(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-14
(45)【発行日】2023-08-22
(54)【発明の名称】医用情報処理装置、オーダリングシステム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 10/00 20180101AFI20230815BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20230815BHJP
【FI】
G16H10/00
A61B5/00 D
(21)【出願番号】P 2019082626
(22)【出願日】2019-04-24
【審査請求日】2022-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】島田 哲雄
(72)【発明者】
【氏名】池崎 愛菜
【審査官】吉田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-089047(JP,A)
【文献】特開2018-041418(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00 - 80/00
A61B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の症状から推測された病変である候補病変を取得する取得部と、
病変ごとに診断に必要な検査項目を設定したリストである検査リストに対して前記候補病変に
ついての検索を行なうことで設定された検査項目である検査オーダーに従って検査を実行する前に、当該検査オーダーの検査項目に関連する関連検査項目
の検査が前記患者について過去に実行されたか否かを
、過去に実行された検査項目と、当該検査項目の検査において前記患者を撮像して得られた生データ又は画像データである検査結果及び当該検査結果の保存情報の少なくとも一方とを含む過去データから検索する検索部と、
前記検索部による検索結果
として、前記関連検査項目の検査が前記患者について過去に実行されていた場合に、当該関連検査項目の検査によって過去に収集された検査結果を取得し、取得した検査結果
について、前記検査オーダーの検査
の対象となる部位に応じてウィンドウ値及びウィンドウ幅の少なくとも一方を調整して出力する第1出力部と、
前記検索結果
として、前記関連検査項目の検査が前記患者について過去に実行されていなかった場合、又は、検索結果として前記関連検査項目の検査が前記患者について過去に実行されていたものの当該関連検査項目の検査結果のみに基づいて前記患者の診断が可能でない場合に、
前記患者の診断が可能となる1又は複数の検査項目、又は、前記患者について過去に実行された前記関連検査項目の検査結果と組み合わせることで前記患者の診断が可能となる1又は複数の検査項目である追加の検査オーダーを出力する第2出力部と
を備える、医用情報処理装置。
【請求項2】
前記検索部による検索結果として、前記検査オーダーの検査項目の一部に関連する前記関連検査項目
の検査が前記患者について過去に実行されていた場合、
前記第1出力部は、前記関連検査項目の検査によって過去に収集された前記検査結果
について、前記検査オーダーの検査の対象となる部位に応じてウィンドウ値及びウィンドウ幅の少なくとも一方を調整して出力し、
前記第2出力部は、
前記検査オーダーの検査項目のうち、関連する前記関連検査項目
の検査が前記患者について過去に実行されていなかった検査項目の検査を実行するための前記追加の検査オーダーを出力する、請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項3】
前記第1出力部は、過去に収集された複数の前記検査結果
として、前記患者を撮像して得られた生データ及び画像データを取得し、当該生データに対して当該画像データよりも高い優先度を付するとともに、
前記検査オーダーの検査の対象となる部位に応じてウィンドウ値及びウィンドウ幅の少なくとも一方を調整して出力する、請求項1又は2に記載の医用情報処理装置。
【請求項4】
前記第2出力部は、前記追加の検査オーダーの複数の検査項目の
うち、前記患者の緊急度が高い場合には診断結果確定の有用度が高い検査項目に対して高い優先度を付し、前記緊急度が低い場合には前記患者への侵襲性が低い検査項目に対して高い優先度を付して出力する、請求項1~3のいずれか一項に記載の医用情報処理装置。
【請求項5】
前記第1出力部は、前記関連検査項目の検査によって過去に収集された前記検査結果を取得し、取得した前記検査結果の一部を
、医師であるユーザの診療科に応じて抽出し、抽出した前記検査結果
について、前記検査オーダーの検査
の対象となる部位に応じてウィンドウ値及びウィンドウ幅の少なくとも一方を調整して出力する、請求項1~4のいずれか一項に記載の医用情報処理装置。
【請求項6】
前記過去データを保管するデータ保管装置における、前記生データ又は前記画像データの保存期間を設定する設定部を更に備える、請求項
1~5のいずれか一項に記載の医用情報処理装置。
【請求項7】
前記生データ又は前記画像データに対して、
当該生データ又は当該画像データに含まれる解剖学的構造を示す部位情報を付加する付加部を更に備え、
前記第1出力部は、前記検査結果として取得した
前記生データ又は前記画像データについて、前記検査オーダーの検査の対象となる部位と前記部位情報とに基づいて、ウィンドウ値及びウィンドウ幅の少なくとも一方を調整して出力する、請求項
1~6のいずれか一項に記載の医用情報処理装置。
【請求項8】
前記付加部は、前記
生データ又は前記画像データが3次元データである場合、前記部位情報を階層的に付加する、請求項
7に記載の医用情報処理装置。
【請求項9】
前記検索部は、複数の診療科のそれぞれにおいて保管される前記過去データから前記関連検査項目を検索する、請求項1~
8のいずれか一項に記載の医用情報処理装置。
【請求項10】
前記検索部は、複数の施設のそれぞれにおいて保管される前記過去データから前記関連検査項目を検索する、請求項1~
9のいずれか一項に記載の医用情報処理装置。
【請求項11】
前記取得部が前記候補病変を複数取得した場合、前記第2出力部は、複数の前記候補病変それぞれに対応する複数の前記追加の検査オーダーの複数の検査項目のそれぞれに優先度を付して出力する、請求項1~
10のいずれか一項に記載の医用情報処理装置。
【請求項12】
前記第1出力部は、更に、前記候補病変の罹患確率を表示する、請求項1~
11のいずれか一項に記載の医用情報処理装置。
【請求項13】
患者の症状から推測された病変である候補病変を取得する取得部と、
病変ごとに診断に必要な検査項目を設定したリストである検査リストに対して前記候補病変に
ついての検索を行なうことで設定された検査項目である検査オーダーに従って検査を実行する前に、当該検査オーダーの検査項目に関連する関連検査項目
の検査が前記患者について過去に実行されたか否かを
、過去に実行された検査項目と、当該検査項目の検査において前記患者を撮像して得られた生データ又は画像データである検査結果及び当該検査結果の保存情報の少なくとも一方とを含む過去データから検索する検索部と、
前記検索部による検索結果
として、前記関連検査項目の検査が前記患者について過去に実行されていた場合に、当該関連検査項目の検査によって過去に収集された検査結果を取得し、取得した検査結果
について、前記検査オーダーの検査
の対象となる部位に応じてウィンドウ値及びウィンドウ幅の少なくとも一方を調整して出力する第1出力部と、
前記検索結果
として、前記関連検査項目の検査が前記患者について過去に実行されていなかった場合、又は、検索結果として前記関連検査項目の検査が前記患者について過去に実行されていたものの当該関連検査項目の検査結果のみに基づいて前記患者の診断が可能でない場合に、
前記患者の診断が可能となる1又は複数の検査項目、又は、前記患者について過去に実行された前記関連検査項目の検査結果と組み合わせることで前記患者の診断が可能となる1又は複数の検査項目である追加の検査オーダーを出力する第2出力部と
を備える、オーダリングシステム。
【請求項14】
患者の症状から推測された病変である候補病変を取得し、
病変ごとに診断に必要な検査項目を設定したリストである検査リストに対して前記候補病変に
ついての検索を行なうことで設定された検査項目である検査オーダーに従って検査を実行する前に、当該検査オーダーの検査項目に関連する関連検査項目
の検査が前記患者について過去に実行されたか否かを
、過去に実行された検査項目と、当該検査項目の検査において前記患者を撮像して得られた生データ又は画像データである検査結果及び当該検査結果の保存情報の少なくとも一方とを含む過去データから検索し、
検索結果
として、前記関連検査項目の検査が前記患者について過去に実行されていた場合に、当該関連検査項目の検査によって過去に収集された検査結果を取得し、取得した検査結果
について、前記検査オーダーの検査
の対象となる部位に応じてウィンドウ値及びウィンドウ幅の少なくとも一方を調整して出力し、
前記検索結果
として、前記関連検査項目の検査が前記患者について過去に実行されていなかった場合、又は、検索結果として前記関連検査項目の検査が前記患者について過去に実行されていたものの当該関連検査項目の検査結果のみに基づいて前記患者の診断が可能でない場合に、
前記患者の診断が可能となる1又は複数の検査項目、又は、前記患者について過去に実行された前記関連検査項目の検査結果と組み合わせることで前記患者の診断が可能となる1又は複数の検査項目である追加の検査オーダーを出力する
各処理をコンピュータに実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、医用情報処理装置、オーダリングシステム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
患者が複数回の検査を受ける間には、医師や診療科、病院等が変わる場合がある。ここで、現在の担当医師が、その患者について過去にどのような検査が行われたのかを把握することは容易でなく、類似の検査が繰り返される場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-252160号公報
【文献】特開平08-263562号公報
【文献】特開2016-177492号公報
【文献】特開2017-097895号公報
【文献】特開2015-012910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、過去の検査結果を効率的に活用することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の医用情報処理装置は、取得部と、検索部と、第1出力部と、第2出力部とを備える。取得部は、候補病変を取得する。検索部は、前記候補病変に応じた検査オーダーに従って検査を実行する前に、当該検査オーダーの検査項目に関連する関連検査項目を過去データから検索する。第1出力部は、前記検索部による検索結果に前記関連検査項目が含まれる場合に、当該関連検査項目の検査によって過去に収集された検査結果を取得し、取得した検査結果を前記検査オーダーの検査目的に合致する形に加工して出力する。第2出力部は、前記検索結果に前記関連検査項目が含まれない場合に、当該検索結果に応じた追加の検査オーダーを出力する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係るオーダリングシステムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係るオーダリングシステムの処理の一連の流れを説明するためのフローチャートである。
