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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-14
(45)【発行日】2023-08-22
(54)【発明の名称】円筒管用断熱構造
(51)【国際特許分類】
   F16L 59/14 20060101AFI20230815BHJP
   F16L 59/18 20060101ALI20230815BHJP
【FI】
F16L59/14
F16L59/18
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019554306
(86)(22)【出願日】2018-11-16
(86)【国際出願番号】 JP2018042453
(87)【国際公開番号】W WO2019098320
(87)【国際公開日】2019-05-23
【審査請求日】2021-11-02
(31)【優先権主張番号】P 2017222138
(32)【優先日】2017-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】592246613
【氏名又は名称】旭興産株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】309012122
【氏名又は名称】日清紡ケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】隅田 幸一
(72)【発明者】
【氏名】千葉 秀之
(72)【発明者】
【氏名】吉村 和彦
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-194368(JP,A)
【文献】特開2000-337587(JP,A)
【文献】特開平10-299983(JP,A)
【文献】米国特許第06085394(US,A)
【文献】国際公開第2015/010162(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/043730(WO,A1)
【文献】実公昭42-007530(JP,Y1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0181413(US,A1)
【文献】中国実用新案第201723921(CN,U)
【文献】特表2004-537012(JP,A)
【文献】特開2000-184552(JP,A)
【文献】特開2008-089096(JP,A)
【文献】特開平05-018482(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 59/14
F16L 59/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
低温流体が通流する円筒管の外周部に、前記円筒管の周方向及び前記円筒管の軸心方向に分割された円弧状の断熱部材にて円筒状で且つ径が異なる状態に形成される複数層の断熱壁が、前記円筒管の軸心方向に並ぶ状態で設けられている円筒管用断熱構造であって、
一対の係止部を備えた連結体が、前記複数層の断熱壁のうちの少なくとも前記円筒管の径方向において内方側の断熱壁における前記円筒管の軸心方向に隣接して並ぶ一対の前記断熱部材に対して、一対の前記係止部を一対の前記断熱部材の外面部に対して各別に前記円筒管の径方向内方側に差し込む形態で設けられ、
前記連結体が、湾曲変形可能な帯状部材における幅方向の両端側に、前記係止部を当該帯状部材の長手方向に並ぶ状態で備える形態に構成され、
前記連結体が、一対の前記断熱部材の外面部に巻き付ける状態に装着され、
前記帯状部材が、ポリエステル繊維の織物を軟質な合成樹脂フィルムでサンドしたターポリンにて形成されている円筒管用断熱構造。
【請求項2】
前記円筒管の軸心方向に隣接して並ぶ前記複数層の断熱壁のうちの前記円筒管の径方向において最外方側の断熱壁における前記円筒管の軸心方向に隣接して並ぶ一対の前記断熱部材に跨る状態で、粘着性を有する帯状の軸心側漏れ防止用体が貼着されている請求項に記載の円筒管用断熱構造。
【請求項3】
前記複数層の断熱壁の夫々を形成する形態で前記円筒管の周方向に並ぶ複数の前記断熱部材が、端面同士を付き合わせた状態で前記円筒管の周方向に位置する複数の対向箇所の夫々において、隣接する一対の断熱部材端部を前記円筒管の軸心方向に沿って長尺で且つ一対の前記断熱部材端部に係合する長尺部材にて連結する状態で設けられ、
前記複数層の断熱壁のうちの前記円筒管の径方向において最外方側の断熱壁における複数の前記対向箇所の夫々において、前記円筒管の周方向に隣接して並ぶ一対の前記断熱部材に跨る状態で、粘着性を有する帯状の周方向側漏れ防止用体が貼着されている請求項1又は2に記載の円筒管用断熱構造。
【請求項4】
