IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ▲華▼域▲視▼▲覺▼科技(上▲海▼)有限公司の特許一覧

特許7330272車両ランプ用光学素子、車両ランプモジュール、車両ヘッドライト及び車両
<>
  • 特許-車両ランプ用光学素子、車両ランプモジュール、車両ヘッドライト及び車両 図1
  • 特許-車両ランプ用光学素子、車両ランプモジュール、車両ヘッドライト及び車両 図2
  • 特許-車両ランプ用光学素子、車両ランプモジュール、車両ヘッドライト及び車両 図3
  • 特許-車両ランプ用光学素子、車両ランプモジュール、車両ヘッドライト及び車両 図4
  • 特許-車両ランプ用光学素子、車両ランプモジュール、車両ヘッドライト及び車両 図5
  • 特許-車両ランプ用光学素子、車両ランプモジュール、車両ヘッドライト及び車両 図6
  • 特許-車両ランプ用光学素子、車両ランプモジュール、車両ヘッドライト及び車両 図7
  • 特許-車両ランプ用光学素子、車両ランプモジュール、車両ヘッドライト及び車両 図8
  • 特許-車両ランプ用光学素子、車両ランプモジュール、車両ヘッドライト及び車両 図9
  • 特許-車両ランプ用光学素子、車両ランプモジュール、車両ヘッドライト及び車両 図10
  • 特許-車両ランプ用光学素子、車両ランプモジュール、車両ヘッドライト及び車両 図11
  • 特許-車両ランプ用光学素子、車両ランプモジュール、車両ヘッドライト及び車両 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-10
(45)【発行日】2023-08-21
(54)【発明の名称】車両ランプ用光学素子、車両ランプモジュール、車両ヘッドライト及び車両
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/265 20180101AFI20230814BHJP
   F21S 41/24 20180101ALI20230814BHJP
   F21S 41/29 20180101ALI20230814BHJP
   F21S 41/275 20180101ALI20230814BHJP
   F21S 41/143 20180101ALI20230814BHJP
   F21S 45/47 20180101ALI20230814BHJP
   F21S 41/19 20180101ALI20230814BHJP
   F21V 29/503 20150101ALI20230814BHJP
   F21V 29/76 20150101ALI20230814BHJP
   F21S 41/657 20180101ALI20230814BHJP
   F21S 41/151 20180101ALI20230814BHJP
   B60Q 1/068 20060101ALI20230814BHJP
   F21W 102/13 20180101ALN20230814BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20230814BHJP
【FI】
F21S41/265
F21S41/24
F21S41/29
F21S41/275
F21S41/143
F21S45/47
F21S41/19
F21V29/503
F21V29/76
F21S41/657
F21S41/151
B60Q1/068 100
F21W102:13
F21Y115:10
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021525808
(86)(22)【出願日】2019-09-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-07
(86)【国際出願番号】 CN2019105936
(87)【国際公開番号】W WO2020244087
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2021-05-12
(31)【優先権主張番号】201910488336.X
(32)【優先日】2019-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201920859938.7
(32)【優先日】2019-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910730411.9
(32)【優先日】2019-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910780214.8
