(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-14
(45)【発行日】2023-08-22
(54)【発明の名称】液化製品自動出荷システム
(51)【国際特許分類】
B67D 7/04 20100101AFI20230815BHJP
B67D 7/78 20100101ALI20230815BHJP
B67D 7/32 20100101ALI20230815BHJP
【FI】
B67D7/04 Z
B67D7/78 C
B67D7/32 C
(21)【出願番号】P 2020008020
(22)【出願日】2020-01-22
【審査請求日】2022-08-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000109428
【氏名又は名称】日本エア・リキード合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金田 拓也
(72)【発明者】
【氏名】▲桑▼田 茂信
【審査官】古▲瀬▼ 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-183498(JP,A)
【文献】特開2004-051139(JP,A)
【文献】特開2009-228887(JP,A)
【文献】特開2007-024650(JP,A)
【文献】特開2017-033370(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 7/04
B67D 7/32
B67D 7/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンクローリーの積込スケジュールを管理するための配車管理装置と、
第一エリアに設置され、前記配車管理装置とネットワークを介して接続可能な出荷管理装置と、
前記第一エリアまたは前記第一エリアとは異なる第二エリアに設置され、前記出荷管理装置とネットワークを介して接続可能な第一データ読取装置と、
前記第一データ読取装置と同じエリアに設置され、前記出荷管理装置とネットワークを介して接続可能な第一出力手段と、
前記配車管理装置とネットワークを介して接続可能であって、タンクローリーの重量を計測するトラックスケールと、
前記第一、第二エリアとは異なる第三エリアに設置され、各液化製品に対応して設置される第二データ読取装置と、
前記第三エリアに設置され、前記出荷管理装置とネットワークを介して接続可能な第二出力手段と、
充填される液体製品が自動的に導入されて分析を実行する自動分析装置と、
前記自動分析装置を制御する分散制御装置と、を備
え、
前記出荷管理装置は、
第二データ読取装置で読み取られたデータと、入場時計量済か否か、充填場のガス種別が適正か否かの照合を行う充填照合部と、
測定された充填後重量が、過積載か否かの判定をする重量判定部と、を有する、
液化製品自動出荷システム。
【請求項2】
前記自動分析装置は、
タンクローリーから導出される各種分析サンプルガスの第一導入経路と、
各種製品タンクから導出される各種製品タンクガスの第二導入経路と、
前記第一導入経路と前記第二導入経路とが経路切替手段を介して連結される配管経路と、
前記配管経路と接続される各種分析計と、
前記経路切替手段および/または前記配管経路と接続され、各種分析サンプルガスおよび/または各種製品タンクガスを排気管へ送り込むための排気経路と、を備える、請求項
1に記載の液化製品自動出荷システム。
【請求項3】
タンクローリーの積込スケジュールを管理するための配車管理装置と、
第一エリアに設置され、前記配車管理装置とネットワークを介して接続可能な出荷管理装置と、
前記第一エリアまたは前記第一エリアとは異なる第二エリアに設置され、前記出荷管理装置とネットワークを介して接続可能な第一データ読取装置と、
前記第一データ読取装置と同じエリアに設置され、前記出荷管理装置とネットワークを介して接続可能な第一出力手段と、
前記配車管理装置とネットワークを介して接続可能であって、タンクローリーの重量を計測するトラックスケールと、
前記第一、第二エリアとは異なる第三エリアに設置され、各液化製品に対応して設置される第二データ読取装置と、
前記第三エリアに設置され、前記出荷管理装置とネットワークを介して接続可能な第二出力手段と、
充填される液体製品が自動的に導入されて分析を実行する自動分析装置と、
前記自動分析装置を制御する分散制御装置と、を備え、
前記自動分析装置は、
タンクローリーから導出される各種分析サンプルガスの第一導入経路と、
各種製品タンクから導出される各種製品タンクガスの第二導入経路と、
前記第一導入経路と前記第二導入経路とが経路切替手段を介して連結される配管経路と、
前記配管経路と接続される各種分析計と、
前記経路切替手段および/または前記配管経路と接続され、各種分析サンプルガスおよび/または各種製品タンクガスを排気管へ送り込むための排気経路と、を備える、
液化製品自動出荷システム。
【請求項4】
前記分散制御装置は、
前記第一導入経路と前記第二導入経路とを切り替えるための前記経路切替手段に指令を出し経路の切替を制御する経路切替制御部と、
測定値の安定判定を行う安定判定部と、
安定判定部で安定であると判定された後、測定値と規格値とを比較する比較部と、
比較部の比較結果が、規格値を満足していない場合に、各種分析計による分析を繰り返し実行するように各種分析計の稼働を制御する繰返制御部と、
測定時刻と紐づけて各種測定データを記憶するデータ記憶部と、を有する、
請求項
2または3に記載の液化製品自動出荷システム。
【請求項5】
前記安定判定部は、
任意の測定値が規格値以下となったか否かを判定する第一サブ判定部と、
1以上の所定時間毎の測定値の全てが、規格値の範囲内であって、かつ各所定期間内の測定値が、その所定期間内の最初の測定値を基準にした上限値と下限値の範囲内に収ま
るか否かを判定する、第二サブ判定部と、を有する、
請求項
4に記載の液化製品自動出荷システム。
【請求項6】
前記経路切替制御部は、