前記円筒管の軸心方向に隣接して並ぶ前記断熱部材の対向する側面に、前記円筒管の軸心方向に嵌合する嵌合部が形成されている請求項1~のいずれか1項に記載の円筒管用断熱構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低温流体が通流する円筒管の外周部に、前記円筒管の周方向及び前記円筒管の軸心方向に分割された円弧状の断熱部材にて円筒状で且つ径が異なる状態に形成される複数層の断熱壁が設けられている円筒管用断熱構造に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる円筒管用断熱構造は、LNGやLPG等の低温流体が通流する円筒管の外周部を、円弧状の断熱部材にて円筒状で且つ径が異なる状態に形成される複数層の断熱壁にて覆うことによって、円筒管を断熱するものである。
【0003】
円筒管用断熱構造の従来例として、複数層の断熱壁の夫々を形成する形態で円筒管の周方向に並ぶ複数の断熱部材が、端面同士を付き合わせた状態で円筒管の周方向に位置する複数の対向箇所の夫々において、隣接する一対の断熱部材端部を円筒管の軸心方向に沿って長尺で且つ一対の断熱部材端部に係合する長尺部材にて連結する状態で設けられたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
ちなみに、特許文献1において記載が省略されているが、通常は、複数層の断熱壁のうち円筒管の径方向において最外方側の断熱壁における円筒管の軸心方向に隣接して並ぶ一対の断熱部材に跨る状態で、粘着性を有する帯状の漏れ防止用体が貼着され、また、複数層の断熱壁のうちの円筒管の径方向において最外方側の断熱壁における周方向の端面同士を付き合わせる複数の対向箇所の夫々において、円筒管の周方向に隣接して並ぶ一対の断熱部材に跨る状態で、粘着性を有する帯状の漏れ防止用体が貼着されて、最外方側の断熱壁における隣接する断熱部材の間に隙間が形成されることが抑制されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016‐194368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の円筒管用断熱構造においては、複数層の断熱壁のうちの円筒管の径方向において内方側の断熱壁における円筒管の軸心方向に隣接して並ぶ一対の断熱部材の間に、大きな隙間が形成される虞があり、断熱性能を向上できない不都合があった。
【0007】
すなわち、断熱部材は、円筒管を通流する低温流体にて冷却されて収縮するものであるから、円筒管の軸心方向に隣接して並ぶ一対の断熱部材を隙間が無いように配設しても、断熱部材が冷却されて収縮することにより、円筒管の軸心方向に隣接して並ぶ一対の断熱部材の間に大きな隙間が形成される虞があった。
【0008】
ちなみに、円筒管の周方向に並ぶ複数の断熱部材が、端面同士を付き合わせた状態で円筒管の周方向に位置する複数の対向箇所の夫々において、一対の断熱部材端部が長尺部材にて連結されるため、円筒管の周方向に隣接して並ぶ一対の断熱部材の間に大きな隙間が形成されることが抑制されることになる。
【0009】
本発明は、上記実情に鑑みて為されたものであって、その目的は、円筒管の軸心方向に隣接して並ぶ一対の断熱部材の間に大きな隙間が形成されることを抑制できる円筒管用断熱構造を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の円筒管用断熱構造は、低温流体が通流する円筒管の外周部に、前記円筒管の周方向及び前記円筒管の軸心方向に分割された円弧状の断熱部材にて円筒状で且つ径が異なる状態に形成される複数層の断熱壁が、前記円筒管の軸心方向に並ぶ状態で設けられているものであって、その特徴構成は、
一対の係止部を備えた連結体が、前記複数層の断熱壁のうちの少なくとも前記円筒管の径方向において内方側の断熱壁における前記円筒管の軸心方向に隣接して並ぶ一対の前記断熱部材に対して、一対の前記係止部を一対の前記断熱部材の外面部に対して各別に前記円筒管の径方向内方側に差し込む形態で設けられ、
前記連結体が、湾曲変形可能な帯状部材における幅方向の両端側に、前記係止部を当該帯状部材の長手方向に並ぶ状態で備える形態に構成され、
前記連結体が、一対の前記断熱部材の外面部に巻き付ける状態に装着され、
前記帯状部材が、ポリエステル繊維の織物を軟質な合成樹脂フィルムでサンドしたターポリンにて形成されている点にある。
【0011】
すなわち、複数層の断熱壁のうちの少なくとも円筒管の径方向において内方側の断熱壁における円筒管の軸心方向に隣接して並ぶ一対の断熱部材に対して、一対の係止部を備えた連結体が、一対の係止部を一対の断熱部材の外面部に対して各別に円筒管の径方向内方側に差し込む形態で設けられることになる。
【0012】
従って、円筒管の軸心方向に隣接して並ぶ一対の断熱部材が、冷却して収縮する際に、円筒管の軸心方向に沿って互いに離れる側に移動することを連結体の係止作用により抑制することができるため、円筒管の軸心方向に隣接して並ぶ一対の断熱部材の間に大きな隙間が形成されることを抑制できる。
【0013】
要するに、本発明の円筒管用断熱構造によれば、円筒管の軸心方向に隣接して並ぶ一対の断熱部材の間に大きな隙間が形成されることを抑制できる。
【0019】
