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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-14
(45)【発行日】2023-08-22
(54)【発明の名称】捕鶏機
(51)【国際特許分類】
   A01K 45/00 20060101AFI20230815BHJP
【FI】
A01K45/00 Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020040791
(22)【出願日】2020-03-10
(65)【公開番号】P2021141823
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2022-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】501399496
【氏名又は名称】タカキ製作所株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114661
【弁理士】
【氏名又は名称】内野 美洋
(72)【発明者】
【氏名】高木 奈保子
(72)【発明者】
【氏名】副田 英樹
【審査官】中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-283225(JP,A)
【文献】特開平06-245664(JP,A)
【文献】特開平11-225606(JP,A)
【文献】米国特許第05325820(US,A)
【文献】米国特許第05863174(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 31/00 - 31/24
A01K 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鶏舎内を走行して平飼いされた鶏を捕獲する捕鶏機において、
走行台車の前方に前低後高状に傾斜させた複数台の捕鶏ベルトコンベアからなる捕鶏部を形成するとともに、捕鶏部の後方に捕鶏部よりも左右幅を狭くして複数台の捕鶏ベルトコンベアで捕鶏した鶏を前後に整列させる整列部を形成し、整列部の後方に整列部で整列させた鶏を1羽ずつ前後に並べて搬送する1台の搬送ベルトコンベアからなる搬送部を形成し、前記複数台の捕鶏ベルトコンベアを走行台車にそれぞれ独立して前端部が上下動可能に設けたことを特徴とする捕鶏機。
【請求項2】
前記搬送ベルトコンベアを捕鶏ベルトコンベアよりも速い速度で鶏を搬送させることを特徴とする請求項1に記載の捕鶏機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鶏舎内を走行して平飼いされた鶏を捕獲する捕鶏機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
養鶏場においては、ブロイラー等の食肉用の多数羽の鶏を鶏舎内で平飼いしており、出荷時には、籠状のコンテナに鶏を所定数羽ずつ収容する捕獲作業が行われている。
【0003】
その際に、鶏舎内で平飼いされた多数羽の鶏を捕獲することができる捕鶏機を使用することで捕獲作業に要する労力や時間を縮小することができる。
【0004】
この捕鶏機としては、走行台車に前低後高状に傾斜させたベルトコンベアを取付けるとともに、ベルトコンベアの後部にコンテナを配置し、鶏舎内を走行することで、ベルトコンベアの前低部に平飼いされた鶏を載せ、その鶏をベルトコンベアの後高部まで搬送した後にコンテナに収容する構造のものが知られている(たとえば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平5-123074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記従来の捕鶏機では、前低後高状に傾斜させたベルトコンベアの直後方にコンテナを配置した構造となっているために、平飼いされた多数羽の鶏が連続してベルトコンベアでコンテナに搬送されてしまい、予め設定した所定数羽ずつコンテナに収容することが困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、請求項1に係る本発明では、鶏舎内を走行して平飼いされた鶏を捕獲する捕鶏機において、走行台車の前方に前低後高状に傾斜させた複数台の捕鶏ベルトコンベアからなる捕鶏部を形成するとともに、捕鶏部の後方に捕鶏部よりも左右幅を狭くして複数台の捕鶏ベルトコンベアで捕鶏した鶏を前後に整列させる整列部を形成し、整列部の後方に整列部で整列させた鶏を1羽ずつ前後に並べて搬送する1台の搬送ベルトコンベアからなる搬送部を形成し、前記複数台の捕鶏ベルトコンベアを走行台車にそれぞれ独立して前端部が上下動可能に設けることにした。
【0009】
また、請求項2に係る本発明では、前記請求項1に係る本発明において、前記搬送ベルトコンベアを捕鶏ベルトコンベアよりも速い速度で鶏を搬送させることにした。
【発明の効果】