少なくとも、前記経路切替手段に設けられるセンサで検知されるセンサ検知信号に基づいて、経路切替が正常か否かを判断する切替正常判定部を有する、
請求項
4または5に記載の液化製品自動出荷システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば空気分離装置で製造された液化製品の自動出荷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
空気分離装置を備えた液化製品製造工場では、液化酸素、液化窒素、液化アルゴン、液化炭素を製造し、移動式低温液化貯槽(以下「タンクローリー」または簡単に「ローリー」と称する)へ充填し、出荷することが行われている。
【0003】
従来の出荷フローの一例を以下に示す。
(S1)タンクローリーは、工場へ入場すると、トラックスケールに載り、その重量が計量される。
(S2)ローリーの乗務員は、ローリーから降りて、計量室でカードリーダーに計量カードをかざし出荷照合システムと照合する。出荷照合システムには、運送会社からの連絡で予め出荷予定がデータとして記憶されている。
(S3)出荷照合システムが出荷予定の有無の判断を行う。出荷予定にない場合には、運送会社へ電話で問い合わせをしていた。
(S4)出荷予定があれば、計量器のカードリーダーに計量カードをかざし、ローリーの計量を完了させる。
(S5)ローリーを液化製品の充填場まで移動する。乗務員がポンプの自動起動ボタンをONする。これにより、ポンプを起動できる。
(S6)ローリーの充填ホースを所定の供給口に接続し、ホース内を洗浄する。
(S7-1)ホース内の洗浄が終了したら、液化製品の充填を開始する(積込弁を開け、パージ弁を閉じる)。
(S7-2)充填開始と並行して、分析用配管をローリーの所定箇所に接続し、分析盤の自動分析ボタンをONして自動分析を開始する。分析結果が合格すれば分析終了し、分析配管を取り外す。
(S8)液化製品の積込が完了したら、積込弁を閉じる。ホース内液をブローし積込ホースを取り外す。
(S9)ポンプ停止ボタンをOFFする。
(S10)ローリーをトラックスケールまで移動する。
(S11)計量器のカードリーダーに計量カードをかざし、計量を完了させる。
(S12)計量室で出荷照合システムと照合する(カードリーダーに計量カードをかざす)。
(S13)ローリーを待機場所へ移動する。
(S14)乗務員は、(S7-2)の分析結果である分析表を所定場所(コントロール室)へ取りに行く。
(S15)乗務員は、ローリーに戻り、そして工場から退場する。
【0004】
上記(S7-2)および(S14)の分析についてより具体的に示す。
(7-2-1)乗務員が分析用配管を接続し、コントロール室へ電話をする。
(7-2-2)オペレータは分析ラインを切り替える。
(7-2-3)一定時間経過後、オペレータが測定値(O2、露点)を読み取り、台帳に結果を記入する。また、分析はガスクロマトグラフィーによる手動分析も行われている。
(7-2-4)乗務員に分析終了を連絡する。
(7-2-5)台帳の記入データをもとにパソコン上の分析表発行システムを使い分析表を発行する。
(7-2-6)発行者および上長が内容を確認し捺印する。
(7-2-7)乗務員が分析表を取りにコントロール室へ行く。
【0005】
特許文献1ではタンクローリー出荷管理システムにおいて、タンクローリーのドライバーが所持するICタグに入力された出荷関連情報と、タンクローリーへ化学品積込を行う設備に設置されたコンピュータが有する情報とをクロスチェックすることにより誤操作等を防止する方法が開示されている。ドライバーが所持するICタグには、出荷毎に乗務員がマニュアル操作により上位コンピュータのデータを参照しながら出荷関連情報を入力する。
【0006】
特許文献2は、化学品出荷における化学品積込情報システムであって、ドライバー情報が積込スケジュールに含まれているか否かを照合し、照合結果を表示し、照合結果において、ドライバー情報が積込スケジュールに含まれていた場合に、積込承認を要求し、この承認要求を、積込承認ルールに基づいて承認するか否かを判断することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2004-51139号公報
【文献】特開2018-58691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の従来の出荷業務では、ローリー照合、計量、分析をそれぞれ独立したシステムで行っていた。ローリー照合では、配車担当部門の人員が顧客からの注文を基準にオーダー情報を入力し、FAXなど紙媒体で工場へ依頼する。工場では受け取ったオーダー情報を基準に来場するローリーとの照合を行う。ローリー乗務員は来場した際に構内電話にローリー番号、荷受先などの予定を工場へ連絡し、充填の許可等を得る。オーダー情報と不一致があった場合は電話連絡し、双方で修正を行う必要があった。
工場担当者はオーダーに従い、ローリーの分析を実施する。分析作業もガス経路の切替、分析チャートのコピー、分析レポート作成など多くの作業を必要としていた。
また特殊な分析(ガスクロ)では多くの時間を要し、その際は工場担当者及び乗務員とも完了までの相当な待ち時間を浪費していた。
上記の通り、計量器へのローリー情報(容器使用期限、最大積載量、所属会社、品種等)を登録することはできたが、煩雑であった。
また、自動分析装置は、測定値の安定化判定が困難であり、ガスクロマトグラフィー計測も自動的に実行する構成では無かった。
【0009】
また、特許文献1から2は、出荷フローの効率的自動化や、分析の効率的自動化と分析の信頼性向上については言及していない。
【0010】
本発明の目的は、液化製品出荷業務における業務効率の改善と自動化による信頼性向上が可能な液化製品自動出荷システムを提供することにある。
また、充填される液化製品を自動的に分析する自動分析装置を備える液化製品自動分析システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の液化製品自動出荷システムは、
タンクローリーの積込スケジュールを管理するための配車管理装置と、