また、連結体を、湾曲変形可能な帯状部材における幅方向の両端側に、係止部を当該帯状部材の長手方向に並ぶ状態で備える形態に構成し、そのように構成された連結体を、一対の断熱部材の外面部に巻き付ける状態に装着することにより、円筒管の軸心方向に隣接して並ぶ一対の断熱部材が、冷却して収縮する際に、円筒管の軸心方向に沿って互いに離れる側に移動することを連結体の係止作用により抑制することになる。
【0020】
そして、連結体を一対の断熱部材の外面部に巻き付ける状態に装着するという簡単な作業によって、複数の係止部が断熱部材における円筒管の周方向に並ぶ状態に連結体を装着することができるものとなるから、連結体の装着作業の簡素化を図ることができる。
【0021】
要するに、本発明の円筒管用断熱構造の特徴構成によれば、連結体の装着作業の簡素化を図ることができる。
【0022】
本発明の円筒管用断熱構造の更なる特徴構成は、前記円筒管の軸心方向に隣接して並ぶ前記複数層の断熱壁のうちの前記円筒管の径方向において最外方側の断熱壁における前記円筒管の軸心方向に隣接して並ぶ一対の前記断熱部材に跨る状態で、粘着性を有する帯状の軸心側漏れ防止用体が貼着されている点にある。
【0023】
すなわち、最外方側の断熱壁における円筒管の軸心方向に隣接して並ぶ一対の断熱部材に対して、それらに跨る状態で、粘着性を有する帯状の軸心側漏れ防止用体が貼着されることになる。
【0024】
従って、最外方側の断熱壁における円筒管の軸心方向に隣接して並ぶ一対の断熱部材が、冷却して収縮する際に、円筒管の軸心方向に沿って互いに離れる側に移動することを帯状の軸心側漏れ防止用体の保持作用により抑制することができるため、最外方側の断熱壁における円筒管の軸心方向に隣接して並ぶ一対の断熱部材の間に大きな隙間が形成されることを適切に抑制できる。
【0025】
要するに、本発明の円筒管用断熱構造の更なる特徴構成によれば、最外方側の断熱壁における円筒管の軸心方向に隣接して並ぶ一対の断熱部材の間に大きな隙間が形成されることを適切に抑制できる。
【0026】
本発明の円筒管用断熱構造の更なる特徴構成は、前記複数層の断熱壁の夫々を形成する形態で前記円筒管の周方向に並ぶ複数の前記断熱部材が、端面同士を付き合わせた状態で前記円筒管の周方向に位置する複数の対向箇所の夫々において、隣接する一対の断熱部材端部を前記円筒管の軸心方向に沿って長尺で且つ一対の前記断熱部材端部に係合する長尺部材にて連結する状態で設けられ、
前記複数層の断熱壁のうちの前記円筒管の径方向において最外方側の断熱壁における複数の前記対向箇所の夫々において、前記円筒管の周方向に隣接して並ぶ一対の前記断熱部材に跨る状態で、粘着性を有する帯状の周方向側漏れ防止用体が貼着されている点にある。
【0027】
すなわち、複数層の断熱壁における円筒管の周方向に並ぶ複数の断熱部材が、端面同士を付き合わせた状態で円筒管の周方向に位置する複数の対向箇所の夫々において、隣接する一対の断熱部材端部を円筒管の軸心方向に沿って長尺で且つ一対の断熱部材端部に係合する長尺部材にて連結されるから、複数層の断熱壁の夫々において、円筒管の周方向に並ぶ複数の断熱部材の間に大きな隙間が形成されることが抑制される。
【0028】
しかも複数層の断熱壁のうちの円筒管の径方向において最外方側の断熱壁における円筒管の周方向に並ぶ複数の断熱部材が、端面同士を付き合わせた状態で円筒管の周方向に位置する複数の対向箇所の夫々において、円筒管の周方向に隣接して並ぶ一対の断熱部材に跨る状態で貼着される帯状の周方向側漏れ防止用体にて、円筒管の周方向に沿って互いに離れる側に移動することが無いように保持されることになる。
【0029】
従って、最外方側の断熱壁における円筒管の周方向に並ぶ一対の断熱部材が、冷却して収縮する際に、円筒管の周方向に沿って互いに離れる側に移動することを帯状の周方向側漏れ防止用体の保持作用により抑制することができるため、最外方側の断熱壁における円筒管の周方向に隣接して並ぶ一対の断熱部材の間に大きな隙間が形成されることを的確に抑制できる。
【0030】
要するに、本発明の円筒管用断熱構造の更なる特徴構成によれば、最外方側の断熱壁における円筒管の周方向に隣接して並ぶ一対の断熱部材の間に大きな隙間が形成されることを的確に抑制できる。
【0031】
本発明の円筒管用断熱構造の更なる特徴構成は、前記円筒管の軸心方向に隣接して並ぶ前記断熱部材の対向する側面に、前記円筒管の軸心方向に嵌合する嵌合部が形成されている点にある。
【0032】
すなわち、複数層の断熱壁の夫々における円筒管の軸心方向に隣接して並ぶ断熱部材の対向する側面に、円筒管の軸心方向に嵌合する嵌合部が形成されているから、円筒管の軸心方向に隣接して並ぶ一対の断熱部材の間に隙間が形成されることを一層的確に抑制できる。
【0033】
つまり、円筒管の軸心方向に隣接して並ぶ一対の断熱部材が、冷却して収縮する際に、円筒管の軸心方向に沿って互いに離れる側に移動しても、円筒管の軸心方向に嵌合する嵌合部における円筒管の軸心方向での嵌合量が減少するだけで、円筒管の軸心方向に隣接して並ぶ一対の断熱部材の間に隙間が形成されることを抑制できるのである。
【0034】
