(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-14
(45)【発行日】2023-08-22
(54)【発明の名称】自動取引装置、予防書換え方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
G06K 7/08 20060101AFI20230815BHJP
G07D 11/235 20190101ALI20230815BHJP
G07D 11/26 20190101ALI20230815BHJP
G06K 7/00 20060101ALI20230815BHJP
G11B 5/09 20060101ALI20230815BHJP
G11B 5/02 20060101ALI20230815BHJP
G11B 20/18 20060101ALI20230815BHJP
【FI】
G06K7/08 040
G07D11/235
G07D11/26
G06K7/00 095
G11B5/09 361
G11B5/09 361G
G11B5/02 Z
G11B20/18 512B
G11B20/18 522B
G11B20/18 550A
G11B20/18 552E
G11B20/18 572B
G11B20/18 572H
(21)【出願番号】P 2020025374
(22)【出願日】2020-02-18
【審査請求日】2022-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000237639
【氏名又は名称】富士通フロンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【氏名又は名称】大菅 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【氏名又は名称】天田 昌行
(72)【発明者】
【氏名】千葉 雅士
【審査官】田名網 忠雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-160366(JP,A)
【文献】特開2005-165916(JP,A)
【文献】特開2013-037592(JP,A)
【文献】特開2015-049638(JP,A)
【文献】特開2015-173375(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/08
G07D 11/00
G06K 7/00
G11B 5/09
G11B 5/02
G11B 20/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードの磁気ストライプの情報の読取り及び書込みを磁気ヘッドにより行う磁気カード装置を有する自動取引装置において、
前記磁気ヘッドで読取られた磁気出力の時間変動を示すジッタを評価するジッタ評価部と、
前記読取られた磁気出力のレベルを評価する磁気出力評価部と、
前記ジッタ評価部によるジッタの評価と前記磁気出力評価部による磁気出力のレベルの評価に基づいて、読取った磁気ストライプの情報を前記磁気ストライプに再書き込みするか否かを、複数のパターンに分けて判断する書込み判断部を備え、
前記磁気ヘッドは、前記書込み判断部により判断された前記パターンに基づいて前記磁気ストライプに磁気ストライプの情報を書込む、または書き込まずカード返却を行
う自動取引装置
であって、
前記パターンは前記ジッタの評価と前記磁気出力のレベルの評価とを含む、予防書込みの要否の決定に使用される項目の組み合わせであり、
前記書込み判断部は、前記磁気ストライプに再書き込みするか否かの判断を、複数回行い、
前記磁気ヘッドは、前記書込み判断部により判断された複数のパターンのうち読み取り結果と判断されるべき優先度が最も高いパターンに基づいて、前記磁気ストライプに磁気ストライプの情報を書込む、または書き込まずカード返却を行う
ことを特徴とする自動取引装置。
【請求項2】
請求項
1に記載の自動取引装置であって、
前記磁気ヘッドは、前記書込み判断部により複数回同一のパターンであると判断されたパターンを
、前記優先度
が最も高いパターンであると判断して前記
磁気ストライプに磁気ストライプの情報を書込む、または書き込まずカード返却を行う
ことを特徴とする自動取引装置。
【請求項3】
請求項
2に記載の自動取引装置であって、
前記書込み判断部は、前記磁気出力のレベルが所定以下であることを第1条件とし、前記ジッタが所定以下であることを第2条件として、少なくとも前記第1条件と前記第2条件が成立した場合に第4のパターンであると判断し、
前記磁気ヘッドは、前記第4のパターンであると判断された場合には、前記書込み判断部により複数回同一のパターンであると判断された場合に、前記第4のパターンと判断された磁気ストライプの情報を前記優先度
が最も高いパターンであると判断して磁気ストライプに書込む、または書き込まずカード返却を行う
ことを特徴とする自動取引装置。
【請求項4】
請求項
2に記載の自動取引装置であって、
前記書込み判断部は、前記磁気出力のレベルが読取限界値以下である場合に、第2のパターンであると判断し、
前記磁気ヘッドは、前記第2のパターンであると判断された場合には、前記書込み判断部により複数回同一のパターンであると判断された場合に、前記第2のパターンと判断された磁気ストライプの情報を前記優先度
が最も高いパターンであると判断して磁気ストライプに書込む、または書き込まずカード返却を行う
ことを特徴とする自動取引装置。
【請求項5】
請求項
3に記載の自動取引装置であって、
前記書込み判断部は、前記磁気出力のレベルのピーク値が所定レベル以下になるパルス数が連続して所定数以上であることを第3条件として、前記第1条件と前記第2条件と共に前記第3条件が成立した場合に、第3のパターンであると判断して、
