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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-14
(45)【発行日】2023-08-22
(54)【発明の名称】プログラム、情報処理装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/38 20120101AFI20230815BHJP
   G06Q 30/04 20120101ALI20230815BHJP
【FI】
G06Q20/38
G06Q30/04
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020199908
(22)【出願日】2020-12-01
(65)【公開番号】P2022087753
(43)【公開日】2022-06-13
【審査請求日】2022-03-11
(73)【特許権者】
【識別番号】513056101
【氏名又は名称】フリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 大輔
(72)【発明者】
【氏名】岡田 悠
(72)【発明者】
【氏名】米川 健一
【審査官】石田 紀之
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-229331(JP,A)
【文献】特開2003-091657(JP,A)
【文献】特開2001-216371(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0208707(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサと、メモリとを備えるコンピュータに実行させ、複数の事業者の間で行われる取引を管理するためのプログラムであって、
前記メモリには、前記取引に係るステータス情報が登録され、
前記ステータス情報として、前記取引が開始されたことを示す取引開始状態、前記取引に係る請求がなされたことを示す請求状態、及び前記取引に係る支払通知がなされたことを示す支払通知状態、を含む状態の情報が登録され、
前記取引開始状態は、前記事業者からの前記取引にかかる取引情報の登録から当該取引に係る実際の商品の受け渡しや業務委託に係る業務の終了までであり、前記請求状態は、前記取引に係る実際の商品の受け渡しや業務委託に係る業務の終了後において前記取引に係る請求がされた状態であり、前記支払通知状態は、前記取引に係る実際の商品の受け渡しや業務委託に係る業務の終了後において前記請求に代えて前記取引に係る支払についての情報を通知した状態であり、
前記プログラムは、前記プロセッサに、
前記事業者から、前記取引に対して前記ステータス情報の登録を受け付け、前記ステータス情報が取引開始状態であるときにおいて、複数の前記事業者のうちの1の事業者から前記ステータス情報として請求状態または支払通知状態のいずれかの登録を受け付けるステップと、
前記ステータス情報として支払通知状態の登録を受け付けた場合、他の事業者に対して支払通知を送信するステップと、を実行させる、プログラム。
【請求項2】
前記プログラムは、前記プロセッサに、さらに、
前記ステータス情報として請求状態の登録を受け付けた後は前記ステータス情報を請求状態から支払通知状態へ移行する登録を受け付けないステップと、
前記ステータス情報として支払通知状態の登録を受け付けた後は前記ステータス情報を支払通知状態から請求状態へ移行する登録を受け付けないステップと、を実行させる、請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記メモリには、前記ステータス情報に紐づくサブステータス情報が登録され、
前記サブステータス情報として、前記ステータス情報の状態に対する承認待ち状態、及び前記ステータス情報の状態に対する承認済状態、を含む状態の情報が登録され、
前記ステータス情報が取引開始状態であるときにおいて、前記サブステータス情報として承認済状態の登録を受け付けた場合、前記ステータス情報として請求状態または支払通知状態の登録を受け付ける、請求項1または請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記ステータス情報として請求状態または支払通知状態の登録を受け付ける画面において、支払通知状態選択手段が設けられ、
前記支払通知状態選択手段が選択されることに応答して、前記ステータス情報として支払通知状態の登録を受け付ける、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項5】
前記ステータス情報として請求状態または支払通知状態の登録を受け付ける画面において、さらに、請求状態選択手段が設けられ、
前記請求状態選択手段、または前記支払通知状態選択手段のいずれか一方のみが選択可能に設定されている、請求項に記載のプログラム。
【請求項6】
前記ステータス情報が取引開始状態である場合において、所定の期間までに、前記ステータス情報として支払通知状態の登録を受け付けなかった場合、前記ステータス情報として請求状態の登録を行う、請求項1から請求項のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項7】
前記プログラムは、さらに、
過去の前記取引において、前記ステータス情報として支払通知状態の登録を受け付けた場合、過去の前記取引と同一の前記事業者との取引に対して、前記ステータス情報が取引開始状態であるとき、前記ステータス情報として支払通知状態の登録をレコメンドするステップを実行させる、請求項1から請求項のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項8】
前記プログラムは、さらに、
前記事業者の属性が所定の条件に一致する場合、当該事業者との取引に対して、前記ステータス情報が取引開始状態であるとき、前記ステータス情報として支払通知状態の登録をレコメンドするステップを実行させる、請求項1から請求項のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項9】
前記プログラムは、さらに、
前記ステータス情報が支払通知状態であるとき、所定の期間までに、前記ステータス情報として支払通知状態の取消の登録を受け付けるステップを実行させる、請求項1から請求項のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項10】
前記ステータス情報が取引開始状態である前記取引の一覧を表示し、表示された前記取引の前記ステータス情報をそれぞれ表示する画面において、表示された前記取引ごとに支払通知状態選択手段が設けられ、
当該取引の前記支払通知状態選択手段が選択されることに応答して、前記ステータス情報として支払通知状態の登録を受け付ける、請求項1から請求項のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項11】
前記メモリには、前記取引に係る支払先、支払手段、支払期日のいずれかまたは複数の情報が登録され、
前記支払通知として、前記取引に係る支払先、支払手段、支払期日のいずれかまたは複数の情報を通知する、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項12】
前記取引に係る支払先または支払手段が登録されていない場合に登録を促す、請求項11に記載のプログラム。
【請求項13】
前記プログラムは、さらに、
他の事業者に対して支払通知を送信した場合、当該他の事業者に対して、所定の期日までに支払処理を行うステップを実行させる、請求項1から請求項12のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項14】
制御部と、記憶部とを備え、複数の事業者の間で行われる取引を管理する情報処理装置であって、
前記記憶部には、前記取引に係るステータス情報が登録され、
前記ステータス情報として、前記取引が開始されたことを示す取引開始状態、前記取引に係る請求がなされたことを示す請求状態、及び前記取引に係る支払通知がなされたことを示す支払通知状態、を含む状態の情報が登録され、
前記取引開始状態は、前記事業者からの前記取引にかかる取引情報の登録から当該取引に係る実際の商品の受け渡しや業務委託に係る業務の終了までであり、前記請求状態は、前記取引に係る実際の商品の受け渡しや業務委託に係る業務の終了後において前記取引に係る請求がされた状態であり、前記支払通知状態は、前記取引に係る実際の商品の受け渡しや業務委託に係る業務の終了後において前記請求に代えて前記取引に係る支払についての情報を通知した状態であり、
前記制御部は、
前記事業者から、前記取引に対して前記ステータス情報の登録を受け付け、前記ステータス情報が取引開始状態であるときにおいて、複数の前記事業者のうちの1の事業者から前記ステータス情報として請求状態または支払通知状態のいずれかの登録を受け付けるステップと、
前記ステータス情報として支払通知状態の登録を受け付けた場合、他の事業者に対して支払通知を送信するステップと、を実行する、情報処理装置。
【請求項15】
プロセッサと、メモリとを備えるコンピュータにより実行され、複数の事業者の間で行われる取引を管理するための方法であって、
前記メモリには、前記取引に係るステータス情報が登録され、
前記ステータス情報として、前記取引が開始されたことを示す取引開始状態、前記取引に係る請求がなされたことを示す請求状態、及び前記取引に係る支払通知がなされたことを示す支払通知状態、を含む状態の情報が登録され、
