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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-10
(45)【発行日】2023-08-21
(54)【発明の名称】積層シートの製造装置および方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 65/08 20060101AFI20230814BHJP
【FI】
B29C65/08
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022500414
(86)(22)【出願日】2021-02-09
(86)【国際出願番号】 JP2021004721
(87)【国際公開番号】W WO2021161979
(87)【国際公開日】2021-08-19
【審査請求日】2022-08-01
(31)【優先権主張番号】P 2020022889
(32)【優先日】2020-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591040708
【氏名又は名称】株式会社瑞光
(74)【代理人】
【識別番号】100114502
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 俊則
(72)【発明者】
【氏名】藤田 幸彦
(72)【発明者】
【氏名】中村 秀幸
【審査官】田代 吉成
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-182214(JP,A)
【文献】特開2016-112340(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 65/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1枚の連続シートを含む積層体が搬送される所定経路に対向するアンビルロールと、
前記所定経路を挟んで前記アンビルロールに対向するように配置され、前記所定経路を搬送されている前記積層体に、前記積層体の各層を互いに熱融着するためのエネルギーを付与するエネルギー付与装置と、
前記アンビルロールと前記エネルギー付与装置との間よりも上流において前記積層体を挟む第1及び第2の部材を含み、前記第1及び第2の部材の少なくとも一方が前記第1の部材と前記第2の部材との間に挟まれている部分の前記積層体の厚みに応じて変位する変位部材である、ニップ段と、
前記変位部材の変位に基づいて前記厚みの大きさが予め定めた基準範囲から外れているか否かを検知する検知装置と、
前記厚みの大きさが前記基準範囲から外れていることを前記検知装置が検知したとき、前記エネルギー付与装置を前記アンビルロールから離れる方向に退避させる退避装置と、
を備える、積層シートの製造装置。
【請求項2】
前記エネルギー付与装置は、前記積層体に接して振動エネルギー又は熱エネルギーを前記積層体に付与する、請求項1に記載の積層シートの製造装置。
【請求項3】
前記ニップ段は、前記アンビルロールと前記変位部材との間に前記積層体を前記厚み方向に挟むように構成される、請求項1又は2に記載の積層シートの製造装置。
【請求項4】
前記検知装置は、
前記変位部材の変位に応じて揺動し、前記変位部材の前記変位よりも大きく変位する所定箇所を有するレバーと、
前記レバーの前記所定箇所の変位を検知するセンサと、
を含む、請求項1乃至3のいずれか一つに記載の積層シートの製造装置。
【請求項5】
前記積層体を形成する予定の弾性伸縮部材を前記アンビルロールに向けて送り出す送り出しロールを、さらに備え、
前記送り出しロールは、前記アンビルロールの周速よりも遅い周速で回転する、請求項1乃至4のいずれか一つに記載の積層シートの製造装置。
【請求項6】
前記ニップ段と前記送り出しロールとの間の中間位置に配置され、
前記弾性伸縮部材が前記中間位置より下流で破断したとき、前記弾性伸縮部材の破断部より上流の断端が前記中間位置を超えて前記送り出しロール側へ戻ることを阻止するストッパを、さらに備える、請求項5に記載の積層シートの製造装置。
【請求項7】
少なくとも1枚の連続シートを含む積層体を所定経路に沿って搬送する搬送工程と、
前記所定経路を挟むようにアンビルロールとエネルギー付与装置とを配置し、前記エネルギー付与装置から、前記積層体の前記アンビルロールと前記エネルギー付与装置との間を通過している部分に、前記積層体の各層を互いに熱融着するためのエネルギーを付与する熱融着工程と、
前記アンビルロールと前記エネルギー付与装置との間よりも上流において前記積層体を厚み方向に挟む第1及び第2の部材を含み、前記第1及び第2の部材の少なくとも一方が前記第1の部材と前記第2の部材との間に挟まれている部分の前記積層体の厚みに応じて変位する変位部材である、ニップ段を設け、前記変位部材の変位に基づいて前記厚みの大きさが予め定めた基準範囲から外れているか否かを検知する検知工程と、
前記検知工程において前記厚みの大きさが前記基準範囲から外れていることを検知したとき、前記エネルギー付与装置を前記アンビルロールから離れる方向に退避させる退避工程と、
を備える、積層シートの製造方法。
【請求項8】
前記エネルギー付与装置は、前記積層体に接して振動エネルギー又は熱エネルギーを前記積層体に付与する、請求項7に記載の積層シートの製造方法。
