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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-10
(45)【発行日】2023-08-21
(54)【発明の名称】床版移動方法及び床版移動装置
(51)【国際特許分類】
   E01D 24/00 20060101AFI20230814BHJP
   E01D 21/00 20060101ALI20230814BHJP
【FI】
E01D24/00
E01D21/00 B
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2023068447
(22)【出願日】2023-04-19
(62)【分割の表示】P 2019198314の分割
【原出願日】2019-10-31
(65)【公開番号】P2023083442
(43)【公開日】2023-06-15
【審査請求日】2023-04-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(73)【特許権者】
【識別番号】591135440
【氏名又は名称】日本通運株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230123124
【弁護士】
【氏名又は名称】木村 広行
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【弁理士】
【氏名又は名称】松野 知紘
(72)【発明者】
【氏名】丈達 康太
(72)【発明者】
【氏名】岡 重洋
(72)【発明者】
【氏名】岩城 孝之
(72)【発明者】
【氏名】越水 徹
【審査官】五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-204427(JP,A)
【文献】特開2018-155017(JP,A)
【文献】特開2019-173435(JP,A)
【文献】特開2018-100564(JP,A)
【文献】特開2007-239408(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01D 24/00
E01D 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸縮可能かつ間隔調整可能な第1の支柱及び第2の支柱を有する第1の門型フレーム(但し、前記第1の支柱と前記第2の支柱との間に第1の上部枠が設けられ、かつ、前記第1の上部枠との連結部を回動軸として回動し、先端側が前記第1の支柱の先端側に接続して取り付けられて前記第1の支柱の補強材として機能する伸縮可能な第1の斜脚が設けられ、かつ、前記第1の上部枠との連結部を回動軸として回動し、先端側が前記第2の支柱の先端側に接続して取り付けられて前記第2の支柱の補強材として機能する伸縮可能な第2の斜脚が設けられるものを除く)と、伸縮可能かつ間隔調整可能な第3の支柱及び第4の支柱を有する第2の門型フレーム(但し、前記第3の支柱と前記第4の支柱との間に第2の上部枠が設けられ、かつ、前記第2の上部枠との連結部を回動軸として回動し、先端側が前記第3の支柱の先端側に接続して取り付けられて前記第3の支柱の補強材として機能する伸縮可能な第3の斜脚が設けられ、かつ、前記第2の上部枠との連結部を回動軸として回動し、先端側が前記第4の支柱の先端側に接続して取り付けられて前記第4の支柱の補強材として機能する伸縮可能な第4の斜脚が設けられるものを除く)と、揚重機構と、を備えるが、道路橋の主桁から既設床版を引きはがす床版撤去装置が未設置である床版移動装置(但し、前記第1~第4の支柱の他に伸縮可能で鉛直方向に延びる支柱を備えるものを除く)をトレーラーに積載して施工現場に搬入する搬入工程であって、前記第1の支柱の間隔が前記トレーラーに積載可能な幅に収まり、かつ、前記第1の支柱の高さが前記トレーラーに積載した際に道路通行可能な高さに調整された状態で、前記床版移動装置の一部が前記トレーラーに積載されている、搬入工程と、
前記床版移動装置を所定の位置に据え付ける据付工程であって、前記第1~第4の支柱を高さ方向に伸ばすこと、および、前記第1の支柱と前記第2の支柱との間隔と、前記第3の支柱と前記第4の支柱との間隔とを広げることを含む、据付工程と、
前記トレーラーを退去させる退去工程と、
前記退去工程の後に前記床版移動装置に床版撤去装置を設置する工程と、
運搬車両の荷台に積載できる大きさに道路橋の既設床版を切断して切断片を形成する工程であって、前記切断片の橋軸直交方向の長さは、前記切断片の橋軸方向の長さより長い、工程と、
前記床版撤去装置により前記切断片を主桁から引きはがす工程と、
前記切断片を吊り上げることと、前記切断片の向きを90度回転することと、を前記揚重機構により行う工程と、
前記吊り上げられた前記既設床版の切断片の下方に荷台が位置するよう運搬車両を乗り入れる工程と、
前記運搬車両の荷台に前記切断片を積載する工程と、を含む、床版移動方法。
【請求項2】
前記吊り上げる工程では、前記既設床版の一端側に設けられた高欄が設置されたままの状態で、前記既設床版を吊り上げる請求項に記載の床版移動方法。
