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特許7330576球状の粒子及び内部金属層を有する容器並びにそれを作製する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-14
(45)【発行日】2023-08-22
(54)【発明の名称】球状の粒子及び内部金属層を有する容器並びにそれを作製する方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 23/02 20060101AFI20230815BHJP
   B65D 65/42 20060101ALI20230815BHJP
   B29C 49/04 20060101ALI20230815BHJP
   B29C 49/42 20060101ALI20230815BHJP
【FI】
B65D23/02 Z
B65D65/42 A
B29C49/04
B29C49/42
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022562106
(86)(22)【出願日】2020-04-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-26
(86)【国際出願番号】 EP2020060351
(87)【国際公開番号】W WO2021204404
(87)【国際公開日】2021-10-14
【審査請求日】2023-03-31
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522396481
【氏名又は名称】チタンエックス・コーティング・テクノロジーズ・ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】TITANX COATING TECHNOLOGIES GMBH
【住所又は居所原語表記】c/o Luciano Schmid,Sihlfeldstrasse 192,8004 Zuerich,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【弁理士】
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】アングスト、ハインリッヒ
【審査官】田中 一正
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-130823(JP,A)
【文献】特表2016-501143(JP,A)
【文献】特開平09-048062(JP,A)
【文献】特開平02-125717(JP,A)
【文献】特開2015-229496(JP,A)
【文献】特開2005-104496(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 23/02
B65D 65/42
B29C 49/04
B29C 49/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器(1)の内面(6)上に内部コーティング(7)を有する可塑性組成物で作られた前記容器(1)を生産するための方法であって、前記内部コーティング(7)が1000nmの最大厚さを有し、少なくとも1つの金属層(7a)を備える方法において、
前記方法は、
-少なくとも1つのベースポリマー材料(9)及び少なくとも第1の添加剤を備える前記可塑性組成物を調製するステップと、
ここで、前記可塑性組成物の総体積の少なくとも2.5体積%は、前記第1の添加剤によって占められ、前記第1の添加剤は、モーススケールで少なくとも4の硬度を有する球状の粒子(8)を備え、
-次のa)、b)、及びc)を行うことによって前記容器(1)を押出ブロー成形するステップと、
a)少なくとも前記ベースポリマー材料(9)が可塑化されるまで、調製された前記可塑性組成物を加熱及び混合することと、
b)ダイ(12)及びブローピン(11)によってパリソンを形成することと、
ここにおいて、前記第1の添加剤の前記球状の粒子(8)は、ダイ(12)及びブローピン(11)によって行使される剪断力に起因して前記パリソンの内面上に蓄積される、
c)前記容器(1)を形成するために前記パリソンをブロー形成することと、
ここにおいて、前記容器(1)の前記内面(6)上に位置する前記第1の添加剤の球状の粒子(8)は、前記容器(1)の前記内面(6)の表面積及び硬度を増大させる、
-前記容器(1)の前記内面(6)上に前記内部コーティング(7)の少なくとも1つの前記金属層(7a)を塗布するステップと、ここで、塗布された前記金属層(7a)は、前記容器(1)の前記内面(6)上に位置する前記第1の添加剤の前記球状の粒子(8)に接合するものであり、
を備える、方法。
【請求項2】
前記第1の添加剤の前記球状の粒子(8)は、酸化型のケイ素及び/又は酸化型のチタンを備え、
前記第1の添加剤の少なくとも50体積%、好ましくは75体積%は、前記球状の粒子(8)によって占められる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の添加剤の前記球状の粒子(8)は、セノスフェア、アルミノケイ酸塩ミクロスフェア、金属間ミクロスフェア、フェノールミクロスフェア、金属ミクロスフェア、ガラスミクロスフェア、セラミックミクロスフェア、複合ミクロスフェア、結晶ミクロスフェア、プラスチックミクロスフェア、又はそれらの組み合わせから成るグループから選択される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の添加剤の前記球状の粒子(8)は、0.5μm~50μmの直径を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つの前記金属層(7a)、好ましくは、前記内部コーティング(7)全体は、物理蒸着(PVD)によって前記容器(1)の内面(6)上に塗布される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記可塑性組成物は、帯電特性を有する第2の添加剤を備え、前記可塑性組成物の総体積の少なくとも0.5体積%は、前記第2の添加剤によって占められる、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ベースポリマー材料(9)は、ポリエチレン若しくはポリプロピレンであり、及び/又は少なくとも1つの前記金属層(7a)は、チタン(Ti)若しくはチタン化合物を備え、好ましくは、それらから本質的に成る、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ダイ(12)は、末広ダイとして構成され、前記ブローピン(11)は、前記末広ダイに対応するように円錐形に形成される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
