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特許7330813車両用クリーナの車両部材への取り付け方法及び車両用クリーナ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-14
(45)【発行日】2023-08-22
(54)【発明の名称】車両用クリーナの車両部材への取り付け方法及び車両用クリーナ
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/56 20060101AFI20230815BHJP
【FI】
B60S1/56 120Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019149130
(22)【出願日】2019-08-15
(65)【公開番号】P2021030753
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】金澤 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】望月 佑哉
【審査官】上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-202774(JP,A)
【文献】特開2012-218657(JP,A)
【文献】特開2014-125058(JP,A)
【文献】特開2001-301584(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 1/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用クリーナの車両部材への取り付け方法であって、
前記車両用クリーナは、
前記車両部材の一部に形成された開口部内に設けられる筒状の第一ブラケットと、
前記第一ブラケットに支持されるシリンダと、前記シリンダに対して進退自在に支持されるピストンと、前記ピストンの先端近傍に設けられて前記ピストンが前記開口部から突出された状態で車両の被洗浄物へ洗浄液を噴射するノズルとを有するノズルアセンブリと、
前記車両部材に取り付け可能であって、前記第一ブラケットと係合された状態で前記ノズルアセンブリを前記開口部に対して位置決めする第二ブラケットと、
を備え、
前記取り付け方法は、
前記開口部の内側から前記ピストンの進退方向に沿って前記第二ブラケットを移動させることで、前記第二ブラケットを前記車両部材に取り付けるステップと、
前記進退方向に沿って前記開口部の内側に向けて突出するように前記第二ブラケットに形成された弾性係止片に対して、前記進退方向に直交する面において前記ノズルよりも外側に配置されるように前記第一ブラケットに形成された被係合部を前記開口部の内側から前記進退方向に沿って移動させて、前記弾性係止片を前記被係合部の外側から前記被係合部に係合させることで、前記第一ブラケットに支持された前記ノズルアセンブリを前記第二ブラケットに組み付けるステップと、
を含む、取り付け方法。
【請求項2】
車両部材の一部に形成された開口部内に設けられる筒状の第一ブラケットと、
前記第一ブラケットに支持されるシリンダと、前記シリンダに対して進退自在に支持されるピストンと、前記ピストンの先端近傍に設けられて前記ピストンが前記開口部から突出された状態で車両の被洗浄物へ洗浄液を噴射するノズルとを有するノズルアセンブリと、
前記開口部の内側から前記ピストンの進退方向に沿って前記車両部材に取り付け可能であって、前記第一ブラケットと係合された状態で前記ノズルアセンブリを前記開口部に対して位置決めする第二ブラケットと、
を備えた車両用クリーナであって、
前記第二ブラケットは、前記進退方向に沿って前記開口部の内側に向けて突出するように形成された弾性係止片を有し、
前記第一ブラケットを前記進退方向に沿って移動させて前記第一ブラケットに形成された被係合部に前記弾性係止片を係合させることで、前記第一ブラケットが前記第二ブラケットに取り付け可能であ
前記被係合部は、前記進退方向に直交する面において前記ノズルよりも外側に配置され、
前記弾性係止片は、前記被係合部の外側から前記被係合部に係合する、車両用クリーナ。
【請求項3】
前記第二ブラケットは、前記進退方向に突出する第一のリブと、前記第一のリブとは前記ノズルアセンブリを挟んで反対側において前記進退方向に突出するとともに前記第一のリブとは異なる形状を備えた第二のリブとをさらに有し、
