(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-14
(45)【発行日】2023-08-22
(54)【発明の名称】ディスペンスヘッド及び飲料供給システム
(51)【国際特許分類】
B67D 1/04 20060101AFI20230815BHJP
B67D 1/07 20060101ALI20230815BHJP
【FI】
B67D1/04 F
B67D1/07
(21)【出願番号】P 2019235763
(22)【出願日】2019-12-26
【審査請求日】2022-04-07
(73)【特許権者】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180194
【氏名又は名称】利根 勇基
(72)【発明者】
【氏名】吉原 慶太
【審査官】高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-058698(JP,U)
【文献】特開2007-084127(JP,A)
【文献】特許第6567157(JP,B1)
【文献】米国特許第05858114(US,A)
【文献】登録実用新案第3121929(JP,U)
【文献】特開2006-264716(JP,A)
【文献】特開2015-229522(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 1/04
B67D 1/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料収容容器に装着可能なディスペンスヘッドであって、
水を供給する水供給路と連通する第1流体流入口と、ガスを供給するガス供給路と連通する第2流体流入口とを有するハウジングと、
前記ハウジング内に配置されると共に、前記飲料収容容器内の飲料を移送する飲料移送路と連通する流体流出口を有するプランジャと、
手動操作によって前記ハウジング内で前記プランジャを摺動させる操作部と
、
前記第2流体流入口を開閉する開閉弁と
を備え、
前記プランジャは、前記第1流体流入口と前記流体流出口とを直接連通させ且つ前記第2流体流入口を前記飲料収容容器の内部及び前記流体流出口から遮断する第1位置と、前記第1流体流入口を前記飲料収容容器の内部及び前記流体流出口から遮断し且つ前記第2流体流入口と前記流体流出口とを前記飲料収容容器の内部を介して連通させる第2位置との間で摺動
し、
前記開閉弁は、前記第2流体流入口に配置され、前記プランジャが前記第1位置にあるときに前記第2流体流入口を閉じ、前記プランジャが前記第2位置にあるときに前記第2流体流入口を開く、ディスペンスヘッド。
【請求項2】
前記プランジャは、前記第1位置と、前記第2位置と、前記第1流体流入口及び前記第2流体流入口を前記飲料収容容器の内部及び前記流体流出口から遮断する第3位置との間で摺動する、請求項
1に記載のディスペンスヘッド。
【請求項3】
水供給源に接続される水供給路と、
ガス供給源に接続される第1ガス供給路と、
飲料ディスペンサに接続される飲料移送路と、
飲料収容容器に装着されるディスペンスヘッドと
を備え、
前記ディスペンスヘッドは、
前記水供給路と連通する第1流体流入口と、前記第1ガス供給路と連通する第2流体流入口とを有するハウジングと、
前記ハウジング内に配置されると共に、前記飲料移送路と連通する流体流出口を有するプランジャと、
手動操作によって前記ハウジング内で前記プランジャを摺動させる操作部と
、
前記第2流体流入口を開閉する開閉弁と
を備え、
前記プランジャは、前記第1流体流入口と前記流体流出口とを直接連通させ且つ前記第2流体流入口を前記飲料収容容器の内部及び前記流体流出口から遮断する第1位置と、前記第1流体流入口を前記飲料収容容器の内部及び前記流体流出口から遮断し且つ前記第2流体流入口と前記流体流出口とを前記飲料収容容器の内部を介して連通させる第2位置との間で摺動
し、
前記開閉弁は、前記第2流体流入口に配置され、前記プランジャが前記第1位置にあるときに前記第2流体流入口を閉じ、前記プランジャが前記第2位置にあるときに前記第2流体流入口を開く、飲料供給システム。
【請求項4】
前記水供給路を開閉する水開閉弁と、
前記ガス供給源に接続される第2ガス供給路と、
前記第2ガス供給路を開閉するガス開閉弁と、
前記水開閉弁及び前記ガス開閉弁を制御する制御装置と
を更に備え、
前記第1流体流入口は前記水供給路及び前記第2ガス供給路と連通し、
前記水開閉弁は非通電時に前記水供給路を閉じ且つ通電時に前記水供給路を開くように構成され、前記ガス開閉弁は非通電時に前記第2ガス供給路を閉じ且つ通電時に前記第2ガス供給路を開くように構成される、請求項
3に記載の飲料供給システム。
【請求項5】
前記水供給路から分岐した分岐水供給路を更に備える、請求項
3又は
4に記載の飲料供給システム。
【請求項6】
前記水供給路及び前記第2ガス供給路は共有流路に統合され、前記第1流体流入口は前記共有流路に接続される、請求項
4に記載の飲料供給システム。
【請求項7】
前記共有流路から分岐した分岐共有流路を更に備える、請求項
6に記載の飲料供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はディスペンスヘッド及び飲料供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガスによって飲料収容容器から移送された飲料を飲料ディスペンサから外部に供給する飲料供給システムが知られている(例えば特許文献1)。斯かる飲料供給システムのユーザは飲料ディスペンサから容器(グラス等)に飲料を注ぐことによって所望の量の飲料を容易に得ることができる。
【0003】
しかしながら、飲料供給システムによる飲料の供給が終了した後には、飲料の流路に飲料が残される。残された飲料は、飲料の劣化、微生物の繁殖等を引き起こすおそれがある。このため、飲料の味の低下を防止するために、飲料供給システムの洗浄が定期的に行われる。
【0004】
特許文献1に記載の飲料供給システムでは、飲料供給システムの洗浄時に、飲料収容容器を洗浄容器に取り替える代わりに、ディスペンスヘッドの操作レバーが操作される。斯かるディスペンスヘッドは、操作レバーによって流体流入口と流体流出口との連通状態を切り替えるように構成されている。このことによって、ディスペンスヘッドを飲料収容容器に装着した状態で、飲料収容容器の内部に洗浄水を供給することなく飲料供給システムを洗浄することが可能となる。
【0005】
また、特許文献1に記載の飲料供給システムでは、ユーザの誤操作によって飲料収容容器内の飲料に洗浄水が混入することを防止すべく、操作レバーの傾斜状態を検出する傾斜センサがディスペンスヘッドに設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、液体(飲料又は水)の付着、経年劣化等によって傾斜センサが故障するおそれがある。傾斜センサが故障した場合には、操作レバーの傾斜状態を検出できないため、飲料に洗浄水が混入することを防止することができない。
【0008】
上記課題に鑑みて、本発明の目的は、飲料供給システムの洗浄時に飲料収容容器の内部に洗浄水が供給されることをより確実に防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の要旨は以下のとおりである。
【0010】
(1)飲料収容容器に装着可能なディスペンスヘッドであって、水を供給する水供給路と連通する第1流体流入口と、ガスを供給するガス供給路と連通する第2流体流入口とを有するハウジングと、前記ハウジング内に配置されると共に、前記飲料収容容器内の飲料を移送する飲料移送路と連通する流体流出口を有するプランジャと、手動操作によって前記ハウジング内で前記プランジャを摺動させる操作部とを備え、前記プランジャは、前記第1流体流入口と前記流体流出口とを直接連通させ且つ前記第2流体流入口を前記飲料収容容器の内部及び前記流体流出口から遮断する第1位置と、前記第1流体流入口を前記飲料収容容器の内部及び前記流体流出口から遮断し且つ前記第2流体流入口と前記流体流出口とを前記飲料収容容器の内部を介して連通させる第2位置との間で摺動する、ディスペンスヘッド。
【0011】
(2)前記第2流体流入口を開閉する開閉弁を更に備え、前記開閉弁は、前記プランジャが前記第1位置にあるときに前記第2流体流入口を閉じ、前記プランジャが前記第2位置にあるときに前記第2流体流入口を開く、上記(1)に記載のディスペンスヘッド。
【0012】
(3)前記プランジャは、前記第1位置と、前記第2位置と、前記第1流体流入口及び前記第2流体流入口を前記飲料収容容器の内部及び前記流体流出口から遮断する第3位置との間で摺動する、上記(1)又は(2)に記載のディスペンスヘッド。
【0013】
(4)水供給源に接続される水供給路と、ガス供給源に接続される第1ガス供給路と、飲料ディスペンサに接続される飲料移送路と、飲料収容容器に装着されるディスペンスヘッドとを備え、前記ディスペンスヘッドは、前記水供給路と連通する第1流体流入口と、前記第1ガス供給路と連通する第2流体流入口とを有するハウジングと、前記ハウジング内に配置されると共に、前記飲料移送路と連通する流体流出口を有するプランジャと、手動操作によって前記ハウジング内で前記プランジャを摺動させる操作部とを備え、前記プランジャは、前記第1流体流入口と前記流体流出口とを直接連通させ且つ前記第2流体流入口を前記飲料収容容器の内部及び前記流体流出口から遮断する第1位置と、前記第1流体流入口を前記飲料収容容器の内部及び前記流体流出口から遮断し且つ前記第2流体流入口と前記流体流出口とを前記飲料収容容器の内部を介して連通させる第2位置との間で摺動する、飲料供給システム。
【0014】
(5)前記水供給路を開閉する水開閉弁と、前記ガス供給源と前記第1流体流入口とを接続する第2ガス供給路と、前記第2ガス供給路を開閉するガス開閉弁と、前記水開閉弁及び前記ガス開閉弁を制御する制御装置とを更に備え、前記水開閉弁は非通電時に前記水供給路を閉じ且つ通電時に前記水供給路を開くように構成され、前記ガス開閉弁は非通電時に前記第2ガス供給路を閉じ且つ通電時に前記第2ガス供給路を開くように構成される、上記(4)に記載の飲料供給システム。
【0015】
(6)前記水供給路から分岐した分岐水供給路を更に備える、上記(4)又は(5)に記載の飲料供給システム。
【0016】