(32)【優先日】2019-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520372939
【氏名又は名称】▲華▼域▲視▼▲覺▼科技(上▲海▼)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 大攀
(72)【発明者】
【氏名】仇 智平
(72)【発明者】
【氏名】祝 ▲賀▼
(72)【発明者】
【氏名】桑 文慧
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-181635(JP,A)
【文献】特開2006-164923(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0124472(US,A1)
【文献】特開2018-106890(JP,A)
【文献】特開2018-073516(JP,A)
【文献】特開平03-133004(JP,A)
【文献】特開平09-017210(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/00
F21S 45/47
F21V 29/503
F21V 29/76
B60Q 1/068
F21W 102/13
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両ランプ用光学素子であって、順に接続される入光部(11)、光通過部(12)及び出光部(13)を備え、前記入光部(11)は左右方向に順に接続される複数の入光面(14)を備え、前記入光面(14)は後へ突出している曲面であり、出光面(15)は前へ突出している曲面であり、前記光通過部(12)の左側面と右側面は光軸方向に前へ延伸し、さらに光軸に近接する方向に収束しており、前記光通過部(12)の左側面及び右側面に入射する光の入射角が小さく、かつ反射率が低いことを特徴とする車両ランプ用光学素子。
【請求項2】
前記光通過部(12)の前端面の輪郭は、出光部(13)の後端面に取り付け面(16)を形成できるように、前記出光部(13)の後端部の輪郭内に位置することを特徴とする請求項1に記載の車両ランプ用光学素子。
【請求項3】
前記光通過部(12)の上側面と下側面の光軸方向に沿う縦断面の高さが徐々に大きくなることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両ランプ用光学素子。
【請求項4】
光を前記光通過部(12)の側面に全反射できるように、前記出光部(13)の四周側面は後から前へ光軸に近接する方向に収束していることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の車両ランプ用光学素子。
【請求項5】
前記光通過部(12)の表面には、艶消しコーティング又は遮光部材が設けられることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の車両ランプ用光学素子。
【請求項6】
前記車両ランプ用光学素子は一体成形されることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の車両ランプ用光学素子。
【請求項7】
ブラケット(3)、光源(2)が設けられた回路基板(4)及びラジエーター(5)を備える車両ランプモジュールであって、請求項1~6のいずれか一項に記載の車両ランプ用光学素子(1)をさらに備え、前記車両ランプ用光学素子(1)の光通過部(12)が前記ブラケット(3)によって形成される収容室内に設けられ、前記ブラケット(3)は一端が順に前記回路基板(4)、ラジエーター(5)に固定して接続され、他端が前記出光部(13)の取り付け面(16)に接続されることを特徴とする車両ランプモジュール。
【請求項8】
前記ブラケット()は前記光通過部(12)を収容する収容室を形成するように、一体構造又は取り外し可能な構造であることを特徴とする請求項7に記載の車両ランプモジュール。
【請求項9】
前記車両ランプモジュールは調光機構(6)をさらに備え、前記調光機構は第1ボールヘッドねじ(61)、第2ボールヘッドねじ(62)、第3ボールヘッドねじ(63)、固定フレーム(65)及びボールヘッドねじにそれぞれ対応するボールヘッドナット(64)を備え、前記固定フレーム(65)と前記ラジエーター(5)が前記ボールヘッドねじによって接続され、前記第1ボールヘッドねじ(61)と前記第2ボールヘッドねじ(62)のボールヘッド球心連結線が左右方向に延在し、前記第2ボールヘッドねじ(62)と前記第3ボールヘッドねじ(63)のボールヘッド球心連結線が上下方向に延在することを特徴とする請求項7又は8に記載の車両ランプモジュール。
