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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-14
(45)【発行日】2023-08-22
(54)【発明の名称】映像表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09B 27/00 20060101AFI20230815BHJP
【FI】
G09B27/00 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021006637
(22)【出願日】2021-01-19
(65)【公開番号】P2022110912
(43)【公開日】2022-07-29
【審査請求日】2023-04-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】599064214
【氏名又は名称】株式会社セガトイズ
(74)【代理人】
【識別番号】100081673
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100141483
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 生吾
(72)【発明者】
【氏名】早川 徹哉
【審査官】岸 智史
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-186559(JP,A)
【文献】特開2005-201955(JP,A)
【文献】実開平03-108279(JP,U)
【文献】特開昭57-116382(JP,A)
【文献】米国特許第06769778(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 23/00-29/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
星空投影原板を透過した光を、投影レンズを介して対象面に照射することによって、前記星空投影原板に対応した星空画像を含む映像を、前記対象面に投影して表示する映像表示装置であって、
光源と、
前記投影レンズと、
前記星空投影原板と、
透光性が一様でない瞬き原板と、
前記星空投影原板を、前記光源からの光が照射される位置に支持する星空側支持部と、
前記瞬き原板を、前記星空投影原板と前記投影レンズとの間に支持するか、或いは前記光源と前記星空投影原板との間に支持する瞬き側支持部と、
アクチュエータを含み、前記星空側支持部に支持された状態の前記星空投影原板と、前記瞬き側支持部に支持された状態の前記瞬き原板とを、前記アクチュエータからの動力によって回転作動させる作動機構と
前記星空側支持部及び前記瞬き側支持部が形成された単一の支持部材と、を備え
前記支持部材は、前記星空投影原板及び前記瞬き原板を位置決め載置して支持する載置トレーである
ことを特徴とする映像表示装置。
【請求項2】
前記載置トレーは、前記星空投影原板と、前記瞬き原板とを、互いに接触又は近接するように積層した状態で載置するように構成された
請求項に記載の映像表示装置。
【請求項3】
前記光源及び前記作動機構が収容された筐体を備え、
前記載置トレーは、出し入れ可能に前記筐体に収容される
請求項又はの何れかに記載の映像表示装置。
【請求項4】
前記作動機構は、単一のアクチュエータと、前記アクチュエータの動力を伝動する伝動機構とを有し、
前記伝動機構における動力伝動経路上には、前記星空投影原板を回転駆動させる星空側回転駆動部と、前記瞬き原板を回転駆動させる瞬き側回転駆動部とが各別に設けられた
請求項に記載の映像表示装置。
【請求項5】
前記作動機構は、前記星空投影原板及び前記瞬き原板を互いに異なる角速度又は方向に回転させるように構成された
請求項に記載の映像表示装置。
【請求項6】
前記作動機構は、前記瞬き原板の回転軸が前記星空投影原板の回転軸と同一軸心となるように構成された
請求項に記載の映像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、星空画像を含む映像を対象面に投影して表示する映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