可塑性組成物で作られた容器(1)であって、
前記可塑性組成物は、ベースポリマー材料(9)及び第1の添加剤を備え、
少なくとも1つの金属層(7a)を備える内部コーティング(7)が、前記容器(1)の内面(6)に塗布され、前記内部コーティング(7)は、1000nmの最大厚さを有する、容器(1)において、
前記第1の添加剤は、モーススケールで少なくとも4の硬度を有する球状の粒子(8)を備え、
前記容器(1)の内面(6)上に位置する前記第1の添加剤の球状の粒子(8)は、前記内面(6)の表面積及び硬度を増大させ、
前記内部コーティング(7)、好ましくは、少なくとも1つの前記金属層(7a)は、塗布された金属層(7a)が前記容器(1)の内面(6)上に位置する前記第1の添加剤の前記球状の粒子(8)に固着することに起因して、前記容器(1)の内面(6)への増大した付着性を有する
ことを特徴とする、容器(1)。
【請求項10】
前記第1の添加剤の前記球状の粒子(8)は、mm2当たりの球状の粒子(8)の比が、前記容器の内面(6)に隣接するエリア(A)内では、総断面エリアのmm2当たりの球状の粒子(8)の平均比よりも高くなるように、前記容器(1)の断面エリアに対して前記容器(1)のポリマー母材中に分布していることを特徴とする、請求項9に記載の容器(1)。
【請求項11】
前記第1の添加剤の前記球状の粒子(8)は、酸化型のケイ素及び/又は酸化型のチタンを備え、好ましくは、二酸化チタン又は二酸化ケイ素又はケイ酸塩が主成分である結晶構造から実質的に成ることを特徴とする、請求項9又は10に記載の容器(1)。
【請求項12】
前記第1の添加剤の前記球状の粒子(8)は、セノスフェア、アルミノケイ酸塩ミクロスフェア、金属間ミクロスフェア、フェノールミクロスフェア、金属ミクロスフェア、ガラスミクロスフェア、セラミックミクロスフェア、複合ミクロスフェア、結晶ミクロスフェア、プラスチックミクロスフェア、又はそれらの組み合わせから成るグループから選択されることを特徴とする、請求項9又は11に記載の容器(1)。
【請求項13】
前記第1の添加剤の前記球状の粒子(8)は、0.5μm~50μmの直径を有することを特徴とする、請求項9~12のいずれか一項に記載の容器(1)。
【請求項14】
前記可塑性組成物は、帯電特性を有する第2の添加剤を備えることを特徴とする、請求項9~13のいずれか一項に記載の容器(1)。
【請求項15】
前記ベースポリマー材料は、ポリエチレン若しくはポリプロピレンであり、及び/又は少なくとも1つの前記金属層(7a)は、チタン(Ti)若しくはチタン化合物を備え、好ましくは、それらから本質的に成ることを特徴とする、請求項9~14のいずれか一項に記載の容器(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の内面上に内部コーティングを有する可塑性組成物(Plastic Composition)で作られた容器を生産するための方法であって、内部コーティングは、1000nmの最大厚さを有し、少なくとも1つの金属層を備える、方法と、可塑性組成物で作られた容器であって、可塑性組成物は、ベースポリマー材料及び第1の添加剤を備える、容器とに関し、ここにおいて、少なくとも1つの金属層を備える内部コーティングは、容器の内面に塗布され、内部コーティングは、1000nmの最大厚さを有する。
【0002】
本発明の意味の範囲内における容器は、中空体構造である。通常、容器は、中空体構造の内部体積部又は中空部を画定するシェル部と、中空体構造の一端上で内部体積部又は中空部を閉鎖する基部とを備える。このことから、容器は、任意の種類の物品を保管若しくは保持するために、又は構成要素若しくは構造を収容するために、のうちのいずれかで使用することができる。
【背景技術】
【0003】
少なくとも1つの金属層を備える内部コーティングを有する可塑性組成物で作られた容器は、多種多様な技術分野で使用することができ、金属層(複数可)は、異なる目的を有することができる。内部コーティングは、1つ以上が金属層であり得る複数の層を有することができるが、1~4つ、特に1~3つの層を有する内部コーティングが好ましい。通常、そのような内部コーティングは、内部コーティングを生成するために使用される材料の量を比較的少なく保つために、及び/又は容器の可撓性に悪影響を及ぼさないようにし、それと同時に、それぞれ内部コーティング若しくは内部コーティングの層の破損のリスクを最小限に抑えるために、のうちのいずれかで、容器の総壁厚と比較して、1000nm未満、好ましくは500nm未満、最も好ましくは300nm未満の比較的小さい厚さを有する。
【0004】
コーティングされていないプラスチック容器は、射出成形、射出延伸ブロー成形、ブロー成形、又は圧力ダイキャストなどの異なるプロセスで製造することができ、それらのプロセス自体は、当業者に知られている。
【0005】
内部コーティングの金属層は、(技術的に純粋な)金属又は合金から、及び例えば1つの特定の金属又は特定の合金の酸化物、窒化物などの適切な金属化合物から形成することができる。
【0006】
内部コーティングの金属層の1つの機能は、気体及び/又は液体が内部体積部から容器の外側に拡散するのを防止する拡散障壁として作用することに見ることができ、可塑性組成物のプラスチック又はポリマー材料は、それを防止することができない。そのような金属層は、加えて又は代替として、可塑性組成物の分子から容器の内容物への拡散を防止することができ、そのため、容器の内容物、例えば食品又は液体は、例えば可塑剤などの可塑性組成物の不純物によって汚染されない。金属層は更に、内部体積部を電磁的に遮蔽することができるように、導電性であり得る。
【0007】
前述した特性を有する金属層を生成するために、物理蒸着の技法が容器に使用されることが多い。
【0008】
少なくとも1つの金属層を備える内部コーティングを有する可塑性組成物で作られた既知の容器の1つの欠点は、内部コーティングが鋭利な物体によって損傷を受けやすく、それが内部コーティング、特に少なくとも1つの金属層における引っ掻き傷の原因となる可能性があるという事実に見ることができる。そのような損傷は、金属層の上記で説明したプラスの効果の失敗につながる可能性がある。この問題は、容器がその弾性特性を保持し、内部コーティングを損傷することなく弾性的に圧縮可能なままである場合に、大きくなる。
【0009】
