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特許7330699股関節用インプラントを取り付けるために寛骨臼ソケットを成形するための回転カッター
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-14
(45)【発行日】2023-08-22
(54)【発明の名称】股関節用インプラントを取り付けるために寛骨臼ソケットを成形するための回転カッター
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/46 20060101AFI20230815BHJP
   A61B 17/56 20060101ALI20230815BHJP
【FI】
A61F2/46
A61B17/56
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2018543462
(86)(22)【出願日】2016-11-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-11-08
(86)【国際出願番号】 GB2016053474
(87)【国際公開番号】W WO2017077340
(87)【国際公開日】2017-05-11
【審査請求日】2019-11-01
【審判番号】
【審判請求日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】1519624.9
(32)【優先日】2015-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】518158994
【氏名又は名称】エンボディ オーソピーディック リミテッド
【氏名又は名称原語表記】EMBODY ORTHOPAEDIC LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ウォズンクロフト
【合議体】
【審判長】佐々木 正章
【審判官】村上 聡
【審判官】安井 寿儀
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-508009(JP,A)
【文献】米国特許第9125670(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0163921(US,A1)
【文献】特開2014-212903(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B17/16
A61F 2/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外面及び内面を含む半球状ヘッドと、
該ヘッドに取り付けられた複数個のブレードと、を備えており、前記ブレードのそれぞれが、前記ヘッドに形成された複数個の差し込みブレード受容スロットのうちの1つの中に配置された本体部分を有しており、1つ以上の切削刃が前記本体部分の上部側から前記ヘッドの前記外面を越えて延在しており、かつ、前記ブレードのそれぞれが、前記本体部分の反対側の下部側から延在して、前記ヘッドの前記内面と相互作用することにより前記ブレードを前記ヘッド内の所定位置に固定するための固定手段を有しており、前記ブレードのそれぞれに設けられた前記固定手段が、前記ブレード受容スロットを通して前記ヘッドの内側に延在する突起を備えており、前記突起は、前記本体部分に対して所定の角度で前記ヘッドの中に折り曲げられているとともに前記ヘッドの前記内面に係合している、回転カッター。
【請求項2】
請求項1に記載の回転カッターであって、前記ヘッドが単一のユニットとして形成されている回転カッター。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の回転カッターであって、前記ブレード受容スロットは、周方向 に延在する少なくとも1つの部分を有している、回転カッター。
【請求項4】
請求項1~3の何れか一項に記載の回転カッターであって、前記ブレード受容スロットの少なくとも1つが、前記複数個のブレードのうちの1つのブレードの表面と相互作用する突起を有している、回転カッター。
【請求項5】
請求項1~4の何れか一項に記載の回転カッターであって、前記ヘッドが、該ヘッドのリムに向けて少なくとも1つの切り欠き部を有している、回転カッター。