星空投影原板を透過した光を、投影レンズを介して対象面に照射することによって、前記星空投影原板に対応した星空画像を含む映像を、前記対象面に投影して表示する映像表示装置が従来公知である。
【0003】
さらに、透光領域及び遮光領域を有する瞬き原板を、星空投影原板と投影レンズとの間、或いは光源と星空投影原板との間に回転可能に支持し、瞬き原板を回転駆動させるアクチュエータを設けた映像表示装置が開発され、公知になっている(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
上記文献の映像表示装置によれば、アクチュエータによって瞬き原板を回転駆動させることによって、該瞬き原板を透過する光が変化して星の瞬き現象が再現できる一方で、星空投影原板は回転しないため、星の移動は再現できないため、よりリアルな星空を再現するためには課題が残る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第4364652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、星空画像を含む映像を対象面に投影して表示する映像表示装置であって、星の瞬きを再現可能であり、実際の星空をより忠実に再現することが可能な映像表示装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、星空投影原板を透過した光を、投影レンズを介して対象面に照射することによって、前記星空投影原板に対応した星空画像を含む映像を、前記対象面に投影して表示する映像表示装置であって、光源と、前記投影レンズと、前記星空投影原板と、透光性が一様でない瞬き原板と、前記星空投影原板を、前記光源からの光が照射される位置に支持する星空側支持部と、前記瞬き原板を、前記星空投影原板と前記投影レンズとの間に支持するか、或いは前記光源と前記星空投影原板との間に支持する瞬き側支持部と、アクチュエータを含み、前記星空側支持部に支持された状態の前記星空投影原板と、前記瞬き側支持部に支持された状態の前記瞬き原板とを、前記アクチュエータからの動力によって回転作動させる作動機構とを備えたことを特徴とする。
【0008】
前記星空側支持部及び前記瞬き側支持部が形成された単一の支持部材を備えたものとしてもよい。
【0009】
前記支持部材は、前記星空投影原板及び前記瞬き原板を位置決め載置して支持する載置トレーであるものとしてもよい。
【0010】
前記載置トレーは、前記星空投影原板と、前記瞬き原板とを、互いに接触又は近接するように積層した状態で載置するように構成されたものとしてもよい。
【0011】
前記光源及び前記作動機構が収容された筐体を備え、前記載置トレーは、出し入れ可能に前記筐体に収容されるものとしてもよい。
【0012】
前記作動機構は、単一のアクチュエータと、前記アクチュエータの動力を伝動する伝動機構とを有し、前記伝動機構における動力伝動経路上には、前記星空投影原板を回転駆動させる星空側回転駆動部と、前記瞬き原板を回転駆動させる瞬き側回転駆動部とが各別に設けられたものとしてもよい。
【0013】
前記作動機構は、前記星空投影原板及び前記瞬き原板を互いに異なる角速度又は方向に回転させるように構成されたものとしてもよい。
【0014】
前記作動機構は、前記瞬き原板の回転軸が前記星空投影原板の回転軸と同一軸心となるように構成されたものとしてもよい。
【発明の効果】
【0015】
星空投影原板及び瞬き原板の両方を回転させることによって、星が空を移動する現象と瞬き現象との両方が再現されるため、実際の星空をより忠実に再現できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明を適用した映像表示装置の正面図である。
図2】本発明を適用した映像表示装置の平面図である。
図3】載置トレーを取り外した状態の本映像表示装置の斜視図である。
図4】載置トレー及び作動機構の構成を示す斜視図である。
図5】下側の原板を載置トレーに位置決め載置する状態を示す斜視図である。
図6】下側の原板が位置決め載置された載置トレーに上側の原板をさらに位置決め載置する状態を示す斜視図である。
図7】2枚の原板及び作動機構の構成を示す斜視図である。
図8】2枚の原板及び作動機構の構成を示す背面図である。
図9】2枚の原板及び作動機構の構成を示す側面図である。
図10】瞬き原板の原板本体の構成を示す平面図である。