「弾性的に圧縮可能」とは、容器の弾性可撓性の尺度である。これは、容器が、容器の長手方向軸に対して本質的に垂直に向けられ、且つ内側に向く押しつぶす力にさらされることを意味するものとして理解することができる。可塑性組成物の復元特性に起因して、反対方向に向くリセット力は、押しつぶす力が解放されると、容器をその元の変形されていない状態にリセットする。容器のそのような圧縮は、例えば、容器の内容物が粘性であることが予想される場合、又は内容物がボトルから注ぎ出されることを可能にするためにより高い圧力が必要とされる場合、例えば、容器の出力を改善するために必要であり得る。そのような特性は、例えばボトル、好ましくはスポーツボトルに関連し得る。更に、そのような特性は、輸送中及び/又は容器がある特定の高さから落とされた場合の損傷を防止するために有益であり得る。
【0010】
更に、従来の手段では、特に容器の弾性可撓性を保持することに関して、容器の内部コーティングと可塑性組成物との間の所望の高い付着性を達成することが困難であることが証明されている。
[発明の目的]
【0011】
従って、本発明の目的は、先行技術の欠点を克服し、且つ内部コーティングのより高い機械的安定性、例えば、より良好な耐引掻性及び/又は耐摩耗性、及び/又は容器の内部コーティングと内面との間のより良好な付着性を提供する容器、並びにそのような容器を生産するための方法を提案することである。更に、容器が圧縮可能な容器として構成される場合、提案された方法は、内部コーティングの必要とされる機械的安定性を保証するものとする。本発明の更なる目的は、内部コーティングを有する容器をより高い経済的なレートで生産するための改良された方法を提供することに見ることができる。
【発明の概要】
【0012】
上記に示した目的を達成するために、容器の内面上に内部コーティングを有する可塑性組成物で作られた容器を生産するための方法であって、内部コーティングは、1000nmの最大厚さを有し、少なくとも1つの金属層を備える、方法が提供され、以下のステップが実行される:
-少なくとも1つのベースポリマー材料及び少なくとも第1の添加剤を備える可塑性組成物を調製するステップと、ここにおいて、可塑性組成物の総体積の少なくとも2.5体積%は、第1の添加剤によって占められ、第1の添加剤は、モーススケールで少なくとも4の硬度を有する球状の粒子を備える、
a)少なくともベースポリマー材料が可塑化されるまで、調製された可塑性組成物を加熱及び混合することと、
b)ダイ及びブローピンによってパリソンを形成することと、
ここにおいて、第1の添加剤の球状の粒子は、ダイ及びブローピンによって行使される剪断力に起因してパリソンの内面上に蓄積される、
c)(コーティングされていない)容器を形成するためにパリソンをブロー形成することと、
ここにおいて、(コーティングされていない)容器の内面上に位置する第1の添加剤の球状の粒子は、(コーティングされていない)容器の内面の表面積及び硬度を増大させる、
-を行うことによって(コーティングされていない)容器を押出ブロー成形するステップと、
-(コーティングされていない)容器の内面上に少なくとも1つの金属層を塗布するステップと、ここにおいて、塗布された金属層は、(コーティングされていない)容器の内面上に位置する第1の添加剤の球状の粒子に接合する。
【0013】
本発明による内部コーティングを有するコーティングされたプラスチック容器を生産するための方法は、可塑性組成物の第1の添加剤と、コーティングされていない容器を生産するのに好ましい方法との相乗的な組み合わせに依拠する。
【0014】
本発明の第1の態様は、可塑性組成物への第1の添加剤の添加に関する。第1の添加剤は、可塑性組成物の少なくとも2.5体積%を占める。添加剤は、通常、総組成物の最大でも40体積%~50体積%を超えて占めないことは言うまでもない。好ましい範囲は、5体積%~30体積%、より好ましくは体積当たり10%~20%である。
【0015】
モーススケールによると少なくとも4(近似的に約190HV)、好ましくはモーススケールによると少なくとも6(近似的に約795HV)の増大した硬度に起因して、第1の添加剤の粒子は、以下でより詳細に議論するように、容器の内面の硬度を特に増大させることができる。
【0016】
第1の添加剤の粒子の幾何学的形状に起因して、即ち、球状の形態のために、粒子の特定の特性及び挙動を達成することができる。「球状」という用語は、球体形状及び楕円体形状の輪郭を有する粒子、並びに、数学的に完全な球体だけでなく、原理的にそのような幾何学的形状に似ている凸状に湾曲した形状の輪郭を有する粒子を備えるものとして理解されるべきであることが理解されるべきである。球状の粒子の表面は、閉鎖性、多孔性、開放多孔性とすることができるか、又は高い微小粗さを有することができる。球状の粒子は、中実体及び/又は中空体として構成され得、中空体は、より小さい密度という利点を有する。
【0017】
第1の添加剤の球状の粒子は、例えば、プラスチック材料から、又は金属、金属化合物、金属間化合物、金属合金、鉱物、結晶固体、複合材料、セラミック、ガラス、又はアモルファス材料などの無機材料から形成することができる。
【0018】
容器がブロー成形プロセスで生産されるとき、可塑性組成物(第1の添加剤を含む)は、パリソンが押し出される前に少なくともベースポリマー材料及び好ましくは可塑性組成物の全て又は本質的に全てのポリマー材料が可塑化されるので、第1のステップで加熱され、本質的に可塑化される。球状の形状のために、第1の添加剤の粒子は、形成プロセスにとって有害となるであろう凝集を構築することなく、可塑化されたベースポリマー材料と混合することができる。更に、粒子の球状の形状は、本質的に可塑化された組成物のメルトフロー特性を改善し(又は少なくともこれらの特性に悪影響を及ぼさず)、そのため、ダイヘッド内の本質的に可塑化された可塑性組成物のメルトフローインデックス(MFI)を達成することができ、それは、パリソンの滑らかな形成を可能にする。加熱及び混合は、通常、押出デバイスによって実行される。
【0019】
パリソンは、従来の手段によって、即ち、ダイ及びブローピンを使用することによって、加熱及び混合された可塑性組成物から形成され、それを通して、パリソンの必要とされる壁厚及び幾何学的形状が画定される。第1の添加剤の球状の粒子は可塑化されておらず、押出及び成形プロセス中にそれらの球状の形態を保持するので、パリソンの形成中に有益な効果を達成することができる:ブローピン及びダイによって、本質的に可塑化された可塑性組成物上に行使される剪断力に起因して、球状の粒子は、パリソンの内面に向かって「押され」、そのため、第1の添加剤の球状の粒子は、パリソンの内面に隣接するエリア上及び/又はその中に蓄積され、それは後に、コーティングされていない容器の内面を形成するであろう。その文脈では、球状の粒子は、パリソン/容器全体のポリマー母材中に依然として分布したままであるが、剪断力に起因して、内面のエリア内のそれらの濃度は、パリソン/容器内の平均濃度と比較してより高いことが理解されるべきである。この関係における濃度は、微粒子又は適切な光学及び/若しくはコンピュータベースの測定手段を介してパリソン/容器の断面上で測定することができる、面積当たりの粒子の量(例えばmm2当たり)として又は総面積当たりの粒子によって覆われたエリア(例えばmm2当たりのμm2)として理解することができる。
