(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-14
(45)【発行日】2023-08-22
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
B65D 5/66 20060101AFI20230815BHJP
【FI】
B65D5/66 301H
B65D5/66 301D
(21)【出願番号】P 2020021660
(22)【出願日】2020-02-12
【審査請求日】2022-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000115980
【氏名又は名称】レンゴー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100177644
【氏名又は名称】児玉 和樹
(72)【発明者】
【氏名】長峯 道代
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】実開平6-78220(JP,U)
【文献】実開昭63-186614(JP,U)
【文献】特開平8-192832(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の第1側壁(10)と一対の第2側壁(11)とを交互に連設して筒状に形成された周壁(1W,2W)と、
一対の前記第1側壁の何れか一方の下端に連設され、一対の前記第1側壁の間の距離よりも長く形成され、一方の前記第1側壁から他方の前記第1側壁に向かって上方に傾斜した姿勢となって前記周壁の下面開口を閉塞する底板(23)と、
前記底板の先端に連設され、下方に折り曲げられて他方の前記第1側壁の内面に積層される底片(24)と、
一対の前記第1側壁の何れか他方の下端に連設され、上方に折り曲げられて他方の前記第1側壁との間に前記底片を挟み込み、先端を前記底板に当接させる支持片(27)と、を備え、
前記底板には、係合凹部(25A)が形成され、
前記支持片には、前記支持片を上方に折り曲げた状態で前記係合凹部に係合する係合凸部(25B)が形成されたことを特徴とする包装箱。
【請求項2】
前記支持片の先端に連設され、折り返されて前記支持片の内面に積層される折込片(28)を更に備え、
前記支持片は、額縁部(26)を介して他方の前記第1側壁に連設され、上方に折り曲げられて他方の前記第1側壁との間に前記底片と前記折込片とを挟み込むことを特徴とする請求項1に記載の包装箱。
【請求項3】
一対の前記第2側壁の下端に連設され、前記周壁の内側に折り曲げられ、前記周壁の前記下面開口を閉塞した前記底板の上面に積層される一対の内フラップ(22,32)を更に備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の包装箱。
【請求項4】
一対の前記内フラップは、一対の連結部(21)を介して一対の前記第2側壁に連設され、
前記連結部と前記内フラップとの境界線は、前記周壁の前記下面開口を閉塞した前記底板に合わせて傾斜しており、
前記連結部は上方に折り返されて前記第2側壁の内面に対向し、前記内フラップは前記境界線に沿って折り曲げられることで傾斜した姿勢になり、
前記底板は、一対の前記連結部の間に嵌め込まれて前記周壁の前記下面開口を閉塞することを特徴とする請求項3に記載の包装箱。
【請求項5】
前記係合凹部は、前記底板から前記底片にかけて連続して形成され、
前記底片の前記係合凹部を形成した部分は、他の部分よりも細く形成され、
前記底板には、基端側から先端側に向かって互いに接近するように一対の補助折曲線(L12)が斜めに形成されたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、底抜けを抑制可能な包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
