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特許7330252ヨーク-シェル構造の粒子、その製造方法、及びこれを含むリチウム二次電池
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-10
(45)【発行日】2023-08-21
(54)【発明の名称】ヨーク-シェル構造の粒子、その製造方法、及びこれを含むリチウム二次電池
(51)【国際特許分類】
   C01B 33/023 20060101AFI20230814BHJP
   C01B 32/05 20170101ALI20230814BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20230814BHJP
   H01M 4/38 20060101ALI20230814BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20230814BHJP
【FI】
C01B33/023
C01B32/05
H01M4/36 C
H01M4/38 Z
H01M4/62 Z
【請求項の数】 12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021196131
(22)【出願日】2021-12-02
(62)【分割の表示】P 2019564053の分割
【原出願日】2018-09-21
(65)【公開番号】P2022019925
(43)【公開日】2022-01-27
【審査請求日】2021-12-28
(31)【優先権主張番号】10-2017-0127292
(32)【優先日】2017-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2017-0127273
(32)【優先日】2017-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(73)【特許権者】
【識別番号】519319521
【氏名又は名称】インダストリー-ユニバーシティ・コーペレーション・ファウンデーション・ハニャン・ユニバーシティ・エリカ・キャンパス
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ジョンヒョン・チェ
(72)【発明者】
【氏名】ウォン・チョル・ユ
(72)【発明者】
【氏名】ミン・ソ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジャンベ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ミン・ソク・カン
【審査官】佐藤 慶明
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-182706(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0099187(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第103531760(CN,A)
【文献】特開2009-032693(JP,A)
【文献】AHN, J. et al.,The Journal of Physical Chemistry C,2015年04月16日,Vol.119, No.19,pp.10255-10265,<DOI:10.1021/acs.jpcc.5b02073>
【文献】XIAO, X. et al.,Advanced Functional Materials,2015年01月21日,Vol.25,pp.1426-1433,<DOI:10.1002/adfm.201403629>
【文献】YANG, J. et al.,Nano Energy,2015年10月24日,Vol.18,pp.133-142,<DOI:10.1016/j.nanoen.2015.09.016>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 33/00 - 33/193
H01M 4/00 - 4/62
B01J 21/00 - 38/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素シェル;及び
前記炭素シェルの内部に備えられたシリコン(Si)コアを含むヨーク-シェル構造の粒子であって、
前記シェルの少なくとも一部は前記コアと離隔して配置され、
前記ヨーク-シェル構造粒子のマイクロ気孔の体積が0.15cm/g以下であり、
窒素吸着測定による前記炭素シェルのポアの大きさが2nm以下であり、
前記コアが、多孔質構造を有し、
前記炭素シェルが、黒鉛層を含み、
前記ヨーク-シェル構造粒子の比表面積が70ないし600m /g以下である、ヨーク-シェル構造の粒子。
【請求項2】
前記ヨーク-シェル構造粒子のマイクロ気孔の体積が0.05cm/g以下である、請求項1に記載のヨーク-シェル構造の粒子。
【請求項3】
前記ヨーク-シェル構造粒子のマイクロ気孔の体積が0.03cm/g以下である、請求項1又は2に記載のヨーク-シェル構造の粒子。
【請求項4】
前記ヨーク-シェル構造粒子のマイクロ気孔の体積が0.001cm/g以下である、請求項1から3の何れか一項に記載のヨーク-シェル構造の粒子。
【請求項5】
前記ヨーク-シェル構造粒子の比表面積が70ないし120m/gである、請求項1からの何れか一項に記載のヨーク-シェル構造の粒子。
【請求項6】
炭素シェル;及び
前記炭素シェルの内部に備えられたシリコン(Si)コアを含むヨーク-シェル構造の粒子であって、
前記シェルの少なくとも一部は前記コアと離隔して配置され、
前記コア内のシリコン(Si)粒子の結晶サイズが20nm以上であり、
窒素吸着測定による前記炭素シェルのポアの大きさが2nm以下であり、
前記コアが、多孔質構造を有し、
前記炭素シェルが、黒鉛層を含み、
前記ヨーク-シェル構造の比表面積が70ないし150m /g以下である、ヨーク-シェル構造の粒子。
【請求項7】
前記シリコン(Si)粒子の結晶サイズが30nmないし150nmである、請求項に記載のヨーク-シェル構造の粒子。
【請求項8】
前記シリコン(Si)粒子の結晶サイズが30nmないし100nmである、請求項又はに記載のヨーク-シェル構造の粒子。
【請求項9】
前記ヨーク-シェル構造の比表面積が70ないし100m/g以下である、請求項からの何れか一項に記載のヨーク-シェル構造の粒子。
【請求項10】
前記ヨーク-シェル構造の比表面積が70ないし100m/g以下である、請求項からの何れか一項に記載のヨーク-シェル構造の粒子。
【請求項11】
請求項1から10の何れか一項に記載のヨーク-シェル構造の粒子を含むリチウム二次電池用負極。
【請求項12】
請求項11に記載の負極;正極;及び電解質;を含むリチウム二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2017年9月29日付韓国特許出願第10-2017-0127292号及び2017年9月29日付韓国特許出願第10-2017-0127273号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されている全ての内容を本明細書の一部として含む。
【0002】
本発明は、ヨーク-シェル構造の粒子、その製造方法、及びこれを含むリチウム二次電池に関する。
【背景技術】
【0003】
最近、エネルギー貯蔵技術に対する関心が高まっている。携帯電話、カムコーダー及びノートパソコン、ひいては電気自動車のエネルギーまで適用分野が拡がって、電気化学素子の研究と開発に対する努力がますます具体化されている。
【0004】
電気化学素子は、このような側面で最も注目を浴びている分野であり、その中でも充-放電可能な二次電池の開発は、関心の焦点となっていて、最近は、このような電池を開発するにあたり、容量密度及びエネルギー効率を向上させるために新しい電極と電池の設計に対する研究開発に進められている。
