(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-14
(45)【発行日】2023-08-22
(54)【発明の名称】導光ダクト
(51)【国際特許分類】
F21S 11/00 20060101AFI20230815BHJP
G02B 6/00 20060101ALI20230815BHJP
【FI】
F21S11/00 200
G02B6/00 331
(21)【出願番号】P 2019179632
(22)【出願日】2019-09-30
【審査請求日】2022-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浅野 翔平
【審査官】塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-032654(JP,A)
【文献】特開2000-149628(JP,A)
【文献】特開2009-295355(JP,A)
【文献】実開昭59-101217(JP,U)
【文献】米国特許第09644808(US,B1)
【文献】特開2018-133205(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21K 9/00- 9/90
F21S 2/00-45/70
G02B 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内の天井に配置され、一端側から光が導入される導光通路が形成されたダクト本体部と、
前記導光通路に沿った導光方向に対して傾斜した状態で前記導光通路に配置され、前記導光通路に導入された光を反射させる反射部と、
前記ダクト本体部に取り付けられ、前記反射部で反射した光を前記室内に放光させる放光部と、を備えた導光ダクトであって、
前記反射部は、前記導光方向に沿って、間隔をあけて複数配置されており、
複数の前記反射部のうち、前記一端側から前記導光方向に沿って最も離れた最端の反射部に、前記一端側から前記導光方向に沿って導入された光が到達するように、前記最端の反射部を除いた前記反射部には、前記導光通路に導入された光が透過する透過部が形成されて
おり、
前記各反射部は、前記導光通路の対向する壁部間に延在した複数の反射片を備えており、前記各反射片は、導入された光を反射する反射面を有しており、前記反射面は、前記放光部に向くように、前記導光方向に対して傾斜しており、
前記透過部は、前記導光方向と直交する直交平面に、前記各反射部の反射片を投影した際に、前記複数の反射片を一方向に間隔を空けて配置することにより、前記反射片同士の間に形成された複数のスリットであり、
前記導光方向と直交する直交平面に、前記各反射部の前記反射面を投影した際に、前記各反射部の前記反射面の総面積は、前記一端側から前記導光方向に進むに従って大きくなっており、
前記導光方向と直交する直交平面に、前記各反射部の前記複数のスリットを投影した際に、前記各反射部の前記複数のスリットの総面積は、前記一端側から前記導光方向に進むに従って小さくなるように、前記各反射部に形成された各スリットの幅は、前記一端側から前記導光方向に進むに従って狭くなり、前記各反射部に形成された前記各スリットは、前記導光方向に沿って前記複数の反射部を視たときに、重なり部分を有することを特徴とする、導光ダクト。
【請求項2】
室内の天井に配置され、一端側から光が導入される導光通路が形成されたダクト本体部と、
前記導光通路に沿った導光方向に対して傾斜した状態で前記導光通路に配置され、前記導光通路に導入された光を反射させる反射部と、
前記ダクト本体部に取り付けられ、前記反射部で反射した光を前記室内に放光させる放光部と、を備えた導光ダクトであって、
前記反射部は、前記導光方向に沿って、間隔をあけて複数配置されており、
複数の前記反射部のうち、前記一端側から前記導光方向に沿って最も離れた最端の反射部に、前記一端側から前記導光方向に沿って導入された光が到達するように、前記最端の反射部を除いた前記反射部には、前記導光通路に導入された光が透過する透過部が形成されて
おり、
前記各反射部は、前記導入された光を反射する反射面を有した反射板であり、前記反射面は、前記放光部に向くように、前記反射面が前記導光方向に対して傾斜しており、
前記透過部は、前記反射板に形成された複数の貫通孔であり、
前記導光方向と直交する直交平面に、前記各反射板の光が反射する反射面を投影した際に、前記各反射板の前記反射面の面積は、前記一端側から前記導光方向に進むに従って大きくなっており、
