(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-10
(45)【発行日】2023-08-21
(54)【発明の名称】監視システム
(51)【国際特許分類】
B60T 17/18 20060101AFI20230814BHJP
【FI】
B60T17/18
(21)【出願番号】P 2022512957
(86)(22)【出願日】2020-03-31
(86)【国際出願番号】 JP2020014735
(87)【国際公開番号】W WO2021199232
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-07-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504158881
【氏名又は名称】東京地下鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】西岡 勲
(72)【発明者】
【氏名】藤崎 賢司
(72)【発明者】
【氏名】後藤 亮介
(72)【発明者】
【氏名】新井 修
(72)【発明者】
【氏名】船渡 憲太郎
【審査官】大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-237561(JP,A)
【文献】特開平08-290766(JP,A)
【文献】特開2014-040171(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 17/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられる回転体に摩擦材を押しつけることにより機械ブレーキ力を発生させるブレーキ機器が有するブレーキシリンダの圧力を示すブレーキシリンダ圧を検出するブレーキシリンダ圧検出部と、
前記車両が停車している状態、且つ、ブレーキ指令が入力された状態において、前記ブレーキ指令が解除されてから前記ブレーキシリンダ圧検出部によって検出される前記ブレーキシリンダ圧が予め定められた第1基準圧に下がるまでに要するブレーキシリンダ圧排気時間を計測する排気時間計測部と、
前記排気時間計測部によって計測される前記ブレーキシリンダ圧排気時間が予め定められた第1基準時間以上である場合は、排気異常又は排気異常の予兆があると判定する診断部と、
を備えることを特徴とする監視システム。
【請求項2】
前記診断部は、前記ブレーキシリンダ圧排気時間が前記第1基準時間より長く設定される第2基準時間以上である場合は、前記排気異常があると判定し、
前記ブレーキシリンダ圧排気時間が前記第1基準時間以上、且つ、前記第2基準時間未満である場合は、前記排気異常の予兆があると判定することを特徴とする請求項1に記載の監視システム。
【請求項3】
前記診断部は、前記ブレーキシリンダ圧排気時間が前記第2基準時間より長く設定される第3基準時間以上である場合は、ブレーキ不緩解であると判定することを特徴とする請求項2に記載の監視システム。
【請求項4】
前記排気時間計測部は、前記車両が停車している状態の駅停車時又は出庫点検時において、前記ブレーキ指令が解除されてからの前記ブレーキシリンダ圧排気時間を計測することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の監視システム。
【請求項5】
前記診断部は、予め定められた第1の期間内において、前記排気時間計測部によって計測された複数の前記ブレーキシリンダ圧排気時間を取得し、前記第1の期間内における前記ブレーキシリンダ圧排気時間の傾向を求めることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の監視システム。
【請求項6】
前記診断部は、前記第1の期間内における前記ブレーキシリンダ圧排気時間が前記第1基準時間以上、且つ、前記
第1基準時間より長く設定される第2基準時間未満である排気異常予兆領域内に予め定められた回数以上、又は、予め定められた割合以上含まれている場合は、前記排気異常の予兆があると判定することを特徴とする請求項5に記載の監視システム。
【請求項7】
ブレーキ制御弁からブレーキ指令圧として中継弁へ供給される圧縮空気の圧力を示すAC圧を検出するAC圧検出部を備え、
前記排気時間計測部は、前記ブレーキ指令が入力された状態において、前記ブレーキ指令が解除されてから前記AC圧検出部によって検出される前記AC圧が前記第1基準圧に下がるまでに要するAC圧排気時間を計測し、
前記診断部は、前記ブレーキシリンダ圧排気時間が前記第1基準時間以上である場合は、前記AC圧排気時間が前記第1基準時間以上であるか否かを判断し、
前記AC圧排気時間が前記第1基準時間以上でない場合は、前記中継弁に関連する前記排気異常又は前記排気異常の予兆があると判定することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の監視システム。
【請求項8】
前記診断部は、前記AC圧排気時間が前記第1基準時間以上である場合は、前記ブレーキ制御弁に関連する前記排気異常又は前記排気異常の予兆があると判定することを特徴とする請求項7に記載の監視システム。
【請求項9】
前記排気時間計測部は、前記ブレーキシリンダ圧検出部よって計測された前記ブレーキシリンダ圧が前記第1基準圧より低く設定される第2基準圧に下がるまでに要する前記ブレーキシリンダ圧排気時間を計測し、
前記診断部は、前記ブレーキシリンダ圧排気時間が前記第1基準時間より長く設定される第4基準時間以上である場合は、前記排気異常又は前記排気異常の予兆があると判定することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の監視システム。
【請求項10】
第3基準時間は前記第1基準時間より長く設定される第2基準時間より長く設定され、前記診断部は、前記第3基準時間及び前記第4基準時間より長く設定される第5基準時間の経過時に前記ブレーキシリンダ圧検出部によって計測された前記ブレーキシリンダ圧が前記第2基準圧より低く設定される第3基準圧以上である場合は
、中継弁へのSR圧の漏れ込みの可能性があると判定することを特徴とする請求項9に記載の監視システム。
【請求項11】
車両に設けられる回転体に摩擦材を押しつけることにより機械ブレーキ力を発生させるブレーキ機器が有するブレーキシリンダの圧力を示すブレーキシリンダ圧を検出するブレーキシリンダ圧検出部と、
前記車両が停車している状態、且つ、ブレーキ指令が入力されていない状態において、前記ブレーキ指令が入力されてから前記ブレーキシリンダ圧検出部によって検出される前記ブレーキシリンダ圧が前記ブレーキ指令に対する目標ブレーキシリンダ圧より低く設定される第4基準圧に立ち上がるまでに要するブレーキシリンダ圧給気時間を計測する給気時間計測部と、
前記給気時間計測部によって計測される前記ブレーキシリンダ圧給気時間が予め定められた第6基準時間以上である場合は、給気異常又は給気異常の予兆があると判定する診断部と、
を備えることを特徴とする監視システム。
【請求項12】
前記診断部は、前記ブレーキシリンダ圧給気時間が前記第6基準時間より長く設定される第7基準時間以上である場合は、前記給気異常があると判定し、
前記ブレーキシリンダ圧給気時間が前記第6基準時間以上、且つ、前記第7基準時間未満である場合は、前記給気異常の予兆があると判定することを特徴とする請求項11に記載の監視システム。
【請求項13】
前記診断部は、前記ブレーキシリンダ圧給気時間が前記第7基準時間より長く設定される第8基準時間以上である場合は、ブレーキ不足であると判定することを特徴とする請求項12に記載の監視システム。
【請求項14】
前記給気時間計測部は、前記車両が停車している状態の出庫点検時において、前記ブレーキ指令が入力されてからの前記ブレーキシリンダ圧給気時間を計測することを特徴とする請求項11から請求項13のいずれか1項に記載の監視システム。
【請求項15】
前記診断部は、予め定められた第2の期間内において、前記給気時間計測部によって計測された複数の前記ブレーキシリンダ圧給気時間を取得し、前記第2の期間内における前記ブレーキシリンダ圧給気時間の傾向を求めることを特徴とする請求項1
1から請求項14のいずれか1項に記載の監視システム。
【請求項16】
前記診断部は、前記第2の期間内における前記ブレーキシリンダ圧給気時間が前記第6基準時間以上、且つ、前記
第6基準時間より長く設定される第7基準時間未満である給気異常予兆領域内に予め定められた回数以上、又は、予め定められた割合以上含まれている場合は、前記給気異常の予兆があると判定することを特徴とする請求項15に記載の監視システム。
【請求項17】
ブレーキ制御弁からブレーキ指令圧として中継弁へ供給される圧縮空気の圧力を示すAC圧を検出するAC圧検出部を備え、
前記給気時間計測部は、前記車両が停車している状態、且つ、ブレーキ指令が入力されていない状態において、前記ブレーキ指令が入力されてから前記AC圧検出部によって検出される前記AC圧が前記第4基準圧に立ち上がるまでに要するAC圧給気時間を計測し、
前記診断部は、前記ブレーキシリンダ圧給気時間が前記第6基準時間以上である場合は、前記AC圧給気時間が前記第6基準時間以上であるか否かを判断し、
前記AC圧給気時間が前記第6基準時間以上でない場合は、前記中継弁に関連する前記給気異常又は前記給気異常の予兆があると判定することを特徴とする請求項11から請求項16のいずれか1項に記載の監視システム。
【請求項18】
前記診断部は、前記AC圧給気時間が前記第6基準時間以上である場合は、前記ブレーキ制御弁に関連する前記給気異常又は前記給気異常の予兆があると判定することを特徴とする請求項17に記載の監視システム。
【請求項19】
前記給気時間計測部は、前記ブレーキシリンダ圧検出部によって計測された前記ブレーキシリンダ圧が前記第4基準圧より高く設定される第5基準圧に立ち上がるまでに要する前記ブレーキシリンダ圧給気時間を計測し、
前記診断部は、前記ブレーキシリンダ圧給気時間が前記第6基準時間より長く設定される第9基準時間以上である場合は、前記給気異常又は前記給気異常の予兆があると判定することを特徴とする請求項11から請求項18のいずれか1項に記載の監視システム。
【請求項20】
前記診断部は、前記
第6基準時間より長く設定される第7基準時間より長く設定される第8基準時間及び前記第9基準時間より長く設定される第10基準時間の経過時に前記ブレーキシリンダ圧検出部によって計測された前記ブレーキシリンダ圧が前記第5基準圧より高く設定される第6基準圧以下である場合は
、中継弁又は前記ブレーキシリンダの配管から大気側に圧縮空気が漏れている可能性があると判定することを特徴とする請求項19に記載の監視システム。
【請求項21】
前記排気時間計測部によって計測された前記ブレーキシリンダ圧排気時
間を蓄積するデータ蓄積部を備えることを特徴とする請求項1から請求項
10のいずれか1項に記載の監視システム。
【請求項22】
前記車両の位置情報を取得する位置情報取得部を備え、
前記データ蓄積部は、前記ブレーキシリンダ圧排気時
間に、前記排気時間計測部によって前記ブレーキシリンダ圧排気時間を計
測した際に前記位置情報取得部によって取得された前記車両の位置情報を紐付けて蓄積することを特徴とする請求項21に記載の監視システム。
【請求項23】
前記ブレーキ機器の周辺の温度情報を検出する温度検出部を備え、
前記データ蓄積部は、前記ブレーキシリンダ圧排気時
間に、前記排気時間計測部によって前記ブレーキシリンダ圧排気時間を計
測した際に前記温度検出部によって検出された前記温度情報を紐付けて蓄積することを特徴とする請求項21又は請求項22に記載の監視システム。
【請求項24】
前記給気時間計測部によって計測された前記ブレーキシリンダ圧給気時間を蓄積するデータ蓄積部を備えることを特徴とする請求項11から請求項20のいずれか1項に記載の監視システム。
【請求項25】
前記車両の位置情報を取得する位置情報取得部を備え、
前記データ蓄積部は、前記ブレーキシリンダ圧給気時間に、前記給気時間計測部によって前記ブレーキシリンダ圧給気時間を計測した際に前記位置情報取得部によって取得された前記車両の位置情報を紐付けて蓄積することを特徴とする請求項24に記載の監視システム。
