(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-14
(45)【発行日】2023-08-22
(54)【発明の名称】照明制御装置
(51)【国際特許分類】
H05B 47/00 20200101AFI20230815BHJP
H05B 45/30 20200101ALI20230815BHJP
F21S 9/02 20060101ALI20230815BHJP
【FI】
H05B47/00
H05B45/30
F21S9/02
(21)【出願番号】P 2019055159
(22)【出願日】2019-03-22
【審査請求日】2022-03-18
(31)【優先権主張番号】P 2018074684
(32)【優先日】2018-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 英光ライティング株式会社が、染谷 英太郎が発明した照明制御装置について、別紙記載の納入先に、その仕様を備えた装置を納入した。
(73)【特許権者】
【識別番号】517188747
【氏名又は名称】英光ライティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142365
【氏名又は名称】白井 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100146064
【氏名又は名称】吉田 玲子
(72)【発明者】
【氏名】染谷 英太郎
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-219220(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/00、47/00
F21S 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用交流電源と電気的に接続される第1入力端子、
バッテリと電気的に接続される第1出力端子、
前記バッテリと電気的に接続される第2入力端子、
照明と電気的に接続される第2出力端子、
前記バッテリと電気的に接続される第3入力端子、
前記照明と電気的に接続される第3出力端子、
前記商用交流電源に基づいて前記第1入力端子と前記第1出力端子との接続を確立する第1確立手段、
照明スイッチの操作態様に応じて前記第2入力端子と前記第2出力端子と接続を確立する第2確立手段、および
前記商用交流電源の停止により前記第3入力端子と前記第3出力端子との接続を確立する第3確立手段を備え
、
前記商用交流電源が稼働している状態では、前記第1入力端子と前記第1出力端子との接続が確立され、前記商用交流電源によって前記バッテリが充電され、
前記照明スイッチの操作によって前記第2入力端子と前記第2出力端子との接続が確立されると、前記商用交流電源によって前記照明が点灯され、
前記商用交流電源が停止すると、前記第3入力端子と前記第3出力端子との接続が確立され、前記バッテリによって前記照明が点灯される、照明制御装置。
【請求項2】
テストスイッチの操作態様に応じて前記第3入力端子と前記第3出力端子との接続を解除する解除スイッチをさらに備える、請求項1記載の照明制御装置。
【請求項3】
前記第2確立手段および前記第3確立手段は第1電磁石および第2電磁石をそれぞれ含み、
前記第1電磁石および前記第2電磁石の各々を構成するコイルの一方端子および他方端子は前記商用交流電源に基づく直流電源の一方出力端子および他方出力端子と電気的にそれぞれ接続され、
前記照明スイッチは前記第1電磁石を構成するコイルの一方端子と前記直流電源の一方出力端子との間に設けられ、
前記解除スイッチは前記第1電磁石および前記第2電磁石の各々を構成するコイルの他方端子と前記直流電源の他方出力端子との間に設けられる、請求項2記載の照明制御装置。
【請求項4】
前記第1確立手段および前記第3確立手段は共通のリレースイッチを構成し、前記商用交流電源の稼働/停止に対して相補的に確立動作を行う、請求項1ないし3のいずれかに記載の照明制御装置。
【請求項5】
前記照明スイッチは前記照明が設置される施設の壁に設けられたスイッチである、請求項1ないし4のいずれかに記載の照明制御装置。
【請求項6】
前記バッテリの充電中に点灯する発光ダイオードをさらに備える、請求項1ないし5のいずれかに記載の照明制御装置。
【請求項7】
