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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-14
(45)【発行日】2023-08-22
(54)【発明の名称】軌条点検装置
(51)【国際特許分類】
   B61K 9/08 20060101AFI20230815BHJP
   E01B 35/04 20060101ALI20230815BHJP
   G01B 21/00 20060101ALI20230815BHJP
   G01B 21/02 20060101ALI20230815BHJP
【FI】
B61K9/08
E01B35/04
G01B21/00 R
G01B21/02 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019208484
(22)【出願日】2019-11-19
(65)【公開番号】P2021079812
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390021669
【氏名又は名称】椿本興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】中尾 勇貴
(72)【発明者】
【氏名】福田 隆正
(72)【発明者】
【氏名】足立 英明
(72)【発明者】
【氏名】岩下 篤
(72)【発明者】
【氏名】秦野 淳
(72)【発明者】
【氏名】朝日 慎
(72)【発明者】
【氏名】望月 健吾
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-315304(JP,A)
【文献】特開平09-268506(JP,A)
【文献】特開2019-099104(JP,A)
【文献】特開2010-230527(JP,A)
【文献】特開2017-197918(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第1480587(CN,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0021932(KR,A)
【文献】特開2019-035682(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61K 9/08
E01B 35/04
G01B 21/00
G01B 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
土台にレールを固定するボルトの緩みを点検する軌条点検装置であって、
前記レール上を走行する台車と、
前記台車の下部に取り付けられた距離センサーと、
前記距離センサーの計測結果を解析する解析手段と、
前記解析手段の解析結果を表示する表示手段と、を備えており、
前記距離センサーは、前記ボルトの頂面と前記土台の上面の高さを測定し、
前記解析手段は、前記ボルトの頂面と前記土台の上面との高低差を算出するとともに、前記高低差が予め設定された閾値以上であるか否かを判定し、
前記表示手段は、前記高低差とともに前記閾値に対する前記高低差の判定結果を表示することを特徴とする、軌条点検装置。
【請求項2】
前記距離センサーは、前記ボルトの頂面と当該ボルトの前後における前記土台の上面とを連続的に測定することを特徴とする、請求項1に記載の軌条点検装置。
【請求項3】
前記土台は、上下のフランジと前記フランジ同士を連結するウェブを備えた鋼材からなり、
前記ボルトは、上側の前記フランジの上方から当該フランジの下面に設けられたナットに螺合されていて、
前記ボルトの頭部とレールクリップとの間には弾性材が介設されており、
前記距離センサーは、前記弾性材の弾性力により押し上げられた前記ボルトの頂面の高さを測定することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の軌条点検装置。
【請求項4】
前記土台は、上下のフランジと前記フランジ同士を連結するウェブを備えた鋼材からなり、
前記ボルトは、上側の前記フランジの上方から当該フランジの下面に固定されたナットに螺合されていて、
前記距離センサーは、前記ボルトが緩むことにより上側に浮き上がった前記ボルトの頂面の高さを測定することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の軌条点検装置。
【請求項5】
