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特許7330266自動車両の照明および/または合図装置用の照明システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-10
(45)【発行日】2023-08-21
(54)【発明の名称】自動車両の照明および/または合図装置用の照明システム
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/29 20180101AFI20230814BHJP
   F21S 43/27 20180101ALI20230814BHJP
   F21S 41/143 20180101ALI20230814BHJP
   F21S 41/151 20180101ALI20230814BHJP
   F21S 43/15 20180101ALI20230814BHJP
   F21S 43/14 20180101ALI20230814BHJP
   F21S 41/24 20180101ALI20230814BHJP
   F21S 43/241 20180101ALI20230814BHJP
   F21S 43/249 20180101ALI20230814BHJP
   F21S 45/10 20180101ALI20230814BHJP
   F21W 102/00 20180101ALN20230814BHJP
   F21W 103/00 20180101ALN20230814BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20230814BHJP
【FI】
F21S41/29
F21S43/27
F21S41/143
F21S41/151
F21S43/15
F21S43/14
F21S41/24
F21S43/241
F21S43/249
F21S45/10
F21W102:00
F21W103:00
F21Y115:10
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021515081
(86)(22)【出願日】2019-09-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-06
(86)【国際出願番号】 EP2019074907
(87)【国際公開番号】W WO2020058289
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2021-05-06
(31)【優先権主張番号】1858477
(32)【優先日】2018-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】391011607
【氏名又は名称】ヴァレオ ビジョン
【氏名又は名称原語表記】VALEO VISION
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【弁理士】
【氏名又は名称】森 秀行
(72)【発明者】
【氏名】ピエール、ルノー
(72)【発明者】
【氏名】ブノワ、デランド
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】仏国特許出願公開第03056700(FR,A1)
【文献】国際公開第2018/065278(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0253144(US,A1)
【文献】特開2015-195377(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/29
F21S 43/27
F21S 41/143
F21S 41/151
F21S 43/15
F21S 43/14
F21S 41/24
F21S 43/241
F21S 43/249
F21S 45/10
F21W 102/00
F21W 103/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車両用の照明および/または合図装置の照明モジュール(1)であって、
光源支持体(10)上に定置された複数の光源(14)と、
前記複数の光源(14)によって放出された光線を受ける複数の入光面(33a,34a)を具備した光学素子(30)であって、各入光面が対応する光源に面している、前記光学素子(30)と、
前記光学素子(30)を支持する、前記光源支持体(10)に固定されたフレーム(20)と、
を備え、
前記光学素子(30)は、前記光源支持体(10)に向かって突き出た自由端を有する少なくとも1つの脚柱(350)を有し、前記少なくとも1つの脚柱(350)は、前記光学素子(30)と同じ材料で作られると共に、当該照明モジュール(1)が組み立てられたときに前記光源支持体(10)と直接ないしは間接的に接触している、照明モジュール(1)において、