前記磁気ヘッドは、前記第3のパターンであると判断された場合には、前記書込み判断部により複数回同一のパターンであると判断された場合に、前記第3のパターンと判断された磁気ストライプの情報を前記優先度
が最も高いパターンであると判断して磁気ストライプに書込む、または書き込まずカード返却を行う
ことを特徴とする自動取引装置。
【請求項6】
請求項
5に記載の自動取引装置であって、
前記書込み判断部は、前記磁気出力のレベルの変動が所定以上の箇所で、前記ジッタが所定以下であることを第4条件とし、前記第1条件と前記第2条件と前記第3条件に加えて、さらに前記第4条件が成立した場合に、第5のパターンであると判断して、
前記磁気ヘッドは、前記第5のパターンであると判断された場合には、前記書込み判断部により複数回同一のパターンであると判断された場合に、前記第5のパターンと判断された磁気ストライプの情報を前記優先度
が最も高いパターンであると判断して磁気ストライプに書込む、または書き込まずカード返却を行う
ことを特徴とする自動取引装置。
【請求項7】
請求項
3から6のうちいずれかに記載の自動取引装置であって、前記複数回同一のパターンであると判断された場合に読み取られた磁気ストライプの情報が同一である場合に、前記磁気ヘッドは、前記同一のパターンと判断された磁気ストライプの情報を前記優先度
が最も高いパターンであると判断して磁気ストライプに書込む、または書き込まずカード返却を行う
ことを特徴とする自動取引装置。
【請求項8】
カードの磁気ストライプの情報の読取り及び書込みを磁気ヘッドにより行う磁気カード装置を有する自動取引装置の予防書換え方法において、
前記磁気ヘッドで読取られた磁気出力の時間変動を示すジッタを評価し、
前記読取られた磁気出力のレベルを評価し、
前記ジッタの評価と前記磁気出力のレベルの評価に基づいて、読取った磁気ストライプの情報を前記磁気ストライプに再書き込みするか否かを、複数のパターンに分けて判断し、
前記判断された前記パターンに基づいて前記磁気ストライプに磁気ストライプの情報を書込む、または書き込まずカード返却を行
う自動取引装置の予防書換え方法
であって、
前記パターンは前記ジッタの評価と前記磁気出力のレベルの評価とを含む、予防書込みの要否の決定に使用される項目の組み合わせであり
前記磁気ストライプに再書き込みするか否かの判断は、複数回行われ
前記判断された複数のパターンのうち読み取り結果と判断されるべき優先度が最も高いパターンに基づいて前記磁気ストライプに磁気ストライプの情報を書込む、または書き込まずカード返却を行う
ことを特徴とする自動取引装置の予防書換え方法。
【請求項9】
カードの磁気ストライプの情報の読取り及び書込みを磁気ヘッドにより行う磁気カード装置を有する自動取引装置のコンピュータに実行させるプログラムにおいて、
前記磁気ヘッドで読取られた磁気出力の時間変動を示すジッタを評価し、
前記読取られた磁気出力のレベルを評価し、
前記ジッタの評価と前記磁気出力のレベルの評価に基づいて、読取った磁気ストライプの情報を前記磁気ストライプに再書き込みするか否かを、複数のパターンに分けて判断し、
前記判断された前記パターンに基づいて前記磁気ストライプに磁気ストライプの情報を書込む、または書き込まずカード返却を行
うプログラム
であって、
前記パターンは前記ジッタの評価と前記磁気出力のレベルの評価とを含む、予防書込みの要否の決定に使用される項目の組み合わせであり
前記磁気ストライプに再書き込みするか否かの判断は、複数回行われ、
前記判断された複数のパターンのうち読み取り結果と判断されるべき優先度が最も高いパターンに基づいて前記磁気ストライプに磁気ストライプの情報を書込む、または書き込まずカード返却を行う
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動取引装置、予防書換え方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
市場に流通している磁気カードや通帳等は、外部磁石への接近/接触により磁気ストライプの磁気が減衰してしまい、磁気カード装置での読み取りがエラーとなることがある。特に最近は身の回りのスマートフォン/タブレット等の電子機器やそのケース類に磁石を内蔵した製品が多数流通しており、磁気減衰(破壊)のリスクが増大している。具体例として、自動取引装置(ATM)等で磁気減衰されたカードが取引不可となり、金融機関の支店等でクレームに発展するケースも散見されている。
【0003】
その対策の一つとして、出力が減衰した磁気ストライプに、この磁気ストライプから読取ったデータを再書き込みして磁気出力を復活させる技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、磁気の減衰したカードは読み取りが不安定になっていることが多いため、データを誤って読み取るリスクが存在する。再書き込み時には、読取ったデータに基づくデータを磁気ストライプに記録するので、読取ったデータが誤っている場合には、誤ったデータが記録されてしまう。このカードを使用すると、エラー判定されてしまう。また、変形や傷、シール貼り付けなどカード自体の物理的な状態が悪いことで出力が減衰している場合は、カードに再書き込みを行っても、正常な記録ができない可能性も高い。
【0006】
このように、磁気出力の減衰が大きい場合に、カードに一律に再書き込みを行っても、磁気出力を正常なレベルに復活できるとは限らない。一方で、磁気の減衰したカードを一律に銀行の窓口などで復旧すると、窓口業務の負担が増大し、銀行業務に支障が出るおそれもある。
【0007】