前記取引開始状態は、前記事業者からの前記取引にかかる取引情報の登録から当該取引に係る実際の商品の受け渡しや業務委託に係る業務の終了までであり、前記請求状態は、前記取引に係る実際の商品の受け渡しや業務委託に係る業務の終了後において前記取引に係る請求がされた状態であり、前記支払通知状態は、前記取引に係る実際の商品の受け渡しや業務委託に係る業務の終了後において前記請求に代えて前記取引に係る支払についての情報を通知した状態であり、
前記方法は、前記プロセッサが、
前記事業者から、前記取引に対して前記ステータス情報の登録を受け付け、前記ステータス情報が取引開始状態であるときにおいて、複数の前記事業者のうちの1の事業者から前記ステータス情報として請求状態または支払通知状態のいずれかの登録を受け付けるステップと、
前記ステータス情報として支払通知状態の登録を受け付けた場合、他の事業者に対して支払通知を送信するステップと、を実行する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プログラム、情報処理装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
企業や個人事業主の間で取引を行う場合、取引に係る商品や業務委託についての内容、金額等を示す見積書、発注書、請求書といった文書を相手先に送り、取引内容について文書に示すことが行われている。このような文書は、相互に取引内容や金額についての齟齬がないようにするために作成されるものであり、発注者と受注者との間で交わされる書類である。ただし、このような文書を作成するには、手間がかかっている。
【0003】
このような文書を作成する手間を軽減するため、様々な技術が提供されている。特許文献1には、決済業務に関係する所定事象のステータスを、当事者間で漏れなく効率的に管理するため、ブロックチェーンを用いた分散台帳により管理し、請求登録の内容や未済、支払手続や入金の内容を取得している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-091695号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、企業と、個人事業主(いわゆるフリーランサー)との受発注、特に、企業側が発注者、個人事業主側が受注者の場合において、個人事業主が請求書を発行する、というプロセス自体が負担になっている。また、発注者(企業)側でも、個人事業主から(いつ来るか分からない、督促を要する)請求書の到着を待つことなく、支払のタイミング、支払の内容についてコントロールしたいという要望がある。従来技術では、このような要望に、十分に応えられていなかった。
【0006】
そこで、本開示では、取引に対する決済をする際に、受注者側の請求書発行のプロセスを削減し、発注者側の支払のタイミング、支払の内容についてコントロールすることを可能にする技術について説明する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一実施形態によると、プロセッサと、メモリとを備えるコンピュータに実行させ、複数の事業者の間で行われる取引を管理するためのプログラムが提供される。メモリには、取引に係るステータス情報が登録され、ステータス情報として、取引が開始されたことを示す取引開始状態、取引に係る請求がなされたことを示す請求状態、及び取引に係る支払通知がなされたことを示す支払通知状態、を含む状態の情報が登録される。プログラムは、プロセッサに、事業者から、取引に対してステータス情報の登録を受け付け、ステータス情報が取引開始状態であるときにおいて、複数の事業者のうちの1の事業者からステータス情報として請求状態または支払通知状態の登録を受け付けるステップと、ステータス情報として支払通知状態の登録を受け付けた場合、他の事業者に対して支払通知を送信するステップと、を実行させる。
【0008】
本開示の一実施形態によると、制御部と、記憶部とを備え、複数の事業者の間で行われる取引を管理する情報処理装置が提供される。記憶部には、取引に係るステータス情報が登録され、ステータス情報として、取引が開始されたことを示す取引開始状態、取引に係る請求がなされたことを示す請求状態、及び取引に係る支払通知がなされたことを示す支払通知状態、を含む状態の情報が登録される。制御部は、事業者から、取引に対してステータス情報の登録を受け付け、ステータス情報が取引開始状態であるときにおいて、複数の事業者のうちの1の事業者からステータス情報として請求状態または支払通知状態の登録を受け付けるステップと、ステータス情報として支払通知状態の登録を受け付けた場合、他の事業者に対して支払通知を送信するステップと、を実行する。
【0009】
また、本開示の一実施形態によると、プロセッサと、メモリとを備えるコンピュータに実行され、複数の事業者の間で行われる取引を管理するための方法が提供される。メモリには、取引に係るステータス情報が登録され、ステータス情報として、取引が開始されたことを示す取引開始状態、取引に係る請求がなされたことを示す請求状態、及び取引に係る支払通知がなされたことを示す支払通知状態、を含む状態の情報が登録される。方法は、プロセッサが、事業者から、取引に対してステータス情報の登録を受け付け、ステータス情報が取引開始状態であるときにおいて、複数の事業者のうちの1の事業者からステータス情報として請求状態または支払通知状態の登録を受け付けるステップと、ステータス情報として支払通知状態の登録を受け付けた場合、他の事業者に対して支払通知を送信するステップと、を実行する。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、取引開始状態であるとき(決済が可能な状況)において、ステータス情報として請求状態または支払通知状態の登録を受け付け、支払通知状態の登録を受け付けた場合、他の事業者に対して支払通知を送信する。これにより、取引に対する決済をする際に、受注者側の請求書発行のプロセスを削減し、発注者側の支払のタイミング、支払の内容についてコントロールすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】取引管理システム1の全体の構成を示す図である。
図2】実施の形態1の取引管理システム1を構成する端末装置10の機能的な構成を示すブロック図である。
図3】実施の形態1の取引管理システム1を構成するサーバ20の機能的な構成を示す図である。
図4】実施の形態1の取引管理システム1による取引のステータス情報及びサブステータス情報の例を示すシーケンス図である。
図5】サーバ20が記憶する取引データベース2021、ユーザデータベース2022のデータ構造の例を示す図である。
図6】実施の形態1の取引管理システム1による取引情報の登録処理を行う流れの一例を示すフローチャートである。
図7】実施の形態1の取引管理システム1によるステータス情報の登録処理を行う流れの一例を示すフローチャートである。
図8】端末装置10に表示する取引情報を表示する画面例を示す図である。
図9】端末装置10に表示する取引情報を表示する画面例を示す図である。
図10】端末装置10に表示する取引情報を入力する画面例を示す図である。
図11】端末装置10に表示する取引一覧を表示する画面例を示す図である。
図12】実施の形態2の取引管理システム1を構成するサーバ20の機能的な構成を示す図である。
図13】端末装置10に表示する取引情報を表示する画面例を示す図である。
図14】端末装置10に表示する取引情報を表示する画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、本開示の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0013】
<概要>
以下、本開示に係る取引管理システムについて説明する。この取引管理システムは、事業者であるユーザの間で行われる取引を管理するためのシステムである。一般に、事業者である企業や個人事業主の間で、商品、サービス等について発注、受注、購買等の取引を行う場合、見積、発注、受注、納品、請求、支払のプロセスを経ることが多い。例えば、あるサービスを提供してもらうため、企業間で発注、受注を行う場合、発注側企業が受注側企業に対して見積書を提出してもらい(見積プロセス)、見積書に記載の金額等の条件で合意が得られた場合に発注書を提出してもらい(発注/受注プロセス)、受注側企業が当該サービスを提供し(納品プロセス)、受注側企業に当該サービスの費用支払いについて請求書を提出してもらい(請求プロセス)、請求書に記載の金額の支払が実際に行われる(支払プロセス)、という流れで取引の実務が行われる。本開示に係る取引管理システムは、見積、発注、受注、納品、請求、支払等のプロセスの状態の情報をステータス情報として管理し、これらのステータス情報について、作成中、待ち、確認中、承認済等の状態の情報をサブステータス情報として管理している。ここで、事業者とは企業等の法人だけではなく、個人事業主も含む概念である。なお、本開示に係る取引管理システムは、上記のように取引を管理する機能に限られず、ユーザである企業や個人事業に係る会計処理全般のサービスを提供するシステムであってもよい。例えば、入力された取引情報を入出金情報として利用し、さらに保有資産等の財務情報の入力を受け付け、ユーザの企業や個人事業の会計処理のサービスを提供してもよい。
【0014】