【
図3】
図3は、第2の実施形態に係るオーダリングシステムの処理の一連の流れを説明するためのフローチャートである。
【
図4】
図4は、第3の実施形態に係るオーダリングシステムの処理の一連の流れを説明するためのフローチャートである。
【
図5】
図5は、第4の実施形態に係るオーダリングシステムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、第4の実施形態に係る部位情報の付加処理の一連の流れを説明するためのフローチャートである。
【
図7】
図7は、第4の実施形態に係るオーダリングシステムの処理の一連の流れを説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら、医用情報処理装置、オーダリングシステム及びプログラムの実施形態について詳細に説明する。
【0008】
(第1の実施形態)
第1の実施形態では、
図1に示すオーダリングシステム1を例として説明する。
図1は、第1の実施形態に係るオーダリングシステム1の構成の一例を示すブロック図である。
【0009】
図1に示すように、オーダリングシステム1は、医用情報処理装置100とデータ保管装置200とを含む。また、医用情報処理装置100とデータ保管装置200とは、ネットワークNWを介して通信可能に接続される。なお、医用情報処理装置100及びデータ保管装置200は、同一施設内に設置されてもよいし、互いに異なる施設に設置されてもよい。即ち、ネットワークNWは、院内で閉じたローカルネットワークにより構成されてもよいし、インターネットを介したネットワークでもよい。
【0010】
医用情報処理装置100は、例えば、候補病変に応じた検査オーダーを出力するオーダリング装置である。また、医用情報処理装置100は、検査オーダーに従って検査を実行する前に、データ保管装置200が記憶する過去データに対する検索を行なう。また、医用情報処理装置100は、検索結果に応じて、過去に収集された検査結果、及び、追加の検査オーダーの少なくとも一方を出力する。医用情報処理装置100は、例えば、ワークステーション等のコンピュータ機器によって実現される。
【0011】
具体的には、医用情報処理装置100は、
図1に示すように、入力インターフェース110と、ディスプレイ120と、メモリ130と、処理回路140とを有する。
【0012】
入力インターフェース110は、ユーザから各種の入力操作を受け付けて、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路140に出力する。なお、ユーザとは、医師であってもよいし、看護師や薬剤師、臨床検査技師、診療放射線技師、理学療法士、言語聴覚士、歯科衛生士等のコメディカルスタッフであってもよい。例えば、入力インターフェース110は、マウスやキーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、操作面へ触れることで入力操作を行なうタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、音声入力回路等により実現される。
【0013】
なお、入力インターフェース110は、医用情報処理装置100と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。また、入力インターフェース110は、マウスやキーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、医用情報処理装置100とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路140へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェース110の例に含まれる。
【0014】
ディスプレイ120は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ120は、検査オーダーや検査結果を表示する。また、例えば、ディスプレイ120は、ユーザから各種の操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)を表示する。例えば、ディスプレイ120は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイである。ディスプレイ120は、デスクトップ型でもよいし、医用情報処理装置100と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。なお、入力インターフェース110とディスプレイ120とは統合してもよい。例えば、入力インターフェース110及びディスプレイ120は、単一のタッチパネルによって実現される。
【0015】
また、医用情報処理装置100は、ディスプレイ120を複数含んでもよい。例えば、医用情報処理装置100は、ディスプレイ120として、物理的に分離した2つのディスプレイ(デュアルディスプレイ)を含んでもよい。また、これら複数のディスプレイ120は相互に関連するように制御されてもよい。例えば、複数のディスプレイ120は、連続した1つの領域を表示するように制御される。この場合、ディスプレイ120における表示領域は、ディスプレイ120の数に応じて拡張される。
【0016】
メモリ130は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。例えば、メモリ130は、医用情報処理装置100に含まれる各回路がその機能を実現するためのプログラムを記憶する。
【0017】
処理回路140は、取得機能141、検索機能142、第1出力機能143、第2出力機能144及び設定機能145を実行することで、医用情報処理装置100による処理の全体を制御する。
【0018】
例えば、処理回路140は、取得機能141に対応するプログラムをメモリ130から読み出して実行することにより、候補病変を取得する。また、例えば、処理回路140は、検索機能142に対応するプログラムをメモリ130から読み出して実行することにより、過去データに対する検索を行なう。また、例えば、処理回路140は、第1出力機能143に対応するプログラムをメモリ130から読み出して実行することにより、検索機能142による検索結果に応じて、過去に収集された検査結果を出力する。また、例えば、処理回路140は、第2出力機能144に対応するプログラムをメモリ130から読み出して実行することにより、検索機能142による検索結果に応じて、追加の検査オーダーを出力する。また、例えば、処理回路140は、設定機能145に対応するプログラムをメモリ130から読み出して実行することにより、過去に収集された検査結果について保存期間を設定する。
【0019】
なお、取得機能141は、取得部の一例である。検索機能142は、検索部の一例である。第1出力機能143は、第1出力部の一例である。第2出力機能144は、第2出力部の一例である。設定機能145は、設定部の一例である。
【0020】
図1に示す医用情報処理装置100においては、各処理機能がコンピュータによって実行可能なプログラムの形態でメモリ130へ記憶されている。処理回路140は、メモリ130からプログラムを読み出して実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、プログラムを読み出した状態の処理回路140は、読み出したプログラムに対応する機能を有することとなる。なお、
図1においては単一の処理回路140にて、取得機能141、検索機能142、第1出力機能143、第2出力機能144及び設定機能145が実現するものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路140を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。また、処理回路140が有する各処理機能は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。
【0021】
データ保管装置200は、過去データを記憶する記憶装置である。データ保管装置200は、例えば、DB(Database)サーバ等のコンピュータ機器によって実現され、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子や、ハードディスク、光ディスク等の記憶回路に過去データを記憶させる。
【0022】
ここで、過去データとは、例えば、過去に実行された検査項目や、その検査項目の検査によって収集された検査結果、或いは検査結果の保存情報等である。例えば、データ保管装置200は、過去データとして、過去に実行された検査項目と、検査の対象となった患者を示す患者IDとを関連付けて記憶する。
【0023】
また、例えば、データ保管装置200は、過去データとして、検査結果を記憶する。例えば、データ保管装置200は、過去データとして、過去に実行された検査項目と、検査の対象となった患者を示す患者IDと、その検査項目の検査によって収集された検査結果とを関連付けて記憶する。一例を挙げると、データ保管装置200は、過去に実行された検査項目「X線撮像」と、「X線撮像」の対象となった患者を示す患者IDと、「X線撮像」によって収集された画像データとを関連付けて記憶する。
【0024】
また、例えば、データ保管装置200は、過去データとして、検査結果の保存情報を記憶する。例えば、データ保管装置200は、過去データとして、過去に実行された検査項目と、検査の対象となった患者を示す患者IDと、その検査項目の検査によって収集された検査結果の保存情報とを関連付けて記憶する。一例を挙げると、データ保管装置200は、過去に実行された検査項目「血液検査」と、「血液検査」の対象となった患者を示す患者IDと、「血液検査」によって収集された血液の保存情報(例えば、血液の保存場所や保存期間等)とを関連付けて記憶する。ここで、データ保管装置200は、検査結果を更に記憶することとしても構わない。一例を挙げると、データ保管装置200は、過去に実行された検査項目「血液検査」と、「血液検査」の対象となった患者を示す患者IDと、「血液検査」によって収集された血液の保存情報と、「血液検査」によって収集された血液の解析結果(例えば、数値データや医師の所見等)とを関連付けて記憶する。
【0025】
例えば、データ保管装置200は、種々の診療データを保管する診療データ保管装置である。一例を挙げると、データ保管装置200は、病院等で導入されている電子カルテシステムの一部として設置され、電子カルテシステムにおいて生成された種々のバイタルデータを保管する電子カルテ保管装置である。この場合、データ保管装置200は、例えば、脈拍数の計測、心拍数の計測、呼吸数の計測、血圧の計測、体温の計測、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)の計測といった種々の検査項目を、検査の対象となった患者に関連付けて記憶する。また、データ保管装置200は、計測された脈拍数や心拍数、呼吸数、血圧、体温、SpO2等のデータを、検査結果として記憶する。
【0026】
別の例を挙げると、データ保管装置200は、血液等の検体の検査データを保管する検体検査サーバである。この場合、データ保管装置200は、例えば、採血、血液の解析といった種々の検査項目を、検査の対象となった患者に関連付けて記憶する。また、データ保管装置200は、検査結果の保存情報として、検体の保存場所や保存期間等の情報を記憶する。また、データ保管装置200は、検査結果として、検体の解析結果等の処理済みデータを記憶する。