要するに、本発明の円筒管用断熱構造の更なる特徴構成によれば、円筒管の軸心方向に隣接して並ぶ一対の断熱部材の間に隙間が形成されることを一層的確に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】は、断熱部材の装着状態を示す縦断側面図である。
図2】は、断熱部材の装着状態を示す切欠斜視図である。
図3】は、第1図におけるIII‐III線矢視図である。
図4】は、第1図におけるIV‐IV線矢視図である。
図5】は、連結部材と断熱部材との関係を示す分解斜視図である。
図6】は、接続部材と断熱部材との関係を示す正面図である。
図7】は、接続部材の斜視図である。
図8】は、連結体の装着形態を示す斜視図である。
図9】は、連結体の拡大斜視図である。
図10】は、第2実施形態の連結体の装着形態を示す斜視図である。
図11】は、第2実施形態の連結体を示す斜視図である。
図12】は、第3実施形態の断熱部材を示す側面図である。
図13】は、第3実施形態の断熱部材の装着状態を示す正面図である。
図14】は、第3実施形態の断熱部材の嵌合形態を示す斜視図である。
図15】は、第4実施形態の断熱部材の嵌合形態を示す斜視図である。
図16】は、第5実施形態の断熱部材の嵌合形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
(断熱構造の全体構成)
図1及び図2に示すように、LNGやLPG等の低温流体が通流する円筒管1が設けられ、円筒管1の外周部に、ウレタン樹脂を発泡させたウレタンフォーム製の複数の断熱部材Pが、円筒管1の周方向及び軸心方向に並ぶ状態で装着されている。
【0037】
複数の断熱部材Pは、円筒管1の径方向に一定の厚みを有する状態で円筒管1の周方向に沿って円弧状(本実施形態では半円状)に延びる形態で、円筒管1の軸心方向の長さが長い長尺状に形成される母材を、円筒管1の軸心方向において所定の長さに切断したものである。
つまり、断熱部材Pは、円筒管1の周方向及び円筒管1の軸心方向に分割された円弧状(本実施形態では半円状)に形成されている。
尚、図5に示すように、以下の記載において、断熱部材Pの径方向外方側の面を外面3とし、径方向内方側の面を内面4とし、周方向の両端の面を端面5とし、さらに、軸心方向の両側の面を側面6とする。
【0038】
本実施形態においては、断熱部材Pが三層の断熱壁を形成するように装着されている。
つまり、断熱部材Pとして、最も大径の大径断熱部材PL、中間の径の中間径断熱部材PM、及び、最も小径の小径断熱部材PSが設けられている(図3図4参照)。
ちなみに、断熱部材Pを積層した状態においては、大径断熱部材PLの外面3が最も外方側に位置し、大径断熱部材PLの内面4と中間径断熱部材PMの外面3とが同径状に並び、中間径断熱部材PMの内面4と小径断熱部材PSの外面3とが同径状に並び、小径断熱部材PSの内面4が、円筒管1の外周面と同径状に並ぶことになる。
【0039】
円筒管1の両端部には、フランジFが設けられ、隣接する円筒管1のフランジFがボルトを用いて連結されることにより、低温流体を流動させる流路が形成されることになる。
複数の断熱部材Pは、円筒管1の一端部から他端部に向かって順次装着される形態で、円筒管1の一端部に隣接する箇所、円筒管1の他端部に隣接する箇所、及び、それらの間に相当する箇所に装着されることになる。
【0040】
断熱部材Pを円筒管1の軸心方向に並べる形態は、最も小径の小径断熱部材PSを並べる形態と最も大径の大径断熱部材PLを並べる形態が同じで、これに対して、中間の径の中間径断熱部材PMを並べる形態が異なる。
すなわち、小径断熱部材PS、中間径断熱部材PM及び大径断熱部材PLが、円筒管1の軸心方向に沿う長さを基本長さ(例えば、1m)となるように形成されている。
【0041】
そして、小径断熱部材PS及び大径断熱部材PLについては、基本長さの断熱部材Pを円筒管1の一端部から他端部に向かって並べるのに対して、中間径断熱部材PMについては、基本長さの半分(例えば、0.5m)の長さの断熱部材Pを、円筒管1の一端部に並べてから、基本長さの断熱部材Pを円筒管1の他端部に向かって並べるように構成されている。
【0042】
円筒管1の他端部に隣接する箇所においては、小径断熱部材PS、中間径断熱部材PM及び大径断熱部材PLの軸心方向の長さが、円筒管1の軸心方向の長さに合わせて適宜定められることになる。
但し、円筒管1の他端部に隣接する箇所に装着する小径断熱部材PS、中間径断熱部材PM及び大径断熱部材PLの軸心方向の長さが、後述する長尺部材Nとしての連結部材7(図5参照)を装着する空間を形成するために、1m以上の長さとなるように構成されている。
【0043】
また、中間径断熱部材PMについては、基本長さの半分(例えば、0.5m)の長さの中間径断熱部材PMを円筒管1の一端部に隣接する箇所に設置するため、円筒管1の他端部に隣接する箇所において、小径断熱部材PS及び大径断熱部材PLの軸心方向の長さと、中間径断熱部材PMの軸心方向の長さとが異なることになる。
本実施形態においては、中間径断熱部材PMの軸心方向の長さを、小径断熱部材PS及び大径断熱部材PLの軸心方向の長さに基本長さの半分(例えば、0.5m)の長さを加えた長さにしてある。
