(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-14
(45)【発行日】2023-08-22
(54)【発明の名称】円筒管用断熱構造
(51)【国際特許分類】
F16L 59/14 20060101AFI20230815BHJP
F16L 59/18 20060101ALI20230815BHJP
【FI】
F16L59/14
F16L59/18
(21)【出願番号】P 2019554305
(86)(22)【出願日】2018-11-16
(86)【国際出願番号】 JP2018042452
(87)【国際公開番号】W WO2019098319
(87)【国際公開日】2019-05-23
【審査請求日】2021-11-02
(31)【優先権主張番号】P 2017222137
(32)【優先日】2017-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】592246613
【氏名又は名称】旭興産株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】309012122
【氏名又は名称】日清紡ケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】隅田 幸一
(72)【発明者】
【氏名】千葉 秀之
(72)【発明者】
【氏名】吉村 和彦
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】実開昭54-146460(JP,U)
【文献】特開2016-194368(JP,A)
【文献】国際公開第2015/010162(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/043730(WO,A1)
【文献】韓国登録特許第10-1686971(KR,B1)
【文献】韓国登録実用新案第20-0327571(KR,Y1)
【文献】国際公開第2018/152564(WO,A1)
【文献】特開2019-015357(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 59/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
低温流体が通流する円筒管の外周部に、前記円筒管の周方向に2分割された半円状断熱部材が、端面同士を付き合わせた状態で前記円筒管の周方向に位置する二つの対向箇所の夫々において、隣接する一対の断熱部材端部を前記円筒管の軸心方向に沿って長尺な接続部材にて連結する状態で設けられた円筒管用断熱構造であって、
前記二つの対向箇所のうちの一方側箇所における一対の前記断熱部材端部の夫々に、前記接続部材が係合する溝状の係合部として、前記断熱部材端部の前記円筒管の径方向における内方側部分を前記円筒管の周方向に沿って切除した切除部が、当該切除部の前記円筒管の径方向外方側部に前記円筒管の径方向外方に凹入する係止用凹部を備える形態に形成され、
前記二つの対向箇所のうちの一方側箇所における前記接続部材が、断面形状を一対の前記断熱部材端部の夫々の前記切除部に係合する本体部と前記係止用凹部に係合する一対の係止凸部とを備える形態に形成され、
前記二つの対向箇所のうちの他方側箇所における一対の前記断熱部材端部の夫々に、前記接続部材が係合する溝状の係合部として、前記端面から前記円筒管の接線方向に沿って凹入する凹入部が、前記円筒管の径方向に沿って並ぶ内側面及び外側面の夫々を前記円筒管の接線方向に沿う平坦面とする形態で形成され、
前記二つの対向箇所のうちの他方側箇所における前記接続部材が、断面形状を一対の前記断熱部材端部の夫々の前記凹入部の前記内側面及び外側面に沿う平坦面を有する形状に形成されている円筒管用断熱構造。
【請求項2】
低温流体が通流する円筒管の外周部に、前記円筒管の周方向に2分割された半円状断熱部材が、端面同士を付き合わせた状態で前記円筒管の周方向に位置する二つの対向箇所の夫々において、隣接する一対の断熱部材端部を前記円筒管の軸心方向に沿って長尺な接続部材にて連結する状態で設けられた円筒管用断熱構造であって、
前記二つの対向箇所における一対の前記断熱部材端部の夫々に、前記接続部材が係合する溝状の係合部として、前記断熱部材端部の前記円筒管の径方向における内方側部分を前記円筒管の周方向に沿って切除した切除部が、当該切除部の前記円筒管の径方向外方側部に前記円筒管の径方向外方に凹入する係止用凹部を備える形態に形成され、
前記二つの対向箇所における前記接続部材が、断面形状を一対の前記断熱部材端部の夫々の前記切除部に係合する本体部と前記係止用凹部に係合する一対の係止凸部とを備える形態に形成されている円筒管用断熱構造。
【請求項3】
低温流体が通流する円筒管の外周部に、前記円筒管の周方向に2分割された半円状断熱部材が、端面同士を付き合わせた状態で前記円筒管の周方向に位置する二つの対向箇所の夫々において、隣接する一対の断熱部材端部を前記円筒管の軸心方向に沿って長尺な接続部材にて連結する状態で設けられた円筒管用断熱構造であって、
前記二つの対向箇所における一対の前記断熱部材端部の夫々に、前記接続部材が係合する溝状の係合部として、前記端面から前記円筒管の接線方向に沿って凹入する凹入部が、前記円筒管の径方向に沿って並ぶ内側面及び外側面の夫々を前記円筒管の接線方向に沿う平坦面とする形態で形成され、
前記二つの対向箇所における前記接続部材が、断面形状を一対の前記断熱部材端部の夫々の前記凹入部の前記内側面及び外側面に沿う平坦面を有する形状に形成され
、
平坦面を有する形状に形成される前記接続部材が弾性変形可能な材料にて形成され、当該接続部材における隣接する前記凹入部に係合する一対の係合部分の一方側の係合部分に、当該係合部分を前記円筒管の径方向に分離するスリットが形成されている円筒管用断熱構造。
【請求項4】
低温流体が通流する円筒管の外周部に、前記円筒管の周方向に2分割された半円状断熱部材が、端面同士を付き合わせた状態で前記円筒管の周方向に位置する二つの対向箇所の夫々において、隣接する一対の断熱部材端部を前記円筒管の軸心方向に沿って長尺な接続部材にて連結する状態で設けられた円筒管用断熱構造であって、
前記二つの対向箇所における一対の前記断熱部材端部の夫々に、前記接続部材が係合する溝状の係合部として、前記端面から前記円筒管の接線方向に沿って凹入する凹入部が、前記円筒管の径方向に沿って並ぶ内側面及び外側面の夫々を前記円筒管の接線方向に沿う平坦面とする形態で形成され、
前記二つの対向箇所における前記接続部材が、断面形状を一対の前記断熱部材端部の夫々の前記凹入部の前記内側面及び外側面に沿う平坦面を有する形状に形成され、
平坦面を有する形状に形成される前記接続部材が弾性変形可能な材料にて形成され、当該接続部材における隣接する前記凹入部に係合する一対の係合部分の夫々に、当該係合部分を前記円筒管の径方向に分離するスリットが形成されている円筒管用断熱構造。
【請求項5】
平坦面を有する形状に形成される前記接続部材が弾性変形可能な材料にて形成され、当該接続部材における隣接する前記凹入部に係合する一対の係合部分の一方側の係合部分に、当該係合部分を前記円筒管の径方向に分離するスリットが形成されている請求項
1に記載の円筒管用断熱構造。
【請求項6】
平坦面を有する形状に形成される前記接続部材が弾性変形可能な材料にて形成され、当該接続部材における隣接する前記凹入部に係合する一対の係合部分の夫々に、当該係合部分を前記円筒管の径方向に分離するスリットが形成されている請求項
1に記載の円筒管用断熱構造。
【請求項7】
前記円筒管の外周部に、2分割された半円状の前記断熱部材にて円筒状で且つ径が異なる状態に形成される複数の断熱壁が、複数層を形成する状態で設けられている請求項1~
6のいずれか1項に記載の円筒管用断熱構造。
【請求項8】
前記円筒管の外周部における前記接続部材にて連結される半円状断熱部材の設置箇所に対して前記円筒管の軸心方向に隣接する箇所に、前記円筒管の周方向に複数に分割された円弧状の断熱部材が、端面同士を付き合わせた状態で前記円筒管の周方向に位置する複数の対向箇所の夫々において、隣接する一対の断熱部材端部を前記円筒管の軸心方向に沿って長尺な連結部材にて連結する状態で設けられ、
前記連結部材にて連結される一対の前記断熱部材端部の夫々に、前記連結部材の係合溝部として、前記端面から前記円筒管の周方向に凹入する凹入溝部が、当該凹入溝部の前記円筒管の径方向外方側部に前記円筒管の径方向外方に凹入する係止用溝部を備える形態に形成され、
前記連結部材が、断面形状を一対の前記断熱部材端部の夫々の前記凹入溝部に係合する本体連結部と前記係止用溝部に係合する一対の係止連結部とを備える形態に形成されている請求項1~
7のいずれか1項に記載の円筒管用断熱構造。
【請求項9】
前記円筒管の外周部に、前記連結部材にて連結される複数の円弧状の前記断熱部材にて円筒状で且つ径が異なる状態に形成される複数の断熱用壁部が、複数層を形成する状態で設けられている請求項
