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特許7330365ネオジム鉄ホウ素磁石材料、製造方法、並びに応用
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  • 特許-ネオジム鉄ホウ素磁石材料、製造方法、並びに応用 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-10
(45)【発行日】2023-08-21
(54)【発明の名称】ネオジム鉄ホウ素磁石材料、製造方法、並びに応用
(51)【国際特許分類】
   H01F 1/057 20060101AFI20230814BHJP
   H01F 41/02 20060101ALI20230814BHJP
   C22C 38/00 20060101ALI20230814BHJP
   B22F 1/00 20220101ALI20230814BHJP
   B22F 1/14 20220101ALI20230814BHJP
   B22F 3/00 20210101ALI20230814BHJP
   B22F 9/04 20060101ALI20230814BHJP
   B22F 3/24 20060101ALI20230814BHJP
【FI】
H01F1/057 170
H01F41/02 G
C22C38/00 303D
B22F1/00 Y
B22F1/14 500
B22F3/00 F
B22F9/04 C
B22F9/04 E
B22F3/24 B
H01F1/057 130
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022513458
(86)(22)【出願日】2020-07-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-12
(86)【国際出願番号】 CN2020100571
(87)【国際公開番号】W WO2021063061
(87)【国際公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-03-15
(31)【優先権主張番号】201910943538.9
(32)【優先日】2019-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521397223
【氏名又は名称】フージャン チャンティン ゴールデン ドラゴン レア-アース カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100199819
【弁理士】
【氏名又は名称】大行 尚哉
(72)【発明者】
【氏名】牟維国
(72)【発明者】
【氏名】黄佳瑩
【審査官】森岡 俊行
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-295139(JP,A)
【文献】特開2016-184720(JP,A)
【文献】特開2017-073465(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 1/057
H01F 41/02
C22C 38/00
B22F 1/00
B22F 1/14
B22F 3/00
B22F 9/04
B22F 3/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネオジム鉄ホウ素磁石材料が提供され、質量百分率で下記の成分を含み、
R:29.5~31.5wt.%
Cu:0.05~0.25wt.%、
Co:0.42~2.6wt.%、
Ga:0.20~0.3wt.%、
N:0.25~0.3wt.%、前記NはZr、Nb、Hf、およびTiのうちの1つまたは複数であり、
Al:0.46~0.6wt.%、
B:0.98~1wt.%、
Fe:64~68wt.%、
ここで、前記Rは、希土類元素であり、前記Rは、軽希土類元素及びRHであり、前記軽希土類元素は、Ndであり、または、Nd及びPrであり、前記Ndの含有量は、27~28wt.%であり、前記RHは、重希土類元素であり、前記RHにはTbが含まれ、前記RHの含有量は、2.8~4wt.%であり、
前記Tbと前記Coとの質量比は15以下であるが、0ではなく
前記Nは粒界に分布しており、
前記Coは、粒界三角領域に分布しており、
ネオジム鉄ホウ素磁石材料の粒界三角領域において、前記Tbの分布が前記Coの分布と重なっていない、
ことを特徴とするネオジム鉄ホウ素磁石材料。
【請求項2】
前記Rの含有量は、30.15~31wt.%であり、および/または
前記Rにおける前記RHの質量百分率は、9.7~13wt.%であり、および/または、
前記RHの含有量は、2.9~3.4wt.%であり、および/または、
前記Cuの含有量は、0.05~0.16wt.%であり、および/または、
前記Coの含有量は、1.48~2.6wt.%であり、および/または、
前記Gaの含有量は、0.2~0.26wt.%であり、および/または、
前記Nの含有量は、0.26~0.3wt.%であり、および/または、
前記Nの種類は、Zr、Nb、Hf及びTiのうちの1種又は複数種であり、および/または、
前記Alの含有量は、0.46~0.5wt.%であり、および/または、
前記Bの含有量は、0.98~0.99wt.%であり、および/または、
前記Feの含有量は、64~66wt.%であり、および/または、
前記Tbと前記Coの質量比は、(1~15):1であり、および/または、
前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料には、Mnがさらに含まれ、および/または、
Tbは前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料中の結晶粒の粒界と中心部分において分布する、
ことを特徴とする請求項1に記載のネオジム鉄ホウ素磁石材料。
【請求項3】
前記Rの含有量は、30.1~30.6wt.%であり、および/または、
前記Rにおける前記RHの質量百分率は、9.7~11wt.%であり、および/または
前記Coの含有量は、1.48~1.51wt.%であり、および/または、
前記Nの種類は、Zr及び/又はTiであり、および/または、
前記Tbと前記Coの質量比は、(1~3):1であり、および/または、
前記粒界に分布するTbの含有量は、前記結晶粒の中心部分に分布するTbの含有量よりも高い、
ことを特徴とする請求項2に記載のネオジム鉄ホウ素磁石材料。
【請求項4】
前記Mnの含有量は、0.035wt.%以下であるが0wt.%ではない、
ことを特徴とする請求項2に記載のネオジム鉄ホウ素磁石材料。