【0044】
さらに、円筒管1の一端部に隣接する箇所及び円筒管1の他端部に隣接する箇所を除いた箇所において、断熱部材Pを円筒管1の周方向に並べて装着する構成(以下、基本装着構成と略称)は同じであるが、円筒管1の他端部に隣接する箇所において断熱部材Pを円筒管1の周方向に並べて装着する構成(以下、端部装着構成と略称)は、基本装着構成とは異なり、次に、基本装着構成と端部装着構成とを順次説明する。
【0045】
ちなみに、円筒管1のフランジFと断熱部材Pとの間の箇所には、グラスウール等の断熱材Dが充填され、また、円筒管1のフランジFの上部に相当する箇所には、基本装着構成と同様な構成にて、円弧状のフランジ用断熱部材Qが2層状に設置されている。
【0046】
(基本装着構成)
基本装着構成においては、図3に示すように、円筒管1の周方向に複数に分割された円弧状(本実施形態は半円状)の断熱部材Pが、端面同士を付き合わせた状態で円筒管1の周方向に位置する複数の対向箇所の夫々において、隣接する一対の断熱部材端部を円筒管の軸心方向に沿って長尺な連結部材7(長尺部材Nの一例)にて連結する状態で、円筒管1の外周部に設けられている(図5参照)。
ちなみに、連結部材7の長さは、断熱部材Pの軸心方向の長さと同じ長さに形成され、また、連結部材7は、断熱部材Pと同様に、ウレタン樹脂製である。
【0047】
図3及び図5に示すように、連結部材7にて連結される一対の断熱部材端部の夫々に、連結部材7の係合溝部Uとして、端面から前記円筒管の周方向に方形状に凹入する凹入溝部8が、当該凹入溝部8の円筒管1の径方向外方側部に円筒管1の径方向外方に凹入する係止用溝部8aを備える形態に形成されている。
【0048】
そして、図5に示すように、連結部材7が、断面形状を一対の断熱部材端部の夫々の凹入溝部8に係合する本体連結部7Aと係止用溝部8aに係合する一対の係止連結部7aとを備える形態に形成されている。
【0049】
したがって、基本装着構成においては、半円状の断熱部材Pを円筒管1の外周部に、円筒管1の周方向に並べた状態で、連結部材7を長手方向(円筒管1の軸心方向)に沿って移動させながら、一対の断熱部材端部の夫々の凹入溝部8に係合させる形態で挿入して、断熱部材Pを円筒管1の外周部に装着することになる(図5参照)。
【0050】
詳しくは、先ず、小径断熱部材PSを円筒管1の外周面に装着し、次に、中間径断熱部材PMを、小径断熱部材PSの外周面に装着し、最後に、大径断熱部材PLを、中間径断熱部材PMの外周面に装着することになる。
このように、小径断熱部材PS、中間径断熱部材PM及び大径断熱部材PLを装着した状態においては、円筒管1の外周部に、連結部材7にて連結される複数の円弧状(2つの半円状)の断熱部材Pにて円筒状で且つ径が異なる状態に形成される複数(3つ)の断熱用壁部が、複数層を形成する状態で設けられることになる。
【0051】
また、小径断熱部材PSにおける端面同士を付き合わせた状態の対向箇所と、中間径断熱部材PMにおける端面同士を付き合わせた状態の対向箇所とが、円筒管1の周方向における位相を90度異ならせ、同様に、中間径断熱部材PMにおける端面同士を付き合わせた状態の対向箇所と、大径断熱部材PLにおける端面同士を付き合わせた状態の対向箇所とが、円筒管1の周方向における位相を90度異ならせる形態で、小径断熱部材PS、中間径断熱部材PM及び大径断熱部材PLが装着されるように構成されている。
【0052】
(端部装着構成)
端部装着構成においては、図4に示すように、上述した円筒管1の周方向に2分割された半円状の断熱部材Pが、円筒管1の周方向に2分割された半円状断熱部材PAとして用いられることになる。
そして、断熱部材Pが、端面同士を付き合わせた状態で円筒管1の周方向に位置する二つの対向箇所の夫々において、隣接する一対の断熱部材端部を円筒管の軸心方向に沿って長尺な接続部材B(長尺部材Nの一例)にて連結(接続)する状態で、円筒管1の外周部に設けられている。
ちなみに、接続部材Bの長さは、断熱部材Pの軸心方向の長さと同じ長さに形成され、また、接続部材Bは、断熱部材Pと同様に、ウレタン樹脂製である。
【0053】
上述の二つの対向箇所における一対の断熱部材端部の夫々に、接続部材Bが係合する溝状の係合部Vとして、端面5から円筒管1の接線方向に沿って凹入する凹入部10が、円筒管1の径方向に沿って並ぶ内側面10u及び外側面10gの夫々を円筒管1の接線方向に沿う平坦面とする形態で形成されている。
尚、この記載における円筒管1の接線方向とは、一対の断熱部材Pの端面5が付き合わされた状態で位置する対向箇所における円筒管1の接線方向を意味することになる。
【0054】
また、凹入部10は、図6において仮想線にて示す如く、基本装着構成における凹入溝部8における係止用溝部8aの横側に位置する横側部分8bを切除することによって形成されている。
つまり、本実施形態においては、凹入溝部8を備える形態の断熱部材Pを形成し、基本装着構成においては、その断熱部材Pをそのまま使用し、端部装着構成においては、凹入溝部8における係止用溝部8aの横側に位置する部分を切除して方形状の凹入部10を形成して、そのように凹入部10が形成された断熱部材Pを、半円状断熱部材PAとして使用することになる。
