(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-14
(45)【発行日】2023-08-22
(54)【発明の名称】棚板受け構造及び無溶接方式の棚板受け具
(51)【国際特許分類】
A47B 96/06 20060101AFI20230815BHJP
A47F 5/00 20060101ALI20230815BHJP
【FI】
A47B96/06 E
A47F5/00 C
A47B96/06 B
(21)【出願番号】P 2019081455
(22)【出願日】2019-04-23
【審査請求日】2022-04-15
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成31年1月29日株式会社ライオン事務機滋賀センターにおいて本発明を利用したシューズBOXを納品
(73)【特許権者】
【識別番号】512098739
【氏名又は名称】株式会社サンライテック
(74)【代理人】
【識別番号】100091465
【氏名又は名称】石井 久夫
(72)【発明者】
【氏名】西村 勝博
(72)【発明者】
【氏名】深澤 淳
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】仏国特許出願公開第02770115(FR,A1)
【文献】実開昭51-155115(JP,U)
【文献】登録実用新案第3135217(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第108125428(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 96/06
F16B 5/00-5/12
日本意匠分類 D9-161
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付けるべき部位の縁に取付けフランジ部(20B)が形成された棚板(20)と、
該棚板(20)を取付けるべき横長溝状の取付け穴(11)が板状壁面に形成された固定構造体(10)と、
上記取付け穴(11)の横方向の長さより所定寸法短い横方向の長さを有する矩形板材を用いて製作され、矩形状の底面部分(30A)の両縁から両板部分(30B)が相互に対向するように連続した立体形状をなし、上記両板部分(30B)の先端には傾斜ガイド部分(30C)が外方に開くように傾斜して連続し、上記底面部分(30A)の幅方向両縁には係止突起(30D)が上記両板部分(30B)と同一面をなすように突出し、上記両板部分(30B)と係止ガイド部分(30C)の境界部位には弾性を有する押え面部分(30E)が内方に傾斜して突出しており、上記取付け穴(11)に差し込まれ上記固定構造体(10)の板状壁面(
10B)が上記両板部分(30B)の間に嵌まり込むとともに上記取付け穴(11)の下縁部分が上記係止突起(30D)の間に挟まれることによって上記取付け穴(11)から抜け止めされ、上記両板部分(30B)の間に嵌まり込んだ上記固定構造体(10)の板状壁面(10B)が上記押え面部分(30E)で押えられ、上記押え面部分(30E)と上記固定構造体(10)の壁面(10B)との間に上記棚板(20)の取付けフランジ部(20B)が差し込まれることによって上記棚板(20)を受けて上記固定構造体(10)に固定する受け具(30)と、を備えたことを特徴とする棚板受け構造。
【請求項2】
取付けるべき部位の縁に取付けフランジ部(20B)が形成された棚板(20)を、横長溝状の取付け穴(11)が板状壁面に形成された固定構造体(10)の取付け穴(11)に取付けるために用いられ
、溶接作業なしで棚板を固定することができる棚板受け具であって、
上記取付け穴(11)の横方向の長さより所定寸法短い横方向の長さを有する矩形板材を用いて製作され、矩形状の底面部分(30A)の両縁から両板部分(30B)が相互に対向するように連続した立体形状をなし、上記両板部分(30B)の間に上記固定構造体(10)の板状壁面(
10B)が嵌め込まれ、上記両板部分(30B)の先端には傾斜ガイド部分(30C)が外方に開くように傾斜して連続し、上記底面部分(30A)の幅方向両縁には係止突起(30D)が上記両板部分(30B)と同一面をなすように突出し、上記底面部分(30A)の両縁の上記係止突起(30D)の間に上記取付け穴(11)の下縁部分が挟まれ、上記両板部分(30B)と係止ガイド部分(30C)の境界部位には弾性を有する押え面部分(30E)が内方に傾斜して突出し、上記両板部分(30B)の間に嵌まり込んだ上記固定構造体(10)の板状壁面(10B)が上記押え面部分(30E)で押えられるようになっていることを特徴とする