第一エリア(例えばコントロール室)に設置され、前記配車管理装置とネットワークを介して接続可能な出荷管理装置と、
前記第一エリアまたは前記第一エリアとは異なる第二エリア(例えば計量室)に設置され、前記出荷管理装置とネットワークを介して接続可能な第一データ読取装置(例えばカードリーダ、タブレットなど)と、
前記第一データ読取装置と同じエリアに設置され、前記出荷管理装置とネットワークを介して接続可能な第一出力手段(例えばプリンター、表示装置、音声出力可能なスピーカー)と、
前記配車管理装置とネットワークを介して接続可能であって、タンクローリーの重量を計測するトラックスケールと、
前記第一、第二エリアとは異なる第三エリア(例えば液化製品の充填場)に設置され、各液化製品に対応して設置される第二データ読取装置(例えばカードリーダ、タッチパネルなど)と、
前記第三エリアに設置され、前記出荷管理装置とネットワークを介して接続可能な第二出力手段(例えばスピーカ、表示装置)と、
充填される液体製品が自動的に導入されて分析を実行する自動分析装置と、
前記自動分析装置を制御する分散制御装置と、
を備える。
【0012】
上記自動出荷システムは、
積込スケジュールのデータを記憶する積込スケジュール格納部と、
出荷の予定および実績のデータを記憶する出荷予実記憶部と、を備えていてもよい。
【0013】
出荷管理装置は、第一データ読取装置で読み取られたデータ(ID、スケジュール情報)と、積込スケジュールとを照合する入場照合部を備えていてもよい。
出荷管理装置は、第二データ読取装置で読み取られたデータ(ID)と、入場時計量済か否か、充填場のガス種別が適正か否かの照合を行う充填照合部を備えていてもよい。
出荷管理装置は、測定された充填後重量が、過積載か否かの判定をする重量判定部を備えていてもよい。
【0014】
自動分析装置は、
タンクローリーから導出される各種分析サンプルガスの第一導入経路と、
各種製品タンクから導出される各種製品タンクガスの第二導入経路と、
前記第一導入経路と前記第二導入経路とが経路切替手段(例えば、四方切替バルブ、三方切替バルブ、二方切替バルブなど)を介して連結される配管経路と、
前記配管経路と接続される各種分析計(窒素分析、酸素分析計、露点計、ガスクロマトグラフィー)と、
前記経路切替手段および/または前記配管経路と接続され、各種分析サンプルガスおよび/または各種製品タンクガスを排気管へ送り込むための排気経路と、を備える。
各種分析サンプルガスおよび各種製品タンクガスは、例えば、複数種の窒素、複数種の酸素、アルゴンが挙げられる。
前記第一、第二導入経路、前記配管経路には、各種分析サンプルまたは各種製品タンクガスの圧力を調整する圧力調整手段(例えば減圧弁、圧力計、ニードル弁など)と、その流量を調整する流量調整手段(マスフローメータ、ニードル付き流量計など)と、ポンプなどが備えられていてもよい。
各種分析計の分析や配管経路の洗浄のために、ゼロガス、比較ガス、パージガスが導入される配管経路がさらに備えられていてもよい。
各種分析計へ製品サンプルガスを送り込むため、排気経路へ製品サンプルガスを送り込むため、および/またはゼロガス、比較ガス、パージガスを排気経路へ送りこむために、配管経路を切り替える経路切替手段(例えば、四方切替バルブ、三方切替バルブ、二方切替バルブなど)をさらに備えていてもよい。
前記経路切替手段の駆動方式は、例えばエア駆動であってもよい。
上記自動分析装置は、
さらに、前記経路切替手段の切替えが正常に行われたか否かを検知するセンサを有していてもよい。例えば、弁の切り替えが正常か否かを検知するセンサが、弁に設置されていてもよい。センサは、例えば、弁の動き、弁位置を検知する近接センサ、静電容量センサ、光センサなどで構成されていてもよい。
【0015】
分散制御装置は、
前記第一導入経路と前記第二導入経路とを切り替えるための前記経路切替手段に指令を出し経路の切替を制御する経路切替制御部と、
測定値の安定判定を行う安定判定部と、
安定判定部で安定であると判定された後、測定値と規格値とを比較する比較部と、
比較部の比較結果が、規格値を満足していない場合に、各種分析計による分析を繰り返し実行するように各種分析計の稼働を制御する繰返制御部と、
測定時刻と紐づけて各種測定データを記憶するデータ記憶部と、を有していてもよい。
【0016】
前記経路切替制御部は、
少なくとも、前記経路切替手段に設けられるセンサで検知されるセンサ検知信号に基づいて、経路切替が正常か否かを判断する切替正常判定部を有していてもよい。センサ検知信号は、センサから流量調整手段(あるいは圧力調整手段)及び/または経路切替制御部(あるいは切替正常判定部)へ送られてもよい。
切替正常判定部は、前記経路切替手段から前記各種分析計までの経路に設けられる、各種分析サンプルガスおよび各種製品タンクガスの流量を調整する流量調整手段で測定される測定流量(あるいは圧力調整手段で測定される測定圧力)と、前記センサ検知信号とに基づいて、経路切替が正常か否かを判断してもよい。
切替正常判定部は、前記センサ検知信号が正常であり(例えば、検知信号あり)、かつ流量調整手段(圧力調整手段)からの測定流量(測定圧力)が正常範囲である(測定値が正常な範囲内)場合に、切替が正常であると判断し、そうでない場合に、切替が正常でないとして、分析異常として出力をしてもよい。切替正常判定部は、前記センサ検知信号の受信または経路切替が正常であると判断されてから所定時間経過するまでの期間の前記測定流量(あるいは測定圧力)を無視し、その所定時間経過後の測定流量(測定圧力)に基づいて判定してもよい。
【0017】
前記安定判定部は、
任意の測定値が、(製品出荷の合格か否かの判断基準である)規格値の範囲内となったか否かを判定する第一サブ判定部と、
1以上の所定時間毎の測定値(第i測定値から第i+n測定)の全てが、規格値の範囲内であって、かつ各所定期間内の測定値が、その所定期間内の最初の測定値(第i測定値)を基準にした上限値と下限値の範囲内に収まっているか否かを判定する第二サブ判定部と、を有していてもよい。
前記第二サブ判定部は、
