(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-14
(45)【発行日】2023-08-22
(54)【発明の名称】パーツフィーダ
(51)【国際特許分類】
B65G 25/10 20060101AFI20230815BHJP
B65G 65/44 20060101ALI20230815BHJP
【FI】
B65G25/10
B65G65/44 A
(21)【出願番号】P 2021097216
(22)【出願日】2021-06-10
【審査請求日】2023-01-05
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】397057946
【氏名又は名称】松田 長人
(74)【代理人】
【識別番号】100165135
【氏名又は名称】百武 幸子
(72)【発明者】
【氏名】松田 長人
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】特許第5819694(JP,B2)
【文献】特開平11-059870(JP,A)
【文献】特許第5127396(JP,B2)
【文献】特開2015-101487(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01621489(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 25/00-25/12
B65G 65/30-65/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直又は傾斜して固定した背面板と、
前記背面板に向かって低くなるよう傾斜した底板を有するパーツ貯留用のバケットと、
前記背面板と前記底板の間に配置され、前記背面板に沿ってパーツを掻き上げ、往復移動可能な掻上板と、
前記掻上板を往復移動させる往復駆動源と、
前記背面板の上端側に配置されて、前記掻上板で掻き上げられた前記パーツを搬送し、搬送する前記パーツの内、適正姿勢の前記パーツを部品供給シュート側へ搬送し、不適正姿勢の前記パーツを前記バケット内に戻す選別部を有する搬送部と、
から構成され、
前記底板は、水平面からの傾斜角が25~45度の範囲で配置され、
前記底板の上端面の形状
が、前記背面板側に向けて
湾曲形状に面取りされた湾曲形状、階段状に面取りされた階段形状、直角に面取りされた直角形状の下に突状のパーツ受けが付いた形状、傾斜スロープ状に面取りされた傾斜形状の下に突状のパーツ受けが付いた形状、湾曲形状の下に突状のパーツ受けが付いた形状のいずれかであり、
前記パーツが、前記掻上板上で一重の状態で掻き上げられることを特徴とするパーツフィーダ。
【請求項2】
垂直又は傾斜して固定された背面板と、
前記背面板に向かって低くなるよう傾斜した底板を有するパーツ貯留用のバケットと、
前記背面板の上面より低い位置に上面を配して固定された案内板と、
前記案内板と前記底板の間に配置され、前記案内板に沿ってパーツを掻き上げ、往復移動可能な第1の掻上板と、
前記背面板と前記案内板の間に配置され、前記背面板に沿ってパーツを掻き上げ、往復移動可能な第2の掻上板と、
前記第1の掻上板と前記第2の掻上板を相対的に上下動するように連動して往復移動させる往復駆動源と、
前記背面板の上端側に配置されて、前記前記第1の掻上板と前記第2の掻上板で掻き上げられた前記パーツを搬送し、搬送する前記パーツの内、適正姿勢の前記パーツを部品供給シュート側へ搬送し、不適正姿勢の前記パーツを前記バケット内に戻す選別部を有する搬送部と、
から構成され、
前記案内板の上端面の形状が、前記背面板側に向けて
湾曲形状に面取りされた湾曲形状、階段状に面取りされた階段形状、直角に面取りされた直角形状の下に突状のパーツ受けが付いた形状、傾斜スロープ状に面取りされた傾斜形状の下に突状のパーツ受けが付いた形状、湾曲形状の下に突状のパーツ受けが付いた形状のいずれかであり、
前記パーツが、前記第2の掻上板上で一重の状態で掻き上げられることを特徴とするパーツフィーダ。
【請求項3】
垂直又は傾斜して固定された背面板と、
前記背面板に向かって低くなるよう傾斜した底板を有するパーツ貯留用のバケットと、
前記背面板の上面より低い位置に上面を配して固定される1枚又は複数枚の案内板と、
前記案内板と前記底板の間に配置され、前記案内板に沿ってパーツを掻き上げ往復移動可能な、1枚又は順次高く階段状になるように列設され上面の高さが異なる複数枚の掻上板と、
前記背面板と、前記背面板に最も近い前記案内板との間に配置され、前記背面板に沿ってパーツを掻き上げ往復移動可能な第2の掻上板と、
前記掻上板と第2の掻上板を往復移動させる往復駆動源と、
前記背面板の上端側に配置されて、前記掻上板と第2の掻上板で掻き上げられた前記パーツを搬送し、搬送する前記パーツの内、適正姿勢の前記パーツを部品供給シュート側へ搬送し、不適正姿勢の前記パーツを前記バケット内に戻す選別部を有する搬送部と、
から構成され、
前記背面板に最も近い前記案内板の上端面の形状が、前記背面板側に向けて
湾曲形状に面取りされた湾曲形状、階段状に面取りされた階段形状、直角に面取りされた直角形状の下に突状のパーツ受けが付いた形状、傾斜スロープ状に面取りされた傾斜形状の下に突状のパーツ受けが付いた形状、湾曲形状の下に突状のパーツ受けが付いた形状のいずれかであり、