前記第一ブラケットは、前記第一のリブと係合可能である一方で前記第二のリブとは係合不能であるガイド部を有している、請求項2に記載の車両用クリーナ。
【請求項4】
前記被係合部は突起部として構成され、
前記弾性係止片は、前記突起部と係合可能な係止穴を備えている、請求項2または3に記載の車両用クリーナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用クリーナの車両部材への取り付け方法及び車両用クリーナに関する。
【背景技術】
【0002】
車両用灯具の洗浄装置(ヘッドランプクリーナ)が特許文献1~3などに知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-184670号公報
【文献】特開2015-151089号公報
【文献】特開2015-202774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1~3に開示されたようなヘッドランプクリーナにおいて、各部品の組付け性には改善の余地がある。
【0005】
本発明は、ノズルを備えたノズルアセンブリを車両部材に取り付ける際の組付け性が向上可能な車両用クリーナの車両部材への取り付け方法及び車両用クリーナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の車両用クリーナの車両部材への取り付け方法において、
前記車両用クリーナは、
前記車両部材の一部に形成された開口部内に設けられる筒状の第一ブラケットと、
前記第一ブラケットに支持されるシリンダと、前記シリンダに対して進退自在に支持されるピストンと、前記ピストンの先端近傍に設けられて前記ピストンが前記開口部から突出された状態で車両の被洗浄物へ洗浄液を噴射するノズルとを有するノズルアセンブリと、
前記車両部材に取り付け可能であって、前記第一ブラケットと係合された状態で前記ノズルアセンブリを前記開口部に対して位置決めする第二ブラケットと、
を備え、
前記取り付け方法は、
前記開口部の内側から前記ピストンの進退方向に沿って前記第二ブラケットを移動させることで、前記第二ブラケットを前記車両部材に取り付けるステップと、
前記進退方向に沿って前記開口部の内側に向けて突出するように前記第二ブラケットに形成された弾性係止片に対して、前記第一ブラケットに形成された被係合部を前記開口部の内側から前記進退方向に沿って係合させることで、前記第一ブラケットに支持された前記ノズルアセンブリを前記第二ブラケットに組み付けるステップと、
を含む。
【0007】
本開示によれば、車両部材の開口部の内側からピストンの進退方向に沿って第二ブラケットを移動させることで当該第二ブラケットを車両部材へ取り付けることができ、同様に、第一ブラケットをピストンの進退方向に沿って移動させることで当該第一ブラケットを第二ブラケットへ取り付けることができる。このように、第二ブラケットも第一ブラケットも一方向に移動させるだけで取り付けが完了する。そのため、ノズルアセンブリを車両部材に取り付ける際の作業スペースが小さくても作業効率が低下することなく、車両部材への車両用クリーナの組付け性を向上させることができる。
【0008】
また、上記目的を達成するために、本発明の車両用クリーナは、
車両部材の一部に形成された開口部内に設けられる筒状の第一ブラケットと、
前記第一ブラケットに支持されるシリンダと、前記シリンダに対して進退自在に支持されるピストンと、前記ピストンの先端近傍に設けられて前記ピストンが前記開口部から突出された状態で車両の被洗浄物へ洗浄液を噴射するノズルとを有するノズルアセンブリと、
前記開口部の内側から前記ピストンの進退方向に沿って前記車両部材に取り付け可能であって、前記第一ブラケットと係合された状態で前記ノズルアセンブリを前記開口部に対して位置決めする第二ブラケットと、
を備えた車両用クリーナであって、
前記第二ブラケットは、前記進退方向に沿って前記開口部の内側に向けて突出するように形成された弾性係止片を有し、
前記ノズルアセンブリを支持する前記第一ブラケットを前記進退方向に沿って移動させて前記第一ブラケットに形成された被係合部に前記弾性係止片を係合させることで、前記第一ブラケットが前記第二ブラケットに取り付け可能である。
【0009】
