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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-14
(45)【発行日】2023-08-22
(54)【発明の名称】建設機械
(51)【国際特許分類】
   B66C 23/74 20060101AFI20230815BHJP
   E02F 9/18 20060101ALI20230815BHJP
   B66C 23/76 20060101ALI20230815BHJP
【FI】
B66C23/74 D
E02F9/18
B66C23/76 D
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019155857
(22)【出願日】2019-08-28
(65)【公開番号】P2021031274
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-07-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000140719
【氏名又は名称】株式会社加藤製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 光也
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-263020(JP,A)
【文献】特開2019-059586(JP,A)
【文献】実開昭63-100487(JP,U)
【文献】特開2018-203434(JP,A)
【文献】特開2014-118224(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 23/74,23/76
E02F 9/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メインウエイト及び前記メインウエイトに取外し可能に連結されるサブウエイトを搭載可能な建設機械であって、
走行車体と、
前記走行車体上に、前記走行車体に対して旋回可能に連結される旋回体と、
前記走行車体上に設けられ、前記メインウエイトを設置可能なウエイト設置部と、
前記走行車体上において前記ウエイト設置部から離れた位置に取付けられるベースフレームと、
を具備し、
前記ベースフレームは、底壁を備え、
前記底壁は、鉛直上側を向くフレーム上面を備えるとともに、前記サブウエイトを前記フレーム上面に設置可能であり、
前記ベースフレームは、鉛直下側から前記底壁に取付けられるフレーム脚を備え、
前記ベースフレームは、前記フレーム脚によって、前記底壁が前記走行車体と接触しない状態で、前記走行車体に取付けられる、
建設機械。
【請求項2】
前記ウエイト設置部は、前記走行車体上において前記旋回体よりも前方側に配置され、
前記ベースフレームは、前記走行車体上において前記旋回体よりも後方側に設置される、
請求項1に記載の建設機械。
【請求項3】
前記ベースフレームは、前記フレーム上面に前記サブウエイトが設置されていない状態において、アウトリガと地盤との間に敷かれる敷板を前記フレーム上面に設置可能な、請求項1又は2に記載の建設機械。
【請求項4】
前記ベースフレームは、バンドを引掛けることが可能な係合部を備え、
前記バンドは、前記係合部に引掛かった状態において、前記フレーム上面に設置される前記サブウエイトを拘束する、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の建設機械。
【請求項5】
前記ベースフレームは、前記フレーム脚として、一対のフレーム脚を備え、
前記ベースフレームには、鉛直方向に前記底壁を貫通する孔が形成され、
前記一対のフレーム脚は、前記底壁の前記孔を間に挟んで配置される、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の建設機械。
【請求項6】
前記走行車体は、前記走行車体上に配置されるボスを備え、
前記ベースフレームの前記底壁には、前記ボスと係合可能な係合孔が形成され、
前記ベースフレームは、前記底壁の前記係合孔が前記ボスと係合することにより、前記走行車体上に取付けられ、