(7)前記水供給路及び前記第2ガス供給路は共有流路に統合され、前記第1流体流入口は前記共有流路に接続される、上記(5)に記載の飲料供給システム。
【0017】
(8)前記共有流路から分岐した分岐共有流路を更に備える、上記(7)に記載の飲料供給システム。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、飲料供給システムの洗浄時に飲料収容容器の内部に洗浄水が供給されることをより確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本発明の第一実施形態に係る飲料供給システムの構成を概略的に示す図である。
【
図2】
図2は、プランジャが上方位置に位置するときのディスペンスヘッド及びスピアバルブの概略的な部分断面図である。
【
図4】
図4は、プランジャが下方位置に位置するときのディスペンスヘッド及びスピアバルブの部分断面図である。
【
図5】
図5は、本発明の第二実施形態に係る飲料供給システムの構成を概略的に示す図である。
【
図6】
図6は、本発明の第三実施形態に係る飲料供給システムの構成を概略的に示す図である。
【
図7】
図7は、本発明の第三実施形態に係る飲料供給システムの構成を概略的に示す図である。
【
図8】
図8は、
図7の制御装置の構成を概略的に示す図である。
【
図9】
図9は、第三実施形態における洗浄処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、水弾制御の制御ルーチンを示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、本発明の第四実施形態に係る飲料供給システムの構成を概略的に示す図である。
【
図12】
図12は、第五実施形態において、プランジャが上方位置に位置するときのディスペンスヘッド及びスピアバルブの概略的な部分断面図である。
【
図13】
図13は、第五実施形態において、プランジャが中間位置に位置するときのディスペンスヘッド及びスピアバルブの概略的な部分断面図である。
【
図14】
図14は、第五実施形態において、プランジャが下方位置に位置するときのディスペンスヘッド及びスピアバルブの概略的な部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同様な構成要素には同一の参照番号を付す。
【0021】
<第一実施形態>
最初に、
図1~
図4を参照して、本発明の第一実施形態について説明する。
【0022】
<飲料供給システム>
図1は、本発明の第一実施形態に係る飲料供給システム1の構成を概略的に示す図である。飲料供給システム1は、ガス供給源10、飲料収容容器20、飲料ディスペンサ30、ディスペンスヘッド50、ガス供給路60、飲料移送路70、水供給路90、水供給源100及び水減圧弁110を備える。飲料供給システム1は、ガス供給源10から供給されたガスによって飲料収容容器20から飲料移送路70を通して移送された飲料を飲料ディスペンサ30から外部に供給する。飲料供給システム1のユーザ(以下、単に「ユーザ」と称する)は飲料ディスペンサ30から容器に飲料を注ぐことによって所望の量の飲料を容易に得ることができる。
【0023】
ガス供給路60はガス供給源10とディスペンスヘッド50とを接続する。ガス供給路60は、例えば、ガス供給ホースとして構成され、ガスの圧力に耐えうる様々な材料(例えば、ポリエチレン(PE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレン四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等)から形成される。
【0024】
飲料移送路70はディスペンスヘッド50と飲料ディスペンサ30とを接続する。飲料移送路70は、例えば、飲料移送ホースとして構成され、飲料、水及びガスの圧力に耐えうる様々な材料(例えば、ポリエチレン(PE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレン四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等)から形成される。
【0025】
水供給路90は水供給源100とディスペンスヘッド50とを接続する。水供給路90は、例えば、水供給ホースとして構成され、水の圧力に耐えうる様々な材料(例えば、ポリエチレン(PE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレン四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等)から形成される。
【0026】
以下、飲料供給システム1の各構成要素について詳細に説明する。
【0027】
水供給源100は、後述する飲料供給システム1の洗浄のために用いられる水を供給する。水供給源100は例えば水道栓として構成される。水減圧弁110は、水供給路90に設けられ、水供給源100から供給される水の圧力を調整する。なお、水減圧弁110は省略されてもよい。
【0028】
ガス供給源10は、炭酸ガス(二酸化炭素ガス)、窒素ガス、圧縮空気等のガスを供給する。ガス供給源10はガス減圧弁11を有し、ガス供給源10から供給されるガスの圧力はガス減圧弁11によって調整される。ガス供給源10は例えばガスボンベとして構成される。ガス供給源10はガス供給路60に接続され、ガス供給源10から供給されたガスはガス供給路60を通して飲料収容容器20に供給される。
【0029】
飲料収容容器20は飲料を収容する。例えば、飲料収容容器20は発泡性飲料を収容する。発泡性飲料には、ビール、ビール風アルコール飲料、ビールテイスト飲料、酎ハイ、ウィスキー含有飲料(ウィスキー、ハイボール等)、炭酸ジュース等が含まれる。ビール風アルコール飲料には、発泡酒、麦芽以外の原料から生成され又は発泡酒に麦由来のアルコール飲料が混ぜられたビール風味の発泡アルコール飲料(いわゆる第三のビール)等が含まれる。ビールテイスト飲料には、ノンアルコールビール等が含まれる。飲料収容容器20は、例えば、発泡性飲料を収容する飲料樽として構成される。
【0030】
なお、飲料収容容器20は非発泡性飲料を収容してもよい。非発泡性飲料には、コーヒー、ワイン等が含まれる。
【0031】
飲料収容容器20は、飲料収容容器20の口金として機能するスピアバルブ21を含む。スピアバルブ21は、飲料収容容器20に取り付けられ、飲料収容容器20の頂部から飲料収容容器20の底部付近まで延在する。
【0032】
ディスペンスヘッド50は、飲料収容容器20、具体的には飲料収容容器20のスピアバルブ21に装着される。また、ディスペンスヘッド50は、ガス供給路60、飲料移送路70及び水供給路90に接続される。ディスペンスヘッド50及びスピアバルブ21は、ガス供給路60から接続されたガスによって飲料収容容器20内の飲料を飲料移送路70に供給するように構成される。ディスペンスヘッド50の詳細については後述する。
【0033】
飲料ディスペンサ30は、ガス供給源10から供給されたガスによって飲料収容容器20から移送された飲料を外部(飲料ディスペンサ30の外部)に供給する。
図1には、カバーが取り外された状態の飲料ディスペンサ30が示される。飲料ディスペンサ30は、コイル状の飲料導入管31と、タップ32と、冷却水槽33と、冷却装置34とを含む。
【0034】
飲料導入管31の一方の端部は飲料移送路70に接続され、飲料導入管31の他方の端部はタップ32に接続される。飲料収容容器20から移送された飲料は飲料導入管31を通ってタップ32に到達する。このとき、ユーザによってタップ32のハンドル321が操作される(例えばハンドル321が手前に引かれる)と、タップ32が開き、ユーザによって設置された容器(ジョッキ、グラス等)にタップ32から飲料が注がれる。
【0035】
ユーザは冷却水槽33に水を予め供給し、冷却水槽33は水で満たされる。冷却装置34は、冷凍機(図示せず)と、コイル状の冷媒流通管35と、攪拌機36とを含む。冷却装置34は、冷凍機から冷媒流通管35に供給された冷媒によって冷媒流通管35の周囲に氷を生成し、氷によって冷却水槽33内の水を冷却する。攪拌機36は、冷却水槽33内の水の温度が均一になるように冷却水槽33内の水を攪拌する。飲料ディスペンサ30に移送された飲料は、飲料導入管31を通過するとき、冷却水槽33内の冷却水によって冷却される。このため、飲料供給システム1は、飲料収容容器20内の飲料が常温であったとしても、所望の冷えた飲料を飲料ディスペンサ30から外部に供給することができる。
【0036】
<ディスペンスヘッドの構成>
図2は、ディスペンスヘッド50及びスピアバルブ21の概略的な部分断面図である。
図2には、スピアバルブ21に装着されたディスペンスヘッド50が示されている。
【0037】
スピアバルブ21は、バルブケース22、ガス流路閉鎖部23及び飲料流路閉鎖部24を含む。バルブケース22の外周面には雄ネジ部が形成され、雄ネジ部は、飲料収容容器20に形成された雌ネジ部と螺合する。この結果、スピアバルブ21は飲料収容容器20に装着される。
【0038】
ガス流路閉鎖部23はバルブケース22内に配置される。ガス流路閉鎖部23はその上端部にフランジ部231を有する。飲料流路閉鎖部24はガス流路閉鎖部23内に配置される。飲料流路閉鎖部24はその上部にフランジ部241を有する。バルブケース22とガス流路閉鎖部23との間の空間及びガス流路閉鎖部23と飲料流路閉鎖部24との間の空間はそれぞれ飲料収容容器20の内部と連通する。
【0039】
ディスペンスヘッド50は、ハウジング51と、ハウジング51内に配置されたプランジャ52とを備える。ハウジング51は、本体部511、フランジ部512、第1流体流入部513及び第2流体流入部514を含む。
【0040】
本体部511は、略円筒形状を有し、スピアバルブ21から鉛直方向上方に延在する。本体部511は第1貫通孔515を有する。第1貫通孔515は、本体部511の軸線方向に延在し、スピアバルブ21の内部と連通する。
【0041】
フランジ部512は、本体部511の下端部に接続され、本体部511から径方向外側に延在する。フランジ部512は、スピアバルブ21のバルブケース22の上部に形成された係合溝221に挿入され、係合溝221と係合する。この結果、ディスペンスヘッド50はスピアバルブ21に装着される。例えば、ユーザはハウジング51を周方向に回動することによってフランジ部512を係合溝221に挿入する。