【請求項26】
前記ブレーキ機器の周辺の温度情報を検出する温度検出部を備え、
前記データ蓄積部は、前記ブレーキシリンダ圧給気時間に、前記給気時間計測部によって前記ブレーキシリンダ圧給気時間を計測した際に前記温度検出部によって検出された前記温度情報を紐付けて蓄積することを特徴とする請求項24又は請求項25に記載の監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、鉄道車両用ブレーキ装置の状態を監視する監視システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のブレーキ装置では、例えば、ブレーキ緩め動作の開始から所定時間経過後のBC圧を測定し、測定したBC圧(ブレーキシリンダ圧)が所定値以上であった場合をブレーキ不緩解の状態として検知していた(例えば、特許文献1の段落[0005]参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のようにBC圧が所定値以上であるか否かによって、ブレーキ不緩解を検知した場合には、ブレーキ不緩解になる前段階の異常又は異常の予兆を検知することはできないという問題がある。
【0005】
本開示は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、ブレーキ不緩解になる前段階の排気異常又は排気異常の予兆を検知することができる監視システムを提供することを目的とする。更に、本開示は、ブレーキ不足の前段階の給気異常又は給気異常の予兆を検知することができる監視システムを提供することを目的とする。
【0006】
上記目的を達成するために、本開示に係る監視システムは、車両に設けられる回転体に摩擦材を押しつけることにより機械ブレーキ力を発生させるブレーキ機器が有するブレーキシリンダの圧力を示すブレーキシリンダ圧を検出するブレーキシリンダ圧検出部と、車両が停車している状態、且つ、ブレーキ指令が入力された状態において、ブレーキ指令が解除されてからブレーキシリンダ圧検出部によって検出されるブレーキシリンダ圧が予め定められた第1基準圧に下がるまでに要するブレーキシリンダ圧排気時間を計測する排気時間計測部と、排気時間計測部によって計測されるブレーキシリンダ圧排気時間が予め定められた第1基準時間以上である場合は、排気異常又は排気異常の予兆があると判定する診断部と、を備えている。
【0007】
また、本開示に係る監視システムは、車両に設けられる回転体に摩擦材を押しつけることにより機械ブレーキ力を発生させるブレーキ機器が有するブレーキシリンダの圧力を示すブレーキシリンダ圧を検出するブレーキシリンダ圧検出部と、車両が停車している状態、且つ、ブレーキ指令が入力されていない状態において、ブレーキ指令が入力されてからブレーキシリンダ圧検出部によって検出されるブレーキシリンダ圧がブレーキ指令に対する目標ブレーキシリンダ圧より低く設定される第4基準圧に立ち上がるまでに要するブレーキシリンダ圧給気時間を計測する給気時間計測部と、給気時間計測部によって計測されるブレーキシリンダ圧給気時間が予め定められた第6基準時間以上である場合は、給気異常又は給気異常の予兆があると判定する診断部と、を備えている。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る監視システムによれば、車両に設けられる回転体に摩擦材を押しつけることにより機械ブレーキ力を発生させるブレーキ機器が有するブレーキシリンダの圧力を示すブレーキシリンダ圧を検出するブレーキシリンダ圧検出部と、車両が停車している状態、且つ、ブレーキ指令が入力された状態において、ブレーキ指令が解除されてからブレーキシリンダ圧検出部によって検出されるブレーキシリンダ圧が予め定められた第1基準圧に下がるまでに要するブレーキシリンダ圧排気時間を計測する排気時間計測部と、排気時間計測部によって計測されるブレーキシリンダ圧排気時間が予め定められた第1基準時間以上である場合は、排気異常又は排気異常の予兆があると判定する診断部と、を備えているので、ブレーキ不緩解になる前段階の排気異常又は排気異常の予兆を検知することができる。
【0009】
本開示に係る監視システムによれば、車両に設けられる回転体に摩擦材を押しつけることにより機械ブレーキ力を発生させるブレーキ機器が有するブレーキシリンダの圧力を示すブレーキシリンダ圧を検出するブレーキシリンダ圧検出部と、車両が停車している状態、且つ、ブレーキ指令が入力されていない状態において、ブレーキ指令が入力されてからブレーキシリンダ圧検出部によって検出されるブレーキシリンダ圧がブレーキ指令に対する目標ブレーキシリンダ圧より低く設定される第4基準圧に立ち上がるまでに要するブレーキシリンダ圧給気時間を計測する給気時間計測部と、給気時間計測部によって計測されるブレーキシリンダ圧給気時間が予め定められた第6基準時間以上である場合は、給気異常又は給気異常の予兆があると判定する診断部と、を備えているので、ブレーキ不足の前段階の給気異常又は給気異常の予兆を検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の実施の形態1に係る監視システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】本開示の実施の形態1に係るブレーキ制御装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】本開示の実施の形態1に係る監視システムによるブレーキシリンダ圧排気時間の計測の一例を示す図である。
【
図4】本開示の実施の形態1に係る監視システムによるブレーキシリンダ圧排気時間の計測の他の一例を示す図である。
【
図5】本開示の実施の形態1に係る監視システムによるブレーキシリンダ圧排気時間とAC圧排気時間の計測の一例を示す図である。
【
図6】本開示の実施の形態1に係る監視システムによるブレーキシリンダ圧排気時間を用いた排気異常の予兆及び排気異常の判定の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図7】本開示の実施の形態1に係る監視システムによるブレーキシリンダ圧排気時間を用いた排気異常の予兆及び排気異常の判定の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図8】ブレーキシリンダ圧排気時間の経時的変化の一例を示す図である。
【
図9】本開示の実施の形態2に係るブレーキ制御装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図10】本開示の実施の形態2に係る監視システムによるブレーキシリンダ圧給気時間の計測の一例を示す図である。
【
図11】本開示の実施の形態2に係る監視システムによるブレーキシリンダ圧給気時間の計測の他の一例を示す図である。
【
図12】本開示の実施の形態2に係る監視システムによるブレーキシリンダ圧給気時間とAC圧給気時間の計測の一例を示す図である。
【
図13】本開示の実施の形態2に係る監視システムによるブレーキシリンダ圧給気時間を用いた給気異常の予兆及び給気異常の判定の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図14】本開示の実施の形態2に係る監視システムによるブレーキシリンダ圧給気時間を用いた給気異常の予兆及び給気異常の判定の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図15】ブレーキシリンダ圧給気時間の経時的変化の一例を示す図である。
【
図16】本開示の実施の形態1~2に係る監視システムが備える各装置を実現するハードウエア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示に係る監視システムの実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0012】
実施の形態1.
図1は、本実施の形態1に係る監視システムの構成の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、本実施の形態1に係る監視システム1は、例えば、列車を構成する車両2に搭載されるブレーキ機器を制御するブレーキ制御装置3、ブレーキ制御装置3等の車両2に搭載される複数の機器の状態を示す状態情報を収集する端末装置4、端末装置4から出力される複数の機器の状態情報を取得する中央装置5、中央装置5から出力される状態情報等をネットワーク6を介して無線通信により地上側へ送信する車上無線装置7、及び、車上無線装置7を介して車両2から状態情報等を取得する地上装置8等を備えている。また、先頭の車両2aには、運転員が行うブレーキ操作に応じたブレーキ指令を生成する主幹制御器(マスターコントローラ)等の制御操作装置(不図示)、及び、モニタ表示器(不図示)等を備える運転台9が搭載されている。尚、
図1では、先頭の車両2aと車両に隣接する後続の車両2bの2台の車両2のみを図示しているが、列車を構成する車両2の数は特に限定されるものではない。
【0013】
中央装置5は、各車両2に搭載される複数の機器の状態を示す状態情報を収集する端末装置4から出力される複数の機器の状態情報を取得する。車両2に搭載される機器としては、詳しくは図示しないが、例えば、ブレーキ制御装置3の他、推進制御装置、補助電源装置、空調装置、照明装置、ドア、車輪、及び、モータ等がある。尚、車両2に応じて搭載される機器の種類は異なることもある。複数の機器は、それぞれが搭載されている車両2に設けられている端末装置4に車両内伝送路(支線伝送路)10を介して接続されている。複数の機器のそれぞれの状態情報は、それぞれの機器に設けられたそれぞれの状態情報を検出する各種センサ等を介して端末装置4によって収集される。車両内伝送路10は、車両2内に配設される伝送路であり、例えば、LAN回線等を用いて構成される。また、複数の機器には、それぞれ自装置を一意に識別するための機器識別情報が付与されている。また、複数の機器が搭載される各車両2にも、それぞれ自車両を一意に識別するための車両識別情報が付与されている。また、車両識別情報に車両2の号車番号を示す号車番号情報又は車両2が先頭車両、中間車両、後尾車両のいずれであるかを示す車両種別情報が付加されていても良い。
【0014】
端末装置4は、各車両2に設置されており、互いに車両間伝送路(基幹伝送路)11を介して接続されている。車両間伝送路11は、車両2間にわたって配設される伝送路であり、例えば、LAN回線等を用いて構成される。端末装置4は、中央装置5から出力される制御指令等を含む制御情報を車両2内のそれぞれの機器に対して送信する。また、端末装置4は、中央装置5からの指令により、収集したそれぞれの機器の状態情報を中央装置5に送信する。
【0015】
中央装置5は、例えば、先頭の車両2a及び最後尾の車両2(不図示)に搭載されている。中央装置5は、端末装置4と接続されており、端末装置4から出力されるそれぞれの機器の状態情報を取得して管理する。そして、中央装置5は、自身が管理するそれぞれの機器の状態情報を車上無線装置7を介して地上装置8へ送信する。
【0016】
中央装置5では、複数の機器の状態情報の管理の他に、例えば、停車駅情報及び発着駅時刻等を示す列車運行情報、列車を識別する列車識別情報、列車の位置を示す列車位置情報、列車の速度を示す列車速度情報、列車の連結車両台数を示す車両台数情報、列車の進行方向を示す進行方向情報、列車を構成する各車両2の車両長を示す車両長情報、及び、主幹制御器の段数を示すノッチ情報等の列車内にて送受される列車情報を管理している。また、中央装置5は、状態情報として、各車両2に設けられる乗客乗降用のドアの開閉情報を示すドア開閉情報を管理している。また、中央装置5は、列車が位置している周辺の気温、湿度、降水量、及び、風速等を示す環境情報も合わせて管理するようにしても良い。また、中央装置5は、運転台9と接続されており、運転台9が備える制御操作装置等から入力された制御情報を各車両2に設置されている端末装置4を介してそれぞれの機器へ送信し、制御を行う。また、運転台9が備えるモニタ表示器は、例えば、列車の速度、ドアの開閉状態、ブレーキシリンダ圧等の情報を表示する。