また、本開示に係る取引管理システムは、例えばクラウドサーバ等によりWebサービスとして、いわゆるSaaS(Software as a Service)によって提供されるシステムであり、事業者であるユーザが所定の認証によりアクセス可能に構成されている。この取引管理システムは、発注側、受注側に関わらず取引情報及び取引のステータス情報の登録が可能であり、ユーザである事業者が取引相手先を招待することで、相互に取引情報及び取引のステータス情報にアクセスし、更新することが可能なシステムである。
【0015】
上記のような取引は、企業間だけではなく、企業と個人事業主(いわゆるフリーランサー)との間でも行われる。例えば、Webサイトに公開するための所定の記事について執筆を依頼する場合や、所定の専門分野について調査、文書作成、監査等を依頼するような場合に行われることが多い。このような、企業が個人事業主に対して所定の業務を発注する場合、上記のように、受注側である個人事業主が請求書を発行する、というプロセス自体が個人事業主にとって負担になることが多い。そのため、個人事業主が所定の業務について納品を行った後、期間が経過してしまい、発注者側から督促を受けて請求書を発行することも多い。
【0016】
また、発注側である企業では、受注側の個人事業主から請求書が到着するのを待って実際の支払を処理する必要があるが、企業にとっても、予算や決算期間の都合上、個人事業主から請求書の到着を待つことなく、支払のタイミング、支払の内容についてコントロールしたいという要望がある。企業にとって、いつ来るか分からない、督促を要する請求書の到着を待つこと自体について、管理コストが発生するからである。
【0017】
そのため、本開示に係る取引管理システムは、発注がなされた取引に対して、例えば納品後、上記の請求プロセスに移行することが可能なタイミングにおいて、支払通知を送信することを可能にしている。支払通知では、支払先の情報や、支払手段、支払期日等の情報を通知する。これにより、受注側である個人事業主が請求書を発行する負荷を削減し、発注側である企業が請求書の到着を待つことなく、支払のタイミング、支払の内容についてコントロールすることを可能にしている。
【0018】
<第1の実施の形態>
以下、取引管理システム1について説明する。以下の説明では、例えば、端末装置10がサーバ20へアクセスすることにより、サーバ20が、端末装置10で画面を生成するための情報を応答する。端末装置10は、サーバ20から受信した情報に基づいて画面を生成し表示する。
【0019】
<1 取引管理システム1の全体構成>
図1は、取引管理システム1の全体の構成を示す図である。図1に示すように、取引管理システム1は、複数の端末装置(図1では、端末装置10Aおよび端末装置10Bを示している。以下、総称して「端末装置10」ということもある)と、サーバ20とを含む。端末装置10とサーバ20とは、ネットワーク80を介して相互に通信可能に接続されている。ネットワーク80は、有線または無線ネットワークにより構成される。
【0020】
端末装置10は、各ユーザが操作する装置である。ここで、ユーザとは、端末装置10を使用して取引管理システム1の機能である取引情報及び取引のステータス情報の登録、更新を行う者であり、例えば取引を行う企業の担当者、または個人事業主等をいう。端末装置10は、据え置き型のPC(Personal Computer)、ラップトップPC等により実現される。この他、端末装置10は、例えば移動体通信システムに対応したタブレットや、スマートフォン等の携帯端末であるとしてもよい。
【0021】
端末装置10は、ネットワーク80を介してサーバ20と通信可能に接続される。端末装置10は、4G、5G、LTE(Long Term Evolution)等の通信規格に対応した無線基地局81、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11等の無線LAN(Local Area Network)規格に対応した無線LANルータ82等の通信機器と通信することにより、ネットワーク80に接続される。図1に端末装置10Bとして示すように、端末装置10は、通信IF(Interface)12と、入力装置13と、出力装置14と、メモリ15と、記憶部16と、プロセッサ19とを備える。
【0022】
通信IF12は、端末装置10が外部の装置と通信するため、信号を入出力するためのインタフェースである。入力装置13は、ユーザからの入力操作を受け付けるための入力装置(例えば、キーボードや、タッチパネル、タッチパッド、マウス等のポインティングデバイス等)である。出力装置14は、ユーザに対し情報を提示するための出力装置(ディスプレイ、スピーカ等)である。メモリ15は、プログラム、および、プログラム等で処理されるデータ等を一時的に記憶するためのものであり、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性のメモリである。記憶部16は、データを保存するための記憶装置であり、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disc Drive)である。プロセッサ19は、プログラムに記述された命令セットを実行するためのハードウェアであり、演算装置、レジスタ、周辺回路等により構成される。
【0023】
サーバ20は、取引情報及び取引のステータス情報、及びユーザ情報を管理する装置である。サーバ20は、事業者であるユーザから取引情報の登録を受け付け、取引相手の招待を受け付けて当該相手先へ通知し、相手先であるユーザのアクセスを受け付ける。サーバ20は、ユーザ(事業者及び取引相手先)から取引のステータス情報を受け付け、ステータス情報として支払通知を受け付けると、当該取引相手先へ通知する。さらに、サーバ20は、支払通知に基づいて支払処理を行う。
【0024】
サーバ20は、ネットワーク80に接続されたコンピュータである。サーバ20は、通信IF22と、入出力IF23と、メモリ25と、ストレージ26と、プロセッサ29とを備える。
【0025】
通信IF22は、サーバ20が外部の装置と通信するため、信号を入出力するためのインタフェースである。入出力IF23は、ユーザからの入力操作を受け付けるための入力装置、および、ユーザに対し情報を提示するための出力装置とのインタフェースとして機能する。メモリ25は、プログラム、および、プログラム等で処理されるデータ等を一時的に記憶するためのものであり、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性のメモリである。ストレージ26は、データを保存するための記憶装置であり、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disc Drive)である。プロセッサ29は、プログラムに記述された命令セットを実行するためのハードウェアであり、演算装置、レジスタ、周辺回路等により構成される。
【0026】
<1.1 端末装置10の構成>
図2は、実施の形態1の取引管理システム1を構成する端末装置10の機能的な構成を示すブロック図である。図2に示すように、端末装置10は、複数のアンテナ(アンテナ111、アンテナ112)と、各アンテナに対応する無線通信部(第1無線通信部121、第2無線通信部122)と、操作受付部130(キーボード131およびディスプレイ132を含む)と、音声処理部140と、マイク141と、スピーカ142と、カメラ150と、記憶部160と、制御部170とを含む。端末装置10は、図2では特に図示していない機能及び構成(例えば、電力を保持するためのバッテリー、バッテリーから各回路への電力の供給を制御する電力供給回路等)も有している。図2に示すように、端末装置10に含まれる各ブロックは、バス等により電気的に接続される。
【0027】
アンテナ111は、端末装置10が発する信号を電波として放射する。また、アンテナ111は、空間から電波を受信して受信信号を第1無線通信部121へ与える。
【0028】
アンテナ112は、端末装置10が発する信号を電波として放射する。また、アンテナ112は、空間から電波を受信して受信信号を第2無線通信部122へ与える。
【0029】
第1無線通信部121は、端末装置10が他の無線機器と通信するため、アンテナ111を介して信号を送受信するための変復調処理等を行う。第2無線通信部122は、端末装置10が他の無線機器と通信するため、アンテナ112を介して信号を送受信するための変復調処理等を行う。第1無線通信部121と第2無線通信部122とは、チューナー、RSSI(Received Signal Strength Indicator)算出回路、CRC(Cyclic Redundancy Check)算出回路、高周波回路等を含む通信モジュールである。第1無線通信部121と第2無線通信部122とは、端末装置10が送受信する無線信号の変復調や周波数変換を行い、受信信号を制御部170へ与える。
【0030】
操作受付部130は、ユーザの入力操作を受け付けるための機構を有する。具体的には、操作受付部130は、キーボード131と、ディスプレイ132とを含む。なお、操作受付部130は、例えば静電容量方式のタッチパネルを用いることによって、タッチパネルに対するユーザの接触位置を検出する、タッチスクリーンとして構成してもよい。
【0031】
キーボード131は、端末装置10のユーザの入力操作を受け付ける。キーボード131は、文字入力を行う装置であり、入力された文字情報を入力信号として制御部170へ出力する。
【0032】
ディスプレイ132は、制御部170の制御に応じて、画像、動画、テキスト等のデータを表示する。ディスプレイ132は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイによって実現される。
【0033】