【請求項3】
伸縮可能かつ間隔調整可能な第1の支柱及び第2の支柱を有する第1の門型フレーム(但し、前記第1の支柱と前記第2の支柱との間に第1の上部枠が設けられ、かつ、前記第1の上部枠との連結部を回動軸として回動し、先端側が前記第1の支柱の先端側に接続して取り付けられて前記第1の支柱の補強材として機能する伸縮可能な第1の斜脚が設けられ、かつ、前記第1の上部枠との連結部を回動軸として回動し、先端側が前記第2の支柱の先端側に接続して取り付けられて前記第2の支柱の補強材として機能する伸縮可能な第2の斜脚が設けられるものを除く)と、伸縮可能かつ間隔調整可能な第3の支柱及び第4の支柱を有する第2の門型フレーム(但し、前記第3の支柱と前記第4の支柱との間に第2の上部枠が設けられ、かつ、前記第2の上部枠との連結部を回動軸として回動し、先端側が前記第3の支柱の先端側に接続して取り付けられて前記第3の支柱の補強材として機能する伸縮可能な第3の斜脚が設けられ、かつ、前記第2の上部枠との連結部を回動軸として回動し、先端側が前記第4の支柱の先端側に接続して取り付けられて前記第4の支柱の補強材として機能する伸縮可能な第4の斜脚が設けられるものを除く)と、揚重機構と、備える床版移動装置(但し、前記第1~第4の支柱の他に伸縮可能で鉛直方向に延びる支柱を備えるものを除く)をトレーラーに積載して施工現場に搬入する搬入工程であって、前記第1の支柱の間隔が前記トレーラーに積載可能な幅に収まり、かつ、前記第1の支柱の高さが前記トレーラーに積載した際に道路通行可能な高さに調整された状態で、前記床版移動装置が前記トレーラーに積載されている、搬入工程と、
前記床版移動装置を所定の位置に据え付ける据付工程であって、前記第1~第4の支柱を高さ方向に伸ばすこと、および、前記第1の支柱と前記第2の支柱との間隔と、前記第3の支柱と前記第4の支柱との間隔とを広げることを含む、据付工程と、
前記トレーラーを退去させる退去工程と、
搬送車両によって道路橋の新設床版片を搬入する工程であって、前記新設床版片の橋軸直交方向の長さは、前記新設床版片の橋軸方向の長さより長い、工程と、
前記新設床版片を吊り上げることと、前記新設床版片の向きを90度回転することと、を前記揚重機構により行う工程と、
前記吊り上げられた前記新設床版片を設置予定位置に位置決めする工程と、
前記設置予定位置に前記新設床版片を配置する工程と、を含む、床版移動方法。
【請求項4】
道路橋における一部を規制する工程を含み、
前記施工現場は、前記道路橋における他の一部である、請求項1乃至のいずれかに記載の床版移動方法。
【請求項5】
複数の車線を有する道路橋における一部の車線を規制する工程を含み、
前記施工現場は、前記道路橋における他の一部の車線である、請求項1乃至のいずれかに記載の床版移動方法。
【請求項6】
既設床版を新設床版に取り替えるのに用いられる床版移動装置であって、
揚重機構と、
高さ方向に伸縮可能な第1の支柱及び第2の支柱を有する第1の門型フレーム(但し、前記第1の支柱と前記第2の支柱との間に第1の上部枠が設けられ、かつ、前記第1の上部枠との連結部を回動軸として回動し、先端側が前記第1の支柱の先端側に接続して取り付けられて前記第1の支柱の補強材として機能する伸縮可能な第1の斜脚が設けられ、かつ、前記第1の上部枠との連結部を回動軸として回動し、先端側が前記第2の支柱の先端側に接続して取り付けられて前記第2の支柱の補強材として機能する伸縮可能な第2の斜脚が設けられるものを除く)と、
前記第1の門型フレームと対向して設けられ、前記第1の門型フレームと連結された、高さ方向に伸縮可能な第3の支柱及び第4の支柱を有する第2の門型フレーム(但し、前記第3の支柱と前記第4の支柱との間に第2の上部枠が設けられ、かつ、前記第2の上部枠との連結部を回動軸として回動し、先端側が前記第3の支柱の先端側に接続して取り付けられて前記第3の支柱の補強材として機能する伸縮可能な第3の斜脚が設けられ、かつ、前記第2の上部枠との連結部を回動軸として回動し、先端側が前記第4の支柱の先端側に接続して取り付けられて前記第4の支柱の補強材として機能する伸縮可能な第4の斜脚が設けられるものを除く)と、
施工現場に搬入された後に前記揚重機構に設置される、道路橋の主桁から既設床版を引きはがす床版撤去装置と、を備え、
前記揚重機構は、前記床版撤去装置に保持された切断片の向きを90度回転させるように構成される、床版移動装置(但し、前記第1~第4の支柱の他に伸縮可能であり鉛直方向に延びる支柱を備えるものを除く)
【請求項7】
既設床版を新設床版に取り替えるのに用いられる床版移動装置であって、
揚重機構と、
高さ方向に伸縮可能な第1の支柱及び第2の支柱を有する第1の門型フレーム(但し、前記第1の支柱と前記第2の支柱との間に第1の上部枠が設けられ、かつ、前記第1の上部枠との連結部を回動軸として回動し、先端側が前記第1の支柱の先端側に接続して取り付けられて前記第1の支柱の補強材として機能する伸縮可能な第1の斜脚が設けられ、かつ、前記第1の上部枠との連結部を回動軸として回動し、先端側が前記第2の支柱の先端側に接続して取り付けられて前記第2の支柱の補強材として機能する伸縮可能な第2の斜脚が設けられるものを除く)と、
