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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-10
(45)【発行日】2023-08-21
(54)【発明の名称】容器の蓋閉め装置、容器の蓋閉め方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 7/28 20060101AFI20230814BHJP
【FI】
B65B7/28 N
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021104479
(22)【出願日】2021-06-23
(65)【公開番号】P2023003353
(43)【公開日】2023-01-11
【審査請求日】2021-06-25
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006622
【氏名又は名称】株式会社安川電機
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】弁理士法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桐原 浩一
(72)【発明者】
【氏名】小池 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】上塩 具宏
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-310594(JP,A)
【文献】特開2000-034029(JP,A)
【文献】特開平10-218385(JP,A)
【文献】実開昭55-092634(JP,U)
【文献】特開2001-072009(JP,A)
【文献】国際公開第2020/122103(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 7/00
B65H 1/00-3/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に積み重ねられた複数の蓋の上方に配置され、少なくとも一部が前記上下方向から見て前記蓋の縁部と重複するように配置された接触部材と、
前記複数の蓋の上端の前記蓋を保持する保持部と、
前記保持部により保持された前記蓋が、前記縁部を前記接触部材に接触させつつ上方に移動されて前記複数の蓋から分離され、装着対象の容器に搬送されて装着されるように、前記保持部を移動させる自動機と、
前記保持部に設置され、前記蓋を前記容器の開口に押し付ける押し付け部材と、
前記保持部に設置され、前記押し付け部材を駆動する駆動装置と、
を有し、
前記押し付け部材は、
前記容器の搬送方向において上流側に位置する前記蓋の第1の部位を前記容器の搬送中に押し付ける第1のピースと、
前記容器の搬送方向において下流側に位置する前記蓋の第2の部位を前記容器の搬送中に押し付ける第2のピースと、
を有し、
前記駆動装置は、
前記第1のピースを駆動する第1の駆動装置と、
前記第1のピースの駆動により前記上流側の前記第1の部位を前記搬送中に押し付けた後に時間差を設けて前記第2のピースを駆動して前記下流側の前記第2の部位を前記搬送中に押し付ける第2の駆動装置と、
を有する、容器の蓋閉め装置。
【請求項2】
前記押し付け部材は、
前記蓋の凸部の周囲を囲むように配置され、前記凸部に接触する複数の突起部材を有する、
請求項1に記載の容器の蓋閉め装置。
【請求項3】
前記押し付け部材は、
形状又は大きさの少なくとも一方が異なる他の種類の前記押し付け部材と交換可能に構成されている、
請求項1又は請求項2に記載の容器の蓋閉め装置。
【請求項4】
自動機により、上下方向に積み重ねられた複数の蓋の上端の前記蓋を保持することと、
前記自動機により、保持した前記蓋を、積み重ねられた複数の蓋の上方に配置され、少なくとも一部が前記上下方向から見て前記蓋の縁部と重複するように配置された接触部材に前記縁部を接触させつつ上方に移動させることにより、前記複数の蓋から分離し、装着対象の容器に搬送することと、
前記自動機により、前記容器の搬送方向において上流側に位置する前記蓋の第1の部位を前記容器の搬送中において前記容器の開口に押し付けることと、
前記自動機により、前記容器の搬送方向において下流側に位置する前記蓋の第2の部位を前記第1の部位の押し付け後に時間差を設けて前記容器の搬送中において前記容器の開口に押し付けることと、
を有する、容器の蓋閉め方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、容器の蓋閉め装置及び容器の蓋閉め方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、食品容器の被蓋装置が記載されている。この被蓋装置は、テーブルの所定位置に蓋を多段状に積み重ねる蓋積み重ね部を設け、蓋積み重ね部の前方にはテーブルに落とし穴を開口し、蓋積み重ね部の後方には蓋積み重ね部の最下部の蓋をテーブル上面沿いに落とし穴側に突き出すプッシャーを設け、落とし穴の先端側にはテーブル上面に沿って突き出した蓋の先端側を受け止めてプッシャーと共に蓋を落とし穴の入口に保持する蓋受け止め部を設け、落とし穴の上方には、落とし穴の入口に保持されている蓋を押下して、この蓋の真下位置に移動してくる充填済み容器本体に対して被蓋する蓋押下手段を設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-36949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術の被蓋装置では、多段状に積み重ねられた蓋が、柔らかく変形し易かったり、隣接する蓋とはまり合っているような場合には、蓋積み重ね部の下部から蓋を良好に分離できない可能性があり、信頼性の向上が求められていた。