【0020】
以前に説明した効果は、球状の粒子が周囲の可塑性組成物及び/又はベースポリマー材料と比較して低い密度を有する場合に改善され得る。
【0021】
以前に説明した効果は、球状の粒子が金属間コーティング、好ましくはシラン(ケイ素-水素)コーティングを有する場合に更に改善され得、それは、好ましくは本質的に可塑化された状態で、球状の粒子と周囲の可塑性組成物又はベースポリマー材料との間に張力を生じさせ、それが、球状の粒子を(内部)表面に「押す」。
【0022】
その後、モールドが閉鎖され、加圧空気がパリソン中に挿入されて、モールドキャビティによって画定される容器の最終形態が生産される。パリソンの壁を構築する本質的に可塑化された可塑性組成物がガス圧によって引き伸ばされて薄くなるにつれて、パリソンの内面に隣接するエリア内に蓄積された球状の粒子は、大部分に広がり、このことから、コーティングされていない容器の内面上に少なくとも部分的に位置し、即ち、言い換えれば、少なくともセクションにおいて内面を形成する。これは、通常は球体状のキャップの形態の球状の粒子の一部がポリマー母材から突出し、このことから、第1の添加剤の球状の粒子を有さない従来の可塑性組成物で作られたコーティングされていない容器と比較して内面の全体的な表面積を増大させるためである。
【0023】
ポリマー母材と比較してより高い球状の粒子の硬度に起因して、内面の硬度も増大する。
【0024】
更なるステップでは、内部コーティングの少なくとも1つの金属層のうちの1つの金属層が、好ましくはスパッタリングプロセスによって、コーティングされていない容器の内面に塗布される。(コーティングされていない)容器の内面上に直接塗布された金属層は、より読みやすくするために「塗布された金属層」と呼ばれる。
【0025】
塗布された金属層は、内面の異なるセクション、即ち、第1の添加剤の突出する球状の粒子によって形成されたセクションと、ポリマー母材によって形成されたセクションとに異なって付着する。ポリマー母材と塗布された金属層との間の付着性は、既知の技術によるコーティングされた容器と比較することができるが、球状の粒子と塗布された金属層との間の付着性は、球状の粒子の構造及び/又は材料に起因して、並びに全体的な表面積の増大に起因して著しく増大する。増大した付着性の効果は、球状の粒子の表面が多孔質であるか、開放多孔質であるか、又は高い微小粗さを有する場合に、更に強化することができる。
【0026】
球状の粒子と金属層との接合が、ポリマー-金属接合と同じように引っ掻き又は摩耗によって影響を受けないので(ポリマー母材は、より弾性であり、それは、ポリマーとより硬い金属層との分離につながる可能性がある)、球状の粒子の比較的高い硬度に起因して、塗布された金属層、及び該当する場合、内部コーティングのその後塗布される層の耐引掻性及び/又は耐摩耗性も増大する。
【0027】
好ましい実施形態では、少なくとも1つの金属層は、最大で1つの金属層、2つの金属層、又は3つの金属層として構成される。
【0028】
更に好ましい実施形態では、内部コーティングは、少なくとも1つの金属層から成る。
【0029】
内部コーティングを有する容器を生産するための前述の方法は、内面上への球状の粒子の蓄積に起因して好ましいが、同様の有利な効果を有する容器を生産する、ダイキャスト又は多成分鋳造などの他の製造プロセスが使用され得ることは言うまでもない。このことから、可塑性組成物で作られた容器において、上記に示した目的を達成するために、可塑性組成物は、ベースポリマー材料及び第1の添加剤を備え、少なくとも1つの金属層を備える内部コーティングは、容器の内面に塗布され、内部コーティングは、1000nmの最大厚さを有し、本発明によると、第1の添加剤は、モーススケールで少なくとも4の硬度を有する球状の粒子を備え、容器の内面上に位置する第1の添加剤の球状の粒子は、内面の表面積及び硬度を増大させ、内部コーティング、好ましくは、少なくとも1つの金属層は、塗布された金属層が容器の内面上に位置する第1の添加剤の球状の粒子に固着することに起因して、容器の内面への増大した付着性を有することが提供される。
【0030】
以前に議論したように、球状の粒子、特に容器の内面の近くに位置する粒子、好ましくは容器の内面の少なくともセクションを形成する粒子は、特性に対して特定のプラスの効果を有するが、それについては全体として繰り返さない。しかしながら、粒子の球状の形状は、可撓性のコーティングされた容器に関して更なる利点を有する:特定の形状に起因して、コーティングされた容器の可撓性は、たとえ粒子がポリマー母材全体にわたって分布していても、悪影響を受けず、そのため、容器を、内部コーティングを損傷することなく、依然として押しつぶすことができる。これは、球状の粒子の形状は、その可撓性特性を著しく妨げることなく、ポリマー母材に応力が加えられることを可能にするためである。
【0031】
本発明による容器の好ましい実施形態は、しかしながら、容器が本発明による前述の方法によって取得可能である場合に達成することができる。このことから、容器の内面上への球状の粒子の蓄積の有益な効果は、経済的に有利な生産方法を用いて達成することができる。
【0032】
本方法に関して説明した全てのプラスの効果を促進するために、本発明による容器の更なる実施形態は、第1の添加剤の球状の粒子は、mm2当たりの球状の粒子の比が、容器の内面に隣接するエリア内では、総断面積のmm2当たりの球状の粒子の平均比よりも高くなるように、容器の断面積に対して容器のポリマー母材中に分布することを提供する。容器のポリマー母材内の球状の粒子のこの分布は、内面上に位置付けられた球状の粒子に起因して、内面が増大した硬度を有し、表面積が増大することを保証する。mm2当たりの粒子によって覆われたエリアのmm2当たりの球状の粒子の濃度又は比は、適切な手段を用いて容器の断面上で実行することができ、断面平面は、好ましくは容器の長手方向軸及び/又は回転軸を組み込むことを容易に理解することができる。内面に隣接するエリアは、好ましくは、内面の輪郭から1mm以内、好ましくは0.7mm以内、より好ましくは0.5mm~0.1mm以内の距離のエリアとして画定される。
【0033】
本発明の方法の好ましい実施形態によると、第1の添加剤の球状の粒子は、酸化型のケイ素及び/又は酸化型のチタンを備え、第1の添加剤の少なくとも50体積%、好ましくは75体積%は、球状の粒子によって占められる。チタン及び/又はケイ素ベースの化合物、特にそれらの酸化物は、必要とされる形状に容易にすることができ、モーススケールによると少なくとも4の必要とされる硬度を更に有するので、球状の粒子として使用するのに特に適していることが証明されている。充填剤又は固着剤又は他の材料で作られた球状の粒子を加えて備えることができる第1の添加剤内の球状の粒子の量が、必要とされる技術的効果を達成するのに十分であることを保証するために、第1の添加剤の少なくとも50体積%が、酸化型のチタン又はケイ素で作られた球状の粒子、好ましくは、二酸化チタン又はケイ酸塩、例えばアルミノケイ酸塩などの結晶固体構造によって占められる。
