のある低分子物質、例えば、レバウジオシド、ステビオシド、モグロシド、ヘルナンズルシン、フィロズルチン、ジヒドロカルコングリコシド、グリチルリチン、グリチルレチン酸アンモニウム塩、またはその他のグリチルレチン酸誘導体、
・甘味のある植物の抽出物、特に、ラカンカ(Momordica grosvenori [Luo Han Guo])、アジサイ(Hydrangea macrophylla)、ステビア(Stevia rebaudiana)、テンヨウケンコウシ(Rubus suavissimus)、オオエゾデンダ(Polypodium vulgare)、トウアズキ(Abrus precatorius)、プテロカリア・パリウルス(Pterocarya paliurus)、バッカリス・ガウジチャウジアナ(Baccharis gaudichaudiana)、アルビジアミリオフィラ(Albizia myriophylla)、ブリオニア・ディオイカ(Bryonia dioica)、フロミス・ベトニコイド(Phlomis betonicoides)、ヘムスレヤ・カルノシフロラ(Hemsleya carnosiflora)、スイートハーブ・メキシカン(Lippia dulcis)、カンゾウ属(甘草)、または、それらの植物から単離された個々の甘味物質。
【0062】
増粘剤
【0063】
本発明による好ましい経口摂取生成物(特に食品、飼料または医薬品)において有利な増粘剤は、架橋ポリアクリル酸およびその誘導体、多糖類およびその誘導体(例えば、キサンタンガム、寒天、アルギン酸塩またはタイロース(tyloses))、セルロース誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロースまたはヒドロキシカルボキシメチルセルロース)、脂肪族アルコール、モノグリセリドおよび脂肪酸、ポリビニルアルコールおよびポリビニルピロリドン、を含む群から選択される。
【0064】
本発明によれば、経口摂取生成物(特に食品または飼料)は、乳酸菌で増粘したミルクおよび/または乳酸菌で増粘したクリームを含むことが好ましく、ヨーグルト、ケフィアおよびクワルクを含む群から選択されるものが好ましい。
【0065】
乳酸菌で増粘したミルクおよび/または乳酸菌で増粘したクリームを含む、本発明による食品組成物は、有利なのは、プロバイオティックを含む経口摂取生成物であり、ここで、プロバイオティックは、好ましくは、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種・ラクティスBB-12、ビフィドバクテリウムアニマリス亜種・ラクティスDN-173 010、ビフィドバクテリウムアニマリス亜種・ラクティスHN019、ラクトバチルス・アシドフィルスLA5、ラクトバチルス・アシドフィルスNCFM、ラクトバチルス・ジョンソニLa1、ラクトバチルス・カゼイ・イミュニタス/ディフェンシス(immunitass/defensis)、ラクトバチルス・カゼイ・シロタ(DSM20312)、ラクトバチルス・カゼイCRL431、ラクトバチルス・ロイテリ(ATCC55730)、およびラクトバチルス・ラムノーサス(ATCC53013)、を含む群から選択される。
【0066】
チューインガムのための添加剤
【0067】
本発明による経口摂取生成物(特に、食品、飼料または医薬品)は、チューインガムであって、チューインガムベースを含むことが、特に好ましい。チューインガムベースは、好ましくは、チューインガムベースまたはバブルガムベースを含む群から選択される。後者はより柔らかく、それにより、ガムのバブルを形成することもできる。本発明による好ましいチューインガムベースとしては、伝統的に使用されている天然樹脂または天然ラテックスチクルに加えて、ポリ酢酸ビニル(PVA)、ポリエチレン、(低または中程度の分子量の)ポリイソブテン(PIB)、ポリブタジエン、イソブテン-イソプレンコポリマー(ブチルゴム)、ポリビニルエチルエーテル(PVE)、ポリビニルブチルエーテル、ビニルエステルとビニルエーテルのコポリマー、スチレン-ブタジエンコポリマー(スチレン-ブタジエンゴム、SBR)などの、エラストマー、または、例えば、酢酸ビニル/ラウリン酸ビニル、酢酸ビニル/ステアリン酸ビニルまたはエチレン/酢酸ビニル系の、ビニルエラストマー、および、上記のエラストマーの混合物、が挙げられ、例えば、EP0242325、US4,518,615、US5,093,136、US5,266,336、US5,601,858、またはUS6,986,709に記載されている。