図11】本映像表示装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1図2は本発明を適用した映像表示装置の正面図及び平面図であり、図3は載置トレーを取り外した状態の本映像表示装置の斜視図である。球状に成形された合成樹脂製の筐体1と、この筐体1を、その中心部又はその付近を通り左右方向に延びる仮想的な軸である横軸Xを支点として、その下側から上下揺動可能に支持する合成樹脂製の支持台2とを備えている。
【0018】
筐体1の上部には、光を照射する上下方向の照射穴3が、上方が開放された状態で凹設されている。この照射穴3の内部には投影レンズ5が設置されている。照射穴3の軸方向に光軸が向けられた光は、投影レンズ5を透過し、照射穴3の開放された上端部分から筐体1外に導出される。照射穴3から導出された光は、フラットな対象面M(図11参照)に照射される。これによって、対象面Mには、所定の星空画像を少なくとも一部に含む映像(本例を星空画像からなる映像)が投影される。すなわち、上述した横軸Xを支点とした筐体1の上下揺動によって、投影レンズ5からの光の照射角度が調整される。
【0019】
そして、照射穴3の開放された端部が筐体1の頂点に位置し、該照射穴3からの光の照射方向が直上を向いた状態時の筐体1の姿勢が、該筐体1の基本姿勢となる。ちなみに、これ以降の記載では、特に断りがない限り、筐体1は基本姿勢で保持されているものとする。
【0020】
また、筐体1の上寄り部分には、照射穴3の開口部分の四方を囲繞するように、円形リング状に成形された調整ダイヤル4が設けられている。この調整ダイヤル4は、その中心を支点として回転操作可能に構成されている。調整ダイヤル4の回転操作によって、対象面Mに投影された映像(星空画像)がぼやけている場合にそのピントを調整することや、対象面Mに投影された映像(星空画像)のサイズを調整することが可能になる。
【0021】
筐体1の内部には、原板6,7(図4乃至図9参照)を位置決め載置する合成樹脂製の載置トレー(支持部材)8が収容される収容スペース10(図3参照)が形成されている。この収容スペース10は、筐体1の正面に開口形成された差込口1aによって、その前方が開放されている。この差込口1aを介して、載置トレー8を収容スペース10に出し入れ可能に差し込み挿入して収容することが可能になる。
【0022】
載置トレー8を収容スペース10に最大限差し込み挿入した収容状態において、載置トレー8の外部側の端部(後端部)に一体的に形成された閉塞蓋9によって、上述した差込口1aが閉塞される。閉塞蓋9の外部に露出する側の面である外面は、差込口1aを閉塞した状態時、筐体1の外面の一部を構成している。この閉塞蓋9の外部に露出する側の部分には、差し込み方向に向かって窪んだ凹部9aが形成され、この凹部9aから把手11が前方に向かって一体的に突出形成されている。この把手11を保持することによって、載置トレー8の収容スペース10からの出し入れ作業を円滑に行うことが可能になる。
【0023】
筐体1の正面における閉塞蓋9よりも上側に位置する部分には、複数の操作ボタン12,12,12が左右に並べられた状態で設けられている。各操作ボタン12は、押し操作可能なモーメンタリ式のスイッチである。複数の操作ボタン12,12,12の内で操作する一又は複数の操作ボタン12を選択することによって、筐体1の内部に収容されたスピーカ13(図11参照)から出力させる音(具体的には楽曲)を適宜選択する。また、操作ボタン12を長押しすることによって、スピーカ13からの音の出力を停止させる。
【0024】
筐体1の外面の正面において閉塞蓋9よりも下側に位置する部分にも、複数の操作ボタン14,16,17と、回転操作可能な調整ダイヤル18と、電源スイッチ19とが左右に並べられた状態で設けられている。
【0025】
各操作ボタン14,16,17はモーメンタリ式のスイッチである。
【0026】
一の操作ボタン14は、対象面Mに星空画像を投影させる時間である動作時間を設定可能なタイマースイッチであり、その動作時間を例えば15分、30分、60分のなかから選択できるようにする。このタイマーがOFFの状態でも所定時間(例えば、3時間)の経過によって動作を停止させてもよい。
【0027】
その他の一の操作ボタン16は、ランダムな時間帯に星空画像の対象面Mへの投影を行うランダムモードの有無を切り替える。残りの一の操作ボタン17は、星が時計回り又は反時計回りに所定の周期(例えば、12分)で周回する星空画像を投影する周回モードの有無を切り替える。ちなみに、周回モード中、星が周回する速度の調整を他のボタン14,16によって行っても良い。
