(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-14
(45)【発行日】2023-08-22
(54)【発明の名称】X線検査システム、破袋システムおよび破砕システム
(51)【国際特許分類】
G01N 23/10 20180101AFI20230815BHJP
【FI】
G01N23/10
(21)【出願番号】P 2023049071
(22)【出願日】2023-03-24
【審査請求日】2023-03-31
(31)【優先権主張番号】P 2022180959
(32)【優先日】2022-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522442294
【氏名又は名称】大谷清運株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】594121408
【氏名又は名称】オクト産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124017
【氏名又は名称】大野 晃秀
(72)【発明者】
【氏名】二木 玲子
(72)【発明者】
【氏名】羽田 寿洋
(72)【発明者】
【氏名】安達 良平
(72)【発明者】
【氏名】小澤 達郎
【審査官】清水 靖記
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-035706(JP,A)
【文献】特開2002-082070(JP,A)
【文献】特開2000-074856(JP,A)
【文献】登録実用新案第3189175(JP,U)
【文献】特開2019-174421(JP,A)
【文献】特開平08-012007(JP,A)
【文献】特開2001-050910(JP,A)
【文献】特開2012-078303(JP,A)
【文献】特開平11-183407(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0253514(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 23/00 - G01N 23/2276
B02C 23/00 - B02C 23/40
B09B 1/00 - B09B 5/00
B07B 13/00 - B07B 15/00
B07C 5/00 - B07C 99/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象の物品または物品群にリチウムイオン二次電池が含まれているかどうかを検査するためのものであり、
検査室と、
前記検査室に前記物品を導入するためのトンネル導入部と、
前記検査室の天井に設けられたX線源と、
前記検査室において前記物品が通過する搬送路の下に設けられたX線のX線センサとを含み、
前記トンネル導入部は、X線源から発したX線が外部に漏れないようにするためのものであり、
前記リチウムイオン二次電池の有無を判断する第1の判断部を含
み、
少なくとも、前記物品の形状およびX線吸収率に基づき、リチウムイオン二次電池の有無を判断するX線検査システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1の判断部は、判断アルゴリズムまたは分類器に基づき判断がなされ、
前記判断アルゴリズムまたは分類器を学習させる第1の学習部を含むX線検査システム。
【請求項3】
検査対象の物品または物品群にリチウムイオン二次電池が含まれているかどうかを検査室内で検査するためのものであり、
前記検査室に設けられたX線源と、
前記X線源から発したX線が外部に漏れないようにするためのトンネル導入部と、
リチウムイオン二次電池が混在している物品を透過したX線を受け、当該透過X線に基づき前記リチウムイオン二次電池の有無を検査
し、
少なくとも、前記物品の形状およびX線吸収率に基づき、リチウムイオン二次電池の有無を判断するX線検査システム。
【請求項4】
請求項1または3において、
X線が前記トンネル導入部から漏れ出た場合に、漏れ出たX線量は1μシーベルト/時間以下であるX線検査システム。
【請求項5】
請求項1または3において、
前記物品は、袋に入れられ、前記袋および前記袋内にある物品の総重量は50kg以下であり、前記袋は100リットル以下である、X線検査システム。
【請求項6】
請求項3において、
前記X線源は、前記トンネル導入部の天井の位置よりも高い位置にあるX線検査システム。
【請求項7】
請求項1または3において、
前記X線検査システムから出た物品のうち、強磁性体を含むものを抽出する強磁性体抽出部を含むX線検査システム。
【請求項8】
請求項1または3において、
前記X線源のX線管電圧が30~80kVの範囲にあるX線検査システム。
【請求項9】
請求項1または3に記載のX線検査システムを含み、
