(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-14
(45)【発行日】2023-08-22
(54)【発明の名称】選択的PI3Kδ阻害剤及びその使用
(51)【国際特許分類】
A61K 31/519 20060101AFI20230815BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20230815BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20230815BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230815BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230815BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20230815BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20230815BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230815BHJP
【FI】
A61K31/519
A61P11/00
A61P19/02
A61P29/00 101
A61P35/00
A61P35/02
A61P37/02
A61P43/00 111
(21)【出願番号】P 2021531814
(86)(22)【出願日】2018-12-12
(86)【国際出願番号】 CN2018120685
(87)【国際公開番号】W WO2020113642
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-08-02
(31)【優先権主張番号】201811471591.5
(32)【優先日】2018-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519365388
【氏名又は名称】安徽中科拓苒▲薬▼物科学研究有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100122471
【氏名又は名称】籾井 孝文
(74)【代理人】
【識別番号】100150212
【氏名又は名称】上野山 温子
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ 青松
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ 静
(72)【発明者】
【氏名】梁 小▲飛▼
(72)【発明者】
【氏名】李 ▲鳳▼
(72)【発明者】
【氏名】▲斉▼ 紫平
(72)【発明者】
【氏名】▲蒋▼ 宗儒
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ 青旺
(72)【発明者】
【氏名】余 ▲凱▼琳
(72)【発明者】
【氏名】胡 ▲禎▼全
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲ベイ▼蕾
(72)【発明者】
【氏名】王 黎
【審査官】深草 亜子
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-509259(JP,A)
【文献】特表2016-523892(JP,A)
【文献】特表2003-531209(JP,A)
【文献】特表2009-532507(JP,A)
【文献】Cell,2006年,Vol.125, No.4,pp.733-747
【文献】European Journal of Medicinal Chemistry,2018年03月23日,Vol.151,pp.9-17
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-31/80
CA/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
選択的PI3Kδチロシンキナーゼ阻害剤であって、式(I):
【化1】
(式中、
Xは、CH及びNからなる群から選択され、
R
1及びR
2は、それぞれ独立して水素、ハロゲン、及びC
1~6ハロアルキルからなる群から選択され、
R
3は、C
3~8シクロアルキルであり、
R
4は、水素及びC
1~6アルキルからなる群から選択され、
R
5は、水素、C
1~6アルキル、C
1~6アルコキシ、C
2~6アルキルアミド、及びC
1~6アルキルアミノアシルからなる群から選択され、
R
6は、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、C
1~6アルキル、及びC
1~6アルコキシからなる群から選択され、
又はR
5及びR
6は、一緒にフェニル基若しくはジオキソラン基を形成する)の化合物又はその薬学的に許容可能な塩若しくは溶媒和物を含む、キナーゼ阻害剤。
【請求項2】
XがCHである、請求項1に記載のキナーゼ阻害剤。
【請求項3】
R
1及びR
2が、それぞれ独立して水素、フッ素、及びトリフルオロメチルからなる群から選択される、請求項1に記載のキナーゼ阻害剤。
【請求項4】
R
3が、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルからなる群から選択される、請求項1に記載のキナーゼ阻害剤。
【請求項5】
R
4が、水素、メチル、及びエチルからなる群から選択される、請求項1に記載のキナーゼ阻害剤。
【請求項6】
R
5が、水素、C
1~3アルキル、C
1~3アルコキシ、C
2~3アルキルアミド、及びC
1~3アルキルアミノアシルからなる群から選択される、請求項1に記載のキナーゼ阻害剤。
【請求項7】
R
6が、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、C
1~3アルキル、及びC
1~3アルコキシからなる群から選択される、請求項1に記載のキナーゼ阻害剤。
【請求項8】
R
5がメトキシであり、R
6が、水素、フッ素、及びメトキシからなる群から選択される、請求項1に記載のキナーゼ阻害剤。
【請求項9】
前記式(I)の化合物が、
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【表1-8】
からなる群から選択される、請求項1に記載のキナーゼ阻害剤。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載のキナーゼ阻害剤と、薬学的に許容可能な担体又は賦形剤と、任意に他の治療剤とを含む、
PI3Kδチロシンキナーゼ活性を阻害するための医薬組成物。
【請求項11】
PI3Kδチロシンキナーゼ活性を阻害するための薬剤の製造における、請求項1~9のいずれか一項に記載のキナーゼ阻害剤の使用。
【請求項12】
PI3Kδチロシンキナーゼ活性に関連する疾患又は病態を処置又は予防するための薬剤の製造における、請求項1~9のいずれか一項に記載のキナーゼ阻害剤の使用。
【請求項13】
前記疾患又は病態が、慢性リンパ性白血病、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、マントル細胞リンパ腫、慢性閉塞性肺疾患、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、及び喘息からなる群から選択される、請求項12に記載の使用。
【請求項14】
PI3Kδチロシンキナーゼ活性の阻害に使用するための、請求項1~9のいずれか一項に記載のキナーゼ阻害剤。
【請求項15】
PI3Kδチロシンキナーゼ活性に関連する疾患又は病態の処置又は予防に使用するための、請求項1~9のいずれか一項に記載のキナーゼ阻害剤であって、前記疾患又は病態が、慢性リンパ性白血病、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、マントル細胞リンパ腫、慢性閉塞性肺疾患、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、及び喘息からなる群から選択される、キナーゼ阻害剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、選択的PI3Kδキナーゼ阻害剤として機能する化合物、並びにかかる化合物を使用してPI3Kδキナーゼ活性を阻害するための方法及び使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K)は、脂質キナーゼファミリーのメンバーであり、PI3K/AKT/mTORシグナル伝達経路の重要な部分である。PI3Kは体内のリン酸化プロセスを媒介することができ、それによって細胞の成長、増殖、分化、遊走、及びアポトーシス等の一連のプロセスに影響を及ぼす。研究によると、PI3K経路の異常な活性化は、様々な疾患の発生及び進行に密接に関連しており、様々な種類のPI3Kが様々な機能を果たす。PI3KファミリーI型キナーゼは、主にPI3Kα、PI3Kβ、PI3Kγ、及びPI3Kδを含む。それらの中で、PI3Kα突然変異は腫瘍の発生及び進行に関連し、PI3Kβは血小板を活性化することができ、血栓性疾患の進行に関連し、PTEN欠損腫瘍では、PI3Kβは腫瘍悪性度を促進する可能性があり、PI3Kγ及びPI3Kδは主に免疫系及び造血系に関連し、免疫発現、血液腫瘍及び炎症の発生と密接に関連する。PI3KδはPI3Kのサブタイプであり、主に白血球に見られる。近年、PI3Kδは、B細胞に関連するリンパ腫及び血液腫瘍を処置することができる選択的PI3Kδ阻害剤を開発するための標的として選択されている。研究によると、PI3Kδの阻害は血液腫瘍の処置に有効であり、したがってPI3Kδキナーゼは慢性リンパ性白血病(CLL)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、ホジキンリンパ腫(HL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)等の血液腫瘍の処置の標的になっている。さらに、PI3KδはB細胞の発生において非常に重要なタンパク質であり、PI3Kδの機能を遮断するとB細胞の機能に影響を与える可能性がある(非特許文献1)。最近の研究は、PI3Kδの突然変異が誘発性の呼吸器の感染症及び傷害に関連していることを示し、研究により、PI3Kδの阻害が実験的関節炎の処置に有効であることが確認され、PI3Kδが自己免疫疾患の処置の標的となり得ることが示唆されている。したがって、PI3Kδの阻害は、関節リウマチ(RA)、全身性エリテマトーデス(SLE)、及び喘息等に関連する自己免疫疾患の処置に役割を果たす(非特許文献2、非特許文献3)。PI3K阻害剤は、喘息、COPD、及び嚢胞性線維症等の呼吸器疾患に関連するT細胞媒介炎症反応の調節における役割を介して治療効果をもたらすことが期待されている(非特許文献4)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】Vivanco and Sawyers, Nature Reviews Cancer, 2002, vol. 2, issue 7, 489-501
【文献】J. Immunol., 2007, 178, 2328-2335
【文献】Blood, 2006, vol. 107, issue 2, 642-650
【文献】J. Biol. Chem., 2005, vol. 280, issue 44, 36952
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実験を通して、本発明者は、選択的PI3Kδキナーゼ阻害剤、並びに該キナーゼ阻害剤を使用してPI3Kδキナーゼ活性を阻害するための方法及び使用を見出した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、選択的PI3Kδキナーゼ阻害剤を提供する。
【0006】
より具体的には、本発明は、選択的PI3Kδキナーゼ阻害剤であって、式(I):
【化1】
(式中、
Xは、CH及びNからなる群から選択され、
R
1及びR
2は、それぞれ独立して水素、ハロゲン、及びC
1~6ハロアルキルからなる群から選択され、
R
3は、C
3~8シクロアルキルであり、
R
4は、水素及びC
1~6アルキルからなる群から選択され、
R
5は、水素、C
1~6アルキル、C
1~6アルコキシ、C
2~6アルキルアミド、及びC
1~6アルキルアミノアシルからなる群から選択され、
R
6は、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、C
1~6アルキル、及びC
1~6アルコキシからなる群から選択され、
又はR
5及びR
6は、一緒にフェニル基若しくはジオキソラン基を形成する)の化合物又はその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、エステル、酸、代謝物若しくはプロドラッグを含む、選択的PI3Kδキナーゼ阻害剤を提供する。
【0007】
好ましい実施の形態において、XはCHである。
【0008】
好ましくは、R1及びR2は、それぞれ独立して水素、フッ素、及びハロメチルからなる群から選択される。
【0009】
更に好ましくは、R3は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルからなる群から選択される。
【0010】
更に好ましくは、R4は、水素、メチル、及びエチルからなる群から選択される。
【0011】
更に好ましくは、R5は、水素、C1~3アルキル、C1~3アルコキシ、C2~3アルキルアミド、及びC1~3アルキルアミノアシルからなる群から選択され、特に好ましくは、R5はメトキシである。
【0012】
更に好ましくは、R6は、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、C1~3アルキル、及びC1~3アルコキシからなる群から選択され、特に好ましくは、R6は、水素、フッ素、及びメトキシからなる群から選択される。
【0013】
