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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-14
(45)【発行日】2023-08-22
(54)【発明の名称】ポンプ装置、制御盤及び制御基板
(51)【国際特許分類】
   F04B 49/10 20060101AFI20230815BHJP
   F04B 49/03 20060101ALI20230815BHJP
   F04B 49/02 20060101ALI20230815BHJP
【FI】
F04B49/10 311
F04B49/03 311
F04B49/02 311
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2019026844
(22)【出願日】2019-02-18
(65)【公開番号】P2020133471
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2022-01-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000148209
【氏名又は名称】株式会社川本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】三輪 智志
(72)【発明者】
【氏名】高木 正志
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-174698(JP,A)
【文献】特開2018-023485(JP,A)
【文献】特開昭51-091002(JP,A)
【文献】特開2017-198162(JP,A)
【文献】特開昭57-029372(JP,A)
【文献】特開2018-107970(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 49/10
F04B 49/03
F04B 49/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプユニットと、
前記ポンプユニットの第1点検運転を要するまでの時間である第1閾値、及び、前記ポンプユニットの第2点検運転を要するまでの時間である第2閾値を記憶する記憶部と、
前記ポンプユニットを駆動するとともに、前回の前記第1点検運転の終了後の経過時間又は前記ポンプユニットの停止時間の積算値をカウントし、前記前回の前記第1点検運転の終了後の前記経過時間又は前記積算値が前記第1閾値を超えた場合に警告を行い、前記第1点検運転終了後に前記警告を解除するとともに、前記積算値をリセットし、前回の前記第2点検運転の終了後の経過時間又は前記ポンプユニットの停止時間の積算値をカウントし、前記前回の前記第2点検運転の終了後の前記経過時間又は前記積算値が前記第2閾値を超えた場合に、前記第2点検運転を行う制御部と、
を備え、
前記第1閾値は、ユーザによる書き換えが不可に設定され、
前記第2閾値は、ユーザによる書き換えが可能に設定されるポンプ装置。
【請求項2】
情報を入力する入力装置を備え、
前記第2閾値は、前記入力装置で入力された値に書き換え可能に設定される、請求項1に記載のポンプ装置。
【請求項3】
前記第1点検運転は、締切り運転及び定格負荷運転を含み、
前記第2点検運転は、締切り運転又は締切り揚程よりも低い揚程での運転である、請求項1又は請求項2に記載のポンプ装置。
【請求項4】
前記ポンプユニットの二次側に設けられた排水を行う排水管に設けられ、前記排水管を常時閉じる自動開閉弁を備え、
前記制御部は、前記第1点検運転及び前記第2点検運転を行うときに、前記自動開閉弁を開く、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のポンプ装置。
【請求項5】
前記第1点検運転は、手動で行う点検運転である、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のポンプ装置。
【請求項6】
前記第2点検運転は、手動及び自動で行う点検運転を含む、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のポンプ装置。
【請求項7】
表示部をさらに備え、
前記制御部は、前記前回の前記第1点検運転の終了後の前記経過時間又は前記積算値が前記第1閾値を超えた場合に、前記前回の前記第1点検運転の終了後の前記経過時間又は前記積算値が前記第1閾値を超えた情報を前記表示部に表示する、請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載のポンプ装置。
【請求項8】
外部端末に情報を送信可能な通信部を備え、
前記制御部は、前記前回の前記第1点検運転の終了後の前記経過時間又は前記積算値が前記第1閾値を超えた場合に、前記前回の前記第1点検運転の終了後の前記経過時間又は前記積算値が前記第1閾値を超えた情報を前記通信部により前記ユーザ又は管理者が有する前記外部端末へ送信する、請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載のポンプ装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記第1点検運転の情報及び結果を、前記通信部を介して前記ユーザ又は前記管理者が有する前記外部端末へ送信する、請求項8に記載のポンプ装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記第2点検運転の情報及び結果を、前記通信部を介して前記ユーザ又は前記管理者が有する前記外部端末へ送信する、請求項8又は請求項9に記載のポンプ装置。
【請求項11】
前記ポンプユニットの停止時間の積算値は、前記制御部への通電時間の積算値か、又は、前記通電時間の積算値から前記ポンプユニットのモータへの通電時間の積算値を減算した値である、請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載のポンプ装置。
【請求項12】
前記前回の前記第1点検運転の終了後の前記経過時間は、前記前回の前記第1点検運転の終了後から次回の前記第1点検運転を行うまでの前記制御部への通電時間の積算値である、請求項1乃至請求項11のいずれか一項に記載のポンプ装置。
【請求項13】
情報を送信する前記外部端末の送信先情報は、前記記憶部に記憶されており、
前記送信先情報の少なくとも一部は、前記ユーザによる書き換えが不可に設定される、請求項8乃至請求項10のいずれか一項に記載のポンプ装置。
【請求項14】
前記ポンプユニットの運転の状況を検出する検出器をさらに備え、
前記記憶部は、前記ポンプユニットの正常な運転時における運転の状況である第3閾値を記憶し、
前記制御部は、前記第1点検運転中及び前記第2点検運転中に検出された検出値を第3閾値と比較し、前記ポンプユニットが正常でない場合に、前記ポンプユニットを停止させる、請求項5又は請求項6に記載のポンプ装置。
【請求項15】
前記記憶部は、第3閾値よりも前記ポンプユニットの運転状況が正常である値に近い第4閾値を含み、
前記制御部は、前記第1点検運転中及び前記第2点検運転中に検出された検出値が第4閾値を満たした場合には前記第1点検運転及び前記第2点検運転を継続し、第3閾値を満たした場合には前記ポンプユニットを停止させる、請求項14に記載のポンプ装置。
【請求項16】
前記第2点検運転は、設定した時刻に自動で点検を行う、請求項5に記載のポンプ装置。
【請求項17】
ポンプユニットの第1点検運転を要するまでの時間である第1閾値、及び、前記ポンプユニットの第2点検運転を要するまでの時間である第2閾値を記憶する記憶部と、