【請求項10】
請求項7~9のいずれか一項に記載の車両ランプモジュールを少なくとも備え、前記車両ランプモジュールは縦方向に、横方向に、又は傾斜して配列して分布されることを特徴とする車両ヘッドライト。
【請求項11】
請求項10に記載の車両ヘッドライトを備えることを特徴とする車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両照明装置に関し、具体的には、車両ランプ用光学素子に関し、また、さらに車両ランプモジュール、車両ヘッドライト及び車両に関する。
【背景技術】
【0002】
夜間運転では、自動車照明システム、特にヘッドライトの重要性は言うまでもない。自動車の高速走行中、眩しいハイビームによって、運転手が自動車への制御を失い、さらに予測できない危険を引き起こす恐れがある。自動車ヘッドライトは、運転手に広い視野及び良好な視覚条件を提供するだけでなく、ほかの道行く人を眩惑させないように、可能な限りほかの道行く人に影響を与えない。技術発展に伴い、マトリックス型LEDヘッドライトは自動車ランプの将来の発展傾向の1つとなっている。マトリックス型LEDハイビームの光源は複数のLEDからなり、これらのLEDは所定の方式で配列してアレイパターンを形成する。歩行者又は対向運転手の眩しさを回避するように、車両の前方視野内の車両、歩行者の位置に応じて、マトリックス型LEDヘッドライトは対応する領域のLEDを消灯することができる。
【0003】
従来技術では、一般的なマトリックス型車両ランプモジュールは複数種の光学素子が設けられている。光利用率、パターンへの制御を確保するために、一般には、各光学素子は構造設計が複雑で、一体成形し難く、別々に加工や取り付けを行うしかなく、そのため、取り付けが複雑で、車両ランプの体積が大きく、且つコストが高いという問題を引き起こす。出願番号がCN109611780Aの中国発明特許は動力車ハイビーム照明モジュールを開示しており、集光器は該モジュールの一次光学素子であり、レンズは該モジュールの二次光学素子であり、上記集光器は複数のコリメートユニットを組み合わせてなり、コリメートユニットによって光の出射路径を制御するため、該集光器は構造が複雑で、単独製造が合理的である。出願番号がCN109357235Aの中国発明特許はフリップチップ実装LED白色光チップに基づくマトリックス車両ランプシステムを開示しており、各フリップチップ実装LED白色光チップに1つのリフレクターが対応して設けられ、各フリップチップ実装LED白色光チップの上方に1つの導光柱が対応して設けられ、リフレクターは対応するフリップチップ実装LED白色光チップが出射する光を集束し、光が対応する導光柱によって整形されて矩形スポットを形成し、さらにレンズから出射する。前記リフレクター、導光柱及びレンズが協働し、リフレクター、導光柱及びレンズは構造がいずれも簡単であるが、一体成形し難く、別々に取り付ける必要がある。
【0004】
各光学素子を別々に取り付けるには、対応する取り付けブラケットを多く設ける必要があるため、車両ランプモジュールの構造が複雑になり、車両ランプモジュールのコストが増加するとともに、車両ランプモジュールの体積が大きくなる。上記出願番号がCN109611780Aの中国発明特許では、車両ランプモジュールの取り付け構造及び取り付け過程が詳細に説明されており、車両ランプの光学性能を確保するために各光学素子間の相対位置精度を確保するには、前記光学素子の製造精度及び車両ランプモジュールの位置決め、取り付け精度が非常に高い必要があり、従って、各種の光学素子の特殊の部品、例えば位置決め柱、押さえ板、取り付けブラケット等を取り付けるための特殊の取り付け構造、例えば取り付け溝、位置決め溝等を設ける必要があり、その結果、製造コストが増加してしまう。
【0005】
以上のように、高精度のパターン、多様なパターン重ね合わせ方式を図るために、マトリックス型車両ランプは体積が大きく且つコストが高いものになることが多い。しかしながら、マトリックス型車両ランプのADB機能を実現するだけでなく、さらに車両ランプの構造をさらに簡素化し、車両ランプのコストを削減して、マトリックス型車両ランプの価格を人々に受け入れやすくすることが望まれている。
【0006】
従来技術の上記欠陥に鑑みて、新規な車両ランプ用光学素子を設計する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする第1技術的問題は、体積が小さいだけでなく、光学精度が高く、パターンが正確で、取り付けが簡単で且つコストが低い車両ランプ用光学素子を提供することである。
【0008】
