(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-14
(45)【発行日】2023-08-22
(54)【発明の名称】洗剤添加剤
(51)【国際特許分類】
C11D 3/395 20060101AFI20230815BHJP
C11D 7/54 20060101ALI20230815BHJP
C11D 3/37 20060101ALI20230815BHJP
【FI】
C11D3/395
C11D7/54
C11D3/37
(21)【出願番号】P 2020503926
(86)(22)【出願日】2018-07-10
(86)【国際出願番号】 US2018041367
(87)【国際公開番号】W WO2019027631
(87)【国際公開日】2019-02-07
【審査請求日】2021-06-28
(32)【優先日】2017-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】チェン、シュエ
(72)【発明者】
【氏名】チン、シン
【審査官】林 建二
(56)【参考文献】
【文献】特表2001-510501(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0302487(US,A1)
【文献】国際公開第2017/040501(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0171250(US,A1)
【文献】特開2004-189937(JP,A)
【文献】特開2007-217686(JP,A)
【文献】特表2015-531423(JP,A)
【文献】特表2013-539817(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 1/00-19/00
D06L 1/00-4/75
B01J 2/00-2/30
B01J 13/00
B01J 13/02-13/22
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗剤添加剤であって、
活性物質であって、テトラアセチルエチレンジアミンを含む前記活性物質と、
マイケルドナーとして機能する化合物、およびマイケルアクセプターとして機能する化合物の反応生成物と、を含み、
前記マイケルドナーとして機能する化合物が、アセトアセテートエステル、シアノアセテートエステル、およびマロン酸エステルからなる群から選択され、
前記マイケルアクセプターとして機能する化合物が、多官能性アクリレートであり、
前記洗剤添加剤中の前記テトラアセチルエチレンジアミンの重量パーセントが、10~75パーセントであ
り、
前記反応生成物によって前記活性物質がカプセル化された被覆固形物粒子である、洗剤添加剤。
【請求項2】
前記活性物質が、トリアセチルエチレンジアミンをさらに含む、請求項1に記載の洗浄添加剤。
【請求項3】
前記多官能性アクリレートが、1,4-ブタンジオールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、アルコキシル化ヘキサンジオールジアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、およびトリプロピレングリコールジアクリレートからなる群から選択されるジアクリレートである、請求項1または2に記載の洗剤添加剤。
【請求項4】
前記多官能性アクリレートが、トリメチルプロパントリアクリレート、エトキシ化トリメチルプロパントリアクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、プロポキシ化グリセリルトリアクリレート、およびペンタエリスリトールトリアクリレートからなる群から選択されるトリアクリレートである、請求項1または2に記載の洗剤添加剤。
【請求項5】
前記多官能性アクリレートが、アクリル化ポリエステルオリゴマー、およびアクリル化ウレタンオリゴマーからなる群から選択される、請求項1または2に記載の洗剤添加剤。
【請求項6】
前記アセトアセテートエステルが、アセトアセテートエチル、1-ブチルアセトアセテート、メチルアセトアセテート、2-エチルヘキシルアセトアセテート、ラウリルアセトアセテート、アリルアセトアセテート、1,4-ブタンジオールジアセトアセテート、1,6-ヘキサンジオールジアセトアセテート、ネオペンチルグリコールジアセトアセテート、シクロヘキサンジメタノールジアセトアセテート、エトキシル化ビスフェノールAジアセトアセテート、トリメチロールプロパントリアセトアセテート、グリセリントリアセトアセテート、およびペンタエリスリトールテトラアセトアセテートからなる群から選択されるモノ、ジ、トリ、またはテトラアセトアセテートである、請求項1~5のいずれか1項に記載の洗剤添加剤。
【請求項7】