【請求項5】
前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、質量百分率で下記の成分を含み、Nd:27~28wt.%、Tb:2.8~4wt.%、Cu:0.05~0.16wt.%、Co:1.48~2.6wt.%、Ga:0.2~0.26wt.%、N:0.25~0.3wt.%、Al:0.46~0.5wt.%、B:0.98~0.99wt.%、Fe:64~66wt.%、パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料における質量百分率を意味し、ここで、NはZr及び/又はTiであり、前記Tbは前記Ndと前記Tbの総質量の9.7~13wt.%を占め、前記Tbと前記Coとの質量比は、(1~15):1である、
ことを特徴とする請求項1に記載のネオジム鉄ホウ素磁石材料。
【請求項6】
前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、質量百分率で下記の成分を含み、Nd:27~28wt.%、Tb:2.8~4wt.%、Cu:0.05~0.16wt.%、Co:1.48~2.6wt.%、Ga:0.2~0.26wt.%、N:0.25~0.3wt.%、Al:0.46~0.5wt.%、B:0.98~0.99wt.%、Fe:64~66wt.%、Mn:0.01~0.035wt.%、パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料における質量百分率を意味し、ここで、NはZr及び/又はTiであり、前記Tbは前記Ndと前記Tbの総質量の9.7~13wt.%を占め、前記Tbと前記Coとの質量比は、(1~15):1であり、
または、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、質量百分率で下記の成分を含み、Nd:27~28wt.%、Tb:2.9~3.4wt.%、Cu:0.05~0.16wt.%、Co:1.48~2.6wt.%、Ga:0.2~0.26wt.%、N:0.26~0.3wt.%、Al:0.46~0.5wt.%、B:0.98~0.99wt.%、Fe:64~66wt.%、パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料における質量百分率を意味し、ここで、NはZr及び/又はTiであり、前記Tbは前記Ndと前記Tbの総質量の9.7~11wt.%を占め、前記Tbと前記Coとの質量比は、(1~3):1であり、
または、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、質量百分率で下記の成分を含み、Nd:27~28wt.%、Tb:2.9~3.4wt.%、Cu:0.05~0.16wt.%、Co:1.48~2.6wt.%、Ga:0.2~0.26wt.%、N:0.26~0.3wt.%、Al:0.46~0.5wt.%、B:0.98~0.99wt.%、Fe:64~66wt.%、Mn:0.01~0.035wt.%、パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料における質量百分率を意味し、ここで、NはZr及び/又はTiであり、前記Tbは前記Ndと前記Tbの総質量の9.7~11wt.%を占め、前記Tbと前記Coとの質量比は、(1~3):1である、
ことを特徴とする請求項5に記載のネオジム鉄ホウ素磁石材料。
【請求項7】
ネオジム鉄ホウ素磁石材料を製造するための主合金であって、前記主合金の組成は、Nd-Fe-B-Tb-Co-Cu-Ga-Al-Mn-Nであり、ここで、a、b、c、d、e、f、g、h、x、及びyは、各元素が前記主合金に占める質量分率であり、aは26~30wt.%であり、bは64~68wt.%であり、cは0.96~1.1wt.%であり、dは0.5~5wt.%であり、eは0.5~2.6wt.%であり、fは0.05~0.3wt.%であり、gは0.05~0.3wt.%であり、xは0.46~0.6wt.%であり、yは0~0.04wt.%であり、hは0.2~0.5wt.%であり、パーセントとは、前記主合金における質量百分率を意味し、前記Nの種類は、Zr、Nb、Hf及びTiのうちの1種又は複数種である、
ことを特徴とする請求項1~6のいずれかの1項に記載のネオジム鉄ホウ素磁石材料を製造するための主合金。
【請求項8】
ネオジム鉄ホウ素磁石材料を製造するための副合金であって、前記副合金の組成は、Nd-Fe-B-Tb-Co-Cu-Ga-Al-Mn-Nであり、ここで、i、j、k、l、m、n、o、p、r及びtは、各元素が前記副合金に占める質量分率であり、iは5~30wt.%であり、jは59~65wt.%であり、kは0.98~1wt.%であり、lは5~25wt.%であり、mは0.5~2.7wt.%であり、nは0.05~0.3wt.%であり、oは0.05~0.3wt.%であり、rは0.46~0.6wt.%であり、tは0~0.04wt.%であり、pは0~0.5wt.%であり、パーセントとは、前記副合金における質量百分率を意味し、前記Nの種類は、Zr、Nb、Hf及びTiのうちの1種又は複数種である、
ことを特徴とする請求項1~6のいずれかの1項に記載のネオジム鉄ホウ素磁石材料を製造するための副合金。
【請求項9】
ネオジム鉄ホウ素磁石材料の製造方法であって、請求項7に記載の前記主合金及び請求項8に記載の前記副合金を用いて二元系合金方法により製造され、前記主合金と前記副合金の質量比は(9~30):1である、
ことを特徴とするネオジム鉄ホウ素磁石材料の製造方法。
【請求項10】
前記二元系合金方法による製造工程は、主合金と副合金を均一に混合した後に混合合金粉末を得、前記混合合金粉末を順序的に焼結、時効処理を実行させ、
前記した均一に混合することは、主合金と副合金を混合した後、水素破砕とジェットミリング処理を経て均一に混合したり、又は前記主合金と副合金をそれぞれ水素破砕とジェットミリング処理した後、均一に混合することである、
ことを特徴とする請求項9に記載のネオジム鉄ホウ素磁石材料の製造方法。
【請求項11】
前記水素破砕は、0.067~0.098MPaの水素ガス圧力下で水素飽和吸蔵させ、480℃~530℃内で脱水素させ、
および/または、ジェットミリング処理後の粉体の粒径は3.7~4.2μmであり、
および/または、前記焼結の温度は、1050~1085℃であり、前記焼結時間は4~7時間であり、
および/または、前記時効処理の温度は、460~520℃であり、前記時効処理の時間は、4~10時間である、
ことを特徴とする請求項10に記載のネオジム鉄ホウ素磁石材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、具体的に、ネオジム鉄ホウ素磁石材料(ネオジム磁石材料とも呼ばれる)、製造方法、並びに応用に関する。
