(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-14
(45)【発行日】2023-08-22
(54)【発明の名称】ボードゲーム用具セット
(51)【国際特許分類】
A63F 3/00 20060101AFI20230815BHJP
【FI】
A63F3/00 504B
A63F3/00 511J
A63F3/00 511F
(21)【出願番号】P 2019197442
(22)【出願日】2019-10-30
【審査請求日】2022-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】507380621
【氏名又は名称】株式会社モントミ
(74)【代理人】
【識別番号】100189865
【氏名又は名称】下田 正寛
(74)【代理人】
【識別番号】100094215
【氏名又は名称】安倍 逸郎
(72)【発明者】
【氏名】門司 昭英
【審査官】森田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】実開昭51-071780(JP,U)
【文献】登録実用新案第3182357(JP,U)
【文献】実開昭59-024084(JP,U)
【文献】実公昭47-009058(JP,Y1)
【文献】実開昭53-114391(JP,U)
【文献】実開昭63-180095(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同じ長さの複数の辺とこれらの辺が交わる複数の交点とを有する多角形を1の網目とし、複数の網目がそれらの辺同士を共有した網目フレームが上面に形成されたゲーム盤と、
この網目フレームの各交点に着脱自在にセットされる、その表面には整数が表された複数のコマと、
上記網目フレームにおける1の網目または隣り合う複数の網目とは同じ大きさ、形状で形成されたシート状のガイドプレートとを備え、
このガイドプレートを上記網目フレーム上に載置し、このガイドプレートで指定された網目についてその交点に上記コマを配置することにより、1の網目のコマの合計数を演算するか、隣り合う網目における各網目でそのコマの合計数の合計を同数とする網目算ゲームを実施可能とした網目算用ゲーム用具セット。
【請求項2】
上記網目は正方形で、網目フレームも正方形で形成されるとともに、上記複数のコマには1から連続する異なる整数が表されている請求項1に記載の網目算用ゲーム用具セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は新規に創作したボードゲームについて使用するボードゲーム用具セット、詳しくは1枚の(1台の)ゲーム盤と、複数の数字コマと、ゲーム盤上にセットする複数のガイドプレートとを有するボードゲーム用具セットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の数字を用いた計算ゲームとしては、例えば特許文献1に記載されたものが提案されている。このものは、縦横に5×5のマス目を盤上に表示し、このマス目内に数字コマを投入し、神経衰弱(カードゲーム)のようにコマを裏返してその合計数が10になると、そのコマをもらえるとした複数プレーヤによる対戦ゲームである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に示される計算ゲームは、ゲームそのものが比較的簡単な「はさみ将棋」に数字コマを使用したものであり、そのゲーム具としては、盤上に格子状のマス目を表示し、数字コマは1から10の数字を片面に表示してあるのみであった。すなわち、計算ゲーム具としてはきわめて単純であり、そのゲーム具についても特に工夫はなされていなかった。つまり、複数人でプレーするが、そのルールが単純であって、年長の児童にとってもおもしろみに欠けるものであった。
【0005】
そこで、本発明は、1枚の盤と、複数の数字コマとを用いるとともに、複数種のガイドプレートを使用することにより、複数種類の計算ゲームが行えるように構成され、ビギナーからベテランまで、年齢を問わず適応することができ、1人でも楽しめる計算ゲームのためのボードゲーム用具を提供することを目的とする。なお、この計算ゲームの基礎として網目という概念を発明者が案出し、この網目を用いた計算ゲームを「網目算」としてネーミングすることとした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、複数の辺とこれらの辺が交わる複数の交点とを有する正多角形を1の網目とし、複数の網目がそれらの辺同士を共有して連結される網目フレームが、その上面に形成されたゲーム盤と、この網目フレームでの各交点に着脱自在にセットされる、その表面には整数が表された複数のコマと、上記網目フレームにおける1の網目または隣り合う複数の網目とは同じ大きさ、形状で形成されたシート状のガイドプレートとを備え、このガイドプレートを上記網目フレーム上に載置し、このガイドプレートで指定された網目についてその交点に上記コマを配置することにより、1の網目のコマの合計数を演算するか、隣り合う網目における各網目でそのコマの合計数の合計を同数とする網目算ゲームを実施可能とした網目算用ゲーム用具セットである。
【0007】
