(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-10
(45)【発行日】2023-08-21
(54)【発明の名称】保持兼用着磁器
(51)【国際特許分類】
B25B 23/12 20060101AFI20230814BHJP
【FI】
B25B23/12
(21)【出願番号】P 2022518214
(86)(22)【出願日】2020-09-16
(86)【国際出願番号】 KR2020012492
(87)【国際公開番号】W WO2021054717
(87)【国際公開日】2021-03-25
【審査請求日】2022-03-18
(31)【優先権主張番号】20-2019-0003868
(32)【優先日】2019-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518339135
【氏名又は名称】イ、ジェ ヨル
【氏名又は名称原語表記】LEE,Jae Yeol
【住所又は居所原語表記】(Cheonho-dong,Gangdong herrscher),1101-dong 1801-ho,1089,Cheonho-daero,Gangdong-gu,Seoul 05339,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】イ、ジェ ヨル
【審査官】須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05724873(US,A)
【文献】国際公開第2005/042210(WO,A1)
【文献】韓国登録特許第10-2042747(KR,B1)
【文献】特開2010-042486(JP,A)
【文献】特開2001-071277(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B13/00-23/18
B23P19/00-21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビットに装着されて両方向に移動する磁力伝導部と、
前記磁力伝導部の前方に配置され、前記ビットに磁力を付与する第1着磁部と、
前記第1着磁部と斥力が発生するように前記磁力伝導部の後方に配置され、前記ビットに磁力を付与する第2着磁部と、を含む構成において、
前記第2着磁部は第1着磁部よりもサイズが大きく、大きな磁力を有するように形成されて、前記第1着磁部が第2着磁部より前側に位置するときはビットに強い磁力を発生させ、前記第1着磁部が第2着磁部より後側に位置するときはビットに付与される磁力が減少する、保持兼用着磁器。
【請求項2】
前記第1着磁部は前記磁力伝導部の前面に形成された埋め込み溝に埋め込まれ、
前記第2着磁部は前記磁力伝導部の後面に付着される、請求項1に記載の保持兼用着磁器。
【請求項3】
一面が開口され、内部に前記磁力伝導部、第1着磁部、第2着磁部が収容される収容空間が形成され、前記ビットの外面に装着される本体部材と、前記本体部材に開口部を開閉し、ビットに装着される栓部材で構成されて、ビットの長さ方向に沿って往復移動する制御部と、をさらに含む、請求項1に記載の保持兼用着磁器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保持兼用着磁器に関し、より具体的には、ドライバービットに装着してねじ作業の際に作業状況に応じて保持機能と着磁機能および消磁機能をすべて使用できるようにして、各種形態のねじ作業時に作業効率を最大化できるようにした保持兼用着磁器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ドライバービットは、作業の利便性を考慮して自ら先端部に磁力を有するようにして製品が生産されるが、このようなドライバービットの磁力は時間が経つと次第に弱まっていくため、ねじ作業時にドライバービットからねじが簡単に離脱し、このため連続的に作業するのが困難である。
【0003】
すなわち、従来のドライバービットには技術的に強力な磁力を着磁することが難しく、若干の磁力が着磁されているドライバービットも時間が経つと着磁された磁力がなくなるという問題点がある。
【0004】
したがって、先端に六角、星、ボール、-、+の形態を有するドライバービットには磁力がないか、あるいはその先端に弱い磁力を有しているため、ドライバービットに強い磁力を着磁させて各種形状のねじを磁力で保持することによって作業の利便性を向上させるための着磁器が着実に開発されている。