前記第1の門型フレームと対向して設けられ、前記第1の門型フレームと連結された、高さ方向に伸縮可能な第3の支柱及び第4の支柱を有する第2の門型フレーム(但し、前記第3の支柱と前記第4の支柱との間に第2の上部枠が設けられ、かつ、前記第2の上部枠との連結部を回動軸として回動し、先端側が前記第3の支柱の先端側に接続して取り付けられて前記第3の支柱の補強材として機能する伸縮可能な第3の斜脚が設けられ、かつ、前記第2の上部枠との連結部を回動軸として回動し、先端側が前記第4の支柱の先端側に接続して取り付けられて前記第4の支柱の補強材として機能する伸縮可能な第4の斜脚が設けられるものを除く)と、を備え、
前記揚重機構は、前記揚重機構に保持された新設床版片の向きを90度回転させるように構成される、床版移動装置(但し、前記第1~第4の支柱の他に伸縮可能であり鉛直方向に延びる支柱を備えるものを除く)
【請求項8】
前記第1の支柱と前記第2の支柱との間隔を調整可能であり、
前記第3の支柱と前記第4の支柱との間隔を調整可能である、請求項6または7に記載の床版移動装置。
【請求項9】
トレーラーに積載可能な幅に収まるよう、前記第1の支柱と前記第2の支柱との間隔及び前記第3の支柱と前記第4の支柱との間隔を調整可能である、請求項に記載の床版移動装置。
【請求項10】
トレーラーに積載した際に道路通行可能な高さとなるよう、前記第1の支柱が高さ方向に調整可能である、請求項乃至のいずれかに記載の床版移動装置。
【請求項11】
前記第1の支柱は、油圧ジャッキにより高さ方向に伸縮自在である、請求項乃至10のいずれかに記載の床版移動装置。
【請求項12】
前記第1の支柱のそれぞれは、シリンダと、その下方に位置するピストンロッドと、を有する、請求項1に記載の床版移動装置。
【請求項13】
前記第1及び第2の門型フレームを連結する連結トラスを備える、請求項乃至12のいずれかに記載の床版移動装置。
【請求項14】
請求項乃至1のいずれかに記載の床版移動装置用の、高さ方向に伸縮自在であり、互いに対向する第1及び第2の支柱を有する、門型フレーム。
【請求項15】
前記第1の支柱と前記第2の支柱との間隔を調整可能である、請求項1に記載の門型フレーム。
【請求項16】
請求項に記載の床版移動装置用の、施工現場に搬入された後に揚重機構に設置される床版撤去装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床版移動方法及び床版移動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、I型の主桁上に設置された既設床版を新設床版に取り替える橋梁の床版取り替え工法において、既設床版を撤去する際には、まず、運搬車両の荷台に積載可能な形状に既設床版を切断する。こののち、例えばクレーン等の揚重装置を用いてこの既設床版の切断片を吊り上げつつ、運搬車両の荷台まで移動させる方法が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-204427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
床版移動装置を現場へ容易に搬入できるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態の重量物移動装置を用いた重量物の移動方法は、横行レールと、該横行レールの両端部近傍に対向して設けられる一対の門型フレームと、前記横行レールに沿って走行する揚重機構と、を備える重量物移動装置用いて重量物を揚重移動する、重量物移動方法であって、前記門型フレームが、高さ方向に伸縮自在な一対の支柱と、該支柱の上端部どうしを連結し長手方向に伸縮自在な連結梁と、を備え、前記支柱と前記連結梁が短小化された状態の前記門型フレームを、展開して据え付ける工程と、前記重量物を吊持させた状態の前記揚重機構を、前記横行レールに沿って走行させることにより、前記重量物を揚重移動する工程と、前記支柱と前記連結梁の両者を短小化することにより、前記展開した門型フレームを最小化する工程と、を備えることを特徴とする。
【0006】
また、一実施形態の重量物移動装置は、横行レールと、該横行レールの両端部近傍に対向して設けられる一対の門型フレームと、前記横行レールに沿って走行する揚重機構と、を備える重量物移動装置であって、前記門型フレームが、高さ方向に伸縮自在な一対の支柱と、該支柱の上端部どうしを連結し長手方向に伸縮自在な連結梁と、を有することを特徴とする。
【0007】
一実施形態の重量物移動装置を用いた重量物の移動方法及び重量物移動装置によれば、門型フレームが、高さ方向に伸縮自在な一対の支柱と、支柱の上端部どうしを連結し長手方向に伸縮自在な連結梁と、により構成される。これにより、支柱の最短長さを、トレーラーに積載した際に道路通行の可能な高さに設定し、連結梁の最短長さを、一対の支柱をトレーラーに積載可能な幅に収まる間隔で連結できる長さに設定することにより、重量物移動装置を分解することなくトレーラーに積載し施工現場に搬出入できる。
【0008】
