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特許7330661同期リラクタンス機械及び、トラクションモータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-14
(45)【発行日】2023-08-22
(54)【発明の名称】同期リラクタンス機械及び、トラクションモータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 19/10 20060101AFI20230815BHJP
   H02K 1/28 20060101ALI20230815BHJP
【FI】
H02K19/10 A
H02K1/28 Z
【請求項の数】 4
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017083282
(22)【出願日】2017-04-20
(65)【公開番号】P2018082605
(43)【公開日】2018-05-24
【審査請求日】2020-04-13
【審判番号】
【審判請求日】2022-01-28
(31)【優先権主張番号】62/327,043
(32)【優先日】2016-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/367,261
(32)【優先日】2016-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100151286
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 亮一
(72)【発明者】
【氏名】パテル・バギーラス・レッディ
(72)【発明者】
【氏名】ケヴィン・マイケル・グレイス
【合議体】
【審判長】佐々木 芳枝
【審判官】柿崎 拓
【審判官】山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第2894767(EP,A2)
【文献】特開2003-289656(JP,A)
【文献】特開平10-150754(JP,A)
【文献】特開2010-57233(JP,A)
【文献】国際公開第2017/154156(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K1/28
H02K19/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータ(22)と、
ロータコア(32)とロータ極(34)とを含む同期リラクタンスロータ(30)であって、前記同期リラクタンスロータ(30)が、前記ステータ(22)内に配置され、前記ステータ(22)に対して回転するように構成された、前記同期リラクタンスロータ(30)と、
前記同期リラクタンスロータ(30)の周りに周方向に配置された、電性非磁性合金を含む非磁性スリーブ(36)と、
前記ロータ極(34)の外側中心部分に位置づけられるように、前記非磁性スリーブ(36)と前記ロータ極(34)との間に配置された非導電性ウェッジ(40)と、
含み、
前記ロータコア(32)と前記ロータ極(34)との間にインペラが配置されず、
前記非導電性ウェッジ(40)が前記非磁性スリーブ(36)に接触する連続面を前記同期リラクタンスロータ(30)の全周にもたらし、これが前記非磁性スリーブ(36)の屈曲を最小限に抑え、負荷分散を向上させる、同期リラクタンス機械(20)。
【請求項2】
前記同期リラクタンス機械(20)が、14,000rpmの最高速度で30kWを超える出力を供給するように構成されている請求項1に記載の同期リラクタンス機械(20)。
【請求項3】
ステータ(22)と、
前記ステータ(22)内に配置され、前記ステータ(22)に対して回転するように構成された同期リラクタンスロータ(30)と、
前記同期リラクタンスロータ(30)の周りに周方向に保持された電性非磁性合金を含む非磁性スリーブ(36)と、
前記同期リラクタンスロータ(30)のロータ極(34)の外側中心部分に位置づけられるように、前記非磁性スリーブ(36)と前記ータ極(34)との間に配置された非導電性ウェッジ(40)と、を含み、
前記非導電性ウェッジ(40)は、前記非磁性スリーブ(36)に接触する連続面を前記同期リラクタンスロータ(30)の全周にもたらす、トラクションモータ。
【請求項4】
前記トラクションモータが、14,000rpmの最高速度で30kWを超える出力を供給するように構成されている請求項3に記載のトラクションモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スリーブロータ同期リラクタンス電気機械に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、一般に、電気機械に関し、より具体的には、複合スリーブによって保持されたロータを利用する同期リラクタンス電気機械トポロジに関する。
【0003】