本願発明は、上記課題に鑑み、磁気出力の減衰した磁気ストライプの再書き込みを有効に行うことにより、窓口業務の負担を軽減することができる自動取引装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、カードの磁気ストライプの情報の読取り及び書込みを磁気ヘッドにより行う磁気カード装置を有する自動取引装置において、前記磁気ヘッドで読取られた磁気出力の時間変動を示すジッタを評価するジッタ評価部と、前記読取られた磁気出力のレベルを評価する磁気出力評価部と、前記ジッタ評価部によるジッタの評価と前記磁気出力評価部による磁気出力のレベルの評価に基づいて、読取った磁気ストライプの情報を前記磁気ストライプに再書き込みするか否かを、複数のパターンに分けて判断する書込み判断部を備え、前記磁気ヘッドは、前記書込み判断部により判断された前記パターンに基づいて前記磁気ストライプに磁気ストライプの情報を書込む、または書き込まずカード返却を行い、前記パターンは前記ジッタの評価と前記磁気出力のレベルの評価とを含む、予防書込みの要否の決定に使用される項目の組み合わせであり、前記書込み判断部は、前記磁気ストライプに再書き込みするか否かの判断を、複数回行い、前記磁気ヘッドは、前記書込み判断部により判断された複数のパターンのうち読み取り結果と判断されるべき優先度が最も高いパターンに基づいて、前記磁気ストライプに磁気ストライプの情報を書込む、または書き込まずカード返却を行うことを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、カードの磁気ストライプの情報の読取り及び書込みを磁気ヘッドにより行う磁気カード装置を有する自動取引装置の予防書換え方法において、前記磁気ヘッドで読取られた磁気出力の時間変動を示すジッタを評価し、前記読取られた磁気出力のレベルを評価し、前記ジッタの評価と前記磁気出力のレベルの評価に基づいて、読取った磁気ストライプの情報を前記磁気ストライプに再書き込みするか否かを、複数のパターンに分けて判断し、前記判断された前記パターンに基づいて前記磁気ストライプに磁気ストライプの情報を書込む、または書き込まずカード返却を行い、前記パターンは前記ジッタの評価と前記磁気出力のレベルの評価とを含む、予防書込みの要否の決定に使用される項目の組み合わせであり前記磁気ストライプに再書き込みするか否かの判断は、複数回行われ前記判断された複数のパターンのうち読み取り結果と判断されるべき優先度が最も高いパターンに基づいて前記磁気ストライプに磁気ストライプの情報を書込む、または書き込まずカード返却を行うことを特徴とする自動取引装置の予防書換え方法。
【0010】
また、本発明は、カードの磁気ストライプの情報の読取り及び書込みを磁気ヘッドにより行う磁気カード装置を有する自動取引装置のコンピュータに実行させるプログラムにおいて、前記磁気ヘッドで読取られた磁気出力の時間変動を示すジッタを評価し、前記読取られた磁気出力のレベルを評価し、前記ジッタの評価と前記磁気出力のレベルの評価に基づいて、読取った磁気ストライプの情報を前記磁気ストライプに再書き込みするか否かを、複数のパターンに分けて判断し、前記判断された前記パターンに基づいて前記磁気ストライプに磁気ストライプの情報を書込む、または書き込まずカード返却を行い、前記パターンは前記ジッタの評価と前記磁気出力のレベルの評価とを含む、予防書込みの要否の決定に使用される項目の組み合わせであり、前記磁気ストライプに再書き込みするか否かの判断は、複数回行われ、前記判断された複数のパターンのうち読み取り結果と判断されるべき優先度が最も高いパターンに基づいて前記磁気ストライプに磁気ストライプの情報を書込む、または書き込まずカード返却を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、磁気出力の減衰した磁気ストライプの再書き込みを有効に行うことにより、窓口業務の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施形態の磁気カード装置を搭載した自動取引装置の構成例を示すブロック図である。
【
図2】カードレシートユニットの構成例を示すブロック図である。
【
図3】MSの読取機能と書込み機能に関するブロック図である。
【
図4】カードレシートユニットのユニット管理部及び各制御部のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図5】予防書換え処理の手順を説明するフローチャートである。
【
図6】カードチェック処理の手順を説明するフローチャートである。
【
図7】表示ユニットに表示されたカード確認画面の一例を示す図である。
【
図8】表示ユニットに表示された窓口誘導画面の一例を示す図である。
【
図9】記憶部に記憶された判定結果テーブルの一例を示す図である。
【
図10】磁気減衰による書換処理の手順を説明するフローチャートである。
【
図11】表示ユニットに表示された減衰復旧確認画面の一例を示す図である。
【
図12】表示ユニットに表示された窓口誘導画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に従って本発明の実施形態を説明する。以下では、本実施形態の磁気カード装置を金融機関に設置される自動取引装置に搭載した例で説明する。
【0014】
図1は、本実施形態の磁気カード読取/書込装置を搭載した自動取引装置1の構成例を示すブロック図である。自動取引装置1は、所定のデータが記録されたカードを受け付けて磁気減衰による書換処理を行う。自動取引装置1は、銀行、その他の金融機関等の店舗に設置され、顧客の操作に基づいて入出金等の取引を行う。
【0015】