その一方で、重量物の揚重作業を行う際には、トレーラーで施工現場に搬入したのちに組み立て作業を行うことなく、支柱と連結梁とをそれぞれ伸長して門型フレームを所望の大きさに展開し、据え付ければよい。
【0009】
したがって、施工現場で重量物移動装置を搬出入するたびに、組立及び解体作業を実施する必要が無く、施工性を大幅に向上することが可能となる。また、1台のトレーラで搬出入できるため、複数の運搬車両を必要とする場合と比較して搬送費用を削減することができ、工期短縮及び工費削減に寄与する寄与することが可能となる。
【0010】
さらに、従来技術では、市場で取引されている一般的な装置であるリフターを2台、合計8本の支柱を設置するスペースが必要なところ、一実施形態では、門型フレームが2本の支柱を備える構造であるため合計4本の支柱を設置するスペースで足り、狭小なスペースにも設置することが可能となる。また、施工現場で重量物移動装置を据え付ける際は、門型フレームの支柱および連結梁を所望の長さに伸長して展開でき、作業エリアとなる内方空間に所望の広さを確保することが可能となる。
【0011】
一実施形態の重量物移動装置は、前記横行レールの一方の端部が、対向する一対の前記門型フレームより外方に張り出して設けられ、該横行レールの一方の端部に、積込みホイストが設けられることを特徴とする。
【0012】
一実施形態の重量物移動装置によれば、横行レールの一方の端部に、積込みホイストが設けられることから、重量物を吊り上げた揚重機構を横行レールに沿って走行させ、重量物を横行レールの一方の端部まで移動させたのち、積込みホイストに盛り替えて重量物を再度吊り上げることができる。これにより、積込みホイストを利用して搬送車両への重量物の積み込み作業を行いながら、揚重機構で新たな重量物の移動作業を実施でき、作業効率を大幅に向上することが可能となる。
【0013】
一実施形態の重量物移動装置は、前記横行レールと平行な側面に、サイドパネルが設けられていることを特徴とする。
【0014】
一実施形態の重量物移動装置によれば、内方空間に設定される作業エリアのプロテクタとしてサイドパネルが機能する。したがって、例えば重量物移動装置を道路工事に適用する際、重量物移動装置の側方で一般車両を通行させつつ内方空間の作業エリアで道路工事を進捗させても、作業上の安全性を向上させることが可能となる。
【0015】
一実施形態の重量物移動装置は、前記揚重機構に、橋梁の主桁から既設床版を引きはがす床版撤去装置が設置されていることを特徴とする。
【0016】
一実施形態の重量物移動装置によれば、揚重機構に床版撤去装置が支持されていることから、橋梁の主桁から既設床版を撤去する際、運搬車両に積載可能に切断した切断片を、床版撤去装置を用いて主桁から引きはがして撤去する。次に、切断片と床版撤去装置とを揚重機構で吊り上げ、横行レールに沿って揚重機を走行させて切断片を床版撤去装置とともに移動させる。そのうえで、切断片を床版撤去装置から取り外せば、切断片を施工現場から搬出できる。
【0017】
これにより、重量物移動装置を用いて切断片の撤去から搬出までの一連の作業を実施でき、作業効率を大幅に向上させることができる。また、床版撤去装置を常時揚重機構に支持させておくことができるため、床版撤去装置の仮置き場が不要となり、作業エリアを広く確保することが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
施工現場への床版移動装置の搬入が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施の形態における重量物移動装置をトレーラーに積載した様子を示す図である。
図2】本発明の実施の形態における重量物移動装置の後面を示す図である。
図3】本発明の実施の形態における重量物移動装置の側断面(A-A断面)を示す図である。
図4】本発明の実施の形態における揚重機構を示す図である。
図5】本発明の実施の形態における旋回レール及び旋回トロリーを示す図である。
図6】本発明の実施の形態における床版撤去装置を示す図である。
図7】本発明の実施の形態における重量物移動装置を用いて既設床版の切断片を主桁から撤去し移動する手順を示す図である(その1)。
図8】本発明の実施の形態における重量物移動装置を用いて既設床版の切断片を主桁から撤去し移動する手順を示す図である(その2)。
図9】本発明の実施の形態における重量物移動装置を用いて既設床版の切断片の撤去跡に新設床版片を配置する手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の重量物移動装置は、重量物を揚重し移動させる装置であって、トレーラに積載可能でありながら、施工現場にて所望の高さ及び幅に展開することの可能な構造を有するものである。本実施の形態では、道路橋のI型主桁に設置された既設床版を新設床版に取り替える橋梁の床版取り替え工法に、重量物移動装置を適用する場合を事例に挙げ、以下にその詳細を説明する。
【0021】
なお、床版取り替え工法では、既設床版を新設床版に取り替えるにあたって、既設床版を運搬車両の荷台に積載できる大きさの切断片に切断するが、重量物移動装置は、この切断片を主桁上から移動させ、運搬車両に積載するまでの作業を行う。
