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特許7330726モデル生成装置、モデル生成方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-14
(45)【発行日】2023-08-22
(54)【発明の名称】モデル生成装置、モデル生成方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/9035 20190101AFI20230815BHJP
   G06F 16/909 20190101ALI20230815BHJP
【FI】
G06F16/9035
G06F16/909
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019052216
(22)【出願日】2019-03-20
(65)【公開番号】P2020154672
(43)【公開日】2020-09-24
【審査請求日】2020-12-11
【審判番号】
【審判請求日】2022-08-08
(73)【特許権者】
【識別番号】319013263
【氏名又は名称】ヤフー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100181124
【弁理士】
【氏名又は名称】沖田 壮男
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】西岡 孝章
(72)【発明者】
【氏名】浅見 宗広
(72)【発明者】
【氏名】官上 大輔
【合議体】
【審判長】林 毅
【審判官】山崎 慎一
【審判官】吉田 美彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-181196(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F16/9035
G06F16/909
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの行動履歴であって、少なくとも前記ユーザの識別情報、前記ユーザの位置、前記ユーザが利用したコンテンツを示す情報、及び前記コンテンツのタグを含むコンテンツ関連情報と、少なくとも、タグ情報を含むコンテンツ詳細情報及び前記コンテンツのタグ又は前記タグ情報に関連する地域ベクトルを含む詳細情報とを学習データとして、着目箇所に相当する情報を入力すると正解を出力する学習済みモデルを生成する学習部と、
前記学習データにおける前記着目箇所と、少なくとも前記コンテンツを含む前記正解の指定を受け付け、前記学習部に前記着目箇所と正解を伝えて前記学習部に学習を実行させるモデル生成部と、
備えるモデル生成装置。
【請求項2】
前記コンテンツ関連情報は、前記ユーザの購買履歴をさらに含む、
請求項1に記載のモデル生成装置。
【請求項3】
コンピュータが、
ユーザの行動履歴であって、少なくとも前記ユーザの識別情報、前記ユーザの位置、前記ユーザが利用したコンテンツを示す情報、及び前記コンテンツのタグを含むコンテンツ関連情報と、少なくとも、タグ情報を含むコンテンツ詳細情報及び前記コンテンツのタグ又は前記タグ情報に関連する地域ベクトルを含む詳細情報とを学習データとして、着目箇所に相当する情報を入力すると正解を出力する学習済みモデルを生成し、
前記学習データにおける前記着目箇所と、少なくとも前記コンテンツを含む前記正解の指定を受け付け、前記学習済みモデルを生成する機能に前記着目箇所と正解を伝えて学習を実行させる、
デル生成方法。
【請求項4】
コンピュータに、
ユーザの行動履歴であって、少なくとも前記ユーザの識別情報、前記ユーザの位置、前記ユーザが利用したコンテンツを示す情報、及び前記コンテンツのタグを含むコンテンツ関連情報と、少なくとも、タグ情報を含むコンテンツ詳細情報及び前記コンテンツのタグ又は前記タグ情報に関連する地域ベクトルを含む詳細情報とを学習データとして、着目箇所に相当する情報を入力すると正解を出力する学習済みモデルを生成させ、
前記学習データにおける前記着目箇所と、少なくとも前記コンテンツを含む前記正解の指定を受け付け、前記学習済みモデルを生成する機能に前記着目箇所と正解を伝えて学習を実行させることを行わせる、
ログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モデル生成装置、モデル生成方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、訓練データから、少数クラスに分類された予め定められた数の要素、および、多数クラスに分類された前記予め定められた数に基づき定まる数の要素をそれぞれ含む、複数の集合をサンプリングするサンプリング部と、サンプリングした前記複数の集合のそれぞれに基づいて、それぞれが前記入力データを前記複数のクラスに分類するための複数のモデルのそれぞれを機械学習させる学習部を備えるデータを分類する技術が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-122851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術では、モデルに学習させたり出力させたりする項目のうち、改善したい指標に最適化した予測項目の切り替えを行うことができない場合があった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、着目箇所に相当する情報を入力すると正解を出力する学習済みモデルを生成することができる学習済みモデルを生成モデル生成装置、モデル生成方法、およびプログラムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、ユーザの行動履歴であって、少なくとも前記ユーザの識別情報と、前記ユーザの位置と、前記ユーザに提供したコンテンツを示す情報とを含むコンテンツ関連情報と、前記コンテンツの詳細情報を含む詳細情報DBとを学習データとして学習する学習部と、前記学習データにおける少なくとも前記コンテンツを含む着目箇所と正解の指定を受け付け、着目箇所に相当する情報を入力すると正解を出力する学習済みモデルを生成するモデル生成部と、を備える、モデル生成装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、着目箇所に相当する情報を入力すると正解を出力する学習済みモデルを生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】モデル生成装置100の利用環境を示す模式図。
図2】コンテンツ関連情報210の一例を示す図。
図3】詳細情報220の一例を示す図。
図4】モデル生成装置100の処理を説明するための図。
図5】着目箇所設定136の一例を示す図。
図6】レコメンドモデルMの出力例を説明するための図。
図7】レコメンドモデルMの他の出力例を説明するための図。
図8】詳細情報220の他の一例を示す図。
図9】モデル生成装置100による処理の流れの一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照し、本発明のモデル生成装置、モデル生成方法、およびプログラムの実施形態について説明する。
【0010】
[概要]
モデル生成装置は、一以上のプロセッサにより実現される。モデル生成装置は、着目箇所に相当する情報を入力すると正解を出力する学習済みモデルを生成するための装置である。
【0011】
モデル生成装置は、コンテンツ関連情報と、コンテンツの詳細情報を含む詳細情報DBとを学習データとする。コンテンツとは、ネットワークを介して提供される情報サービスのウェブサイトやアプリケーションを介して提供される情報サービスのことであり、例えば、地図情報提供サービスや、タウン情報サービス、旅行情報サービスなどである。タウン情報とは、例えば、特定の都市または隣接する複数の都市からなる地域に根ざした情報のことであり、その情報を分類するためのタグとして、市町村名や、駅名などを付与することができる情報のことである。
【0012】
なお、コンテンツには、ユーザに関する情報を構成する他のサービスが含まれてもよく、例えば、ショッピング、オークション、金融、ニュース、エンターテインメントなどに関する情報が提供されてもよい。
【0013】
コンテンツ関連情報とは、上記のサービスをユーザが利用する上でコンテンツ提供者がユーザを識別するために付与する情報や、ユーザが自ら設定する情報、ユーザの利用履歴
などを含む。また、コンテンツ関連情報には、ショッピングコンテンツなどの購買サービスにおける購買履歴が含まれてもよい。
【0014】
詳細情報DBには、例えば、コンテンツの識別情報、コンテンツのタイトル、概要、コンテンツを端的に示すタグなどの情報がコンテンツを提供するサーバ(以下、サービスサーバ)から収集されて格納される。
【0015】
モデル生成装置は、コンテンツ関連情報と、コンテンツの詳細情報を含む詳細情報DBとを学習データとして学習を行い、サービスサーバの管理者(以下、サービス提供者)による学習データにおける少なくともコンテンツを含む着目箇所と正解の指定を受け付け、サービス提供者により着目箇所に相当する情報が入力されると正解を出力する学習済みモデル(以下、レコメンドモデル)を生成する。
【0016】
[全体構成]