重い製品を入れた場合でも容易に底が抜けない底壁を有する箱体が提案されている(特許文献1)。底壁は、底辺に対して平行な切り込み部を有し、開口部を塞ぐ第1の蓋体と、第1の蓋体に重ねる際に突出部を切り込み部に挿入する第1・第2のフラップと、頭部と傾斜辺とをつなぐ位置に凹部を設け第1の蓋体に重ねる際に頭部を切り込み部に挿入すると共に凹部と第1・第2のフラップの突出部を咬合する第2の蓋体と、を備えていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した箱体では、第1・第2のフラップの突出部と第2の蓋体の頭部とを第1の蓋体の切り込み部に挿入して底壁が構成されていたが、重い製品(物品)を収容して持ち運びする際に、突出部と頭部が切り込み部から離脱して底壁が分解されてしまう(底抜けする)虞があった。つまり、上記した箱体の底壁では底抜けについての対策が十分ではなかった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するために、底抜けを抑制することができる包装箱を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の包装箱は、一対の第1側壁と一対の第2側壁とを交互に連設して筒状に形成された周壁と、一対の前記第1側壁の何れか一方の下端に連設され、一対の前記第1側壁の間の距離よりも長く形成され、一方の前記第1側壁から他方の前記第1側壁に向かって上方に傾斜した姿勢となって前記周壁の下面開口を閉塞する底板と、前記底板の先端に連設され、下方に折り曲げられて他方の前記第1側壁の内面に積層される底片と、一対の前記第1側壁の何れか他方の下端に連設され、上方に折り曲げられて他方の前記第1側壁との間に前記底片を挟み込み、先端を前記底板に当接させる支持片と、を備え、前記底板には、係合凹部が形成され、前記支持片には、前記支持片を上方に折り曲げた状態で前記係合凹部に係合する係合凸部が形成された。
【0007】
この場合、前記支持片の先端に連設され、折り返されて前記支持片の内面に積層される折込片を更に備え、前記支持片は、額縁部を介して他方の前記第1側壁に連設され、上方に折り曲げられて他方の前記第1側壁との間に前記底片と前記折込片とを挟み込んでもよい。
【0008】
この場合、一対の前記第2側壁の下端に連設され、前記周壁の内側に折り曲げられ、前記周壁の前記下面開口を閉塞した前記底板の上面に積層される一対の内フラップを更に備えてもよい。
【0009】
この場合、一対の前記内フラップは、一対の連結部を介して一対の前記第2側壁に連設され、前記連結部と前記内フラップとの境界線は、前記周壁の前記下面開口を閉塞した前記底板に合わせて傾斜しており、前記連結部は上方に折り返されて前記第2側壁の内面に対向し、前記内フラップは前記境界線に沿って折り曲げられることで傾斜した姿勢になり、前記底板は、一対の前記連結部の間に嵌め込まれて前記周壁の前記下面開口を閉塞してもよい。
【0010】
この場合、前記係合凹部は、前記底板から前記底片にかけて連続して形成され、前記底片の前記係合凹部を形成した部分は、他の部分よりも細く形成され、前記底板には、基端側から先端側に向かって互いに接近するように一対の補助折曲線が斜めに形成されてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、包装箱の底抜けを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る包装箱を示す斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る包装箱のブランクを示す平面図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る包装箱の内壁体を形成する手順を説明する斜視図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る包装箱の底壁体を形成する手順を説明する斜視図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に係る包装箱の支持壁体を形成する手順を説明する斜視図である。
【
図8】本発明の第1実施形態に係る包装箱を解体する手順を説明する斜視図である。
【
図9】本発明の第2実施形態に係る包装箱を示す斜視図である。
【
図10】本発明の第2実施形態に係る包装箱のブランクを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。なお、図面に示す「Fr」は「前」を示し、「Rr」は「後」を示し、「L」は「左」を示し、「R」は「右」を示し、「U」は「上」を示し、「D」は「下」を示している。前後方向は左右方向に直交し、上下方向は前後方向と左右方向とに直交している。本明細書では方向や位置を示す用語を用いるが、それらの用語は説明の便宜のために用いるものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。また、方向や位置を示す用語は、包装箱を組み立てて使用する状態における方向や位置を基準にしている。