この発明に係る網目算とは、思考することを目的に考案、創作されたもので、特に加算を行うことを基本とし、かつ使用する網目を複数種のガイドプレートにて示すことで、多くの計算ゲーム(算数パズルとも言う)をプレーヤ自らも案出することができる。網目とは正多角形の1単位、すなわち正三角形、正方形、正5角形、正6角形などのことを言い、複数の連続する同一の網目により網目フレームが構成される。縦横同数の正方形の網目を用いた場合は、全体としての網目フレームは、将棋盤、碁盤のような縦線、横線で複数個の網目が形成されていることとなる。網目フレームは、ゲーム盤の通常は平坦な上面に形成、表示されている。
ガイドプレートは、計算ゲームに使用する網目の数やその連結関係(網目の配置)を示すもので、例えば長方形の透明なプラスチック板で構成することもできる。各種のガイドプレートを使用することで、複雑な計算を要する場合から単純な1の網目を使用するものまで、多種多様な計算ゲームを創作・制御することができる。
さらに、使用する複数のコマの表面には連続する整数、例えば1~36までの数字を表示することで、網目算のおもしろさを提供することとなる。なお、数字は連続しない場合、0を含む場合など多様なバリエーションを採用することもできる。
この網目算ゲームに使用するボード、すなわちゲーム盤においては平坦な上面を有することが望ましく、上面に網目フレームが形成、表示されている。正方形の網目であれば盤も4角形、正6角形の網目であればハニカム形状の網目フレームが搭載または表示できる6角形のゲーム盤が好適な形態となる。このゲーム盤は木製、紙製、ゴム製、プラスチック製などが考えられるが、網目の辺が交わる交点(結び目)にコマを挿入・固定できる凹所(凹み)を形成することが好ましい。
【0008】
請求項2に記載の発明は、上記網目は正方形で、網目フレームも正方形で形成されるとともに、上記複数のコマには1から連続する異なる整数が表されている請求項1に記載の網目算用ゲーム用具セットである。
正方形の網目フレームを用い、任意のガイドフレームを網目フレーム上に載置することで、1または複数の網目を用いた計算ゲームを構成することができる。ガイドフレームで指定された1または隣り合う複数の網目において数字コマをその交点(辺と辺との結び目)にセットする。この場合、1の網目を使用するゲームでは、その4隅の交点に配置する数字の合計を、例えば偶数とする、合計値が10とするなどの手法である。また、隣り合う2つの網目を使用するゲームでは、両方の網目における各合計数が、同じ数となるよう、コマをセットすることが課題となる。
また、盤面に形成した例えば6本の縦線と6本の横線からなる方眼紙のような網目フレームを形成したとき、その縦横線の交点(結び目)に、浅い凹所(四角形、円形など)を形成し、この凹所に四角形または円形のコマをはめ込む構成とすることもできる。さらに、盤面はフラットであるが導電性金属板を内蔵させ、コマに磁石を埋め込むことで、コマを吸着自在とすることも考えられる。盤が振動してもコマが移動することがない。
網目を2つ使用するガイドプレートとしては、縦に2つ、横に二つ、斜めに二つの場合がある。網目を4つ使用する場合は、ガイドプレートは、縦横2×2の正方形の場合、直線状の場合などもある。
そして、これらのガイドプレートに対して、各網目(升目とも)の交点合計数を同じとするゲームや、合計数が倍となるゲームなども考えられる。
【発明の効果】
【0009】
請求項1、2に記載の発明は、数字のコマを用いた、組み合わせに基づく算数パズルや計算ゲームを大量に案出することが可能である。そして、これらのゲームまたはパズルにおいて、簡単なものから複雑なものまで自在に案出することができる。これらのゲームにおいては数字コマの構成を例えば連続整数とする場合や、偶数の整数のみとする場合、奇数のみとする場合、ゼロや負数を含ませる場合、同じ数字のコマを複数個使用する場合など多様な構成が可能である。また、交点にコマをセットするゲームの他にも網目に(辺で囲まれたエリアに)数字コマをセットする計算ゲームをも考案することもできる。網目をどの正多角形で構成するか、網目フレームをどのような形状とするか、そのサイズ、ガイドフレームをどのような形状、大きさとするか、どのようなコマを使用するか、合計数のゲームか、複数網目にて合計数が同数か2倍かなど極めて多様な計算ゲームを案出し、プレイすることが可能となる。これは創造力、想像力、計算能力などの発展に寄与することができる。
請求項2に記載の発明によれば、正方形を使用した網目フレームバージョンであっても、どのようなガイドプレートを創作、使用するかにより、複雑な計算ゲームを案出し、プレイする(楽しむ)ことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施例に係る網目算ゲーム用のゲーム盤を示す平面図である。
【
図2】本発明の一実施例に係るコマの斜視図である。
【
図3】本発明の一実施例に係る全てのコマを示す平面図である。
【
図4】本発明の一実施例に係る各種のガイドプレート(a)~(e)を示す平面図である。
【
図5】本発明の一実施例に係るゲーム基盤にガイドプレートおよびコマを装着した平面図(a),(b)である。
【
図6】本発明の一実施例に係る網目の構成を説明する平面図である。
【