【0005】
しかし、従来の着磁器は単にドライバービットの先端に磁力を生成する機能のみを有しており、着磁器がドライバービットの先端から遠くなると磁力が低下する問題点がある。
【0006】
つまり、着磁器は、ねじの近くにあるときはドライバービットに磁力を発生させるものの、作業の際に、作業の振動によって着磁器が後方に押し出されると、ドライバービットの磁力が低下して本来の機能を発揮できない場合が多い。
【0007】
そのため、一般的に強い磁力をドライバービットに着磁させるためにリング状のネオジム永久磁石を直接着磁器として使用しているが、これも1個の数量では磁力が弱いため、2~3個を接着させて使用している。しかし、このように使用する永久磁石は、作業時に衝撃によって割れ現象が発生したり、電動ドリルの振動によって永久磁石が後方に押し出されて電動ドリルのアダプタ部位にくっついたりするため、作業完了後に、電動ドリルから着磁器として使用される永久磁石を分離するのが非常に煩雑な問題点が発生し、これは電動ドリルのアダプタ部位の故障の原因となり得る。
【0008】
また、従来の着磁器は、ドライバービットの先端に磁力を発生させても、その磁力はただねじを保持するだけであるため、片手だけでは作業が困難である。すなわち、天井や高所のねじ作業時には、片手ではねじを把持し、他の手ではドライバーや電動ドリルを把持しなければならないが、このとき、高所の作業時には、安全上の問題が発生することはもちろん、磁性体の磁力の強さにかかわらず、ねじの保持機能がないため、作業時にねじがドライバービットから離脱する現象が頻繁に発生して作業が不便であり、ねじを紛失するなどの作業効率性が低下する問題点がある。
【0009】
このような問題のため、ねじを保持できる製品も市販されているものの、これらの製品は着磁機能がなく、単にドライバービットの先端でねじを保持する機能のみを有しているため、深い溝のねじ作業や狭い隙間のねじ作業など、磁性体がドライバービットの先端から遠ざかって使用されなければならない様々な作業状況には、不向きな短所がある。
【0010】
そして、従来の着脱式磁性体をはめ込んで使用する方式の着磁器は磁力を伝導させることはできるものの、磁力を低下させることはできないため、ねじ作業時にねじの摩耗により発生した鉄粉がドライバービットに付着してねじの締結力を低下させるときに鉄粉を除去しなければならない状況や、電子機器関連作業のような着磁したドライバービットの磁気を時々弱くしなければならない状況には使用できない短所がある。
【0011】
本発明が属する技術分野の先行技術文献には、韓国登録特許公報第10-1673154号、韓国登録実用新案公報第20-0203415号などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】韓国登録特許公報第10-1673154号
【文献】韓国登録実用新案公報第20-0203415号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、前述した従来技術の問題点を解決するために案出されたものであって、着磁器がドライバービットの長さにかかわらず、ドライバービットの先端から遠くなっても同様に強い磁力を維持させるとともに、ねじ保持能力を持たせることによって、高所のねじ作業や深い溝や狭い隙間の作業などの様々な作業状況においてもねじ作業時にねじの離脱および紛失を防止でき、作業状況に応じて磁力が弱くなければならないときは磁力を減少または消滅させ得る、保持兼用着磁器を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る保持兼用着磁器は、ビットに装着されて両方向に移動する磁力伝導部と、前記磁力伝導部の前方に配置され、前記ビットに磁力を付与する第1着磁部と、前記第1着磁部と斥力が発生するように前記磁力伝導部の後方に配置され、前記ビットに磁力を付与する第2着磁部と、を含む。
【0015】
そして、前記第2着磁部は、第1着磁部よりもサイズが大きく、大きな磁力を有するように形成されて、前記第1着磁部が第2着磁部より前側に位置するときはビットに強い磁力を発生させ、前記第1着磁部が第2着磁部より後側に位置するときはビットに付与される磁力が減少する。
【0016】
また、前記第1着磁部は前記磁力伝導部の前面に形成された埋め込み溝に埋め込まれ、前記第2着磁部は前記磁力伝導部の後面に付着される。
【0017】