自動取引装置1は、操作者が操作案内表示に従いカードを挿入口に入れ、キーボードもしくはタッチパネルにて暗証番号を入力し、ネットワークNを介してホストコンピュータ2と通信して、本人であることを確認した後、現金の預け入れ、払い出し、振り込み等の取引を行う。なお。以下で、磁気カード及びICチップ付きの磁気カードを、まとめてカードと呼ぶ。
【0016】
自動取引装置1は、主制御部10、カードレシートユニット20、通帳ユニット30、紙幣ユニット40、硬貨ユニット50及び表示ユニット60を有する。主制御部10は、自動取引装置1全体を統括的に制御する制御部である。カードレシートユニット20は、カードに記録された情報(磁気ストライプやICメモリ)を読み取り/書き込みを行うカード処理装置と、レシートを印刷し発行するレシート印刷装置を有する。
【0017】
通帳ユニット30は、挿入された通帳のMS(Magnetic Stripe)からデータを読取る読取装置(不図示)と、通帳に取引内容を印字するプリンタ装置(不図示)を有する。紙幣ユニット40は、入金された紙幣を搬送して紙幣カセットに格納し、紙幣カセットから紙幣を搬送して出金する。硬貨ユニット50は、入金された硬貨を硬貨カセットに格納し、硬貨カセットから硬貨を出金する。表示ユニット60は、表示部とタッチパネルを有し、顧客に操作ガイドや取引内容を表示し、顧客からの操作入力をタッチパネルで受付ける。
【0018】
図2は、カードレシートユニット20の構成例を示すブロック図である。カードレシートユニット20は、ユニット管理部100、通信部110、記憶部120、カードR/Wメカ制御部130、カードR/Wメカ140、磁気ヘッド制御部150、磁気ヘッド回路部180、ICカードR/W制御部200、コンタクト部210、レシートプリンタ制御部220及びレシートプリンタメカ230を有する。磁気カード装置は、ユニット管理部100、通信部110、記憶部120、カードR/Wメカ制御部130、カードR/Wメカ140、磁気ヘッド制御部150、磁気ヘッド回路部180により構成される。
【0019】
ユニット管理部100は、カードレシートユニット20全体を制御する。通信部110は、主制御部10とユニット管理部100間でのデータの授受を制御する。記憶部120は、制御プログラム、各種データやテーブルを記憶する。
【0020】
カードR/Wメカ制御部130は、カードR/Wメカ140を制御して、カードの搬送を制御する。カードR/Wメカ140は、カードを搬送するモータ、搬送ローラを切換えるマグネット、カードの搬送位置や速度を検出するセンサ等を備える。
【0021】
磁気ヘッド制御部150は、磁気ヘッド回路部180を制御して、カードのMSからのデータの読出しや、MSへのデータの書込みを行う。また、磁気ヘッド制御部150は、読み出した磁気出力を復号してリードデータを生成する。また、磁気ヘッド制御部150は、MSへの再書き込み処理(予防書換えとも呼ぶ)を行う。
【0022】
磁気ヘッド回路部180は、磁気ヘッド、ピーク検出回路、磁気出力検出回路、タイマ回路及びライトデータ出力回路を有する。磁気ヘッド制御部150と磁気ヘッド回路部180については、
図3で詳述する。
【0023】
ICカードR/W制御部200は、使用されたカードがICチップ付きのカードである場合に、コンタクト部210により、カードに内蔵されたICデータの読取を行う。コンタクト部210として、IC接点部やSAM(Secure Application Module)接点部が備えられる。
【0024】
レシートプリンタ制御部220は、レシートプリンタメカ230のモータやプリンタ(インクリボンやサーマルプリンタ)を制御して、用紙の搬送や印字を行う。
【0025】
図3は、MSの読取機能と書込み機能に関するブロック図である。前述のように、磁気ヘッド回路部180は、磁気ヘッド181、ピーク検出回路182、磁気出力検出回路183、タイマ回路184及びライトデータ出力回路185を有する。
【0026】
磁気ヘッド181は、MSに対して読出し及び書込みを行うもので、例えばリングヘッドである。ピーク検出回路182は、磁気ヘッド181から出力されて増幅された磁気出力波形のピークを検出する回路である。ピーク検出回路182は、後述するMSリード割込み処理部151にピーク検出を通知する。
【0027】
磁気出力検出回路183は、磁気出力波形のピークレベルを検出する回路である。磁気出力検出回路183は、磁気出力波形のピークレベルを後述するMSリード割込み処理部151に通知する。なお以下で、磁気出力波形のピークレベルを、磁気出力のレベルとも呼ぶ。
【0028】
タイマ回路184は、MSリード割込み処理部151でピーク検出の割込みが発生すると、カウンタ値を読み出して、カウンタ値をMSリード割込み処理部151に通知する。ライトデータ出力回路185は、MSへのデータ書き込み時に、書込み信号を磁気ヘッド181に出力する。
【0029】
磁気ヘッド制御部150は、MSリード割込み処理部151、MSリード処理部160、MSライト処理部170及びMSライト割込み処理部172を有する。MSリード割込み処理部151は、ピーク検出回路182からのピーク検出通知を受けて、割込み処理を行う。
【0030】
MSリード割込み処理部151は、ピーク間隔算出部152と磁気出力読出し部153を有する。ピーク間隔算出部152は、磁気出力のピーク間の時間を算出する。ピーク間隔算出部152は、算出したピーク間隔を、記憶部120のピーク間隔バッファ121に格納する。ピーク間隔バッファ121は、例えば、1536個分設定される。
【0031】
磁気出力読出し部153は、磁気出力のレベルを読み出す。磁気出力読出し部153は、読み出した磁気出力のレベルを、記憶部120の磁気出力レベルバッファ122に格納する。磁気出力レベルバッファ122は、例えば、1536個分設定される。
