IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱重工サーマルシステムズ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-フィルタ清掃ユニット及び空気調和機 図1
  • 特許-フィルタ清掃ユニット及び空気調和機 図2
  • 特許-フィルタ清掃ユニット及び空気調和機 図3
  • 特許-フィルタ清掃ユニット及び空気調和機 図4
  • 特許-フィルタ清掃ユニット及び空気調和機 図5
  • 特許-フィルタ清掃ユニット及び空気調和機 図6
  • 特許-フィルタ清掃ユニット及び空気調和機 図7
  • 特許-フィルタ清掃ユニット及び空気調和機 図8
  • 特許-フィルタ清掃ユニット及び空気調和機 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-14
(45)【発行日】2023-08-22
(54)【発明の名称】フィルタ清掃ユニット及び空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/0073 20190101AFI20230815BHJP
   B01D 46/10 20060101ALI20230815BHJP
   F24F 13/28 20060101ALI20230815BHJP
【FI】
F24F1/0073
B01D46/10
F24F13/28
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018124771
(22)【出願日】2018-06-29
(65)【公開番号】P2020003168
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-06-25
(73)【特許権者】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(72)【発明者】
【氏名】松本 創一郎
【審査官】町田 豊隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-096499(JP,A)
【文献】特開平03-163249(JP,A)
【文献】特開2005-069430(JP,A)
【文献】特開2013-053846(JP,A)
【文献】特開2012-032080(JP,A)
【文献】特開2007-114293(JP,A)
【文献】実開平04-101560(JP,U)
【文献】特開2012-234012(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/0073
F24F 13/28
B01D 46/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルタの一方向に沿って設置されたブラシと、
モータと、
軸方向が前記フィルタの前記一方向に対して垂直方向となるように設置され、前記モータと接続されて、前記モータによって軸周りに回転するシャフトと、
前記シャフトと結合され、前記シャフトの軸周りの回転によって前記シャフトの軸方向に沿って移動するナットと、
前記フィルタの前記一方向に沿って設置され、前記ナットと接続されつつ、前記ブラシが固定されたブラシ固定部と、
を備え、
前記シャフトは、
軸部材と、
前記軸部材の外周面に螺旋状に巻回された線状部材と、
を有し、
前記ナットの内周面には、前記線状部材のピッチ間に配置される突起部が形成されており、
前記突起部は、前記シャフトの周方向に沿った長さよりも前記シャフトの軸方向に沿った長さが長いフィルタ清掃ユニット。
【請求項2】
前記突起部は、前記ナットの軸方向中間部分に形成されている請求項に記載のフィルタ清掃ユニット。
【請求項3】
前記突起部は、前記ナットの前記内周面の周方向に沿って複数配置されている請求項1又は2に記載のフィルタ清掃ユニット。
【請求項4】
請求項1からのいずれか1項に記載のフィルタ清掃ユニットを備える空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタ清掃ユニット及び空気調和機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