前記高低差が前記閾値以上である場合にマーキングを行うマーカー手段を備えていることを特徴とする、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の軌条点検装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軌条点検装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トンネル工事では、掘削土の搬出、機材等の搬入、作業員の輸送等を目的として、レールを走行する台車を使用する場合がある。レールは、坑内に敷設された複数の土台(枕木も含む)上に載置し、ボルト等からなる締結具を利用して土台に固定する。台車走行時の振動等によりレールの締結具に緩みが生じるおそれがあるため、レールを固定するボルトは、定期的に点検する必要がある。
締結具(ボルト)の緩みを調査する方法としては、検査員が軌条に沿って移動しながらハンマー等による打音調査や目視により確認するのが一般的である。ところが、多数設置されたボルトを個々に調査するには、多大な労力と時間がかかる。また、トンネル工事等で使用する軌条の検査は、工事の進捗に支障をきたすことがないように、限られた時間内に調査を実施する必要があるため、トンネル延長(軌条延長)が長い場合には検査員を増員する必要がある。
そのため、レールを走行しながらレール締結具の緩みを調査する点検装置が開発されている。例えば、特許文献1には、レーザー光を利用して、ボルトまたはナットの頂面およびレールの上面の高さを測定し、このボルトまたはナットの頂面とレールの上面との高低差によりボルトの緩みを点検する緩み検査装置が開示されている。
ところが、締結具に緩みが生じている場合、点検装置(台車等)が走行する際の振動によりレールにずれが生じる場合や、締結具の緩みに伴ってレールが浮き上がる場合があるため、ボルトの緩みを精度よく検出することができないおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-230527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、レールを固定する締結具の緩みを的確に検出することを可能とした軌条点検装置を提案することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するための本発明は、土台(枕木も含む)にレールを固定するボルトの緩みを点検する軌条点検装置であって、レール上を走行する台車と、前記台車の下部に取り付けられた距離センサーと、前記距離センサーの計測結果を解析する解析手段と、前記解析手段の解析結果を表示する表示手段とを備えるものである。前記距離センサーは前記ボルトの頂面と前記土台の上面の高さを測定し、前記解析手段は前記ボルトの頂面と前記土台の上面との高低差を算出するとともに前記高低差が予め設定された閾値以上であるか否かを判定し、前記表示手段は前記高低差とともに前記判定結果を表示する。
かかる軌条点検装置によれば、レール上を走行する台車に設置された距離センサーにより測定を行うため、検査員がボルト毎に調査する場合に比べて労力と時間を短縮できる。また、ボルトの頂面と土台の上面との高低差によりボルトの緩みを検出するため、レールの浮き上がりやズレ等が測定に判定に影響することがなく、的確にボルトの緩みを検出することができる。
【0006】
なお、前記距離センサーは、前記ボルトの頂面と当該ボルトの前後における前記土台の上面とを連続的に測定するのが望ましい。かかる軌条点検装置によれば、一台の距離センサーを利用してボルトの頂面および土台の上面を測定することができる。そのため、ボルト計測用の距離センサーと土台計測用の距離センサーとを別々に用意する必要がない。
【0007】
また、前記土台が上下のフランジと前記フランジ同士を連結するウェブを備えた鋼材からなり、前記ボルトは上側の前記フランジの上方から当該フランジの下面に設けられたナットに螺合されていて、前記ボルトの頭部とレールクリップとの間には弾性材が介設されている場合には、前記距離センサーは、前記弾性材の弾性力により押し上げられた前記ボルトの頂面の高さを測定する。
また、前記土台が上下のフランジと前記フランジ同士を連結するウェブを備えた鋼材からなり、前記ボルトは上側の前記フランジの上方から当該フランジの下面に固定されたナットに螺合されている場合には、前記距離センサーは、前記ボルトが緩むことにより上側に浮き上がった前記ボルトの頂面の高さを測定する。
かかる軌条点検装置によれば、ボルトが緩んだ際に、土台に対して浮き上がるようにボルトが設置されているため、ボルトの頂面と土台の上面との高低差によりボルトの緩みを的確に把握することができる。