【0032】
MSリード処理部160は、ピーク間隔バッファ121と磁気出力レベルバッファ122に格納されたMSから読み出されデータを処理して、リードデータを生成する。また、MSリード処理部160は、予防書込みの要否を判断する。
【0033】
MSリード処理部160は、ジッタ評価部161、磁気出力評価部162、0/1変換部163、リードデータ編集部164、リードデータ結果判断部165、書込み判断部166を有する。
【0034】
ジッタ評価部161は、ピーク間隔バッファ121からピーク間隔を読出して、磁気出力ピークの時間変動であるジッタを算出して、評価する。磁気出力評価部162は、磁気出力レベルバッファ122から磁気出力レベルを読み出して、評価する。
【0035】
0/1変換部163は、ピーク間隔バッファ121の記憶値と磁気出力レベルバッファ122の記憶値を読み出して、論理値0/1への変換を行う。リードデータ編集部164は、0/1変換部163によって変換された論理値0/1を、記憶部120にリードデータ123として格納する。リードデータ結果判断部165は、リードデータ123を読出し、垂直パリティと水平パリティをチェックし、リードが正常に行われた否かを判断し、リード結果124として記憶部120に格納する。
【0036】
書込み判断部166は、予防書換え要否の判断を行う。予防書換えとは、磁気出力が減衰したMSに対して、再度情報を書込み、磁気出力を回復させる処理である。
具体的には、書込み判断部166は、ジッタ評価部161によるジッタの評価と磁気出力評価部162による磁気出力のレベルの評価に基づいて、読取った磁気ストライプの情報を磁気ストライプに再書き込みするか否かを、複数のパターンに分けて予防書換えを判断する。
【0037】
書込み判断部166は、記憶部120の要否判断テーブル125を参照して、磁気出力レベルとジッタに応じて、予防書換え要否の判断を行う。書込み判断部166は、判断した予防書換えの要否126を、記憶部120に格納する。
【0038】
書込み判断部166によって予防書換えが必要と判断された場合に、MSライト処理部170は、記憶部120のリードデータ123から、MSへの書込み用のライトデータ127を作成して、記憶部120に格納する。
【0039】
MSライト割込み処理部172は、ライトデータ127を読出し、所定の変換(例えば、周波数変調)をしてライトデータ出力回路185に出力する。ライトデータ出力回路185は、書込み信号を磁気ヘッド181に出力する。カードR/Wメカ制御部130によって磁気ヘッド181が所定の速度で移動され、カードのMSにデータの書換えが行われる。
【0040】
図4は、カードレシートユニット20のユニット管理部100及び各制御部(カードR/Wメカ制御部130、磁気ヘッド制御部150、ICカードR/W制御部200、レシートプリンタ制御部220)のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0041】
カードレシートユニット20には、CPU(Central Processing Unit)300、RAM(Random Access Memory)302、ROM(Read Only memory)304、バス306、通信部110、記憶部120が設けられる。
【0042】
CPU300は、ROM304から制御プログラムを読込み、読込んだ制御プログラムに従って、各種制御処理を実行する。RAM302は、制御プログラムや、各種データを一時的に記憶するワークエリアである。RAM302は、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)である。ROM304は、制御プログラムや各種データ等を記憶する不揮発性の記憶部である。ROM304は、例えばファームウェアである。CPU300は、RAM302、ROM304等々とバス306で接続される。通信部110及び記憶部120は、前述の通りである。なお、記憶部120は、例えばフラッシュメモリである。
【0043】
すなわち、ユニット管理部100及び各制御部(カードR/Wメカ制御部130、磁気ヘッド制御部150、ICカードR/W制御部200、レシートプリンタ制御部220)は、CPU300等によるソフトウェア処理により実現される。
【0044】
次に、カードのMSに対する予防書換え処理を具体的に説明する。
図5は、予防書換え処理の手順を説明するフローチャートである。予防書換え処理は、主にユニット管理部100、カードR/Wメカ制御部130及び磁気ヘッド制御部150によって実行される。
【0045】
ユニット管理部100は、顧客からのカード挿入をカードセンサ(不図示)によって検知し、カード挿入を検知するとカードを自動取引装置1の内部に引き込んでカードの挿入を受け付ける(ステップS11)。磁気ヘッド制御部150は、カードの磁気データ(MS)を読み込む(ステップS12)。リードデータ編集部164は、リードデータ123として格納する。リードデータ123を格納する処理は、特開2019-160366号公報に記載した技術と同様であるため説明を省略する。
【0046】
リードデータ結果判断部165は、リードデータ123をパリティチェック等して、リードが正常に行われたかを判断する(ステップS13)。リードが正常に行われたか否かの判断は、特開2019-160366号公報に記載した技術と同様であるため説明を省略する。
【0047】
磁気ヘッド制御部150は、リードデータ結果判断部165によって、リードが正常に行われたと判断すると(ステップS13のYES)、書込み判断部166は、予防書換え要否判断テーブル125を参照して、カードチェック処理を行う(ステップS14)。
【0048】
特開2019-160366号公報の