8に記載の円筒管用断熱構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低温流体が通流する円筒管の外周部に、前記円筒管の周方向に2分割された半円状断熱部材が、端面同士を付き合わせた状態で前記円筒管の周方向に位置する二つの対向箇所の夫々において、隣接する一対の断熱部材端部を前記円筒管の軸心方向に沿って長尺な接続部材にて連結する状態で設けられた円筒管用断熱構造に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる円筒管用断熱構造は、LNGやLPG等の低温流体が流動する円筒管の外周部を断熱部材にて覆うことによって、円筒管を断熱するものであり、通常は、円筒管の外周部を、断熱部材にて複数層状(例えば、2層や3層)に覆うことになる。
尚、円筒管を複数層状に覆う場合には、径の異なる断熱部材を同芯状に重ね合わせた状態に設けることになる。
【0003】
円筒管用断熱構造の従来例として、接続部材にて連結される一対の断熱部材端部の夫々に、接続部材が係合する溝状の係合部として、断熱部材端部の端面から円筒管の周方向に凹入する凹入溝部が、当該凹入溝部の円筒管の径方向外方側部に円筒管の径方向外方に凹入する係止用溝部を備える形態に形成され、接続部材が、断面形状を一対の断熱部材端部の夫々の凹入溝部に係合する本体接続部と係止用溝部に係合する一対の係止接続部とを備える形態に形成されたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
円筒管は、一般に、両端部に連結用フランジ部を備えた状態に形成されて、複数の円筒管をフランジ接続することにより、低温流体を通流させる流路を形成することになり、また、開閉バルブ等のバルブに対して、円筒管の連結用フランジ部を連結する場合もある。
そして、円筒管の外周部に断熱部材を装着する場合には、円筒管の軸心方向に所定の長さを備える断熱部材を円筒管の一端部から他端部に向けて順次装着することになる。
【0006】
つまり、円筒管の一端部に隣接する箇所にて、円筒管の周方向に2分割された半円状断熱部材を、端面同士を付き合わせた状態で円筒管の周方向に並べた状態において、長尺な接続部材を長手方向に移動させながら、一対の断熱部材端部の夫々に形成した凹入溝部に係合(挿入)して断熱部材を装着し、次に、装着が完了した断熱部材に隣接する箇所において、円筒管の周方向に2分割された半円状断熱部材を、端面同士を付き合わせた状態で円筒管の周方向に並べた状態にして、その状態において、長尺な接続部材を長手方向に移動させながら、一対の断熱部材端部の夫々に形成した凹入溝部に係合(挿入)して断熱部材を装着することを、円筒管の一端部から他端部に向けて順次行うことになる。
【0007】
しかしながら、断熱部材を円筒管の一端部から他端部に向けて順次装着して、最後に、断熱部材を円筒管の他端部に隣接する箇所に装着する場合においては、円筒管の他端部のフランジが一対の断熱部材端部の夫々に形成した凹入溝部を塞ぐ状態となるため、当該フランジ部が邪魔になって、長尺な接続部材を長手方向に移動させながら、一対の断熱部材端部の夫々に形成した凹入溝部に係合(挿入)することができないものとなる。
【0008】
つまり、長尺な接続部材を長手方向に移動させながら、一対の断熱部材端部の夫々に形成した凹入溝部に係合(挿入)するには、断熱部材における円筒管の軸心方向の一方側箇所には、接続部材の長さに相当する空間が必要となるが、断熱部材を円筒管の他端部に隣接する箇所に装着する場合においては、フランジのために、接続部材の長さに相当する空間を確保できないものとなる。
【0009】
ちなみに、円筒管の他端部のフランジと断熱部材との間に隙間を形成して、長尺な接続部材を屈曲させながら、一対の断熱部材端部の夫々に形成した凹入溝部に係合(挿入)するようにすることが考えられるが、この場合には、長尺な接続部材が折損して、凹入溝部に係合(挿入)することができなくなる虞がある。
【0010】
このため、
図17及び
図18に示すように、円筒管1の周方向に2分割された半円状の断熱部材Pの端面同士が対向する箇所における一対の断熱部材端部の夫々に、円筒管1の径方向に沿う階段状となる階段状嵌合部Zを形成することが考えられる。ちなみに、
図17及び
図18においては、断熱部材を3層状に装着する場合を例示する。
【0011】
しかしながら、この場合には、階段状嵌合部Zを備える断熱部材Pの種類が増えるため、製作及び管理が煩雑となるばかりでなく、一対の断熱部材端部の階段状嵌合部Zを嵌合させても、その嵌合が外れ易いものであり、断熱部材Pの装着を良好に行い難い不都合がある。
つまり、一対の断熱部材端部の階段状嵌合部Zは、嵌合させた状態において、基本的には摩擦力にて嵌合状態を保持するものであるため、その嵌合が外れ易いものである。
【0012】
本発明は、上記実情に鑑みて為されたものであって、その目的は、断熱部材における円筒管の軸心方向の一方側箇所に接続部材の長さに相当する空間がなくても、接続部材を断熱部材との係合が外れ難い状態に装着できる円筒管用断熱構造を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の円筒管用断熱構造は、低温流体が通流する円筒管の外周部に、前記円筒管の周方向に2分割された半円状断熱部材が、端面同士を付き合わせた状態で前記円筒管の周方向に位置する二つの対向箇所の夫々において、隣接する一対の断熱部材端部を前記円筒管の軸心方向に沿って長尺な接続部材にて連結する状態で設けられたものであって、その特徴構成は、
前記二つの対向箇所のうちの一方側箇所における一対の前記断熱部材端部の夫々に、前記接続部材が係合する溝状の係合部として、前記断熱部材端部の前記円筒管の径方向における内方側部分を前記円筒管の周方向に沿って切除した切除部が、当該切除部の前記円筒管の径方向外方側部に前記円筒管の径方向外方に凹入する係止用凹部を備える形態に形成され、
前記二つの対向箇所のうちの一方側箇所における前記接続部材が、断面形状を一対の前記断熱部材端部の夫々の前記切除部に係合する本体部と前記係止用凹部に係合する一対の係止凸部とを備える形態に形成され、
前記二つの対向箇所のうちの他方側箇所における一対の前記断熱部材端部の夫々に、前記接続部材が係合する溝状の係合部として、前記端面から前記円筒管の接線方向に沿って凹入する凹入部が、前記円筒管の径方向に沿って並ぶ内側面及び外側面の夫々を前記円筒管の接線方向に沿う平坦面とする形態で形成され、
前記二つの対向箇所のうちの他方側箇所における前記接続部材が、断面形状を一対の前記断熱部材端部の夫々の前記凹入部の前記内側面及び外側面に沿う平坦面を有する形状に形成されている点にある。
【0014】
尚、上述の円筒管の接線方向とは、一対の断熱部材の端面が付き合わされた状態で位置する対向箇所における円筒管の接線方向である。
【0015】
すなわち、2分割された断熱部材の端面同士を付き合わせた状態で円筒管の周方向に位置する二つの対向箇所の夫々において、隣接する一対の断熱部材端部を接続部材にて連結する状態にするには、例えば、次の手順にて行うことができる。
先ず、2分割された半円状の一対の断熱部材の一方側の断熱部材の両端部に形成される係合部の夫々に、本体部と係止凸部を備える接続部材及び平坦面を有する形状の接続部材を係合する。ちなみに、本体部と係止凸部を備える接続部材は、係止用凹部を備える切除部として形成される係合部に係合し、平坦面を有する形状の接続部材は、端面から円筒管の接線方向に凹入する凹入部として形成される係合部に係合することになる。
【0016】
その後、本体部と係止凸部を備える接続部材及び平坦面を有する形状の接続部材を係合した一方側の断熱部材を円筒管の外周部に装着する。
続いて、先ず、本体部と係止凸部を備える接続部材に対して、他方側の断熱部材の一端側に形成されている係合部、つまり、係止用凹部を備える切除部として形成される係合部を、円筒管の外方に相当する箇所から円筒管に接近させる方向に移動させながら係合させる。
【0017】
次に、平坦面を有する形状の接続部材に対して、他方側の断熱部材の他端側に形成されている係合部、つまり、端面から円筒管の接線方向に凹入する凹入部として形成される係合部を、一対の断熱部材の端面が付き合わせた状態で位置する対向箇所における円筒管の接線方向に移動させながら係合させることになる。
【0018】
このような手順にて、2分割された断熱部材の端面同士を付き合わせた状態で円筒管の周方向に位置する二つの対向箇所の夫々において、隣接する一対の断熱部材端部を接続部材にて連結することにより、断熱部材における円筒管の軸心方向の一方側箇所に接続部材の長さに相当する空間がなくても、接続部材を装着できることになる。
【0019】
しかも、本体部と係止凸部を備える接続部材に対して、係止用凹部を備える切除部として形成される係合部を係合させた状態においては、係止凸部が係止用凹部を係止することにより、本体部と係止凸部を備える接続部材と係合部との係合が外れ難いものとなる。