前記パーツが、前記第2の掻上板上で一重の状態で掻き上げられることを特徴とするパーツフィーダ。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載のパーツフィーダであって、請求項1に記載の前記掻上板、又は請求項2及び3に記載の前記第2の掻上板の上面に段差が成形されていることを特徴とするパーツフィーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バケット内に貯留したナット、ゴム製品、キャップ等のパーツを、適正姿勢にし易いように掻き上げ、パーツを適正姿勢で供給するパーツフィーダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ナットやボルト、ゴム製品、キャップ等のパーツを整列させ、適正姿勢で所定の場所に供給する、いわゆるパーツフィーダが使用されている。パーツフィーダは、大別して、振動ボール式と掻き上げ式のものが知られている。振動ボール式のパーツフィーダは、ボール状のバケットを振動させ、バケットに貯留したパーツをバケットの円筒状の周壁の螺旋状の搬送路を登らせ、パーツを適正姿勢で供給するように構成されている。
【0003】
また、掻き上げ式のパーツフィーダは、パーツを貯留するバケットの側壁に沿って掻上板を上下動させ、掻上板により側壁の上端側に掻き上げられたパーツに振動を与えて適正姿勢で供給するように構成されている(例えば、特許文献1と2参照)。
【0004】
特許文献1には、掻上板が一枚ではなく複数枚、階段状に配置され、その隣り合うもの同士に対して相対的に上下動するように連動して往復移動させて、パーツをそれらの掻上板で順次掻き上げるパーツフィーダが開示されている。特許文献2には、掻上板が二枚と、その間に固定板を挟んで階段状に配置され、二枚の掻上板を連動して往復移動させて、パーツをそれらの掻上板で順次掻き上げるパーツフィーダが開示されている。特許文献1、2のように複数枚の掻上板を備えることにより、バケットの深さ分のストロークを設定せずともバケット内のパーツを全て掻き上げることができる。それにより、掻上板のストロークを短くしてパーツフィーダをコンパクトに構成できるとともに、パーツを効率よく掻き上げることができる。また、掻上板のストロークを短くしない場合には、バケット内の深さをより深くすることができ、バケット内のパーツの貯留量を増やすことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5819694号公報
【文献】特開平11-59870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
振動ボール式のパーツフィーダは、比較的薄いゴム製品(例えば、直径25~30mm程のゴム製のオーリング)を、バケットの周壁の螺旋状の搬送路を登らせても、重なって登ってくることが多く、適正姿勢で供給することが困難である。また、滑り易いパーツ(例えば、金属球)の場合、周壁の螺旋状の搬送路を滑ってしまい、登らせることが困難である。更に、パーツが長くて細い棒や長くて薄い板の場合、端面が小さいため、円形の搬送路を互いに端面を押して登らせる際に、押す力が逃げやすい。つまり、長くて細い棒や長くて薄い板のパーツを押している間は早く動き、押しが逃げると詰まりが発生しやすい。そのため、そのようなパーツが後ろのパーツに押され、更にその後ろのパーツに押されると、間に挟まれたパーツが落下し、隙間が大きく空くため、排出能力が低くなる。
【0007】
また、特許文献1と2の掻き上げ式のパーツフィーダは、複数枚の掻上板が、階段状に配置されているため、パーツを少量ずつ掻き上げることができ、パーツが重ならないように整列させやすく、適正姿勢にしやすい構成となっている。そのため、振動ボール式のパーツフィーダで扱うことが難しい上記のパーツも扱うことが可能である。しかし、パーツの種類によっては、重なりやすい性質のパーツ(例えば、比較的薄いゴム製品)もあり、そのようなパーツを大量に扱う場合には、複数枚の掻上板で段階的に掻き上げても、パーツが重なってしまう場合がある。そこで、そのようなパーツに対してもパーツが重ならないように整列させやすく、適正姿勢にしやすいパーツフィーダが望まれる。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するもので、掻き上げる段階で、パーツが重ならないように調整でき、効率よく適正姿勢のパーツを供給できるパーツフィーダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、垂直又は傾斜して固定した背面板と、前記背面板に向かって
低くなるよう傾斜した底板を有するパーツ貯留用のバケットと、前記背面板と前記底板の間に配置され、前記背面板に沿ってパーツを掻き上げ、往復移動可能な掻上板と、前記掻上板を往復移動させる往復駆動源と、前記背面板の上端側に配置されて、前記掻上板で掻き上げられた前記パーツを搬送し、搬送する前記パーツの内、適正姿勢の前記パーツを部品供給シュート側へ搬送し、不適正姿勢の前記パーツを前記バケット内に戻す選別部を有する搬送部と、から構成され、前記底板は、水平面からの傾斜角が25~45度の範囲で配置され、前記底板の上端面の形状が、前記背面板側に向けて湾曲形状に面取りされた湾曲形状、階段状に面取りされた階段形状、直角に面取りされた直角形状の下に突状のパーツ受けが付いた形状、傾斜スロープ状に面取りされた傾斜形状の下に突状のパーツ受けが付いた形状、湾曲形状の下に突状のパーツ受けが付いた形状のいずれかであり、前記パーツが、前記掻上板上で一重の状態で掻き上げられることを特徴とするパーツフィーダである。