図7は、予防書換え要否判断テーブル125の例である。前述のように、書込み判断部166は、リードが正常に行われたと判断されたカードに対して、読取ったMSの磁気出力レベルとジッタに応じて、予防書換え要否を判断する。本例では、書込み判断部166が、「磁気出力レベル」、「磁気出力低下連続回数」、「ジッタ」及び「付加条件(#1)」の計4つの条件に基づき、予防書換え要否を判断する例を説明する。
【0049】
磁気出力評価部162が、「磁気出力レベル」及び「出力低下連続回数」を評価する。ジッタ評価部161が、磁気出力の「ジッタ」を評価する。そして、書込み判断部166が、「付加条件(#1)」を評価する。
【0050】
要否判断テーブル125は、パターン1~パターン6の項目から構成される。要否判断テーブル125を構成するパターン1~パターン6の項目は、特開2019-160366号公報の要否判断テーブル125に記載したNo1~No6の構成と同様であるため説明を簡略化する。
【0051】
パターン1:書込み判断部166は、磁気出力レベルが±70%以上の場合には、他の条件に関わらず、正常のカードであると判定する。
【0052】
パターン2:書込み判断部166は、磁気出力レベルが±5%未満が1か所以上ある場合は、磁気減衰の限界のカードであると判断する。±5%は、読取り限界値の例である。磁気出力レベルが読取り限界以下の場合には、リードデータ結果判断部165によって、リードが正常と判断しても、誤読の可能性がある。
【0053】
パターン3:書込み判断部166は、磁気出力レベルが±5%~70%が1か所以上あり、かつ磁気出力低下連続回数が25回未満の場合には、MSに傷のあるカードと判断する。
【0054】
パターン4:書込み判断部166は、磁気出力レベルが±5%~70%の箇所が1か所以上あり、かつ出力低下連続回数が25回以上あり、かつジッタが±150%以上の場合には、誤読の可能性があるカードと判断する。
【0055】
パターン5:書込み判断部166は、磁気出力レベルが±5%~70%の箇所が1箇所以上あり、かつ出力低下連続回数が25回以上あり、ジッタが±150%未満であり、かつ付加条件が満足された場合には、カードのMSにテープが貼付されていると判断する。
【0056】
パターン6:書込み判断部166は、磁気出力レベルが±5%~70%の箇所が1箇所以上あり、かつ出力低下連続回数が25回以上あり、ジッタが±150%未満で、かつ付加条件が満足されない場合には、磁気減衰のカードであると判断する。
【0057】
次に、
図5のステップS14で実行されるカードチェック処理を具体的に説明する。
図6は、カードチェック処理の手順を説明するフローチャートである。カードチェック処理は、主に、主に書込み判断部166によって実行される。
【0058】
書込み判断部166は、
図5のステップS12で読み込んだ磁気データの読み取りを行う(ステップS20)。リードデータ編集部164は、読み取った磁気データをリードデータ123として記憶部120に格納する。
【0059】
書込み判断部166は、読み取った磁気データに基づき磁気減衰のパターンを判断する(ステップS21)。書込み判断部166は、磁気減衰の判断結果を記憶部120の判定結果テーブル128に記憶する。書込み判断部166は、ステップS22の判断の結果、カードの磁気減衰がパターン1またはパターン5であるか否かを判断する(ステップ22)。
【0060】
カードの磁気減衰がパターン1またはパターン5である場合(ステップS22のYES)には、書込み判断部166は、カードの磁気減衰がパターン1であるか、すなわち、正常のカードであるか否かを判断する(ステップS23)。
【0061】
カードの磁気減衰がパターン1、すなわち、カードが正常であると判断された場合(ステップS23のYES)には、磁気ヘッド制御部150は、カードのMSから情報を読み取る公知のカード読取処理を実行し(ステップS24)、カードチェック処理は終了となる。
【0062】
カードの磁気減衰がパターン5、すなわち、カードのMSにテープが貼付されていると判断された場合(ステップS23のNO)には、書込み判断部166は、パターン5の判断は1回目であるか否かを判断する(ステップS25)。パターン5の判断は1回目である場合(ステップS25のYES)には、表示ユニット60は、カード確認画面101を表示し、カードR/Wメカ制御部130は、カードを返却する(ステップS26)。
【0063】
図7は、表示ユニット60に表示されたカード確認画面101の一例を示す図である。カード確認画面101には、カードのMSにテープが貼付されているシールの有無を確認し、再度のカードの挿入を促すメッセージが表示される。メッセージを確認した操作者は、カードに貼付されたシールを剥がすことで、自動取引装置1による取引を継続することができ、銀行窓口による業務を軽減することができる。
【0064】
カードを返却した後、ユニット管理部100は、カードの挿入を再度受け付けると(ステップS27)、処理はステップS20に戻る。
【0065】
パターン5の判断は2回目である場合(ステップS25のNO)には、表示ユニット60は、窓口誘導画面102を表示し、カードR/Wメカ制御部130は、カードを返却する(ステップS28)。
【0066】
図8は、表示ユニット60に表示された窓口誘導画面102の一例を示す図である。窓口誘導画面102には、カードの磁気を読み取ることができないから操作者を窓口に誘導するメッセージが表示される。メッセージを確認した操作者は、磁気が読み取れないことを把握することができる。この処理が終了すると予防書換処理は終了となる。
【0067】
書込み判断部166は、ステップS20で読み取った磁気データの読取回数が指定回数以上であるか否かを判定する(ステップS29)。例えば、指定回数として3回を設定することができる。指定回数は3回に限られず、複数回数設定することができる。