【0005】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、信頼性を向上することが可能な容器の蓋閉め装置及び容器の蓋閉め方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の一の観点によれば、上下方向に積み重ねられた複数の蓋の上方に配置され、少なくとも一部が前記上下方向から見て前記蓋の縁部と重複するように配置された接触部材と、前記複数の蓋の上端の前記蓋を保持する保持部と、前記保持部により保持された前記蓋が、前記縁部を前記接触部材に接触させつつ上方に移動されて前記複数の蓋から分離され、装着対象の容器に搬送されて装着されるように、前記保持部を移動させる自動機と、を有する、容器の蓋閉め装置が適用される。
【0007】
また、本発明の別の観点によれば、容器の蓋を保持する保持部と、前記保持部により保持された前記蓋が前記容器に搬送されて装着されるように、前記保持部を移動させる自動機と、前記保持部に設置され、前記蓋を前記容器の開口に押し付ける押し付け部材と、前記保持部に設置され、前記押し付け部材を駆動する駆動装置と、を有し、前記押し付け部材は、前記蓋の第1の部位を押し付ける第1のピースと、前記蓋の第2の部位を押し付ける第2のピースと、を有し、前記駆動装置は、前記第1のピースを駆動する第1の駆動装置と、前記第1のピースと時間差を設けて前記第2のピースを駆動する第2の駆動装置と、を有する、容器の蓋閉め装置が適用される。
【0008】
また、本発明の別の観点によれば、自動機により、上下方向に積み重ねられた複数の蓋の上端の前記蓋を保持することと、前記自動機により、保持した前記蓋を、積み重ねられた前記複数の蓋の上方に配置され、少なくとも一部が前記上下方向から見て前記蓋の縁部と重複するように配置された接触部材に前記縁部を接触させつつ上方に移動させることにより、前記複数の蓋から分離することと、前記自動機により、保持した前記蓋を、装着対象の容器に搬送して装着することと、を有する、容器の蓋閉め方法が適用される。
【0009】
また、本発明の別の観点によれば、自動機により、容器の蓋を保持することと、前記自動機により、保持した前記蓋を前記容器に搬送することと、前記自動機により、前記蓋の第1の部位を前記容器の開口に押し付けることと、前記自動機により、前記蓋の第2の部位を前記第1の部位と時間差を設けて前記容器の開口に押し付けることと、を有する、容器の蓋閉め方法が適用される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の蓋閉め装置等によれば、信頼性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る蓋閉めシステムの全体構成の一例を表す斜視図である。
図2】蓋供給装置及び蓋搬送装置の構成の一例を表す右方向から見た側面図である。
図3】蓋供給装置の構成の一例を表す後方向から見た後面図である。
図4】蓋供給装置及び蓋搬送装置の構成の一例を表す上方向から見た上面図である。
図5図4中V-V断面による断面図である。
図6図5中VI部分の拡大図である。
図7】蓋閉めロボットの構成の一例を表す前方向から見た側面図である。
図8】蓋閉めロボットのハンドの構成の一例を表す斜視図である。
図9】ハンドの構成の一例を表す下方向から見た下面図である。
図10】蓋を吸着した状態のハンドの図9中X-X断面に相当する断面図である。
図11】蓋供給工程の動作手順の一例を表すフローチャートである。
図12】蓋装着工程の動作手順の一例を表すフローチャートである。
図13】変形例に係る容器の一例を表す斜視図である。
図14】変形例に係る容器及びトップシールの一例を表す斜視図である。
図15】変形例に係る接触部材とトップシールとの接触部分を拡大して表す図である。
図16】変形例に係るハンドの構成の一例を表す下方向から見た下面図である。
図17】トップシールを吸着した状態のハンドの図14中XVII-XVII断面に相当する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施の形態について図面を参照しつつ説明する。以下の説明において、蓋閉め装置等の構成の説明の便宜上、上下左右前後等の方向を適宜使用する場合があるが、蓋閉め装置等の各構成の位置関係を限定するものではない。本実施形態において、上下方向は鉛直方向、左右方向は搬送コンベアの延設方向、前後方向は上下方向及び左右方向の両方向に垂直な方向を指す。
【0013】
<1.蓋閉めシステムの全体構成>
図1を参照しつつ、実施形態に係る蓋閉めシステム1の全体構成の一例について説明する。図1は、実施形態に係る蓋閉めシステム1の全体構成の一例を表す斜視図である。
【0014】
図1に示すように、蓋閉めシステム1は、蓋閉め装置3と、搬送コンベア5とを有する。搬送コンベア5は、複数の容器7を矢印9で示す搬送方向に一定の間隔で搬送する。蓋閉め装置3は、搬送コンベア5により搬送される容器7に蓋11を装着する蓋閉め作業を行う。容器7及び蓋11は、例えば円形状の容器として形成されているが、楕円や四角形等、円形以外の形状としてもよい。容器7及び蓋11は、例えばご飯、麺類、総菜等の食品を収容する食品容器でもよいし、食品以外を収容する容器でもよい。容器7及び蓋11は、例えばポリプロピレン等のプラスチック材で構成されているが、プラスチック以外の素材で構成されてもよい。搬送コンベア5は、搬送と停止を繰り返す間欠運転としてもよいし、搬送を連続的に行う連続運転としてもよい。
【0015】
蓋閉め装置3は、架台13と、蓋供給装置15と、蓋搬送装置17と、蓋閉めロボット19と、容器センサ21とを有する。
【0016】
架台13は、蓋供給装置15、蓋搬送装置17、蓋閉めロボット19、及び容器センサ21等を搭載する。架台13は、車輪23により任意の設置場所に移動可能であると共に、ストッパ25により固定的に設置することが可能である。
【0017】
蓋供給装置15は、例えば2組設置されている。2組の蓋供給装置15は、架台13の後方において左右方向に並べて搭載されている。各蓋供給装置15は、上下方向に積み重ねられた複数の蓋11を収容する。各蓋供給装置15は、上下方向に積み重ねられた所定数(例えば50枚)の蓋11を1セットとし、複数セット(例えば3セット)の蓋11を収容する。
【0018】