請求項2に記載の発明は、垂直又は傾斜して固定された背面板と、前記背面板に向かって低くなるよう傾斜した底板を有するパーツ貯留用のバケットと、前記背面板の上面より低い位置に上面を配して固定された案内板と、前記案内板と前記底板の間に配置され、前記案内板に沿ってパーツを掻き上げ、往復移動可能な第1の掻上板と、前記背面板と前記案内板の間に配置され、前記背面板に沿ってパーツを掻き上げ、往復移動可能な第2の掻上板と、前記第1の掻上板と前記第2の掻上板を相対的に上下動するように連動して往復移動させる往復駆動源と、前記背面板の上端側に配置されて、前記前記第1の掻上板と前記第2の掻上板で掻き上げられた前記パーツを搬送し、搬送する前記パーツの内、適正姿勢の前記パーツを部品供給シュート側へ搬送し、不適正姿勢の前記パーツを前記バケット内に戻す選別部を有する搬送部と、から構成され、前記案内板の上端面の形状が、前記背面板側に向けて湾曲形状に面取りされた湾曲形状、階段状に面取りされた階段形状、直角に面取りされた直角形状の下に突状のパーツ受けが付いた形状、傾斜スロープ状に面取りされた傾斜形状の下に突状のパーツ受けが付いた形状、湾曲形状の下に突状のパーツ受けが付いた形状のいずれかであり、前記パーツが、前記第2の掻上板上で一重の状態で掻き上げられることを特徴とするパーツフィーダである。
請求項3に記載の発明は、垂直又は傾斜して固定された背面板と、前記背面板に向かって低くなるよう傾斜した底板を有するパーツ貯留用のバケットと、前記背面板の上面より低い位置に上面を配して固定される1枚又は複数枚の案内板と、前記案内板と前記底板の間に配置され、前記案内板に沿ってパーツを掻き上げ往復移動可能な、1枚又は順次高く階段状になるように列設され上面の高さが異なる複数枚の掻上板と、前記背面板と、前記背面板に最も近い前記案内板との間に配置され、前記背面板に沿ってパーツを掻き上げ往復移動可能な第2の掻上板と、前記掻上板と第2の掻上板を往復移動させる往復駆動源と、前記背面板の上端側に配置されて、前記掻上板と第2の掻上板で掻き上げられた前記パーツを搬送し、搬送する前記パーツの内、適正姿勢の前記パーツを部品供給シュート側へ搬送し、不適正姿勢の前記パーツを前記バケット内に戻す選別部を有する搬送部と、から構成され、前記背面板に最も近い前記案内板の上端面の形状が、前記背面板側に向けて湾曲形状に面取りされた湾曲形状、階段状に面取りされた階段形状、直角に面取りされた直角形状の下に突状のパーツ受けが付いた形状、傾斜スロープ状に面取りされた傾斜形状の下に突状のパーツ受けが付いた形状、湾曲形状の下に突状のパーツ受けが付いた形状のいずれかであり、前記パーツが、前記第2の掻上板上で一重の状態で掻き上げられることを特徴とするパーツフィーダである。
請求項4に記載の発明は、請求項1~3のいずれかに記載のパーツフィーダであって、
請求項1に記載の前記掻上板、又は請求項2及び3に記載の前記第2の掻上板の上面に段差が成形されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のパーツフィーダによると、掻き上げる段階で、パーツが重ならないように調整でき、効率よく適正姿勢のパーツを供給できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係るパーツフィーダの概略構成を示す正面説明図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係るパーツフィーダの要部の断面模式図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係るパーツフィーダの要部の断面模式図である。
【
図5】(A)~(H)は本発明の第1の実施形態に係るパーツフィーダの底板の上端面の形状例を示す説明図である。
【
図6】従来のパーツフィーダの掻上板でパーツを掻き上げる様子を示す説明図である。
【
図7】本発明第1の実施形態に係るパーツフィーダの掻上板でパーツを掻き上げる様子を示す説明図である。
【
図8】本発明の第1の実施形態に係るパーツフィーダで扱うパーツの説明図である。
【
図9】本発明の第2の実施形態に係るパーツフィーダの要部の断面模式図である。
【
図10】本発明の第3の実施形態に係るパーツフィーダの要部の断面模式図である。
【
図11】本発明の第3の実施形態に係るパーツフィーダの要部の断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態(以下実施例と記す)を、図面に基づいて説明する。なお、以下の図において、共通する部分には同一の符号を付しており、同一符号の部分に対して重複した説明を省略する。
【実施例1】
【0013】
本発明の一実施例に係るパーツフィーダ1の構成について、
図1~8を参照して説明する。
図1は、本実施例のパーツフィーダ1の概略構成を示す正面説明図であり、
図2は
図1におけるA-A線断面図である。
図3、
図4は本実施例のパーツフィーダ1の要部を示す断面模式図であり、
図3と
図4では、扱うパーツPの板厚が異なっている。
図5(A)~(H)は本実施例のパーツフィーダ1の底板の上端面の形状例を示す説明図である。本実施例のパーツフィーダ1の要部の構成を説明するため、
図3,4においては、支持部11、エアシリンダ60、バケット30の底板31以外の構成部、リターンシュート40、搬送部50等の図示を省略する。
図6は、従来のパーツフィーダの掻上板でパーツを掻き上げる様子を示す説明図である。
図7は、本実施例のパーツフィーダ1の掻上板でパーツを掻き上げる様子を示す説明図である。
図8は、本実施例のパーツフィーダ1で扱うパーツの説明図である。
【0014】
パーツフィーダ1は、バケット30内に貯留したナット、ゴム製品、キャップ等のパーツPを適正姿勢で供給する装置である。
図1と