図1は、モデル生成装置100の利用環境を示す模式図である。実施形態における情報提供システム1は、1つ以上の端末装置10-1~10-n(nは自然数)と、管理者端末20と、モデル生成装置100と、1つ以上のサービスサーバ200-1~200-m(mは自然数)と、詳細情報DB300とを備える。これらの装置は、ネットワークNWを介して互いに接続される。ネットワークNWは、例えば、無線基地局、Wi-Fiアクセスポイント、通信回線、プロバイダ、インターネットなどを含む。なお、図1に示す各装置の全ての組み合わせが相互に通信可能である必要はなく、ネットワークNWは、一部にローカルなネットワークを含んでもよい。
【0017】
端末装置10-1~10-nは、コンテンツユーザの利用する端末であって、例えば、スマートフォンなどの携帯電話、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等である。以下の説明において、個々の端末装置10-1~10-nを区別しない場合には、単に端末装置10と呼ぶ。
【0018】
管理者端末20は、サービス提供者の利用する端末であって、例えば、スマートフォンなどの携帯電話、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等である。
【0019】
サービスサーバ200-1~200-mは、コンテンツを提供するサーバであって、例えば、ユーザにより操作される端末装置10からのリクエストに対応するウェブページを提供するウェブサーバ、アプリケーションが起動された端末装置10と通信を行って各種情報の受け渡しを行ってコンテンツ情報を提供するアプリケーションサーバなどである。サービスサーバ200-1~200-mは、例えば、ニュースを提供するサービスやショッピングサービス、オークションサービス、マッチングサービス、金融決済サービス、ナビゲーションサービス、ウェブメールサービスなどを、ネットワークNWを介して端末装置10のブラウザや専用アプリケーションなどに提供する。以下の説明において、個々のサービスサーバ200-1~200-mを区別しない場合には、単にサービスサーバ200と呼ぶ。また、サービスサーバ200の構成要素においても同様にハイフン以下の数字を省略する場合がある。
【0020】
サービスサーバ200の構成要素の一部または全部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサが記憶装置に格納されたプログラムを実行することにより実現される。また、モデル生成装置100の構成要素の一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、またはFPGA(Field-Programmable Gate Array)などのハードウェアにより実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。
【0021】
サービスサーバ200は、例えば、コンテンツ関連情報210と、詳細情報220と、レコメンドモデルMとを備える。コンテンツ関連情報210は、ユーザの行動履歴を示す情報であって、例えば、コンテンツ提供者がユーザを識別するために付与する情報や、ユーザが自ら設定する情報、ユーザの利用履歴、ユーザのIPアドレスなどを含む。また、コンテンツ関連情報210には、ショッピングコンテンツなどの購買サービスにおける購買履歴が含まれてもよい。詳細情報220は、例えば、コンテンツの識別情報、コンテンツのタイトル、概要、コンテンツを端的に示すタグなどを含む。
【0022】
詳細情報DB300は、例えば、HDD(Hard Disc Drive)、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、ROM(Read Only Memory)、またはRAM(Random Access Memory)などにより実現される。詳細情報DB300には、サービスサーバ200のそれぞれから詳細情報220が収集されて格納される。
【0023】
モデル生成装置100は、例えば、取得部110と、地域ベクトル導出部120と、学習部130と、モデル生成部140を備える。モデル生成装置100の構成要素の一部または全部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサが記憶装置に格納されたプログラムを実行することにより実現される。また、モデル生成装置100の構成要素の一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、またはFPGA(Field-Programmable Gate Array)などのハードウェアにより実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。