前記フレーム(20)は基部(200)を備え、前記基部(200)によって前記フレーム(20)が前記光源支持体(10)に直接接触し、
前記少なくとも1つの脚柱(350)は、当該脚柱が前記光源支持体(10)に直接ないしは間接的に接触したときに、前記入光面(33a,34a)を前記光源(14)から離すように構成されており、
前記フレーム(20)および前記光学素子(30)は、前記フレーム(20)および前記光学素子(30)によって形成される組立体が前記光源支持体(10)上に取り付けられる時において前記基部(200)が前記光源支持体(10)に接触する前に、前記少なくとも1つの脚柱(350)が前記光源支持体(10)に直接ないしは間接的に接触するように構成されており、
弾性接続部(24)が、前記光学素子(30)と前記フレーム(20)との間に設けられており、前記弾性接続部(24)は変形することができ、これにより、前記フレーム(20)および前記光学素子(30)によって形成される前記組立体が前記光源支持体(10)上に取り付けられるときに、前記光学素子(30)の前記少なくとも1つの脚柱(350)が前記光源支持体(10)に直接ないしは間接的に接触するとともに前記フレーム(20)の前記基部(200)が前記光源支持体(10)に直接接触することができるようになっている、照明モジュール(1)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの光源(14)と前記光学素子(30)の入光面との間の距離が0.4mm未満である、請求項1に記載の照明モジュール(1)。
【請求項3】
前記光学素子(30)は複数の脚柱(350)を備えている、請求項1または2に記載の照明モジュール(1)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの脚柱(350)は、前記光学素子(30)の前記入光面の周囲に配置されている、請求項1から3のうちのいずれか一項に記載の照明モジュール(1)。
【請求項5】
前記光学素子(30)は複数の光導波路(33,34)を備え、各光導波路(33,34)が前記光学素子(30)の前記入光面を形成する入光面(33a,34a)を備えており、前記光学素子(30)はまた、少なくとも前記光源(14)と同じ数の光導波路を備え、前記光源(14)のそれぞれは、当該光源(14)によって放出された光線が、その光源の関連付けられる光導波路(33,34)の前記入光面(33a,34a)を通じて前記光学素子(30)へ入射するように当該光導波路(33,34)と関連付けられている、請求項1から4のうちのいずれか一項に記載の照明モジュール(1)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの脚柱(350)は、スペーサ(351)を介して前記光源支持体(10)に間接的に接触し、前記基部(200)に接する平面Taに垂直な方向に測定した距離を垂直方向距離と呼ぶこととした場合において、前記少なくとも1つの脚柱(350)の自由端の前記平面Taからの垂直方向距離が、前記複数の光導波路(33,34)の前記入光面(33a,34a)のうちの前記平面Taからの垂直方向距離が最も小さいものの前記平面Taからの垂直方向距離よりも大きい、請求項5に記載の照明モジュール(1)。
【請求項7】
前記少なくとも1つの脚柱(350)は、前記光源支持体(10)に直接接触し、前記基部(200)に接する平面Taに垂直な方向に測定した距離を垂直方向距離と呼ぶこととした場合において、前記少なくとも1つの脚柱(350)の自由端の前記平面Taからの垂直方向距離が、前記複数の光導波路(33,34)の前記入光面(33a,34a)のうちの前記平面Taからの垂直方向距離が最も小さいものの前記平面Taからの垂直方向距離よりも小さい、
請求項5に記載の照明モジュール(1)。
【請求項8】
前記光学素子(30)と前記フレーム(20)とによって形成される組立体が前記光源支持体(10)上に取り付けられる前には、前記基部(200)に接する平面Taに対して各脚柱(350)が交差している、請求項7に記載の照明モジュール(1)。
【請求項9】
前記弾性接続部(24)が前記光学素子(30)と同じ材料で作られている、請求項1から8のうちのいずれか一項に記載の照明モジュール(1)。
【請求項10】
前記光学素子(30)および前記脚柱(350)が弾性変形可能な材料で作られている、請求項1から9のうちのいずれか一項に記載の照明モジュール(1)。
【請求項11】
前記フレーム(20)が、前記光学素子(30)および前記脚柱(350)よりも弾性変形しにくい材料で作られている、請求項1から10のうちのいずれか一項に記載の照明モジュール(1)。
【請求項12】