【0022】
≪≪重量物移動装置≫≫
重量物移動装置100は、図1(a)(b)で示すように、その大きさをトレーラーTに積載可能な長さL、幅W、及び高さHに変更できる構造を有し、図2で示すように、一対の門型フレーム12を備える伸縮フレーム機構10と、一対の門型フレーム12に架け渡された横行レール11に沿って移動する揚重機構20と、揚重機構20に設置された床版撤去装置30とを備える。
【0023】
≪伸縮フレーム機構≫
伸縮フレーム機構10は、図2及び図3で示すように、1対の門型フレーム12と、門型フレーム12どうしを連結する1対の連結トラス15と、連結トラス15に平行に配置される2体の横行レール11と、を備え、門型フレーム12は、図2で示すように、間隔をもって配置された一対の支柱13と、一対の支柱13の上端部近傍を連結した連結梁14とにより構成されている。
【0024】
支柱13は、伸縮機構を有する揚重装置であればいずれを採用してもよいが、本実施の形態では油圧ジャッキを採用し、図2で示すように、シリンダ131が上方に位置しピストンロッド132が下方に位置するように配置されている。また、支柱13の最短長さは、図1(b)で示すように、トレーラーTに積載した際に道路通行の可能な高さHに設定されている。
【0025】
連結梁14は、図2で示すように、その両端部に長さを調整可能なテレスコピック機構が設けられており、最短長さは、図1(b)で示すように、一対の支柱13をトレーラーTに積載可能な幅Wに収まる間隔で連結できる長さに設定されている。
【0026】
なお、支柱13と連結梁14との取り合いには図2で示すように、ブレース材121が設けられて補強がなされている。ブレース材121は、上記のとおり門型フレーム12が展開した際これに追従するよう、ネジ式伸縮部材や油圧ジャッキ等の伸縮装置により構成されているとともに、その両端部が支柱13および連結梁14に対して回転自在に連結されている。
【0027】
連結トラス15は、トレーラーTに積載可能な長さLより短小な間隔で並列配置された一対の門型フレーム12どうしを連結するものであり、図2で示すように、門型フレーム12を構成する一対の支柱13と同じ間隔で、2本が並列配置されている。そして、2本の連結トラス15の間に、これらと平行して2本の横行レール11が所定の間隔を有して配置されている。
【0028】
2本の横行レール11はそれぞれ、図3で示すように、一対の門型フレーム12を架け渡すようにして両端部の近傍各々が、連結梁14の下面側に設置されている。その長さは、連結トラス15より長く、最大でトレーラーTに積載可能な長さLに形成され、両端部各々が一対の門型フレーム12の間に形成された空間から外方に突き出している。そして、横行レール11各々の一方の端部には、2台の積込みホイスト112が隣接して配置され、他方の端部にはチェーンブロック111が設置されている。
【0029】
積込みホイスト112は、後述する揚重機構20により移動された切断片Pを、図8(b)で示すように、運搬車両Cに積載する際に使用するものであり、横行レール11に架け渡すように2台が設置されている。また、チェーンブロック111は、1本の横行レール11に1台ずつで合計2台が補助揚重機構として設置されているが、必ずしも設けなくてもよい。
【0030】
そして、断面がI型の鋼材により形成される2本の横行レール11にはそれぞれ、下フランジをレールにして、揚重機構20の横行トロリー21が走行している。
【0031】
≪揚重機構≫
揚重機構20は、図4(a)(b)で示すように、横行レール11の下フランジに沿って走行する横行トロリー21と、横行トロリー21に吊持されている直交レール22と、直交レール22に沿って走行する直交トロリー23と、直交トロリー23に支持される旋回レール24を備える。
【0032】
横行トロリー21は、1本の横行レール11に対して2台が間隔を有して設けられており、2本の横行レール11に沿って合計4台が同期して走行する。また、これら横行トロリー21に吊持された直交レール22は、2本が間隔を有して横行レール11に直交する方向に延在している。そして、1本の直交レール22に対して直交トロリー23が2台間隔を有して設けられており、合計4台が同期して2本の直交レール22に沿って走行する。
【0033】
旋回レール24は、図4及び図5で示すように、4台の直交トロリー23に支持された平面視円形のレールである。上記のとおり4台の直交トロリー23は、横行トロリー21に吊持された直交レール22に沿って走行するから、旋回レール24の伸縮フレーム機構10に対する平面視位置は、図5で示すように、横行レール11の延在方向及び直交レール22の延在方向に移動させて調整することができる。
【0034】
揚重機構20はさらに、旋回レール24に沿って走行する旋回トロリー25と、旋回トロリー25に設けられている揚重ホイスト26とを備えている。
【0035】
旋回トロリー25は、図5で示すように平面視で、旋回レール24に対して45度の間隔で4台設置され、隣り合う旋回トロリー25どうしが連結材251を介して連結されている。これにより、旋回トロリー25は常時、45度の間隔を保持しながら旋回レール24上を走行する。
【0036】