【0017】
図2は、本開示の実施の形態1に係るブレーキ制御装置の構成の一例を示すブロック図である。ブレーキ制御装置3は、
図2に示すように、制御部12、ブレーキ制御弁13、中継弁14、空気ばね圧検出部(以下、「AS圧センサ」という)15、AC圧検出部(以下、「AC圧センサ」という)16、及び、ブレーキシリンダ圧検出部(以下、「BC圧センサ」)17等を備えている。また、
図2に示すように、車両2には、ブレーキ制御装置3の他に、ブレーキ機器18、車輪19、空気ばね20、圧縮空気タンク21、速度センサ22、及び、温度検出部(温度センサ)23等が設けられている。ブレーキ制御装置3は、例えば、運転台9の主幹制御器から出力されるブレーキ指令が入力され、ブレーキ指令に基づいて、ブレーキ機器18の動作を制御する。ブレーキ指令は、運転員等によって操作される主幹制御器からブレーキ制御装置3に入力されるものであり、例えば、7段階に設定された常用ブレーキ指令(ブレーキノッチ信号)、及び、緊急停止等に用いられる非常ブレーキ指令を含むものである。
【0018】
ブレーキ機器18は、各車輪19にそれぞれ作用する機械ブレーキであり、各車輪19の車軸にそれぞれ設けられる。ブレーキ機器18は、ブレーキシリンダ24と、ブレーキシリンダ24の内部の空気の圧力に応じて作動する摩擦材である制輪子25とを有する。ブレーキ機器18では、圧縮空気タンク21から圧縮された空気がブレーキ制御装置3を介して、ブレーキシリンダ24に供給されることにより、ブレーキシリンダ24内の圧力が上昇すると、制輪子25が、車両2の走行時に回転する回転体である車輪19に押し付けられることにより、機械ブレーキ力が発生する。機械ブレーキ力は、制輪子25を車輪19に押しつける力である押付力と、制輪子25と車輪19との接触面の摩擦係数の積で表される。尚、ブレーキ機器18で、ディスクブレーキであっても良い。ブレーキ機器18がディスクブレーキの場合には、回転体であるブレーキディスクが車軸等に固定されており、BC圧に応じて、摩擦材であるブレーキパッドでブレーキディスクを挟み込むことにより、機械ブレーキ力が発生する。
【0019】
ブレーキ制御弁13は、詳しくは図示しないが、例えば、圧縮空気を中継弁14に供給する電磁弁である供給弁(AMV:Apply Magnet Valve)と、中継弁14からの圧縮空気を排出する電磁弁である排気弁(RMV:Release Magnet Valve)とから構成される。また、ブレーキ制御弁13は、圧縮空気タンク21からの圧縮空気と制御部12からの電磁弁開閉信号とに基づき、供給弁と排気弁を開閉することで、中継弁14に供給する圧縮空気の流量を制御する。
【0020】
中継弁14は、圧縮空気タンク21の圧縮空気を利用して、ブレーキ制御弁13からの圧縮空気の圧力に比例し、且つ、流量を増幅した圧縮空気をブレーキシリンダ24に供給する。
【0021】
AS圧センサ15は、車両2に設けられている空気ばね20の圧力を示すAS圧を検出するセンサである。AS圧センサ15には、車両2の重量を表す信号である空気ばね20の圧力であるAS圧が入力される。AS圧力センサは、このAS圧を検出して、その測定値を制御部12へ出力する。空気ばね20では、車両2にかかる荷重に応じて、AS圧センサ15へ出力されるAS圧が変更される。そのため、制御部12では、AS圧に基づいて車両2にかかる荷重を計測することができる。
【0022】
AC圧センサ16は、ブレーキ指令圧としてブレーキ制御弁13から中継弁14へ供給される圧縮空気の圧力であるAC圧を検出し、その測定値を制御部12へ出力する。
【0023】
BC圧センサ17は、中継弁14からブレーキシリンダ24へ供給される圧縮空気の圧力であるBC圧を検出し、その測定値をブレーキシリンダ圧測定値(以下、「BC圧測定値」という)として制御部12へ出力する。
【0024】
速度センサ22は、車輪19の回転速度に基づいて、車両2の速度を示す速度信号を生成して、制御部12へ出力するセンサである。なお、
図2では省略しているが、速度センサ22は車両2の前後の台車に設置されており、車両2では、各車輪19から速度を検出することが可能である。
【0025】
温度センサ23は、ブレーキ機器18の周辺に設けられており、ブレーキ機器18の周辺の温度情報を検出するセンサである。温度センサ23は、ブレーキ機器18の周辺の温度情報を検出して、制御部12へ出力する。
【0026】
制御部12は、車両2において、車輪19に制輪子25を押しつけることにより機械ブレーキ力を発生させるようにブレーキ機器18を制御する。制御部12では、ブレーキ指令とAS圧とに基づいて、車両2に必要なブレーキ力を算出する。必要なブレーキ力は、車両2の荷重とブレーキ指令に含まれる減速度との積で求まる。そして、制御部12は、計算されたブレーキ力に基づいてブレーキシリンダ24内の目標圧力値を計算する。制御部12は、例えば、判断部26と、排気時間計測部27と、位置情報取得部28と、環境情報取得部29とを備えている。
【0027】
図3は、本開示の実施の形態1に係る監視システムによるブレーキシリンダ圧排気時間の計測の一例を示す図である。
図3では、横軸にブレーキ指令が解除され、ブレーキシリンダ24へBC圧が排気され始めてからの経過時間を示すブレーキシリンダ圧排気時間(以下、「BC圧排気時間」という)、縦軸にBC圧センサ17によって検出されるBC圧を示している。判断部26は、例えば、車両2が停車している状態、且つ、ブレーキ指令が入力された状態において、ブレーキ指令が解除(例えば、ブレーキ緩解指令が入力)されたか否かを判断する。車両2が停車している状態としては、例えば、車両2の駅停車時又は出庫点検時等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
図3に示すように、ブレーキ指令が解除されると、BC圧は排気されるので、BC圧は下がり始める。判断部26は、例えば、ブレーキ指令が解除されたと判断した場合に、ブレーキ指令が解除されたことを示すブレーキ指令解除信号を排気時間計測部27に通知する。
【0028】
排気時間計測部27は、
図3に示すように、ブレーキ指令が解除されてからBC圧排気時間を計測する。より具体的には、排気時間計測部27は、判断部26からブレーキ指令解除信号を受信すると、まずはBC圧センサ17によって検出されるBC圧が予め定められた第1基準圧P1に下がるまでに要するBC圧排気時間を計測する。第1基準圧P1は、従来のブレーキ不緩解の検知に用いられるBC圧の閾値よりも高く設定される圧力の値でも良く、例えば、50kPaに設定される。また、排気時間計測部27は、BC圧センサ17によって検出されるBC圧が予め定められた第2基準圧P2及び第3基準圧P3に下がるまでに要するBC圧排気時間もそれぞれ計測する。第2基準圧P2は、第1基準圧P1より低く設定される圧力値であり、第3基準圧P3は、第2基準圧P2より低く設定される圧力値である。第2基準圧P2は、第1基準圧P1より低く設定されていれば良く、特に限定されるものではないが、例えば、第1基準圧P1の半分の値に設定される。また、第3基準圧P3は、第2基準圧P2より低く設定されていれば良く、特に限定されるものではないが、例えば、2~10[kPa]に設定される。
【0029】
また、同様に排気時間計測部27は、ブレーキ指令が解除されてからAC圧排気時間を計測する。より具体的には、排気時間計測部27は、判断部26からブレーキ指令解除信号を受信すると、まずはAC圧センサ16によって検出されるAC圧が第1基準圧P1に下がるまでに要するAC圧排気時間を計測する。また、排気時間計測部27は、AC圧センサ16によって検出されるAC圧が第2基準圧P2及び第3基準圧P3に下がるまでに要するAC圧排気時間もそれぞれ計測する。
【0030】
位置情報取得部28は、例えば、中央装置5から列車の位置を示す列車位置情報を取得する。また、環境情報取得部29は、例えば、中央装置5から列車が位置している周辺の気温、湿度、降水量、及び、風速等を示す環境情報を取得する。
【0031】
制御部12では、例えば、排気時間計測部27によって計測されたBC圧排気時間及びAC圧排気時間に、判断部26によってブレーキ指令が解除されたと判断された際の列車位置情報、環境情報、温度情報、日時情報、ブレーキ指令情報、及び、ドア開閉情報等の情報を紐付けする。また、制御部12は、更にブレーキ機器18が搭載されている車両2の車両識別情報、ブレーキ機器18の機器識別情報、及び、ブレーキ制御装置3の機器識別情報も合わせて紐付けして、車上無線装置7を介して地上装置8へ送信する。
【0032】
地上装置8は、
図1に示すように、データ蓄積部30と、診断部31とを備えている。データ蓄積部30は、車両2から送信されてきたBC圧排気時間及びAC圧排気時間等を蓄積する。尚、データ蓄積部30は、列車を構成する車両2以外の他の列車を構成する車両2に搭載されるブレーキ制御装置3によって取得した情報も区別可能な状態で同様に蓄積する。診断部31は、例えば、BC圧排気時間等を用いて、BC圧の排気動作に関連する排気異常又は排気異常の予兆の判定を行うものである。診断部31は、例えば、データ蓄積部30からBC圧排気時間及びAC圧排気時間を取得する。
【0033】
図3では、正常時のBC圧排気時間とBC圧の関係を示す排気時間-BC圧曲線BR1を実線で示している。また、排気異常予兆時のBC圧排気時間とBC圧の関係を示す排気時間-BC圧曲線BR2、排気異常時のBC圧排気時間とBC圧の関係を示す排気時間-BC圧曲線BR3、及び、ブレーキ不緩解時のBC圧排気時間とBC圧の関係を示す排気時間-BC圧曲線BR4をそれぞれ破線で示している。
【0034】
また、
図3に示す第1基準時間T1は、診断部31による排気異常の予兆の判定に用いるための基準時間である。第1基準時間T1としては、ブレーキ不緩解の検知に用いるBC圧排気時間の閾値よりも短く設定されており、例えば、1~3[sec]に設定される。また、第2基準時間T2は、診断部31による排気異常の判定に用いるための基準時間であって、第1基準時間T1より長く設定される。第2基準時間T2は、例えば、第1基準時間T1よりも1~2[sec]長く設定される。また、第3基準時間T3は、診断部31によるブレーキ不緩解の判定に用いるための基準時間であって、第2基準時間T2より長く設定される。また、第4基準時間T4は、診断部31による排気異常又は排気異常の予兆の判定に用いるための基準時間であって、第1基準時間T1より長く設定される。尚、
図3では、第4基準時間T4は、第3基準時間T3と同じ時間(T3=T4)として設定した例を示しているが、これに限定されるものではない。第4基準時間T4は、第1基準時間T1より長く設定されていれば良く、例えば、第2基準時間T2と同じ時間に設定しても良い。また、第4基準時間T4は、第2基準時間T2よりも短く設定されていても良いし、第3基準時間T3よりも長く設定されていても良い。第5基準時間T5は、診断部31による排気異常又は排気異常の予兆の判定に用いるための基準時間であって、第3基準時間T3及び第4基準時間T4より長く設定される。第1~5基準時間T1~T5は、例えば、地上装置8に設けられる記録部(不図示)に予め記録される。尚、第1~5基準時間T1~T5は、ブレーキ制御装置3毎に設定されていても良い。また、診断部31は、第1~5基準時間T1~T5を、車両2に設けられるブレーキ制御装置3等の車上側の機器から車上無線装置7を介して取得するようにしても良い。
【0035】
図3では、ブレーキ指令が解除されてから第1基準時間T1未満である領域を正常領域としている。また、第1基準時間T1以上、且つ、第2基準時間T2未満である領域を排気異常予兆領域としている。また、第2基準時間T2以上、且つ、第3基準時間T3未満である領域を排気異常領域としている。また、第2基準時間T2以上の領域は、ブレーキ不緩解領域としている。
【0036】
診断部31は、
図3の排気時間-BC圧曲線BR1に示すように、例えば、ブレーキ指令が解除されてから、BC圧が第1基準圧P1に下がるまでに要するBC圧排気時間が第1基準時間T1未満である場合、すなわち、正常領域内にある場合は、BC排気時間は正常であると判定する。また、診断部31は、