音声処理部140は、音声信号の変復調を行う。音声処理部140は、マイク141から与えられる信号を変調して、変調後の信号を制御部170へ与える。また、音声処理部140は、音声信号をスピーカ142へ与える。音声処理部140は、例えば音声処理用のプロセッサによって実現される。マイク141は、音声入力を受け付けて、当該音声入力に対応する音声信号を音声処理部140へ与える。スピーカ142は、音声処理部140から与えられる音声信号を音声に変換して当該音声を端末装置10の外部へ出力する。
【0034】
カメラ150は、受光素子により光を受光して、撮影画像として出力するためのデバイスである。カメラ150は、例えば、カメラ150から撮影対象までの距離を検出できる深度カメラである。
【0035】
記憶部160は、例えばフラッシュメモリ等により構成され、端末装置10が使用するデータおよびプログラムを記憶する。ある局面において、記憶部160は、ユーザ情報161を記憶する。
【0036】
ユーザ情報161は、端末装置10を使用して取引管理システム1の機能である取引のステータス情報の登録及び更新を行うユーザの情報である。ユーザ情報としては、ユーザを識別する情報(ユーザID)、ユーザの名称、ユーザが所属している企業等の組織情報等が含まれる。
【0037】
制御部170は、記憶部160に記憶されるプログラムを読み込んで、プログラムに含まれる命令を実行することにより、端末装置10の動作を制御する。制御部170は、例えば予め端末装置10にインストールされているアプリケーションである。制御部170は、プログラムに従って動作することにより、入力操作受付部171と、送受信部172と、データ処理部173と、通知制御部174としての機能を発揮する。
【0038】
入力操作受付部171は、キーボード131等の入力装置に対するユーザの入力操作を受け付ける処理を行う。
【0039】
送受信部172は、端末装置10が、サーバ20等の外部の装置と、通信プロトコルに従ってデータを送受信するための処理を行う。
【0040】
データ処理部173は、端末装置10が入力を受け付けたデータに対し、プログラムに従って演算を行い、演算結果をメモリ等に出力する処理を行う。
【0041】
通知制御部174は、ユーザに対し情報を提示する処理を行う。通知制御部174は、表示画像をディスプレイ132に表示させる処理、音声をスピーカ142に出力させる処理、振動をカメラ150に発生させる処理等を行う。
【0042】
<1.2 サーバ20の機能的な構成>
図3は、実施の形態1の取引管理システム1を構成するサーバ20の機能的な構成を示す図である。図3に示すように、サーバ20は、通信部201と、記憶部202と、制御部203としての機能を発揮する。
【0043】
通信部201は、サーバ20が外部の装置と通信するための処理を行う。
【0044】
記憶部202は、サーバ20が使用するデータ及びプログラムを記憶する。記憶部202は、取引データベース2021と、ユーザデータベース2022等を記憶する。
【0045】
取引データベース2021は、取引管理システム1における管理対象である取引に関する各種情報を保持するためのデータベースである。詳細は後述する。
【0046】
ユーザデータベース2022は、取引管理システム1において取引情報及び取引のステータス情報の登録、更新を行うユーザの各種情報を保持するためのデータベースである。詳細は後述する。
【0047】
制御部203は、サーバ20のプロセッサがプログラムに従って処理を行うことにより、各種モジュールとして受信制御モジュール2031、送信制御モジュール2032、取引情報登録受付モジュール2033、招待通知モジュール2034、ステータス情報登録受付モジュール2035、支払通知モジュール2036、及び支払処理モジュール2037に示す機能を発揮する。
【0048】
受信制御モジュール2031は、サーバ20が外部の装置から通信プロトコルに従って信号を受信する処理を制御する。
【0049】
送信制御モジュール2032は、サーバ20が外部の装置に対し通信プロトコルに従って信号を送信する処理を制御する。
【0050】
取引情報登録受付モジュール2033は、取引管理システム1を使用するユーザである事業者から、取引管理システム1の管理対象である取引に関する情報の登録を受け付ける処理を制御する。取引情報登録受付モジュール2033が受け付ける取引に関する情報とは、例えば、発注者、受注者、購入者等の当該取引に関係する主体に関する情報、案件に関する情報、納期、金額等の情報であり、納品物や成果物が報告書や設計書のように電子情報として管理可能なものである場合は、納品物や成果物が含まれてもよい。取引情報登録受付モジュール2033に取引情報を登録する事業者は、発注者、受注者、購入者等の当該取引に関係する主体であればよく、法人でも個人でもよいが、取引管理システム1にユーザとして登録されている必要があり、登録されていない場合には事前に登録が行われ、ID、パスワードが発行されて所定の認証が行われる。
【0051】
取引情報登録受付モジュール2033が受け付ける、当該取引に関係する主体に関する情報とは、会社名または個人名、屋号等の情報、連絡先(電話番号やメールアドレス、取引管理システム1に登録されているユーザの場合はアカウント情報等)等である。なお、当該取引に関係する主体である事業者は、発注者、受注者、購入者等の当該取引に関係する者であればよく、具体的には2者(2社)以上の事業者であり、3者(3社)以上の事業者でもよく、当該取引について費用の支払を行う者、費用の支払いを受ける者が含まれるが、費用の支払に関係しない者が含まれてもよい(単なるアドバイザーや監査者等)。また、案件に関する情報とは、「◇△社Webサイト構築」等の案件名称である。
【0052】
招待通知モジュール2034は、取引管理システム1を使用するユーザとして取引情報登録受付モジュール2033が取引情報を受け付けた取引情報の当該取引に関係する主体に関する情報から、当該取引に関する取引先として、他の事業者をユーザとして招待する処理を制御する。招待通知モジュール2034は、取引情報登録受付モジュール2033が受け付けた取引情報のうち、当該取引に関係する主体に関する情報の連絡先に、当該取引の対象者として登録されたことを通知して取引管理システム1へのアクセスを招待する。このとき、通知する事業者が取引管理システム1のユーザとして登録されていない場合、取引管理システム1への登録が行われ、ユーザID、パスワードが発行されて所定の認証が行われる。招待通知モジュール2034により招待された事業者は、取引情報登録受付モジュール2033が受け付けた取引情報に対して新たな情報登録、更新が可能であるが、所定の制限が設定されてもよい。
【0053】
ステータス情報登録受付モジュール2035は、取引情報登録受付モジュール2033が取引情報を受け付けた事業者、または招待通知モジュール2034が招待を通知した事業者からのステータス情報の入力を受け付け、当該取引情報にステータス情報の設定を登録し、ステータス情報の更新を登録する処理を制御する。ここで、ステータス情報とは、取引のプロセスの状態を示す情報であり、例えば、上記のように見積、発注、受注、納品、請求(請求状態)、支払を含むが、これに限られない。例えば、見積、発注、受注のステータス情報は、当該取引が開始されたことを示す取引開始(取引開始状態)として管理されてもよく、請求、支払のステータス情報は、当該取引に係る請求がなされたことを示す請求(請求状態)として管理されてもよい。また、ステータス情報登録受付モジュール2035は、ステータス情報の取消、変更を受け付けて登録してもよい。なお、ステータス情報は、取引全体のプロセスの状態として登録する情報でもよく、事業者ごとに登録する情報でもよい。例えば、発注側の事業者のステータス情報が発注の場合、受注側の事業者のステータス情報は受注になる。
【0054】
さらに、ステータス情報登録受付モジュール2035は、事業者からステータス情報として、当該取引に係る支払通知がなされることを示す支払通知(支払通知状態)を登録する。支払通知のステータス情報とは、請求のステータス情報に代えて登録を選択可能なステータス情報であり、取引に係る実際の商品の受け渡しや業務委託に係る業務が終了した段階で、主に発注者である事業者が、主に受注者である事業者に対して、請求書(請求データ)の到着を待つことなく支払先の情報や、支払手段、支払期日等の情報を通知するステータス情報である。そのため、ステータス情報登録受付モジュール2035は、請求のステータス情報、または支払通知のステータス情報のいずれかを選択するように管理し、ステータス情報を請求から支払通知へ移行する登録、またはステータス情報を支払通知から請求へ移行する登録はできないように制御する。
【0055】
また、ステータス情報登録受付モジュール2035は、所定の期間までに、事業者から支払通知のステータス情報の登録を受け付けなかった場合、請求のステータス情報に自動的に移行するように制御してもよい。所定の期間とは、例えば1ケ月以内のように具体的な期間でもよく、または当該取引先から請求書(請求データ)が先行して届いた場合や、すでに入金処理が行われた場合等、所定のアクションが発生した場合でもよい。さらに、ステータス情報登録受付モジュール2035は、支払通知のステータス情報を登録した後所定の期間までであれば、事業者から支払通知のステータス情報の取消、変更の登録を受け付けてもよい。
【0056】
また、ステータス情報登録受付モジュール2035は、上記のステータス情報に紐づくサブステータス情報の設定を登録し、サブステータス情報の更新を登録する。サブステータス情報とは、取引のプロセスの状態それぞれにおける作業状況を示す情報であり、例えば、上記のように作成中、待ち、確認中(承認待ち状態)、承認済(承認済状態)を含むが、これに限られない。ステータス情報及びサブステータス情報の移行の詳細な例は後述する。