規格値の範囲内となった測定値(第1測定値という。)から第一所定時間内(所定時間の1回目)の測定値(第1、・・、第x測定値)の全てが、規格値の範囲内であって、かつ測定値(第1測定値)を基準にした上限値と下限値の範囲内に収まっているか否かを判定し、
次の第二所定時間内(所定時間の2回目)の測定値(第x+1、・・、第x+y測定値)の全てが、規格値の範囲内であって、かつ測定値(第x+1測定値)を基準にした上限値と下限値の範囲内に収まっているか否かを判定し、
次の第三所定時間内(所定時間の3回目)の測定値(第x+y+1、・・第x+y+z測定値)の全てが、規格値の範囲内であって、かつ測定値(第x+y+1測定値)を基準にした上限値と下限値の範囲内に収まっているか否かを判定してもよい。判定の回数は、3回に限定されず、所定時間の4回目、5回目、それ以上または1回、2回でもよい。所定時間は特に制限されないが、分析時間と分析待ち時間などを考慮して設定されてもよい。
前記安定判定部は、上記第二サブ判定部の判定で、1以上の所定時間毎の測定値の全てが、規格値の範囲内であって、かつ各所定期間内の測定値が、その所定期間内の最初の測定値(第i測定値)を基準にした上限値と下限値の範囲内に収まっていれば、測定値が安定であると判定し、そうでなければ安定でないと判定してもよい。
【0018】
また、別実施形態として、前記第二サブ判定部は、
規格値の範囲内となった測定値(第1測定値という。)から1以上の所定時間内の測定値(第1、・・、第n測定値)の全てが、規格値の範囲内であって、かつ、その所定時間内の判定対象である各測定値(第i測定値)がその直前の第(i-1)測定値)を基準にした上限値と下限値の範囲内に収まっているか否かを判定してもよい。
前記安定判定部は、上記第二サブ判定部の判定で、規格値の範囲内となった測定値(第1測定値という。)から1以上の所定時間内の測定値(第1、・・、第n測定値)の全てが、規格値の範囲内であって、かつ、その所定時間内の判定対象である各測定値(第i測定値)がその直前の第(i-1)測定値)を基準にした上限値と下限値の範囲内に収まっていれば、測定値が安定であると判定し、そうでなければ安定でないと判定してもよい。
【0019】
上限値と下限値は、分析サンプルガスおよび分析計の種類に応じて予め設定され、任意に入力することができる。
【0020】
上記分散制御装置は、さらに、
ゼロガス、比較ガス、パージガスの導入のために配管経路を切り替えるための前記経路切替手段に指令を出し経路の切替を制御する第二経路切替制御部と、
ゼロガス、比較ガス、パージガスのそれぞれが前記各種分析計へ導入される時間を自動的に制御する(例えば、第二経路切替制御部の切替制御などを含む)導入時間制御部と、
前記各種分析計を自動校正するように各種分析計を制御する校正制御部と、
を備えていてもよい。
【0021】
液化製品自動出荷システムは、クラウドサーバまたはデータベースとネットワーク接続され、入出庫、分析などの各種実績データは全て保存されてもよい。
液化製品自動出荷システムとクラウドサーバまたはデータベースは、リアルタイムにデータの相互送受信が可能であってもよい。
【0022】
本発明において「積込スケジュール」は、例えば、タグの固有ID、輸送車両のID、車番、輸送すべき化学品名、化学品の分析表に関するデータ、少なくとも輸送当日の積込みスケジュールのうち1つ以上のデータを有する。
【0023】
本発明において「ドライバー情報」は、例えば、タグの固有ID、輸送車両のID、車番のうち少なくとも1つを有する。
前記液化製品自動出荷システムは、液化製品を積込むタンクローリーを管理する輸送車両管理サーバとネットワークを介して接続可能であってもよい。輸送車両管理サーバは、積込スケジュールを保存していてもよい。
【0024】
本発明において、「カード」は、例えば、ICタグ、RFIDタグ、二次元コード、QRコード(登録商標)などが挙げられる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、液化製品出荷業務における業務効率の改善と自動化による信頼性向上が可能である。また、充填される液化製品を自動的に分析することが可能である。工場係員が介入する事なくローリー乗務員が各工程を進める事が可能となる。
【0026】
他の発明の液化製品自動分析システムについて示す。
充填される液体製品が自動的に導入されて分析を実行する自動分析装置と、
前記自動分析装置を制御する制御装置と、を備える、液化製品自動分析システムであって、
前記自動分析装置は、
タンクローリーから導出される各種分析サンプルガスの第一導入経路と、
各種製品タンクから導出される各種製品タンクガスの第二導入経路と、
前記第一導入経路と前記第二導入経路とが経路切替手段を介して連結される配管経路と、
前記配管経路と接続される各種分析計と、
前記経路切替手段および/または前記配管経路と接続され、各種分析サンプルガスおよび/または各種製品タンクガスを排気管へ送り込むための排気経路と、を備え、
前記制御装置は、
前記第一導入経路と前記第二導入経路とを切り替えるための前記経路切替手段に指令を出し経路の切替を制御する経路切替制御部と、
測定値の安定判定を行う安定判定部と、
安定判定部で安定であると判定された後、測定値と規格値とを比較する比較部と、
比較部の比較結果が、規格値を満足していない場合に、各種分析計による分析を繰り返し実行するように各種分析計の稼働を制御する繰返制御部と、
測定時刻と紐づけて各種測定データを記憶するデータ記憶部と、を有する。
前記自動分析装置と前記制御装置は、液化製品自動出荷システムの自動分析装置と分散制御装置の機能と同様の構成を有する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図2A】本発明の実施形態の操作フローの一例を示す図。
【
図5A】分析サンプルに対応した経路の一例を示す図。
【
図5B】分析サンプルに対応した経路の一例を示す図。
【