【0024】
取得部110は、サービスサーバ200からコンテンツ関連情報210を取得する。また、取得部110は、サービスサーバ200より、学習対象とする詳細情報220を取得する。取得部110は、詳細情報DB300より詳細情報を取得してもよい。以下の説明のため、取得部110が取得したコンテンツ関連情報を「コンテンツ関連情報112」、詳細情報を「詳細情報114」と称する。
【0025】
地域ベクトル導出部120は、取得部110が取得したコンテンツ関連情報112および詳細情報114とのそれぞれに基づく地域ベクトルを導出する。地域ベクトルについては後述する。地域ベクトル導出部120は、「導出部」の一例である。
【0026】
学習部130は、取得部110により取得されたコンテンツ関連情報112および詳細情報114に含まれる情報を学習データとして学習する。
【0027】
モデル生成部140は、学習部130により学習されたコンテンツ関連情報112および詳細情報114における少なくともコンテンツを含む着目箇所と正解に関するサービス提供者からの指定を受け付け、レコメンドモデルMを生成する。レコメンドモデルMは、着目箇所に相当する情報を入力すると正解を出力する学習済みモデルである。
【0028】
レコメンドモデルMは、例えば、コンテンツ関連情報112および詳細情報114の地域ベクトルを着目箇所として入力された場合、コンテンツ関連情報112の中から類似する地域ベクトルを持つ他のコンテンツを識別する情報(以下、コンテンツID)を出力する。レコメンドモデルMは、サービス管理者の操作などに基づいてサービスサーバ200に配置される。
【0029】
[コンテンツ関連情報]
図2は、コンテンツ関連情報210の内容の一例である。コンテンツ関連情報210には、例えば、ユーザIDや、ユーザが利用したコンテンツID、コンテンツのIMP(impression)タグ、PV(page view)、コンテンツの完読率、ミニブログ等にコンテンツへのリンクを展開した「シェア回数」、コンテンツを評価した「いいね回数」、ユーザの性別、ユーザ属性(Demog)などが含まれる。これらの情報は、例えば、サービス提供者がユーザの利用状況をマーケティング調査することを目的に取得される。なお、ユーザ属性(Demog)は地域ベクトルが導出される情報の一例である。ユーザ属性(Demog)には、例えば、ユーザの現在位置や居住地などが含まれる。
【0030】
[詳細情報]
図3は、詳細情報220の一例を示す図である。詳細情報220には、例えば、コンテンツIDや、コンテンツのタイトル、概要、コンテンツの内容に含まれる地理情報、コンテンツに付随する(サービス提供者が設定する)タグ情報などが含まれる。
【0031】
[地域ベクトル]
地域ベクトルは、コンテンツ関連情報112(コンテンツ関連情報210)および詳細情報114(詳細情報220)に含まれる地域性を持つ情報同士の近さを測るベクトルである。地域ベクトルの示す地域性の近さは、地域同士の物理的な距離の近さに加えて、地域同士の特性の近似度合を表現するものである。地域ベクトルの示す地域性の近さは、例えば、サービス提供者により定義されるものであってもよいし、学習部130により学習された結果が反映されるものであってもよい。
【0032】
コンテンツ関連情報112および詳細情報114に含まれる情報に「ラーメン」というタグが設定される場合、物理的な距離が近い「山形」と「喜多方」とが地域ベクトルが近いと設定されてもよいし、学習部130による学習の結果に基づいてユーザが同程度の興味を持つ可能性が高く特性が近似するといえる「山形」と「熊本」とが地域ベクトルが近いと設定されてもよい。また、例えば、コンテンツ関連情報112および詳細情報114に含まれる情報に「コーヒー」というタグが設定される場合、物理的には距離が離れているが有名産地であるという点で「スマトラ島」と「ジャマイカ」とが地域ベクトルが近いと設定されてもよい。
【0033】
また、地域ベクトル導出部120は、コンテンツ関連情報112に含まれる情報のうち、ユーザによりあらかじめ設定された住所、勤務地などの情報に加え、IPアドレスから推定されるユーザの現在地を用いてユーザに関連する地域ベクトルを導出してもよい。
【0034】
[モデル生成装置の処理]
以下、モデル生成装置100によりレコメンドモデルMが生成される処理の詳細について説明する。図4は、モデル生成装置100の処理を説明するための図である。
【0035】
取得部110は、例えば、データ統合モジュール116と記憶部118とを備える。記憶部118には、コンテンツ関連情報112や詳細情報114などが格納される。記憶部118は、例えば、HDD、フラッシュメモリ、EEPROM、ROM、またはRAMなどにより実現される。