蓋搬送装置17は、2組の蓋供給装置15にそれぞれ対応するように、例えば2組設置されている。2組の蓋搬送装置17は、架台13においてそれぞれが前後方向に沿うように、且つ、左右方向に並べて搭載されている。各蓋搬送装置17は、各蓋供給装置15に収容された複数セットの蓋11のうち、下段の1セットの蓋11を前方の蓋切り出し部27に向けて搬送する。
【0019】
蓋閉めロボット19(自動機の一例)は、蓋搬送装置17により蓋切り出し部27に搬送された複数の蓋11の上端の蓋11を保持するハンド79(保持部の一例)を有する。蓋閉めロボット19は、ハンド79により保持された上端の1枚の蓋11が、上方に移動されて残りの複数の蓋11から分離され、装着対象の容器7に搬送されて装着されるように、ハンド79を移動させる。蓋閉めロボット19は、例えばパラレルリンクロボットである。蓋閉めロボット19として、例えば垂直多関型ロボット、水平多関節型ロボット、直動型ロボット等を使用してもよい。蓋閉めロボット19は、2組の蓋供給装置15及び2組の蓋搬送装置17に対して共通に設けられている。蓋閉めシステム1では、蓋供給装置15及び蓋搬送装置17が2組配置され、蓋閉めロボット19へ蓋11を供給する作業工程を並列化することで、サイクルタイムを短縮化できる。
【0020】
容器センサ21は、架台13の左前方に搭載されており、搬送コンベア5により搬送される容器7を蓋閉め装置3の入口で検出する。容器センサ21は、例えばカメラであり、撮像された画像に対して所定の画像認識処理を行うことにより、容器7の位置や向きを検出する。蓋閉めロボット19は、容器センサ21により検出された容器7の位置や向きに基づいて、ハンド79のX軸方向の位置、Y軸方向の位置、Z軸方向の位置、及びZ軸周りの角度θを調整する。X軸方向は搬送コンベア5による搬送方向(左右方向)、Y軸方向は搬送コンベア5の幅方向(前後方向)、Z軸方向は鉛直方向(上下方向)である。容器センサ21として、カメラ以外のセンサを使用してもよい。
【0021】
<2.蓋供給装置、蓋搬送装置の構成>
図2乃至図6を参照しつつ、蓋供給装置15及び蓋搬送装置17の構成の一例について説明する。図2は、蓋供給装置15及び蓋搬送装置17の構成の一例を表す右方向から見た側面図、図3は、蓋供給装置15の構成の一例を表す後方向から見た後面図、図4は、蓋供給装置15及び蓋搬送装置17の構成の一例を表す上方向から見た上面図、図5は、図4中V-V断面による断面図、図6は、図5中VI部分の拡大図である。
【0022】
図2乃至図4に示すように、蓋供給装置15は、左右方向に対向配置された一対のガイド板29と、ガイド板29の前側に配置された一対のガイド板31と、ガイド板29の後側に配置された一対の扉33とを有する。複数の蓋11は、ガイド板29,31及び扉33により囲まれた空間内に収容される。扉33は、ヒンジ35によりガイド板29に対して後側に開閉可能に設置されている。作業者が取っ手37を使用して扉33を開放することで、蓋供給装置15に対して後側から蓋11を補充することが可能となっている。
【0023】
ガイド板29には、蓋11を上下方向の途中位置で支持する複数(例えば2つ)の支持装置39が設けられている。支持装置39は、爪部材41と、爪部材41を開閉駆動する駆動装置43とを有する。駆動装置43は例えばエアシリンダであるが、サーボモータ等の他の駆動装置を使用してもよい。各支持装置39は、爪部材41を閉じた場合には1セットの蓋11を支持する。蓋供給装置15は、2つの支持装置39により上段及び中段にそれぞれ支持される2セットの蓋11と、下段(2つの支持装置39のうち下方の支持装置39の下部のスペース)に配置される1セットの蓋11とを合わせた、計3セットの蓋11を収容する。ガイド板31は、上段及び中段の前方側にのみ設置され、下段の前方側には設置されず開口している。下段の蓋11が蓋搬送装置17により前方に搬送されて下段のスペースが空くと、各支持装置39がそれぞれ爪部材41を開き、中段の蓋11が下段に落下され、上段の蓋11が中段に落下される。このようにして空いた上段のスペースに、新たな1セットの蓋11が補充される。
【0024】
一対のガイド板29は、それぞれに設置されたガイド板31と共に、例えばサーボモータ(図示省略)により左右方向に移動可能に設置されている。蓋11の大きさや形状に合わせて、各ガイド板29が左右方向にそれぞれ移動されることにより、蓋11を収容する空間の左右方向の幅を調整することができる。
【0025】
図2及び図4に示すように、蓋搬送装置17は、蓋供給装置15の下段に収容された1セットの蓋11を前方の蓋切り出し部27に向けて搬送する搬送装置45を有する。搬送装置45は、例えば2本のループ状のベルトをモータ46(図2及び図5参照)により周回駆動させることで蓋11を搬送する。搬送装置45は、ベルト以外にも、例えばローラやスライダ等を使用して搬送する構成としてもよい。蓋搬送装置17による搬送路の途中には、上下方向に昇降可能なストッパ47が設置されている。蓋切り出し部27において蓋11が1枚ずつ分離されている最中には、ストッパ47が上昇されて搬送路に突出し、1セットの蓋11を当接させて蓋切り出し部27の後側のストッパ位置48で待機させる。蓋切り出し部27の蓋11が無くなった場合には、ストッパ47が搬送路の下に収容され、ストッパ位置48に待機させた1セットの蓋11が蓋切り出し部27に搬送される。蓋搬送装置17では、ストッパ47により搬送路の途中で蓋11を待機させることで、蓋切り出し部27への蓋11の供給を速やかに実行でき、サイクルタイムを短縮化できる。
【0026】
ストッパ47は、前後方向の位置を調整可能に設置されている。蓋11の大きさや形状に合わせて、ストッパ47の前後方向の位置を調整することにより、蓋11の待機位置であるストッパ位置48を調整することができる。
【0027】
図4に示すように、蓋搬送装置17は、前側の端部に、昇降駆動可能なテーブル49を備えた昇降装置51を有する。昇降装置51は、蓋搬送装置17により蓋切り出し部27に搬送された1セットの蓋11をテーブル49に載置し、上方に移動させる。昇降装置51は、複数の蓋11のうちの上端の蓋11の縁部11aを、複数の接触部材53,55,57に押し当てるように上方に移動させる。昇降装置51は、上端の蓋11が切り出される度に、上から2段目の蓋11(残りの複数の蓋11のうちの上端の蓋11)を、複数の接触部材53,55,57に押し当てるように逐次上方に移動させる。