前記物品は、袋に入れられ、
前記X線検査システムにおいて、リチウムイオン二次電池を含んでいないと判断された物品を含む袋を破袋機に供給する破袋システム。
【請求項10】
請求項1または3に記載のX線検査システムを含み、
前記X線検査システムにおいて、リチウムイオン二次電池を含んでいないと判断された物品を破砕機に供給する破砕システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を検査し得るX線検査システム、破袋システムおよび破砕システムに関する。
【背景技術】
【0002】
回収されたゴミ袋を処分するに当たり、ゴミ袋を破り、袋の中のゴミを出し、ゴミ袋とゴミを分別することが行われている。ゴミ袋を破る際に、破袋機が用いられている(特開2006-218468)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リチウムイオン二次電池がゴミ袋内のゴミに混在した状態で、破袋機にかけられた場合に、破裂するなどの危険性があるため、破袋機にかける前にリチウムイオン二次電池の有無を確認する必要があるものの、自動的にリチウムイオン二次電池が混入した袋を確認することはできずにいた。
【0005】
また、ごみや資源物が個別的にコンベアーで運ばれている際に、リチウムイオン電池やリチウムイオン電池を含む機器などを自動で把握することは、処理作業を行う上で、有用である。
【0006】
本発明の目的は、物品にリチウムイオン二次電池の有無を検査することができるX線検査システム、破袋システムおよび破砕システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1のX線検査システムは、
検査対象の物品または物品群にリチウムイオン二次電池が含まれているかどうかを検査するものであり、
検査室と、
前記検査室に前記物品を導入するためのトンネル導入部と、
前記検査室の天井に設けられたX線源と、
前記検査室において前記物品が通過する搬送路の下に設けられたX線センサとを含み、
前記トンネル導入部は、X線源から発したX線が外部に漏れないようにするためのものであり、
前記リチウムイオン二次電池の有無を判断する第1の判断部を含む。
【0008】
本願発明者らは、ゴミの重さからX線検査室の導入部に遮蔽カーテンが設けられている場合に、遮蔽カーテンの重さからゴミ袋が遮蔽カーテンを通過できないという課題を発見し、トンネル導入部を設けることで遮蔽カーテンを設けない態様または薄い遮蔽カーテンの態様でX線検査システムを実現することを見出した。本発明によれば、たとえば、ゴミまたは資源物の中からリチウムイオン二次電池の有無を事前に容易に確認することができる。
【0009】
本発明において、
前記第1の判断部は、判断アルゴリズムまたは分類器に基づき判断がなされ、
前記判断アルゴリズムまたは分類器を学習させる第1の学習部を含むことができる。
【0010】
本発明の第2のX線検査システムは、
検査対象の物品または物品群にリチウムイオン二次電池が含まれているかどうかを検査室内で検査するためのものであり、
前記検査室に設けられたX線源と、
前記X線源から発したX線が外部に漏れないようにするためのトンネル導入部と、
リチウムイオン二次電池が混在している物品を透過したX線を受け、当該透過X線に基づき前記リチウムイオン二次電池の有無を検査する。
【0011】
本願発明者らは、ゴミの重さからX線検査室の導入部に遮蔽カーテンが設けられている場合に、遮蔽カーテンの重さからゴミ袋が遮蔽カーテンを通過できないという課題を発見し、トンネル導入部を設けることで遮蔽カーテンを設けない態様または薄い遮蔽カーテンの態様でX線検査システムを実現することを見出した。本発明によれば、たとえば、ゴミまたは資源物の中からリチウムイオン二次電池の有無を事前に容易に確認することができる。
【0012】
本発明において、X線が前記トンネル導入部から漏れ出た場合に、漏れ出たX線量は1μシーベルト/時間以下であることができる。
【0013】
本発明において、少なくとも、前記物品の形状およびX線吸収率に基づき、リチウムイオン二次電池の有無を判断することができる。
【0014】
本発明において、前記物品は、袋に入れられ、前記袋および前記袋内にある物品の総重量は50kg以下であり、前記袋は100リットル以下であることができる。
【0015】
本発明において、前記X線源は、前記トンネル導入物の天井の位置よりも高い位置にあることができる。
【0016】
本発明において、前記X線検査システムから出た物品のうち、強磁性体を含むものを抽出する強磁性体抽出部を含むことができる。
【0017】
これにより、強磁性体の物品(たとえば小物鉄製品)を選別、回収することができる。
【0018】
本発明において、前記強磁性体抽出部により抽出できるものかどうかを、前記X線センサが検出した前記X線の透過により得られた形状により判断する第2の判断部を含むことができる。