【請求項6】
請求項1~5の何れか一項に記載の回転カッターであって、前記半球状ヘッドの内側が、中空である、回転カッター。
【請求項7】
請求項1~6の何れか一項に記載の回転カッターであって、前記半球状ヘッドが、実質的に平坦な外側輪郭を有する後面を含んでいる、回転カッター。
【請求項8】
請求項7に記載の回転カッターであって、前記後面は、前記ヘッドの中空部分内に回転工具の進入を可能とするスロットを有しており、前記ヘッドの中空部分の内側輪郭が、前記ヘッドに対する前記回転工具の独立した回転を制限するためのストッパを有している、回転カッター。
【請求項9】
請求項1~8の何れか一項に記載の回転カッターであって、前記複数個のブレードは、1~100個である、回転カッター。

【請求項10】
請求項1~5の何れか一項に記載の回転カッターの製造方法であって、前記ヘッドが、積層造形法又はラピッドプロトタイピング法で製造されている、回転カッターの製造方法。
【請求項11】
請求項10に記載の回転カッターの製造方法であって、前記ヘッドが、プラスチック材料で構成されている、回転カッターの製造方法。
【請求項12】
単一のユニットとして形成されているとともに外面及び内面を含む半球状ヘッドである第1部分と、
前記第1部分に取り付けられるとともに当該第1部分と相互作用することにより所定位置に固定される、ほぼT字状の複数個の切削刃を有する第2部分と、を備えており、前記切削刃のそれぞれは、前記第1部分に形成された複数個のブレード受容スロットのうちの1つの中に配置された本体部分を含んでおり、1つまたは複数個の切削刃が前記本体部分の上部側から前記第1部分の前記外面を越えて延在しており、かつ、前記切削刃のそれぞれは、前記本体部分の反対側の下部側から、前記ブレード受容スロットを通して、前記第1部分の内側に延在する突起を有しており、そして、前記突起は、前記本体部分に対して所定の角度で前記第1部分の中に折り曲げられているとともに前記第1部分の前記内面に係合している、2パーツ回転カッター。
【請求項13】
外面及び内面を含む半球状ヘッドと、
前記ヘッドに取り付けられたほぼT字状の複数個のブレードと、を備えており、前記ブレードのそれぞれが、前記ヘッドに形成された複数個のブレード受容スロットのうちの1つの中に配置された本体部分を有しており、1つ又は複数個の切削刃が前記本体部分の上部側から前記ヘッドの前記外面を越えて延在しており、かつ、前記ブレードのそれぞれが、前記本体部分の反対側の下部側から延在して、前記ヘッドの前記内面と相互作用することにより前記ブレードを前記ヘッドの所定位置に固定する固定手段を有しており、前記ブレードのそれぞれに設けられた前記固定手段は、前記ブレード受容スロットを通して前記ヘッドの内側に延在する突起を備えており、前記突起は、前記本体部分に対して所定の角度で前記ヘッドの中に折り曲げられているとともに前記ヘッドの前記内面に係合している、回転カッター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、股関節用インプラントを取り付けるために寛骨臼ソケットを成形するための回転カッターに関する。
【背景技術】
【0002】
股関節用カップインプラントを患者の寛骨臼窩に配置する場合、外科医は、インプラントを収容可能とするために先ずは患者の寛骨臼窩を成形しなければならない。一般的に、股関節形成術におけるこの工程は、寛骨臼用リーマを使用するか又は他の手段によって患者の寛骨臼窩を拡大及び再形成することで達成される。従来技術における寛骨臼用リーマは、基本的に、複数個の切刃が設けられた切削面を有する半球状ヘッドを含む。そのような機器は通常、様々な寸法で利用可能である。外科医は、手術時に、適切な寸法を有するリーマを選択しなければならない。多孔質コーティングが施された(セメントフリーの)カップインプラントの場合、インプラントとリーマで切削された寛骨臼ソケットとの間にて僅かな締まり嵌め固定が必要である。この場合、カップインプラントは、骨が多孔質表面に入り込んで固定がより強固になるまで骨に密接にフィットする。締まり嵌め固定をしないか又は締まり嵌め固定が不十分である場合、カップインプラントが初期的には十分に安定せず、インプラントが損傷する可能性がある。締まり嵌め固定が過度であれば、カップインプラントをフィットさせるのが極めて困難になる。従って、寛骨臼用リーマにより、僅かな締まり嵌め固定を達成するため、寛骨臼窩を十分な精度で切削する必要がある。