天井埋込み型空気調和機の室内機には、吸込み口に設置されたフィルタに付着した塵埃を、ブラシによって清掃するフィルタ清掃ユニットを備えるものがある。ブラシは、フィルタの幅と同等の長さを有し、モータを有する駆動機構によって、フィルタの一方向に沿って移動する。
【0003】
下記の特許文献1には、清掃ユニットがフィルタに沿って移動してフィルタの清掃を行うブラシユニットと、ブラシユニットを駆動する駆動部を備え、清掃ユニットがフィルタに付着した塵埃を除去する技術が開示されている。また、特許文献2には、シャフトにナットが噛み合わされ、ナットがシャフトの軸方向に沿って移動することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-8754号公報
【文献】特開平11-276835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ブラシを移動させる駆動機構が、ブラシの端部と接続され、ブラシ側に固定されたナットと、ナットと噛み合うシャフトと、シャフトを軸周りに回転させるモータを備えるものがある。シャフトは、軸材の外周面に雄ねじが形成され、ナットは、シャフトの雄ねじに噛み合う雌ねじが形成されている。モータによってシャフトが回転することによって、ブラシ側に接続されたナットがシャフトの軸方向に沿って移動する。
【0006】
シャフトは、軸材の外周面に雄ねじが形成され、ナットは、シャフトの雄ねじに噛み合う雌ねじが形成されている。通常の製造方法で軸材に三角ねじを形成すると、形成されたねじのピッチは細かい。このような雄ねじと雌ねじを有するシャフトとナットの組み合わせでは、ナットの移動速度が遅い。
【0007】
フィルタ清掃ユニットに上記の雄ねじ及び雌ねじを有するシャフト及びナットを適用すると、ブラシがフィルタの一端から他端に到達するまでの時間、すなわち、フィルタの清掃にかかる時間が長時間化するという問題がある。特に、空気調和機の据付時やメンテナンスサービス時において試運転を行う場合に、ブラシが一端から他端に到達するまでの時間が長いと、作業員による作業効率が低下してしまう。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、ブラシがフィルタの一端から他端に到達するまでの時間を短縮させることが可能なフィルタ清掃ユニット及び空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のフィルタ清掃ユニット及び空気調和機は以下の手段を採用する。
すなわち、本発明に係るフィルタ清掃ユニットは、フィルタの一方向に沿って設置されたブラシと、モータと、軸方向が前記フィルタの前記一方向に対して垂直方向となるように設置され、前記モータと接続されて、前記モータによって軸周りに回転するシャフトと、前記シャフトと結合され、前記シャフトの軸周りの回転によって前記シャフトの軸方向に沿って移動するナットと、前記フィルタの前記一方向に沿って設置され、前記ナットと接続されつつ、前記ブラシが固定されたブラシ固定部とを備え、前記シャフトは、軸部材と、前記軸部材の外周面に螺旋状に巻回された線状部材とを有し、前記ナットの内周面には、前記線状部材のピッチ間に配置される突起部が形成されている。
【0010】
この構成によれば、ブラシと、ブラシが固定されたブラシ固定部とがフィルタの一方向に沿って設置される。また、シャフトが、シャフトの軸方向がフィルタの一方向に対して垂直方向となるように設置される。
【0011】
モータが回転することによってシャフトが軸周りに回転し、シャフトと結合されたナットが、シャフトの軸周りの回転によってシャフトの軸方向に沿って移動する。これにより、ナットが接続されたブラシ固定部が、シャフトの軸方向に沿って、フィルタの一方向に対して垂直方向に移動する。
【0012】
シャフトは、軸部材と線状部材とを有し、軸部材の外周面に線状部材が螺旋状に巻回されている。また、ナットの内周面には突起部が形成され、突起部は、シャフトの外周面に巻回された線状部材のピッチ間に配置される。これにより、シャフトが軸周りに回転することによって、シャフトの線状部材に沿って、ナットの突起部がスライドすることから、ナットがシャフトの軸方向に沿って移動する。軸部材の外周面に三角ねじを形成した場合に比べてピッチが広くなるため、シャフトの軸周りの回転数を従来と同一にした場合でも、ナットの軸方向の移動速度を高めることができる。