本発明はまた、上記の化合物又はその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、エステル、酸、代謝物若しくはプロドラッグを含む医薬組成物、並びに該化合物又は医薬組成物を使用してPI3Kδキナーゼ活性を阻害するための方法及び使用、並びにPI3Kδキナーゼ活性によって調節される若しくはそれによって影響を受ける、又はPI3Kδキナーゼ活性が関与する疾患、障害又は病態の処置、予防又は改善のための方法及び使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】aは、投与後のラットの体重に対する本発明の化合物9、ビヒクル、及び生理食塩水の効果を示す図である。bは、投与後のラットの足の腫脹に対する本発明の化合物9、ビヒクル、及び生理食塩水の効果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
用語
特段の規定がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、特許請求の範囲に記載の主題が属する技術分野における当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。
【0016】
特段の指示がない限り、本発明では、当業者の技能範囲内の質量分析、NMR、HPLC、タンパク質化学、生化学、組換えDNA技術及び薬理学の慣例的な方法が使用される。特段の規定が示されない限り、本明細書に記載される分析化学、合成有機化学並びに創薬化学及び医薬品化学に関連して使用される命名法、並びにそれらの実験手順及び技術は、当該技術分野で既知のものである。上述の技術及び手順は一般に、当該技術分野でよく知られ、本明細書全体にわたって引用及び議論される様々な一般的な参考文献及びより具体的な参考文献に記載される慣例的な方法で実施することができる。
【0017】
「アルキル」という用語は、分岐鎖又は直鎖を有し得る脂肪族炭化水素基を指す。構造に応じて、アルキル基は、一価基又は二価基(すなわち、アルキレン基)であり得る。本発明では、アルキル基は、好ましくは1個~8個の炭素原子を有するアルキル、より好ましくは1個~6個の炭素原子を有する「低級アルキル」、更により好ましくは1個~4個の炭素原子を有するアルキルである。典型的なアルキル基には、限定されるものではないが、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル等が含まれる。本明細書で言及される「アルキル」は、アルキル基の取り得るあらゆる立体配置及び立体配座を包含する。例えば本明細書で言及される「プロピル」は、n-プロピル及びイソプロピルを包含し、「ブチル」は、n-ブチル、イソブチル及びtert-ブチルを包含し、「ペンチル」は、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert-ペンチル及びペンタ-3-イルを包含する。
【0018】
「アルコキシ」という用語は、アルキルが本明細書で規定されるものである-O-アルキル基を指す。典型的なアルコキシ基には、限定されるものではないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ等が含まれる。
【0019】
「アルコキシアルキル」という用語は、本明細書で規定されるアルコキシ基で置換された、本明細書で規定されるアルキル基を指す。
【0020】
「シクロアルキル」という用語は、炭素及び水素のみを含む単環式基又は多環式基を指す。シクロアルキル基には、3個~12個の環原子を有する基が含まれる。構造に応じて、シクロアルキル基は、一価基又は二価基(例えば、シクロアルキレン基)であり得る。本発明では、シクロアルキル基は、好ましくは3個~8個の炭素原子を有するシクロアルキル、より好ましくは3個~6個の炭素原子を有する「低級シクロアルキル」である。シクロアルキル基の例には、限定されるものではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、及びアダマンチルが含まれる。
【0021】
「アルキル(シクロアルキル)」又は「シクロアルキルアルキル」という用語は、本明細書で規定されるシクロアルキル基で置換された、本明細書で規定されるアルキル基を指す。非限定的なシクロアルキルアルキル基は、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル等を含む。
【0022】
「芳香族」という用語は、4n+2個(ここで、nは整数である)のπ電子を含む非局在化π電子系を有する平面環を指す。芳香族環は5個、6個、7個、8個、9個又は10個以上の原子によって形成され得る。芳香族化合物は任意に置換されていてもよい。「芳香族」という用語には、炭素環式アリール(例えば、フェニル)基及びヘテロ環式アリール(又は「ヘテロアリール」又は「ヘテロ芳香族」)基(例えば、ピリジン)の両方が含まれる。その用語には、単環式基又は縮合環型多環式基(すなわち、隣接した炭素原子の対を共有する環)が含まれる。
【0023】
本明細書で使用される場合に、「アリール」という用語は、環を形成する原子の各々が炭素原子である芳香族環を指す。アリール環は5個、6個、7個、8個、9個又は10個以上の炭素原子によって形成され得る。アリール基は任意に置換されていてもよい。アリール基の例には、限定されるものではないが、フェニル、ナフタレニル、フェナントレニル、アントラセニル、フルオレニル及びインデニルが含まれる。構造に応じて、アリール基は、一価基又は二価基(すなわち、アリーレン基)であり得る。
【0024】
「アリールオキシ」という用語は、アリールが本明細書で規定されるものである-O-アリール基を指す。
【0025】
「ヘテロアリール」という用語は、窒素、酸素及び硫黄からなる群から選択される1個以上の環ヘテロ原子を含むアリール基を指す。N含有「ヘテロアリール」部分は、環の骨格原子の少なくとも1つが窒素原子である芳香族基を指す。構造に応じて、ヘテロアリール基は、一価基又は二価基(すなわち、ヘテロアリーレン基)であり得る。ヘテロアリール基の例には、限定されるものではないが、ピリジニル、イミダゾリル、ピリミジニル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピラジニル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、キノリニル、イソキノリニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、インダゾリル、インドリジニル、フタラジニル、ピリダジニル、イソインドリル、プテリジニル、プリニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、フリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾキサゾリル、キナゾリニル、ナフチリジニル、フロピリジニル等が含まれる。
【0026】
「アルキル(アリール)」又は「アラルキル」という用語は、本明細書で規定されるアリール基で置換された、本明細書で規定されるアルキル基を指す。非限定的なアルキル(アリール)基には、ベンジル、フェネチル等が含まれる。
【0027】
「アルキル(ヘテロアリール)」又は「ヘテロアリールアルキル」という用語は、本明細書で規定されるヘテロアリール基で置換された、本明細書で規定されるアルキル基を指す。
【0028】
本明細書で使用される場合に、「ヘテロアルキル」という用語は、1個以上の骨格鎖原子がヘテロ原子、例えば酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン又はそれらの組合せである、本明細書で規定されるアルキル基を指す。ヘテロアルキル基の任意の内部位置に又はヘテロアルキル基が分子の残部に結合されている位置に、ヘテロ原子(複数の場合もある)が配置されていてもよい。
【0029】
本明細書で使用される場合に、「ヘテロシクロアルキル」又は「ヘテロシクリル」という用語は、環を形成する1個以上の原子が窒素、酸素及び硫黄からなる群から選択されるヘテロ原子である非芳香族環を指す。ヘテロシクロアルキル環は3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個又は10個以上の原子によって形成され得る。ヘテロシクロアルキル環は、任意に置換されていてもよい。ヘテロシクロアルキルの例には、限定されるものではないが、ラクタム、ラクトン、環状イミド、環状チオイミド、環状カルバメート、テトラヒドロチオピラン、4H-ピラン、テトラヒドロピラン、ピペリジン、1,3-ジオキシン、1,3-ジオキサン、1,4-ジオキシン、1,4-ジオキサン、ピペラジン、1,3-オキサチアン、1,4-オキサチイン、1,4-オキサチアン、テトラヒドロ-1,4-チアジン、2H-1,2-オキサジン、マレイミド、スクシンイミド、バルビツール酸、チオバルビツール酸、ジオキソピペラジン、ヒダントイン、ジヒドロウラシル、モルホリン、トリオキサン、ヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン、テトラヒドロチオフェン、テトラヒドロフラン、ピロリン、ピロリジン、イミダゾリジン、ピロリドン、ピラゾリン、ピラゾリジン、イミダゾリン、イミダゾリジン、1,3-ジオキソール、1,3-ジオキソラン、1,3-ジチオール、1,3-ジチオラン、イソオキサゾリン、イソオキサゾリジン、オキサゾリン、オキサゾリジン、オキサゾリジノン、チアゾリン、チアゾリジン、及び1,3-オキサチオランが含まれる。構造に応じて、ヘテロシクロアルキル基は、一価基又は二価基(すなわち、ヘテロシクロアルキレン基)であり得る。
【0030】
「アルキル(ヘテロシクロアルキル)」又は「ヘテロシクロアルキルアルキル」という用語は、本明細書で規定されるヘテロシクロアルキル基で置換された、本明細書で規定されるアルキル基を指す。
【0031】
「アルコキシ(ヘテロシクロアルキル)」又は「ヘテロシクロアルキルアルコキシ」という用語は、本明細書で規定されるヘテロシクロアルキル基で置換された、本明細書で規定されるアルコキシ基を指す。
【0032】
「ハロ」又は「ハロゲン」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードを指す。
【0033】
「ハロアルキル」、「ハロアルコキシ」及び「ハロへテロアルキル」という用語には、少なくとも1個の水素がハロゲン原子で置き換えられているアルキル構造、アルコキシ構造又はヘテロアルキル構造が含まれる。2個以上の水素原子がハロゲン原子と置き換えられている或る特定の実施形態では、それらのハロゲン原子は互いに同じ又は異なっている。
【0034】
「ヒドロキシ」という用語は、-OH基を指す。
【0035】
「シアノ」という用語は、-CN基を指す。
【0036】
「エステル基」という用語は、式-COOR(ここで、Rはアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール(環炭素原子を介して連結される)及びヘテロシクリル(環炭素原子を介して連結される)からなる群から選択される)を有する化学的部分を指す。
【0037】
「アミノ」という用語は、-NH2基を指す。
【0038】
「アミノアシル」という用語は、-CO-NH2基を指す。
【0039】
「アルキルアミノアシル」という用語は、-CO-NH-R基(ここで、Rは本明細書で規定されるアルキル基である)を指す。
【0040】
「アミド」("amide" or "amido")という用語は、-NR-CO-R’(ここで、R及びR’は、独立して水素又はアルキルである)を指す。
【0041】
「アルキルアミノ」という用語は、1つ又は2つのアルキル基で更に置換されたアミノ置換基を指し、特に基-NRR’(ここで、R及びR’は、それぞれ独立して水素又は低級アルキルからなる群から選択されるが、但し、-NRR’は-NH2ではない)を指す。「アルキルアミノ」には、-NH2の窒素原子が少なくとも1個のアルキル基に結合されている化合物の基が含まれる。アルキルアミノ基の例には、限定されるものではないが、メチルアミノ、エチルアミノ等が含まれる。「ジアルキルアミノ」には、-NH2の窒素原子が少なくとも2つの他のアルキル基に結合されている基が含まれる。ジアルキルアミノ基の例には、限定されるものではないが、ジメチルアミノ及びジエチルアミノ等が含まれる。
【0042】
「アリールアミノ」及び「ジアリールアミノ」という用語は、1つ又は2つのアリール基で更に置換されたアミノ置換基、特に-NRR’基(ここで、R及びR’は、それぞれ独立して水素、低級アルキル又はアリールからなる群から選択され、Nは、少なくとも1つ又は2つのアリール基に連結される)を指す。
【0043】
「シクロアルキルアミノ」という用語は、本明細書で規定される1つ又は2つのシクロアルキル基で更に置換されたアミノ置換基を指す。
【0044】
「ヘテロアルキルアミノ」という用語は、本明細書で規定される1つ又は2つのヘテロアルキル基で更に置換されたアミノ置換基を指す。
【0045】
本明細書の「アラルキルアミノ」という用語は、-NRR’基(ここで、Rは低級アラルキル基であり、かつR’は水素、低級アルキル、アリール又は低級アラルキルである)を指す。
【0046】
「ヘテロアリールアミノ」という用語は、本明細書で規定される1つ又は2つのヘテロアリール基で更に置換されたアミノ置換基を指す。
【0047】
「ヘテロシクロアルキルアミノ」という用語は、本明細書で規定されるヘテロシクロアルキル基で置換された、本明細書で規定されるアミノ基を指す。
【0048】
「アルキルアミノアルキル」という用語は、本明細書で規定されるアルキルアミノ基で置換された、本明細書で規定されるアルキル基を指す。
【0049】
「アミノアルキル」という用語は、1つ以上のアミノ基で更に置換されたアルキル置換基を指す。
【0050】
「アミノアルコキシ」という用語は、1つ以上のアミノ基で更に置換されたアルコキシ置換基を指す。
【0051】
「ヒドロキシアルキル」又は「ヒドロキシルアルキル」という用語は、1つ以上のヒドロキシ基で更に置換されたアルキル置換基を指す。
【0052】