図3の排気時間-BC圧曲線BR2に示すように、例えば、ブレーキ指令が解除されてからBC圧が第1基準圧P1に下がるまでに要するBC圧排気時間が第1基準時間T1以上、且つ、第2基準時間T2未満である場合、すなわち、排気異常予兆領域内にある場合は、排気異常の予兆があると判定する。そして、診断部31は、例えば、排気異常の予兆があると判定した場合は、注意を促すための注意信号を生成して、出力する。地上装置8は、例えば、診断部31から出力された注意信号をネットワーク6を介して車両2へと送信することにより、車両2の運転台9のモニタ表示器に注意を促す情報を表示する。
【0037】
また、診断部31は、
図3の排気時間-BC圧曲線BR3に示すように、例えば、ブレーキ指令が解除されてから、BC圧が第1基準圧P1に下がるまでに要するBC圧排気時間が第2基準時間T2以上、且つ、第3基準時間T3未満である場合、すなわち、排気異常領域内にある場合は、排気異常があると判定する。そして、診断部31は、例えば、排気異常があると判定した場合は、異常を通知するための異常信号を生成して、出力する。地上装置8は、例えば、診断部31から出力された異常信号をネットワーク6を介して車両2へと送信することにより、車両2の運転台9のモニタ表示器に異常を通知する情報を表示する。
【0038】
また、診断部31は、
図3の排気時間-BC圧曲線BR4に示すように、例えば、ブレーキ指令が解除されてからBC圧が第1基準圧P1に下がるまでに要するBC圧排気時間が第3基準時間T3以上である場合、すなわち、ブレーキ不緩解領域内にある場合は、ブレーキ不緩解であると判定する。そして、診断部31は、例えば、ブレーキ不緩解であると判定した場合は、ブレーキ不緩解である旨を通知するためのブレーキ不緩解信号と共に車両2を停車させるための停車指令を生成して、出力する。地上装置8は、例えば、診断部31から出力されたブレーキ不緩解信号及び停車指令をネットワーク6を介して車両2へと送信することにより、車両2の運転台9のモニタ表示器にブレーキ不緩解を通知する情報を表示すると共に、車両2を停車指令に基づいて、停車させる。
【0039】
図4は、本開示の実施の形態1に係る監視システムによるブレーキシリンダ圧排気時間の計測の他の一例を示す図である。前述のように診断部31は、
図3の排気時間-BC圧曲線BR1に示すように、ブレーキ指令が解除されてからBC圧が第1基準圧P1に下がるまでに要するBC圧排気時間が第1基準時間T1未満である場合、すなわち、正常領域内にある場合は、BC排気時間は正常であると判定する。しかしながら、BC排気時間が第1基準時間T1未満である場合でも、その後、BC圧が何らかの原因で適切に排気されない状態が生じる可能性がある。
図4では、ブレーキ指令が解除されてから、BC圧が第1基準圧P1に下がるまでに要するBC圧排気時間が第1基準時間T1未満である場合において、診断部31が排気異常又は排気異常の予兆と判定する場合のBC圧排気時間とBC圧の関係を示す排気時間-BC圧曲線BR5、及び、排気時間-BC圧曲線BR6を破線で示している。
【0040】
診断部31は、
図4の排気時間-BC圧曲線BR5に示すように、例えば、ブレーキ指令が解除されてからBC圧が第1基準圧P1に下がるまでに要するBC圧排気時間が第1基準時間T1未満である場合、すなわち、正常領域内にある場合に、ブレーキ指令が解除されてからBC圧が第2基準圧P2に下がるまでに要するBC圧排気時間が第4基準時間T4以上であるか否かを判断する。診断部31は、ブレーキ指令が解除されてからBC圧が第2基準圧P2に下がるまでに要するBC圧排気時間が第4基準時間T4以上であると判断した場合には、排気異常又は排気異常の予兆があると判定する。そして、診断部31は、例えば、排気異常又は排気異常の予兆があると判定した場合は、排気異常を通知するための異常信号又は注意を促すための注意信号を生成して、出力する。地上装置8は、例えば、診断部31から出力された異常信号又は注意信号をネットワーク6を介して車両2へと送信することにより、車両2の運転台9のモニタ表示器に異常を通知する情報又は注意を促す情報を表示する。尚、診断部31は、
図4の排気時間-BC圧曲線BR5に示すような場合に、排気異常と判定するか、又は、排気異常の予兆と判定するかは、第2基準圧P2及び第4基準時間T4の値に応じて決めるようにしても良い。
【0041】
診断部31は、
図4の排気時間-BC圧曲線BR6に示すように、例えば、ブレーキ指令が解除されてからBC圧が第1基準圧P1に下がるまでに要するBC圧排気時間が第1基準時間T1未満である場合、すなわち、正常領域内にあり、且つ、ブレーキ指令が解除されてからBC圧が第2基準圧P2に下がるまでに要するBC圧排気時間が第4基準時間T4未満であると判断した場合に、第5基準時間T5経過時にBC圧センサ17によって検出されるBC圧が第3基準圧P3以上であるか否かを判断する。診断部31は、第5基準時間T5経過時にBC圧センサ17によって検出されるBC圧が第3基準圧P3以上であると判断した場合、すなわち、BC圧の残圧があると判断した場合は、中継弁14へのSR圧(圧縮空気圧)の漏れ込みの可能性があると判定する。そして、診断部31は、例えば、SR圧の漏れ込みの可能性があることを通知するための漏れ込み通知信号を生成して、出力する。地上装置8は、例えば、診断部31から出力された漏れ込み通知信号をネットワーク6を介して車両2へと送信することにより、車両2の運転台9のモニタ表示器にSR圧の漏れ込みの可能性があることを通知する情報を表示する。
【0042】
図5は、本開示の実施の形態1に係る監視システムによるブレーキシリンダ圧排気時間とAC圧排気時間の計測の一例を示す図である。診断部31では、例えば、
図5の排気時間-BC圧曲線BR2又は排気時間-BC圧曲線BR3に示すように、排気異常の予兆又は排気異常と判定した場合に、更に、排気異常の予兆又は排気異常の要因となっている箇所がどこなのかを特定するための判定を行うために、AC圧排気時間を用いる。
図5の下図では、横軸にブレーキ指令が解除され、中継弁14へ供給されるブレーキ指令圧であるAC圧が排気され始めてからの経過時間を示すAC圧排気時間、縦軸にAC圧センサ16によって検出されるAC圧を示している。また、
図5では、正常時のAC圧排気時間とAC圧の関係を示す排気時間-AC圧曲線AR1を実線で示している。また、排気異常予兆時のAC圧排気時間とAC圧の関係を示す排気時間-AC圧曲線AR2、及び、排気異常時のAC圧排気時間とAC圧の関係を示す排気時間-AC圧曲線AR3をそれぞれ破線で示している。
【0043】
診断部31は、例えば、
図5の排気時間-BC圧曲線BR2又は排気時間-BC圧曲線BR3に示すように、排気異常の予兆又は排気異常と判定した場合に、ブレーキ指令が解除されてからAC圧が第1基準圧P1に下がるまでに要するAC圧排気時間が第1基準時間T1以上であるか否かを判断する。診断部31は、例えば、
図5の排気時間-AC圧曲線AR1に示すように、ブレーキ指令が解除されてから、AC圧が第1基準圧P1に下がるまでに要するAC圧排気時間が第1基準時間T1未満である(第1基準時間T1以上でない)場合、すなわち、正常領域内にある場合は、ブレーキ制御弁13側での排気を正しく行われていると判断し、中継弁14側に関連する排気異常又は排気異常の予兆があると判定する。
【0044】
診断部31は、例えば、例えば、
図5の排気時間-AC圧曲線AR2及び排気時間-AC圧曲線AR3に示すように、ブレーキ指令が解除されてから、AC圧が第1基準圧P1に下がるまでに要するAC圧排気時間が第1基準時間T1以上である場合、すなわち、排気異常予兆領域又は排気異常領域にある場合は、ブレーキ制御弁13側に関連する排気異常又は排気異常の予兆があると判定する。
【0045】
図6及び
図7は、本開示の実施の形態1に係る監視システムによるブレーキシリンダ圧排気時間を用いた排気異常の予兆及び排気異常の判定の流れの一例を示すフローチャートである。以下、本開示の実施の形態1に係る監視システム1による処理の流れの一例について、
図6及び
図7のフローチャートを用いながら説明する。
図6に示すように、ステップS101において、監視システム1の判断部26は、ブレーキ指令が解除されたか否かを判断する。
【0046】
ステップS101において、判断部26は、ブレーキ指令が解除されたと判断した場合(Yes)には、ステップS102において、排気時間計測部27は、ブレーキ指令が解除されてからのBC圧排気時間及びAC圧排気時間を計測する。ステップS101において、判断部26は、ブレーキ指令が解除されていないと判断した場合(Nо)には、再度、ブレーキ指令が解除されたか否かを判断する。すなわち、判断部26は、ブレーキ指令が解除されるまでS101の判断を繰り返す。
【0047】
次に、ステップS103において、判断部26は、BC圧センサ17によって検出されるBC圧が第1基準圧P1以下まで下がったか否かを判断する。ステップS103において、判断部26は、BC圧が第1基準圧P1以下まで下がったと判断した場合(Yes)は、ブレーキ指令が解除されてから排気時間計測部27によって計測されたBC圧が第1基準圧P1に下がるまでに要するBC圧排気時間、及び、AC圧が第1基準圧P1に下がるまでに要するAC圧排気時間を診断部31に送信し、ステップS104において、診断部31は、BC圧排気時間が第1基準時間T1以上であるか否かを判断する。ステップS103において、判断部26は、BC圧が第1基準圧P1以下まで下がっていないと判断した場合(Nо)は、再度、BC圧が第1基準圧P1以下まで下がったか否かを判断する。すなわち、判断部26は、BC圧が第1基準圧P1以下に下がるまでS103の判断を繰り返す。
【0048】
ステップS104において、診断部31は、BC圧排気時間が第1基準時間T1以上であると判断した場合(Yes)は、ステップS105において、診断部31は、BC圧排気時間が第2基準時間T2以上であるか否かを判断する。ステップS105において、診断部31は、BC圧排気時間が第2基準時間T2以上であると判断した場合(Yes)は、ステップS106において、診断部31は、BC圧排気時間が第3基準時間T3以上であるか否かを判断する。
【0049】
ステップS106において、診断部31は、BC圧排気時間が第3基準時間T3以上であると判断した場合(Yes)は、ステップS107において、診断部31は、ブレーキ不緩解であると判定し、ブレーキ不緩解である旨を通知するためのブレーキ不緩解信号を生成して、出力する。
【0050】
また、ステップS106において、診断部31は、BC圧排気時間が第3基準時間T3以上でないと判断した場合(Nо)は、ステップS108において、診断部31は、ブレーキ指令が解除されてからAC圧が第1基準圧P1に下がるまでに要するAC圧排気時間が第1基準時間T1以上であるか否かを判断する。ステップS108において、診断部31は、AC圧排気時間が第1基準時間T1以上であると判定した場合(Yes)は、ステップS109において、診断部31は、ブレーキ制御弁13側に関連する排気異常があると判定し、例えば、ブレーキ制御弁13側に関連する排気異常があることを通知するための異常信号を生成して、出力する。ステップS108において、診断部31は、AC圧排気時間が第1基準時間T1以上でないと判定した場合(Nо)は、ステップS110において、診断部31は、中継弁14側に関連する排気異常があると判定し、例えば、中継弁14側に関連する排気異常があることを通知するための異常信号を生成して、出力する。
【0051】
また、ステップS105において、診断部31は、BC圧排気時間が第2基準時間T2以上でないと判断した場合(Nо)は、ステップS111において、診断部31は、ブレーキ指令が解除されてからAC圧が第1基準圧P1に下がるまでに要するAC圧排気時間が第1基準時間T1以上であるか否かを判断する。ステップS111において、診断部31は、AC圧排気時間が第1基準時間T1以上であると判定した場合(Yes)は、ステップS112において、診断部31は、ブレーキ制御弁13側に関連する排気異常の予兆があると判定し、例えば、ブレーキ制御弁13側に関連する排気異常の予兆があることを通知するための注意信号を生成して、出力する。ステップS111において、診断部31は、AC圧排気時間が第1基準時間T1以上でないと判定した場合(Nо)は、ステップS113において、診断部31は、中継弁14側に関連する排気異常の予兆があると判定し、例えば、中継弁14側に関連する排気異常の予兆があることを通知するための注意信号を生成して、出力する。