図2に示すように、パーツフィーダ1は、主に、垂直又は傾斜して固定された背面板10と、背面板10に向かって低くなるよう傾斜した底板31を有するパーツP貯留用のバケット30と、背面板10と底板31の間に配置され、背面板に沿ってパーツPを掻き上げ、往復移動可能な掻上板20と、掻上板20を往復移動させる往復駆動源60と、背面板10の上端側に配置されて、掻上板20で掻き上げられたパーツPを搬送し、搬送するパーツPの内、適正姿勢のパーツPを部品供給シュート側へ搬送し、不適正姿勢のパーツPをバケット30内に戻す選別部51を有する搬送部50から構成される。
図1,2では、パーツPとして、小型のゴム製のОリング(内径5mm程度)、
図6,7では大型のゴム製のОリング(内径27mm程度)を例に挙げて説明するが、パーツPはこれに限定されず、いかなる物でもよい。
【0015】
バケット30は、底板31の周囲を左右のサイドフレーム33,34と、供給側のフレーム32と、背面板10よって囲まれ、複数のパーツPを貯留できるようになっている。バケット30の上面は開口しており、手動又は自動で供給側のフレーム32側から、または上面よりパーツPが供給される。パーツPの供給方法は特に限定されないが、例えばベルトコンベアやホッパー(図示せず)を供給側のフレーム32の上方に設置し、随時、パーツPをバケット30内に供給するように構成することができる。また、バケット30の底板31は、背面板10に向かって低くなるよう傾斜しており、水平面から所定の傾斜角α(
図2参照)で構成されている。本実施例では底板31の傾斜角αは35度に構成されている。一般に広く使用されているバケットでは、底板の傾斜角αは15~20度であるが、本実施例ではそれよりも傾斜のある25~45度の角度で構成されている。より好ましくは35度~45度の角度である。それにより、パーツPがゴム材であっても、パーツPが底板31上を背面板10側に向けて滑りやすくなり、掻上板20上にスムーズに載せることができる。また、詳細は後述するが、掻上板20上にパーツPを縦にした状態で載せやすくなる。
【0016】
バケット30の底板31の背面板10側の上端面(
図2~4のY部分)は、背面板10側に向けて直角に面取りされた直角形状、傾斜スロープ状に面取りされた傾斜形状、湾曲形状に面取りされた湾曲形状、階段状に面取りされた階段形状の内のいずれか又は組み合わせからなる。
図2~4に示すように、本実施例では、底板31の上端面の形状は、湾曲形状に面取りされた湾曲形状である。より詳しくは、
図5(F)に示すように、湾曲形状の下に突状のパーツ受けkが付いた形状である。
【0017】
図5(A)は何も加工されていない形状(直角に面取りされた直角形状)、(B)は湾曲形状、(C)は傾斜形状、(D)は階段形状を示す。また、
図5(E)~(H)は、それぞれ(A)~(D)に前述のパーツ受けkが付いた形状である。パーツ受けkを付けることで、底板31の上面と背面板10の間隔が広がり、パーツPがその間に詰まりづらくなり、パーツPを掻上板20上に縦に載せ易くなる。パーツ受けkの形状は、
図5に示す角のある形状に限定されず、湾曲形状や傾斜形状にしてもよい。また、底板31の上端面Yの形状は、
図5に示した形状に限定されず、様々なバリエーションが考えられる。例えば、湾曲形状を2段にした形状や、湾曲形状と傾斜形状を組み合わせた形状等も考えられる。
【0018】
パーツPが
図5(A)の形状で立ちが悪い場合(縦方向になりづらい場合)、底板31の上端面Yは、
図5(B)の湾曲形状や(D)の階段形状等が好ましい。それにより、複数のパーツPが斜めの状態で底板31と背面板10の間に落ちやすく、掻上板20で掻き上げることで背面板10側にパーツPを押し倒して縦の状態にしやすくなり、底板31と背面板10の間にパーツPが詰まりづらくなる。一方、パーツPが
図5(B)の湾曲形状で詰まりやすい性質の部品の場合、底板31と背面板10の間にパーツPがスムーズに移動できるように、底板31の上端面Yは、
図5(C)の傾斜形状等、角がある方が好ましい。
【0019】
本実施例の掻上板20の板厚の詳細は後述するが、パーツPの板厚の60~150%、又は1.5~5.0mmの範囲内である。
図3に示すように、掻上板20の板厚が、パーツPの板厚よりも大きい場合、パーツPは底板31と背面板10の間に滑り落ち、掻上板20上に載り易く、一重にして縦の状態で掻き上げやすくなる。しかし、
図4に示すように、掻上板20の板厚がパーツPの板厚よりも小さい場合、パーツPは底板31と掻上板20の間に滑り落ちず、掻上板20が底板31の上面付近まで上がらないと掻上板20上に載ることができない。そのため、パーツPが掻上板20に載る確率が低くなり、縦の状態にもなりづらく、効率よく掻き上げることが困難になる。この場合には、パーツPが底板31と背面板10の間に滑り落ちるように、底板31と背面板10の間隔を広げる、又は掻上板20の往復移動の範囲を狭める等の工夫が必要である。
【0020】
なお、バケット30にパーツPを大量に入れる場合(例えば1万個)には、掻上板20付近にパーツPが溜まり、掻上板20にパーツPの荷重がかかり過ぎ、掻上板20の動作に問題が発生する場合がある。そのような問題を回避するため、バケット30には、隔壁35を設けることができる(
図2参照)。隔壁35は手動又は自動で上下に移動させることができる。なお、隔壁35は本発明の必須の構成ではなく、バケット30にパーツPを少量で入れる場合等には取り付けなくてもよい。
【0021】
背面板10は、水平面から25~90度の角度に傾斜して支持部11に固定されている。本実施例では、背面板10は水平面から55度の角度に傾斜して固定されている。背面板10を傾斜して固定することにより、パーツPの荷重が背面板10側にかかるため、掻上板20が薄い板であっても、掻上板20上のパーツPがバケット30内に落ちづらく、安定して掻き上げることができる。特にパーツPが薄い部品や球体の場合には、背面板10は、傾斜させる必要がある。