本発明が解決しようとする第2技術的問題は、体積が小さいだけでなく、光学精度が高く、パターンが正確で、調光が簡単であり、部品点数が少なく、取り付けが簡単で、製造及びプロセスコストが低い車両ランプモジュールを提供することである。
【0009】
本発明が解決しようとする第3技術的問題は、体積が小さく、光学精度が高く、パターンが正確で、調光が簡単であり、部品点数が少なく、取り付けが簡単で、製造及びプロセスコストが低く、且つ、パターン重ね合わせ方式が柔軟である車両ヘッドライトを提供することである。
【0010】
本発明が解決しようとする第4技術的問題は、車両ヘッドライトの体積が小さく、光学精度が高く、パターンが正確で、調光が簡単であり、部品点数が少なく、取り付けが簡単で、製造及びプロセスコストが低い車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を実現するために、本発明の第1態様は、順に接続される入光部、光通過部及び出光部を備える車両ランプ用光学素子を提供し、前記入光部は左右方向に順に接続される複数の入光面を備え、前記入光面は後へ突出している曲面であり、前記出光面は前へ突出している曲面である。
【0012】
好ましくは、前記光通過部の前端面の輪郭は、出光部の後端面に取り付け面を形成できるように、前記出光部の後端部の輪郭内に位置する。
【0013】
好ましくは、前記光通過部の左側面と右側面は、光軸方向に前へ延在し、さらに光軸に近接する方向に収束している。
【0014】
本発明の一好適な構成形態として、前記光通過部の上側面と下側面の光軸方向に沿う縦断面の高さが徐々に大きくなる。
【0015】
本発明の一好適な構成形態として、光を前記光通過部の側面に全反射できるように、前記出光部の四周側面は後から前へ光軸に近接する方向に収束している。
【0016】
好ましくは、前記光通過部の表面に艶消しコーティング又は遮光部材が設けられる。
【0017】
具体的には、前記車両ランプ用光学素子は一体成形される。
【0018】
本発明の第2態様は、車両ランプモジュールを提供し、ブラケット、光源が設けられた回路基板及びラジエーターを備え、第1態様の技術案のいずれか一項に記載の車両ランプ用光学素子をさらに備え、前記車両ランプ用光学素子の光通過部が前記ブラケットによって形成される収容室内に設けられ、前記ブラケットは一端が順に前記回路基板、ラジエーターに固定して接続され、他端が前記出光部の取り付け面に接続される。
【0019】
好ましくは、前記光通過部を収容する収容室を形成するように、前記ブラケットは一体構造又は取り外し可能な構造である。
【0020】
具体的な構成形態として、前記車両ランプモジュールは調光機構をさらに備え、前記調光機構は第1ボールヘッドねじ、第2ボールヘッドねじ、第3ボールヘッドねじ、固定フレーム及びボールヘッドねじにそれぞれ対応するボールヘッドナットを備え、前記固定フレームと前記ラジエーターが前記ボールヘッドねじによって接続され、前記第1ボールヘッドねじと前記第2ボールヘッドねじのボールヘッド球心連結線が左右方向に延在し、前記第2ボールヘッドねじと前記第3ボールヘッドねじのボールヘッド球心連結線が上下方向に延在する。
【0021】
本発明の第3態様は、車両ヘッドライトを提供し、第2態様の技術案のいずれか一項に記載の車両ランプモジュールを備え、前記車両ランプモジュールは縦方向に、横方向に、又は傾斜して配列して分布する。
【0022】
本発明の第4態様は、車両を提供し、第3態様の技術案のいずれか一項に記載の車両ヘッドライトを備える。
【発明の効果】
【0023】
本発明の基本的な技術案によって、以下の有益な効果を備える。
【0024】
1、体積が小さい。車両ランプ用光学素子として、対応する光源だけで所要のパターンを出力でき、従来技術案に必要な各光学素子を集積化し、体積が小さい。
【0025】
2、取り付けが簡単である。光源を除き、車両ランプ用光学素子が1つしかないため、取り付けの際に、該車両ランプ用光学素子と光源との相対位置精度を確保すればよく、複雑な光学系を調整する必要がなく、取り付けプロセスが簡単になる。
【0026】
3、光学系の精度が高い。1つの車両ランプ用光学素子のみを設ければよく、別体の一次光学素子及びレンズを設ける必要がなく、また、該車両ランプ用光学素子は構造が複雑ではなく、その製造精度を確保しやすく、該車両ランプ用光学素子の製造精度が要件を満たす場合、組立時、1つの光学素子と光源との相対位置精度を確保すればよく、多くの光学素子と光源との相対位置精度を満たす必要がなく、光学系の精度が高い。
【0027】
4、調光の困難度が低く、1つの車両ランプ用光学素子と光源との相対位置精度のみを確保すればよく、従来技術では多くの調光設計を必要とする複雑な光学系に比べて、調光の困難度が低い。
【0028】