本開示によれば、車両部材の開口部の内側からピストンの進退方向に沿って第二ブラケットを移動させることで当該第二ブラケットを車両部材へ取り付けることができるとともに、ピストンの進退方向に沿って開口部側へ第一ブラケットを移動させることで第二ブラケットへ第一ブラケットの取り付けが可能となっている。そのため、ノズルを車両部材に取り付ける際の作業スペースが小さくても作業効率が低下することなく、車両部材への車両用クリーナの組付け性を向上させることができる。
【0010】
また、本発明の車両用クリーナにおいて、
第二ブラケットは、前記進退方向に突出する第一のリブと、前記第一のリブとは前記ノズルアセンブリを挟んで反対側において前記進退方向に突出するとともに前記第一のリブとは異なる形状を備えた第二のリブとをさらに有し、
第一ブラケットは、前記第一のリブと係合可能である一方で前記第二のリブとは係合不能であるガイド部を有していてもよい。
【0011】
この構成によれば、ノズルアセンブリを通常状態とは反転させた状態では、第二ブラケットに取り付けることができないため、ノズルアセンブリの誤組付けを防止することができる。
【0012】
また、本発明の車両用クリーナにおいて、
前記被係合部は、前記進退方向に直交する面において前記ノズルよりも外側に配置され、
前記弾性係止片は、前記被係合部の外側から前記被係合部に係合してもよい。
【0013】
この構成によれば、ノズルと弾性係止片との間に一定のスペースを設けることができるため、ノズルアセンブリを保持した第一ブラケットを第二ブラケットへ取り付ける際に、弾性係止片がノズルに衝突してしまうことを防止できる。
【0014】
また、本発明の車両用クリーナにおいて、
前記被係合部は突起部として構成され、
前記弾性係止片は、前記突起部と係合可能な係止穴を備えていてもよい。
【0015】
この構成によれば、簡便な構成で第一ブラケットを第二ブラケットに係合させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ノズルを備えたノズルアセンブリを車両部材に取り付ける際の組付け性が向上可能な車両用クリーナの車両部材への取り付け方法及び車両用クリーナを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係る車両用クリーナの分解斜視図である。
図2図1の車両用クリーナを別の方向から見た分解斜視図である。
図3】車両用クリーナのノズルアセンブリがノズルブラケットに保持された状態を示す背面図である。
図4】車両用クリーナのバンパブラケットの斜視図である。
図5】バンパブラケットの背面図である。
図6】バンパブラケットへノズルブラケットが取り付けられた状態を示す斜視図である。
図7図6の状態での背面図である。
図8図7のA-A線による一部断面図である。
図9図6の状態での一部拡大側面図である。
図10図9のB-B線による一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態に係る車両用クリーナの一例について、図面を参照して説明する。なお、本例における「左右方向」、「前後方向」、「上下方向」とは、図に示す車両用クリーナについて、説明の便宜上、設定された相対的な方向である。
【0019】
図1は、車両のバンパ100(車両部材の一例)等に取り付け可能な車両用クリーナ1(以下、クリーナ1と称す)の分解斜視図である。図2は、図1に示すクリーナ1を別の方向から見た分解斜視図である。図3は、クリーナ1が備えるノズルアセンブリ10がノズルブラケット20に保持された状態を示す背面図である。クリーナ1は、車両に搭載される灯具(例えば、ヘッドランプ)に洗浄液を噴き付けて、灯具に付着した汚れや雪を除去して灯具を洗浄するためのクリーナである。
【0020】
なお、本実施形態に係るクリーナ1の適用は車両用灯具の洗浄に限られることはなく、車載センサ、車体、窓、ミラー等の車両に設けられる被洗浄物となる各部を洗浄するクリーナとして広く適用することが可能である。また、クリーナ1はバンパ100に取り付け可能であるが、バンパ100以外の車体やヘッドランプ等の車両の一部を構成する各部材に取付可能である。
【0021】
図1及び図2に示すように、クリーナ1は、ノズルアセンブリ10と、ノズルアセンブリ10に取り付けられるノズルブラケット20(第一ブラケットの一例)と、ノズルブラケット20と係合可能であってバンパ100に取り付けられるバンパブラケット30(第二ブラケットの一例)と、を備えている。ノズルアセンブリ10は、バンパ100に形成された開口部101内に設けられたシリンダ11と、シリンダ11の軸方向(前後方向)へ進退自在に支持されたピストン12と、ピストン12の前端部に連結されたノズル13とを備えている。図示は省略するが、クリーナ1は、ピストン12の前端部に取付可能であって、クリーナ非洗浄時に開口部101を閉塞するためのノズルカバーを備えていてもよい。