【0022】
また、本実施例では、背面板10の上端面(
図2のX部分)は、搬送部50より高い位置に固定され、搬送部50に向けて低くなるよう傾斜して成形される。このようにすることにより、滑りづらい素材のパーツPであっても、背面板10の上部から搬送部50に向けてスムーズにパーツPを載せることができる。なお、背面板10の上端面の形状は、本実施例の形状に限定されず、パーツPが滑りやすい素材や球体等である場合等には平坦であってもよいし、ペットボトルキャップのような大きな物等である場合等には背面板10の上端面が搬送部50よりも低い位置でもよい。
【0023】
掻上板20は、背面板10と底板31の間に配置され、掻上板20の上面が、底板31の上端面(
図2のY部分)より少し下がり、パーツPを載せて、背面板10の上面の高さまで背面板10に沿ってパーツPを掻き上げて、背面板10の上面を介して搬送部50にパーツPを載せる。
図2に示すように、掻上板20には往復駆動源としてエアシリンダ60が取り付けられ、エアシリンダ60の駆動を受けて掻上板20の上面が、底板31(Y部分)から背面板10の上面に達する高さまで往復移動する。掻上板20が往復移動するときに左右に揺れるのを防ぐため、掻上板20にはエアシリンダ60と共にリニアガイド(図示せず)を取り付ける、又はガイド付きエアシリンダを取り付けることが好ましい。なお、エアシリンダ60とリニアガイドは、支持部11に固定されている。本実施例では、往復駆動源としてエアシリンダ60を使用したが、往復駆動源はこれに限定されず、モーター等いかなる駆動源を使用してもよい。
【0024】
掻上板20の上面にパーツPを載せるために、掻上板20はある程度の厚みを持つ板で構成される。
図6は、従来のパーツフィーダの掻上板(20mm程度)でパーツPが掻き上げられる様子を示しているが、パーツP(内径27mm程のОリング)が重なった状態で掻き上げられている。このようにパーツPが重なった状態で掻き上げられると、搬送部50上においてもパーツPが重なった状態で移載され、パーツPを適正姿勢に整列させることが難しい。このような場合、何度も少量ずつ掻き上げれば、重ならないようにすることも可能であるが、作業効率が低くなる。
【0025】
図7は、本実施例に係る掻上板20でパーツPを掻き上げる様子を示しており、パーツPが重ならず、一重で、縦の状態で掻き上げられている。この掻上板20の板厚は、一般に使用されている掻上板とは異なり、パーツPの板厚の60~150%であること、又は1.5~5.0mmの範囲内になるように成形されている。本実施例では、直径27mm程のОリングの厚み2mmに対して、1.5mmの板厚(パーツPの板厚の75%)の掻上板20が使用されている。このような厚みの薄板を使用することで、掻き上げの段階で、パーツPが重ならないようにすることができ、搬送部50上にパーツPを効率よく適正姿勢に整列させることができる。また、損傷部があるような不良品のパーツPは、損傷により重心がずれ、掻上板20上で、安定して縦にした状態で掻き上げること難しい。それにより、掻き上げの段階で、不良品のパーツPを落として選別することができる。
【0026】
なお、本実施例のパーツPの板厚の定義は、パーツPの種類によって異なるため、
図8を参照して説明する。
図8は、パーツPの板厚の説明図であり、板厚は各図のWで示されている。
図8(A)は薄板(長方形の板)を示し、(B)はОリングの正面(左図)と側面(右図)を示し、(C)は球体を示し、(D)はペットボトルのキャップの側面を示している。
図8の各図は、パーツPを縦にした状態を示す。
図8(A)に示すような薄板状のパーツPの場合、薄板であれば形状は長方形に限定されず、正方形、円形、多角形等でもよいが、薄板の厚みが板厚Wとなる。
図8(B)のОリングの場合には、右図に示すように、Оリングの太さ(線径)が板厚Wとなる。
図8(C)の球体の場合あるいは円柱、円棒の場合には直径が板厚Wとなる。また、
図8(D)のペットボトルのキャップ、あるいは容器等の蓋の場合には、開口面から背面bまでの長さが板厚Wとなる。なお、パーツPが、一般的な大きさのゴム製のОリング、平ワッシャ、キャップ等の場合には、1.5~5.0mmの板厚の掻上板20を使用することで、パーツPを一重に縦にした状態(
図7参照)で掻き上げることができる。なお、一重に縦にした状態のパーツPが、背面板10を介して搬送部50に運ばれると、横の状態に移り、適正姿勢になる。例えば、Оリングの場合には、開口面が略垂直方向を向いている状態が横の状態(適正姿勢)であり、開口面が略水平方向を向いている状態が縦の状態である(
図7の掻上板20上の状態)。
【0027】
パーツPがペットボトルのキャップ、あるいは容器等の蓋の場合には、適正姿勢はその開口面が上向きの状態であり、その状態で整列させて搬送される。本実施例では、ペットボトルのキャップ(厚みW10~15mm程)を、例えば板厚が2mmの掻上板20に載せて掻き上げる。ペットボトルのキャップは、開口面側よりも背面b側(
図8(D)参照)の方が重く、傾斜した掻上板20に背面b側が背面板10側を向くように載せると荷重がかかる方向が背面板10側になり、安定して掻き上げることができる。一方、傾斜した掻上板20にペットボトルのキャップの背面b側がバケット30側を向くように載せると荷重がかかる方向がバケット30側になり、不安定で掻上板20から落下する。このようにして、掻き上げの段階で、ペットボトルのキャップ等のパーツPの表裏を選別することができる。なお、本発明のパーツフィーダが扱うパーツは、