揚重ホイスト26は、図4(a)(b)で示すように、4体の旋回トロリー25各々に設置され、これにより揚重機構20に合計4台設置される。そして、この揚重ホイスト26で重量物を揚重することもできるが、本実施の形態では、図3で示すように、揚重ホイスト26で床版撤去装置30を吊持し、この床版撤去装置30を介して道路橋B上で切断した既設床版の切断片Pを主桁Dから撤去する。
【0037】
≪床版撤去装置≫
床版撤去装置30は、道路橋Bの主桁Dから切断片Pを引きはがす装置であり、図6(a)(b)で示すように、一対の縦材31及び一対の横材32をにより形成されるフレーム33と、フレーム33に設置されている吊荷用アンカー部材34、反力ジャッキ35、及び吊治具36により構成されている。
【0038】
縦材31及び横材32はともに、一対の溝形鋼を1組として形成した長尺鋼材に形成され、溝形鋼のウェブどうしを隙間を設けて背合わせすることにより、長尺鋼材の中央部には軸線と平行する隙間が形成されている。
【0039】
フレーム33は、図6(a)で示すように、間隔を設けて配置した一対の横材32と、その上面に同じく間隔を設けて配置された一対の縦材31とにより平面視井桁状に形成されている。このとき、縦材31及び横材32はいずれも長尺鋼材の隙間が上下方向に貫通する姿勢に配置されている。
【0040】
吊荷用アンカー部材34は、フレーム33における横材32と縦材31とが重なる4か所各々に配置され、図6(c)で示すように、アンカーロッド341がフレーム33を貫通した状態で、頭部が縦材31の上面にアンカープレート342を介して頭部ナット343で固定されている。また、アンカーロッド341の先端部は、切断片Pを貫通しその下面に先端ナット344で固定されている。これにより、吊荷用アンカー部材34を介して切断片Pをフレーム33に連結することができる。
【0041】
反力ジャッキ35は、図6(a)で示すように、フレーム33の4隅となる横材32の両端部各々に配置され、図6(c)で示すように、油圧ジャッキのピストンロッド351が横材32の下面より下方に突出する態様で、シリンダ352を横材32に内装させている。
【0042】
ここで、フレーム33における横材32は、図6(b)(c)で示すように、反力ジャッキ35のピストンロッド351が配置されている両端部近傍の下面に切欠き331が設けられており、反力ジャッキ35を最も短縮させた状態でピストンロッド351の押圧面が、フレーム33の下面より突出しない形状となっている。
【0043】
したがって、図6(b)で示すように、反力ジャッキ35のピストンロッド351に阻害されることなく、フレーム33を切断片Pの上面に積層することができる。そして、この状態で、切断片Pとフレーム33とを連結し、反力ジャッキ35を伸長すると、撤去しようとする切断片Pの周囲をピストンロッド351が押圧する。
【0044】
これにより、図6(c)で示すように、フレーム33は、下面が道路橋Bの主桁Dに固着されている切断片Pを主桁Dから引きはがしつつ上昇する。こうして、切断片Pを道路橋Bの主桁Dから撤去することが可能となる。
【0045】
そして、床版撤去装置30は、フレーム33の上面に吊治具36が設置されているから、この吊治具36を介して揚重ホイスト26により、切断片Pとともに吊り上げられる。
【0046】
上述する構成の重量物移動装置100は、図3で示すように、伸縮フレーム機構10の側面、つまり連結トラス15とこの連結トラス15で連結されている支柱13で囲まれる面にトラス構造16が採用されて補強がなされているとともに、サイドパネル17が設置されている。このサイドパネル17は、伸縮フレーム機構10の内方空間に設けられている作業エリアのプロテクタとして機能する。
【0047】
したがって、橋梁の床版取り替え工法で既設床版の切断片Pを主桁Dから撤去し移動する際、重量物移動装置100の側方で一般車両を通行させつつ、伸縮フレーム機構10内の作業エリアで作業を進捗させることが可能となる。なお、トラス構造16及びサイドパネル17はともに、支柱13のシリンダ131の高さ範囲に設けられているため、支柱13の伸長もしくは短縮の挙動を阻害することはない。
【0048】
また、サイドパネル17は、図1で示すように、トレーラー7に載置した際の運転手側もしくは助手席側のいずれか一方を、シリンダ131の高さ範囲全体に設置し、他方を、下端側を切欠き171を設けておくとよい。これは、既設床版の取替え作業を全段面(横断面全面)で行う方法ではなく、半断面ごとにを取り替える半断面床版取り替え工法に適用する際に好適である。
【0049】
半断面床版取替え工法は、例えば追い越し車線と走行車線を有する2車線の道路橋Bにおいて車線規制を行い、半断面分、つまりコンクリート床版202における走行車線側と追い越し車線側のいずれか一方を新設床版に取替え、これと前後して、他方側の半断面分も同様に新設床版に取替える方法である。
【0050】
このような半断面床版取替え工法に適用すると、道路橋Bの両側各々に設けられた高欄Hのうち、図2で示すように、一方が設置されたままの既設床版の切断片Pを、サイドパネル17の切欠き171を利用して、伸縮フレーム機構10の内方空間に設定した作業エリアに取り込んで、撤去作業を行うことができる。