高速・高出力密度の電気機械は、トラクションモータ用途に不可欠である。単位体積当たりの出力を最大にするために、通常、永久磁石電気機械がそれらの多くの望ましい特性のために使用される。内部永久磁石(IPM)機械は、小型ハイブリッド/電気自動車(HEV/EV)におけるトラクションモータの主な候補であったが、磁石の価格および入手可能性が懸念されている。通常、これらのモータは、ネオジム(Nd)のような軽希土類材料とジスプロシウム(Dy)のような重希土類材料の両方を含むネオジム鉄ホウ素(NdFeB)永久磁石を使用する。これらの希土類磁石を使用する上での重要なリスクの1つは、過去数年間の価格の大幅な変動/増加である。これらの磁石を大量に使用するトラクション用途ならびに風力発電機は、これらの変動の影響を最も受けた。性能を犠牲にすることなく希土類材料の使用を低減または排除しようとする試みが、世界中で継続的に行われている。希土類材料の排除の一環として、誘導、スイッチドリラクタンス、および同期リラクタンスなどの従来のトポロジが代替手段として検討されている。
【0004】
同期リラクタンス機械は、そのスムーズでシンプルなパッシブロータ構造、すなわち磁石またはコイルのような磁束励起構造の欠如、誘導電動機に匹敵する出力密度、低ロータ損失、磁石の欠如、およびシンプルな制御のために特に魅力的である。この構成における磁石の欠如は、特に希土類材料価格の変動性により関心が高い。さらに、減磁または制御不能な逆起電力発生のリスク(モータの逆起電力がDCリンク電圧を超える)が、排除される。同期リラクタンス機械の重要な欠点は、力率が低く、通常は制限された定出力速度比(CPSR)であることである。これは主に、特に高速機械でのブリッジおよび/またはセンターポストの存在によるものである。図1は、ブリッジ12およびセンターポスト14を有する従来の同期リラクタンス機械10を示している。ブリッジ12およびセンターポスト14は、同期リラクタンス機械10の漏れ磁束を増加させる経路を提供する。この漏れ磁束は与えられる電磁トルクに加わらないので、漏れ磁束の損失は、トルクを低下させ、ひいては機械10の力率を低下させる。さらに、漏れ磁束からのインダクタンスが機械電圧に加わり、トルク生成に利用可能な電圧を制限する。電圧の制限は、ブリッジ12およびセンターポスト14の存在がトルク生成に利用可能な電圧を低下させ、出力トルクの急激な低下、すなわちより低い定出力速度比(CPSR)につながる高速動作において特に問題となる。
【0005】
ロータ直径が大きい高速同期リラクタンス機械は、強固な物理的保持性を必要とする。従来の同期リラクタンス機械10は、ロータを通る磁束経路に依存しており、ロータは磁束経路が機械10の空隙内に変形しないように物理的機構によって保持されなければならない。これらの保持機構は、通常、ブリッジ12およびセンターポスト14の形態のロータ積層体の構成に組み込まれる。速度が速くなり、ロータ直径が大きくなればなるほど、ブリッジ12およびセンターポスト14もより厚くならなければならない。これらの機構が厚いほど、機械10の性能が低下する。従来の同期リラクタンス機械10の性能は通常、スピンロータ構造の機械的制限のために、特に高速用途では永久磁石の使用と比べると良好ではない。
【0006】
したがって、センターポストの必要性を軽減し、高速動作に適した同期リラクタンス電気機械が必要とされている。センターポストを減少させると、センターポストの漏れ経路の問題が大幅に緩和されるだけでなく、トルクリップルやロータ損失が低減される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許第7652404号明細書
【発明の概要】
【0008】
いくつかの実施形態によれば、同期リラクタンス機械が開示される。機械は、ステータと、前記ステータ内に配置され、前記ステータに対して回転するように構成されたロータと、前記ロータの周りに周方向に配置されたスリーブとを含む。
【0009】
いくつかの実施形態によれば、トラクションモータが開示される。トラクションモータは、ステータと、前記ステータ内に配置され、前記ステータに対して回転するように構成された同期リラクタンスロータと、前記ロータの周りに周方向に保持されたスリーブとを含む。
【0010】
様々な他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および図面から明らかになるであろう。
【0011】
本発明の利点を容易に理解するために、上で簡潔に説明した本発明のより具体的な説明は、添付の図面に示される特定の実施形態を参照して行われる。これらの図面は、本発明の例示的な実施形態を示しているだけであり、したがって、本発明の範囲を限定するものと考えるべきではないことを理解した上で、本発明は、添付の図面を使用することによって追加の特異性および詳細を用いて記述かつ説明される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】従来の同期リラクタンス電気機械の図である。
図2】本発明の一実施形態による、同期リラクタンス電気機械の断面図である。
図3】本発明の一実施形態による、同期ロータの断面図である。
図4】本発明の一実施形態による、空隙厚さ関数対空隙半径のグラフである。
図5】本発明の一実施形態による、最適化された2つの空隙関数の構成の質量のグラフである。