前記ベースフレームは、前記フレーム脚が前記ボスと重ならない状態で、前記走行車体上に取付けられる、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、移動式クレーンが開示されている。このような移動式クレーンでは、作業時においてブームを起状させ、ブームの先端部から吊下げられたフック等によって、吊荷を吊上げる。この際、旋回体において旋回中心に対してブームの先端部が位置する側と反対側には、カウンタウエイトが装着される。カウンタウエイトが装着されることにより、吊荷を吊上げた際の安定が確保される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-203434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
作業現場においては、ある地点での作業が完了すると、次の作業地点まで移動式クレーンを移動させる必要がある。この際、特許文献1のようにカウンタウエイトを装着して作業を行う移動式クレーンでは、作業効率の観点等から、カウンタウエイトを移動式クレーンから取外すことなく、かつ、クレーンとは別体でカウンタウエイトを作業地点の間で輸送することなく、クレーン及びカウンタウエイトを輸送することが、求められている。すなわち、カウンタウエイトを移動式クレーンに設置した状態で、移動式クレーンを作業現場において移動させることが求められている。
【0005】
また、作業現場での移動においては、建造物等によって、通過可能な車幅が制限されることがある。したがって、カウンタウエイトを搭載した状態でも、道幅の狭い作業現場で移動可能な移動式クレーンが求められている。
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、カウンタウエイトを搭載した状態でも、道幅の狭い作業現場で移動可能な建設機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明のある態様は、メインウエイト及びメインウエイトに取外し可能に連結されるサブウエイトを搭載可能な建設機械であって、走行車体と、走行車体上に、走行車体に対して旋回可能に連結される旋回体と、走行車体上に設けられ、メインウエイトを設置可能なウエイト設置部と、走行車体上においてウエイト設置部から離れた位置に取付けられるベースフレームと、を具備し、ベースフレームは、底壁を備え、底壁は、鉛直上側を向くフレーム上面を備えるとともに、サブウエイトをフレーム上面に設置可能であり、ベースフレームは、鉛直下側から底壁に取付けられるフレーム脚を備え、ベースフレームは、フレーム脚によって、底壁が走行車体と接触しない状態で、走行車体に取付けられる
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、カウンタウエイトを搭載した状態でも、道幅の狭い作業現場で移動可能な建設機械を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1の実施形態に係る移動式クレーンを、追加ウエイトがメインウエイトに取付けられ、かつ、メインウエイト及びサブウエイトが走行車体上に設置された状態で示す概略図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る移動式クレーンを、図1の状態から旋回体を180°又は略180°旋回させ、かつ、メインウエイトを旋回体に連結した状態で示す概略図である。
図3A図3Aは、第1の実施形態に係るメインウエイトの内側から、追加ウエイトを連結した状態を示す概略図である。
図3B図3Bは、第1の実施形態に係るメインウエイトの外側から、追加ウエイトを連結した状態を示す概略図である。
図4図4は、第1の実施形態に係る移動式クレーンを、追加ウエイトがメインウエイトの外側から取付けられ、かつ、メインウエイト及びサブウエイトが走行車体上に設置された状態で示す概略図である。
図5図5は、第1の実施形態に係るベースフレームが走行車体上に設置され、かつ、サブウエイトがベースフレーム上に設置された状態を示す概略図である。
図6図6は、第1の実施形態に係るベースフレームが設置される走行車体の上面を概略的に示す斜視図である。
図7図7は、第1の実施形態に係るベースフレームが走行車体上に設置された状態を示す概略図である。
図8図8は、第1の実施形態に係るベースフレームを概略的に示す斜視図である。
図9図9は、第1の実施形態に係るベースフレームを図8とは異なる方向から視た状態で概略的に示す斜視図である。
図10図10は、図5の一部を拡大して概略的に示す斜視図である。
図11図11は、第1の実施形態に係るベースフレームが走行車体上に設置され、かつ、敷板がベースフレーム上に設置された状態を概略的に示す斜視図である。
図12図12は、図11の一部を拡大して概略的に示す斜視図である。