【0028】
図5に示すように、上下方向に積み重ねられた蓋11の上方には、上端の蓋11を検出する蓋センサ58が設置されている。蓋センサ58は、例えば赤外線センサであり、赤外線を発光する発光部58aと、赤外線を受光する受光部58bとを有する。昇降装置51は、所定の高さに設置された蓋センサ58が上端の蓋11を検出した場合にテーブル49の上昇を停止させる。蓋センサ58の設置高さを調整することにより、昇降装置51による蓋11の上昇量を調整できる。例えば上述のように、上端の蓋11の縁部11aが複数の接触部材53,55,57に接触するまでテーブル49を上昇させてもよい。あるいは、上端の蓋11の縁部11aが接触部材53,55,57に接触する前にテーブル49の上昇を停止させてもよい。
【0029】
図4に示すように、接触部材53,55,57はそれぞれ一対ずつ(計6個)設けられている。接触部材53,55,57は、蓋切り出し部27に配置された複数の蓋11の上方において、蓋11の周囲を囲むように配置されている。接触部材53,55,57は、上下方向に略同じ高さとなるように設置されている。図4及び図6に示すように、各接触部材53,55,57は、少なくとも一部が上下方向から見て蓋11の縁部11aと重複するように配置されている。蓋閉めロボット19が上端の蓋11を保持して上方に移動させると、縁部11aが接触部材53,55,57との接触により変形し、上端から2つ目以下の蓋11が分離され、上端の蓋11のみを分離することができる。
【0030】
接触部材53,55,57は、上下方向に弾性変形可能に構成されている。接触部材53,55,57は、例えばゴム素材で構成されている。接触部材53,55,57は、ゴム素材とする以外にも、例えばループ状のワイヤとすることで上下方向に弾性を持たせてもよい。
【0031】
図4に示すように、一対の接触部材53は、蓋切り出し部27に載置された蓋11の後側において、左右方向に間隔を空けて配置されている。各接触部材53は、爪部材59の先端から蓋11に向けて突出して設けられている。一対の爪部材59は、第1支持部材61により支持されている。第1支持部材61、爪部材59及び接触部材53は、搬送装置45により搬送される1セットの蓋11と干渉しないように、上端の蓋11よりも高い位置に設置されている。各爪部材59は、第1支持部材61に対して左右方向の位置及び向き(鉛直軸周りの角度)を変更可能に固定されている。第1支持部材61は、立設された第2支持部材63に対して上下方向の位置を変更可能に固定されている。第2支持部材63は、サーボモータ65により前後方向に移動し、前後方向の位置を調整することが可能である。上記構成により、一対の接触部材53の位置又は向きの少なくとも一方が蓋11の形状や大きさに応じて変更されることで、多品種の容器に対応できる。
【0032】
一対の接触部材55は、蓋切り出し部27に載置された蓋11の前側において、左右方向に間隔を空けて配置されている。各接触部材55は、爪部材67の先端から蓋11に向けて突出して設けられている。各爪部材67は、支持部材69により支持されている。各爪部材67は、支持部材69に対して上下方向の位置、左右方向の位置、及び向き(鉛直軸周りの角度)を変更可能に固定されている。上記構成により、一対の接触部材55の位置又は向きの少なくとも一方が蓋11の形状や大きさに応じて変更されることで、多品種の容器に対応できる。
【0033】
一対の接触部材57は、蓋切り出し部27に載置された蓋11の左右両側において、蓋11を挟んで対向するように配置されている。各接触部材57は、爪部材71の先端から蓋11に向けて突出して設けられている。各爪部材71は、駆動装置73により左右方向に移動可能に設けられている。駆動装置73は例えばエアシリンダであるが、サーボモータ等の他の駆動装置を使用してもよい。各駆動装置73は、支持部材75に対して上下方向の位置、左右方向の位置、及び向き(鉛直軸周りの角度)を変更可能に固定されている。上記構成により、一対の接触部材57の位置又は向きの少なくとも一方が蓋11の形状や大きさに応じて変更されることで、多品種の容器に対応できる。
【0034】
接触部材は、蓋11の周囲を囲むように配置されればよく、その数は3個以上であれば特に限定されるものではない。例えば、上述の接触部材57を省略して、接触部材53,55をそれぞれ一対ずつ(計4個)設置した構成としてもよい。
【0035】
蓋11が柔らかい場合と硬い場合とで、次のような使い分けをしてもよい。例えば蓋11が柔らかい場合には、蓋11が上部の蓋11の重量により変形したり、積み重ねられた蓋11が傾斜したり、上下方向に隣接する蓋11同士が嵌まり込む等により、蓋11と蓋11との間に隙間が安定して形成されない場合がある。このため、蓋11と蓋11との隙間に接触部材を差し込んで分離させるのは難しい。この場合、上述したように、積み重ねられた複数の蓋11の上端の蓋11を接触部材53,55,57に接触させて傾斜を矯正し、上端の蓋11を水平にした状態で保持するのが好ましい。保持された蓋11が上方に移動され、縁部11aが接触部材53,55,57との接触により変形すると、上端から2段目以下の蓋11が分離され、上端の蓋11のみを分離することができる。
【0036】
一方、例えば蓋11が硬い場合には、蓋11の変形、傾斜、嵌まり込み等が生じにくいため、蓋11と蓋11との間に隙間が安定して形成される。このため、蓋11と蓋11との隙間に接触部材を差し込んで分離させることが可能である。この場合、例えば接触部材57については接触部材53,55よりも低い位置に設置しておき、接触部材57を蓋11から離間させた状態で上端の蓋11を接触部材53,55に接触させると共に、接触部材57を上端の蓋11と2段目の蓋11との間に差し込む構成としてもよい。これにより、上端の蓋11を保持して上方に移動する際に、2段目以下の蓋11を接触部材57で押さえることができるため、上端の蓋11のみをより確実に分離することができる。
【0037】
<3.蓋閉めロボットの構成>