前記ポンプユニットを駆動するとともに、前回の前記第1点検運転の終了後の経過時間又は前記ポンプユニットの停止時間の積算値をカウントし、前記前回の前記第1点検運転の終了後の前記経過時間又は前記積算値が前記第1閾値を超えた場合に警告を行い、前記第1点検運転終了後に前記警告を解除するとともに、前記積算値をリセットし、前回の前記第2点検運転の終了後の経過時間又は前記ポンプユニットの停止時間の積算値をカウントし、前記前回の前記第2点検運転の終了後の前記経過時間又は前記積算値が前記第2閾値を超えた場合に、前記第2点検運転を行う制御部と、
を備え、
前記第1閾値は、ユーザによる書き換えが不可に設定され、
前記第2閾値は、ユーザによる書き換えが可能に設定される制御盤。
【請求項18】
ポンプユニットの第1点検運転を要するまでの時間である第1閾値、及び、前記ポンプユニットの第2点検運転を要するまでの時間である第2閾値を記憶する記憶部と、
前記ポンプユニットを駆動するとともに、前回の前記第1点検運転の終了後の経過時間又は前記ポンプユニットの停止時間の積算値をカウントし、前記前回の前記第1点検運転の終了後の前記経過時間又は前記積算値が前記第1閾値を超えた場合に警告を行い、前記第1点検運転終了後に前記警告を解除するとともに、前記積算値をリセットし、前回の前記第2点検運転の終了後の経過時間又は前記ポンプユニットの停止時間の積算値をカウントし、前記前回の前記第2点検運転の終了後の前記経過時間又は前記積算値が前記第2閾値を超えた場合に、前記第2点検運転を行う制御部と、
前記記憶部及び前記制御部を実装する基板と、
を備え、
前記第1閾値は、ユーザによる書き換えが不可に設定され、
前記第2閾値は、ユーザによる書き換えが可能に設定される制御基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建造物に用いられるポンプ装置、制御盤及び制御基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従前から、建造物に給水するポンプ装置が知られている。このようなポンプ装置として、例えば、火災時にスプリンクラー等へ水を供給する消火ポンプ装置(例えば、特許文献1参照)、蛇口やシャワーヘッド等へ水を供給する給水ポンプ装置、暖房用等の空調ポンプ装置及び消雪用の自吸ポンプ装置等が知られている。
【0003】
このようなポンプ装置は、停止時間が長いと、ポンプの金属材料により形成された部品に錆が生じる虞や、水中に含まれるカルシウム、マグネシウム及びシリカ等の無機塩類化合物が析出したスケールがポンプ内に生じる虞がある。これら錆やスケールがポンプ内に生じると、インペラや回転軸等の回転体がケーシング等の固定体に固着し、回転が阻害される虞がある。この状態でポンプ装置を駆動すると、モータに過電流が生じる虞がある。
【0004】
このため、回転体が固着することを防止し、ポンプ装置の機能及び故障検出等のために、定期的な点検運転が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6442338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述したポンプ装置の定期的な点検運転の実施は、ユーザに一任されているところ、定期的な点検運転が実施されない虞がある。また、メーカや消防署等の管理者が点検運転を行った履歴情報を把握することも困難であることから、ユーザに点検運転を実施することを促すことができない、という問題がある。例えば、ポンプ装置が消火ポンプ装置である場合には、火災時に正常に運転できることが求められることから、点検運転は重要なものとなる。このため、例えば、ポンプ装置を強制的に定期的に駆動することで維持運転を行うことも考えられるが、建造物の構造等によっては、騒音及び振動を嫌う場合があり、強制的、且つ、定期的にポンプ装置を駆動することが困難な場合もある。
【0007】
また、点検運転に限らず、ポンプ装置の特定の運転を手動で行う場合においても、同様の問題が生じる。
【0008】
そこで本発明は、特定の運転を促すことができるポンプ装置、制御盤及び制御基板を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によれば、ポンプ装置は、ポンプユニットと、前記ポンプユニットの第1点検運転を要するまでの時間である第1閾値、及び、前記ポンプユニットの第2点検運転を要するまでの時間である第2閾値を記憶する記憶部と、前記ポンプユニットを駆動するとともに、前回の前記第1点検運転の終了後の経過時間又は前記ポンプユニットの停止時間の積算値をカウントし、前記前回の前記第1点検運転の終了後の前記経過時間又は前記積算値が前記第1閾値を超えた場合に警告を行い、前記第1点検運転終了後に前記警告を解除するとともに、前記積算値をリセットし、前回の前記第2点検運転の終了後の経過時間又は前記ポンプユニットの停止時間の積算値をカウントし、前記前回の前記第2点検運転の終了後の前記経過時間又は前記積算値が前記第2閾値を超えた場合に、前記第2点検運転を行う制御部と、を備え、前記第1閾値は、ユーザによる書き換えが不可に設定され、前記第2閾値は、ユーザによる書き換えが可能に設定される
【0010】
本発明の一態様によれば、制御盤はポンプユニットの第1点検運転を要するまでの時間である第1閾値、及び、前記ポンプユニットの第2点検運転を要するまでの時間である第2閾値を記憶する記憶部と、前記ポンプユニットを駆動するとともに、前回の前記第1点検運転の終了後の経過時間又は前記ポンプユニットの停止時間の積算値をカウントし、前記前回の前記第1点検運転の終了後の前記経過時間又は前記積算値が前記第1閾値を超えた場合に警告を行い、前記第1点検運転終了後に前記警告を解除するとともに、前記積算値をリセットし、前回の前記第2点検運転の終了後の経過時間又は前記ポンプユニットの停止時間の積算値をカウントし、前記前回の前記第2点検運転の終了後の前記経過時間又は前記積算値が前記第2閾値を超えた場合に、前記第2点検運転を行う制御部と、を備え、前記第1閾値は、ユーザによる書き換えが不可に設定され、前記第2閾値は、ユーザによる書き換えが可能に設定される
【0011】
本発明の一態様によれば、制御基板は、ポンプユニットの第1点検運転を要するまでの時間である第1閾値、及び、前記ポンプユニットの第2点検運転を要するまでの時間である第2閾値を記憶する記憶部と、前記ポンプユニットを駆動するとともに、前回の前記第1点検運転の終了後の経過時間又は前記ポンプユニットの停止時間の積算値をカウントし、前記前回の前記第1点検運転の終了後の前記経過時間又は前記積算値が前記第1閾値を超えた場合に警告を行い、前記第1点検運転終了後に前記警告を解除するとともに、前記積算値をリセットし、前回の前記第2点検運転の終了後の経過時間又は前記ポンプユニットの停止時間の積算値をカウントし、前記前回の前記第2点検運転の終了後の前記経過時間又は前記積算値が前記第2閾値を超えた場合に、前記第2点検運転を行う制御部と、前記記憶部及び前記制御部を実装する基板と、を備え、前記第1閾値は、ユーザによる書き換えが不可に設定され、前記第2閾値は、ユーザによる書き換えが可能に設定される
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、点検運転を促すことができるポンプ装置、制御盤及び制御基板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る給水設備の構成を示す説明図。
図2】同給水設備に用いられるポンプ装置の構成を示す側面図。
図3】同ポンプ装置に用いられる制御盤の構成を示す正面図。
図4】同制御盤の内部構成を示す正面図。
図5】本発明の変形例に係る給水設備に用いられるポンプ装置の構成を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態に係るポンプ装置1の構成を、図1乃至図4を用いて説明する。なお、本実施形態においては、ポンプ装置1は、給水設備として消火設備100に用いられる消火ポンプ装置の例を用いて説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係る消火設備100の構成を示す説明図、図2は、ポンプ装置1の構成を示す側面図、図3及び図4は、ポンプ装置1に用いられる制御盤18の外観及び内部の構成それぞれ示す正面図である。