【0027】
別の例を挙げると、データ保管装置200は、種々の画像データを保管する画像保管装置である。一例を挙げると、データ保管装置200は、PACS(Picture Archiving Communication System)のサーバである。この場合、データ保管装置200は、例えば、胸部のX線撮像、肩のX線撮像、胸部のCT検査といった種々の検査項目を、検査の対象となった患者に関連付けて記憶する。また、データ保管装置200は、患者を撮像することで収集されたデータ、患者を撮像することで収集されたデータに対して画像生成処理を実行することにより生成された画像データ、画像データの解析結果等のデータを、検査結果として記憶する。
【0028】
例えば、データ保管装置200は、患者をX線診断装置により撮像して収集されたデータを保管する。なお、以下では、患者をX線診断装置等の医用画像診断装置により撮像して収集されたデータであって、画像生成処理が施される前のデータを総称して、生データと記載する。具体的には、まず、X線診断装置は、X線管から患者に対してX線を照射し、患者を透過したX線をX線検出器により検出する。そして、X線診断装置は、X線検出器から受信した検出信号に基づいて生データを生成し、生成した生データを、検査結果としてデータ保管装置200に保管させる。また、X線診断装置は、生データに対して各種の画像生成処理を実行することにより、X線画像データを生成する。そして、X線診断装置は、生成したX線画像データを、検査結果としてデータ保管装置200に保管させる。また、X線診断装置は、生成したX線画像データの解析結果を、検査結果としてデータ保管装置200に保管させる。なお、X線画像データの解析結果としては、例えば、血管径の計測データや、血流量の計算結果等が挙げられる。
【0029】
ここで、各種の検査結果については、設定機能145により、保存期間が設定されてもよい。例えば、X線撮像やCT検査による検査結果(生データや画像データ)は日々蓄積され、データ保管装置200における保存可能領域を圧迫する。従って、設定機能145は、これらデータの保存期間を設定することで、データ保管装置200の負担を軽減することができる。また、血液等の検体についても日々蓄積され、これを保存する施設を圧迫する。従って、設定機能145は、検体の保存期間を設定することで、保存施設の負担を軽減することができる。
【0030】
なお、
図1においては、データ保管装置200を1つのみ示すが、オーダリングシステム1は、複数のデータ保管装置200を含んでもよい。例えば、オーダリングシステム1は、電子カルテ保管装置としてのデータ保管装置200、検体検査サーバとしてのデータ保管装置200、及び、PACSサーバとしてのデータ保管装置200をそれぞれ含んでもよい。
【0031】
また、複数のデータ保管装置200は、複数の診療科に亘って配置されてもよい。例えば、複数の診療科は、それぞれが少なくとも1つのデータ保管装置200を保持し、診療科ごとに過去データを管理する。また、複数のデータ保管装置200は、複数の施設に亘って配置されてもよい。例えば、複数の施設は、それぞれが少なくとも1つのデータ保管装置200を保持し、施設ごとに過去データを管理する。なお、施設とは、例えば、病院や診療所、介護施設、検診施設等の医療施設である。また、過去データは、その一部又は全部が、メモリ130において保管されてもよい。
【0032】
以上、第1の実施形態に係るオーダリングシステム1の全体構成について説明した。かかる構成のもと、第1の実施形態に係るオーダリングシステム1は、過去の検査結果を効率的に活用する。以下、第1の実施形態に係るオーダリングシステム1の処理について詳細に説明する。
【0033】
まず、
図2を用いて、オーダリングシステム1による処理の手順の一例を、具体例とともに説明する。
図2は、第1の実施形態に係るオーダリングシステム1の処理の一連の流れを説明するためのフローチャートである。
【0034】
例えば、取得機能141は、ユーザから、入力インターフェース110を介して、単数もしくは複数の候補病変の入力を受け付ける(ステップS101)。例えば、ユーザは、患者の症状「咳」に基づいて、喘息、及び、慢性閉塞性肺疾患(COPD:Chronic Obstructive Pulmonary Disease)を候補病変として入力する。
【0035】
なお、複数の候補病変の入力を行なう場合、ユーザは、それぞれの候補病変の重要度や罹患確率等を勘案し、優先度を付して候補病変を入力してもよい。例えば、ユーザは、喘息に優先度1を付し、COPDに優先度2を付して入力する。即ち、ユーザは、
図2の例に示すように、「1.喘息」及び「2.COPD」を候補病変として入力する。
【0036】
次に、取得機能141は、ユーザにより入力された候補病変に類似する類似病変を検索する(ステップS102)。なお、類似病変とは、例えば、入力された候補病変と似た症状を呈す病変や、入力された候補病変と原因が類似する病変などである。そして、取得機能141は、検索結果に含まれる類似病変を、候補病変として追加する。
【0037】
ここで、複数の候補病変が入力された場合、取得機能141は、入力された複数の候補病変に共通する特徴に基づいて、類似病変を検索することとしてもよい。例えば、取得機能141は、病変それぞれの特徴を事前に入力したデータベースを参照することにより、複数の候補病変に共通する特徴を特定し、特定した特徴に基づいて類似病変を検索する。なお、病変それぞれの特徴を事前に入力したデータベースとは、例えば、各病変に関して関連学会等が公開しているエビデンスに裏付けされた診断プロトコルである。別の例を挙げると、病変それぞれの特徴を事前に入力したデータベースとは、各病変に関する論文を参照した医師が適宜更新するデータベースである。一般に、上述した診断プロトコルは高い信頼性を有し、これを用いることが好ましい。一方で、医師が適宜更新するデータベースは、上述の診断プロトコルと比較して更新が早く、最新の情報が反映される点で利点を有する。
【0038】
或いは、取得機能141は、複数の病変の関連性を学習させた学習済みモデルを用いて、類似病変を検索することとしてもよい。かかる学習済みモデルは、取得機能141が類似病変の検索を行なうよりも前に生成されて、例えばメモリ130に格納される。例えば、取得機能141は、複数の病変を入力側データ、これら複数の病変に類似するものとして医師等が設定した病変を出力側データとする機械学習を実行することにより、学習済みモデルを事前に生成して、メモリ130に格納する。そして、取得機能141は、ユーザから複数の候補病変の入力を受け付けた際、メモリ130から読み出した学習済みモデルに対して複数の候補病変を入力する。また、学習済みモデルは、入力された複数の候補病変に類似する病変を出力する。
【0039】
なお、取得機能141が行う機械学習としては、ディープラーニング(Deep Learning)や、ロジスティック(Logistic)回帰分析、非線形判別分析、サポートベクターマシン(Support Vector Machine:SVM)、ランダムフォレスト(Random Forest)、ナイーブベイズ(Naive Bayes)等の各種の手法を用いることができる。また、取得機能141が学習済みモデルを生成するものとして説明したが、学習済みモデルは、医用情報処理装置100と異なる他の装置において生成されてもよい。例えば、取得機能141は、他の装置において生成された学習済みモデルをネットワークNWを介して取得し、取得した学習済みモデルをメモリ130に格納する。
【0040】
例えば、取得機能141は、喘息及びCOPDに類似する類似病変として間質性肺炎を取得し、候補病変として追加する。ここで、取得機能141は、追加する候補病変について優先度を付してもよい。例えば、取得機能141は、間質性肺炎に対して、ユーザが入力した喘息及びCOPDよりも低い優先度3を付する。即ち、取得機能141は、
図2の例に示すように、「3.間質性肺炎」を候補病変として追加する。
【0041】
次に、検索機能142は、取得機能141が取得した候補病変に基づいて、検査項目を設定する(ステップS103)。一例を挙げると、検索機能142は、候補病変に基づいて、検査リストに対する検索を行なうことにより、検査項目を設定する。なお、検査リストは、病変ごとに、診断に必要な検査項目を設定したリストである。検査リストは、例えば、医師により事前に作成されて、メモリ130に格納される。また、候補病変が複数ある場合、重複する検査項目については適宜省略することとして構わない。例えば、検索機能142は、候補病変「1.喘息」、「2.COPD」及び「3.間質性肺炎」のそれぞれについて検査リストに対する検索を行なうことで、検査項目として、胸部X線撮像、スパイロメトリー(肺機能検査)、CRP(炎症反応)検査、及び、喫煙歴に関する問診を設定する。なお、検査リストに基づいて検査項目を設定するものとして説明したが、検索機能142は、ユーザからの入力操作に基づいて検査項目を設定してもよい。
【0042】
ここで、複数の検査項目を設定する場合、検索機能142は、各検査項目に優先度を付してもよい。例えば、検索機能142は、胸部X線撮像に優先度1を付し、スパイロメトリーに優先度2を付し、CRP検査に優先度3を付し、喫煙歴に関する問診に優先度4を付する。即ち、検索機能142は、
図2の例に示すように、検査項目として、「1.胸部X線撮像」、「2.スパイロメトリー」、「3.CRP検査」及び「4.喫煙歴に関する問診」を設定する。
【0043】
なお、各検査項目への優先度の設定に際しては、各検査項目の特徴(侵襲性、診断結果確定の有用度、コスト等)や、患者の緊急度といった種々の要因を勘案することができる。例えば、急患に対しては、1又は少数の検査により診断が可能となるよう、有用度の高い検査項目に対して高い優先度が付される。また、急患でない場合には、患者負担を軽減するよう、侵襲性の低い検査項目に対して高い優先度が付される。
【0044】
ここで、設定された検査項目は、通常、検査オーダーとして出力される。そして、医師や技師等の検査実施者は、検査オーダーに従って検査を実施し、医師は、検査結果に基づいて診断を行なう。しかしながら、ここで設定された検査項目の検査については、類似の検査が過去に実施されている場合がある。例えば、
図2においては検査項目として「1.胸部X線撮像」が設定されているが、別の医師や診療科、病院等において、同一患者の胸部X線撮像が既に行われている場合がある。或いは、胸部X線撮像は行われていないにしても、胸部に近い部位のX線撮像や、別種のモダリティによる胸部撮像が既に行われている場合がある。
【0045】
そこで、検索機能142は、検査オーダーに従って検査を実行する前に、その検査オーダーの検査項目に関連する関連検査項目を過去データから検索する(ステップS104)。なお、検査オーダーについては、検索機能142が関連検査項目の検索を行なう前に出力されてもよいし、出力されなくてもよい。即ち、検査オーダーの検査項目が設定されていれば、その検査オーダーが発行されているか否かに関わらず、検索機能142は、その検査オーダーの検査項目に関連する関連検査項目を検索することができる。
【0046】
まず、関連検査項目について説明する。関連検査項目は、候補病変に応じて設定された検査オーダーの検査項目に対して、関連性を有する検査項目である。例えば、
図2においては、検査オーダーの検査項目として、「1.胸部X線撮像」、「2.スパイロメトリー」、「3.CRP検査」及び「4.喫煙歴に関する問診」が設定されている。この場合、関連検査項目には、「1.胸部X線撮像」、「2.スパイロメトリー」、「3.CRP検査」及び「4.喫煙歴に関する問診」に加えて、これらの検査項目に関連する検査項目が含まれる。
【0047】
例えば、