図6】本発明の一実施形態による、最適化された2つの空隙関数の構成のスタック長のグラフである。
図7】本発明の一実施形態による、最適化された2つの空隙関数対空隙半径の構成によって最高速度で達成可能な出力のグラフである。
図8】本発明の一実施形態による、最適化された空隙関数の構成によって最高速度で達成可能な最大出力での効率のグラフである。
図9】本発明の一実施形態による、ピークトルク励起の図である。
図10】本発明の一実施形態による、ピークトルク励起下の空隙磁束密度のグラフである。
図11】本発明の一実施形態による、ピークトルク励起下の半径方向および接線方向の空隙磁束密度高調波のグラフである。
図12】本発明の一実施形態による、定格条件下の出力、電流、トルク、および電圧のグラフである。
図13】本発明の一実施形態による、定格出力対速度を比較するグラフである。
図14】本発明の一実施形態による、定格出力対速度における顕著性を比較するグラフである。
図15】本発明の一実施形態による、定格出力対速度におけるVLLRMSを比較するグラフである。
図16】本発明の一実施形態による、ピークトルク励起における半径方向および接線方向の空隙磁束密度高調波を比較するグラフである。
図17】本発明の一実施形態による、ピークトルク励起下の半径方向および接線方向の空隙磁束密度高調波を比較するグラフである。
図18】本発明の一実施形態による、定格出力対速度における効率を比較するグラフである。
図19】本発明の一実施形態による、トルクリップルを示すピークトルク対時間を比較するグラフである。
図20】本発明の一実施形態による、出力能力対速度を比較するグラフである。
図21】本発明の一実施形態による、同期ロータの断面図である。
図22】本発明の一実施形態による、スリーブ巻き付け設置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
様々な実施形態によれば、機械性能を低下させる典型的な機械的保持機構の除去を可能にする、複合スリーブによって保持されたロータを利用する同期リラクタンス電気機械トポロジが本明細書に開示される。周方向の複合スリーブを使用してロータ機構を機械的に保持することにより、センターポストは構成から排除され、ブリッジのサイズが最小限に抑えられる。これらの機構を減少させると、磁束は実質的に意図された経路を通ってのみ伝導され、機械性能が向上する。このスリーブ構成により、より高い効率およびトルク生成を達成することができる。
【0014】
図2は、本発明の一実施形態による、同期リラクタンス電気機械20の断面を示している。機械は、ステータヨーク24と、複数のステータティース26とを含むステータ22を含む。巻線28は、ステータティース26に巻き付けられている。一実施形態では、巻線28は、分数スロット集中巻線である。直径方向に対向するステータティース26の各対は、直列または並列に接続され、同期リラクタンス機械20の独立位相巻線を形成する。例示的な実施形態では、同期リラクタンス機械20は、三相巻線を有する。
【0015】
同期リラクタンス機械20はまた、ロータコア32を有し、ステータ22と同心のロータ30を含む。ロータコア32は、互いに重ね合わせて配置された複数の積層シートを含んでもよいし、一体的に形成されてもよい。ロータ30はまた、単一の材料で形成された複数の強磁性領域および非強磁性領域を含み、同期成分リラクタンストルクを増強し、かつ、巻線28よって生成される磁束の望ましくない高調波成分の寄与を低減するように選択的に形成されるロータ極34を含む。同期リラクタンス機械20は、ロータティースに巻線を設けず、かつロータティースまたはステータティースに永久磁石を埋め込まないことによって、永久磁石機械と区別される。
【0016】
図3は、本発明の一実施形態による、同期リラクタンス機械20の断面を示している。スリーブ36は、電気機械20のロータ30の外周に巻き付けられている。スリーブ36は、軽量であり、金属材料より数倍強く、非磁性であるため、追加の電磁損失を生じない。
【0017】
機械20のロータ30の周りにスリーブ36を配置すると、機械20の電磁空隙が増大し、電磁トルク性能を低下させる。しかし、スリーブ36を含むことにより、機械20をより大きな直径で構成してより高速でスピンさせることができ、良好なトルク生成および高出力を可能にする。ロータ30の大型化および高速回転化による性能向上は、空隙を大きくすることによるトルク性能の低下を上回る。これらの特性はまた、機械20の質量を小さくすることができ、トラクション用途に適している。機械20の性能は、高価な材料を使用する永久磁石機械に対抗することができる。
【0018】
スリーブ36は、HexTow IM7のような炭素繊維またはインコネルのような高強度の導電性非磁性材料から作製することができる。炭素繊維の使用は、ロータ損失を低減するのに有効であるが、比較的低い熱伝導率を有する。一方、インコネルのような導電性材料は、多くのスリーブをなくすことで熱的な問題を排除することができる。ロータスリーブ36に安定性および剛性を加えるために、繊維の中間層は、90/10の構成と呼ばれる周方向に配置された9つの層ごとに軸方向に配置されてもよい。
【0019】