さらに、本発明により好ましく用いられるチューインガムベースは、例えば、(無機)充填剤、可塑剤、乳化剤、抗酸化剤、ワックス、脂肪または脂肪油(例えば、硬化(水素添加)した野菜または動物性脂肪、モノグリセリド、ジグリセリドまたはトリグリセリド)などの、さらなる成分を含むことが好ましい。適切な(無機)充填剤は、例えば、炭酸カルシウム、二酸化チタン、二酸化ケイ素、タルカム、酸化アルミニウム、リン酸二カルシウム、リン酸三カルシウム、水酸化マグネシウム、およびそれらの混合物である。適切な可塑剤、または付着防止剤(粘着防止剤)は、例えば、ラノリン、ステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム、酢酸エチル、ジアセチン(グリセロールジアセテート)、トリアセチン(グリセロールトリアセテート)、クエン酸トリエチルである。適切なワックスは、例えば、パラフィンワックス、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、マイクロクリスタリンワックス、およびポリエチレンワックスである。適切な乳化剤は、例えば、レシチンなどのホスファチド、脂肪酸のモノおよびジグリセリド、例えば、モノステアリン酸グリセロールである。
【0068】
本発明によるチューインガム(特に上記に開示したもの)は、好ましくは、異なる種類の糖、糖代替物、他の甘味物質、糖アルコール(特にソルビトール、キシリトール、マンニトール)、清涼作用を有する成分、不快な味のための味調整剤、さらなる味調節物質(例えば、イノシトールリン酸、グアノシン一リン酸、アデノシン一リン酸などのヌクレオチド、または、グルタミン酸ナトリウムまたは2-フェノキシプロピオン酸などの他の物質)、保湿剤、増粘剤、乳化剤、安定剤、香味調整剤および香味料(例えば、ユーカリ-メントール、チェリー、ストロベリー、グレープフルーツ、バニラ、バナナ、シトラス、ピーチ、ブラックカラント、トロピカルフルーツ、ジンジャー、コーヒー、シナモン、ミントフレーバーと(上記の香味剤の)組み合わせ、ならびに、スペアミントおよびペパーミントそれ自体)、などの成分を含む。とりわけ、香味料と、清涼性、温感性および/または食欲増進性を有するさらなる物質との組み合わせは、特に好ましい。
【0069】
ビタミン
【0070】
本発明の別の実施形態では、組成物は、ビタミン(成分e1)を含んでもよい。ビタミンには様々な生化学的機能がある。そのいくつかは、ミネラル代謝の調節因子(例えば、ビタミンD)、または、細胞と組織の成長および分化の調節因子(例えば、ビタミンAのいくつかの形態)として、ホルモン様の機能を有している。その他は、抗酸化剤として機能する(例えば、ビタミンE、およびときどき、ビタミンC)。最も多いビタミン(例えば、ビタミンB群など)は、酵素補因子の前駆体として作用し、代謝の触媒として作用する酵素を助ける。この役割では、ビタミンは、補欠分子族の一部として、酵素に強く結合している可能性がある。例えば、ビオチンは、脂肪酸の生成に関与する酵素の一部である。ビタミンは、分子間で化学基または電子を運ぶために機能する分離可能な分子である補酵素としての酵素触媒に、それほど強く結合していなくてもよい。例えば、葉酸はさまざまな形態の炭素基(メチル、ホルミル、およびメチレン)を細胞内に運ぶ。酵素基質反応を援助するこれらの役割は、ビタミンの最もよく知られている機能であるが、他のビタミンの機能も同様に重要である。本発明の方途において、適切なビタミンは、下記からなる群から選択される。
・ビタミンA(レチノール、レチナール、ベータカロテン)、
・ビタミンB1(チアミン)、
・ビタミンB2(リボフラビン)、
・ビタミンB3(ナイアシン、ナイアシンアミド)、
・ビタミンB5(パントテン酸)、
・ビタミンB6(ピリドキシン、ピリドキサミン、パリドキサール)、
・ビタミンB7(ビオチン)、
・ビタミンB9(葉酸、フォリン酸)、
・ビタミンB12(シアノバラミン、ヒドロキシコバルミン、メチルコバルミン)、
・ビタミンC(アスコルビン酸)、
・ビタミンD(コレカルシフェロール)、
・ビタミンE(トコフェロール、トコトリエノール)、および
・ビタミンK(フィロキノン、メナキノン)。
【0071】
好ましいビタミンは、アスコルビン酸およびトコフェロールである。前記ビタミンは、約0.1~約5重量%、好ましくは約0.5~約1重量%の量で、食品組成物中に存在することができる。