【0022】
シリンダ11は、前後に延びる略円筒状に形成され、後端部に連結管(不図示)が連結されている。連結管は洗浄液が貯留され車体の内側に配置され貯留タンクに連結されている。シリンダ11の内部には貯留タンクから送り出される洗浄液が連結管を介して流入される。
【0023】
ピストン12は前後に延びる略円筒状に形成され、クリーナ1の非洗浄時において、前端部を除く部分がシリンダ11の内部に挿入されている。すなわち、収納位置においてピストン12は、その前端部がシリンダ11から前方に突出されている。ピストン12の内部にはシリンダ11に流入された洗浄液が流入される。
【0024】
ピストン12の前端部の左右両脇にはノズル13,13が連結されている。ノズル13,13には、シリンダ11からピストン12の内部に流入された洗浄液を噴射する噴射口13a,13a(図3参照)がそれぞれ形成されている。
【0025】
ノズルアセンブリ10の外面には、ノズルブラケット20が取り付けられている。ノズルブラケット20は、シリンダ11の前半部に取り付けられる円筒部21と、円筒部21の前端部に設けられた矩形状の角筒部22とから構成されている。円筒部21がシリンダ11の周囲を覆うように取り付けられた状態において、角筒部22は、シリンダ11の前端部からピストン12の前端部に跨る位置に配置される。
【0026】
図3に示すように、角筒部22は、左右方向に沿って平行に配置された上面23及び下面24と、上面23及び下面24の左右の両端部にそれぞれ接続された左側面25及び右側面26と、を有している。角筒部22の上面23の左右方向における中央部には、上面23の両端部に比べて外側(上方)に張り出した段差部23aが設けられている。角筒部22の下面24の左右方向における中央部には、下面24の両端部に比べて外側(下方)に張り出した段差部24aが設けられている。上面23の段差部23aよりも左側において段差部23aと一定距離離れた位置には、前後方向に延在するようにして上方へ突出するリブ23bが形成されている。段差部23aとリブ23bとの間は、後述のバンパブラケット30のリブ33bが挿通されるガイド部23cとして機能する。
【0027】
角筒部22の左側面25の上下方向における中央部には外側(左方)に向けて突出する突起部としての被係合部25aが設けられている。角筒部22の右側面26の上下方向における中央部には外側(右方)に向けて突出する突起部としての被係合部26aが設けられている。左側の被係合部25aから上方及び下方に対して一定距離離れた位置には、左側面25の前後方向に延在するようにして左方に突出する一対のリブ25b,25cが設けられている。同様に、右側の被係合部26aから上方及び下方に対して一定距離離れた位置には、右側面26の前後方向に延在するようにして右方に突出する一対のリブ26b,26cが設けられている。
【0028】
なお、段差部23a,24aの左側及び右側において、上面23と下面24との間をつなぐようにして支持片27,28がそれぞれ設けられている。支持片27,28が設けられていることにより、上面23及び下面24の変形が抑制されている。
【0029】
図4は、バンパブラケット30の斜視図であり、図5は、バンパブラケット30の背面図である。図4及び図5に示すように、バンパブラケット30は、横長状の平板部31と、略矩形状の角筒部32とを有している。平板部31は、車両のバンパ100に設けられた開口部101(図2参照)の周囲に、バンパ100の裏面(内側)から取り付けられる。平板部31の中央には、バンパ100の開口部101に対応する形状の開口部31aが設けられている。角筒部32は、開口部31aの周囲において平板部31から後方に突出するように設けられている。
【0030】
角筒部32は、ノズルブラケット20の角筒部22の形状に対応する形状となるように形成されている。具体的には、角筒部32は、左右方向に沿って平行に配置された上面33及び下面34と、上面33及び下面34の左右の両端部にそれぞれ接続された左側面35及び右側面36と、を有している。上面33及び下面34の左右方向における中央部には、両端部に比べて外側(上方及び下方)に張り出した段差部33a,34aがそれぞれ設けられている。左側面35及び右側面36の上下方向における中央部には外側(左方及び右方)に張り出した段差部35a,36aがそれぞれ設けられている。