【0028】
調整ダイヤル18は、その回転操作によって、スピーカ13から出力する音の大きさの調整を行う。
【0029】
電源スイッチ19は、電力供給の有無を切り替える入切操作を行うシーソースイッチである。ちなみに、電力供給は、筐体1の内部に収容されたバッテリから行うようにしてもよいし、或いは、外部電源からアダプタ等を介して、電力供給を行うようにしてもよく、本例では、後者を採用している。
【0030】
次に、図4乃至図9に基づいて載置トレー8の構成と、原板6,7を回転作動させる作動機構21の構成とを詳述する。
【0031】
図4は載置トレー及び作動機構の構成を示す斜視図であり、図5は下側の原板を載置トレーに位置決め載置する状態を示す斜視図である。載置トレー8は、上述した閉塞蓋9と、収容スペース10に完全に差し込まれて収容されるトレー本体22とを一体的に有している。
【0032】
トレー本体22は、平面視で円形に成形され且つ下方に窪んだ凹部23が形成され、凹部23のフラットな底面には、露出孔23aが穿設されている。この凹部23には、円盤状に成形された一の原板である瞬き原板6が嵌合状態又は略嵌合状態で収容される。言い換えると、この原板6は、その四方への移動が凹部23の内周面によって規制された状態で、凹部23のフラットな底面に載置されて位置決めされる。すなわち、凹部23は、瞬き原板6を支持する瞬き側支持部として機能する。ちなみに、露出孔23aは、凹部23に位置決め収容された原板6を、トレー本体22の直下側に対して露出させる。
【0033】
凹部23の周壁における差し込み方向と反対の方向(引き抜き方向)に近い側(前側)の部分における左右に対称な夫々の箇所には、当接ローラ24,24が遊転状態で設けられている。この左右の当接ローラ24,24は、凹部23に対して進退可能にトレー本体22に支持され、図示しない弾性部材によって凹部23側である差し込み方向に弾性的に付勢されている。これによって各当接ローラ24,24は、凹部23内に位置決め収容された原板6に対して、遊転可能な状態で弾力的に当接する。
【0034】
この他、トレー本体22における差し込み方向寄りの部分(後側部分)は、円弧状に切欠き形成され、その切欠かれた部分の空間が駆動スペース22aを構成している。凹部23に位置決め収容された原板6の外周縁の一部は、この駆動スペース22aに臨み、上述の作動機構21の一部を構成し且つ該駆動スペース22aに回転駆動可能に支持された駆動ローラ(瞬き側回転駆動部)26に当接する。
【0035】
駆動ローラ26と、左右の当接ローラ24,24とは、凹部23に位置決め収容された原板6を前後で弾力的に挟持するように、該原板6の中心を挟んだ前後の一方側と、他方側とに配置されているため、当該状態で、駆動ローラ26を、前記作動機構21の一部を構成する電動モータ(アクチュエータ)27によって回転駆動すれば、原板6が自身の中心を支点としてスムーズに回転駆動される。
【0036】
図6は下側の原板が位置決め載置された載置トレーに上側の原板をさらに位置決め載置する状態を示す斜視図である。図4及び図6に示す通り、瞬き原板6以外の原板である恒星原板(星空投影原板)7は、瞬き原板6の直上に接触又は近接させた状態で、載置トレー8に位置決め載置される。言い換えると、2つの原板6,7の夫々は、互いが近接又は接触した状態(すなわち、積層された状態)で、載置トレー8に位置決め載置される。
【0037】
これを実現させるため、トレー本体22には、その凹部23の内周面に沿う3つ以上(本例では3つ)の載置部28,29,29が一体的に形成されている。
【0038】
一の載置部28は、トレー本体22の前記引き抜き方向寄り部分である外寄り部31から、左右の当接ローラ24,24の間に位置するようにして、前記差し込み方向に一体的に延設された外寄り載置部である。この外寄り載置部28の上面が原板7を載置する載置面28aになる。ちなみに、外寄り載置部28の延設された端面28bは、引き抜き方向側に窪んだ円弧面であり、上述した凹部23の内周面の一部を構成している。
【0039】
載置面28aは、外寄り部31の上面よりも一段低い位置に形成されているため、該外寄り部31の差し込み方向側の端面31aは、該載置面28aから連続して垂直に立ち上がる規制面を構成している。この規制面31aは、平面視で上述した端面28bに沿う円弧状に凹曲面状に成形されている。