「シアノアルキル」という用語は、1つ以上のシアノ基で更に置換されたアルキル置換基を指す。
【0053】
「アシル」という用語は、一般式R-M(O)-(ここで、Mは通常はCである)によって表される有機酸素酸又は無機酸素酸からヒドロキシル基を除去した後に残る一価の原子基を指す。
【0054】
「カルボニル」という用語は、二重結合で連結した炭素原子及び酸素原子によって形成される有機官能基(C=O)である。
【0055】
「アルカノイル」又は「アルキルカルボニル」という用語は、アルキル基で更に置換されたカルボニル基を指す。典型的なアルカノイル基には、限定されるものではないが、アセチル、プロピオニル、ブチリル、バレリル、ヘキサノイル等が含まれる。
【0056】
「アリールカルボニル」という用語は、本明細書で規定されるアリール基で置換された、本明細書で規定されるカルボニル基を指す。
【0057】
「アルコキシカルボニル」という用語は、アルコキシ基で更に置換されたカルボニル基を指す。
【0058】
「ヘテロシクロアルキルカルボニル」という用語は、ヘテロシクロアルキル基で更に置換されたカルボニル基を指す。
【0059】
「アルキルアミノカルボニル」、「シクロアルキルアミノカルボニル」、「アリールアミノカルボニル」、「アラルキルアミノカルボニル」、及び「ヘテロアリールアミノカルボニル」という用語は、本明細書で規定されるアルキルアミノ基、シクロアルキルアミノ基、アリールアミノ基、アラルキルアミノ基又はヘテロアリールアミノ基でそれぞれ置換された、本明細書で規定されるカルボニル基を指す。
【0060】
「アルキルカルボニルアルキル」又は「アルカノイルアルキル」という用語は、アルキルカルボニル基で更に置換されたアルキル基を指す。
【0061】
「アルキルカルボニルアルコキシ」又は「アルカノイルアルコキシ」という用語は、アルキルカルボニル基で更に置換されたアルコキシ基を指す。
【0062】
「ヘテロシクロアルキルカルボニルアルキル」という用語は、ヘテロシクロアルキルカルボニル基で更に置換されたアルキル基を指す。
【0063】
「メルカプト」という用語は、-SH基を指す。「アルキルチオ」という用語は、本明細書で規定されるアルキル基で置換された、本明細書で規定されるメルカプト基を指す。
【0064】
「スルフリル」又は「スルホニル」という用語は、スルホン酸からヒドロキシル基が失われた後に残る官能基を指し、具体的には、-S(=O)2-基を指す。
【0065】
「スルホキシド」又は「スルフィニル」という用語は、-S(=O)-を指す。
【0066】
「アミノスルフリル」又は「アミノスルホニル」という用語は、-S(=O)2-NH2基を指す。
【0067】
「アルキルスルホキシド」又は「アルキルスルフィニル」という用語は、アルキル-S(=O)-を指す。
【0068】
「アルキルスルフリル」又は「アルキルスルホニル」という用語は、-S(=O)2-R(ここで、Rはアルキル基である)を指す。
【0069】
「アルキルアミノスルフリル」という用語は、本明細書で規定されるアルキルアミノ基で置換された、本明細書で規定されるスルフリル基を指す。
【0070】
「アルキルスルフリルアミノ」又は「シクロアルキルスルフリルアミノ」という用語は、本明細書で規定されるアルキルスルフリル基又はシクロアルキルスルフリル基で置換された、本明細書で規定されるアミノ基を指す。
【0071】
「シクロアルキルスルフリル」及び「シクロアルキルスルホニル」という用語は、-S(=O)2-R(ここで、Rはシクロアルキル基である)を指す。
【0072】
「アルキルスルホンアミド」及び「シクロアルキルスルホンアミド」という用語は、-NH-S(=O)2-R(ここで、Rはそれぞれアルキル基及びシクロアルキル基である)を指す。
【0073】
「第四級アンモニウム基」という用語は、-N+RR’R’’(ここで、R、R’及びR’’は、それぞれ独立して1個~8個の炭素原子を有するアルキル基からなる群から選択される)を指す。
【0074】
「任意に」という用語は、以下に記載される1つ以上の事象が起こっても又は起こらなくてもよいことを意味し、起こってもよい事象(複数の場合もある)と起こらなくてもよい事象(複数の場合もある)との両方を含む。「任意に置換された」又は「置換された」という用語は、上述の基が、それぞれ独立してアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ハロ、アミド、ニトロ、ハロアルキル、アミノ、メチルスルホニル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アミノアシル、アミノ保護基等からなる群から選択された1つ以上の更なる基で置換され得ることを指し、ここで、アミノ保護基は、好ましくは、ピバロイル、tert-ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、9-フルオレニルメトキシカルボニル、ベンジル、p-メトキシベンジル、アリルオキシカルボニル、トリフルオロアセチル等からなる群から選択される。
【0075】
本明細書で使用される「チロシンプロテインキナーゼ(TPK)」という用語は、ATPからタンパク質のチロシン残基へのγ-リン酸の転移を触媒し、様々な基質タンパク質のチロシン残基のリン酸化を触媒し、細胞の成長、増殖及び分化において重要な役割を果たすキナーゼの一種である。
【0076】
本明細書で使用されるキナーゼを「阻害する」、キナーゼを「阻害している」又はキナーゼの「阻害剤」という用語は、ホスホトランスフェラーゼ活性の阻害について言及している。
【0077】
本明細書に開示される化合物の「代謝物」は、化合物が代謝されるときに形成されるその化合物の誘導体である。「活性代謝物」という用語は、化合物が代謝されるときに形成される化合物の生物学的に活性な誘導体を指す。本明細書で使用される「代謝される」という用語は、生物が特定の物質を変化させる過程(限定されるものではないが、加水分解反応及び酵素によって触媒される反応、例えば酸化反応を含む)を合わせたものを指す。したがって、酵素は特定の構造変化をもたらし得る。例えば、シトクロムP450は、様々な酸化的反応及び還元的反応を触媒するのに対して、ウリジン二リン酸グルクロニルトランスフェラーゼは、活性化グルクロン酸分子を芳香族アルコール、脂肪族アルコール、カルボン酸、アミン及び遊離スルフヒドリル基に転移することを触媒する。代謝についての更なる情報は、The Pharmacological Basis of Therapeutics, 9th Edition, McGraw-Hill (1996)から入手することができる。本明細書に開示される化合物の代謝物は、宿主への化合物の投与及び宿主からの組織試料の分析、又はin vitroでの肝細胞と一緒の化合物のインキュベート及び得られた化合物の分析のいずれかによって同定することができる。両方の方法は当該技術分野でよく知られている。幾つかの実施形態では、化合物の代謝物は酸化的過程によって形成され、対応するヒドロキシ含有化合物に相当する。幾つかの実施形態では、化合物は薬理学的に活性な代謝物に代謝される。本明細書で使用される「調節する」という用語は、標的と直接的又は間接的のいずれかで相互作用させて、標的の活性を高めること、標的の活性を阻害すること、標的の活性を限定すること、又は標的の活性を拡張することを例としてのみ含む、標的の活性を変化させることを意味する。
【0078】
本明細書で使用される場合に、「標的タンパク質」という用語は、選択的に結合する化合物によって結合され得るタンパク質分子又はタンパク質の一部を指す。或る特定の実施形態では、標的タンパク質はチロシンキナーゼPI3Kδ(野生型若しくは様々な突然変異、又はそれらの組合せを含む)である。
【0079】
本明細書で使用される場合に、GI50は、細胞の50%成長阻害に必要な薬物濃度、すなわち、薬物によって50%の細胞(癌細胞等)の成長が阻害又は制御され得る薬物濃度を指す。
【0080】
本明細書で使用される場合に、IC50は、阻害の応答を測定するアッセイにおいて、最大応答の50%阻害を達成する特定の試験化合物の量、濃度又は投与量を指す。
【0081】
本明細書で使用される場合に、EC50は、特定の試験化合物によって誘導、誘発又は増強される特定の応答の最大発現の50%で用量依存性応答を惹起する試験化合物の投与量、濃度又は量を指す。
【0082】
本発明のキナーゼ阻害剤
本発明は、選択的PI3Kδキナーゼ阻害剤であって、式(I):
【化2】
(式中、
Xは、CH及びNからなる群から選択され、
R
1及びR
2は、それぞれ独立して水素、ハロゲン、及びC
1~6ハロアルキルからなる群から選択され、
R
3は、C
3~8シクロアルキルであり、
R
4は、水素及びC
1~6アルキルからなる群から選択され、
R
5は、水素、C
1~6アルキル、C
1~6アルコキシ、C
2~6アルキルアミド、及びC
1~6アルキルアミノアシルからなる群から選択され、
R
6は、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、C
1~6アルキル、及びC
1~6アルコキシからなる群から選択され、
又はR
5及びR
6は、一緒にフェニル基若しくはジオキソラン基を形成する)の化合物又はその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、エステル、酸、代謝物若しくはプロドラッグを含む、選択的PI3Kδキナーゼ阻害剤を提供する。
【0083】
好ましい実施形態において、XはCHである。
【0084】
好ましくは、R1及びR2は、それぞれ独立して水素、フッ素、及びハロメチルからなる群から選択され、より好ましくは、R1及びR2の両方が水素であるか、又はそれらの一方が水素であり、かつ他方がフッ素である。
【0085】
更に好ましくは、R3は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、又はシクロヘキシル等のC3~6シクロアルキル基である。
【0086】
更に好ましくは、R4は、水素、メチル、及びエチルからなる群から選択される。
【0087】
更に好ましくは、R5は、水素、C1~3アルキル(メチル、エチル、イソプロピル等)、C1~3アルコキシ(メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ等)、C2~3アルキルアミド(アセトアミド-NH-(C=O)-CH3等)及びC1~3アルキルアミノアシル(メチルアミノアシル-(C=O)-NH-CH3等)からなる群から選択され、特に好ましくは、R5はメトキシである。
【0088】
更に好ましくは、R6は、水素、ヒドロキシ、ハロゲン(フッ素、塩素等)、C1~3アルキル(メチル等)、及びC1~3アルコキシ(メトキシ等)からなる群から選択され、特に好ましくは、R6は、水素、フッ素、及びメトキシからなる群から選択される。
【0089】
好ましい実施形態において、R5及びR6は同時に水素ではない。
【0090】
本発明において、特に好ましい式(I)の化合物は、下記表1の化合物からなる群から選択される。
【0091】
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【0092】
本発明はまた、上記の化合物又はその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、エステル、酸、代謝物若しくはプロドラッグを含む医薬組成物、並びに該化合物又は医薬組成物を使用してチロシンキナーゼ(野生型若しくは様々な突然変異、又はそれらの組合せを含む)の活性を阻害するための方法及び使用、並びにチロシンキナーゼの活性によって調節される若しくは影響を受ける、又はチロシンキナーゼの活性が関与する疾患、障害又は病態の処置、予防又は改善のための方法及び使用に関し、該チロシンキナーゼはPI3Kδであり得る。
【0093】
本明細書では、様々な可変部について上記の基のあらゆる組合せが考慮される。当業者であれば、化学的に安定であり、当該技術分野で知られる技術だけでなく本明細書に示される技術によっても合成することができる化合物を得るために、本明細書に示される化合物における置換基及び置換パターンを選択することができると理解される。
【0094】
本明細書には、新規のキナーゼ阻害剤が記載される。これらの化合物の薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、エステル、酸、薬学的に活性な代謝物及びプロドラッグも本明細書に記載される。
【0095】
追加の実施形態又は更なる実施形態では、本明細書に記載される化合物は、それを必要とする生物に投与することで、代謝されて代謝物を生じ、その後に代謝物が使用されて、所望の治療効果を含む所望の効果がもたらされる。
【0096】
本明細書に記載される化合物は、薬学的に許容可能な塩として形成され得る及び/又は使用され得る。薬学的に許容可能な塩の種類には、限定されるものではないが、(1)化合物の遊離塩基形態を、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、メタリン酸等の薬学的に許容可能な無機酸、又は酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、リンゴ酸、クエン酸、コハク酸、マレイン酸、酒石酸、フマル酸、トリフルオロ酢酸、安息香酸、3-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2-エタンジスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、4-メチルビシクロ-[2.2.2]-オクタ-2-エン-1-カルボン酸、2-ナフタレンスルホン酸、酢酸tert-ブチル、グルコヘプトン酸、4,4’-メチレンビス-(3-ヒドロキシ-2-エン-1-カルボン酸)、3-フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、サリチル酸、ヒドロキシナフトエ酸、ステアリン酸、ムコン酸等の有機酸と反応することにより生成される酸付加塩;(2)親化合物に存在する酸性プロトンが、金属イオン、例えばアルカリ金属イオン(例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン)、アルカリ土類金属イオン(例えば、マグネシウムイオン又はカルシウムイオン)、若しくはアルミニウムイオンに置き換わるか、又は有機塩基と配位結合する場合に生成される塩基付加塩が含まれる。許容可能な有機塩基には、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリメチルアミン、N-メチルグルカミン等が含まれる。許容可能な無機塩基には、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等が含まれる。