、溶接作業なしで棚板を固定できる棚板受け具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は棚板受け構造及び無溶接方式の棚板受け具に関し、特に書棚や陳列棚などの棚板を棚受け脚などに無溶接で固定するようにした受け構造及び受け具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、棚板を支柱に取付ける場合、支柱にスリットを設け、スリットにブラケットの後部フックを差し込み、ブラケットに棚板を支持する方式が知られているが、スリットとブラケットの係止フックの係合部分に隙間があるので、係合が外れたり、がたついたり、傾いたりすることがある。
【0003】
これに対し、押え金具をスリット内に挿入し、ブラケットで受けた棚板を押え金具で押さえるようにした受け構造が提案されている(特許文献1)。
【0004】
また、スリットと係止フック間の間隙に突片を嵌め込み、ブラケットを隙間なく固定して棚板を弛みなく固定するようにした受け構造も提案されている(特許文献2)。
【0005】
さらに、押え金具の基部をスリットに差し込み、押え金具を捩じって棚板を強く押えこむようにした受け構造が提案されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2008―136536号公報
【文献】特開2007―20742号公報
【文献】特開2016―154659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1~3記載の受け構造では部品点数が多くなるとともに、製造の工程数が増え、製造がコスト高となる。
【0008】
本発明はかかる問題点に鑑み、棚板を少ない工程数及び部品点数で確実に強固に固定できるようにした棚板受け構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明に係る棚板受け構造は、取付けるべき部位の縁に取付けフランジ部が形成された棚板と、該棚板を取付けるべき横長溝状の取付け穴が板状壁面に形成された固定構造体と、上記取付け穴の横方向の長さより所定寸法短い横方向の長さを有する矩形板材を用いて製作され、矩形状の底面部分の両縁から両板部分が相互に対向するように連続した立体形状をなし、上記両板部分の先端には傾斜ガイド部分が外方に開くように傾斜して連続し、上記底面部分の幅方向両縁には係止突起が上記両板部分と同一面をなすように突出し、上記両板部分と係止ガイド部分の境界部位には弾性を有する押え面部分が内方に傾斜して突出しており、上記取付け穴に差し込まれ上記固定構造体の板状壁面が上記両板部分の間に嵌まり込むとともに上記取付け穴の下縁部分が上記係止突起の間に挟まれることによって上記取付け穴から抜け止めされ、上記両板部分の間に嵌まり込んだ上記固定構造体の板状壁面が上記押え面部で押えられ、上記押え面部と上記固定構造体の壁面との間に上記棚板の取付けフランジ部が差し込まれることによって上記棚板を受けて上記固定構造体に固定する受け具と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明の特徴の1つは固定構造体の取付け穴に受け具を差し込み、固定構造体の板状壁面を両板部分の間に嵌め込み、取付け穴の下縁部分を係止突起の間に挟むことによって受け具を抜け止めし、固定構造体の板状壁面を押え面部で押え、押え面部と固定構造体の壁面との間に棚板の取付けフランジ部を差し込むことによって、棚板を受けて固定構造体に固定するようにした点にある。
【0011】
これにより、受け具を用いることによって、少ない工程数で棚板を固定構造体に固定することができ、製造コストの低減を図ることができる。
【0012】
受け具の傾斜ガイド部分は受け具を取付け穴に差し込む際に円滑に差し込めるようにするものである。
【0013】
また、受け具を取付け穴から抜け止めし、受け具の弾性押え面部と固定構造体の壁面の間に棚板の取付けフランジ部を挟み込むようにしたので、棚板をガタツキ少なく強固に固定することができ、棚板が外れたり、傾いたりすることもない。
【0014】
また、本発明に係る棚板受け構造は溶接作業なしで棚板を固定構造体に取付けることができるという特徴を有する一方、上記棚板受け構造に用いる無溶接方式の棚板受け具も斬新である。
【0015】
