(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-14
(45)【発行日】2023-08-22
(54)【発明の名称】歯間ブラシ
(51)【国際特許分類】
A46B 15/00 20060101AFI20230815BHJP
A46B 3/18 20060101ALI20230815BHJP
【FI】
A46B15/00 H
A46B3/18
(21)【出願番号】P 2020511342
(86)(22)【出願日】2017-08-25
(86)【国際出願番号】 EP2017071472
(87)【国際公開番号】W WO2019037879
(87)【国際公開日】2019-02-28
【審査請求日】2020-05-21
【審判番号】
【審判請求日】2022-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】518095389
【氏名又は名称】クラーデン アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Curaden AG
【住所又は居所原語表記】Amlehnstrasse 22, 6010 Kriens, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マルコ ツァヴァッローニ
【合議体】
【審判長】柿崎 拓
【審判官】五十嵐 康弘
【審判官】長馬 望
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第4751761(US,A)
【文献】特開2004-344229(JP,A)
【文献】実開平01-143934(JP,U)
【文献】特開平10-033262(JP,A)
【文献】特開2009-005740(JP,A)
【文献】米国特許第5394584(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A46B3/18
A46B7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラシ部分(2)と、グリップ部分に歯間ブラシを解離可能に固定するためのシャフト(3)とを含む歯間ブラシ(1)であって、前記ブラシ部分(2)は、剛毛ホルダ(4)と、
該剛毛ホルダ(4)の剛毛領域(6)において前記剛毛ホルダ(4)に固定された剛毛(5)とを含んでおり、かつ前記剛毛ホルダ(4)は第1の端部(7)を有していて、該第1の端部(7)において前記剛毛ホルダ(4)は、前記シャフト(3)内において固定されている、歯間ブラシ(1)において、
前記シャフト(3)は2つの
別個の部分から製造されて
おり、これにより、前記シャフト(3)は互いに結合された2つの部分から形成されており、
a.前記2つの部分から形成された前記シャフト(3)の一方の部分は移行部分(8)を形成しており、前記移行部分(8)は、前記移行部分(8)の第1の側から前記移行部分(8)の第2の側に延びている開口(10)を有しており、かつ前記剛毛ホルダ(4)の1つの領域が、前記開口(10)内に位置しており、前記開口(10)の内寸は、前記剛毛ホルダ(4)の、前記開口(10)内に位置している領域の外寸よりも大きく、これによって前記剛毛ホルダ(4)は前記開口(10)内において可動であり、
b.前記2つの部分から形成された前記シャフト(3)の他方の部分は固定部分(9)を形成しており、前記剛毛ホルダ(4)の前記第1の端部(7)は、前記固定部分(9)内において固定されており、かつ、前記固定部分(9)は、前記グリップ部分における当該歯間ブラシ(1)の解離可能な固定のためにロック要素(11)を含んでおり、
c.前記移行部分(8)は、前記剛毛ホルダ(4)の、前記固定された第1の端部(7)と前記剛毛領域(6)との間に配置されている、
ことを特徴とする、歯間ブラシ(1)。
【請求項2】
前記シャフト(3)は、異なった2つの材料を含んでいる、
請求項1記載の歯間ブラシ(1)。
【請求項3】
前記移行部分(8)は、前記2つの材料のうちの第1の材料を含んでいて、かつ前記固定部分(9)は、前記2つの材料のうちの第2の材料を含んでいる、
請求項
2記載の歯間ブラシ(1)。
【請求項4】
前記第2の材料は、前記第1の材料よりも大きな曲げ強さを有している、
請求項
3記載の歯間ブラシ(1)。
【請求項5】
前記開口(10)は、前記移行部分(8)の前記第1の側に斜面(14)を有している、
請求項
1記載の歯間ブラシ(1)。
【請求項6】
前記剛毛ホルダ(4)は、前記剛毛(5)と前記第1の端部(7)との間に剛毛のない部分を有しており、これによって前記剛毛(5)と前記移行部分(8)との間に間隔が存在している、
請求項
1記載の歯間ブラシ(1)。
【請求項7】
前記剛毛ホルダ(4)は、撚られたワイヤから製造されている、
請求項
1記載の歯間ブラシ(1)。
【請求項8】
前記剛毛ホルダ(4)は、前記第1の端部(7)に湾曲形状の成形部を有している、
請求項
1記載の歯間ブラシ(1)。
【請求項9】
請求項1から
8までのいずれか1項記載の、少なくとも2つの歯間ブラシ(1)を備えた詰め合わせであって、前記少なくとも2つの歯間ブラシ(1)のそれぞれの歯間ブラシ(1)が、シャフト(3)に異なる特徴を備えている
ことを特徴とする、詰め合わせ。
【請求項10】
前記シャフト(3)の2つの部分のそれぞれの部分が、コードを形成している、