【0097】
薬学的に許容可能な塩の対応する対イオンは、限定されるものではないが、イオン交換クロマトグラフィー、イオンクロマトグラフィー、キャピラリー電気泳動、誘導結合プラズマ、原子吸光分析、質量分析又はそれらの任意の組合せを含む様々な方法を使用して分析及び特定され得る。
【0098】
塩は、以下の技術:濾過、非溶媒による沈殿後の濾過、溶媒の蒸発又は水溶液の場合は凍結乾燥の少なくとも1つを使用することによって回収される。
【0099】
薬学的に許容可能な塩、多形体及び/又は溶媒和物のスクリーニング及び特性決定は、限定されるものではないが、熱分析、X線回折、分光法、顕微鏡法及び元素分析を含む様々な技術を使用して行うことができる。使用される様々な分光技術には、限定されるものではないが、ラマン、FTIR、UVIS及びNMR(液体状態及び固体状態)が含まれる。様々な顕微鏡法技術には、限定されるものではないが、IR顕微鏡法及びラマン顕微鏡法が含まれる。
【0100】
本発明の医薬組成物
本出願はまた、少なくとも1つの式(I)の化合物、又は該化合物の薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、エステル、酸、薬学的に活性な代謝物若しくはプロドラッグと、薬学的に許容可能な担体又は賦形剤と、任意に他の治療剤とを含む医薬組成物を提供する。
【0101】
処置の過程で、上記医薬組成物は、状況に応じて単独で、又は1つ以上の他の治療剤と組み合わせて使用され得る。本発明の化合物を含む薬剤は、注射、経口投与、吸入、直腸及び経皮の投与の少なくとも1つにより患者に投与され得る。
【0102】
他の治療剤は、免疫抑制剤(例えば、タクロリムス、シクロスポリン、ラパマイシン、メトトレキサート、シクロホスファミド、アザチオプリン、メルカプトプリン、ミコフェノール酸、又はFTY720)、グルココルチコイド(例えば、プレドニゾン、酢酸コルチゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、トリアムシノロン、ベクロメタゾン、酢酸フルドロコルチソン、酢酸デオキシコルチコステロン、アルドステロン)、非ステロイド系抗炎症薬(例えば、サリチレート、アリールアルカン酸、2-アリールプロピオン酸、N-アリールアントラニル酸、オキシカム、コキシブ、又はスルホンアニリド)、アレルギーワクチン、抗ヒスタミン剤、抗ロイコトリエン剤、β-アゴニスト、テオフィリン、抗コリン作動薬、又は他の選択的キナーゼ阻害剤(例えば、mTOR阻害剤、c-Met阻害剤)又はher2抗体からなる群から選択され得る。さらに、他の治療剤はまた、ラパマイシン、クリゾチニブ、タモキシフェン、ラロキシフェン、アナストロゾール、エキセメスタン、レトロゾール、Herceptin(商標)(トラスツズマブ)、Gleevec(商標)(イマチニブ)、Taxol(商標)(パクリタキセル)、シクロホスファミド、ロバスタチン、ミノシン、シタラビン、5-フルオロウラシル(5-FU)、メトトレキサート(MTX)、Taxotere(商標)(ドセタキセル)、Zoladex(商標)(ゴセレリン)、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ノコダゾール、テニポシド、エトポシド、Gemzar(商標)(ゲムシタビン)、エポチロン、ナベルビン、カンプトテシン、ダウノルビシン(Daunonibicin)、ダクチノマイシン、ミトキサントロン、アムサクリン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、エピルビシン又はイダルビシンであってもよい。或いは、他の治療剤は、G-CSF(顆粒球コロニー刺激因子)等のサイトカインであり得る。或いは、他の治療剤は、例えば、限定されるものではないが、CMF(シクロホスファミド、メトトレキサート及び5-フルオロウラシル)、CAF(シクロホスファミド、アドリアマイシン及び5-フルオロウラシル)、AC(アドリアマイシン及びシクロホスファミド)、FEC(5-フルオロウラシル、エピルビシン及びシクロホスファミド)、ACT若しくはATC(アドリアマイシン、シクロホスファミド及びパクリタキセル)、又はCMFP(シクロホスファミド、メトトレキサート、5-フルオロウラシル及びプレドニゾン)であり得る。
【0103】
本発明の実施形態では、患者が本発明に従って処置される場合に、所与の作用物質の量は、特定の投与計画、疾患又は病態の種類及びその重症度、処置を必要とする被験体又は宿主の特性(例えば、体重)等の要因に応じて変動することとなるが、例えば、投与される特定の作用物質、投与経路、処置される病態、及び処置される被験体又は宿主を含む症例を取り巻く特定の状況に従って、当該技術分野で既知の方式で定型的に決定することができる。一般に、成人の処置に使用される用量は、典型的には、1日当たり0.02mg~5000mgの範囲、例えば1日当たり約1mg~1500mgである。所望の用量は、単回用量で、又は同時に(又は短期間にわたって)若しくは適切な間隔で、例えば1日当たり2回、3回、4回又はそれ以上の部分用量(sub-doses)として投与される分割用量として都合よく表記され得る。上記の投与量範囲が示されているものの、当業者には、具体的な有効量は患者の病態及び医師の判断に応じて適切に調節され得ることが理解されるであろう。
【0104】
本発明の化合物の使用
本発明の「処置」は、治療的(対症処置等)及び/又は予防的であり得る。
【0105】
限定されるものではないが、脳癌(brain cancer)、腎臓癌、肝臓癌、副腎癌、膀胱癌、乳癌、リンパ腫、胃癌、胃腫瘍、食道癌、卵巣癌、結直腸癌、前立腺癌、膵臓癌、肺癌、膣癌、膵臓癌、甲状腺癌、頸部癌(neck cancer)、CNS癌、悪性神経膠腫、骨髄増殖性疾患、肉腫、神経膠芽腫、多発性骨髄腫、胃腸癌、結腸直腸癌、頭頸部腫瘍、脳腫瘍、表皮過形成、乾癬、前立腺過形成、新生物、上皮新生物、リンパ腫、乳癌、又は白血病を含む、良性又は悪性の腫瘍から選択される増殖性疾患の処置のための使用が好ましい。他の疾患としては、カウデン症候群、レルミット-ダクロス病、及びバンナヤン-ゾナナ(Bannayan-Zonana)症候群、又はPI3K/PKB経路が異常に活性化される疾患が挙げられる。リンパ腫及び血液腫瘍の処置が好ましく、慢性リンパ性白血病、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、マントル細胞リンパ腫のような疾患の処置がより好ましい。
【0106】
本発明による化合物はまた、炎症性又は閉塞性の気道疾患の処置においても使用され、例えば、組織損傷、気道炎症、気管支過敏性、リモデリング又は疾患進行の減少をもたらす。本発明が適用可能な炎症性又は閉塞性の気道疾患としては、内因性(非アレルギー性)喘息及び外因性(アレルギー性)喘息の両方、軽度喘息、中等度喘息、重度喘息、気管支喘息、運動誘発性喘息、職業性喘息及び細菌感染後に誘発される喘息を含む、あらゆるタイプ又は起源の喘息が挙げられる。喘息の処置はまた、例えば4歳又は5歳未満で、喘鳴症状を呈し、主要な医学的懸念の確立された患者カテゴリーであり、現在しばしば初発性又は初期段階の喘息として特定されている「喘鳴乳児(wheezy infants)」と診断又は診断可能な被験体の処置を包含するものと理解される。便宜上、この特定の喘息の病態を「喘鳴乳児症候群」と称する。
【0107】
喘息の処置における予防の有効性は、症候性発作(例えば急性喘息又は気管支収縮性の発作)の頻度又は重症度の低下、肺機能の改善、又は気道過敏性の改善によって証明され得る。さらに、有効性は、他の対症療法、すなわち、症候性発作が発生した際にそれを制限又は中断させるための又はそれが意図される、例えば抗炎症性(例えば、副腎皮質ステロイド)又は気管支拡張性の治療法の必要性が低下することで証明され得る。喘息の予防の利益は、特に「モーニングディップ(morning dipping)」を起こしやすい被験体に見られる場合がある。「モーニングディップ」は、かなりの割合の喘息に共通し、例えば午前4時頃から6時頃の間、すなわち通常は先に施された症候性喘息の任意の治療法から実質的に離れた時間の喘息発作を特徴とする、認識された喘息症候群である。
【0108】
本発明が適用可能な他の炎症性又は閉塞性の気道疾患及び病態としては、急性肺損傷(ALI)、成人/急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、慢性閉塞性の肺、気道又は肺の疾患(COPD、COAD又はCOLD)(それに伴う慢性気管支炎又は呼吸困難を含む)、肺気腫、並びに他の薬物療法、特に他の吸入薬物療法の結果としての気道過敏性の悪化が挙げられる。
【0109】
本発明はまた、例えば、急性、ピーナッツ誤飲性(arachidic)、カタル性、線維性、慢性又は結核性の気管支炎を含む、あらゆるタイプ又は起源の気管支炎の処置に適用可能である。本発明が適用可能な更なる炎症性又は閉塞性の気道疾患としては、あらゆるタイプ又は起源の塵肺症(慢性又は急性であるかどうかにかかわらず、気道閉塞を伴うことが多く、粉塵の繰り返し吸入によって引き起こされる、炎症性の、一般的に職業性の肺の疾患)、例えば、アルミニウム症、炭粉症、石綿症、石粉症、ダチョウ毛塵肺症(ptilosis)、鉄沈着症、珪肺症、煙塵肺症(tabacosis:タバコ肺症)及び綿肺症が挙げられる。
【0110】
本発明による化合物はまた、ホスファチジルイノシトール3-キナーゼによって媒介される以下の疾患、障害又は病態の処置においても使用される:呼吸器疾患、アレルギー、関節リウマチ、骨関節炎、リウマチ性疾患、乾癬、潰瘍性大腸炎、クローン病、敗血症性ショック、増殖性障害、アテローム性動脈硬化症、移植後の同種移植片拒絶、糖尿病、脳卒中、肥満又は再狭窄、白血病、間質腫(interstitialoma)、甲状腺癌、全身性肥満細胞症、好酸球増多症候群、線維症、関節リウマチ、多発性関節炎、強皮症、エリテマトーデス、移植片対宿主病、神経線維腫症、肺高血圧症、アルツハイマー病、セミノーマ、未分化胚細胞腫、肥満細胞腫、肺癌、気管支癌、未分化胚細胞腫、精巣上皮内腫瘍、黒色腫、乳癌、神経芽細胞腫、甲状腺乳頭癌/甲状腺濾胞癌、悪性リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、2型多発性内分泌腫瘍、褐色細胞腫、甲状腺癌、副甲状腺過形成/腺腫、結腸癌、結腸直腸腺腫、卵巣癌、前立腺癌、膠芽腫、脳腫瘍、悪性神経膠腫、膵臓癌、悪性胸膜中皮腫、血管芽細胞腫、血管腫、腎臓癌、肝臓癌、副腎癌、膀胱癌、胃癌、直腸癌、膣癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、多発性骨髄腫、頭頸部腫瘍、新生物、及び他の過形成性若しくは増殖性の疾患、又はそれらの組合せ。本発明の薬剤は、関節リウマチ及び全身性エリテマトーデスからなる群から選択される疾患を処置するのに特に適している。
【0111】
本発明の化合物はまた、好酸球関連障害、例えば好酸球増多症、特に気道及び/又は肺にも影響を与える過好酸球増加症を含む気道の好酸球関連障害(例えば肺組織の病的好酸球浸潤を含む)、並びに、例えば、レフラー症候群に起因又は付随する気道の好酸球関連障害、好酸球性肺炎、寄生虫(特に後生動物)の蔓延(熱帯性好酸球増多症を含む)、気管支肺アスペルギルス症、結節性多発動脈炎(チャーグ-ストラウス症候群を含む)、好酸球性肉芽腫及び薬物反応によって引き起こされる気道に影響を与える好酸球関連障害の処置における用途のものである。
【0112】
本発明の化合物はまた、皮膚の炎症性又はアレルギー性の病態、例えば、乾癬、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、円形脱毛症、多形性紅斑、疱疹状皮膚炎、強皮症、白斑、過敏性血管炎、蕁麻疹、水疱性類天疱瘡、エリテマトーデス、天疱瘡、後天性表皮水疱症、及び他の皮膚の炎症性又はアレルギー性の病態の処置にも使用される。
【0113】
本発明の化合物はまた、炎症性成分を有する疾患又は病態等の他の疾患又は病態の処置、例えば、結膜炎、乾性角結膜炎及び春季カタル等の眼の疾患及び病態、アレルギー性鼻炎を含む鼻に影響を与える疾患、並びに自己免疫性血液学的障害(例えば、溶血性貧血、再生不良性貧血、真正赤血球性貧血及び特発性血小板減少症)、全身性エリテマトーデス、多発性軟骨炎、強皮症、ウェゲナー肉芽腫症、皮膚筋炎、慢性活動性肝炎、重症筋無力症、スティーブンス-ジョンソン症候群、特発性スプルー、自己免疫性炎症性腸疾患(例えば、潰瘍性大腸炎及びクローン病)、内分泌眼症、グレーブス病、サルコイドーシス、肺胞炎、慢性過敏性肺炎、多発性硬化症、原発性胆汁性肝硬変、ブドウ膜炎(前部及び後部)、乾性角結膜炎及び春季カタル、間質性肺線維症、乾癬性関節炎及び糸球体腎炎(ネフローゼ症候群を伴う又は伴わない、例えば特発性ネフローゼ症候群又は微小変化型ネフローゼを含む)を含む、自己免疫反応が関与している又は自己免疫性の成分若しくは病因を有する炎症性疾患の処置に使用され得る。
【0114】
本発明の化合物で処置することができる他の疾患又は病態としては、敗血症性ショック、関節リウマチ、骨関節炎、癌等の増殖性疾患、アテローム性動脈硬化症、移植後の同種移植片拒絶、脳卒中、肥満、再狭窄、I型糖尿病(若年性糖尿病)及びII型糖尿病等の糖尿病、下痢性疾患、虚血/再灌流傷害、網膜症、例えば糖尿病性網膜症又は高圧酸素誘発性網膜症(hyperbaric oxygen induced retinopathy)、及び眼内圧の上昇又は眼房水の分泌の増加を特徴とする病態、例えば緑内障が挙げられる。
【0115】