【0052】
また、ステップS104において、診断部31は、BC圧排気時間が第1基準時間T1以上でないと判断した場合(Nо)は、
図7に示すステップS114において、診断部31は、BC圧が第2基準圧P2まで下がったか否かを判断する。尚、
図7は、
図6のステップS104の処理において、診断部31が、BC圧排気時間は第1基準時間T1以上でないと判断した場合(Nо)の後の処理Aの詳細を示すものである。
【0053】
ステップS114において、診断部31は、BC圧が第2基準圧P2まで下がったと判断した場合(Yes)は、ステップS115において、診断部31は、ブレーキ指令が解除されてからBC圧が第2基準圧P2に下がるまでに要するBC圧排気時間が第4基準時間T4以上であるか否かを判断する。ステップS114において、診断部31は、BC圧が第2基準圧P2以下まで下がっていないと判断した場合(Nо)は、再度、BC圧が第2基準圧P2以下まで下がったか否かを判断する。すなわち、判断部26は、BC圧が第2基準圧P2以下に下がるまでS114の判断を繰り返す。
【0054】
ステップS115において、診断部31は、BC圧排気時間が第4基準時間T4以上であると判断した場合(Yes)は、ステップS116において、診断部31は、排気異常の予兆があると判定する。また、ステップS115において、診断部31は、BC圧排気時間が第4基準時間T4以上でないと判断した場合(Nо)は、ステップS117において、診断部31は、BC圧排気時間が第5基準時間T5以上であるか否かを判断する。
【0055】
ステップS117において、診断部31は、BC圧排気時間が第5基準時間T5以上であると判断した場合(Yes)は、ステップS118において、診断部31は、BC圧が第3基準圧P3以上である否かを判断する。ステップS117において、診断部31は、BC圧排気時間が第5基準時間T5以上でないと判断した場合(Nо)は、診断部31は、再度、BC圧排気時間が第5基準時間T5以上であるか否かを判断する。すなわち、判断部26は、BC圧排気時間が第5基準時間T5以上になるまでS117の判断を繰り返す。
【0056】
ステップS118において、診断部31は、BC圧が第3基準圧P3以上であると判断した場合(Yes)は、ステップS119において、診断部31は、中継弁14へのSR圧の漏れ込みの可能性があると判定する。ステップS118において、診断部31は、BC圧が第3基準圧P3以上でないと判断した場合(Nо)は、ステップS120において、診断部31は、正常と判定する。尚、ステップS103において、診断部31は、BC圧が第1基準圧P1以下まで下がっていないと判断した場合(Nо)は、再度、BC圧が第1基準圧P1以下まで下がったか否かを判断しているが、BC圧排気時間がブレーキ不緩解を判定するための第3基準時間T3以上になった場合は、ステップS103の処理を停止し、ブレーキ不緩解であると判定するようにしても良い。また、ステップS114において、診断部31は、BC圧が第2基準圧P2以下まで下がっていないと判断した場合(Nо)は、再度、BC圧が第2基準圧P2以下まで下がったか否かを判断しているが、BC圧排気時間が第5基準時間T5以上になった場合は、ステップS114の処理を停止し、ブレーキ不緩解又は中継弁14へのSR圧の漏れ込みの可能性があると判定するようにしても良い。
【0057】
本開示の実施の形態1に係る監視システム1によれば、車両2に設けられる車輪19に制輪子25を押しつけることにより機械ブレーキ力を発生させるブレーキ機器18が有するブレーキシリンダ24の圧力を示すBC圧を検出するBC圧センサ17と、車両2が停車している状態、且つ、ブレーキ指令が入力された状態において、ブレーキ指令が解除されてからBC圧センサ17によって検出されるBC圧が予め定められた第1基準圧P1に下がるまでに要するBC圧排気時間を計測する排気時間計測部27と、排気時間計測部27によって計測されるBC圧排気時間が予め定められた第1基準時間T1以上である場合は、排気異常又は排気異常の予兆があると判定する診断部31と、を備えているので、ブレーキ不緩解になる前段階の排気異常又は排気異常の予兆を検知することができる。
【0058】
本開示の実施の形態1に係る監視システム1によれば、診断部31は、BC圧排気時間が第1基準時間T1より長く設定される第2基準時間T2以上である場合は、排気異常があると判定し、BC圧排気時間が第1基準時間T1以上、且つ、第2基準時間T2未満である場合は、排気異常の予兆があると判定するので、ブレーキ不緩解になる前段階の排気異常又は排気異常の予兆のいずれであるかをより詳細に検知することができる。
【0059】
本開示の実施の形態1に係る監視システム1によれば、診断部31は、BC圧排気時間が第2基準時間T2より長く設定される第3基準時間T3以上である場合は、ブレーキ不緩解であると判定するので、ブレーキ不緩解が生じた場合も適切に検知することができる。
【0060】
本開示の実施の形態1に係る監視システム1によれば、排気時間計測部27は、車両2が停車している状態の駅停車時又は出庫点検時において、ブレーキ指令が解除されてからのBC圧排気時間を計測することにより、回生ブレーキの影響を受けなることなく、BC圧排気時間を計測することができるので、ブレーキ制御装置3の空制部であるブレーキ制御弁13又は中継弁14に関連する排気異常又は排気異常の予兆が発生していることを把握することができる。
【0061】
本開示の実施の形態1に係る監視システム1によれば、ブレーキ制御弁13からブレーキ指令圧として中継弁14へ供給される圧縮空気の圧力を示すAC圧を検出するAC圧センサ16を備え、排気時間計測部27は、ブレーキ指令が入力された状態において、ブレーキ指令が解除されてからAC圧センサ16によって検出されるAC圧が第1基準圧P1に下がるまでに要するAC圧排気時間を計測し、診断部31は、BC圧排気時間が第1基準時間T1以上である場合は、AC圧排気時間が第1基準時間T1以上であるか否かを判断し、AC圧排気時間が第1基準時間T1以上でない場合は、中継弁14に関連する排気異常又は排気異常の予兆があると判定するので、ブレーキ不緩解になる前段階の中継弁14に関連する排気異常又は排気異常の予兆を検知することができる。
【0062】
本開示の実施の形態1に係る監視システム1によれば、診断部31は、AC圧排気時間が第1基準時間T1以上である場合は、ブレーキ制御弁13に関連する排気異常又は排気異常の予兆があると判定するので、ブレーキ不緩解になる前段階のブレーキ制御弁13に関連する排気異常又は排気異常の予兆を検知することができる。
【0063】
本開示の実施の形態1に係る監視システム1によれば、排気時間計測部27は、BC圧センサ17よって計測されたBC圧が第1基準圧P1より低く設定される第2基準圧P2に下がるまでに要するBC圧排気時間を計測し、診断部31は、BC圧排気時間が第1基準時間T1より長く設定される第4基準時間T4以上である場合は、排気異常又は排気異常の予兆があると判定するので、ブレーキ不緩解になる前段階の排気異常又は排気異常の予兆をより精度良く検知することができる。
【0064】
本開示の実施の形態1に係る監視システム1によれば、診断部31は、第3基準時間T3及び第4基準時間T4より長く設定される第5基準時間T5の経過時にBC圧センサ16によって計測されたBC圧が第2基準圧P2より低く設定される第3基準圧P3以上である場合は、中継弁14へのSR圧の漏れ込みの可能性があると判定するので、BC圧の残圧が存在する場合も適切に検知することができる。
【0065】
本開示の実施の形態1に係る監視システム1によれば、排気時間計測部27によって計測されたBC圧排気時間を蓄積するデータ蓄積部30を備えるので、過去の複数のBC圧排気時間を用いて、排気異常又は排気異常の予兆の判定を行うことができる。
【0066】
本開示の実施の形態1に係る監視システム1によれば、車両2の位置情報を取得する位置情報取得部28を備え、データ蓄積部30は、BC圧排気時間に、排気時間計測部27によってBC圧排気時間を計測した際に位置情報取得部28によって取得された車両2の位置情報を紐付けて蓄積するので、車両2がどこに停車していた時のBC圧排気時間であるかを把握することができる。
【0067】
本開示の実施の形態1に係る監視システム1によれば、ブレーキ機器18の周辺の温度情報を検出する温度センサ23を備え、データ蓄積部30は、BC圧排気時間に、排気時間計測部27によってBC圧排気時間を計測した際に温度センサ23によって検出された温度情報を紐付けて蓄積するので、ブレーキ機器18の周辺の温度がどのくらいあった時のBC圧排気時間であるかを把握することができる。
【0068】
尚、本実施の形態1に係る監視システム1では、
図1に示すように、データ蓄積部30及び診断部31を地上装置8に設けた例を示しているが、データ蓄積部30及び診断部31は、地上装置8に設けられることに限定されるものではなく、例えば、車両2内に設けられるブレーキ制御装置3又は中央装置5等に設けるように構成しても良い。
【0069】
また、本実施の形態1に係る監視システム1では、診断部31は、
図3~
図5に示すように、判断部26によって、車両2が停車している状態、且つ、ブレーキ指令が入力された状態において、ブレーキ指令が解除されたと判断した場合に、排気時間計測部27が計測した1回のBC圧排気時間を用いて、排気異常又は排気異常の予兆の判定を行った例を示している。しかしながら、診断部31は、予め定められた第1の期間内において、排気時間計測部27によって計測された複数のBC圧排気時間を取得し、第1の期間内におけるBC圧排気時間の傾向を求めることにより、排気異常又は排気異常の予兆の判定を行うようにしても良い。尚、第1の期間とは、例えば、1週間単位又は1ヵ月単位等の期間であるが、特に限定されるものではなく、1日単位又は1年単位の期間としても良い。
【0070】
図8は、ブレーキシリンダ圧排気時間の経時的変化の一例を示す図である。
図8では、横軸に日付、縦軸にブレーキ指令が解除されてからBC圧センサ17によって検出されるBC圧が第1基準圧P1に下がるまでに要するBC圧排気時間を示している。BC圧排気時間は、例えば、車両2の出庫点検時毎に排気時間計測部27により計測したBC圧排気時間であっても良いし、車両2の駅停車時毎に排気時間計測部27により計測した1日のBC圧排気時間の平均値等の統計値であっても良い。
図8では、一例として10日分のBC圧排気時間を示している。
図8では、横軸の日付は、1~10日目との表記にしているが、年月日の表記にするようにしても良い。尚、診断部31は、必ずしも1日毎のBC圧排気時間を取得する必要はなく、第1の期間より短く設定される予め定められた期間毎(例えば、1週間毎)のBC圧排気時間を取得するようにしても良い。また、診断部31は、予め定められた期間において、排気時間計測部27が計測した複数のBC圧排気時間の平均値等の統計値を取得するようにしても良い。尚、排気時間計測部27が計測した複数のBC圧排気時間は、例えば、車両2の車両識別情報、ブレーキ機器18の機器識別情報、ブレーキ制御装置3の機器識別情報、列車位置情報、環境情報、温度情報、日時情報、ブレーキ指令情報、及び、ドア開閉情報等の情報と紐付けられて、地上装置8が備えるデータ蓄積部30に蓄積される。診断部31は、例えば、
図8に示すように、第1の期間内のBC圧排気時間を用いて、傾向推定等を行うことにより経時的な傾向を求めるようにしても良い。また、診断部31は、複数のBC圧排気時間と共にデータ蓄積部30に蓄積されている環境情報、及び、温度情報等の情報を組み合わせて、機械学習を行うことにより、排気異常又は排気異常の予兆の診断を行うようにしても良い。
【0071】
また、診断部31は、例えば、第1の期間内におけるBC圧排気時間が第1基準時間T1以上、且つ、第2基準時間T2未満である排気異常予兆領域内に予め定められた回数以上、又は、予め定められた割合以上含まれている場合に、BC圧に関連する排気異常の予兆があると判定するようにしても良い。
【0072】
実施の形態2.