【0051】
その一方で、シリンダ131の高さ範囲全体にサイドパネル17を設けた側は、不慮の事態により作業エリアから機器や切断片Pが飛出す現象を抑制できる。したがって、切欠き171を設けたサイドパネル17を利用して、伸縮フレーム機構10内の作業エリアで切断片Pの撤去作業を行いつつ、シリンダ131の高さ範囲全体にサイドパネル17を設けた側の外方で、一般車両を安全に供用させることができる。
【0052】
≪≪重量物移動装置を用いた重量物の移動方法≫≫
上述する重量物移動装置100を用いた重量物の移動方法を、上述する橋梁の半断面床版取り替え工法で、既設床版の切断片Pを主桁Dから撤去し移動する場合、及び施工現場内に仮置きした新設床版片Nを、切断片Pの撤去移動跡地に配置する場合を事例に挙げ、以下にその手順を説明する。なお、重量物である切断片Pは、図7(a)で示すように、道路橋Bの主桁D上に設置された状態で、運搬車両Cの荷台に積載できる大きさにあらかじめ切断されている。
【0053】
≪既設床版の切断片Pを撤去移動し施工現場から搬出する場合≫
まず、図1で示すように、重量物移動装置100を解体することなく、門型フレーム12の支柱13及び連結梁14を最も短小化させた状態でトレーラーTに積載し、道路橋B上の施工現場に搬入する。
【0054】
次に、図7(a)で示すように、伸縮フレーム機構10に設けた横行レール11を道路橋Bの橋軸方向に向けた状態で、撤去予定の切断片Pを跨ぐ位置に重量物移動装置100を積載したトレーラーTを停車させる。そして、門型フレーム12の支柱13及び連結梁14を適宜伸長させて、重量物移動装置100の伸縮フレーム機構10を所望の大きさに展開し、道路橋B上の所定の位置に据え付ける一方で、トレーラーTは退去させる。この作業と前後してもしくは同時に、揚重機構20の揚重ホイスト26に床版撤去装置30を設置する。
【0055】
こののち、横行トロリー21を横行レール11に沿って走行させて、揚重機構20を橋軸方向に移動させるとともに、必要に応じて直交トロリー23を直交レール22に沿って走行させ、揚重機構20をさらに橋軸直交方向に移動させ、揚重機構20に支持されている床版撤去装置30を、撤去予定の切断片Pの上方に位置決めする。
【0056】
こうして、床版撤去装置30の位置合わせを行ったところで、図7(b)で示すように、揚重機構20の揚重ホイスト26を用いて床版撤去装置30を吊り下ろし、切断片Pの上面に積層する。そして、床版撤去装置30の吊荷用アンカー部材34を用いて、切断片Pと床版撤去装置30のフレーム33とを連結する。
【0057】
切断片Pにはあらかじめアンカー挿通孔(図示せず)を設けておき、図6(b)で示すように、このアンカー挿通孔に吊荷用アンカー部材34のアンカーロッド341を貫通させて、切断片Pの下面に先端ナット334で固定する。一方、アンカーロッド341の頭部は、フレーム33の上面にアンカープレート342を介して頭部ナット333で固定する。
【0058】
こののち、図6(c)で示すように、床版撤去装置30の反力ジャッキ35を伸長させ、ピストンロッド351の下面で切断片Pの周囲を押圧することにより、切断片Pがフレーム33と上昇し、切断片Pは主桁から完全に引きはがされる。この状態で、揚重機構20の揚重ホイスト26を介して切断片Pが連結されたフレーム33を所定高さまで上昇させる。
【0059】
本実施の形態では、切断片Pの橋軸直交方向の長さを橋軸方向より長大に切断していることから、図8(a)で示すように、揚重機構20の旋回トロリー25を旋回レール24に沿って走行させ、床版撤去装置30及び切断片Pの向きを90度回転し、運搬車両Cの荷台に積載する姿勢に転換する。
【0060】
この姿勢の切断片Pと床版撤去装置30を、揚重機構20の横行トロリー21を横行レール11に沿って走行させることにより橋軸方向に移動させ、横行レール11の一方の端部に設置した積込みホイスト112の直下に載置する。
【0061】
吊荷用アンカー部材34を取り外して切断片Pとフレーム33との連結を解除したのち、揚重機構20の横行トロリー21を横行レール11に走行させて床版撤去装置30のみを伸縮フレーム機構10の中ほどへ移動させ、床版撤去装置30を用いた新たな切断片Pの撤去作業を開始する。
【0062】
その一方で、載置された切断片Pを、図8(b)で示すように、積込みホイスト112を介して所定高さまで吊り上げるとともに、吊り上げられた状態の切断片Pの下方に荷台が位置するように運搬車両Cを乗り入れ、切断片Pを荷台に積載する。こうして、重量物移動装置100を介して撤去及び移動させた切断片Pを、道路橋Bから搬出することができる。
【0063】
≪仮置きした新設床版片Nを切断片Pの撤去移動跡地に配置する場合≫
上記の手順を繰り返して全ての切断片Pを撤去し終わったのち、主桁D上における切断片Pの撤去跡地に、新設床版片Nを敷設する。
【0064】
新設床版片Nは、搬送車両Cにより施工現場に搬入し、積込みホイスト112を利用して搬送車両Cの荷台から積込みホイスト112の下方における既設床版上に仮置きする。また、揚重機構20の揚重ホイスト26から床版撤去装置30を取り外したうえで、横行トロリー21を横行レール11に沿って積込みホイスト112の下方まで走行させる。