炎症性気道疾患等の炎症性病態の阻害における本発明の化合物の有効性は、例えば、Szarka et al., J. Immunol. Methods (1997) 202:49-57;Renzi et al., Am. Rev. Respir. Dis. (1993) 148:932-939、Tsuyuki et al., J. Clin. 1nvest. (1995) 96:2924-2931、及びCernadas et al., Am. J. Respir. Cell Mol. Biol. (1999) 20:1-8に記載されるような気道炎症又は他の炎症性病態のマウス又はラットのモデル等の動物モデルにおいて実証され得る。
【0116】
化合物の調製
式(I)の化合物は、当業者に既知の標準的な合成技術を使用して、又は本明細書に記載される方法と組み合わせて当該技術分野で知られる方法を使用して合成することができる。さらに、本明細書で表記される溶媒、温度及び他の反応条件は当業者により変動し得る。更なる手引きとして、以下の合成方法も利用することができる。
【0117】
反応を、本明細書に記載される化合物を提供するために直線的な配列で用いることができ、又はそれらを使用して、本明細書に記載される及び/又は当該技術分野で知られている方法によってその後結合されるフラグメントを合成することができる。
【0118】
或る特定の実施形態では、本明細書に記載されるチロシンキナーゼ阻害剤化合物の作製方法及び使用方法が本明細書で提供される。或る特定の実施形態では、本明細書に記載される化合物は、以下の合成スキームを使用して合成することができる。適切な代替の出発材料を使用することにより、以下に記載されるのと類似の方法論を使用して化合物を合成することができる。
【0119】
本明細書に記載される化合物の合成に使用される出発材料は、合成されても又は商業的供給源から入手されてもよい。本明細書に記載される化合物及び種々の置換基を有する他の関連化合物は、当業者に知られる技術及び材料を使用して合成することができる。本明細書に開示される化合物の調製のための一般的方法は、当該技術分野における既知の反応から導くことができ、該反応は、本明細書に示される分子に様々な部分を導入するために当業者によって認識されるであろう適切な試薬及び条件を使用することによって変更され得る。
【0120】
所望であれば、限定されるものではないが、濾過、蒸留、結晶化、クロマトグラフィー等を含む慣例的な技術を使用して反応生成物を単離及び精製することができる。このような生成物は、物理定数及びスペクトルデータを含む慣例的な手段を使用して特性決定され得る。
【実施例】
【0121】
実施例1:2-(1-(4-アミノ-3-(3-フルオロ-4-メトキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-3-シクロブチル-5-フルオロキナゾリン-4(3H)-オン
【化3】
3-(3-フルオロ-4-メトキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(A2):3-ヨード-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(2.0g)を丸底フラスコに加え、続いて1,4-ジオキサン(30ml)、水(10ml)、(3-フルオロ-4-メトキシフェニル)ホウ酸(5.2g)、Pd(PPh
3)
4(1.8g)、及び炭酸カリウム(2.1g)を加えた。反応系を、アルゴンの保護下で、130℃で24時間反応させた。反応後、系を減圧下で蒸発させて溶媒を乾燥させ、得られたものを水で希釈して濾過した。濾過した固体生成物をジクロロメタンで洗浄して、粗生成物A2を得た。LC/MS:M+H 260.09。
【0122】
2-フルオロ-6-ニトロベンゾイルクロリド(B2):丸底フラスコに2-フルオロ-6-ニトロ安息香酸(14.0g)を加え、続いてテトラヒドロフラン(50ml)及びN,N-ジメチルホルムアミド(0.5ml)を加えた。次いで、系を氷水浴で0℃に冷却し、そこに塩化オキサリル(7.7ml)をゆっくりと加えた。反応系を0℃で1時間撹拌し、次いで室温に戻し、更に14時間反応させた。反応後、系を減圧下で蒸発させて溶媒を乾燥させ、粗製油B2を得た。LC/MS:M+H 203.99。
【0123】
N-シクロブチル-2-フルオロ-6-ニトロベンズアミド(B3):シクロブチルアミン(9.8ml)を丸底フラスコに加え、続いてテトラヒドロフラン(50ml)、及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(39ml)を加えた。次いで、系を氷水浴で0℃に冷却し、そこに2-フルオロ-6-ニトロベンゾイルクロリド(15.4g)をゆっくりと加えた。反応系を0℃で1時間撹拌し、次いで室温に戻し、更に12時間反応させた。反応後、系を減圧下で蒸発させて溶媒を乾燥させ、得られたものを水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機相を水及び飽和食塩水でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。有機相を濾過し、減圧下で蒸発乾固させて、粗生成物を得た。粗生成物を加圧シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物B3を得た。LC/MS:M+H 239.09。
【0124】
N-シクロブチル-2-フルオロ-6-ニトロ-N-プロピオニルベンズアミド(B4):N-シクロブチル-2-フルオロ-6-ニトロベンズアミド(6g)をマイクロ波反応器に加え、続いて無水プロピオン酸(50ml)を加えた。反応系を140℃及び150ワットで3時間反応させた。反応後、系をメタノールで希釈し、減圧下で蒸発乾固させて、黒色の油状粗生成物B4を得た。LC/MS:M+H 295.11。
【0125】
3-シクロブチル-2-エチル-5-フルオロキナゾリン-4(3H)-オン(B5):N-シクロブチル-2-フルオロ-6-ニトロ-N-プロピオニルベンズアミド(7.4g)を丸底フラスコに加え、続いて氷酢酸(50ml)を加えた。次いで、系を氷水浴で0℃に冷却し、そこに亜鉛粉末(8.2g)をゆっくりと加えた。反応系を0℃で1時間撹拌し、次いで室温に戻し、更に5時間反応させた。反応後、系を減圧下で蒸発させて溶媒を乾燥させ、得られたものを飽和重炭酸ナトリウムで希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機相を水及び飽和食塩水でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。有機相を濾過し、減圧下で蒸発乾固させて、粗生成物を得た。粗生成物を加圧シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物B5を得た。LC/MS:M+H 247.13。
【0126】
2-(1-ブロモエチル)-3-シクロブチル-5-フルオロキナゾリン-4(3H)-オン(B6):3-シクロブチル-2-エチル-5-フルオロキナゾリン-4(3H)-オン(1.3g)を丸底フラスコに加え、続いて四塩化炭素(30ml)、N-ブロモスクシンイミド(1.9g)及びアゾビスイソブチロニトリル(0.9g)を加えた。反応系を、アルゴンの保護下で、100℃で8時間反応させた。反応後、系を減圧下で蒸発させて溶媒を乾燥させ、得られたものを水で希釈し、ジクロロメタンで抽出した。有機相を水及び飽和食塩水でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。有機相を濾過し、減圧下で蒸発乾固させて、粗生成物を得た。粗生成物を加圧シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物B6を得た。LC/MS:M+H 325.04。
【0127】
2-(1-(4-アミノ-3-(3-フルオロ-4-メトキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-3-シクロブチル-5-フルオロキナゾリン-4(3H)-オン(1):2-(1-ブロモエチル)-3-シクロブチル-5-フルオロキナゾリン-4(3H)-オン(120mg)を丸底フラスコに加え、続いてN,N-ジメチルホルムアミド(2ml)、3-(3-フルオロ-4-メトキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(96mg)及び炭酸カリウム(100mg)を加えた。反応系を、アルゴンの保護下で、8時間反応させた。反応後、系を減圧下で蒸発させて溶媒を乾燥させ、得られたものを水で希釈し、ジクロロメタンで抽出した。有機相を水及び飽和食塩水でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。有機相を濾過し、減圧下で蒸発乾固させて、粗生成物を得た。粗生成物を加圧シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物1を得た。LC/MS:M+H 504.20。
【0128】
実施例2:2-((4-アミノ-3-(3-フルオロ-4-メトキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)メチル)-3-シクロヘキシル-5-フルオロキナゾリン-4(3H)-オン
【化4】
実施例2の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:518.21。
【0129】
実施例3:2-(1-(4-アミノ-3-(3-フルオロ-4-メトキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-3-シクロヘキシル-5-フルオロキナゾリン-4(3H)-オン
【化5】
実施例3の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:532.23。
【0130】
実施例4:2-((4-アミノ-3-(3-フルオロ-4-メトキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)メチル)-3-シクロペンチル-5-フルオロキナゾリン-4(3H)-オン
【化6】
実施例4の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:504.20。
【0131】
実施例5:2-(1-(4-アミノ-3-(3-フルオロ-4-メトキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-3-シクロペンチル-5-フルオロキナゾリン-4(3H)-オン
【化7】
実施例5の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:518.21。
【0132】
実施例6:2-((4-アミノ-3-(3-フルオロ-4-メトキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)メチル)-3-シクロプロピル-5-フルオロキナゾリン-4(3H)-オン
【化8】
実施例6の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:476.17。
【0133】
実施例7:2-((4-アミノ-3-(3-フルオロ-4-メトキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)メチル)-3-シクロブチル-5-フルオロキナゾリン-4(3H)-オン
【化9】
実施例7の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:490.18。
【0134】
実施例8:2-(1-(4-アミノ-3-(3-フルオロ-4-メトキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-3-シクロプロピル-5-フルオロキナゾリン-4(3H)-オン
【化10】
実施例8の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:490.18。
【0135】
実施例9:2-(1-(4-アミノ-3-(3-フルオロ-4-メトキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)プロピル)-3-シクロプロピル-5-フルオロキナゾリン-4(3H)-オン
【化11】
実施例9の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:504.20。
【0136】
実施例10:2-(1-(4-アミノ-3-(3-フルオロ-4-メトキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-3-シクロプロピルキナゾリン-4(3H)-オン
【化12】
実施例10の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:472.19。
【0137】
実施例11:2-(1-(4-アミノ-3-(3-フルオロ-4-メトキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)プロピル)-3-シクロプロピルキナゾリン-4(3H)-オン
【化13】
実施例11の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:486.21。
【0138】
実施例12:2-(1-(4-アミノ-3-(3-フルオロフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-3-シクロペンチル-5-フルオロキナゾリン-4(3H)-オン
【化14】
実施例12の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:488.20。
【0139】
実施例13:2-(1-(4-アミノ-3-フェニル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-3-シクロペンチル-5-フルオロキナゾリン-4(3H)-オン
【化15】
実施例13の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:470.21。