電磁解析の場合、スリーブ厚さ自体は、空隙半径およびロータ先端速度(外側半径における接線方向速度)の関数とすることができる。有効な空隙厚さは、スリーブ厚さと物理的空隙の和に等しい。より小さい半径では、スリーブ厚さはより小さくてもよく、これはリラクタンスに有利であるが、より大きい半径では、より高い遠心力を補償するためにスリーブ厚さを増加させなければならない。これは、より大きい半径で増加したトルク密度に反作用をもたらす。スリーブ36が厚いほど、ロータ30およびステータ22の電磁部分の間の間隙が大きくなり、磁気回路のリラクタンスが増加し、トルク能力が低下する。
【0020】
したがって、開示された同期リラクタンス機械20の実施形態は、以下に示す表1の要件に従って、ピーク出力でトルク密度を最適化することができる。同時に、機械20はまた、30kWの連続出力を達成するために、14,000rpmの最高速度で最大出力を供給する必要がある。
【0021】
【表1】
スリーブ材料-(a)炭素繊維(空隙関数1)と(b)インコネル(空隙関数2)の2つの選択肢を反映するために、少なくとも2つの異なる空隙厚さ関数を同期リラクタンス機械20に対して考えることが可能である。機械的な観点から、スリーブ厚さは、引張強度の違いのために2つの材料の間で異なり得る。これらの空隙関数の各々は、ロータの外側半径の関数としての機械20の有効な空隙の間の関係を提供する。空隙関数は、電磁性能に一次機械的効果を含む有効な方法と見なされる。スリーブ36が最小半径で必要とされず、0.5mmの最小空隙厚さが必要であると仮定すると、空隙厚さの1つは、より小さい半径で0.5mmの値に近づき、他方の関数は、0.75mmに近づく。さらに、空隙関数の各々は、積層体の遠心力の増加に応じて空隙厚さとの二次関係を有する。2つの異なるスリーブ材料、すなわちインコネルおよび炭素繊維は、2つの空隙関数に対応する。
【0022】
選択された有効な空隙(スリーブ+物理的空隙)関数が、図4に示されている。これらの空隙厚さ関数は、スリーブ厚さの2乗対ロータ半径を示す遠心力の一次効果を捕捉する。機械的保持の問題は複雑なものであるので、これらの厚さ関数は、正確なロータ形状を考慮せず、電磁最適化に使用される関数のみを表す。機械20は、ピークトルク条件下でトルク密度に対して動作点の各々で最適化される。簡略化のために、ポストおよびブリッジは、構成において排除される。ステータ22は、60のスロットからなる従来の2スロット/極/相ステータ22であり、ロータ30は、10の極34を有する。従来の同期リラクタンスロータとの比較のために、極およびスロット数は、それぞれ10および60に固定される。最適化された構成の質量およびスタック長は、それぞれ図5および図6に示されている。興味深いことに、最適値は、2つの点、すなわち90mmおよび60mmで発生するようである。しかし、80、90および100mmの構成では、図7に示すように、最高速度で30kWに近い出力を生成することができる。空隙半径がより小さい機械は、軸方向にかなり長くなり、必要な出力を最高速度で生成することに関して不利になる。
【0023】
図8に示す最高速度30kWの連続出力下の全体効率は、80mmから最大100mmの構成が最良の性能を有することを示している。より低い半径構成は、必要な30kWを生成することができず、したがって効率は、達成可能な出力がより高いため、80mmを超える構成で良好である。上記の解析に基づいて、90mmの空隙半径は、スリーブ36と共に使用するのに最適となり得る。しかし、これは完全な機械的解析を考慮していないので、最終的な最適化は、90および100mmの2つのロータ半径で行われる。
【0024】
ロータ構成要素の機械的保持のための連続的な周方向スリーブの使用は、全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,995,489号のような表面永久磁石(PM)機械に使用されている。しかし、ロータ30とステータ22との間の間隙を大きくすることは、磁気回路のリラクタンスを増加させ、間隙を小さくするために通常働くリラクタンス機械20に対して反直感的である。リラクタンス機械20にスリーブ36を加えることにより、従来の構成より高い回転速度および大きい直径のロータ30を可能にする。連続的なスリーブ36を使用することは、機械20の空隙を大きくすることに由来する固有の欠点がある。物理的空隙は、通常、同じままであることができるが、ロータ30のスリーブ36の厚さのために、電磁的間隙を大きくしなければならない。スリーブ材料は、ロータ30の磁束経路を妨害しないように、非磁性材料であることが要求される。さらに、空隙のモノリシック磁性材料は、大きな渦電流損失の影響を受けることになる。インコネル材料は、ロータスリーブ36に使用することができ、その理由は、非磁性であり、厳しい公差に容易に機械加工することができるからである。
【0025】
別の適切な材料候補は、グラファイト繊維複合材である。これは非磁性であり、鋼またはインコネルの引張強度の何倍もの強度を有する。複合スリーブ36を構成するために、グラファイト繊維の層が周方向に、軸方向層を周期的に間に挟んで配置され(フープ層)、ロータの軸方向に剛性をもたらす。好ましい実施形態では、90%のフープ層および10%の軸方向層を有するIM7グラファイト繊維材料を使用することができる。これらの層は、樹脂で覆われており、これらを一緒に結合して硬化させる。