【0065】
次に、図9(a)で示すように、仮置きした新設床版片Nを揚重機構20の揚重ホイスト26を用いて吊持し、横行トロリー21を横行レール11に沿って移動させ、伸縮フレーム機構10の内方空間に設けた作業エリアまで移動させる。切断片Pの撤去移動跡地に配置する際の新設床版片Nの姿勢は、橋軸直交方向の長さが橋軸方向より長大となるから、揚重機構20の旋回トロリー25を旋回レール24に沿って走行させ、新設床版片Nの向きを90度回転し、主桁Dの上面に設置する際の姿勢に転換する。
【0066】
こののち、必要に応じて、図5で示すように、横行トロリー21を横行レール11に沿ってさらに移動させて揚重機構20を橋軸方向に移動させる。もしくは直交トロリー23を直交レール22に沿って走行させて揚重機構20を橋軸直交方向に移動させる等して、新設床版Pの位置を、主桁D上の設置予定位置に位置決めする。
【0067】
こうして、新設床版Pの位置合わせを行ったところで、図9(b)で示すように、揚重機構20の揚重ホイスト26を用いて新設床版片Nを吊り下ろし、主桁Dの上面に配置する。
【0068】
なお、新設床版片Nにはあらかじめ、揚重機構20の揚重ホイスト26に取り付け可能な取り付け具を着脱自在に設けて置くとよい。また、切断片Pの撤去作業と新設床版片Nの配置作業は、伸縮フレーム機構10の内方空間に設けた作業エリア内に位置する切断Pをすべて撤去したのち、新設床版片Nを順次設置してもよいし、切断片Pの撤去作業と新設床版片Nの配置作業とを交互に実施してもよい。
【0069】
上記の作業が終了したのち、重量物移動装置100を施工現場から搬出する。重量物移動装置100は解体することなく、門型フレーム12の支柱13及び連結梁14を最も短小化させてトレーラーTに積載可能な大きさに縮小させたのち、この縮小した重量物移動装置100をトレーラーTに積載し施工現場から搬出する。
【0070】
上記のとおり、橋梁の床版取り替え工法において、既設床版の切断片Pを主桁Dから撤去し移動する際に重量物移動装置100を用いると、切断片Pの撤去から搬出までの一連の作業を実施でき、作業効率を大幅に向上させることができる。また、床版撤去装置30を常時揚重機構20に支持させておくことができるため、床版撤去装置30の仮置き場が不要となり、作業エリアを広く確保することが可能となる。
【0071】
また、重量物移動装置100は、施工現場へ搬出入するたびに、組立てもしくは解体する必要が無く、施工性を大幅に向上することが可能となる。さらに、1台のトレーラTで搬出入できるため、複数のトレーラーTを必要とする場合と比較して搬送費用を削減することができ、工期短縮及び工費削減に寄与する寄与することが可能となる。
【0072】
また、門型フレーム12は2本の支柱を備える構造であり、一対の門型フレーム12より構成される伸縮フレーム機構10は合計4本の支柱13を有する構造であるため、小さい設置スペースにも設置することが可能となる。そして、施工現場で重量物移動装置100を据え付ける際は、門型フレーム12の支柱13および連結梁14を所望の長さに伸長することにより伸縮フレーム機構10を展開でき、作業エリアとなる内方空間に所望の広さを確保することが可能となる。
【0073】
本発明の重量物移動装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0074】
例えば、本実施の形態では、切断片Pを主桁Dから引きはがすべく、重量物移動装置100の揚重機構20に床版撤去装置30を設置し、床版撤去装置30を利用して切断片Pを撤去した。しかし、切断片Pが吊り上げるのみで撤去可能な状態にある場合には、床版撤去装置30を用いることなく揚重機構20の揚重ホイスト26を利用して、切断片Pを撤去してもよい。
【0075】
また、重量物移動装置で撤去する重量物は、切断片に限定されるものではなく、いずれの重量物にも重量物移動装置を適用することが可能である。
【0076】
さらに、横行レール11や直交レール22、横行トロリー21、直交トロリー23、旋回トロリー25等の数量は、いずれも上述した数量に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0077】
100 重量物移動装置10 伸縮フレーム機構11 横行レール111 チェーンブロック112 積込みホイスト12 門型フレーム121 ブレース材13 支柱131 シリンダ132 ピストンロッド14 連結梁15 連結トラス16 トラス構造17 サイドパネル20 揚重機構21 横行トロリー22 直交レール23 直交トロリー24 旋回レール25 旋回トロリー251 連結材26 揚重ホイスト30 床版撤去装置31 縦材32 横材33 フレーム34 吊荷用アンカー部材341 アンカーロッド342 アンカープレート343 頭部ナット344 先端ナット35 反力ジャッキ351 ピストンロッド352 シリンダT トレーラーC 搬送車両P 切断片H 高欄B 道路橋D 主桁N 新設床版片
図1
図2
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