前記シアノアセテートエステルが、エチルシアノアセテート、ブチルシアノアセテート、メチルシアノアセテート、2-エチルヘキシルシアノアセテート、ラウリルシアノアセテート、アリルシアノアセテート、および1,4-ブタンジオールビス(シアノアセテート)からなる群から選択されるモノ、またはビスシアノアセテートである、請求項1~6のいずれか1項に記載の洗剤添加剤。
【請求項8】
前記マロン酸エステルが、ジエチルマロネート、ジメチルマロネート、ジブチルマロネート、ビス(2-エチルヘキシル)マロネート、ジラウリルマロネート、およびジアリルマロネートからなる群から選択される、請求項1~7のいずれか1項に記載の洗剤添加剤。
【請求項9】
前記反応生成物が、マイケル触媒として機能する化合物の存在下で反応し、前記マイケル触媒として機能する化合物が、有機または無機の塩基である、請求項1~8のいずれか1項に記載の洗剤添加剤。
【請求項10】
前記マイケル触媒として機能する前記化合物が、1,1,3,3-テトラメチルグアニジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン、NaOH、KOH、K
2CO
3からなる群から選択される、請求項9に記載の洗剤添加剤。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
活性物質をカプセル化することが望ましい多くの用途が存在する。例えば、衣服等の織物は、典型的には、織物を、洗剤成分と漂白剤等の他の任意選択的な活性物質との組み合わせである洗剤配合物と接触させることにより洗浄される。使いやすさのために、多くの洗剤配合物のユーザーは、洗剤と任意選択的な活性物質とが単一の製品に組み込まれたオールインワン製品を好む。さらに、多くのユーザーは、固体または粒状製品と比較して、この製品が液体であることを好む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
一般的な洗浄活性物質の1つは、テトラアセチルエチレンジアミン(TAED)である。TAEDは、ペルオキシ漂白活性化剤および微生物制御剤として機能する。TAEDは、固形洗剤製品で広く使用されている。TAEDは、一部に水を含む液体洗剤配合物では、加水分解されると、TAEDが反応して、洗剤活性物質として有効ではないN,N’ジアセチルエチレンジアミン(DAED)を形成するため、洗剤活性物質としての有効性を失う。そのため、TAEDは、変性させずに使用する場合、水性洗剤配合物の活性物質としては理想的ではない。トリアセチルエチレンジアミン(TriAED)は、別の洗剤活性物質である。水を含有する配合物における使用に適した活性物質を含有する添加剤が望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0003】
洗剤添加剤は、活性物質であって、テトラアセチルエチレンジアミンまたはトリアセチルエチレンジアミンのうちの一方または両方を含む活性物質と、マイケルドナーとして機能する化合物、およびマイケルアクセプターとして機能する化合物の反応生成物と、を含み、マイケルドナーとして機能する化合物は、アセトアセテートエステル、シアノアセテートエステル、およびマロン酸エステルからなる群から選択され、マイケルアクセプターとして機能する化合物は、多官能性アクリレートであり、洗剤添加剤中のテトラアセチルエチレンジアミンの重量パーセントは、10~90パーセントである。
【発明を実施するための形態】
【0004】
本開示は、テトラアセチルエチレンジアミン(TAED)またはトリアセチルエチレンジアミン(TriAED)のうちの一方または両方と、マイケル反応の一部として、マイケルドナーとして機能する化合物、およびマイケルアクセプターとして機能する化合物の反応生成物と、を含む添加剤について記載する。マイケル反応の一部として、マイケルドナーとして機能する化合物、およびマイケルアクセプターとして機能する化合物の反応生成物は、本明細書では概してマイケル生成物と称される。マイケル反応は、マイケル触媒の存在下で、α,β-不飽和カルボニル化合物(例えば、アクリレート)などの活性化オレフィン(マイケルアクセプターとして機能する化合物)に対して求核試薬(マイケルドナーとして機能する化合物)を1,4-付加させるものである。
【0005】
マイケルドナーとして機能する化合物は、アセトアセテートエステル、シアノアセテートエステル、およびマロン酸エステルからなる群から選択される。一事例において、アセトアセテートエステルは、モノ、ジ、トリ、またはテトラアセトアセテートであり、好ましくはアセトアセテートエチル、1-ブチルアセトアセテート、メチルアセトアセテート、2-エチルヘキシルアセトアセテート、ラウリルアセトアセテート、アリルアセトアセテート、1,4-ブタンジオールジアセトアセテート、1,6-ヘキサンジオールジアセトアセテート、ネオペンチルグリコールジアセトアセテート、シクロヘキサンジメタノールジアセトアセテート、エトキシル化ビスフェノールAジアセトアセテート、トリメチロールプロパントリアセトアセテート、グリセリントリアセトアセテート、またはペンタエリスリトールテトラアセトアセテートのうちの1つである。一事例において、シアノアセテートエステルは、モノ、またはビスシアノアセテートであり、好ましくはエチルシアノアセテート、ブチルシアノアセテート、メチルシアノアセテート、2-エチルヘキシルシアノアセテート、ラウリルシアノアセテート、アリルシアノアセテート、および1,4-ブタンジオールビス(シアノアセテート)のうちの1つである。一事例において、マロン酸エステルは、ジエチルマロネート、ジメチルマロネート、ジブチルマロネート、ビス(2-エチルヘキシル)マロネート、ジラウリルマロネート、またはジアリルマロネートのうちの1つである。