図7を参照しつつ、蓋閉めロボット19の構成の一例について説明する。図7は、蓋閉めロボット19の構成の一例を表す前方向から見た側面図である。
【0038】
図7に示すように、蓋閉めロボット19は例えばパラレルリンクロボットとして構成されている。蓋閉めロボット19は、固定ベース77と、可動ベース78と、ハンド79と、3つのアームA1,A2,A3と、3つのモータM1,M2,M3(図1参照)とを有する。3つのアームA1,A2,A3は、蓋閉めロボット19の中心軸AX周りの円周方向に所定の角度間隔で配置され、固定ベース77と可動ベース78とを連結する。3つのモータM1,M2,M3は、固定ベース77の上部に配置され、それぞれアームA1,A2,A3を駆動する。3つのモータM1,M2,M3の動力を減速して3つのアームA1,A2,A3にそれぞれ伝達する3つの減速機R1,R2,R3(図1参照)は、固定ベース77の下部に配置されている。
【0039】
3つのアームA1,A2,A3は同様の構成を有する。アームA1は、減速機R1に連結された上アーム部A1Uと、上アーム部A1Uと可動ベース78とに連結された2つの下アーム部A1Lとを有する。2つの下アーム部A1Lは、球面軸受81aにより上アーム部A1Uと連結され、球面軸受83aにより可動ベース78と連結される。アームA2は、減速機R2に連結された上アーム部A2Uと、上アーム部A2Uと可動ベース78とに連結された2つの下アーム部A2Lとを有する。2つの下アーム部A2Lは、球面軸受81bにより上アーム部A2Uと連結され、球面軸受83bにより可動ベース78と連結される。アームA3は、減速機R3に連結された上アーム部A3Uと、上アーム部A3Uと可動ベース78とに連結された2つの下アーム部A3Lとを有する。2つの下アーム部A3Lは、球面軸受81cにより上アーム部A3Uと連結され、球面軸受83cにより可動ベース78と連結される。
【0040】
上記構成により、蓋閉めロボット19は、可動ベース78の下部に設置されたハンド79をX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向に可動させ、ハンド79で保持した蓋11のX軸方向の位置、Y軸方向の位置、及びZ軸方向の位置を調整する。蓋閉めロボット19は、可動ベース78の上部に配置されたモータ84を有する。モータ84は、ハンド79をZ軸周りに回転させ、ハンド79で保持した蓋11のZ軸周りの角度θを調整する。
【0041】
図7に示すように、ハンド79は、例えば一対の吸着パッド85を有する。ハンド79は、蓋切り出し部27に配置された複数の蓋11の上端の蓋11を一対の吸着パッド85により吸着し、保持する。蓋閉めロボット19は、ハンド79により保持された蓋11が、縁部11aを接触部材53,55,57に接触させつつ上方に移動されて複数の蓋11から分離され、装着対象の容器7に搬送されて装着されるように、ハンド79を移動させる。蓋11を容器7に装着する際には、吸着パッド85による吸着が解除される。
【0042】
<4.ハンドの構成>
図8乃至図10を参照しつつ、ハンド79の構成の一例について説明する。図8は、蓋閉めロボット19のハンドの構成の一例を表す斜視図、図9は、ハンドの構成の一例を表す下方向から見た下面図、図10は、蓋11を吸着した状態のハンドの図9中X-X断面に相当する断面図である。
【0043】
図8に示すように、ハンド79は、ハンドベース87と、押し付け部材89と、駆動装置91とを有する。ハンドベース87は、略箱状に形成されており、下部に2つの吸着パッド85が設置されている。図9に示すように、2つの吸着パッド85は、ハンドベース87の対角線上において中心からずれた位置、且つ、押し付け部材89の外周から離れた中心寄りの位置に所定の間隔を空けて配置されている。このような配置により、吸着パッド85が蓋11の縁部11aの変形を阻害しないようにできると共に、例えば蓋11の中心に空気抜き穴が形成されている場合に当該空気抜き穴を塞ぐことを防止できる。
【0044】
図8及び図9に示すように、押し付け部材89はリング状に形成されている。押し付け部材89は、蓋11を容器7の開口に押し付けるための部材である。押し付け部材89は、蓋11の一方側の半分の部位(第1の部位の一例)を押し付ける第1のピース89Aと、蓋11の他方側の半分の部位(第2の部位の一例)を押し付ける第2のピース89Bとを有する。第1のピース89Aの下部には例えば2つの円弧状の当接部93Aが設けられ、第2のピース89Bの下部には例えば2つの円弧状の当接部93Bが設けられている。図10に示すように、当接部93A,93Bは蓋11の縁部11aに当接して容器7の開口に押し付ける。
【0045】
駆動装置91は、ハンドベース87に設置され、支持部材88を介して押し付け部材89を駆動する。駆動装置91は、第1のピース89Aを駆動する第1の駆動装置91Aと、第2のピース89Bを駆動する第2の駆動装置91Bとを有する。第2の駆動装置91Bは、第1のピース89Aと時間差を設けて第2のピース89Bを駆動する。例えば、先に第1のピース89Aを駆動させて蓋11の一方側の半分の部位を容器7の開口に押し付けた後、例えば数十mm秒程度経過した後に、第2のピース89Bを駆動させて蓋11の他方側の半分の部位を容器7の開口に押し付けてもよい(いわゆる2段押し)。容器7の搬送方向において上流側に位置する蓋11の半分の部位を先に押し付け、下流側に位置する蓋11の半分の部位を後で押し付けることで、特に容器7を搬送しながら蓋閉めを行う場合の蓋閉めの成功率を向上できる。
【0046】
押し付け部材89は、支持部材88と共に駆動装置91から取り外し、形状又は大きさの少なくとも一方が異なる他の種類の押し付け部材と交換することが可能である。押し付け部材89を、蓋11の形状や大きさに応じて変更することで、多品種の容器の蓋閉めが可能となる。
【0047】
図9に示すように、押し付け部材89の下部には、複数(例えば8個)の突起部材95が設けられている。複数の突起部材95は、装着される蓋11の凸部11bの周囲を囲むように配置されている。図10に示すように、複数の突起部材95が蓋11の凸部11bに接触することにより、蓋11を位置決めした状態で吸着することができる。突起部材95の数は、蓋11の周囲を囲むように配置されて位置決めできればよく、その数は3個以上であれば特に限定されるものではない。