【0013】
上記発明において、前記突起部は、前記シャフトの周方向に沿った長さよりも前記シャフトの軸方向に沿った長さが長い
【0014】
この構成によれば、突起部の周方向の長さが短いことから、シャフトの回転時において、シャフトの外周面と突起部の先端部との接触部分における摩擦を低減できる。
【0015】
上記発明において、前記突起部は、前記ナットの軸方向中間部分に形成されてもよい。
【0016】
この構成によれば、ナットが軸方向の端部のいずれか一方に傾きにくくなるため、ナットがシャフトに沿って安定して移動しやすい。
【0017】
上記発明の参考例において、前記突起部は、前記シャフトの軸方向に沿った長さよりも前記シャフトの周方向に沿った長さが長くてもよい。
【0018】
この構成によれば、突起部の周方向の長さが長く、シャフトの回転方向において、接触長さが長いため、ナットがシャフトの外周面に対して安定的に支持される。
【0019】
上記発明において、前記突起部は、前記ナットの前記内周面の周方向に沿って複数配置されてもよい。
【0020】
この構成によれば、複数の突起部が内周面の周方向に沿って配置されるため、シャフトの回転時において、ナットがシャフトの外周面に対して安定的に支持される。
【0021】
本発明の参考例に係るフィルタ清掃ユニットは、フィルタの一方向に沿って設置されたブラシと、モータと、軸方向が前記フィルタの前記一方向に対して垂直方向となるように設置され、前記モータと接続されて、前記モータによって軸周りに回転するシャフトと、前記シャフトと結合され、前記シャフトの軸周りの回転によって前記シャフトの軸方向に沿って移動するナットと、前記フィルタの前記一方向に沿って設置され、前記ナットと接続されつつ、前記ブラシが固定されたブラシ固定部とを備え、前記シャフトは、外周面に台形ねじが形成されている。
【0022】
この構成によれば、シャフトの外周面に台形ねじが形成され、台形ねじは山部の幅に比べて谷部の幅が広い。そして、軸部材の外周面に三角ねじを形成した場合に比べてピッチが広くなるため、シャフトの軸周りの回転数を従来と同一にした場合でも、ナットの軸方向の移動速度を高めることができる。
【0023】
本発明に係る空気調和機は、上記のフィルタ清掃ユニットを備える。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、ブラシがフィルタの一端から他端に到達するまでの時間を短縮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施形態に係る天井埋込み型空気調和機の室内ユニットを示す縦断面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る天井埋込み型空気調和機の室内ユニットを示す斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係るシャフトを示す平面図である。
図4】本発明の一実施形態に係るナットを示す斜視図である。
図5】本発明の一実施形態に係るシャフト及びナットを示す縦断面図である。
図6】本発明の一実施形態に係るナットの第1変形例を示す斜視図である。
図7】本発明の一実施形態に係るシャフト及びナットの第1変形例を示す縦断面図である。
図8】本発明の一実施形態に係るナットの第2変形例を示す斜視図である。
図9】本発明の一実施形態に係るシャフト及びナットの第2変形例を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明の一実施形態に係る天井埋込み型空気調和機について、図面を参照して説明する。
天井埋込み型空気調和機(以下「空気調和機」という。)は、室内ユニット1と、室外ユニット(図示せず。)と、室内ユニット1及び室外ユニットとを結ぶ冷媒配管(図示せず。)などを備える。