現在適用されている二次電池の中で、1990年代初に開発されたリチウム二次電池は、水溶液電解液を使うNi-MH、Ni-Cd、硫酸-鉛電池などの在来式電池に比べて作動電圧が高く、エネルギー密度が遥かに高いという長所で脚光を浴びている。
【0005】
この中で、既存のリチウムイオンバッテリー負極材料で使われる黒鉛は、その容量(25℃で372mAh/g)が限界に至るようになり、これによって、黒鉛より高い理論容量を有するシリコン(25℃で3580mAh/g)に対する開発が必要な時点である。
【0006】
このようなシリコンは電気伝導度が低く、リチウムと充放電するにあたり、合金化(Alloying)反応が起きて約300%体積が膨脹する特性を持っているが、こうして持続的に体積が膨脹する場合、電解質と電極界面の間で必然的に生成されるSEI層(layer)が持続的に生成され、バッテリーの長寿命特性に致命的であるという問題点があった。
【0007】
また、このようなシリコンは、実用化段階でシリコンは黒鉛に比べて低い第1のサイクルクーロン効率(C:~90%、Si:~60%)を持っているという問題点があって、実際電池に適用する時性能が良くなくて改善の必要性があった。
【0008】
ここで、従来の技術、例えば「J.Phys.Chem.C2015、119、10255」の場合、2-3nmのメソポアを有するヨーク-シェル(yolk-shell)構造のシリコン-炭素複合体を用いてリチウム二次電池の負極材で使用したが、実際に電池に適用する時、性能が良くないため改善の必要性があった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【文献】「Elucidating Relationships between Structural Properties of Nanoporous Carbonaceous Shells and Electrochemical Performances of Si@Carbon Anodes for Lithium-Ion Batteries」、Jihoon Ahn、Kyung Jae Lee、Woojeong Bak、Jung-Joon Kim、Jin-Kyu Lee、Won Cheol Yoo、and Yung-Eun Sung、「J.Phys.Chem.C、2015、119(19)、pp10255-10265」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来の技術の場合、負極材に含まれる炭素複合体構造の炭素シェル(Shell)がメソポア(meso-pore)を有するカーボンで構成され、メソポアを通じて電解質が容易に浸透するため、負極材のシェル(shell)内部のシリコン(Si)粒子表面で副反応が起き、初期効率及びクーロン効率が減少する原因となった。
【0011】
ここで、本発明者らは、多角的に研究した結果、炭素シェル表面の気孔の大きさを小さくし、粒子内部のシリカを部分エッチングした後、これをマグネシウム熱還元処理して体積膨脹緩衝構造を有し、電解質浸透の減少効果をもたらしつつ、初期効率増加と優れた律速特性を持つヨーク-シェル(Yolk-shell)構造のシリコン負極材を開発できるという事実を確認した。
【0012】
したがって、本発明の目的は、電池に適用する際に電解質の浸透を減少させる効果があるので、初期効率が増加し、優れた律速特性及びサイクル安定性があるヨーク-シェル構造の粒子及びこの製造方法を提供することである。
【0013】
また、従来技術の場合、シリコンを使用する負極材の場合、黒鉛に比べて低い第1サイクルクーロン効率を有する問題があった。
【0014】
ここで、本発明者らは、多角的な研究した結果、高温熱処理を通して炭素シェル内部のSi粒子の大きさを調節し、優れた長期安定性(long-term stability)、1st CE値増加、電極厚さの変化率を調節することができ、初期効率の増加と優れた律速特性を有するヨーク-シェル(Yolk-shell)構造のシリコン負極材を開発できるという事実を確認した。
【0015】
したがって、本発明のまた別の目的は、第1サイクルクーロン効率が増加し、優れた律速特性及びサイクル安定性があるヨーク-シェル構造の粒子及びこの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記目的を達成するため、本発明は、炭素シェル;及び前記炭素シェルの内部に備えられたシリコン(Si)コアを含むヨーク-シェル構造の粒子であって、前記シェルの少なくとも一部は、前記コアと離隔配置され、前記ヨーク-シェル構造粒子のマイクロ気孔粒子の体積が0.15cm/g以下である、ヨーク-シェル構造の粒子を提供する。
【0017】
また、本発明は炭素シェル;及び前記炭素シェルの内部に備えられたシリコン(Si)コアを含むヨーク-シェル構造の粒子であって、前記シェルの少なくとも一部は、前記コアと離隔して配置され、前記コア内のシリコン(Si)粒子の大きさが20nm以上である、ヨーク-シェル構造の粒子を提供する。
【0018】
また、本発明は、(a)シリカ(SiO)に炭素シェルを形成してシリカ-炭素コア-シェル粒子を製造する段階;(b)前記(a)段階で形成された粒子の炭素シェルの気孔の大きさを小さくする段階;(c)前記(b)段階で気孔の大きさが減った粒子内部のシリカ(SiO)を部分エッチングする段階;及び(d)マグネシウム熱還元(Magnesiothermic reduction)処理を通して、ヨーク-シェル構造の粒子を製造する段階;を含むヨーク-シェル構造粒子の製造方法を提供する。
【0019】
また、本発明は、前記ヨーク-シェル構造の粒子を含むリチウム二次電池用負極を提供する。
【0020】
また、本発明は、前記負極;正極;及び電解質;を含むリチウム二次電池を提供する。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、マグネシウム反応を利用したヨーク-シェル(yolk-shell)構造のSi@C複合体を合成し、体積膨脹緩衝構造を有することができる。また、マグネシウム反応後のシェル(Shell)を構成する炭素素材の気孔(porosity)を減少させ、炭素化(graphitization)度が向上することがある。このような炭素気孔の減少によって、電池に適用する時、電解質の浸透を減少させる効果があるので、初期効率が増加し、優れた律速特性及びサイクル安定性を有するという長所がある。
【0022】
また、本発明によれば、ヨーク-シェル(yolk-shell)構造のSi@C複合体に熱処理することで、優れた長期安定性(long-term stability)、1st CE値の増加、電極厚さ変化率の調節が可能であり、初期効率増加と優れた律速特性を有する負極を提供することができるという長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施例によるヨーク-シェル(yolk-shell)構造の粒子の製造過程を示す模式図である。
図2】従来技術によるヨーク-シェル(yolk-shell)構造の粒子を示す模式図である。
図3】本発明の実施例1で製造されたSiOを撮影したSEM写真である。
図4】本発明の実施例1で製造されたSiO@C複合体のラマンパターン分析結果を示すグラフである。
図5】本発明の実施例1で製造されたSi@C複合体を撮影したTEM写真である。
図6】本発明の実施例1で製造されたSi@C複合体を撮影したTEM写真である。
図7】本発明の実施例1で製造されたSi@C複合体のラマンパターン分析結果を示すグラフである。
図8】本発明の実施例1で製造されたSi@C複合体のXRD分析結果を示すグラフである。
図9】本発明の比較例1で製造されたSiOを撮影したSEM写真である。
図10】本発明の比較例で製造されたSi@mCを撮影したTEM写真である。