【背景技術】
【0002】
NdFe14Bを主成分とするネオジム鉄ホウ素(Nd-Fe-B)磁石材料は、高い残留磁束密度Br、保磁力Hcj及び最大エネルギー積BHmaxを有し、総合的な磁気特性が優れており、新エネルギー自動車用駆動モータ、空調用圧縮機、産業用サーボモータなどの面に適用される。ネオジム鉄ホウ素材料は、キュリー温度が低く、温度安定性が悪く、多くの新しい応用分野での高い動作温度(>200°C)の要件を満たすことができない。
【0003】
現在、Nd-Fe-B系永久磁石材料を焼結するBrは磁気特性の理論値の90%以上に近いが、Nd-Fe-B系永久磁石材料を焼結するHcjはNdFe14Bの異方性磁場の12%しかなく、これから分かるように、Nd-Fe-B系永久磁石材料を焼結するHcjは大きな改善の可能性を秘めている。多数の研究によれば、Nd-Fe-B系永久磁石材料のHcjは磁石の微細組織構造に敏感であることが明らかになる。製造では、磁石の異方性磁場を改善するように、一般的にNdの代わりに重希土類DyまたはTbを添加する。従来技術では、適量の重希土類金属を添加するとHcjを改善できるが、改善の程度は限られており、重金属を添加しすぎるとHcjは改善するが、Brは大幅に低下してしまい、そのため、Hcjを大幅に改善すると同時に高いBrを維持する適切な添加量はない。
【0004】
したがって、適切な重希土類金属の添加量及び添加方法を選択して磁石のHcjとBrを同時に改善することは、早急に解決しなければならない技術的課題になっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする技術的課題は、従来技術においてネオジム鉄ホウ素磁石から得られたネオジム鉄ホウ素磁石材料のHcjが低いという欠点を解決し、ネオジム鉄ホウ素磁石材料、製造方法、並びに応用を提供することである。本願のネオジム鉄ホウ素磁石材料のHcj及びBrは、いずれも高く、かつ、Br温度係数絶対値及びHcj温度係数絶対値が低い。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の技術考案を通じて上記の技術的問題を解決する。
【0007】
本発明には、ネオジム鉄ホウ素磁石材料が提供され、質量百分率で下記の成分を含み、
R:29.5~31.5wt.%、かつRH>1.5wt.%、
Cu:0.05~0.25wt.%、
Co:0.42~2.6wt.%、
Ga:0.20~0.3wt.%、
N:0.25~0.3wt.%、前記NはZr、Nb、Hf、およびTiのうちの1つまたは複数であり、
Al:0.46~0.6wt.%又はAl≦0.04wt.%、ただし、0wt.%ではなく、
B:0.98~1wt.%、
Fe:64~68wt.%、
ここで、前記Rは、希土類元素であり、前記Rには、少なくともNd及びRHが含まれ、前記RHは、重希土類元素であり、前記RHにはTbが含まれ、
前記Tbと前記Coとの質量比は15以下であるが、0ではない。
【0008】
本発明において、前記Rの含有量は、好ましくは、30.15~31wt.%であり、例えば、30.1~30.6wt.%であり、より好ましくは、30.4~30.5wt.%であり、例えば、30.42wt.%又は30.48wt.%であり、パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料における質量百分率を意味する。
【0009】
本発明において、前記Rには、当技術分野における従来の軽希土類元素が含まれてもよく、例えば、Prが含まれる。
【0010】
本発明において、前記Ndの含有量は、好ましくは、27~28wt.%であり、例えば、27.13wt.%又は27.44wt.%であり、パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料における質量百分率を意味する。
【0011】
本発明において、前記Rにおける前記RHの質量百分率は、9.7~13wt.%であり、好ましくは、9.7~11wt.%であり、より好ましくは、9.7wt.%である。
【0012】
本発明において、前記RHの含有量は、好ましくは、2.8~4wt.%であり、より好ましくは、2.9~3.4wt.%であり、例えば、2.98wt.%又は3.35wt.%であり、パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料における質量百分率を意味する。
【0013】
本発明において、前記Cuの含有量は、好ましくは、0.05~0.16wt.%であり、例えば、0.05wt.%又は0.15wt.%であり、パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料における質量百分率を意味する。
【0014】
本発明において、前記Coの含有量は、好ましくは、1.48~2.7wt.%であり、例えば、1.49wt.%、1.51wt.%又は2.6wt.%であり、より好ましくは、1.49~1.51wt.%であり、パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料における質量百分率を意味する。
【0015】
本発明において、前記Gaの含有量は、好ましくは、0.2~0.26wt.%であり、例えば、0.2wt.%又は0.25wt.%であり、パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料における質量百分率を意味する。
【0016】
本発明において、前記Nの含有量は、好ましくは、0.26~0.3wt.%であり、例えば、0.26wt.%、0.27wt.%又は0.3wt.%であり、パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料における質量百分率を意味する。
【0017】
本発明において、前記Nの種類は、Zr、Nb、Hf及びTiのうちの1種又は複数種であることが好ましく、例えば、Zr及び/又はTiである。
【0018】
本発明において、前記Alの含有量は、好ましくは、0.46~0.5wt.%又は0.02~0.04wt.%であり、例えば、0.03wt.%、0.45wt.%又は0.46wt.%であり、パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料における質量百分率を意味する。
【0019】
本発明において、前記Bの含有量は、好ましくは、0.98~0.99wt.%であり、より好ましくは、0.99wt.%であり、パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料における質量百分率を意味する。