図2の例に示すように、関連検査項目には、「1.胸部X線撮像」に関連する「5.胸部CT検査」及び「6.全身CT検査」が含まれる。即ち、胸部のX線画像データが無い場合でも、胸部のCT画像データや、胸部を含むCT画像データにより診断が可能となる場合があることから、検索機能142は、「5.胸部CT検査」及び「6.全身CT検査」を関連検査項目に含めて、検索を行なう。
【0048】
なお、関連検査項目は、例えば、検査項目の間の関連性を定めた検査項目リストにより設定することができる。検査項目リストは、例えば、医師により事前に作成されて、メモリ130に格納される。例えば、検索機能142は、「1.胸部X線撮像」、「2.スパイロメトリー」、「3.CRP検査」及び「4.喫煙歴に関する問診」のそれぞれについて検査項目リストに対する検索を行なうことで、これら検査項目のうち少なくとも1つに関連する検査項目を、関連検査項目として抽出する。
【0049】
例えば、検索機能142は、
図2に示すように、「1.胸部X線撮像」、「2.スパイロメトリー」、「3.CRP検査」、「4.喫煙歴に関する問診」、「5.胸部CT検査」、「6.全身CT検査」等の関連検査項目を過去データから検索する。換言すると、検索機能142は、今回行なおうとしている検査項目と関連する履歴があるか否かを確認する。また、検索機能142は、検索がヒットしたか否かを判定する(ステップS105)。即ち、検索機能142は、検索結果に関連検査項目が含まれるか否かを判定する。
【0050】
検索機能142による検索結果に関連検査項目が含まれる場合(ステップS105肯定)、第1出力機能143は、その関連検査項目の検査によって過去に収集された検査結果を取得し、ユーザに応じて検査結果の一部を抽出する(ステップS106)。
【0051】
具体的には、第1出力機能143は、まず、検索結果に含まれている関連検査項目の検査によって過去に収集された検査結果を取得する。例えば、検索結果に関連検査項目「1.胸部X線撮像」が含まれる場合、第1出力機能143は、PACSサーバであるデータ保管装置200から、胸部X線撮像によって収集されたX線画像データを取得する。一例を挙げると、第1出力機能143は、データ保管装置200から、付帯情報として同一の患者IDが付された胸部のX線画像データを、検査日時等の各種情報とともに取得する。
【0052】
次に、第1出力機能143は、ユーザに応じて、取得した検査結果の一部を抽出する。具体的には、第1出力機能143は、ユーザが検査結果を参照しやすいよう、今回の診断にとって不要となる部分を省略するように、検査結果の一部を抽出する。一例を挙げると、取得した胸部のX線画像データが循環器内科において撮像されたものである場合、X線画像データには、心臓に対するコンピュータ支援診断(CAD:Computer-Aided Diagnosis)の解析結果や、血管径の計測結果等が付されている場合がある。これに対して、ユーザが、例えば呼吸器内科の医師である場合には、心臓に関する詳細な情報は必要でない場合が多い。そこで、第1出力機能143は、取得したX線画像データのうち、心臓に関する詳細な情報を除く部分のみを抽出する。例えば、第1出力機能143は、取得したX線画像データのうち、CADの解析結果や血管径の計測結果等を省略して、患者IDや撮像日時等の基本情報及び画像情報のみを抽出する。これにより、第1出力機能143は、情報量を低減して、ユーザが検査結果を参照しやすいようにすることができる。
【0053】
次に、第1出力機能143は、ユーザに応じて抽出した検査結果を、今回の検査オーダーの検査目的に合致する形に加工する。具体的には、第1出力機能143は、ユーザが検査結果を参照しやすいように、検査結果を加工する。例えば、取得した胸部のX線画像データが循環器内科において撮像されたものである場合、X線画像データは、循環器の観察に適するように加工されている場合が多い。一例を挙げると、循環器内科において撮像されたX線画像データについては、心臓や血管を視認しやすいような加工が施されている場合がある。
【0054】
そこで、第1出力機能143は、X線画像データを、今回の検査目的に合致する形に加工する。例えば、今回の検査目的が肺に関する診断を行なうことである場合、第1出力機能143は、X線画像データを、肺の観察に適するように加工する。一例を挙げると、第1出力機能143は、肺を視認しやすいように、X線画像データのウィンドウ値(Window Level:WL)及びウィンドウ幅(Window Width:WW)を調整する。
【0055】
なお、X線画像データを取得するものとして説明したが、第1出力機能143は、画像生成処理が施される前の生データを取得することとしてもよい。例えば、第1出力機能143は、データ保管装置200から、X線画像データに代えて、患者をX線診断装置により撮像して収集された生データを取得してもよい。この場合、第1出力機能143は、生データに対する画像生成処理、及び、その他の各種画像処理を実行して、肺を視認しやすいように加工したX線画像データを生成する。
【0056】
また、データ保管装置200においては、X線画像データと生データとの双方が保管されている場合がある。かかる場合、第1出力機能143は、例えば、双方のデータを取得し、各データに優先度を付するとともに、検査目的に合致する形に加工する。即ち、第1出力機能143は、過去に収集された複数の検査結果を取得し、取得した複数の検査結果のそれぞれに優先度を付するとともに、検査目的に合致する形に加工する。
【0057】
一例を挙げると、第1出力機能143は、生データに優先度「1」を付し、X線画像データに優先度「2」を付して、各データを検査目的に合致する形に加工する。即ち、データ保管装置200から取得されたX線画像データについては、異なる検査目的に応じた画像処理が既に施され、生データに含まれていた情報の一部が欠落している場合がある。例えば、X線画像データのWL及びWWを調整した場合には、ウィンドウ範囲外の情報が欠落してしまう場合がある。一方で、生データについてはこのような情報の欠落は生じない。従って、今回の検査目的に合致する形に加工する際、X線画像データに基づいて加工を行なうよりも、生データに基づいて加工を行なう方が、より適切なデータを生成できる場合が多い。以上より、X線画像データより生データの方に高い優先度が付されることが好ましい。
【0058】
なお、「1.胸部X線撮像」を例として説明したが、他の関連検査項目についても同様である。例えば、検索機能142による検索結果に関連検査項目「2.スパイロメトリー」、「3.CRP検査」及び「4.喫煙歴に関する問診」が含まれる場合、第1出力機能143は、これら関連検査項目の検査によって過去に収集された検査結果を取得し、取得した検査結果の一部をユーザに応じて抽出する。なお、当該抽出処理については、適宜省略することとして構わない。また、第1出力機能143は、検査結果を今回の検査オーダーの検査目的に合致する形に加工する。
【0059】
次に、第1出力機能143は、加工後の検査結果を出力する(ステップS108)。例えば、第1出力機能143は、ユーザが呼吸器内科の医師である場合には、呼吸器内科において通常使用されているフォーマットに基づいて、検査結果を表示する表示画面を作成し、ディスプレイ120に表示させる。なお、検索機能142による検索結果に関連検査項目が1つも含まれない場合(ステップS105否定)、上述したステップS106~ステップS108は省略される。
【0060】
なお、取得機能141が複数の候補病変を取得した場合、第1出力機能143は、ステップS108において、候補病変ごとに検査結果を出力してもよい。例えば、第1出力機能143は、「1.喘息」の診断に用いられる検査結果と、「2.COPD」の診断に用いられる検査結果と、「3.間質性肺炎」の診断に用いられる検査結果とをそれぞれグループ分けして、ディスプレイ120に表示させる。
【0061】
また、第1出力機能143は、ステップS108において、取得機能141が取得した候補病変それぞれの罹患確率を更に表示してもよい。ここで、罹患確率は、一般的な統計情報であってもよいし、患者ごとに算出される確率であってもよい。例えば、第1出力機能143は、人口に対する症例数の割合を罹患確率としてデータベースから取得し、ディスプレイ120に表示させる。また、例えば、第1出力機能143は、過去データから取得された検査結果に基づいて、患者及び病変ごとに罹患確率を算出し、ディスプレイ120に表示させる。一例を挙げると、第1出力機能143は、今回の患者について、喘息である確率、COPDである確率、間質性肺炎である確率をそれぞれ算出し、ディスプレイ120に表示させる。
【0062】
次に、第2出力機能144は、追加の検査オーダーを作成するか否かを判定する(ステップS109)。ここで、第2出力機能144は、追加の検査オーダーの要否を自動で判定してもよいし、ユーザからの入力操作に応じて判定してもよい。
【0063】
例えば、ステップS105において、検索機能142による検索結果に関連検査項目が1つも含まれないと判定した場合、第2出力機能144は、追加の検査オーダーを要すると自動で判定する。また、例えば、ステップS105において、検索機能142による検索結果に関連検査項目が含まれてはいるものの不足があると判定した場合、第2出力機能144は、追加の検査オーダーを要すると自動で判定する。
【0064】
一例を挙げると、
図2に示す関連検査項目のうち「2.スパイロメトリー」、「3.CRP検査」、「4.喫煙歴に関する問診」及び「5.胸部CT検査」が検索結果に含まれている場合、第2出力機能144は、追加の検査オーダーが必要ではないと判定する。即ち、「1.胸部X線撮像」や「6.全身CT検査」が検索結果に含まれていなかったとしても、「5.胸部CT検査」の検査結果があれば診断可能な場合が多いことから、第2出力機能144は、追加の検査オーダーが必要ではないと判定する。
【0065】
別の例を挙げると、
図2に示す関連検査項目のうち、「1.胸部X線撮像」、「3.CRP検査」及び「4.喫煙歴に関する問診」が検索結果に含まれている場合、第2出力機能144は、追加の検査オーダーを要すると判定する。即ち、過去に「2.スパイロメトリー」の検査が行われていない場合、他の検査結果でこれを代替することは容易でないことから、第2出力機能144は、追加の検査オーダーの検査項目として、「2.スパイロメトリー」を要すると判定する。
【0066】
なお、ステップS109の追加の検査オーダーの要否判定をステップS108の検査結果の出力に先立って実行し、追加の検査オーダーを要すると判定された場合に、ステップS108の検査結果の出力を省略してもよい。この場合、ステップS107にて加工された検査結果は、後述する追加の検査オーダーによる検査結果と併せて、ステップS112において出力される。
【0067】
或いは、第2出力機能144は、ステップS108にて出力された検査結果を参照した操作者から、入力インターフェース110を介して、追加の検査オーダーを行なうか否かの選択操作を受け付けてもよい。一例を挙げると、
図2に示す関連検査項目のうち、「1.胸部X線撮像」、「3.CRP検査」及び「4.喫煙歴に関する問診」が検索結果に含まれている場合、第2出力機能144は、過去に「2.スパイロメトリー」の検査が行われていない旨をユーザに通知し、ユーザからの入力操作に基づいて、追加の検査オーダーを要すると判定する。
【0068】
追加の検査オーダーを要すると判定した場合(ステップS109肯定)、第2出力機能144は、追加の検査オーダーを作成して出力する(ステップS110)。例えば、検索機能142による検索結果に関連検査項目が1つも含まれなかった場合、第2出力機能144は、ステップS103にて設定された検査項目(胸部X線撮像、スパイロメトリー、CRP検査及び喫煙歴に関する問診)を実行するための追加の検査オーダーを作成して出力する。