単相2線式の配電線からの配電電力に基づいて駆動される照明を、照明スイッチの操作状態に応じて点灯/消灯する照明制御装置であって、
前記配電電力に基づいてバッテリを充電する充電手段、および
前記配電電力の供給が停止されたとき、前記バッテリの電力に基づいて前記照明を駆動する駆動手段を備える、
請求項1ないし6のいずれかに記載の照明制御装置。
【請求項8】
前記配電電力に基づく直流電力を取り込む取込み手段、および
前記直流電力を前記照明スイッチの操作状態に応じて前記照明に供給する供給手段をさらに備え、
前記充電手段は、前記照明スイッチの操作状態に関係なく、前記直流電力に基づいて前記バッテリを充電する、請求項7に記載の照明制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、照明制御装置に関し、特に、商用交流電源に基づいて駆動される照明を照明スイッチの操作に応答して点灯/消灯する、照明制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置の一例が、特許文献1に開示されている。この文献によれば、非常灯器具は、非常用点灯ユニットと、常用点灯ユニットと、ランプとを備える。非常用電灯ユニットに設けられたリレーは、常用時にランプを常用点灯ユニットに接続する一方、非常時にランプを絶縁型昇圧回路(非常点灯回路)に接続する。この結果、ランプは、常用時および非常時のいずれにおいても点灯される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の技術では、常用点灯ユニットとは別に非常用点灯ユニットを設ける必要があるため、回路規模が増大するという問題がある。
【0005】
また、現役の建物の中には、昭和の時代に普及していた単相2線式の配線の建物も多い。このような建物に非常灯を後付けしようとしても、非常灯の多くは、現在主流の単相3線式にしか対応していない。この結果、現実的には、昭和の時代の建物に非常灯を後付けすることは困難である。さらに、近頃は、電灯等から発生するノイズが原因で、例えば医療の現場において医療機器が誤動作するという問題も起きている。特に、電線を通じて伝わる伝達ノイズを低減するためには、単相3線式の屋内配線が普及してしまっている以上、機器への線数を減らす以外に手段はない。
【0006】
それゆえに、この発明の主たる目的は、回路規模を抑えつつ、非常時に照明を継続的に点灯させることができる、照明制御装置を提供することである。
【0007】
この発明の他の目的は、日常的に使用する照明を非常時にも点灯させることができる、照明制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る照明制御装置(10:実施例で相当する参照符号。以下同じ)は、商用交流電源(28)と電気的に接続される第1入力端子(T2)、バッテリ(BT1)と電気的に接続される第1出力端子(T3)、バッテリと電気的に接続される第2入力端子(T11)、照明(32)と電気的に接続される第2出力端子(T12)、バッテリと電気的に接続される第3入力端子(T4)、照明と電気的に接続される第3出力端子(T6)、商用交流電源に基づいて第1入力端子と第1出力端子との接続を確立する第1確立手段(12m1, 12f)、照明スイッチ(SW1)の操作態様に応じて第2入力端子と第2出力端子と接続を確立する第2確立手段(14m2, 14f)、および商用交流電源の停止により第3入力端子と第3出力端子との接続を確立する第3確立手段(12m2, 12f)を備え、商用交流電源が稼働している状態では、前記第1入力端子と前記第1出力端子との接続が確立され、前記商用交流電源によって前記バッテリが充電され、前記照明スイッチの操作によって前記第2入力端子と前記第2出力端子との接続が確立されると、前記商用交流電源によって前記照明が点灯され、前記商用交流電源が停止すると、前記第3入力端子と前記第3出力端子との接続が確立され、前記バッテリによって前記照明が点灯される。
【0009】
好ましくは、テストスイッチの操作態様に応じて第3入力端子と第3出力端子との接続を解除する解除スイッチ(SW2)がさらに備えられる。
【0010】