【0014】
[第1実施形態]
図1および
図2を参照して、第1実施形態に係る包装箱1について説明する。
図1は包装箱1を示す斜視図である。
図2は包装箱1のブランク5を示す平面図である。
【0015】
図1に示すように、包装箱1は、略直方体状の外観を有し、上面を開口したトレイ状に形成されている。包装箱1は、例えば、青果物、飲料入り容器(缶、瓶、ペットボトル等)または金属製品等、重量のある物品M(
図6等参照)を収容可能に構成されている。
【0016】
包装箱1は、
図2に示すブランク5を組み立てることで形成される。ブランク5は、例えば、波状の中しん9Aの表裏に表ライナ9Bと裏ライナ9C(
図1参照)とを貼り付けた紙製の両面段ボールシートから形成されている。ブランク5は、例えば、一枚の段ボールシートを抜型等で打ち抜いて形成されている。なお、
図2は、表ライナ9B側を示している。本明細書では、段ボールの中しん9Aと平行な方向を「段方向」と呼び、段方向(中しん9A)に直交する方向を「流れ方向」と呼ぶこととする。図面に示す「X」は「段方向」を示し、「Y」は「流れ方向」を示している。
【0017】
[ブランク]
図2に示すように、ブランク5は、一対の第1側壁10と、一対の第2側壁11と、一対の内壁体12と、底壁体13と、支持壁体14と、を備えている。詳細は後述するが、一対の内壁体12、底壁体13および支持壁体14は、組み合わされて床構造体20を形成する。
【0018】
<第1側壁、第2側壁>
一対の第1側壁10と一対の第2側壁11とは、第1折曲線L1を介して流れ方向の一方から他方に向かって交互に連設されている。第1側壁10と第2側壁11とは、略長方形状に形成されている。詳細には、第1側壁10は、第2側壁11よりも流れ方向に長い略長方形状に形成されている。第2側壁11の流れ方向の他端には、第1折曲線L1を介して継代片15が連設されている。
【0019】
<内壁体>
一対の内壁体12は、一対の第2側壁11の段方向の一端に連設されている。なお、一対の内壁体12は、支持壁体14を中心にして線対称に形成されているため、以下、1つの内壁体12について説明する。
【0020】
内壁体12は、連結部21と、内フラップ22と、を有している。
【0021】
(連結部)
連結部21は、第2折曲線L2を介して第2側壁11の段方向の一端(下端)に連設されている。連結部21は、支持壁体14から流れ方向に離れるに従って(後方から前方に向かって)徐々に細くなる略三角形状(または略台形状)に形成されている。第2折曲線L2は流れ方向と略平行に形成され、連結部21の段方向の先端は第2折曲線L2に対して傾いている。詳細には、連結部21の段方向の先端(後述する逆折線L11)は、支持壁体14から離れるに従って(後方から前方に向かって)第2側壁11に接近するように傾斜している。連結部21の流れ方向の寸法は第2側壁11の流れ方向の寸法よりも短く設定されており、第2側壁11の前下部には設置面Gに接触する前方脚部11Aが形成されている。
【0022】
(内フラップ)
内フラップ22は、逆折線L11を介して連結部21の段方向の先端に連設されている。換言すれば、内フラップ22は、連結部21を介して第2側壁11の段方向の一端(下端)に連設されている。内フラップ22は略長方形状に形成されており、内フラップ22の段方向の先端は連結部21の段方向の先端(逆折線L11)と略平行に形成されている。つまり、内フラップ22の段方向の先端は、第2折曲線L2に対して傾いている。なお、内フラップ22の支持壁体14側の角部は、略矩形状に切り欠かれている。
【0023】
<底壁体>
底壁体13は、底板23と、底片24と、を有している。
【0024】
(底板)
底板23は、第2折曲線L2を介して一対の第1側壁10の何れか一方(前方の第1側壁10)の段方向の一端(下端)に連設されている。底板23は、略長方形状に形成されている。底板23の段方向の寸法(延出寸法)は、第2側壁11の流れ方向の寸法よりも長く設定されている。また、底板23の根本部分(第2折曲線L2の近傍部分)の流れ方向両端は、僅かに外側に突き出している。底板23には、段方向の基端側(第2折曲線L2の側)から先端側に向かって互いに接近するように一対の補助折曲線L12が斜めに形成されている。一対の補助折曲線L12は、底板23の段方向の先端側の領域において略ハ字状に形成されている。
【0025】
(底片)
底片24は、第3折曲線L3を介して底板23の段方向の先端に連設されている。底片24は、段方向の先端角部を丸く隅切りされた略長方形に形成されている。底片24の段方向の寸法(延出寸法)は、連結部21の段方向の最大寸法と略同一に設定されている。