図8に示したパーツPに限定されず、いかなるパーツでもよい。
【0028】
また、
図7に示すように、掻上板20の長手方向(掻き上げ方向)の長さが異なるように、掻上板20の上面に段差(
図7のZ部分)を設けてもよい。段差を設けることは本発明の必須の要件ではないが、段差を設けることで、掻上板20で同時に掻き上げられたパーツPが、掻上板20上から搬送部50に向けて背面板10の上面を滑り落ちる際に時間差ができ、搬送部50上でパーツPが重なることを防ぐことができ、整列させやすくなる。例えば、
図7の例の場合、左側のОリングよりも右側のОリングの方が早く落ちる。特にパーツPの量が多い場合には、掻上板20上面に段差を設けることが有効である。本実施例では、1つの段差を設けているが、段差は複数個所に設けてもよいし、段差の形状も
図7に示した形状に限定されない。
【0029】
搬送部50は、背面板10の上端側に配置されて、掻上板20で掻き上げられたパーツPを適正姿勢に整列させて、部品供給シュート52側へ送る搬送路である。本実施例では搬送部50には加振機(図示せず)の駆動により振動が与えられており、搬送部50上のパーツPはこの振動により部品供給シュート52側へ送られる。搬送部50と部品供給シュート52を、一体として同じ加振機の振動でパーツPを搬送するようにしてもよいし、別の加振機の振動でパーツPを搬送してもよい。また、搬送部50は加振機の振動でパーツPを搬送し、部品供給シュート52はベルトコンベアによりパーツPを搬送してもよい。搬送部50上のパーツPの搬送手段は、これに限定されず、ベルトコンベアや傾斜型シュート等を使用してもよい。
【0030】
図1に示すように、搬送部50はパーツPの内、適正姿勢のパーツPを部品供給シュート52側へ搬送し、不適正姿勢のパーツPをバケット30内に戻す選別部51を備えている。本実施例では、選別部51において、パーツPの搬送路が、背面板10の上端側の搬送路よりも幅が狭くなっている。それにより、所定の姿勢で正しく整列しているパーツPは部品供給シュート52側へ搬送され、そうでないパーツPや、不良品のパーツPは、選別部51で落下し、斜面型のリターンシュート40を通って、バケット30内に戻される。
【0031】
選別部51の選別方法は、本実施例の幅規制による方法に限定されず、高さを規制する方法、色や形状をセンサーで識別し、エアーやシリンダを使用して落下させる方法など、パーツPの種類に応じて、様々な方法で選別することができる。本実施例では、前述のように、掻き上げの段階でパーツPが重ならないよう縦にした状態で掻き上げ、また不良品を掻き上げないため、搬送部50上に掻き上げられたパーツPは、適正姿勢に整列されていることが多く、選別部51でほとんど選別されずに部品供給シュート52側へ搬送される。それにより、効率よく適正姿勢のパーツPを搬送でき、また、大量のパーツPが選別部51で落下しないため、落下音の減少させることができ、パーツPの落下による損傷も防ぐことができる。
【0032】
以上説明したように、本実施例のパーツフィーダ1が構成されている。なお、パーツフィーダ1の背面板10、掻上板20、バケット30、リターンシュート40、搬送部50は、強度を有し軽量で耐食性に優れた鉄鋼材(例えばステンレス鋼)や軽量化と摺動性に優れた樹脂材等で製造されることが好ましい。本実施例では、パーツフィーダ1の底板31の上端面Yと掻上板20が上記のように構成されているため、パーツPが掻上板20上に載り易く、パーツPを一重にして縦の状態で効率よく掻き上げることができる。本実施例のパーツフィーダ1は、パーツPの量が多いと、掻き上げの際にパーツPが重なりやすく、掻上板20上でパーツPを縦の状態にすることが困難になるため、パーツPの量が比較的少ない場合に好適である。
【実施例2】
【0033】
本発明の第2の実施例に係るパーツフィーダ1について
図9を参照して説明する。
図9は本実施例のパーツフィーダ1の要部を示す断面模式図である。本実施例のパーツフィーダ1の要部の構成を説明するため、
図9において、支持部11、エアシリンダ60、バケット30の底板31以外の構成部、リターンシュート40、搬送部50等の図示を省略する。
【0034】
本実施例に係るパーツフィーダ1は、実施例1に係るパーツフィーダ1と同様に、背面板10、掻上板(第1の掻上板21及び第2の掻上板22)、バケット30、リターンシュート40、搬送部50等で構成される。掻上部分以外の構成は、実施例1に係るパーツフィーダ1と同様であるため、説明を省略する。バケット30の底板31は、実施例1と同様に背面板10に向かって低くなるように傾斜して設置されている。実施例1では、バケット30の底板31の傾斜角が特定の範囲に限定されていたが、本実施例では特に限定されず、一般的な傾斜角のものを使用してもよいし、実施例1と同様の傾斜角のものを使用してもよい。
【0035】
図9に示すように、本実施例のパーツフィーダ1は、実施例1とは異なり、案内板12と、第1の掻上板21及び第2の掻上板22が設置されている。案内板12は、その上端面が背面板10の上面よりも低い位置になるように、背面板10と平行に支持部(図示せず)に固定されている。第1の掻上板21は、案内板12と底板31の間に配置され、案内板12に沿って往復移動が可能である。第2の掻上板22は、背面板10と案内板12の間に配置され、背面板10に沿ってパーツPを掻き上げ、往復移動が可能である。第1の掻上板21と第2の掻上板22は、往復駆動源のエアシリンダ等により、相対的に上下動するように連動して往復移動する。なお、掻上板を複数枚、階段状に設置する構成は、前述の特許文献1と特許文献2においても開示されているが、本発明では第2の掻上板22の板厚の範囲や、案内板12の上端面の形状に特徴がある点が大きく異なっている。