【0140】
実施例14:2-(1-(4-アミノ-3-(4-メトキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-3-シクロペンチル-5-フルオロキナゾリン-4(3H)-オン
【化16】
実施例14の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:500.22。
【0141】
実施例15:2-(1-(4-アミノ-3-(4-イソプロポキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-3-シクロペンチル-5-フルオロキナゾリン-4(3H)-オン
【化17】
実施例15の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:528.25。
【0142】
実施例16:2-(1-(4-アミノ-3-(3-フルオロフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-3-シクロブチル-5-フルオロキナゾリン-4(3H)-オン
【化18】
実施例16の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:474.19。
【0143】
実施例17:2-(1-(4-アミノ-3-フェニル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-3-シクロブチル-5-フルオロキナゾリン-4(3H)-オン
【化19】
実施例17の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:456.20。
【0144】
実施例18:2-(1-(4-アミノ-3-(3-フルオロ-4-イソプロポキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-3-シクロペンチル-5-フルオロキナゾリン-4(3H)-オン
【化20】
実施例18の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:546.25。
【0145】
実施例19:2-(1-(4-アミノ-3-(4-メトキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-3-シクロブチル-5-フルオロキナゾリン-4(3H)-オン
【化21】
実施例19の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:486.21。
【0146】
実施例20:2-(1-(4-アミノ-3-(4-イソプロポキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-3-シクロブチル-5-フルオロキナゾリン-4(3H)-オン
【化22】
実施例20の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:514.24。
【0147】
実施例21:2-(1-(4-アミノ-3-(3-フルオロ-4-イソプロポキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-3-シクロブチル-5-フルオロキナゾリン-4(3H)-オン
【化23】
実施例21の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:532.23。
【0148】
実施例22:2-(1-(4-アミノ-3-(3-フルオロ-4-メトキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-3-シクロプロピル-6-フルオロキナゾリン-4(3H)-オン
【化24】
実施例22の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:490.18。
【0149】
実施例23:2-(1-(4-アミノ-3-(3-フルオロ-4-メトキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)プロピル)-3-シクロプロピル-6-フルオロキナゾリン-4(3H)-オン
【化25】
実施例23の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:504.20。
【0150】
実施例24:2-(1-(4-アミノ-3-(4-イソプロピルフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-3-シクロペンチル-5-フルオロキナゾリン-4(3H)-オン
【化26】
実施例24の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:512.26。
【0151】
実施例25:2-(1-(4-アミノ-3-(3-フルオロ-4-メチルフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-3-シクロペンチル-5-フルオロキナゾリン-4(3H)-オン
【化27】
実施例25の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:502.22。
【0152】
実施例26:2-(1-(4-アミノ-3-(キノリン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-3-シクロペンチル-5-フルオロキナゾリン-4(3H)-オン
【化28】
実施例26の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:521.22。
【0153】
実施例27:2-(1-(4-アミノ-3-(3,4-ジメトキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-3-シクロブチル-5-フルオロキナゾリン-4(3H)-オン
【化29】
実施例27の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:516.22。
【0154】
実施例28:2-(1-(4-アミノ-3-(4-イソプロピルフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-3-シクロブチル-5-フルオロキナゾリン-4(3H)-オン
【化30】
実施例28の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:498.24。
【0155】
実施例29:2-(1-(4-アミノ-3-(3-フルオロ-4-メトキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-8-クロロ-3-シクロブチルキナゾリン-4(3H)-オン
【化31】
実施例29の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:520.17。
【0156】
実施例30:2-(1-(4-アミノ-3-(3-フルオロ-4-メトキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-8-クロロ-3-シクロペンチルキナゾリン-4(3H)-オン
【化32】
実施例30の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:534.18。
【0157】
実施例31:2-(1-(4-アミノ-3-(4-メトキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-8-クロロ-3-シクロペンチルキナゾリン-4(3H)-オン
【化33】
実施例31の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:516.19。
【0158】
実施例32:2-(1-(4-アミノ-3-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-8-クロロ-3-シクロペンチルキナゾリン-4(3H)-オン
【化34】
実施例32の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:530.21。
【0159】
実施例33:2-(1-(4-アミノ-3-(3-フルオロ-4-メトキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-3-シクロペンチル-6-フルオロキナゾリン-4-(3H)-オン
【化35】
実施例33の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:518.21。
【0160】
実施例34:2-(1-(4-アミノ-3-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-3-シクロブチル-5-フルオロキナゾリン-4(3H)-オン
【化36】
実施例34の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:500.22。
【0161】
実施例35:2-(1-(4-アミノ-3-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-3-シクロブチル-5-フルオロキナゾリン-4(3H)-オン
【化37】
実施例35の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:500.19。
【0162】
実施例36:2-(1-(4-アミノ-3-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-3-シクロペンチル-5-フルオロキナゾリン-4(3H)-オン
【化38】
実施例36の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:514.24。
【0163】
実施例37:2-(1-(4-アミノ-3-(4-メトキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-3-シクロブチルキナゾリン-4(3H)-オン
【化39】
実施例37の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:468.22。
【0164】
実施例38:2-(1-(4-アミノ-3-(3,4-ジメトキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-3-シクロブチルキナゾリン-4(3H)-オン
【化40】
実施例38の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:498.23。
【0165】
実施例39:2-(1-(4-アミノ-3-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-3-シクロブチルキナゾリン-4(3H)-オン
【化41】
実施例39の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:482.23。
【0166】
実施例40:2-(1-(4-アミノ-3-(4-メトキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)プロピル)-3-シクロプロピル-5-フルオロキナゾリン-4(3H)-オン
【化42】
実施例40の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:486.21。
【0167】
実施例41:2-(1-(4-アミノ-3-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-3-シクロプロピル-6-フルオロキナゾリン-4-(3H)-オン
【化43】
実施例41の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:486.21。
【0168】
実施例42:2-(1-(4-アミノ-3-(4-メトキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-3-シクロプロピル-6-フルオロキナゾリン-4(3H)-オン
【化44】
実施例42の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:472.19。
【0169】
実施例43:2-(1-(4-アミノ-3-(3-フルオロ-4-メチルフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-3-シクロプロピル-6-フルオロキナゾリン-4-(3H)-オン
【化45】
実施例43の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:474.19。
【0170】
実施例44:2-(1-(4-アミノ-3-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-3-シクロプロピルキナゾリン-4(3H)-オン
【化46】
実施例44の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:468.22。
【0171】
実施例45:2-(1-(4-アミノ-3-(4-メトキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-3-シクロプロピルキナゾリン-4(3H)-オン
【化47】
実施例45の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:454.20。
【0172】
実施例46:2-(1-(4-アミノ-3-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-3-シクロペンチル-5-フルオロキナゾリン-4(3H)-オン
【化48】
実施例46の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:514.20。