【0026】
(係合凹部)
底板23には、係合凹部25Aが形成されている。正確には、係合凹部25Aは、底板23の流れ方向の中央部において底板23から底片24にかけて連続して形成された穴である。係合凹部25Aは、底板23には長方形状に開口し、底片24には扇状(アーチ状)開口している。底片24の係合凹部25Aを形成した部分(片中央部24A)は、他の部分よりも細く形成されている。
【0027】
<支持壁体>
支持壁体14は、額縁部26と、支持片27と、折込片28と、を有している。
【0028】
(額縁部)
額縁部26は、第2折曲線L2を介して一対の第1側壁10の何れか他方(後方の第1側壁10)の段方向の一端(下端)に連設されている。額縁部26は略長方形状(正確には先端に向かって幅狭くなる略台形状)に形成されており、その段方向の寸法(延出寸法)は段ボールシートの厚さよりも僅かに長く設定されている。
【0029】
(支持片)
支持片27は、第4折曲線L4を介して額縁部26の段方向の先端に連設されている。換言すれば、支持片27は、額縁部26を介して他方の第1側壁10の下端に連設されている。支持片27は、段方向の先端角部を斜めに隅切りされた略長方形状に形成されている。支持片27の段方向の寸法(延出寸法)は、底片24の延出寸法と略同一に設定されている。
【0030】
(折込片)
折込片28は、第5折曲線L5を介して支持片27の段方向の先端に連設されている。折込片28は、段方向の先端に向かって幅広くなる略台形状に形成されている。折込片28の段方向の寸法(延出寸法)は、支持片27の延出寸法よりも僅かに短く設定されている。
【0031】
(係合凸部)
支持片27の段方向の先端には、係合凸部25Bが形成されている。係合凸部25Bは、支持片27の流れ方向の中央部において支持片27の段方向の先端から折込片28に食い込んでいる。係合凸部25Bは、折込片28に形成された切断線によって区画され、段方向の先端角部を斜めに隅切りされた略長方形状に形成されている。係合凸部25Bは、係合凹部25Aに差し込むことができる幅に形成されている。
【0032】
なお、第1~第5折曲線L1~L5は、段ボールシートを裏ライナ9Cの側から厚み方向に潰した汎用罫線である。汎用罫線は、主に、裏ライナ9Cを内側に向けるように段ボールシートを折り曲げる(正折りする)機能を有している。逆折線L11および補助折曲線L12は、段ボールシートを表ライナ9Bの側から厚み方向に潰した逆罫線である。逆罫線は、主に、表ライナ9Bを内側に向けるように段ボールシートを折り曲げる(逆折りする)機能を有している。なお、これらの第1折曲線L1等は、汎用罫線や逆罫線に限らず、複数の切目を所定間隔に形成したミシン刃線、汎用罫線上にミシン刃線を形成したリード罫線等、段ボールシートを折り曲げるための線であれば如何なるものでもよい。
【0033】
[包装箱の組立]
次に、
図1、
図3ないし
図7を参照して、包装箱1の組立手順について説明する。
図3は内壁体12を形成する手順を説明する斜視図である。
図4は底壁体13を形成する手順を説明する斜視図である。
図5は支持壁体14を形成する手順を説明する斜視図である。
図6は、
図1のVI-VI断面図である。
図7は、
図6のVII-VII断面図である。なお、
図3ないし
図5では、包装箱1を上下逆さまにした状態を示している。また、組立前の初期状態として、ブランク5の流れ方向の両外側に位置する第1側壁10と第2側壁11とが第1折曲線L1で折り曲げられ、継代片15が第1側壁10の内面に接着され、包装箱1は二重に折り畳まれていることとする。
【0034】
まず、作業者は、一対の第1側壁10と一対の第2側壁11とを第1折曲線L1に沿って略直角に折り曲げる(
図1参照)。一対の第1側壁10は前後方向に対向し、一対の第2側壁11は左右方向に対向する。一対の第1側壁10と一対の第2側壁11とが周方向に交互に連設され、略角筒状の周壁1Wが形成される。
【0035】
続いて、
図3に示すように、作業者は、一対の連結部21を第2折曲線L2に沿って周壁1Wの内側に折り返し、一対の内フラップ22を逆折線L11に沿って逆折りする。各々の連結部21は、上方に折り返されて第2側壁11の内面に対向する。一対の内フラップ22は、逆折線L11で折り曲げられることで互いに先端を向き合わせる。また、上記したように、連結部21と内フラップ22との境界線としての逆折線L11は傾斜しているため、一対の内フラップ22は、逆折線L11で折り曲げられることで前方から後方に向かって上方に傾斜した姿勢になる。