また、平坦面を有する形状の接続部材に対して、端面から円筒管の接線方向に凹入する凹入部として形成される係合部を係合させた状態においては、例えば、断熱部材が本体部と係止凸部を備える接続部材との係合箇所を中心として回転運動しようとしても、凹入部の円筒管の径方向に沿って並びかつ円筒管の接線方向に沿う平坦面に形成される内側面及び外側面の夫々に対して、平坦面を有する形状の接続部材における当該凹入部の内側面及び外側面に沿う平坦面が接当する作用により、その回転運動が阻止される等により、平坦面を有する形状の接続部材と係合部との係合が外れ難いものとなる。
【0020】
要するに、本発明の円筒管用断熱構造によれば、断熱部材における円筒管の軸心方向の一方側箇所に接続部材の長さに相当する空間がなくても、接続部材を断熱部材との係合が外れ難い状態に装着できる。
【0021】
本発明の円筒管用断熱構造は、低温流体が通流する円筒管の外周部に、前記円筒管の周方向に2分割された半円状断熱部材が、端面同士を付き合わせた状態で前記円筒管の周方向に位置する二つの対向箇所の夫々において、隣接する一対の断熱部材端部を前記円筒管の軸心方向に沿って長尺な接続部材にて連結する状態で設けられたものであって、その特徴構成は、
前記二つの対向箇所における一対の前記断熱部材端部の夫々に、前記接続部材が係合する溝状の係合部として、前記断熱部材端部の前記円筒管の径方向における内方側部分を前記円筒管の周方向に沿って切除した切除部が、当該切除部の前記円筒管の径方向外方側部に前記円筒管の径方向外方に凹入する係止用凹部を備える形態に形成され、
前記二つの対向箇所における前記接続部材が、断面形状を一対の前記断熱部材端部の夫々の前記切除部に係合する本体部と前記係止用凹部に係合する一対の係止凸部とを備える形態に形成されている点にある。
【0022】
すなわち、2分割された断熱部材の端面同士を付き合わせた状態で円筒管の周方向に位置する二つの対向箇所の夫々において、隣接する一対の断熱部材端部を接続部材にて連結する状態にするには、例えば、次の手順にて行うことができる。
先ず、2分割された半円状の一対の断熱部材の一方側の断熱部材の両端部に形成される係合部の夫々に、本体部と係止凸部を備える接続部材を係合する。
【0023】
その後、本体部と係止凸部を備える接続部材を両端部に係合した一方側の断熱部材を円筒管の外周部に装着する。
続いて、先ず、本体部と係止凸部を備える一対の接続部材の一方に対して、他方側の断熱部材の一端側に形成されている係合部、つまり、係止用凹部を備える切除部として形成される係合部を、円筒管の外方に相当する箇所から円筒管に接近させる方向に移動させながら係合させる。
【0024】
次に、本体部と係止凸部を備える一対の接続部材の他方に対して、他方側の断熱部材の他端側に形成されている係合部、つまり、係止用凹部を備える切除部として形成される係合部を、円筒管の外方に相当する箇所から円筒管に接近させる方向に移動させながら係合させる。
【0025】
ちなみに、他方側の断熱部材の他端側に形成されている係合部を、円筒管の外方に相当する箇所から円筒管に接近させる方向に移動させる際には、他方側の断熱部材を円筒管の径方向に沿って伸縮させるように弾性変形させることになるから、係止凸部の高さに比べて、断熱部材の径が大きい場合が好都合である。
【0026】
このような手順にて、2分割された断熱部材の端面同士を付き合わせた状態で円筒管の周方向に位置する二つの対向箇所の夫々において、隣接する一対の断熱部材端部を接続部材にて連結することにより、断熱部材における円筒管の軸心方向の一方側箇所に接続部材の長さに相当する空間がなくても、接続部材を装着できることになる。
【0027】
しかも、本体部と係止凸部を備える接続部材に対して、係止用凹部を備える切除部として形成される係合部を係合させた状態においては、係止凸部が係止用凹部を係止することにより、本体部と係止凸部を備える接続部材と係合部との係合が外れ難いものとなる。
【0028】
要するに、本発明の円筒管用断熱構造によれば、断熱部材における円筒管の軸心方向の一方側箇所に接続部材の長さに相当する空間がなくても、接続部材を断熱部材との係合が外れ難い状態に装着できる。
【0029】
本発明の円筒管用断熱構造は、低温流体が通流する円筒管の外周部に、前記円筒管の周方向に2分割された半円状断熱部材が、端面同士を付き合わせた状態で前記円筒管の周方向に位置する二つの対向箇所の夫々において、隣接する一対の断熱部材端部を前記円筒管の軸心方向に沿って長尺な接続部材にて連結する状態で設けられたものであって、その特徴構成は、
前記二つの対向箇所における一対の前記断熱部材端部の夫々に、前記接続部材が係合する溝状の係合部として、前記端面から前記円筒管の接線方向に沿って凹入する凹入部が、前記円筒管の径方向に沿って並ぶ内側面及び外側面の夫々を前記円筒管の接線方向に沿う平坦面とする形態で形成され、
前記二つの対向箇所における前記接続部材が、断面形状を一対の前記断熱部材端部の夫々の前記凹入部の前記内側面及び外側面に沿う平坦面を有する形状に形成され、
平坦面を有する形状に形成される前記接続部材が弾性変形可能な材料にて形成され、当該接続部材における隣接する前記凹入部に係合する一対の係合部分の一方側の係合部分に、当該係合部分を前記円筒管の径方向に分離するスリットが形成されている点にある。
【0030】
尚、上述の円筒管の接線方向とは、一対の断熱部材の端面が付き合わされた状態で位置する対向箇所における円筒管の接線方向である。
【0031】
すなわち、2分割された断熱部材の端面同士を付き合わせた状態で円筒管の周方向に位置する二つの対向箇所の夫々において、隣接する一対の断熱部材端部を接続部材にて連結する状態にするには、例えば、次の手順にて行うことができる。
先ず、2分割された半円状の一対の断熱部材の一方側の断熱部材の両端部に形成される係合部の夫々に、平坦面を有する形状の接続部材を係合する。
【0032】
その後、平坦面を有する形状の接続部材を両端部に係合した一方側の断熱部材を円筒管の外周部に装着する。
続いて、他方側の断熱部材を円筒管に接近するように移動させるようにして、一方側の断熱部材の両端部に係合した平坦面を有する形状の接続部材に対して、他方側の断熱部材の両端部に形成されている係合部、つまり、端面から円筒管の接線方向に凹入する凹入部として形成される係合部を、一対の断熱部材の端面が付き合わせた状態で位置する対向箇所における円筒管の接線方向に移動させながら係合させる。
【0033】
このような手順にて、2分割された断熱部材の端面同士を付き合わせた状態で円筒管の周方向に位置する二つの対向箇所の夫々において、隣接する一対の断熱部材端部を接続部材にて連結することにより、断熱部材における円筒管の軸心方向の一方側箇所に接続部材の長さに相当する空間がなくても、接続部材を装着できることになる。
【0034】
しかも、平坦面を有する形状の接続部材に対して、端面から円筒管の接線方向に凹入する凹入部として形成される係合部を係合させた状態においては、例えば、断熱部材が一方側の接続部材との係合箇所を中心として回転運動しようとしても、凹入部の円筒管の径方向に沿って並びかつ円筒管の接線方向に沿う平坦面に形成される内側面及び外側面の夫々に対して、平坦面を有する形状の接続部材における当該凹入部の内側面及び外側面に沿う平坦面が接当する作用により、その回転運動が阻止される等により、平坦面を有する形状の接続部材と係合部との係合が外れ難いものとなる。
【0035】
要するに、本発明の円筒管用断熱構造によれば、断熱部材における円筒管の軸心方向の一方側箇所に接続部材の長さに相当する空間がなくても、接続部材を断熱部材との係合が外れ難い状態に装着できる。
また、平坦面を有する形状に形成される接続部材における隣接する凹入部に係合する一対の係合部分の一方側の係合部分に、当該係合部分を円筒管の径方向に分離するスリットが形成されているから、例えば、接続部材における一対の係合部分のうちのスリットが形成されていない係合部分を、一対の断熱部材のうちの先に装着する断熱部材の係合部に係合させるようにして、一対の断熱部材のうちの後に装着する断熱部材の係合部を、接続部材における一対の係合部分のうちのスリットが形成されている係合部分に係合させるようにすることにより、係合部分に対して係合部を係合させることを、スリットが形成されている係合部分を弾性変形させながら良好に行うことができる。
つまり、スリットが形成されている係合部分は、径方向に挟み込まれるように押圧されると、スリットの形成により円筒管の径方向に沿う幅を小さくできるものであるから、スリットが形成されている係合部分に対して断熱部材の係合部を係合させることを、スリットが形成されている係合部分を円筒管の径方向に沿う幅を小さくするように弾性変形させながら良好に行うことができる。
ちなみに、スリットが形成されている係合部分の円筒管の径方向に沿う幅を、係合部を形成する凹入部の内側面と外側面との間の幅よりも少し大きく形成しておくことにより、スリットが形成されている係合部分に対して断熱部材の係合部を係合させたときに、係合部を形成する凹入部の内側面及び外側面とスリットが形成されている係合部分との接触圧を高くして、外れ難くすることができる。
要するに、本発明の円筒管用断熱構造の特徴構成によれば、一対の断熱部材のうちの後に装着する断熱部材の係合部を、接続部材における一対の係合部分のうちのスリットが形成されている係合部分に係合させることを良好に行うことができる。