【0055】
そして、二つの対向箇所における接続部材Bが、図7に示すように、断面形状を一対の断熱部材端部の夫々の凹入部10の内側面10u及び外側面10gに沿う平坦面を有する断面形状が方形状に形成された長尺方形体11として構成されている。
ちなみに、方形状の凹入部10の角部が円弧状に構成されるため、長尺方形体11の断面形状は、詳しくは、角丸方形状である。
【0056】
また、本実施形態においては、断面形状が方形状に形成される長尺方形体11が弾性変形可能な材料(ウレタン樹脂)にて形成され、当該長尺方形体11における隣接する凹入部10に係合する一対の係合部分11Aの夫々に、図7に示すように、当該係合部分11Aを円筒管の径方向に分離するスリット12が形成されている。
ちなみに、長尺方形体11の厚さは15mm程度であり、スリット12は、2mm程度の幅に形成されている。
【0057】
したがって、端部装着構成においては、次の手順にて、断熱部材Pを円筒管1の外周部に装着することになる。
先ず、2分割された半円状の一対の断熱部材Pのうちの一方側の断熱部材Pの両端部に形成される凹入部10の夫々に、長尺方形体11を係合する。
ちなみに、長尺方形体11を凹入部10に係合する際には、長尺方形体11を長手方向に移動させながら、凹入部10に係合(挿入)する、又は、長尺方形体11を凹入部10の凹入方向に移動させながら、凹入部10に係合する。
【0058】
その後、長尺方形体11を係合した一方側の断熱部材Pを円筒管1の外周部に当て付ける状態に装着する。
続いて、他方側の断熱部材Pを円筒管1に接近するように移動させるようにして、一方側の断熱部材Pの両端部に係合した長尺方形体11に対して、他方側の断熱部材Pの両端部に形成されている凹入部10を、一対の断熱部材Pの端面5が付き合わされた状態で位置する対向箇所における円筒管1の接線方向に移動させながら係合させる。
【0059】
詳しくは、先ず、小径断熱部材PSを円筒管1の外周面に装着し、次に、中間径断熱部材PMを、小径断熱部材PSの外周面に装着し、最後に、大径断熱部材PLを、中間径断熱部材PMの外周面に装着することになる。
このように、小径断熱部材PS、中間径断熱部材PM及び大径断熱部材PLを装着した状態においては、円筒管1の外周部に、2分割された半円状の断熱部材Pにて円筒状で且つ径が異なる状態に形成される複数(3つ)の断熱壁が、複数層を形成する状態で設けられることになる。
【0060】
また、基本装着構成と同様に、小径断熱部材PSにおける端面同士を付き合わせた状態の対向箇所と、中間径断熱部材PMにおける端面同士を付き合わせた状態の対向箇所とが、円筒管1の周方向における位相を90度異ならせ、同様に、中間径断熱部材PMにおける端面同士を付き合わせた状態の対向箇所と、大径断熱部材PLにおける端面同士を付き合わせた状態の対向箇所とが、円筒管1の周方向における位相を90度異ならせる形態で、小径断熱部材PS、中間径断熱部材PM及び大径断熱部材PLが装着されるように構成されている。
【0061】
(断熱補強構成について)
本実施形態においては、円筒管1の外周面に装着した複数の断熱部材Pの間、つまり、隣接する断熱部材Pの間の断熱性を補強する断熱補強構成が設けられている。
すなわち、円筒管1の外周面に装着した複数の断熱部材Pは、円筒管1の内部を通流する低温流体にて冷却されて収縮されることになり、その結果、隣接する断熱部材Pの間に隙間が形成されて、断熱性が低下する虞があるため、断熱性を補強する断熱補強構成が設けられている。
【0062】
断熱補強構成は、小径断熱部材PS及び中間径断熱部材PMにて形成される断熱壁に対して設けられる内方側補強構成と、大径断熱部材PLにて形成される断熱壁に対して設けられる外方側補強構成とがあり、以下、内方側補強構成と外方側補強構成とを順次説明する。尚、図1図6においては、断熱補強構成の記載を省略している。
【0063】
(内方側補強構成)
内方側補強構成は、図8に示すように、円筒管1の周方向に並ぶ1対の断熱部材Pの端面5が付き合わされた状態で位置する部分に対して、気密性を備えた粘着テープ(防湿ブチルテープ)13を貼着し、且つ、円筒管1の軸心方向に並ぶ断熱部材Pの側面6が付き合わせた状態で位置する部分における隣接する断熱部材Pに対して一対の係止部Waを備える連結体Wを装着する構成である。
【0064】
隣接する断熱部材Pに対して連結体Wを装着する構成について説明を加えると、一対の係止部Waを備えた連結体Wが、円筒管1の軸心方向に隣接して並ぶ一対の小径断熱部材PS及び隣接して並ぶ一対の中間径断熱部材PMの外面部に対して各別に円筒管1の径方向内方側に差し込む形態で設けられることになる。
尚、円筒管1の軸心方向に隣接して並ぶ一対の小径断熱部材PS及び隣接して並ぶ一対の中間径断熱部材PMは、円筒管1の外周部に形成される複数層(3層)の断熱壁のうちの円筒管1の径方向において内方側の断熱壁を形成し且つ円筒管1の軸心方向に隣接して並ぶ一対の断熱部材Pに相当することになる。
【0065】