前記導光方向と直交する直交平面に、前記各反射板の貫通孔を投影した際に、前記各反射板の前記貫通孔の総面積は、前記一端側から前記導光方向に進むに従って小さくなるように、前記各反射板に形成された前記各貫通孔の大きさは、前記一端側から前記導光方向に進むに従って小さくなっており、前記各反射板に形成された前記各貫通孔は、前記導光方向に沿って前記複数の反射板を視たときに、重なり部分を有することを特徴とする、導光ダクト。
【請求項3】
前記各反射部と前記放光部との間には、
スリット状の隙間が形成されていることを特徴とする請求項1
または2に記載の導光ダクト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダクト本体部に導入した光を室内に放光することができる導光ダクトに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ダクト本体部に自然光などの光を取り込み、取り込んだ光を室内に放光させる導光ダクトが利用されている。このような導光ダクトとして、例えば、特許文献1には、採光口から取り入れた自然光を、内面が反射材で形成されたダクト本体部により室内に導き、ダクト本体部に形成された光取り出し口から放光することにより、室内を照明する導光ダクトが提案されている。
【0003】
この導光ダクトの光取り出し口は、ダクト本体部の導光方向に沿って、複数配列されており、各光取り出し口の開口面積は、採光口からダクト本体部の導光方向に進むに従って、大きくなっている。さらに、採光口から導光通路の導光方向に沿った終端部には、ダクト本体部内の光を室内に反射する反射板が配置されている。
【0004】
特許文献1に記載の導光ダクトによれば、導光ダクトの光取り出し口の開口面積を、採光口からダクト本体部の導光方向に進むに従って大きくすることにより、ダクト本体部の導光方向に沿って光取り出し口から放光される光量をより均一にすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の導光ダクトに導入される光は、ダクト本体部の導光方向に沿って直進する光束も多く、光取り出し口の開口面積を変更しただけでは、光取り出し口から放光される光の光量は均一なものにはなり難い。特に、採光口に近い光取り出し口からの光は、まぶしく感じることがある。さらに、ダクト本体部の導光方向に直進する光束量が多いと、この光束量の光が反射板を反射し、ダクト本体部の終端部近傍も、他の部分に比べてまぶしく感じることがある。
【0007】
本発明は、このような点を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、導光ダクトから室内に放光される光の光量を、ダクト本体部の導光方向に沿って、より均一に放光し、局所的にまぶしく感じることを低減することができる導光ダクトを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を鑑みて、本発明に係る導光ダクトは、室内の天井に配置され、一端側から光が導入される導光通路が形成されたダクト本体部と、前記導光通路に沿った導光方向に対して傾斜した状態で、前記導光通路に配置され前記導光通路に導入された光を反射させる反射部と、前記ダクト本体部に取り付けられ、前記反射部で反射した光を前記室内に放光させる放光部と、を備えた導光ダクトであって、前記反射部は、前記導光方向に沿って、間隔をあけて複数配置されており、複数の前記反射部のうち、前記一端側から前記導光方向に沿って最も離れた最端の反射部に、前記一端側から前記導光方向に沿って導入された光が到達するように、前記最端の反射部を除いた前記反射部には、前記導光通路に導入された光が透過する透過部が形成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、ダクト本体部の一端側から導光通路に導入された光は、ダクト本体部に形成された導光通路に沿って進行する。この際に、導光通路において一部の光は反射部で反射し、反射した光は放光部に向かい、放光部から室内に放光される。また、反射部には、光が透過する透過部が設けられており、反射部で反射しなかった光は、透過部を通過し、次の反射部に到達する。これにより、次の反射部に到達した光の一部が反射部で反射し、反射しなかった光は透過部を通過し、さらに次の反射部に到達する。このようにして、ダクト本体部の導光方向に沿って導入した光を、各反射部に反射させることにより、均一な光量で室内に放光することができる。
【0010】