【0016】
図1に示すように、ポンプ装置1は、建造物に設けられた消火設備100に用いられる。まず、消火設備100の構成について説明する。図1に示すように、消火設備100は、ポンプ装置1と、補助加圧装置101と、放水手段201と、火災判断機器301と、給水源401と、を備えている。
【0017】
補助加圧装置101は、放水手段201へ接続される配管501内の圧力が低下したときに、ポンプ装置1が始動する前に補助加圧装置101が自動運転し、配管501内の圧力を回復させるポンプ装置である。
【0018】
補助加圧装置101は、例えば、補助ポンプユニット111と、補助ポンプユニット111の二次側に設けられた圧力タンク112と、圧力タンク112に接続された圧力検出器113と、呼水槽114と、制御盤115と、を備えている。
【0019】
補助ポンプユニット111は、補助モータ121と、補助モータ121により駆動される補助ポンプ122と、補助ポンプ122に接続される連結管123と、を備えている。補助モータ121は、制御盤115に電気的に接続される。補助ポンプ122は、一次側が呼水槽114に接続され、二次側が連結管123に接続される。連結管123は、配管501に接続される。より具体的には、連結管123は、配管501であって、且つ、後述する流水検知器314の一次側に接続される。
【0020】
圧力タンク112は、連結管123に設けられる。
【0021】
圧力検出器113は、圧力タンク112内の圧力を検出する。圧力検出器113は、電気的に制御盤115に接続される。圧力検出器113は、検出した圧力値の信号を制御盤115に送信する。
【0022】
呼水槽114は、補助ポンプユニット111の水源である。
【0023】
制御盤115は、例えば、記憶部131及び制御部132を備える。記憶部131は、例えば、補助ポンプユニット111を起動する補助起動圧力、及び、補助ポンプユニット111を停止する補助停止圧力が記憶されている。補助起動圧力は、ポンプ装置1のポンプユニット12の起動圧力よりも高く設定される。また、補助停止圧力は、ポンプ装置1の締切り圧力よりも低く設定される。
【0024】
制御部132は、圧力検出器113で検出した圧力が記憶部131に記憶された起動圧力以下と判断すると、補助ポンプユニット111を起動する。また、制御部132は、補助ポンプユニット111の運転中に圧力検出器113で検出した圧力が記憶部131に記憶された停止圧力以上と判断すると、補助ポンプユニット111を停止する。
【0025】
放水手段201は、例えば、建造物のフロア毎に設けられた複数の放水器や、他の放水装置に接続される配管等である。放水手段201は、火災時に開放されることで消火のために放水を行う。具体例として、放水手段201は、例えば複数のスプリンクラー211と、消火栓212と、連結送水管213と、を含む。
【0026】
スプリンクラー211は、配管501から分岐して接続され、各フロアに配設された配設管211aと、配設管211aに設けられたフロア毎に複数設けられたスプリンクラヘッド211bと、を備える。また、スプリンクラー211は、配設管211a及びスプリンクラヘッド211bの間に水量(流量)及び圧力の検出が可能な検出器を備えていてもよい。
【0027】
スプリンクラヘッド211bは、例えば、火災時の熱により開口し放水することで、建造物のフロアに放水可能な放水口を有している。また、スプリンクラヘッド211bは、例えば、同一フロアに設けられたスプリンクラヘッド211bのいずれかが開となり放水した場合に、同一フロア内に設けられた他のスプリンクラヘッド211bも開となり連動して放水可能に形成されている。
【0028】
消火栓212は、建造物の屋内及び屋外の少なくとも一方に設けられる。消火栓212は、例えば、屋内消火栓である。消火栓212は、例えば、消火栓箱212aと、消火栓箱212aに収容され、配管501に接続されるホース212bと、ホース212bに設けられたノズル212cと、ノズル212cに設けられた開閉弁と、を備えている。また、ホース212bと配管501との間には、開閉弁が設けられた放水口が設けられ、この放水口にホース212bが接続されることで、配管501にホース212bが流体的に接続される。
【0029】
連結送水管213は、例えば、建造物の屋内又は屋外に設けられる。連結送水管213は、いわゆる消防隊専用栓である。連結送水管213は、例えば、屋内に設けられる湿式の差込式放水口である。
【0030】
火災判断機器301は、ポンプ装置1を起動する起動装置である。例えば、火災判断機器301は、火災報知器311と、消火栓用手動起動装置312と、遠隔起動装置313と、流水検知器314と、消火栓用連動装置315と、圧力検出器33と、を含む。火災判断機器301は、例えば、信号線99を介してポンプ装置1の後述する制御盤18に電気的に接続される。
【0031】
火災報知器311は、例えば、煙や熱を感知し、制御盤18にポンプユニット12の起動信号を発報する。
【0032】
消火栓用手動起動装置312は、例えば、消火栓212の消火栓箱212aに設けられる。消火栓用手動起動装置312は、手動により操作されることで、制御盤18にポンプユニット12の起動信号を発報する。
【0033】
遠隔起動装置313は、例えば、防災センター等からの遠隔操作されることで、制御盤18に、ポンプユニット12の起動信号を発報する。
【0034】
流水検知器314は、配管501内に所定の流量又は流速の水が流れた場合に、内部に設けられたスイッチが作動し、制御盤18にポンプユニット12の起動信号を発報する。
【0035】
消火栓用連動装置315は、例えば、消火栓212の消火栓箱212aに設けられる。消火栓用連動装置315は、例えば、ホース212bを手動で延ばした場合に、制御盤18にポンプユニット12の起動信号を発報する。
【0036】
給水源401は、消火用の水槽である。給水源401は、ポンプ装置1の一次側に設けられる。
【0037】
配管501は、ポンプ装置1の二次側に設けられ、スプリンクラー211、消火栓212及び連結送水管213に接続される。配管501には、流水検知器314が設けられる。配管501は、末端又は中途部においてスプリンクラー211、消火栓212及び連結送水管213により閉鎖される。
【0038】
図1及び図2に示すように、ポンプ装置1は、ベース11と、ポンプユニット12と、吐出管13と、圧力タンク14と、自動開閉弁15と、温度検出器16と、呼水槽17と、制御盤18と、を備えている。
【0039】
ベース11は、建造物のポンプ装置1の設置面に固定される。ベース11は、その上面にポンプユニット12、圧力タンク14、呼水槽17及び制御盤18を固定する。
【0040】
ポンプユニット12は、ポンプ21及びモータ22を備えている。ポンプ21は、吸込口21a及び吐出口21bを備えている。ポンプ21は、その内部に回転軸に固定されたインペラを収容する。ポンプ21は、増圧した水を二次側に吐出する。
【0041】
モータ22は、回転軸を回転可能に形成されている。モータ22は、回転軸を回転することで、ポンプ21のインペラを駆動する。モータ22は、信号線99を介して電気的に制御盤18に接続される。
【0042】
吐出管13は、一端がポンプ21の吐出口21bに接続されるとともに、他端が配管501に接続される。吐出管13は、逆止弁13a及び圧力検出器13bを有する。圧力検出器13bは、信号線99を介して制御盤18に接続されている。圧力検出器13bは、吐出管13内の圧力を検出し、制御盤18に送信可能に形成されている。
【0043】