室内ユニット1は、ケース本体2が天井に埋込まれて設置される。ケース本体2の内部には、図1に示すように、熱交換器7、ドレンパン10、モータ5、送風機6、ベルマウス12等が内蔵され、このケース本体2の下部には天井面に露出するパネル部8が装着される。
【0027】
図1及び図2に示すように、室内ユニット1の下面中央部には吸込み口3が形成され、この吸込み口3に隣接した位置に、室内ユニット1の下面外周部に沿って一方向に長い吹出し口4が形成される。吸込み口3には、吸込みグリル11と、吸込みグリル11の上方にフィルタ13とが設置される。ドレンパン10は、熱交換器7の下部に設けられ、熱交換器7から滴下するドレン水を受ける。ベルマウス12は、ドレンパン10の下部に設けられる。
【0028】
空気調和機が運転すると、図示しない室外ユニットからの冷媒が熱交換器7を循環し、モータ5によって送風機6が駆動される。送風機6の駆動によって、室内空気が吸込み口3から吸込みグリル11、フィルタ13を通り、ベルマウス12に案内されて送風機6へ吸入される。そして、送風機6から吹き出された空気は、熱交換器7を通過することで、冷却又は加熱され、その後、吹出し口4から室内へ吹き出される。
【0029】
ルーバ14は、吹出し口4の形状に合わせて一方向に長く、ルーバ14は、長手方向に対して平行な軸周りに回動する。これにより、ルーバ14の向きが変更されることによって、吹出し口4から吹き出される空気流が上向きとなったり又は下向きとなったりする。
【0030】
フィルタ13は、吸入される空気に含まれる塵埃等を除去する。フィルタ13は、吸込み口3と同様に四角形状を有し、吸込み口3の中央付近に配置される。また、吸込みグリル11の枠部の四隅には、吸込みグリル11を昇降させるワイヤ15が配置されている。
【0031】
本実施形態に係る室内ユニット1は、フィルタ清掃ユニット16を備える。図2に示すように、フィルタ清掃ユニット16は、フィルタ13の下面においてパネル部8に設置されており、フィルタ13における一方向の1辺の長さと同等又はそれよりも長いブラシ17を有する。フィルタ清掃ユニット16のブラシ17がフィルタ13の一端側の辺から他端側の辺へフィルタ13の表面に接触ながら移動することで、フィルタ13に付着した塵埃を除去する。フィルタ清掃ユニット16は、運転制御に関する制御信号に基づいて運転を開始する。
【0032】
図2に示すように、フィルタ清掃ユニット16は、パネル部8に着脱可能に設置されるフレーム部9と、フレーム部9に設置されたブラシ17、ブラシ固定部21及びモータ24等を備える。
【0033】
フレーム部9は、吸込み口3と同様に四角形状を有し、吸込み口3の中央付近に配置される。フレーム部9には、フィルタ13が設置され、フレーム部9は、パネル部8に取り付けられたり、パネル部8から取り外されたりすることができる。
【0034】
ブラシ17は、一方向に長い軸材を有し、軸材の外周面において軸方向の一端から他端にかけて多数の毛が配置される。ブラシ17は、両端部のそれぞれに、ピニオンギアと噛み合うブラシ回転用ギア(図示せず。)が設置されている。また、ブラシ17は、両端部おいてブラシ固定部21によって支持される。
【0035】
図2に示すように、ブラシ固定部21は、ブラシ17の軸方向と平行な方向に長い部材であり、内側にブラシ17を収容する。ブラシ固定部21は、ブラシ17を囲む形状を有しており、フィルタ13側にてブラシ17を露出させる。ブラシ固定部21には、長手方向両端部に一つずつ合計二つのピニオンギア(図示せず。)が回転可能に設置されている。ブラシ固定部21は、ピニオンギアを介してラックギア(図示せず。)に支持される。ブラシ固定部21がラックギアに沿って移動することによって、ブラシ固定部21及びブラシ17がフィルタ13の表面に沿ってフィルタ13の一端側の辺から他端側の辺にかけて移動する。
【0036】
ブラシ固定部21は、フィルタ13の一方向の両側でピニオンギアとラックギアによって支持されているため、ブラシ固定部21とブラシ17が確実に移動する。
【0037】
ピニオンギアは、ブラシ固定部21の両端部にそれぞれ設置されている。ピニオンギアは、ラックギアと噛み合う。ブラシ固定部21が移動することによって、ピニオンギアは、ラックギア上を移動してラックギアから伝達された力によって従動的に回転する。ラックギアは、フィルタ13の外側において、軸方向がブラシ17の軸方向とは垂直方向になるように設置される。ラックギアの長さは、フィルタ13の1辺の長さと同等又はそれよりも長い。