【0048】
上述したハンド79の構成は一例であり、上述の内容に限定されるものではない。例えば、押し付け部材89は必ずしも複数のピースで構成する必要はない。蓋11に対し2段押しをしない場合には、例えば押し付け部材89を単体のリング状の部材とし、単体の駆動装置91で駆動する構成としてもよい。押し付け部材89を複数のピースで構成する場合には、2個に限らず、3個以上のピースとしてもよい。
【0049】
<5.蓋閉め装置の動作手順>
図11及び図12を参照しつつ、蓋閉め装置3の動作手順の一例について説明する。図11は、蓋供給工程の動作手順の一例を表すフローチャートであり、図12は、蓋装着工程の動作手順の一例を表すフローチャートである。これらの動作手順は、蓋供給装置15、蓋搬送装置17、蓋閉めロボット19、及び、その他蓋閉め装置3を構成する各装置を制御する1又は複数のコントローラ(図示省略)によって実行される。
【0050】
図11に示す蓋供給工程は、蓋切り出し部27に1セットの蓋11を供給する工程である。予め蓋供給装置15の上段、中段、下段にそれぞれ蓋11が収容され、蓋搬送装置17によりストッパ位置48に蓋11が搬送されているものとする。
【0051】
図11に示すように、ステップS10では、蓋切り出し部27が空となっているか否かが判定される。蓋切り出し部27に1枚以上の蓋11が存在する場合には(ステップS10:NO)、蓋11が無くなるまで本ステップS10を繰り返す。蓋切り出し部27が空となった場合には(ステップS10:YES)、次のステップS20に移る。
【0052】
ステップS20では、蓋搬送装置17の搬送装置45により、ストッパ位置48の蓋11が蓋切り出し部27に搬送される。
【0053】
ステップS30では、蓋搬送装置17の搬送装置45により、蓋供給装置15の下段の蓋11がストッパ位置48に搬送される。ステップS20とステップS30は、同時並行して実行されてもよい。
【0054】
ステップS40では、蓋供給装置15の支持装置39の駆動により、上段及び中段のスペースに収容された蓋11がそれぞれの下方のスペースである中段及び下段に移動(落下)される。
【0055】
ステップS50では、上記ステップS40により空きとなった蓋供給装置15の上段のスペースに対し、1セットの蓋11が補充される。当該補充は作業者が手作業で行ってもよいし、ロボット等の自動機が行ってもよい。以上により、本フローチャートを終了する。
【0056】
図12に示す蓋装着工程は、蓋切り出し部27に供給された蓋11を1枚ずつ切り出して容器7に装着する工程である。
【0057】
図12に示すように、ステップS110では、蓋切り出し部27に1セットの蓋11が供給されているか否かが判定される。蓋切り出し部27に蓋11が供給されていない場合には(ステップS110:NO)、蓋11が供給されるまで本ステップS110を繰り返す。蓋切り出し部27に蓋11が供給された場合には(ステップS110:YES)、次のステップS120に移る。
【0058】
ステップS120では、昇降装置51により、蓋切り出し部27に載置された複数の蓋11が上端の蓋11を複数の接触部材53,55,57に押し当てるように上方に移動される。
【0059】
ステップS130では、蓋閉めロボット19のハンド79により上端の蓋11が吸着され、接触部材53,55,57に接触させつつ上方に移動されて、残りの下方の蓋11から分離される。
【0060】
ステップS140では、蓋閉めロボット19のハンド79により吸着された蓋11が容器7に搬送されて装着される。この際、第1の駆動装置91Aにより先に第1のピース89Aが駆動されて蓋11の一方側の半分の部位が容器7の開口に押し付けられ、その後、第2の駆動装置91Bにより第2のピース89Bが駆動されて蓋11の他方側の半分の部位が容器7の開口に押し付けられる。
【0061】
ステップS150では、蓋切り出し部27が空となっているか否かが判定される。蓋切り出し部27に1枚以上の蓋11が存在する場合には(ステップS150:NO)、ステップS120に戻る。蓋切り出し部27が空となるまで、ステップS120~ステップS140が繰り返される。蓋切り出し部27が空となった場合には(ステップS150:YES)、最初のステップS110に戻る。以上により、本フローチャートを終了する。
【0062】
上述した処理手順は一例であって、上記手順の少なくとも一部を削除又は変更してもよいし、上記以外の手順を追加してもよい。また、上記手順の少なくとも一部の順番を変更してもよいし、複数の手順が単一の手順にまとめられてもよい。図11に示す蓋供給工程と図12に示す蓋装着工程は、一部又は全部の手順が同時並行して実行されてもよい。
【0063】
<6.実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態の蓋閉め装置3は、上下方向に積み重ねられた複数の蓋11の上方に配置され、少なくとも一部が上下方向から見て蓋11の縁部11aと重複するように配置された接触部材53,55,57と、複数の蓋11の上端の蓋11を保持するハンド79と、ハンド79により保持された蓋11が、縁部11aを接触部材53,55,57に接触させつつ上方に移動されて複数の蓋11から分離され、装着対象の容器7に搬送されて装着されるように、ハンド79を移動させる蓋閉めロボット19と、を有する。
【0064】
本実施形態の蓋閉め装置3では、ハンド79が上下方向に積み重ねられた複数の蓋11のうちの上端の蓋11を保持し、蓋閉めロボット19が蓋11を保持したハンド79を移動させることで、蓋11を容器7に搬送して装着する。ハンド79により保持された蓋11は、縁部11aを接触部材53,55,57に接触させつつ上方に移動されて複数の蓋11から分離される。例えば蓋11がプラスチックやフィルムのように変形し易い材質で構成されている場合には、蓋11の縁部11aが接触部材53,55,57との接触により変形して上端から2つ目以下の蓋11が分離され、上端の蓋11のみを分離することができる。したがって、積み重ねられた複数の蓋11から上端の蓋11を良好に分離することが可能となり、蓋閉め装置3の信頼性を向上できる。