【0020】
本発明において、前記Feの含有量は、好ましくは、64~66wt.%であり、例えば、64.86wt.%、65.7wt.%、65.72wt.%又は65.74wt.%であり、パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料における質量百分率を意味する。
【0021】
本発明において、前記Tbと前記Coの質量比は、好ましくは、(1~15):1であり、例えば、3.35:1.49又は2:1であり、より好ましくは、(1~3):1である。
【0022】
本発明において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料には、Mnがさらに含まれることが好ましい。
【0023】
本発明において、前記Mnの含有量は、好ましくは、0.035wt.%以下であるが0wt.%ではなく、より好ましくは、0.01~0.035wt.%であり、例えば、0.03wt.%であり、パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料における質量百分率を意味する。
【0024】
本発明において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、質量百分率で下記の成分を含み、
Nd:27~28wt.%、
Tb:2.8~4wt.%、
Cu:0.05~0.16wt.%、
Co:1.48~2.7wt.%、
Ga:0.2~0.26wt.%、
N:0.25~0.3wt.%、
Al:0.46~0.5wt.%又は0.02~0.04wt.%、
B:0.98~0.99wt.%、
Fe:64~66wt.%、
パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料における質量百分率を意味し、
ここで、NはZr及び/又はTiであり、
前記Tbは前記Ndと前記Tbの総質量の9.7~13wt.%を占め、
前記Tbと前記Coとの質量比は、(1~15):1である。
【0025】
本発明において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、質量百分率で下記の成分を含み、
Nd:27~28wt.%、
Tb:2.8~4wt.%、
Cu:0.05~0.16wt.%、
Co:1.48~2.7wt.%、
Ga:0.2~0.26wt.%、
N:0.25~0.3wt.%、
Al:0.46~0.5wt.%又は0.02~0.04wt.%、
B:0.98~0.99wt.%、
Fe:64~66wt.%、
Mn:0.01~0.035wt.%、
パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料における質量百分率を意味し、
ここで、NはZr及び/又はTiであり、
前記Tbは前記Ndと前記Tbの総質量の9.7~13wt.%を占め、
前記Tbと前記Coとの質量比は、(1~15):1である。
【0026】
本発明において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、質量百分率で下記の成分を含み、
Nd:27~28wt.%、
Tb:2.9~3.4wt.%、
Cu:0.05~0.16wt.%、
Co:1.48~2.7wt.%、
Ga:0.2~0.26wt.%、
N:0.26~0.3wt.%、
Al:0.46~0.5wt.%又は0.02~0.04wt.%、
B:0.98~0.99wt.%、
Fe:64~66wt.%、
パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料における質量百分率を意味し、
ここで、NはZr及び/又はTiであり、
前記Tbは前記Ndと前記Tbの総質量の9.7~11wt.%を占め、
前記Tbと前記Coとの質量比は、(1~3):1である。
【0027】
本発明において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、質量百分率で下記の成分を含み、
Nd:27~28wt.%、
Tb:2.9~3.4wt.%、
Cu:0.05~0.16wt.%、
Co:1.48~2.7wt.%、
Ga:0.2~0.26wt.%、
N:0.26~0.3wt.%、
Al:0.46~0.5wt.%又は0.02~0.04wt.%、
B:0.98~0.99wt.%、
Fe:64~66wt.%、
Mn:0.01~0.035wt.%、
パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料における質量百分率を意味し、
ここで、NはZr及び/又はTiであり、
前記Tbは前記Ndと前記Tbの総質量の9.7~11wt.%を占め、
前記Tbと前記Coとの質量比は、(1~3):1である。
【0028】
本発明において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、質量百分率で下記の成分を含むことが好ましく、
Nd:27.44wt.%、
Tb:2.98wt.%、
Cu:0.15wt.%、
Co:1.49wt.%、
Ga:0.25wt.%、
Zr:0.27wt.%、
Al:0.46wt.%、
B:0.99wt.%、
Fe:65.72wt.%、
パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料における質量百分率を意味し、残部は不可避的不純物である。
【0029】
本発明において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、質量百分率で下記の成分を含むことが好ましく、
Nd:27.13wt.%、
Tb:3.35wt.%、
Cu:0.15wt.%、
Co:1.49wt.%、
Ga:0.25wt.%、
Zr:0.26wt.%、
Al:0.45wt.%、
B:0.99wt.%、
Fe:65.74wt.%、
パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料における質量百分率を意味し、残部は不可避的不純物である。
【0030】
本発明において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、質量百分率で下記の成分を含むことが好ましく、
Nd:27.44wt.%、
Tb:2.98wt.%、
Cu:0.15wt.%、
Co:1.49wt.%、
Ga:0.25wt.%、
Ti:0.27wt.%、
Al:0.46wt.%、
B:0.99wt.%、
Fe:65.70wt.%、
パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料における質量百分率を意味し、残部は不可避的不純物である。
【0031】
本発明において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、質量百分率で下記の成分を含むことが好ましく、
Nd:27.44wt.%、
Tb:2.98wt.%、
Cu:0.15wt.%、
Co:1.49wt.%、
Ga:0.25wt.%、
Zr:0.27wt.%、
Al:0.46wt.%、
B:0.99wt.%、
Fe:65.72wt.%、
Mn:0.03wt.%、
パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料における質量百分率を意味し、残部は不可避的不純物である。
【0032】
本発明において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、質量百分率で下記の成分を含むことが好ましく、
Nd:27.44wt.%、
Tb:2.98wt.%、
Cu:0.15wt.%、
Co:2.6wt.%、
Ga:0.25wt.%、
Zr:0.27wt.%、
Al:0.46wt.%、
B:0.99wt.%、
Fe:64.86wt.%、
パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料における質量百分率を意味する。
【0033】
本発明において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、質量百分率で下記の成分を含むことが好ましく、
Nd:27.44wt.%、
Tb:2.98wt.%、
Cu:0.15wt.%、
Co:1.49wt.%、
Ga:0.25wt.%、
Zr:0.3wt.%、
Al:0.46wt.%、
B:0.99wt.%、
Fe:65.72wt.%、
パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料における質量百分率を意味し、残部は不可避的不純物である。
【0034】
本発明において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、質量百分率で下記の成分を含むことが好ましく、
Nd:27.44wt.%、
Tb:2.98wt.%、
Cu:0.15wt.%、
Co:1.49wt.%、
Ga:0.25wt.%、
Zr:0.27wt.%、
Al:0.03wt.%、
B:0.99wt.%、
Fe:65.72wt.%、
パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料における質量百分率を意味し、残部は不可避的不純物である。
【0035】
本発明において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、質量百分率で下記の成分を含むことが好ましく、
Nd:27.44wt.%、
Tb:2.98wt.%、
Cu:0.05wt.%、
Co:1.49wt.%、
Ga:0.25wt.%、
Zr:0.27wt.%、
Al:0.46wt.%、
B:0.99wt.%、
Fe:65.72wt.%、
パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料における質量百分率を意味し、残部は不可避的不純物である。
【0036】
本発明において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、質量百分率で下記の成分を含むことが好ましく、
Nd:27.44wt.%、
Tb:2.98wt.%、
Cu:0.15wt.%、
Co:1.49wt.%、
Ga:0.2wt.%、
Zr:0.27wt.%、
Al:0.46wt.%、
B:0.99wt.%、
Fe:65.72wt.%、
パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料における質量百分率を意味し、残部は不可避的不純物である。
【0037】
本発明において、Tbは前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料中の結晶粒の粒界と中心部分において分布することが好ましく、また、前記粒界に分布するTbの含有量は、前記結晶粒の中心部分に分布するTbの含有量よりも高いことが好ましい。ここで、前記粒界とは、2つの主相間の境界を意味する。
【0038】
本発明において、好ましくは、前記Nは粒界に分布している。
【0039】
本発明において、好ましくは、前記Coは、粒界三角領域に分布している。
【0040】
本発明においては、好ましくは、ネオジム鉄ホウ素磁石材料の粒界三角領域において、前記Tbの分布が前記Coの分布と重なっていない。
【0041】
本発明において、当業者であれば、前記粒界三角領域とは、3つの結晶粒の間に形成される隙間を意味し、前記結晶粒は、ネオジム鉄ホウ素磁石材料の結晶粒を意味することが分かる。
【0042】
本発明において、当業者であれば、Ndはネオジムであり、Feは鉄であり、Bはホウ素であり、Tbはテルビウムであり、Coはコバルトであり、Cuは銅であり、Gaはガリウムであり、Alはアルミニウムであり、Mnはマンガンであり、Zrはジルコニウムであり、Tiはチタンであり、Nbはニオブであり、Hfはハフニウムであることが分かる。
【0043】
本発明には、ネオジム鉄ホウ素磁石材料を製造するための主合金がさらに提供され、前記主合金の組成は、Nd-Fe-B-Tb-Co-Cu-Ga-Al-Mn-Nであり、ここで、a、b、c、d、e、f、g、h、x、及びyは、各元素が前記主合金に占める質量分率であり、aは26~30wt.%であり、bは64~68wt.%であり、cは0.96~1.1wt.%であり、dは0.5~5wt.%であり、eは0.5~2.6wt.%であり、fは0.05~0.3wt.%であり、gは0.05~0.3wt.%であり、xは0.04wt.%以下であるが0wt.%ではなく、又は、xは0.46~0.6wt.%であり、yは0~0.04wt.%であり、hは0.2~0.5wt.%であり、パーセントとは、前記主合金における質量百分率を意味する。
【0044】
本発明において、前記aは、好ましくは、28~29wt.%であり、例えば、28.46wt.%であり、パーセントとは、前記主合金における質量百分率を意味する。
【0045】
本発明において、前記bは、好ましくは、65.5~67.5wt.%であり、例えば、65.62wt.%、66.63wt.%、66.7wt.%、66.73wt.%、66.78wt.%、66.83wt.%又は67.16wt.%であり、パーセントとは、前記主合金における質量百分率を意味する。