図11】本発明の比較例で製造されたSi@mCを撮影したTEM写真である。
図12】本発明の実施例2で製造されたSiOを撮影したSEM写真である。
図13】本発明の実施例2で製造されたSi@mC複合体を撮影したTEM写真である。
図14】本発明の比較例1による容量特性及び律速特性実験結果を示すグラフである。
図15】本発明の実施例1による容量特性及び律速特性実験結果を示すグラフである。
図16】本発明の比較例2による容量特性及び律速特性実験結果を示すグラフである。
図17】本発明の実施例2による容量特性及び律速特性実験結果を示すグラフである。
図18】本発明の熱処理工程を示す模式図である。
図19】本発明の比較例1及び実施例1にXRD測定結果の変化を示すグラフである。
図20】本発明の比較例2及び実施例2にXRD測定結果の変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように、添付の図面を参照にして詳しく説明する。しかし、本発明は、幾つか異なる形態で具現されてもよく、本明細書に限定されない。
【0025】
図面では、本発明を明確に説明するために説明と関系ない部分を省略し、明細書全体にわたって類似する部分に対しては類似の図面符号を付した。また、図面で表示される構成要素の大きさ及び相対的な大きさは、実際の縮尺とは無関系であり、説明の明瞭性のために縮小したり誇張したものである。
ヨーク-シェル構造の粒子
本発明のヨーク-シェル構造の粒子は、炭素シェル;及び上記炭素シェルの内部に備えられたシリコン(Si)コアを含む。
【0026】
本発明において、ヨーク-シェル粒子の構造は、卵から派生した用語で、たまごが卵黄と卵白、そしてシェルの順で構造を成しているように、コア(Core)とシェル(Shell)の間に空間を持つ構造を意味する。これのため、本発明のヨーク-シェル構造粒子のシェルの少なくとも一部は、上記コアと離隔して配置される。
【0027】
本発明でヨーク-シェル粒子は、図1のような過程を経て製造されてもよく、これは後述するヨーク-シェル粒子の製造方法で詳察してみる。
【0028】
本発明のヨーク-シェル構造の粒子において、上記ヨーク-シェル構造粒子のマイクロ気孔粒子の体積は、0.15cm/g以下であってもよく、好ましくは0.05cm/g以下であってもよく、さらに0.03cm/g以下であってもよく、最も好ましくは0.001cm/g以下であってもよい。上記ヨーク-シェル構造粒子のマイクロ気孔粒子の体積が0.15cm/gを超えるようになれば、電解液の浸透が容易になるため、電池に適用した時に容量維持率及び第1サイクルクーロン効率が落ちる問題が発生することがある。
【0029】
本発明のヨーク-シェル構造の粒子において、上記気孔体積は当業界で測定する常法で測定することができ、好ましくはBEL社のBEL mini装備を利用して測定することができる。
【0030】
本発明のヨーク-シェル構造の粒子において、上記ヨーク-シェル構造粒子の比表面積が600m/g以下であってもよく、好ましくは50ないし600m/gであってもよく、最も好ましくは50ないし120m/gであってもよい。上記比表面積の範囲が600m/gを超えると電解質との接触面積が大きくなるので、電解質との副反応を起こす確率が高くなって、初期効率を落とす問題がある。
【0031】
また、本発明のヨーク-シェル構造の粒子において、上記炭素シェルのメソポアの大きさが2nm以下であってもよい。上記メソポアの大きさが2nmを超えれば、電解液の浸透が容易になるため、電池に適用した時に容量維持率及び第1サイクルクーロン効率が落ちる問題が発生することがある。
【0032】
また、本発明において、ヨーク-シェル粒子は図1のような過程を経た後、図18のような過程を経て製造されてもよく、これは、後述するヨーク-シェル粒子の製造方法で詳察する。
【0033】
上記のように製造される場合、本発明のヨーク-シェル構造の粒子は、上記炭素シェルの内部に備えられたコア内のシリコン(Si)粒子の大きさは、20nm以上であってもよく、好ましくは30nmないし150nmであってもよく、より好ましくは30nmないし100nmであってもよい。上記シリコン粒子の大きさが20nm未満であれば、比表面積が増加することにつれ、第1サイクルクーロン効率が落ちる問題が発生することがある。
【0034】
上記のように製造される場合、本発明のヨーク-シェル構造粒子の比表面積が150m/g以下であってもよく、好ましくは100m/g以下であってもよく、最も好ましくは30ないし100m/gであってもよい。上記比表面積が大きくなると、電解質との接触面積が大きくなるので、電解質との副反応を起こす確率が高くなり、初期効率を落とす問題がある。
【0035】
ヨーク-シェル構造粒子の製造方法
本発明のヨーク-シェル構造の粒子は、(a)シリカ(SiO)に炭素シェルを形成してシリカ-炭素コア-シェル粒子を製造する段階;(b)上記(a)段階で形成された粒子の炭素シェルの気孔の大きさを小さくする段階;(c)上記(b)段階で気孔大きさが小さくなった粒子内部のシリカ(SiO)を部分エッチングする段階;及び(d)マグネシウム熱還元(Magnesiothermic reduction)処理を通して、ヨーク-シェル構造の粒子を製造する段階;を通して製造され、これは図1で模式化されてもよい。
【0036】
また、上記d)段階後、e)上記(d)段階でマグネシウム熱還元(Magnesiothermic reduction)処理されたヨーク-シェル構造の粒子に熱処理してコア内のシリコン(Si)粒子の大きさを成長させる段階;をさらに行って製造され、これは図18を通して模式化されてもよい。
【0037】
先ず、本発明のヨーク-シェル構造粒子の製造方法は、シリカ(SiO)に炭素シェルを形成してシリカ-炭素コア-シェル粒子を製造する(a)段階を含む。
【0038】
上記(a)段階で使用するシリカは特に制限しないが、好ましくは、業界で通常用いるStober製造方法を利用して所望の大きさのSiOを合成し、好ましくは100ないし1,500nm大きさのシリカを使うことができる。好ましい一例として、140nm大きさのSiOを合成した後、300nmまで成長させたり、600nm大きさのSiOを合成した後、1μmまで成長させて使うことができる。以後、SiOの表面に高分子コーティングをするようになるが、シリカの表面を炭化させられる高分子であれば特に制限はないが、好ましくは、レゾルシノールホルムアルデヒド(resorcinol-formaldehyde)のような高分子前駆体に臭化セチルトリメチルアンモニウム(cetyltrimethylammonium bromide、CTAB)などを混合して使うことができる。このような高分子コーティング後、N雰囲気下で500ないし1000℃で1ないし5時間炭化させてシリカ-炭素コア-シェル粒子(SiO@C)を合成することができる。
【0039】
次に、本発明のヨーク-シェル構造粒子の製造方法は、上記(a)段階で形成された粒子の炭素シェルの気孔の大きさを小さくする(b)段階を含む。
【0040】
上記(b)段階では、炭素シェルの気孔の大きさを小さくするため、上記シリカ-炭素コア-シェル粒子にフェノールを溶浸させた後で炭化させることができる。
【0041】
上記溶浸されるフェノールの量は、シリカ-炭素コア-シェル粒子(SiO@C)の気孔体積の100ないし300%であってもよい。
【0042】
上記シリカ-炭素コア-シェル粒子(SiO@C)を炭化させる方法は、炭素シェルの気孔の大きさを小さくする方法であれば特に制限がないが、好ましくはNH fumeを利用して90℃で3時間重合(polymerize)した後、窒素雰囲気下で800℃まで1分当たり5℃の昇温速度を維持し、該温度に達すると、3時間温度を維持する方法を使って炭化させることができる。
【0043】
上記(b)段階のように、炭素シェルの気孔の大きさを小さくするようになれば、図2のように炭素シェルにメソポア(mesopore)を持つ従来の粒子と違い、炭素シェルの気孔がほとんど存在しないから、粒子の内部に電解液が浸透しにくくなるため、電池に適用する時に容量維持率が向上し、サイクル維持容量が向上する長所がある。