【0068】
書込み判断部166は、判断したパターンに対応する優先度に基づいて読み取り結果を判定する(ステップS30)。
【0069】
図9は、記憶部120に記憶された判定結果テーブル128の一例を示す図である。読み取り結果の優先度は、パターン1>パターン6>パターン2>パターン4>パターン3=パターン5の順で設定されている。
【0070】
例えば、結果例1として、1回目の磁気減衰パターンの判定結果例が「2」、2回目の磁気減衰パターンの判定結果例が「4」、3回目の磁気減衰パターンの判定結果例が「6」である場合、書込み判断部166は、優先度が一番高いパターン「6」を読み取り結果として判定する。
【0071】
また、書込み判断部166は、読み取った回数が一番多いパターンを優先度が高いパターンの読み取り結果として判定する。例えば、結果例2として、1回目の磁気減衰パターンの判定結果例が「2」、2回目の磁気減衰パターンの判定結果例が「2」、3回目の磁気減衰パターンの判定結果例が「6」である場合、書込み判断部166は、読み取った回数が一番多いパターン「2」を優先度が高いパターンの読み取り結果として判定する。
【0072】
なお、複数回同一のパターンであると判断された場合に読み取られた磁気ストライプの情報が同一である場合に、磁気ヘッド制御部150は、同一のパターンと判断された磁気ストライプの情報を優先度の高いパターンであると判断してもよい。磁気ストライプの情報が同一である場合には、正解である確率が高いためである。
【0073】
書込み判断部166は、ステップS30で判定した読み取り結果が「2」「4」「6」のいずれかであるか否かを判定する(ステップS31)。ステップS30で判定した読み取り結果が「2」「4」「6」のいずれかである場合(ステップS31のYES)には、磁気ヘッド制御部150は、カードのMSから情報を読み取る公知のカード読取処理を実行し(ステップS24)、カードチェック処理は終了となる。
【0074】
ステップS30で判定した読み取り結果が「3」である場合(ステップS31のNO)には、表示ユニット60は、窓口誘導画面102を表示し、カードR/Wメカ制御部130は、カードを返却する(ステップS28)。窓口誘導画面102に表示されたメッセージを確認した操作者は、磁気が読み取れないことから窓口に行かなければならないことを把握することができる。この処理が終了すると予防書換処理は終了となる。
【0075】
図5に戻り、磁気ヘッド制御部150は、取引処理を行う(ステップS15)。取引処理では、カードチェック処理において読み取った磁気データに基づき、ホストコンピュータ2に取引要求電文を送信し、ホストコンピュータ2から取引要求電文に対する取引応答電文に基づいて、自動取引装置1の取引において必要な情報の送受信が実行される。
【0076】
書込み判断部166は、磁気減衰による書換処理を行う(ステップS16)。
図10は、磁気減衰による書換処理の手順を説明するフローチャートである。磁気減衰による書換処理は、主に、主に書込み判断部166によって実行される。
【0077】
書込み判断部166は、記憶部120の判定結果テーブル128に記憶された判定結果を参照して、カードの磁気減衰が認められるか否かを判断する(ステップS41)。カードの磁気減衰が認められない、すなわち、磁気減衰パターンの判定結果が「1」であると判定された場合(ステップS41のNO)には、磁気減衰による書換処理は終了となる。
【0078】
カードの磁気減衰が認められる、すなわち、磁気減衰パターンの判定結果が「3」「6」のいずれかであると判定された場合(ステップS41のYES)には、表示ユニット60は、減衰復旧確認画面103を表示する(ステップS42)。
【0079】
図11は、表示ユニット60に表示された減衰復旧確認画面103の一例を示す図である。減衰復旧確認画面103には、カードの磁気が減衰しているが復旧できる可能性があるメッセージ、および、復旧の指示を受け付ける「復旧する」ボタン201a、「復旧しない」ボタン201bが表示される。メッセージを確認した操作者は、減衰復旧確認画面103に表示されている「復旧する」ボタン201aを選択することで、カードの磁気の復旧を試みることができる。自動取引装置1において、磁気の復旧を受け付けることで、自動取引装置1による取引を継続することができ、銀行窓口による業務を軽減することができる。
【0080】
復旧を受け付けない場合、すなわち、減衰復旧確認画面103に表示された「復旧しない」ボタン201bが選択された場合(ステップS43のNO)には、磁気減衰による書換処理は終了となる。
【0081】
復旧を受け付けた場合、すなわち、減衰復旧確認画面103に表示された「復旧する」ボタン201aが選択された場合(ステップS43のYES)には、MSライト処理部170は、磁気書換処理を行う(ステップS44)。具体的には、MSライト処理部170は、
図6のステップS30において、優先度が高いと判定したパターンに対応するリードデータ123に基づきライトデータ127を生成する。MSライト割込み処理部172は、カードR/Wメカ制御部130による磁気ヘッド181搬送のタイミングに同期して、ライトデータ127に所定の変換をしてライトデータ出力回路185に出力する。ライトデータ出力回路185は、書込み信号を磁気ヘッド181に出力して、MSの磁気書換えが行われる。
【0082】
磁気ヘッド制御部150は、磁気データが正常に書き換えられているか否かを確認する磁気書換確認処理を行う(ステップS45)。磁気データが正常に書き換えられていると判定した場合(ステップS46のYES)には、表示ユニット60は、通常のカード確認画面を表示し、カードR/Wメカ制御部130は、カードを返却する(ステップS47)。この処理が終了すると、磁気減衰による書換処理は終了となる。