図7】本発明の一実施例に係る計算ゲームの遊び方を説明するための平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面に基づいて本発明の一実施例を説明する。
図1~
図7は、本発明の一実施例であるボードゲーム用具およびその使用方法を説明するものである。なお、この実施例では、正方形の網目と、縦5,横5のマトリックスで計25の正方形網目を用いた全体が正方形の網目フレームについて説明する。
【実施例】
【0012】
図1~
図7において、本発明の一実施例に係るゲーム用具は、1枚のゲーム盤11と、ゲーム盤11上に表される網目フレーム12と、網目フレーム12の網目21の全交点(結び目)22の数と同数の連続整数が表示されたコマ13とを有している。
この網目フレーム12は、その1の網目21は正方形で構成され、縦方向に5個の網目が並びかつ横方向に5個の網目が並んで全体として25個の網目21で形成されている。この場合、網目フレーム12は6本の縦方向の溝と6本の横溝とで方眼が形成されている。縦溝と横溝との交点(結び目)22は合計36個となる。これらの交点22に載置可能な36個のコマ13の表面(一面)には、1から始まる連続整数がそれぞれ表示されている。各コマ13の形状、大きさは同じであって、所定のサイズの直方体で、上記各交点22に形成した正方形の凹所23に嵌合するようにその上面は例えば矩形とする。
そして、これらの数字付きコマ13を使用して計算ゲームを行う場合、このゲームに使用する網目21を指定するガイドプレート14を使用することとなる。
すなわち、この実施例におけるゲーム用具は、正方形板材であり上面に縦横の溝と、これらの溝の交点に矩形の凹所が形成されているゲーム盤11と、ゲーム盤11の上に形成された網目フレーム12中の特定の網目21を指定する複数のガイドプレート14(
図4)と、上記凹所に挿入するチップ状の数字コマ13とから構成されている。
【0013】
これらの用具を使用した計算ゲームの遊び方は、以下の通りである。
まず、1つのガイドプレート14を選択する。例えば
図4の(d)に示す互いに隣り合う縦横2×2の網目を選択するためのガイドプレート14とする。このガイドプレート14をゲーム盤11上面の所定の位置に載置する。その結果、今回のゲームで使用する4個の網目21が特定される。そして、ガイドプレート14で指定された網目21における各交点22は凹所がブランク(空)となっている。
そこで、この計算ゲームの要点は、4つの網目21,21,21,21の合計数が全て同数となるように各コマ13を凹所に挿入・セットすることができるか否かである。できればゲームクリアとなる。クリアまでの時間を測定してもよい。解答は複数あることが考えられるが、数字コマとして
図3に示す1~36までを使用する条件が課されている。
【0014】
以上がゲームの一例である。この他にも簡単なゲームから複雑なゲームまでこのゲーム用具、すなわちゲーム盤11、ガイドプレート14、コマ13を使用して行うことができる。どのようなゲームを選択するかは、プレイヤの創意による。
なお、
図5(a),(b)はゲーム盤11にコマ13を装着・セットした状態を示す。
図7は上記4つの隣り合う網目21を使用した場合のコマの装着例(各網目の合計数は22となる)を示す。
【0015】
ここに、網目算とは、網目を使って計算する方法とする。例えば網目の中に1の数字コマを入れ(1網目に1つのコマ)、この数字を複数の網目について加算する方法を含む(格子)。または、各網目の4隅(交点)に数字コマを配置し、この網目においてコマが表す数字を用いて加算することにより左右隣り合う網目同士の数字の合計値を同数とする遊び方などである。
網目算ゲームとは、上述のように、網目、数字コマを使用した計算ゲームである。
さらに、ゲーム盤でゲームを実施する場合、格子と網目とにわかれ、網目の中に数字を配置することを「格子」という。網目の4隅に数字を配置することを「網目」とする。
これらの考え方を踏まえて指定された数字を使って「隣り合う4個の数字の和」がすべて同数になるように網目に数字を入れ替えてできる数字の同数の合計数のことをアミスコアとする。すなわち、アミスコアとは、網目(升目)の「隣り合う4個の数字の和」(縦・横・斜め)が全て同じ数になるように升目の数字を入れ替えてできる数字の合計数のことである。
【0016】
次に、他の実施例として、正6角形を用いた網目、この網目による網目フレームも考えられる。正6角形が連続して連結された網目フレームにおいてその辺同士の交点である多数の交点に数字コマを配置することにより、網目算が可能となる。ゲーム盤には、ハニカム形状の網目フレームが表示される。数字コマは上述の実施例の場合と同様に連続整数を使用することができる。ガイドプレートは2つの網目、3つの網目、4つの網目などについてそれぞれ対応した形状大きさとする。
なお、上記各実施例においてコマを着色すること、ガイドプレートを半透明とすることなどは、そのゲームにさらなる装飾を施す意味で活用可能とする。
なお、上述した網目算ゲームについては電子ゲーム化することもできる。この場合は、例えば電子的に網目フレームをディスプレイに表示する手段、これにガイドプレートを設置する手段、網目(交点)に数字をセットする手段などで構成することができる。
【符号の説明】
【0017】
11 ゲーム盤、
12 網目フレーム、
13 コマ、
14 ガイドプレート、
21 網目、
22 交点。