【0072】
口腔用組成物
【0073】
本発明の別の目的は、上記で開示した甘味組成物または抽出物を含む、口腔用組成物に関する。これらの組成物はさらに、既に上述したように、追加の甘味料または甘味化合物、芳香化合物、香味化合物、およびそれらの混合物をさらに含むことができる。
【0074】
食品でない口腔用組成物の典型的な例として、歯を洗浄および保護し、口腔をリフレッシュするための製品が挙げられる。
【0075】
本発明の口腔用組成物は、典型的には、例えばシリカ、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、酸化アルミニウムおよび/またはヒドロキシアパタイトなどの、研磨剤系(研磨成分または研磨剤)、例えばラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルサルコシンナトリウムおよび/またはコカミドプロピルベタインなどの、界面活性物質、例えばグリセロールおよび/またはソルビトールなどの、保湿剤、例えばカルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、カラギーナンおよび/またはラポナイト(登録商標)などの、増粘剤、例えばサッカリンなどの甘味料、不快な味のための香味調整剤、さらには通常不快でない味のための香味調整剤、香味調節物質(例えば、イノシトールリン酸、グアノシン一リン酸、アデノシン一リン酸などのヌクレオチド、または、グルタミン酸ナトリウムまたは2-フェノキシプロピオン酸などの他の物質)、例えばメントール誘導体(例えばL-メンチル乳酸、L-メンチルアルキルカーボネート、メントンケタール、メンタンカルボン酸アミド)、2,2,2-トリアルキル酢酸アミド(例えば、2,2-ジイソプロピルプロピオン酸メチルアミド)、イシリンおよびイシリン誘導体などの、清涼活性化合物、および、例えばフッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、二フッ化スズ、第四級アンモニウムフッ化物、クエン酸亜鉛、硫酸亜鉛、ピロリン酸スズ、二塩化スズ、さまざまなピロリン酸塩の混合物、トリクロサン、クロルヘキシジン、塩化セチルピリジニウム、乳酸アルミニウム、クエン酸カリウム、硝酸カリウム、塩化カリウム、塩化ストロンチウム、過酸化水素、香料、重炭酸ナトリウム、および/または香り調整剤などの、安定剤および活性化合物、を含む。
【0076】
チューインガム、または特にデンタルケアチューインガムの形態の本発明による製剤または生成物は、例えば、ポリ酢酸ビニル(PVA)、ポリエチレン、(低または中程度の分子量の)ポリイソブテン(PIB)、ポリブタジエン、イソブテン-イソプレンコポリマー(ブチルゴム)、ポリビニルエチルエーテル(PVE)、ポリビニルブチルエーテル、ビニルエステルとビニルエーテルのコポリマー、スチレン/ブタジエンコポリマー(スチレン/ブタジエンゴム、SBR)などの、エラストマー、または、例えば、酢酸ビニル/ラウリン酸ビニル、酢酸ビニル/ステアリン酸ビニルまたはエチレン/酢酸ビニル系の、ビニルエラストマー、および、上記のエラストマーの混合物、が挙げられ、例えば、EP0242325、US4,518,615、US5,093,136、US5,266,336、US5,601,858、またはUS6,986,709に記載されている。さらに、チューインガムベースは、例えば、砂糖、砂糖代替品または甘味物質、特にWO2009/21558に記載されたもの、(無機)充填剤、可塑剤、乳化剤、抗酸化剤、ワックス、脂肪または脂肪油(例えば、硬化(水素添加)した植物または動物性の脂肪、およびモノグリセリド、ジグリセリドまたはトリグリセリド)などの成分をさらに含む。適切な(無機)充填剤は、例えば、炭酸カルシウム、二酸化チタン、二酸化ケイ素、タルク、酸化アルミニウム、リン酸二カルシウム、リン酸三カルシウム、水酸化マグネシウムおよびそれらの混合物である。適切な可塑剤または付着防止剤(粘着防止剤)は、例えば、ラノリン、ステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム、酢酸エチル、ジアセチン(グリセロールジアセテート)、トリアセチン(グリセロールトリアセテート)、およびクエン酸トリエチルである。適切なワックスは、例えば、パラフィンワックス、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、マイクロクリスタリンワックス、およびポリエチレンワックスである。適切な乳化剤は、例えば、レシチンなどのホスファチド、およびモノステアリン酸グリセロールなどの脂肪酸のモノおよびジグリセリドである。