【0069】
また、例えば、検索機能142による検索結果に関連検査項目が含まれてはいるものの不足がある場合、第2出力機能144は、ステップS103にて設定された検査項目のうち、関連する関連検査項目が検索結果に含まれなかった検査項目を実行するための追加の検査オーダーを作成して出力する。一例を挙げると、検索機能142による検索結果に「3.CRP検査」、「4.喫煙歴に関する問診」及び「5.胸部CT検査」が含まれている場合、ステップS103にて設定された検査項目のうち「1.胸部X線撮像」及び「2.スパイロメトリー」が欠落しているものの、「1.胸部X線撮像」については「5.胸部CT検査」の検査結果により代替が可能である。即ち、「1.胸部X線撮像」については、関連する関連検査項目が検索結果に含まれている。一方で、「2.スパイロメトリー」については、関連する関連検査項目が検索結果に含まれていない。従って、第2出力機能144は、「2.スパイロメトリー」を実行するための追加の検査オーダーを作成して出力する。
【0070】
別の例を挙げると、
図2に示す関連検査項目のうち「1.胸部X線撮像」、「2.スパイロメトリー」、「3.CRP検査」及び「4.喫煙歴に関する問診」が検索結果に含まれている場合、第1出力機能143は、これらの検査結果を今回の検査目的に合致する形に加工して、操作者に提示する。ここで、胸部のX線画像データにプラークの陰影が確認できるものの喫煙歴が無い場合、アスベストの暴露によるCOPDの可能性が疑われる。そこで、ユーザは、アスベストの暴露によるCOPDの可能性を検証するため、追加の検査オーダーの検査項目として、アスベスト暴露歴問診、及び、胸部CT検査を入力する。或いは、第2出力機能144が、これら追加の検査オーダーの検査項目をユーザに提案してもよい。
【0071】
ここで、第2出力機能144は、追加の検査オーダーの複数の検査項目のそれぞれに優先度を付して出力してもよい。例えば、第2出力機能144は、
図2に示すように、追加の検査オーダーとして、各検査項目に優先度を付して、「1.アスベスト暴露歴問診」及び「2.胸部CT検査」を出力する。なお、各検査項目への優先度の設定に際しては、各検査項目の侵襲性や有用度、コスト、患者の緊急度等の種々の要因を勘案することができる。例えば、急患に対しては、1又は少数の検査により診断が可能となるよう、有用度の高い検査項目に対して高い優先度が付される。また、急患でない場合には、患者負担を軽減するよう、侵襲性の低い検査項目に対して高い優先度が付される。
【0072】
また、追加の検査オーダーの複数の検査項目のそれぞれの優先度については、複数の候補病変それぞれの優先度に基づいて設定されてもよい。以下、候補病変D1、候補病変D2及び候補病変D3の3つの候補病変があり、候補病変D1に対して優先度2が設定され、候補病変D2に対して優先度1が設定され、候補病変D3に対して優先度3が設定された場合を例として説明する。この場合、検査項目は、例えば、候補病変ごとに設定される。一例を挙げると、第2出力機能144は、追加の検査オーダーの複数の検査項目として、候補病変D1について診断するための検査項目D11、検査項目D12及び検査項目D13と、候補病変D2について診断するための検査項目D21、検査項目D22及び検査項目D23と、候補病変D3について診断するための検査項目D31、検査項目D32及び検査項目D33とを設定する。ここで、検査項目D21、検査項目D22及び検査項目D23に対しては、候補病変D2に対して設定された優先度1に基づいて、1から3までの優先度が付される。また、検査項目D11、検査項目D12及び検査項目D13に対しては、候補病変D1に対して設定された優先度2に基づいて、4から6までの優先度が付される。また、検査項目D31、検査項目D32及び検査項目D33に対しては、候補病変D3に対して設定された優先度3に基づいて、7から9までの優先度が付される。なお、検査項目D11、検査項目D12、検査項目D13、検査項目D21、検査項目D22、検査項目D23、検査項目D31、検査項目D32及び検査項目D33の中で重複する項目については、適宜省略することとして構わない。
【0073】
そして、検査実施者は追加の検査オーダーに従って検査を実施し、第2出力機能144は、検査結果を取得する(ステップS111)。ここで、第2出力機能144は、取得した検査結果を、過去データとしてデータ保管装置200に登録してもよい。
【0074】
また、第2出力機能144は、取得した検査結果を出力する(ステップS112)。例えば、第2出力機能144は、取得した検査結果を、ステップS107にて加工された検査結果と併せて、ディスプレイ120に表示させる。なお、「1.アスベスト暴露歴問診」の検査結果等、検査項目の一部については、ユーザは、第2出力機能144を介さずに検査結果を参照することもできる。
【0075】
なお、取得機能141が複数の候補病変を取得した場合、第1出力機能143は、ステップS108において、候補病変ごとに検査結果を出力してもよい。また、第1出力機能143は、ステップS112において、候補病変それぞれの罹患確率を更に表示してもよい。ここで、罹患確率は、一般的な統計情報であってもよいし、患者ごとに算出される確率であってもよい。例えば、第1出力機能143は、過去データから取得された検査結果と、追加の検査オーダーに基づいて取得された検査結果とに基づいて、患者及び病変ごとに罹患確率を算出し、ディスプレイ120に表示させる。
【0076】
そして、ユーザは、追加の検査オーダーによる検査結果を参照しつつ診断を行なう。例えば、「1.アスベスト暴露歴問診」の検査結果により、アスベストに暴露される業務を長年継続していたことが明らかとなった場合、ユーザは、「アスベストの長期的暴露によるCOPD」と診断することができる。
【0077】
ステップS112にて検査結果の出力を行なった後、第2出力機能144は、再度ステップS109に移行し、追加の検査オーダーを作成するか否かを判定する。例えば、ステップS112で出力された検査結果に基づいて十分な診断を行なうことができないと判断した場合、ユーザは、追加の検査オーダーを更に入力する。一方で診断が完了した場合、第2出力機能144は、追加の検査オーダーは不要であると判定し(ステップS109否定)、処理を終了する。例えば、ユーザにより「診断の確定」が入力された場合、第2出力機能144は、処理を終了する。
【0078】
なお、
図2に示したフローチャートはあくまで一例であり、適宜の変更が可能である。例えば、ステップS102については省略してもよい。即ち、取得機能141は、類似病変の検索を省略してもよい。この場合、検索機能142は、ステップS103において、ユーザからの入力操作により取得機能141が取得した候補病変に基づいて検査項目を設定する。
【0079】
また、例えば、取得機能141は、ステップS101において、候補病変に代えて患者の症状の入力を受け付けてもよい。この場合、取得機能141は、ステップS102において、入力された症状に基づいて候補病変の検索を行なう。かかる検索は、例えば、症状と病変との対応関係を事前に定めたテーブルに基づいて実行することができる。一例を挙げると、取得機能141は、症状「咳」の入力を受け付けて検索を行ない、候補病変「喘息」及び「COPD」を取得する。
【0080】
上述したように、第1の実施形態によれば、取得機能141は、候補病変を取得する。また、検索機能142は、検査オーダーに従って検査を実行する前に、当該検査オーダーの検査項目に関連する関連検査項目を過去データから検索する。また、第1出力機能143は、検索結果に関連検査項目が含まれる場合に、当該関連検査項目の検査によって過去に収集された検査結果を取得し、出力する。また、第2出力機能144は、検索結果に関連検査項目が含まれない場合に、当該検索結果に応じた追加の検査オーダーを出力する。従って、第1の実施形態に係るオーダリングシステム1は、過去の検査結果を効率的に活用することができる。ひいては、オーダリングシステム1は、実行される検査の数を削減して患者及びユーザの負担を軽減するとともに、診断に至るまでのワークフローを短縮することができる。
【0081】
また、第1の実施形態によれば、第1出力機能143は、検索結果に関連検査項目が含まれる場合に、当該関連検査項目の検査によって過去に収集された検査結果を取得し、取得した検査結果を検査目的に合致する形に加工して出力する。従って、第1の実施形態に係るオーダリングシステム1は、過去の検査結果が他の診療科や病院にて保管されているものであっても、診断に使用しやすい形に加工してユーザに提示することができる。
【0082】
また、第1の実施形態によれば、第1出力機能143は、過去に収集された検査結果の一部をユーザに応じて抽出し、抽出した検査結果を検査目的に合致する形に加工して出力する。従って、第1の実施形態に係るオーダリングシステム1は、過去の検査結果が他の診療科や病院にて保管されているものであっても、今回の診断において必要でない部分は省略し、情報量を低減してユーザに提示することができる。例えば、過去の検査結果が循環器内科において保管されているものであり、ユーザが呼吸器内科の医師である場合には、オーダリングシステム1は、呼吸器の診断に必要でない部分は省略して、検査結果をユーザに提示することができる。
【0083】
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態では、候補病変が「1.喘息」、「2.COPD」及び「3.間質性肺炎」である場合のフローチャートを例として説明した。これに対し、第2の実施形態では、候補病変が「1.胸椎圧迫骨折」及び「2.胸椎椎間板ヘルニア」である場合を例として、フローチャートの変形例について説明する。
【0084】
第2の実施形態に係るオーダリングシステム1は、
図1に示したオーダリングシステム1と同様の構成を有する。第1の実施形態において説明した構成と同様の構成を有する点については、
図1と同一の符号を付し、説明を省略する。
【0085】
図3は、第2の実施形態に係るオーダリングシステム1の処理の一連の流れを説明するためのフローチャートである。まず、取得機能141は、ユーザから候補病変の入力を受け付ける(ステップS201)。例えば、ユーザは、
図3に示すように、「1.胸椎圧迫骨折」及び「2.胸椎椎間板ヘルニア」を候補病変として入力する。ここで、取得機能141は、ユーザにより入力された候補病変に類似する類似病変を検索することとしても構わない。また、取得機能141は、候補病変に代えて患者の症状の入力を受け付けてもよい。この場合、取得機能141は、入力された症状に基づいて候補病変の検索を行なう。
【0086】
次に、検索機能142は、取得機能141が取得した候補病変に基づいて、検査項目を設定する(ステップS202)。例えば、検索機能142は、
図3に示すように、検査項目として「1.胸部X線撮像」を設定する。次に、検索機能142は、検査項目「1.胸部X線撮像」に関連する関連検査項目を過去データから検索する(ステップS203)。例えば、検索機能142は、
図3に示すように、「1.胸部X線撮像」、「2.胸部CT検査」、「3.全身CT検査」等の関連検査項目を過去データから検索する。
【0087】
次に、検索機能142は、検索がヒットしたか否かを判定する(ステップS204)。即ち、検索機能142は、検索結果に関連検査項目が含まれるか否かを判定する。ここで、検索機能142による検索結果に関連検査項目が含まれる場合(ステップS204肯定)、第1出力機能143は、その関連検査項目の検査によって過去に収集された検査結果を取得し、ユーザに応じて検査結果の一部を抽出する(ステップS205)。なお、当該抽出処理については、適宜省略することとして構わない。