【0019】
本発明において、前記X線源のX線管電圧が30~80kVの範囲にあることができる。
【0020】
本発明において、前記第2の判断部は、判断アルゴリズムまたは分類器に基づき判断がなされ、
前記判断アルゴリズムまたは分類器を学習させる第2の学習部を含むことができる。
【0021】
本発明の破袋システムは、
本発明のX線検査システムを含み、
前記物品は、袋に入れられ、
前記X線検査システムにおいて、リチウムイオン二次電池を含んでいないと判断された物品を含む袋を破袋機に供給するものである。
【0022】
物品群にリチウムイオン二次電池が混在されていることを考慮して、破袋機にかけずに手でゴミ袋を破ることがある。仮にリチウムイオン二次電池またはリチウムイオン二次電池が収められた機器等がゴミに入っていても破袋機にかける前にリチウムイオン二次電池等の混入の有無を判断し、入っていないものは破袋機で破袋し、リチウムイオン二次電池が入っているものは手で袋を破ることができる破袋システムを提供することができる。
【0023】
本発明の破砕システムは、
本発明のX線検査システムを含み、
前記X線検査システムにおいて、リチウムイオン二次電池を含んでいないと判断された物品を破砕機に供給するものである。
破砕機にリチウムイオン二次電池が導入されてしまった場合、破砕機内でリチウムイオン二次電池が爆発する場合がある。仮にリチウムイオン二次電池またはリチウムイオン二次電池が収められた機器等が破砕システムに紛れ込んでしまった場合でも破砕機に入る前にリチウムイオン二次電池を回収することができる。
【0024】
本明細書中、「A~B」は、A以上B以下を意味する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】実施の形態に係る破袋システムの一例を模式的に示す図である。(A)は破袋システムの上面図であり、(B)はX線検査装置破袋システムの一側面図(破袋機を図示せず)であり、(C)は(B)とは別の破袋システムの一側面図である。
【
図2】実施の形態に係る検査システムに適用されるX線検査装置を説明するための図である。
【
図3】実施の形態に係る破袋システムの一例を模式的に示す図である。(A)は破袋システムの上面図であり、(B)は破袋システムの一側面図であり、(C)は(B)とは別の破袋システムの一側面図である。
【
図4】実施の形態に係る破袋システムを模式的に示す図である。
【
図6】実施の形態に係る検査システムの機能ブロック図を示す。
【
図7】実施の形態に係る破砕システムを模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0027】
1.X線検査システム
X線検査システム100は、
図1および
図2に示すように、検査対象の物品または物品群に、リチウムイオン二次電池が含まれているかどうかを検査するためのものであり、検査室20と、検査室20に物品を導入するためのトンネル導入部24と、検査室20の天井に設けられたX線源26と、検査室20において物品が通過する搬送路16の下に設けられたX線のX線センサ28とを含むことができる。袋中にある物品は、たとえば、ゴミ袋中にある一般ゴミとすることができる。X線源26は、たとえば、X線が四角錐状に広がるように発生させることができる。X線源のX線管電圧がたとえば30~80kVの範囲にあることができる。
【0028】
X線検査システム100は、リチウムイオン二次電池の有無を判断する第1の判断部64aを含むことができる。X線検査システム100は、物品を透過したX線を受け、当該透過X線に基づきリチウムイオン二次電池の有無を検査してもよい。X線検査システム100は、少なくとも、物品の形状およびX線吸収率に基づき、リチウムイオン二次電池の有無を判断することができる。
図5に物品の形状およびX線吸収率と、物品との関係の一例を示す。
【0029】
トンネル導入部24は、X線源26から発したX線が外部に漏れないようにするため、または、X線の漏れる量を抑えるためのものである。X線がトンネル導入部から漏れ出る場合に、漏れ出たX線量は1μシーベルト/時間以下であることが好ましい。具体的には、トンネル導入部24は、X線源26からのX線がトンネル導入部24の入口から漏れ出ない程度の長さを有するものとすることができる。トンネル導入部24の長さは、X線源26の位置や検査室20の大きさにもよるが、たとえば検査室20が2m程度の大きさの場合には、1m程度とすることができる。X線源26は、トンネル導入部24の天井の位置よりも高い位置とすることができる。X線源26を検査室20の側部に設けてもよい。この場合においても、X線源26からのX線が外に漏れないような位置に設けることができる。
【0030】