【0083】
磁気データが正常に書き換えられていないと判定した場合(ステップS46のNO)には、表示ユニット60は、窓口誘導画面104を表示し、カードR/Wメカ制御部130は、カードを返却する(ステップS48)。
【0084】
図12は、表示ユニット60に表示された窓口誘導画面104の一例を示す図である。窓口誘導画面102には、カードの磁気が減衰しているから操作者を窓口に誘導するメッセージが表示される。メッセージを確認した操作者は、磁気が減衰していることから窓口に行かなければならないことを把握することができる。この処理が終了すると磁気減衰による書換処理は終了となる。
【0085】
上述の実施形態においては、ステップS42において、表示ユニット60は、減衰復旧確認画面103を表示しているがこの限りではない。例えば、
図10の磁気減衰による書換処理において、ステップS42およびステップS43の処理を省略してもよい。
【0086】
具体的には、カードの磁気減衰が認められる場合、すなわち、磁気減衰パターンの判定結果が「3」「6」のいずれかであると判定された場合(ステップS41のYES)には、自動的に、MSライト処理部170による磁気書換処理が実行される(ステップS44)。これにより、操作者が意識しなくても磁気が減衰しており、かつ、磁気データを復旧できる可能性がある場合には、自動的にMSの磁気の復旧が行われることから、操作者の負担を軽減することができるとともに、窓口業務の負担を軽減することができる。
【0087】
また、ステップS41のカードの磁気減衰が認められるか否かの判断を自動取引装置1からリードデータをホストコンピュータ2に送信して、ホストコンピュータ2でその判断を行ってもよい。この場合、ステップS41の処理に代えて、表示ユニット60は、磁気減衰パターンの判定結果が「2」「3」「4」「6」のいずれかであると判定された場合(ステップS41のYES)には、減衰復旧確認画面103を表示する(ステップS42)。ホストコンピュータ2で、登録された顧客データに基づきリードデータが正常であるかを判断すれば、確実だからである。これによれば、誤読のリスクを排除できるので、磁気減衰パターンの判定結果が「2」「4」である場合であっても、書換えを行うことができる。
【0088】
また、本実施形態の磁気カード装置は自動取引装置用に限定されるのではなく、クレジットカードやポイントカードの処理装置やセキュリティ装置にも利用できる。
【0089】
<変形例>
上記説明では、カードレシートユニット20が磁気減衰による書換処理の要否を判断する例を説明した。しかし、カードレシートユニット20が上位側(ホストコンピュータ/アプリソフト/ミドルウェア)と連携して、磁気減衰による書換処理の要否を判断してもよい。
【0090】
また、カードレシートユニット20のファームウェアで磁気減衰を検出後、上位ホストに通知する仕組みを設け、上位ホストからの書込み許可を受けて磁気減衰による書換処理をするようにしても良い。
【0091】
また、ユニット管理部100及び磁気ヘッド制御部150は、CPU300等によるソフトウェア処理により実現されると説明したが、これに限るものではない。例えば、一部あるいは全部をゲートアレイ等のハードウェアで構成してもよい。
【0092】
<効果>
本実施形態の自動取引装置1によれば、磁気ストライプの情報をMSに再書き込みするか否かを、複数のパターンに分けて判断して書換処理を行うことで、カードの再発行などのコストや取引ロスの低減が可能となる。
【0093】
具体的には、ジッタ情報を活用して、予防書込み機能に対して一定の制限を設けるようにしたので、再書き込み時のリスク(カードエラー)を排除することができる。すなわち、ジッタが大きい状態では、カードのコンデションが悪いこと(変形/傷/異物付着等)が想定され、再書き込みによって却って、現在ぎりぎりで読取可能なカードを不良カードにしてしまうおそれがあるからである。
【0094】
なお、本発明は上述した実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階でのその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施形態に示される全構成要素を適宜組み合わせても良い。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用ができることはもちろんである。
【符号の説明】
【0095】
1 自動取引装置
10 主制御部
20 カードレシートユニット
30 通帳ユニット
40 紙幣ユニット
50 硬貨ユニット
60 表示ユニット
100 ユニット管理部
110 通信部
120 記憶部
121 ピーク間隔バッファ
122 磁気出力レベルバッファ
123 リードデータ
124 リード結果
125 要否判断テーブル
126 予防書換え要否
127 ライトデータ
128 判定結果テーブル
130 カードR/Wメカ制御部
140 カードR/Wメカ
150 磁気ヘッド制御部
151 MSリード割込み処理部
152 ピーク間隔算出部
153 磁気出力読出し部
160 MSリード処理部
161 ジッタ評価部
162 磁気出力評価部
163 0/1変換部
164 リードデータ編集部
165 リードデータ結果判断部
166 書込み判断部
170 MSライト処理部
172 MSライト割込み処理部
180 磁気ヘッド回路部
181 磁気ヘッド
182 ピーク検出回路
183 磁気出力検出回路
184 タイマ回路
185 ライトデータ出力回路
200 ICカードR/W制御部
210 コンタクト部
220 レシートプリンタ制御部
230 レシートプリンタメカ