ここで、各反射部に設けられた透過部の総面積と、反射部の光が反射する反射面の総面積とは、同じであってもよいが、より好ましい態様としては、前記導光方向と直交する直交平面に、前記各反射部の透過部を投影した際に、前記各反射部の前記透過部の総面積は、前記一端側から前記導光方向に進むに従って小さくなっている。さらに好ましい態様としては、前記導光方向と直交する直交平面に、前記各反射部の光が反射する反射面を投影した際に、前記各反射部の前記反射面の総面積は、前記一端側から前記導光方向に進むに従って大きくなっている。
【0011】
この態様によれば、各反射部の前記透過部の総面積は、ダクト本体部の一端側から導光方向に進むに従って小さくなっているので、ダクト本体部に導入された光の光束量が、各反射部の透過部を通過する際に極端に減少することを抑えることができる。これにより、各反射部により均一な光束量の光を入射することができる。さらに、このことを前提として、各反射部の反射面の総面積が、ダクト本体部の一端側から導光方向に進むに従って大きくなっているので、導光方向に沿って光束量が減少した光を、導光方向に進むに従ってより広い面積の反射面で反射させ、放光部を介して室内に放光することができる。このような結果、ダクト本体部の導光方向に沿って、より均一な光量で室内に放光することができる。
【0012】
より好ましい態様としては、前記各反射部に形成された前記透過部は、前記導光方向に沿って前記複数の反射部を視たときに、重なり部分を有する。この態様によれば、各反射部の透過部に重なり部分を設けることにより、最端の反射部まで到達する導光方向を直進する光の光束量を確保することができ、ダクト本体部の導光方向に沿って、放光部から、より均一な光量で光を放光することができる。
【0013】
より好ましい具体的な態様としては、前記反射部は、前記導光通路の対向する壁部間に延在した複数の反射片を備えており、前記透過部は、前記反射片との間に形成されたスリットであり、前記各反射部に形成されたスリットの幅は、前記一端側から前記導光方向に進むに従って狭くなっている。
【0014】
この態様によれば、各反射部は、複数の反射片を備えているので、各反射片に入射した光を、放光部に向かって反射させることができ、放光部で面発光させることができる。また、反射片の間に形成されたスリット幅を、導光方向に進むに従って狭くしたので、最端の反射部まで、導光方向を通過する光の光束量を段階的に減少させることができるため、各反射部では、スリットにより調整された光束量の光を反射させ、放光部を介して室内に放光することができる。
【0015】
より好ましい態様としては、前記反射部は、反射板であり、前記透過部は、前記反射板に形成された貫通孔であり、前記各反射部に形成された貫通孔の大きさは、前記一端側から前記導光方向に進むに従って小さくなっている。
【0016】
この態様によれば、各反射部は、反射板であるので、各反射板に入射した光を、放光部に向かって反射させることができ、放光部で面発光させることができる。また、反射板に形成された貫通孔の大きさを、導光方向に進むに従って小さくしたので、最端の反射部まで、導光方向を通過する光の光束量を段階的に減少させることができる。このため、各反射部では、貫通孔により調整された光束量の光を反射させ、放光部を介して室内に放光することができる。
【0017】
より好ましい態様としては、前記各反射部と前記放光部との間には、隙間が形成されている。この態様によれば、反射部と放光部とが接触していると、反射部に接触した放光部の部分から放光されず、この部分が暗くなり易いが、この態様では、各反射部と放光部との間には、隙間が形成されているため、放光部が部分的に暗くなることを抑えることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、導光ダクトから室内に放光される光の光量を、ダクト本体部の導光方向に沿って、より均一に放光し、局所的にまぶしく感じることを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る導光ダクトを設置した状態の模式的断面図である。
【
図2】
図1に示す導光ダクトの模式的斜視図である。
【
図3】(a)~(d)は、
図2に示す導光ダクトの各反射部を直交平面に投影した模式図である。
【
図4】第2実施形態に係る導光ダクトの模式的斜視図である。
【
図5】(a)~(d)は、
図4に示す導光ダクトの各反射部を直交平面に投影した模式図である。
【
図6】第3実施形態に係る導光ダクトの模式的斜視図である。
【
図7】(a)~(d)は、
図6に示す導光ダクトの各反射部を直交平面に投影した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る導光ダクト10を設置した状態の模式的断面図である。