【0042】
第1流体流入部513及び第2流体流入部514は、それぞれ、本体部511の側面に接続され、本体部511から径方向外側に延在する。第1流体流入部513及び第2流体流入部514は、本体部511の周方向において同一位置に配置され、本体部511の軸線方向において離間される。第1流体流入部513は、鉛直方向において第2流体流入部514よりも上方に配置され、第2流体流入部514よりもスピアバルブ21の遠くに配置される。なお、第1流体流入部513及び第2流体流入部514は本体部511の周方向において離間されていてもよい。
【0043】
第1流体流入部513は第1流体流入口516を有する。第1流体流入口516は、水平方向に延在し、第1貫通孔515と連通する。第1流体流入部513は、水を供給する水供給路90に接続される。このため、第1流体流入口516は水供給路90と連通する。なお、第1流体流入部513は継手等を介して水供給路90に接続されてもよい。
【0044】
第2流体流入部514は第2流体流入口517を有する。第2流体流入口517は、水平方向に延在し、第1貫通孔515と連通する。第2流体流入部514は、ガスを供給するガス供給路60に接続される。このため、第2流体流入口517はガス供給路60と連通する。なお、第2流体流入部514は継手等を介してガス供給路60に接続されてもよい。
【0045】
第1流体流入口516及び第2流体流入口517は第1貫通孔515を介して互いに連通する。第2流体流入口517は、スピアバルブ21の内部への流体の流れ方向において、第1流体流入口516よりも下流側に配置される。
【0046】
プランジャ52は、略円筒形状を有し、ハウジング51の本体部511内に配置される。プランジャ52は流体流出口521を有する。流体流出口521は、プランジャ52の軸線方向に延在し、スピアバルブ21の内部と連通する。本体部511の上端部は飲料移送路70に接続される。このため、流体流出口521は飲料移送路70と連通する。なお、本体部511の上端部は継手等を介して飲料移送路70に接続されてもよい。
【0047】
プランジャ52は第1凹部522及び第2凹部523を有する。第1凹部522及び第2凹部523は、それぞれ、プランジャ52の外面に形成され、プランジャ52の周方向に延在する。第1凹部522及び第2凹部523はプランジャ52の軸線方向において離間される。第2凹部523は、鉛直方向において第1凹部522よりも下方に配置され、第1凹部522よりもスピアバルブ21の近くに配置される。また、第2凹部523の軸線方向の長さは第1凹部522の軸線方向の長さよりも長い。
【0048】
また、プランジャ52は、球状部材524、突起525及び段部526を有する。突起525及び段部526はプランジャ52の軸線方向において離間される。突起525は、鉛直方向において段部526よりも上方に配置され、段部526よりもスピアバルブ21の遠くに配置される。球状部材524は突起525と段部526との間で移動する。
【0049】
突起525は、突起525を通した流体の流れを可能としつつ、球状部材524の脱落を防止する。流体がスピアバルブ21の内部に向かって逆流すると、球状部材524は、段部526に当接し、段部526の入口を閉鎖する。このことによって、流体流出口521からスピアバルブ21の内部への流体の逆流が防止される。したがって、球状部材524、突起525及び段部526は、流体流出口521からスピアバルブ21の内部への流体の逆流を防止する逆流防止機構として機能する。
【0050】
また、
図1に示されるように、ディスペンスヘッド50は操作部53を備える。操作部53は手動操作によってハウジング51内でプランジャ52を摺動させる。操作部53は、例えばハウジング51に回動可能に取り付けられ、操作部53の回動がプランジャ52の直線運動に変換されるようにプランジャ52に連結される。操作部53は例えば操作レバーとして構成される。
【0051】
本実施形態では、操作部53が上方位置から下方位置に回動されたときに、プランジャ52は、鉛直方向下方に移動し、スピアバルブ21に近付く。一方、操作部53が下方位置から上方位置に回動されたときに、プランジャ52は、鉛直方向上方に移動し、スピアバルブ21から離れる。したがって、プランジャ52は上方位置と下方位置との間で摺動可能である。
【0052】
また、
図2に示されるように、ディスペンスヘッド50は開閉弁54を備える。開閉弁54は、第2流体流入部514の内部、すなわち第2流体流入口517に配置され、第2流体流入口517を開閉する。
【0053】
図3は、
図2の開閉弁54の概略的な断面図である。開閉弁54は、筒部541、スピンドル542、シール部材543及びスプリング544を含む。筒部541は略円筒形状を有する。筒部541は第1流体流入部513に固定される。
【0054】
スピンドル542は略円柱形状を有する。スピンドル542は、筒部541内に配置され、筒部541の軸線方向に延在する。スピンドル542の先端は、筒部541の先端を越えて延在する。すなわち、スピンドル542は筒部541から突出している。
【0055】
シール部材543は、スピンドル542に形成された溝に配置され、筒部541の内部においてスピンドル542の周囲に延在する。シール部材543はスピンドル542と一体的に移動する。
【0056】
スプリング544はスピンドル542の後端部を押圧するように筒部541内に配置される。スプリング544は、スピンドル542を介して、筒部541の内面に形成された段部に向かってシール部材543を付勢する。
【0057】
スプリング544の付勢力によって、シール部材543は、筒部541の段部に当接し、筒部541とスピンドル542との間の空間をシールする。すなわち、開閉弁54は第2流体流入口517を閉じる。このことによって、第2流体流入口517に供給されたガスがハウジング51とプランジャ52との間の空間に流入することを防止することができる。
【0058】
一方、スプリング544の付勢力に抗してスピンドル542が筒部541内に移動されると、シール部材543は筒部541の段部から離間される。すなわち、開閉弁54は第2流体流入口517を開く。この結果、筒部541とスピンドル542との間に空間が生じ、第2流体流入口517に供給されたガスはこの空間を通ってハウジング51とプランジャ52との間の空間に流入する。
【0059】
また、
図2に示されるように、ディスペンスヘッド50は、第1シール部材301、第2シール部材302、第3シール部材303及び第4シール部材304を備える。第1シール部材301及び第2シール部材302は、それぞれ、ハウジング51の本体部511の内面に形成された周方向溝に配置され、プランジャ52の周囲に延在する。第1シール部材301は鉛直方向において第1流体流入部513よりも上方に配置される。第2シール部材302は鉛直方向において第1流体流入部513と第2流体流入部514との間に配置される。したがって、第1シール部材301は、鉛直方向において第2シール部材302よりも上方に配置され、第2シール部材302よりもスピアバルブ21の遠くに配置される。
【0060】
第3シール部材303は、ハウジング51のフランジ部512の下面に形成された周方向溝に配置される。第3シール部材303は、スピアバルブ21のバルブケース22に当接し、フランジ部512とバルブケース22との間の空間をシールする。このことによって、スピアバルブ21に流入した流体がフランジ部512とバルブケース22との間を通って外部に流出することを防止することができる。
【0061】
第4シール部材304は、プランジャ52の外面に配置され、プランジャ52の周囲に延在する。第4シール部材304は、鉛直方向において第2凹部523よりも下方に配置され、第2凹部523よりもスピアバルブ21の近くに配置される。
【0062】
スピアバルブ21は、第5シール部材305、第6シール部材306、第1スプリング401及び第2スプリング402を備える。第5シール部材305は、ガス流路閉鎖部23のフランジ部231の上部に形成された段部の周囲に配置される。第6シール部材306はガス流路閉鎖部23のフランジ部231に当接するようにガス流路閉鎖部23の内部に配置される。
【0063】
第1スプリング401はガス流路閉鎖部23のフランジ部231を押圧するようにガス流路閉鎖部23の周囲に配置される。第1スプリング401はフランジ部231を介してガス流路閉鎖部23をバルブケース22に向かって上方に付勢する。
【0064】
第2スプリング402は飲料流路閉鎖部24のフランジ部241を押圧するように飲料流路閉鎖部24の周囲に配置される。第2スプリング402はフランジ部241を介して飲料流路閉鎖部24をガス流路閉鎖部23に向かって上方に付勢する。
【0065】
ディスペンスヘッド50は第1流体流入口516及び第2流体流入口517と流体流出口521との連通状態を切り替えるように構成される。具体的には、ディスペンスヘッド50はハウジング51内でのプランジャ52の摺動によってこれらの連通状態を切り替える。
【0066】
プランジャ52は、第1流体流入口516と流体流出口521とを直接連通させ且つ第2流体流入口517を飲料収容容器20の内部及び流体流出口521から遮断する第1位置と、第1流体流入口516を飲料収容容器20の内部及び流体流出口521から遮断し且つ第2流体流入口517と流体流出口521とを飲料収容容器20の内部を介して連通させる第2位置との間で摺動する。本実施形態では、プランジャ52の上方位置が第1位置に相当し、プランジャ52の下方位置が第2位置に相当する。
【0067】
ところで、飲料供給システム1による飲料の供給が終了した後には、飲料の流路に飲料が残される。残された飲料は、飲料の劣化、微生物の繁殖等を引き起こす。このため、飲料の味の低下を防止するためには、飲料供給システム1を定期的に洗浄する必要がある。
【0068】
本実施形態では、飲料供給システム1の洗浄時に、ユーザは、操作部53の位置を上方位置に設定し、水供給源100の元栓を開く。この結果、プランジャ52は上方位置に位置し、第1流体流入口516に水が供給される。
図2には、プランジャ52が上方位置に位置するときのディスペンスヘッド50が示されている。
【0069】