【0077】
本発明による製剤または生成物(特に、オーラルケア製剤または生成物の形態、または製剤の形態であるもの)は、例えば、アニソール、バジルオイル、ベルガモットオイル、ビターアーモンドオイル、カンフルオイル、シトロネラオイル、レモンオイル;ユーカリシトリオドラオイル、ユーカリオイル、フェンネルオイル、グレープフルーツオイル、カモミールオイル、スペアミントオイル、キャラウェイオイル、ライムオイル、マンダリンオイル、ナツメグオイル(特にナツメグブロッサムオイル=メイスオイル、メイスオイル)、ミルラオイル、クローブオイル、クローブブロッサムオイル、オレンジオイル、オレガノオイル、パセリ(シード)オイル、ペパーミントオイル、ローズマリーオイル、セージオイル(クラリーセージ、ダルマチアまたはスパニッシュ・セージオイル)、スターアニスオイル、タイムオイル、バニラエキス、ジュニパーオイル(特にジュニパーベリーオイル)、ウィンターグリーンオイル、シナモンリーフオイル;シナモンバークオイル、およびそれらの画分、またはそれらから単離された成分、などの、精油および抽出物、チンキ剤および香油(balsams)などの、1つまたは複数の芳香物質および/または香味物質をさらに含むことが好ましい。
【0078】
前記製剤または生成物が、以下の群から選択される、少なくとも1つまたは複数の芳香物質を含む場合、特に有利である:メントール(好ましくは、l-メントールおよび/またはラセミ体のメントール)、アネトール、アニソール、アニスアルデヒド、アニシルアルコール、(ラセミ体の)ネオメントール、ユーカリプトール(1,8-シネオール)、メントン(好ましくはL-メントン)、イソメントン(好ましくはD-イソメントン)、イソプレゴール、メンチルアセテート(好ましくはL-メンチルアセテート)、メンチルプロピオネート、カルボン(好ましくは(-)-カルボン、任意にスペアミントオイルの成分として)、サリチル酸メチル(任意にウィンターグリーンオイルの成分として)、酢酸オイゲノール、イソオイゲノールメチルエーテル、β-ホモシクロシトラール、オイゲノール、イソブチルアルデヒド、3-オクタノール、ジメチルスルフィド、ヘキサノール、ヘキサナール、トランス-2-ヘキセナール、シス-3-ヘキセノール、4-テルピネオール、ピペリトン、リナロール、8-オシメニルアセテート、イソアミルアルコール、イソバレルアルデヒド、α-ピネン、β-ピネン、リモネン(好ましくはD-リモネン、任意にエッセンシャルオイルの成分として)、ピペリトン、トランス-サビネン水和物、メントフラン、カリオフィレン、ゲルマクレンD、シンナムアルデヒド、ミントラクトン、チモール、γ-オクタラクトン、γ-ノナラクトン、γ-デカラクトン、(l,3E,5Z)-ウンデカトリエン、2-ブタノン、ギ酸エチル、3-オクチルアセテート、イソ吉草酸イソアミル、シス-およびトランス-カルビルアセテート、p-シモール、ダマセノン、ダマスコン、シス-ローズオキシド、トランス-ローズオキシド、フェンコール、アセトアルデヒドジエチルアセタール、1-エトキシエチルアセテート、シス-4-ヘプテナール、シス-ジャスモン、ジヒドロジャスモン酸メチル、2’-ヒドロキシプロピオフェノン、メンチルメチルエーテル、酢酸ミルテニル、2-フェニルエチルアルコール、2-フェニルエチルイソブチレート、2-フェニルエチルイソバレレート、ゲラニオール、ネロール、およびビリジフロロール、からなる群。
【0079】
医薬組成物
【0080】
本発明の別の目的は、上記で開示した甘味組成物または抽出物を含む、医薬組成物に関する。これらの組成物は、既に上述したように、追加の甘味料または甘味化合物、芳香化合物、香味化合物、およびそれらの混合物をさらに含むことができる。
【0081】
本発明による医薬組成物は、食品および口腔用組成物について既に説明したのと同様の添加剤、例えば芳香剤および香味剤、を含むことができる。医薬組成物は、油剤または乳化剤、および特に医薬活性剤の有利な特性を援助する共活性剤をさらに含んでもよい。したがって、食品組成物と医薬組成物との境界は流動的であり、ある用途で挙げられた成分は、文字通りの繰り返しなしに、他の適宜の変更に推奨されることが理解されるものである。
【0082】
産業用途