前記高低差が前記閾値以上である場合にマーキングを行うマーカー手段を備えていれば、緩みが生じた締結具の位置を把握しやすい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の軌条点検装置によれば、土台とボルトとの位置関係によりボルトの緩みを測定するため、レールのズレなどが影響することがない。そのため、レールを走行する台車を利用して、レールを固定する締結具の緩みを的確に検出することが可能となる。その結果、レールの締結具の点検に要する手間と時間を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る軌条点検装置の概要を示す側面図である。
図2】レールと土台とを示す図であって、(a)は横断図、(b)は側面図である。
図3】軌条点検装置の概要を示す模式図である。
図4】距離センサーを示す横断図である。
図5】表示手段の概要を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第一実施形態>
第一実施形態では、施工中のトンネル内に敷設されたレール2の締結具21の緩みを検出し、締め直す場合について説明する。締結具21の緩みの検出には、図1に示すように、軌条点検装置1を使用する。
締結具21は、図2(a)および(b)に示すように、土台22にレール2を固定するものである。本実施形態のレール2は、いわゆる平底レールであって、脚部2aが頭部2bよりも幅広な板状を呈している。なお、レール2は平底レールに限定されるものではなく、例えば、橋型レール、双頭レール、牛頭レールであってもよい。レール2は、トンネルの延長方向に沿って敷設されていて、複数の土台22上に連続して敷設されている。
土台22は、上下のフランジ22a,22aとフランジ22a同士を連結するウェブ22bとを備えた鋼材(H形鋼)からなる。本実施形態の土台22は、トンネルの底部にトンネルの延長方向に沿って敷設されている。すなわち、土台22は、レール2の下面に沿って敷設されている。
【0011】
締結具21は、図2(a)および(b)に示すように、レール2の脚部2aを上方から押え付けるレールクリップ23と、レールクリップ23を土台22に固定するボルト24およびナット25とを備えている。
レール2の脚部2aは、レールクリップ23により土台22に固定されている。本実施形態では、一対のレールクリップ23,23が、レール2(脚部2a)を挟んで対向するように設けられている。一対のレールクリップ23,23は、レール2の長手方向に間隔をあけて複数配設されている。レールクリップ23は、ボルト24により土台22に固定する。ボルト24は、レールクリップ23を貫通して、土台22の上側のフランジ22aに固定されている。ボルト24は、フランジ22aを貫通して、フランジ22aの下面に設けられたナット25に螺合されている。本実施形態では、ボルト24の頭部とレールクリップ23との間にスプリングワッシャー(弾性材)26が介設されている。
【0012】
軌条点検装置1は、ボルト24の緩みを点検する。軌条点検装置1は、図1および図3に示すように、台車3と、距離センサー4と、記憶手段5と、解析手段6と、表示手段7と、マーカー手段8とを備えている。
台車3は、図1に示すように、台車本体31と、台車本体31に回転可能に設けられた車輪32と、台車本体31に設けられて車輪32に回転力を付与するモータ等の動力源(図示せず)とを備えている。台車3は、車輪32がレール2上で回転することで、レール2上を走行する。車輪32は、台車3の前後左右にそれぞれ配設されている。台車3には、距離センサー4およびマーカー手段8が取り付けられている。
【0013】
距離センサー4は、台車3の下部の左右において、前後の車輪32,32の間に取り付けられている(図1参照)。距離センサー4は、図4に示すように、レール2を固定するボルト24の直上に位置するように設けられている。すなわち、台車3には、レール2を固定する各ボルト24の上方に位置するように、計四つの距離センサー4が設けられている。距離センサー4は、ボルト24の頂面と当該ボルト24の前後における土台22の上面とを連続的に測定する。すなわち、距離センサー4は、ボルト24の頂面と土台22の上面の高さを測定する。距離センサー4の測定結果は、記憶手段5に送信される。
【0014】
記憶手段5には、距離センサー4から送信された測定データ(測定結果)が保存される。測定データには、各ボルト24の位置情報や測定時間等も含まれている。なお、記憶手段5は、解析手段6とともにコンピュータCの一部を構成している(図3参照)。
【0015】