図13図13は、図11の、図12とは別の一部を拡大して概略的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のある実施形態について、図1乃至図13を参照して説明する。
【0011】
図1は、本実施形態の移動式クレーン1を示す図である。図1に示すように、移動式クレーン1は、走行車体2と、走行車体2上に設けられる旋回体3と、を備える。走行車体2には、後方側部位の上側にベースフレーム14が設けられる。走行車体2には、前方側部位の左右両側に一対のアウトリガ5Aが設けられるとともに、後方側部位の左右両側に一対のアウトリガ5Bが設けられる。作業時においては、アウトリガ5A,5Bを走行車体2の幅方向に張出すとともに、アウトリガ5A,5Bを地盤に接地させることにより、走行車体2を支える。旋回体3は、運転室(キャブ)6を備える。また、旋回体3には、伸縮ブーム7の基端部が連結される。伸縮ブーム7は旋回体3に対して起伏可能である。また、旋回体3及び伸縮ブーム7は、旋回軸Pを中心として、走行車体2に対して一緒に旋回する。また、旋回体3には、アクチュエータ8が設けられる。
【0012】
移動式クレーン1には、カウンタウエイト10が設けられる。カウンタウエイト10は、メインウエイト11、サブウエイト(第1のサブウエイト)12A2、サブウエイト(第2のサブウエイト)12B2、追加ウエイト12A1,12B1及び、トップウエイト13を備える。メインウエイト11は、ウエイト設置部11Aにより、走行車体2上に取付け可能である。サブウエイト12A2,12B2は、ベースフレーム14上に設置可能である。トップウエイト13は、メインウエイト11及びサブウエイト12A2,12B2とは独立して、旋回体3に取付けられる。このため、トップウエイト13は旋回体3と一緒に旋回する。トップウエイト13は、旋回体3の後方側部位に装着され、旋回体3において旋回軸Pに対して伸縮ブーム7の先端部が位置する側と反対側に位置する。
【0013】
図2は、図1に示す状態から旋回体3を180°又は略180°旋回させ、メインウエイト11を旋回体3に連結した状態を示す。図2では、サブウエイト12A2,12B2は、非装着状態である。図1に示す状態から旋回体3を180°又は略180°旋回させることにより、旋回体3の前方側が走行車体2の後方側と一致又は略一致する状態になる。図2に示す状態等の旋回体3の前方側が走行車体2の後方側と一致又は略一致する状態では、アクチュエータ8を作動することにより、メインウエイト11を走行車体2上から持上げ可能となる。そして、アクチュエータ8によってメインウエイト11が持上げられた状態で、メインウエイト11は、旋回体3に装着される。この際、トップウエイト13は、既に旋回体3に装着された状態である。メインウエイト11が旋回体3に装着されることにより、メインウエイト11は、旋回体3、伸縮ブーム7及びトップウエイト13と一緒に旋回可能となる。
【0014】
移動式クレーン1での作業においては、メインウエイト11が旋回体3に装着された状態で、伸縮ブーム7を起状させる。そして、伸縮ブーム7の先端部から吊下げられたフック(図示しない)等によって、吊荷を吊上げる。この際、旋回体3において旋回軸Pに対して伸縮ブーム7の先端部が位置する側と反対側にカウンタウエイト10が装着されるため、吊荷を吊上げた際の安定が確保される。
【0015】
図3Aは、追加ウエイト12A1,12B1が、メインウエイト11の内側から連結された状態を示す。同様に、図3Bは、追加ウエイト12A1,12B1が、メインウエイト11の外側から連結された状態を示す。メインウエイト11には、追加ウエイト(第1の追加ウエイト)12A1,追加ウエイト(第2の追加ウエイト)12B1が取外し可能に連結される。メインウエイト11には、幅方向について中央部に、溝11Bが前後方向に沿って、形成されている。また、メインウエイト11には、サブウエイト12A2,12B2が取外し可能に連結される。追加ウエイト12A1,12B1は、メインウエイト11に外側及び内側のいずれからも連結可能である。また、追加ウエイト12A1,12B1がメインウエイト11に外側から連結されていない状態では、メインウエイト11の外側から、サブウエイト12A2,12B2を連結可能である。例えば、追加ウエイト12A1,12B1が内側からメインウエイト11に連結される状態では、メインウエイト11の外側から、さらにサブウエイト12A2,12B2を連結可能である。
【0016】
追加ウエイト12A1,12B1が、メインウエイト11の内側から連結され、ベースフレーム14上にサブウエイト12A2,12B2が設置されている場合、メインウエイト11の外側から追加ウエイト12A1,12B1又はサブウエイト12A2,12B2が連結される場合と比べて、移動式クレーン1の車幅が狭い。このため、通過可能な車幅が制限される箇所でも、移動式クレーン1は容易に通過可能である。