圧力タンク14は、タンク31と、圧力計32と、圧力検出器33と、を備えている。タンク31は、ポンプ21から吐出された所定の圧力の水を貯留可能に形成されている。タンク31は、例えば、吐出管13に設けられる。圧力計32は、タンク31内の圧力を検出し、外部に表示可能に形成されている。圧力検出器33は、信号線99を介して制御盤18に接続されている。圧力検出器33は、タンク31内の圧力を制御盤18に送信可能に形成されている。
【0044】
自動開閉弁15は、例えば、ポンプユニット12の二次側であって、且つ、流水検知器314の一次側に設けられ、ポンプユニット12の二次側、且つ、流水検知器314の一次側に接続された分岐管15aを開閉する。具体例として、分岐管15aは、ポンプユニット12の二次側であって、且つ、吐出管13の逆止弁13aの一次側に接続される。ここで、分岐管15aは、例えば、排水口15b等に接続された排水管である。換言すると、自動開閉弁15は、ポンプユニット12の二次側の分岐管15aに設けられ、分岐管15aを開くことで、ポンプユニット12の二次側の水を排水口15bに排水する。
【0045】
自動開閉弁15は、信号線99によって制御盤18に電気的に接続される。自動開閉弁15は、常時閉であり、制御盤18からの信号によって開き、ポンプユニット12の二次側及び配管501に存する水を排水口15bに排水する。
【0046】
温度検出器16は、例えば、吐出管13又は配管501に設けられる。温度検出器16は、ポンプユニット12の二次側のいずれかの配管13、501内の水の温度、又は、いずれかの配管13、501の表面温度を検出する。温度検出器16は、信号線99を介して制御盤18に電気的に接続される。温度検出器16は、検出した温度情報を制御盤18に送信する。
【0047】
呼水槽17は、ポンプ21に呼び水を供給可能に、配管17aを介してポンプ21に接続される。また、呼水槽17は、ポンプ21の温度上昇を抑えるために、オリフィスが設けられ、ポンプ21で増圧された水の一部を絞り、呼水槽17に逃がす逃がし管17bを有する。
【0048】
制御盤18は、内部に制御部41を備えている。また、制御盤18は、入力装置42と、記憶部43と、報知部44と、通信部45と、端子部48を備えている。制御盤18は、また、例えば、制御基板46と、筐体47と、を備えている。
【0049】
制御基板46は、例えば、一枚の基板46aに、制御部41、記憶部43、通信部45及び端子部48が実装されることで構成される。筐体47は、内部に制御基板46を収容するとともに、外面の一部に入力装置42及び報知部44を配置する。また、筐体47は、内部に電源トランス、電流測定用変流器、電磁接触器、配線用遮断器等の機器38を収容する。
【0050】
制御部41は、信号線99を介してモータ22及び圧力検出器33に接続される。制御部41は、入力装置42、記憶部43、報知部44及び通信部45と、バスライン等の信号線99を介して電気的に接続される。
【0051】
制御部41は、モータ22を駆動可能に形成されている。制御部41は、火災と判断したときに、モータ22を駆動可能に形成されている。具体例として、制御部41は、火災判断機器301から発報されたポンプユニット12の起動信号を受信すると、記憶部43に記憶されたプログラムに準じてモータ22を駆動する。
【0052】
制御部41は、日付を管理可能なカレンダー機能及び時刻を管理可能な時計機能を有している。制御部41は、ポンプユニット12の駆動後に経過した経過時間をカウントするカウンタ機能を有している。制御部41は、ポンプユニット12の特定の運転を行い、この特定の運転におけるポンプユニット12の駆動停止後にカウンタ機能でカウントしたポンプユニット12の駆動停止後に経過した経過時間を記憶部43に記憶する機能を有している。ここで、ポンプユニットの12の特定の運転を行った後に経過した経過時間とは、例えば、前回特定の運転を行った後、具体例としてポンプユニット12の点検運転を行ったあとに、経過した時間、又は、ポンプユニット12が停止している時間である。
【0053】
ここで、ポンプユニット12が停止している時間(停止時間)とは、停止している可能性のある最大の停止時間と推定できる制御盤18の制御部41に通電した通電時間の積算値や、ポンプユニット12が実質的に停止している停止時間の積算値が例として挙げられる。また、ポンプユニット12が実質的に停止している停止時間の積算値とは、例えば、制御部41に通電した通電時間の積算値からポンプユニット12のモータ22への通電時間を減算した値である。
【0054】
制御部41は、ポンプユニット12の異常発生時に、当該異常の情報を報知部44に送信する機能を有している。制御部41は、入力装置42により入力された指示に基づいて、カウンタ機能でカウントした時間、過去のポンプユニット12の駆動情報等の履歴情報を通信部45に送信可能に形成されている。
【0055】
入力装置42は、日時及び指令等の情報を入力可能に形成されている。入力装置42は、入力された情報を制御部41に送信可能に形成されている。
【0056】
記憶部43には、特定の運転である点検運転を行うまでの所定の時間、及び、点検運転時におけるポンプユニット12の評価を行う値が閾値として記憶されている。ここで、点検運転とは、ポンプユニット12の駆動停止を伴う定期的なポンプユニット12の点検である。ポンプユニットの点検運転は、例えば、複数設定される。よって、複数の点検運転を行うまでの所定の時間である閾値は、記憶部43に複数記憶される。
【0057】
具体例として、点検運転は、第1点検運転と、第2点検運転と、を含む。第1点検運転は、例えば、手動で行われる点検である。第1点検運転は、例えば、消火ポンプ装置に義務付けられた法定点検である。第1点検運転は、例えば、前回の第1点検運転から所定の時間経過したときに行うことが求められる。換言すると、一年に一回といったように、所定の期間毎に点検を行う回数が定められた法定点検である。または、第1点検運転は、例えば、前回の第1点検運転から、制御盤18に通電された時間の積算値が所定の時間を経過したときに行うことが定められる。例えば、第1点検運転は、ユーザが入力装置42を操作して第1点検運転の指令を入力する度行われる。例えば、第1点検運転は、ポンプユニット12を所定の時間駆動し、締切り運転時の締切揚程、締切り運転時のモータ22へ供給された電圧及び電流、定格負荷運転時の定格揚程、並びに、定格負荷運転時のモータ22へ供給された電圧及び電流を検出する。また、第1点検運転時において、例えば、定格負荷運転時に自動開閉弁15を開き、分岐管15aを介して水を排水する。なお、第1点検運転の締切り運転の開始前及び終了後においても、自動開閉弁15を開き、水を排水してもよい。
【0058】
第2点検運転は、手動又は自動で行われる点検であり、例えば、自主点検や維持運転である。第2点検運転は、例えば、前回の第2点検運転からのポンプユニット12の停止時間、より具体例としては、前回の第2点検運転からのモータ22へ通電していない時間の積算時間が所定の時間を経過する前に手動で行うか、又は、同積算時間が所定の時間を経過したときに自動で行うことが求められる。例えば、第2点検運転は、ユーザが入力装置42を操作してポンプユニット12を駆動するか、又は、制御部41がポンプユニット12を駆動することで行われる。例えば、第2点検運転は、締切り運転時の締切揚程、締切り運転時のモータ22へ供給された電圧及び電流を検出する運転である。なお、第2点検運転の締切り運転の開始前及び終了後において、自動開閉弁15を開き、水を排水してもよい。
【0059】
また、複数の閾値は、第1閾値と、第2閾値と、第3閾値と、を含む。第1閾値は、前回の第1点検運転後から次の第1点検運転を行うまでのポンプユニット12の時間として設定される。第2閾値は、前回の第2点検運転後から次回の第2点検運転を行うまでのポンプユニット12の時間として設定される。
【0060】
第3閾値は、各点検運転においてポンプユニット12の運転の状況として検出される検出値の正常値として設定される。例えば、第3閾値は、例えば、ポンプユニット12が正常時における締切り運転時の締切揚程、締切り運転時のモータ22へ供給された電圧及び電流、定格負荷運転時の定格揚程、並びに、定格負荷運転時のモータ22へ供給される電圧及び電流である。