【0031】
角筒部32の上面33には、一対のリブ33b,33cが一定距離離隔して2組設けられている。リブ33b,33cは、上面33に設けられた段差部33aから前後方向に延在するようにして上方に突出している。リブ33b,33cの後端面は、角筒部32の後端面からさらに後方に突出している。一対のリブ33b,33cのうち右側のリブ33cは、その下面部から右方に張り出した張出部33dを備えている。また、角筒部32の下面34には、一対のリブ34b,34cが一定距離離隔して2組設けられている。リブ34b,34cは、下面34に設けられた段差部34aから前後方向に延在するようにして下方に突出している。リブ34b,34cの後端面は、角筒部32の後端面からさらに後方に突出している。一対のリブ34b,34cのうち右側のリブ34cは、その上面部から右方に張り出した張出部34dを備えている。
【0032】
角筒部32の左側面35及び右側面36には、それぞれ後方へ突出する弾性係止片37,38が設けられている。各弾性係止片37,38には、長円形の係止穴37a,38aが形成されている。
【0033】
次に図6図10を参照して、バンパ100へのバンパブラケット30の取り付け方法と、バンパ100に取り付けられたバンパブラケット30への、ノズルアセンブリ10を保持したノズルブラケット20の取り付け方法について説明する。図6は、バンパブラケット30へノズルブラケット20が取り付けられた状態を示す斜視図である。図7は、図6の状態での背面図である。図8は、図7のA-A断面図である。図9は、図6の状態での一部拡大側面図である。図10は、図9のB-B断面図である。
【0034】
まず、作業者は、ノズルアセンブリ10にノズルブラケット20を取り付ける。具体的には、作業者は、ノズルブラケット20の前端部からノズルアセンブリ10のシリンダ11の後端部を挿通して、ノズルアセンブリ10をノズルブラケット20に対して相対的に後方へ移動させ、シリンダ11に設けられた係止片11aをノズルブラケット20の円筒部21に設けられた係止穴21aへと係合させる。
【0035】
次に、作業者は、バンパ100にバンパブラケット30を取り付ける。具体的には、作業者は、バンパ100の内側から、バンパブラケット30を前後方向(ピストンの進退方向)に沿ってバンパ100側へ移動させることで、バンパ100の開口部101が形成された所定の位置にバンパブラケット30を取り付ける。すなわち、作業者は、バンパ100の裏面側に設けられたスペースにおいて、バンパブラケット30のバンパ100への取り付け作業を行う。バンパブラケット30の平板部31のバンパ100に対向する面には接着剤が付着されている。なお、図示は省略するが、ねじ止めなどにより、バンパブラケット30をバンパ100へ取り付けるようにしてもよい。
【0036】
次に、作業者は、ノズルアセンブリ10を保持したノズルブラケット20を、バンパ100の開口部101の内側から、バンパブラケット30へ取り付ける。具体的には、作業者は、開口部101の内側から前後方向(ピストン12の進退方向)に沿ってバンパブラケット30側へノズルブラケット20を移動させる。これにより、バンパブラケット30に形成された弾性係止片37がノズルブラケット20に形成されたリブ25b,25cの間に案内され、弾性係止片38が、リブ26b,26cの間に案内される。そして、図8等に示すように、弾性係止片37,38の後端部がノズルブラケット20に形成された被係合部(突起部)25a,26aを乗り越え、弾性係止片37,38に形成された係止穴37a,38aに対して被係合部25a,26aが係合される。このようにして、ノズルブラケット20に保持されたノズルアセンブリ10を、バンパ100に取り付けられたバンパブラケット30に組み付けることができる。
【0037】
なお、ノズルアセンブリ10にノズルブラケット20を取り付ける作業者は、例えば、クリーナ1の製造業者である。バンパ100にバンパブラケット30を取り付ける作業者、およびバンパブラケット30にノズルブラケット20を取り付ける作業者は、例えば、車両の製造業者である。なお、ノズルアセンブリ10にノズルブラケット20を取り付ける作業者、バンパ100にバンパブラケット30を取り付ける作業者、およびバンパブラケット30にノズルブラケット20を取り付ける作業者は、同一の作業者であってもよい。
【0038】