【0017】
図4は、本実施形態の移動式クレーン1において、追加ウエイト12A1,12B1が、メインウエイト11の外側から連結された状態を示す。メインウエイト11の内側から追加ウエイト12A1,12B1が連結されていない状態では、伸縮ブーム7をメインウエイト11の溝11Bに挿入可能である。伸縮ブーム7が溝11Bに挿入される場合、伸縮ブーム7が溝11Bに挿入されない場合に比べて移動式クレーン1の車高が低い。このため、伸縮ブーム7が溝11Bに挿入された状態で作業現場を移動式クレーン1が移動することにより、通過可能な車高が制限される箇所でも、移動式クレーン1は容易に通過可能である。
【0018】
図5は、サブウエイト12A2,12B2が、ベースフレーム14に設置された状態を示す。ここで、ベースフレーム14の前後方向(矢印X1及びX2で示す方向)、及び、ベースフレーム14の幅方向(矢印W1及び矢印W2で示す方向)を規定する。ベースフレーム14の前後方向は、鉛直方向(矢印V1及びV2で示す方向)に対して交差する(垂直又は略垂直である)。また、ベースフレーム14の幅方向は、鉛直方向に対して交差し(垂直又は略垂直で)、かつ、ベースフレーム14の前後方向に対して交差する(垂直又は略垂直である)。図1等に示すように、ベースフレーム14は、前後方向が走行車体2の前後方向に一致又は略一致し、幅方向が走行車体2の幅方向に一致又は略一致する状態で、走行車体2に設置される。
【0019】
図6は、走行車体2において、ベースフレーム14が設置される位置を鉛直上側から視た状態で示す。走行車体2は、車体上面21、土台22A,22B、ボス23A,23Bを備える。車体上面21は、鉛直上側を向く。車体上面21は、前後方向に沿って延設される。車体上面21は、平面又は略平面である。土台22A,22Bは、長手方向が、走行車体2の前後方向と一致又は略一致する状態で配置される。土台22A,22Bは、車体上面21の上に、幅方向について互いに対して離れて設けられる。土台22A,22Bは、長手方向が互いに対して平行又は略平行になる状態で、配置される。突出部22A1は、土台22Aにおいて、前方側に設けられるとともに、幅方向において、土台22Bの配置される側に向かって突出する。突出部22B1は、土台22Bにおいて、前方側に設けられるとともに、幅方向において、土台22Aの配置される側に向かって突出する。土台22A,22Bは、鉛直方向の寸法が、互いに一致又は略一致する。
【0020】
ボス23A,23Bは、車体上面21の上に、幅方向について互いに対して離れて配置される。ボス23A,23Bは、前後方向について、土台22A,22Bに対して、前方側に配置される。ボス23A(23B)は、基部23A1(23B1)と、挿入部23A2(23B2)とを備える。基部23A1(23B1)は、円盤状又は略円盤状に形成される。基部23A1(23B1)は、鉛直方向の寸法が、土台22A(22B)と一致又は略一致する。挿入部23A2(23B2)は、基部23A1(23B1)から、鉛直上側(矢印V1側)に向かって突出している。挿入部23A2(23B2)は、円錐状又は略円錐状に形成される。挿入部23A2(23B2)は、径方向の寸法が、基部23A1(23B1)の径方向の寸法よりも小さい。
【0021】
図7は、第1の実施形態に係るベースフレーム14が走行車体上に設置された状態を示す概略図である。図8は、第1の実施形態に係るベースフレーム14を概略的に示す斜視図である。図9は、第1の実施形態に係るベースフレーム14を図8とは異なる方向から視た状態で概略的に示す斜視図である。
【0022】
図7乃至図9に示すように、ベースフレーム14は、底壁140を備える。底壁140は、鉛直上側(矢印V1側)を向く上面(フレーム上面)141と、鉛直下側(矢印V2側)を向く下面とを備える。本実施形態では、底壁140には、鉛直方向について底壁140を貫通する孔145が形成される。孔145は、前後方向及び幅方向について底壁140の中央部に形成される。底壁140の寸法は、幅方向について、走行車体2の車幅よりも小さい。そのため、ベースフレーム14が走行車体2の車体上面21に設置された状態において、ベースフレーム14が、走行車体2の車幅からはみ出ることがない。
【0023】