本実施形態においては、図9に示すように、連結体Wが、湾曲変形可能な帯状部材14における幅方向の両端側に係止部Waを備える形態に構成され、連結体Wが、一対の断熱部材Pの外面部に巻き付ける状態に装着されている。
つまり、帯状部材14が、例えば、ポリエステル繊維の織物を軟質な合成樹脂フィルムでサンドしたビニール系素材であるターポリンにて形成され、その帯状部材14に、合成樹脂にて先鋭状に形成した係止部Waが付設されている。
【0066】
したがって、帯状部材14は粘着性が無いため、帯状部材14を一対の断熱部材Pの外面部に巻き付けた後、巻き付けた帯状部材14に対して粘着性を有する小幅テープ15を巻き付けて、帯状部材14の外れを抑制するように構成されている。
【0067】
(外方側補強構成)
外方側補強構成は、図8に示すように、円筒管1の軸心方向に隣接して並ぶ一対の大径断熱部材PLに跨る状態で、粘着性を有する帯状の第1漏れ防止用体16(軸心側漏れ防止用体の一例)を貼着し、円筒管1の周方向に並ぶ複数(2つ)の大径断熱部材PLにおける端面5が付き合わされた状態で位置する複数(2つ)の対向箇所の夫々において、円筒管1の周方向に隣接して並ぶ一対の大径断熱部材PLに跨る状態で、粘着性を有する帯状の第2漏れ防止用体17(周方向側漏れ防止用体の一例)を貼着する構成である。
【0068】
ちなみに、上述の説明から明らかな如く、大径断熱部材PLにて形成される断熱壁は、複数(3つの)の断熱壁における円筒管1の径方向において最外方側の断熱壁に相当することになる。
【0069】
さらに、本実施形態においては、大径断熱部材PLの外周面の全体に、粘着性を有する方形状の第3漏れ防止用体18が貼着されて、断熱性能を向上させている。
尚、第1漏れ防止用体16、第2漏れ防止用体17及び第3漏れ防止用体18は、例えば、アルミ箔とガラスクロスを貼り合わせた支持体に対して接着力に優れたゴム系粘着剤を塗布したテープ(ALGCテープ)を用いて構成されている。
【0070】
ちなみに、第1漏れ防止用体16、第2漏れ防止用体17及び第3漏れ防止用体18の夫々を貼着する順序としては、先ず、第3漏れ防止用体18を貼着し、次に、第2漏れ防止用体17を貼着し、最後に、第1漏れ防止用体16を貼着する順序が好ましい。
【0071】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の参考の実施形態である第2実施形態を説明するが、この第2実施形態は、連結体Wの構成が第1実施形態と異なるものであって、その他の構成は第1実施形態と同様であるから、第1実施形態と異なる部分について説明して、第1実施形態と同様な構成についての説明を省略する。
【0072】
図10及び図11に示すように、連結体Wが、断面形状が長方形状の軸状体20Aの両端に係止部Waを備えるU状に形成されている。具体的には、連結体Wが、合成樹脂材料にてU字状枠体20として構成されている。
【0073】
そして、複数の連結体W(U字状枠体20)が、円筒管1の軸心方向に隣接して並ぶ一対の小径断熱部材PS及び隣接して並ぶ一対の中間径断熱部材PMの外面部に対して各別に円筒管1の径方向内方側に差し込む形態で、円筒管1の周方向の複数箇所に装着されている。
【0074】
本実施形態では、連結体W(U字状枠体20)を、円筒管1の軸心方向に隣接して並ぶ一対の小径断熱部材PS及び隣接して並ぶ一対の中間径断熱部材PMの外面部に対して差し込むにあたり、連結体W(U字状枠体20)を、軸状体20A及び係止部Waの一側面が小径断熱部材PS及び中間径断熱部材PMの外面部に対して対向する横倒れ姿勢にした状態で、軸状体20A及び係止部Waを小径断熱部材PS及び中間径断熱部材PMの外面部に差し込む形態で装着するように構成されている。
【0075】
尚、連結体W(U字状枠体20)を小径断熱部材PS及び中間径断熱部材PMの外面部に差し込む形態としては、連結体W(U字状枠体20)を、係止部Waの先端が小径断熱部材PS及び中間径断熱部材PMの外面部に対して対向する立ち姿勢にした状態で、係止部Waを小径断熱部材PS及び中間径断熱部材PMの外面部に差し込みかつ軸状体20Aを小径断熱部材PS及び中間径断熱部材PMの外面に当て付ける形態としてもよい。
【0076】
また、本実施形態では、連結体W(U字状枠体20)が装着された箇所に対して、気密性及び粘着性を有する外れ止め用テープ(防湿ブチルテープ)21を円筒管1の周方向に沿って巻き付ける形態で貼着してある。
【0077】
〔第3実施形態〕
次に、第3実施形態を説明するが、この第3実施形態は、円筒管1の軸心方向に隣接して並ぶ小径断熱部材PS、中間径断熱部材PM及び大径断熱部材PLを軸心方向に嵌合させる構成を示すものであって、その他の構成は第1実施形態と同様であるから、第1実施形態と異なる部分について説明して、第1実施形態と同様な構成についての説明を省略する。
【0078】
すなわち、図12図14に示すように、円筒管1の軸心方向に隣接して並ぶ断熱部材Pの側面に、円筒管1の軸心方向に嵌合する嵌合部Kが形成されている。
具体的には、断熱部材Pの一対の側面6のうちの一方の側面6に、嵌合部Kとして、円弧状の凸部Kaが形成され、他方の側面6に、嵌合部Kとして、上述の凸部Kaが嵌合自在な円弧状の凹部Kbが形成されている。