前記フレーム(20)の膨張率が前記脚柱(350)の膨張率よりも低い、請求項1から11のうちのいずれか一項に記載の照明モジュール(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に自動車両についての、照明および/または合図の分野に関するものである。より特定的には、本発明は自動車両用の照明および/または合図装置の照明モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車両には、車外の明るさが低下したとき(特に夜間)に運転者が道路を見ることができるよう、車両前方の道路を照らすためのヘッドライトが装備されている。ヘッドライトは、ハウジングと、そのハウジングを密閉するための外側レンズとを備えている。光源と光学素子とを備えた照明モジュールがハウジング内に配置されている。光源は、光線を成形する光学素子の入光面に向かって当該光線を放出する。光源によって放出された光線に基づいて精確な配光を伴った最終的な光ビームを成形するために、光学モジュールが用いられ得る。その最終的な光ビームが、ヘッドライトの密閉外側レンズを通じて道路上へと投射されるのである。
【0003】
最終的な光ビームの配光が制御されることが重要である。特に、そのビームは、現行の規制を満たさねばならず、種々の道路使用者達(例えば、対向車や先行車の運転者ら)を幻惑してはならないのである。
【0004】
従って、光源によって放出された光線が光学素子の入光面の方へ差し向けられるように、光学素子の入光面に対して光源を精確に定置(位置決め)することが不可欠なのである。また、照明モジュールの高い効率のためには、光源によって放出された光線の最大量を入光面が捕らえねばならない。この目的のためには、光源が光学素子の入光面にできるだけ近接して(例えば、0.4mm未満の距離に)定置されねばならない。しかしながら、光源への損傷を避けるためには、光学素子の入光面と光源との間に間隔を残しておくことが重要である。これは、光学素子の入光面が光源に接してしまえば、光学素子や光源が傷つくであろうからである。
【0005】
さらに、光源が点灯されたときには、その光源が熱を生じさせる。光源と光学素子との近接によって、光源により生じた熱が光学素子を熱くしてしまう。そして光学素子が変形させられることで、光源と光学素子の入光面との間の距離を変化させてしまう。かくして光源と光学素子の入光面との相対的な位置が変わってしまうのである。そして、光源によって放出された光線が光学素子の入光面へ異なる道のりで入射し、最終的な光ビームを変化させてしまう結果となる。
【0006】
特許文献1(EP2306077)は、プリント回路によって基盤構造上に定置された光源と、基盤構造上の支持体によって保持された光学素子とを備え、支持体と光学素子とが同じ材料で作られた照明モジュールを記述している。かくして、光源が点灯されたときには、その光源が光学素子とその支持体との両者を加熱する。そして、光学素子の変形が支持体の変形によって補償されるのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】欧州特許出願公開第2306077号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、光源に対する光学素子の定置を確保すると共に、光源が、光学素子の入光面に接触するようになることなく、この面にできるだけ近接して定置されるのを保証することのできる照明モジュールについての、代替的な解決策を提供することである。本発明のもう1つの目的は、温度変化の影響を受けることなく、光源と光学素子の入光面との間に実質的に一定の距離を保つことである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的のため、本発明によれば、
自動車両用の照明および/または合図装置の照明モジュールであって、
- 光源支持体上に定置された少なくとも1つの光源と、
- 当該少なくとも1つの光源によって放出された光線を受ける入光面を具備し、光源に面して定置された光学素子と、
- 光学素子を支持する、前記光源支持体に固定されたフレームと、
を備えた照明モジュールにおいて、
光学素子は、光源支持体に向かって突き出た自由端を有する少なくとも1つの脚柱を有し、当該少なくとも1つの脚柱は、光学素子と同じ材料で作られると共に、当該照明モジュールが組み立てられたときに光源支持体と直接ないしは間接的に接触している、という点において注目すべき照明モジュールがもたらされる。
【0010】
「直接接触」とは、脚柱が光源支持体に接することを意味する。従って、脚柱と光源支持体との間には中間部品が存在していない。そうして光学素子は、当該少なくとも1つの脚柱によって光源支持体に直接準拠させられるのである。
【0011】
「間接的に接触」とは、脚柱が、光源支持体に接触した中間部品と接触するようになることを意味する。そうして光学素子は、中間部品によって光源支持体に準拠させられるのである。