図2は、
図1に示す導光ダクト10の模式的斜視図である。
図3(a)~(d)は、
図2に示す導光ダクト10の各反射部を直交平面に投影した模式図である。なお、
図2は、ダクト本体部11の上壁部11dを省略した斜視図である。
【0021】
図1に示すように、導光ダクト10は、建物1の室内RIの天井(天井構造)5に配置されるものである。本実施形態では、導光ダクト10は、外壁2に取り付けられた採光窓3の近傍に配置されており、室外RO側から室内RI側に延在している。
【0022】
建物1の室内RIには、床下地4に床材4aが敷設されている。本実施形態では、室内RIの天井構造5は、室内RIを区画することができるのであれば、特にその構造は限定されるものではなく、直天井構造、吊り天井構造、システム天井構造、折上げ天井構造等を挙げることができる。
図1には、その一例として吊り天井構造を例示している。本実施形態では、天井構造5は、吊り具52により吊るされた野縁受け51と、野縁受け51と交差して取り付けられた野縁53とを備えている。野縁受け51と野縁53により天井下地を形成し、この天井下地に導光ダクト10が取り付けられており、その他の部分には、天井パネル(図示せず)が配置されている。
【0023】
図1に示すように、導光ダクト10の一端は、採光窓3に面して開口しており、導光ダクト10には、自然光が導入される。本実施形態では、導光ダクト10に自然光を導入したが、例えば、導光ダクト10(後述するダクト本体部11)の一端に照明器具を配置し、照明器具を発光させることにより、導光ダクト10に照明による人工光を導入してもよい。この場合には、ダクト本体部11の導光方向に、指向性の強い光を導入することができるため、後述する導光ダクト10による効果をより一層発現することができる。
【0024】
導光ダクト10は、ダクト本体部11と、複数の(具体的には5つの)反射部12A~12Eと、放光部17とを備えている。ダクト本体部11の内部には、導入された光が通過する導光通路11aが形成されている。導光通路11aは、通路断面が矩形状であり、ダクト本体部11の一対の側壁部11bと、一対の側壁部11bを繋ぐ上壁部11dにより形成されている。ここで、導光通路11aは、導光ダクト10内において、光Lが進行する方向であり、ダクト本体部11の一端側から他端側に向かう方向である。
【0025】
ダクト本体部11の導光方向Aに沿った一端側は開口しており、その一端から導光通路11aに光Lを導入することができる。ダクト本体部11を構成する側壁部11bと上壁部11dは、光Lが非透過な材料で構成され、導光通路11aに面した側壁部11bおよび上壁部11dの内壁面は、光Lが反射可能なアルミニウムまたはステンレスなどの金属からなる。これにより、導光通路11aを通過する光Lを内壁面に反射させることができるため、ダクト本体部11に一端側から他端側まで、効率良く光Lを通過させることができる。
【0026】
複数の反射部12A~12Eは、ダクト本体部11が延在する導光方向に対して傾斜した状態で、ダクト本体部11の内部(具体的には導光通路11a)に配置され、導光通路11aに導入された光Lを反射させるものである。
【0027】
反射部12A~12Eは、ダクト本体部11の導光方向に沿って、間隔をあけて5つ配置されている。本実施形態では、各反射部12A~12Eは、入射した光Lが反射部12A~12Eで下方にある放光部17に向かって反射するように、ダクト本体部11の導光方向に対して(光Lの進行方向に対して)下方に傾斜して配置されている。なお、本実施形態では、反射部12A~12Eは、その一例として、ダクト本体部11の導光方向に対して、45°で傾斜して配置されているが室内RO側に光Lを反射することができるのであれば、傾斜角度は限定されるものではない。反射部12A~12Eのうち、少なくとも光Lが反射する反射面は、アルミニウムまたはステンレスなどの金属からなる。したがって、反射部12A~12Eが金属製であってもよく、反射面に金属フィルム等を被覆してもよい。
【0028】
放光部17は、ダクト本体部11の下方の開口した部分に取り付けられており、反射部12A~12Eで反射した光を室内RIに放光させる板状の部材である。例えば、放光部17は、一般的な照明器具のカバーに使用される材質である。放光部17は、たとえば、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、乳白ガラスなどが光Lを拡散することができる材料からなることが好ましく、光透過性を有する材料であれば、特に限定されない。
【0029】