【0036】
第1の掻上板21と第2の掻上板22が相対的に上下動するとは、第1の掻上板21が最も低い位置(以下、最下位置という)まで下がったときに、第2の掻上板22が最も高い位置(以下、最上位置という)に上がっており、逆に第1の掻上板21が最上位置まで上がったときに、第2の掻上板22が最下位置に下がるように上下動することを意味する。第1の掻上板21の最下位置は、第1の掻上板21の上面が、バケット30の底板31の上面より少し低い位置にあり(
図9参照)、最上位置は案内板12の上面に達する位置である。第2の掻上板22の最下位置は、第2の掻上板21の上面が、案内板12の上面より少し低い位置にあり、最上位置は背面板10の上面に達する位置である。
図9は、第1の掻上板21が最下位置まで下がり、第2の掻上板22が最上位置に上がっている状態を表している。
【0037】
バケット30の底板31に溜まったパーツPは、第1の掻上板21の上面に移載され、第1の掻上板21の往復移動にともなって掻き上げられる。掻き上げられたパーツPは、案内板12の上面を介して第2の掻上板22の上面に移載され、第2の掻上板22の往復移動にともなって掻き上げられ、背面板10の上面に移載される。前述のように、第1の掻上板21と第2の掻上板22が相対的に上下動するため、各掻上板にバケット30の深さ分のストロークを持たせておく必要がなく、ストロークを短くすることができる。また、ストロークを短くしない場合は、バケット内の深さをより深くすることができ、バケット内のパーツの貯留量を増やすことが可能となる。
【0038】
本実施例では、
図9に示すように、案内板12の上端面Y2の形状が背面板10側に向けて直角に面取りされた直角形状、傾斜スロープ状に面取りされた傾斜形状、湾曲形状に面取りされた湾曲形状、階段状に面取りされた階段形状の内のいずれか又は組み合わせからなる。この形状は、実施例1の底板31の上端面Yの形状(
図2~
図5参照)と同様であるため、詳細な説明を省略する。実施例1においては、背面板10にパーツPを載せる掻上板20(以下、最終掻上板という)の手前が底板31であったが、本実施例では、最終の掻上板は第2の掻上板22であり、その手前が案内板12であるため、底板31の上端面Yの代わりに、案内板12の上端面Y2が上記のように面取りされている。案内板12の上端面Y2の形状により、パーツPを第2の掻上板22上に効率よく載せることができる。
【0039】
また、実施例1の掻上板20と同様に、第2の掻上板22の板厚は、パーツPの板厚の60~150%、又は1.5~5.0mmの範囲内になるように成形されている。なお、第1の掻上板21の板厚は特に限定されず、一般的な板厚(例えば20mm程度)の掻上板を使用することができる。
図9に示すように、第1の掻上板21上で、パーツPが重なって掻き上げられても、第2の掻上板22上で重なったパーツPを一重にして縦の状態で掻き上げることができるからである。なお、実施例1と同様に、第2の掻上板22の上面に段差(
図7のZ部分)を成形してもよい。
【0040】
このように、本実施例のパーツフィーダ1は、第1の掻上板21と第2の掻上板22により、パーツPを段階的に掻き上げるため、1回のストロークで、実施例1よりも多くの量のパーツPを掻き上げることができる。それにより、バケット30の底板31にパーツPが溜まっていても、板厚のある第1の掻上板21が、ある程度の量のパーツPを掻き上げるため、バケット30の底板31の上端面におけるパーツPの詰まりを防ぐことができる。また、第1の掻上板21に移載されたパーツPのみが第2の掻上板22に移載されるため、第2の掻上板22上のパーツPにかかる荷重を減らすことができ、パーツPを一重にして縦の状態で効率よく掻き上げることができる。本実施例のパーツフィーダ1は、実施例1よりも多くの量を扱う場合に好適であり、バケット30には例えば5L程の量のパーツPを入れることができる。
【実施例3】
【0041】
本発明の第3の実施例に係るパーツフィーダ1について
図10,11を参照して説明する。
図10,11は本実施例のパーツフィーダ1の要部を示す断面模式図である。
図10,11においても、支持部11、エアシリンダ60、バケット30の底板31以外の構成部、リターンシュート40、搬送部50等の図示を省略する。また、本実施例は、掻上部分の構成以外は、実施例2と同じ構成であるため説明を省略し、実施例2と異なる構成について、主に説明する。
【0042】
本実施例に係るパーツフィーダ1の掻上部分は、
図10,11に示すように、背面板10の上面より低い位置に上面を配して固定される1枚又は複数枚の案内板12,13と、案内板12,13と底板31の間に配置され、案内板12に沿ってパーツPを掻き上げ往復移動可能な、1枚又は順次高く階段状になるように列設され上面の高さが異なる複数枚の掻上板(
図10の23~25,
図11の27,28)と、背面板10と背面板10に最も近い案内板12との間に配置され、背面板10に沿ってパーツPを掻き上げ、往復移動可能な第2の掻上板26から構成される。
図10においては、1枚の案内板12と、底板31と案内板12との間に3枚の掻上板23~25、案内板12と背面板10との間に第2の掻上板26を配置して使用する。
【0043】
また、
図11では、2枚の案内板12,13を使用し、底板31と案内板13との間に掻上板27、案内板13と案内板12との間に掻上板28、案内板12と背面板10との間に第2の掻上板26を配置して使用する。掻上板と案内板の枚数は、
図10及び