図2に示されるように、プランジャ52が上方位置に位置するとき、第1シール部材301は鉛直方向(軸線方向)において第1凹部522及び第2凹部523よりも上方に位置する。この結果、第1シール部材301は、プランジャ52の外面に当接し、ハウジング51とプランジャ52との間の空間をシールする。このことによって、第1流体流入口516に供給された水がハウジング51とプランジャ52との間を通って上方に流出することを防止することができる。
【0070】
一方、プランジャ52が上方位置に位置するとき、第1凹部522と第2シール部材302との鉛直方向の位置が一致し、第2シール部材302は第1凹部522に面する。この結果、第2シール部材302とプランジャ52との間に空間が生じ、第1流体流入口516に供給された水はこの空間を通ってバルブケース22の内部に向かって下方に移動する。
【0071】
また、プランジャ52が上方位置に位置するとき、第2凹部523と第2流体流入口517との鉛直方向(軸線方向)の位置が一致し、開閉弁54は第2凹部523と面する。この結果、開閉弁54のスピンドル542とプランジャ52との間に空間が生じ、開閉弁54のスプリング544の付勢力に抗する力は生じない。このため、開閉弁54は第2流体流入口517を閉じ、第2流体流入口517に供給されたガスはハウジング51とプランジャ52との間の空間に流入することができない。
【0072】
また、プランジャ52が上方位置に位置するとき、プランジャ52の外面に配置された第4シール部材304はガス流路閉鎖部23と当接しない。このため、ガス流路閉鎖部23の上端部に配置された第5シール部材305は、第1スプリング401の付勢力によってバルブケース22に当接し、バルブケース22とガス流路閉鎖部23との間の空間をシールする。このことによって、ハウジング51とプランジャ52との間の空間を通ってバルブケース22内に流入した水がバルブケース22とガス流路閉鎖部23との間に流入することを防止することができる。
【0073】
また、プランジャ52が上方位置に位置するとき、プランジャ52の下端部は飲料流路閉鎖部24と当接しない。このため、飲料流路閉鎖部24は第2スプリング402の付勢力によって第6シール部材306に当接し、第6シール部材306は、ガス流路閉鎖部23と飲料流路閉鎖部24との間の空間をシールする。このことによって、ハウジング51とプランジャ52との間の空間を通ってバルブケース22内に流入した水がガス流路閉鎖部23と飲料流路閉鎖部24との間に流入することを防止することができる。
【0074】
バルブケース22内に流入した水はガス流路閉鎖部23とプランジャ52との間の空間及び飲料流路閉鎖部24とプランジャ52との間の空間を通って流体流出口521に流入する。したがって、プランジャ52が上方位置に位置するとき、第1流体流入口516は流体流出口521と直接連通し、第2流体流入口517は飲料収容容器20の内部及び流体流出口521から遮断される。この状態でタップ32が開かれると、水供給源100から供給された水は、飲料の流路、すなわちディスペンスヘッド50、飲料移送路70及び飲料ディスペンサ30(飲料導入管31及びタップ32)を洗浄し、タップ32から排出される。タップ32から排出された水は、ユーザによって予め設置された排水容器200に収容される。
【0075】
また、飲料収容容器20に収容された飲料が枯渇して飲料収容容器20が新たな飲料収容容器に交換されるときにも、ユーザによって操作部53の位置が上方位置に設定される。このことによって、飲料収容容器20を交換するときのガス漏れを防止することができる。なお、飲料収容容器20を交換するときには、水供給源100の元栓は閉じられたままである。
【0076】
一方、飲料収容容器20内の飲料をガスによって飲料移送路70に供給するとき、すなわち飲料ディスペンサ30から飲料を供給するときには、ユーザによって操作部53の位置が下方位置に設定される。この結果、プランジャ52は下方位置に位置する。
図4は、プランジャ52が下方位置に位置するときのディスペンスヘッド50及びスピアバルブ21の部分断面図である。
【0077】
図4に示されるように、プランジャ52が下方位置に位置するとき、第1シール部材301は鉛直方向において第1凹部522及び第2凹部523よりも上方に位置する。この結果、第1シール部材301は、プランジャ52の外面に当接し、ハウジング51とプランジャ52との間の空間をシールする。このことによって、第1流体流入口516に水が供給されたとしても、水がハウジング51とプランジャ52との間を通って上方に流出することを防止することができる。なお、第1シール部材301はプランジャ52の摺動位置に関わらずプランジャ52の外面と当接する。
【0078】
また、プランジャ52が下方位置に位置するとき、第2シール部材302は鉛直方向において第1凹部522及び第2凹部523よりも上方に位置する。この結果、第2シール部材302は、プランジャ52の外面に当接し、ハウジング51とプランジャ52との間の空間をシールする。このことによって、第1流体流入口516に水が供給されたとしても、水がハウジング51とプランジャ52との間を通ってスピアバルブ21の内部に流入することを防止することができる。
【0079】
また、プランジャ52が上方位置から下方位置に移動するとき、開閉弁54のスピンドル542は第2凹部523の斜面によって押圧される。この結果、スピンドル542がスプリング544の付勢力に抗して移動し、開閉弁54は第2流体流入口517を開く。開閉弁54の開弁状態は、プランジャ52の外面がスピンドル542を押圧することによって維持される。また、第2流体流入口517から上方への流体の移動は第2シール部材302によって妨げられる。このため、第2流体流入口517に供給されたガスは、開閉弁54を通過し、ハウジング51とプランジャ52との間の空間を通ってスピアバルブ21の内部に流入する。
【0080】
また、プランジャ52が上方位置から下方位置に移動するとき、プランジャ52の下端部が飲料流路閉鎖部24を押圧し、その後、プランジャ52の外面に配置された第4シール部材304がガス流路閉鎖部23を押圧する。この結果、飲料流路閉鎖部24が第2スプリング402の付勢力に抗して移動し、第6シール部材306と飲料流路閉鎖部24との間に空間が生じる。その後、ガス流路閉鎖部23が第1スプリング401の付勢力に抗して移動し、第5シール部材305とバルブケース22との間に空間が生じる。
【0081】
したがって、バルブケース22内に流入したガスはバルブケース22とガス流路閉鎖部23との間を通って飲料収容容器20の内部に流入する。この結果、ガスによって飲料の液面が押し下げられ、飲料がガス流路閉鎖部23と飲料流路閉鎖部24との間を通って上昇する。上昇した飲料は、プランジャ52の下端部に形成された通過孔527を通って流体流出口521に流入する。
【0082】
したがって、プランジャ52が下方位置に位置するとき、第1流体流入口516は飲料収容容器20の内部及び流体流出口521から遮断され、第2流体流入口517は飲料収容容器20の内部を介して流体流出口521と連通する。この状態でタップ32が開かれると、ガスによって飲料収容容器20から供給された飲料は飲料移送路70を通ってタップ32から注出される。
【0083】
上述したように、ユーザは、飲料供給システム1を洗浄するとき、操作部53の位置を上方位置に設定する。しかしながら、ユーザが操作部53の切替を失念し、操作部53が下方位置に位置するときに水供給源100からディスペンスヘッド50に水が供給されるおそれがある。この場合であっても、本実施形態では、プランジャ52及び第2シール部材302によってバルブケース22の内部への水の流入が防止される。したがって、操作部53の位置を検出することなく、飲料供給システム1の洗浄時に飲料収容容器20内の飲料に洗浄水が混入することを防止することができる。
【0084】
また、本実施形態では、開閉弁54は第2流体流入口517に配置される。このことによって、水が開閉弁54を通過するときの圧力損失を回避することができ、ひいては水の洗浄力の低下を回避することができる。
【0085】
<第二実施形態>
第二実施形態に係る飲料供給システムは、基本的に第一実施形態における飲料供給システムと同様である。このため、以下、本発明の第二実施形態について、第一実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0086】
図5は、本発明の第二実施形態に係る飲料供給システム1aの構成を概略的に示す図である。飲料供給システム1aは、一つのガス供給源10と、二つの飲料収容容器20と、二つの飲料ディスペンサ30と、二つのガス供給路60と、二つの飲料移送路70とを備える。第二実施形態では、一つのガス供給源10を用いて二つの飲料ディスペンサ30から飲料が供給される。なお、二つの飲料収容容器20に収容される飲料は異なっていてもよい。
【0087】
ガス供給源10は第1ガス減圧弁11a及び第2ガス減圧弁11bを有する。第1ガス減圧弁11aは一方のガス供給路60に接続され、第2ガス減圧弁11bは他方のガス供給路60に接続される。このことによって、異なる圧力のガスを二つの飲料収容容器20に供給することができ、飲料収容容器20内の飲料の温度等に適した圧力のガスを供給することができる。
【0088】
また、飲料供給システム1aは、一つの水供給源100と、一つの水減圧弁110と、一つの水供給路90と、水供給路90から分岐した一つの分岐水供給路120とを備える。水供給路90は一方のディスペンスヘッド50に接続され、分岐水供給路120は他方のディスペンスヘッド50に接続される。分岐水供給路120は、水減圧弁110よりも下流側の水供給路90から分岐している。このことによって、ほぼ同じ水圧の水を二つのディスペンスヘッド50に供給することができる。なお、分岐水供給路120は継手等を介して水供給路90に接続されてもよい。また、水減圧弁110は省略されてもよい。
【0089】
第二実施形態では、一つの水供給源100を用いて飲料供給システム1aの飲料の二つの流路を同時に洗浄することができる。ユーザは、飲料の二つの流路を同時に洗浄するとき、二つのディスペンスヘッド50の操作部53の位置を上方位置に設定し、水供給源100の元栓を開く。その後、二つの飲料ディスペンサ30のタップ32が開かれると、飲料の二つの流路が水で洗浄される。
【0090】