【0036】
次に、
図4に示すように、作業者は、底片24を第3折曲線L3に沿って逆折りし、底板23を第2折曲線L2に沿って周壁1Wの内側に折り曲げる。上記したように、底板23は第2側壁11よりも段方向(前後方向)の長さが長いため、底板23は一対の補助折曲線L12で軽く逆折れされ、底板23の先端(底片24)は第1側壁10の内面に接触しながら上方に移動する。換言すれば、底板23は、一対の第1側壁10の間の距離よりも長いため、一対の第1側壁10を前後方向に押し広げながら周壁1Wの内部に押し込まれる。また、底板23は、一対の連結部21を一対の第2側壁11に向けて押し付けながら周壁1Wの内部に押し込まれる。
【0037】
底板23の押し込みが進み、底板23が前方から後方(一方の第1側壁10から他方の第1側壁10)に向かって上方に傾斜した姿勢になると、前後方向に押し広げられた一対の第1側壁10は元に戻る。底板23は、一対の連結部21の間に嵌め込まれ、傾斜した姿勢となって周壁1Wの下面開口を閉塞する(
図7参照)。この状態で、底片24は下方に折り曲げられて前方(他方)の第1側壁10の内面に積層されている(
図6参照)。また、底片24(底板23の先端)は第1側壁10の内面に軽く押し付けられているため、底板23が周壁1Wの内部から簡単に抜け落ちないようになっている。また、逆折線L11は周壁1Wの下面開口を閉塞した底板23に合わせて傾斜しているため、一対の内フラップ22は、周壁1Wの内側に折り曲げられることで周壁1Wの下面開口を閉塞した底板23の上面に積層される(
図6、
図7参照)。
【0038】
次に、
図5の上段に示すように、作業者は、折込片28を第5折曲線L5に沿って折り返し、折込片28を支持片27の内面に積層させる。すると、係合凸部25Bが、折込片28から刳り貫かれ、支持片27の先端から突出する。その後、
図5の下段に示すように、作業者は、額縁部26を第2折曲線L2で正折りし、支持片27を第4折曲線L4で正折りする(周壁1Wの内側に折り曲げる)。また、作業者は、係合凸部25Bを係合凹部25Aに差し込む(係合させる)。
【0039】
以上によって、包装箱1の組立が完了する(
図1参照)。また、一対の内壁体12、底壁体13および支持壁体14が、以上のように組み合わされて床構造体20を構成する(
図5下段参照)。この状態において、
図6に示すように、底片24の先端(下端)は、額縁部26に当接する。支持片27が上方に折り曲げられることで、折込片28は支持片27と前方の第1側壁10との間に巻き込まれる。換言すれば、支持片27は、前方の第1側壁10との間に底片24と折込片28とを挟み込む。また、支持片27は、上方に折り曲げられることで起立姿勢となり、その先端を底板23の下面に当接させる。支持片27が上方に折り曲げられた状態で、係合凸部25Bは係合凹部25Aに係合する。
【0040】
なお、包装箱1を設置面Gに置くと、主に、前方の第1側壁10の下端(底板23との境界部)、一対の第2側壁11の前方脚部11Aおよび額縁部26が設置面Gに当接する。また、作業者は、床構造体20(内フラップ22や底板23)の上に物品Mを載置する。
【0041】
以上説明した第1実施形態に係る包装箱1では、底板23が、一対の第1側壁10の間の距離(第2側壁11の前後方向の寸法)よりも長いため、その先端を第1側壁10の内面に接触させ、周壁1Wを前後方向に押し広げながら周壁1Wの内部に押し込まれる。そして、底板23が、周壁1Wの内部において傾斜姿勢になると、周壁1Wを前後方向に広げない限り、簡単に周壁1Wから抜け落ちることがない。また、支持片27は、起立姿勢となって、底片24を第1側壁10に押し付けると共に傾斜姿勢となった底板23の下面に当接する(
図6参照)。この構成によれば、物品Mから底板23にかかる荷重を、額縁部26に当接した底片24と、底板23の後部に当接した支持片27と、によって支えることができる。これにより、包装箱1に重い物品Mを収容して運搬したとしても底抜け(底板23が抜け落ちること)を抑制することができる。さらに、係合凸部25Bが係合凹部25Aに係合することで、支持片27が起立姿勢に保持されるため、支持片27等によって物品Mからの荷重を支える機能を維持することができる。
【0042】
また、第1実施形態に係る包装箱1では、折込片28が支持片27の内側に折り返されることで、支持片27と折込片28が二重壁を構成していた(