ベースフレーム14には、フレーム上面141に、フレーム142A~142Dが配置される。フレーム142A~142Dは、ベースフレーム14の周方向に沿って配置されるとともに、底壁140の外縁から突出しない状態で、配置される。底壁140において、フレーム142A~142Dにより囲まれるフレーム上面141の部分には、サブウエイト12A2,12B2を設置可能である。本実施形態では、フレーム142A~142Dは、孔145の開口縁よりも外周側に配置される。また、フレーム上面141にサブウエイト12A2,12B2を設置した状態で、鉛直方向について、フレーム142A~142Dの寸法は、サブウエイト12A2,12B2の寸法と比べて小さい。
【0024】
フレーム142A~142Dは、接続片140A~140Cを備える。接続片140Aは、フレーム142Aの前方側の面から、さらに前方に向かって突出する。接続片140Bは、フレーム142Bの幅方向の一方側(矢印W2側)の面から、さらに幅方向の一方側に向かって突出する。接続片140Cは、フレーム142Cの後方側の面から、さらに後方に向かって突出する。接続片140A~140Cは、鉛直方向において、フレーム142A~142Dの上端から突出しない状態で、配置される。接続片140A~140Cは、底壁140と平行又は略平行に設けられる。接続片140A~140Cは、鉛直方向から視て、O字状又は略O字状である。
【0025】
ベースフレーム14は、底壁140において、フレーム142A~142Dよりもさらに外周側に突出する部分を備える。フレーム142Aよりも前方側に突出する部分には、孔149A1,149A2が形成される。ベースフレーム14は、孔149A1,149A2が、走行車体2上に設けられたボス23A,23Bと係合することにより、走行車体2上に設置される。本実施形態では、フレーム上面141においてフレーム142Bよりも幅方向の一方側(矢印W2側)に突出する部分に、後述する係合部143B,143C,144Bが、配置される。また、フレーム上面141においてフレーム142Cよりも幅方向の他方側(矢印W1側)に突出する部分には、後述する係合部143A,143D,144Aが、に配置される。
【0026】
ベースフレーム14には、係合部143A~143D,144A,144Bが設けられる。係合部143B,143C,144Bは、フレーム142Bにおいて幅方向の一方側(矢印W2側)を向く面から、さらに幅方向の一方側へ向かって延設される。同様に、係合部143A,143D,144Aは、フレーム142Dにおいて幅方向の他方側(矢印W1側)を向く面から、さらに幅方向の他方側に向かって延設される。本実施形態では、係合部143A~143D,144A,144Bは、底壁140の外縁から突出しない状態で、延設される。係合部143A,143Bは、後述するフック171を取付けることができる。そのため、本実施形態では、サブウエイト12A2,12B2がベースフレーム14に設置された状態において、サブウエイト12A2,12B2は、フック171に取付けられたバンド173により、ベースフレーム14に固縛される。
【0027】
また、係合部143A~143Dにロープ(図示しない)等を引掛けるにより、ベースフレーム14単体を吊り上げ可能である。さらに、後述する敷板18がフレーム上面141に設けられた状態においても、係合部143A,143B,144A,144Bにロープ等を引掛けることにより、ベースフレーム14及び敷板18を一緒に吊り上げ(一体吊り)可能である。
【0028】
板147は、フレーム上面141の反対側、すなわち、鉛直下側(矢印V2側)から底壁140に取付けられる。これにより、後述する第1の敷板固定部材15は、フレーム142Dに対して、鉛直下側(矢印V2側)へ回動する範囲が規制される。すなわち、第1の敷板固定部材15は、板147の上面より、鉛直上側(矢印V1側)へのみ回動可能である。
【0029】
フレーム脚148A,148Bは、幅方向に沿って、互いに対して平行又は略平行に延設される。フレーム脚148A,148Bは、底壁140の外縁から突出しない状態で、設けられる。本実施形態では、フレーム脚148A,148Bは、前後方向に対して、底壁140に形成された孔145を挟む。フレーム脚148A,148Bは、底壁140に鉛直下側(矢印V2側)から取り付けられる。フレーム脚148A,148Bの鉛直方向の寸法は、前述の土台22A,22B及び基部23A1,23B1の鉛直方向の寸法に対して、一致又は略一致する。フレーム脚148A,148Bは、ベースフレーム14が車体上面21の上に取り付けられた状態において、土台22A,22B及び基部23A1,23B1と重ならないように配置されている。前述のようにベースフレーム14が車体上面21に取付けられることにより、底壁140は、車体上面21に対して、平行又は略平行になる。フレーム脚148A,148Bがベースフレーム14に設けられることにより、底壁140が、鉛直方向にたわみにくくなる。また、底壁140と走行車体2の車体上面21の接触を防止できるため、車体上面21が傷付きにくい。