解析手段6は、距離センサー4の計測結果を解析する。解析手段6は、記憶手段5に保存された測定データを読み込み、図面化する(図5参照)。測定データを図面化する際には、例えば、縦軸を高さ、横軸を坑口(レール2の起点)からの距離としたグラフとする。
次に、ボルト24毎にボルト24の頂面と土台22の上面との高低差を算出する。
そして、算出した高低差が、予め記憶されている閾値以上であるか否かを判定する。すなわち、高低差が閾値(例えば9mm)以上である場合にはNGとし、閾値未満の場合にはOKとする。
解析手段6による解析結果および解析手段6により作成したグラフは、記憶手段5に保存する。また、高低差がNGのボルト24が発覚した場合には、解析手段6からマーカー手段8に信号が送信される。
【0016】
表示手段7は、図5に示すように、距離センサー4による測定結果および解析手段6の解析結果を表示する。表示手段7は、コンピュータCのモニターまたはタブレット端末であって、記憶手段5に保存されたグラフと解析結果を表示する。表示手段7には、図5に示すように、グラフと、画面の横に解析手段6により算出されたボルト24の頂面と土台22の上面との高低差および、高低差が閾値以上であるか否かの判定結果を表示する。本実施形態では、ボルト24の頂面と土台22の上面との高低差が閾値以上でNGとなったボルト24の測定値と位置を画面左に表示する。画面の右側には、NGとなったボルト24の中から選択されたボルト24の測定値(グラフ)を表示する。
【0017】
マーカー手段8は、緩んだボルト24(締結具21)が検出された場合にマーキングを行う。本実施形態では、ボルト24の頂面と土台22の上面との高低差が閾値以上である場合に、当該ボルト24または当該ボルト24の近傍にマーキングを行う。こうすることで、マーキングにより緩んだボルト24を作業員が見つけやすくなる。マーカー手段8は、図1に示すように、台車3の下部において、距離センサー4と干渉しない位置に設けられている。本実施形態では、距離センサー4の台車3の進行方向後ろ側にマーカー手段8が設けられている。マーカー手段8は、解析手段6によりボルト24の頂面と土台22の上面との高低差が閾値以上であるために送信された信号を受信した際にマーキングを行う。本実施形態のマーカー手段8は、塗料を噴射することによりマーキングを行う。なお、マーカー手段8の形態は、塗料を噴射するものの他に、粉体を落下させてマーキングするものや、マーカーペンによりマーキングするもの等がある。
【0018】
軌条点検装置1を利用した締結具21の緩みの検出は、施工が休止中の時間帯に行う。レール2上を台車3が走行しつつ、距離センサー4によりボルト24の頂部と土台22の上面との高さを計測する。ボルト24および土台22の高さの計測に伴い、解析手段6による解析を実施する。解析手段6の解析結果により、緩んでいるボルト24が検出された場合には、表示手段7に当該ボルト24が表示されるとともに、マーカー手段8によりマーキングが行われる。緩んだボルト24が検出された場合は、作業員がマーキングされたボルト24に対して締め直しを行う。
【0019】
本実施形態の軌条点検装置1によれば、レール2上を走行する台車3に設置された距離センサー4により測定を行うため、検査員(作業員)がボルト24毎に調査する場合に比べて労力と時間を短縮できる。また、ボルト24の頂面と土台22の上面との高低差によりボルト24の緩みを検出するため、レール2の浮き上がりやズレ等が測定に判定に影響することがなく、的確にボルト24の緩みを検出することができる。なお、ボルト24は、製作上、軸部の長さに誤差が生じる場合があるため、ボルト24を下向きに差し込んで、頭部の高さを測定すれば、軸部の長さの誤差がボルト24の緩み調査に影響を及ぼすことがない。
ボルト24とレールクリップ23との間にはスプリングワッシャー(弾性材)26が介設されているため、ボルト24に緩んだ際には、ボルト24の頭部がスプリングワッシャー26の弾性力により押し上げられる。そのため、ボルト24の頂面と土台22の上面との高低差を測定するにより、ボルト24の緩みを検出することができる。
緩んだボルト24が発見された場合には、表示手段7に表示されるとともに、マーカー手段8によりマーキングが施される。そのため、作業員は、表示手段7により表示された位置において、マーキングが記されたボルト24を締め直せばよい。ボルト24を締め直した後、マーキングは消去するのが望ましい。
【0020】
<第二実施形態>
第二実施形態では、第一実施形態と同様に、施工中のトンネル坑内に敷設されたレール2の締結具21の緩みを検出し、締め直す場合について説明する。締結具21の緩みの検出には、軌条点検装置1を使用する。第二実施形態の締結具21は、土台22の上側のフランジ22aの下面にナット25が溶接されている点で、第一実施形態の締結具21と異なっている。