本実施形態では、複数の反射部12A~12Eのうち、最端の反射部12Eを除いた複数の反射部12A~12Dには、導光通路11aに導入された光Lが透過する複数の透過部であるスリット15A~15Dが形成されている。より具体的には、スリット15A~15Eは、ダクト本体部11の一端側からその導光方向に沿って最も離れた最端の反射部12Eに、導入された光Lが到達するように、複数の反射部12A~12Dに形成されている。したがって、ダクト本体部11の一端側から導光方向に沿って最も離れた最端の反射部12Eは、スリット等の透過部が形成されていない反射板である。
【0030】
さらに、反射部12A~12Eごとに、反射部12A~12Eと放光部17との間には、隙間Sが形成されている。たとえば、各反射部12A~12Eと放光部17との間に形成された隙間Sにも、光が透過するため、各反射部12A~12Eの縁部に近い放光部17の部分が、暗くなることを抑えることができる。
【0031】
本実施形態では、
図2および
図3に示すように、各反射部12A~12Dは、導光通路11aの対向する側壁部11b、11b間に延在した複数の反射片13A~13Dを備えている。本実施形態では、反射片13A~13Dとの間には、透過部であるスリット15A~15Dが形成されている。スリット15A~15Dは、導光通路11aの幅方向に沿って形成されるため、スリット15A~15Dを介して、導光通路11aの幅方向にわたって、光Lを透過させることができる。
【0032】
本実施形態では、各反射部12A~12Dに形成されたスリット15A~15Dは、
図3(a)~(d)の直線上の仮想線(一点破線)を含むように形成されている。したがって、各スリット15A~15Dは、導光方向に沿って複数の反射部12A~12Dを視たときに、重なり部分を有することになる。これにより、反射部12Aから最端の反射部12Eまで到達する導光方向を直進する光Lの光束量を確保することができ、ダクト本体部11の導光方向に沿って、放光部17から、より均一な光量で光を放光することができる。
【0033】
さらに、
図3(a)~(d)に示すように、各反射部12A~12Dに形成されたスリットの幅は、ダクト本体部11の導光方向に進むに従って狭くなっている。例えば、ダクト本体部11の一端側の反射部12Aは、複数の反射片13A、13A、…により構成されており、各反射片13Aは、水平方向に延在しており、ダクト本体部11の側壁部11b、11b間をわたすように、ダクト本体部11に取り付けられている。各反射片13A、13Aの間には、複数のスリット15Aが形成されている。
【0034】
同様に、反射部12Aからダクト本体部11の導光方向に進んだ、次の反射部12Bも、複数の反射片13B、13B、…により構成されており、各反射片13Bも同様にダクト本体部11に取り付けられている。ただし、反射部12Bのスリット15Bの幅は、スリット15Aの幅よりも狭い。このようにして、反射部12Aから反射部12Dまでの順に、スリット幅の狭くなっている。
【0035】
ここで、
図3(a)~(d)に示すように、ダクト本体部11の導光方向と直交する直交平面に、各反射部12A~12Dのスリット(透過部)15A~15Dおよび各反射部12A~12Dの光Lが反射する反射片13A~13Dの反射面13a~13dを投影する。上述したようなスリット15A~15Dの幅の関係を満たすことにより、直交平面に投影された反射部12A~12Dごとのスリット15A~15Dの総面積は、導光方向に進むに従って小さくなっている。さらに、本実施形態では、ダクト本体部11に形成された導光通路11aの通路断面が導光方向に沿って略同じであり、各反射片13A~13Dの傾斜角度も略等しいことから、直交平面(通路断面)に投影された各反射部12A~12Dの反射面13aの総面積は、導光方向に進むに従って大きくなっている。
【0036】
本実施形態によれば、ダクト本体部11の一端側から導光通路11aに導入された光Lは、ダクト本体部11の導光方向に沿って進行する。この際に、導光通路11aにおいて一部の光Lは反射部12A~12Dで反射し、反射した光Lは放光部17に向かい、放光部17から室内RIに放光される。
【0037】
反射部12A~12Dには、光Lが透過する透過部としてスリット15A~15Dが設けられているので、各反射部12A~12Dで反射しなかった光Lは、スリット15A~15Dを通過し、導光方向に沿った次の反射部12B~12Eに到達する。これにより、次の反射部12B~12Eに到達した光Lの一部が反射部12B~12Eで反射する。これらのうちスリット15B~15Dが形成された反射部12B~12Dでは、反射しなかった光Lは各スリット15B~15Dを通過し、さらに次の反射部12C~12Eに到達する。このようにして、ダクト本体部11の導光方向に沿って導入した光Lを、各反射部12A~12Eで反射させ、放光部17を介して、均一な光量で室内RIに放光することができる。