図6参照)。この構成によれば、支持片27と折込片28が成す二重壁によって底板23を確りと受け止めることができる。また、折込片28が元に戻ろうとする反発力によって、係合凸部25Bを係合凹部25Aの縁部に押し付けることができる。これにより、係合凸部25Bが係合凹部25Aから抜け出すことが抑制され、支持片27を起立姿勢に維持することができる。
【0043】
また、第1実施形態に係る包装箱1では、連結部21が第2側壁11の内側に折り返され、内フラップ22が底板23と略平行になるように折り曲げられていた(
図7参照)。この構成によれば、一対の内フラップ22が底板23上に積層されて二重壁を構成し、底板23と内フラップ22が成す二重壁によって重い物品Mを受け止めることができる。また、折り返された連結部21と第2側壁11が二重壁を構成し、底板23が一対の連結部21の間に嵌め込まれることで、連結部21と第2側壁11が成す二重壁が保持されていた(
図7参照)。この構成によれば、連結部21と第2側壁11が成す二重壁によって内フラップ22の根本部分の強度を高めることができる。また、第2側壁11を底板23の最下部と同じ位置まで延ばすことができるため、底板23と設置面Gとの間の隙間を隠すことができる(
図1、
図7参照)。
【0044】
[包装箱の解体]
ここで、
図8を参照して、包装箱1(床構造体20)を解体する場合について説明する。
図8は包装箱1を解体する手順を説明する斜視図である。なお、
図8では、包装箱1を上下逆さまにした状態を示している。
【0045】
床構造体20を解体するには、
図8の上段に示すように、作業者は、底板23の後部(支持片27の近傍)を周壁1Wの内部に向かって押し込む(
図8の上段の白抜き矢印参照)。底板23は、一対の補助折曲線L12に沿って逆折りされながら周壁1Wの内部に押し込まれる。上記したように、底片24の中央には係合凹部25Aが開口しており、片中央部24Aは他の部分よりも細く形成され、屈曲し易くなっている。このため、
図8の下段に示すように、底板23の押し込みに伴って底片24は片中央部24Aで座屈し、係合凹部25Aが周壁1Wの内部に向かって移動し、係合凸部25Bが係合凹部25Aから抜け出す。そして、上記した包装箱1の組立手順とは逆の手順によって包装箱1(床構造体20)を解体する。
【0046】
以上のように、底片24の片中央部24Aが細く形成されているため、起立姿勢となった底片24が底板23の押し込みを阻害することがない。この構成によれば、底板23を一対の補助折曲線L12で折りながら押し込み易くなるため、係合凹部25Aから係合凸部25Bを簡単に離脱させることができる。これにより、包装箱1(底壁体13)を容易に解体することができる。
【0047】
[第2実施形態]
図9ないし
図11を参照して、第2実施形態に係る包装箱2について説明する。
図9は包装箱2を示す斜視図である。
図10は包装箱2のブランク6を示す平面図である。
図11は、
図9のXI-XI断面図である。なお、以下の説明では、第1実施形態に係る包装箱1と同一または対応する構成については同一の符号を付し、同一または対応する説明は省略する。
【0048】
図10に示すように、包装箱2(ブランク6)では、一対の連結部21が省略され、一対の第2側壁11の下端に一対の内フラップ32が連設されている。なお、以下、1つの内フラップ32について説明する。
【0049】
内フラップ32は、傾斜折曲線L21(例えば汎用罫線)を介して第2側壁11の下端に連設されている。ブランク6の状態において、内フラップ32は、第1実施形態に係る包装箱1の内フラップ22とは逆向きに傾いており、第2側壁11に食い込むように形成されている。第2側壁11の後下部には設置面Gに接触する後方脚部11Bが形成され、傾斜折曲線L21は前方脚部11Aから後方脚部11Bまでの間に斜めに形成されている。詳細には、傾斜折曲線L21は、前方脚部11Aから後方脚部11Bに(前方から後方に)向かって上方に傾斜している。
【0050】
[包装箱の組立]
次に、包装箱2の組立手順について簡単に説明する。
【0051】
まず、作業者は、一対の第1側壁10と一対の第2側壁11とを第1折曲線L1に沿って略直角に折り曲げ、略角筒状の周壁2Wを形成する(
図9参照)。続いて、作業者は、一対の内フラップ32を傾斜折曲線L21に沿って周壁2Wの内側に折り曲げる(
図11参照)。傾斜折曲線L21が傾斜しているため、一対の内フラップ32は、傾斜折曲線L21で折り曲げられることで前方から後方に向かって上方に傾斜した姿勢になる。
【0052】