【0034】
本発明による方法の別の好ましい実施形態では、第1の添加剤の球状の粒子は、酸化型のチタン、好ましくは二酸化チタンが主成分である結晶構造、又は酸化型のケイ素、好ましくは二酸化ケイ素(シリカ)が主成分である結晶構造のうちのいずれかから実質的に成る。二酸化チタン又はシリカ(二酸化ケイ素)などの結晶構造は、本発明による方法においてミクロスフェアの形状で使用するのに特に適していることが示されている。「~から実質的に成る」という表現は、技術的に引き起こされる全ての不純物を包含するものとして理解されるべきである。更に、塗布される金属層がチタンを備える場合、好ましくは技術的に純粋なチタン又はチタン化合物から成る場合、特にプラスの効果を達成することができる。「主成分」は、球状の粒子が形成される、好ましくはイオン性の結晶構造の形成に必須の構造として理解されるべきである。
【0035】
同様の理由から、本発明による容器の実施形態では、第1の添加剤の球状の粒子は、酸化型のケイ素及び/又は酸化型のチタンを備え、好ましくは、酸化型のチタン、好ましくは二酸化チタンが主成分である結晶構造、又は酸化型のケイ素、好ましくはシリカ(二酸化ケイ素)が主成分である結晶構造のうちのいずれかから実質的に成ることが提供される。球状の粒子は、可塑性組成物の総体積の少なくとも5体積%を占めることが好ましい。好ましい範囲は、5体積%~30体積%、より好ましくは可塑性組成物の体積当たり10%~20%である。
【0036】
方法及び/又は容器の更に好ましい実施形態は、第1の添加剤の球状の粒子が、セノスフェア、アルミノケイ酸塩ミクロスフェア、金属間ミクロスフェア、フェノールミクロスフェア、(例えば、銅、アルミニウム、又は銀で作られたミクロスフェアなどの)金属ミクロスフェア、ガラスミクロスフェア、セラミックミクロスフェア、(例えば、金属又は金属間構造でコーティングされたポリマー、ガラス、又はセラミックミクロスフェアなどの)複合ミクロスフェア、(例えば、チタンベース又はケイ素ベースの結晶構造を有するミクロスフェアなどの)結晶ミクロスフェア、(例えば、ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)で作られたミクロスフェアなどの)プラスチックミクロスフェア、又はそれらの組み合わせから成るグループから選択され、それらは全て、必要とされる硬度を提供し、容器を形成するために添加剤として使用するのに適していることを提供する。
【0037】
パリソンを形成し、このことから、可塑化された可塑性組成物中の凝集を回避し、ポリマー母材全体にわたって第1の添加剤の球状の粒子を分布させるための最良の結果は、第1の添加剤の球状の粒子が0.5μm~50μmの直径を有する場合に、本発明による方法及び本発明による容器の更なる実施形態において達成することができる。外れ値が球状の粒子の少数、例えば5%未満、好ましくは1%未満を構成するだけである場合、これらの直径の僅かな偏差が容器の特性に悪影響を及ぼさないことは言うまでもない。更に、球状の粒子がミクロスフェアとして構成される場合が好ましい。
【0038】
容器の内面上に内部コーティングの少なくとも1つの金属層、好ましくは内部コーティング全体を塗布するために、本発明の方法の更なる実施形態は、少なくとも1つの金属層、好ましくは内部コーティング全体が、物理蒸着(PVD)を用いて容器の内面上に塗布されることを提供する。PVD法、好ましくはスパッタリング法は、容器の内面上に薄い金属層を塗布するのに良く適している。これに関して、PCT/EP2019/052662が言及されるべきであり、それには、スパッタリングされた内部コーティングを有する容器と、そのような容器を生産するための方法とが詳細に説明されている。引用された出願は、特別な容器について記載しており、内部コーティングの厚さは、変化しているが、その方法はまた、任意の容器の内面上に均一な厚さの層を堆積させるために使用することができることを容易に理解することができる。
【0039】
容器の内部体積部内などの閉鎖された体積部におけるPVDの1つの欠点は、静電荷が、金属層及び/又は内部コーティングにおける欠陥につながるPVDプロセス中の局部自然放電につながり得るので、PVDプロセスの速度及びワット数が制限されることである。従って、本発明による方法の更なる実施形態では、可塑性組成物は、帯電特性を有する第2の添加剤を備え、可塑性組成物の総体積の少なくとも0.5体積%は、第2の添加剤によって占められることが提供される。帯電特性を有する第2の添加剤の粒子は、中抵抗(106~1010オーム)から低抵抗(103~105オーム)を有し、それによって容器内の電荷移動を強化する。これは、粒子が散逸性又は導電性化合物として構成される場合に達成することができる。これは、より良好な電圧分布につながり、内部コーティングに損傷を与える可能性があるか、又は金属層を塗布している間にプロセス障害につながる可能性がある制御されない局部放電を防止する。内部コーティングに悪影響を及ぼさないために、第2の添加剤は、非移動性であるべきであり、即ち、容器の内面に移動しない永久導電性粒子としてポリマー母材中に残るべきである。第2の添加剤の添加により、少なくとも1つの金属層、好ましくは内部コーティング全体を塗布する製造PVDプロセスは、より高いワット数を促進することができ、単位当たりの展開時間を著しく減少させることができるので、最適化することができる。好ましくは、カーボンナノチューブが、第2の添加剤として使用される。
【0040】
同様の理由で、容器の更なる実施形態は、可塑性組成物が、帯電特性を有する第2の添加剤を備えることを提供する。
【0041】
本発明による方法及び容器の更なる実施形態は、ベースポリマー材料がポリエチレン又はポリプロピレンであり、及び/又は少なくとも1つの金属層がチタン(Ti)又はチタン化合物を備え、好ましくはそれらから本質的に成り、好ましくは、酸化型のチタン、最も好ましくは二酸化チタンであることを提供する。ポリエチレン又はポリプロピレンのようなベースポリマー材料に基づく可塑性組成物と、チタンベースの内部コーティング又は金属層との組み合わせは、それぞれ、金属層の可撓性及び付着性に関して非常に有益であることが証明されている。金属層が二酸化チタンに基づく場合、内層は、自己洗浄特性を有し、細菌増殖を抑制し、それは、UV放射を使用することによって更に強化することができる。この効果は、二酸化チタンの触媒効果に基づくと考えられる。