【0003】
寛骨臼用リーマは、構造が複雑であるだけでなく、典型的には複数の製造工程で形成される鋭利な切削歯を必要とするため製造コストが大きい。これに加えて、一連のリーマは、カップインプラントの寸法範囲に対応するために寸法に関して多くの変形を含むため、手術室で占めるスペースが大きい。既存の寛骨臼用リーマの大部分は再利用可能であるため、使用前や使用毎に洗浄や滅菌が行われなければならない。洗浄には数日を要する場合があるため、病院に十分な数のリーマがなければ、患者を治療する頻度が低下する可能性がある。なぜならこの場合、外科医は、次の患者を治療する前に、リーマの洗浄が完了するのを待たなくてはならないからである。一般的に、再利用可能な器具は、十分に洗浄されないか又は正しく滅菌されない可能性があるため、患者に対する感染リスクを増加させる。骨切削機能を有する器具は、使用時に、骨及び組織片で高度に汚染され、洗浄が特に困難である。更に、再利用を繰り返した後のリーマは、その鋭利な切削エッジが使用時に摩耗を被るか又は洗浄工程時に他の金属表面により摩耗を被ることにより、鋭利さが損なわれるのみならず精度が低下する。
【発明の概要】
【0004】
上述した問題点を克服するため、本発明は、プラスチックホルダに取り付けられた複数個のブレードと、回転駆動装置への着脱可能な取り付け手段とを備える使い捨て式の寛骨臼用リーマを提供する。
【0005】
本発明の一実施形態において、半球状ヘッドと、そのヘッドに取り付けられた複数個のブレードとを備える回転カッターが提供される。この場合、ブレードのそれぞれは、ブレードをヘッド内の所定位置に固定するための固定手段を有し、その固定手段は、ヘッドの内側と相互作用することにより固定される。
【0006】
ブレード上の固定手段は、好適には、ブレードがヘッドに取り付けられたときに、ブレードの切削面から離れる方向に向けて延在すると共に、ヘッド内側に延在する突起(例えば、タブ)として構成される。
【0007】
ブレードをヘッドの所定位置に固定するため、ブレードの突起を折り曲げることができる。この固定工程については、以下により詳細に説明する。
【0008】
半球状ヘッドは、互いに組み合わされる複数個の部品で形成可能ではあるが、本発明の好適な実施形態において、ヘッドは、単一のユニットとして形成される。
【0009】
他の態様においては、単一のユニットとして形成された半球状ヘッドである第1部分と、その第1部分から分離可能な複数個の切削ブレードである第2部分とを備える二部分で構成された回転カッターが提供される。この場合、複数個の切削ブレードは、第1部分に取り付けられると共に、第1部分と相互作用することにより所定位置に固定される。
【0010】
言うまでもなく、ヘッドは、複数個のブレードを収容する開口を有するよう形成されるのが好適である。各ブレードは、最終的なカッターの製造時に、開口内に配置されると共に、所定位置に固定される。
【0011】
切削工程時に骨片を収集するため、少なくとも1つの開口は、典型的には、周方向に延在する少なくとも1つの更なる部分を有する。周方向に延在するこれら部分は、好適には、半球状ヘッドの中空部分にまで延在する。更に、周方向に延びるこれら部分は、典型的には、回転方向から離れるよう延在する。
【0012】
本発明の好適な態様において、ブレード収容開口は、切削ブレードが開口に取り付けられたときに、切削ブレードの表面と相互作用する突起を有する。これら突起は、ブレードがヘッド内に押し込まれ過ぎるのを防止するストッパとして機能する。これら突起の他の有利な特徴は、圧潰可能に構成できることである。この圧潰可能な構成は、ブレードをヘッド内に固定する工程時、即ちブレードが取り付けられたヘッドを、凹部を有するブロック内にクランプする工程時に有利である。凹部を有するブロックは、ヘッドがブロックに固定されるときにブレードが極めて正確に位置決めされる輪郭を有しており、また圧潰可能な突起により、ヘッドがブロックにクランプされるときにブレードが僅かに再整列され、これにより正確で望ましい整列が達成される。
【0013】
本明細書において、ヘッドは半球状ヘッドとして記載されているが、完全に半球状である必要はない。例えば、ヘッドのリム領域周りに(場合により、半球内に若干延在するように)少なくとも1つの切り欠き部(好適には、2つ、3つ又は4つ、特に好適には4つ)が形成されるのが有利であり得る。これにより、外科医は、切削されている組織領域を視認することが可能であり、特に寛骨臼のリムを視認することが可能である。