本発明の別の目的は、請求項1に記載の甘味組成物または請求項3に記載の抽出物を、口腔での使用を意図する組成物に、所望の程度の甘味を与えるのに十分な有効量で加えることを含む、食品または医薬組成物における、甘味作用を創出または増強する方法、に関する。通常、甘味組成物または抽出物は、最終組成物で計算して、1~約2000ppmの量で、食品、口腔用または医薬組成物に添加される。
【0083】
本発明の最後の目的は、上記の甘味組成物または抽出物の、食品または医薬組成物の甘味料としての使用に関する。
【0084】
好ましくは、式(I)の化合物の1つまたは複数が、組成物の総重量に基づくとともに、式(I)の化合物の全ての総合計(式(I)の化合物が2つ以上の場合)に基づいて、重量で1ppm~2000ppmの量で用いられる。より好ましくは、式(I)の甘味化合物は、組成物の総重量に基づくとともに、式(I)の化合物の全ての総合計(式(I)の化合物が2つ以上の場合)に基づいて、重量で10ppm~1000ppmの量、最も好ましくは、重量で20ppm~500ppmの量で用いられる。
【実施例】
【0085】
以下、実施例により本発明を説明するが、これらは本発明を限定するものではない。特に断りのない限り、すべての量、部およびパーセンテージは、重量および総量、または製剤の総重量および総量に基づく。
【0086】
実施例1 式(I)の化合物の抽出と同定
【0087】
植物原料
アマチャヅル(Gynostemma pentaphyllum)の葉は、2013年11月に、Kuerzi special food import & distribution (Juval Kuerzi,Vicolo del mulino 32,6648 Minusio,スイス)から、購入した。植物原料(バッチGyTh2366)は、2013年にタイで収集された(AnalytiCon Plant ID V-22072)。
【0088】
A)抽出
【0089】
アマチャヅルの乾燥葉1.0kgを、室温で24時間、12.5Lのメタノール-MTB-エーテルで抽出した。溶媒を真空でエバポレートした(収量:62.8gの抽出物、AnalytiCon抽出物-ID V-22072-W-01)。
【0090】
B)逆相クロマトグラフィーによる予備分画
【0091】
未精製の抽出物を逆相中圧クロマトグラフィーにかけて、目的のサポニンを濃縮した。逆相MPLCは、糖および脂質、ならびにフラボイノイドのような他の二次的代謝物を、非常に効率的に除去して、サポニンの濃縮画分を得ることが可能であり、これは、より精密なRP材料を用いたHPLCによる第2の分画工程の前に行うことができる。場合により、例えば、RP18とRP4材料の組み合わせなど、選択したサポニンをより特異的に濃縮するために、さまざまなMPLC予備分画法を組み合わせるのがよい。
【0092】
C-1911
【0093】
57.6gの未精製の抽出物V-22070-W-01を、以下の条件下で逆相中圧クロマトグラフィーにより分離した:
・固定相:RP-18、40-63μ(メルク)
・移動相溶媒A:水
・移動相溶媒B:メタノール
・60分で、溶媒A53%から溶媒A15%へのグラジエント
・カラム寸法:50×250mm
【0094】
以下の表1aに示すように、8個の画分を収集した。
【0095】
【0096】
C-2054
【0097】
62.8gの未精製の抽出物V-22072-W-01を、以下の条件下で逆相中圧クロマトグラフィーにより分離した:
・固定相:RP-18、40-63μ(メルク)
・移動相溶媒A:水
・移動相溶媒B:メタノール
・60分で、溶媒A43%から溶媒A10%へのグラジエント
・カラム寸法:50×250mm
【0098】
以下の表1bに示すように、16個の画分を収集した。
【0099】
【0100】
C-2562
【0101】
27.7gの未精製の抽出物V-22072-W-01を、以下の条件下で逆相中圧クロマトグラフィーにより分離した:
・固定相:RP-18、40-63μ(メルク)
・移動相溶媒A:水
・移動相溶媒B:メタノール
・60分で、溶媒A43%から溶媒A15%へのグラジエント
・カラム寸法:50×250mm
【0102】
以下に示すように、16個の画分を最初に収集し、これを合わせた。
【0103】
【0104】
C-2718
【0105】
MPLC C-2562による12.6gの合わせた画分を、以下の条件下で、短鎖RP材料を用いた逆相中圧クロマトグラフィーにより分離した:
・固定相:RP-4、40-63μ(メルク)