しかしながら、ユーザが少なくとも一方の操作部53の切替を失念するおそれがある。この場合であっても、ディスペンスヘッド50の上述した構成によって飲料収容容器20の内部への水の混入が防止される。また、ユーザが、一方のディスペンスヘッド50の操作部53の位置を上方位置に設定し、他方のディスペンスヘッド50の操作部53の位置を下方位置に設定した場合、一方の飲料移送路70に水が供給され、他方の飲料移送路70に飲料が供給される。したがって、一方の飲料ディスペンサ30を洗浄しつつ、他方の飲料ディスペンサ30から飲料を供給することができる。このことによって、飲料の供給を中断することなく、飲料の流路を定期的に洗浄することができる。
【0091】
なお、第二実施形態において、二つのガス供給路60が一つのガス減圧弁に接続されてもよい。すなわち、二つのガス供給路60に供給されるガスの圧力が一つのガス減圧弁によって調整されてもよい。また、飲料ディスペンサ30等の数は3以上であってもよい。飲料ディスペンサ30の数がNである場合、飲料供給システム1aはN-1個の分岐水供給路120を備える。
【0092】
<第三実施形態>
第三実施形態に係る飲料供給システムは、基本的に第一実施形態における飲料供給システムと同様である。このため、以下、本発明の第三実施形態について、第一実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0093】
図6及び
図7は、本発明の第三実施形態に係る飲料供給システム1bの構成を概略的に示す図である。飲料供給システム1bは、ガス供給源10、飲料収容容器20、飲料ディスペンサ30、制御ボックス40、ディスペンスヘッド50、第1ガス供給路61、第2ガス供給路62、飲料移送路70を備える。
図7には、制御ボックス40の内部が示されている、水供給路90、水供給源100及び水減圧弁110を備える。
【0094】
第1ガス供給路61はガス供給源10とディスペンスヘッド50の第2流体流入部514とを接続する。このため、第2流体流入口517は第1ガス供給路61と連通する。第1ガス供給路61は第一実施形態におけるガス供給路60と同様に機能する。
【0095】
第2ガス供給路62はガス供給源10に接続される。第1ガス供給路61及び第2ガス供給路62はガス供給源10の同一のガス減圧弁11に接続され、第2ガス供給路62は第1ガス供給路61から分岐している。本実施形態では、第2ガス供給路62はガス減圧弁11と制御ボックス40との間において第1ガス供給路61から分岐している。なお、ガス供給源が二つのガス減圧弁を有し、第1ガス供給路61及び第2ガス供給路62はガス供給源10の異なるガス減圧弁に接続されてもよい。
【0096】
第一実施形態と同様に、水供給路90は水供給源100とディスペンスヘッド50の第1流体流入部513とを接続する。また、第2ガス供給路62はガス供給源10とディスペンスヘッド50の第1流体流入部513とを接続する。このため、第1流体流入口516は水供給路90及び第2ガス供給路62と連通する。
【0097】
水供給路90の一部及び第2ガス供給路62の一部は、制御ボックス40内に配置され、制御ボックス40によって外部から隠される。本実施形態では、
図7に示されるように、水供給路90及び第2ガス供給路62は、制御ボックス40内で一つの共有流路に統合され、共有流路がディスペンスヘッド50の第1流体流入部513に接続される。このため、第1流体流入部513は共有流路と連通する。
【0098】
第2ガス供給路62は第1継手41を介して制御ボックス40に接続される。第1継手41は制御ボックス40のガス流入口として機能する。水供給路90は第2継手42を介して制御ボックス40に接続される。第2継手42は制御ボックス40の水流入口として機能する。第2ガス供給路62及び水供給路90の共有流路は第3継手43を介して制御ボックス40に接続される。第3継手43は制御ボックス40の流体流出口として機能する。なお、第2ガス供給路62及び水供給路90は制御ボックス40及びディスペンスヘッド50の第1流体流入部513に別々に接続されていてもよい。
【0099】
飲料供給システム1bは制御装置80を更に備える。制御装置80は、制御ボックス40内に配置され、制御ボックス40によって外部から隠される。
【0100】
図8は、
図7の制御装置80の構成を概略的に示す図である。制御装置80は、メモリ81、周辺回路82及びプロセッサ83を含む。メモリ81及び周辺回路82は信号線を介してプロセッサ83に接続されている。制御装置80は例えばマイコン又はシーケンサーとして構成される。
【0101】
メモリ81は、例えば、揮発性の半導体メモリ(例えば、RAM)及び不揮発性の半導体メモリ(例えば、ROM)を有する。メモリ81は、プロセッサ83によって実行されるプログラム、プロセッサ83によって各種処理が実行されるときに使用される各種データ等を記憶する。
【0102】
周辺回路82は、プロセッサ83が各種処理を実行するために必要な追加の要素(例えばタイマ等)を含む。プロセッサ83は、一つ又は複数のCPU(Central Processing Unit)を有し、各種処理を実行する。
【0103】
図7に示されるように、飲料供給システム1bは、ガス開閉弁63、ガス逆止弁64、水開閉弁91、水逆止弁92、流量センサ44及び警告装置45を更に備える。これらは、制御ボックス40内に配置され、制御ボックス40によって外部から隠される。なお、ガス逆止弁64、水逆止弁92及び水減圧弁110の少なくとも一つは省略されてもよい。
【0104】
ガス開閉弁63は、第2ガス供給路62に配置され、第2ガス供給路62を開閉する。ガス開閉弁63は制御装置80に電気的に接続され、制御装置80はガス開閉弁63を制御する。ガス開閉弁63は例えば電磁弁である。
【0105】
ガス逆止弁64は、第2ガス供給路62に配置され、ガスの逆流(ガス供給源10への流れ)を防止する。本実施形態では、ガス逆止弁64はガス開閉弁63よりも下流側の第2ガス供給路62に配置される。
【0106】
水開閉弁91は、水供給路90に配置され、水供給路90を開閉する。水開閉弁91は制御装置80に電気的に接続され、制御装置80は水開閉弁91を制御する。水開閉弁91は例えば電磁弁である。水開閉弁91は非通電時に水供給路90を閉じ且つ通電時に水供給路90を開くように構成される。
【0107】
水逆止弁92は、水供給路90に配置され、水の逆流(水供給源100への流れ)を防止する。本実施形態では、水逆止弁92は水開閉弁91よりも下流側の水供給路90に配置される。水供給路90及び第2ガス供給路62はガス逆止弁64及び水逆止弁92よりも下流側において一つの共有流路に統合される。
【0108】
流量センサ44は、水供給路90に配置され、水供給路90を流れる水の流量を検出する。本実施形態では、流量センサ44は水開閉弁91よりも上流側の水供給路90に配置される。流量センサ44は制御装置80に電気的に接続され、流量センサ44の出力は制御装置80に入力される。なお、流量センサ44は水開閉弁91及び水逆止弁92よりも下流側の水供給路90に配置されてもよい。
【0109】
警告装置45は警告を出力する。例えば、警告装置45は、圧電発音部品のような発音部品として構成され、警告として警告音を出力する。警告装置45は制御装置80に電気的に接続され、制御装置80は警告装置45を制御する。
【0110】
従来、飲料供給システム1bの洗浄では、一度に多量の水を供給することによって洗浄力が高まると考えられていた。一方、本願の発明者は、鋭意検討の結果、水の線速を速めて水のエネルギーを高めることで、洗浄力が高まることを見出した。水の線速を速めるためには、一度に供給する水の量を少なくする必要がある。しかしながら、水の量が少ない場合には、飲料移送路70内の抵抗によって飲料移送路70内に水を流すことができない。
【0111】
そこで、本実施形態では、制御装置80は、水とガスとが飲料移送路70に交互に供給されるように水開閉弁91及びガス開閉弁63を制御する。具体的には、制御装置80は、水供給路90から飲料移送路70に基準量の水が供給されるようにガス開閉弁63を閉じ且つ水開閉弁91を開くことと、所定時間だけガス開閉弁63を開き且つ水開閉弁91を閉じることとを交互に繰り返す水弾制御を実行する。
【0112】
水弾制御では、飲料移送路70に水とガスとが間欠的に供給され、いわゆる水弾洗浄が行われる。このとき、ガスが水を押し出すように機能するため、飲料移送路70内に少量の水を流すことができる。したがって、水の線速を速めることができ、飲料供給システム1bの飲料の流路を高い洗浄力で効率的に洗浄することができる。
【0113】
また、制御装置80は、流量センサ44の出力に基づいて水弾制御において水供給路90から飲料移送路70に供給された水の量の推定値を算出し、推定値が基準量に達するようにガス開閉弁63及び水開閉弁91を制御する。すなわち、制御装置80は、水弾制御において水供給路90から飲料移送路70に供給された水の量の推定値が基準量に達するまでガス開閉弁63を閉じ且つ水開閉弁91を開く。言い換えれば、制御装置80は、水弾制御において水供給路90から飲料移送路70に供給された水の量の推定値が基準量に達したときに水開閉弁91を閉じ且つガス開閉弁63を開く。このことによって、水弾制御において飲料移送路70に供給される水の量が水圧の変化等によって変動することを抑制することができ、ひいては水弾制御において洗浄力が低下することを抑制することができる。
【0114】
しかしながら、飲料供給システム1bの洗浄時に、ユーザはディスペンスヘッド50の操作部53の位置を誤って下方位置に設定するおそれがある。この場合に水開閉弁91が開かれてディスペンスヘッド50に水が供給されたとしても、ディスペンスヘッド50の上述した構成によって飲料収容容器20の内部への水の混入が防止される。
【0115】
水弾制御中に操作部53の位置が下方位置に設定されている場合、水の流れがディスペンスヘッド50によって遮断され、水の供給量が基準量に達しない。また、水弾制御中にユーザの誤操作によりタップ32が閉じられると、水の流れがタップ32によって遮断され、水の供給量が基準量に達しない。このため、制御装置80は、水弾制御において水供給路90から飲料移送路70に供給された水の量の推定値が基準量に達するまでの時間が所定時間よりも長い場合には、警告装置45に警告を出力させる。このことによって、ユーザに誤操作を認識させることができ、正しい手順で洗浄を行うようにユーザを促すことができる。