【0014】
ヘッドは、好適には、積層造形法又はラピッドプロトタイピング法(例えば、選択的レーザ焼結法又はステレオリソグラフィー法)で製造される。ヘッドは、ブレードを適切に取り付け可能とする任意の材料で製造することができる。ただし、プラスチック材料、好適にはナイロンが有利であることが判明している。
【0015】
ブレードをヘッドに堅固に固定するためのみならず、切削時に発生する骨屑を収集するためのキャビティを設けるため、半球状ヘッド内側は実質的に中空とする。
【0016】
言うまでもなく、回転カッターにおける構成要素の個数及び材料を減少させるため、ヘッドは、ヘッド自体への直接的な作用で駆動可能とするのが望ましい。従って、本発明の好適な実施形態において、半球状ヘッドは、実質的に平坦な外側輪郭を有する裏面を含む。
【0017】
後面の内側輪郭は、好適には、ヘッドの中空部分内に駆動手段の進入を可能とするよう形成される。駆動手段により、付加的な構成要素を必要とすることなくヘッドを直接的に駆動可能とするため、内側輪郭は、駆動手段が中空ヘッド内で回転すると、その回転を裏面の内側における特定箇所まで許容するよう構成される。この場合、内側輪郭は、更なる回転を制限するストッパとして機能するため、上記回転方向への駆動手段の更なる移動が制限される。従って、駆動手段がその方向に更に回転すると、駆動手段がストッパに抗して、自らの回転と共にヘッド全体を回転させる。
【0018】
回転カッターは、好適には、回転駆動装置への着脱可能な取り付け手段を備え、回転駆動装置は、外科用パワードリルへの着脱可能な取り付け手段を有する。
【0019】
更に、本発明は、本発明に係る半球状ヘッドを、3Dプリンタに印刷させるコンピュータ実行可能命令を有するコンピュータ可読媒体を提供する。
【0020】
次にブレードについて説明する。これらブレードは、半球状ヘッドとは別に形成される。ブレードは、好適には、例えば、レーザ切断法により、金属シートから切り出される。この場合の金属には、例えば、ステンレス鋼が想定される。
【0021】
ブレードは、「T」字状の輪郭を有し、「T」字の頂部を形成する切削面と、半球状ヘッド内に延在すると共に、「T」字の脚部を形成する突起を含む。切削面は、多数の歯又は鋸歯を有することができる。本明細書により詳細に説明するように、ブレードは、チップブレーカスロットを形成する部分も有する。ブレードは更に、主突起と同一方向に延在するアームの1つ又は各アームに補助突起を有することもできる。補助突起は、取り付け時及び/又は切削時にブレードに対して付加的な安定性を付与するために、ヘッド内に形成されるブレード収容開口の部分と相互作用することができる。
【0022】
回転カッターは、1~100個のブレードを備えることができる。幾つかのケースにおいて、回転カッターは、2~10個のブレード、例えば、8個のブレードを備えることができる。
【0023】
各寸法のリーマにおける各切削ブレードは、互いに同一構成を有することができる。代替的に、各寸法のリーマにおける各切削ブレードは、2つ以上の異なる輪郭を有していてもよい。
【0024】
場合により、幾つかの寸法のリーマ又は全ての寸法のリーマにおける多数のブレードは、同一輪郭を有することができる。
【0025】
本明細書により詳細に説明するように、ブレードは、ヘッド内に角度付きで取り付けることができるため、切削角度が付与される。この場合、ヘッドにおけるブレード収容開口は、角度付きで形成されている。
【0026】
更に、切削時に逃げ角を得られるようにするため、ブレード輪郭は、製造に際しても(例えば、レーザ切断する際)シート表面から鋭角で切り出される。従って、各ブレードがホルダ内に角度付きで取り付けられると、切削角及び逃げ角の両方が得られる。上述したように、少なくとも切削エッジは鋭角で切り出されるのが好適ではあるが、製造工程においては輪郭全体を一定の角度で切り出すことが望ましいため、製造工程においては角度を変更する必要はない。
【0027】
更に、本発明は、複数個のブレードを半球状ヘッドに固定するためのシステムを提供する。このシステムは、
(i)複数の開口を有する半球状ヘッドと、
(ii)切削面から離れる方向に向けて延在する突起を有する複数個のブレードと、
(iii)(各ブレードを互いに対してのみならず、プラスチックホルダに対しても所定位置に正確にセットするよう構成される)凹部を有する半球状ブロックと、