【0036】
取得部110は、コンテンツ関連情報210、詳細情報220および詳細情報DB300より取得した情報を地域ベクトル導出部120に出力する。地域ベクトル導出部120は、取得部110により出力された各種情報の地域ベクトルを導出する。
【0037】
取得部110のデータ統合モジュール116は、取得した各種情報、および地域ベクトル導出部120により導出された地域ベクトルを学習部130に出力する。データ統合モジュール116は、例えば、TALEND(登録商標)などのETL(Extract/Transform/Load)ツールが用いられる。データ統合モジュール116は、所定の周期で、記憶部118に格納された情報の一部(例えば、更新差分や、学習データとして好ましくない情報を除外したもの)または全部を学習部130に出力する。学習データとして好ましくない情報とは、例えば、地域ベクトル導出部120により地域ベクトルが導出できなかった情報である。
【0038】
学習部130は、例えば、学習データ132と、学習フレームワーク134と、着目箇所設定136とを備える。学習データ132は、例えば、HDD、フラッシュメモリ、EEPROM、ROM、またはRAMなどにより実現される。
【0039】
学習データ132には、データ統合モジュール116により送信されたコンテンツ関連情報132Aと詳細情報132Bとが格納される。コンテンツ関連情報132Aには、コンテンツ関連情報210と、地域ベクトル導出部120により導出された地域ベクトルが格納される。詳細情報132Bには、詳細情報220(または、詳細情報DB300)と、地域ベクトル導出部120により導出された地域ベクトルが格納される。
【0040】
図5は、着目箇所設定136の一例を示す図である。サービス提供者は、管理者端末20を介して、1以上の着目箇所を設定して学習部130による学習の方針を指示する。着目箇所設定136に設定可能な着目箇所は、図5の着目箇所1、着目箇所2に示すようにコンテンツ関連情報132Aや詳細情報132Bに格納される情報の項目自体であってもよいし、図5の着目箇所3に示すようにコンテンツ関連情報132Aや詳細情報132Bに格納される情報が満たす条件が設定されてもよい。
【0041】
学習フレームワーク134は、着目箇所設定136を参照し、学習データ132、特に学習データ132に含まれる地域ベクトルを用いて学習を行う。着目箇所設定136は、例えば、管理者端末20を介してサービス提供者があらかじめ、または学習の度に設定する着目箇所である。学習フレームワーク134は、GPU(Graphics Processing Unit)を利用して並列処理で数値計算を行うためのフレームワーク(機械学習ライブラリ)であって、例えば、TensorFlow(登録商標)や、Chainer(登録商標)でなどのCNN(Convolutional Neural Network;畳み込みニューラルネットワーク)などのDNN(Deep Neural Network)演算を行う。
【0042】
モデル生成部140は、学習部130による学習結果に基づいてレコメンドモデルMを生成する。
【0043】
[レコメンド例1]
図6は、レコメンドモデルMの出力例を説明するための図である。例えば、着目箇所が「居住地」および「現在地」であると設定されたレコメンドモデルM1に対して、ユーザU1のコンテンツ関連情報132Aが入力された場合、レコメンドモデルM1は、「神奈川の週末イベント」、「東京の週末イベント」などのレコメンド情報を出力する。
【0044】
着目箇所が「現在地」、「居住地」および「興味」であると設定されたレコメンドモデルM2に対して、ユーザU1のコンテンツ関連情報132Aが入力された場合、レコメンドモデルM2は、「現在地周辺のおすすめラーメン」、「神奈川の週末イベント」などのレコメンド情報を出力する。レコメンドモデルM2が出力するレコメンド情報には、レコメンドモデルM1と同一のレコメンド情報が含まれてもよい。
【0045】
着目箇所が「現在地」、「居住地」、「興味」および「購買履歴」であると設定されたレコメンドモデルM3に対して、ユーザU1のコンテンツ関連情報132Aが入力された場合、レコメンドモデルM3は、「大阪のラーメンイベント」、「現在地周辺のおすすめラーメン」などのレコメンド情報を出力する。
【0046】
レコメンドモデルM3による出力は、レコメンドモデルM1およびM2による出力と比較して、「購買履歴」の影響が大きく反映されたものである。レコメンドモデルM1およびM2は「現在地」および「居住地」の影響を受けた出力を行うものであり、「現在地」および「居住地」からユーザU1の生活圏を推測し、その生活圏から離れた地域の情報が出力される可能性を低減させるものである。