本発明の円筒管用断熱構造は、低温流体が通流する円筒管の外周部に、前記円筒管の周方向に2分割された半円状断熱部材が、端面同士を付き合わせた状態で前記円筒管の周方向に位置する二つの対向箇所の夫々において、隣接する一対の断熱部材端部を前記円筒管の軸心方向に沿って長尺な接続部材にて連結する状態で設けられたものであって、その特徴構成は、
前記二つの対向箇所における一対の前記断熱部材端部の夫々に、前記接続部材が係合する溝状の係合部として、前記端面から前記円筒管の接線方向に沿って凹入する凹入部が、前記円筒管の径方向に沿って並ぶ内側面及び外側面の夫々を前記円筒管の接線方向に沿う平坦面とする形態で形成され、
前記二つの対向箇所における前記接続部材が、断面形状を一対の前記断熱部材端部の夫々の前記凹入部の前記内側面及び外側面に沿う平坦面を有する形状に形成され、
平坦面を有する形状に形成される前記接続部材が弾性変形可能な材料にて形成され、当該接続部材における隣接する前記凹入部に係合する一対の係合部分の夫々に、当該係合部分を前記円筒管の径方向に分離するスリットが形成されている点にある。
尚、上述の円筒管の接線方向とは、一対の断熱部材の端面が付き合わされた状態で位置する対向箇所における円筒管の接線方向である。
すなわち、2分割された断熱部材の端面同士を付き合わせた状態で円筒管の周方向に位置する二つの対向箇所の夫々において、隣接する一対の断熱部材端部を接続部材にて連結する状態にするには、例えば、次の手順にて行うことができる。
先ず、2分割された半円状の一対の断熱部材の一方側の断熱部材の両端部に形成される係合部の夫々に、平坦面を有する形状の接続部材を係合する。
その後、平坦面を有する形状の接続部材を両端部に係合した一方側の断熱部材を円筒管の外周部に装着する。
続いて、他方側の断熱部材を円筒管に接近するように移動させるようにして、一方側の断熱部材の両端部に係合した平坦面を有する形状の接続部材に対して、他方側の断熱部材の両端部に形成されている係合部、つまり、端面から円筒管の接線方向に凹入する凹入部として形成される係合部を、一対の断熱部材の端面が付き合わせた状態で位置する対向箇所における円筒管の接線方向に移動させながら係合させる。
このような手順にて、2分割された断熱部材の端面同士を付き合わせた状態で円筒管の周方向に位置する二つの対向箇所の夫々において、隣接する一対の断熱部材端部を接続部材にて連結することにより、断熱部材における円筒管の軸心方向の一方側箇所に接続部材の長さに相当する空間がなくても、接続部材を装着できることになる。
しかも、平坦面を有する形状の接続部材に対して、端面から円筒管の接線方向に凹入する凹入部として形成される係合部を係合させた状態においては、例えば、断熱部材が一方側の接続部材との係合箇所を中心として回転運動しようとしても、凹入部の円筒管の径方向に沿って並びかつ円筒管の接線方向に沿う平坦面に形成される内側面及び外側面の夫々に対して、平坦面を有する形状の接続部材における当該凹入部の内側面及び外側面に沿う平坦面が接当する作用により、その回転運動が阻止される等により、平坦面を有する形状の接続部材と係合部との係合が外れ難いものとなる。
要するに、本発明の円筒管用断熱構造によれば、断熱部材における円筒管の軸心方向の一方側箇所に接続部材の長さに相当する空間がなくても、接続部材を断熱部材との係合が外れ難い状態に装着できる。
また、平坦面を有する形状に形成される接続部材における隣接する凹入部に係合する一対の係合部分の夫々に、当該係合部分を円筒管の径方向に分離するスリットが形成されているから、接続部材における一対の係合部分の一方の係合部分を、一対の断熱部材のうちの先に装着する断熱部材の係合部に係合させることや、一対の断熱部材のうちの後に装着する断熱部材の係合部を、接続部材における一対の係合部分のうちの残りの係合部分に係合させることを、良好に行うことができる。
つまり、スリットが形成されている係合部分は、径方向に挟み込まれるように押圧されると、スリットの形成により円筒管の径方向に沿う幅を小さくできるものであるから、スリットが形成されている係合部分に対して断熱部材の係合部を係合させることを、スリットが形成されている係合部分を円筒管の径方向に沿う幅を小さくするように弾性変形させながら良好に行うことができる。
ちなみに、スリットが形成されている係合部分の円筒管の径方向に沿う幅を、係合部を形成する凹入部の内側面と外側面と間の幅よりも少し大きく形成しておくことにより、スリットが形成されている係合部分に対して断熱部材の係合部を係合させたときに、係合部を形成する凹入部の内側面及び外側面とスリットが形成されている係合部分との接触圧を高くして、外れ難くすることができる。
要するに、本発明の円筒管用断熱構造の特徴構成によれば、断熱部材の係合部を接続部材における一対の係合部分に係合させることを良好に行うことができる。
【0036】
本発明の円筒管用断熱構造の更なる特徴構成は、平坦面を有する形状に形成される前記接続部材が弾性変形可能な材料にて形成され、当該接続部材における隣接する前記凹入部に係合する一対の係合部分の一方側の係合部分に、当該係合部分を前記円筒管の径方向に分離するスリットが形成されている点にある。
【0037】
すなわち、平坦面を有する形状に形成される接続部材における隣接する凹入部に係合する一対の係合部分の一方側の係合部分に、当該係合部分を円筒管の径方向に分離するスリットが形成されているから、例えば、接続部材における一対の係合部分のうちのスリットが形成されていない係合部分を、一対の断熱部材のうちの先に装着する断熱部材の係合部に係合させるようにして、一対の断熱部材のうちの後に装着する断熱部材の係合部を、接続部材における一対の係合部分のうちのスリットが形成されている係合部分に係合させるようにすることにより、係合部分に対して係合部を係合させることを、スリットが形成されている係合部分を弾性変形させながら良好に行うことができる。
【0038】
つまり、スリットが形成されている係合部分は、径方向に挟み込まれるように押圧されると、スリットの形成により円筒管の径方向に沿う幅を小さくできるものであるから、スリットが形成されている係合部分に対して断熱部材の係合部を係合させることを、スリットが形成されている係合部分を円筒管の径方向に沿う幅を小さくするように弾性変形させながら良好に行うことができる。
【0039】
ちなみに、スリットが形成されている係合部分の円筒管の径方向に沿う幅を、係合部を形成する凹入部の内側面と外側面との間の幅よりも少し大きく形成しておくことにより、スリットが形成されている係合部分に対して断熱部材の係合部を係合させたときに、係合部を形成する凹入部の内側面及び外側面とスリットが形成されている係合部分との接触圧を高くして、外れ難くすることができる。
【0040】
要するに、本発明の円筒管用断熱構造の更なる特徴構成によれば、一対の断熱部材のうちの後に装着する断熱部材の係合部を、接続部材における一対の係合部分のうちのスリットが形成されている係合部分に係合させることを良好に行うことができる。
【0041】
本発明の円筒管用断熱構造の更なる特徴構成は、平坦面を有する形状に形成される前記接続部材が弾性変形可能な材料にて形成され、当該接続部材における隣接する前記凹入部に係合する一対の係合部分の夫々に、当該係合部分を前記円筒管の径方向に分離するスリットが形成されている点にある。
【0042】
すなわち、平坦面を有する形状に形成される接続部材における隣接する凹入部に係合する一対の係合部分の夫々に、当該係合部分を円筒管の径方向に分離するスリットが形成されているから、接続部材における一対の係合部分の一方の係合部分を、一対の断熱部材のうちの先に装着する断熱部材の係合部に係合させることや、一対の断熱部材のうちの後に装着する断熱部材の係合部を、接続部材における一対の係合部分のうちの残りの係合部分に係合させることを、良好に行うことができる。
【0043】
つまり、スリットが形成されている係合部分は、径方向に挟み込まれるように押圧されると、スリットの形成により円筒管の径方向に沿う幅を小さくできるものであるから、スリットが形成されている係合部分に対して断熱部材の係合部を係合させることを、スリットが形成されている係合部分を円筒管の径方向に沿う幅を小さくするように弾性変形させながら良好に行うことができる。
【0044】
ちなみに、スリットが形成されている係合部分の円筒管の径方向に沿う幅を、係合部を形成する凹入部の内側面と外側面と間の幅よりも少し大きく形成しておくことにより、スリットが形成されている係合部分に対して断熱部材の係合部を係合させたときに、係合部を形成する凹入部の内側面及び外側面とスリットが形成されている係合部分との接触圧を高くして、外れ難くすることができる。
【0045】
要するに、本発明の円筒管用断熱構造の更なる特徴構成によれば、断熱部材の係合部を接続部材における一対の係合部分に係合させることを良好に行うことができる。
【0046】
本発明の円筒管用断熱構造の更なる特徴構成は、前記円筒管の外周部に、2分割された半円状の前記断熱部材にて円筒状で且つ径が異なる状態に形成される複数の断熱壁が、複数層を形成する状態で設けられている点にある。