【0079】
そして、円筒管1の軸心方向に隣接して並ぶ断熱部材Pの円弧状の凸部Kaと円弧状の凹部Kbとが嵌合するように構成されている。
つまり、円筒管1の軸心方向に隣接して並ぶ一対の断熱部材Pが、円筒管1を通流する低温流体により冷却されて収縮する際に、円筒管1の軸心方向に沿って互いに離れる側に移動しても、円筒管1の軸心方向に嵌合する嵌合部Kにおける円筒管1の軸心方向での嵌合量が減少するだけで、円筒管1の軸心方向に隣接して並ぶ一対の断熱部材Pの間に隙間が形成されることを抑制するように構成されている。
【0080】
ちなみに、連結体Wを設ける場合には嵌合部Kを省略し、また、嵌合部Kを設ける場合には連結体Wを省略することが考えられるが、連結体Wと嵌合部Kとを設けることによって、円筒管1の軸心方向に隣接して並ぶ一対の断熱部材Pの間に隙間が形成されることを的確に抑制できる。
【0081】
〔第4実施形態〕
次に、第4実施形態を説明するが、この第4実施形態は、嵌合部Kの構成が第3実施形態と異なるものであって、その他の構成は第3実施形態と同様であるから、第3実施形態と異なる部分について説明して、第3実施形態と同様な構成についての説明を省略する。
【0082】
すなわち、図15に示すように、断熱部材Pの一対の側面6の夫々に、嵌合部Kとして、円弧状の凹部Kbが形成されている。
そして、円筒管1の軸心方向に隣接して並ぶ一対の断熱部材Pの側面6に形成した円弧状の凹部Kbに対して、半円状の中継筒体22を嵌合させて、円筒管1の軸心方向に隣接して並ぶ一対の断熱部材Pの側面同士を、円筒管1の軸心方向に嵌合させるように構成されている。
尚、中継筒体22は、環状に形成してもよい。
【0083】
〔第5実施形態〕
次に、第5実施形態を説明するが、この第5実施形態は、嵌合部Kの構成が第3実施形態と異なるものであって、その他の構成は第3実施形態と同様であるから、第3実施形態と異なる部分について説明して、第3実施形態と同様な構成についての説明を省略する。
【0084】
すなわち、図15に示すように、断熱部材Pの一対の側面6の夫々に、嵌合部Kとして、円弧状の凸部Kaが形成されている。
また、円弧状の凸部Kaが嵌合する凹溝23aを両面に備えた半円状の接続用筒体23が設けられている。
尚、接続用筒体23は、環状に形成してもよい。
【0085】
そして、円筒管1の軸心方向に隣接して並ぶ断熱部材Pの側面に形成した円弧状の凸部Kaに対して、接続用筒体23を嵌合させて、円筒管1の軸心方向に隣接して並ぶ一対の断熱部材Pの側面同士を、円筒管1の軸心方向に嵌合させるように構成されている。
【0086】
〔別実施形態〕
以下、別実施形態を列記する。
(1)上記実施形態においては、断熱部材Pが、円筒管1の周方向に沿って2分割した半円状の場合を例示したが、これに限らず、基本装着構成においては、断熱部材Pを、円筒管1の周方向に沿って3分割以上に分割してもよく、また、端部装着構成においては、断熱部材Pを、円筒管1の周方向に沿って4分割以上の偶数にて分割して、それらを接続して、半円状の半円状断熱部材PAを構成してもよい。
【0087】
(2)上記実施形態においては、基本装着構成と端部装着構成とにより、断熱部材Pを円筒管1の外周部に装着する場合を例示したが、円筒管1の全長に亘って、端部装着構成により断熱部材Pを装着する形態で実施してもよい。
【0088】
(3)上記実施形態においては、接続部材B及び連結部材7と断熱部材Pとを同じ材質で形成したが、これに限らず、接続部材B及び連結部材7と断熱部材Pとを異なる材質で形成してもよい。
【0089】
(4)上記実施形態においては、断熱部材Pの材質をウレタン樹脂としたが、断熱部材Pの材質はこれに限るものではない。例えば、断熱部材Pの材質を、ポリエチレン樹脂やニトリルゴム(NBR)等の合成樹脂、天然ゴム(NR)等の天然樹脂としてもよい。同様に、接続部材B及び連結部材7の材質を、ポリエチレン樹脂やニトリルゴム(NBR)等の合成樹脂、天然ゴム(NR)等の天然樹脂としてもよい。
【0090】
(5)上記実施形態においては、複数層の断熱壁のうちの円筒管1の径方向の外方側の断熱壁の断熱部材Pに対しては連結体Wを装着しない場合を例示したが、円筒管1の径方向の外方側の断熱壁の断熱部材Pに対しても連結体Wを装着する形態で実施してもよい。
【0091】
(6)上記実施形態においては、円筒管1の外周部に、複数層の断熱壁として、3層の断熱壁を形成する場合を例示したが、2層の断熱壁を形成する形態で実施してもよく、さらには、4層以上の断熱壁を形成してもよい。
【0092】
尚、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【符号の説明】
【0093】
1 円筒管
5 端面
6 側面
14 帯状部材
16 軸心側漏れ防止用体
17 周方向側漏れ防止用体
20A 軸状体
K 嵌合部
N 長尺部材
P 断熱部材
W 連結体
Wa 係止部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16