即ち、本発明によれば、取付けるべき部位の縁に取付けフランジ部が形成された棚板を、横長溝状の取付け穴が板状壁面に形成された固定構造体の取付け穴に取付けるために用いられる無溶接方式の棚板受け具であって、上記取付け穴の横方向の長さより所定寸法短い横方向の長さを有する矩形板材を用いて製作され、矩形状の底面部分の両縁から両板部分が相互に対向するように連続した立体形状をなし、上記両板部分の間に上記固定構造体の板状壁面が嵌め込まれ、上記両板部分の先端には傾斜ガイド部分が外方に開くように傾斜して連続し、上記底面部分の幅方向両縁には係止突起が上記両板部分と同一面をなすように突出し、上記底面部分の両縁の上記係止突起の間に上記取付け穴の下縁部分が挟まれ、上記両板部分と係止ガイド部分の境界部位には弾性を有する押え面部分が内方に傾斜して突出し、上記両板部分の間に嵌まり込んだ上記固定構造体の板状壁面が上記押え面部分で押えられるようになっていることを特徴とする無溶接方式の棚板受け具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係る棚板受け構造に用いる無溶接方式の棚板受け具の好ましい実施形態を示す図である。
【
図2】本発明に係る棚板受け構造の実施形態における取付け穴を示す図である。
【
図3】上記実施形態における棚受け構造に組立てる場合の、受け具をセットする作業を示す図である。
【
図4】上記実施形態における棚受け構造に組立てる場合の、棚板をセットする作業を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。
図1ないし
図4は本発明に係る棚板受け構造及び無溶接方式の棚板受け具の好ましい実施形態を示す。図において、棚受け脚(固定構造体)10には棚板20が受け具30によって固定される。
【0018】
棚受け脚10は左右の金属支柱10Aの間に金属パネル10Bを掛け渡して構成され、金属パネル10Bには
図2に示されるように、横方向の長さが42mm、高さ3.5mmの横長溝形状の取付け穴11が形成されている。
【0019】
他方、棚板20は矩形状の金属パネルの両側に矩形パイプ状の補強部20Aを形成し、金属パネルの前後両側周縁を下方に折り曲げてフランジ部20Bを形成して製作され、後端縁のフランジ部20Bは取付けフランジ部となっている。
【0020】
受け具30は
図1に示されるように、取付け穴11の横方向の長さより所定寸法短い横方向の長さを有する矩形状金属パネルを用いて製作され、2.3mmの短い横幅の底面部分30Aの両縁から両板部分30Bが相互に対向するように連続した立体形状をなしている。
【0021】
また、受け具30の両板部分30Bの先端には傾斜ガイド部分30Cが外方に開くように傾斜して連続され、又底面部分30Aの横幅方向両縁には係止突起30Dが両板部分30Bと同一面をなすように切り起こし形成され、両板部分30Bと係止ガイド部分30Cの境界部位には弾性を有する押え面部分30Eが内方に傾斜して切り起こし形成されている。
【0022】
棚板20を棚受け脚10に取付ける場合、
図3に示すように、受け具30の傾斜ガイド部30Cを棚受け脚10の取付け穴11に差し込み、受け具30を回転させながら受け具30の両板部分30Bの間に棚受け脚10の取付け穴11周縁の金属パネル10Bを嵌め込み、底面部分30A両側の係止突起30Dで取付け穴11下縁の金属パネル10Bを挟み込むと、受け具30を取付け穴11から抜け止めすることができる。
【0023】
そこで、
図4に示されるように、棚板20の後端側のフランジ部20Bを受け具30の押え面部分30Eと棚受け脚10の金属パネル10Bの間に嵌め込むと、受け具30の押え面部分30Eの弾性によって棚板20のフランジ部20Bが押されて棚受け脚10の金属パネル10Bに強く押し付けられ、これによって棚板20は棚受け脚10の金属パネル10Bに強固に固定される。
【0024】
以上のように、棚受け脚10の取付け穴11に受け具30を差し込み、棚受け脚10の金属パネルを両板部分30Bの間に嵌め込み、取付け穴11の下縁部分を係止突起30Dの間に挟むことによって受け具30を抜け止めし、棚受け脚の金属パネルを押え面部30Eで押え、押え面部30Eと棚受け脚10の金属パネルとの間に棚板20の取付けフランジ部20Bを差し込み、棚板20を固定するようにしたので、受け具30だけで、つまり溶接作業なしで棚板20を固定することができる。
【符号の説明】
【0025】
10 棚掛け脚
20 棚
20B フランジ部(取付けフランジ部)
30 受け具
30A 底面部分
30B 両板部分
30C 傾斜ガイド部分
30D 係止突起
30E 押え面部