【0047】
すなわち、円筒管の外周部を、複数層を形成する状態で設けられる複数の断熱壁にて覆うものであるから、円筒管を適切に断熱することができる。
【0048】
要するに、本発明の円筒管用断熱構造の更なる特徴構成によれば、円筒管を適切に断熱することができる。
【0049】
本発明の円筒管用断熱構造の更なる特徴構成は、前記円筒管の外周部における前記接続部材にて連結される半円状断熱部材の設置箇所に対して前記円筒管の軸心方向に隣接する箇所に、前記円筒管の周方向に複数に分割された円弧状の断熱部材が、端面同士を付き合わせた状態で前記円筒管の周方向に位置する複数の対向箇所の夫々において、隣接する一対の断熱部材端部を前記円筒管の軸心方向に沿って長尺な連結部材にて連結する状態で設けられ、
前記連結部材にて連結される一対の前記断熱部材端部の夫々に、前記連結部材の係合溝部として、前記端面から前記円筒管の周方向に凹入する凹入溝部が、当該凹入溝部の前記円筒管の径方向外方側部に前記円筒管の径方向外方に凹入する係止用溝部を備える形態に形成され、
前記連結部材が、断面形状を一対の前記断熱部材端部の夫々の前記凹入溝部に係合する本体連結部と前記係止用溝部に係合する一対の係止連結部とを備える形態に形成されている点にある。
【0050】
すなわち、円筒管の軸心方向に所定の長さを備える断熱部材を円筒管の一端部から他端部に向けて順次装着する際に、円筒管の一端部に隣接する箇所や、円筒管の他端部から離れている箇所においては、連結部材にて連結される円弧状の断熱部材を装着し、最後に、円筒管の他端部に隣接する箇所においては、接続部材にて連結される半円状の断熱部材を装着することにより、円筒管の全長に亘って断熱部材を適切に装着できる。
【0051】
ちなみに、長尺状の連結部材にて連結される円弧状の断熱部材を円筒管の外周部に装着するには、円筒管の周方向に分割された円弧状の断熱部材を、端面同士を付き合わせた状態で円筒管の周方向に並べた状態において、長尺な連結部材を長手方向に移動させながら、隣接する断熱部材端部の夫々に形成した係合溝部に係合(挿入)することにより、断熱部材を装着することになる。
【0052】
そして、連結部材にて連結される断熱部材端部の夫々に形成される係合溝部として、断熱部材の端面から円筒管の周方向に凹入する凹入溝部が、当該凹入溝部の前記円筒管の径方向外方側部に円筒管の径方向外方に凹入する係止用溝部を備える形態に形成され、これに合わせて、連結部材が、断面形状を断熱部材端部の夫々の凹入溝部に係合する本体連結部と係止用溝部に係合する一対の係止連結部とを備える形態に形成されているから、係止連結部にて係止用溝部を係止することにより、隣接する断熱部材を適切に連結できるため、円筒管の内部を通流する低温流体により断熱部材が冷却されたときに、断熱部材の熱収縮により、隣接する断面部材の端面同士の間に大きな隙間が現出するのを抑制して、円筒管を適切に断熱できる。
【0053】
要するに、本発明の円筒管用断熱構造の更なる特徴構成によれば、円筒管を適切に断熱できる状態で、円筒管の全長に亘って断熱部材を適切に装着できる。
【0054】
本発明の円筒管用断熱構造の更なる特徴構成は、前記円筒管の外周部に、前記連結部材にて連結される複数の円弧状の前記断熱部材にて円筒状で且つ径が異なる状態に形成される複数の断熱用壁部が、複数層を形成する状態で設けられている点にある。
【0055】
すなわち、連結部材にて連結される円弧状の断熱部材にて円筒状で且つ径が異なる状態に形成される複数の断熱用壁部が、円筒管の外周部に、複数層を形成する状態で設けられているから、円筒管を一層適切に断熱することができる。
【0056】
要するに、本発明の円筒管用断熱構造の更なる特徴構成によれば、円筒管を一層適切に断熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【
図1】は、断熱部材の装着状態を示す縦断側面図である。
【
図2】は、断熱部材及び半円状断熱部材の装着状態を示す切欠斜視図である。
【
図3】は、第1図におけるIII‐III線矢視図である。
【
図4】は、第1図におけるIV‐IV線矢視図である。
【
図5】は、連結部材と断熱部材との関係を示す分解斜視図である。
【
図6】は、接続部材と半円状断熱部材との関係を示す正面図である。
【
図10】は、第2実施形態の半円状断熱材の装着形態を示す正面図である。
【
図11】は、第2実施形態の接続部材を示す斜視図である。
【
図12】は、第3実施形態の断熱部材の装着形態を示す正面図である。
【
図13】は、第3実施形態の半円状断熱部材と接続部材との関係を示す正面図である。
【
図14】は、第3実施形態の半円状断熱部材の装着形態を示す正面図である。
【
図15】は、第3実施形態の接続部材を示す斜視図である。
【
図16】は、第4実施形態の半円状断熱部材の装着形態を示す正面図である。
【
図17】は、比較例の断熱部材の装着形態を示す正面図である。
【
図18】は、比較例の断熱部材の装着形態を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
(断熱構造の全体構成)
図1及び
図2に示すように、LNGやLPG等の低温流体が通流する円筒管1が設けられ、円筒管1の外周部に、ウレタン樹脂を発泡させたウレタンフォーム製の複数の断熱部材Pが、円筒管1の周方向及び軸心方向に並ぶ状態で装着されている。
【0059】
複数の断熱部材Pは、円筒管1の径方向に一定の厚みを有する状態で円筒管1の周方向に沿って円弧状(本実施形態では半円状)に延びる形態で、円筒管1の軸心方向の長さが長い長尺状に形成される母材を、円筒管1の軸心方向において所定の長さに切断したものである。
尚、
図5に示すように、以下の記載において、断熱部材Pの径方向外方側の面を外面3とし、径方向内方側の面を内面4とし、周方向の両端の面を端面5とし、さらに、軸心方向の両側の面を側面6とする。
【0060】
本実施形態においては、断熱部材Pが三層の断熱壁を形成するように装着されている。
つまり、断熱部材Pとして、最も大径の大径断熱部材PL、中間の径の中間径断熱部材PM、及び、最も小径の小径断熱部材PSが設けられている(
図3、
図4参照)。
ちなみに、断熱部材Pを積層した状態においては、大径断熱部材PLの外面3が最も外方側に位置し、大径断熱部材PLの内面4と中間径断熱部材PMの外面3とが同径状に並び、中間径断熱部材PMの内面4と小径断熱部材PSの外面3とが同径状に並び、小径断熱部材PSの内面4が、円筒管1の外周面と同径状に並ぶことになる。
【0061】
円筒管1の両端部には、フランジFが設けられ、隣接する円筒管1のフランジFがボルトを用いて連結されることにより、低温流体を流動させる流路が形成されることになる。
複数の断熱部材Pは、円筒管1の一端部から他端部に向かって順次装着される形態で、円筒管1の一端部に隣接する箇所、円筒管1の他端部に隣接する箇所、及び、それらの間に相当する箇所に装着されることになる。
【0062】
断熱部材Pを円筒管1の軸心方向に並べる形態は、最も小径の小径断熱部材PSを並べる形態と最も大径の大径断熱部材PLを並べる形態が同じで、これに対して、中間の径の中間径断熱部材PMを並べる形態が異なる。
すなわち、小径断熱部材PS、中間径断熱部材PM及び大径断熱部材PLが、円筒管1の軸心方向に沿う長さを基本長さ(例えば、1m)となるように形成されている。
【0063】
そして、小径断熱部材PS及び大径断熱部材PLについては、基本長さの断熱部材Pを円筒管1の一端部から他端部に向かって並べるのに対して、中間径断熱部材PMについては、基本長さの半分(例えば、0.5m)の長さの断熱部材Pを、円筒管1の一端部に並べてから、基本的長さの断熱部材Pを円筒管1の他端部に向かって並べるように構成されている。
【0064】
円筒管1の他端部に隣接する箇所においては、小径断熱部材PS、中間径断熱部材PM及び大径断熱部材PLの軸心方向の長さが、円筒管1の軸心方向の長さに合わせて適宜定められることになる。
但し、円筒管1の他端部に隣接する箇所に装着する小径断熱部材PS、中間径断熱部材PM及び大径断熱部材PLの軸心方向の長さが、後述する連結部材7を装着する空間を形成するために、1m以上の長さとなるように構成されている。
【0065】
また、中間径断熱部材PMについては、基本長さの半分(例えば、0.5m)の長さの中間径断熱部材PMを円筒管1の一端部に隣接する箇所に設置するため、円筒管1の他端部に隣接する箇所において、小径断熱部材PS及び大径断熱部材PLの軸心方向の長さと、中間径断熱部材PMの軸心方向の長さとが異なることになる。
本実施形態においては、中間径断熱部材PMの軸心方向の長さを、小径断熱部材PS及び大径断熱部材PLの軸心方向の長さに基本長さの半分(例えば、0.5m)の長さを加えた長さにしてある。
【0066】
さらに、円筒管1の一端部に隣接する箇所及び円筒管1の他端部に隣接する箇所を除いた中間箇所において、断熱部材Pを円筒管1の周方向に並べて装着する構成(以下、基本装着構成と略称)は同じであるが、円筒管1の他端部に隣接する箇所において断熱部材Pを円筒管1の周方向に並べて装着する構成(以下、端部装着構成と略称)は、基本装着構成とは異なり、次に、基本装着構成と端部装着構成とを順次説明する。