【0088】
次に、第1出力機能143は、検査結果を検査目的に合致する形に加工して出力する。具体的には、第1出力機能143は、以下のステップS206、ステップS207及びステップS208の処理により検査結果を加工し、ステップS209において出力する。
【0089】
具体的には、まず、第1出力機能143は、取得した検査結果が診断に適した画像であるか否かを判定する(ステップS206)。例えば
図3に示すように、候補病変が「1.胸椎圧迫骨折」及び「2.胸椎椎間板ヘルニア」である場合において、取得した検査結果が「呼吸器内科において過去に収集されたX線画像データ」である場合、第1出力機能143は、検査結果が診断に適した画像でないと判定する。即ち、「呼吸器内科において過去に収集されたX線画像データ」は、通常、呼吸器の観察に適した画像処理が施されており、胸椎の観察には適さない場合が多いことから、第1出力機能143は、検査結果が診断に適した画像でないと判定する。
【0090】
取得した検査結果が診断に適した画像でない場合(ステップS206否定)、第1出力機能143は、生データがあるか否かを判定する(ステップS207)。即ち、第1出力機能143は、過去に患者を撮像することで収集され、画像生成処理が施される前のデータが過去データとして残っているか否かを判定する。そして、生データがある場合(ステップS207肯定)、第1出力機能143は、過去データから生データを取得し、取得した生データに対して画像生成処理を実行することにより、X線画像データを生成する(ステップS208)。ここで、第1出力機能143は、胸椎の観察に適した画像処理を行うことで、「1.胸椎圧迫骨折」及び「2.胸椎椎間板ヘルニア」の診断に適したX線画像データを生成することができる。
【0091】
次に、第1出力機能143は、検査結果を出力する(ステップS209)。例えば、過去データから取得した検査結果が診断に適した画像である場合(ステップS206肯定)、第1出力機能143は、取得したX線画像データをディスプレイ120に表示させる。また、例えば、過去データから取得した検査結果が診断に適した画像ではないものの、生データがない場合(ステップS207否定)、第1出力機能143は、取得したX線画像データをディスプレイ120に表示させる。また、例えば、生データがある場合(ステップS207肯定)、第1出力機能143は、過去データから取得した生データに基づいて生成したX線画像データをディスプレイ120に表示させる。
【0092】
次に、第2出力機能144は、追加の検査オーダーを作成するか否かを判定する(ステップS210)。ここで、第2出力機能144は、追加の検査オーダーの要否を自動で判定してもよいし、ユーザからの入力操作に応じて判定してもよい。例えば、ユーザは、ステップS209にて出力されたX線画像データを参照して、胸部圧迫骨折の有無を確認する。ここで、胸部圧迫骨折が確認できなかった場合、ユーザは、追加の検査オーダーを要する旨の入力操作を行なう。
【0093】
追加の検査オーダーを要すると判定した場合(ステップS210肯定)、第2出力機能144は、追加の検査オーダーを作成して出力する(ステップS211)。そして、検査実施者は追加の検査オーダーに従って検査を実施し、第2出力機能144は、検査結果を取得する(ステップS212)。ここで、第2出力機能144は、取得した検査結果を、過去データとしてデータ保管装置200に登録してもよい。
【0094】
また、第2出力機能144は、取得した検査結果を出力する(ステップS213)。例えば、第2出力機能144は、取得した検査結果を、過去データから取得された検査結果(ステップS209にて出力された検査結果)と併せて、ディスプレイ120に表示させる。そして、ユーザは、追加の検査オーダーによる検査結果を参照しつつ診断を行なう。
【0095】
例えば、過去データから取得されたX線画像データが半年前に撮像されたものであり、かつ、当該X線画像データにおいて胸部圧迫骨折が確認できず、追加の検査オーダーにより取得されたX線画像データにおいて胸部圧迫骨折が確認できた場合、ユーザは、「過去半年の間に発症した胸椎圧迫骨折」と診断することができる。即ち、ユーザは、胸椎圧迫骨折の診断を行なうとともに、発症の大まかな時期を推定することができる。
【0096】
ステップS213にて検査結果の出力を行なった後、第2出力機能144は、再度ステップS210に移行し、追加の検査オーダーを作成するか否かを判定する。例えば、ステップS213で出力された検査結果に基づいて十分な診断を行なうことができないと判断した場合、ユーザは、追加の検査オーダーを更に入力する。一例を挙げると、ユーザは、胸椎についてより詳細な観察を行なうため、追加の検査オーダーの検査項目「2.胸椎MRI(Magnetic Resonance Imaging)検査」を入力する。一方で診断が完了した場合、第2出力機能144は、追加の検査オーダーは不要であると判定し(ステップS210否定)、処理を終了する。例えば、ユーザにより「診断の確定」が入力された場合、第2出力機能144は、処理を終了する。
【0097】
なお、設定機能145は、生データ及びX線画像データについて保存期間を設定してもよい。即ち、設定機能145は、X線診断装置により患者を撮像することで過去に収集された生データ、及び、生データに対して画像生成処理を実行することにより生成されたX線画像データについて保存期間を設定してもよい。ここで、設定機能145は、病院等の施設ごと一律に保存期間を設定してもよいし、診療科ごと一律に保存期間を設定してもよいし、患者ごとに保存期間を設定してもよい。例えば、設定機能145は、患者の病変に応じて、再発の可能性が高いほど保存期間が長くなるように、保存期間を設定する。
【0098】
(第3の実施形態)
第3の実施形態では、候補病変が「1.肝硬変」及び「2.肝がん」である場合を例として、フローチャートの変形例について説明する。第3の実施形態に係るオーダリングシステム1は、
図1に示したオーダリングシステム1と同様の構成を有する。第1~第2の実施形態において説明した構成と同様の構成を有する点については、
図1と同一の符号を付し、説明を省略する。
【0099】
図4は、第3の実施形態に係るオーダリングシステム1の処理の一連の流れを説明するためのフローチャートである。まず、取得機能141は、ユーザから候補病変の入力を受け付ける(ステップS301)。例えば、ユーザは、
図3に示すように、「1.肝硬変」及び「2.肝がん」を候補病変として入力する。ここで、取得機能141は、ユーザにより入力された候補病変に類似する類似病変を検索することとしても構わない。また、取得機能141は、候補病変に代えて患者の症状の入力を受け付けてもよい。この場合、取得機能141は、入力された症状に基づいて候補病変の検索を行なう。
【0100】
次に、検索機能142は、取得機能141が取得した候補病変に基づいて、検査項目を設定する(ステップS302)。例えば、検索機能142は、
図4に示すように、検査項目として「1.肝機能・がんマーカー検査」を設定する。次に、検索機能142は、検査項目「1.肝機能・がんマーカー検査」に関連する関連検査項目を過去データから検索する(ステップS303)。例えば、検索機能142は、
図4に示すように、関連検査項目「1.血液検査」を過去データから検索する。即ち、検索機能142は、「1.肝機能・がんマーカー検査」に関連する関連検査項目として、「1.肝機能・がんマーカー検査」を包含する「1.血液検査」を過去データから検索する。
【0101】
次に、検索機能142は、検索がヒットしたか否かを判定する(ステップS304)。即ち、検索機能142は、検索結果に関連検査項目が含まれるか否かを判定する。ここで、検索機能142による検索結果に関連検査項目が含まれる場合(ステップS304肯定)、第1出力機能143は、その関連検査項目の検査によって過去に収集された検査結果を取得し、ユーザに応じて検査結果の一部を抽出する(ステップS305)。なお、当該抽出処理については、適宜省略することとして構わない。
【0102】
次に、第1出力機能143は、検査結果を検査目的に合致する形に加工して出力する。具体的には、第1出力機能143は、以下のステップS306、ステップS307及びステップS308の処理により検査結果を加工し、ステップS309において出力する。
【0103】
具体的には、まず、第1出力機能143は、取得した検査結果が診断に適した検査結果であるか否かを判定する(ステップS306)。例えば
図4に示すように、候補病変が「1.肝硬変」及び「2.肝がん」である場合には、血液検査の中でも、肝機能・がんマーカー検査による検査結果が診断に適する。ここで、取得した検査結果が、肝機能・がんマーカー検査とは別種の血液検査による検査結果である場合、第1出力機能143は、診断に適した検査結果ではないと判定する。
【0104】
取得した検査結果が診断に適した検査結果でない場合(ステップS306否定)、第1出力機能143は、検体が保存されているか否かを判定する(ステップS307)。例えば、第1出力機能143は、過去の血液検査によって患者から採血された血液がまだ保存されているか否かを判定する。そして、血液が保存されている場合(ステップS307肯定)、第1出力機能143は、保存されている血液に基づく肝機能・がんマーカー検査を実行させて、肝機能・がんマーカー検査の検査結果を取得する(ステップS308)。即ち、第1出力機能143は、過去に患者から収集された検体を検査目的に応じて処理した処理済みデータを取得する。なお、肝機能・がんマーカー検査は、検体検査システムに対して第1出力機能143が自動で指示することにより実行されてもよいし、検体検査システムに対してユーザが指示することにより実行されてもよい。
【0105】
次に、第1出力機能143は、検査結果を出力する(ステップS309)。例えば、過去データから取得した検査結果が診断に適した検査結果である場合(ステップS306肯定)、第1出力機能143は、取得した検査結果をディスプレイ120に表示させる。一例を挙げると、過去データから取得した検査結果が肝機能・がんマーカー検査の検査結果である場合、第1出力機能143は、過去データから取得した肝機能・がんマーカー検査の検査結果をディスプレイ120に表示させる。また、例えば、過去データから取得した検査結果が診断に適した検査結果ではないものの、検体が保存されていない場合(ステップS307否定)、第1出力機能143は、取得した検査結果をディスプレイ120に表示させる。また、例えば、検体が保存されている場合(ステップS307肯定)、第1出力機能143は、保存されている血液に基づいて実行された肝機能・がんマーカー検査の検査結果をディスプレイ120に表示させる。即ち、第1出力機能143は、過去に患者から収集された検体を検査目的に応じて処理した処理済みデータを出力する。
【0106】
次に、第2出力機能144は、追加の検査オーダーを作成するか否かを判定する(ステップS310)。ここで、第2出力機能144は、追加の検査オーダーの要否を自動で判定してもよいし、ユーザからの入力操作に応じて判定してもよい。例えば、ユーザは、ステップS309にて出力された検査結果を参照して、肝機能の異常の有無を確認する。ここで、肝機能の異常が確認できなかった場合、ユーザは、追加の検査オーダーを要する旨の入力操作を行なう。
【0107】
追加の検査オーダーを要すると判定した場合(ステップS310肯定)、第2出力機能144は、追加の検査オーダーを作成して出力する(ステップS311)。例えば、第2出力機能144は、