【0061】
また、記憶部43は、例えば、複数の閾値のいずれかを書き換え不可として記憶する。例えば、記憶部43は、第1閾値がポンプ装置1を製造したメーカで記憶された後、書き換えが不可に設定され、そして、第2閾値が入力装置42で入力された値に書き換え可能に設定される。なお、記憶部43の第1閾値及び第2閾値の書き換えに関する設定は、例えば、記憶部43に記憶されたプログラム等を制御部41が処理することで設定される。
【0062】
記憶部43は、制御部41のカウンタ機能のカウンタメモリとして機能する。また、記憶部43には、例えば、ポンプユニット12を起動する起動圧力、締切り運転時の締切揚程、並びに、火災発生時及び各点検運転におけるポンプユニット12の制御プログラム等が記憶されている。
【0063】
さらに、記憶部43には、ポンプユニット12の識別番号、形式、位置情報等のポンプ装置1の情報、各点検運転の情報及び結果、並びに、点検運転の警告を送信する外部に設けられたパーソナルコンピュータやタブレット端末等の外部端末90の情報等が記憶されている。
【0064】
報知部44は、ポンプユニット12の異常発生時に、制御部41から送信された情報に基づいて、当該異常を外部に報知可能に形成されている。報知部44は、情報を表示する表示部である。報知部44は、例えば、点灯又は点滅することで情報を表示するランプ、音により外部に情報を報知する音響及び情報を表示するディスプレイを含む。
【0065】
通信部45は、外部と情報を送受信可能に構成される。例えば、通信部45は、制御部41から送信された情報を無線又は有線により外部に出力する。例えば、通信部45は、外部端末90に情報を送信する。換言すると、制御部41は、通信部45を介して、インターネット、LAN(Local Area Network)等のネットワークや無線又は有線ケーブル等によりに外部端末90に情報を送信し、外部端末90に当該情報を表示させる。なお、通信部45を用いなくとも、端子部48を介して有線により管理センター等へ通信を行うことができる。例えば、2つの異なる端子を無電圧a接点とし、接点がONとなった場合に、過電流等の不具合が発生したことを通知できる。この場合、圧力不足や漏電等の他の事象を通知するためには、区別したい事象の数だけ端子を設ける必要がある。
【0066】
なお、例えば、外部端末90に情報を表示させる機能は、外部端末90のプロセッサが処理することで達成される。外部端末90は、例えば、点検運転に関する情報を表示する表示部である。また、ここで、外部端末90は、例えば、ポンプ装置1から離れた場所にユーザが有する第1外部端末91と、ユーザ以外の管理者、具体例としてポンプ装置1の製造メーカ、建造物を管理する管理センター、及び、消防署や防災センター等の外部機関等のポンプ装置1や消火設備100を監督又は管理を行う管理者が有する第2外部端末92と、を含む。
【0067】
また、制御部41は、以下の(1)乃至(3)の機能を有している。
【0068】
(1)ポンプユニット12の第1点検運転を行い、外部に第1点検運転の状況を送信する機能。
【0069】
(2)ポンプユニット12の第2点検運転を行い、外部に第2点検運転の状況を送信する機能。
【0070】
(3)点検運転の警告を行う機能。
【0071】
次に、制御部41が有する(1)乃至(3)の機能について説明する。
(1)の機能は、入力装置42により第1点検運転を行う指令が入力されたときに、ポンプユニット12を所定の時間第1点検運転するとともに、ポンプユニット12の運転により検出された検出値と第3閾値に基づいて、ポンプユニット12が正常か否かを判断し、機器損傷の虞がある値、例えば電流が正常ではない場合にはモータ22への通電を停止する機能である。また、(1)の機能は、第1点検運転の情報、及び、第1点検運転の結果等の第1点検運転の状況を外部端末90に送信する機能である。
【0072】
(1)の機能の具体例を以下説明する。(1)の機能の具体例として、先ず、制御部41は、入力装置42により第1点検運転を行う指令が入力されたか否かを判断する。そして、入力装置42により第1点検運転を行う指令が入力されたと判断した場合には、制御部41は、記憶部43に記憶されたポンプユニット12の制御プログラムに基づいて締切り運転及び定格負荷運転によりポンプユニット12を所定の時間運転する。
【0073】
そして、制御部41は、締切り運転時に圧力検出器13bで検出された締切揚程(圧力)、締切り運転時のモータ22へ供給された電圧及び電流、定格負荷運転時に圧力検出器13bで検出された定格揚程、並びに、定格負荷運転時のモータ22へ供給された電圧及び電流を検出する。そして、制御部41は、第3閾値と検出された各検出値とを比較し、検出値が正常値であるか否かを判断し、機器損傷の虞がある値、例えば電流が正常ではない場合にはモータ22への通電を停止する。
【0074】
制御部41は、第1点検運転の情報及び結果を記憶部43に記憶する。第1点検運転の情報とは、例えば、カレンダー機能及び時計機能で検出した第1点検運転を行った日時、前回第1点検運転を行ったときから第1点検運転を行うまでにカウンタ機能でカウントした時間の積算値、及び、前回第1点検運転を行った日からの経過日数等である。また、第1点検運転の結果とは、第1点検運転中に検出された圧力、電圧及び電流等の各検出値、検出値が正常値であるか否かの判断結果等である。
【0075】
制御部41は、第1点検運転の情報及び第1点検運転の結果を、通信部45により外部端末90へ送信する。具体例として、制御部41は、第1外部端末91及び第2外部端末92へ第1点検運転の情報及び第1点検運転の結果を送信する。
【0076】
また、制御部41は、第1点検運転を行うとき又は行った後に、前回第1点検運転を行ったときから第1点検運転を行うまでにカウンタ機能でカウントした前回の第1点検運転から経過した経過時間をリセットする。
【0077】
(2)の機能は、入力装置42により第2点検運転を行う指令が入力されるか、又は、カウンタ機能でカウントしたポンプユニット12の停止時間の積算値が第2閾値を超えたときに、ポンプユニット12を所定の時間第2点検運転するとともに、ポンプユニット12の運転により検出された検出値と第3閾値に基づいて、ポンプユニット12が正常か否かを判断し、機器損傷の虞がある値、例えば電流が正常ではない場合にはモータ22への通電を停止する機能である。また、(2)の機能は、第2点検運転の情報、及び、第2点検運転の結果等の第1点検運転の状況を外部端末90に送信する機能である。
【0078】
(2)の機能の具体例を以下説明する。(2)の機能の具体例として、先ず、制御部41は、入力装置42により第2点検運転を行う指令が入力されたか否かの判断をする。入力装置42により第2点検運転を行う指令が入力された場合には、制御部41は、記憶部43に記憶されたポンプユニット12の制御プログラムに基づいて締切り運転によりポンプユニット12を所定の時間運転する。
【0079】
また、入力装置42により第2点検運転を行う指令が入力されていないと判断した場合には、前回の第2点検運転後にカウンタ機能でカウントしたポンプユニット12の停止時間の積算値が第2閾値を超えたか否かの判断をする。前回の第2点検運転後にカウンタ機能でカウントしたポンプユニット12の停止時間の積算値が第2閾値を超えたと判断した場合には、制御部41は、記憶部43に記憶されたポンプユニット12の制御プログラムに基づいて締切り運転によりポンプユニット12を所定の時間運転する。
【0080】
そして、制御部41は、締切り運転時に圧力検出器13bで検出された締切揚程(圧力)、並びに、締切り運転時のモータ22へ供給された電圧及び電流を検出する。そして、制御部41は、第3閾値と検出された各検出値とを比較し、検出値が正常値であるか否かを判断する。
【0081】