次に、本開示の実施の形態2に係る監視システム1について説明する。
図9は、本開示の実施の形態2に係るブレーキ制御装置の構成の一例を示すブロック図である。尚、本開示の実施の形態1に係る監視システム1と同様の構成等については、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。実施の形態2に係る監視システム1のブレーキ制御装置3では、
図9に示すように、排気時間計測部27ではなく、給気時間計測部32を備える点で、
図2に示す実施の形態1に係る監視システム1のブレーキ制御装置3とは異なっている。また、実施の形態2に係る監視システム1では、診断部31による給気異常又は給気異常の予兆の判定を行う点で、実施の形態1に係る監視システム1とは異なっている。尚、実施の形態2に係る監視システム1のブレーキ制御装置3では、説明の簡易化のため、制御部12は、排気時間計測部27を備えていない例を示しているが、給気時間計測部32と共に排気時間計測部27も備えるように構成しても良い。
【0073】
図10は、本開示の実施の形態2に係る監視システムによるブレーキシリンダ圧給気時間の計測の一例を示す図である。
図10では、横軸にブレーキ指令が入力され、ブレーキシリンダ24へBC圧が供給され始めてからの経過時間を示すブレーキシリンダ圧給気時間(以下、「BC圧給気時間」という)、縦軸にBC圧センサ17によって検出されるBC圧を示している。判断部26は、例えば、車両2が停車している状態、且つ、ブレーキ指令が入力されていない(ブレーキユルメ)の状態において、ブレーキ指令(ブレーキノッチ信号)が入力されたか否かを判断する。車両2が停車している状態としては、例えば、車両2の出庫点検時等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
図3に示すように、ブレーキ指令が入力されると、BC圧がブレーキシリンダ24に供給されるので、BC圧は立ち上がり始める。判断部26は、例えば、ブレーキ指令が入力されたと判断した場合に、ブレーキ指令が入力されたことを示すブレーキ指令入力信号を給気時間計測部32に通知する。
【0074】
給気時間計測部32は、
図10に示すように、ブレーキ指令が入力されてからBC圧給気時間を計測する。より具体的には、給気時間計測部32は、判断部26からブレーキ指令入力信号を受信すると、まずはBC圧センサ17によって検出されるBC圧が予め定められた第4基準圧P4に立ち上がるまでに要するBC圧給気時間を計測する。第4基準圧P4は、ブレーキ指令に対する目標ブレーキシリンダ圧(以下、「目標BC圧」という)より低く設定される値であり、例えば、目標BC圧の50~70%の値に設定される。尚、目標BC圧は、例えば、制御部12によりブレーキ指令及びAS圧に基づいて、算出することができる。また、給気時間計測部32は、BC圧センサ17によって検出されるBC圧が予め定められた第5基準圧P5及び第6基準圧P6に立ち上がるまでに要するBC圧給気時間もそれぞれ計測する。第5基準圧P5は、第4基準圧P4より高く設定される圧力値であり、第6基準圧P6は、第5基準圧P5より高く設定される圧力値である。第5基準圧P5は、第4基準圧P4より高く設定されていれば良く、特に限定されるものではないが、例えば、目標BC圧と第4基準圧P4の差の半分を第4基準圧P4に加えた値に設定される。また、第6基準圧P6は、第5基準圧P5より高く設定されていれば良く、特に限定されるものではないが、例えば、目標BC圧よりは低く設定される。
【0075】
また、同様に給気時間計測部32は、ブレーキ指令が入力されてからAC圧給気時間を計測する。より具体的には、給気時間計測部32は、判断部26からブレーキ指令入力信号を受信すると、まずはAC圧センサ16によって検出されるAC圧が第4基準圧P4に立ち上がるまでに要するAC圧給気時間を計測する。また、給気時間計測部32は、AC圧センサ16によって検出されるAC圧が第5基準圧P5及び第6基準圧P6に立ち上がるまでに要するAC圧給気時間もそれぞれ計測する。
【0076】
また、制御部12では、例えば、給気時間計測部32によって計測されたBC圧給気時間及びAC圧給気時間に、判断部26によってブレーキ指令が入力されたと判断された際の列車位置情報、環境情報、温度情報、日時情報、ブレーキ指令情報、及び、ドア開閉情報等の情報を紐付けする。また、制御部12は、更にブレーキ機器18が搭載されている車両2の車両識別情報、ブレーキ機器18の機器識別情報、及び、ブレーキ制御装置3の機器識別情報も合わせて紐付けして、車上無線装置7を介して地上装置8へ送信する。
【0077】
地上装置8は、
図1に示すように、データ蓄積部30と、診断部31とを備えている。データ蓄積部30は、車両2から送信されてきたBC圧給気時間及びAC圧給気時間等を蓄積する。尚、データ蓄積部30は、列車を構成する車両2以外の他の列車を構成する車両2に搭載されるブレーキ制御装置3によって取得した情報も区別可能な状態で同様に蓄積する。診断部31は、例えば、BC圧給気時間等を用いて、BC圧の給気動作に関連する給気異常又は給気異常の予兆の判定を行うものである。診断部31は、例えば、データ蓄積部30からBC圧給気時間及びAC圧給気時間を取得する。
【0078】
図10では、正常時のBC圧給気時間とBC圧の関係を示す給気時間-BC圧曲線BA1を実線で示している。また、給気異常予兆時のBC圧給気時間とBC圧の関係を示す給気時間-BC圧曲線BA2、給気異常時のBC圧給気時間とBC圧の関係を示す給気時間-BC圧曲線BA3、及び、ブレーキ不足時のBC圧給気時間とBC圧の関係を示す給気時間-BC圧曲線BA4をそれぞれ破線で示している。
【0079】
また、
図10に示す第6基準時間T6は、診断部31による給気異常の予兆の判定に用いるための基準時間である。第6基準時間T6としては、ブレーキ不足の検知に用いるBC圧給気時間の閾値よりも短く設定されており、例えば、1~3[sec]に設定される。また、第7基準時間T7は、診断部31による給気異常の判定に用いるための基準時間であって、第6基準時間T6より長く設定される。第7基準時間T7は、例えば、第6基準時間T6よりも1~2[sec]長く設定される。また、第8基準時間T8は、診断部31によるブレーキ不足の判定に用いるための基準時間であって、第7基準時間T7より長く設定される。また、第9基準時間T9は、診断部31による給気異常又は給気異常の予兆の判定に用いるための基準時間であって、第6基準時間T6より長く設定される。尚、
図10では、第9基準時間T9は、第8基準時間T8と同じ時間(T8=T9)として設定した例を示しているが、これに限定されるものではない。第9基準時間T9は、第6基準時間T6より長く設定されていれば良く、例えば、第7基準時間T7と同じ時間に設定しても良い。また、第9基準時間T9は、第7基準時間T7よりも短く設定されていても良いし、第8基準時間T8よりも長く設定されていても良い。第10基準時間T10は、診断部31による給気異常又は給気異常の予兆の判定に用いるための基準時間であって、第8基準時間T8及び第9基準時間T9より長く設定される。第6~10基準時間T6~T10は、例えば、地上装置8に設けられる記録部(不図示)に予め記録される。尚、第6~10基準時間T6~T10は、ブレーキ制御装置3毎に設定されていても良い。また、診断部31は、第6~10基準時間T6~T10を、車両2に設けられるブレーキ制御装置3等の車上側の機器から車上無線装置7を介して取得するようにしても良い。また、第6~10基準時間T6~T10は、制御部12により算出される目標BC圧の値に応じて、変更するようにしても良い。
【0080】
図10では、ブレーキ指令が入力されてから第4基準時間T4未満である領域を正常領域としている。また、第4基準時間T4以上、且つ、第5基準時間T5未満である領域を給気異常予兆領域としている。また、第5基準時間T5以上、且つ、第6基準時間T6未満である領域を給気異常領域としている。また、第6基準時間T6以上の領域は、ブレーキ不足領域としている。
【0081】
診断部31は、
図10の給気時間-BC圧曲線BA1に示すように、例えば、ブレーキ指令が入力されてから、BC圧が第4基準圧P4に立ち上がるまでに要するBC圧給気時間が第6基準時間T6未満である場合、すなわち、正常領域内にある場合は、BC給気時間は正常であると判定する。また、診断部31は、
図10の給気時間-BC圧曲線BA2に示すように、例えば、ブレーキ指令が入力されてからBC圧が第4基準圧P4に立ち上がるまでに要するBC圧給気時間が第6基準時間T6以上、且つ、第7基準時間T7未満である場合、すなわち、給気異常予兆領域内にある場合は、給気異常の予兆があると判定する。そして、診断部31は、例えば、給気異常の予兆があると判定した場合は、注意を促すための注意信号を生成して、出力する。地上装置8は、例えば、診断部31から出力された注意信号をネットワーク6を介して車両2へと送信することにより、車両2の運転台9のモニタ表示器に注意を促す情報を表示する。
【0082】
また、診断部31は、
図10の給気時間-BC圧曲線BA3に示すように、例えば、ブレーキ指令が入力されてから、BC圧が第4基準圧P4に立ち上がるまでに要するBC圧給気時間が第7基準時間T7以上、且つ、第8基準時間T8未満である場合、すなわち、給気異常領域内にある場合は、給気異常があると判定する。そして、診断部31は、例えば、給気異常があると判定した場合は、異常を通知するための異常信号を生成して、出力する。地上装置8は、例えば、診断部31から出力された異常信号をネットワーク6を介して車両2へと送信することにより、車両2の運転台9のモニタ表示器に異常を通知する情報を表示する。
【0083】
また、診断部31は、
図10の給気時間-BC圧曲線BA4に示すように、例えば、ブレーキ指令が入力されてからBC圧が第4基準圧P4に立ち上がるまでに要するBC圧給気時間が第8基準時間T8以上である場合、すなわち、ブレーキ不足領域内にある場合は、ブレーキ不足であると判定する。そして、診断部31は、例えば、ブレーキ不足であると判定した場合は、ブレーキ不足である旨を通知するためのブレーキ不足信号を生成して、出力する。地上装置8は、例えば、診断部31から出力されたブレーキ不足信号をネットワーク6を介して車両2へと送信することにより、車両2の運転台9のモニタ表示器にブレーキ不足を通知する情報を表示する。
【0084】
図11は、本開示の実施の形態2に係る監視システムによるブレーキシリンダ圧給気時間の計測の他の一例を示す図である。前述のように診断部31は、
図10の給気時間-BC圧曲線BA1に示すように、ブレーキ指令が入力されてからBC圧が第4基準圧P4に立ち上がるまでに要するBC圧給気時間が第6基準時間T6未満である場合、すなわち、正常領域内にある場合は、BC給気時間は正常であると判定する。しかしながら、BC給気時間が第6基準時間T6未満である場合でも、その後、BC圧が何らかの原因で適切に給気されない状態が生じる可能性がある。
図11では、ブレーキ指令が入力されてから、BC圧が第4基準圧P4に立ち上がるまでに要するBC圧給気時間が第6基準時間T6未満である場合において、診断部31が給気異常又は給気異常の予兆と判定する場合のBC圧給気時間とBC圧の関係を示す給気時間-BC圧曲線BA5、及び、給気時間-BC圧曲線BA6を破線で示している。
【0085】
診断部31は、