そして、一面が開口され、内部に前記磁力伝導部、第1着磁部、第2着磁部が収容される収容空間が形成され、前記ビットの外面に装着される本体部材と、前記本体部材に開口部を開閉しビットに装着される栓部材で構成されて、第1着磁部と第2着磁部を保護し、ビットの長さ方向に沿って往復移動しながらビットからの着脱を容易にし、ビットから容易に分離できるようにする制御部と、をさらに含む。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る保持兼用着磁器は、ビットの長さにかかわらず、ビットの先端から遠くなっても強力な磁力を維持させ得る効果がある。
【0019】
そして、ねじ固定能力を持たせてねじがビットから離脱して紛失することを防止できる保持機能があり、作業状況に応じて磁力が弱くなければならないときは磁力を減少または消滅させることができ、磁力をなくす脱磁機能の効果がある。
【0020】
また、従来の着磁器は、単にドライバービットの先端に磁力のみを発生させ、ドライバービットの先端から遠くなると磁力が低下して本来の機能を使用できないのに比べて、本発明品である保持兼用着磁器は、ドライバービットの長さにかかわらず強い着磁力を維持させ、ねじを保持できる能力を持たせて狭い空間でのねじ作業や作業する部材の深さにかかわらず、作業部材の面部分までねじが揺れないように強力に保持できるため、ねじが離脱して作業者が怪我をしたりねじの紛失を防止するとともに、作業部材の面に触れたとたんに磁力で自動で後進されるため作業の仕上げの瞬間までねじが揺れることなく完璧に仕上げられる効果があり、作業状況に応じて磁力が弱くなければならないときは磁力を減少または消滅させることができ、作業時にねじの摩耗によって発生した鉄粉がドライバービットの先端に付着した場合、これを除去できる効果がある。
【0021】
そして、従来の着磁器とねじホルダおよび脱磁器を別途に具備することなく簡素化された構成と小さな体積で生産性およびコストを最小化でき、ねじ作業時に必要な最大の効果を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明に係る保持兼用着磁器を示す分解斜視図である。
【
図2】本発明に係る保持兼用着磁器がビットに装着される過程を示す斜視図である。
【
図3】本発明に係る保持兼用着磁器がビットに装着される過程を示す斜視図である。
【
図4】本発明に係る保持兼用着磁器の使用例を示す断面図である。
【
図5】本発明に係る保持兼用着磁器における第1着磁部と第2着磁部の配置状態を反転させて着磁力を減少または消滅させた状態を示す断面図である。
【
図6】本発明に係る保持兼用着磁器に適用されたサイズの異なる永久磁石の斥力による磁場の変化を比較した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の利点および特徴、およびこれらを達成する方法は、添付の図面とともに詳細に後述される実施形態を参照することによって明らかになるであろう。
【0024】
しかし、本発明は、以下に開示される実施形態に限定されるものではなく、異なる様々な形態で具現され得、単に本実施形態は、本発明の開示を完全とし、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は、特許請求の範囲によって定義されるのみである。明細書全体にわたって同じ参照番号は、同じ構成要素を指し示す。
【0025】
以下、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように、本発明の実施例について添付した図面を参照して詳細に説明する。しかし、本発明は、様々な異なる形態で具現され得、ここで述べる実施形態に限定されない。明細書全体を通して同様の部分については、同じ参照番号を付した。
【0026】
図1は本発明に係る保持兼用着磁器を示す分解斜視図であり、
図2および
図3は本発明に係る保持兼用着磁器がビットに装着される過程を示す斜視図であり、
図4は本発明に係る保持兼用着磁器の使用例を示す断面図であり、
図5は本発明に係る保持兼用着磁器における第1着磁部と第2着磁部の配置状態を反転させて着磁力を減少または消滅させた状態を示す断面図であり、
図6は本発明に係る保持兼用着磁器に適用されたサイズの異なる永久磁石の斥力による磁場の変化を比較した図面である。
【0027】
本発明は、被穿孔物50にねじを締結するドリル用ビットまたはドライバービット(以下、「ビット」という)に装着されて着磁させる保持兼用着磁器1であって、ビットの外面に装着される磁力伝導部10と、磁力伝導部10の前側に固定されてビット70に磁力を付与する第1着磁部20と、磁力伝導部10の後側に固定されてビット70に磁力を付与する第2着磁部30と、磁力伝導部10、第1着磁部20、第2着磁部30を保護する制御部40と、を含み得る。