【0026】
1つのロータ極34の半分の軸対称解析を用いて、構成要素の構成の各々に対してスリーブ36の必要な厚さを決定した。応力解析は、ロータ積層体がロータ30にキー止めされ、トルク伝達がキーを介して行われることを前提とする。10極、2層ロータ構成のロータ積層体は、積層体の完全性を保つために厚さ0.5mmのブリッジを有することが可能であり、したがって製造を容易にすることができる。さらに、最大直径のロータ構成が200mmであるので、スリーブ厚さは0.5~2mmの間で変化するが、物理的な締りばめ、スリーブ36とロータ30との間の組立工程中の構成要素の間の隙間は、接触時に0~10ミルの間で変化する。
【0027】
グラファイト繊維複合スリーブ36を用いて同様の解析を行ったところ、スリーブ厚さは1mmとなった。この厚さでは、スリーブ36はIM7材料の許容応力を超えることなく、スリーブ36の積層変形を空隙内に保持するのに十分な剛性を有する。空隙内へのスリーブ36の最大変形は、12ミルに制限され、これは本質的に空隙の33%である。炭素繊維スリーブ36内のフープ応力は、200ksiに制限され、一方IM7 90/10の引張強度は、材料の最大応力の約8倍である。さらに、積層体における最大たわみは、同様に12ミルに制限されるが、ロータの積層体領域で生じる。しかし、グラファイト繊維の応力制限を遵守することに加えて、ロータ30とスリーブ36との間の界面における圧力制限に関して追加の制約が加えられた。言い換えれば、回転下では、制約の1つはグラファイト繊維がロータ積層体との表面接触を失ってはならず、炭素繊維の降伏強度を超える圧力点を有するべきであるということであった。
【0028】
上述の機械的解析に基づいて、最終的なスリーブ厚さは、炭素繊維およびインコネル材料に対してそれぞれ1.0および2.0mmとなり得る。構成の最適化は、それぞれのスリーブの周りでトルク密度の主目的をもって行われる。以前の最適化実験では、90mmのロータ半径付近に最適な構成が存在することが示されているため、90mmと100mmの両方のロータ半径で最適化が行われる。両方の構成は、炭素繊維スリーブ厚さが1mmであり、空隙が0.7mmである場合、いずれの構成の有効な全体空隙が1.7mmに等しい。
【0029】
最終的なスリーブ構成の性能を、表IIに示す。空隙半径およびスタック長の点で構成が異なるが、構成はそれらの最終的な質量値ならびに出力密度、高速出力および効率の点での性能に関して非常に類似している。構成の全体的な活動量は、90mmおよび100mmの構成に対してそれぞれ35.8kgおよび35.4kgであり、両方の構成は、それぞれ1.69および1.71kW/kgの値に達する出力密度の点で非常に類似している。両方の構成は、端部領域において同様の銅質量を有することになり、銅質量の差は、長さの違いに起因する。これにより、5.4kgの90mmの構成と比較して、3.8kgの大幅に低い銅質量を有する100mmの構成が得られる。両方の構成は、磁石を含まず、活物質コストは、永久磁石モータのコストより低い。
【0030】
【表2】
構成トポロジは類似しており、100mmの構成は質量、顕著性および効率に関してわずかな利点を有するので、100mmの構成の結果を調べ、以下でさらに詳細に説明する従来の電気機械との最終比較に使用した。
【0031】
ピーク出力ならびに最高速度条件における顕著性、すなわち、回転下のロータの最大インダクタンスおよび最小インダクタンスの比に関して100mmのほうがわずかに良好である。ピーク出力条件下では、電気機械20は、磁気飽和状態にある。ピークトルク条件下の電気角ならびに高調波による磁束密度の変化を、図9に示す。明らかに、ブリッジおよびステータ歯基部の領域を除いて、機械20の大部分は、特にロータのq-軸経路およびステータヨーク24にはほとんど不飽和である。これらの部分のいずれの磁束密度も1.5Tであり、歯およびブリッジ領域は、2.1Tの飽和磁束密度に達する。
【0032】
ピークトルク条件(すなわち、機械への電気入力のための400Armsの励磁電流および50°のガンマ角)下の100mmの構成の空隙磁束密度の概略を、図10に示す。グラフは、半径方向および接線方向の磁束密度の両方が有意な高調波を含むことを示しており、半径方向の磁束密度は、鋸歯状波形にほぼ類似している。ピークトルク条件下での半径方向および接線方向の磁束密度のフーリエ高調波成分のピーク値を、図11に示す。明らかに、ピークの半径方向の磁束密度は0.6Tを超えず、これは永久磁石機械と比較してかなり低いと考えられる。より低い磁気装荷は、機械20のサイズに直接的な影響を及ぼし得る。さらに、空隙磁界は、ステータ歯とロータ歯の調節の組合せから生じる、特に11番目の高調波を中心に高調波に富んでいる。言い換えれば、6つの歯から生じるステータ励起は、5つの歯の階段状のロータ透磁率によって調節される。11番目の高調波は、ロータ損失を引き起こす可能性があるが、スリーブ36の非導電性の性質によりスリーブ損失は引き起こさない。100mmの構成の出力、トルク、電流およびライン電圧に関する定格性能を、図12に示す。低速条件下では連続的な電流が非常に高く、すぐに200Armsの制限内に入ることが分かる。一方、機械端末間の電圧は、約7000rpmの速度でモータ駆動装置から得られる6ステップ電圧の制限に達し、機械電圧のコーナーポイントを示している。