【0046】
本発明において、前記cは、好ましくは、0.98~1wt.%であり、例えば、0.99wt.%であり、パーセントとは、前記主合金における質量百分率を意味する。
【0047】
本発明において、前記dは、好ましくは、1~1.5wt.%であり、より好ましくは、1.1~1.3wt.%であり、例えば、1.2wt.%又は1.3wt.%であり、パーセントとは、前記主合金における質量百分率を意味する。
【0048】
本発明において、前記eは、好ましくは、1.4~2.6wt.%であり、例えば、1.49wt.%又は2.6wt.%であり、パーセントとは、前記主合金における質量百分率を意味する。
【0049】
本発明において、前記fは、好ましくは、0.05~0.16wt.%であり、例えば、0.05wt.%又は0.15wt.%であり、パーセントとは、前記主合金における質量百分率を意味する。
【0050】
本発明において、前記gは、好ましくは、0.1~0.25wt.%であり、例えば、0.2wt.%又は0.25wt.%であり、パーセントとは、前記主合金における質量百分率を意味する。
【0051】
本発明において、前記hは、好ましくは、0.25~0.3wt.%であり、例えば、0.27wt.%又は0.3wt.%であり、パーセントとは、前記主合金における質量百分率を意味する。
【0052】
本発明において、前記xは、好ましくは、0.02~0.04wt.%又は0.45~0.47wt.%であり、例えば、0.03wt.%又は0.46wt.%であり、パーセントとは、前記主合金における質量百分率を意味する。
【0053】
本発明において、前記yは、好ましくは、0.02~0.04wt.%であり、例えば、0.03wt.%であり、パーセントとは、前記主合金における質量百分率を意味する。
【0054】
本発明には、前記主合金の成分は、好ましくは、Nd-Fe-B-Tb-Co-Cu-Ga-Al-Mn-Nであり、ここで、a、b、c、d、e、f、g、h、x、及びyは、各元素が前記主合金に占める質量分率であり、aは28~29wt.%であり、bは65.5~67.5wt.%であり、cは0.98~1wt.%であり、dは1~1.5wt.%であり、eは1.4~2.6wt.%であり、fは0.05~0.16wt.%であり、gは0.1~0.25wt.%であり、xは0.02~0.04wt.%又は0.45~0.47wt.%であり、yは0.02~0.04wt.%であり、hは0.25~0.3wt.%であり、パーセントとは、前記主合金における質量百分率を意味する。
【0055】
本発明には、前記主合金の成分は、好ましくは、Nd28.46Fe66.730.99Tb1.2Co1.49Cu0.15Ga0.25Zr0.27Al0.46,であり、ここで、下付き数値とは、各元素が前記主合金における質量百分率を意味する。
【0056】
本発明には、前記主合金の成分は、好ましくは、Nd28.46Fe66.630.99Tb1.3Co1.49Cu0.15Ga0.25Zr0.27Al0.46であり、ここで、下付き数値とは、各元素が前記主合金における質量百分率を意味する。
【0057】
本発明には、前記主合金の成分は、好ましくは、Nd28.46Fe66.730.99Tb1.2Co1.49Cu0.15Ga0.25Ti0.27Al0.46であり、ここで、下付き数値とは、各元素が前記主合金における質量百分率を意味する。
【0058】
本発明には、前記主合金の成分は、好ましくは、Nd28.46Fe66.70.99Tb1.2Co1.49Cu0.15Ga0.25Zr0.27Al0.46Mn0.03であり、ここで、下付き数値とは、各元素が前記主合金における質量百分率を意味する。
【0059】
本発明には、前記主合金の成分は、好ましくは、Nd28.46Fe65.620.99Tb1.2Co2.6Cu0.15Ga0.25Zr0.27Al0.46であり、ここで、下付き数値とは、各元素が前記主合金における質量百分率を意味する。
【0060】
本発明には、前記主合金の成分は、好ましくは、Nd28.46Fe67.160.99Tb1.2Co1.49Cu0.15Ga0.25Zr0.27Al0.03であり、ここで、下付き数値とは、各元素が前記主合金における質量百分率を意味する。
【0061】
本発明には、前記主合金の成分は、好ましくは、Nd28.46Fe66.830.99Tb1.2Co1.49Cu0.05Ga0.25Zr0.27Al0.46であり、ここで、下付き数値とは、各元素が前記主合金における質量百分率を意味する。
【0062】
本発明には、前記主合金の成分は、好ましくは、Nd28.46Fe66.780.99Tb1.2Co1.49Cu0.15Ga0.2Zr0.27Al0.46であり、ここで、下付き数値とは、各元素が前記主合金における質量百分率を意味する。
【0063】
本発明において、前記主合金の製造方法は、本分野における通常の製造方法であってもよく、一般的に、以下の通りである。(1)上記成分を含む主合金の溶液を調製し、(2)前記主合金の溶液を回転ローラーによって冷却させ、主合金のキャスティングシートを形成すればよい。
【0064】
ステップ(2)において、前記冷却は、一般的に700~900℃に冷却させることである。
【0065】
ステップ(2)において、前記主合金のキャスティングシートを形成した後、一般的にコレクターにより収集し、且つ50℃以下に冷却させる。
【0066】
本発明には、ネオジム鉄ホウ素磁石材料を製造するための副合金がさらに提供され、前記副合金の組成は、Nd-Fe-B-Tb-Co-Cu-Ga-Al-Mn-Nであり、ここで、i、j、k、l、m、n、o、p、r及びtは、各元素が前記副合金に占める質量分率であり、iは5~30wt.%であり、jは59~65wt.%であり、kは0.98~1wt.%であり、lは5~25wt.%であり、mは0.5~2.7wt.%であり、nは0.05~0.3wt.%であり、oは0.05~0.3wt.%であり、rは0.04wt.%以下であるが0wt.%ではなく、又は、rは0.46~0.6wt.%であり、tは0~0.04wt.%であり、pは0~0.5wt.%であり、パーセントとは、前記副合金における質量百分率を意味する。
【0067】
本発明において、前記iは、好ましくは、15~25wt.%であり、より好ましくは、19~21wt.%であり、例えば、20wt.%であり、パーセントとは、前記副合金における質量百分率を意味する。
【0068】
本発明において、前記jは、好ましくは、59~61wt.%であり、例えば、59.25wt.%、60.33wt.%、60.36wt.%、60.39wt.%、60.41wt.%、60.46wt.%又は60.79wt.%であり、パーセントとは、前記副合金における質量百分率を意味する。
【0069】