【0040】
その他の載置部29,29は、凹部23を挟んで、外寄り載置部28の反対側の左右対称位置に夫々形成された内寄り載置部である。左右の内寄り載置部29,29は、平面視で、凹部23の内周面に沿う円弧状に湾曲した形状に成形されている。左右の内寄り載置部29,29の上端部が上述した載置面28aと同一の平面上に位置している。
【0041】
そして、これらの3つの載置部28,29,29によって、原板7をその下面側から下支えする。前記規制面31aは、上述のようにして下支えされた原板7のトレー本体22上での前記引き抜き方向への移動を規制(禁止)する。
【0042】
一方、3つの載置部28,29,29によって下支えされた原板7におけるトレー本体22上での差し込み方向への移動は、左右一対の規制部32,32によって規制される。左右の規制部32,32には、トレー本体22において平面視で駆動スペース22aに近い左右の夫々の箇所から、前記引き抜き方向に向かって斜め上方に突出形成された爪状の部位である。この左右の規制部32,32は、該構成によって、3つの載置部28,29,29に下支えされた原板7のトレー本体22上での差し込み方向への移動を規制するとともに、上方への移動も規制する。
【0043】
すなわち、前側の載置部28と、後側の左右の載置部29,29と、前側の一の規制面31aと、後側の左右の規制部32,32とは、恒星原板7を支持する星空側支持部として機能している。
【0044】
このようにして、トレー本体22上に位置決め載置された原板7の外周縁における閉塞蓋9に近い左右の部分の夫々には、遊転状態の当接ローラ33,33,33,33が、その側方から弾力的に当接する。
【0045】
具体的な構成について説明すると、筐体1側には左右一対の支持アーム34,34が左右揺動可能に支持される。各支持アーム34には複数の当接ローラ33,33が遊転状態で設けられている。左右の支持アーム34,34の夫々は、星空側支持部によって位置決め載置された原板7の外周縁の引き抜き方向側(前側)における左右対称な箇所に配置され、図示しない弾性部材によって原板7側に弾性的に付勢される。そして、この左右のアーム34,34の一方に支持された当接ローラ33,33と、他方に支持された当接ローラ33,33とによって、原板7は、前側の左右両サイドから弾力的に挟まれた状態になる。
【0046】
また、この原板7も、上述した原板6と同様、その外周縁の一部が駆動スペース22aに臨み、該駆動スペース22aに回転駆動可能に支持され且つ作動機構21の一部を構成する駆動ローラ(星空側回転駆動部)36に弾力的に当接する。
【0047】
すなわち、星空側支持部によって位置決め載置された原板7に対して、前側の左右一方側に配置された当接ローラ33,33及び他方側に配置された当接ローラ33,33と、後側に配置された駆動ローラ36とによって、該原板7は、回転可能な状態で位置決めされる。この状態で、駆動ローラ36を前記電動モータ(アクチュエータ)27によって回転駆動すれば、この原板7が自身の中心を支点としてスムーズに回転駆動される。
【0048】
ちなみに、下側の原板6の中心と、上側の原板7の中心とは、平面視で同一又は略同一の箇所に位置している。すなわち、2つの原板6,7は、自身の中心と通過する同一の仮想の回転軸Z(図9参照)の支点として回転可能に構成されている。この他、上述した支持構造から、下側の原板6よりも上側の原板7の方が、その径が大きく設定される。
【0049】
図7乃至図9は2枚の原板及び作動機構の構成を示す斜視図、背面図及び側面図である。図4図7乃至図9に示す通り、作動機構21は、収容状態時の載置トレー8のトレー本体22における差し込み方向寄り部分の直下に位置するようにして筐体1側に固定され且つハウジングとして機能する作動側フレーム37と、該作動側フレーム37に取り付け支持された上述の単一の電動モータ27と、上述した2つの駆動ローラ26,36と、作動側フレーム37側に支持された伝動機構38とを有している。
【0050】
作動側フレーム37は、互いに平行な状態で対向配置された上下一対のプレート39,41と、上下のプレート39,41の間の間隔を保持する複数のスペーサ42とを有している。
【0051】