さらに好ましくは、第2確立手段および第3確立手段は第1電磁石(14f)および第2電磁石(12f)をそれぞれ含み、第1電磁石および第2電磁石の各々を構成するコイルの一方端子および他方端子は商用交流電源に基づく直流電源(30)の一方出力端子および他方出力端子と電気的にそれぞれ接続され、照明スイッチは第1電磁石を構成するコイルの一方端子と直流電源の一方出力端子との間に設けられ、解除スイッチは第1電磁石および第2電磁石の各々を構成するコイルの他方端子と直流電源の他方出力端子との間に設けられる。
【0011】
好ましくは、第1確立手段および第3確立手段は共通のリレースイッチ(12)を構成し、商用交流電源の稼働/停止に対して相補的に確立動作を行う。
【0012】
好ましくは、照明スイッチは照明が設置される施設の壁に設けられたスイッチである。
【0013】
好ましくは、バッテリの充電中に点灯する発光ダイオード(L1)がさらに備えられる。
【0014】
好ましくは、単相2線式の配電線(DL1)からの配電電力に基づいて駆動される照明(32)を、照明スイッチ(SW1)の操作状態に応じて点灯/消灯する照明制御装置であって、配電電力に基づいてバッテリ(BT1)を充電する充電手段(T2, T3, 12m1, 12f)、および配電電力の供給が停止されたとき、バッテリの電力に基づいて照明を駆動する駆動手段(T4, T6, 12m2, 12f)を備える。
【0015】
好ましくは、配電電力に基づく直流電圧を取り込む取込み手段(16)、および直流電圧を照明スイッチの操作状態に応じて照明に供給する供給手段(T11, T12, 14m2, 14f)がさらに備えられ、充電手段は、照明スイッチの操作状態に関係なく、直流電圧に基づいてバッテリを充電する。
【発明の効果】
【0016】
商用交流電源が稼働している状態では、第1入力端子と第1出力端子との接続が確立され、商用交流電源によってバッテリが充電される。照明スイッチの操作によって第2入力端子と第2出力端子との接続が確立されると、商用交流電源によって照明が点灯される。商用交流電源が停止すると、第3入力端子と第3出力端子との接続が確立され、バッテリによって照明が点灯される。
【0017】
このように、商用交流電源が稼働している通常時における照明の点灯/消灯と、商用交流電源が停止している非常時における照明の点灯とは、互いに対をなす入力端子および出力端子の接続/非接続を制御することで実現される。これによって、回路規模を抑えつつ、非常時に照明を継続的に点灯させることができる。
【0018】
また、単相2線式の配電線から配電電力が供給されている間は、当該配電電力に基づいて照明が駆動されるとともに、バッテリが充電される。配電電力の供給が停止されると、照明は、バッテリの電力に基づいて駆動される。この結果、単相2線式に対応しつつ、日常的に使用する照明を非常時にも点灯させることができる。
【0019】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】この実施例の照明装置の構成を示す回路図である。
【
図2】
図1に示す照明装置の動作の一例を示す図解図である。
【
図3】
図1に示す照明装置の動作の他の一例を示す図解図である。
【
図4】
図1に示す照明装置の動作のその他の一例を示す図解図である。
【
図5】
図1に示す照明装置の動作のさらにその他の一例を示す図解図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1を参照して、この実施例の照明制御装置10は、リレースイッチ12および14を備える。リレースイッチ12には、入力端子T1,T2,T4およびT5と、出力端子T3およびT6と、鉄片12m1および12m2と、電磁石12fとが設けられる。また、リレースイッチ14には、入力端子T7,T8,T10およびT11と、出力端子T9およびT12と、鉄片14m1および14m2と、電磁石14fとが設けられる。
【0022】
以下では、入力端子T2を“第1入力端子”と定義し、出力端子T3を“第1出力端子”と定義し、入力端子T11を“第2入力端子”と定義し、出力端子T12を“第2出力端子”と定義し、入力端子T4を“第3入力端子”と定義し、出力端子T6を“第3出力端子”と定義する。
【0023】
電磁石12fを構成するコイルに電流が流れない状態では、鉄片12m1は第1出力端子T3を入力端子T1と接続し、鉄片12m2は第3出力端子T6を第3入力端子T4と接続する。電磁石12fを構成するコイルに電流が流れると、鉄片12m1は第1出力端子T3を第1入力端子T2と接続し、鉄片12m2は第3出力端子T6を入力端子T5と接続する。