【0012】
かくして、本発明の結果として、光源を光学素子に対して定置することができる。これは、脚柱が(光源支持体と直接接触するか間接的に接触するかにかかわらず)光源支持体に対して、従って、これもまた光源支持体上に定置された光源に対して、光学素子を準拠させることを可能とするからである。
【0013】
脚柱はまた、光学部品と光源との間の距離が管理されることを可能ともする。従って、光源を、光学素子の入光面に接触するようになることなく、この面にできるだけ近接して定置することができる。
【0014】
本発明はまた、温度変化の影響を受けることなく、光源と光学素子の入光面との間に実質的に一定の距離が保たれることを可能ともする。これは、光学素子と脚柱とが同じ材料で作られているため、それらが温度変化の関数として同じように変形するからである。脚柱が準拠用装置としての機能を果たすことから、その変形によって光学素子の変形が補償され、光学素子の入光面と光源との間に一定の距離がもたらされることを可能とするのである。
【0015】
少なくとも1つの光源と光学素子の入光面との間の距離が0.4mm未満であることが、光源によって放出された光線の大部分を入光面が捕らえることを可能として、有利である。
【0016】
光学素子は複数の脚柱、例えば2つの脚柱、3つの脚柱、または4つの脚柱を備えていることが有利である。
【0017】
少なくとも1つの脚柱は、光学素子の入光面の周囲に配置されていることが有利である。
【0018】
その周囲の全周に沿った位置を単一の脚柱が占めていてもよい。それに代えて、その周囲に沿って複数の脚柱が分散配置されていてもよい。それらの脚柱は、規則的に間隔を置かれていてもよく(連続する2つの脚柱間の間隔が同一であることを意味する)、或いは不規則に間隔を置かれていてもよい。それらの脚柱はまた、光学素子の入光面における対称軸の両側に対称に分散配置されていてよい。
【0019】
光学素子は、複数のマイクロレンズを備えているのが有利である。
【0020】
或いは、光学素子は複数の光導波路(導光体)を備え、各光導波路が光学素子の前記入光面を形成する入光面を備えている。各光導波路は、光学素子から各脚柱と同じ方向へ伸びている。かくして各光導波路の入光面が光源支持体に面して定置される。
【0021】
光学素子は、少なくとも光源と同じ数の光導波路を備える。光源の数は、光導波路の数より少なくてもよい。この場合、一部の光導波路は如何なる光源とも関連付けられない。或いは、光源の数が光導波路の数と同じであってもよい。その場合、各光導波路が1つの光源と関連付けられる。
【0022】
光源のそれぞれは、光導波路と関連付けられる。光導波路の関連付けられた光源は、光導波路の入光面に面して定置される。その結果、光源のそれぞれによって放出された光線が、その光源の関連付けられた光導波路の入光面を通じて光学素子へ入射する。
【0023】
第1実施形態によれば、フレームは、基部を備えて、その基部によって前記光源支持体に接触し、脚柱のうちの少なくとも1つにおける自由端の、前記基部に接する平面に垂直な直線上への正射影が、光導波路の入光面の全ての射影のうち、前記基部に接する平面に最も近い位置にある光導波路の入光面の射影よりも、前記基部に接する平面から遠いか、ないしは同程度の所に位置している。換言すれば、フレームの基部に接する平面に垂直な直線上への正射影において、各光導波路の端部が、脚柱よりも前記基部に接する平面に近い位置まで延びているのである。
【0024】
光導波路の入光面と光源との間に間隔をもたらすようにスペーサが脚柱に接触していることが有利である。そうして、スペーサと、そのスペーサの関連付けられる脚柱とによって形成される要素の、基部に接する平面に垂直な直線上への正射影が、光導波路の入光面の全ての射影のうち、前記基部に接する平面に最も近い位置にある光導波路の入光面の射影よりも、前記基部に接する平面により近い位置にある。かくしてスペーサは、光学素子の入光面に対する光源の正確な定置を確保することができる。そのスペーサは、光学素子の入光面と光源との間の間隔が管理されることを可能とし、かくして光学素子の入光面と光源との間に間隔が保たれることを保証する。
【0025】
第1の変形例によれば、スペーサは光源支持体上に定置され、脚柱がスペーサ上で支持される。
【0026】
第2の変形例によれば、スペーサは脚柱の端部に付けられる。
【0027】
第2実施形態によれば、フレームは、基部を備えて、その基部によって前記光源支持体に接触し、脚柱のうちの少なくとも1つにおける自由端の、前記基部に接する平面に垂直な直線上への正射影が、光導波路の入光面の全ての射影のうち、前記基部に接する平面に最も近い位置にある光導波路の入光面の射影よりも、前記基部に接する平面により近い位置にある。換言すれば、フレームの基部に接する平面に垂直な直線上への正射影において、各光導波路の端部が、脚柱ほどには前記基部に接する平面の近くまで延びていないのである。