【0006】
マイケルアクセプターとして機能する化合物は、多官能性アクリレートである。一事例において、多官能性アクリレートは、好ましくは1,4-ブタンジオールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、アルコキシル化ヘキサンジオールジアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、およびトリプロピレングリコールジアクリレートのうちの1つから選択されるジアクリレートである。一事例において、多官能性アクリレートは、好ましくはトリメチルプロパントリアクリレート、エトキシ化トリメチルプロパントリアクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、プロポキシ化グリセリルトリアクリレート、およびペンタエリスリトールトリアクリレートのうちの1つから選択されるトリアクリレートである。一事例において、多官能性アクリレートは、プロポキシ化トリメチロールプロパン、アクリル化ポリエステルオリゴマー、またはアクリル化ウレタンオリゴマーである。
【0007】
マイケル反応は、マイケル触媒として機能する化合物を含む反応混合物において実行される。好ましくは、マイケル触媒は、有機または無機の塩基である。マイケル触媒として機能する化合物の例には、1,1,3,3-テトラメチルグアニジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン、NaOH、KOH、K2CO3が含まれる。
【0008】
マイケル触媒として機能する化合物は、マイケルドナーとして機能する化合物の0.1~10の総モル当量で反応混合物中に存在することが好ましい。反応混合物は、水、アルコール、エーテル、炭化水素、または塩素化炭化水素を含む溶媒の存在下、または非存在下で実行できる。温度は、-10℃~150℃の範囲であり得る。マイケルドナーとして機能する化合物は、マイケルアクセプターとして機能する化合物との比率において0.5:1~2.0:1の範囲で存在することが好ましい。
【0009】
本明細書に記載される添加剤は、最初に分散相を提供することにより調製される。分散相には、水および乳化剤が含まれる。一事例において、乳化剤は、水溶性ポリマーである。一事例において、乳化剤は、界面活性剤である。一事例において、乳化剤は、ポリビニルアルコールまたは置換されたセルロースである。好適な乳化剤の例には、メチルセルロース、脂肪アルコールのエトキシレート、ソルビタンエステル、ポリグリセロール脂肪酸エステル、および有機酸モノグリセリドが含まれる。別に、マイケルドナーとして機能する化合物、マイケルアクセプターとして機能する化合物、および活性物質は、反応混合物中で組み合わされる。分散相は、反応混合物に添加され、混合して乳剤を形成する。次いで、マイケル触媒として機能する化合物は、添加剤が乳剤中に懸濁したビーズとして形成されるまで混合して、乳剤に添加する。固形物添加剤ビーズは単離され、ふるいを押し通すなどによって微粒子に形成される。
【0010】
添加剤は、90重量パーセント以下の活性物質、および10重量パーセント以上のマイケル生成物である。添加剤は、75重量パーセント以下の活性物質、および25重量パーセント以上のマイケル生成物である。好ましくは、添加剤は、50重量パーセント以下の活性物質、および50重量パーセント以上のマイケル生成物である。
【0011】
本明細書に記載される添加剤は、例えばTAEDなどの活性物質のみよりも、水性系おいてより良好な安定性を有する。例えば、添加剤が洗剤添加剤であり、洗濯機において使用される場合、活性物質はコポリマーから放出され、洗浄システム内で該活性物質が利用可能となり、その洗浄性強化機能を果たす。
【0012】
添加剤顆粒は、任意で粉砕または粉末形態に製粉して、放出プロファイルが制御または遅延される固体活性成分を得ることができる。
【0013】