5、コストが低い。構造が簡単で、且つ部品点数が少なく、従って製造及びプロセスのコストがともに低い。
【0029】
また、本発明の好適な形態では、迷光は大幅に除去される。光通過部の四周に艶消しコーティングを設け、又は光通過部の四周側面を反射率の非常に低い低反射率構造とし設け且つ遮光部材を設けるとともに、出光部の四周側面を全反射面として設けることで、光は該車両ランプ用光学素子の側面から出射できず、且つ、ごく一部の光のみが側面によって反射されて出射し、それにより迷光を基本的に除去し、パターンの品質を確保する。
【0030】
本発明のほかの利点及び好適な実施形態の技術効果は、後述する具体的な実施形態において詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の車両ランプ用光学素子の一実施例の構成模式図である。
図2】本発明の車両ランプ用光学素子の一実施例の入光面及び出光面の構成模式図である。
図3】本発明の車両ランプ用光学素子の一実施例の構成模式図である。
図4】本発明の車両ランプ用光学素子の一実施例の横断面図及びその光路模式図である。
図5】本発明の車両ランプ用光学素子の一実施例の縦断面図及びその光路模式図である。
図6】本発明の車両ランプモジュールの一実施例の分解構成模式図である。
図7】本発明の車両ランプモジュールの一実施形態の構成模式図である。
図8】本発明の車両ランプモジュールの別の実施形態の構成模式図である。
図9】本発明の車両ランプモジュールの一実施例の横断面図である。
図10】本発明の車両ランプモジュールの一実施例の縦断面図である。
図11】本発明の車両ランプモジュールのさらに別の実施形態の構成模式図である。
図12】本発明の車両ランプ用光学素子の別の実施形態の構成模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照して本発明の具体的な実施形態を詳細に説明する。なお、ここで説明される具体的な実施形態は、本発明を説明及び理解するためのものに過ぎず、本発明を限定するものではない。
【0033】
本発明の説明では、なお、特に断らない限り、用語「接続」は広義に理解すべきであり、例えば、固定接続であってもよく、取り外し可能接続であってもよく、一体接続であってもよく、直接接続であってもよく、中間媒体を介した間接接続であってもよく、2つの要素の内部連通又は2つの要素の相互作用関係であってもよい。当業者は、具体的な状況に応じて本発明における上記用語の具体的な意味を理解できる。
【0034】
なお、光出射方向に沿って、「前」とは出光部が位置する端、「後」とは入光部が位置する端、「左」とは光出射方向の左側、「右」とは光出射方向の右側、「上」とは光出射方向の上方、「下」とは光出射方向の下方であり、用語は図示に基づく方位又は位置関係であり、本発明の説明の便宜上及び簡素化のためのものであり、係る装置又は素子が必ず特定の方位を有し、特定の方位で構成及び操作されることを指示又は暗示するものではなく、従って本発明を限定しないと理解すべきである。
【0035】
図1図2及び図3に示すように、本発明の基本的な技術案における車両ランプ用光学素子は順に接続される入光部11、光通過部12及び出光部13を備え、前記入光部11は左右方向に順に接続される複数の入光面14を備え、前記入光面14は後へ突出している曲面であり、前記出光面15は前へ突出している曲面である。
【0036】
上記基本的な技術案では、光軸方向に後へ突出している各入光面14の焦点に1つの光源2が対応し、光は入光部11によって収集された後、光通過部12を通過して出光部13に入り、さらに出光部13から前方に投射する。前記出光部13は調光を簡単にするために格子状構造として設けられてもよく、該格子状構造は複数の突出曲面を連結してなり、格子のサイズを調整することで光の拡散方向を制御し、一般には、単一格子の面積が大きいほど、光の拡散が顕著になり、実際のニーズに応じて適切な格子面積を選択して処理でき、出射パターンの均一性を向上させ分散を軽減させる。
【0037】
好ましくは、前記光通過部12の前端面の輪郭は、出光部13の後端面に取り付け面16を形成できるように、前記出光部13の後端部の輪郭内に位置する。図3図6及び図7に示すように、該車両ランプ用光学素子1が車両ランプモジュールに取り付けられている場合、該取り付け面16が取り付けブラケット3と嵌合して車両ランプモジュールの外観をより美しくし、取り付けをより簡単にすることができ、そして、光の一部が出光部13の四周側面に入射することを阻止でき、それにより出光部13の四周側面から出射し又は出光部13の四周側面によって出光部13の出光面15に反射されて迷光を形成することを回避する。
【0038】