【0057】
支払通知モジュール2036は、ステータス情報登録受付モジュール2035が事業者から支払通知のステータス情報の登録を受け付けた場合、対象の事業者に対して、支払通知を送信する処理を制御する。支払通知とは、当該取引の主に発注者である事業者が、主に受注者である事業者に対して、請求書(請求データ)の到着を待つことなく、請求書に代えて支払先の情報や、支払手段、支払期日等の情報を通知するものである。この支払通知は、当該取引に関する一部の事業者のみに送信してもよい。
【0058】
支払通知モジュール2036は、例えば、支払先の事業者についてユーザ情報としてユーザデータベース2022に登録されている支払先の情報、支払手段の情報から、支払通知として支払先の情報、支払手段の情報を送信してもよく、登録されていない場合、ユーザに対して登録を促すように構成してもよい。また、支払通知において支払先の情報、支払手段の情報を支払元の事業者へ連絡するように通知してもよい。さらに、支払先の情報、支払手段の情報がユーザデータベース2022に登録されていない事業者に対しては、支払通知を送信できないように構成してもよい。さらに、支払先の事業者について、ユーザデータベース2022に支払通知を送信するように登録されている場合、ステータス情報登録受付モジュール2035にて自動的に支払通知のステータスに移行し、支払通知を送信するように構成してもよい。
【0059】
支払処理モジュール2037は、支払通知モジュール2036により通知した支払通知に含まれる、支払先の情報、支払手段、支払期日に基づき、支払処理を行う処理を制御する。支払処理モジュール2037は、例えば、支払先の情報、支払手段、支払期日から会計システムや決済システムで処理可能な会計情報(仕訳情報、決済情報等)を生成し、支払処理を行う。支払処理モジュール2037は、上記のように取引管理システム1が提供する会計処理のサービスにより、支払通知に係る支払処理を行ってもよく、外部の決済システム等に送信して支払処理を行ってもよい。
【0060】
<1.3 取引のステータス情報及びサブステータス情報の具体例>
図4は、実施の形態1の取引管理システム1による取引のステータス情報及びサブステータス情報の例を示すシーケンス図である。図4に示すシーケンス図は、1の事業者である発注者と、1の事業者である受注者との間の取引について、ステータス情報及びサブステータス情報の移行について示す図である。以下、図4を参照しながら、ステータス情報及びサブステータス情報の移行について説明する。図4に太い破線の枠で示す「見積」、「発注」、「請求」、及び「支払通知」がステータス情報を示し、太い破線の枠内における要素に記載の「作成中」、「確認中」、「待ち」、及び「承認済」等がサブステータス情報を示している。
【0061】
まず、発注者または受注者である事業者が取引情報を登録する。また、取引相手先である事業者を招待し、この事業者が取引情報にアクセス可能になる。このとき、発注者または受注者は1社とは限らず、すなわち3社以上の事業者が発注者または受注者として取引データにアクセス可能である。
【0062】
このとき、図4に示すように、登録された取引情報のプロセスは見積プロセスとなり、ステータス情報は「見積」になる。受注者である事業者のサブステータス情報は、ステップS001の「作成中」になり、発注者である事業者のサブステータス情報は、ステップS002の「待ち」になる。受注者が見積を作成して発注者に送ると、発注者のサブステータス情報はステップS003の「確認中」になり、受注者のサブステータス情報はステップS004の「確認待ち」になる。発注者が見積内容について承認すると、受注者のサブステータス情報はステップS005の見積済になる。
【0063】
次に、取引情報のプロセスは発注プロセスとなり、ステータス情報は「発注」になる。発注者のサブステータス情報はステップS006の「作成中」になる。発注者が発注を作成して受注者に送ると、受注者のサブステータス情報はステップS007の「確認中」になり、発注者のサブステータス情報はステップS008の「確認待ち」になる。受注者が発注内容について承認すると、受注者のサブステータス情報はステップS009の「承認済」になり、発注者のサブステータス情報はステップS010の「承認済」になる。この後、取引に係る実際の商品の受け渡しや業務委託に係る業務が行われる。
【0064】
取引に係る実際の商品の受け渡しや業務委託に係る業務が終了すると、取引情報のプロセスは、発注者の選択により請求プロセスまたは支払通知プロセスとなり、ステータス情報は「請求」または「支払通知」になる。発注者がステータス情報登録受付モジュール2035にて、請求のステータス情報を登録した場合、ステータス情報は「請求」になる。受注者のサブステータス情報はステップS011の「作成中」になり、発注者のサブステータス情報はステップS012の「待ち」になる。受注者が請求を作成して発注者に送ると、発注者のサブステータス情報はステップS013の「確認中」になり、受注者のサブステータス情報はステップS014の「確認待ち」になる。発注者が請求内容について承認すると、受注者のサブステータス情報はステップS015の「承認済」になり、発注者のサブステータス情報はステップS016の「承認済」になる。この後、実際に支払いが行われて、取引が完了する。
【0065】
発注者がステータス情報登録受付モジュール2035にて、請求のステータス情報に代えて支払通知を登録した場合、ステータス情報は「支払通知」になる。発注者のサブステータス情報はステップS021の「支払通知」になる。この後、実際に支払いが行われて、取引が完了する。取引管理システム1では、以上のようなステータス情報及びサブステータス情報が更新されて取引状況の管理が行われる。なお、以上のステータス情報及びサブステータス情報は一例であり、これに限られない。
【0066】
<2 データ構造>
図5は、サーバ20が記憶する取引データベース2021、ユーザデータベース2022のデータ構造の例を示す図である。
【0067】
図5に示すように、取引データベース2021のレコードのそれぞれは、項目「取引ID」と、項目「案件名称」と、項目「発注者/受注者」と、項目「取引履歴情報」等を含む。
【0068】
項目「取引ID」は、取引管理システム1にて管理する管理対象である、取引の情報それぞれを識別する情報である。
【0069】
項目「案件名称」は、取引管理システム1にて管理する管理対象である、取引の案件を示す名称であり、例えば、「○△記事執筆」、「◇△社(Web)サイト構築」のような名称が格納されている。
【0070】
項目「発注者/受注者」は、取引管理システム1にて管理する管理対象である、取引に関係する主体それぞれを識別する情報であり、例えば発注者、受注者それぞれを識別する情報として登録されている識別情報が格納されている。
【0071】
項目「取引履歴情報」は、取引管理システム1にて管理する管理対象である、取引のプロセスの状態を示す情報の履歴情報であり、具体的には、項目「取引履歴ID」と、項目「日付」と、項目「ステータス」と、項目「サブステータス」等を含む。この項目「取引履歴情報」は、例えば、項目「ステータス」及び項目「サブステータス」の移行の履歴情報であり、時系列で項目「取引履歴ID」が採番され、最新の情報がレコードとして追加されるように構成されている。
【0072】
項目「取引履歴ID」は、取引のプロセスの状態を示す情報それぞれを識別する情報であり、例えば項目「取引ID」と紐付けが可能なように(例として、上から5桁が同じ値になるように)構成されている。
【0073】
項目「日付」は、取引のプロセスの状態が更新された日付の情報である。
【0074】
項目「ステータス」は、取引のプロセスの状態を示すステータス情報であり、例えば上記のように「見積」、「発注」、「請求」、または「支払通知」が格納されている。
【0075】
項目「サブステータス」は、取引のプロセスの状態それぞれにおける作業状況を示すサブステータス情報であり、例えば上記のように「作成中」、「確認中」、「待ち」、または「承認済」が格納されている。
【0076】
なお、取引データベース2021には、図示は省略するが、取引管理システム1にて管理する取引の納品物や成果物が、報告書や設計書のように電子情報として管理可能なものである場合は、納品物や成果物が格納されてもよい。
【0077】
サーバ20の取引情報登録受付モジュール2033は、取引に関する情報の登録を受け付けることに伴って、取引データベース2021を更新する。また、ステータス情報登録受付モジュール2035は、取引のプロセスの状態を示すステータス情報、または取引のプロセスの状態それぞれにおける作業状況を示すサブステータス情報の更新の登録を受け付けることに伴って、取引データベース2021の項目「取引履歴情報」にレコードを追加する。
【0078】
ユーザデータベース2022のレコードのそれぞれは、項目「ユーザID」と、項目「ユーザ詳細情報」等を含む。
【0079】
項目「ユーザID」は、取引管理システム1にて管理する管理対象である、取引に関係する主体それぞれを識別する情報であり、例えば事業者(発注者、受注者)それぞれを識別する情報として登録されている識別情報である。取引データベース2021の項目「発注者/受注者」に対応している。
【0080】
項目「ユーザ詳細情報」は、取引管理システム1にて管理する管理対象である、取引に関係するユーザに関する情報であり、具体的には、項目「事業者名」と、項目「法人/個人」と、項目「連絡先」と、項目「決済手段」と、項目「支払通知」等を含む。
【0081】