【0030】
第1の敷板固定部材15は、ヒンジ157を介して、フレーム142Dに取付けられる。第1の敷板固定部材15は、ヒンジ157を軸として、回動可能である。接続片155は、第1の敷板固定部材15から前方側に突出する。接続片155には、ピン156が係合される。そのため、ピン156の紛失が、有効に防止される。図5等に示すように、第1の敷板固定部材15を使用しない場合、例えばサブウエイト12A2,12B2がフレーム上面141に設けられる場合、第1の敷板固定部材15は、板147の上面と接触した状態(格納状態)で配置される。格納状態では、鉛直方向について、第1の敷板固定部材15は、フレーム142Dの上端から突出しない状態で、配置される。そのため、旋回体3は、第1の敷板固定部材15と接触することなく、旋回可能である。
【0031】
第2の敷板固定部材16は、中継部161、脚部164A,164Bを備える。脚部164A,164Bは、中継部161の延設方向に互いに対して離れる。第2の敷板固定部材16は、U字状又は略U字状である。第2の敷板固定部材16を使用していない状態、すなわちベースフレーム14に格納されている状態(格納状態)では、中継部161を介してベースフレーム14に取付けられている。第2の敷板固定部材16は、ピン163A,163Bにより、ベースフレーム14に取り外し可能に取付けられる。また、第2の敷板固定部材16は、旋回体3と接触しない状態で、ベースフレーム14に格納される。前述したように、ベースフレーム14において、サブウエイト12A2,12B2は、フレーム上面141上に設けられ、フレーム142A~142Dにより周囲を囲まれる。サブウエイト12A2,12B2は、長側面12A21,12B21同士が接触(当接)した状態で、フレーム上面141上に設けられる。本実施形態では、短側面12A23,12B23が、フレーム142Aの後方側を向く面に接触している。サブウエイト12A2,12B2がベースフレーム14に設置されることにより、サブウエイト12A2,12B2が位置決めされる。これにより、旋回体3が旋回しても、サブウエイト12A2,12B2と旋回体3とが、接触しない。
【0032】
図10は、第1の実施形態に係るベースフレーム14が走行車体2上に設置され、かつ、サブウエイト12A2,12B2がベースフレーム14上に設置された状態の一部を拡大して概略的に示す斜視図である。フック171は、係合部143Aに取付けられる。本実施形態では、フック171は、吊環172に引っ掛けられ、吊環172を介して係合部143Aに取付けられる。バンド173は、フック171に取付けられ、サブウエイト12A2,12B2の上面12A22,12B22に接触した状態で配置される。同様に、係合部143Bに対しても、バンド173が取り付けられたフック171が取付けられる。これにより、バンド173は、サブウエイト12A2,12B2の上面12A22,12B22を鉛直上側から押圧可能である。また、サブウエイト12A2,12B2の底面は、フレーム上面141を押圧可能である。そのため、サブウエイト12A2,12B2は、バンド173によりベースフレーム14に固縛可能である。このように、サブウエイト12A2,12B2がベースフレーム14に固縛されることで、サブウエイト12A2,12B2が、移動式クレーン1から脱落することを防止可能である。
【0033】
図11は、第1の実施形態に係るベースフレーム14が走行車体2上に設置され、かつ、敷板18がベースフレーム14上に設置された状態を概略的に示す斜視図である。図12は、図11の一部を拡大して概略的に示す斜視図である。図13は、図11の、図12とは別の一部を拡大して概略的に示す斜視図である。
【0034】
ベースフレーム14は、サブウエイト12A2,12B2がフレーム上面141に設けられていない場合、敷板18を搭載可能である。この場合も前述と同様に、ベースフレーム14は、孔149A1,149A2が、走行車体2上に設けられたボス23A,23Bと係合することにより、走行車体2上に設置される。
【0035】
敷板18は、アウトリガ5A,5Bが地盤と接地するときに、アウトリガ5A,5Bの先端と地盤との間に配置される。敷板18は、フレーム上面141に設置され、フレーム142A~142Dにより周囲を囲まれる。本実施形態では、複数の敷板18がフレーム上面141に設置可能である。
【0036】