【0024】
電磁石14fを構成するコイルに電流が流れない状態では、鉄片14m1は出力端子T9を入力端子T7と接続し、鉄片14m2は第2出力端子T12を入力端子T10と接続する。電磁石14fを構成するコイルに電流が流れると、鉄片14m1は出力端子T9を入力端子T8と接続し、鉄片12m2は第2出力端子T12を第2入力端子T11と接続する。
【0025】
入力端子T1,第1入力端子T2,第1出力端子T3および鉄片12m1はスイッチSW11を構成し、第3入力端子T4,入力端子T5,第3出力端子T6および鉄片12m2はスイッチSW13を構成し、入力端子T10,第2入力端子T11,第2出力端子T12および鉄片14m2はスイッチSW12を構成する。また、入力端子T1,T5,T7,T8,T10および出力端子T9は、開放端とされる。
【0026】
商用交流電源28は、単相2線式の配電線DL1により交流電力を配電する電源であり、配電電力は、基準電位面と接続されたマイナス出力端子を有するAC/DCコンバータ(直流電源)30によって、直流電力に変換される。第1入力端子T2は、コネクタ16を介してAC/DCコンバータ30のプラス出力端子と接続される。第1出力端子T3は、ダイオードD3のアノードと直接的に接続され、ダイオードD3のカソードは、第2入力端子T11および第3入力端子T4の各々と直接的に接続される。第1出力端子T3はまた、抵抗器R1を介して発光ダイオードL1のアノードと接続される。
【0027】
発光ダイオードL1のカソードは、コネクタ16を介して基準電位面と接続され、コネクタ26を介してバッテリBT1のマイナス電極と接続される。ダイオードD3のカソードは、抵抗器R2の一方端子と接続され、抵抗器R2の他方端子は、抵抗器R3の一方端子およびダイオードD4のカソードの各々と接続される。抵抗器R3の他方端子およびダイオードD4のアノードの各々は、コネクタ26を介してバッテリBT1のプラス電極と接続される。
【0028】
第2出力端子T12および第3出力端子T6の各々は、抵抗器R4およびコネクタ22を介して、照明32を構成する発光ダイオードL11,L21,L31,L41,L51およびL61のアノードと接続される。また、発光ダイオードL1のカソードは、コネクタ24を介して発光ダイオードL13,L23,L33,L43,L53およびL63のカソードと接続される。
【0029】
発光ダイオードL12のアノードは発光ダイオードL11のカソードと接続され、発光ダイオードL12のカソードは発光ダイオードL13のアノードと接続される。発光ダイオードL22のアノードは発光ダイオードL21のカソードと接続され、発光ダイオードL22のカソードは発光ダイオードL23のアノードと接続される。
【0030】
発光ダイオードL32のアノードは発光ダイオードL31のカソードと接続され、発光ダイオードL32のカソードは発光ダイオードL33のアノードと接続される。発光ダイオードL42のアノードは発光ダイオードL41のカソードと接続され、発光ダイオードL42のカソードは発光ダイオードL43のアノードと接続される。
【0031】
発光ダイオードL52のアノードは発光ダイオードL51のカソードと接続され、発光ダイオードL52のカソードは発光ダイオードL53のアノードと接続される。発光ダイオードL62のアノードは発光ダイオードL61のカソードと接続され、発光ダイオードL62のカソードは発光ダイオードL63のアノードと接続される。
【0032】
AC/DCコンバータ30のプラス出力端子は、コネクタ20を介して、電磁石12fを構成するコイルの一方端子と接続される。AC/DCコンバータ30のプラス出力端子はまた、照明スイッチSW1およびコネクタ18を介して、電磁石14fを構成するコイルの一方端子と接続される。
【0033】
電磁石12fを構成するコイルの他方端子はダイオードD1のアノードと接続され、電磁石14fを構成するコイルの他方端子はダイオードD2のアノードと接続される。ダイオードD1およびD2の各々のカソードは、解除スイッチSW2およびコネクタ20を介して、AC/DCコンバータ30のマイナス出力端子と接続される。
【0034】
ここで、照明スイッチSW1は、照明32が設置される施設(例えば、病院)の壁に設けられたスイッチであり、施設の関係者によってオン/オフ操作される。一方、解除スイッチSW2は、商用交流電源28を疑似的に停止させるためのスイッチであり、施工業者によるテストスイッチ(図示せず)のオン/オフ操作に連動してオフ/オンされる。つまり、解除スイッチSW2は、テストスイッチのオン操作に応答してオフされ、テストスイッチのオフ操作に応答してオンされる。