【請求項9】
前記ニップ段は、前記アンビルロールと前記変位部材との間に前記積層体を前記厚み方向に挟むように構成される、請求項7又は8に記載の積層シートの製造方法。
【請求項10】
前記検知工程において、
前記変位部材の変位に応じて揺動し、前記変位部材の前記変位よりも大きく変位する所定箇所を有するレバーと、
前記レバーの前記所定箇所の変位を検知するセンサと、
を用いて、
前記厚みの大きさが前記基準範囲から外れているか否かを検知する、請求項7乃至9のいずれか一つに記載の積層シートの製造方法。
【請求項11】
前記積層体を形成する予定の弾性伸縮部材を前記アンビルロールに向けて送り出す送り出しロールが、前記アンビルロールの周速よりも遅い周速で回転する伸張工程を、さらに備える、請求項7乃至10のいずれか一つに記載の積層シートの製造方法。
【請求項12】
前記ニップ段と前記送り出しロールとの間の中間位置にストッパを設け、前記弾性伸縮部材が前記中間位置より下流で破断したとき、前記弾性伸縮部材の破断部よりも上流の断端が前記中間位置を超えて前記送り出しロール側へ戻ることを、前記ストッパで阻止する戻り阻止工程を、さらに備える、請求項11に記載の積層シートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層シートの製造装置および方法に関し、詳しくは、積層シートを連続的に製造する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
使い捨ておむつ等に用いられる積層シートは連続的に製造する。例えば図7の略図に示す積層シートの製造装置148は、第1及び第2の連続シート104,106の間に弾性伸縮部材103が積層された積層体107が、アンビルロール140とエネルギー付与装置142の超音波ホーン143との間を通過するときに、積層体107の各層103,104,106を互いに熱融着して、積層シート108を製造する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2019/155765号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、複数のシート同士、あるいはシートと他の層とを積層した積層体を、アンビルロールとエネルギー付与装置との間を通過させて適宜箇所を熱融着し一体化することにより、積層シートを連続的に形成する製造過程において、特定の層がエネルギー付与装置よりも上流で破断した場合や、層間に異物が混入した場合に、断端や異物によって積層体の厚みが変化した部分が、そそまま、アンビルロールとエネルギー付与装置との間に導入されると、エネルギー付与装置に大きな負荷が作用して破損する等、悪影響を及ぼす。
【0005】
かかる実情に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、積層体の厚みの変化による悪影響がエネルギー付与装置に及ばないようにすることができる、積層シートの製造装置および方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために、以下のように構成した積層シートの製造装置を提供する。
【0007】
積層シートの製造装置は、(a)少なくとも1枚の連続シートを含む積層体が搬送される所定経路に対向するアンビルロールと、(b)前記所定経路を挟んで前記アンビルロールに対向するように配置され、前記所定経路を搬送されている前記積層体に、前記積層体の各層を互いに熱融着するためのエネルギーを付与するエネルギー付与装置と、(c)前記アンビルロールと前記エネルギー付与装置との間よりも上流において前記積層体を厚み方向に挟む第1及び第2の部材を含み、前記第1及び第2の部材の少なくとも一方が前記第1の部材と前記第2の部材との間に挟まれている部分の前記積層体の厚みに応じて変位する変位部材である、ニップ段と、(d)前記変位部材の変位に基づいて前記厚みの大きさが予め定めた基準範囲から外れているか否かを検知する検知装置と、(e)前記厚みの大きさが前記基準範囲から外れていることを前記検知装置が検知したとき、前記エネルギー付与装置を前記アンビルロールから離れる方向に退避させる退避装置と、を備える。
【0008】
上記構成によれば、積層体のうち厚みの大きさが基準範囲から外れている基準外部分がアンビルロールとエネルギー付与装置との間に到達する前に、アンビルロールとエネルギー付与装置との間の間隔が広がり、基準外部分がアンビルロールとエネルギー付与装置との間に到達したときに、エネルギー付与装置が基準外部分から離れているようにすることができる。これにより、積層体の厚みの変化による悪影響がエネルギー付与装置に及ばないようにすることができる。
【0009】
好ましくは、前記エネルギー付与装置は、前記積層体に接して振動エネルギー又は熱エネルギーを前記積層体に付与する。
【0010】
この場合、エネルギー付与装置をアンビルロールから離れる方向に退避させて、悪影響がエネルギー付与装置に及ばないようにする効果が大きい。
【0011】
好ましくは、前記ニップ段は、前記アンビルロールと前記変位部材との間に前記積層体を前記厚み方向に挟むように構成される。
【0012】
この場合、アンビルロールとは別にニップ段を構成する場合に比べ、ニップ段の構成が簡単になる。
【0013】