【0028】
そうして各脚柱は、組立ての間に光学素子が光源支持体上に準拠させられるのを可能とすると共に、光学素子の入光面と光源との間の間隔が管理されることを可能とする。それらの脚柱が、光学素子の入光面と光源との間に間隔が保たれることを保証するのである。
【0029】
光学素子とフレームとによって形成される組立体が光源支持体上に取り付けられる前には、基部に接する平面に対して各脚柱が交差しているのが有利である。かくして、-40℃から25℃までの範囲に及ぶ温度について、各脚柱と光源支持体との間の接触がもたらされる。
【0030】
適切な場合、当該照明モジュールは、フレームと光学素子とによって形成される組立体が光源支持体上に取り付けられるときに変形することのできる弾性接続部を、光学素子とフレームとの間に備えている。かくして光学素子とフレームとによって形成される組立体が、光源支持体上へと容易に組み付けられ得るのである。
【0031】
弾性接続部が光学素子と同じ材料で作られているのが有利である。これにより、光学素子と弾性接続部とを形成するのに射出せねばならないのが1つの材料のみであることから、照明モジュールの製造が容易となる。
【0032】
実施形態を単独で考えるか、それとも別の実施形態と組み合わせるかにかかわらず、光学素子および脚柱が弾性変形可能な材料で作られる。例えば、光学素子と各脚柱とがシリコーンで作られていてよい。この材料は、自動車両の照明および/または合図装置の環境において一般的に直面する(特に150℃にまで達する)高温への優れた耐性をもたらすという利点を有している。
【0033】
フレームが、光学素子および脚柱よりも弾性変形しにくい材料で作られているのが有利である。これにより、各光源に面した各ライトガイド(導光体)の取扱いや定置が容易となる。
【0034】
フレームは、紫外線放射の作用によって硬化する接着剤で光源支持体に固定されるのを可能とするよう、紫外線放射を通す材料で作られるのが有利である。
【0035】
フレームは例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリウレタン(PU)、またはポリエーテルイミド(PEI)で作られてよい。
【0036】
フレームの膨張率が脚柱の膨張率よりも遙かに低くなっていて、温度が上昇した場合に脚柱と光源支持体との間の接触が確保されることを可能とするのが有利である。
【0037】
各脚柱は、光学素子と一体に作られているのが有利である。それらの脚柱は、かくして光学素子と同時に形成され得る。それに代えて、各脚柱が光学素子に付けられてもよい。この場合、それらの脚柱は別個に形成されてから、光学素子に組み付けられる。
【0038】
光学素子がフレーム上にオーバーモールドされるのが有利である。
【0039】
光源支持体はプリント回路であるのが有利である。
【0040】
各光源は、英語「Light-Emitting Diode」の略語としてLEDとも呼ばれる発光ダイオードであるのが有利である。
【0041】
フレームは、当該フレームを光源支持体に固定するためのインターフェイスを備えているが有利である。例えばフレームは、内部にネジの定置され得る1つないし複数の開口を備えていてよい。或いはインターフェイスは、フレームの段部によって、ないしはフレーム上の接着用溝部によって形成されることもできるであろう。
【0042】
本発明のその他の特徴および利点は、明細書および図面の助けを借りて、より容易に明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】本発明による照明モジュールを示す図。
図2図1の照明モジュールを、その補正レンズ無しで示す図。
図3】発光ダイオード同士のアレイの支持体を下流側から見た斜視図。
図4図1の照明モジュールの一部分を形成する光学素子の後方部分を上流側から見た透視投影図。
図5】本発明の第1実施形態による照明モジュールの一部分を図2のV-V軸に沿って切った断面図。
図6】本発明の第2実施形態による照明モジュールの一部分を図2のV-V軸に沿って切った断面図。
図7図6に示す部分を光源支持体に組み付ける前における、その部分の断面図。
図8】横・鉛直方向断面に沿った照明モジュールの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0044】
明細書の残部において、以下の各方向が非限定的に用いられることとなる:
- 照明モジュールの投射レンズの光軸に沿って後方から前方へ伸びる、縦方向「L」、
- 左方から右方へ伸びる、横方向「T」、
- 下方から上方へ伸びる、鉛直方向「V」。
【0045】
図1は、自動車両用の照明または合図装置に装着されるべき照明モジュール1を示している。照明モジュール1は、前方光ビームを生成することができる。
【0046】