【0028】
このような構成を含む本発明に係る保持兼用着磁器1は、ビット70に装着されてビット70が被穿孔物50に引き込まれる深さにかかわらず、被穿孔物50の面までねじなどの穿孔部材60を保持した後、磁力により自動で後進するため、作業の瞬間にも穿孔部材60の締結状態を肉眼で確認しつつ、保持された穿孔部材60が被穿孔物50に迅速かつ安定的に引き込まれるようにすることができる。
【0029】
具体的には、磁力伝導部10は、ビット70の外面に装着され得るように中空型の胴体で形成される。
【0030】
磁力伝導部10は、磁石が付着され得るように金属材料で形成される。また、磁力伝導部10は、一定の長さと直径を有し、自重を減らすために円形の断面を有するブロック状に形成されてビット70に付与される第1着磁部20と第2着磁部30の磁力の範囲を増大させ得る。
【0031】
このとき、磁力伝導部10は、中心部11と、中心部11の前側に形成され、中心部11よりも広い直径を有し、第1着磁部20が埋め込まれて固定される埋め込み溝12aが形成される前面部12と、中心部11の後側に形成され、中心部11よりも広い直径を有する後面部13と、を含むことができる。このような場合、磁力伝導部10、第1着磁部20、第2着磁部30の組立生産性を向上させることができる。
【0032】
第1着磁部20および第2着磁部30はビット70を着磁させる構成であって、それぞれS極とN極を有する永久磁石で形成され得る。
【0033】
第1着磁部20はリング状に形成され、前面部12の埋め込み溝12aに固定されて磁力伝導部10をビット70の外面に装着する際に、ビット70の周面を包み込んで着磁させる。
【0034】
もちろん、第1着磁部20の内径は、磁力伝導部10の中空と同じ直径を有する。
【0035】
第2着磁部30は第1着磁部20とは異なり、後面部13に付着されるものの、第1着磁部20との相互作用による斥力が発生する方向に装着される。
【0036】
すなわち、第1着磁部20と第2着磁部30は、それぞれのN極が互いに対向するか、またはS極が互いに対向するように、前面部12と後面部13にそれぞれ固定されて強い磁力を発生させることができる。
【0037】
そして、図面には、第1着磁部20と第2着磁部30のN極が互いに対向するように固定された例を示した。
【0038】
第2着磁部30もリング状に形成されて磁力伝導部10をビット70の外面に装着する際に、ビット70の周面を包み込んで着磁させる。
【0039】
もちろん、第2着磁部30の内径は磁力伝導部10の中空と同じ直径を有するように形成される。
【0040】
前述したように、第1着磁部20と第2着磁部30の磁力は磁力伝導部10を介してビット70に伝導されるため、ビット70に付与される着磁の範囲や磁力の強さが増大する。
【0041】
また、第2着磁部30は、第1着磁部20よりも大きな直径と磁力を有するように形成される。
【0042】
制御部40は、磁力伝導部10、第1着磁部20、第2着磁部30を保護し、磁力伝導部10に磁力でのみ付着された第2着磁部30を磁力伝導部10に定着させながらも、ビット70の長さ方向に容易に往復移動できるようにし、ビット70の振動によって第2着磁部30が電動ドリルにくっついても分離が容易となるようにしたものであり、本体部材41、栓部材42を含むことができる。
【0043】
このとき、本体部材41および栓部材42はプラスチックまたはアルミニウム材質で形成され得る。
【0044】
本体部材41は、後面が開放され、内部に収容空間が形成される。
【0045】
したがって、第1着磁部20が埋め込まれた磁力伝導部10に第2着磁部30を付着して収容空間に収容した後、栓部材42で本体部材41の開口部を閉鎖すれば、磁力伝導部10、第1着磁部20、第2着磁部30を保護できる。
【0046】
このとき、栓部材42は本体部材41の開口部に締りばめの方式ではめ込み固定され得る。
【0047】
さらに、磁力伝導部10の前面部12および第1着磁部20が本体部材41の前面内壁に接触し、第2着磁部30が開口部側に位置する。
【0048】
そして、本体部材41の前面には、第1着磁部20の一定領域を露出させるための露出ホール41aが形成される。
【0049】
このとき、露出ホール41aは、その幅が第1着磁部20と対向する一端から他端に行くほど徐々に広がるように形成され得る。このような露出ホール41aにより、第1着磁部20に穿孔部材60を付着することが可能となる。