【0067】
ちなみに、円筒管1のフランジFと断熱部材Pとの間の箇所には、グラスウール等の断熱材Dが充填され、また、円筒管1のフランジFの上部に相当する箇所には、基本装着構成と同様な構成にて、円弧状のフランジ用断熱部材Qが2層状に設置されている。
【0068】
(基本装着構成)
基本装着構成においては、
図3に示すように、円筒管1の周方向に複数に分割された円弧状(本実施形態は半円状)の断熱部材Pが、端面同士を付き合わせた状態で円筒管1の周方向に位置する複数の対向箇所の夫々において、隣接する一対の断熱部材端部を円筒管の軸心方向に沿って長尺な連結部材7(
図5参照)にて連結する状態で、円筒管1の外周部に設けられている。
ちなみに、連結部材7の長さは、断熱部材Pの軸心方向の長さと同じ長さに形成され、また、連結部材7は、断熱部材Pと同様に、ウレタン樹脂製である。
【0069】
図3及び
図5に示すように、連結部材7にて連結される一対の断熱部材端部の夫々に、連結部材7の係合溝部Uとして、端面から前記円筒管の周方向に凹入する凹入溝部8が、当該凹入溝部8の円筒管1の径方向外方側部に円筒管1の径方向外方に凹入する係止用溝部8aを備える形態に形成されている。
【0070】
そして、連結部材7が、断面形状を一対の断熱部材端部の夫々の凹入溝部8に係合する本体連結部7Aと係止用溝部8aに係合する一対の係止連結部7aとを備える形態に形成されている。
【0071】
したがって、基本装着構成においては、半円状の断熱部材Pを円筒管1の外周部に、円筒管1の周方向に並べた状態で、連結部材7を長手方向(円筒管1の軸心方向)に沿って移動させながら、一対の断熱部材端部の夫々の凹入溝部8に係合させる形態で挿入して、断熱部材Pを円筒管1の外周部に装着することになる(
図5参照)。
【0072】
詳しくは、先ず、小径断熱部材PSを円筒管1の外周面に装着し、次に、中間径断熱部材PMを、小径断熱部材PSの外周面に装着し、最後に、大径断熱部材PLを、中間径断熱部材PMの外周面に装着することになる。
このように、小径断熱部材PS、中間径断熱部材PM及び大径断熱部材PLを装着した状態においては、円筒管1の外周部に、連結部材7にて連結される複数の円弧状(2つの半円状)の断熱部材Pにて円筒状で且つ径が異なる状態に形成される複数(3つ)の断熱用壁部が、複数層を形成する状態で設けられることになる。
【0073】
また、小径断熱部材PSにおける端面同士を付き合わせた状態の対向箇所と、中間径断熱部材PMにおける端面同士を付き合わせた状態の対向箇所とが、円筒管1の周方向における位相を90度異ならせ、同様に、中間径断熱部材PMにおける端面同士を付き合わせた状態の対向箇所と、大径断熱部材PLにおける端面同士を付き合わせた状態の対向箇所とが、円筒管1の周方向における位相を90度異ならせる形態で、小径断熱部材PS、中間径断熱部材PM及び大径断熱部材PLが装着されるように構成されている。
【0074】
(端部装着構成)
端部装着構成においては、
図4に示すように、上述した円筒管1の周方向に2分割された半円状の断熱部材Pが、円筒管1の周方向に2分割された半円状断熱部材PAとして用いられることになる。
そして、断熱部材Pが、端面同士を付き合わせた状態で円筒管1の周方向に位置する二つの対向箇所の夫々において、隣接する一対の断熱部材端部を円筒管の軸心方向に沿って長尺な接続部材Bにて連結する状態で、円筒管1の外周部に設けられている。
ちなみに、接続部材Bの長さは、断熱部材Pの軸心方向の長さと同じ長さに形成され、また、接続部材Bは、断熱部材Pと同様に、ウレタン樹脂製である。
【0075】
上述の二つの対向箇所における一対の断熱部材端部の夫々に、接続部材Bが係合する溝状の係合部Vとして、端面5から円筒管1の接線方向に沿って凹入する凹入部10が、円筒管1の径方向に沿って並ぶ内側面10u及び外側面10gの夫々を円筒管1の接線方向に沿う平坦面とする形態で形成されている。
尚、この記載における円筒管1の接線方向とは、一対の断熱部材Pの端面5が付き合わされた状態で位置する対向箇所における円筒管1の接線方向を意味することになる。
【0076】
また、凹入部10は、
図6において仮想線にて示す如く、基本装着構成における凹入溝部8における係止用溝部8aの横側に位置する横側部分8bを切除することによって形成されている。
つまり、本実施形態においては、凹入溝部8を備える形態の断熱部材Pを形成し、基本装着形態においては、その断熱部材Pをそのまま使用し、端部装着構成においては、凹入溝部8における係止用溝部8aの横側に位置する横側部分8bを切除して方形状の凹入部10を形成して、そのように凹入部10が形成された断熱部材Pを、半円状断熱部材PAとして使用することになる。
【0077】
そして、二つの対向箇所における接続部材Bが、断面形状を一対の断熱部材端部の夫々の凹入部10の内側面10u及び外側面10gに沿う平坦面を有する断面形状が方形状に形成された長尺方形体11として構成されている。
ちなみに、方形状の凹入部10の角部が円弧状に構成されるため、長尺方形体11の断面形状は、詳しくは、角丸方形状である。
【0078】
また、本実施形態においては、断面形状が方形状に形成される長尺方形体11が弾性変形可能な材料(ウレタン樹脂)にて形成され、当該長尺方形体11における隣接する凹入部10に係合する一対の係合部分11Aの夫々に、
図7に示すように、当該係合部分11Aを円筒管の径方向に分離するスリット12が形成されている。
ちなみに、長尺方形体11の厚さは15mm程度であり、スリット12は、2mm程度の幅に形成されている。
【0079】
したがって、端部装着構成においては、次の手順にて、断熱部材Pを円筒管1の外周部に装着することになる。
先ず、2分割された半円状の一対の断熱部材P(半円状断熱部材PA)のうちの一方側の断熱部材Pの両端部に形成される凹入部10の夫々に、長尺方形体11を係合する。
ちなみに、長尺方形体11を凹入部10に係合する際には、長尺方形体11を長手方向に移動させながら、凹入部10に係合(挿入)する、又は、長尺方形体11を凹入部10の凹入方向に移動させながら、凹入部10に係合する。
【0080】
その後、長尺方形体11を係合した一方側の断熱部材P(半円状断熱部材PA)を円筒管1の外周部に当て付ける状態に装着する。
続いて、他方側の断熱部材Pを円筒管1に接近するように移動させるようにして、一方側の断熱部材Pの両端部に係合した長尺方形体11に対して、他方側の断熱部材Pの両端部に形成されている凹入部10を、一対の断熱部材Pの端面5が付き合わされた状態で位置する対向箇所における円筒管1の接線方向に移動させながら係合させる。
【0081】
詳しくは、先ず、小径断熱部材PSを円筒管1の外周面に装着し、次に、中間径断熱部材PMを、小径断熱部材PSの外周面に装着し、最後に、大径断熱部材PLを、中間径断熱部材PMの外周面に装着することになる。
このように、小径断熱部材PS、中間径断熱部材PM及び大径断熱部材PLを装着した状態においては、円筒管1の外周部に、2分割された半円状の断熱部材P(半円状断熱部材PA)にて円筒状で且つ径が異なる状態に形成される複数(3つ)の断熱壁が、複数層を形成する状態で設けられることになる。
【0082】
また、基本装着構成と同様に、小径断熱部材PSにおける端面同士を付き合わせた状態の対向箇所と、中間径断熱部材PMにおける端面同士を付き合わせた状態の対向箇所とが、円筒管1の周方向における位相を90度と異ならせ、同様に、中間径断熱部材PMにおける端面同士を付き合わせた状態の対向箇所と、大径断熱部材PLにおける端面同士を付き合わせた状態の対向箇所とが、円筒管1の周方向における位相を90度と異ならせる形態で、小径断熱部材PS、中間径断熱部材PM及び大径断熱部材PLが装着されるように構成されている。
【0083】
(断熱補強構成について)
本実施形態においては、円筒管1の外周面に装着した複数の断熱部材Pの間、つまり、隣接する断熱部材Pの間の断熱性を補強する断熱補強構成が設けられている。
すなわち、円筒管1の外周面に装着した複数の断熱部材Pは、円筒管1の内部を通流する低温流体にて冷却されて収縮されることになり、その結果、隣接する断熱部材Pの間に隙間が形成されて、断熱性が低下する虞があるため、断熱性を補強する断熱補強構成が設けられている。
【0084】
断熱補強構成は、小径断熱部材PS及び中間径断熱部材PMにて形成される断熱壁に対して設けられる内方側補強構成と、大径断熱部材PLにて形成される断熱壁に対して設けられる外方側補強構成とがあり、以下、内方側補強構成と外方側補強構成とを順次説明する。尚、
図1~
図6においては、断熱補強構成の記載を省略している。
【0085】
(内方側補強構成)
内方側補強構成は、
図8に示すように、円筒管1の周方向に並ぶ1対の断熱部材Pの端面5が付き合わされた状態で位置する部分に対して、気密性を備えた粘着テープ(防湿ブチルテープ)13を貼着し、且つ、円筒管1の軸心方向に並ぶ断熱部材Pの側面6が付き合わせた状態で位置する部分における隣接する断熱部材Pに対して一対の係止部Waを備える連結体Wを装着する構成である。