図5C】分析サンプルに対応した経路の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に本発明のいくつかの実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の一例を説明するものである。本発明は以下の実施形態になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形形態も含む。なお、以下で説明される構成の全てが本発明の必須の構成であるとは限らない。
【0029】
(システム構成)
図1A、1B、1Cは本発明の一実施形態に係るシステム構成図である。
図2は操作フローの一例である。以下に図面を用いて説明する。
【0030】
本実施形態に係る液化製品自動出荷システム1は、配車管理装置2、出荷管理装置31、タブレット41、カードリーダー42、プリンター43、スピーカー44、表示装置45、自動分析装置7、分散制御装置8を有する。
【0031】
配車管理装置2は、積込スケジュールを格納する積込スケジュール格納部21を有する。タブレット41は、ローカルメモリと、スケジュールマッチング部と、端末通信部と、カードリーダーとを有する。
【0032】
出荷管理装置31は、コントロール室3に設置され、配車管理装置2とネットワークを介して接続される。
図1Bに示す、出荷管理装置31は、出荷の予定および実績のデータを記憶する出荷予実記憶部310と、カードリーダー42で読み取られたデータ(ID、積込スケジュール情報)と、積込スケジュールとを照合する入場照合部311と、カードリーダー51、52、53、読み取られたデータ(ID)と、入場時計量済か否か、充填場のガス種別が適正か否かの照合を行う充填照合部312と、測定された充填後重量が、過積載および/または過充填か否かの判定をする重量判定部313と、を有する。
【0033】
カードリーダー42、プリンター43、スピーカー44、表示装置45は、コントロール室3またはコントロール室3とは異なる計量室4に設置される。カードリーダー42、プリンター43、スピーカー44、表示装置45はそれぞれ、出荷管理装置31とネットワークを介して接続される。
【0034】
トラックスケール47は、タンクローリーの重量を計測する。トラックスケール47で計測された重量は、配車管理装置31へ送られ、IDと紐づけられて出荷予実記憶部310またはテンポラリメモリに記憶される。
【0035】
カードリーダー51、52、53、スピーカー61、62、63は、充填エリアに配置される。カードリーダー51、スピーカー61は液化酸素に紐づいている。カードリーダー52、スピーカー62は液化窒素に紐づいている。カードリーダー53、スピーカー63は液化アルゴンに紐づいている。
【0036】
自動分析装置7は、タンクローリーから導出される各種分析サンプルガスと、各種製タンクから導出される各種製品タンクガスが所定の配管経路を経由して導入され、それらを自動的に分析する。自動分析装置7は分散制御装置8によって制御される。自動分析装置7と分散制御装置8の詳細は後述する。
【0037】
(操作フロー)
次に
図2を参照しながら操作フローを説明する。予め作成された積込スケジュールが積込スケジュール格納部21に記憶され、出荷予実記憶部310にも記憶されている。カードには、そのメモリにドライバー情報、積込スケジュールが記憶されていてもよい。
ドライバー情報として、車番、積込化学品名、積込量(積載量)に関する情報、運送会社名、運送会社識別番号等運送会社に関する情報、その他の車両に関する情報、輸送先の会社名・その住所などが記録されていてもよい。
積込スケジュールは、化学品の積込のためにプラントに来場する予定の車両情報とその車両の来場スケジュールのリストである。車両情報は、車番、運送会社名、運送会社識別番号等運送会社に関する情報である。来場スケジュールには、車番、積込時刻、積込化学品名、積込量、分析表に関する情報、輸送先の会社名・その住所などを含む。
【0038】
(ステップS1)
タンクローリーが入場し、乗務員がカードをタブレット41にタッチする。カードのIDと積込スケジュールが照合され、入場および充填の許可の承認フローが行われる。
【0039】
(ステップS2)
ステップS1とは別に、カードリーダー42にカードをかざし、入場照合部311により、積込スケジュールの照合を行う。なお、ステップS1とS2はいずれか一方を行えばよい構成でもよい。
【0040】
(ステップS3)
ステップS2の照合結果が一致していれば、タンクローリーをトラックスケール47に移動する。トラックスケール47がタンクローリーの充填前重量を計測する。計測されたデータは、出荷管理装置31へ送られ、充填前重量として、出荷予実記憶部310に記憶される。
次に、出荷管理装置31は、計量完了後、スピーカー44および表示装置45へ指令し、スピーカー44および表示装置45は、計量完了を示す旨の音声および表示を行う。
乗務員は、ローリーを液化製品の充填場へ移動させる。
【0041】
(ステップS4)
タンクローリーを充填場に移動する。充填場には、液化製品タンク(O2、N2、Arなど)、各接続配管、ホース供給口、充填操作盤などが設置されている。
充填操作盤には、カードリーダー51、52、53、分析開始ボタン(不図示)、停止ボタン(不図示)、スピーカー61、62、63、表示装置(不図示)などが備えられている。
充填ホースを接続する。次いで、乗務員がカードを、積込スケジュールに従ったカードリーダー(液化製品ごとに対応している)にかざす。カードリーダーで読み取られたデータは出荷管理装置31へ送られる。
出荷管理装置31の充填照合部313は、読み取られたデータ(ID)から、入場時計量済か否か、充填場のガス種別が適正か否かの照合を行う。照合結果が適正であれば、スピーカー(および表示装置)が充填を開始する旨の音声メッセージ(および表示)をする。
【0042】
(ステップS5)
音声メッセージに従って、乗務員は充填操作を開始する。充填開始前に、ホース内洗浄、充填準備が行われ、充填が開始される。
【0043】
(ステップS6)
充填開始後、自動分析操作を開始する。スピーカー(または表示装置)が分析を開始する旨(「分析配管を繋いでガスを流してください。」)の音声メッセージ(または表示)をする。乗務員が分析配管を繋ぐ。スピーカーが「分析開始を押して下さい」のメッセージをする。乗務員が分析開始ボタンを押す。分析が開始される。自動分析の詳細は後述する。分析配管と第一導入経路が接続されている。