(iv)ブレードが半球状ヘッドの開口に取り付けられ、かつブレードが取り付けられたヘッドが凹部を有する半球状ブロック内に配置されたときに、ブレードの各突起を折り曲げるための手段と、
を備える。
【0028】
各突起を折り曲げるための手段は、好適には、パドルとして構成されるか、又は突起と相互作用することにより突起をヘッド内側に向けて折り曲げることのできる任意の工具として構成される。
【0029】
更に、好適には、凹部を有するブロックは、固定手段を有し、これによりブレードが取り付けられた半球状ヘッドがブロック内に配置されると、ヘッドが所定位置に固定され、ブレードの突起が折り曲げられるときにヘッドの動きが防止される。この場合の固定手段としては、当業者にとって既知の任意で適切な構造、例えば、クランプ又はクランプ状構造を使用することができる。幾つかの実施形態において、固定手段は、半球状ヘッドの少なくともリム上にカラーをボルト固定することで構成されるクランプである。
【0030】
更に、本発明は、本明細書に記載の回転カッターを製造するための方法を提供する。この方法は、
(i)複数のブレード収容開口を設けるステップと、
(ii)開口の少なくとも1つに、切削面から離れる方向に向けて延在すると共に、半球状ヘッドの中空部分内に延在する突起を有する切削ブレードを取り付けるステップと、
(iii)ブレードが取り付けられた半球状ヘッドを、凹部を有する半球状ブロック内に配置するステップと、
(iv)半球状ヘッドを、ブロック内で固定するステップと、
(v)半球状ヘッドの中空部分内にパドルを差し込むと共に、そのパドルを回転させることにより、ブレードの各突起がヘッドの内側に対して折り曲げられ、ブレードが所定位置に固定されるステップと、
を含む。
【0031】
更に、本発明は、キットを提供する。このキットは、
(i)本明細書に記載の1個以上の回転カッターと、
(ii)回転カッターの1個及び駆動機構に接続するための駆動装置と、
(iii)場合により、切削の大きさが適切であるかを確認するためのゲージと、
を備える。
【0032】
回転カッターの寸法は同じであってもよいし、異ならせてもよい。
【0033】
ブレードは、好適にはレーザ切断法により、金属シートから切り出すことによって容易に低コストで製造される。代替的に、ブレードは、ウォータージェット切断法又は放電加工(EDM)により、金属シートから切り出すこともできる。ブレード輪郭は角度付きで切り出されるため、切削エッジは、ホルダに取り付けられたときに骨切削をするのに適切な形状(切削角及び逃げ角)を有する。好適には、ブレード輪郭全体は切削エッジと同一角度で切り出されるが、代替的には、切削エッジだけを角度付きで切り出し、ブレードの残部は切削面に対して垂直に切り出してもよい。ブレードは、プラスチックホルダ内側に延在する部分を有し、その部分が折り曲げられることによりブレードが所定位置に固定される。プラスチックホルダは、回転駆動装置への着脱可能な取り付け手段を有し、回転駆動装置は、外科用パワードリルに取り付けられる。プラスチックホルダは、好適には、ラピッドプロトタイピング法、例えば、選択的レーザ焼結法(SLS)又はステレオリソグラフィー法(SLA)によってプラスチックで製造される。
【0034】
好適な構成において、ブレードは互いに適切に配置されるため、1つの軸線方向位置でシャフトが保持された状態で回転カッターが一回転すると、骨ソケットにおける半球状部分全体が多数のブレードにより切削される。更に、各歯に形成された鋸歯は互いにオフセットされているため、骨上の周方向領域は全て適切に切削される。これは、鋸歯によるギャップ経路内に骨が係合するからである。
【0035】
各寸法のリーマにおける多数のブレードは、好適には、同一輪郭を有する。代替的に、各寸法のリーマにおける多数のブレードは、2つ以上の異なる輪郭を有することができる。代替的に、幾つかの寸法のリーマにおける多数のブレードは、同一輪郭を有することができる。代替的に、全ての寸法のリーマにおける多数のブレードは、同一輪郭を有することができる。
【0036】