【0010】
そして、本発明では、以下に記載する効果を奏する。
【0011】
すなわち、本発明では、鶏舎内を走行して平飼いされた鶏を捕獲する捕鶏機において、走行台車の前方に前低後高状に傾斜させた複数台の捕鶏ベルトコンベアからなる捕鶏部を形成するとともに、捕鶏部の後方に捕鶏部よりも左右幅を狭くして複数台の捕鶏ベルトコンベアで捕鶏した鶏を前後に整列させる整列部を形成し、整列部の後方に整列部で整列させた鶏を1羽ずつ前後に並べて搬送する1台の搬送ベルトコンベアからなる搬送部を形成することにしているために、搬送部の後方で鶏を1羽ずつ順に捕獲することができ、コンテナに予め設定した所定数羽ずつ収容する作業を容易なものとすることができる。
【0012】
特に、複数台の捕鶏ベルトコンベアを走行台車にそれぞれ独立して前端部が上下動可能に設けた場合には、鶏舎内の地面の凹凸に追従させて各捕鶏ベルトコンベアを上下動させることができ、捕鶏ベルトコンベアと地面との隙間に鶏が入り込んで死傷させてしまうのを防止することができる。
【0013】
また、搬送ベルトコンベアを捕鶏ベルトコンベアよりも速い速度で鶏を搬送させることにした場合には、搬送ベルトコンベアで搬送される前後に並んだ鶏の間隔を広げることができ、より一層作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る捕鶏機を示す平面図。
図2】同側面図。
図3】同正面図。
図4】同側面説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明に係る捕鶏機の具体的な構成について図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1図4に示すように、捕鶏機1は、走行台車2の前側に鶏舎内で平飼いされた鶏を捕獲するための捕鶏部3を形成するとともに、捕鶏部3の直後方に捕鶏部3で捕獲した鶏を前後に整列させるための整列部4を形成し、整列部4の直後方に整列部4で前後に整列させた鶏を1羽ずつ搬送するための搬送部5を形成している。
【0017】
この捕鶏機1では、捕鶏部3の左右幅が最も広く、搬送部5の左右幅が最も狭く、整列部4の左右幅が捕鶏部3の左右幅から搬送部5の左右幅へと漸次狭くなるようにしている。
【0018】
走行台車2は、基台6の前後左右四隅下部に車輪7を取付けて、鶏舎内を走行させることができるようになっている。なお、走行台車2は、エンジンやモーターなどの駆動機構を設けて自走可能としてもよく、また、ハンドル等の操舵機構を設けて操舵可能としてもよい。
【0019】
また、走行台車2は、前側中途上部に正面視(前面視)で門型の支持体8を取付けて、収納時等に起立させた捕鶏部3を支持体8で支持することで、コンパクトな収納を可能としている(図4参照。)。
【0020】
捕鶏部3は、前方から後方へ向けて鶏を搬送する複数台(ここでは、3台)の捕鶏ベルトコンベア9を有している。
【0021】
各捕鶏ベルトコンベア9は、走行台車2の基台6の前側に前低後高状に傾斜させた状態で設けられており、後端部が走行台車2の基台6の前端上部に共通の支持軸10によって上下回動自在に支持されている。
【0022】
また、各捕鶏ベルトコンベア9は、中央に前後に無端状に張設されたベルト11を前後動可能に設けるとともに、左右端にベルト11の上方まで張り出させた左右一対の側壁12,12を設け、前端に左右一対の車輪13を設けている。各捕鶏ベルトコンベア9のベルト11は、駆動装置14で駆動される。また、車輪13は、カバー15で上方を被覆している。
【0023】
そして、捕鶏部3は、走行台車2を鶏舎内で走行させることで、鶏舎内で平飼いされた鶏を各捕鶏ベルトコンベア9の前端部に載せることができ、その鶏を各捕鶏ベルトコンベア9で後方の整列部4に搬送することができる。その際に、捕鶏部3は、鶏舎内の地面に沿って各捕鶏ベルトコンベア9の車輪13が転動し、地面の凹凸に応じて各捕鶏ベルトコンベア9の前端部がそれぞれ独立して上下動するようになっている。なお、各捕鶏ベルトコンベア9は、支持軸10を中心にして車輪13が地面に設置した倒伏姿勢(作業姿勢)から支持体8の前側で支持された起立姿勢(収納姿勢)の範囲で上下回動可能となっている。
【0024】
整列部4は、中央の捕鶏ベルトコンベア9の直後方に設けられた前方から後方へ向けて鶏を搬送する整列ベルトコンベア16と、左右の捕鶏ベルトコンベア9の直後方に設けられた左右端部から中央の整列ベルトコンベア16に鶏を移送する整列体17,18とを有している。
【0025】
整列ベルトコンベア16は、走行台車2の基台6の前側上部に水平状に設けられており、前端部が捕鶏ベルトコンベア9の後端部よりも下方に設けられている。
【0026】
また、整列ベルトコンベア16は、中央に前後に無端状に張設されたベルト19を前後動可能に設けている。ベルト19は、駆動装置20で駆動される。
【0027】
左側の整列体17は、走行台車2の基台6の前側上部に底板21を取付けるとともに、底板21の左端及び後端に上方へ向けて側壁22,23を取付けている。底板21は、左端から中央側の整列ベルトコンベア16に向けて漸次幅広で左高右低状に漸次傾斜させた状態で走行台車2の基台6に取付けられている。