【0035】
図2を参照して、照明スイッチSW1がオフされかつ解除スイッチSW2がオン(テストスイッチがオフ)されている状態では、電磁石12fおよび14fのうち電磁石12fのみが磁化される。この結果、第1入力端子T2と第1出力端子T3とが鉄片12m1によって接続され、入力端子T10と第2出力端子T12とが鉄片14m2によって接続される。
【0036】
AC/DCコンバータ30のプラス出力端子から出力された電流は、ダイオードD3,抵抗器R2およびR3を介してバッテリBT1に供給され、その後に基準電位面に流れ込む。この結果、バッテリBT1が充電される。AC/DCコンバータ30のプラス出力端子から出力された電流はまた、抵抗器R1を介して発光ダイオードL1に供給され、その後に基準電位面に流れ込む。バッテリBT1が充電中であることは、発光ダイオードL1の点灯によって報知される。
【0037】
この状態で照明スイッチSW1がオンされると、電磁石14fが磁化され、第2出力端子T12の接続先が第2入力端子T11に切り替えられる(
図3参照)。ダイオードD3のカソードから出力された電流は、鉄片14m2,抵抗器R4およびコネクタ22を経て照明32に供給され、その後にコネクタ24を経て基準電位面に流れ込む。この結果、照明32が点灯する。
【0038】
このように、商用交流電源28が稼働している状態では、バッテリBT1は、照明スイッチSW1のオン/オフ操作に関係なく充電され、照明32は、照明スイッチSW1のオン/オフ操作に応じて点灯/消灯される。
【0039】
図4を参照して、照明スイッチSW1がオフされかつ解除スイッチSW2がオフ(テストスイッチがオン)されている状態では、電磁石12fおよび14fのいずれも磁化されない。この結果、入力端子T10および第2出力端子T12が鉄片14m2によって接続され、第3入力端子T4および第3出力端子T6が鉄片12m2によって接続される。
【0040】
バッテリBT1は放電可能状態となり、バッテリBT1から放電された電流は、ダイオードD4および抵抗器R2を経て鉄片12m2を流れ、抵抗器R4およびコネクタ22を経て照明32に供給される。照明32を経た電流はその後、コネクタ24を経てバッテリBT1に戻る。この結果、照明32が点灯する。
【0041】
この状態で照明スイッチSW1がオンされても、電磁石14fが磁化されることはなく、第2出力端子T12は継続的に入力端子T10と接続される(
図5参照)。照明32は、鉄片12m2を流れた電流によって継続的に点灯する。
【0042】
なお、バッテリBT1から放電された電流の発光ダイオードL1への供給は、ダイオードD3によって阻止される。したがって、バッテリBT1の放電中には、発光ダイオードL1は消灯する。
【0043】
以上の説明から分かるように、第1入力端子T2は商用交流電源28と電気的に接続され、第1出力端子T3はバッテリBT1と電気的に接続される。また、第2入力端子T11はバッテリBT1と電気的に接続され、第2出力端子T12は照明32と電気的に接続される。さらに、第3入力端子T4はバッテリBT1と電気的に接続され、第3出力端子T6は照明32と電気的に接続される。
【0044】
ここで、鉄片12m1は、商用交流電源28に基づいて第1入力端子T2と第1出力端子T3との接続を確立する。また、鉄片14m2は、照明スイッチSW1の操作態様に応じて第2入力端子T11と第2出力端子T12と接続を確立する。さらに、鉄片12m2は、商用交流電源28の停止により第3入力端子T4と第3出力端子T6との接続を確立する。
【0045】
特に、電磁石14fおよび12fは鉄片14m2および12m2をそれぞれ変位させるところ、電磁石14fおよび12fの各々を構成するコイルの一方端子および他方端子は、AC/DCコンバータ30のプラス出力端子およびマイナス出力端子と電気的にそれぞれ接続される。ただし、電磁石14fを構成するコイルの一方端子とプラス出力端子との間には照明スイッチSW1が設けられ、電磁石14fおよび12fの各々を構成するコイルの他方端子とマイナス出力端子との間には解除スイッチSW2設けられる。
【0046】