【0065】
また、例えば蓋11を下端で分離する方式の場合は、蓋11を分離する場所が装置の内部となり、作業者が手が届きにくい場所となってしまう。このため、部品交換や調整等のメンテナンス作業が難しく、段取り変えが困難となる場合がある。本実施形態の蓋閉め装置3は、蓋11を上端で分離する方式であるため、蓋11を分離する場所が作業者が手が届きやすい場所となる。このため、部品交換や調整等のメンテナンス作業が容易となり、段取り変えが可能となる。したがって、多品種に対応することが可能な蓋閉め装置3を実現できる。
【0066】
本実施形態において、蓋閉め装置3は、上端の蓋11を接触部材53,55,57に押し当てるように、積み重ねられた複数の蓋11を上方に移動させる昇降装置51をさらに有してもよい。
【0067】
この場合、積み重ねられた蓋11の傾きを矯正し、上端の蓋11を水平にした状態でハンド79で保持することができる。これにより、ハンド79による保持位置(吸着パッド85による吸着位置)の再現性を得ることができ、信頼性を高めることができる。
【0068】
本実施形態において、接触部材53,55,57は、上下方向に弾性変形可能に構成されてもよい。
【0069】
この場合、上端の蓋11の縁部11aが接触部材53,55,57に接触した際に、接触部材53,55,57が弾性変形して衝撃を緩和でき、蓋11の損傷を防止できる。また、上端の蓋11が上方に通過した後に、接触部材53,55,57が弾性により元の形状に戻り、上端から2つ目の蓋11の縁部11aに引っ掛かる。これにより、上端の蓋11を2つ目以下の蓋11と円滑に分離することができる。また、例えば蓋11が硬い材質で構成されている場合にも接触部材53,55,57が弾性変形することで対応可能となり、汎用性を向上できる。
【0070】
本実施形態において、接触部材53,55,57は、3つ以上設置されており、蓋11の周囲を囲むように配置されてもよい。
【0071】
この場合、蓋11の周囲を囲むように配置された3つ以上の接触部材53,55,57が蓋11の縁部11aに接触することにより、蓋11の位置を3以上の方向から規制して位置決めすることができる。これにより、ハンド79による保持位置(吸着パッド85による吸着位置)の再現性を得ることができ、信頼性を高めることができる。
【0072】
本実施形態において、接触部材53,55,57は、位置又は向きの少なくとも一方を変更可能に設置されてもよい。
【0073】
この場合、接触部材53,55,57の位置又は向きの少なくとも一方を変更することで、大きさや形状が異なる多種類の蓋11に対応することができる。したがって、多品種の容器の蓋閉めが可能な蓋閉め装置3を実現できる。
【0074】
本実施形態において、蓋閉め装置3は、ハンド79に設置され、蓋11を容器7の開口に押し付ける押し付け部材89と、ハンド79に設置され、押し付け部材89を駆動する駆動装置91とをさらに有してもよい。
【0075】
この場合、蓋閉めロボット19によるハンド79の移動だけで蓋11を容器7に装着するのではなく、駆動装置91による押し付け部材89の駆動により、さらに蓋11を容器7の開口に押し付けることができる(いわゆるダメ押し)。これにより、蓋閉めの成功率を向上できる。
【0076】
本実施形態において、押し付け部材89は、蓋11の一方側の半分の部位を押し付ける第1のピース89Aと、蓋11の他方側の半分の部位を押し付ける第2のピース89Bとを有してもよく、その場合には、駆動装置91は、第1のピース89Aを駆動する第1の駆動装置91Aと、第1のピース89Aと時間差を設けて第2のピース89Bを駆動する第2の駆動装置91Bとを有してもよい。
【0077】
例えば蓋11の形状、大きさ、又は蓋11と容器7の位置関係等によっては、蓋11の全体を容器7の開口に対して同時に押し付けるよりも、片側ずつ押し付けた方が好ましい場合も考えられる。例えば楕円や長方形等、蓋11の一方の寸法(長軸、長辺)が他方の寸法(短軸、短辺)よりも長い場合、寸法が長い方の方向に沿って片側ずつ押し付けた方が装着し易い。本実施形態の場合には、押し付け部材89を複数のピースで構成し、各ピースを時間差を設けて駆動することにより、例えば蓋11を片側ずつ押し付けて容器7に装着することが可能となり、蓋閉めの成功率を向上できる。
【0078】
また、例えば空気抜き穴が形成されていない蓋11の場合には、蓋11の全体を容器7の開口に対して同時に押し付けると空気の逃げ場がなく、良好に蓋閉めができない場合も考えられる。本実施形態の場合には、押し付け部材89を複数のピース89A,89Bで構成し、各ピース89A,89Bを時間差を設けて駆動することにより、空気を逃がしながら蓋11を容器7に装着することが可能となり、蓋閉めの成功率を向上できる。
【0079】
また、空気抜き穴が形成されている蓋11の場合であっても、例えば容器7の内容物の種類によっては、蓋閉め時に内容物が蓋11に付着して空気抜き穴が塞がれる場合も考えられる。本実施形態では、このような場合でも空気を逃がしながら蓋11を容器7に装着できるので、蓋閉めの成功率を向上できる。
【0080】
本実施形態において、押し付け部材89は、蓋11の凸部11bの周囲を囲むように配置された、凸部11bに接触する複数の突起部材95を有してもよい。
【0081】
この場合、ハンド79が蓋11を保持する際に、押し付け部材89に蓋11の凸部11bの周囲を囲むように配置された複数の突起部材95が蓋11の凸部11bに接触することにより、蓋11の位置を複数方向から規制して位置決めすることができる。これにより、ハンド79による保持位置(吸着パッド85による吸着位置)の再現性を得ることができ、信頼性を高めることができる。
【0082】
本実施形態において、押し付け部材89は、形状又は大きさの少なくとも一方が異なる他の種類の押し付け部材と交換可能に構成されてもよい。
【0083】
この場合、押し付け部材89を形状又は大きさの少なくとも一方が異なる他の種類の押し付け部材に変更することで、大きさや形状が異なる多種類の蓋11に対応することができる。したがって、多品種の容器の蓋閉めが可能な蓋閉め装置3を実現できる。