【0042】
本発明による方法の更なる実施形態では、ダイが末広ダイとして構成され、ブローピンが末広ダイに対応するように円錐形に形成されることが提供される。言い換えれば、ダイは、円錐形に形成された開口部を有し、その直径は、材料流れ方向において増大し、ブロービンは、ダイの円錐形に形成された開口部に対応する円錐形に形成されたセクションを有する。この特定の配置は、可塑化された可塑性組成物に行使される剪断力を増大させ、従って、パリソン/容器の内面の近くにより高い濃度の球状の粒子をもたらす。
[好ましい実施形態]
【0043】
例1:
ステップ1:可塑性組成物の調製
コーティングされた容器を生産するための方法の第1の例の調製のために、ベースポリマー材料として81体積%のHDPE(Borealis(登録商標)BB2581)、第1の添加剤として17体積%の3M(登録商標)セラミックミクロスフェアW-210、及び帯電特性を有する第2の添加剤として2体積%のカーボンナノチューブ(Nanocyl(登録商標)CNT)から成る可塑性組成物が調製される。第1の添加剤のミクロスフェアは、モーススケールによる6の硬度、並びに2.4g/ccの真密度及び12ミクロン(90パーセンタイル)の粒度を有する。
【0044】
可塑性組成物の成分は、押出機デバイスを介して混合され、ペレット形態で貯蔵することができるか、又は押出ブロー成形デバイス中で直接更に加工することができる。
【0045】
ステップ2:押出ブロー成形
可塑性組成物は、押出機デバイスを介して210℃の溶融温度に加熱され、190℃の温度でダイヘッド中で加工されて、末広ダイ及び対応する形状のブローピンによってパリソンが形成される。
【0046】
パリソンが必要とされる長さに達した後、モールド(モールド温度20℃)が閉鎖され、0.4MPa(約60psi)のブロー圧力が印加されて、コーティングされていない容器が形成される。
【0047】
ステップ3:内部コーティングを塗布する
2つの金属層から成る内部コーティングは、容器の内部体積部内でマグネトロンデバイスを移動させることによって、PVDプロセスを介して塗布される。金属層が堆積される前に、コーティングされていない容器の内面は、酸素を使用するプラズマ洗浄プロセスによって事前洗浄され、活性化される。その後、容器の内部体積部内の圧力が、2e~4mbarに下げられる。
【0048】
洗浄プロセスに続いて、チタンから成る第1の金属層が、プロセスガスとしてアルゴンを使用して内面上にスパッタリングされる。第1の金属層の層厚は、容器の首部セクション及び底部セクションで300nm、容器のシェル部の内側で200nmである。その後、酸化型のチタンから成る第2の金属層が、アルゴンガス(80体積%)と酸素(体積当たり20%)の混合物を使用して塗布される。第2の金属層は、20nmの均一な厚さを有する。
【0049】
利点:
従来のPVDプロセスと比較して局部自然放電が防止されるので、第2の添加剤の添加に起因して、PVDプロセスをより高いワット数で促進することができ、このことから、より短いプロセス時間をもたらすことができる。
【0050】
容器の内面に又は内面に隣接して位置する第1の添加剤のミクロスフェア粒子に起因する硬度及び内面積の増大のおかげで、第1の金属層、及びこのことから内部コーティング全体は、第1の添加剤を有さない従来の容器と比較して、より機械的に安定しており(耐摩耗性)、より高いレベルの応力(引張応力及び圧縮応力の両方)を受けることができる。
【0051】
容器を、内部コーティングに亀裂を形成することなく、少なくとも1000回、半径方向にその元の変形されていない直径の50%まで更に押しつぶすことができる。
【0052】
例2:
ステップ1:可塑性組成物の調製コーティングされた容器を生産するための方法の第1の例の調製のために、ベースポリマー材料として70体積%のPP(Borealis(登録商標)SB815MO)、第1の添加剤として30体積%のシランコーティングされたPotters(登録商標)ガラスビーズA-ガラス5000から成る可塑性組成物が調製される。第1の添加剤のミクロスフェアは、モーススケールによる6の硬度、並びに1.618g/ccの真密度及び8ミクロン(90パーセンタイル)の粒度を有する。
【0053】
可塑性組成物の成分は、押出機デバイスを介して混合され、ペレット形態で貯蔵することができるか、又は押出ブロー成形デバイス中で直接更に加工することができる。
【0054】
ステップ2:押出ブロー成形
可塑性組成物は、押出機デバイスを介して210℃の溶融温度に加熱され、175℃の温度でダイヘッド中で加工されて、末広ダイ及び対応する形状のブローピンによってパリソンが形成される。
【0055】
パリソンが必要とされる長さに達した後、モールド(モールド温度20℃)が閉鎖され、0.4MPa(約60psi)のブロー圧力が印加されて、コーティングされていない容器が形成される。
【0056】
ステップ3:内部コーティングを塗布する
2つの金属層から成る内部コーティングは、容器の内部体積部内でマグネトロンデバイスを移動させることによって、PVDプロセスを介して塗布される。金属層が堆積される前に、コーティングされていない容器の内面は、酸素を使用するプラズマ洗浄プロセスによって事前洗浄され、活性化される。その後、容器の内部体積部内の圧力が、2e~4mbarに下げられる。
【0057】
洗浄プロセスに続いて、チタンから成る第1の金属層が、プロセスガスとしてアルゴンを使用して内面上にスパッタリングされる。第1の金属層の層厚は、容器の首部セクション及び底部セクションで300nm、容器のシェル部の内側で200nmである。その後、酸化型のチタンから成る第2の金属層が、アルゴンガス(80体積%)と酸素(体積当たり20%)の混合物を使用して塗布される。第2の金属層は、20nmの均一な厚さを有する。
【0058】
利点:
容器の内面に又は内面に隣接して位置する第1の添加剤のミクロスフェア粒子に起因する硬度及び内面積の増大のおかげで、第1の金属層、及びこのことから内部コーティング全体は、第1の添加剤を有さない従来の容器と比較して、より機械的に安定しており(耐摩耗性)、より高いレベルの応力(引張応力及び圧縮応力の両方)を受けることができる。第1の添加剤のミクロスフェアのシランコーティングは、ミクロスフェアと周囲の樹脂又は可塑性組成物との間に、容器の形成中にミクロスフェアを(内部)表面の方向に反発させる張力を生じさせる。
【0059】
容器を、内部コーティングに亀裂を形成することなく、少なくとも1000回、半径方向にその元の変形されていない直径の50%まで更に押しつぶすことができる。
【0060】
例3:
ステップ1:可塑性組成物の調製