照明モジュールは、複数の光源14がその上に定置される光源支持体10を備えている。図示される光源支持体10は、ここではプリント回路10’である。
【0047】
各光源14(特に図3で見える)は、下方列12および上方列13に沿って振り分けられている。各列は、13個の光源14を含んでいる。かくして、2つの列同士の二重配置によって光源14同士のアレイ15が形成されている。
【0048】
各光源は、発光ダイオードである。
【0049】
光源14同士のアレイ15は、縦方向「L」に直交する平面内に広がっている。各光源14は、光源支持体10の前面によって保持されている。
【0050】
各光源14は、自らの作動中に熱を放出しやすいものである。各光源14がその上に定置される光源支持体10は、ヒートシンク11上に定置されている。ヒートシンク11は、光源支持体10とは反対の方向へ伸びる複数のフィン16を備え、かくして光源14によって放出された熱を放散させることを可能としている。
【0051】
各光源14は光線を放出する。これらの光線は、光学モジュールが道路上へと光ビームを投射できるように成形されねばならない。
【0052】
この目的のために光学モジュール1は、各光源14から放出された光線を受けることのできる光学素子30を有している。光線が正しく成形されるのを保証するためには、光学素子30に対して各光源14が精確に定置されねばならない。光源支持体に対する光学素子の定置は、フレーム20によって確立される。
【0053】
フレーム20は、光学素子30を保持するのに用いられ得る。フレーム20は、光学素子30が周囲にオーバーモールドされる中央孔を有している。フレームはまた、3つの開口21,22,23をも有している。それらの開口21,22,23内には、フレーム20と光源支持体10との間の固定用インターフェイスを形成するようにネジを定置することができる。そして、開口21,22,23内へと挿入されるネジ(図示せず)によって、光源支持体30にフレーム20を固定することができる。或いは、固定用インターフェイスは、フレーム20の段部によって、ないしはフレーム20上の接着用溝部によって形成することができるであろう。
【0054】
フレーム20は、基部200を備え、その基部200によって光源支持体10に接触している。
【0055】
光学素子30は、図2で見える前方部分30aと、図4で見える後方部分30bとを備えている。後方部分30bは、複数の光導波路33,34によって形成されている。図8で見えるように、各光導波路33,34は、光線のための入光面33a,34aから前端出光面36aまで主縦軸線に沿って伸びている。各ライトガイドは、入光面33a,34aを通じて入射する光線を前端面36aへ導くように設計されている。かくして、光導波路33,34における入光面33a,34a同士の組が光学素子30の入光面を形成し、各前端面36aが二次光源36を形成している。
【0056】
後方部分30bは、光源14と同じ数の光導波路33,34を備えている。図示例において後方部分30bは、照明モジュール1における光源14の数と同じ数の光導波路33,34を備えているのである。後方部分30bは、13個の光導波路33を含んだ下方列312と、13個の光導波路34を含んだ上方列313とを備えている。下方列312の各光導波路33は、下方列12のある1つの光源14と関連付けられ、上方列313の各光導波路34は、上方列13のある1つの光源14と関連付けられている。
【0057】
光導波路33,34の関連付けられる光源14は、当該光導波路33,34の入光面33a,34aに面して定置される。そうして、関連付けられた光導波路33,34の入光面33a,34aは、それが関連付けられる光源14によって放出された光線を捕らえるのである。
【0058】
或いは、光学素子30は複数のマイロレンズを備える。
【0059】
ライトガイド33,34の入光面33a,34a同士が、光源支持体10の平面と平行な共通平面内に配置されている。光学素子30が光学モジュール1内に配置されたとき、光導波路33,34の各入光面33a,34aは、関連付けられた光源14に面して近接して定置される。その結果、各光源14によって放出された光線の大部分が、関連付けられた光導波路へ入射するのである。
【0060】
各光導波路33,34は、照明または合図装置に相応の光学モジュールの機能を果たすのに望ましい形状を有した基本出射光ビームを作り出すように適合された断面を有している。
【0061】
二次光源36を形成する光導波路33,34の前端面同士が、曲面Cに沿って配置されている。かくして、光学素子30の外側の方に位置した光導波路33,34は、光学素子30の中央部に位置した光導波路33,34よりも長くなっている。
【0062】
変形例においては、光導波路33,34の前端面同士は共通平面内に配置されることができるであろう。
【0063】