【0086】
隣接する断熱部材Pに対して連結体Wを装着する構成について説明を加えると、一対の係止部Waを備えた連結体Wが、円筒管1の軸心方向に隣接して並ぶ一対の小径断熱部材PS及び隣接して並ぶ一対の中間径断熱部材PMの外面部に対して各別に円筒管1の径方向内方側に差し込む形態で設けられることになる。
尚、円筒管1の軸心方向に隣接して並ぶ一対の小径断熱部材PS及び隣接して並ぶ一対の中間径断熱部材PMは、円筒管1の外周部に形成される複数層(3層)の断熱壁のうちの円筒管1の径方向において内方側の断熱壁を形成し且つ円筒管1の軸心方向に隣接して並ぶ一対の断熱部材Pに相当することになる。
【0087】
本実施形態においては、
図9に示すように、連結体Wが、湾曲変形可能な帯状部材14における幅方向の両端側に係止部Waを備える形態に構成され、連結体Wが、一対の断熱部材Pの外面部に巻き付ける状態に装着されている。
つまり、帯状部材14が、例えば、ポリエステル繊維の織物を軟質な合成樹脂フィルムでサンドしたビニール系素材であるターポリンにて形成され、その帯状部材14に、合成樹脂にて先鋭状に形成した係止部Waが付設されている。
【0088】
したがって、帯状部材14は粘着性が無いため、帯状部材14を一対の断熱部材Pの外面部に巻き付けた後、巻き付けた帯状部材14に対して粘着性を有する小幅テープ15を巻き付けて、帯状部材14の外れを抑制するように構成されている。
【0089】
(外方側補強構成)
外方側補強構成は、
図8に示すように、円筒管1の軸心方向に隣接して並ぶ一対の大径断熱部材PLに跨る状態で、粘着性を有する帯状の第1漏れ防止用体16を貼着し、円筒管1の周方向に並ぶ複数(2つ)の大径断熱部材PLにおける端面5が付き合わされた状態で位置する複数(2つ)の対向箇所の夫々において、円筒管1の周方向に隣接して並ぶ一対の大径断熱部材PLに跨る状態で、粘着性を有する帯状の第2漏れ防止用体17を貼着する構成である。
【0090】
ちなみに、上述の説明から明らかな如く、大径断熱部材PLにて形成される断熱壁は、複数(3つの)の断熱壁における円筒管1の径方向において最外方側の断熱壁に相当することになる。
【0091】
さらに、本実施形態においては、大径断熱部材PLの外周面の全体に、粘着性を有する方形状の第3漏れ防止用体18が貼着されて、断熱性能を向上させている。
尚、第1漏れ防止用体16、第2漏れ防止用体17及び第3漏れ防止用体18は、例えば、アルミ箔とガラスクロスを貼り合わせた支持体に対して接着力に優れたゴム系粘着剤を塗布したテープ(ALGCテープ)を用いて構成されている。
【0092】
ちなみに、第1漏れ防止用体16、第2漏れ防止用体17及び第3漏れ防止用体18の夫々を貼着する順序としては、先ず、第3漏れ防止用体18を貼着し、次に、第2漏れ防止用体17を貼着し、最後に、第1漏れ防止用体16を貼着する順序が好ましい。
【0093】
〔第2実施形態〕
次に、第2実施形態を説明するが、この第2実施形態は、長尺方形体11に形成するスリット12の形成形態が第1実施形態と異なるものであって、その他の構成は第1実施形態と同様であるから、第1実施形態と異なる部分について説明して、第1実施形態と同様な構成についての説明を省略する。
【0094】
図10及び
図11に示すように、この第2実施形態においては、長尺方形体11における一対の係合部分11Aのうちの一方側の係合部分11Aのみに、当該係合部分を円筒管1の径方向に分離するスリット12が形成されている。
つまり、第1実施形態においては、長尺方形体11における一対の係合部分11Aの夫々にスリット12を形成したが、この第2実施形態においては、一対の係合部分11Aのうちの一方側の係合部分11Aのみに、スリット12を形成する点が、第1実施形態と異なる。
【0095】
この第2実施形態においては、先ず、2分割された半円状の一対の断熱部材P(半円状断熱部材PA)のうちの一方側の断熱部材Pの両端部に形成される凹入部10の夫々に、長尺方形体11を係合する際に、スリット12が形成されていない係合部分11Aを係合する。
ちなみに、長尺方形体11を凹入部10に係合する際には、長尺方形体11を長手方向に移動させながら、凹入部10に係合(挿入)する、又は、長尺方形体11を凹入部10の凹入方向に移動させながら、凹入部10に係合する。
【0096】
その後、長尺方形体11を係合した一方側の断熱部材Pを円筒管1の外周部に当て付ける状態に装着する。
続いて、他方側の断熱部材Pを円筒管1に接近するように移動させるようにして、一方側の断熱部材Pの両端部に係合した長尺方形体11におけるスリット12が形成されている係合部分11Aに対して、他方側の断熱部材Pの両端部に形成されている凹入部10を、一対の断熱部材Pの端面5が付き合わせた状態で位置する対向箇所における円筒管1の接線方向に移動させながら係合させる。
【0097】
〔第3実施形態〕
次に、第3実施形態を説明するが、この第3実施形態は、端部装着構成における接続部材Bの構成が第1実施形態と異なるものであって、その他の構成は第1実施形態と同様であるから、第1実施形態と異なる部分について説明して、第1実施形態と同様な構成についての説明を省略する。
【0098】
上述の第1実施形態においては、円筒管1の外径が30mm程度であるのに対して、この第3実施形態においては、円筒管1の外径が300mm程度の大径であるため、断熱部材Pが、90度の円弧状に形成されている。
【0099】
この第3実施形態の基本装着構成においては、
図12に示すように、第1実施形態と同様に、断熱部材Pが、連結部材7にて連結された状態で、複数層(3層)の断熱用壁部を形成するように装着されている。
【0100】
また、端部装着構成においては、
図13及び
図14に示すように、円筒管1の周方向に2分割された半円状の半円状断熱部材PAが、90度の円弧状として形成された2つの断熱部材Pを、基本装着構成で用いた連結部材7にて連結することにより構成されている。
【0101】
すなわち、円筒管の周方向に2分割された半円状断熱部材PAが、端面同士を付き合わせた状態で円筒管1の周方向に位置する二つの対向箇所の夫々において、隣接する一対の断熱部材端部を円筒管1の軸心方向に沿って長尺な接続部材Bにて連結する状態で設けられている。
【0102】
上記した二つの対向箇所のうちの一方側箇所における一対の断熱部材端部の夫々に、接続部材Bが係合する溝状の係合部Vとして、断熱部材端部の円筒管1の径方向における内方側部分を円筒管1の周方向に沿って切除した方形状の切除部20が、当該切除部20の円筒管1の径方向外方側部に円筒管1の径方向外方に凹入する係止用凹部20aを備える形態に形成されている。
【0103】
また、上記した二つの対向箇所のうちの他方側箇所における一対の断熱部材端部の夫々に、接続部材Bが係合する溝状の係合部Vとして、上述した第1実施形態と同様に、端面5から円筒管1の接線方向に沿って凹入する凹入部10が、円筒管1の径方向に沿って並ぶ内側面10u及び外側面10gの夫々を円筒管1の接線方向に沿う平坦面とする形態で形成されている。
尚、この記載における円筒管1の接線方向とは、一対の断熱部材Pの端面5が付き合わされた状態で位置する対向箇所における円筒管1の接線方向を意味することになる。
【0104】
方形状の切除部20が、
図13において仮想線にて示す如く、基本装着構成における凹入溝部8の下方側(円筒管1の径方向における内方側)に位置する下方側部分8cを切除することによって、係止用溝部8aを係止用凹部20aとして用いるようにする形態で形成されている。
また、凹入部10が、
図13において仮想線にて示す如く、上述した第1実施形態と同様に、基本装着構成における凹入溝部8における係止用溝部8aの横側に位置する横側部分8bを切除することによって形成されている。
【0105】
つまり、本実施形態においては、凹入溝部8を備える形態の断熱部材Pを形成し、基本装着形態においては、その断熱部材Pをそのまま使用する。
そして、端部装着構成においては、連結部材7にて連結した一対の断熱部材Pのうちの一方側の断熱部材Pの端部に位置する凹入溝部8の下方側に位置する下方側部分8cを切除して切除部20を形成し、かつ、他方側の断熱部材Pの端部に位置する凹入溝部8における係止用溝部8aの横側に位置する横側部分8bを切除して方形状の凹入部10を形成して、そのように切除部20及び凹入部10が形成された一対の断熱部材Pを、半円状断熱部材PAとして使用することになる。
【0106】
そして、二つの対向箇所のうちの一方側箇所における接続部材Bが、
図15に示すように、断面形状を一対の断熱部材端部の夫々の方形状の切除部20に係合する方形状の本体部21Aと係止用凹部20aに係合する一対の係止凸部21aとを備える形態に形成された断面形状がM型の長尺M型部材21として形成されている。
【0107】
また、二つの対向箇所のうちの他方側箇所における接続部材Bが、第1実施形態と同様に、断面形状を一対の断熱部材端部の夫々の凹入部10の内側面10u及び外側面10gに沿う平坦面を有する方形状に形成された長尺方形体11として構成されている。