コーティングされた容器を生産するための方法の第1の例の調製のために、ベースポリマー材料として94.5体積%のLDPE(DOW(登録商標)310E)、第1の添加剤として5体積%のMerck(登録商標)酸化チタン(IV)EMPROVE(登録商標)ESSENTIAL、及び帯電特性を有する第2の添加剤として0.5体積%のEinar(登録商標)601ポリグリセロールエステルから成る可塑性組成物が調製される。第1の添加剤のミクロスフェアは、モーススケールによる6の硬度、並びに0.85g/ccの真密度及び2.5ミクロン(90パーセンタイル)の粒度を有する。
【0061】
可塑性組成物の成分は、押出機デバイスを介して混合され、ペレット形態で貯蔵することができるか、又は押出ブロー成形デバイス中で直接更に加工することができる。
【0062】
ステップ2:押出ブロー成形
可塑性組成物は、押出機デバイスを介して200℃の溶融温度に加熱され、170℃の温度でダイヘッド中で加工されて、末広ダイ及び対応する形状のブローピンによってパリソンが形成される。
【0063】
パリソンが必要とされる長さに達した後、モールド(モールド温度20℃)が閉鎖され、0.4MPa(約60psi)のブロー圧力が印加されて、コーティングされていない容器が形成される。
【0064】
ステップ3:内部コーティングを塗布する
2つの金属層から成る内部コーティングは、容器の内部体積部内でマグネトロンデバイスを移動させることによって、PVDプロセスを介して塗布される。金属層が堆積される前に、コーティングされていない容器の内面は、酸素を使用するプラズマ洗浄プロセスによって事前洗浄され、活性化される。その後、容器の内部体積部内の圧力が、2e~4mbarに下げられる。
【0065】
洗浄プロセスに続いて、チタンから成る第1の金属層が、プロセスガスとしてアルゴンを使用して内面上にスパッタリングされる。第1の金属層の層厚は、容器の首部セクション及び底部セクションで300nm、容器のシェル部の内側で200nmである。その後、酸化型のチタンから成る第2の金属層が、アルゴンガス(80体積%)と酸素(体積当たり20%)の混合物を使用して塗布される。第2の金属層は、20nmの均一な厚さを有する。
【0066】
利点:
従来のPVDプロセスと比較して局部自然放電が防止されるので、第2の添加剤の添加に起因して、PVDプロセスをより高いワット数で促進することができ、このことから、より短いプロセス時間をもたらすことができる。
【0067】
容器の内面に又は内面に隣接して位置する第1の添加剤のミクロスフェア粒子に起因する硬度及び内面積の増大のおかげで、第1の金属層、及びこのことから内部コーティング全体は、第1の添加剤を有さない従来の容器と比較して、より機械的に安定しており(耐摩耗性)、より高いレベルの応力(引張応力及び圧縮応力の両方)を受けることができる。
【0068】
第1の添加剤としてのチタン化合物の添加のおかげで、容器の内部体積部を日光及びUV放射から保護する高い不透明性が達成される。
【0069】
容器を、内部コーティングに亀裂を形成することなく、少なくとも1000回、半径方向にその元の変形されていない直径の50%まで更に押しつぶすことができる。
【0070】
本発明を、ここで、例証的な実施形態を参照して以下により詳細に説明する。図面は、例として提供され、本発明の概念を説明することを意図されているが、決して本発明を限定するものではなく、本発明を決定的にするものでさえない。
【図面の簡単な説明】
【0071】
図1】容器の概略図を示す。
図2図1にマークされた容器の細部IIの概略拡大図を示す。
図3】押出ブロー成形デバイスのダイヘッドの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0072】
図1は、容器1の内部体積部5を囲み、互いに融合する基部3及びシェル部4を有する可塑性組成物で作られたコーティングされた容器1の断面の概略図を示す。容器1は、長手方向軸2を更に有し、それはまた、容器1が回転対称的に形成されている場合には回転軸である。シェル部4は、長手方向軸2に対して本質的に平行に延在するのに対して、基部3は、長手方向軸2に対して本質的に垂直に延在する。容器1の内面6は、内部体積部5を制限するシェル部4及び基部3の表面によって画定される。
【0073】
内面6上には、少なくとも1つの金属層を備える内部コーティング7が塗布される。
【0074】
図2は、容器1の概略構造を見ることができる容器のセクションの拡大図を示す。示す概略図は、例示目的のためだけに使用され、実際の縮尺を表さないことは言うまでもない。
【0075】
容器1が押出ブロー成形プロセスを介して作られる可塑性組成物は、ポリマー母材を形成するベースポリマー材料9と第1の添加剤とを備え、第1の添加剤は、以前の例で説明したように、より高い硬度を有する球状の粒子8を備える(より読みやすくするために、最上部の3つのみが参照番号で識別される)。
【0076】
第1の添加剤の球状の粒子8の多くは、容器1の内面6上に位置し、それによって、内面6の表面積及びその機械的安定性を増大させる。この場合、金属層7aから成る、内部コーティング7が、ベースポリマー材料9によって部分的に形成され、ベースポリマー材料9から突出する球状の粒子8によって部分的に形成された内面6上に堆積されると、塗布された層は、球状の粒子8に特に良く付着し、それは、ベースポリマー材料のみから成る第1の添加剤を有さない従来の容器に塗布された内部コーティングと比較して、内部コーティング7のより高いレベルの耐久応力(引張応力及び圧縮応力の両方)をもたらす。
【0077】
球状の粒子8の濃度は、断面全体にわたる平均濃度と比較して、内面6に隣接するエリアAにおいてより高いことが更に分かる。球状の粒子8の量は、内面6に隣接するエリアAから容器1の外面の方向に減少することが分かる。
【0078】
図3は、ブローピン11及びダイ12を有する押出ブロー成形デバイスのダイヘッド10を概略的に示す。そのようなデバイスの助けを借りて、コーティングされていない容器1を製造することができる。
【0079】
ブローピン11は、ブローピン11とダイ12とによって形成されるパリソンに空気を吹き込むための中央空気入口ライン13を有する。押出機(図示せず)によって混合及び加熱された溶融可塑性組成物は、ダイヘッド10を通って材料流れ方向14に流れる。
【0080】
ダイ12は、末広ダイとして構成され、これは、ダイの直径が、材料流れ方向14に見られる開口部であることを意味する。ブローピン11の外面はまた、パリソンを形成する隙間を画定するために、ダイ12に対応して円錐形に形成される。ブローピン11及びダイ12の形状に起因して、溶融及び可塑化された可塑性組成物に行使される剪断力は、球状の粒子8が容器1の内面6の方向に内側に向けられることをもたらす。この効果は、以前に説明した内面6に隣接するエリアAにおける球状の粒子8のより高い濃度をもたらす。
【0081】
容器1の形状及びサイズは、個々に選ぶことができ、示した容器1は、多くの例のうちの一例としてのみ提示されていることは言うまでもない。