【0038】
特に、本実施形態では、各反射部12A~12Dのスリット15A~15Dの総面積は、ダクト本体部11の導光方向に進むに従って小さくなっているので、ダクト本体部11に導入された光Lの光束量が、各反射部12A~12Dのスリット15A~15Dを通過する際に極端に減少することを抑えることができる。これにより、各反射部12A~12Eにより均一な光束量の光Lを入射することができる。
【0039】
さらに、各反射片13A~13Dの反射面13a~13dの総面積が、導光方向に進むに従って大きくなっているので、導光方向に沿って光束量が減少した光を、導光方向に進むに従ってより広い面積の反射面で反射させることができる。これにより、放光部17を介して室内RIに放光することができ、ダクト本体部11の導光方向に沿って、より均一な光量で室内RIに放光することができる。
【0040】
このようにして、第1実施形態に係る導光ダクト10によれば、導光ダクト10から室内R1に放光される光の光量を、ダクト本体部11の導光方向に沿って、より均一に放光し、局所的にまぶしく感じることを低減することができる。
【0041】
〔第2実施形態〕
以下に、
図4および
図5を参照しつつ、第2実施形態に係る導光ダクト10を説明する。
図4は、第2実施形態に係る導光ダクト10の模式的斜視図である。
図5(a)~(d)は、
図4に示す導光ダクト10の各反射部12A~12Dを直交平面に投影した模式図である。本実施形態が、第1実施形態と異なる点は、反射部12A~12Dの構成である。したがって、第1実施形態と同じ構成は、その詳細な説明を省略する。
【0042】
本実施形態では、反射部12A~12Eは、反射板13A’~13E’であり、反射部12A~12Dに光Lが透過する透過部は、反射板13A’~13D’に形成された貫通孔15A’~15D’である。本実施形態では、貫通孔15A’~15D’は、大きさの異なる円形の貫通孔であるが、光Lを透過することができるのであれば、矩形状、楕円形状、多角形状の貫通孔であってもよい。
【0043】
本実施形態では、反射板13A’~13E’は、矩形状の金属製の板材であり、放光部17に対して隙間Sを空けて、ダクト本体部11に形成された導光通路11aを覆うように配置されている。反射板13A’~13E’は、第1実施形態の反射片13A~13Dおよび反射部12Eと同様に、ダクト本体部11の導光方向に対して、傾斜するように配置されている。
【0044】
本実施形態では、貫通孔15A’~15D’の大きさは、ダクト本体部11の導光方向に進むに従って小さくなっている。具体的には、貫通孔15A’~15D’は、この順に、径が大きい円形状の貫通孔である。本実施形態では、各反射部12A~12Dに形成された貫通孔15A’~15D’は、
図5(a)~(d)に示すように、導光方向に沿って複数の反射部12A~12Dを視たときに、同じ中心から形成された円形状の貫通孔であり、重なり部分を有する。これにより、導光方向に沿って反射部12Aを視たときに、反射部12Aの貫通孔15A’を介して、反射部12B~12Dまでの貫通孔15B’~15D’を視認することができる。これにより、反射部12Aから最端の反射部12Eまで到達する導光方向を直進する光Lの光束量を確保することができ、ダクト本体部11の導光方向に沿って、放光部17から、より均一な光量で光を放光することができる。
【0045】
ここで、
図5(a)~(d)に示すように、ダクト本体部11の導光方向と直交する直交平面に、各反射部12A~12Dの貫通孔15A’~15D’および各反射部12A~12Dの光Lが反射する反射板13A’~13D’の反射面13a~13dを投影する。上述したような貫通孔15A’~15D’の大きさの関係を満たすことにより、直交平面に投影された反射部12A~12Dごとの貫通孔15A’~15D’の総面積は、導光方向に進むに従って小さくなっている。さらに、本実施形態では、ダクト本体部11に形成された導光通路11aの通路断面が導光方向に沿って略同じであり、各反射板13A’~13D’の傾斜角度も略等しいことから、直交平面に投影された反射部12A~12Dごとの反射面13a~13dの面積(
図5(a)~(d)のハッチング部分の面積)は、ダクト本体部の導光方向に進むに従って大きくなっている。
【0046】