【0116】
また、本実施形態では、飲料を供給するためのガスを供給する第1ガス供給路61と、飲料供給システム1bを洗浄するためのガスを供給する第2ガス供給路62とが別個に設けられている。この場合、飲料供給システム1bの洗浄時にのみ、第2ガス供給路62からディスペンスヘッド50にガスを供給すればよい。このため、本実施形態では、ガス開閉弁63は非通電時に第2ガス供給路62を閉じ且つ通電時に第2ガス供給路62を開くように構成される。
【0117】
<洗浄処理>
以下、
図9のフローチャートを参照して、上述した制御について具体的に説明する。
図9は、第三実施形態における洗浄処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。本制御ルーチンは制御装置80(具体的にはプロセッサ83)によって繰り返し実行される。
【0118】
最初に、ステップS101において、制御装置80は、ユーザによって洗浄モードが選択されたか否かを判定する。ユーザは、飲料供給システム1の洗浄を要求するとき、入力装置を介して洗浄モードを選択する。入力装置は、制御装置80に電気的に接続され、例えば制御ボックス40の外面に設けられたボタン49(
図6参照)として構成される。制御装置80は入力装置の出力信号に基づいて洗浄モードの選択の有無を判定する。ステップS101において洗浄モードが選択されなかったと判定された場合、本制御ルーチンは終了する。
【0119】
一方、ステップS101において洗浄モードが選択されたと判定された場合、本制御ルーチンはステップS102に進む。ステップS102では、
図10に示される水弾制御が実行される。
【0120】
図10は、水弾制御の制御ルーチンを示すフローチャートである。最初に、ステップS201において、制御装置80は、水開閉弁91を開き、ガス開閉弁63を閉じる。具体的には、制御装置80は水開閉弁91に電力を供給する。
【0121】
次いで、ステップS202おいて、制御装置80は流量センサ44の出力を取得する。
【0122】
次いで、ステップS203において、制御装置80は、流量センサ44の出力に基づいて、水弾制御において水供給路90から飲料移送路70に供給された水の量の推定値EAを算出する。具体的には、制御装置80は、流量センサ44によって検出された水の流量を積算することによって水の量の推定値EAを算出する。
【0123】
次いで、ステップS204において、制御装置80は、水の量の推定値EAが基準量A以上であるか否かを判定する。基準量Aは、洗浄力が高まるように実験結果等に基づいて予め定められる。水の量の推定値EAが基準量A未満であると判定された場合、本制御ルーチンはステップS208に進む。
【0124】
ステップS208では、制御装置80は、ステップS201において水開閉弁91を開き且つガス開閉弁63を閉じてから所定時間が経過したか否かを判定する。所定時間は、水圧が低いときに水の供給量が基準量Aに達するのに必要な時間を考慮して予め定められる。所定時間が経過していないと判定された場合、本制御ルーチンはステップS202に戻る。
【0125】
一方、ステップS208において所定時間が経過したと判定された場合、本制御ルーチンはステップS209に進む。ステップS209では、制御装置80は警告装置45に警告を出力させる。例えば、制御装置80は警告装置45に所定時間だけ警告音を出力させる。このことによって、誤操作が行われていることがユーザに通知される。ステップS209の後、本制御ルーチンは終了する。
【0126】
また、ステップS204において水の量の推定値EAが基準量A以上であると判定された場合、本制御ルーチンはステップS205に進む。ステップS205では、制御装置80は所定時間だけ水開閉弁91を閉じ且つガス開閉弁63を開く。具体的には、制御装置80は所定時間だけガス開閉弁63に電力を供給する。所定時間は、洗浄力が高まるように実験結果等に基づいて予め定められる。
【0127】
次いで、ステップS206において、制御装置80は実行回数Nを更新する。具体的には、制御装置80は現在の実行回数Nに1を加算することによって新たな実行回数Nを算出する。本制御ルーチンが開始されるときの実行回数Nの初期値はゼロである。
【0128】
次いで、ステップS207において、制御装置80は、実行回数Nが閾値回数Nth以上であるか否かを判定する。閾値回数Nthは予め定められる。ステップS207において実行回数Nが閾値回数Nth未満であると判定された場合、本制御ルーチンはステップS201に戻る。すなわち、水弾制御が継続される。
【0129】
一方、ステップS207において実行回数Nが閾値回数Nth以上であると判定された場合、水弾制御が終了し、本制御ルーチンは、
図9に示されるステップS103に進む。
【0130】
ステップS103では、制御装置80は、水弾制御によって飲料の流路に残された水を迅速に排出すべく、水排出制御を実行する。水排出制御では、制御装置80は所定時間だけ水開閉弁91を閉じ且つガス開閉弁63を開く。具体的には、制御装置80は所定時間だけガス開閉弁63に電力を供給する。所定時間は、ガスによって水を排出するのに必要な時間を考慮して予め定められる。
【0131】
次いで、ステップS104において、制御装置80はガス開閉弁63を閉じる。具体的には、制御装置80はガス開閉弁63への電力供給を停止する。
【0132】
次いで、ステップS105において、制御装置80は警告装置45に終了アラーム音を出力させる。このとき、ユーザがタップ32を閉めることを失念したとしても、ガス開閉弁63が閉じているため、ガス漏れが防止される。ステップS105の後、本制御ルーチンは終了する。
【0133】
なお、警告装置45は、液晶パネルのようなディスプレイとして構成され、警告として警告メッセージを出力してもよい。この場合、警告装置45は制御ボックス40の外面に配置され、
図10のステップS209において制御装置80は例えば警告装置45に所定時間だけ警告メッセージを出力させる。
【0134】
また、警告装置45は、発光ダイオード(LED)のような発光体として構成され、警告として光を出力してもよい。この場合、警告装置45は制御ボックス40の外面に配置され、
図10のステップS209において、制御装置80は例えば警告装置45に所定時間だけ光を出力させる。
【0135】
<第四実施形態>
第四実施形態に係る飲料供給システムは、基本的に第三実施形態における飲料供給システムと同様である。このため、以下、本発明の第四実施形態について、第三実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0136】
図11は、本発明の第四実施形態に係る飲料供給システム1cの構成を概略的に示す図である。飲料供給システム1cは、一つのガス供給源10と、二つの飲料収容容器20と、二つの飲料ディスペンサ30と、二つのガス供給路60と、二つの飲料移送路70とを備える。第四実施形態では、一つのガス供給源10を用いて二つの飲料ディスペンサ30から飲料が供給される。なお、二つの飲料収容容器20に収容される飲料は異なっていてもよい。
【0137】
ガス供給源10は第1ガス減圧弁11a及び第2ガス減圧弁11bを有する。第1ガス減圧弁11aは一方の第1ガス供給路61に接続され、第2ガス減圧弁11bは他方の第1ガス供給路61に接続される。このことによって、異なる圧力のガスを二つの飲料収容容器20に供給することができ、飲料収容容器20内の飲料の温度等に適した圧力のガスを供給することができる。
【0138】
また、飲料供給システム1cは、一つの制御ボックス40と、一つの第2ガス供給路62と、一つの水供給源100と、一つの水減圧弁110と、一つの水供給路90とを備える。第三実施形態と同様に、水供給路90及び第2ガス供給路62は、制御ボックス40内で一つの共有流路に統合され、共有流路がディスペンスヘッド50の第1流体流入部513に接続される。
【0139】
また、飲料供給システム1cは、共有流路から分岐した分岐共有流路130を備える。共有流路は一方のディスペンスヘッド50に接続され、分岐共有流路130は他方のディスペンスヘッド50に接続される。分岐共有流路130は制御ボックス40よりも下流側の共有流路から分岐している。このため、制御ボックス40内の水開閉弁91を制御することによって、水供給路90及び分岐水供給路120への水の供給を同時に制御することができる。
【0140】
第四実施形態では、一つの水供給源100を用いて飲料供給システム1cの飲料の二つの流路を同時に洗浄することができる。ユーザは、飲料の二つの流路を同時に洗浄するとき、二つのディスペンスヘッド50の操作部53の位置を上方位置に設定し、二つのタップ32を開く。その後、洗浄モードが選択されると、飲料の二つの流路が水弾洗浄によって洗浄される。
【0141】
しかしながら、ユーザが少なくとも一方の操作部53の切替を失念するおそれがある。この場合であっても、ディスペンスヘッド50の上述した構成によって飲料収容容器20の内部への水の混入が防止される。また、ユーザが、一方のディスペンスヘッド50の操作部53の位置を上方位置に設定し、他方のディスペンスヘッド50の操作部53の位置を下方位置に設定した場合、一方の飲料移送路70に水及びガスが供給され、他方の飲料移送路70に飲料が供給される。したがって、一方の飲料ディスペンサ30を洗浄しつつ、他方の飲料ディスペンサ30から飲料を供給することができる。このことによって、飲料の供給を中断することなく、飲料の流路を定期的に洗浄することができる。
【0142】
なお、二つの第1ガス供給路61が一つのガス減圧弁に接続されてもよい。すなわち、二つの第1ガス供給路61に供給されるガスの圧力が一つのガス減圧弁によって調整されてもよい。また、飲料ディスペンサ30等の数は3以上であってもよい。飲料ディスペンサ30の数がNである場合、飲料供給システム1cはN-1個の分岐共有流路130を備える。
【0143】
<第五実施形態>
第五実施形態に係る飲料供給システムは、基本的に第一実施形態における飲料供給システムと同様である。このため、以下、本発明の第五実施形態について、第一実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0144】
図12~
図14は、本発明の第五実施形態に係るディスペンスヘッド50’及びスピアバルブ21の概略的な部分断面図である。
図12~