【0050】
また、露出ホール41aは、穿孔部材60の端部を包み込んで保持させる機能も遂行する。
【0051】
また、栓部材42は、ビット70の外面に装着されるように中空を有する。
【0052】
このとき、栓部材42、磁力伝導部10、第1着磁部20、第2着磁部30の中空は、すべて同じ直径を有するように形成される。したがって、栓部材42、磁力伝導部10、第1着磁部20、第2着磁部30はすべて、ビット70の外面に密着する。
【0053】
以上で説明した制御部40は、ビット70の長さ方向に沿って往復移動し、本体部材41は、
図4のように、前面が被穿孔物50に接触して穿孔部材60が被穿孔物50に引き込まれると同時に自動で後進することになるため、穿孔部材60の引き込み状態を確認できる。
【0054】
すなわち、制御部40がビット70の前側に位置して穿孔部材60を保持した後に、被穿孔物50に接触すると同時に磁力により自動で後進して穿孔部材60が被穿孔物50に達したことをすぐに分かり、安定的かつ迅速な仕上げができるようにする。また、被穿孔物50の引き込み深さが深くても同じ機能で作業を仕上げることができる。
【0055】
そして、引き込み深さが深いところのねじを解体しなければならない場合のように、作業状況に応じて保持機能を使用せずに着磁機能を使用する場合には、制御部40をビット70の長さ方向の後側に移動させればよい。このとき、制御部40の位置がビット70の長さ方向の前側に近く位置するか、または後側に位置しても、ビット70の露出する長さにかかわらず一定の磁力が伝達される。
【0056】
次に、本発明に係る保持兼用着磁器の動作および効果について説明する。
【0057】
本発明に係る保持兼用着磁器1は、第1着磁部20と第2着磁部30は互いに斥力が発生するように配置され、第2着磁部30は第1着磁部20よりも大きな直径と磁力を有するように形成されて、第1着磁部20が第2着磁部30の前側に位置し、第1着磁部20と第2着磁部30との間には磁力伝導部10が位置して、ねじ締結方向であるビット70の左側先端が第2着磁部30と磁力伝導部10と第1着磁部20の順に通過しながら、ビット70の磁力の強さを増加させることができる。
【0058】
このような着磁方式は、クーロンの法則(Coulomb’s Law)と連続方程式(Continuity Equation)を適用し、レンツの法則(Lenz’s Law)を利用したものであって、永久磁石の斥力およびサイズを用いる着磁方式である。
【0059】
図6(a)を参照すると、同じサイズの永久磁石80a、80b2個を同じ極同士で対向するように一定間隔離隔して配置すると、斥力が発生して磁場は同一に分離されてそれぞれの永久磁石80の領域にのみ別々に存在することになるため、他のところに磁力を伝導することなく、それぞれの永久磁石80の磁場の範囲内でのみ磁力が発生し、その他の空間には影響を与えない。
【0060】
しかし、
図6(b)のように、サイズの異なる2個の永久磁石80c、80dに斥力を適用する場合、大きな磁力を有する永久磁石80dが小さな磁力を有する永久磁石80cを斥力で押し出すことになり、小さな永久磁石80cの磁場はA方向に伸びる。
【0061】
このとき、2個の永久磁石80c、80dの間に金属材質の磁力伝導部10を配置して両永久磁石80c、80dが磁力によって磁力伝導部10に付着されるようにし、両永久磁石80c、80dによって発生する磁場の最大範囲を一定に維持しつつ、磁力を最大限に増加および維持させることができる。
【0062】
また、永久磁石80c、80dを移動させると磁場が移動することになるが、このとき、磁場に水の流速と同一に連続方程式(Continuity Equation)が適用されて、第2着磁部30の磁場が第1着磁部20の方向に連続して流れるとき、磁場の速度は永久磁石80c、80dの断面積に反比例するため、第1着磁部20方向の磁場の速度は速くなり、磁場の密度が高くなる。
【0063】
この結果、斥力が発生するように配置された小さな永久磁石80cと大きな永久磁石80dが共に大きな永久磁石80dの方向、すなわちB方向に移動すると、大きな永久磁石80dが小さな永久磁石80cを押し出す斥力により、小さな永久磁石80cがあるA方向に磁場が伸びると同時に、連続方程式(Continuity Equation)が適用されてA方向には磁場の密度が高くなって磁場の強度が強くなり、これによって大きな永久磁石80dの磁場もA方向に移動することになる。
【0064】
また、大きな永久磁石80dの斥力の反対方向であるB方向の磁場は弱くなる。このように発生した磁場は、両永久磁石80c、80dの斥力によって持続的に維持される。