【0044】
このように製造された本発明のヨーク-シェル構造の粒子は、上記ヨーク-シェル構造粒子のマイクロ気孔粒子の体積は、0.15cm/g以下であってもよく、好ましくは0.05cm/g以下であってもよく、より好ましくは0.03cm/g以下であってもよく、最も好ましくは0.001cm/g以下であってもよい。
【0045】
また、このように製造された本発明のヨーク-シェル構造の粒子は、上記ヨーク-シェル構造粒子の比表面積が600m/g以下であってもよく、好ましくは50ないし600m/gであってもよく、最も好ましくは50ないし120m/gであってもよい。
【0046】
以後、本発明のヨーク-シェル構造粒子の製造方法は、上記(b)段階で気孔の大きさが小さくなった粒子内部のシリカ(SiO)を部分エッチングする(c)段階を含む。
【0047】
上記(c)段階では、充放電時に必要な余裕空間を確保するために、SiOを部分エッチング(partial etching)する。
【0048】
このような部分エッチングのために、上記(b)段階で気孔の大きさが小さくなった粒子内部のシリカ(SiO)に水酸化ナトリウム(NaOH)処理をし、コア-シェル粒子内部のシリカ(SiO)の中で一部をエッチングする。
【0049】
このように上記シリカ-炭素コア-シェル粒子に水酸化ナトリウムを反応させ、一部の SiOを取り除くことにより、充放電時に必要な余裕空間が形成され、これは下記(d)段階のマグネシウム熱還元反応時、体積の縮小及び膨脹が発生する場合もコア-シェル構造が破れない余裕空間の役目をすることができる。
【0050】
以後、本発明のヨーク-シェル構造粒子の製造方法は、(d)マグネシウム熱還元(Magnesiothermic reduction)処理を通して、ヨーク-シェル構造の粒子を製造する(d)段階を含む。
【0051】
上記(d)段階では、上記粒子の内部のシリカ(SiO)を還元するために、マグネシウム熱還元(Magnesiothermic reduction)処理をする。
【0052】
このため、上記(c)段階後、上記シリカ-炭素コア-シェル粒子(SiO@C)内部のシリカ(SiO)にMgを反応させて、Si及びMgOを生成する。
【0053】
上記のようにSiOとMgを反応させると、還元反応によってSiとMgOが生成される。この時、還元される前のSiOと還元された後のSiのモル数は同じなので、上記反応を式で示すと、下の式1のとおりである。
【0054】
SiO2×dSiO2/MSiO2= VSi×dSi/MSi (式1)
(dSiO2:2.2g/cm、dSi:2.33g/cm、MSiO2:60g/mol、MSi:28g/mol)
【0055】
上記反応が進められれば、上記式1に従い、密度の差によってSi及びMgOの体積が SiOの体積より大きくなる。
【0056】
また、生成されたMgOは、SiOの2倍にあたるモル数であるため、反応後の体積はVSi+VMgOで、SiOと比べると約1.26倍となる。この時、水酸化ナトリウムを通してSiOの大きさを調節して体積膨脹に必要な空間を提供しなければならず、この時、空間の体積と追って酸処理して除去されるMgOの体積がSi体積の3倍になるように調節して充放電時に膨脹する体積を計算することができる。
【0057】
このような方法を通して、Siの充放電時に300%体積膨脹に必要なSiOの最大の大きさを求めることができて、これは下記式2で表される。
【0058】
3×Vsi=Vvoid+VMgO (2)
【0059】
また、上記段階3のSiO@CとMgの間の反応は、MgSiや、SiCのような副産物が生成され易いため、反応時に最適化された条件を確認する必要がある。
【0060】
MgSiや、SiCのような副産物の生成を減らすために、投入されるMgの当量が2.5以下であることが好ましく、投入されるSiO@Cの量は、一反応器を基準にしてSiO@Cの大きさが200ないし500nmである時は、40mg以下で投入しなければならず、SiO@Cの大きさが500nmないし1μmである時は、100mg以下で投入されるとSiCとの生成を減らすことができる。
【0061】
上記(d)段階では、気化されるMgの損失を最大限に阻むために、蓋のある容器を封止した後、マグネシウム熱還元(Magnesiothermic reduction)反応を進めることができる。具体的に、Ar雰囲気下で昇温速度3~7℃ /min、400ないし600℃で反応させた。また、熱還元反応が終わった後、残っているMgOは、酸成分を利用して取り除くことができるし、好ましくは、塩酸などの強酸を利用して取り除くことができる。
【0062】
以後、本発明のヨーク-シェル構造粒子の製造方法は、上記(d)段階でマグネシウム熱還元(Magnesiothermic reduction)処理されたヨーク-シェル構造の粒子に熱処理して、コア内のシリコン(Si)粒子の大きさを成長させる(e)段階を含む。上記e)段階の概念は、図18のように示すことができる。
【0063】
上記(e)段階は、2ないし10℃/分の昇温速度で昇温し、700ないし1200℃の温度で12ないし36時間熱処理して、コア内のシリコン(Si)粒子の大きさを成長させることができる。
【0064】
上記(e)段階の熱処理において、上記(a)段階で使ったシリカ(SiO)の大きさが100以上700nm未満であると、上記(e)段階の熱処理は700ないし900℃の温度で行うことが好ましい。
【0065】
また、上記(e)段階の熱処理において、上記(a)段階で使ったシリカ(SiO)の大きさが700以上1.500nm以下であれば、上記(e)段階の熱処理は900ないし1200℃の温度で熱処理することが好ましい。上記温度を満たすことができなければ、シリコン粒子の成長に問題がある。
【0066】
このように成長したシリコン(Si)粒子の大きさは、20nm以上であってもよく、好ましくは、30nmないし150nmであってもよく、より好ましくは30nmないし100nmであってもよい。上記シリコン粒子の大きさが20nm未満であれば、比表面積が増加することで、第1サイクルクーロン効率が落ちる問題が発生することがある。
【0067】
また、上記ヨーク-シェル構造粒子の比表面積は、150m/g以下であってもよく、好ましくは150m/g以下であってもよく、より好ましくは30ないし100m/gであってもよい。上記比表面積の範囲が150m/gを超えれば、第1サイクルクーロン効率が落ちる問題が発生することがある。
【0068】
リチウム二次電池用負極
本発明で示すヨーク-シェル構造の粒子は、リチウム二次電池用負極の負極材として好ましく使用可能である。
【0069】
負極は負極集電体上に形成された負極活物質を含み、上記負極活物質では本発明によって製造されたヨーク-シェル構造の粒子を使用する。
【0070】
上記負極集電体は、具体的に、銅、ステンレススチール、チタン、銀、パラジウム、ニッケル、これらの合金及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるものであってもよい。上記ステンレススチールは、カーボン、ニッケル、チタンまたは銀で表面処理されてもよく、上記合金ではアルミニウム-カドミウム合金が使われてもよい。その他、焼成炭素、導電材で表面処理された非伝導性高分子、または伝導性高分子などが使われてもよい。
【0071】
上記負極は、バインダー樹脂、導電材、充填剤及びその他添加剤などをさらに含んでもよい。
【0072】