図14には、スピアバルブ21に装着されたディスペンスヘッド50’が示されている。
【0145】
スピアバルブ21は、バルブケース22、ガス流路閉鎖部23及び飲料流路閉鎖部24、第5シール部材305、第6シール部材306、第1スプリング401及び第2スプリング402を含み、第一実施形態と同様の構成を有する。
【0146】
ディスペンスヘッド50’は、ハウジング51’と、ハウジング51’内に配置されたプランジャ52’とを備える。ハウジング51’は、本体部511、フランジ部512、第1流体流入部513及び第2流体流入部514を含む。
【0147】
本体部511は、略円筒形状を有し、スピアバルブ21から鉛直方向上方に延在する。本体部511は第1貫通孔515を有する。第1貫通孔515は、本体部511の軸線方向に延在し、スピアバルブ21の内部と連通する。
【0148】
フランジ部512は、本体部511の下端部に接続され、本体部511から径方向外側に延在する。フランジ部512は、スピアバルブ21のバルブケース22の上部に形成された係合溝221に挿入され、係合溝221と係合する。この結果、ディスペンスヘッド50’はスピアバルブ21に装着される。例えば、ユーザはハウジング51’を周方向に回動することによってフランジ部512を係合溝221に挿入する。
【0149】
第1流体流入部513及び第2流体流入部514は、それぞれ、本体部511の側面に接続され、本体部511から径方向外側に延在する。第1流体流入部513及び第2流体流入部514は本体部511の周方向及び軸線方向において離間される。第1流体流入部513は、鉛直方向において第2流体流入部514よりも上方に配置され、第2流体流入部514よりもスピアバルブ21の遠くに配置される。なお、第1流体流入部513及び第2流体流入部514は本体部511の周方向において同一位置に配置されていてもよい。
【0150】
第1流体流入部513は第1流体流入口516を有する。第1流体流入口516は、水平方向に延在し、第1貫通孔515と連通する。第1流体流入部513は、水を供給する水供給路90に接続される。このため、第1流体流入口516は水供給路90と連通する。なお、第1流体流入部513は継手等を介して水供給路90に接続されてもよい。
【0151】
第2流体流入部514は第2流体流入口517を有する。第2流体流入口517は、水平方向に延在し、第1貫通孔515と連通する。第2流体流入部514は、ガスを供給するガス供給路60に接続される。このため、第2流体流入口517はガス供給路60と連通する。なお、第2流体流入部514は継手等を介してガス供給路60に接続されてもよい。
【0152】
第1流体流入口516及び第2流体流入口517は第1貫通孔515を介して互いに連通する。第2流体流入口517は、スピアバルブ21の内部への流体の流れ方向において、第1流体流入口516よりも下流側に配置される。
【0153】
プランジャ52’は、略円筒形状を有し、ハウジング51’の本体部511内に配置される。プランジャ52’は流体流出口521を有する。流体流出口521は、プランジャ52’の軸線方向に延在し、スピアバルブ21の内部と連通する。本体部511の上端部は飲料移送路70に接続される。このため、流体流出口521は飲料移送路70と連通する。なお、本体部511の上端部は継手等を介して飲料移送路70に接続されてもよい。
【0154】
プランジャ52’は凹部522aを有する。凹部522aは、プランジャ52’の外面に形成され、プランジャ52’の周方向に延在する。
【0155】
また、プランジャ52’は、球状部材524、突起525及び段部526を有する。球状部材524、突起525及び段部526は、第一実施形態と同様に、流体流出口521からスピアバルブ21の内部への流体の逆流を防止する逆流防止機構として機能する。
【0156】
また、
図1に示されるように、ディスペンスヘッド50’は操作部53を備える。操作部53は手動操作によってハウジング51’内でプランジャ52’を摺動させる。操作部53は、例えばハウジング51’に回動可能に取り付けられ、操作部53の回動がプランジャ52’の直線運動に変換されるようにプランジャ52’に連結される。操作部53は例えば操作レバーとして構成される。
【0157】
第五実施形態では、操作部53は上方位置と中間位置と下方位置との間で回動可能である。操作部53が上方位置から中間位置を経て下方位置に回動されるときに、プランジャ52’は、鉛直方向下方に移動し、スピアバルブ21に近付く。一方、操作部53が下方位置から中間位置を経て上方位置に回動されるときに、プランジャ52’は、鉛直方向上方に移動し、スピアバルブ21から離れる。したがって、プランジャ52’は上方位置と中間位置と下方位置との間で摺動可能である。
【0158】
また、ディスペンスヘッド50’は、第一実施形態と同様に、開閉弁54を備える。開閉弁54は、第2流体流入部514の内部、すなわち第2流体流入口517に配置され、第2流体流入口517を開閉する。
【0159】
また、
図12~
図14に示されるように、ディスペンスヘッド50’は、第1シール部材301、第2シール部材302、第3シール部材303、第4シール部材304及び第7シール部材307を備える。第1シール部材301、第2シール部材302及び第7シール部材307は、それぞれ、ハウジング51’の本体部511の内面に形成された周方向溝に配置され、プランジャ52’の周囲に延在する。
【0160】
第1シール部材301は鉛直方向において第1流体流入部513よりも上方に配置される。第2シール部材302は鉛直方向において第1流体流入部513と第2流体流入部514との間に配置される。第7シール部材307は、鉛直方向において第2流体流入部514よりも下方に配置される。したがって、第1シール部材301は鉛直方向において最も上方に配置され、第2シール部材302は鉛直方向において第1シール部材301と第7シール部材307との間に配置され、第7シール部材307は鉛直方向において最も下方に配置される。
【0161】
第3シール部材303は、ハウジング51’のフランジ部512の下面に形成された周方向溝に配置される。第3シール部材303は、スピアバルブ21のバルブケース22に当接し、フランジ部512とバルブケース22との間の空間をシールする。このことによって、スピアバルブ21に流入した流体がフランジ部512とバルブケース22との間を通って外部に流出することを防止することができる。
【0162】
第4シール部材304は、プランジャ52’の外面に配置され、プランジャ52’の周囲に延在する。第4シール部材304は、鉛直方向において凹部522aよりも下方に配置され、凹部522aよりもスピアバルブ21の近くに配置される。
【0163】
ディスペンスヘッド50’は第1流体流入口516及び第2流体流入口517と流体流出口521との連通状態を切り替えるように構成される。具体的には、ディスペンスヘッド50’はハウジング51’内でのプランジャ52’の摺動によってこれらの連通状態を切り替える。
【0164】
プランジャ52’は、第1流体流入口516と流体流出口521とを直接連通させ且つ第2流体流入口517を飲料収容容器20の内部及び流体流出口521から遮断する第1位置と、第1流体流入口516を飲料収容容器20の内部及び流体流出口521から遮断し且つ第2流体流入口517と流体流出口521とを飲料収容容器20の内部を介して連通させる第2位置と、第1流体流入口516及び第2流体流入口517を飲料収容容器20の内部及び流体流出口521から遮断する第3位置との間で摺動する。本実施形態では、プランジャ52’の上方位置が第3位置に相当し、プランジャ52’の中間位置が第1位置に相当し、プランジャ52’の下方位置が第2位置に相当する。
【0165】
第五実施形態では、飲料収容容器20に収容された飲料が枯渇して飲料収容容器20が新たな飲料収容容器に交換されるときに、ユーザは操作部53の位置を上方位置に設定する。この結果、プランジャ52’は上方位置に位置する。
図12には、プランジャ’が上方位置に位置するときのディスペンスヘッド50’が示されている。
【0166】
図12に示されるように、プランジャ52’が上方位置に位置するとき、第1シール部材301は鉛直方向(軸線方向)において凹部522aよりも上方に位置する。この結果、第1シール部材301は、プランジャ52’の外面に当接し、ハウジング51’とプランジャ52’との間の空間をシールする。このことによって、第1流体流入口516に水が供給されたとしても、水がハウジング51’とプランジャ52’との間を通って上方に流出することを防止することができる。
【0167】
また、プランジャ52’が上方位置に位置するとき、第7シール部材307は鉛直方向において凹部522aと第4シール部材304との間に位置する。この結果、第7シール部材307は、プランジャ52’の外面に当接し、ハウジング51’とプランジャ52’との間の空間をシールする。このことによって、第1流体流入口516に水が供給されたとしても、水がハウジング51’とプランジャ52’との間を通ってスピアバルブ21の内部に流入することを防止することができる。したがって、第1シール部材301及び第7シール部材307によって、飲料収容容器20を交換するときの水漏れを防止することができる。
【0168】
また、プランジャ52’が上方位置に位置するとき、凹部522aと第2流体流入口517との鉛直方向の位置が一致し、開閉弁54は凹部522aと面する。この結果、開閉弁54のスピンドル542とプランジャ52’との間に空間が生じ、開閉弁54のスプリング544の付勢力に抗する力は生じない。このため、開閉弁54は第2流体流入口517を閉じ、第2流体流入口517に供給されたガスはハウジング51’とプランジャ52’との間の空間に流入することができない。このことによって、飲料収容容器20を交換するときのガス漏れを防止することができる。
【0169】
したがって、プランジャ52’が上方位置に位置するとき、第1流体流入口516及び第2流体流入口517は飲料収容容器20の内部及び流体流出口521から遮断される。この状態でディスペンスヘッド50’がスピアバルブ21から脱着され、飲料収容容器20が交換される。
【0170】
飲料供給システム1の洗浄時には、ユーザは、操作部53の位置を中間位置に設定し、水供給源100の元栓を開く。この結果、プランジャ52’は中間位置に位置し、第1流体流入口516に水が供給される。