・移動相溶媒A:水
・移動相溶媒B:メタノール
・60分で、溶媒A58%から溶媒A20%へのグラジエント
・カラム寸法:50×250mm
【0106】
以下の表1dに示すように、10個の画分を収集した。
【0107】
【0108】
C)逆相クロマトグラフィーによる第2の精製工程
【0109】
純粋な化合物を、MPLCによる第1の分離工程からの異なる画分を用いた逆相クロマトグラフィーにより、単離した。化合物あたりの純度が>90%に達するのに、HPLCによる複数回の分離が必要な場合があった。光散乱検出ELSDにより検出した分取HPLCの操作によって得た有望な画分を、LCMSで分析した。目的の化合物を含むすべての画分の溶媒を真空中で除去し、続いて凍結乾燥工程を行った。単離した化合物は、LCMS、および、1Dおよび2DのNMR分光法によって同定した。以下の表は、化合物AからLの単離に用いた分取HPLC条件を示している。
【0110】
【0111】
表2b C-2054-EとC-2054-Rの分離条件
【表6】
【0112】
【0113】
さらなる分離工程のためのC-2201分画によるHPLC画分の合体
LCMSおよびNMR分析に基づいて、以下の画分を合わせた:
【表8】
【0114】
【0115】
【0116】
【0117】
【0118】
【0119】
【0120】
【0121】
【0122】
D)単離されたジテルペン-グリコシドの分析的同定
【0123】
分取HPLCからの画分を収集し(各40ml)、HPLC-MSによって分析した。保持時間とマススペクトルに従って同じ化合物を含む画分を合わせ、エバポレートし、HPLC-MSおよびNMR(1H-NMR、HH-COSY.HSQC.HMBC)により分析した。NMRおよびMSのデータの解析により構造を決定した。
【0124】
表3 単離された化合物のHPLC-MSの条件
【表17】
【0125】
E)同定:化合物の分析的特性
【0126】
単離された式(I)の化合物は、質量分析およびNMR分光によって特性が得られる(
図1から24を参照)。化合物は、以下のように同定された:
【0127】
【0128】
【0129】
【0130】
【0131】
【0132】
【0133】
【0134】
【0135】
【0136】
【0137】
【0138】
【0139】
実施例2 スクロースに対する式(I)の化合物の官能試験
【0140】
単離された純粋な化合物を、炭酸を含まないミネラルウォーター(「エビアン」)に、0.4mg/ml(400ppm)の濃度で溶解した。各サンプルの甘味を、3~4名のパネリストにより、20g/lの濃度のスクロース溶液と比較した。
【0141】
化合物A~Lは、400ppmの濃度で完全に溶解した。
【0142】
甘味は、以下のように評価した:
3 = 対照溶液よりも甘い
2 = 対照溶液に相当する甘さ
1 = 対照溶液より甘くないが、それでもなお甘い
【0143】
表4 官能評価、400ppmで水に溶解した試験化合物
【表18】
【0144】
製剤例
【0145】
以下の表5a~5dにより、上記で開示された甘味料の少なくとも1つを含む経口組成物のいくつかの実施例を提供する。
【0146】
表5a チューインガム(シュガーフリー);(量は全て重量%)
【表19】
【0147】
表5b 歯磨きペースト;(量は全て重量%)
【表20】
【0148】
表5c マウスウォッシュ濃縮液;(量は全て重量%)
【表21】
【0149】
表5d ハードボイルドキャンディ(シュガーフリー);(量は全て重量%)
【表22】
【0150】
【0151】
【0152】
本発明は、以下の
図1~24において提供する分析データによってさらに説明される:
図1 化合物A
1H-NMR
図2 化合物A LCMS
図3 化合物B
1H-NMR
図4 化合物B LCMS
図5 化合物C
1H-NMR
図6 化合物C LCMS
図7 化合物D
1H-NMR
図8 化合物D LCMS
図9 化合物E
1H-NMR
図10 化合物E LCMS
図11 化合物F
1H-NMR
図12 化合物F LCMS
図13 化合物G
1H-NMR
図14 化合物G LCMS
図15 化合物H
1H-NMR
図16 化合物H LCMS
図17 化合物I
1H-NMR
図18 化合物I LCMS
図19 化合物J
1H-NMR
図20 化合物J LCMS
図21 化合物K
1H-NMR
図22 化合物K LCMS
図23 化合物L
1H-NMR
図24 化合物L LCMS