上記バインダー樹脂は、電極活物質と導電材の結合と集電体に対する結合のために使用する。このようなバインダー樹脂の非制限的な例としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリメタクリル酸(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)ポリアクリルアミド(PAM)、ポリメタクリルアミド、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリロニトリル、ポリイミド(PI)、アルギン酸(Alginic acid)、アルジネート(Alginate)、キトサン(Chitosan)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンポリマー(EPDM)、スルホン化-EPDM、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、これらの多様な共重合体などを挙げることができる。
【0073】
上記導電材は、電極活物質の導電性をもっと向上させるために使用する。このような導電材は、当該電池に化学的変化を引き起こすことなく、導電性を有するものであれば特に制限されないし、例えば、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サマーブラックなどのカーボンブラック;炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維;フッ化カーボン、アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などが使われてもよい。
【0074】
リチウム二次電池
本発明の一実施例として、リチウム二次電池は、上述した負極;正極;及び電解質;を含むことができる。
【0075】
本発明によるリチウム二次電池は、正極及び負極と、これらの間に介在された分離膜、及び電解質を含み、負極活物質で本発明によって製造されたヨーク-シェル構造の粒子を使用する。
【0076】
本発明によって製造されたヨーク-シェル構造の粒子は、シリコンの体積膨脹による容量退化を緩和させることができ、優れた電気伝導度及び容量維持率を示す。
【0077】
上記リチウム二次電池の正極、負極、分離膜及び電解質の構成は、本発明で特に限定せず、この分野で公知されたところに従う。
【0078】
正極は正極集電体上に形成された正極活物質を含んで使うが、正極集電体は当該電池に化学的変化を引き起こすことなく、高い導電性を有するものであれば特に制限されないし、例えば、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、またはアルミニウムやステンレススチールの表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したものなどが使われてもよい。この時、上記正極集電体は、正極活物質との接着力を高められるように、表面に微細な凹凸が形成されたフィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体など、多様な形態を用いることができる。
【0079】
電極層を構成する正極活物質は、当該技術分野で利用できる全ての正極活物質が使用可能である。このような正極活物質の具体例として、LiCoOなどのリチウムコバルト系酸化物;Li1+xMn2-x(ここで、xは0ないし0.33である)、LiMnO、LiMn、LiMnOなどのリチウムマンガン系酸化物;LiCuOなどのリチウム銅酸化物;LiV、LiFe、V、Cuなどのバナジウム酸化物;LiNi1-x(ここで、M=Co、Mn、Al、Cu、Fe、Mg、BまたはGaで、x=0.01ないし0.3である)で表されるリチウムニッケル系酸化物;LiMn2-xMxO(ここで、M=Co、Ni、Fe、Cr、ZnまたはTaで、x=0.01ないし0.1である)またはLiMnMO(ここで、M=Fe、Co、Ni、CuまたはZnである)で表されるリチウムマンガン複合酸化物;Li(NiCoMn)O(ここで、0<a<1、0<b<1、0<c<1、a+b+c=1)で表されるリチウム-ニッケル-マンガン-コバルト系酸化物;LiV、LiFe、V、Cuなどのバナジウム酸化物;硫黄またはジスルフィド化合物;LiFePO、LiMnPO、LiCoPO、LiNiPOなどのリン酸塩;Fe(MoOなどを挙げることができるが、これらのみに限定されることではない。
【0080】
この時、電極層は、正極活物質以外にバインダー樹脂、導電材、充填剤及びその他添加剤などをさらに含むことができる。
【0081】
上記バインダー樹脂は、電極活物質と導電材の組み合わせと集電体に対する組み合わせのために使用する。このようなバインダー樹脂の非制限的な例として、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリメタクリル酸(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)ポリアクリルアミド(PAM)、ポリメタクリルアミド、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリロニトリル、ポリイミド(PI)、アルギン酸(Alginic acid)、アルジネート(Alginate)、キトサン(Chitosan)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンポリマー(EPDM)、スルホン化-EPDM、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、これらの多様な共重合体などを挙げることができる。
【0082】
上記導電材は、電極活物質の導電性をもっと向上させるために使用する。このような導電材は、当該電池に化学的変化を引き起こすことなく、導電性を持つものであれば特に制限されるのではなく、例えば、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サマーブラックなどのカーボンブラック;炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維;フッ化カーボン、アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などが使われてもよい。
【0083】
負極では上記本発明の負極を使うことができる。
【0084】
分離膜は、多孔性基材からなってもよいが、上記多孔性基材は、通常電気化学素子に用いられる多孔性基材であれば、いずれも使用可能であり、例えば、ポリオレフィン系多孔性膜または不織布を使うことができるが、これに特に限定されることではない。
【0085】
上記分離膜は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリペンテン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、及びポリエチレンナフタレートからなる群から選択されたいずれか一つまたはこれらの中で2種以上の混合物からなる多孔性基材であってもよい。
【0086】
上記リチウム二次電池の電解液は、リチウム塩を含む非水系電解液としてリチウム塩と溶媒で構成されていて、溶媒では、非水系有機溶媒、有機固体電解質及び無機固体電解質などが用いられる。
【0087】
上記リチウム塩は、上記非水系電解液に溶解され易い物質として、例えば、LiCl、LiBr、LiI、LiClO、LiBF、LiB10Cl10、LiPF、LiAsF、LiSbF、LiAlCl、LiSCN、LiCBO、LiCFCO、LiCHSO、LiCFSO、LiN(SOCF、LiN(SO、LiCSO、LiC(CFSO、(CFSO)・2NLi、クロロボランリチウム、低級脂肪族カルボン酸リチウム、4フェニルホウ酸リチウムイミドなどが使われてもよい。
【0088】