制御部41は、第2点検運転の情報及び結果を記憶部43に記憶する。第2点検運転の情報とは、例えば、カレンダー機能及び時計機能で検出した第2点検運転を行った日時、前回第2点検運転を行ったときから第2点検運転を行うまでにカウンタ機能でカウントした停止時間の積算値、及び、前回第2点検運転を行った日からの経過日数等である。また、第2点検運転の結果とは、第2点検運転中に検出された圧力、電圧及び電流等の各検出値、検出値が正常値であるか否かの判断結果等である。
【0082】
制御部41は、第2点検運転の情報及び第2点検運転の結果を、通信部45により外部端末90へ送信する。具体例として、制御部41は、第1外部端末91へ第2点検運転の情報及び第2点検運転の結果を送信する。
【0083】
また、制御部41は、第2点検運転を行うとき又は行った後に、前回第2点検運転を行ったときから第2点検運転を行うまでにカウンタ機能でカウントした停止時間の積算値をリセットする。
【0084】
(3)の機能は、点検運転に関する警告を行う機能であり、具体的には、点検運転を所定の時間行っていない場合に、点検運転を促す情報を外部に報知する機能である。
【0085】
(3)の機能の具体例を以下説明する。(3)の機能として、先ず、制御部41は、手動で行う点検運転、具体例として、少なくとも、ユーザが変更できない第1閾値が設定された第1点検運転の前回第1点検運転を行ったときにポンプユニット12を停止してから、カウンタ機能でカウントした経過した経過時間、及び、当該積算値及び第1閾値から求められる第1点検運転を行うまでの残り時間の少なくとも一方、好ましくは双方を求める。そして、制御部41は、当該経過時間及び第1点検運転を行うまでの残り時間の少なくとも一方、好ましくは双方の情報を報知部44に表示する。
【0086】
また、制御部41は、前回第1点検運転を行ったときからカウンタ機能でカウントした経過時間が第1閾値を超えたか否かを判断する。前回第1点検運転を行ったときから、カウンタ機能でカウントした経過時間が第1閾値を超えた場合には、制御部41は、第1点検運転が必要と判断する。制御部41は、第1点検運転を行う旨の警告を報知部44により表示することで、警告を行う。
【0087】
加えて、制御部41は、第1点検運転を行う旨の警告及び記憶部43に記憶されたポンプ装置1の識別番号、形式、位置情報を、少なくとも第2外部端末92へ、好ましくは、第1外部端末91及び第2外部端末92へ当該情報を送信する。即ち、制御部41は、ユーザ及び管理者に、第1点検運転を行う必要がある旨の警告と、第1点検運転を行うポンプ装置1の情報を送信する。
【0088】
なお、制御部41が警告を行う警告先は、記憶部43にあらかじめ記憶された、外部端末90の情報に基づいて送信される。なお、制御部41が警告を行う警告先は、一部がユーザによる書き換えが不可に設定される。本実施形態においては、警告先として少なくとも管理者の第2外部端末92をユーザが書き換えることができないように設定される。
【0089】
このように構成された消火設備100に用いられるポンプ装置1によれば、手動で行われる第1点検機能を行った後、次回第1点検機能を行うまでの経過時間を積算する。そして、積算したポンプユニット12の経過時間が第1閾値を超えた場合に、ユーザの第1外部端末91及びメーカや管理機関等の管理者の第2外部端末92へ積算した経過時間が第1閾値を超えた情報を送信する。これにより、ユーザ並びにメーカ及び管理機関等の管理者へ、所定の時間が経過しても第1点検運転が未実施であり、第1点検運転を要する状態であることが警告できる。即ち、ユーザ及び管理者が第1点検機能の実施の有無を把握できる。特に第1点検運転は、手動で行われる点検運転であることから、点検運転の実施を忘れる虞があるところ、ポンプ装置1の構成によれば、点検運転の実施を啓蒙すること、及び、管理者が点検運転の遵守を指示することができる。
【0090】
また、第1点検運転が法定点検運転のような義務化された運転である場合には、実施をユーザに通知できること、及び、管理者がユーザの管理又は監視を行うことができることから、点検運転を促すことができる。特に、ポンプ装置1が消火ポンプ装置である場合には、長時間の停止によりポンプ装置1が錆やスケール等によって固着し、火災時にポンプ装置1が起動できなくなることを抑制できる。また、ポンプ装置1が起動不可の状態となることを抑制できることから、過電流がモータ22に流れることを防止できる。
【0091】
また、制御部41は、第1点検運転及び第2点検運転の情報及び結果をユーザ及び管理者へ送信することから、ユーザ及び管理者が点検状況を把握できる。
【0092】
また、制御部41は、入力装置42により第2点検運転を行う指令が入力されるか、又は、前回の第2点検運転後にカウンタ機能でカウントしたポンプユニット12の停止時間の積算値が第2閾値を超えた場合には、第2点検運転を行う。特に、入力装置42により第2点検運転を行う指令が入力されなくても、前回の第2点検運転後にカウンタ機能でカウントしたポンプユニット12の停止時間の積算値が第2閾値を超えた場合に第2点検運転を行うことで、法定点検等の第1点検運転よりも短い期間でポンプ装置1を運転することになる。これにより、ポンプ21内に錆やスケール等が付着することを極力抑制できることから、ポンプユニット12の寿命を向上できるとともに、火災時にポンプ装置1が故障していることを極力抑制できる。
【0093】
さらに、制御部41は、第1点検運転及び第2点検運転等の点検運転が行われると、前回点検運転した後の経過時間又はポンプユニット12の停止時間の積算値をリセットすることから、積算値のリセット忘れを防止できる。
【0094】
上述したように、本発明の一実施形態に係るポンプ装置1によれば、報知部44又は外部端末90に点検運転後のポンプユニット12の停止時間の積算値が閾値を超えた場合に制御部41が警告を表示させることで、点検運転を促すことができる。
【0095】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されない。例えば、上述した例では、制御部41は、前回の第2点検運転後にカウンタ機能でカウントしたポンプユニット12の停止時間の積算値が第2閾値を超えた場合に第2点検運転を行う例を説明したがこれに限定されない。例えば、制御部41は、前回の第2点検運転後にカウンタ機能でカウントしたポンプユニット12の停止時間の積算値が第2閾値を超えた場合であって、その後、予め記憶部43に記憶された設定した時刻となった場合に、第2点検運転を行う構成としてもよい。このような構成のポンプ装置1は、点検運転を自動で行う場合に、ポンプ装置1の運転を行うと、振動や騒音が生じることから、夜間を避けて点検運転を行いたい場合等に有効である。
【0096】
また、上述した例では、第2点検運転は締切り運転を行う例を説明したが、騒音や振動を極力生じさせないために、第2点検運転として、締切り揚程まで運転を行わない構成としてもよい。具体例として、第2点検運転は、ポンプ21内の回転体の固着を防止するために、モータ22に通電し、通電後に圧力検出器13bで圧力の変動を検出したら、ポンプ21が駆動したと判断し、終了する運転としてもよい。即ち、第2点検運転は、ポンプ21の固着防止を目的とし、ポンプ21が駆動した場合に停止することで、振動や騒音が発生することを極力防止する運転としてもよい。
【0097】
また、上述した例では、ポンプ装置1は、カレンダー機能、時計機能及びカウンタ機能を有する構成を説明したがこれに限定されない。例えば、カレンダー機能は、バッテリの電力消費量が増加し、また、ポンプ装置1のコストアップとなることから、ポンプ装置1は、カレンダー機能を有さない構成としてもよい。このようなポンプ装置1とした場合には、上述の点検運転の情報及び結果等については、経過日数や点検日等については含めずに、時計機能及びカウンタ機能により求めた経過時間や停止時間等の時間の情報だけとすればよい。また、同様に、時計機能を有さずに、カウンタ機能によって、ポンプユニット12の停止時間の積算値のみを求める構成としてもよい。さらに、時計機能及びカウンタ機能を有さず、カレンダー機能のみを設け、停止時間の代わりに停止日数を積算するとともに、点検運転の情報及び結果は、経過日数、停止日数及び点検日といったように、日付だけの情報としてもよい。