好適には、組み立てに際して、ブレードが取り付けられたホルダは、半球状に正確に加工された孔を有するセット用ブロック内に嵌め込まれる。前記セット用ブロックは、例えば、±10ミクロンの公差を達成するために、半球状の孔が設けられた高炭素鋼で構成することができる。クランプ力が加えられるに伴い、プラスチックホルダ内の圧潰可能な肩部により、各ブレードの位置が僅かにシフトするため、各ブレードの切削部分がセット用ブロック表面に対して完全に密接する。これにより、各ブレードは、互いに対してのみならず、ホルダに対しても正確な位置にセットされるため、プラスチックホルダ内側に向けて延在する各ブレードの部分が回転工具で折り曲げられても正確な位置に維持され、従ってセット用ブロックからリーマが取り外された後に各ブレードは正確にセットされている。このセット工程のみならず、各リーマが使い捨て式であることにより、本発明に係るリーマにおいては、従来の再利用可能なリーマに比べてより高い切削精度が得られる。従って、骨ソケット内におけるカップにとって必要な僅かな締まり嵌め固定が改善される。
【0037】
更に、好適な実施形態において、ブレード及びホルダの両方は、最先端技術に基づくラピッドプロトタイピング法(例えば、レーザ切断法及び付加製造法)で製造されるため、術前計画で有益であると外科医が判断すれば、標準的な寸法を有するリーマの代わりに、特殊寸法を有するリーマ又は患者に固有の寸法を有するリーマを1個以上製造することが可能である(例えば、直径45~46mmのリーマのみが標準で使用可能な場合に、代わりに直径45,5mmのリーマを製造することが可能である)。
【0038】
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】所定位置に取り付けられたブレードを備える回転カッターを示す説明図である。
図2図1の分解図である。
図3】予め組み付けられたプラスチックホルダを示す説明図である。
図4】予め組み付けられたプラスチックホルダの一部を示す拡大図である。
図5】金属ブレードを示す図である。
図6】金属ブレードを示す代替図である。
図7】切削輪郭に対して垂直な平面内に方向付けられた金属ブレードを示す図である。
図8図7の断面図である。
図9】ブレードが挿入されているが、前記ホルダの内側に延在する部分が折り曲げられる前の、組み付けられた回転カッターの断面図であり、予め折り曲げられたブレード部分が分離して示されている。
図10】ブレードが挿入されているが、前記ホルダの内側に向けて延在する部分が折り曲げられた後の、組み付けられた回転カッターの断面図であり、折り曲げられたブレードが分離して示されている。
図11】回転駆動装置が接続されようとしている状態の、組み付けられた回転カッターを示す図である。
図12】回転駆動装置が接続されようとしている状態の、組み立てられた回転カッターの代替図である。
図13】回転駆動装置がバヨネット機構を介して接続された回転カッターの断面図である。
図14】ブレードを所定位置にセットして固定するための製造固定具を備える回転カッターの分解図である。
図15】前記ホルダの内側に向けて延在するブレード部分を折り曲げるための別箇の回転工具を備える、組み付けられた製造固定具の図である。
図16】別箇の回転工具(矢印は、回転方向を示す)が挿入され、組み付けられた製造固定具の図である。
図17】ブレードが挿入され、組み付けられた回転カッターの図であり、前記ホルダの内側に向けて延在する部分は、折り曲げられている。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1及び図2において、回転カッター(1)の解剖学的構造は、骨屑(図示せず)を捕捉及び収集するための開口(4)を有する中空の半球形形状ホルダ(2)に取り付けられた複数個のブレード(5)として説明することができる。前記ホルダは、寛骨臼のリム(図示せず)を視認可能とするため、複数の切り欠き部(3)を有する。図3及び図4は、ブレード及び圧潰可能な肩部(8)のための収容中央部スロット(6)及び側部スロット(7)を有し、分離状態のホルダを示す。ブレード及び圧潰可能な肩部(8)は、以下に説明する組み付け固定具(28)にクランプされたときに、ブレード位置の僅かな調整を可能とする。図5図8は、切削刃(10)及び当該切削刃(10)間に配置されたチップブレーカスロット(13)を有する、分離状態のブレード(5)を示す。前記チップブレーカスロットは、骨屑をより小さく粉砕するのを補助するものであり、これにより開口(4)を介して前記ホルダの中空部分(15)内へのより効率的な捕捉及び通過が可能となる。前記ブレードは、収容中央部スロット(6)内に係合する中間部分(12)、及び、前記ホルダ(2)の収容側部スロット内に係合する側部(11)を有する。