図11の排気時間-BC圧曲線BA5に示すように、例えば、ブレーキ指令が入力されてからBC圧が第4基準圧P4に立ち上がるまでに要するBC圧給気時間が第6基準時間T6未満である場合、すなわち、正常領域内にある場合に、ブレーキ指令が入力されてからBC圧が第5基準圧P5に立ち上がるまでに要するBC圧給気時間が第9基準時間T9以上であるか否かを判断する。診断部31は、ブレーキ指令が入力されてからBC圧が第5基準圧P5に立ち上がるまでに要するBC圧給気時間が第9基準時間T9以上であると判断した場合には、給気異常又は給気異常の予兆があると判定する。そして、診断部31は、例えば、給気異常又は給気異常の予兆があると判定した場合は、給気異常を通知するための異常信号又は注意を促すための注意信号を生成して、出力する。地上装置8は、例えば、診断部31から出力された異常信号又は注意信号をネットワーク6を介して車両2へと送信することにより、車両2の運転台9のモニタ表示器に異常を通知する情報又は注意を促す情報を表示する。尚、診断部31は、
図4の給気時間-BC圧曲線BA5に示すような場合に、給気異常と判定するか、又は、給気異常の予兆と判定するかは、第5基準圧P5及び第9基準時間T9の値に応じて決めるようにしても良い。
【0086】
診断部31は、
図11の排気時間-BC圧曲線BA6に示すように、例えば、ブレーキ指令が入力されてからBC圧が第4基準圧P4に立ち上がるまでに要するBC圧給気時間が第6基準時間T6未満である場合、すなわち、正常領域内にあり、且つ、ブレーキ指令が入力されてからBC圧が第5基準圧P5に立ち上がるまでに要するBC圧給気時間が第9基準時間T9未満であると判断した場合に、第10基準時間T10経過時にBC圧センサ17によって検出されるBC圧が第6基準圧P6以下であるか否かを判断する。診断部31は、第10基準時間T10経過時にBC圧センサ17によって検出されるBC圧が第6基準圧P6以下であると判断した場合、すなわち、BC圧の不足圧があると判断した場合は、中継弁14又はブレーキシリンダ24の配管から大気側へ圧縮空気が漏れ出している可能性があると判定する。そして、診断部31は、例えば、圧縮空気の漏れ出しの可能性があることを通知するための漏れ出し通知信号を生成して、出力する。地上装置8は、例えば、診断部31から出力された漏れ出し通知信号をネットワーク6を介して車両2へと送信することにより、車両2の運転台9のモニタ表示器に圧縮空気の漏れ出しの可能性があることを通知する情報を表示する。
【0087】
図12は、本開示の実施の形態2に係る監視システムによるブレーキシリンダ圧給気時間とAC圧給気時間の計測の一例を示す図である。診断部31では、例えば、
図12の気給気時間-BC圧曲線BA2又は給気時間-BC圧曲線BA3に示すように、給気異常の予兆又は給気異常と判定した場合に、更に、給気異常の予兆又は給気異常の要因となっている箇所がどこなのかを特定するための判定を行うために、AC圧給気時間を用いる。
図12の下図では、横軸にブレーキ指令が入力され、中継弁14へ供給されるブレーキ指令圧であるAC圧が給気され始めてからの経過時間を示すAC圧給気時間、縦軸にAC圧センサ16によって検出されるAC圧を示している。また、
図12では、正常時のAC圧給気時間とAC圧の関係を示す給気時間-AC圧曲線AA1を実線で示している。また、給気異常予兆時のAC圧給気時間とAC圧の関係を示す給気時間-AC圧曲線AA2、及び、給気異常時のAC圧給気時間とAC圧の関係を示す給気時間-AC圧曲線AA3をそれぞれ破線で示している。
【0088】
診断部31は、例えば、
図12の給気時間-BC圧曲線BA2又は給気時間-BC圧曲線BA3に示すように、給気異常の予兆又は給気異常と判定した場合に、ブレーキ指令が入力されてからAC圧が第4基準圧P4に立ち上がるまでに要するAC圧給気時間が第6基準時間T6以上であるか否かを判断する。診断部31は、例えば、
図12の給気時間-AC圧曲線AA1に示すように、ブレーキ指令が入力されてから、AC圧が第4基準圧P4に立ち上がるまでに要するAC圧給気時間が第6基準時間T6未満である(第6基準時間T6以上でない)場合、すなわち、正常領域内にある場合は、ブレーキ制御弁13側での給気が正しく行われていると判断し、中継弁14側に関連する給気異常又は給気異常の予兆があると判定する。
【0089】
診断部31は、例えば、例えば、
図12の給気時間-AC圧曲線AA2及び給気時間-AC圧曲線AA3に示すように、ブレーキ指令が入力されてからAC圧が第4基準圧P4に立ち上がるまでに要するAC圧給気時間が第6基準時間T6以上である場合、すなわち、給気異常予兆領域又は給気異常領域にある場合は、ブレーキ制御弁13側に関連する給気異常又は給気異常の予兆があると判定する。
【0090】
図13及び
図14は、開示の実施の形態2に係る監視システムによるブレーキシリンダ圧給気時間を用いた給気異常の予兆及び給気異常の判定の流れの一例を示すフローチャートである。以下、本開示の実施の形態2に係る監視システム1による処理の流れの一例について、
図13及び
図14のフローチャートを用いながら説明する。
図13に示すように、ステップS201において、監視システム1の判断部26は、ブレーキ指令が入力されたか否かを判断する。
【0091】
ステップS201において、判断部26は、ブレーキ指令が入力されたと判断した場合(Yes)には、ステップS202において、給気時間計測部32は、ブレーキ指令が入力されてからのBC圧給気時間及びAC圧給気時間を計測する。ステップS201において、判断部26は、ブレーキ指令が入力されていないと判断した場合(Nо)には、再度、ブレーキ指令が入力されたか否かを判断する。すなわち、判断部26は、ブレーキ指令が入力されるまでS201の判断を繰り返す。
【0092】
次に、ステップS203において、判断部26は、BC圧センサ17によって検出されるBC圧が第4基準圧P4以上まで立ち上がったか否かを判断する。ステップS203において、判断部26は、BC圧が第4基準圧P4以上まで立ち上がったと判断した場合(Yes)は、ブレーキ指令が入力されてから給気時間計測部32によって計測されたBC圧が第4基準圧P4に立ち上がるまでに要するBC圧給気時間、及び、AC圧が第4基準圧P4に立ち上がるまでに要するAC圧給気時間を診断部31に送信し、ステップS204において、診断部31は、BC圧給気時間が第6基準時間T6以上であるか否かを判断する。ステップS203において、判断部26は、BC圧が第4基準圧P4以上まで立ち上がっていないと判断した場合(Nо)は、再度、BC圧が第4基準圧P4以上まで立ち上がったか否かを判断する。すなわち、判断部26は、BC圧が第4基準圧P4以上に立ち上がるまでS203の判断を繰り返す。
【0093】
ステップS204において、診断部31は、BC圧給気時間が第6基準時間T6以上であると判断した場合(Yes)は、ステップS205において、診断部31は、BC圧給気時間が第7基準時間T7以上であるか否かを判断する。ステップS205において、診断部31は、BC圧給気時間が第7基準時間T7以上であると判断した場合(Yes)は、ステップS206において、診断部31は、BC圧給気時間が第8基準時間T8以上であるか否かを判断する。
【0094】
ステップS206において、診断部31は、BC圧給気時間が第8基準時間T8以上であると判断した場合(Yes)は、ステップS207において、診断部31は、ブレーキ不足であると判定し、ブレーキ不足である旨を通知するためのブレーキ不足信号を生成して、出力する。
【0095】
また、ステップS206において、診断部31は、BC圧給気時間が第8基準時間T8以上でないと判断した場合(Nо)は、ステップS208において、診断部31は、ブレーキ指令が入力されてからAC圧が第4基準圧P4に立ち上がるまでに要するAC圧給気時間が第6基準時間T6以上であるか否かを判断する。ステップS208において、診断部31は、AC圧給気時間が第6基準時間T6以上であると判定した場合(Yes)は、ステップS209において、診断部31は、ブレーキ制御弁13側に関連する給気異常があると判定し、例えば、ブレーキ制御弁13側に関連する給気異常があることを通知するための異常信号を生成して、出力する。ステップS208において、診断部31は、AC圧給気時間が第6基準時間T6以上でないと判定した場合(Nо)は、ステップS210において、診断部31は、中継弁14側に関連する給気異常があると判定し、例えば、中継弁14側に関連する給気異常があることを通知するための異常信号を生成して、出力する。
【0096】
また、ステップS205において、診断部31は、BC圧給気時間が第7基準時間T7以上でないと判断した場合(Nо)は、ステップS211において、診断部31は、ブレーキ指令が入力されてからAC圧が第4基準圧P4に立ち上がるまでに要するAC圧給気時間が第6基準時間T6以上であるか否かを判断する。ステップS211において、診断部31は、AC圧給気時間が第6基準時間T6以上であると判定した場合(Yes)は、ステップS212において、診断部31は、ブレーキ制御弁13側に関連する給気異常の予兆があると判定し、例えば、ブレーキ制御弁13側に関連する給気異常の予兆があることを通知するための注意信号を生成して、出力する。ステップS211において、診断部31は、AC圧給気時間が第6基準時間T6以上でないと判定した場合(Nо)は、ステップS213において、診断部31は、中継弁14側に関連する給気異常の予兆があると判定し、例えば、中継弁14側に関連する給気異常の予兆があることを通知するための注意信号を生成して、出力する。
【0097】
また、ステップS204において、診断部31は、BC圧給気時間が第6基準時間T6以上でないと判断した場合(Nо)は、
図14に示すステップS214において、診断部31は、BC圧が第5基準圧P5まで立ち上がったか否かを判断する。尚、
図14は、
図13のステップS204の処理において、診断部31が、BC圧給気時間は第6基準時間T6以上でないと判断した場合(Nо)の後の処理Bの詳細を示すものである。
【0098】
ステップS214において、診断部31は、BC圧が第5基準圧P5まで立ち上がったと判断した場合(Yes)は、ステップS215において、診断部31は、ブレーキ指令が入力されてからBC圧が第5基準圧P5に立ち上がるまでに要するBC圧給気時間が第9基準時間T9以上であるか否かを判断する。ステップS214において、診断部31は、BC圧が第5基準圧P5以上まで立ち上がっていないと判断した場合(Nо)は、再度、BC圧が第5基準圧P5以上まで下がったか否かを判断する。すなわち、判断部26は、BC圧が第5基準圧P5以上に立ち上がるまでS214の判断を繰り返す。
【0099】
ステップS215において、診断部31は、BC圧給気時間が第9基準時間T9以上であると判断した場合(Yes)は、ステップS216において、診断部31は、給気異常の予兆があると判定する。また、ステップS215において、診断部31は、BC圧給気時間が第9基準時間T9以上でないと判断した場合(Nо)は、ステップS217において、診断部31は、BC圧給気時間が第10基準時間T10以上であるか否かを判断する。
【0100】
ステップS217において、診断部31は、BC圧給気時間が第10基準時間T10以上であると判断した場合(Yes)は、ステップS218において、診断部31は、BC圧が第6基準圧P6以下である否かを判断する。ステップS217において、診断部31は、BC圧給気時間が第10基準時間T10以上でないと判断した場合(Nо)は、診断部31は、再度、BC圧給気時間が第10基準時間T10以上であるか否かを判断する。すなわち、判断部26は、BC圧給気時間が第10基準時間T10以上になるまでS217の判断を繰り返す。