非水系有機溶媒は、例えば、N-メチル-2-ピロリドン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ガンマ-ブチロラクトン、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシエタン、テトラヒドロキシフラン(franc)、2-メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,3-ジオキソラン、4-メチル-1,3-ジオキセン、ジエチルエーテル、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、ニトロメタン、ホルム酸メチル、酢酸メチル、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エーテル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどのプロトン性有機溶媒が使われてもよい。
【0089】
上記有機固体電解質では、例えば、ポリエチレン誘導体、ポリエチレンオキシド誘導体、ポリプロピレンオキシド誘導体、リン酸エステルポリマー、ポリアジテイションリシン(agitation lysine)、ポリエステルスルフィド、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、二次性解離基を含む重合体などが使われてもよい。
【0090】
上記無機固体電解質では、例えば、LiN、LiI、LiNI、LiN-LiI-LiOH、LiSiO、LiSiO-LiI-LiOH、LiSiS、LiSiO、LiSiO-LiI-LiOH、LiPO-LiS-SiSなどのLi窒化物、ハロゲン化物、硫酸塩などが使われてもよい。
【0091】
また、非水系電解液には、充放電特性、難燃性などの改善を目的としてその他の添加剤をさらに含むことができる。上記添加剤の例示としては、ピリジン、トリエチルホスファイト、トリエタノールアミン、環状エーテル、エチレンジアミン、n-グライム(glyme)、ヘキサリン酸トリアミド、ニトロベンゼン誘導体、硫黄、キノンイミン染料、N-置換オキサゾリジノン、N,N-置換イミダゾリジン、エチレングリコールジアルキルエーテル、アンモニウム塩、ピロール、2-メトキシエタノール、三塩化アルミニウム、フルオロエチルレンカーボネート(FEC)、プロペンスルトン(PRS)、ビニレンカーボネート(VC)などを挙げることができる。
【0092】
本発明によるリチウム二次電池は、一般的工程である巻取(winding)以外も分離膜と電極の積層(lamination、stack)及びフォールディング(folding)工程が可能である。そして、上記電池ケースは、円筒状、角形、ポーチ(pouch)型またはコイン(coin)型などになってもよい。
【0093】
以下、本発明を理解させるために、好ましい実施例を示すが、下記実施例は、本発明を例示するものに過ぎず、本発明の範疇及び技術思想の範囲内で多様な変更及び修正が可能であることは当業者にとって明白であり、このような変形及び修正が添付の特許請求範囲に属することも当然である。
【0094】
[実施例]
シリコン-炭素複合体の製造
[実施例1]
段階1:SiO@C合成
ストーバー法(stober method)を利用して、粒子平均大きさが140nmであるSiOを合成した後、140nmのSiOを300nmまで成長させた。上記製造された300nmのSiOを走査電子顕微鏡(SEM)で撮影し、これを図3に示す。
【0095】
以後、380mLの水にSiO 0.5gを分散させた後、7.5mMの臭化セチルトリメチルアンモニウム(cetyltrimethylammonium bromide、CTAB)5mLを入れて充分に交ぜた後、アンモニア0.2mLを入れる。以後、水5mLにレゾルシノール200mg、ホルムアルデヒド0.2mLを混合した溶液を加えた後、24時間反応を通して高分子コーティングした。
【0096】
以後、上記SiO@高分子複合体をN雰囲気で800℃の温度で3時間炭化させ、SiO@Cコア-シェル(core-shell)構造を合成した。
【0097】
また、上記製造された300nmのSiO@Cコア-シェル(core-shell)に対するラマンパターン分析結果を図6に示す。
【0098】
上記製造されたSiO@Cコア-シェル(core-shell)のマイクロ気孔体積を測定し、その結果を後述する表5に示す。
【0099】
段階2:ポアブロックプロセス(Pore block process)
上記製造されたSiO@Cコア-シェル(core-shell)の炭素気孔の大きさを小さくするためのポアブロッキング(pore blocking)過程を進めた。
【0100】
上記製造されたSiO@Cコア-シェル(core-shell)に気孔体積の150%にあたるフェノール(Phenol)を溶浸(infiltration)させた。以後、NH fumeを利用して90℃で3時間重合(polymerize)した後、窒素雰囲気下で800℃まで1分当たり5℃の昇温速度を維持し、当該温度に達した時、3時間温度を維持して炭化させた。
【0101】
段階3:部分エッチングプロセス(Partial etching process)
充放電時に必要な余裕空間確保するために、SiOを部分エッチング(partial etching)した。
【0102】
上記部分エッチングのために、上記段階2で製造されたSiO@Cコア-シェル(core-shell)に、水酸化ナトリウム(NaOH)を加えた。このように水酸化ナトリウムを加えることでSiO@Cコア-シェル(core-shell)の内部にあるシリカ(SiO)中で一部がエッチングされ、これを通じてSiO@Cコア-シェル(core-shell)の内部に空間が形成された。このような空間形成は、下記段階4のマグネシウム熱還元反応時、体積の縮小及び膨脹が発生する場合もコア-シェル構造が破れない余裕空間の役目をすることができる。
【0103】
段階4:マグネシウム熱還元(Magnesiothermic reduction)
上記段階3で製造されたSiO@Cコア-シェル(core-shell)をw24×L32×h17mm大きさの蓋があるアルミナ反応器で気体-固体反応(gas solid reaction)を通じてマグネシウムを気化させた後、SiO@C core-shellと反応させる方法でマグネシウム熱還元処理をした。この時投入されたMgの当量は1.5、2.0、2.5で、投入されたSiO@Cの量は、30、40、50mgである。
【0104】
気化するMgの損失を最大限防ぐために、蓋があるアルミナボート(alumina boat)に入れ、石膏を利用して隙間を塞いで反応を進行し、具体的に、Ar雰囲気の昇温速度5℃ /min、600℃で熱還元反応を行った。
【0105】
熱還元反応が終わった後、残っているMgOをHClを利用して取り除き、最終的にヨーク-シェル(York-Shell)構造のSi@C複合体を得た。
【0106】
先ず、投入されるMgの当量による副産物の生成可否を確認してみた。
【0107】
【表1】
【0108】
上記表1のように、Mgの当量が2.5以上の場合、生成されることが確認できた。
【0109】
次に、投入されるSiO@Cの重さによる副産物の生成可否を確認してみた。
【0110】
【表2】
【0111】
上記SiCの場合、SiOとCの界面で生成される熱力学的に安定した物質であって、SiOがSiに還元される時に発熱することであり、上記表2のように、サンプル量が多いほど発生する熱の量が多くてSiC生成が優勢となることが分かった。
【0112】
また、上記製造されたヨーク-シェル構造のSi@C複合体を透過電子顕微鏡(TEM)で撮影し、これを図5及び図6に示す。
【0113】
上記図5及び図6の透過電子顕微鏡測定を通じて、実施例1のようにマグネシウム反応を利用したヨーク-シェル(yolk-shell)構造のSi@Cを合成することによって、図10の比較例1と違って、Mgの反応後に炭素シェル(shell)で黒鉛層(graphitic layer)と多孔質Si構造(porous Si structure)が生成されることを確認することができた。
【0114】