【0173】
実施例47:2-(1-(4-アミノ-3-(3,4-ジメトキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)プロピル)-3-シクロプロピル-5-フルオロキナゾリン-4(3H)-オン
【化49】
実施例47の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:516.22。
【0174】
実施例48:4-(4-アミノ-1-(1-(3-シクロプロピル-5-フルオロ-4-オキソ-3,4-ジヒドロキナゾリン-2-イル)プロピル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-3-イル)-N-メチルベンズアミド
【化50】
実施例48の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:513.22。
【0175】
実施例49:N-(4-(4-アミノ-1-(1-(3-シクロプロピル-5-フルオロ-4-オキソ-3,4-ジヒドロキナゾリン-2-イル)プロピル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-3-イル)フェニル)アセトアミド
【化51】
実施例49の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:513.22。
【0176】
実施例50:2-(1-(4-アミノ-3-(6-メトキシピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)プロピル)-3-シクロプロピル-5-フルオロキナゾリン-4(3H)-オン
【化52】
実施例50の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:487.20。
【0177】
実施例51:2-(1-(4-アミノ-3-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)プロピル)-3-シクロプロピル-5-フルオロキナゾリン-4(3H)-オン
【化53】
実施例51の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:500.18。
【0178】
実施例52:4-(4-アミノ-1-(1-(3-シクロブチル-5-フルオロ-4-オキソ-3,4-ジヒドロキナゾリン-2-イル)エチル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジンピリジン-3-イル)-N-メチルベンズアミド
【化54】
実施例52の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:513.21。
【0179】
実施例53:N-(4-(4-アミノ-1-(1-(3-シクロブチル-5-フルオロ-4-オキソ-3,4-ジヒドロキナゾリン-2-イル)エチル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-3-イル)フェニル)アセトアミド
【化55】
実施例53の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:513.21。
【0180】
実施例54:2-(1-(4-アミノ-3-(6-メトキシピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-3-シクロブチル-5-フルオロキナゾリン-4(3H)-オン
【化56】
実施例54の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:487.20。
【0181】
実施例55:2-(1-(4-アミノ-3-(4-エチルフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-3-シクロブチル-5-フルオロキナゾリン-4(3H)-オン
【化57】
実施例55の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:484.22。
【0182】
実施例56:2-(1-(4-アミノ-3-(3-フルオロ-4-メトキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)プロピル)-3-シクロプロピル-6,7-ジフルオロキナゾリン-4(3H)-オン
【化58】
実施例56の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:522.18。
【0183】
実施例57:4-(4-アミノ-1-(1-(3-シクロプロピル-6,7-ジフルオロ-4-オキソ-3,4-ジヒドロキナゾリン-2-イル)プロピル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-3-イル)-N-メチルベンズアミド
【化59】
実施例57の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:531.20。
【0184】
実施例58:2-(1-(4-アミノ-3-(3-フルオロ-4-メトキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-3-シクロプロピル-7-(トリフルオロメチル)キナゾリン-4(3H)-オン
【化60】
実施例58の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:540.17。
【0185】
実施例59:2-(1-(4-アミノ-3-(4-メトキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-3-シクロプロピル-7-(トリフルオロメチル)キナゾリン-4(3H)-オン
【化61】
実施例59の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:522.18。
【0186】
実施例60:2-(1-(4-アミノ-3-(3,4-ジメトキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-3-シクロプロピル-7-(トリフルオロメチル)キナゾリン-4(3H)-オン
【化62】
実施例60の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:552.53。
【0187】
実施例61:2-(1-(4-アミノ-3-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)プロピル)-3-シクロプロピル-5-フルオロキナゾリン-4(3H)-オン
【化63】
実施例61の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:500.22。
【0188】
実施例62:N-(4-(4-アミノ-1-(1-(3-シクロプロピル-6,7-ジフルオロ-4-オキソ-3,4-ジヒドロキナゾリン-2-イル)プロピル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-3-イル)フェニル)アセトアミド
【化64】
実施例62の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:531.20。
【0189】
実施例63:2-(1-(4-アミノ-3-(4-メトキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)プロピル)-3-シクロプロピル-6-フルオロキナゾリン-4(3H)-オン
【化65】
実施例63の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:486.20。
【0190】
実施例64:2-(1-(4-アミノ-3-(3,4-ジメトキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)プロピル)-3-シクロプロピル-6-フルオロキナゾリン-4(3H)-オン
【化66】
実施例64の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:516.21。
【0191】
実施例65:4-(4-アミノ-1-(1-(3-シクロプロピル-6-フルオロ-4-オキソ-3,4-ジヒドロキナゾリン-2-イル)プロピル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-3-イル)-N-メチルベンズアミド
【化67】
実施例65の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:513.21。
【0192】
実施例66:N-(4-(4-アミノ-1-(1-(3-シクロプロピル-6-フルオロ-4-オキソ-3,4-ジヒドロキナゾリン-2-イル)プロピル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-3-イル)フェニル)アセトアミド
【化68】
実施例66の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:513.21。
【0193】
実施例67:2-(1-(4-アミノ-3-(6-メトキシピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)プロピル)-3-シクロプロピル-6-フルオロキナゾリン-4-(3H)-オン
【化69】
実施例67の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:487.20。
【0194】
実施例68:4-(4-アミノ-1-(1-(3-シクロブチル-4-オキソ-3,4-ジヒドロキナゾリン-2-イル)エチル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-3-イル)-N-メチルベンズアミド
【化70】
実施例68の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:495.22。
【0195】
実施例69:N-(4-(4-アミノ-1-(1-(3-シクロブチル-4-オキソ-3,4-ジヒドロキナゾリン-2-イル)エチル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-3-イル)フェニル)アセトアミド
【化71】
実施例69の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:495.22。
【0196】
実施例70:2-(1-(4-アミノ-3-(6-メトキシピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-3-シクロブチルキナゾリン-4(3H)-オン
【化72】
実施例70の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:469.21。
【0197】
実施例71:2-(1-(4-アミノ-3-(3-メトキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-3-シクロブチルキナゾリン-4(3H)-オン
【化73】
実施例71の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:468.21。
【0198】
実施例72:2-(1-(4-アミノ-3-(3-ヒドロキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-3-シクロブチルキナゾリン-4(3H)-オン
【化74】
実施例72の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:454.20。
【0199】
実施例73:2-(1-(4-アミノ-3-(3-メトキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-3-シクロブチル-5-フルオロキナゾリン-4(3H)-オン
【化75】
実施例73の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:486.20。
【0200】
実施例74:2-(1-(4-アミノ-3-(3-ヒドロキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-3-シクロブチル-5-フルオロキナゾリン-4(3H)-オン
【化76】
実施例74の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:472.19。
【0201】
実施例75:2-(1-(4-アミノ-3-(3-ヒドロキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-3-シクロプロピル-6-フルオロキナゾリン-4(3H)-オン
【化77】
実施例75の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:458.17。
【0202】
実施例76:2-(1-(4-アミノ-3-(3-メトキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-3-シクロプロピル-6-フルオロキナゾリン-4(3H)-オン
【化78】
実施例76の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:472.19。
【0203】
実施例77:2-(1-(4-アミノ-3-(3-ヒドロキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-3-シクロプロピルキナゾリン-4(3H)-オン
【化79】
実施例77の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:440.18。
【0204】