図6及び図9に示すように、弾性係止片37,38の係止穴37a,38aに被係合部25a,26aが係合された状態(以下、組付け状態と称することもある。)において、ノズルブラケット20の角筒部22の前端面がバンパブラケット30の角筒部32の後端面に当接する。また、図6図7及び図10に示すように、組付け状態において、バンパブラケット30の上面33のリブ33b,33cの間にノズルブラケット20の上面23の段差部23aが配置されるとともに、バンパブラケット30の下面34のリブ34b,34cの間にノズルブラケット20の下面24の段差部34aが配置される。このとき、バンパブラケット30の上面33に設けられたリブ33b,33cのうち左側のリブ33bは、ノズルブラケット20の上面23に設けられた段差部23aとリブ23bとの間のガイド部23c内に案内される。このようにして、ノズルブラケット20のバンパブラケット30に対する位置決めがなされる。
【0039】
以上説明したように、本実施形態に係るクリーナ1は、バンパ100に形成された開口部101内に設けられる筒状のノズルブラケット20と、ノズルアセンブリ10と、バンパブラケット30とを備えている。ノズルアセンブリ10は、ノズルブラケット20に支持されるシリンダ11と、シリンダ11に対して進退自在に支持されるピストン12と、ピストン12の先端近傍に設けられてピストン12が開口部101から突出された状態で車両の被洗浄物へ洗浄液を噴射するノズル13,13とを有している。バンパブラケット30は、開口部101の内側からバンパ100に取り付け可能であって、ノズルブラケット20と係合された状態でノズルアセンブリ10を開口部101に対して位置決めする。また、バンパブラケット30は、ピストン12の進退方向に沿って開口部101の内側に向けて突出するように形成された弾性係止片37,38を有し、ノズルブラケット20をピストン12の進退方向に沿って移動させてノズルブラケット20に形成された被係合部25a,26aに弾性係止片37,38を係合させることで、ノズルブラケット20がバンパブラケット30に取り付け可能である。このように、本実施形態に係るクリーナ1によれば、バンパ100に設けられた開口部101の内側からピストン12の進退方向に沿ってバンパブラケット30を移動させることでバンパ100へ取り付けることができ、同様に、ノズルブラケット20をピストン12の進退方向に沿って移動させることでバンパブラケット30へ取り付けることができる。特に、ノズルアセンブリ10が保持されたノズルブラケット20をバンパブラケット30へ取り付ける際には、作業者がシリンダ11を把持しながら一方向に移動させるだけで取り付けが完了する。すなわち、ノズルアセンブリをバンパに組付ける際に、従来のようにノズルアセンブリをシリンダの周方向に沿って回転させたり、ノズルアセンブリを上下方向又は左右方向に捩じったりする必要がない。そのため、ノズルアセンブリ10をバンパ100の開口部101内に組み付ける際の作業スペースが小さくても作業効率が低下することなく、バンパ100へのクリーナ1の組付け性を向上させることができる。
【0040】
また、本実施形態に係るクリーナ1において、バンパブラケット30は、ピストン12の進退方向に突出するリブ33b,34b(第一のリブの一例)と、ピストン12の進退方向に突出するとともにリブ33bとは異なる形状を備えたリブ33b,34c(第二のリブの一例)を有している。そして、ノズルブラケット20は、リブ33b,34bと係合可能である一方で張出部33d,34dを備えたリブ33c,34cとは係合不能であるガイド部23cを有している。図7及び図10に示す状態でノズルブラケット20をバンパブラケット30に取り付けた場合には、ノズルブラケット20のガイド部23cにバンパブラケット30の上面33のリブ33bが挿通される。一方で、図7及び図10に示す状態とはノズルブラケット20をピストン12の周方向に180度回転させた状態でノズルブラケット20をバンパブラケット30に取り付けようとした場合には、バンパブラケット30の下面34のリブ34cがノズルブラケット20のガイド部23cの位置にくるため、当該リブ34cの張出部34dがガイド部23cを構成するリブ23bに干渉する。そのため、この状態では、ガイド部23cにリブ34cを挿通させることができず、ノズルブラケット20をバンパブラケット30に組付けることはできない。このように、本実施形態に係るノズルブラケット20の形状が、適切な状態(図7及び図10の状態)とは異なる方向ではノズルブラケット20をバンパブラケット30に取り付けることができないように構成されているため、ノズルアセンブリ10の誤組付けを防止することができる。