【0044】
(ステップS7)
充填と分析が完了すると、スピーカー(または表示装置)が、完了の旨、充填後重量を計量するメッセージ(または表示)をする。
乗務員は、タンクローリーをトラックスケール47へ移動する。
カードをカードリーダーにかざして、トラックスケール47で重量を測定する。測定データは、出荷管理装置31へ送られ、充填後重量として、出荷予実記憶部310に記憶される。
【0045】
(ステップS8)
出荷管理装置31の重量判定部313は、測定された充填後重量が、過積載および/または過充填か否かの判定をする。
【0046】
(ステップS9)
重量判定部313で問題が無ければ、出荷管理装置31は、プリンター43に指令し、プリンター43は、計量票、分析表を自動発行する。出荷管理装置31は、計量票、分析表を作成する文書作成部(不図示)を有する。
【0047】
(ステップS10)
乗務員は計量票、分析表を受け取り、タンクローリーが退場する。
【0048】
(自動分析装置)
図4に示す、自動分析装置7は、微量窒素分析計71、微量酸素分析計72、磁気式酸素分析計73、静電容量式露点計74を備える。ガスクロマトグラフィーによる分析の場合には、外部のガスクロクロマトグラフィーへ分析サンプルを送り、そのための各経路が備えてある。
本実施形態の自動分析装置は、タンクローリーからの分析サンプルガスと製品タンクからの製品ガスとを、分析目的に応じて、自動的に切り替えて分析できる。なお、別実施形態として、タンクローリーからの分析サンプルガスを自動分析する装置と、製品タンクからの製品ガスを自動分析する装置とが別々の装置であってもよい。
【0049】
図5Aから
図5Cに自動分析装置7の経路の一例を示す。
まず、液化窒素の分析について
図5Aを用いて説明する。第一導入経路L511は、タンクローリーから導出される液化窒素の分析サンプルガスを上述の分析配管(不図示)を介して導入するための経路を示す。第二導入経路L512は、製品タンクから導出される液化窒素ガスを導入するための経路を示す。配管経路L513は、第一経路切替手段A1を介して第一導入経路L511および第二導入経路L512と連結される。配管経路L513は、微量酸素分析計72と静電容量式露点計74に接続され、微量酸素分析計72と静電容量式露点計74から排出された排ガスは、排気経路L514を通じて排気管へ送り込まれる。これにより、タンクローリーからの液化窒素と製品タンクからの液化窒素とを自動的に切り替えて分析できる。分析された測定データは、分散制御装置8へ送られる。
第一経路切替手段A1は四方切替弁であり、弁の切替が実行された否かを検知するセンサBS1が設けられている。第一経路切替手段A1と微量酸素分析計72との間の配管経路L513にマスフローメータMF1が設けられており、液化窒素の流量を測定する。センサBS1で検知されたセンサ検知信号は、経路切替制御部81(切替正常判定部811)へ送られる。マスフローメータMF1で測定された測定流量は、経路切替制御部81(切替正常判定部811)へ送られる。なお、配管経路L513は、分岐されているため、静電容量式露点計74へ導入される流量を測定する測定手段が設けられていてもよく、無くてもよい。
【0050】
次に、液化アルゴンの分析について
図5Bを用いて説明する。第一導入経路L521は、タンクローリーから導出される液化アルゴンの分析サンプルガスを上述の分析配管(不図示)を介して導入するための経路を示す。第二導入経路L522は、製品タンクから導出される液化アルゴンガスを導入するための経路を示す。配管経路L523は、第一経路切替手段A2を介して第一導入経路L521および第二導入経路L522と連結される。配管経路L523は、さらに、分岐切替手段A3を介して、ガスクロマトグラフィーへ送り込む第一分岐経路L5231と、微量窒素分析計71と微量酸素分析計72と静電容量式露点計74とへ送り込む第二分岐経路L5232を備える。微量窒素分析計71と微量酸素分析計72と静電容量式露点計74から排出された排ガスは、排気経路L524を通じて排気管へ送り込まれる。これにより、タンクローリーからの液化アルゴンと製品タンクからの液化アルゴンとを自動的に切り替えて分析できる。分析された測定データは、分散制御装置8へ送られる。
第一経路切替手段A2は四方切替弁であり、弁の切替が実行された否かを検知するセンサBS2が設けられている。分岐切替手段A3は三方切替弁であり、弁の切替が実行された否かを検知するセンサBS3が設けられている。
分岐切替手段A3と微量酸素分析計72との間の配管経路L5232にマスフローメータMF1が設けられており、液化アルゴンの流量を測定する。分岐切替手段A3と微量窒素分析計71との間の配管経路L5232にマスフローメータMF2が設けられており、液化アルゴンの流量を測定する。分岐切替手段A3とガスクロマトグラフィーとの間の配管経路L5231にマスフローメータMF4が設けられており、液化アルゴンの流量を測定する。
センサBS2、BS3で検知されたセンサ検知信号は、経路切替制御部81(切替正常判定部811)へ送られる。マスフローメータMF1、MF2で測定された測定流量は、経路切替制御部81(切替正常判定部811)へ送られる。
【0051】
次に、液化酸素の分析について
図5Cを用いて説明する。第一導入経路L531は、タンクローリーから導出される液化酸素の分析サンプルガスを上述の分析配管(不図示)を介して導入するための経路を示す。第二導入経路L532は、製品タンクから導出される液化酸素を導入するための経路を示す。配管経路L533は、第一経路切替手段A4を介して第一導入経路L531および第二導入経路L532と連結される。配管経路L533は、さらに、分岐切替手段A5を介して、ガスクロマトグラフィーへ送り込む第一分岐経路L5331と、磁気式酸素分析計73と静電容量式露点計74とへ送り込む第二分岐経路L5332を備える。磁気式酸素分析計73と静電容量式露点計74から排出された排ガスは、排気経路L534を通じて排気管へ送り込まれる。これにより、タンクローリーからの液化酸素と製品タンクからの液化酸素とを自動的に切り替えて分析できる。分析された測定データは、分散制御装置8へ送られる。