【0038】
ブラシ回転用ギアは、各ピニオンギアに対応して一つずつ設けられ、ピニオンギアに噛み合っている。ピニオンギアが回転することによって、ブラシ回転用ギアがピニオンギアから伝達された力によって従動的に回転する。その結果、ブラシ回転用ギアに設置されたブラシ17が回転し、ブラシ17の移動と共にブラシ17が回転する。
【0039】
また、ピニオンギアは、モータ24と連結されておらず、従動的に動作する部材である。本実施形態では、ピニオンギアがブラシ固定部21に設置されているため、特許文献1と異なり、二つのピニオンギアを連結する推進軸が不要である。
【0040】
図2に示すように、モータ24、シャフト25及びナット26などからなる駆動機構は、フィルタ13の1辺に沿って1組のみ設置されればよい。
【0041】
モータ24は、フィルタ清掃ユニット16のフレーム部9に固定設置される。モータ24は、シャフト25と連結されており、モータ24が駆動することによってシャフト25が軸周りに回転する。シャフト25は、一方向に長い軸材であり、軸材の外周面に雄ねじが形成され、ナット26が噛み合わされている。シャフト25は、軸方向がブラシ17の軸方向に対して垂直方向となるように、すなわち、ラックギアと平行方向に設置される。シャフト25は、フィルタ13における一方向の1辺の長さと同等又はそれよりも長い。
【0042】
ナット26は、内周面にシャフト25の雄ねじと噛み合う雌ねじが形成されている。ナット26は、シャフト25の軸周りに回転しないようにブラシ固定部21と接続されている。ナット26は、ブラシ固定部21に対して固定されていないが、ナット26はブラシ固定部21を押すことができるようにブラシ固定部21と接続されている。これにより、シャフト25が回転することによって、ナット26が移動し、ナット26がブラシ固定部21を押し、シャフト25の軸方向に沿って移動する。シャフト25の回転方向を変更することによって、ナット26及びブラシ固定部21の進行方向を変更できる。
【0043】
なお、上述した例では、シャフト25に雄ねじが形成され、ナット26に雌ねじが形成されて組み合わされた例について説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、シャフト25とナット26の組み合わせによってボールねじ機構となるように、シャフト25とナット26が構成されてもよい。
【0044】
本実施形態において、モータ24は一つのみ設置すればよく、簡易な構造でブラシ17を移動させることができる。
【0045】
次に、図3図9を参照してシャフト25及びナット26について説明する。
図3に示すように、シャフト25は、軸部材27と、ワイヤ28と、留め具29などを備える。
【0046】
軸部材27は、断面が例えば円形状であり、外周面においてワイヤ28が巻回される。軸部材27の外周面においてワイヤ28が巻回される部分は、一端から他端にかけてほぼ同一の太さを有する。
【0047】
ワイヤ28は、軸部材27よりも直径が細い線状部材であり、軸部材27の外周面に螺旋状に巻回されて配置される。ワイヤ28のピッチは、ワイヤ28の直径よりも長くなるように巻回される。軸部材27の外周面に三角ねじを形成した場合に比べてピッチが広くなるため、シャフト25の軸周りの回転数を従来と同一にした場合でも、ナット26の軸方向の移動速度を高めることができる。
【0048】
留め具29は、ワイヤ28を軸部材27に対して固定する部材であり、ワイヤ28の両端部にそれぞれ設置される。留め具29によって、軸部材27の端部とワイヤ28が互いに強固に固定される。
【0049】
ワイヤ28は、軸部材27に対して両端部のみにおいて固定され、両端部以外では固定されずに設置される。なお、ワイヤ28は、軸部材27に対して一端から他端にかけて軸方向に沿って全ての部分で固定されてもよい。この場合、ワイヤ28は、接着剤等によって軸部材27に対して軸方向に沿って固定される。
【0050】
図4及び図5に示すように、ナット26は、円筒状部材であり、一端から他端にかけて貫通した貫通孔26Aが形成される。ナット26の内部、すなわち、貫通孔26Aの内部には、シャフト25が配置される。