好ましくは、前記検知装置は、(i)前記変位部材の変位に応じて揺動し、前記変位部材の前記変位よりも大きく変位する所定箇所を有するレバーと、(ii)前記レバーの前記所定箇所の変位を検知するセンサと、を含む。
【0014】
この場合、変位部材の変位をレバーによって増幅でき、変位部材の変位が増幅された所定箇所の変位によって、積層体の厚みが基準範囲から外れていることを容易に検知できる。
【0015】
好ましくは、積層シートの製造装置は、(f)前記積層体を形成する予定の弾性伸縮部材を前記アンビルロールに向けて送り出す送り出しロールを、さらに備える。前記送り出しロールは、前記アンビルロールの周速よりも遅い周速で回転する。
【0016】
この場合、弾性伸縮部材を送り出しロールとニップ段との間で伸張し、弾性伸縮部材が伸張している状態で積層体の各層を熱融着することによって、伸縮性を有する積層シートを製造することができる。
【0017】
より好ましくは、積層シートの製造装置は、(g)前記ニップ段と前記送り出しロールとの間の中間位置に配置され、前記弾性伸縮部材が前記中間位置より下流で破断したとき、前記弾性伸縮部材の破断部より上流側の断端が前記中間位置を超えて前記送り出しロール側へ戻ることを阻止するストッパを、さらに備える。
【0018】
この場合、弾性伸縮部材が破断しても、弾性伸縮部材の上流の断端(破断によって形成された端部)がストッパよりも下流に留まるようにすることができ、連続運転が容易になる。
【0019】
また、本発明は、上記課題を解決するために、以下のように構成した積層シートの製造方法を提供する。
【0020】
積層シートの製造方法は、(i)少なくとも1枚の連続シートを含む積層体を所定経路に沿って搬送する搬送工程と、(ii)前記所定経路を挟むようにアンビルロールとエネルギー付与装置とを配置し、前記エネルギー付与装置から、前記積層体の前記アンビルロールと前記エネルギー付与装置との間を通過している部分に、前記積層体の各層を互いに熱融着するためのエネルギーを付与する熱融着工程と、(iii)前記アンビルロールと前記エネルギー付与装置との間よりも上流において前記積層体を厚み方向に挟む第1及び第2の部材を含み、前記第1及び第2の部材の少なくとも一方が前記第1の部材と前記第2の部材との間に挟まれている部分の前記積層体の厚みに応じて変位する変位部材である、ニップ段を設け、前記変位部材の変位に基づいて前記厚みの大きさが予め定めた基準範囲から外れているか否かを検知する検知工程と、(iv)前記検知工程において前記厚みの大きさが前記基準範囲から外れていることを検知したとき、前記エネルギー付与装置を前記アンビルロールから離れる方向に退避させる退避工程と、を備える。
【0021】
上記方法によれば、積層体のうち厚みの大きさが基準範囲から外れている基準外部分がアンビルロールとエネルギー付与装置との間に到達する前に、アンビルロールとエネルギー付与装置との間の間隔が広がり、基準外部分がアンビルロールとエネルギー付与装置との間に到達したときに、エネルギー付与装置が基準外部分から離れているようにすることができる。これにより、積層体の厚みの変化による悪影響がエネルギー付与装置に及ばないようにすることができる。
【0022】
好ましくは、前記エネルギー付与装置は、前記積層体に接して振動エネルギー又は熱エネルギーを前記積層体に付与する。
【0023】
この場合、エネルギー付与装置をアンビルロールから離れる方向に退避させて、悪影響がエネルギー付与装置に及ばないようにする効果が大きい。
【0024】
好ましくは、前記ニップ段は、前記アンビルロールと前記変位部材との間に前記積層体を前記厚み方向に挟むように構成される。
【0025】
この場合、アンビルロールとは別にニップ段を構成する場合に比べ、ニップ段の構成が簡単になる。
【0026】
好ましくは、前記検知工程において、(a)前記変位部材の変位に応じて揺動し、前記変位部材の前記変位よりも大きく変位する所定箇所を有するレバーと、(b)前記レバーの前記所定箇所の変位を検知するセンサと、を用いて、前記厚みの大きさが前記基準範囲から外れているか否かを検知する。
【0027】
この場合、変位部材の変位をレバーによって増幅でき、変位部材の変位が増幅された所定箇所の変位によって、積層体の厚みが基準範囲から外れていることを容易に検知できる。
【0028】
好ましくは、積層シートの製造方法は、(v)前記積層体を形成する予定の弾性伸縮部材を前記アンビルロールに向けて送り出す送り出しロールが、前記アンビルロールの周速よりも遅い周速で回転する伸張工程を、さらに備える。
【0029】
この場合、弾性伸縮部材を送り出しロールとニップ段との間で伸張し、弾性伸縮部材が伸張している状態で積層体の各層を熱融着することによって、伸縮性を有する積層シートを製造することができる。
【0030】
好ましくは、積層シートの製造方法は、(vi)前記ニップ段と前記送り出しロールとの間の中間位置にストッパを配置し、前記弾性伸縮部材が前記中間位置より下流で破断したとき、前記弾性伸縮部材の破断部よりも上流の断端が前記中間位置を超えて前記送り出しロール側へ戻ることを、前記ストッパで阻止する戻り阻止工程を、さらに備える。
【0031】