【0028】
右側の整列体18は、走行台車2の基台6の前側上部に底板24を取付けるとともに、底板24の右端及び後端に上方へ向けて側壁25,26を取付けている。底板24は、右端から中央側の整列ベルトコンベア16に向けて漸次幅広で右高左低状に漸次傾斜させた状態で走行台車2の基台6に取付けられている。
【0029】
なお、左右の整列体17,18は、傾斜状の底板21,24に代えて搬送方向を左右に向けたベルトコンベアを用いてもよい。
【0030】
そして、整列部4は、中央の捕鶏ベルトコンベア9で捕獲した鶏を整列ベルトコンベア16で後方の搬送部5に搬送するとともに、左右の捕鶏ベルトコンベア9,9で捕獲した鶏を左右の整列体17,18から1羽ずつ整列ベルトコンベア16に載せて後方の搬送部5に搬送する。
【0031】
搬送部5は、前方から後方へ向けて鶏を搬送する1台の搬送ベルトコンベア27を有している。なお、搬送部5の後方には、捕獲した鶏を予め設定した所定数羽ずつ収容する籠状のコンテナやその作業者を載せる作業台車等を設けてもよい。
【0032】
搬送ベルトコンベア27は、走行台車2の基台6の後側上部に前低後高状に傾斜させた状態で設けられており、前端部を整列ベルトコンベア16の後端部に近接させている。
【0033】
また、搬送ベルトコンベア27は、中央に前後に無端状に張設されたベルト28を前後動可能に設けるとともに、左右端にベルト28の上方まで張り出させた左右一対の側壁29,29を設けている。ベルト28は、駆動装置30で駆動される。
【0034】
そして、搬送部5は、整列部4で前後に整列させた鶏を1羽ずつ搬送ベルトコンベア27で後端部へ搬送し、搬送ベルトコンベア27の後端部において各コンテナに所定数羽ずつ収容することができるようになっている。
【0035】
捕鶏機1は、以上に説明したように構成しており、各ベルトコンベア9,16,27の駆動装置14,20,30を制御装置で駆動制御するようにしている。
【0036】
そして、捕鶏機1は、鶏舎内で走行台車2を走行させることによって、鶏舎内で平飼いされた鶏を捕鶏部3で捕獲し、捕獲した鶏を整列部4で前後に整列させ、前後に整列させた鶏を搬送部5で1羽ずつ搬送させることができる。
【0037】
その際に、捕鶏ベルトコンベア9や整列ベルトコンベア16や搬送ベルトコンベア27の搬送速度を制御装置で適宜駆動制御することができ、ここでは、搬送ベルトコンベア27を捕鶏ベルトコンベア9よりも速い速度で鶏を搬送させるように制御している。なお、走行台車2の走行速度に応じて、各ベルトコンベア9,16,27の搬送速度を制御してもよい。
【0038】
以上に説明したように、上記捕鶏機1は、走行台車2の前方に前低後高状に傾斜させた複数台の捕鶏ベルトコンベア9からなる捕鶏部3を形成するとともに、捕鶏部3の後方に捕鶏部3よりも左右幅を狭くして複数台の捕鶏ベルトコンベア9で捕鶏した鶏を前後に整列させる整列部4を形成し、整列部4の後方に整列部4で整列させた鶏を1羽ずつ前後に並べて搬送する1台の搬送ベルトコンベア27からなる搬送部5を形成した構成となっている。
【0039】
そのため、上記構成の捕鶏機1では、複数台の捕鶏ベルトコンベア9を有する捕鶏部3によって鶏舎内で平飼いされた鶏を多数羽同時に捕獲することができるとともに、捕獲した多数羽の鶏を捕鶏部3よりも左右幅を狭くした整列部4で前後に整列させることができ、その後、搬送部5の後方で鶏を1羽ずつ順に捕獲することができるので、コンテナに予め設定した所定数羽ずつ収容する作業を容易なものとすることができる。
【0040】
また、上記捕鶏機1は、複数台の捕鶏ベルトコンベア9を走行台車2にそれぞれ独立して前端部が上下動可能に設けた構成となっている。
【0041】
そのため、上記構成の捕鶏機1では、鶏舎内の地面の凹凸に追従させて各捕鶏ベルトコンベア9を上下動させることができるので、鶏舎内を円滑に走行することができるとともに、捕鶏ベルトコンベア9と地面との隙間に鶏が入り込んで死傷させてしまうのを防止することができる。
【0042】
また、上記捕鶏機1は、搬送ベルトコンベア27を捕鶏ベルトコンベア9よりも速い速度で鶏を搬送させる構成となっている。
【0043】
そのため、上記構成の捕鶏機1では、搬送ベルトコンベア27で搬送される前後に並んだ鶏の間隔を広げることができるので、より一層鶏をコンテナに収容する作業の作業性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0044】
1 捕鶏機 2 走行台車
3 捕鶏部 4 整列部
5 搬送部 6 基台
7 車輪 8 支持体
9 捕鶏ベルトコンベア 10 支持軸
11 ベルト 12 側壁
13 車輪 14 駆動装置
15 カバー 16 整列ベルトコンベア
17,18 整列体 19 ベルト
20 駆動装置 21 底板
22,23 側壁 24 底板
25,26 側壁 27 搬送ベルトコンベア
28 ベルト 29 側壁
30 駆動装置
図1
図2
図3
図4