【0033】
比較のために、従来の電気機械10(磁気ブリッジおよびポストを有する)は、10の極および2つの層で構成されている。ブリッジ12およびセンターポスト14のサイジングは、14,000rpmにおける機械的解析に基づく。従来の電気機械10の最適化を簡略化するために、ブリッジおよびポストの厚さは0.63mmに固定された。EMの最適化により、従来の電気機械10がピーク出力に構成されている場合、定出力速度範囲(CPSR)を最高速度まで維持することができず、10,000rpmの速度までしか維持できないことが明らかになった。12,000rpmを超える速度では、構成は出力を失い始め、最高速度で29kWに低下する。上述したように、これは主に、磁気ブリッジ12およびポスト14の大きな漏れによるものである。
【0034】
スリーブ対従来の構成の比較を、表IIIに要約する。上述のように、すべての機械は、2800rpmのコーナーポイントで同様のピーク出力に構成されている。しかし、スリーブ構成20は60kWのピーク出力が可能であるため、将来の改良に役立つように、10%高いピーク出力に構成されている。一方、従来の電気機械構成10は、12,000rpmまでの連続出力を維持しながら、56kWのピーク出力しか達成することができない。より高いピーク出力にもかかわらず、スリーブ構成20は、従来の電気機械10より出力密度の点で29%優れている。より良好な出力密度の主な理由の1つは、スリーブ36が空隙半径の増大を可能にすることである。
【0035】
【表3】
両方のモータの定格軸出力対速度を、図13に示す。スリーブ構成20は、全速度範囲(すなわち、2800から14,000rpm)にわたって30kWを超える出力を維持することができるが、従来の電気機械構成10は、特に10krpmの速度を超えると利用可能な定格出力がより急激に低下する。モータの定格出力対速度の段階的な低下の理由は、図14に示す顕著性を観察することによって理解される。従来の電気機械構成10の顕著性は、3より十分に低いが、定格出力条件下のスリーブ構成20の顕著性は、3に近い。電気機械におけるより高い顕著性は、トルク生成がリラクタンストルクのみから生じるので有益である。従来の電気機械10のブリッジ12およびポスト14は、漏れ磁束の主な経路であり、この構成では顕著性を低下させる。スリーブ構成20は、漏れ磁束を制限して顕著性を改善する、より厚さが低いブリッジを有する。良好な顕著性は、低速での出力ならびにトルクのコーナーポイントに影響を及ぼす。図15に示す定格条件下での電圧の比較は、従来のロータが10,000rpmの速度を超えると電圧制限内に留まることができないことを示している。ターン/相ならびに形状変化に関する広範な幾何学パラメータの変化は、14,000rpmの最高速度まで要求される30kWの出力を生成することができる構成をもたらさなかった。
【0036】
ピークトルク条件(すなわち、400Armsの励磁、50°のガンマ)下の従来の同期リラクタンス構成における空隙磁束密度を、図16に示す。ピークトルク条件下での半径方向および接線方向の磁束密度のフーリエ高調波成分のピーク値を、図17に示す。この構成の11番目の高調波は、0.2Tの磁束密度を超え、ロータ損失および機械のトルクリップルに大きな影響を及ぼす。機械の様々な損失は、電磁解析ソフトウェアならびに有限要素ソフトウェアを使用して推定される。両方の構成の効率は、低速領域では約85%と低いことが分かる。これは、効率を低下させる低速での銅損失が非常に大きいためである。より高速では、トルク要求の低下のために、電流が低減され、効率が改善される。
【0037】
構成の定格負荷条件下の効率の変化を、図18に示す。両方の構成は、7000rpmの速度までの効率に関して非常に類似している。より高速では、従来の電気機械構成10の電流要件は、構成がもはや電圧制約内の出力要件を満たすことができなくなる点まで増加する。これは、7000rpmを超える従来の電気機械より優れた効率を有するスリーブ電気機械構成20をもたらす。
【0038】
ロータ損失の比較は、冷却の観点から重要である。ロータ30が低温制限の影響を受け易い材料を含んでいなくても、損失は、軸および軸受への熱流の観点、ならびにロータの空隙への熱膨張の観点から重要である。従来のロータ構成10では、ロータ損失は速度体制全体に対して400W以内である。スリーブロータ構成20は、これらの損失をほぼ3倍減らすことができる。これは、空隙の高調波がより低く、温度上昇の制限ならびにロータ温度の低下に非常に有効である、より大きな電磁空隙によるものである。ピーク出力におけるトルクリップルの比較図19は、トルクリップルがスリーブ構成20において大幅に低減されることを示している。100mmにおけるスリーブ構成20は、わずか9.5%のトルクリップルを有する。これは、ピーク出力動作条件で72.8%のトルクリップルを有する従来の構成10と比較して、大幅に低減されている。スリーブ構成20におけるトルクリップルの低減は、従来の構成10と比較して、主により大きな有効な空隙のためにスリーブロータ30の低減した高調波含有量に起因する。