項目「事業者名」は、取引に関係する事業者(発注者、受注者)の、法人名称または個人の氏名を示す情報である。
【0082】
項目「法人/個人」は、取引に関係する事業者(発注者、受注者)が法人であるかまたは個人であるかを示す情報である。
【0083】
項目「連絡先」は、取引に関係する事業者(発注者、受注者)の連絡先を示す情報であり、例えば電話番号、メールアドレス等が格納されている。
【0084】
項目「決済手段」は、取引に関係する事業者(発注者、受注者)について、支払手段の情報として登録されている情報であり、例えば請求書が必要な場合は「請求」が、支払通知でよい場合は「支払」が格納されている。また、支払時の振込先口座情報も格納されている。
【0085】
項目「支払通知」は、取引に関係する事業者(発注者、受注者)について、過去に支払通知を受けたことがあるか否かを示す情報であり、ある場合は「有」、ない場合は「無」が格納されている。
【0086】
なお、図示は省略するが、ユーザデータベース2022には、取引に関係する事業者(発注者、受注者)について、支払通知を受ける者として登録する情報を格納してもよい。
【0087】
サーバ20の取引情報登録受付モジュール2033は、取引に関する情報の登録を行う者が登録されていない場合、登録を促すことに伴って、ユーザデータベース2022にレコード追加を行う。招待通知モジュール2034は、取引に関する取引先として他の事業者をユーザとして招待する際、当該事業者が登録されていない場合、登録を促すことに伴って、ユーザデータベース2022にレコード追加を行う。
【0088】
<3 動作>
以下、図6及び図7を参照しながら、第1の実施の形態における取引管理システム1による取引情報の登録処理及びステータス情報の登録処理について説明する。
【0089】
図6は、実施の形態1の取引管理システム1による取引情報の登録処理を行う流れの一例を示すフローチャートである。
【0090】
ステップS111において、端末装置10Aの入力操作受付部171は、取引情報の登録を行うユーザである事業者から、取引管理システム1のサービスを利用するために必要な認証を行うためのユーザID及びパスワードを入力する操作を受け付ける。送受信部172は、受け付けたユーザID及びパスワード、及びユーザ情報をサーバ20へ送信する。端末装置10Aの送受信部172は、サーバ20から送信された認証完了の情報を受け付ける。通知制御部174は、受け付けた認証完了の情報を、ディスプレイ132に表示させる。
【0091】
ステップS121において、サーバ20は、ユーザIDおよびパスワードを、通信部201を介して受け付ける。サーバ20は、受け付けた当該ユーザのユーザIDおよびパスワードが正当であることを確認して所定の認証を行う。正当である場合、サーバ20は、認証完了の情報を、端末装置10Aへ通信部201を介して送信する。
【0092】
ステップS112において、端末装置10Aの入力操作受付部171は、ユーザから取引管理システム1の管理対象である、取引の情報を登録する入力を受け付ける。取引情報として受け付ける情報は、例えば、案件に関する情報、納期、金額等の情報である。送受信部172は、受け付けた取引の情報をサーバ20へ送信する。
【0093】
ステップS122において、サーバ20の取引情報登録受付モジュール2033は、端末装置10Aから送信された取引の情報を、通信部201を介して受け付ける。取引情報登録受付モジュール2033は、受け付けた取引の情報を、取引データベース2021へ登録する。
【0094】
ステップS113において、端末装置10Aの入力操作受付部171は、ユーザから取引相手の情報を登録する入力を受け付ける。取引相手の情報として受け付ける情報は、例えば、発注者、受注者、購入者等の当該取引に関係する主体に関する情報である。送受信部172は、受け付けた取引の情報をサーバ20へ送信する。
【0095】
ステップS123において、サーバ20の取引情報登録受付モジュール2033は、端末装置10Aから送信された取引相手の情報を、通信部201を介して受け付ける。取引情報登録受付モジュール2033は、受け付けた取引相手の情報を、取引データベース2021へ登録する。
【0096】
ステップS124において、サーバ20の招待通知モジュール2034は、ステップS123で受け付けた取引相手の情報から、当該取引に関する取引先としてその事業者をユーザとして招待する。通知する事業者が取引管理システム1のユーザとして登録されていない場合、取引管理システム1への登録が行われ、ユーザID、パスワードを発行する。招待通知モジュール2034は、取引先としての招待の情報と、取引管理システム1への登録が行われた場合はユーザID、パスワードを、招待を送信する端末装置10Bへ通信部201を介して送信する。端末装置10Bから送信されたアクセスする情報を、通信部201を介して受け付け、認証完了の情報を送信する。
【0097】
ステップS134において、端末装置10Bの送受信部172は、サーバ20から送信された取引先としての招待の情報、ユーザID、パスワードを受け付ける。通知制御部174は、受け付けた招待の情報を、ディスプレイ132に表示させる。入力操作受付部171は、招待された事業者であるユーザからサーバ20へアクセスする入力操作を受け付ける。送受信部172は、受け付けたアクセス情報をサーバ20へ送信する。
【0098】
ステップS125において、サーバ20の取引情報登録受付モジュール2033は、ステップS124で招待した事業者の情報を、取引データベース2021及びユーザデータベース2022へ登録する。
【0099】
以上のように、取引管理システム1のユーザは、取引に関係する事業者から取引情報の登録を受け付け、当該取引に関係する取引先である事業者の情報の登録を受け付ける。受け付けた取引先である事業者に対して、取引先としての招待を送信し、当該取引先がユーザとして登録されていない場合は、ユーザ登録を行う。これにより、取引情報、当該取引情報に設定されたステータス情報の更新情報を相互に登録することが可能になる。
【0100】
図7は、実施の形態1の取引管理システム1によるステータス情報の登録処理を行う流れの一例を示すフローチャートである。
【0101】
ステップS211において、端末装置10Aの入力操作受付部171は、取引情報の登録を行ったユーザから、取引情報にステータス情報及びサブステータス情報の設定を登録し、ステータス情報及びサブステータス情報の更新を登録する入力を受け付ける。送受信部172は、受け付けたステータス情報の登録情報をサーバ20へ送信する。
【0102】
ステップS231において、端末装置10Bの入力操作受付部171は、招待されたユーザから、取引情報にステータス情報及びサブステータス情報の設定を登録し、ステータス情報及びサブステータス情報の更新を登録する入力を受け付ける。送受信部172は、受け付けたステータス情報の登録情報をサーバ20へ送信する。
【0103】
ステップS221において、サーバ20のステータス情報登録受付モジュール2035は、端末装置10Aまたは端末装置10Bから送信された、ステータス情報及びサブステータス情報の設定を登録し、ステータス情報及びサブステータス情報の更新を登録する情報を、通信部201を介して受け付ける。ステータス情報登録受付モジュール2035は、受け付けたステータス情報及びサブステータス情報を、取引データベース2021へ登録する。
【0104】
ステップS212において、取引に係る実際の商品の受け渡しや業務委託に係る業務が終了すると、端末装置10Aの入力操作受付部171は、取引情報の登録を行ったユーザから、ステータス情報として、請求のステータス情報に代えて当該取引に係る支払通知がなされることを示す支払通知を登録する入力を受け付ける。送受信部172は、受け付けた支払通知のステータス情報をサーバ20へ送信する。なお、この操作は、招待されたユーザが端末装置10Bで行ってもよい。
【0105】
ステップS222において、サーバ20のステータス情報登録受付モジュール2035は、端末装置10Aから送信された、支払通知のステータス情報を登録する情報を、通信部201を介して受け付ける。ステータス情報登録受付モジュール2035は、受け付けた支払通知のステータス情報を、取引データベース2021へ登録する。
【0106】
ステップS223において、サーバ20の支払通知モジュール2036は、ステップS222で受け付けた支払通知のステータス情報の取引について、対象の事業者に対して支払通知を、通信部201を介して送信する。
【0107】
ステップS233において、端末装置10Bの送受信部172は、サーバ20から送信された支払通知を受け付ける。通知制御部174は、受け付けた支払通知を、ディスプレイ132に表示させる。なお、この通知は、取引情報の登録を行ったユーザに対して端末装置10Aへ行ってもよい。
【0108】
ステップS224において、サーバ20の支払処理モジュール2037は、ステップS223で送信した支払通知に含まれる、支払先の情報、支払手段、支払期日に基づき、支払処理を行う。
【0109】
ステップS225において、サーバ20の支払処理モジュール2037は、ステップS224で行った支払処理の結果を、取引データベース2021へ登録する。
【0110】
以上のように、取引管理システム1では、取引情報に設定されたステータス情報の更新情報を、発注者及び受注者から相互に受け付けて登録する。取引に係る実際の商品の受け渡しや業務委託に係る業務が終了すると、発注者から、請求のステータス情報に代えて、当該取引に係る支払通知がなされることを示す支払通知のステータス情報を受け付ける。受注者に対して、支払通知を送信し、支払通知に含まれる情報に基づき、支払処理を行う。これにより、受注者が請求書を発行する負荷を削減し、発注者が請求書の到着を待つことなく、支払のタイミング、支払の内容についてコントロールすることが可能である。