本発明において、前記kは、好ましくは、0.98~0.99wt.%であり、例えば、0.99wt.%であり、前記副合金における質量百分率を意味する。
【0070】
本発明において、前記lは、好ましくは、15~20wt.%であり、例えば、16wt.%であり、前記副合金における質量百分率を意味する。
【0071】
本発明において、前記mは、好ましくは、1.45~2.6wt.%であり、例えば、1.49wt.%又は2.6wt.%であり、パーセントとは、前記副合金における質量百分率を意味する。
【0072】
本発明において、前記nは、好ましくは、0.05~0.16wt.%であり、例えば、0.05wt.%又は0.15wt.%であり、パーセントとは、前記副合金における質量百分率を意味する。
【0073】
本発明において、前記oは、好ましくは、0.2~0.26wt.%であり、例えば、0.2wt.%又は0.25wt.%であり、パーセントとは、前記副合金における質量百分率を意味する。
【0074】
本発明において、前記rは、好ましくは、0.02~0.04wt.%又は0.46~0.47wt.%であり、例えば、0.03wt.%又は0.46wt.%であり、パーセントとは、前記副合金における質量百分率を意味する。
【0075】
本発明において、前記tは、好ましくは、0.01~0.04wt.%であり、例えば、0.03wt.%であり、パーセントとは、前記副合金における質量百分率を意味する。
【0076】
本発明において、前記pは、好ましくは、0.26~0.3wt.%であり、例えば、0.27wt.%又は0.3wt.%であり、パーセントとは、前記副合金における質量百分率を意味する。
【0077】
本発明において、前記副合金の組成は、Nd-Fe-B-Tb-Co-Cu-Ga-Al-Mn-Nであり、ここで、i、j、k、l、m、n、o、p、r及びtは、各元素が前記副合金に占める質量分率であり、iは19~21wt.%であり、jは59~61wt.%であり、kは0.98~0.99wt.%であり、lは15~20wt.%であり、mは1.45~2.6wt.%であり、nは0.05~0.16wt.%であり、oは0.2~0.26wt.%であり、rは0.02~0.04wt.%又は0.46~0.47wt.%であり、tは0~0.04wt.%であり、pは0.26~0.3wt.%であり、パーセントとは、前記副合金における質量百分率を意味する。
【0078】
本発明には、前記副合金の成分は、好ましくは、Nd20Fe60.360.99Tb16Co1.49Cu0.15Ga0.25Zr0.3Al0.46であり、ここで、下付き数値とは、各元素が前記副合金における質量百分率を意味する。
【0079】
本発明には、前記副合金の成分は、好ましくは、Nd20Fe60.390.99Tb16Co1.49Cu0.15Ga0.25Ti0.27Al0.46であり、ここで、下付き数値とは、各元素が前記副合金における質量百分率を意味する。
【0080】
本発明には、前記副合金の成分は、好ましくは、Nd20Fe60.330.99Tb16Co1.49Cu0.15Ga0.25Zr0.3Al0.46Mn0.03であり、ここで、下付き数値とは、各元素が前記副合金における質量百分率を意味する。
【0081】
本発明には、前記副合金の成分は、好ましくは、Nd20Fe59.250.99Tb16Co2.6Cu0.15Ga0.25Zr0.3Al0.46であり、ここで、下付き数値とは、各元素が前記副合金における質量百分率を意味する。
【0082】
本発明には、前記副合金の成分は、好ましくは、Nd20Fe60.790.99Tb16Co1.49Cu0.15Ga0.25Zr0.3Al0.03であり、ここで、下付き数値とは、各元素が前記副合金における質量百分率を意味する。
【0083】
本発明には、前記副合金の成分は、好ましくは、Nd20Fe60.460.99Tb16Co1.49Cu0.05Ga0.25Zr0.3Al0.46であり、ここで、下付き数値とは、各元素が前記副合金における質量百分率を意味する。
【0084】
本発明には、前記副合金の成分は、好ましくは、Nd20Fe60.410.99Tb16Co1.49Cu0.15Ga0.2Zr0.3Al0.46であり、ここで、下付き数値とは、各元素が前記副合金における質量百分率を意味する。
【0085】
本発明において、前記主副合金の製造方法は、本分野における通常の製造方法であってもよく、一般的に、以下の通りである。(1)上記成分を含む副合金の溶液を調製し、(2)前記副合金の溶液を回転ローラーによって冷却させ、副合金のキャスティングシートを形成すればよい。
【0086】
ステップ(2)において、前記冷却は、一般的に700~900℃に冷却させることである。
【0087】
ステップ(2)において、前記副合金のキャスティングシートを形成した後、一般的にコレクターにより収集し、且つ50℃以下に冷却させる。
【0088】
また、本発明は、ネオジム鉄ホウ素磁性体材料の製造方法を提供し、上記の製造により得られた主合金と副合金を二元系合金方法により製造された前記ネオジム鉄ホウ素磁性体材料において、前記主合金と前記副合金の質量比は(9~30):1である。
【0089】
本発明には、前記主合金と前記副合金との質量比は、好ましくは、(6~15):1であり、より好ましくは、(6~8):1であり、例えば、88:12又は86:14である。
【0090】
本発明において、前記二元系合金方法による製造工程は、一般的に、主合金と副合金を均一に混合した後に混合合金粉末を得、前記混合合金粉末を順序的に焼結、時効処理を実行させればよい。
【0091】
ここで、前記した均一に混合することは、本分野における通常の混合であってもよく、一般的に、主合金と副合金を混合した後、水素破砕とジェットミリング処理を経て均一に混合したり、又は前記主合金と副合金をそれぞれ水素破砕とジェットミリング処理した後、均一に混合する。
【0092】
ここで、前記水素破砕処理の操作条件は、本分野における通常の条件であってもよく、好ましくは、0.067~0.098MPaの水素ガス圧力下で水素飽和吸蔵させ、480℃~530℃内で脱水素させ、より好ましくは、510℃~530℃内で脱水素させる。
【0093】
ここで、当業者には、水素破砕とジェットミリング処理の後、さらに原料混合処理を含むことが知られている。上記原料混合の時間は、好ましくは3時間以上であり、より好ましくは3~6時間である。
【0094】
ここで、上記原料混合処理を実行する設備は、本分野における通常の設備であってもよく、好ましくは3次元原料混合機である。
【0095】
ここで、前記ジェットミリング処理の操作と条件は、本分野における通常の操作と条件であってもよく、好ましくはジェットミリング処理後の粉体の粒径を3.7~4.2μmになるようにするもの、より好ましくは3.7~4μmになるようにするものである。