この場合、弾性伸縮部材が破断しても、弾性伸縮部材の上流側の断端(破断によって形成された端部)がストッパよりも下流に留まるようにすることができ、連続運転が容易になる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、積層体の厚みの変化による悪影響がエネルギー付与装置に及ばないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1図1は積層シートの製造装置の全体構成を示す略図である。(実施例1)
図2図2は積層シートの製造装置の要部拡大図である。(実施例1)
図3図3は検知装置の要部拡大図である。(実施例1)
図4図4は積層シートの製造装置の要部拡大図である。(実施例1)
図5図5は積層シートの製造装置の要部構成を示す略図である。(実施例2)
図6図6は積層シートの製造装置の要部構成を示す略図である。(実施例3)
図7図7は積層シートの製造装置の略図である。(従来例1)
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0035】
<実施例1> 実施例1の積層シートの製造装置10および積層シート8の製造方法について、図1図4を参照しながら説明する。
【0036】
図1は、積層シートの製造装置10の全体構成を示す略図であり、運転前又は運転後の退避状態を実線で示している。図2は、積層シートの製造装置10の要部拡大図であり、運転時の状態を示している。
【0037】
図1及び図2に示すように、積層シートの製造装置10は、大略、アンビルロール12と、エネルギー付与装置14と、ニップロール16と、退避装置20と、ニップロール支持機構30と、検知装置40と、制御装置60とを備える。
【0038】
第1及び第2の連続シート2,4と弾性伸縮部材6とが矢印2x,4x,6xで示す方向に搬送され、第1及び第2の連続シート2,4の間に弾性伸縮部材6が積層された積層体7が、矢印12rで示す方向に回転駆動されるアンビルロール12の外周面に沿って搬送される。アンビルロール12は、積層体7が搬送される所定経路に対向する。
【0039】
例えば、第1及び第2の連続シート2,4は、帯状の不織布シートである。弾性伸縮部材6は、弾性伸縮シートや糸ゴム等のシート状、帯状、又は紐状の部材であり、張力を与えると伸び、張力を取り除くと元の寸法に戻る。
【0040】
第1の連続シート2は、第1のストッパロール50からアンビルロール12に向けて搬送される。第2の連続シート4は、案内ロール54と第2のストッパロール52とを経て、アンビルロール12に向けて搬送される。弾性伸縮部材6は、矢印56rで示す方向に回転駆動される送り出しロール56から送り出され、第1及び第2のストッパロール50,52の間を通って、アンビルロール12へと搬送される。弾性伸縮部材6は、矢印58yで示す方向に付勢される対向ロール58と、送り出しロール56との間に挟まれながら、送り出される。
【0041】
エネルギー付与装置14は、積層体7が搬送される所定経路を挟んでアンビルロール12に対向するように配置される。エネルギー付与装置14は、例えば、超音波ホーン15を有する超音波シール装置14である。超音波ホーン15は、積層体7のうちアンビルロール12とエネルギー付与装置14との間を通過する部分に接して、積層体7の各層2,4,6を互いに熱融着するための振動エネルギーを積層体7に付与する。エネルギー付与装置14は、高温になる当接部が積層体7に接して熱エネルギーを付与するヒートシール装置でもよい。
【0042】
積層体7の適宜箇所が熱融着され各層2,4,6が一体化されて、積層シート8が形成される。積層シート8は、矢印8xで示す方向に搬送される。
【0043】
図1に示すように、退避装置20は、案内機構24に沿って移動自在に保持されたエネルギー付与装置14を、エアシリンダ26のピストンロッドの伸縮によって、矢印14x,14yで示すように、図1に示す退避位置と図2に示す運転時の位置とに移動する。
【0044】
図2に示すように、アンビルロール12とエネルギー付与装置14との間Rよりも上流の位置Qにおいて、アンビルロール12とニップロール16との間に積層体7を厚み方向に挟むニップ段17が設けられている。ニップロール16は、積層体7のアンビルロール12とニップロール16との間に挟まれている部分の厚みに応じて変位するように、ニップロール支持機構30に支持されている。
【0045】
アンビルロール12及びニップロール16は、ニップ段17が含む第1及び第2の部材12,16である。ニップロール16は、変位部材16であり、積層体7のアンビルロール12とニップロール16との間に挟まれている部分の厚に応じて変位する。ニップロール16は、回転自在でも、アンビルロール12と同期して回転駆動されてもよい。ニップ段17は、アンビルロール12とニップロール16との間に積層体7の幅方向全体を挟むように構成してもよいし、ニップロール16を段付きロールにする等によって、アンビルロール12とニップロール16との間に積層体7の幅方向の一部分を挟むように構成してもよい。ニップロール16の代わりに、回転することなく積層体7に接する板状の部材等を用いてもよい。
【0046】
ニップロール支持機構30は、ニップロール16と一体に変位するニップロール支持部32と、ニップロール支持部32を移動させるエアシリンダ36とを備える。ニップロール支持部32は、アンビルロール12と平行に延在する結合部材32bの両端に、ニップロール16をアンビルロール12と平行かつ回転自在に支持する一対の側板32aが固定されている。エアシリンダ36は、ニップロール支持部32の結合部材32bに接続される。