【0098】
また、上述した例では、消火設備100としてスプリンクラー211が設けられる構成を説明したが、スプリンクラー211は、スプリンクラヘッド211bに閉塞弁が設けられ、火災時に開放する構成であっても、常時開放するいわゆる開放型であってもよい。例えば、開放型のスプリンクラヘッド211bを用いる場合には、開閉弁をスプリンクラー211に設け、そして、第1点検運転及び第2点検運転を手動により行い、点検運転を行うときに開閉弁を閉じる構成とすればよい。また、消火設備100はスプリンクラー211ではなく、泡消火設備や水噴霧消火設備を用いる構成であってもよい。
【0099】
また、上述した例では、ポンプ装置1は消火ポンプ装置であり、そして、ポンプ装置1が消火設備100に用いられる例を説明したがこれに限定されない。例えば、ポンプ装置1は、他の設備やポンプ装置に適用できる。
【0100】
例えば、ポンプ装置1は、季節によって長期の停止が想定される設備、例えば、暖房等の空調設備に用いられる構成であってもよい。このような空調用のポンプを暖房用に用いる場合には、例えば、長期的に停止することで、メカニカルシール付近に析出物が固着することを防止するために、冬場以外に点検運転を行う構成としてもよい。また、このような暖房用のポンプ装置は、冬場は運転が頻繁に行われることから、冬場においては、点検運転を行わない構成としてもよい。または、冬場に暖房用のポンプ装置の点検運転を行う場合には、例えば、連続して所定の時間運転しない場合に停止日数又は停止時間を積算して、当該積算した日数又は時間が閾値を超えた場合に、点検運転を行うように構成してもよい。また、点検を伴わない運転と運転の間の停止時間が所定の時間より短い場合には、停止時間の積算値をリセットする構成であってもよい。
【0101】
また、例えば、ポンプ装置1は、消雪設備に用いられる構成としてもよい。このような消雪設備の消雪用の水の揚水にポンプ装置を用いる場合には、例えば、長期的に停止することで、メカニカルシール付近に析出物が固着することを防止するために、空調設備にポンプ装置を用いる場合と同様に、冬場以外に点検運転を行う構成としてもよい。また、このような消雪用のポンプ装置は、冬場の雪の少ない期間においても、点検運転を行う構成としてもよい。例えば、冬場に消雪用のポンプ装置の点検運転を行う場合としては、連続して降雪がなく、所定の時間運転しない場合に停止日数又は停止時間を積算して、当該積算した日数又は時間が閾値を超えた場合に、点検運転を行うように構成してもよい。また、消雪用のポンプ装置は、屋外に設置されるものもあり、凍結防止のために、凍結が予想されるポンプユニットの停止時間よりも短い時間を閾値として、停止時間の積算値又は経過時間が閾値を超えたときに点検運転を行う構成としてもよい。例えば、この場合の特定の運転とは、点検運転ではなく、降雪時に降雪センサにより入る信号による運転や、凍結温度付近で温度センサにより入る信号による運転である。
【0102】
また、ポンプ装置1は、飲料用水の給水装置に用いられる構成であってもよい。例えば、法令によって一年間に一回といったように、定期点検が義務付けられている場合には、カレンダー機能によって前回の定期点検による運転日からの経過日数を積算し、定期点検を行う日数が経過したとき又は経過する直前となったときに、外部に当該情報を警告する構成としてもよい。また、このような、他の設備にポンプ装置を用いるときに、点検運転等の特定の運転を行う場合には、自動開閉弁15を開き、水を排水しながらポンプ装置1を駆動する構成としてもよい。
【0103】
また、上述した例では、点検運転の警告は、第1点検運転のみ行う構成を説明したがこれに限定されない。例えば、第2点検運転についても手動にて行う構成とし、第2点検運転を行った後ポンプユニット12の停止時間の積算値が第2閾値を超えたときに、(3)の機能により、制御部41が少なくともユーザの第1外部端末91へ、好ましくは第1外部端末91及び第2外部端末92へ、第2点検運転を行うことを要する旨の警告を行う構成としてもよい。
【0104】
また、上述した例では、点検運転として第1点検運転及び第2点検運転を含む例を説明したがこれに限定されず、点検運転は一つのみであってもよく、また、3以上の点検運転を含む構成であってもよい。また、特定の運転は点検運転に限定されず、また、手動で行う特定の運転を少なくとも一以上有するのであれば、特定の運転は自動による運転を含んでいても勿論よい。例えば、点検運転は、さらに第3点検運転を含む構成であってもよい。具体例として、第3点検運転は、外部端末90から点検運転を開始する指令が送信されると、通信部45が当該指令を受信し、制御部41がポンプユニット12を駆動する運転である。
【0105】
また、上述した例では、報知部44及び外部端末90へ点検運転の情報及び結果、並びに、警告を表示又は送信する構成を説明したがこれに限定されず、他の機器に警告を行う構成であってもよい。即ち、点検運転についての情報を、外部へ伝達可能であれば、その態様は適宜設定可能である。
【0106】
また、上述した例では、自動開閉弁15を設け、開閉することで排水口15bに排水可能な例を説明したが、例えば、自動開閉弁15の開閉は、ウォーターハンマー防止のために、徐々に開度を増加又は減少させる開閉としてもよい。
【0107】
また、上述した例では、第1点検運転である定期点検を行う経過時間をカウンタ機能でカウントすることで求める構成を説明したが、経過時間のカウント方法は適宜設定可能である。例えば、法令で定められた期間内に定期点検を確実に行えれば経過時間は、制御部41への通電時間の積算値で推定してもよく、また、カレンダー機能によって日数をカウントする構成であってもよい。
【0108】
また、上述した例に加えて、予め締切時の電流値を記憶部43に記憶しておき、ポンプ21の回転体が固着している場合には、検出されたモータ22の電流値が記憶部43に記憶された電流値よりも大きな値となった場合に、ポンプ21が固着していると判断する機能を有していてもよい。また、例えば、ポンプ21の固着等の不具合を判断する機能として、自動開閉弁15を開放状態で運転し、徐々に自動開閉弁15を閉じるとともに、自動開閉弁15を閉じた状態で圧力を検出し、予め記憶部43に記憶された締切時の圧力よりも検出した圧力が低い場合には、ポンプ21の固着を判断する構成であってもよい。即ち、自動開閉弁15が閉じられていれば、ポンプ21の駆動に伴いポンプユニット12の二次側の圧力が上昇するため、ポンプ21の駆動の有無が確認できる。
【0109】
また、上述した例では、記憶部43に記憶された第1閾値が書き換え不可に設定される例を説明したがこれに限定されない。例えば、前回の第2点検運転後から次回の第2点検運転を行うまでのポンプユニット12の時間として設定された第2閾値を、例えば、メーカが所定の期間で必要と考える第2点検運転の回数として設定し、予め記憶部43に書き換えできないように記憶されていてもよい。
【0110】
また、上述した例では、第2点検運転時に締切り運転を行う構成を示したが、これに限定されない。例えば、図5に示すように、分岐管(排水管)15aに流量を検出可能な流量検出器61を設け、分岐管15aの流量を検出する構成としても良い。このような構成とすることで、流量検出器61により流量を検知し、所定の流量になるよう自動開閉弁15を開閉することができ、所定の流量における揚程、並びに、所定の流量におけるモータ22へ供給された電圧及び電流を検出することができる。
【0111】
また、上述した例では、第3閾値は、ポンプユニット12が正常時における締切り運転時の締切揚程、締切り運転時のモータ22へ供給された電圧及び電流、定格負荷運転時の定格揚程、並びに、定格負荷運転時のモータ22へ供給される電圧及び電流としたが、これに限定されない。即ち、第3閾値は、締切り運転時、及び、定格負荷運転時に限定されない。例えば、第3閾値は、ポンプユニット12が正常時における所定の流量で運転した場合の揚程、所定の流量で運転した場合のモータ22へ供給された電圧及び電流としても良い。