【0101】
ステップS218において、診断部31は、BC圧が第6基準圧P6以下であると判断した場合(Yes)は、ステップS219において、診断部31は、大気側へ圧縮空気が漏れ出している可能性があると判定する。ステップS218において、診断部31は、BC圧が第6基準圧P6以下でないと判断した場合(Nо)は、ステップS220において、診断部31は、正常と判定する。尚、ステップS203において、診断部31は、BC圧が第4基準圧P4以上まで立ち上がっていないと判断した場合(Nо)は、再度、BC圧が第4基準圧P4以上まで立ち上がったか否かを判断しているが、BC圧給気時間がブレーキ不足を判定するための第8基準時間T8以上になった場合は、ステップS203の処理を停止し、ブレーキ不足であると判定するようにしても良い。また、ステップS214において、診断部31は、BC圧が第5基準圧P5以上まで立ち上がっていないと判断した場合(Nо)は、再度、BC圧が第5基準圧P5以上まで立ち上がったか否かを判断しているが、BC圧給気時間が第10基準時間T10以上になった場合は、ステップS214の処理を停止し、ブレーキ不足又は大気側へ圧縮空気が漏れ出している可能性があると判定するようにしても良い。
【0102】
本開示の実施の形態1に係る監視システム2によれば、車両2に設けられる車輪19に制輪子25を押しつけることにより機械ブレーキ力を発生させるブレーキ機器18が有するブレーキシリンダ24の圧力を示すBC圧を検出するBC圧センサ17と、車両2が停車している状態、且つ、ブレーキ指令が入力されていない状態において、ブレーキ指令が入力されてからBC圧センサ17によって検出されるBC圧がブレーキ指令に対する目標BC圧より低く設定される第4基準圧P4に立ち上がるまでに要するBC圧給気時間を計測する給気時間計測部32と、給気時間計測部32によって計測されるBC圧給気時間が予め定められた第6基準時間T6以上である場合は、給気異常又は給気異常の予兆があると判定する診断部31と、を備えているので、ブレーキ不足の前段階の給気異常又は給気異常の予兆を検知することができる。
【0103】
本開示の実施の形態1に係る監視システム2によれば、診断部31は、BC圧給気時間が第6基準時間T6より長く設定される第7基準時間T7以上である場合は、給気異常があると判定し、BC圧給気時間が第6基準時間T6以上、且つ、第7基準時間T7未満である場合は、給気異常の予兆があると判定するので、ブレーキ不足になる前段階の給気異常又は給気異常の予兆のいずれであるかをより詳細に検知することができる。
【0104】
本開示の実施の形態1に係る監視システム2によれば、診断部31は、BC圧給気時間が第7基準時間T7より長く設定される第8基準時間T8以上である場合は、ブレーキ不足であると判定するので、ブレーキ不足が生じた場合も適切に検知することができる。
【0105】
本開示の実施の形態1に係る監視システム2によれば、給気時間計測部32は、車両2が停車している状態の出庫点検時において、ブレーキ指令が入力されてからのBC圧給気時間を計測するので、回生ブレーキの影響を受けなることなく、BC圧給気時間を計測することができるので、ブレーキ制御装置3の空制部であるブレーキ制御弁13又は中継弁14に関連する給気異常又は給気異常の予兆が発生していることを把握することができる。
【0106】
本開示の実施の形態1に係る監視システム2によれば、ブレーキ制御弁13からブレーキ指令圧として中継弁14へ供給される圧縮空気の圧力を示すAC圧を検出するAC圧センサ16を備え、給気時間計測部32は、車両2が停車している状態、且つ、ブレーキ指令が入力されていない状態において、ブレーキ指令が入力されてからAC圧センサ16によって検出されるAC圧が第4基準圧P4に立ち上がるまでに要するAC圧給気時間を計測し、診断部31は、BC圧給気時間が第6基準時間T6以上である場合は、AC圧給気時間が第6基準時間以上T6であるか否かを判断し、AC圧給気時間が第6基準時間T6以上でない場合は、中継弁14に関連する給気異常又は給気異常の予兆があると判定するので、ブレーキ不足になる前段階の中継弁14に関連する給気異常又は給気異常の予兆を検知することができる。
【0107】
本開示の実施の形態1に係る監視システム2によれば、診断部31は、AC圧給気時間が第6基準時間T6以上である場合は、ブレーキ制御弁13に関連する給気異常又は給気異常の予兆があると判定するので、ブレーキ不足になる前段階のブレーキ制御弁13に関連する給気異常又は給気異常の予兆を検知することができる。
【0108】
本開示の実施の形態1に係る監視システム2によれば、給気時間計測部32は、BC圧センサ17によって計測されたBC圧が第4基準圧P4より高く設定される第5基準圧P5に立ち上がるまでに要するBC圧給気時間を計測し、診断部31は、BC圧給気時間が第6基準時間T6より長く設定される第9基準時間T9以上である場合は、給気異常又は給気異常の予兆があると判定するので、ブレーキ不足になる前段階の給気異常又は給気異常の予兆をより精度良く検知することができる。
【0109】
本開示の実施の形態1に係る監視システム2によれば、診断部31は、第8基準時間T8及び第9基準時間T9より長く設定される第10基準時間T10の経過時にBC圧センサ17によって計測されたBC圧が第5基準圧P5より高く設定される第6基準圧P6以下である場合は、中継弁14又はブレーキシリンダ24の配管から大気側に圧縮空気が漏れている可能性があると判定するので、BC圧の不足圧が存在する場合も適切に検知することができる。
【0110】
本開示の実施の形態1に係る監視システム2によれば、給気時間計測部32によって計測されたBC圧給気時間を蓄積するデータ蓄積部30を備えるので、過去の複数のBC圧給気時間を用いて、給気異常又は給気異常の予兆の判定を行うことができる。
【0111】
本開示の実施の形態1に係る監視システム2によれば、車両2の位置情報を取得する位置情報取得部28を備え、データ蓄積部30は、BC圧給気時間に、給気時間計測部32によってBC圧給気時間を計測した際に位置情報取得部28によって取得された車両2の位置情報を紐付けて蓄積するので、車両2がどこに停車していた時のBC圧給気時間であるかを把握することができる。
【0112】
本開示の実施の形態1に係る監視システム2によれば、ブレーキ機器18の周辺の温度情報を検出する温度センサ23を備え、データ蓄積部30は、BC圧給気時間に、給気時間計測部32によってBC圧給気時間を計測した際に温度センサ23によって検出された温度情報を紐付けて蓄積するので、ブレーキ機器18の周辺の温度がどのくらいあった時のBC圧給気時間であるかを把握することができる。
【0113】
尚、本実施の形態2に係る監視システム1では、
図1に示すように、データ蓄積部30及び診断部31を地上装置8に設けた例を示しているが、データ蓄積部30及び診断部31は、地上装置8に設けられることに限定されるものではなく、例えば、車両2内に設けられるブレーキ制御装置3又は中央装置5等に設けるように構成しても良い。
【0114】
また、本実施の形態1に係る監視システム1では、診断部31は、
図10~
図12に示すように、判断部26によって、車両2が停車している状態、且つ、ブレーキ指令が入力されていない状態において、ブレーキ指令が入力されたと判断した場合に、給気時間計測部32が計測した1回のBC圧給気時間を用いて、給気異常又は給気異常の予兆の判定を行った例を示している。しかしながら、診断部31は、予め定められた第2の期間内において、給気時間計測部32によって計測された複数のBC圧給気時間を取得し、第2の期間内におけるBC圧給気時間の傾向を求めることにより、給気異常又は給気異常の予兆の判定を行うようにしても良い。尚、第2の期間とは、例えば、1週間単位又は1ヵ月単位等の期間であるが、特に限定されるものではなく、1日単位又は1年単位の期間としても良い。
【0115】
図15は、ブレーキシリンダ圧給気時間の経時的変化の一例を示す図である。
図15では、横軸に日付、縦軸にブレーキ指令が入力されてからBC圧センサ17によって検出されるBC圧が第4基準圧P4に立ち上がるまでに要するBC圧給気時間を示している。BC圧給気時間は、例えば、車両2の出庫点検時毎に給気時間計測部32により計測したBC圧給気時間である。
図15では、一例として10日分のBC圧給気時間を示している。
図15では、横軸の日付は、1~10日目との表記にしているが、年月日の表記にするようにしても良い。尚、診断部31は、必ずしも1日毎のBC圧給気時間を取得する必要はなく、第2の期間より短く設定される予め定められた期間毎(例えば、1週間毎)のBC圧給気時間を取得するようにしても良い。また、診断部31は、予め定められた期間において、給気時間計測部32が計測した複数のBC圧給気時間の平均値等の統計値を取得するようにしても良い。尚、給気時間計測部27が計測した複数のBC圧給気時間は、例えば、車両2の車両識別情報、ブレーキ機器18の機器識別情報、ブレーキ制御装置3の機器識別情報、列車位置情報、環境情報、温度情報、日時情報、ブレーキ指令情報、及び、ドア開閉情報等の情報と紐付けられて、地上装置8が備えるデータ蓄積部30に蓄積される。診断部31は、例えば、
図15に示すように、第2の期間内のBC圧給気時間を用いて、傾向推定等を行うことにより経時的な傾向を求めるようにしても良い。また、診断部31は、複数のBC圧給気時間と共にデータ蓄積部30に蓄積されている環境情報、及び、温度情報等の情報を組み合わせて、機械学習を行うことにより、排気異常又は排気異常の予兆の診断を行うようにしても良い。
【0116】
また、診断部31は、例えば、第2の期間内におけるBC圧給気時間が第6基準時間T6以上、且つ、第7基準時間T7未満である給気異常予兆領域内に予め定められた回数以上、又は、予め定められた割合以上含まれている場合に、BC圧に関連する給気異常の予兆があると判定するようにしても良い。
【0117】
尚、本発明の実施の形態1~2に係る監視システム1が備える各装置は、例えば、プロセッサとメモリを備え、各装置の動作はソフトウエアによって実現することができる。
図16は、本発明の実施の形態1~2に係る監視システム1が備える各装置を実現するハードウエア構成の一例を示す図である。
図16に示すように、本発明の実施の形態1~2に係る監視システム1が備える各装置は、プロセッサ101およびメモリ102を備えており、プロセッサ101およびメモリ102は、システムバスにより接続されている。プロセッサ101は、入力されたデータを用いてソフトウエアによる演算及び制御を行い、メモリ102は入力されたデータまたはプロセッサ101が演算および制御を行うために必要なデータやプログラムの記憶を行う。尚、プロセッサ101およびメモリ102は、それぞれ複数設けられていても良い。
【0118】
また、本開示は上記実施の形態に限定されるものではなく、本開示の思想の範囲を逸脱しない範囲において、各実施の形態を適宜変更、省略したりすることができる。
【符号の説明】
【0119】
1 監視システム、2 車両、3 ブレーキ制御装置、16 AC圧センサ、17 ブレーキシリンダ圧検出部、18 ブレーキ機器、19 回転体(車輪)、23 温度検出部、24 ブレーキシリンダ 25 摩擦材(制輪子)、26 判断部、27 排気時間計測部、28 位置情報取得部、29 環境情報取得部、30 データ蓄積部、31 診断部、32 給気時間計測部