【0047】
ニップロール支持部32は、エアシリンダ36のピストンロッドの伸縮によって、ニップロール16がアンビルロール12に押し当てられる方向(図1において矢印30yで示す方向)、又はニップロール16がアンビルロール12から離れる方向(図2において矢印30xで示す方向)に、機台11に沿って移動する。
【0048】
積層シート8を製造するとき、エアシリンダ36は、ニップロール支持部32を介して、ニップロール16をアンビルロール12に向けて押圧し、積層体7がアンビルロール12とニップロール16との間に挟まれる。このとき、積層体7のうちアンビルロール12とニップロール16との間に挟まれている部分の厚みに応じて、ニップロール16及びニップロール支持部32が変位する。
【0049】
検知装置40は、レバー44と、レバー44の切り欠き45の変位を検知するセンサ48とを備える。レバー44は、支持軸42を中心に揺動し、ニップロール支持部32に固定された突起部34に押し当てられる。支持軸42は、機台11から上向きに延在する支柱41の上部に設けられている。
【0050】
図3は、検知装置40の要部拡大図である。図3に示すように、レバー44は、第1片44aと、第2片44bと、第3片44cとを有する。第1片44aは、支持軸42より上方の一方端側44sが突起部34に隣接している。第2片44bは、第1片44aの他方端にL字状に結合され、切り欠き45を有している。第3片44cは、第1片44aの支持軸42近傍に、第2片44bと平行かつ第2片44bと同じ側に延在するように、第1片44aに結合されている。第3片44cは、ばね等の弾性部材46によって矢印46xで示す時計まわり方向に引っ張られ、第1片44aの一方端側44sが突起部34に押し当てられる。鎖線で示すように、突起部34が矢印34xで示す方向に変位すると、レバー44が矢印44rで示す方向に揺動する。
【0051】
センサ48は、光電センサや近接センサ等であり、検知部48sを有する。検知部48sは、アンビルロール12とニップロール16との間に挟まれている部分の積層体7の厚みの大きさが予め定めた基準範囲内であるときに、実線で示すレバー44の切り欠き45に対向し、一方、アンビルロール12とニップロール16との間に挟まれている部分の積層体7の厚みの大きさが予め定めた基準範囲から外れているとき、鎖線で示すレバー44の切り欠き45に対向しないように配置されている。これにより、センサ48は、検知部48sにレバー44の切り欠き45が対向しているか否かを検知する。
【0052】
検知装置40は、レバー44の切り欠き45の検知の有無に基づいて、アンビルロール12とニップロール16との間に挟まれている部分の積層体7の厚みの大きさが予め定めた基準範囲から外れているか否かを検知する。
【0053】
レバー44は、支持軸42と突起部34との間の距離よりも、支持軸42と切り欠き45との間の距離が大きい。これにより、突起部34の変位よりも増幅された切り欠き45の変位を検出することによって、積層体7の厚みが基準範囲から外れていることを容易に検知できる。
【0054】
図1に示すように、センサ48からの信号は、制御装置60に入力される。制御装置60は、所定のプログラムに従って動作するシーケンサ等である。制御装置60は、エネルギー付与装置14が運転時の所定位置又は退避位置に移動するように、退避装置20のエアシリンダ26を制御する。制御装置60は、例えば、エアシリンダ26に空気圧を供給する配管等に設けられた電磁弁を開閉するための制御信号を出力し、エアシリンダ26のピストンロッドを伸縮させる。
【0055】
制御装置60は、積層シートの製造装置10の運転中に、検知装置40のセンサ48からの信号を監視し、センサ48からの信号の変化に基づいて、アンビルロール12とニップロール16との間に挟まれている部分の積層体7の厚みの大きさが基準範囲から外れていると判断すると、エネルギー付与装置14をアンビルロール12から離れる方向に退避させるように、退避装置20を制御する。
【0056】
このように、アンビルロール12とニップロール16との間に挟まれている部分の積層体7の厚みの大きさが基準範囲から外れていることを検知装置40が検知したとき、退避装置20が、エネルギー付与装置14をアンビルロール12から離れる方向に退避させると、積層体7のうち厚みの大きさが基準範囲から外れている厚み異常部分がアンビルロール12とエネルギー付与装置14との間に到達する前に、アンビルロール12とエネルギー付与装置14との間の間隔が広がる。そして、厚み異常部分がアンビルロール12とエネルギー付与装置14との間に到達したときに、エネルギー付与装置14が厚み異常部分から離れているようにすることができる。これにより、積層体7の厚みの変化による悪影響がエネルギー付与装置14に及ばないようにすることができる。
【0057】
例えば、積層体7の厚み異常部分の厚みが、基準範囲の上限値よりも大きい場合、積層体7の厚み異常部分は、エネルギー付与装置14の超音波ホーン15に衝突することなく、エネルギー付与装置14とアンビルロール12との間を通過するので、エネルギー付与装置14に悪影響は及ばない。
【0058】
運転中に、アンビルロール12とニップロール16との間に挟まれている部分の積層体7の厚みが基準範囲の下限値よりも小さいことを検知したとき、エネルギー付与装置14をアンビルロール12から離れる方向に退避させてもよい。
【0059】