以降、作業者は、第1実施形態に係る包装箱1の組立手順と同様の手順で、包装箱2を組み立てる。一対の内フラップ32は、底板23の上面に積層され、底壁体13と支持壁体14と共に床構造体30を構成する。なお、包装箱2を設置面Gに置くと、主に、前方の第1側壁10の下端、一対の前方脚部11A、一対の後方脚部11Bおよび額縁部26が設置面Gに当接する(
図11参照)。
【0053】
以上説明した第2実施形態に係る包装箱2によれば、重い物品Mを収容して運搬したとしても底抜けを抑制することができる等、第1実施形態に係る包装箱1と同様の効果を得ることができる。また、第2実施形態に係る包装箱2では、底板23と設置面Gとの間の隙間が露出するため(
図9および
図11参照)、作業者は、当該隙間に手を入れ、底板23に手を当てて持ち運ぶことができる。
【0054】
なお、第1および第2実施形態に係る包装箱1,2において、底板23の前後方向の長さは、物品Mの大きさ、形状、種類等に応じて底板23が所望の傾斜角度になるように、自由に設定することができる。また、底片24、支持片27および折込片28は、底板23の傾斜角度に合わせて、高さを設定することが好ましい。
【0055】
なお、第1および第2実施形態に係る包装箱1,2では、支持片27の先端に折込片28が連設されていたが、本発明はこれに限定されない。折込片28は省略(削除)されてもよい(図示せず)。この場合、第1側壁10と支持片27との間に底片24が挟み込まれる。
【0056】
また、第1および第2実施形態に係る包装箱1,2では、支持片27が額縁部26を介して第1側壁10に連設されていたが、本発明はこれに限定されない。額縁部26が省略(削除)され、支持片27が第1側壁10に直接連設されてもよい(図示せず)。この場合、底片24の先端は第1側壁10と支持片27との折目部分に当接する。
【0057】
また、第1および第2実施形態に係る包装箱1,2では、一対の内フラップ22,32(連結部21)が設けられていたが、これに限らず、一対の内フラップ22,32(連結部21)は省略されてもよい(図示せず)。
【0058】
また、第1および第2実施形態に係る包装箱1,2では、係合凹部25Aが第3折曲線L3を横断して底板23から底片24まで形成されていたが、本発明はこれに限定されない。係合凹部25Aは、少なくとも底片24に沿って底板23に開口していればよい。また、係合凹部25Aが底板23にのみ開口している場合、底片24の係合凹部25Aの近傍部分は、他の部分よりも細くしたり、切目等を入れたりして強度を低下させてもよい(図示せず)。
【0059】
また、第1および第2実施形態に係る包装箱1,2では、第2側壁11の下部に前方脚部11Aや後方脚部11Bが形成されていたが、前方脚部11Aや後方脚部11Bは省略されてもよい(図示せず)。
【0060】
なお、第1および第2実施形態に係る包装箱1,2は、上面を開口させたトレイ状に形成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、周壁1W,2Wの上面開口を閉塞するためのフラップが、第1側壁10と第2側壁11との上端に連設されていてもよい(図示せず)。また、包装箱1,2は、略直方体に形成されていたが、例えば、直方体の四面の角を面取りして略八角柱状に形成されてもよい(図示せず)。
【0061】
また、第1および第2実施形態に係る包装箱1,2は、紙製の両面段ボールシートで形成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、段ボールシートは、中しん9Aの片面にライナを貼り付けた片面段ボールシートでもよいし、片面段ボールシートと両面段ボールシートを積層した複両面段ボールシートであってもよい。また、例えば、外装箱3は、紙製の段ボールシートに代えて、樹脂製の板等で形成されていてもよい。
【0062】
なお、上記実施形態の説明は、本発明に係る包装箱における一態様を示すものであって、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明は技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよく、特許請求の範囲は技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様を含んでいる。
【符号の説明】
【0063】
1,2 包装箱
1W,2W 周壁
10 第1側壁
11 第2側壁
21 連結部
22,32 内フラップ
23 底板
24 底片
25A 係合凹部
25B 係合凸部
26 額縁部
27 支持片
28 折込片
L12 補助折曲線