図13には、プランジャ52’が中間位置に位置するときのディスペンスヘッド50’が示されている。
【0171】
図13に示されるように、プランジャ52’が中間位置に位置するとき、第1シール部材301は鉛直方向において凹部522aよりも上方に位置する。この結果、第1シール部材301は、プランジャ52’の外面に当接し、ハウジング51’とプランジャ52’との間の空間をシールする。このことによって、第1流体流入口516に供給された水がハウジング51’とプランジャ52’との間を通って上方に流出することを防止することができる。
【0172】
一方、プランジャ52’が中間位置に位置するとき、凹部522aと第2シール部材302及び第7シール部材307との鉛直方向の位置が一致し、第2シール部材302及び第7シール部材307は凹部522aに面する。この結果、第2シール部材302及び第7シール部材307とプランジャ52’との間に空間が生じ、第1流体流入口516に供給された水はこの空間を通ってバルブケース22の内部に向かって下方に移動する。
【0173】
また、プランジャ52’が中間位置に位置するとき、凹部522aと第2流体流入口517との鉛直方向の位置が一致し、開閉弁54は凹部522aと面する。この結果、開閉弁54のスピンドル542とプランジャ52’との間に空間が生じ、開閉弁54のスプリング544の付勢力に抗する力は生じない。このため、開閉弁54は第2流体流入口517を閉じ、第2流体流入口517に供給されたガスはハウジング51’とプランジャ52’との間の空間に流入することができない。
【0174】
また、プランジャ52’が中間位置に位置するとき、プランジャ52’の外面に配置された第4シール部材304はガス流路閉鎖部23と当接しない。このため、ガス流路閉鎖部23の上端部に配置された第5シール部材305は、第1スプリング401の付勢力によってバルブケース22に当接し、バルブケース22とガス流路閉鎖部23との間の空間をシールする。このことによって、ハウジング51とプランジャ52との間の空間を通ってバルブケース22内に流入した水がバルブケース22とガス流路閉鎖部23との間に流入することを防止することができる。
【0175】
また、プランジャ52’が中間位置に位置するとき、プランジャ52の下端部は飲料流路閉鎖部24と当接しない。このため、飲料流路閉鎖部24は第2スプリング402の付勢力によって第6シール部材306に当接し、第6シール部材306は、ガス流路閉鎖部23と飲料流路閉鎖部24との間の空間をシールする。このことによって、ハウジング51’とプランジャ52’との間の空間を通ってバルブケース22内に流入した水がガス流路閉鎖部23と飲料流路閉鎖部24との間に流入することを防止することができる。
【0176】
バルブケース22内に流入した水はガス流路閉鎖部23とプランジャ52’との間の空間及び飲料流路閉鎖部24とプランジャ52’との間の空間を通って流体流出口521に流入する。したがって、プランジャ52’が中間位置に位置するとき、第1流体流入口516は流体流出口521と直接連通し、第2流体流入口517は飲料収容容器20の内部及び流体流出口521から遮断される。この状態でタップ32が開かれると、水供給源100から供給された水は、飲料の流路、すなわちディスペンスヘッド50’、飲料移送路70及び飲料ディスペンサ30(飲料導入管31及びタップ32)を洗浄し、タップ32から排出される。タップ32から排出された水は、ユーザによって予め設置された排水容器200に収容される。
【0177】
飲料収容容器20内の飲料をガスによって飲料移送路70に供給するとき、すなわち飲料ディスペンサ30から飲料を供給するときには、ユーザによって操作部53の位置が下方位置に設定される。この結果、プランジャ52’は下方位置に位置する。
図14は、プランジャ52’が下方位置に位置するときのディスペンスヘッド50’及びスピアバルブ21の部分断面図である。
【0178】
図14に示されるように、プランジャ52’が下方位置に位置するとき、第1シール部材301は鉛直方向において凹部522aよりも上方に位置する。この結果、第1シール部材301は、プランジャ52’の外面に当接し、ハウジング51’とプランジャ52’との間の空間をシールする。このことによって、第1流体流入口516に水が供給されたとしても、水がハウジング51’とプランジャ52’との間を通って上方に流出することを防止することができる。なお、第1シール部材301はプランジャ52’の摺動位置に関わらずプランジャ52’の外面と当接する。
【0179】
また、プランジャ52’が下方位置に位置するとき、第2シール部材302は鉛直方向において凹部522aよりも上方に位置する。この結果、第2シール部材302は、プランジャ52’の外面に当接し、ハウジング51’とプランジャ52’との間の空間をシールする。このことによって、第1流体流入口516に水が供給されたとしても、水がハウジング51’とプランジャ52’との間を通ってスピアバルブ21の内部に流入することを防止することができる。
【0180】
また、プランジャ52’が中間位置から下方位置に移動するとき、開閉弁54のスピンドル542は凹部522aの斜面によって押圧される。この結果、スピンドル542がスプリング544の付勢力に抗して移動し、開閉弁54は第2流体流入口517を開く。開閉弁54の開弁状態は、プランジャ52’の外面がスピンドル542を押圧することによって維持される。また、第2流体流入口517から上方への流体の移動は第2シール部材302によって妨げられる。このため、第2流体流入口517に供給されたガスは、開閉弁54を通過し、ハウジング51’とプランジャ52’との間の空間を通ってスピアバルブ21の内部に流入する。
【0181】
また、プランジャ52’が中間位置から下方位置に移動するとき、プランジャ52の下端部が飲料流路閉鎖部24を押圧し、その後、プランジャ52’の外面に配置された第4シール部材304がガス流路閉鎖部23を押圧する。この結果、飲料流路閉鎖部24が第2スプリング402の付勢力に抗して移動し、第6シール部材306と飲料流路閉鎖部24との間に空間が生じる。その後、ガス流路閉鎖部23が第1スプリング401の付勢力に抗して移動し、第5シール部材305とバルブケース22との間に空間が生じる。
【0182】
したがって、バルブケース22内に流入したガスはバルブケース22とガス流路閉鎖部23との間を通って飲料収容容器20の内部に流入する。この結果、ガスによって飲料の液面が押し下げられ、飲料がガス流路閉鎖部23と飲料流路閉鎖部24との間を通って上昇する。上昇した飲料は、プランジャ52’の下端部に形成された通過孔527を通って流体流出口521に流入する。
【0183】
したがって、プランジャ52’が下方位置に位置するとき、第1流体流入口516は飲料収容容器20の内部及び流体流出口521から遮断され、第2流体流入口517は飲料収容容器20の内部を介して流体流出口521と連通する。この状態でタップ32が開かれると、ガスによって飲料収容容器20から供給された飲料は飲料移送路70を通ってタップ32から注出される。
【0184】
上述したように、ユーザは、飲料供給システム1を洗浄するとき、操作部53の位置を中間位置に設定する。しかしながら、ユーザが操作部53の切替を失念し、操作部53が上方位置又は下方位置に位置するときに水供給源100からディスペンスヘッド50’に水が供給されるおそれがある。この場合であっても、本実施形態では、プランジャ52’、第2シール部材302及び第7シール部材307によってバルブケース22の内部への水の流入が防止される。したがって、操作部53の位置を検出することなく、飲料供給システム1の洗浄時に飲料収容容器20内の飲料に洗浄水が混入することを防止することができる。
【0185】
<その他の実施形態>
以上、本発明に係る好適な実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載内で様々な修正及び変更を施すことができる。
【0186】
例えば、水供給路90に接続された第1流体流入部513と、ガス供給路60に接続された第2流体流入部514との位置関係が逆であってもよい。すなわち、第1流体流入口516が第2流体流入口517よりも下流側に配置され、開閉弁54が第1流体流入口516に配置されてもよい。この場合、
図2及び
図4に示されるディスペンスヘッド50に関して、ユーザは、飲料供給システム1の洗浄時に操作部53の位置を下方位置に設定し、飲料の供給時に操作部53の位置を上方位置に設定する。また、
図12~
図14に示されるディスペンスヘッド50’に関して、ユーザは、飲料供給システム1の洗浄時に操作部53の位置を下方位置に設定し、飲料の供給時に操作部53の位置を中間位置に設定する。
【0187】
また、ディスペンスヘッド50において操作部53の位置とプランジャ52の位置との対応関係は異なっていてもよい。例えば、ディスペンスヘッド50は、操作部53の位置が下方位置であるときにプランジャ52の位置が上方位置になるように構成されていてもよい。ディスペンスヘッド50’についても、同様である。
【0188】
また、ディスペンスヘッド50において、第1流体流入口516及び第2流体流入口517は、ハウジング51の本体部511の軸線方向において同一位置に配置され、本体部511の周方向において離間されてもよい。この場合、例えば、二つのシール部材が本体部511の内面に配置され、プランジャ52が上方位置に位置するときに一方のシール部材が第2流体流入口517を包囲し、プランジャ52が下方位置に位置するときに他方のシール部材が第1流体流入口516を包囲する。このように第1流体流入口516及び第2流体流入口517がシール部材によって選択的にシールされる場合には、開閉弁54は省略されてもよい。
【0189】
また、上述した実施形態は、任意に組み合わせて実施可能である。すなわち、第五実施形態におけるディスペンスヘッド50’が第二実施形態~第四実施形態において用いられてもよい。
【符号の説明】
【0190】
1、1a、1b、1c 飲料供給システム
10 ガス供給源
20 飲料収容容器
30 飲料ディスペンサ
50、50’ ディスペンスヘッド
51、51’ ハウジング
52、52’ プランジャ
53 操作部
516 第1流体流入口
517 第2流体流入口
521 流体流出口
60 ガス供給路
61 第1ガス供給路
62 第2ガス供給路
70 飲料移送路
80 制御装置
90 水供給路
100 水供給源