【0111】
<4 画面例>
以下、図8ないし図10を参照しながら、取引管理システム1による取引情報及び取引一覧の表示処理の画面例について説明する。
【0112】
図8は、端末装置10に表示する取引情報を表示する画面例を示す図である。図8の画面例は、取引データベース2021に登録されている取引情報として、取引名(案件名)及び費用の明細が表示された状態の画面例を示す。図7のステップS212に相当する。
【0113】
図8に示すように、端末装置10のディスプレイ132には、取引データベース2021に格納されている取引の詳細情報として、ステータス情報及びサブステータス情報を示すステータス表示欄1031aと、案件名を示す取引名表示欄1031bと、費用の明細を示す明細表示欄1031cとが表示され、さらに、ステータス情報として支払通知を選択する支払通知選択ボタン(支払通知状態選択手段)1031dが設けられている。支払通知選択ボタン1031dは、事業者からステータス情報として支払通知を登録するためのボタンであり、ステータス表示欄1031aに表示されているステータス情報及びサブステータス情報、及び当該案件の納品状況等を確認し、納品物に対して承認し、ステータス情報を請求に代えて支払通知を選択する場合、押下することで支払通知を選択するためのボタンである。この支払通知選択ボタン1031dにより、支払通知を選択する手続きが簡便になる。
【0114】
図8に示す画面において、支払通知選択ボタン1031dは、ステータス情報及びサブステータス情報が請求プロセスまたは支払通知プロセスに移行可能な状態(例えば、発注プロセスで承認済になった場合)になったら表示させるように制御してもよく、当該取引の受注者が個人事業主の場合、当該取引の受注者が過去に支払通知を受けている場合、当該取引の受注者が支払通知を受ける事業者として登録されている場合等にのみ表示させるように制御してもよい。
【0115】
図9は、端末装置10に表示する取引情報を表示する画面例を示す図である。図9の画面例は、取引データベース2021に登録されている取引情報として、取引名(案件名)及び費用の明細が表示された状態の画面例を示す。図7のステップS212に相当する。
【0116】
図9に示すように、端末装置10のディスプレイ132には、図8に示すステータス表示欄1031a、取引名表示欄1031b、明細表示欄1031c、及び支払通知選択ボタン1031dと同様のステータス表示欄1032a、取引名表示欄1032b、明細表示欄1032c、及び支払通知選択ボタン1032dが表示されている。さらに、端末装置10のディスプレイ132には、ステータス情報として請求を選択する請求選択ボタン(請求状態選択手段)1032eが設けられている。請求選択ボタン1032eは、事業者からステータス情報として請求を登録するためのボタンであり、ステータス表示欄1031aに表示されているステータス情報及びサブステータス情報、及び当該案件の納品状況等を確認し、納品物に対して承認し、ステータス情報を請求に代えて支払通知を選択する場合、押下することで請求を選択するためのボタンである。
【0117】
図9に示す画面において、支払通知選択ボタン1032d及び請求選択ボタン1032eは、いずれか一方が選択されると他方が選択できなくなるように制御してもよく、いずれか一方が選択されると、一定期間が経過すると他方が選択できなくなるように制御してもよい。
【0118】
図10は、端末装置10に表示する取引情報を入力する画面例を示す図である。図10の画面例は、取引データベース2021に登録する取引情報として、取引名(案件名)等を入力する状態の画面例を示す。図6のステップS112に相当する。
【0119】
図10に示すように、端末装置10のディスプレイ132には、取引データベース2021にこれから登録する取引の詳細情報として、ステータス情報を示すステータス表示欄1033aと、案件名を示す取引名入力欄1033bとが設けられ、さらに、ステータス情報として支払通知を選択する支払通知選択ボタン(支払通知状態選択手段)1033cが設けられている。支払通知選択ボタン1033cは、図8に示す支払通知選択ボタン1031dと同様の機能を有するが、取引に関する情報の登録を受け付ける段階である点において異なる。図10に示すように、支払通知選択ボタン(支払通知状態選択手段)1033cは、取引が開始された状態である取引開始状態であれば、支払通知を受け付けてもよく、図10に示すように「支払通知予約」と表示されてもよい。
【0120】
図11は、端末装置10に表示する取引一覧を表示する画面例を示す図である。図11の画面例は、取引データベース2021に登録されている取引情報の一覧が表示された状態の画面例を示す。図7のステップS212に相当する。
【0121】
図11に示すように、端末装置10のディスプレイ132には、取引データベース2021に格納されている取引情報の一覧表示欄1034aが表示されている。一覧表示欄1034aは、取引情報として、取引に関係する発注者及び受注者(図11に示す図の場合は、発注者の画面例であるため、受注者(発注先)のみが表示されている。)を示す事業者表示欄1034bと、ステータス情報及びサブステータス情報を示すステータス表示欄1034cと、ステータス情報として支払通知を選択する支払通知選択ボタン(支払通知状態選択手段)1034dとが表示されている。この支払通知選択ボタン1034dにより、支払通知を一括して選択することが容易になる。
【0122】
<小括>
以上のように、本実施形態によると、例えば取引に係る実際の商品の受け渡しや業務委託に係る業務が終了した状態で、発注者から、請求のステータス情報に代えて、当該取引に係る支払通知がなされることを示す支払通知のステータス情報を受け付けると、受注者に対して、支払通知を送信し、支払通知に含まれる情報に基づき、支払処理を行う。そのため、受注者にとって、請求書を発行する負荷を削減することが可能になり、発注者にとって、請求書の到着を待つことなく、支払のタイミング、支払の内容についてコントロールすることが可能になる。これにより、取引情報から支払プロセスにスムーズに移行させることが可能になる。
【0123】
また、取引の詳細情報を表示する画面、または取引一覧を表示する画面に、ステータス情報として支払通知を選択する支払通知選択ボタン(請求状態選択手段)が設けられている。これにより、支払通知を選択する手続きを簡便にすることが可能になる。
【0124】
<第2の実施の形態>
以下、取引管理システム1の他の実施の形態について説明する。
【0125】
<1 取引管理システム1の全体構成>
図12は、実施の形態2の取引管理システム1を構成するサーバ20の機能的な構成を示す図である。第2の実施の形態における取引管理システム1の全体の構成、端末装置10の構成は、第1の実施の形態と同様であるので、繰り返して説明しない。サーバ20の構成については、図12に示すように、新たにレコメンドモジュール2038の機能を備える以外、第1の実施の形態と同様である。以下、第2の実施の形態におけるレコメンドモジュール2038の機能について説明する。
【0126】
レコメンドモジュール2038は、取引情報のステータス情報として、支払通知の登録をレコメンドする処理を制御する。例えば、レコメンドモジュール2038は、過去にステータス情報として支払通知を登録した取引と同一の事業者との取引に対して、取引に係る実際の商品の受け渡しや業務委託に係る業務が終了し、請求プロセスまたは支払通知プロセスを選択可能なとき、ステータス情報として支払通知を登録し、当該事業者へ支払通知を送信するようレコメンドする。また、レコメンドモジュール2038は、取引相手の事業者(受注者)の属性が所定の条件に一致する場合、例えば当該取引の受注者が個人事業主の場合、または当該取引の受注者が支払通知を受ける事業者として登録されている場合、取引に係る実際の商品の受け渡しや業務委託に係る業務が終了し、請求プロセスまたは支払通知プロセスを選択可能なとき、ステータス情報として支払通知を登録し、当該事業者へ支払通知を送信するようレコメンドする。すなわち、レコメンドモジュール2038は、当該取引の受注者が支払通知を選択する蓋然性が高い取引について、ステータス情報として支払通知を登録するようレコメンドする。
【0127】
レコメンドモジュール2038により、ステータス情報として支払通知を登録するよう事業者から指示を受け付けた場合、ステータス情報登録受付モジュール2035が支払通知の登録を受け付けて登録を行う。
【0128】
<2 データ構造>
第2の実施の形態におけるデータ構造は、第1の実施の形態と同様であるので、繰り返して説明しない。
【0129】
<3 動作>
第2の実施の形態における動作は、第1の実施の形態と同様であるので、繰り返して説明しない。
【0130】
<4 画面例>
以下、図13及び図14を参照しながら、取引管理システム1による取引情報の表示処理の画面例について説明する。
【0131】
図13は、端末装置10に表示する取引情報を表示する画面例を示す図である。図13の画面例は、取引データベース2021に登録されている取引情報が表示された画面に、ポップアップ表示としてレコメンド情報が表示された状態の画面例を示す。図7のステップS212に相当する。
【0132】
図13に示すように、端末装置10のディスプレイ132には、図8に示すステータス表示欄1031a、取引名表示欄1031b、及び明細表示欄1031cと同様のステータス表示欄1035a、取引名表示欄1035b、及び明細表示欄1035cが表示されている。さらに、端末装置10のディスプレイ132には、ポップアップ表示としてレコメンド情報表示欄1035dが表示されている。レコメンド情報表示欄1035dには、レコメンド情報表示欄1035dに表示されているレコメンド内容に承諾する許可ボタン1035eと、レコメンド内容に承諾しない拒否ボタン1035fとが設けられている。