また、マグネシウム反応後の炭素の物理的変化を調べるために、上記製造されたヨーク-シェル(yolk-shell)構造のSi@C複合体に対するラマンパターン分析をして、その結果を図7に示し、同様にX-線回折分析(XRD)を行って、その結果を図8に示す。
【0115】
ラマンスペクトル分析結果を比較して、図4のSiO@C複合体に比べて、図7のSi@C複合体が炭素の黒鉛的(graphitic)な特性がもっと表れる(I/I:1.01->0.95)を確認することができた。
【0116】
段階5:追加熱処理工程
上記段階4で製造されたSi@C構造のヨーク-シェル物質にAr雰囲気で5℃/minの昇温速度で昇温し、800℃に達した後、24時間反応させた。
【0117】
上記段階5で熱処理前(比較例1)と熱処理後(実施例1)のヨーク-シェルのX-線回折分析(XRD)を行い、その結果を図19に示す。
【0118】
黒色グラフが熱処理前のヨーク-シェル粒子のXRD分析結果で、青色グラフが熱処理後のヨーク-シェル粒子のXRD分析結果である。図19を通じてSi結晶の大きさが16.1nmから31.4nmに増加したことが分かった。
【0119】
[実施例2]
段階1:SiO@C合成
粒子平均大きさが140nmであるSiOの代わりに、粒子平均大きさが600nmであるSiOを使用して、1μmまで成長したことを除いて、実施例1と同様の方法で製造した。上記製造された1μmのSiOを走査電子顕微鏡(SEM)で撮影し、これを図12に示す。
【0120】
段階2:ポアブロックプロセス(Pore block process)
実施例1と同様の方法で製造した。
【0121】
段階3:部分エッチングプロセス(Partial etching process)
実施例1と同様の方法で製造した。
【0122】
段階4:マグネシウム熱還元(Magnesiothermic reduction)
投入されたSiOの量を50、100、110mgにしたことを除いて、実施例1と同様の方法で製造した。
【0123】
また、上記製造されたSi@Cヨーク-シェルを透過電子顕微鏡(TEM)で撮影し、これを図13に示す。
【0124】
実施例1と同様、投入されるMgの当量及び投入される投入SiO@Cの重さによる副産物の生成可否を確認してみた。
【0125】
先ず、投入されるMgの当量による副産物の生成可否を確認してみた。
【0126】
【表3】
【0127】
前記表3のように、Mgの当量が2.5以上の場合、MgSiが生成されることを確認することができた。
【0128】
次に、投入されるSiO@Cの重さによる副産物の生成可否を確認してみた。
【0129】
【表4】
【0130】
実施例2も上記表4のように、サンプルの量が多いほど発生する熱の量が多くて、SiC生成が優勢になることが分かった。
【0131】
段階5:追加熱処理工程
上記段階4で製造されたSi@C構造のヨーク-シェル物質にAr雰囲気で5℃/minの昇温速度で昇温し、1000℃に達した後、24時間反応を進めた。
【0132】
上記段階5で熱処理前(比較例2)と熱処理後(実施例2)のヨーク-シェルのX-線回折分析(XRD)を行い、その結果を図20に示す。
【0133】
黒色グラフが熱処理前のヨーク-シェル粒子のXRD分析結果で、青色グラフが熱処理後のヨーク-シェル粒子のXRD分析結果である。図20を通してSi結晶の大きさが17.1nmから30.0nmに増加したことが分かった。
【0134】
[比較例1]
段階1ないし段階3
上記実施例と同様に140nmのSiOを合成した後、成長(growth)方を通して200nmのSiOを合成した。以後、108gのEtOHと224gの脱イオン水(DI water)を混合した溶液にSiO 3gを超音波分散した後、1.11g CTABをさらに入れて溶かした。これを10分間攪拌(stirring)した後、3gのアンモニアと2gのTEOSを入れて16時間反応を通じて既存のSiO表面に2nmのメソポアを有するシェル(shell)をさらに合成した。反応後、EtOHを利用して精製し、物質を乾燥させた後でボックス型加熱炉(box furnace)700℃、5時間の焼成(calcination)を通じて気孔内のCTABを取り除いた。合成した物質に炭素の前駆体となる高分子を取り入れるために、SiO@mSiO 2g当たり2gのAlCl6HO 2gを脱イオン水(DI water)とEtOHそれぞれ20mL混合溶液に2時間、超音波分散を通じて分散させた。この時、SiO@mSiOの気孔にAlがドーピングされ、これを触媒点で活用して高分子反応を進めた。合成したAl-SiO@mSiO 200mg当たり95mgのフェノール、100mgのパラホルムアルデヒドを使用した。Al-SiO@mSiO物質を封止できる容器に広げて入れた後、フェノールとパラホルムアルデヒドをそれぞれ小さいプラスチックまたはアルミニウム容器に入れてAl-SiO@mSiOが入っている容器に入れた。容器を封止した後、100℃のオーブンで12時間反応した後、窒素雰囲気で800℃、3時間炭化させた。フェノールとパラホルムアルデヒドは、80℃以上の温度で気化され、Al触媒点で位置選択的高分子と反応を起こし、気孔内部に選択的高分子合成が可能であった。以後、実施例1と同様の方法を通じて部分エッチング(partial etching)過程を進め、SiO@mC物質を合成した。
【0135】
上記比較例で製造されたSiOを走査電子顕微鏡(SEM)で撮影し、これを図9に示す。
【0136】
段階4:マグネシウム熱還元(Magnesiothermic reduction)
【0137】
従来の技術、「J.Phys.Chem.C2015、119、10255」に開示された内容で還元工程を進めた。
【0138】
具体的に、SiCの生成を防ぐためにSiO@Cと過当量のMgを使用(SiO:Mg=1:4mol ratio)し、H/Ar混合ガスを使ってMgSiをSiに還元した。
【0139】
このように、従来の炭素-シリコン複合体を利用したマグネシウム熱還元(Magnesiothermic reduction)は、Siに比べて熱力学的に安定したSiC(silicon carbide)が生成されることがある。
【0140】
また、上記製造されたコアシェル構造のSi@mC複合体を透過電子顕微鏡(TEM)で撮影し、これを図10及び図11に示す。
【0141】
[比較例2]
段階5を経ていないことを除いて、実施例1と同様の方法で進めた。
【0142】
[比較例3]
段階5を経ていないことを除いて、実施例2と同様の方法で進行した。
【0143】
実験例1:複合体物性評価
(気孔構造比較)
実施例1で製造されたSiO@Cと、比較例1で製造されたSiO@mC(2-3nmのメソポアを持つヨーク-シェル(yolk-shell)構造)の気孔構造をBEL社のBEL mini窒素吸着装備を利用して測定して図12に示し、実施例1で製造されたSi@C(SiO@Cを利用して合成したヨーク-シェル(yolk-shell)構造)の気孔構造も図13に示す。
【0144】
また、上記SiO@C、SiO@mC及びSi@mCの比表面積(SBET)、総体積(Vtot)及び気孔体積(Vmicro)をBEL社のBEL mini窒素吸着装備を利用して窒素吸着実験を行い、その結果を測定して下記表5に示す。
【0145】
【表5】
【0146】
上記図12ないし図13と、表5を通じて、マグネシウム反応を利用したヨーク-シェル(yolk-shell)構造のSi@C複合体を合成することによって、SiO@C物質のマグネシウム反応前後のマイクロ気孔体積が反応後に減ることを(0.046->0.0cm/g)を確認し、これを通じてアモルファス炭素(Amorphous carbon)のポア(pore)構造が変わったことが分かった。
【0147】
実施例1ないし2、及び比較例2ないし3で製造されたヨーク-シェル構造に対し、比表面積及び粒子の大きさを測定して下記表6に示す。
【0148】
上記比表面積は、BEL社のBEL mini窒素吸着装備を利用して窒素吸着実験を行い、その結果を測定して下記表6に示す。
【0149】