図7及び図8に示すように、前記ブレード輪郭は、ある角度(A)で形成されているため、切削刃(10)は、ホルダ(2)に取り付けられたときに骨を切削するのに適切な形状(切削角及び逃げ角)を有する。図9及び図10に示すように、前記ホルダの内側に向けて延在する前記ブレード部分(14)は、矢印Bで示すと共に、以下に他の図で説明するように、前記ブレードを所定位置に固定するように折り曲げられている。図11図13は、バヨネット継手端部(18)を介して前記回転カッターに着脱可能に取り付けられる回転駆動装置(17)、及び、外科用パワードリル(図示せず)に着脱可能に取り付けられる標準駆動部を有する反対側端部(16)を示す。更に、前記回転駆動装置は、使用中に前記回転カッターからの偶発的な離脱を防止するためのロックカラー(20)、及び、二部分保持スリーブ(19)を有し、前記シャフトが前記外科用パワードリル(図示せず)により回転している場合であっても、前記シャフトをガイドするために、当該シャフトを安全に把持することができる。
【0041】
回転駆動装置(17)は、使用に際して、迅速に着脱可能な標準駆動継手(16)を介して外科用パワードリル(図示せず)に取り付けられる。次いで、外科医により、リーマ加工を開始するために、前記回転カッターの大きさが選択され、バヨネット継手(18,22)を係合させることにより、前記回転カッターが前記回転駆動装置に取り付けられる。前記バヨネット継手は、ばね負荷されたロックカラー(20)を有する。当該ロックカラー(20)は、前記バヨネット継手を前記回転カッターに組み付けられるときには、回転させることで自動的にロックするが、前記回転カッターから取り外すときには、反対方向への回転を可能とするために矢印方向(C)に手動で引き戻す必要がある。前記回転シャフト及び前記ドリルが取り付けられた前記回転カッターは、骨をリーマ加工するために寛骨臼ソケット(図示せず)に向けて移動させることができる。多くの場合、外科医は、前記寛骨臼ソケットを成形するために、一連の回転カッターの寸法を大きくしていく必要がある。従って、前記バヨネット継手は、同一工程中に前記回転カッターの大きさを変えるために、複数回に亘って係合させると共に係合を解除する必要がある。外科医は、リーマ加工時に、関節炎疾患に起因して僅かに移動した前記寛骨臼ソケットを正常な位置に戻すために、前記回転カッターを付勢することができる。この付勢が可能なのは、前記回転駆動装置の回転時に、当該回転駆動装置を安全に把持及び付勢するための二部分保持スリーブ(19)が設けられているからである。
【0042】
図14図16は、前記ホルダ内において複数個のブレードの組み付けを完了させるための製造固定具(28)を示す。セット用ブロック(23)は、正確に加工された半球状孔(27)と、前記セット用ブロックを固定スピンドル又は回転可能スピンドル(図示せず)に取り付けるためのスピゴット(26)を有する。ブレード(5)が挿入された回転カッター(1)は、面プレート(24)が前記ブロック(23)に組み付けられ、かつ前記面プレートが前記回転カッターの平坦面に締め付けられるよう多数のねじ(9)が締結されることにより、前記セット用ブロック内にクランプされる。クランプ力が加えられるに伴い、プラスチックホルダ(2)内のブレード用凹部における圧潰可能な肩部(8)により、各ブレードの位置が僅かにシフトするため、各ブレードの切削部分(10)がセット用ブロック孔(27)表面に対して完全に密接する。この工程により、各ブレードは、互いに対してのみならず、前記ホルダに対しても正確な位置にセットされる。図14及び図15に示すように、回転用工具(25)は、前記セット用ブロックと軸線方向に整列するよう、前記回転カッターのバヨネットスロット(21)内に挿入されている。前記回転用工具は、固定スピンドル又は回転可能スピンドル(図示せず)に取り付けられることにより、前記セット用固定具(28)又は回転工具(25)が(矢印Dで示すように)一回転すると、前記プラスチックホルダ内側に向けて延在する各ブレードの部分が前記回転用工具で折り曲げられてブレードが固定される。更に、前記回転カッターが前記製造固定具から取り外された後、前記セット用固定具及びセット工程のおかげで各ブレードの正確な位置が維持される。
図1
図2
図3-4】
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17