本明細書に記載されるように、添加剤は、活性物質をカプセル化するか、または部分的にカプセル化する。本明細書で使用される場合、「カプセル化された」とは、マイケル生成物ネットワーク内に結合または保持されている活性物質を指す。本明細書に記載の添加剤は、誘因事象(本開示の文脈では、誘因事象は洗濯機内での使用であり得る)中に活性物質を放出するように設計される。カプセル化されている活性物質に言及する場合、それは、トリガーイベントの前にマイケル生成物ネットワーク内に保持されている活性物質を指す。本開示の方法に従って調製された添加剤は、30~100パーセントのカプセル化効率を有する。好ましくは、本開示の方法に従って調製された添加剤は、60~100パーセントのカプセル化効率を有する。より好ましくは、本開示の方法に従って調製された添加剤は、90~100パーセントのカプセル化効率を有する。本明細書で使用される場合、「カプセル化効率」は、添加剤のマイケル生成物ネットワークにおいてカプセル化される見込みのある活性物質の割合を指す。
【0014】
本明細書に記載の方法は、他のタイプの固体粉末系の調製に適している。例えば、本明細書に記載の方法には、布地柔軟剤、洗剤活性物質、漂白剤活性物質、肥料、微量栄養素、害虫駆除剤(殺真菌剤、殺菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤など)、殺生物剤、微生物防除剤、ポリマー潤滑剤、難燃剤、顔料、染料、尿素阻害剤、食品添加物、香料、医薬品、組織、抗酸化剤、化粧品成分(香料、香水など)、土壌改良剤(防汚剤、汚れ放出剤など)、触媒、診断薬、光保護薬(UVブロッカーなど)をカプセル化することが含まれるが、これらに限定されない。
【0015】
活性物質は、本明細書に記載されるカプセル化方法に適合するために、水への非常に低い溶解度を有するように選択される。好ましくは、活性物質の水への溶解度は、25℃で1%(w/w)以下である。好ましくは、活性物質の水への溶解度は、25℃で0.5%(w/w)以下である。本明細書で使用される(w/w)は、水の特定の温度での、水の重量あたりの活性物質の重量を指す。
【実施例】
【0016】
材料およびカプセル化の実施例
実施例1
ペンタエリスリトールトリアクリレート(SR444)は、Sartomer社から入手した。TAEDは、Alfa Aesarから入手した。他の全ての化学物質は、Sigma-Aldrichから入手し、受領したままで使用した。脱イオン(DI)水を、さらに精製することなく使用した。
【表1】
【0017】
表1に列挙された配合に従って、分散相(DI水、メチルセルロース)を、小さなガラス瓶内において攪拌子で2分間攪拌して調製した。
【0018】
表1に示すように、マイケルドナー、マイケルアクセプター、およびTAEDの所定量を、攪拌棒および2つのガラス栓を備えた100mlの3つ口フラスコに添加した。マイケルドナー、およびマイケルアクセプターの総量は20グラムであるため、マイケルドナー、およびマイケルアクセプターの組み合わせに対するTAEDの重量比は1:2である。攪拌棒を、高速オーバーヘッド攪拌機に接続し、ミキサーの電源をゆっくりと入れた。2分間撹拌した後、撹拌を停止し、分散相をフラスコに添加した。攪拌機を稼働させ、rpmを2500rpmで徐々に最大に上げた。高速攪拌を2分間継続し、次に別で2分間、2000rpmに減速した。1,1,3,3-テトラメチルグアニジン(TMG)を、攪拌した乳剤に滴下した。2時間の撹拌後にポリマービーズが取得された。固形物粒子を単離し、DI水で洗浄し、遠心分離した。固形物粒子を収集し、35℃の真空オーブンで2時間乾燥させた。固形物は、200ミクロンのふるいに押し通すことによって簡単に微粒子に粉砕した。
【0019】
実施例2
【表2】
実施例2の配合物について、実施例1の手順を繰り返した。取得された固形生成物は、500ミクロンのふるいに押し通すことによって簡単に微粒子に粉砕した。TAEDとマイケルドナーおよびマイケルアクセプターの組み合わせの重量比は、3:1である。
【0020】
カプセル化性能評価
方法1:青色の食用色素の漂白(酸化)
水性青色化食用色素(FD&C blue #1、トリアリールメタン色素)の5滴を、500mlの水に添加し、1時間混合して均一な色素/水溶液を生成した。表3に示すように、1グラムの色素/水溶液と、1グラムのSigma-Aldrichから購入したH2O2 30%水溶液と、標的化した量のTAED(表3に記載)と、をバイアルに添加し、5分間混合した。
【0021】
漂白(酸化)性能を示す青色の低下を12時間後に評価し、対照試料および比較試料を比較した。対照および比較試料を、表3に提供される配合に従って調製した(注釈、比較試料内で提供されるTAEDはカプセル化されていないが、バイアルに直接的に提供されており、対照試料は、TAEDが存在しない場合においてはH
2O
2である)。
【表3】
【0022】
表3に示すように、室温で一晩(12時間)放置すると、カプセル化されていないTAEDの比較バイアルは青色に漂白化(退色化)されていた。過酸化水素を伴い、TAEDを含まない対照バイアルは、観察できる色の変化は有しなかった。カプセル化されたTAEDを有するバイアル1は、12時間後に同じ青色を有することが観察され、良好なカプセル化効率を示す。
【0023】
方法2:TAEDからDAEDへの加水分解を決定するためのHPLC分析