【0133】
図13に示す画面において、レコメンド情報表示欄1035dには、過去にステータス情報として支払通知を登録した取引と同一の事業者との取引に対して、支払通知を選択するようレコメンドしている。このレコメンド情報表示欄1035dにより、支払通知を選択することが可能であることを認識することが可能になり、許可ボタン1035e及び拒否ボタン1035fにより、支払通知を選択する手続き、または支払通知を選択しない手続きが簡便になる。
【0134】
図14は、端末装置10に表示する取引情報を表示する画面例を示す図である。図14の画面例は、取引データベース2021に登録されている取引情報が表示された画面に、ポップアップ表示としてレコメンド情報が表示された状態の画面例を示す。図7のステップS212に相当する。
【0135】
図14に示すように、端末装置10のディスプレイ132には、図13に示すステータス表示欄1035a、取引名表示欄1035b、明細表示欄1035c、レコメンド情報表示欄1035d、許可ボタン1035e、及び拒否ボタン1035fと同様のステータス表示欄1036a、取引名表示欄1036b、明細表示欄1036c、レコメンド情報表示欄1036d、許可ボタン1036e、及び拒否ボタン1036fが表示されている。
【0136】
図14に示す画面において、レコメンド情報表示欄1036dには、取引相手の事業者(受注者)の属性が所定の条件に一致する場合の例として、当該取引の受注者が個人事業主である場合、当該取引に対して、支払通知を選択するようレコメンドしている。このレコメンド情報表示欄1036dにより、支払通知を選択することが可能であることを認識することが可能になり、許可ボタン1036e及び拒否ボタン1036fにより、支払通知を選択する手続き、または支払通知を選択しない手続きが簡便になる。
【0137】
<小括>
以上のように、本実施形態によると、当該取引の受注者が支払通知を選択する蓋然性が高い取引、具体的には、過去にステータス情報として支払通知を登録した取引と同一の事業者の場合、当該取引の受注者が個人事業主である場合、または当該取引の受注者が支払通知を受ける事業者として登録されている場合、ステータス情報として支払通知を登録するようレコメンドする。これにより、発注者が支払通知を選択することが可能な取引を把握することが可能になる。
【0138】
以上、開示に係る実施形態について説明したが、これらはその他の様々な形態で実施することが可能であり、種々の省略、置換および変更を行なって実施することが出来る。これらの実施形態および変形例ならびに省略、置換および変更を行なったものは、特許請求の範囲の技術的範囲とその均等の範囲に含まれる。
【0139】
<付記>
以上の各実施形態で説明した事項を、以下に付記する。
【0140】
(付記1)プロセッサ29と、メモリ25とを備えるコンピュータに実行させ、複数の事業者の間で行われる取引を管理するためのプログラムであって、メモリ25には、取引に係るステータス情報(2021)が登録され、ステータス情報として、取引が開始されたことを示す取引開始状態、取引に係る請求がなされたことを示す請求状態、及び取引に係る支払通知がなされたことを示す支払通知状態、を含む状態の情報が登録され、プログラムは、プロセッサ29に、事業者から、取引に対してステータス情報の登録を受け付け、ステータス情報が取引開始状態であるときにおいて、複数の事業者のうちの1の事業者からステータス情報として請求状態または支払通知状態の登録を受け付けるステップ(S221,S222)と、ステータス情報として支払通知状態の登録を受け付けた(S222)場合、他の事業者に対して支払通知を送信するステップ(S223)と、を実行させる、プログラム。
【0141】
(付記2)メモリには、ステータス情報に紐づくサブステータス情報が登録され、サブステータス情報として、ステータス情報の状態に対する承認待ち状態、及びステータス情報の状態に対する承認済状態、を含む状態の情報が登録され、ステータス情報が取引開始状態であるときにおいて、サブステータス情報として承認済状態の登録を受け付けた場合、ステータス情報として請求状態または支払通知状態の登録を受け付ける、(付記1)に記載のプログラム。
【0142】
(付記3)ステータス情報として請求状態または支払通知状態の登録を受け付ける画面において、支払通知状態選択手段が設けられ、支払通知状態選択手段が選択されることに応答して、ステータス情報として支払通知状態の登録を受け付ける、(付記1)または(付記2)に記載のプログラム。
【0143】
(付記4)ステータス情報として請求状態または支払通知状態の登録を受け付ける画面において、さらに、請求状態選択手段が設けられ、請求状態選択手段、または支払通知状態選択手段のいずれか一方のみが選択可能に設定されている、(付記3)に記載のプログラム。
【0144】
(付記5)ステータス情報が取引開始状態である場合において、所定の期間までに、ステータス情報として支払通知状態の登録を受け付けなかった場合、ステータス情報として請求状態の登録を行う、(付記1)から(付記4)のいずれかに記載のプログラム。
【0145】
(付記6)プログラムは、さらに、過去の取引において、ステータス情報として支払通知状態の登録を受け付けた場合、過去の取引と同一の事業者との取引に対して、ステータス情報が取引開始状態であるとき、ステータス情報として支払通知状態の登録をレコメンドするステップを実行させる、(付記1)から(付記5)のいずれかに記載のプログラム。
【0146】
(付記7)プログラムは、さらに、事業者の属性が所定の条件に一致する場合、当該事業者との取引に対して、ステータス情報が取引開始状態であるとき、ステータス情報として支払通知状態の登録をレコメンドするステップを実行させる、(付記1)から(付記6)のいずれかに記載のプログラム。
【0147】
(付記8)プログラムは、さらに、ステータス情報が支払通知状態であるとき、所定の期間までに、ステータス情報として支払通知状態の取消の登録を受け付けるステップを実行させる、(付記1)から(付記7)のいずれかに記載のプログラム。
【0148】
(付記9)ステータス情報が取引開始状態である取引の一覧を表示し、表示された取引のステータス情報をそれぞれ表示する画面において、表示された取引ごとに支払通知状態選択手段が設けられ、当該取引の支払通知状態選択手段が選択されることに応答して、ステータス情報として支払通知状態の登録を受け付ける、(付記1)から(付記8)のいずれかに記載のプログラム。
【0149】
(付記10)メモリには、取引に係る支払先、支払手段、支払期日のいずれかまたは複数の情報が登録され、支払通知として、取引に係る支払先、支払手段、支払期日のいずれかまたは複数の情報を通知する、(付記1)から(付記9)のいずれかに記載のプログラム。
【0150】
(付記11)取引に係る支払先または支払手段が登録されていない場合に登録を促す、(付記10)に記載のプログラム。
【0151】
(付記12)プログラムは、さらに、他の事業者に対して支払通知を送信した場合、当該他の事業者に対して、所定の期日までに支払処理を行うステップを実行させる、(付記1)から(付記11)のいずれかに記載のプログラム。
【0152】
(付記13)制御部と、記憶部とを備え、複数の事業者の間で行われる取引を管理する情報処理装置であって、記憶部には、取引に係るステータス情報(2021)が登録され、ステータス情報として、取引が開始されたことを示す取引開始状態、取引に係る請求がなされたことを示す請求状態、及び取引に係る支払通知がなされたことを示す支払通知状態、を含む状態の情報が登録され、制御部は、事業者から、取引に対してステータス情報の登録を受け付け(2035)、ステータス情報が取引開始状態であるときにおいて、複数の事業者のうちの1の事業者からステータス情報として請求状態または支払通知状態の登録を受け付けるステップと、ステータス情報として支払通知状態の登録を受け付けた(2036)場合、他の事業者に対して支払通知を送信する(2037)ステップと、を行う、情報処理装置。
【0153】
(付記14)プロセッサ29と、メモリ25とを備えるコンピュータにより実行され、複数の事業者の間で行われる取引を管理するための方法であって、メモリ25には、取引に係るステータス情報(2021)が登録され、ステータス情報として、取引が開始されたことを示す取引開始状態、取引に係る請求がなされたことを示す請求状態、及び取引に係る支払通知がなされたことを示す支払通知状態、を含む状態の情報が登録され、方法は、プロセッサ29が、事業者から、取引に対してステータス情報の登録を受け付け、ステータス情報が取引開始状態であるときにおいて、複数の事業者のうちの1の事業者からステータス情報として請求状態または支払通知状態の登録を受け付けるステップ(S221,S222)と、ステータス情報として支払通知状態の登録を受け付けた(S222)場合、他の事業者に対して支払通知を送信するステップ(S223)と、を実行する、方法。
【符号の説明】
【0154】
10 端末装置、20 サーバ、80 ネットワーク、130 操作受付部、161 ユーザ情報、22 通信IF、23 入出力IF、25 メモリ、26 ストレージ、29 プロセッサ、201 通信部、202 記憶部、2021 取引データベース、2022 ユーザデータベース、203 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14