作動側フレーム37の一部は駆動スペース22aの直下に位置しており、この部分には、上述した回転軸Zと平行な上下方向の駆動軸43が配置されている。この駆動軸43は、その軸回りに回転可能な状態で上下のプレート39,41の間に支持され、その一部が上側のプレート39から上方に突出して上述した駆動スペース22a側に臨んだ部分になり、当該部分には上述した2つの駆動ローラ26,36が着脱可能に装着固定されている。すなわち、2つの駆動ローラ26,36は、同一の軸である駆動軸43を支点として、一体で回転駆動される。
【0052】
電動モータ27は、その出力軸(図示しない)を下側に向けた状態で、モータ本体27が上下のプレート39,41の間に挿通された状態で着脱可能に固定される。
【0053】
伝動機構38は、電動モータ27の出力軸の回転動力を駆動軸43に動力を伝動するギヤやベルトやプーリや回転軸等の各種の伝動部材から構成されている。そして、2つの駆動ローラ26,36は、電動モータ27からの回転動力が伝動機構38を介して減速伝動され、2つの原板6,7を回転駆動させる。
【0054】
各駆動ローラ26,36は、その周回りに、原板6,7の外周縁側の部分が挿入されるV字状の溝26a,36aが凹設され、これによって原板6,7と駆動ローラ26,36とがしっかりと当接され、駆動ローラ26,36による原板6,7の回転駆動が確実に実行される。
【0055】
ところで、下側の原板6は、上側の原板7と比較して、その径が小さく設定され、これらの上下の原板6,7は同一軸である回転軸Zの軸回りに回転し、2つの駆動ローラ26,36も同一の軸である駆動軸43を支点として回転するため、下側の原板6を直接に回転駆動させる駆動ローラ26は、上側の原板7を直接に回転駆動させる駆動ローラ36よりも、その径が大きく設定される。この径の違いによれば、電動モータ27によって上下の原板6,7を回転させるにあたり、下側の原板6の方が、上側の原板7よりもその角速度が高速に設定される。
【0056】
このようにして、作動機構21によって、上下の原板6,7の角速度(回転速度)を異なる値に設定することが可能である。具体的には、本例では、瞬き原板6を恒星原板7よりも短い周期(高速)で回転させている。
【0057】
次に、図4図8乃至図11に基づいて2つの原板6,7の構成及びその回転の制御方法について説明する。
【0058】
図10は、瞬き原板の原板本体の構成を示す平面図である。図8図9及び図10に示す通り、瞬き原板6は、透光性の高い(具体的には透明な)円形の板状に成形された上下一対の原板ケース44,46の間に原板本体47を挟み込むようにして、原板ケース44,46の外周縁寄り部分の面同士を、着脱可能に接合して固定することにより構成され、その全体が円盤状に成形されている。2つの原板ケース44,46及び一の原板本体47は平面視で同一の位置に中心を有している。
【0059】
原板本体47の大部分には、該原板本体47と同一の位置に中心を有し且つ透光性が一様でない円形の範囲である表現範囲48が形成されている。この表現範囲48は、点状又は円形をなし且つ遮光性の高い領域である遮光領域48aと、遮光性の低い(具体的には、透明な)領域である透光領域48bとから構成されている。遮光領域48aは、瞬き表現範囲48中に多数形成されている。透光領域48bは、瞬き表現範囲48中における遮光領域48a以外の領域である。
【0060】
図8及び図9に示す通り、恒星原板7も、瞬き原板6と同様に、透光性の高い(具体的には透明な)円形の板状に成形された上下一対の原板ケース49,51の間に図示しない原板本体を挟み込むようにして、原板ケース49,51の外周縁寄り部分の面同士を、着脱可能に接合して固定することにより構成され、その全体が円盤状に成形されている。2つの原板ケース49,51及び一の原板本体は平面視で同一の位置に中心を有している。
【0061】
恒星原板7の原板本体の構成は従来公知であるため説明は割愛するが、簡単にその構成を説明すると、この原板本体の一部又は全部は、遮光性の高い材料又は光を通さない材料から構成され且つ該恒星原板と同一の中心を有する円形の表現範囲になる。この星空表現範囲には、星空画像に含まれる無数の星に対応して、光を通す孔が夫々の星の光の強さに対応した大きさで無数に穿設されている。
【0062】
トレー本体22の凹部23側に回転可能に支持された上下の原板6,7は、その表現範囲48が平面視で互いに一致した状態になる。恒星原板7は、その回転によって、その中心を支点として孔も円形の軌跡上を移動し、これによって星空画像において星を移動させ、実際の星空での星の動きを再現できる。一方、瞬き原板6は、その回転によって、その中心を支点として遮光領域48aが円形の軌跡上を移動している最中、この遮光領域48aが平面視で恒星原板7の孔が穿設された部分を通過し、これによって星空画像の星の明るさが変化し、実際の星空での星の瞬きを再現できる。