【0047】
一方、レコメンドモデルM3による出力は、例えば、サービス提供者により『「購買履歴に旅行用品が含まれる」という条件を満たすユーザは、グルメ旅行、写真撮影のための旅行などをする可能性がある』、『「購買履歴に旅行用品が含まれる」という条件を満たすユーザは、生活圏から離れた地域の情報であっても興味のあることに対する情報を収集する』という仮説を反映したものである。
【0048】
図示のように、同一のユーザU1のコンテンツ関連情報132Aに対して着目箇所の設定が異なるレコメンドモデルM1~M3が用いられた場合、出力の違いが発生する。
【0049】
[レコメンド例2]
図7は、レコメンドモデルMの他の出力例を説明するための図である。なお、図7の例において用いられたレコメンドモデルM(以下、レコメンドモデルM4)は、着目箇所に相当する情報に対して地域ベクトルが導出された情報が設定されており、出力する正解に対する地域ベクトルの影響度合が強められたものである。
【0050】
図8は、詳細情報220の他の一例である。図示のように、山形ラーメン特集には、サービス提供者によってあらかじめ「おでかけ」、「ラーメン」、「山形」などのタグ情報が設定されている。なお、これらの情報は、レコメンドモデルM4において着目箇所として設定された項目である、または着目箇所として設定された項目に関連するものとして説明する。
【0051】
図7に戻り、例えば、レコメンドモデルM4の着目箇所が「居住地」、「興味」および「購買履歴」であり、ユーザU2のコンテンツ関連情報132Aが入力された場合、レコメンドモデルM4は、山形ラーメン特集を優先表示する。レコメンドモデルM4は、ユーザU3の現在地または居住地の地域ベクトルと、詳細情報220の「山形ラーメン特集」との地域ベクトルとに基づいて図示のような出力を行う。
【0052】
また、レコメンドモデルM4は、ユーザU3のコンテンツ関連情報132Aが入力された場合にも、「山形ラーメン特集」を優先表示する。この出力は、ユーザU3の「興味」と「購買履歴に旅行用品が含まれる」が反映されたものである。レコメンドモデルM4は、ユーザU3の現在地または居住地の地域ベクトルと、詳細情報220の「山形ラーメン特集」との地域ベクトルとに基づいて図示のような出力を行う。
【0053】
[処理フロー]
図9は、モデル生成装置100による処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0054】
まず、学習部130は、管理者端末20を介してサービス提供者に入力される着目箇所設定136の設定を受け付ける(ステップS100)。次に、取得部110は、サービスサーバ200が管理者端末20を介してサービス提供者により入稿された詳細情報220(または詳細情報DB300)を取得する(ステップS102)。
【0055】
次に、取得部110は、ユーザの行動履歴を含む、コンテンツ関連情報を取得する(ステップS104)。次に、地域ベクトル導出部120は、地域ベクトルを導出する(ステップS106)。次に、学習部130は、地域ベクトル導出部120により導出された地域ベクトルが加味された学習データ132を学習する(ステップS108)。次に、モデル生成部140は、学習部130による学習結果に基づいてレコメンドモデルMを出力する(ステップS110)。以上、本フローチャートの処理の説明を終了する。
【0056】
上述のように、実施形態のモデル生成装置100は、学習部130がユーザの行動履歴であって、ユーザIDや、ユーザの位置、ユーザに提供したコンテンツを示す情報とを含むコンテンツ関連情報と、コンテンツの詳細情報を含む詳細情報DB300とを学習データとして学習し、モデル生成部140が学習部130による学習結果に基づいてレコメンドモデルMを生成することにより、サービス提供者からの着目箇所と正解の指定を受け付け、着目箇所に相当する情報が入力されると正解を出力するレコメンドモデルMをサービス提供者に提供することができる。これにより、サービス提供者は、レコメンドモデルMを用いることで、提供するコンテンツを選択したり、サービス提供におけるユーザの満足度をより高めるための取り組みを行うことができる。
【0057】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0058】
10 端末装置
20 管理者端末
100 モデル生成装置
110 取得部
120 地域ベクトル導出部
130 学習部
140 モデル生成部
200 サービスサーバ
300 詳細情報DB
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9