図4に示すように、検査項目として「1.肝機能・がんマーカー検査」を含む追加の検査オーダーを作成して出力する。そして、検査実施者は追加の検査オーダーに従って検査を実施し、第2出力機能144は、検査結果を取得する(ステップS312)。ここで、第2出力機能144は、取得した検査結果や保存情報を、過去データとしてデータ保管装置200に登録してもよい。例えば、第2出力機能144は、肝機能・がんマーカー検査の結果を示すデータをデータ保管装置200に記憶させる。また、例えば、第2出力機能144は、追加の検査オーダーに従って実施された検査において収集された血液の保存情報をデータ保管装置200に記憶させる。
【0108】
また、第2出力機能144は、取得した検査結果を出力する(ステップS313)。例えば、第2出力機能144は、取得した検査結果を、過去データから取得された検査結果(ステップS309にて出力された検査結果)と併せて、ディスプレイ120に表示させる。そして、ユーザは、追加の検査オーダーによる検査結果を参照しつつ診断を行なう。
【0109】
例えば、過去データから取得された肝機能・がんマーカー検査の検査結果において肝機能の異常が確認できず、追加の検査オーダーにより取得された肝機能・がんマーカー検査の検査結果において肝がんのマーカーの上昇が確認された場合、ユーザは、「肝がん」であると診断することができる。更に、過去に肝機能・がんマーカー検査が実行された時点では肝がんを発症していなかったのであるから、ユーザは、過去に肝機能・がんマーカー検査が実行された時期に応じて肝がんの進行の程度を絞り込み、治療計画を立てることができる。
【0110】
ステップS313にて検査結果の出力を行なった後、第2出力機能144は、再度ステップS310に移行し、追加の検査オーダーを作成するか否かを判定する。例えば、ステップS313で出力された検査結果に基づいて十分な診断を行なうことができないと判断した場合、ユーザは、追加の検査オーダーを更に入力する。一例を挙げると、ユーザは、患者の腹部についてより詳細な観察を行なうため、追加の検査オーダーの検査項目「2.腹部超音波検査」を入力する。一方で診断が完了した場合、第2出力機能144は、追加の検査オーダーは不要であると判定し(ステップS310否定)、処理を終了する。例えば、ユーザにより「診断の確定」が入力された場合、第2出力機能144は、処理を終了する。
【0111】
なお、設定機能145は、患者から収集された血液等の検体について保存期間を設定してもよい。ここで、設定機能145は、病院等の施設ごと一律に保存期間を設定してもよいし、診療科ごと一律に保存期間を設定してもよいし、患者ごとに保存期間を設定してもよい。例えば、設定機能145は、患者の病変に応じて、再発の可能性が高いほど保存期間が長くなるように、保存期間を設定する。
【0112】
(第4の実施形態)
第4の実施形態では、画像データに含まれる解剖学的特徴に基づいて、過去データに対する検索を行なう場合について説明する。第4の実施形態に係るオーダリングシステム1は、
図5に示すように、処理回路140が付加機能146を更に実行する点で相違する。なお、
図5は、第4の実施形態に係るオーダリングシステム1の構成の一例を示すブロック図である。また、付加機能146は、付加部の一例である。第1~第3の実施形態において説明した構成と同様の構成を有する点については、
図1と同一の符号を付し、説明を省略する。
【0113】
まず、付加機能146は、データ保管装置200に保存される画像データに対して、解剖学的構造を示す部位情報を付加する。以下、部位情報の付加処理について
図6を用いて説明する。
図6は、第4の実施形態に係る部位情報の付加処理の一連の流れを説明するためのフローチャートである。
【0114】
例えば
図6に示すように、まずは、患者に対する画像検査が実施される(ステップS401)。具体的には、モダリティ装置は、患者の頭部や胸部、右足等の部位を撮像することで生データを収集し、収集した生データに対して画像生成処理を実行することで画像データを生成する。なお、モダリティ装置の例としては、例えば、X線診断装置やX線CT装置、MRI装置、超音波診断装置、PET(Positron Emission Tomography)装置、SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)等が挙げられる。そして、ユーザは、収集された画像データに基づいて患者の診断を行なう。
【0115】
次に、付加機能146は、ステップS401の検査において収集された画像データに含まれている解剖学的構造を特定する(ステップS401)。例えば、患者の頭部の画像データが収集された場合、付加機能146は、「頭蓋骨」、「前額洞」、「額関節」等の解剖学的構造を特定する。また、例えば、患者の胸部の画像データが収集された場合、付加機能146は、「右上葉」、「甲状腺」、「心臓」、「横隔膜」、「第7胸椎」、「第1腰椎」等の解剖学的構造を特定する。また、例えば、患者の右足の画像データが収集された場合、付加機能146は、「右股関節頚部」、「右膝」、「右拇子趾」等の解剖学的構造を特定する。
【0116】
一例を挙げると、付加機能146は、収集された画像データと、解剖学的構造の位置が規定された人体モデルとの位置合わせを行なうことにより、画像データに含まれている解剖学的構造を特定する。ここで、収集された画像データが3次元データである場合、付加機能146は、画像データに含まれている解剖学的構造を階層的に特定する。一例を挙げると、収集された画像データが、X線CT装置により収集されたボリュームデータである場合、付加機能146は、ボリュームデータと3次元の人体モデルとの位置合わせを行ない、画像データに含まれている解剖学的構造を断面像(スライス)ごとに特定する。
【0117】
次に、付加機能146は、欠損部の有無を判定する(ステップS403)。例えば、患者の頭部の画像データが収集された場合において近位端が欠損していたり、患者の胸部の画像データが収集された場合において肺尖部が欠損していたり、患者の右足の画像データが収集された場合において踵骨先端が欠損していたりする場合がある。また、例えば、患者の胸部の画像データが収集された場合において、上腕骨の近位部は画像データに含まれているものの、上腕骨の中央部及び遠位部が欠損している場合がある。
【0118】
そこで、欠損部が有る場合(ステップS403肯定)、付加機能146は、欠損部を示す欠損情報を付加する(ステップS404)。例えば、付加機能146は、
図6に示すように、ステップS402で特定した解剖学的構造に対して、「近位部欠損」、「肺尖部欠損」、「踵骨先端欠損」といった欠損情報を付加する。なお、欠損部が無い場合(ステップS403否定)、ステップS404の処理については省略される。
【0119】
次に、付加機能146は、解剖学的構造を示す部位情報を作成する(ステップS405)。例えば、部位情報は、その画像データに含まれている解剖学的構造のリストである。なお、ステップS403にて欠損部が有ると判定された場合、部位情報には欠損情報が含まれる。そして、付加機能146は、作成した部位情報を画像データに付加し(ステップS406)、部位情報を付加した画像データをデータ保管装置200に保存させた後、処理を終了する。なお、画像データが3次元データである場合、付加機能146は、部位情報を階層的に付加する。一例を挙げると、収集された画像データが、X線CT装置により収集されたボリュームデータである場合、付加機能146は、各スライスに対して部位情報を付加する。
【0120】
次に、
図7を用いて、オーダリングシステム1の処理の一連の流れを説明する。
図7は、第4の実施形態に係るオーダリングシステム1の処理の一連の流れを説明するためのフローチャートである。
【0121】
まず、取得機能141は、ユーザから候補病変の入力を受け付ける(ステップS501)。例えば、ユーザは、
図7に示すように、「1.腱板炎症」を候補病変として入力する。ここで、取得機能141は、ユーザにより入力された候補病変に類似する類似病変を検索することとしても構わない。また、取得機能141は、候補病変に代えて患者の症状の入力を受け付けてもよい。この場合、取得機能141は、入力された症状に基づいて候補病変の検索を行なう。
【0122】
次に、検索機能142は、取得機能141が取得した候補病変に基づいて、検査項目を設定する(ステップS502)。例えば、検索機能142は、
図7に示すように、検査項目として「1.肩部X線撮像」を設定する。次に、検索機能142は、検査項目「1.肩部X線撮像」に関連する関連検査項目を過去データから検索する(ステップS503)。例えば、検索機能142は、
図7に示すように、「1.肩部X線撮像」、「2.胸部X線撮像」等の関連検査項目を過去データから検索する。
【0123】
次に、検索機能142は、検索がヒットしたか否かを判定する(ステップS504)。即ち、検索機能142は、検索結果に関連検査項目が含まれるか否かを判定する。ここで、検索機能142による検索結果に関連検査項目が含まれる場合(ステップS504肯定)、第1出力機能143は、その関連検査項目の検査によって過去に収集されたX線画像データを取得する(ステップS505)。例えば、第1出力機能143は、胸部X線撮像によって過去に収集された胸部X線画像データを取得する。一例を挙げると、第1出力機能143は、過去に定期的に行なわれた胸部単純撮像によって収集された、複数の胸部X線画像データを取得する。
【0124】
次に、第1出力機能143は、取得した胸部X線画像データを検査目的に合致する形に加工して出力する。具体的には、第1出力機能143は、以下のステップS506、ステップS507及びステップS508の処理により、胸部X線画像データに対して検査目的に応じた画像処理を実行し、当該画像処理により生成された画像データをステップS509において出力する。
【0125】
例えば、まず、第1出力機能143は、取得した検査結果に対して、肩部の疾患検出を行なうためのCAD処理を実行可能であるか否かを判定する(ステップS506)。一例を挙げると、取得した胸部X線画像データに肩部が含まれていない場合、第1出力機能143は、肩部の疾患検出を行なうCAD処理を実行可能でないと判定する。ここで、第1出力機能143は、胸部X線画像データに肩部が含まれているか否かを、胸部X線画像データに付加された部位情報に基づいて判定することができる。別の例を挙げると、CADのアプリケーションを利用可能でない場合、第1出力機能143は、CAD処理を実行可能でないと判定する。
【0126】
そして、CAD処理を実行可能であると判定した場合、第1出力機能143は、胸部X線画像データに対するCAD処理を実行する(ステップS507)。例えば、第1出力機能143は、胸部X線画像データに対して骨や靭帯の観察に適した画像処理を実行し、画像処理後の胸部X線画像データに対するCAD処理を実行して、肩部の疾患検出を行なう。
【0127】
ここで、第1出力機能143は、CAD処理の結果に基づいて診断が可能であるか否かを判定する(ステップS508)。即ち、胸部X線画像データの撮像角度や、胸部X線画像データに対して過去に実行された画像処理によっては、CAD処理によって肩部の疾患を適切に検出することができない場合がある。そこで、第1出力機能143は、CAD処理の結果に基づいて診断が可能であるか否かを判定し、診断が可能であると判定した場合に、検査結果を出力する(ステップS509)。例えば、第1出力機能143は、検査結果として、胸部X線画像データ上にCAD処理の結果を示した画像データを、ディスプレイ120に表示させる。即ち、第1出力機能143は、検査結果として、胸部X線画像データに対して検査目的に応じた画像処理を実行することで生成された画像データを出力する。なお、ステップS508の判定処理については適宜省略することとして構わない。
【0128】