【0108】
この第3実施形態においては、2分割状態の半円状断熱部材PAの端面同士を付き合わせた状態で円筒管1の周方向に位置する二つの対向箇所の夫々において、隣接する一対の断熱部材端部を接続部材Bにて連結する状態にするには、次の手順にて行うことになる。
先ず、2分割状態の一対の半円状断熱部材PAの一方側の半円状断熱部材PAの両端部に形成される係合部Vの夫々に、長尺M型部材21及び長尺方形体11を係合する。
つまり、長尺M型部材21を、係止用凹部20aを備える方形状の切除部20として形成される係合部Vに係合し、長尺方形体11を、端面から円筒管の接線方向に凹入する凹入部10として形成される係合部Vに係合する。
【0109】
その後、長尺M型部材21及び長尺方形体11を係合した一方側の半円状断熱部材PAを円筒管1の外周部に当て付けた状態に装着する。
続いて、先ず、長尺M型部材21に対して、他方側の半円状断熱部材PAの一端側に形成されている係合部V、つまり、係止用凹部20aを備える切除部20として形成される係合部Vを、円筒管1の外方に相当する箇所から円筒管1に接近させる方向に移動させながら係合させる。
【0110】
次に、長尺方形体11に対して、他方側の半円状断熱部材PAの他端側に形成されている係合部V、つまり、端面5から円筒管1の接線方向に凹入する凹入部10として形成される係合部Vを、一対の半円状断熱部材PAの端面が付き合わせた状態で位置する対向箇所における円筒管1の接線方向に移動させながら係合させることになる。
【0111】
このような手順にて、2分割状態の半円状断熱部材PAの端面同士を付き合わせた状態で円筒管1の周方向に位置する二つの対向箇所の夫々において、隣接する一対の断熱部材端部を接続部材Bにて連結することにより、半円状断熱部材PAにおける円筒管1の軸心方向の一方側箇所に接続部材Bの長さに相当する空間がなくても、接続部材を装着できることになる。
【0112】
ちなみに、基本装着構成において、円筒管1の点検等のために、連結部材7を外して断熱部材Pを分解した際に、断熱部材Pの凹入溝部8の形成部分が損傷する虞があるが、そのような場合には、凹入溝部8の下方側に位置する下方側部分8cを切除して切除部20を形成して、連結部材7に代えて、長尺M型部材21にて断熱部材Pを連結するようにしてもよい。
【0113】
〔第4実施形態〕
次に、第4実施形態を説明するが、この第4実施形態は、端部装着構成における接続部材Bの構成が第3実施形態と異なるものであって、その他の構成は第3実施形態と同様であるから、第3実施形態と異なる部分について説明して、第3実施形態と同様な構成についての説明を省略する。
【0114】
すなわち、円筒管1の周方向に2分割された半円状断熱部材PAが、90度の円弧状として形成された2つの断熱部材Pを、基本装着構成で用いた連結部材7にて連結することにより構成されている。
つまり、円筒管の周方向に2分割された半円状断熱部材PAが、端面同士を付き合わせた状態で円筒管1の周方向に位置する二つの対向箇所の夫々において、隣接する一対の断熱部材Pを円筒管1の軸心方向に沿って長尺な接続部材Bにて連結する状態で設けられている。
【0115】
上記した二つの対向箇所における一対の断熱部材端部の夫々に、接続部材Bが係合する溝状の係合部Vとして、断熱部材端部の円筒管1の径方向における内方側部分を円筒管1の周方向に沿って切除した方形状の切除部20が、当該切除部20の円筒管1の径方向外方側部に円筒管1の径方向外方に凹入する係止用凹部20aを備える形態に形成されている。
【0116】
つまり、本実施形態においては、凹入溝部8を備える形態の断熱部材Pを形成し、基本装着形態においては、その断熱部材Pをそのまま使用する。
そして、端部装着構成においては、連結部材7にて連結した一対の断熱部材Pの両端部に位置する凹入溝部8の下方側に位置する下方側部分8cを切除して切除部20を形成して、そのように切除部20が形成された一対の断熱部材Pを、半円状断熱部材PAとして使用することになる(
図13参照)。
【0117】
そして、二つの対向箇所における接続部材Bが、断面形状を一対の断熱部材端部の夫々の方形状の切除部20に係合する方形状の本体部21Aと係止用凹部20aに係合する一対の係止凸部21aとを備える形態に形成された断面形状がM型の長尺M型部材21として形成されている(
図15参照)。
【0118】
この第4実施形態においては、2分割状態の半円状断熱部材PAの端面同士を付き合わせた状態で円筒管1の周方向に位置する二つの対向箇所の夫々において、隣接する一対の断熱部材端部を接続部材Bにて連結する状態にするには、次の手順にて行うことになる。
先ず、2分割状態の一対の半円状断熱部材PAのうちの一方側の半円状断熱部材PAの両端部に形成される係合部Vの夫々に、長尺M型部材21を係合する。
つまり、長尺M型部材21を、係止用凹部20aを備える方形状の切除部20として形成される係合部Vに係合に係合する。
【0119】
その後、長尺M型部材21を係合した一方側の半円状断熱部材PAを円筒管1の外周部に当て付けた状態に装着する。
続いて、先ず、一対の長尺M型部材21の一方に対して、他方側の半円状断熱部材PAの一端側に形成されている係合部V、つまり、係止用凹部20aを備える方形状の切除部20として形成される係合部Vを、円筒管1の外方に相当する箇所から円筒管1に接近させる方向に移動させながら係合させる。
【0120】
次に、他方側の長尺M型部材21に対して、他方側の半円状断熱部材PAの他端側に形成されている係合部V、つまり、係止用凹部20aを備える方形状の切除部20として形成される係合部Vを、円筒管1の外方に相当する箇所から円筒管1に接近させる方向に移動させながら係合させる。
【0121】
ちなみに、他方側の半円状断熱部材PAの他端側に形成されている係合部Vを、円筒管1の外方に相当する箇所から円筒管1に接近させる方向に移動させる際には、他方側の半円状断熱部材PAを円筒管1の径方向に沿って伸縮させるように弾性変形させることになる。
【0122】
このような手順にて、2分割状態の半円状断熱部材PAの端面同士を付き合わせた状態で円筒管1の周方向に位置する二つの対向箇所の夫々において、隣接する一対の断熱部材端部を接続部材Bにて連結することにより、半円状断熱部材PAにおける円筒管1の軸心方向の一方側箇所に接続部材Bの長さに相当する空間がなくても、接続部材を装着できることになる(
図16参照)。
【0123】
〔別実施形態〕
以下、別実施形態を列記する。
(1)上記実施形態においては、断熱部材Pが、円筒管1の周方向に沿って2分割した半円状の場合や4分割した場合を例示したが、これに限らず、基本装着構成においては、断熱部材Pを、円筒管1の周方向に沿って3分割や5分割以上に分割してもよく、また、端部装着構成においては、断熱部材Pを、円筒管1の周方向に沿って6分割以上の偶数にて分割して、それらを接続して、半円状の半円状断熱部材PAを構成してもよい。
【0124】
(2)上記実施形態においては、基本装着構成と端部装着構成とにより、断熱部材Pを円筒管1の外周部に装着する場合を例示したが、円筒管1の全長に亘って、端部装着構成により断熱部材Pを装着する形態で実施してもよい。
【0125】
(3)上記実施形態においては、接続部材B及び連結部材7と断熱部材Pとを同じ材質で形成したが、これに限らず、接続部材B及び連結部材7と断熱部材Pとを異なる材質で形成してもよい。
【0126】
(4)上記実施形態においては、断熱部材Pの材質をウレタン樹脂としたが、断熱部材Pの材質はこれに限るものではない。例えば、断熱部材Pの材質を、ポリエチレン樹脂やニトリルゴム(NBR)等の合成樹脂、天然ゴム(NR)等の天然樹脂としてもよい。同様に、接続部材B及び連結部材7の材質を、ポリエチレン樹脂やニトリルゴム(NBR)等の合成樹脂、天然ゴム(NR)等の天然樹脂としてもよい。
【0127】
(5)上記実施形態においては、円筒管1の外周部に、複数層の断熱壁として、3層の断熱壁を形成する場合を例示したが、2層の断熱壁を形成する形態で実施してもよく、さらには、4層以上の断熱壁を形成してもよい。
【0128】
(6)上記実施形態においては、接続部材Bとしての長尺方形体11にスリット12を形成する場合を例示したが、スリット12の形成を省略する形態で実施してもよい。
【0129】
(7)上記実施形態においては、内側面10u及び外側面10gを備える凹入部10に係合する平坦面を有する接続部材Bを、断面形状が方形の長尺方形体11として構成する場合を例示したが、平坦面を有する接続部材Bとしては、断面形状において両端側を漸次細くなる凸状に形成した長尺体に形成する等、平坦面を有する接続部材Bの断面形状は各種変更できる。
【0130】
尚、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【符号の説明】
【0131】
1 円筒管
5 端面
7 連結部材
7a 係止連結部
8 凹入溝部
8a 係止用溝部
10 凹入部
12 スリット
20 切除部
20a 係止用凹部
21A 本体部
21a 係止凸部
B 接続部材
P 断熱部材
PA 半円状断熱部材
U 係合溝部
V 係合部