検査室20から袋を導出するためのトンネル導出部34を設けることができる。トンネル導出部34は、X線源26から発したX線が外部に漏れないようにするためのものである。具体的には、トンネル導出部34は、X線源26からのX線がトンネル導出部34の出口から漏れ出ない程度の長さを有するものとすることができる。トンネル導入部34の長さは、X線源26の位置や検査室20の大きさにもよるが、たとえば検査室20が2m程度の大きさの場合には、1m程度とすることができる。X線源26は、トンネル導出部34の天井の位置よりも高い位置とすることができる。
【0031】
物品は、袋に入れられ、袋および袋内にある物品の総重量は50kg以下とすることができる。袋は、たとえば、1リットル以上、100リットル以下のものであることができる。
【0032】
X線検査システム100は、第1の学習部66aを含むことができる。第1の学習部66aは、第1の判断部64aの判断のアルゴリズムもしくはプログラム、または、分類器を学習させるものである。第1の学習部66aは、公知の機械学習やディープラーニングによる手法を用いることができる。分類器は、SVM(Support Vector Machine)、ニューラルネットワークまたは線形回帰モデルとすることができる。
【0033】
X線検査システム100は、
図6に示すように制御部50を含むことができる。制御部50は、X線源26、X線センサ28、後述の強磁性体抽出部30、搬送手段を制御することができる。X線検査システム100は、情報処理装置60を含むことができる。情報処理装置60は、制御装置50に組み込まれてもよいし、別のハードウエア資源により実現してもよい。情報処理装置60は、たとえば、CPUまたはGPU、ROMおよびRAMにより構成することができる。情報処理装置60は、入力部62を含むことができる。入力部62は、第1の判断部64aおよび後述の第2の判断部64bにおいて判断するための基礎情報を入力する機能や、第1の学習部66aおよび後述の第2の学習部66bに教師データを入力する機能を含むことができる。たとえば、X線画像から得られる形状およびX線透過率の少なくとも一方と物品との関係などを第1の判断部64aおよび第2の判断部64bのアルゴリズムまたは識別器などを学習させる際の教師データとすることができる。情報処理装置60、たとえば、電子計算機やコンピュータにより実現することができる。第1の判断部64a、第2の判断部64b、第1の学習部66aおよび第2の学習部66bは、演算処理装置であれば特に限定されない。
【0034】
2.破袋システム
破袋システム110は、
図4に示すように、投入コンベア10と、検査室20と、排出コンベア12と、分配部32と、破袋機40と、選別システム70とを含む。
破袋システム110の処理フローは次のとおりである。
【0035】
投入コンベア10に物品が入った袋を置き、X線検査システム100にトンネル導入部24に導入し、リチウムイオン二次電池が混入しているかどうか第1の判断部64aが判断する。X線検査システム100から排出コンベア12に排出され、リチウムイオン二次電池が入っていない袋は傾斜コンベア14などにより自動で破袋機40に移され、破袋機40で破袋される。破袋されて袋から出てきた物品は、選別システム70に供給される。X線検査システム100によりリチウムイオン二次電池が入った袋と判断された袋は分配部32により、手による破袋工程(
図1でB1)に回され、破袋され選別システム70に供給される。なお、選別システム70に強磁性体抽出部30を設け、強磁性体抽出部30により強磁性体からなる物品が入った袋を抽出してもよい。
【0036】
図3に示すように、排出コンベア12は、投入コンベア10およびX線検査システム100に沿った方向に伸びるように設けてもよいし、投入コンベア10およびX線検査システム100に沿った方向に対して交差する方向(たとえば直角方向)に伸びるように設けてもよい。
【0037】
選別システム70には、破袋機40により袋から出た物品のうち、強磁性体を含むものを抽出する強磁性体抽出部30を含むことができる。強磁性体抽出部30は、たとえば、磁石により構成することができる。これにより、強磁性体からなる金属製品(たとえば小物鉄製品)を含む物品を人力によらないで抽出し、回収することができる。破袋の前に金属の選別を行うことで、破袋機40の劣化を抑えることができる。選別システム70は、強磁性体抽出部30に限定されず、他の金属を回収する技術であってもよい。なお、小物金属物は回収袋への混入確率が高いことから、破袋後に回収を行ってもよい。
【0038】
情報処理装置60は、強磁性体抽出部30により抽出できるものかどうかを、X線センサ28が検出した透過X線により得られた形状により判断する第2の判断部64bを含むことができる。
【0039】