【0096】
ここで、前記焼結処理の操作と条件は、本分野における通常の操作と条件であってもよく、前記焼結の温度は、好ましくは1050~1085℃であり、より好ましくは1070~1085℃であり、前記焼結時間は4~7時間である。
【0097】
ここで、上記時効処理は、本分野における通常の時効処理であってもよい。前記時効処理の温度は、一般的に460~520℃であり、前記時効処理の時間は、一般的に4~10時間である。
【0098】
本発明には、前記製造方法で製造されたネオジム鉄ホウ素磁石材料がさらに提供される。
【0099】
本発明には、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料がモーターにおいて電子部品としての応用がさらに提供される。
【0100】
本発明において、前記モーターは、新エネルギー自動車駆動用モーター、空調用圧縮機又は産業用サーボモーターであることが好ましい。
【0101】
本分野の周知常識に準拠したうえで、上記の各々の好ましい条件を任意に組み合わせることによって、本発明の各々の好適な実施例を得ることができる。
【0102】
本発明に使用されている試薬および原料は、いずれも市販されている。
【発明の効果】
【0103】
本発明の積極的な進歩的効果は、以下の点にある。
本発明の積極的かつ進歩的な効果は以下の点にある。本出願の磁性体材料は、HcjとBrがいずれも高いとともに、BrとHcjの温度係数が低い。ここで、Hcjは13.39kOe以上に達することができ、Brは26.8kGs以上に達することができ、また、20~100℃のBrの温度係数|α|は0.092(Br)%/℃以下に達することができ、20~100℃のHcj温度係数|β|は0.46(Hcj)%/℃以下に達することができる。
【図面の簡単な説明】
【0104】
図1図1は、実施例7におけるネオジム鉄ホウ素磁性体材料の微細構造中の元素分布である。
【発明を実施するための形態】
【0105】
以下、実施例の態様により本発明をさらに説明するが、本発明を実施例の範囲に制限するものではない。以下の実施例において、具体的な条件が明記されない実験方法は、通常の方法及び条件に従って、または商品仕様書に応じて選択される。
【0106】
実施例1
1、本実施例においてネオジム鉄ホウ素磁性体材料の製造に使用された原料としては、主合金がNd28.46Fe66.730.99Tb1.2Co1.49Cu0.15Ga0.25Zr0.27Al0.46、副合金がNd20Fe60.360.99Tb16Co1.49Cu0.15Ga0.25Zr0.3Al0.46であり、ここで、下付き文字の数値は、各元素が前記主合金または副合金で占める質量百分率であり、ここで主合金と副合金の質量比は88:12であった。
【0107】
主合金の製造工程は以下の通りである:(1)表1に示された主合金中の各元素を主合金溶液に調製した。(2)主合金溶液を回転ローラーにより700~900℃の範囲の温度に冷却して、厚さが均一な主合金のキャスティングシートを形成させた。(3)主合金のキャスティングシートは、コレクターにより収集し且つ50℃以下に冷却することにより得られた。
【0108】
副合金の製造工程は以下の通りである:(1)表1に示された副合金中の各元素を副合金溶液に調製した。(2)副合金溶液を回転ローラーにより700~900℃の範囲の温度に冷却して、厚さが均一な副合金のキャスティングシートを形成させた。(3)副合金のキャスティングシートは、コレクターにより収集し且つ50℃以下に冷却することにより得られた。
【0109】
以下の表において、wt.%とは、各成分の質量百分率を意味し、「/」は、当該元素が添加されていないことを表す。「Br」は、残留磁束密度であり、「Hcj」は、保磁力である。
【0110】
表1各実施例と比較例で用いた主合金と副合金の原料及び質量比
注:100%未満は不可避的不純物である。
【0111】
2、本実施例におけるネオジム鉄ホウ素磁性体材料の製造工程は以下の通りである。二元系合金方法を用いて製造され、まず、表1に示された主合金と副合金を比例に従って混合した後、順序的に水素破砕、ジェットミリング処理と原料混合を経て混合合金粉体を得た。ここで、水素破砕は0.067MPaの水素ガス圧力下で水素飽和吸蔵を行い、510℃下で脱水素し、原料混合を3次元原料混合機で3時間処理した。ジェットミリング処理後の混合合金粉体の粒径は3.7μmであった。次いで、混合合金粉体を順序的に1070℃の温度下で5時間焼結し、460℃の条件下で4時間の時効処理を経て得た。
【0112】
表2 各実施例及び比較例におけるネオジム鉄ホウ素磁石材料の製造工程
【0113】
実施例2~12と比較例1~6では、表1に示した原料に従って主合金と副合金をそれぞれ得た。その主合金と副合金の製造工程は実施例1と同様であった。
【0114】
実施例2~12と比較例1~6中の主合金と副合金を表2に示した製造工程によりネオジム鉄ホウ素磁性体材料を得た。表2で言及していないパラメータは実施例1と同様であった。
【0115】
3.最終的に得られたネオジム鉄ホウ素磁性体材料中の各成分は下記の表3に示された通りである。
【0116】
表3 各実施例及び比較例におけるネオジム鉄ホウ素磁石材料の成分の質量百分率
注:100%未満は不可避的不純物である。
【0117】
効果実施例1
(1)磁気特性検出
(1)磁気特性の評価:中国計量院のNIM-10000H型BH大塊希土類永久磁石非破壊測定システムを用いてネオジム鉄ホウ素磁石材料の磁気特性検出を行った。以下の表4は、磁気特性検出の結果を示している。
【0118】
表4
【0119】
(2)ネオジム鉄ホウ素磁性体材料中の各元素の含有量及び分布の測定方法
FE-EPMAによる検出:ネオジム鉄ホウ素磁石材料の垂直配向面を研磨し、電界放出電子プローブマイクロアナライザー(FE-EPMA)(日本電子株式会社(JEOL)、8530F)で検出した。まず、FE-EPMAで面走査することにより、磁石におけるTb、Co等の元素の分布を特定し、その後、FE-EPMAで単一点(シングルポイント)定量分析することにより、キー相におけるTb、Co等の元素の含有量を特定する。試験条件は、加速電圧15kv、プローブビーム50nAであった。
【0120】
図1によれば、実施例7のネオジム鉄ホウ素磁性体材料の微細構造が以下の特徴を有することが分かる。(1)Tbリッチ相の分布規則(図において標記aで示された通り)に基づいて、主相の外層にTbリッチシェル層があると推測される。(2)図において標記bで示されたとおり、Zr又はその他の高融点元素が粒界に濃縮されて存在する。(3)Coが粒界三角領域に濃縮し、Tbも粒界三角領域に濃縮するが、Co濃縮領域はc-Coと標記され、Tb濃縮領域はc-Tbと標記され、両者の濃縮領域は重なっていない。
図1