第一経路切替手段A4は四方切替弁であり、弁の切替が実行された否かを検知するセンサBS4が設けられている。分岐切替手段A5は三方切替弁であり、弁の切替が実行された否かを検知するセンサBS5が設けられている。
分岐切替手段A5と磁気式酸素分析計73との間の配管経路L5332にマスフローメータMF3が設けられており、液化酸素の流量を測定する。分岐切替手段A5とガスクロマトグラフィーとの間の配管経路L5331にマスフローメータMF4が設けられており、液化酸素の流量を測定する。
センサBS4、BS5で検知されたセンサ検知信号は、経路切替制御部81(切替正常判定部811)へ送られる。マスフローメータMF3、MF4で測定された測定流量は、経路切替制御部81(切替正常判定部811)へ送られる。
【0052】
本実施形態において、経路切替手段A1、A2、A4は四方切替弁である。通常は製品タンクからのガスが分析計へ送られるようになっており、ローリーからの分析の際に、ローリーからの分析サンプルガスが分析計へ送られるように切り替えられる。本実施形態において、分岐切替手段A3、A5は三方切替弁である。経路切替手段A3、A5は分析計とガスクロマトグラフィーへの経路切り替えを行う。これらの切替制御は後述する分散制御装置8が行う。
また、各種分析計の較正のために、ゼロガス、比較ガスなどが導入される配管経路がさらに備えられていてもよい。
【0053】
図1Cに示す、分散制御装置8は、経路切替手段に指令を出し経路の切替を制御する経路切替制御部81と、分析サンプルガスで経路をパージするパージ時間を自動制御するパージ制御部82と、各種測定値の安定判定を行う安定判定部83と、安定判定部83で安定であると判定された後、測定値と規格値とを比較する比較部84と、比較部84の比較結果が、規格値を満足していない場合に、自動分析装置7による分析を繰り返し実行する繰返制御部85と、測定時刻と紐づけて各種分析データを記憶するデータ記憶部80と、を有する。
経路切替制御部81は、各経路切替手段A1、A2、A3、A4、A5に設けられるセンサSB1、SB2、SB3、SB4、SB5で検知されたセンサ検知信号と、各種分析計71、72、73(およびガスクロマトグラフィー)に送られる各種ガスの流量を測定するマスフローメータMF1、MF2、MF3.MF4で測定された測定流量と、に基づいて、経路切替が正常か否かを判断する切替正常判定部811を有する。
安定判定部83および比較部84は、全ての測定値(各分析計のデータ)について、安定判定および比較を行う。
【0054】
(安定判定方法)
安定判定部83は、各種分析計で測定された時間的に連続した測定データをリアルタイムに安定判定をしてもよく、所定のサンプリング周期で安定判定してもよい。また、安定判定部83は、各種分析計(ガスクロマトグラフィーを含む)で、バッチ的に所定間隔で測定された測定データを用いて安定判定をしてもよい。例えば、露点計、酸素分析計、窒素分析計で連続的に測定された測定データは、リアルタイムで安定判定をし、ガスクロマトグラフィーの測定データは、バッチで安定判定をしてもよい。
【0055】
図2Bに、自動分析の動作フローの一例を示す。まず、自動分析ボタンが押下されると、ステップS61で、製品タンクから製品ガスが分析計へ導入される経路からローリーから分析サンプルガスが分析計へ導入される経路へ切り替える処理が行われる。四方切替弁A1を操作し、ローリーからの分析サンプルガスを排気管へ送る。
【0056】
ステップS62で、パージ処理を行う。パージ処理では、予め設定されたパージ時間のタイムアップを監視する。このパージ時間内で、ローリーから四方切替弁A1までの経路において十分な雰囲気濃度のガスにする。
【0057】
タイムアップ(時間経過)したら、ステップS63で、四方切替弁A1を切り替えて、分析サンプルガスを排気管から、各分析計へ送り込むように経路を切替える。
【0058】
ステップS64で、四方切替弁の切替後の所定時間内の監視において、弁切替が正常であるか否かが判定される。切替正常判定部811は、センサ検知信号が正常であり(例えば、検知信号あり)、かつ測定流量が正常範囲である場合に、切替が正常であると判断し、そうでない場合に、切替が正常でないとして、分析異常として分析終了(S67)する。本実施形態では、切替正常判定部811は、センサ検知信号が正常であると判断されてから所定時間経過するまでの期間の測定流量を無視し、その所定時間経過後の測定流量に基づいて判定する。
【0059】
ステップS64で、四方切替弁の切替が正常であれば、ステップS65に進み分析開始判定を行う。この所定時間内で、四方切替弁から各分析計までの経路において十分な雰囲気濃度のガスにする。
ステップS61からS64は、経路切替制御部81と、パージ制御部82との機能による。
【0060】
ステップS65で、安定判定部83は、まず、分析開始判定を行う(第一サブ判定部の機能)。各種分析計で測定された測定値が、規格値(例えば
図3)以下であるかを確認する。測定値が、規格値を超えている場合は分析異常とし、分析終了処理を行う(ステップS67)。測定値が、規格値以下であれば、分析処理を開始する(ステップS66)。
【0061】
ステップS66で、安定判定部83は分析処理を行う(第二サブ判定部の機能)。安定判定部83は、測定値の監視を行い、予め設定されている最大分析時間のタイムアップを監視する(サブステップSs1)。
【0062】
本実施形態では、安定判定部83は、連続3回の所定時間毎(例えば30秒毎)の測定値の全てが、規格値の範囲内であって、かつ、かつ各所定期間内の測定値が、その所定期間内の最初の測定値を基準にした上限値と下限値の範囲内(上下幅内という。)に収まっているか否かを判定する(サブステップSs2)。
上下幅内状態が、3回連続で継続された場合は分析が正常(分析正常)と判定する。そして、ステップS67の分析終了処理を行う。ステップS67の分析終了処理では、四方弁A1により製品タンクとの経路へと切り替えられる。