【0084】
<7.変形例>
開示の実施形態は、上述した内容に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0085】
例えば、上記実施形態では容器7にプラスチック製の蓋11を装着する場合について説明したが、蓋閉め装置3の用途はこれに限らず、例えばトップシールを容器に溶着して蓋閉めを行う場合にも適用可能である。図13乃至図17を参照しつつ、本変形例の内容について説明する。
【0086】
図13及び図14に、本変形例に係る容器及びトップシールの一例を示す。図13及び図14に示すように、トップシール97(蓋の一例)は、例えば透明フィルム材で構成された円形状の蓋である。トップシール97は、容器99の円形状の開口の周囲に形成されたつば部99aに溶着により固定される。トップシール97及び容器99は、例えば円形状の容器として形成されているが、楕円や四角形等、円形以外の形状の容器としてもよい。
【0087】
図15に、本変形例に係る接触部材57とトップシール97との接触部分を拡大して示す。図15に示すように、接触部材57(接触部材53,55も同様)は、少なくとも一部が上下方向から見てトップシール97の縁部97aと重複するように配置されている。縁部97aは、例えば容器99のつば部99aに溶着される部分及びその外周部分である(図14参照)。蓋閉めロボット19が、上下方向に積み重ねられた複数のトップシール97のうちの上端のトップシール97を保持して上方に移動させると、縁部97aが接触部材53,55,57との接触により変形し、上端から2枚目以下のトップシール97が分離され、上端のトップシール97のみを分離することができる。本変形例における搬送コンベア5、蓋供給装置15、蓋搬送装置17、及び蓋閉めロボット19等の構成は、前述の実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0088】
図16は、本変形例に係るハンドの構成の一例を表す下方向から見た下面図、図17は、トップシール97を吸着した状態のハンドの図16中XVII-XVII断面に相当する断面図である。図16及び図17において、前述の図9及び図10と同様の構成には同符号を付し、説明を省略する。
【0089】
図16及び図17に示すように、本変形例に係るハンド101は、一対の吸着パッド103を有する。各吸着パッド103には、複数(例えば5個)の吸込み口105が形成されており、トップシール97に面状に接触して吸着する。
【0090】
ハンド101は、トップシール97を容器99に押し付けるためのリング状の押し付け部材107を有する。押し付け部材107は、ハンドベース87に設置された駆動装置(図示省略)により上下方向に駆動される。押し付け部材107の下部には、ヒーター(図示省略)が内蔵されたリング状の当接部109が設けられている。図17に示すように、当接部109はトップシール97の縁部97aに当接して容器99のつば部99aに押し付け、加熱して溶着する。押し付け部材107は、駆動装置から取り外し、形状又は大きさの少なくとも一方が異なる他の種類の押し付け部材と交換することが可能である。押し付け部材107を、トップシール97の形状や大きさに応じて変更することで、多品種の容器の蓋閉めが可能となる。
【0091】
上記変形例において、前述の実施形態と同様に、押し付け部材107を2つのピース107A,107B(図示省略)で構成し、第1のピース107Aと第2のピース107Bを時間差を設けて駆動してもよい。この場合、空気を逃がしながらトップシール97を容器99に溶着することが可能となる。第1のピース107Aの当接部(図示省略)と第2のピース107Bの当接部(図示省略)との隙間により溶着部に隙間が形成される場合には、当該溶着を仮固定とし、後工程において隙間なく溶着する本固定を実施してもよい。
【0092】
なお、以上の説明において、「垂直」「平行」「平面」等の記載がある場合には、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「垂直」「平行」「平面」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に垂直」「実質的に平行」「実質的に平面」という意味である。
【0093】
また、以上の説明において、外観上の寸法や大きさ、形状、位置等が「同一」「同じ」「等しい」「異なる」等の記載がある場合は、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「同一」「同じ」「等しい」「異なる」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に同一」「実質的に同じ」「実質的に等しい」「実質的に異なる」という意味である。
【0094】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。その他、一々例示はしないが、上記実施形態や各変形例は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【0095】
また、上述した実施形態や変形例等が解決しようとする課題や効果は、上述した内容に限定されるものではない。すなわち、実施形態や変形例等によって、上述されていない課題を解決したり、上述されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
【符号の説明】
【0096】
1 蓋閉めシステム
3 蓋閉め装置
5 搬送コンベア
7 容器
11 蓋
11a 縁部
11b 凸部
19 蓋閉めロボット(自動機)
51 昇降装置
53 接触部材
55 接触部材
57 接触部材
79 ハンド(保持部)
89 押し付け部材
89A 第1のピース
89B 第2のピース
91 駆動装置
91A 第1の駆動装置
91B 第2の駆動装置
95 突起部材
97 トップシール(蓋)
97a 縁部
99 容器
101 ハンド(保持部)
107 押し付け部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17