かくして、光導波路33,34の前端面同士が、基本光ビームを放出する二次光源36同士のアレイを形成している。これらの基本光ビームは、光学素子30の前方部分30aによって成形される。この前方部分30aは、例えば基本光ビームを鉛直方向および/または水平方向に広げることを可能とする。
【0064】
前方部分30aは、光学素子30からの光線の出射のための共通前端面37を備えている。
前方部分30aは、光学素子30が単一体要素であるように、光導波路33,34と一体に作られている。
【0065】
照明モジュール1はまた、光学素子30の縦方向前方に距離を置いて配置された投射レンズ41をも備えている。投射レンズは、各光導波路によって形成される二次光源を、最終的な光ビームを成形するよう無限遠に向かって投射することができる。
【0066】
投射レンズは、物体焦点面Sを備えている。この焦点面は、凹形球状の湾曲変形を有している。この変形は、ペッツバール像面収差と呼ばれている。
【0067】
結果として得られる最終的なビームが、その用途にとって望ましい光特性を有することを保証するためには、各二次光源が鮮明に映し出され(結像され)ねばならない。この目的のためには、各二次光源が、投射レンズ41の物体焦点面上に位置しておらねばならない。
【0068】
投射レンズ41が各二次光源36上へ正確に合焦されることを可能とするために、光学素子30と投射レンズ41との間にフィールド(像面)補正レンズ40が介在させられている。このフィールド補正レンズ40は、投射レンズ41の像面湾曲収差の一部分を補正するように設計されている。投射レンズ41の像面湾曲収差の他の部分は、二次光源36同士によって形成される湾曲によって補正される。
【0069】
フィールド補正レンズ40は、フィールド補正レンズ41によって湾曲させられた物体焦点面Sの像が、二次光源36同士のアレイの湾曲出光面Cと一致した物体焦点面内に広がるように形作られている。
【0070】
光学素子30の後方部分30bは、4つの脚柱350を備えている。各脚柱350は、光源支持体10の方へ突き出た自由端を有している。脚柱350それぞれの他端は、光学素子30と一体に作られている。かくして各脚柱は、光学素子30との単一体として作られているのである。
【0071】
脚柱350同士は、光学素子30の入光面の周囲に沿って分散配置されている。脚柱350同士は、光学素子30の入光面の中央を通る横方向軸線の両側、および光学素子30の入光面の中央を通る鉛直方向軸線の両側へ対称に定置されている。
【0072】
本発明を限定することなく、別の数の脚柱を有すること、および/または光学素子30の入光面の周囲に各脚柱を異なるように定置することへの備えをなすことができるであろう。
【0073】
ここでは、脚柱350のそれぞれが同じ長さを有している。変形例においては、互いに異なる長さの脚柱を有することができるであろう。
【0074】
光学素子30の入光面の周囲における脚柱350同士の分散配置によって、光源支持体10上における光学素子30の支持箇所同士の分散配置が可能となる。これは、組立ての間に、各脚柱350が光源支持体10と直接ないしは間接的に接触するようになるからである。
【0075】
図5に示す第1実施形態によれば、各脚柱350は光源支持体10と間接的に接触するようになる。
【0076】
図5に示すように、各脚柱350の自由端の、基部200に接する平面Taに垂直な直線D上への正射影が、光導波路33,34の入光面33a,34aの全ての射影のうち、平面Taに最も近い光導波路の入光面の射影に対して、より平面Taから遠いかあるいは同程度の所に位置している。平面Taから遠い(平面Taに近い)とは、直線Dに沿った方向に測定した平面Taからの距離つまり鉛直方向距離が大きい(小さい)ことを意味する。
【0077】
そうして、各脚柱350が、光導波路33,34の入光面33a,34aよりも光源支持体10から遠く離れているのである。
【0078】
脚柱350はそれぞれ、光源支持体10に接触したスペーサ351と接触するようになる。そうして、光学素子30が、各スペーサ351によって光源支持体10に準拠させられるのである。
【0079】
そうして、スペーサ351と、そのスペーサの関連付けられる脚柱350とによって形成される要素の、基部200に接する平面Taに垂直な直線D上への正射影が、光導波路33,34の入光面33a,34aの全ての射影のうち、平面Taに最も近い光導波路の入光面の射影よりも、平面Taに近い位置に位置している。
【0080】
かくしてスペーサ351は、各光源14と、関連付けられた光導波路33,34の入光面33a,34aとの間に間隔Eが保たれることを保証しつつ、各光源14から放出される光線の最大量が、関連付けられた光導波路33,34の入光面33a,34aを通じて入射するよう、この間隔Eを最小限にすることを可能とする。この隔たりは、例えば0.4mm未満となるように選択され得る。
【0081】