検索機能142による検索結果に関連検査項目が1つも含まれない場合(ステップS504否定)、CAD処理を実行可能でない場合(ステップS506否定)、CAD処理の結果に基づいて診断が可能でない場合(ステップS508否定)、又は、ステップS509にて検査結果を出力した後、第2出力機能144は、追加の検査オーダーを作成するか否かを判定する(ステップS510)。
【0129】
ここで、第2出力機能144は、追加の検査オーダーの要否を自動で判定してもよいし、ユーザからの入力操作に応じて判定してもよい。例えば、ユーザは、ステップS509にて出力された検査結果を参照して、肩部靭帯の異常の有無を確認する。ここで、肩部靭帯の異常の有無を判断できなかった場合、ユーザは、追加の検査オーダーを要する旨の入力操作を行なう。
【0130】
追加の検査オーダーを要すると判定した場合(ステップS510肯定)、第2出力機能144は、追加の検査オーダーを作成して出力する(ステップS511)。例えば、第2出力機能144は、
図7に示すように、検査項目として「1.肩部X線撮像(正面・軸位)」を含む追加の検査オーダーを作成して出力する。そして、検査実施者は追加の検査オーダーに従って検査を実施し、第2出力機能144は、検査結果を取得する(ステップS512)。一例を挙げると、第2出力機能144は、追加の検査オーダーに従って収集された肩部X線画像データを取得し、取得した肩部X線画像データに対するCAD処理を実行することで、CAD処理の結果を示した画像データを取得する。ここで、第2出力機能144は、取得した検査結果を過去データとしてデータ保管装置200に登録してもよい。例えば、第2出力機能144は、CAD処理の結果を示した画像データをデータ保管装置200に記憶させる。
【0131】
また、第2出力機能144は、取得した検査結果を出力する(ステップS513)。例えば、第2出力機能144は、取得した検査結果を、過去データから取得された検査結果(ステップS509にて出力された検査結果)と併せて、ディスプレイ120に表示させる。そして、ユーザは、追加の検査オーダーによる検査結果を参照しつつ診断を行なう。ここで診断が完了した場合、第2出力機能144は、追加の検査オーダーは不要であると判定して(ステップS510否定)、処理を終了する。例えば、ユーザにより「診断の確定」が入力された場合、第2出力機能144は、処理を終了する。
【0132】
一例を挙げると、ユーザは、ステップS509において、過去に定期的に収集された複数の胸部X線画像データに基づくCAD処理の結果を参照し、1年前から靭帯の石灰化が徐々に大きくなっていることを確認した。この場合、ユーザは、確認の結果に応じて適切な治療を行なうとともに、今後は定期的に肩のX線撮像を行なう旨の診断を行なう。ここで、胸部のX線撮像が今後も定期的に行なわれるものである場合、今後行なう肩のX線撮像の一部については、胸部のX線撮像により代替が可能である。そこで、第2出力機能144は、今後定期的に肩のX線撮像を行なうとともに、撮像時期が重なる場合には胸部のX線撮像で肩のX線撮像を代替する旨の検査オーダーを作成して、検査の予約に反映させる。
【0133】
なお、
図6及び
図7においては、画像データに対して部位情報を付加し、第1出力機能143は、検査結果として取得した画像データを部位情報に基づいて加工して出力するものとして説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、付加機能146は、過去に患者を撮像することで収集されたデータに対して部位情報を付加してもよい。即ち、付加機能146は、画像生成処理が施される前の生データに対して部位情報を付加してもよい。この場合、第1出力機能143は、検査結果として生データ又は画像データを取得し、取得した生データ又は画像データを部位情報に基づいて加工して出力することができる。
【0134】
上述したように、第4の実施形態によれば、付加機能146は、過去に患者を撮像することで収集された生データ、又は生データに対して画像生成処理を実行することにより生成された画像データに対して部位情報を付加する。また、第1出力機能143は、検査結果として取得した生データ又は画像データを、部位情報に基づいて加工して出力する。従って、第1の実施形態に係るオーダリングシステム1は、過去データから取得された生データ又は画像データに、検査目的に対して必要な部位が含まれているか否かを部位情報に基づいて容易に判定し、処理時間を短縮することができる。
【0135】
(第5の実施形態)
さて、これまで第1~第4の実施形態について説明したが、上述した実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
【0136】
上述した実施形態では、過去に収集された検査結果を、第1出力機能143が加工して出力するものとして説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、過去に収集された検査結果の加工は外部施設において行うこととし、第1出力機能143は、加工済みの検査結果を取得して出力してもよい。
【0137】
例えば、患者から過去に収集された血液等の検体が外部施設で保存されている場合、医用情報処理装置100及びユーザが位置する施設に検体を移送するには時間とコストを要する。そこで、検体の処理は検体を保存する外部施設において実行することとし、第1出力機能143は、外部施設において検体を処理した処理済みデータを取得することにより、検体の処理を効率化する。
【0138】
一例を挙げると、まず、検索機能142は、今回の検査オーダーの検査項目に関連する関連検査項目を過去データから検索する。次に、第1出力機能143は、検索機能142により検索された関連検査項目の検査によって過去に収集された検体の保存情報を取得する。ここで、検体が外部施設で保存されている場合、第1出力機能143は、検体を保存する外部施設に対して今回の検査目的に応じた検体検査を指示し、処理済みデータを取得する。例えば、第1出力機能143は、検体を保存する外部施設に対して、保存されている血液に基づく肝機能・がんマーカー検査を実行するよう指示し、ネットワークNWを介して、肝機能・がんマーカー検査の検査結果のデータを取得する。
【0139】
また、一般に、画像データと比較して、画像生成処理が施される前の生データはデータサイズが大きい。従って、患者から過去に収集された生データが外部施設で保存されている場合、医用情報処理装置100及びユーザが位置する施設に生データを送信するには時間とコストを要する。そこで、生データに対する画像生成処理は生データを保存する外部施設において実行することとし、第1出力機能143は、外部施設において生成された画像データを取得することにより、生データの処理を効率化する。
【0140】
一例を挙げると、まず、検索機能142は、今回の検査オーダーの検査項目に関連する関連検査項目を過去データから検索する。次に、第1出力機能143は、検索機能142により検索された関連検査項目の検査によって過去に収集された生データの保存情報を取得する。例えば、第1出力機能143は、過去に収集された生データの保存場所や保存期間等の保存情報を取得する。ここで、生データが外部施設で保存されている場合、第1出力機能143は、生データを保存する外部施設に対して今回の検査目的に応じた画像処理を指示し、今回の検査目的に合致する形に加工された画像データを取得する。例えば、今回の検査目的が肺に関する診断を行なうことである場合、第1出力機能143は、生データを保存する外部施設に対して、画像生成処理、及び、肺の観察に適する画像データを生成するための各種画像処理を実行するよう指示し、ネットワークNWを介して画像データを取得する。
【0141】
また、上述した実施形態では、候補病変又は症状の入力を医師等のユーザが行なうものとして説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、候補病変又は症状の入力については、ユーザが行なうこととしてもよい。この場合、ユーザは、過去に自身について収集された検査結果に基づいて、疾患を予測したり、必要な検査を実施できる病院を検索したり、病院や医師を選定したりすることができる。
【0142】
また、上述した実施形態では、医用情報処理装置100が検査オーダーの発行を行なうものとして説明した。即ち、医用情報処理装置100がオーダリング装置であるものとして説明した。しかしながら実施形態はこれに限定されるものではなく、医用情報処理装置100とは別にオーダリング装置が設けられる場合であってもよい。この場合、オーダリング装置は、医用情報処理装置100の第2出力機能144に相当する機能を実行する。
【0143】
例えば、検索機能142は、オーダリング装置から検査オーダーを取得し、取得した検査オーダーの検査項目に関連する関連検査項目を過去データから検索する。また、第1出力機能143は、検索結果に含まれる関連検査項目の検査によって加工に収集された検査結果を取得し、検査オーダーの検査目的に合致する形に加工して出力する。また、オーダリング装置は、検索機能142による検索結果に応じた、追加の検査オーダーを出力する。
【0144】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、あるいは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは、メモリ130に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。
【0145】
なお、
図1においては、単一のメモリ130が各処理機能に対応するプログラムを記憶するものとして説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、複数のメモリ130を分散して配置し、処理回路140は、個別のメモリ130から対応するプログラムを読み出す構成としても構わない。また、メモリ130にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。
【0146】
また、処理回路140は、ネットワークを介して接続された外部装置のプロセッサを利用して、機能を実現することとしてもよい。例えば、処理回路140は、メモリ130から各機能に対応するプログラムを読み出して実行するとともに、医用情報処理装置100とネットワークを介して接続されたサーバ群(クラウド)を計算資源として利用することにより、
図1に示す各機能を実現する。
【0147】
上述した実施形態に係る各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。即ち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。更に、各装置にて行われる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現されうる。
【0148】
また、上述した実施形態で説明した処理方法は、予め用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。このプログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
【0149】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、過去の検査結果を効率的に活用することができる。
【0150】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0151】
1 オーダリングシステム
100 医用情報処理装置
140 処理回路
141 取得機能
142 検索機能
143 第1出力機能
144 第2出力機能
145 設定機能
146 付加機能