【0112】
また、上述した例では、第3閾値によりポンプユニット12が正常か否かを判断する構成としたが、第3閾値と異なるによりも低い第4閾値を更に設けても良い。このような構成とする場合には、例えば、第3閾値は、ポンプユニット12が異常であるときに検出される値に設定され、そして、第4閾値は、点検運転は継続するが、将来的に異常となる虞のある値、換言すると、第3閾値よりも前記ポンプユニットの運転状況より正常である値に近く、例えば、電流に対しては第3閾値よりも小さい値に設定される。そして、制御部41は、検出された検出値が第3閾値を満たした場合には、ポンプユニット12が正常でなく、異常であると判断し、ポンプユニット12を停止させる。また、制御部41は、検出された検出値が第4閾値を満たさないか、又は、第4閾値を満たすとともに第3閾値を満たさない場合には点検運転を継続し、点検運転の結果等の点検運転の状況を外部端末90に送信しても良い。また、第4閾値を満たす場合には、報知部44及び外部端末90へ第4閾値を超えたことを示す情報、及び警告を表示し送信しても良い。例えば、圧力検出器33は、砂等の異物により検出部や検出部の一次側配管が目詰まりした場合や、ポンプユニット12の二次側の配管から水が漏れていた場合に、圧力が徐々に低下し所定の圧力以下となり、制御盤18へポンプユニット12の起動信号を送る虞がある。例えば、流水検知器314は、ポンプユニット12の二次側の配管から水が漏れている場合に流水を検知し、制御盤18へポンプユニット12の起動信号を送る虞がある。第4閾値を設けることにより、点検運転を継続しつつ、ポンプユニット12に異常が発生する前にユーザや管理者へ警告することができる。
【0113】
即ち、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明と同等の記載を付記する。
[1] ポンプユニットと、
前記ポンプユニットの特定の運転を要するまでの時間である閾値を記憶する記憶部と、 前記ポンプユニットを駆動するとともに、前回の前記特定の運転の終了後の経過時間又は前記ポンプユニットの停止時間の積算値をカウントし、前記経過時間又は前記積算値が前記閾値を超えた場合に警告を行う制御部と、
を備えるポンプ装置。
[2] 前記特定の運転とは、点検運転であり、
前記制御部は、前記点検運転後に前記警告を解除するとともに、前記積算値をリセットする、[1]に記載のポンプ装置。
[3] 前記ポンプユニットの二次側に設けられた排水を行う排水管に設けられ、前記排水管を常時閉じる自動開閉弁を備え、
前記制御部は、前記点検運転を行うときに、前記自動開閉弁を開く、[2]に記載のポンプ装置。
[4] 前記特定の運転は、手動で行う点検運転であり、
前記閾値は、前記点検運転を要するまでの経過時間である第1閾値であり、
前記制御部は、前記点検運転の終了後の前記経過時間と前記第1閾値と比較する、[1]に記載のポンプ装置。
[5] 前記特定の運転は、手動又は自動で行う点検運転を含み、
前記閾値は、前記点検運転を行うまでの前記ポンプユニットの停止時間である第2閾値あり、
前記制御部は、前記点検運転の終了後の前記ポンプユニットの停止時間の積算値と前記第2閾値とを比較する、[1]に記載のポンプ装置。
[6] 前記第1閾値は、ユーザによる変更が不可に設定される[4]に記載のポンプ装置。
[7] 表示部をさらに備え、
前記制御部は、前記経過時間が前記第1閾値を超えた場合に前記経過時間が前記第1閾値を超えた情報を前記表示部に表示する、[6]に記載のポンプ装置。
[8] 外部端末に情報を送信可能な通信部を備え、
前記制御部は、前記経過時間が前記第1閾値を超えた場合に前記経過時間が前記第1閾値を超えた情報を前記通信部により前記ユーザ又は管理者が有する前記外部端末へ送信する、[6]又は[7]に記載のポンプ装置。
[9] 前記制御部は、前記特定の運転の情報及び結果を、前記通信部を介して前記ユーザ又は前記管理者が有する前記外部端末へ送信する、[8]に記載のポンプ装置。
[10] 外部端末に情報を送信可能な通信部を備え、
前記制御部は、前記経過時間又は前記積算値が前記閾値を超えた場合に、前記経過時間又は前記積算値が前記閾値を超えた情報を前記通信部によりユーザ又は管理者が有する外部端末へ送信する、[1]に記載のポンプ装置。
[11] 前記ポンプユニットの停止時間の積算値は、前記制御部への通電時間の積算値か、又は、前記通電時間の積算値から前記ポンプユニットのモータへの通電時間の積算値を減算した値である、[1]に記載のポンプ装置。
[12] 前記経過時間は、前記制御部への通電時間の積算値である、[1]に記載のポンプ装置。
[13] 情報を送信する前記外部端末の送信先情報は、前記記憶部に記憶されており、
前記送信先情報の少なくとも一部は、前記ユーザによる書き換えが不可に設定される、[8]乃至[10]のいずれか一項に記載のポンプ装置。
[14] 前記ポンプユニットの運転の状況を検出する検出器をさらに備え、
前記閾値は、前記ポンプユニットの正常な運転時における運転の状況である第3閾値を含み、
前記制御部は、前記点検運転中に検出された検出値を第3閾値と比較し、前記ポンプユニットが正常でない場合に、前記ポンプユニットを停止させる、[4]又は[5]に記載のポンプ装置。
[15] 前記閾値は、第3閾値よりも前記ポンプユニットの運転状況が正常である値に近い第4閾値を含み、
前記制御部は、前記点検運転中に検出された検出値が第4閾値を満たした場合には点検運転を継続し、第3閾値を満たした場合には前記ポンプユニットを停止させる、[14]に記載のポンプ装置。
[16] 前記点検運転は、設定した時刻に自動で点検を行う、[5]に記載のポンプ装置。
[17] ポンプユニットの特定の運転を要するまでの時間である閾値を記憶する記憶部と、
前記ポンプユニットを駆動するとともに、前回の前記特定の運転の終了後の経過時間又は前記ポンプユニットの停止時間の積算値をカウントし、前記経過時間又は前記積算値が前記閾値を超えた場合に警告を行う制御部と、
を備える制御盤。
[18] ポンプユニットの特定の運転を要するまでの時間である閾値を記憶する記憶部と、
前記ポンプユニットを駆動するとともに、前回の前記特定の運転の終了後の経過時間又は前記ポンプユニットの停止時間の積算値をカウントし、前記経過時間又は前記積算値が前記閾値を超えた場合に警告を行う制御部と、
前記記憶部及び前記制御部を実装する基板と、
を備える制御基板。
【符号の説明】
【0114】
1…ポンプ装置、11…ベース、12…ポンプユニット、13…吐出管、13a…逆止弁、13b…圧力検出器、14…圧力タンク、15…自動開閉弁、15a…分岐管(排水管)、15b…排水口、16…温度検出器、17…呼水槽、17a…配管、17b…逃がし管、18…制御盤、21…ポンプ、21a…吸込口、21b…吐出口、22…モータ、31…タンク、32…圧力計、33…圧力検出器、41…制御部、42…入力装置、43…記憶部、44…報知部、45…通信部、46…制御基板、47…筐体、48…端子部、61…流量検出器、90…外部端末、91…第1外部端末、92…第2外部端末、99…信号線、100…消火設備、101…補助加圧装置、111…補助ポンプユニット、112…圧力タンク、113…圧力検出器、114…呼水槽、115…制御盤、121…補助モータ、122…補助ポンプ、123…連結管、131…記憶部、132…制御部、201…放水手段、211…スプリンクラー、211a…配設管、211b…スプリンクラヘッド、212…消火栓、212a…消火栓箱、212b…ホース、212c…ノズル、213…連結送水管、301…火災判断機器、311…火災報知器、312…消火栓用手動起動装置、313…遠隔起動装置、314…流水検知器、315…消火栓用連動装置、401…給水源、501…配管。
図1
図2
図3
図4
図5