表1および2に列挙される実施例から選択される0.5gのカプセル化されていないTAED、およびカプセル化されたTAED粉末を、各々、20gのAll(商標)Mighty Pac(商標)洗剤を含むバイアルに個別に添加し、10分間振盪した。各バイアルからの混合物の1滴(約0.1g)を、10gの1:3アセトニトリル/H
2O溶媒を含む別々のバイアルに個別に添加し、15分間超音波処理して固形物TAEDを完全に溶解した。調製した試料のジアセチルエチレンジアミン(DAED)濃度は、クォータナリポンプおよびダイオードアレイ検出器を備えたAgilent 1100高速液体クロマトグラフィ(High-Performance Liquid Chromatography(HPLC))を使用して測定された。HPLC法の条件を表4に要約する。
【表4】
【表5】
【0024】
表5に示すように、TAEDについて全くカプセル化されていない。DAED濃度は劇的に増加するが、他の実施例において、DAEDはゆっくり増加した。DAEDはTAEDの劣化から生成されたため、DAEDのゆっくりとした放出プロファイルは、カプセル化効率が良好であり、カプセル化外郭による効果的な保護を示す。
なお、本発明は以下の態様を含みうる。
[1]洗剤添加剤であって、
活性物質であって、テトラアセチルエチレンジアミンまたはトリアセチルエチレンジアミンのうちの一方または両方を含む前記活性物質と、
マイケルドナーとして機能する化合物、およびマイケルアクセプターとして機能する化合物の反応生成物と、を含み、
前記マイケルドナーとして機能する化合物が、アセトアセテートエステル、シアノアセテートエステル、およびマロン酸エステルからなる群から選択され、
前記マイケルアクセプターとして機能する化合物が、多官能性アクリレートであり、
前記洗剤添加剤中の前記テトラアセチルエチレンジアミンの重量パーセントが、10~90パーセントである、洗剤添加剤。
[2]前記多官能性アクリレートが、1,4-ブタンジオールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、アルコキシル化ヘキサンジオールジアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、およびトリプロピレングリコールジアクリレートからなる群から選択されるジアクリレートである、上記[1]に記載の洗剤添加剤。
[3]前記多官能性アクリレートが、トリメチルプロパントリアクリレート、エトキシ化トリメチルプロパントリアクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、プロポキシ化グリセリルトリアクリレート、およびペンタエリスリトールトリアクリレートからなる群から選択されるトリアクリレートである、上記[1]に記載の洗剤添加剤。
[4]前記多官能性アクリレートが、プロポキシル化トリメチロールプロパン、アクリル化ポリエステルオリゴマー、およびアクリル化ウレタンオリゴマーからなる群から選択される、上記[1]に記載の洗剤添加剤。
[5]前記アセトアセテートエステルが、アセトアセテートエチル、1-ブチルアセトアセテート、メチルアセトアセテート、2-エチルヘキシルアセトアセテート、ラウリルアセトアセテート、アリルアセトアセテート、1,4-ブタンジオールジアセトアセテート、1,6-ヘキサンジオールジアセトアセテート、ネオペンチルグリコールジアセトアセテート、シクロヘキサンジメタノールジアセトアセテート、エトキシル化ビスフェノールAジアセトアセテート、トリメチロールプロパントリアセトアセテート、グリセリントリアセトアセテート、およびペンタエリスリトールテトラアセトアセテートからなる群から選択されるモノ、ジ、トリ、またはテトラアセトアセテートである、上記[1]に記載の洗剤添加剤。
[6]前記シアノアセテートエステルが、エチルシアノアセテート、ブチルシアノアセテート、メチルシアノアセテート、2-エチルヘキシルシアノアセテート、ラウリルシアノアセテート、アリルシアノアセテート、および1,4-ブタンジオールビス(シアノアセテート)からなる群から選択されるモノ、またはビスシアノアセテートである、上記[1]に記載の洗剤添加剤。
[7]前記マロン酸エステルが、ジエチルマロネート、ジメチルマロネート、ジブチルマロネート、ビス(2-エチルヘキシル)マロネート、ジラウリルマロネート、およびジアリルマロネートからなる群から選択される、上記[1]に記載の洗剤添加剤。
[8]前記反応生成物が、マイケル触媒として機能する化合物の存在下で反応する、上記[1]に記載の洗剤添加剤。
[9]前記マイケル触媒として機能する化合物が、有機または無機の塩基である、上記[8]に記載の洗剤添加剤。
[10]前記マイケル触媒として機能する前記化合物が、1,1,3,3-テトラメチルグアニジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン、NaOH、KOH、K
2
CO
3
からなる群から選択される、上記[8]に記載の洗剤添加剤。
[11]前記洗剤添加剤中の前記活性物質のカプセル化効率が60~100パーセントである、上記[1]~[10]のいずれかに記載の洗剤添加剤。