送り出しロール56は、アンビルロール12の周速よりも遅い周速で回転するように駆動する。これによって、弾性伸縮部材6を、送り出しロール56とニップ段17との間で伸張し、弾性伸縮部材6が伸張している状態で積層体7の各層2,4,6を熱融着することによって、伸縮性を有する積層シート8を製造することができる。
【0060】
ニップ段17と送り出しロール56との間の中間位置に設ける第1及び第2のストッパロール50,52は、第1及び第2のストッパロール50,52の間の隙間の大きさを、伸張されている弾性伸縮部材6と第1及び第2の連続シート2,4とが通過できる最小値、又は最小値よりも僅かに大きくする。
【0061】
伸張されている弾性伸縮部材6が第1及び第2のストッパロール50,52よりも下流で破断し、張力が解消されたとき、弾性伸縮部材6の破断部よりも上流の断端(破断によって形成された端部)は縮みながら送り出しロール56側へ戻り、同時に断端の厚みが増す。この断端の厚みが増した部分が、第1及び第2のストッパロール50,52との間の隙間を通過できない程度に、第1及び第2のストッパロール50,52の間の隙間を小さくしておく。これによって、第1及び第2のストッパロール50,52は、弾性伸縮部材6の破断部よりも上流の断端が、第1及び第2のストッパロール50,52を超えて送り出しロール56側へ戻ることを阻止するストッパ50,52として機能する。断端が第1及び第2のストッパロール50,52よりも下流側に留まると、連続運転が容易になる。
【0062】
図4は、積層シートの製造装置10の要部拡大図である。図4において、退避位置のエネルギー付与装置14を実線で示している。図4に示すように、保護プレート18を設けることが好ましい。保護プレート18は、エネルギー付与装置14の超音波ホーン15よりも上流に、超音波ホーン15との間に間隔を設けて、エネルギー付与装置14に固定する。保護プレート18は、エネルギー付与装置14と一体に移動する。
【0063】
鎖線で示すように、エネルギー付与装置14が運転時の所定位置に配置されているとき、保護プレート18は、エネルギー付与装置14の超音波ホーン15とアンビルロール12との間よりも上流において、アンビルロール12との間に隙間を形成する。保護プレート18とアンビルロール12との間の隙間の大きさは、エネルギー付与装置14の超音波ホーン15とアンビルロール12との間の隙間の大きさと同じか、僅かに大きい程度にする。
【0064】
例えば、弾性伸縮部材6がニップ段17よりも下流で破断し、積層体7の厚みの大きさが基準範囲から外れていることを検知できなかったり、検知できても、エネルギー付与装置14の退避が間に合わなかったりする場合、弾性伸縮部材6の破断部よりも下流の、張力が解消されて厚みが増した部分が、そのまま、アンビルロール12とエネルギー付与装置14との間に到達すると、エネルギー付与装置14の超音波ホーン15に衝突して負荷を与えるなど、エネルギー付与装置14に悪影響を及ぼす。このような場合に、エネルギー付与装置14に保護プレート18が固定されていると、超音波ホーン15の代わりに、保護プレート18が積層体7の厚みが増した部分に当たることによって、エネルギー付与装置14に悪影響が及ばないよいようにすることができる。
【0065】
次に、積層シート8の製造方法について、説明する。
【0066】
積層シート8の製造方法は、
(i)少なくとも1枚の連続シート2又は4を含む積層体7を所定経路に沿って搬送する搬送工程と、
(ii)前記所定経路を挟むようにアンビルロール12とエネルギー付与装置14とを配置し、前記エネルギー付与装置14から、前記積層体7の前記アンビルロール12と前記エネルギー付与装置14との間を通過している部分に、前記積層体7の各層2,4を互いに熱融着するためのエネルギーを付与する熱融着工程と、
(iii)前記アンビルロール12と前記エネルギー付与装置14との間よりも上流において前記積層体7を厚み方向に挟む第1及び第2の部材12,16を含み、前記第1及び第2の部材12,16の少なくとも一方16が前記積層体7の前記第1の部材と前記第2の部材との間に挟まれている部分の厚みに応じて変位する変位部材16であるニップ段17を設け、前記ニップロール16の変位に基づいて前記厚みの大きさが予め定めた基準範囲から外れているか否かを検知する検知工程と、
(iv)前記検知工程において前記厚みの大きさが前記基準範囲から外れていることを検知したとき、前記エネルギー付与装置14を前記アンビルロール12から離れる方向に退避させる退避工程と、
を備える。
【0067】
好ましくは、積層シート8の製造方法は、
(v)前記積層体7を形成する予定の弾性伸縮部材6を前記アンビルロール12に向けて送り出す送り出しロール56が、前記アンビルロール12の周速よりも遅い周速で回転する伸張工程を、さらに備える。
【0068】
より好ましくは、積層シート8の製造方法は、
(vi)前記ニップ段17と前記送り出しロール56との間の中間位置にストッパ50,52を設け、前記弾性伸縮部材6が前記中間位置より下流で破断したとき、前記弾性伸縮部材6の破断部よりも上流の断端が前記中間位置を超えて前記送り出しロール56側へ戻ることを、前記ストッパ50,52で阻止する戻り阻止工程を、さらに備える。
【0069】