[参照番号]
【0082】
1 容器
2 長手方向軸
3 基部
4 シェル部
5 内部体積部
6 内面
7 内部コーティング
7a 第1の金属層
8 球状の粒子
9 ベースポリマー材料
10 ダイヘッド
11 ブローピン
12 ダイ
13 空気入口ライン
14 材料流れ方向
A 内面6に隣接するエリア
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1] 容器(1)の内面(6)上に内部コーティング(7)を有する可塑性組成物で作られた前記容器(1)を生産するための方法であって、前記内部コーティング(7)が1000nmの最大厚さを有し、少なくとも1つの金属層(7a)を備える方法において、
前記方法は、
-少なくとも1つのベースポリマー材料(9)及び少なくとも第1の添加剤を備える前記可塑性組成物を調製するステップと、
ここで、前記可塑性組成物の総体積の少なくとも2.5体積%は、前記第1の添加剤によって占められ、前記第1の添加剤は、モーススケールで少なくとも4の硬度を有する球状の粒子(8)を備え、
-次のa)、b)、及びc)を行うことによって前記容器(1)を押出ブロー成形するステップと、
a)少なくとも前記ベースポリマー材料(9)が可塑化されるまで、調製された前記可塑性組成物を加熱及び混合することと、
b)ダイ(12)及びブローピン(11)によってパリソンを形成することと、
ここにおいて、前記第1の添加剤の前記球状の粒子(8)は、ダイ(12)及びブローピン(11)によって行使される剪断力に起因して前記パリソンの内面上に蓄積される、
c)前記容器(1)を形成するために前記パリソンをブロー形成することと、
ここにおいて、前記容器(1)の前記内面(6)上に位置する前記第1の添加剤の球状の粒子(8)は、前記容器(1)の前記内面(6)の表面積及び硬度を増大させる、
-前記容器(1)の前記内面(6)上に前記内部コーティング(7)の少なくとも1つの前記金属層(7a)を塗布するステップと、ここで、塗布された前記金属層(7a)は、前記容器(1)の前記内面(6)上に位置する前記第1の添加剤の前記球状の粒子(8)に接合するものであり、
を備える、方法。
[2] 前記第1の添加剤の前記球状の粒子(8)は、酸化型のケイ素及び/又は酸化型のチタンを備え、
前記第1の添加剤の少なくとも50体積%、好ましくは75体積%は、前記球状の粒子(8)によって占められる、[1]に記載の方法。
[3] 前記第1の添加剤の前記球状の粒子(8)は、セノスフェア、アルミノケイ酸塩ミクロスフェア、金属間ミクロスフェア、フェノールミクロスフェア、金属ミクロスフェア、ガラスミクロスフェア、セラミックミクロスフェア、複合ミクロスフェア、結晶ミクロスフェア、プラスチックミクロスフェア、又はそれらの組み合わせから成るグループから選択される、[1]又は[2]に記載の方法。
[4] 前記第1の添加剤の前記球状の粒子(8)は、0.5μm~50μmの直径を有する、[1]~[3]のいずれか一項に記載の方法。
[5] 少なくとも1つの前記金属層(7a)、好ましくは、前記内部コーティング(7)全体は、物理蒸着(PVD)によって前記容器(1)の内面(6)上に塗布される、[1]~[4]のいずれか一項に記載の方法。
[6] 前記可塑性組成物は、帯電特性を有する第2の添加剤を備え、前記可塑性組成物の総体積の少なくとも0.5体積%は、前記第2の添加剤によって占められる、[1]~[5]のいずれか一項に記載の方法。
[7] 前記ベースポリマー材料(9)は、ポリエチレン若しくはポリプロピレンであり、及び/又は少なくとも1つの前記金属層(7a)は、チタン(Ti)若しくはチタン化合物を備え、好ましくは、それらから本質的に成る、[1]~[6]のいずれか一項に記載の方法。
[8] 前記ダイ(12)は、末広ダイとして構成され、前記ブローピン(11)は、前記末広ダイに対応するように円錐形に形成される、[1]~[7]のいずれか一項に記載の方法。
[9] 可塑性組成物で作られた容器(1)であって、
前記可塑性組成物は、ベースポリマー材料(9)及び第1の添加剤を備え、
少なくとも1つの金属層(7a)を備える内部コーティング(7)が、前記容器(1)の内面(6)に塗布され、前記内部コーティング(7)は、1000nmの最大厚さを有する、容器(1)において、
前記第1の添加剤は、モーススケールで少なくとも4の硬度を有する球状の粒子(8)を備え、
前記容器(1)の内面(6)上に位置する前記第1の添加剤の球状の粒子(8)は、前記内面(6)の表面積及び硬度を増大させ、
前記内部コーティング(7)、好ましくは、少なくとも1つの前記金属層(7a)は、塗布された金属層(7a)が前記容器(1)の内面(6)上に位置する前記第1の添加剤の前記球状の粒子(8)に固着することに起因して、前記容器(1)の内面(6)への増大した付着性を有する
ことを特徴とする、容器(1)。
[10] 前記第1の添加剤の前記球状の粒子(8)は、mm 2 当たりの球状の粒子(8)の比が、前記容器の内面(6)に隣接するエリア(A)内では、総断面エリアのmm 2 当たりの球状の粒子(8)の平均比よりも高くなるように、前記容器(1)の断面エリアに対して前記容器(1)のポリマー母材中に分布していることを特徴とする、[9]に記載の容器(1)。
[11] 前記第1の添加剤の前記球状の粒子(8)は、酸化型のケイ素及び/又は酸化型のチタンを備え、好ましくは、二酸化チタン又は二酸化ケイ素又はケイ酸塩が主成分である結晶構造から実質的に成ることを特徴とする、[9]又は[10]に記載の容器(1)。
[12] 前記第1の添加剤の前記球状の粒子(8)は、セノスフェア、アルミノケイ酸塩ミクロスフェア、金属間ミクロスフェア、フェノールミクロスフェア、金属ミクロスフェア、ガラスミクロスフェア、セラミックミクロスフェア、複合ミクロスフェア、結晶ミクロスフェア、プラスチックミクロスフェア、又はそれらの組み合わせから成るグループから選択されることを特徴とする、[9]又は[11]に記載の容器(1)。
[13] 前記第1の添加剤の前記球状の粒子(8)は、0.5μm~50μmの直径を有することを特徴とする、[9]~[12]のいずれか一項に記載の容器(1)。
[14] 前記可塑性組成物は、帯電特性を有する第2の添加剤を備えることを特徴とする、[9]~[13]のいずれか一項に記載の容器(1)。
[15] 前記ベースポリマー材料は、ポリエチレン若しくはポリプロピレンであり、及び/又は少なくとも1つの前記金属層(7a)は、チタン(Ti)若しくはチタン化合物を備え、好ましくは、それらから本質的に成ることを特徴とする、[9]~[14]のいずれか一項に記載の容器(1)。
[16] 前記容器(1)は、[1]~[8]のいずれか一項に記載の方法によって取得可能であることを特徴とする、[9]~[15]のいずれか一項に記載の容器(1)。
図1
図2
図3