図11等に示すように、敷板18がフレーム上面141に設けられる状態では、第1の敷板固定部材15は、前述した格納状態から、ヒンジ157を軸として、略180°又は180°回動した状態(使用状態)で配置される。第1の敷板固定部材15は、使用状態において、接続片155が、ピン156により、接続片140Aと係合される。そのため、敷板18は、第1の敷板固定部材15により、鉛直上側への移動が規制される。
【0037】
また、第2の敷板固定部材16は、前述した格納状態から取り外され、中継部161が敷板18に対して鉛直上側に位置するように取り付けられる。本実施形態では、敷板18に対して、脚部164Bが後方側に位置し、脚部164Aが幅方向の一方側(矢印W2側)に位置する。第2の敷板固定部材16は、脚部164A,164Bが、接続片140B,140Cに、ピン163A,163Bにより係合される。前述のような構成であるため、敷板18は、中継部161により鉛直上側への移動が規制されるとともに、脚部164Bにより後方側への移動が規制される。
【0038】
敷板18は、第1の敷板固定部材15、第2の敷板固定部材16、フレーム142A~142D、フレーム上面141により、前後方向、幅方向及び鉛直方向への移動が規制される。そのため、移動式クレーン1は、ベースフレーム14に敷板18を設置した状態で、走行可能である。
【0039】
本実施形態では、移動式クレーン1において、追加ウエイト12A1,12B1が、メインウエイト11に内側から連結され、ベースフレーム14上にサブウエイト12A2,12B2が設置されている場合、メインウエイト11の外側から追加ウエイト12A1,12B1又はサブウエイト12A2,12B2が連結される場合と比べて、移動式クレーン1の車幅が狭い。このため、通過可能な車幅が制限される箇所でも、移動式クレーン1は容易に通過可能である。
【0040】
また、本実施形態では、移動式クレーン1において、追加ウエイト12A1,12B1が、メインウエイト11の外側から連結される。メインウエイト11の内側から追加ウエイト12A1,12B1が連結されていない状態では、伸縮ブーム7をメインウエイト11の溝11Bに挿入できる。この場合、伸縮ブーム7が溝11Bに挿入されない場合に比べて移動式クレーン1の車高が低い。このため、伸縮ブーム7が溝11Bに挿入された状態で作業現場を移動式クレーン1が移動することにより、通過可能な車高が制限される箇所でも、移動式クレーン1は容易に通過可能である。
【0041】
また、本実施形態では、サブウエイト12A2,12B2は、フレーム上面141上に設置された状態において、フレーム142A~142Dにより周囲を囲まれる。サブウエイト12A2,12B2は、長側面12A21,12B21同士が接触(当接)し、かつ、短側面12A23,12B23が、フレーム142Aの後方側を向く面に接触している。これにより、サブウエイト12A2,12B2が位置決めされるとともに、旋回体3が旋回しても、サブウエイト12A2,12B2と旋回体3とが、接触しない。
【0042】
また、本実施形態では、ベースフレーム14が走行車体2上に設置され、かつ、サブウエイト12A2,12B2がベースフレーム14上に設置される。フック171は、係合部143A,143Bに取付けられる。フック171に取付けられたバンド173は、サブウエイトの上面12A22,12B22に接触した状態で配置される。これにより、バンド173は、サブウエイトの上面12A22,12B22を鉛直上側から押圧可能である。また、サブウエイト12A2,12B2の底面は、フレーム上面141を押圧可能である。そのため、サブウエイト12A2,12B2は、バンド173によりベースフレーム14に固縛可能である。これにより、サブウエイト12A2,12B2が、移動式クレーン1から脱落することを防止可能である。
【0043】
また、本実施形態では、サブウエイト12A2,12B2をベースフレーム14に設置しない場合、ベースフレーム14に敷板18を設置可能である。敷板18は、フレーム142A~142D、第1の敷板固定部材15、第2の敷板固定部材16により、フレーム上面141に固定される。これにより、移動式クレーン1は、敷板18を搭載した状態で走行できるため、移動式クレーン1の機能性が向上する。
【0044】
なお、本願発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。
【符号の説明】
【0045】
1…移動式クレーン、2…走行車体、3…旋回体、10…カウンタウエイト、11…メインウエイト、11A…ウエイト設置部、12A2…サブウエイト、12B2…サブウエイト、14…ベースフレーム。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13