以上に説明したように、積層シートの製造装置10を用いて積層シート8を製造すると、積層体7を構成する層4の破断や、層間に異物が混入した場合に、ニップロール16とアンビルロール12との間に挟まれている部分の積層体の厚みが基準範囲から外れていることを、ニップロール16の変位に起因するレバー44の切り欠き45の変位から検知して、エネルギー付与装置14をアンビルロール12から離れる方向に退避させ、エネルギー付与装置14の破損など、積層体7の厚みの変化による悪影響がエネルギー付与装置14に及ばないようにすることができる。
【0070】
<変形例1> 積層体は、少なくとも1層が連続シートであればよく、第1及び第2の連続シート2,4のいずれか一方の1枚の連続シートで積層体を形成しても、2枚以上の連続シートで積層体を形成してもよい。弾性伸縮部材6を供給せず、連続シートのみで積層体を構成してもよい。
【0071】
<変形例2> 積層体7は、アンビルロール12の外周面に沿って搬送されなくても構わない。例えば、真直ぐ搬送される積層体7が、アンビルロール12とエネルギー付与装置14との間を通過し、熱溶着されてもよい。
【0072】
<変形例3> 積層体7を挟むニップ段は、アンビルロール12とは別に、アンビルロール12よりも上流に設けてもよい。この場合、ニップ段は、積層体を厚み方向に挟む第1及び第2の部材の一方が変位部材でも、両方が変位部材でもよい。例えば、ニップ段又はニップ段より上流で形成された積層体7の厚みに応じて変位するニップロールと、積層体7の厚みに応じて変位することなく積層体7に接するロールやベルト等の適宜な部材とで、積層体7を厚み方向に挟むように構成してもよいし、積層体7の厚みに応じて変位する一対のニップロールで積層体7を厚み方向に挟むように構成してもよい。ニップ段の第1及び第2の部材は、積層体7との接触部分が移動可能であるロールやベルト等の部材でも、積層体との接触部分が移動しない板状の部材等でもよい。ニップ段の第1及び第2の部材は、積層体の幅方向全体を挟む構成でも、積層体の幅方向の一部分を挟む構成でもよい。
【0073】
<変形例4> ニップ段17と送り出しロール56との間の中間位置に、弾性伸縮部材6が中間位置より下流で破断したとき、弾性伸縮部材6の破断部よりも上流の断端が中間位置を超えて送り出しロール56側へ戻ることを阻止する適宜な構成のストッパを配置できる。
【0074】
例えば、ロール以外の適宜な部材を用いて、ニップ段17と送り出しロール56との間で伸張されている弾性伸縮部材6が通過する隙間を、弾性伸縮部材6が隙間より下流で破断したとき、弾性伸縮部材6の破断部よりも上流の断端が隙間よりも下流に留まる程度に、小さく形成する。
【0075】
あるいは、ニップ段17と送り出しロール56との間で伸張されている弾性伸縮部材6の破断を、カメラで撮像した画像や張力検出機構等によって検知し、弾性伸縮部材6の破断を検知したら、弾性伸縮部材6を挟んで移動を阻止するように、阻止装置を構成してよい。
【0076】
<実施例2> 図5は、実施例2の積層シートの製造装置10aの要部構成を概念的に示す略図である。実施例2の積層シートの製造装置10aは、2台の検知装置40a,40bを備えている。実施例2の積層シートの製造装置10aは、実施例1の積層シートの製造装置10と略同様に構成されている。以下では、実施例1と同様の構成には同じ符号を用い、実施例1との相違点を中心に説明する。
【0077】
図5に示すように、実施例2の積層シートの製造装置10aは、ニップロール16の軸方向一方側の変位を検知する第1の検知装置40aと、ニップロール16の軸方向他方側の変位を検知する第2の検知装置40bとを備えている。第1及び第2の検知装置40a,40bは適宜に構成すればよく、例えば、実施例1の検知装置40と同じ構成でも、後述する実施例3の検知装置40cと同じ構成でもよい。
【0078】
図5(a)に示すように、ニップロール16を支持するニップロール支持機構30は、ニップロール16をアンビルロール12と平行に、矢印30yで示すようにアンビルロール12に付勢する。
【0079】
ニップロール支持機構30は、ニップロール16がアンビルロール12と平行な状態で変位するように構成されていても、ガタが発生することがある。そのため、例えば図5(b)に示すように、積層体7の幅方向一方側に、異物やシート厚不良による厚み異常部分7xがあり、この厚み異常部分7xがアンビルロール12とニップロール16との間に挟まれたとき、ニップロール16が、アンビルロール12に対して平行ではない状態で変位し、ニップロール16の軸方向一方側の変位量と軸方向他方側の変位量とが異なる場合がある。このような場合に、2台の検知装置40a,40bのうち、一方40aのセンサ48aでは積層体7の厚み異常を検知できなくても、他方40bのセンサ48bによって積層体7の厚み異常を検知できる。
【0080】
したがって、2台の検知装置40a,40bを備えると、1台の検知装置40を備える場合よりも、積層体7の厚み異常をより確実に検知できる。
【0081】
<実施例3> 図6は、実施例3の積層シートの製造装置10bの要部構成を示す略図である。実施例3の積層シートの製造装置10bは、位置調整できる検知装置40cを備えている。
【0082】
図6に示すように、検知装置40cは、ステージ40s上に配置されている。すなわち、ステージ40sの上部(可動部)に、検知装置40cのベース部40pが固定され、ステージ40sの下部(静止部)が機台11に固定されている。
【0083】