【0065】
すなわち、小さな永久磁石80cを第1着磁部20として適用し、大きな永久磁石80dを第2着磁部30として適用して本発明を具現したとき、
図4に示すように、第1着磁部20がビット70の左側に位置し、第2着磁部30が右側に位置するように装着すると、保持兼用着磁器1をビット70の左側から右側方向に移動させるとき、ビット70の左側先端が向いている方向の磁場の強度ははるかに増加してビット70の左側先端に強い磁力が着磁されるが、これはレンツの法則が適用されてビット70の左側先端内の小さな磁力が同じ方向に整列しながら磁場を作って第1着磁部20の磁場と重なるためである。
【0066】
したがって、このように強く生成された磁力は、サイズが異なる第1着磁部20と第2着磁部30の斥力によって持続的に維持される。
【0067】
これにより、本発明に係る保持兼用着磁器1は、手動ドライバや電動ドリルに各種ビット70を締結してねじ作業をする際に、ビット70の長さにかかわらず強い着磁力を持続的に維持させることができるため、ねじの保持機能を優れたものにすることができる。また、作業時にねじが離脱して落下および紛失する恐れをなくし、作業環境に合わせて最良の作業効果を得るようにすることができる。
【0068】
また、前述したように、第1着磁部20がビット70の左側に位置し、第2着磁部30がビット70の右側に位置している場合、ビット70全体に強い着磁力を維持させることができるところ、制御部40の機能を使用しないときには制御部40をビット70の後側に移動させた後に作業をすればよい。
【0069】
一方、
図5に示すように、第2着磁部30がビット70の左側に位置し、第1着磁部20がビット70の右側に位置するように装着した後、保持兼用着磁器1をビット70の左側先端から右側に移動させると、ビット70の左側先端に残っている磁力が第2着磁部30と第1着磁部20の斥力によってビット70の右側部分に移動することになり、ビット70の左側部分は磁力が減少または消滅することになる。つまり、ビット70の左側先端が第2着磁部30の磁場の範囲にあるときは磁力が残っており、ビット70の左側先端が保持兼用着磁器1と遠くなるほどクーロンの法則(Coulomb’s Law)によって磁力が距離に反比例することになるため、弱く残っていた磁力さえも失われることになる。そして、このような状態も第2着磁部30と第1着磁部20の斥力によって持続的に維持される。
【0070】
すなわち、このような場合には、ビット70の着磁力を低下または消滅させることができるため、電子製品のような対象物にねじ作業をする場合、すなわち、ビット70の磁力が過度に強くないことを望む場合に有用に使用できる。
【0071】
さらに、ねじ作業が完了して保持兼用着磁器1をビット70から分離してもビット70には磁力が残っているようになるが、ビット70でねじ作業をする際に、ねじの摩耗により発生した鉄粉がビット70の先端に多く付着されてねじとビット70の締結力を低下させる場合が頻繁に発生する。
【0072】
このような場合、栓部材42をビット70に接触または斥力が発生する距離まで近接させると、ビット70に生成された磁力の極性と第2着磁部30の極性との間に斥力が発生してビット70に整列していた磁場を不規則に分散させることになり、このとき、ビット70に維持されていた磁力が瞬間的に相殺されることによって脱磁現象が発生し、これにより、ビット70の先端に付着されている鉄粉を容易に除去できる。
【0073】
本発明が属する技術分野の通常の知識を有する者は、本発明がその技術的思想や必須の特定を変更することなく、他の具体的な形態で実施され得ることが理解できるであろう。したがって、前述した実施形態は、すべての点で例示的なものであり、限定的ではないものと理解されるべきである。本発明の範囲は、前記の詳細な説明よりは後述する特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味および範囲、そしてその均等概念から導出されるすべての変更または変形された形態が本発明の範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0074】
1:保持兼用着磁器
10:磁力伝導部
11:中心部
12:前面部
12a:埋め込み溝
13:後面部
20:第1着磁部
30:第2着磁部
40:制御部
41:本体部材
41a:露出ホール
42:栓部材
50:被穿孔物
60:穿孔部材
70:ビット
80a、80b、80c、80d:永久磁石