したがって、商用交流電源28が稼働している状態では、第1入力端子T2と第1出力端子T3との接続が確立され、商用交流電源28によってバッテリBT1が充電される。照明スイッチSW1の操作によって第2入力端子T11と第2出力端子T12との接続が確立されると、商用交流電源28によって照明32が点灯される。商用交流電源28が停止すると、第3入力端子T4と第3出力端子T6との接続が確立され、バッテリBT1によって照明32が点灯される。
【0047】
このように、商用交流電源28が稼働している通常時における照明32の点灯/消灯と、商用交流電源28が停止している非常時における照明32の点灯とは、互いに対をなす入力端子および出力端子の接続/非接続を制御することで実現される。これによって、回路規模を抑えつつ、非常時に照明32を継続的に点灯させることができる。
【0048】
また、鉄片12m1,12m2および電磁石12fは共通のリレースイッチ12を構成し、第1入力端子T2と第1出力端子T3との接続を確立する動作と、第3入力端子T4と第3出力端子T6との接続を確立する動作とは、商用交流電源28の稼働/停止に対して相補的に実行される。これによって、回路規模のさらなる抑制が図られる。
【0049】
この実施例の照明制御装置10を別の視点から眺めると、照明32は、単相2線式の配電線DL1からの配電電力に基づいて駆動され、照明スイッチSW1の操作状態に応じて点灯/消灯される。また、バッテリBT1は、リレースイッチ12を構成する第1入力端子T2と第1出力端子T3とが鉄片12m1により接続されることで、当該配電電力に基づいて充電される。さらに、配電電力の供給が停止されると、第3入力端子T4と第3出力端子T6とが鉄片12m2により接続され、バッテリBT1に基づいて照明32が駆動される。
【0050】
即ち、この実施例によれば、単相2線式の配電線DL1から配電電力が供給されている間は、当該配電電力に基づいて照明32が駆動されるとともに、バッテリBT1が充電される。配電電力の供給が停止されると、照明32はバッテリBT1の電力に基づいて駆動される。この結果、単相2線式に対応しつつ、日常的に使用する照明を非常時にも点灯させることができる。
【0051】
また、配電電力に基づく直流電力は、コネクタ16によって取り込まれる。第2入力端子T11および第2出力端子T12は、照明スイッチSW1がオン状態のときに鉄片14m2により接続され、当該直流電力は、第2入力端子T11および第2出力端子T12を経て照明32に供給される。ただし、バッテリBT1は、照明スイッチSW1のオン/オフに関係なく、当該直流電力に基づいてバッテリBT1を充電する。これによって、配電電力が供給されている限り、バッテリBT1を常に満充電状態とすることができる。
【0052】
現役の建物の中には、昭和の時代に普及していた単相2線式の配線の建物も多いため、そのような建物に非常灯を後付けしようとしても、非常灯の多くは、現在主流の単相3線式にしか対応していない。この結果、現実的には、昭和の時代の建物に非常灯を後付けすることは困難である。さらに、近頃は、電灯等から発生するノイズが原因で、例えば医療の現場において医療機器が誤動作するという問題も起きている。特に、電線を通じて伝わる伝達ノイズを低減するためには、単相3線式の屋内配線が普及してしまっている以上、機器への線数を減らす以外に手段はない。
【0053】
しかし、この実施例の照明制御装置10では、単相2線式に対応するため、昭和の時代に普及していた単相2線式の配線の建物にも当該照明制御装置10を後付けで設置することができる。また、電線を通じて伝わる伝達ノイズが原因で発生する例えば医療の現場における医療機器の誤動作の問題も、単相2線式に元々対応しているこの実施例の照明制御装置10であれば、容易にクリアすることができる。
【0054】
なお、上述の実施例では、無機発光ダイオードを発光させることを想定している。しかし、この発明の照明制御装置は、有機発光ダイオードの発光にも適用することができる。
【符号の説明】
【0055】
10 …照明制御装置
12,14 …リレースイッチ
12m1,12m2,14m1,14m2 …鉄片
12f,14f …電磁石
28 …商用交流電源
30 …AC/DCコンバータ
T1,T2,T4,T5,T7,T8,T10,T11 …入力端子
T3,T6,T9,T12 …出力端子
BT1 …バッテリ
L1,L11~L63 …発光ダイオード
SW1 …照明スイッチ
SW2 …解除スイッチ