【0041】
また、本実施形態に係るクリーナ1において、被係合部25a,26aは、ピストン12の進退方向に直交する面においてノズル13,13よりも外側に配置され、弾性係止片37,38は、被係合部25a,26aの外側から当該被係合部25a,26aに係合する構成となっている。これにより、ノズル13,13と弾性係止片37,38との間に一定のスペースを設けることができるため、ノズルアセンブリ10を保持したノズルブラケット20をバンパブラケット30へ取り付ける際に、弾性係止片37,38がノズル13,13に衝突してノズル13,13の位置がずれたりノズル13,13が破損したりしてしまうことを防止できる。
【0042】
なお、図5に示すように、バンパブラケット30は上下対称に形成されていることが好ましい。これにより、図3及び図4に示すような組み付け方向とはバンパブラケット30の上下方向を逆さにして、バンパブラケット30をバンパ100に係合させることができる。そのため、バンパ100に対するバンパブラケット30の組付け方向が制限されることはない。なお、バンパブラケットは、上下非対称に形成されていてもよい。
【0043】
上記実施形態では、バンパブラケット30の弾性係止片37,38は、ノズルブラケット20の被係合部25a,26aの外側から当該被係合部25a,26aに係合する構成となっているが、この例に限られない。例えば、ノズルブラケットの左側面及び右側面の内側に突起状の被係合部を設け、バンパブラケットの弾性係止片をノズルブラケットの内部に挿通させてノズルブラケットの左右側面に設けられた被係合部に対して弾性係止片を内側から係合させる構成としてもよい。この構成によっても、作業者がシリンダを把持しながら一方向にノズルアセンブリ及びノズルブラケットを移動させるだけでバンパブラケットへの取り付けが完了するため、バンパへのクリーナの組付け性を向上させることができる。
【0044】
また、上記実施形態では、バンパブラケット30の上面33及び下面34の両方に、リブ33b,34bと、張出部33d,34dを備えたリブ33c,34cが設けられているが、この例に限られない。例えば、上下のリブ33b,34bのうち上面33のリブ33bのみが設けられる場合には、リブ33bとはノズルアセンブリ10を挟んで反対側にリブ34cを設ければよい。また、上下のリブ33b,34bのうち下面34のリブ34bのみが設けられる場合には、リブ34bとはノズルアセンブリ10を挟んで反対側にリブ33cを設ければよい。これらの構成によっても、ノズルアセンブリ10の誤組付けを防止することができる。
【0045】
また、上記実施形態では、バンパブラケット30の左側面35及び右側面36から後方に向かって弾性係止片37,38が直接突出する構成となっているが、この例に限られない。例えば、バンパブラケットの左側面よりもさらに左側の平板部から一方の弾性係止片が後方に突出し、バンパブラケットの右側面よりもさらに右側の平板部から他方の弾性係止片が後方に突出する構成を採用してもよい。この構成の場合、バンパブラケットの上面、下面、左側面及び右側面の内部空間として形成される平板部の開口部、ひいてはバンパ100の開口部101を最小化することができる。
【0046】
以上、本発明の実施形態について説明をしたが、本発明の技術的範囲が本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではないのは言うまでもない。本実施形態は単なる一例であって、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲に記載された発明の範囲及びその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
【符号の説明】
【0047】
1:車両用クリーナ、10:ノズルアセンブリ、11:シリンダ、12:ピストン、13:ノズル、20:ノズルブラケット、21:円筒部、22:角筒部、23b:リブ、25a,26a:被係合部、30:バンパブラケット、31:平板部、32:角筒部、33b,33c,34b,34c:リブ、33d,34d:張出部、37,38:弾性係止片、37a,38a:係止穴、100:バンパ、101:開口部
図1
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