本願発明者らは、X線検査システム100の導入部に遮蔽カーテンがあると袋全体が軽量だった場合に、遮蔽カーテンをくぐることができないという問題を見出した。この実施の形態によれば、トンネル導入部24によりX線の漏出を抑えることができるため、遮蔽カーテンをなくすことができるか、または、遮蔽カーテンを設けた場合であっても遮蔽カーテンを薄くすることができる。このため、袋全体が軽くても確実にX線検査システム100内に導入することができる。本実施の形態によれば、遮蔽カーテンを設けた場合であっても、遮蔽カーテンを薄くすることができたり、遮蔽カーテンの選択の自由度を高めることができる。
【0040】
また、本願発明者らは、X線検査システム100の導出部に遮蔽カーテンがあると袋全体が軽量だった場合に、遮蔽カーテンをくぐることができないという問題を見出した。この実施の形態によれば、遮蔽カーテンでX線源26からのX線が漏れ出るのを防ぐのではなく、トンネル導出部34によりX線の漏出を防ぐため、袋全体が軽くても確実にX線検査システム100から排出することができる。
【0041】
本実施の形態に係るX線検査システム100によれば、破袋機40に袋が入る前にリチウムイオン二次電池が入った袋を把握し、抽出することができる。
【0042】
破袋システム100に誤ってリチウムイオン二次電池またはリチウムイオン二次電池を含む物が混在した袋が入ってしまったとしても、破袋機40の手前でその袋を確認捕捉することができるので、破袋機40の中でリチウムイオン二次電池が爆発することを防ぐことができる。
【0043】
実施の形態に係る破袋システム110によれば、破袋機40で発生するリチウムイオン二次電池の発火、爆発を未然に防ぐことができ、火災事故などを未然に防ぎ、回収現場の安全を確保することできる。
【0044】
3.破砕システム
本実施の形態に係るX線検査システムは、袋内に入った物品の中にあるリチウムイオン二次電池の有無を検査するものではなく、個別に存在する複数の物品から構成される物品群の中からリチウムイオン二次電池の有無を検査するために利用することができる。具体的には、X線検査システムを
図7に示す破砕システムに適用することができ、X線検査システムがリチウムイオン二次電池を含んでいないと判断された物品を破砕機42に供給する破砕システムとして実現が可能である。分配部32の設置は任意であるが、分配部32を設けることにより、リチウムイオン二次電池を回収するために破砕機42に向かうルートとは異なるルートに導くことができる。
【0045】
X線検査システムは、リチウムイオン二次電池またはリチウムイオン二次電池が内蔵された機器以外に、リチウムイオン二次電池が内蔵されていない機器や、任意に指定した物、たとえば、プリント基板、ギターエフェクター、ゲームコントローラーなどを検知してもよい。
【0046】
本実施の形態に係る破砕システムによっても、トンネル導入部24によりX線の漏出を抑えることができるため、遮蔽カーテンをなくすことができるか、または、遮蔽カーテンを設けた場合であっても遮蔽カーテンを薄くすることができる。このため、物品が軽くても確実にX線検査システム100内に導入することができる。
【0047】
本実施の形態に係るX線検査システム100は、自動車などの種々の移動車両にも適用可能である。
【0048】
本実施の形態は、本発明の範囲内において種々の変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、たとえば、回収プラスチック資源の再生工程において、回収したプラスチック資源の袋に混入しているリチウムイオン二次電池を、袋を破袋する前に取り除くための検知装置として利用することができる。リチウムイオン二次電池が破袋機で破壊され、発火や爆発等を起こすことを事前に防止することができる。産業廃棄物の処理にも有用である。
【符号の説明】
【0050】
10 投入コンベア
12 排出コンベア
14 傾斜コンベア
16 搬送路
20 検査室
24 トンネル導入部
26 X線源
28 X線センサ
30 強磁性体抽出部
32 分配部
34 トンネル導出部
40 破袋機
42 破砕機
50 制御装置
60 情報処理装置
62 入力部
64a 第1の判断部
64b 第2の判断部
66a 第1の学習部
66b 第2の学習部
70 選別システム
100 X線検査システム
110 破袋システム
【要約】
【課題】袋中の物品にリチウムイオン二次電池の有無を検査することができるX線検査システム、破袋システムおよび破砕システムを提供する。
【解決手段】X線検査システム100は、袋中にある物品に、リチウムイオン二次電池が含まれているかどうかを検査するためのものであり、検査室20と、検査室20に物品を導入するためのトンネル導入部24と、検査室20の天井に設けられたX線源26と、 検査室20において物品が通過する搬送路の下に設けられたX線のX線センサ28とを含む。トンネル導入部24は、X線源26から発したX線が外部に漏れないようにするためのものである。リチウムイオン二次電池の有無を判断する第1の判断部64aを含む。
【選択図】
図1