上下幅外となった場合は、測定値が再び規格値の範囲内になった時点から、上記のサブステップSs2に戻り、処理を繰り返す。
分析正常となる前に、最大分析時間が経過した場合は分析異常(分析値不正)として、分析終了処理(ステップS67)を行う。分析異常で分析終了した場合、再度分析を行う場合は、自動分析ボタンを押すことでステップS61からの処理が繰り返えされる。
【0063】
本実施形態の具体例について、
図3を参照しながら、分析開始判定と安定判定処理について説明する。
図3は、測定初期から一定期間の露点の測定データを示している。破線は規格値の範囲を示す(
図3において、上限値の破線のみを示しているが、実際には下限値も設定されている。)。連続測定の間、測定値(丸点を結ぶ折れ実線)が上限H(一点鎖線)と下限L(二点鎖線)の間に収まるか否かを模式的に示す。
横軸は測定ポイント数を示しているが、実際には露点計からリアルタイムで測定データが収集されるため、安定判定もリアルタイムで行われる。
【0064】
測定ポイント1から2は、弁を開けた後のアイムアップ監視である。タイムアップ時間は任意に設定される。次いで、分析開始判定が開始され、測定ポイント5で規格値の範囲内になっている。
測定ポイント5で規格値の範囲内となったため、ここから安定判定がスタートする。測定ポイント5の測定値を基準に上限Hと下限Lの幅が設定される。上限Hと下限Lは任意の設定値である(上述の上下幅に相当する)。
測定ポイント6の測定値は、測定ポイント5の測定値を基準にした上限Hと下限Lの範囲に入らないが、規格値の範囲内であるため、安定判定処理は継続される。
測定ポイント6の測定値を基準に上限Hと下限Lの幅が設定される。
測定ポイント7の測定値は、測定ポイント6の測定値を基準にした上限Hと下限Lの範囲に入らないが、規格値の範囲内であるため、安定判定処理は継続される。
測定ポイント7の測定値を基準に上限Hと下限Lの幅が設定される。
測定ポイント8の測定値は、測定ポイント7の測定値を基準にした上限Hと下限Lの範囲に入らないが、規格値の範囲内であるため、安定判定処理は継続される。
測定ポイント8の測定値を基準に上限Hと下限Lの幅が設定される。
測定ポイント9の測定値は、測定ポイント8の測定値を基準にした上限Hと下限Lの範囲に入らないが、規格値の範囲内であるため、安定判定処理は継続される。
測定ポイント9の測定値を基準に上限Hと下限Lの幅が設定される。
測定ポイント10の測定値は、測定ポイント9の測定値を基準にした上限Hと下限Lの範囲に入る。
測定ポイント11の測定値は、測定ポイント9の測定値を基準にした上限Hと下限Lの範囲に入る。
安定判定部83は、第一所定時間内(ここでは測定ポイント9から11までの期間内)で、その第一所定時間内の最初の測定値(測定ポイント9)を基準とした上限Hと下限L内に、その所定時間内の判定対象の測定ポイントの測定値が全て収まっているか否かを判定し、全ての測定値が、その上下幅内に収まっているか否かを確認する。
次いで、第二所定時間内(測定ポイント12から14までの期間内)および第三所定時間内(測定ポイント15から17の期間内)においても、上記と同様に判定される。(n=12から17)
安定判定部83は、所定時間内の測定値がそれぞれに対応した上下幅内となる状態が連続して3回継続されたか否かを確認し、上下幅内となる状態が3回連続で継続された場合は分析正常であると判定する。
【0065】
比較部84は、上記で分析正常と判断された最後の測定値(あるいは測定ポイント9から17の正常と判断された測定値の内の最頻度値または平均値)と、規格値(上記判定に使用した規格値でもよく、それより厳しい合否判定のための規格値でもよい。)とを比較し、合否判定する。
【0066】
本実施形態によれは、測定値の安定確認を自動で高精度に行える。さらに、測定値が悪い場合は、「分析異常です」の旨のメッセージをスピーカーまたは表示装置に行える。そして、乗務員が分析配管からの漏れ、バルブ状態を確認し、カードをカードリーダーに再度タッチすることで分析をやり直すことができる。
【0067】
(別実施形態)
露点測定データだけでなく、酸素測定データ、窒素測定データ、ガスクロマトグラフィー測定データも同様に安定判定できる。
上下幅内状態が3回連続で継続された場合に分析正常で安定判定としたが、これに制限されず、分析の種類に応じて変更してもよく、例えば、上下幅内状態が2~6回連続して継続されたら安定であるとしてもよい。
安定判定処理は、規格値の範囲内となった測定値(第1測定値という。)から所定時間内の測定値(第1、・・、第n測定値)の全てが、規格値の範囲内であって、かつ、判定対象である各測定値(第i測定値)がその直前の第(i-1)測定値)を基準にした上限値と下限値の範囲内に収まっているか否かを判定してもよい。
また、測定ポイント9から11の期間、測定ポイント12から14までの期間および測定ポイント15から17の期間において、基準からの上限値と下限値(上下幅)の設定は同じでもよく、異なっていてもよく、時間的前後で、後ろに行くほど、上下幅が狭い(小さい)範囲に設定してもよい。また、上限値と下限値は、基準からの絶対値が同じでよく異なっていてもよい。
【0068】
ネットワークの通信手段は特に制限されないが、例えば、近距離無線、中距離無線、LAN回線、インターネット回線などをシステム構成に応じて利用してもよい。
各種格納部、記憶部、メモリは、揮発性の記憶媒体でも不揮発性の記憶媒体であってもよいが、不揮発性の記憶媒体が好ましい。
各サーバ、各装置は、CPUまたはMPU、メモリなどのハードウエアを有し、各種動作を実行するためのソフトウエアがインストールされていてもよく、専用回路、ファームウエアなどを有して構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1 液化製品自動出荷システム
2 配車管理装置
31 出荷管理装置
41 タブレット
42 カードリーダー
43 プリンター
44 スピーカー
45 表示装置
47 トラックスケール
51、52、53 カードリーダー
61、62、63 スピーカー
7 自動分析装置
8 分散制御装置