実施例78:2-(1-(4-アミノ-3-(3-メトキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-3-シクロプロピルキナゾリン-4(3H)-オン
【化80】
実施例78の化合物の合成は、実施例1に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:454.20。
【0205】
実施例79:2-((S)-1-(4-アミノ-3-(3-フルオロ-4-メトキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-3-シクロブチル-5-フルオロキナゾリン-4(3H)-オン
【化81】
(R)-2-クロロプロピオニルクロリド(C2):丸底フラスコに(R)-2-クロロプロピオン酸(1.5g)を加え、続いてテトラヒドロフラン(20ml)及びN,N-ジメチルホルムアミド(0.5ml)を加えた。系を氷水浴で0℃に冷却し、次いでそこに塩化オキサリル(1.4ml)をゆっくりと加えた。反応系を0℃で1時間撹拌し、次いで室温に戻し、更に14時間反応させた。反応後、系を減圧下で蒸発させて溶媒を乾燥させ、粗製油C2を得た。LC/MS:M+H 126.97。
【0206】
2-アミノ-N-シクロブチル-6-フルオロベンズアミド(D2):丸底フラスコに2-アミノ-6-フルオロ安息香酸(1.0g)を加え、続いてテトラヒドロフラン(20ml)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(2.3ml)、HATU(2.9g)及びシクロブチルアミン(0.66ml)を加えた。次いで、系を氷水浴で0℃に冷却した。反応系を0℃で1時間撹拌し、次いで室温に戻し、更に12時間反応させた。反応後、系を減圧下で蒸発させて溶媒を乾燥させ、得られたものを水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機相を水及び飽和食塩水でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。有機相を濾過し、減圧下で蒸発乾固させて、粗生成物を得た。粗生成物を加圧シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物D2を得た。LC/MS:M+H 209.11。
【0207】
(R)-2-(2-クロロプロピオンアミド)-N-シクロブチル-6-フルオロベンズアミド(D3):丸底フラスコに2-アミノ-N-シクロブチル-6-フルオロベンズアミド(1.3g)を加え、続いてテトラヒドロフラン(30ml)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(3.4ml)を加えた。次いで、系を氷水浴で0℃に冷却し、そこに(R)-2-クロロプロピオニルクロリド(0.88g)をゆっくりと加えた。反応系を0℃で1時間撹拌し、次いで室温に戻し、更に12時間反応させた。反応後、系を減圧下で蒸発させて溶媒を乾燥させ、得られたものを水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機相を水及び飽和食塩水でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。有機相を濾過し、減圧下で蒸発乾固させて、粗生成物を得た。粗生成物を加圧シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物D3を得た。LC/MS:M+H 299.09。
【0208】
2-((S)-2-(4-アミノ-3-(3-フルオロ-4-メトキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)プロピオンアミド)-N-シクロブチル-6-フルオロベンズアミド(D4):丸底フラスコに(R)-2-(2-クロロプロピオンアミド)-N-シクロブチル-6-フルオロベンズアミド(100mg)を加え、続いてN,N-ジメチルホルムアミド(2ml)、3-(3-フルオロ-4-メトキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(174mg)及び炭酸カリウム(93mg)を加えた。反応系を、アルゴンの保護下で、室温で8時間反応させた。反応後、系を減圧下で蒸発させて溶媒を乾燥させ、得られたものを水で希釈し、ジクロロメタンで抽出した。有機相を水及び飽和食塩水でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。有機相を濾過し、減圧下で蒸発乾固させて、粗生成物を得た。粗生成物を加圧シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物D4を得た。LC/MS:M+H 522.20。
【0209】
2-((S)-1-(4-アミノ-3-(3-フルオロ-4-メトキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-3-シクロブチル-5-フルオロキナゾリン-4(3H)-オン(79):丸底フラスコに2-((S)-2-(4-アミノ-3-(3-フルオロ-4-メトキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)プロピオンアミド)-N-シクロブチル-6-フルオロベンズアミド(100mg)を加え、続いてアセトニトリル(2ml)、塩化亜鉛(102mg)及びヘキサメチルジシラザン(132μl)を加えた。反応系を、アルゴンの保護下で、還流下8時間反応させた。反応後、系を減圧下で蒸発させて溶媒を乾燥させ、得られたものを水で希釈し、ジクロロメタンで抽出した。有機相を水及び飽和食塩水でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。有機相を濾過し、減圧下で蒸発乾固させて、粗生成物を得た。粗生成物を加圧シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物79を得た。LC/MS:M+H 504.19。
【0210】
実施例80:2-((R)-1-(4-アミノ-3-(3-フルオロ-4-メトキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-3-シクロブチル-5-フルオロキナゾリン-4(3H)-オン
【化82】
実施例80の化合物の合成は、実施例79に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:504.19。
【0211】
実施例81:2-((S)-1-(4-アミノ-3-(3-フルオロ-4-メトキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)プロピル)-3-シクロプロピル-5-フルオロキナゾリン-4(3H)-オン
【化83】
実施例81の化合物の合成は、実施例79に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:504.19。
【0212】
実施例82:2-((R)-1-(4-アミノ-3-(3-フルオロ-4-メトキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)プロピル)-3-シクロプロピル-5-フルオロキナゾリン-4(3H)-オン
【化84】
実施例82の化合物の合成は、実施例79に記載されたものと同様の手順を使用することによって完了した。MS(ESI) m/z(M+1)+:504.19。
【0213】
実施例83:阻害活性(酵素活性)のin vitro試験
in vitro酵素活性実験を行って、PI3KファミリーI型キナーゼ(PI3Kα、PI3Kβ、PI3Kγ、PI3Kδ)及びII型キナーゼ(PIK3C2A、PIK3C2B)に対する化合物のIC50値を決定した。プロテインキナーゼPI3Kα、PI3Kγ、PI3Kδ、PIK3C2A、及びPIK3C2BをいずれもInvitrogen社(米国)から購入し、プロテインキナーゼPI3Kβをsigma社(米国)から購入し、3種類の基質PIP2:PS、PI及びPI:PSをInvitrogen社(米国)から購入した。
【0214】
或る特定の濃度に希釈されたプロテインキナーゼ、すなわち、PI3Kα 5.4μL(最終濃度0.16ng/μL)、PI3Kβ 5.4μL(最終濃度6ng/μL)、PI3Kδ 5.4μL(最終濃度1ng/μL)、PI3Kγ 5.4μL(最終濃度5ng/μL)、PIK3C2A 5.4μL(最終濃度5ng/μL)、及びPIK3C2B 5.4μL(最終濃度10ng/μL)をそれぞれ、1μLの段階的に希釈された薬物化合物と室温で1時間反応させた(最終薬物濃度は、それぞれ10μM、1μM、0.3μM、0.1μM、0.03μM、0.01μM、0.003μM、及び0.001μMであった)。
【0215】
上記のPI3KファミリーI型キナーゼの各反応チューブに対して、ATP(Promega社、米国)と基質PIP2:PSとの混合物6μL(キナーゼPI3Kα及びPI3Kβの反応系におけるATPの最終濃度は10μMであり、キナーゼPI3Kδ及びPI3Kγの反応系におけるATPの最終濃度は50μMであり、基質PIP2:PSの最終濃度はいずれも50μMであった)を加え、37℃で1時間反応させた。反応バッファーは、50mM Hepes(pH7.5)(Promega社、米国)、3mM MgCl2、1mM EGTA(Promega社、米国)、100mM NaCl、0.03%CHAPS(Promega社、米国)であった。
【0216】
上記のPI3KファミリーII型キナーゼの各反応チューブに、ATPと基質PIとの混合物6μL(最終濃度はそれぞれ50μM及び100μMであった)を加え、37℃で1時間反応させた。反応バッファーは、50mM Hepes(pH7.5)、3mM MgCl2、1mM EGTA、100mM NaCl、0.03%CHAPSであった。
【0217】
反応後のキナーゼ溶液5μLを384ウェルプレート(Corning社、米国)に入れ、ADP-Glo(商標)試薬(Promega社、米国)5μLをそこに加え、室温で40分間反応させてキナーゼ反応を停止させ、残りのATPを使い果たした。10μLのキナーゼ検出試薬を加えてADPをATPに変換し、ルシフェラーゼ/ルシフェリンの結合反応を利用して、新たに合成されたATPを検出した。読み取り及びプロットにはEnvisionを利用し、Graphpad IC50値を計算した。実験結果を表2及び表3に示した。
【0218】
実験は、本発明の化合物がPI3Kδの選択的阻害剤であり、PI3Kδに対して強い阻害活性を有し、他のPI3Kファミリーキナーゼに対して優れた選択性を有し、特にPI3Kγに対する阻害活性に対して10倍以上、好ましくは20倍以上の選択性を有することを示した。PI3Kδ及びPI3Kγは主にリンパ球で発現されるが、PI3Kγは心筋細胞でも発現されることが報告されている。PI3Kγが同時に阻害されると、心機能が影響を受け、例えば、虚血性心疾患を有する患者の血管新生が影響を受ける場合がある(Circ Res. 2010 March 5; 106(4): 757-768)。したがって、PI3Kγの阻害を相対的に低くしながら、又はPI3Kγを阻害せずに、PI3Kδ活性を選択的に阻害することは、臨床的意義がある。対照化合物TGR1202(MedChemExpress社、中国)と比較して、本発明の化合物の活性は14倍改善され、PI3Kγに対しての選択性は38倍改善された。
【0219】
【0220】
【0221】
実施例84:関節リウマチのラットモデルにおける有効性の試験
この実施例では、化合物9の実験結果をアジュバント関節炎のラットモデルで試験した。
【0222】
実験手順を以下に解説する:
【0223】
(1)Sprague-Dawley(SD)ラット、雌性、体重180g±20gを、Beijing Vital River Laboratory Animal Technology Co., Ltd.社から購入し、SPF実験室で管理した。飲料水及び敷きわらをオートクレーブ滅菌し、ラットに関する全ての作業を滅菌条件下で行った。
【0224】
(2)ビヒクル群及び処理群において、10.0mg/mlのCFA(完全フロイントアジュバント、米国のSigma社から購入)を完全に混合し、0日目に0.1mlのCFAを各ラットの右後肢足底(vola pedis)に皮内注射して炎症を誘発し、正常群にも同じ方法で生理食塩水を注射した。
【0225】
(3)体重及び足の腫脹を、モデリング後3日又は4日ごとに測定した。足の腫脹に応じて、全身性炎症が20日目に明らかになり、その後、モデル化に成功した雌性SDラットを無作為に、各群マウス5匹で2群、すなわちビヒクル群(0.5%メチルセルロース溶液、0.05ml/kg/日、中国のSinopharml社から購入)及び化合物9の処置群(25mg/kg/日の用量)に分け、正常群のラット5匹にはそれぞれ通常の生理食塩水(0.05ml/kg/日)を与えた。各群は、1日1回、14日間強制経口投与を受けた。
【0226】
(4)投与後2日ごとに体重及び足の腫脹を測定し、足の腫脹を足腫脹計測器(paw swelling meter)で測定した。炎症の前に、足容積計を使用して、各ラットの左後肢(非炎症側)の容積を測定した。炎症後、左後肢の容積を測定して、第二の足の腫脹の程度を得た(Δml=|注射後の足の容積-注射前の足の容積|)。
【0227】
実験結果を
図1a及び
図1bに示した。
図1aに示すように、化合物9は、アジュバント関節炎のラットモデルにおいてラットの体重に有意な影響を与えなかった。化合物9の投与から14日後のラットの足の腫脹は、ビヒクル群と比較して有意に減少し、本発明の化合物が関節リウマチに対して治療効果を有することを示す。
【産業上の利用可能性】
【0228】
本発明は、PI3Kδキナーゼ活性を阻害し、PI3Kδキナーゼ活性によって調節される若しくは影響を受ける、又はPI3Kδキナーゼ活性が関与する疾患、障害又は病態を処置、予防又は改善するために使用することができる選択的PI3Kδキナーゼ阻害剤を提供する。したがって、本発明の化合物を、産業用途に適した対応する薬剤へと製剤化することができる。