【0051】
ナット26の外周面には、ナット26の径方向に突出したフランジ30が設けられてもよい。フランジ30は、板状部材であり、ブラシ固定部21との接続に用いられる。
【0052】
ナット26の内周面には、ワイヤ28のピッチ間に配置される突起部31が形成されている。シャフト25に螺旋状に設けられたワイヤ28は、ナット26の内周面に形成された突起部31と噛み合う。これにより、シャフト25が軸周りに回転することによって、ワイヤ28に沿って、ナット26の突起部31がスライドすることから、ナット26がシャフト25の軸方向に沿って移動する。その結果、ナット26が接続されたブラシ固定部21が、シャフト25の軸方向に沿って、フィルタ13の一方向に対して垂直方向に移動する。
【0053】
突起部31は、例えばシャフト25の周方向に沿った長さよりもシャフト25の軸方向に沿った長さのほうが長い。これにより、突起部31の周方向の長さが短いことから、シャフト25の回転時において、シャフト25の軸部材27の外周面と突起部31の先端部との接触部分における摩擦を低減できる。
【0054】
また、突起部31は、ナット26の軸方向中間部分に一つのみ形成されている。これにより、ナット26は、突起部31によって、軸方向中間部分でシャフト25に支持される。その結果、ナット26がバランス良く支持されて、ナット26が軸方向の端部のいずれか一方に傾きにくくなる。そのため、シャフト25が軸周りに回転したとき、ナット26がシャフト25に沿って安定して移動しやすい。
【0055】
図6図9に示すように、ナット26の貫通孔26Aの内周面には、複数の突起部31が設けられてもよい。例えば、4つの突起部31が設けられる場合、それぞれの突起部31は内周面の周方向に沿って90°間隔で配置される。また、シャフト25の軸方向に対するワイヤ28の角度に合わせて、それぞれの突起部31がナット26の内周面において螺旋状に配置される。すなわち、突起部31は、ナット26の軸方向において異なる位置に配置される。これにより、ナット26は、複数の位置でシャフト25に支持され、ナット26がシャフト25の外周面に対して安定的に支持される。
【0056】
また、図4図7で示した上記実施形態及び変形例では、突起部31がシャフト25の軸方向に沿った長さが周方向に沿った長さに比べて長い場合について説明したが、図8及び図9に示すように、突起部31は、シャフト25の周方向に沿った長さが軸方向に沿った長さに比べて長く形成されてもよい。これにより、シャフト25の回転方向において、接触長さが長いため、ナット26がシャフト25の外周面に対して安定的に支持される。
【0057】
以上、本実施形態によれば、軸部材27の外周面に三角ねじを形成した場合に比べてピッチが広くなるため、シャフト25の軸周りの回転数を従来と同一にした場合でも、ナット26の軸方向の移動速度を高めることができる。
【0058】
上記実施形態及び変形例では、軸部材27の外周面に三角ねじを形成した場合に比べてピッチを広くするため、シャフト25は、軸部材27と、軸部材27の外周面に螺旋状に設置されるワイヤ28などを備えるとしたが、本発明はこの例に限定されない。例えば、シャフト25は、三角ねじを形成した場合に比べてピッチが広い台形ねじが外周面に形成されてもよい。本発明に係る台形ねじは、山部の幅に比べて谷部の幅が広い。この場合も、シャフト25の軸周りの回転数を従来と同一にした場合でも、ナット26の軸方向の移動速度を高めることができる。
【符号の説明】
【0059】
1 :室内ユニット
2 :ケース本体
3 :吸込み口
4 :吹出し口
5 :モータ
6 :送風機
7 :熱交換器
8 :パネル部
9 :フレーム部
10 :ドレンパン
11 :吸込みグリル
12 :ベルマウス
13 :フィルタ
14 :ルーバ
15 :ワイヤ
16 :フィルタ清掃ユニット
17 :ブラシ
21 :ブラシ固定部
24 :モータ
25 :シャフト
26 :ナット
26A :貫通孔
27 :軸部材
28 :ワイヤ
29 :留め具
30 :フランジ
31 :突起部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9