また、上記粒子の大きさは、SEM分析を通じたイメージをもって約100個の粒径を測定した平均大きさを意味する。これを表6に示す。
【0150】
【表6】
【0151】
上記図12ないし図13と、表6を通じて、さらに熱処理を通じて、ヨーク-シェル(yolk-shell)構造のSi@C複合体内のSi粒子の大きさが成長することが分かった。
【0152】
実験例2-1:シリコン-炭素複合体を使った電池製造
(シリコン-炭素複合体を使った電池の製造)
先ず、実施例1及び比較例1で製造されたSi@C複合体を負極活物質で使って電池を製造した。
【0153】
先ず、上記実施例1と比較例1で製造されたSi@C:バインダー(Polyamide imide(PAI)):導電材(Super-P)を6:2:2の重量比で混合し、溶媒ではNMPを利用してスラリーを製造した。
【0154】
製造されたスラリーを、銅ホイル(Cu foil)にドクターブレード(Doctor blade)を利用して40μmの厚さで塗布し、PAIのバインダー効果を増大するために、Ar雰囲気下、350℃で1.5時間熱処理して負極を製造した。
【0155】
以後、半電池は、実施例1の場合、コイン2032型(coin 2032type)セルを用い、電解液はEC:DEC=30:70vol%で混合し、添加物でFEC10wt%を、リチウム塩で1.3M LiPFの組成で使って半電池を製造した。
【0156】
また、比較例1の場合、半電池はコイン2016型(coin 2016type)セルを用い、電解液はEC:DEC:FEC=5:70:25vol%で混合し、リチウム塩で1.5M LiPF組成して使った。
【0157】
実験例2-2:電池物性評価
(実施例1の容量特性実験及び律速特性実験方法)
容量特性実験は、安定的なSEI層(layer)生成のために第1サイクルで0.01-1.5V 0.1C、第2サイクルで0.01-1.0V 0.1C条件で実験を行い、以後第3サイクルから0.01-1.0V 0.5C条件で行った。この時、全てのサイクルで0.02Cカットオフ(cut off)電流を用いた。
【0158】
律速特性実験は、サイクル特性と全て同一で、第3サイクルでそれぞれ5サイクルずつ0.2C、0.5C、1C、2C、5C条件で行った。
【0159】
(比較例1の容量特性実験及び律速特性実験方法)
従来の技術、「J.Phys.Chem.C2015、119、10255」に開示された内容で容量特性実験及び律速特性実験を行った。
【0160】
具体的に、容量特性実験は0.01-1.5V 400mA/g条件で行った。
【0161】
律速特性実験は、サイクル特性と、いずれも10サイクルずつ400、800、1600、3200mA/g条件で行った。
【0162】
実施例1で製造された電池の容量特性実験と律速特性実験結果をそれぞれ図14及び図15に示し、比較例1で製造された電池の容量特性実験と律速特性実験結果をそれぞれ図16及び図17に示す。
【0163】
また、上記実施例1で製造された電池と比較例1で製造された電池の特性を比べて表7に示す。
【0164】
【表7】
【0165】
上記表7を通じて、本発明の実施例1を使用する場合、炭素の物理的特性及び物質の構造による高い効率の律速特性を示すことを確認することができた。
【0166】
特に、0.5C対比2Cの容量維持率が97.5%で、25.6%の比較例1に比べて著しい差を示したため、これは本発明の炭素の黒鉛的(graphitic)な物理的特性とSiのメソ多孔質(mesoporous)な構造に起因するものと予想される。
【0167】
また、ヨーク-シェル構造による電極厚さの変化において、本発明の場合、50サイクル後、放電時の電極の厚さと、51サイクル充電時、電極の厚さが9%増加することを確認できた。
【0168】
本発明の実施例1によって製造されたヨーク-シェル構造のSi@C複合体の場合、発熱反応であるマグネシウム熱還元(magnesiothermic reduction)を通じて局所的加熱(local heating)が発生し、高温で非結晶炭素が黒鉛的(graphitic)炭素に変わるので、気孔度(Porosity)が減るし、電気的性質が増加することが分かった。これを通じて、電池に使用する場合、電気化学的性質に肯定的な影響を及ぼすことが分かった。
【0169】
これに対し、比較例1によって製造されたSi@mC複合体の場合、相対的に大きい気孔の大きさを有する炭素使用によって気孔度(Porosity)が増加するようになり、これによって電解質の浸透が円滑になって電気化学的性能を低下することが分かった。
【0170】
実験例3:シリコン-炭素複合体を用いた電池の製造及び物性評価
(シリコン-炭素複合体を用いた電池の製造)
実施例1ないし実施例2及び比較例2ないし比較例3で製造されたSi@C複合体を負極活物質で使用して電池を製造した。
【0171】
先ず、実施例1ないし実施例2、及び比較例2ないし比較例3で製造されたSi@C:バインダー(Polyamide imide(PAI)):導電材(Super-P)を6:2:2の重量比で混合し、溶媒ではNMPを利用してスラリーを製造した。
【0172】
製造されたスラリーを、銅ホイル(Cu foil)にドクターブレード(Doctor.blade)を利用して40μmの厚さで塗布し、PAIのバインダー効果を増大するためにAr雰囲気下、350℃で1.5時間熱処理して負極を製造した。
【0173】
以後、半電池はコイン2032型(coin 2032type)セルを使い、電解液はEC:DEC=30:70vol%で混合し、添加物でFEC 10wt%を、リチウム塩で1.3MのLiPF組成で使って半電池を製造した。
【0174】
(容量特性実験及び律速特性実験方法)
1)容量特性実験は、安定的なSEI層(layer)を生成するために、第1サイクルで0.01-1.5V 0.1C、第2サイクルで0.01-1.0V 0.1C条件で実験を行い、以後第3サイクルから0.01-1.0V0.5Cの条件で行った。この時、全てのサイクルで0.02Cカットオフ(cut off)電流を利用した。
【0175】
2)律速特性実験は、サイクル特性と全て同一で、第3サイクルでそれぞれ5サイクルずつ0.2C、0.5C、1C、2C、5C条件で行った。
【0176】
実施例1と比較例2で製造された複合体を使用した電池の容量特性実験と律速特性実験結果をそれぞれ図14及び図15に示し、実施例2と比較例3で製造された複合体を使用した電池の容量特性実験と律速特性実験結果をそれぞれ図16及び図17に示す。
【0177】
また、上記実施例1ないし2及び比較例2ないし3の特性を比べて表8に示す。
【0178】
【表8】
【0179】
上記図14ないし図17と、表8を見ると、第1サイクルでクーロン効率は、比較例1で製造された複合体を使った電池の場合(300nmのSi@C)70%で、比較例2で製造された複合体を使った電池の場合(1μmのSi@C)60%で表れた。
【0180】
このような比較例2及び3で製造された複合体を使った電池に対し、熱処理を通してSiの結晶サイズ(crystal size)を増加させ、比表面積を減らす工程を進めた実施例1及び実施例2で製造された複合体を使用した電池の結果を見ると、第1サイクルのクーロン効率がヨーク-シェル(yolk-shell)構造のサイズに関系なく約5%増加することが分かった。
【0181】
また、50サイクル後に放電時、電極の厚さはサイクル前の電極の厚さと比べた時、約20%増加することが確認でき、50サイクル後、放電時の電極の厚さと、51サイクル充電時の電極の厚さの差は、10%未満で増加することを確認することができた。これを通じて、既存シリコン負極剤の短所である体積膨脹によるバッテリーの体積変化を最小化し、その結果、充放電容量でも安定的な結果を示すことが分かった。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
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図15
図16
図17
図18
図19
図20