【0039】
300Armsおよび325VDCの電流を用いたモータ出力能力の比較を、図20に示す。すべてのスリーブ構成は、3000rpmまでの低速での出力能力に関して同様の方法で行われる。3000rpmを超える速度では、スリーブ電気機械構成20は、従来の電気機械構成10より有効であり、最大出力能力に関して16%優れている。6000rpmの速度、および325VDCの電圧制限内では、100mmの空隙半径を有するスリーブ構成20は、72.8kWの出力を生成することができる。さらに、スリーブ電気機械構成20は、14,000rpmの速度まで指定された出力を供給することができるが、従来の電気機械構成10は、10,000rpmの速度を超える出力を達成することができないことが分かる。
【0040】
他の外部負荷がかからずに室温でz-軸(軸方向)を中心に14,000rpmの回転速度を与えた場合、磁束経路がスリーブに接触する領域で大きな屈曲が観察され、不均一な装荷を引き起こす。極間の積層体の「アーム」は、連続した半径方向の支持のために非常に低い変形を示すが、磁束経路は、非常に薄いブリッジおよびスリーブ36によって支持されるのみである。これは、繊維層の間に高い層間せん断力を引き起こす。スリーブ36は、繊維の0°方向、すなわち繊維に平行な方向にあるのと同様に、このタイプの装荷の場合それほど強くない。これらの大きなたわみに対抗するために、図21に示すように複数のステップを実行することができる。
【0041】
第1に、大きな半円38、すなわち丸みのある縁部がブリッジに配置され、それらを補強するのに役立つアーチ構造を形成する。これは、ブリッジの経路リラクタンスに悪影響を及ぼす。しかし、経路長は以前のブリッジ構成よりわずかに短く、最小断面積は同じであり、厚さが依然として0.5mmであるブリッジの中心に「チョークポイント」を形成し、これは同様のレベルの磁束結合で飽和が生じることを意味する。したがって、性能に大きな影響はない。この変更のもう1つの利点は、半円38によってもたらされるスムーズな移行が、リラクタンス機械にとって共通の問題であるトルクリップルを低減するのに役立つことである。第2に、低密度の非導電性ウェッジ40が極の外側中心部分に加えられてスリーブ36に接触する連続面をロータ30の全周にもたらし、これがスリーブ36の屈曲を最小限に抑え、負荷分散を向上させることになる。
【0042】
この代替の実施形態における結果の調査は、いくつかの重要な情報を明らかにする。第1に、スリーブ36とロータ/ウェッジ30/40との間の接触は、スリーブ界面における間隙の量を観察する場合に許容できる。応力解析からの積層体とスリーブ36との間の最大の相対的な半径方向変位は、わずか0.0006インチである。せん断応力の37%の低減によって証明されるように、半径方向の全変形量はわずか10%を下回り、屈曲は大幅に低減される。複合材が最も強い周方向において、最大フープ応力は、材料にとって許容可能な395ksiのわずか18%である。スリーブ36の大部分は、50~60ksiの間のフープ応力を受ける。最大応力は、スリーブ界面がロータ積層体機構の不均一なたわみから屈曲している領域で生じることが分かる。
【0043】
したがって、1mmの複合スリーブ36は、その材料の制限の近くで応力が加えられることなく、代替の実施形態の電気機械を保持することができる。しかし、ロータ30内の鋼積層体は、はるかに低い引張強度を有する。各ロータ極34の中心にあるポストの補助がなければ、ロータ30は、鋼積層体において高い半径方向のたわみおよび高い応力を受ける。特にブリッジは大きく屈曲し、最大応力はHF-10材料の降伏強度の3.5倍である。積層体における応力を低減するために、Henckel Stycastのような非導電性のポッティング材料を使用して、ロータ30に空気の磁束障壁を充填する。ポッティング材料のモジュラスは、他の材料と比較して低いが、ロータ部分を単体ユニットとして一緒に結合するのに役立つ。ポッティング化合物は、積層体への結合接触によってモデル化される。
【0044】
ポッティング化合物を加えることは、積層体における最大応力を低減することに大きな影響を及ぼす。磁束経路を一緒に結合することにより、ロータODにおけるたわみが大幅に低減される。結果のさらなる調査が、最も大きな応力が周方向の内側直径の近くで生じることを示している。この応力を材料の降伏強度より下に低減するために、積層体の内側直径を小さくする。この内側表面は、機械の軸と連動する。磁束経路は影響を受けないので、直径を小さくすることは、電磁性能に悪影響を及ぼさない。これは、ロータ30の内側「フープ」の断面積を増加させ、周方向においてより強くさせ、この応力を許容可能なレベルまで低減する効果を有する。応力の低減に加えて、ロータ30内の磁束障壁をポッティングすることによって、半径方向のたわみの量もまた減少する。
【0045】
ロータ30の内側直径をさらに小さくすることは、この最大応力をさらに低減するのに役立つ。ロータの内側直径の構成上の制約は、現在の110mmと比較して50mmと低い。結果はまた、非常に高いスリーブのフープ応力の安全係数および良好な半径方向応力の安全係数のために、ロータの外側直径をさらに伸ばすこと、またはスリーブ厚さを減少させて電磁性能を高めることができることを示唆している。