締結具21は、土台22にレール2を固定するものであって、レール2の脚部2aを上方から押え付けるレールクリップ23と、レールクリップ23を土台22に固定するボルト24と、ボルト24を締着するナット25とを備えている(図2参照)。
土台22は、上下のフランジ22aとフランジ22a同士を連結するウェブ22bを備えた鋼材(H形鋼)からなる。土台22は、トンネルの底部に敷設されている。レール2は、トンネル延長方向に沿って敷設されている。レール2の脚部2aは、レールクリップ23により土台22に固定されている。本実施形態では、一対のレールクリップ23が、レール2を挟んで対向するように設けられている。一対のレールクリップ23は、レール2の長手方向に間隔をあけて複数配設されている。レールクリップ23は、ボルト24により土台22に固定する。ボルト24は、レールクリップ23を貫通して、土台22の上側のフランジ22aに固定されている。ボルト24は、フランジ22aを貫通して、フランジ22aの下面に固定(溶接)されたナット25に螺合されている。本実施形態では、ボルト24の頭部とレールクリップ23との間にワッシャーが介設されている。
【0021】
軌条点検装置1は、ボルト24の緩みを点検する。軌条点検装置1は、台車3と、距離センサー4と、記憶手段5と、解析手段6と、表示手段7と、マーカー手段8とを備えている(図1および図3参照)。なお、台車3、距離センサー4、記憶手段5、解析手段6、表示手段7およびマーカー手段8の詳細は、第一実施形態で示した内容と同様なため、詳細な説明は省略する。
【0022】
本実施形態の軌条点検装置1によれば、レール2上を走行する台車3に設置された距離センサー4により測定を行うため、検査員がボルト24毎に調査する場合に比べて労力と時間を短縮できる。また、ボルト24の頂面と土台22の上面との高低差によりボルト24の緩みを検出するため、レール2の浮き上がりやズレ等が測定に判定に影響することがなく、的確にボルト24の緩みを検出することができる。
緩んだボルト24が発見された場合には、表示手段7に表示されるとともに、マーカー手段8によりマーキングが施される。そのため、作業員は、表示手段7により表示された位置において、マーキングが記されたボルト24を締め直せばよい。
ボルト24を締着するナット25は、土台22の上フランジの下面に固定されているため、ボルト24に緩んだ際には、ボルト24の頭部が上側に浮き上がる。そのため、ボルト24の頂面と土台22の上面との高低差を測定するにより、ボルト24の緩みを検出することができる。
【0023】
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明は前述の実施形態に限られず、前記の各構成要素については本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
前記各実施形態では、距離センサー4が、土台22の上面とボルト24の頂面とを連続的に測定する場合について説明したが、距離センサー4は、断続的に測定してもよい。すなわち、土台22の上面およびボルト24の頂面において、それぞれ少なくとも1点において高さを測定してもよい。
前記実施形態では、緩んだボルト24に対して、マーカー手段8がマーキングを行うものとしたが、マーカー手段8がマーキングするボルト24は限定されるものではない。例えば、緩んでいないボルト24にマーキングをしてもよいし、緩んだボルト24と緩んでいないボルト24とを色分けすることですべてのボルト24にマーキングを行ってもよい。なお、マーカー手段8は、必要に応じて使用すればよい。
前記軌条点検装置1によるボルト24の緩みの確認は、施工中のトンネル坑内のレールに限定されるものではない。例えば、供用中の鉄道に使用してもよい。
土台22は、必ずしもH形鋼である必要はなく、例えば、溝型鋼等の他の鋼材であってもよいし、コンクリート製や木製の土台22であってもよい。
また、前記実施形態では、土台22がレール2の延長方向に沿って敷設された鋼材である場合について説明したが、土台22の構成は限定されるものではない。例えば、土台22は、レール2の延長方向に間隔をあけて設けられた枕木であってもよい。
【符号の説明】
【0024】
1 軌条点検装置
2 レール
22 土台
23 レールクリップ
24 ボルト
25 ナット
26 スプリングワッシャー
3 台車
4 距離センサー
5 記憶手段
6 解析手段
7 表示手段
8 マーカー手段
図1
図2
図3
図4
図5