このように構成することにより、以下に示す効果をさらに期待することができる。各反射部12A~12Eは、反射板13A’~13E’であるので、各反射板13A’~13E’に入射した光Lを、放光部17に向かって反射させることができ、放光部17で面発光させることができる。また、反射板13A’~13D’に形成された貫通孔15A’~15D’の大きさを、導光方向に進むに従って小さくしたので、最端の反射部12Eまで、導光方向を通過する光Lの光束量を段階的に減少させることができる。このため、各反射部12A~12Eでは、貫通孔15A’~15D’により調整された光束量の光を反射させ、放光部17を介して室内に放光することができる。
【0047】
第2実施形態に係る導光ダクト10であっても、導光ダクト10から室内R1に放光される光の光量を、ダクト本体部11の導光方向に沿って、より均一に放光し、局所的にまぶしく感じることを低減することができる。
【0048】
〔第3実施形態〕
以下に、
図6および
図7を参照しつつ、第3実施形態に係る導光ダクト10を説明する。
図6は、第3実施形態に係る導光ダクト10の模式的斜視図である。
図7(a)~(d)は、
図6に示す導光ダクト10の各反射部12A~12Dを直交平面に投影した模式図である。本実施形態が、第1実施形態と異なる点は、反射部12A~12Eの構成と、放光部17の取り付け位置である。したがって、第1実施形態と同じ構成は、その詳細な説明を省略する。
【0049】
図6および
図7に示すように、各反射部12A~12Dは、導光通路11aの対向する上壁部11dおよび下壁部11fの間に延在した複数の反射片13A~13Dにより構成されている。本実施形態では、反射片13A~13Dとの間には、透過部であるスリット15A~15Dが形成されている。したがって、本実施形態では、スリット15A~15Dは上下方向に沿って形成されている。
【0050】
なお、スリット15A~15Dの幅は、導光方向に進むに従って狭くなっており、これにより、
図7(a)~(d)に示すように、反射部12A~12Dごとのスリット15A~15Dの総面積は、導光方向に進むに従って小さくなる。さらに、反射部12A~12Dごとの反射片13A~13Dの反射面13a~13dの総面積は、導光方向に進むに従って大きくなっている。これに加えて、スリット15A~15Dは、導光方向に沿って複数の反射部12A~12Dを視たときに、重なり部分を有することになる。このように構成することにより、第1実施形態の導光ダクト10と同様の効果を期待することができる。
【0051】
さらに、本実施形態では、各反射部12A~12Dを構成する反射片13A~13Dおよび反射部12Eは、導光通路11aの導光方向に沿った中心線を挟んで、水平方向の反対側を向くように、傾斜している。これにより、反射片13A~13Dを反射した光は、ダクト本体部11の両側に向かい、導光ダクト10の両側の側壁部に相当する放光部17、17で発光させることできる。
【0052】
なお、本実施形態では、各放光部17と反射部12A~12Eとは接触しているが、第1実施形態および第2実施形態の導光ダクト10と同様に、これらの間に隙間を形成してもよい。
【0053】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
【0054】
第1~第3実施形態では、導光ダクトに反射部を5つ設けたが、反射部の個数は、導光ダクトの仕様により、適宜個数を決定することができ、これらの個数に限定されるものではない。
【0055】
第1~第3実施形態では、1つの反射部に対して複数の透過部(スリットまたは貫通孔)を設けたが、反射部の反射面による光の反射と、反射部の透過部による光の透過とにより、導光通路内の光束量を調整できるのであれば、1つの反射部に対して、1つの透過部のみが設けられていてもよく、第1~第3の実施形態に示す透過部の個数と異なる複数の透過部が、1つの反射部に設けられていてもよい。
【0056】
第1~第3実施形態では、透過部は、スリットまたは貫通孔などの空隙であったが、例えば、透過部は、導光通路内の光が通過すればよいことから、ガラス、または樹脂等の光透過性を有した部材で構成されていてもよい。
【0057】
さらに、第1~第3実施形態では、最端の反射部には、スリットおよび貫通孔等の透過部を設けなかったが、たとえば、ダクト本体部の他端側の端壁部に放光部を設け、最端の反射部にさらに透過部を設けてもよい。
【符号の説明】
【0058】
10:導光ダクト、11:ダクト本体部、11a:導光通路、11b:側壁部、11d:上壁部、11e:底壁部、12A~12E:反射部、13A~13D:反射片、13A’~13D’:反射板、15A~15D:スリット(透過部)、15A’~15D’:貫通孔(透過部)、17:放光部