好適な構成形態として、図4に示すように、前記光通過部12の左側面と右側面は、光軸方向に前へ延在し、さらに光軸に近接する方向に接近し、低反射率構造を形成する。光の伝搬中、一般には、光の一部は車両ランプ用光学素子1の側面から直接出射し又は側面によって反射されて出光部13の出光面15から屈折し、多くの迷光を形成し、車両ランプのパターンの光学性能を損なう。本発明では、光通過部12が上記低反射率構造として設けられ、該光通過部12の左側面及び右側面に入射する光の入射角が非常に小さいことで、該光通過部12の左側面と右側面の反射率が非常に低い。光通過部12の左側面と右側面に入射する光が出光部13の出光面15に反射して形成される迷光を効果的に減少させる。
【0039】
別の好適な構成形態として、図5に示すように、前記光通過部12の上側面と下側面の光軸方向に沿う縦断面の高さが徐々に大きくなり、略三角形構造である。入光部11の各入光面14が左右方向に1列に連結しているため、該車両ランプ用光学素子1の後端の上下方向におけるサイズを非常に小さくすることができ、材料コストを削減させ、さらに該車両ランプ用光学素子1の体積を減少させるからである。この好適な構成では、光通過部12の上側面と下側面に入射する光がほとんどないため、光通過部12の上側面と下側面から出光部13の出光面15に反射する迷光がほとんどない。
【0040】
上記光通過部12の構造によって、出光部13の四周側面に入射する光の一部を阻止でき、出光部13の四周側面に入射する光を全反射でき、さらに、全反射された光を前記出光部13の出光面15によって対向する出光部13の側面に全反射し、最終的に光通過部12の側面に全反射することができるように、前記出光部13の四周側面は後から前へ光軸に近接する方向に収束している。図5に示すように、上記縦断面を有する光通過部12は、光源2からの光の大部分を出光部13の出光面15から直接出射し、小部分の光を出光部13の側面に入射する。出光部13の上(下)側面が傾斜して設けられることで、出光面15に全反射された光を出光部13の下(上)側面に全反射し、さらに該下(上)側面によって光通過部12の上(下)側面に全反射することができ、入射角が非常に小さいため、光が出光面15に反射されて迷光を形成することがほとんどない。図4に示すように、上記横断面を有する光通過部12は、その光源2からの光の大部分を出光部13の出光面15から直接出射し、一部の光を光通過部12の側面に入射し、該光通過部12の左側面と右側面に入射する光の入射角が非常に小さいため、前記側面の反射率が非常に低く、光通過部12の左右側面に入射する光が出光部13に反射できず、一部の光が出光部13の側面に入射し、出光部13の左(右)側面が傾斜して設けられることで、出光面15に全反射された光を出光部13の右(左)側面に全反射し、さらに該右(左)側面によって光通過部12の左(右)側面に全反射することができ、光通過部12の左右側面の反射率が非常に低いため、光が出光面15に反射されて迷光を形成することがほとんどない。
【0041】
しかし、このような構造は光通過部12の側面によって外部に屈折される迷光を効果的に除去できるため、光通過部12の四周側面に遮光部材が設けられることで、光が外部に出射することを阻止できる。又は、上記光通過部12の側面を低反射率構造として設ける必要がなく、光通過部12の四周側面に艶消しコーティングを設ければよく、該艶消しコーティングは光通過部12の側面からの光の反射及び透過を減少させることができ、該艶消しコーティングは、マットブラックペイントを塗布すること、又は表面に皮紋を設け且つ普通のブラックペイントを塗布することによって得られる。
【0042】
なお、前記光通過部12は上記構造のみに限定されず、車両ランプの外形のニーズを満たし又は該車両ランプ用光学素子1の構造をさらに簡素化してコストを削減させるために、矩形、円筒状等の形状として設けてもよく、又は、上記略三角形構造、低反射率構造を矩形、円筒状等の普通の幾何的構造と任意に組み合わせて、光通過部12の表面に艶消しコーティング又は遮光部材を設けることで迷光を除去する。
【0043】
好ましくは、前記車両ランプ用光学素子1は一体成形され、材料としては、透明なプラスチック、シリカゲル及びガラス等であってもよく、プラスチックはPMMA又はPCを採用できる。本発明の車両ランプ用光学素子1は入光部11、光通過部12、出光部13の構造がいずれも比較的簡単で、一体成形のプロセス要件を満たすことができる。該車両ランプ用光学素子1が一体成形されることで、入光部11と出光部13との相対位置精度を確保し、取り付け構造及び取り付けプロセスを簡素化するだけでなく、製造コストを削減させる。
【0044】