各スペーサ351が光源支持体10上に定置され、そして各脚柱350が、ある1つのスペーサ351上で支持されてよい。或いは、各スペーサ351が各脚柱350の端部へ付けられていてもよい。各脚柱350と各スペーサ351とによって形成される組立体によって、光源支持体10に対して光学素子を定置することが可能となる。かくして光源14を、光学素子の入光面へ接触するようになることなく、この面にできるだけ近接して定置することができる。
【0082】
図6および図7に示す第2実施形態によれば、各脚柱350は光源支持体10と直接接触するようになる。
【0083】
図6に示すように、各脚柱350の自由端の、フレーム20の基部200に接する平面Taに垂直な直線D上への正射影が、光導波路33,34の入光面33a,34aの全ての射影のうち、平面Taに最も近い光導波路の入光面の射影よりも、平面Taに近い位置に位置している
【0084】
そうして、各脚柱350が、光導波路33,34の入光面33a,34aよりも光源支持体10に近接しているのである。各脚柱350が光源支持体10と接触するようになり、そうして、各光導波路の入光面33a,34aと光源支持体10との間に間隔が保たれることを可能としている。従って、光源支持体10と各光導波路の入光面との間の距離が管理されるのである。
【0085】
また、各脚柱350の長さは、基部200に接する平面Taに垂直な直線D上への正射影で考えた光源14の高さよりも、この間隔の方が大きくなるように計算されている。かくして、光源支持体10上に定置された各光源14と、関連付けられた光導波路33,34の入光面33a,34aとの間に間隔Eがもたらされる。この間隔Eはまた、各光源14から放出される光線の最多数が、関連付けられた光導波路33,34の入光面33a,34aを通じて入射するようなものでもある。この隔たりは、例えば0.4mm未満となるように選択され得る。
【0086】
この実施形態によれば、図示例において、光学素子30とフレーム20とによって形成される組立体が光源支持体10上に取り付けられる前には、フレーム20の基部200に接する平面Taに対して各脚柱350が交差している。このことは、特に図7で見える。
【0087】
照明モジュール1は、光学素子30とフレーム20との間に弾性接続部24を備えている。その弾性接続部24は、フレーム20と光学素子30とによって形成される組立体が光源支持体10上に取り付けられたときに変形することのできるものである。従って、この弾性接続部24は、フレーム20と光学素子30とによって形成される要素が、光学素子30を変形させることなく、そして特に光導波路33,34を損傷させることなく、光源支持体10上に定置されることを可能とする。
【0088】
脚柱350同士が異なる長さを有する変形例においては、一部の脚柱350が光源支持体と(スペーサを介して)間接的に接触し、その他の脚柱350が光源支持体と直接接触するであろうように、2つの実施形態同士を組み合わせることが可能であろう。
【0089】
また、それぞれの実施形態において、各脚柱350は光学素子10と同じ材料で作られている。かくして、光源14が点灯されて熱を生じさせたときには、光学素子30と各脚柱350とが温度変化の関数として同じように変形する。従って、光学素子30の変形が、各脚柱350の変形によって補償されるのである。かくして、温度変化の影響を受けることなく、光学素子30の入光面と各光源14との間で実質的に一定の距離が保たれ得るのである。
【0090】
光学素子30と各脚柱350とは、弾性変形可能な材料(例えば、シリコーン)で作られている。本発明において「弾性変形可能」とは、材料が応力を受けたときに破壊することなく変形することを意味する。従って、その材料は可撓性のものである。
【0091】
別の例によれば、それらはポリカーボネート、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、または光導波路33,34を作るのに適した任意の別材料で作ることができるであろう。
【0092】
また、第2実施形態においては、弾性接続部24が、光学素子30および各脚柱350と同じ材料で作られているのが有利である。かくして、光源14が点灯されて熱を放散させたとき、光学素子30、各脚柱350、および弾性接続部24が同じ変形を被ることで、各光源14と、光導波路33,34の入光面33a,34aとの間の距離を実質的に一定に保つのを助ける。
【0093】
フレーム20は、光学素子および各脚柱よりも弾性変形しにくい材料で作られている。かくして、フレーム20と光学素子30とによって形成される要素の光源支持体10への正確な固定を確保することができ、各光源14に面した各光導波路33,34の定置を容易にすることができる。特に、フレーム20の膨張率は、各脚柱350の膨張率よりも遙かに低くなっている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8