【0046】
スリーブロータには、製造可能性の面で多くの課題がある。ロータに対するスリーブの締りばめは、特に問題である。多くのスリーブ付ロータでは、ロータおよびスリーブは、別々の高精度部品として製造される。金属部品の場合、締りばめを用いたスリーブの設置は、ロータ上に隙間を設けるのに十分な温度にスリーブを加熱し、必要な干渉を生じさせるように冷却を行う場所に配置することによって行われる。しかし、IM7の熱膨張係数(CTE)は、鋼の約20倍である。IM7のCTEは非常に低いので、これを実現可能な工程にできる程十分に膨張しない。大きい厚さの複合スリーブは、通常、軸方向長さに沿ったテーパおよび強い締りばめで構築される。それらは、高い軸方向圧力を用いて(テーパ角度が一致している)ロータに設置される。提案された薄い1mmのスリーブ厚さでは、バックリングなしにこの種の圧力に耐えることができないであろう。
【0047】
この用途のために提案された設置方法は、スリーブ36に同等の「干渉」またはプレテンションを得るために設置中にある程度の張力を与えることができる回転旋盤および供給システムを使用して、ロータ30に巻き付けることである。この開示された設置方法を、図22に示す。前述したように、0.002インチの半径方向の干渉の締りばめは、非常に軽く、巻き付け設置に最適な候補である。巻き付け技術は、結合樹脂(トウと呼ばれる)で含浸される繊維束を使用し、一旦表面に巻かれるとその場所で硬化する。
【0048】
スリーブに巻き付け技術を使用できることには、いくつかの重要な利点がある。主に、テーパの排除は、それ自体の複数の利点を有する。テーパ状ロータを備えた用途では、ステータがテーパ状ではないため、空隙がもはや軸方向長さにわたって均一ではない。これは機械性能、特にリラクタンス機械の場合には理想的ではない。また、スリーブ36をロータ30に圧縮することによる設置は、(均一な接触を提供するための)均一性および(スリーブの内側表面を磨耗しない)表面粗さのために外側ロータ表面を非常に厳しく制限する必要がある。非常に厳密な公差要件は、特に提案された電気機械構成のような直径が大きい部品を扱う場合に、機械加工の課題を生じる。
【0049】
ロータ30の軸方向積層構造は、製造上重要な考慮事項である。ロータは、多数の積み重ねられた積層体で作製され、すべて独自のわずかに異なる外形を有する。一緒に積み重ねると、軸方向でロータの外側表面に不均一な「スタッガ」が形成される。非常に均一な合わせ面を形成するために表面を機械加工することが好ましい場合、薄い積層が切削または研削によって「汚れる」ことがある。これにより、ロータ表面に沿った積層体の間で電気的短絡が生じ、大きな渦電流が流れる経路をもたらし、これがロータ損失および加熱を増加させる。この問題は、表面の機械加工が不要であるため、スリーブを周方向に巻き付けると軽減される。繊維は、ロータの表面に適合し、積層体のスタッガ(不均衡)または表面粗さによる影響を比較的受けない。
【0050】
したがって、ロータスリーブを有する電気機械を構成する新規の方法が開示される。ロータスリーブの導入は、電気機械構成がより大きいロータ半径/先端速度で動作することを可能にすることが分かる。空隙半径が大きいほど、ブリッジを有する従来の電気機械構成と比較して優れた顕著性が得られ、ロータ損失およびトルクリップルを低減するだけでなく、より大きい定出力速度比を達成する構成を補助する。スリーブ応力における機械的解析は、スリーブ構成が14,000rpmの最高速度まで実現可能であることを示している。最終的なスリーブ電気機械は、出力密度、効率、磁束弱化、出力能力、トルクリップルおよびロータ損失の点で従来の電気機械より優れていることが分かる。
【0051】
上述の実施形態は、本発明の原理の応用についての単なる例示に過ぎないことを理解されたい。本発明は、その趣旨および本質的な特性から逸脱することなく、他の特定の形態で具体化することができる。特許請求の範囲の均等物の意味および範囲内に入るすべての変更は、特許請求の範囲内に包含されるべきである。したがって、本発明は、現時点で本発明の最も実用的で好ましい実施形態であると見なされるものに関連して具体的かつ詳細に十分に上述されてきたが、特許請求の範囲に記載された本発明の原理および概念から逸脱することなく、多くの修正が可能であることは、当業者には明らかであろう。
【符号の説明】
【0052】
10 従来の同期リラクタンス機械、従来の電気機械構成
12 ブリッジ
14 センターポスト
20 同期リラクタンス機械、スリーブ電気機械構成
22 ステータ
24 ステータヨーク
26 ステータティース
28 巻線
30 ロータ
32 ロータコア
34 ロータ極
36 スリーブ
38 半円
40 非導電性ウェッジ
図1
図2
図3
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図5
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図10
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