図1図5に示すように、本発明の好適な実施例における車両ランプ用光学素子1は一体成形され、順に接続される入光部11、光通過部12及び出光部13を備え、前記入光部11は左右方向に順に接続される複数の入光面14を備え、前記入光面14は後へ突出している曲面であり、前記出光面15は前へ突出している曲面であり、出光部13の出光面15は調光を簡単にするように格子状構造として構成される。前記光通過部12の前端面の輪郭は、出光部13の後端面に取り付け面16を形成できるように前記出光部13の後端部の輪郭内に位置し、該取り付け面16が車両ランプモジュールのブラケット3と嵌合し、光通過部12の左側面と右側面は光軸方向に前へ延在し、さらに光軸に近接する方向に接近し、低反射率構造を形成し、前記光通過部12の上側面と下側面の光軸方向に沿う縦断面の高さが徐々に大きくなり、略三角形構造であり、且つ光通過部12の四周側面に遮光部材が設けられ、それにより光が光通過部12の側面から外部に出射することを阻止する。
【0045】
該好適な実施例における車両ランプ用光学素子1の入光部11、光通過部12、出光部13の構造が比較的簡単であることで、該車両ランプ用光学素子1の一体成形が可能となる。従来技術の光学ユニットではリフレクターと導光柱との嵌合、又は、取り付け構造が比較的複雑な集光器等の手段を採用して正確かつ明瞭なパターンを得ることに比べて、該車両ランプ用光学素子1の構造が非常に簡単であり、且つ上記車両ランプ用光学素子と同様にマトリックス型車両ランプに適用でき、制御システム及びほかの車両ランプユニットと協働してADB機能を実現するとともに、体積が小さく、コストが低く、取り付けが簡単で、パターンが正確であるという利点を有する。
【0046】
本発明に開示されている車両ランプモジュールは、図6に示すように、ブラケット3、光源2が設けられた回路基板4及びラジエーター5を備え、上記技術案のいずれか一項に記載の車両ランプ用光学素子1をさらに備え、前記車両ランプ用光学素子1の光通過部12が前記ブラケット3によって形成される収容室内に設けられ、前記ブラケット3は一端が順に前記回路基板4、ラジエーター5に固定して接続され、他端が前記出光部13の取り付け面16に接続される。
【0047】
該光源2は後へ突出している各入光面の焦点に対応し、各光源2は個別点灯、消灯可能であり、光源2はLED光源であってもよい。ブラケット3の一端が順に前記回路基板4、ラジエーター5に螺接部材8によって固定して接続され、位置決めを簡単にするために、取り付けブラケット3に位置決めピン7がさらに設けられ、それに対応して、回路基板4及びラジエーター5に位置決めピン7と嵌合する位置決め孔が設けられる。ブラケット3の他端が取り付け面16にシリカゲルによって固定される。該車両ランプモジュールは構造が簡単で、取り付け部品が少なく、取り付け中に車両ランプ用光学素子1に対する光源2の位置を確保すればよく、調光の困難度が低い。
【0048】
具体的には、前記光通過部12を収容する収容室を形成するように、前記ブラケット3は一体構造又は取り外し可能な構造である。前記ブラケット3の構造は上記車両ランプ用光学素子1の構造にマッチングしてもよく、車両ランプ用光学素子1の光通過部12が矩形、円筒状等の構造である場合、ブラケット3は一体構造として該光通過部12に直接外嵌して取り付けられてもよく、車両ランプ用光学素子1の光通過部12の構造が直接外嵌し難い場合、該ブラケット3が取り外し可能な構造であってもよく、図8に示すように、ブラケット3の収容室が前記光通過部12の形状にマッチングし、前記ブラケット3が組立後に光通過部12を包み、さらに取り外し可能なブラケット3を螺接部材8によって固定して前記車両ランプ用光学素子1を安定的に支持する。光が光通過部12の四周から出射することを回避するために、ブラケット3は遮光部材として機能でき、不透明なブラケット3を使用することで、艶消しコーティングを設けるコストを節約できる。さらに、上記ブラケット3と車両ランプ用光学素子1を一体成形体としてもよく、図11図12に示すように、部品点数を減少させ、組立を簡単にする。迷光除去効果を同様に実現するために、該一体成形体は二色射出成形され、外側ブラケット3部分は吸光性材料からなり、該ブラケット3部分はその表面に入射する光が側面から出射することを阻止できるとともに、上記低反射率側面を有する車両ランプ用光学素子1によれば、光通過部12の側面によって反射されて出光部13の出光面15から出射する迷光を大幅に減少させ、吸光部材料は黒色PC材料を採用できる。
【0049】