図11に示す例に限定されず、1枚でもよいし、3枚以上でもよい。枚数が多ければ多いほど、各掻上板が掻き上げるストロークの長さを短くすることができ、パーツPを掻き上げる回数が増え、短時間に多くのパーツPを掻き上げることができる。また、掻上板のストロークを短くしない場合には、バケット内の深さをより深くすることができ、バケット内のパーツの貯留量を増やすことが可能となる。なお、掻上板と案内板の枚数がそれぞれ1枚の場合には、実施例2の構成と同様になるが、本実施例では、掻上板の往復移動の方法は特に限定されず、掻上板と第2の掻上板を同時に往復移動させることもできる。
【0044】
掻上板23~25,27,28は、往復駆動源のエアシリンダ等により往復移動する。掻上板の往復移動の方法は特に限定されないが、
図10に示す例では、掻上板23~25が、その隣り合うもの同士に対して相対的に上下動するように連動して往復移動する。
図10(A)は、掻上板23と掻上板25が最下位置、掻上板24が最上位置にある状態を示し、
図10(B)は、掻上板23と掻上板25が最上位置、掻上板24が最下位置にある状態を示す。
図10(A)に示すように、掻上板23と掻上板25が最下位置まで下がったときに、掻上板24が最上位置に上がる。逆に、
図10(B)に示すように、掻上板23と掻上板25が最上位置まで上がったときに、掻上板24が最下位置に下がる。このように連動して上下動することで、パーツPを効率よく掻き上げることができる。
【0045】
図10の第2の掻上板26も同様に、往復駆動源のエアシリンダ等により、背面板10に沿って往復移動するが、第2の掻上板26に関しては、掻上板23~25と連動させてもよいし、連動させなくてもよい。連動させる場合には、第2の掻上板26が、案内板12を介して隣り合う掻上板25に対して相対的に上下動するように往復移動させてもよいし、いずれかの掻上板と連結して同時に往復移動させてもよい。
図10は、第2の掻上板26が上板25に対して連動して相対的に上下動するように往復移動する状態を表し、
図10(A)は掻上板25が最下位置、第2の掻上板26が最上位置にある状態を示し、
図10(B)は、掻上板25が最上位置、第2の掻上板26が最下位置にある状態を示す。案内板12を介してパーツPが縦になりやすい部品の場合には、第2の掻上板26をこのように連動させることで効率よく掻き上げることができる。一方、案内板12を介してパーツPが縦になりづらい部品の場合には、縦にする時間を考慮して、第2の掻上板26の上下動の速度を掻上板23~25の上下動の速度よりも遅くなるようにすることもできる。
【0046】
図11に示す例では、掻上板27,28と第2の掻上板26が、同時に上下動するように連結されて往復移動する。
図11(A)は、掻上板27,28と第2の掻上板26が最下位置にある状態を示し、
図11(B)は、それらが最上位置にある状態を示す。
図11に示すように、掻上板27,28と第2の掻上板26が連結されているため、シンプルな構造にすることができる。なお、
図11に示す例では、掻上板27,28と第2の掻上板26を、同時に上下動させているが、
図10のように、それぞれ相対的に上下動させる構成にすることもできる。
【0047】
実施例2と同様に、本実施例においても、背面板10に最も近い案内板(
図10,11においては案内板12)の上端面Y3、Y4の形状が背面板10側に向けて直角に面取りされた直角形状、傾斜スロープ状に面取りされた傾斜形状、湾曲形状に面取りされた湾曲形状、階段状に面取りされた階段形状の内のいずれか又は組み合わせからなる。案内板12の上端面Y3の形状により、パーツPを縦にした状態で、第2の掻上板26上に載せやすくなる。
【0048】
第2の掻上板26の板厚は、パーツPの板厚の60~150%、又は1.5~5.0mmの範囲内になるように成形されている。掻上板23~25,27,28の板厚は特に限定されず、一般的な板厚の掻上板を使用することができる。そのため、掻上板23~25,27,28上で、パーツPが重なって掻き上げられても、第2の掻上板26上で重なったパーツPを一重にして縦の状態で掻き上げることができる。
【0049】
このように、本実施例のパーツフィーダ1は、掻上板23~25,27,28と第2の掻上板26により、パーツPを多段的に掻き上げるため、1回のストロークで、実施例1,2よりも更に多くの量のパーツPを掻き上げることができる。また、掻上板のストロークを短くしない場合には、バケット内の深さをより深くすることができ、バケット内のパーツの貯留量を増やすことが可能となる。そのため、本実施例のパーツフィーダ1は、実施例1,2よりも多くの量を扱う場合に好適である。大量のパーツPを扱うために、バケット30に、長時間稼働用としてホッパー(30L~60Lの容量)を取り付けて使用することもできる。
【0050】
以上説明した様に、本発明のパーツフィーダは、掻き上げる段階で、パーツが重ならないように調整できるため、効率よく適正姿勢のパーツを供給できる。また、本発明のパーツフィーダは、複数の掻上板が階段状になるように列設され、順次掻き上げる構成としているため、大量のパーツを扱うことができる。
【0051】
なお、上述した実施例のパーツフィーダは一例であり、その構成は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0052】
1…パーツフィーダ、10…背面板、11…支持部、12,13…案内板、20,23~25,27,28…掻上板、21…第1の掻上板、22,26…第2の掻上板、30…バケット、31…底板、32…供給側のフレーム、33,34…サイドフレーム、35…隔壁、40…リターンシュート、50…搬送部、51…選別部、52…部品供給シュート、60…エアシリンダ(往復駆動源)、P…パーツ。