【0063】
図11は本映像表示装置の構成を示すブロック図である。図4及び図11に示す通り、収容状態のトレー本体22の凹部23が形成された部分の直下に光源52が、その光の照射方向を照射穴3の軸方向(具体的には筐体1が基本姿勢に切り換えられている状態時に真上側を向く方向)に向けた状態で筐体1の内部に設置されている。この光源52から出た光は、集光レンズ53によって集光され、露出孔23aを通過して、上下に重ねられた2つの原板6,7に達し、これらの原板6,7を透過(通過)し、照射穴3の内部に導入されて投影レンズ5を透過し、筐体1の外部に対象面Mに向かって照射され、これによって対象面Mに2つの原板6,7に対応した星空画像が表示される。
【0064】
ところで、原板6,7の表現範囲48の全部ではなく一部が、底面視で、露出孔23aの範囲に位置する投影部分になり、この投影部分が対象面Mに投影される。そして、原板6,7の回転に伴って前記投影部分がその中心と支点として回転移動し、これによって星空での星の移動とともに出現の有無も表現可能になる。
【0065】
このような構成によって星空画像を投影する場合、上下の原板6,7の回転の制御が重要になり、この回転制御は、マイコン等から構成された制御部56によって行う。
【0066】
制御部56の入力側には、上述した各種の操作部12,14,16,17,18と、上下の原板6,7の回転位置を検出する回転センサ等の各種の検出部57とが接続されている一方で、その出力側には、光源52、電動モータ27と、スピーカ13とが接続されている。この他、制御部56には、音のデータ等の各種の情報が記憶された記憶部58と、外部の機器と通信する通信部59とが入出力可能に設けられている。
【0067】
制御部56は、その入力側の操作部12,14,16,17,18からの電気的に入力信号に応じて、その出力側の光源52、電動モータ27及びスピーカ13に電気的な出力信号を出力し、上述のような内容となるように適宜制御を行う。例えば、3つの操作ボタン12,12,12の押し操作によって所定の音が選択された場合には、該音のデータを記憶部58から取得するか、通信部59を介して外部の機器から取得し、スピーカ13から出力する。
【0068】
さらに、制御部56は、電動モータ27の出力軸の回転速度及び回転方向を制御するように構成されている。具体的には、制御部56が、PWM制御よるデューティ比の調整や、DAコンバータ等によって出力信号の電圧値の調整や、出力信号の有無の切替等を行うことによって、電動モータ27の出力軸の回転速度の制御や回転方向の制御を実行する。
【0069】
以上のように構成される映像表示装置によれば、現実の星空をよりリアルに再現することが可能になる。
【0070】
なお、記憶部は制御部56に内装してもよい。また、制御部56によって光源52の入切制御を実行することは必須ではなく、この光源52を電源スイッチ19の入切操作を完全に連動させてもよい。この場合、光源52を制御部56の出力側に接続することも必須ではなくなる。
【0071】
また、上述した例では、瞬き原板6を、恒星原板7の真下側に配置された光源52と、該恒星原板7との間に配置したが、その上下関係を逆転させてもよい。具体的には、下側の原板6を恒星原板とするとともに上側の原板7を瞬き原板とし、該瞬き原板6を、恒星原板7の真上側に配置された投影レンズ5と、該恒星原板7との間に配置してもよい。
【0072】
さらに、上述した例では、作動機構21は、瞬き原板6及び恒星原板7を同一の回転方向に駆動するように構成されているが、瞬き原板6及び恒星原板7を異なる回転方向に駆動するように前記作動機構21を構成してもよい。
【符号の説明】
【0073】
1 筐体
5 投影レンズ
6,7 恒星原板(星空投影原板,原板)
6,7 瞬き原板(原板)
8 載置トレー(支持部材)
21 作動機構
23 凹部(星空側支持部,瞬き側支持部)
26 駆動ローラ(星空側回転駆動部,瞬き側回転駆動部)
27 電動モータ(アクチュエータ)
36 駆動ローラ(瞬き側回転駆動部,星空側回転駆動部)
38 伝動機構
52 光源
M 対象面
Z 回転軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11