車両ランプモジュールは調光機構6をさらに備え、前記調光機構6は第1ボールヘッドねじ61、第2ボールヘッドねじ62、第3ボールヘッドねじ63、固定フレーム65及びボールヘッドねじにそれぞれ対応するボールヘッドナット64を備え、前記固定フレーム65と前記ラジエーター5が前記ボールヘッドねじによって接続され、前記第1ボールヘッドねじ61と前記第2ボールヘッドねじ62のボールヘッド球心連結線が左右方向に延在し、前記第2ボールヘッドねじ62と前記第3ボールヘッドねじ63のボールヘッド球心連結線が上下方向に延在する。その調光原理について、第3ボールヘッドねじ63を回転することで第3ボールヘッドねじ63を前後移動でき、この場合、第1ボールヘッドねじ61と第2ボールヘッドねじ62が固定されることで、上記車両ランプモジュールを第1ボールヘッドねじ61と第2ボールヘッドねじ62のボールヘッド球心連結線を軸線に回転させて上下調光を実現し、第1ボールヘッドねじ61を回転させて第1ボールヘッドねじ61を前後移動させ、この場合、第2ボールヘッドねじ62と第3ボールヘッドねじ63が固定されることで、上記車両ランプモジュールを第2ボールヘッドねじ62と第3ボールヘッドねじ63のボールヘッド球心連結線を軸線に回転させて左右調光を実現する。該上記調光機構6はさらに該車両ランプモジュールの調光の困難度を低下させる。
【0050】
図6図10に示すように、本発明の好適な実施例における車両ランプモジュールはブラケット3、光源2が設けられた回路基板4、ラジエーター5及び上記技術案のいずれか一項に記載の車両ランプ用光学素子1を備える。取り外し可能な別体式ブラケット3は、前記車両ランプ用光学素子1の光通過部12を緊密に包んだ後、前記別体式ブラケット3をねじで接続して固定する。ブラケット3の位置決めピン7を回路基板4とラジエーター5の位置決め孔に挿入して仮位置決めし、ブラケット3の一端がねじ締め具8によって順に前記回路基板4、ラジエーター5に固定して接続され、他端がシリカゲルによって車両ランプ用光学素子1の取り付け面15に接続される。前記車両ランプモジュールは調光機構6をさらに備え、3つのボールヘッドねじは一端がボールヘッドナット64によってラジエーター5に取り付けられ、他端が固定フレーム65に接続され、ボールヘッドねじを調整することによって調光作用を実現する。このようにして、本発明の車両ランプ用光学素子1によって、該車両ランプモジュールの部品点数が少なく、且つ非常にコンパクトであり、集積度が高く、全体体積が小さく、取り付けがさらに簡単であり、車両ランプ用光学素子1と光源2との相対位置関係を確保すればよく、光学系の精度が高く、1つの車両ランプ用光学素子1のみを設ければよいため、該車両ランプ用光学素子1は構造が複雑ではなく、製造精度を確保しやすく、光学系の精度が高く、コストが低く、該車両ランプモジュールは部品及び構造が簡単で、数量が少なく、製造コストが低い。
【0051】
本発明に開示されている車両ヘッドライトは、上記技術案のいずれか一項に記載の車両ランプモジュールを備え、前記車両ランプモジュールは異なる車両ランプの造形ニーズを満たすように、縦方向に、横方向に、又は傾斜して配列して分布する。車載センサシステムと組み合わせて、車載システムは車両ランプモジュールの各LED光源のオン/オフを自動で個別に制御し、ハイビーム照明領域を複数の照明領域に細分化し、車載センサシステムが対向車線から車両がくると検出する場合、対応する領域のLED光源をオフにし、ハイビームによる眩しさを効果的に防止し、且つ路面のほかの領域に優れた照明効果を実現できる。また、車両ランプモジュールのブラケット3が光通過部12の四周のみに設けられ、露出しているのは出光部13のみであり、該車両ランプの露出部分の透明性及び美しさを確保する。
【0052】
本発明に開示されている車両は、上記技術案のいずれか一項に記載の車両ヘッドライトを備え、上記すべての実施例のすべての技術案を採用し、従って、少なくとも上記実施例の技術案によるすべての有益な効果を有する。
【0053】
以上、図面を参照して本発明の好適な実施形態を詳細に説明したが、本発明はそれに限定されるものではない。本発明の技術的考案範囲を逸脱せずに、本発明の技術案に対して種々の簡単な変形を行うことができ、各具体的な技術的特徴を任意に適宜組み合わせることを含む。不必要な重複を回避するために、本発明は種々の可能な組合せ方式を別途説明しない。だが、これらの簡単な変形や組合せは同様に本発明に開示されているものであり、本発明の保護範囲に属する。
【符号の説明】
【0054】
1 車両ランプ用光学素子
2 光源
3 ブラケット
4 回路基板
5 ラジエーター
6 調光機構
7 位置決めピン
8 螺接部材
11 入光部
12 光通過部
13 出光部
14 入光面
15 出光面
16 取り付け面
61 第1ボールヘッドねじ
62 第2ボールヘッドねじ
63 第3ボールヘッドねじ
64 ボールヘッドナット
65 固定フレーム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12