検知装置40cは、ベース部40pの上面に、センサ48が固定されたセンサ保持部材40qが位置調整可能に配置されている。詳しくは、センサ保持部材40qは、ベース部40pの上面に沿って移動可能に配置され、センサ48が固定されたセンサ固定部40mと、センサ固定部40mから下方に折れ曲がり、ベース部40pの側面に沿って配置される折れ曲がり部40nとを有する。センサ固定部40mは、ボルト40kよってベース部40pに固定される。折れ曲がり部40nは、折れ曲がり部40nに係合するねじ状の位置調整部材40xの先端がベース部40pの側面に当接し、位置調整部材40xを回転することによって、センサ固定部40mの位置を調整できるように構成されている。
【0084】
ベース部40pには、支柱41が固定されている。実施例1と同様に、支柱41に設けられた支持軸42に、レバー44kが支持されている。レバー44kは、第1片44a、第2片44b、第3片44cを有する。レバー44kの第3片44cは、支柱41に固定された取り付け部41aに、弾性部材46を介して接続され、弾性部材46の収縮力によって、レバー44kの第1片44aの一方端側44sが突起部34に押し当てられ、突起部34の変位に応じてレバー44kが揺動するように構成されている。突起部34は、実施例1と同様にニップロール16を支持するニップロール支持部32(図1及び図2参照)に固定され、あるいは、ニップロール16自体の軸端の中心部に固定される。レバー44kは、レバー44kの両側に配置されたガイド板44xの間で揺動する。
【0085】
レバー44kは、実施例1のレバー44と異なり、第1片44aに折り曲げ部44dが形成され、折り曲げ部44dに突出部材45aが固定されている。突出部材45aは、レバー44kの第2片44bと平行かつ同じ方向に延在し、突出部材45aの先端部45kが、センサ48で検知されるように構成されている。突出部材45aの先端部45kは、センサ48で検知される所定箇所45kである。
【0086】
例えば、積層体7の許容範囲内の厚み部分がアンビルロール12とニップロール16との間に挟まれているとき、図6(a)に示すようにレバー44kの第1片44aが傾き、突出部材45aの先端部45kは、センサ48の検知部48sの上方に位置し、検知される。
【0087】
積層体7の厚み異常部分がアンビルロール12とニップロール16との間に挟まれると、図6(b)に示すように、突起部34が矢印34xで示す方向に移動し、レバー44kが矢印44rで示す方向に揺動する。その結果、突出部材45aの先端部45kがセンサ48の検知部48sの上方から遠ざかり、突出部材45aの先端部45kが検知されなくなる。
【0088】
実施例3の積層シートの製造装置10bは、センサ48による検知が、積層体7の厚みの基準値や許容範囲に適合するように、容易に調整できる。
【0089】
例えば、積層シート8の品種切り換え等によって積層体7の厚みの基準値が変わると、積層体7の厚みが基準値である部分がアンビルロール12とニップロール16との間に挟まれているときの突起部34の位置、すなわち基準位置が変わる。この場合、ステージ40sを用いて、例えば、突起部34の基準位置に対する積層シートの製造装置10bの相対位置が同じになるように、積層シートの製造装置10bの位置を調整する。
【0090】
積層体7の厚みの許容範囲を変更する場合には、アンビルロール12とニップロール16との間に挟まれている積層シート8の厚みが許容範囲内のとき、すなわちレバー44kの角度が所定範囲内のときには、センサ48が突出部材45aの先端部45kを検知し、一方、積層シート8の厚みが許容範囲から外れ、レバー44kの角度が所定範囲から外れていると、センサ48が突出部材45aの先端部45kを検知しないように、センサ保持部材40qの位置を調整する。
【0091】
センサ保持部材40qによるセンサ48の位置調整に代えて、又はセンサ48の位置調整に加え、センサ48が検知する突出部材45aの先端部45kの位置を調整できるようにしてもよい。例えば、折り曲げ部44dに突出部材45aを取り付ける長さを調整することにより、突出部材45aの先端部45kの位置を調整できるように構成してもよい。
【0092】
<まとめ> 以上に説明したように、積層シートの製造装置10,10a,10bおよび積層シート8の製造方法は、積層体7の厚みの変化による悪影響がエネルギー付与装置14に及ばないようにすることができる。そのため、連続運転が容易になる。
【0093】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変更を加えて実施することが可能である。
【0094】
例えば、複数の弾性伸縮部材を含む積層シートを製造してもよい。連続シートに、連続シートの搬送方向に間隔を設けて他の層が積層された積層体を製造してもよい。
【符号の説明】
【0095】
2,4 連続シート
6 弾性伸縮部材
7 積層体
8 積層シート
10,10a,10b 積層シートの製造装置
12 アンビルロール(第1の部材)
14 エネルギー付与装置
16 ニップロール(第2の部材、変位部材)
17 ニップ段
20 退避装置
40,40a,40,40c 検知装置
44,44k レバー
45 切り欠き(所定箇所)
45k 先端部(所定箇所)
48,48a,48b センサ
50,52 ストッパロール(ストッパ)
56 送り出しロール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7