請求項
9記載の詰め合わせ。
【請求項11】
歯間ブラシ(1)を製造するための方法であって、前記歯間ブラシ(1)が、ブラシ部分(2)と、グリップ部分に前記歯間ブラシ(1)を解離可能に固定するためのシャフト(3)とを有しており、前記方法は、以下のステップ、すなわち:
a)剛毛ホルダ(4)と、前記剛毛ホルダ(4)に固定された剛毛(5)とを含むブラシ部分(2)を準備するステップと、
b)第1のプラスチック製の移行部分(8)を準備するステップであって、前記移行部分(8)は、前記移行部分(8)の第1の側から前記移行部分(8)の第2の側に延びている開口(10)を有している、ステップと、
c)前記剛毛ホルダ(4)の第1の端部(7)を、前記移行部分(8)の前記第1の側から、前記第1の端部(7)の領域が前記移行部分(8)の前記第2の側において突出するまで、前記開口(10)を通して押し込むステップと、
d)前記移行部分(8)の前記第2の側に固定部分(9)を取り付け、これによって前記剛毛ホルダ(4)の前記第1の端部(7)の、突出している前記領域を、前記固定部分(9)内において固定し、かつ前記固定部分(9)を前記移行部分(8)に固定する、ステップと、
を含んでいる、
歯間ブラシ(1)を製造するための方法。
【請求項12】
前記開口(10)を通した前記剛毛ホルダ(4)の前記第1の端部(7)の押込み後に、前記第1の端部(7)を変形させる、
請求項
11記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラシ部分と、グリップ部分に歯間ブラシを解離可能に固定するためのシャフトとを含む歯間ブラシであって、このときブラシ部分は、剛毛ホルダと、剛毛ホルダに固定された剛毛とを含んでおり、かつこのとき剛毛ホルダは第1の端部を有していて、該第1の端部において剛毛ホルダは、シャフト内において固定されている、歯間ブラシに関する。さらに本発明は、歯間ブラシを製造するための方法に関する。
【0002】
従来の技術
包括的な歯の手入れには、歯自体のクリーニングのみならず、歯間室のクリーニングも含まれる。歯間室には、カリエス、プラーク、および炎症を発症させるおそれがあるバクテリアが形成されることがある。しかしながら歯間室は、歯ブラシによっては単に不十分にしかクリーニングすることができない。したがって歯間室のクリーニングのためには、いわゆる歯間ブラシが使用される。歯間ブラシは、通常、繊細な剛毛を備えたブラシヘッドを有しており、このブラシヘッドは、歯ブラシに比べてかなり小さく、この結果ブラシヘッドを歯の間に導入することができる。このとき繊細な剛毛は、しばしば撚られたワイヤの形態で形成されている剛毛ホルダに固定されている。剛毛ホルダは、一端において通常、歯間ブラシのプラスチック製のシャフトの射出成形によりシャフト内に埋め込まれているか、または挿入されている。シャフト自体は、公知の形式でグリップ部分に収容されている。グリップ部分は、使用者が手によって良好に保持することができ、かつこのようにして歯間ブラシの良好な取扱いを可能にする。
【0003】
歯間ブラシの使用中に、ブラシヘッドには大きな荷重が加えられ、かつブラシヘッドはしばしば、弾性的にまたは塑性的に曲げられる。ブラシ部分が歯間ブラシのシャフトから引き抜けたり、またはブラシ部分がシャフトにおいて回転したりし得ることを回避するために、ブラシ部分の、シャフト内に埋め込まれた端部は、しばしば成形部を有しており、この結果固定された端部を、シャフト内において比較的良好に保持することができる。
【0004】
例えば特開2008-154901号明細書(ライオン株式会社)に開示された歯間ブラシでは、撚られたワイヤ製のブラシホルダの固定された端部分は、端部分を歯間ブラシのプラスチックシャフト内において確実に固定できるようにするために、湾曲形状の、方形の、半円形の、または三角形の成形部を有している。
【0005】
独国特許出願公開第10354774号明細書(Zahoransky)に開示された歯間ブラシでは、ブラシ部分はハンドグリップに解離不能に固定されている。ハンドグリップは、切欠きを備えたハンドグリップベース体と、この切欠き内に埋め込まれるように射出成形されたグリップ部分とを含んでいる。まずハンドグリップベース体が射出成形によって製造され、この結果シャフトの剛毛のない端部の真ん中の部分が、ハンドグリップベース体内に埋め込まれる。第2の射出成形工程によって、シャフトの折り曲げられた端部がグリップ部分内に埋め込まれる。グリップ部分は、ベース体に比べて幾分軟質のゴム状の材料から成っており、この結果比較的良好な手触りが得られる。
【0006】
一体に組み込まれたハンドグリップを備えたこのような歯間ブラシは、製造コストが高い。それというのは、グリップ部分を第2の製造ステップにおいてベース体内に射出成形しなくてはならないからである。さらに、ブラシ部分における剛毛が摩耗した場合には、ハンドグリップを備えた歯間ブラシ全体を交換する必要がある。このことは高コストであり、かつ廃棄物を多く出すことになる。
【0007】
しかしながらまた、歯間ブラシをグリップ部分に解離可能に結合することができるシステムも公知である。歯間ブラシを交換することが必要な場合に、歯間ブラシをグリップ部分から分離させ、新しい歯間ブラシをグリップ部分に挿入することができる。
【0008】
グリップ部分と交換可能な歯間ブラシとを備えたこのようなシステムは、例えば独国特許出願公開第102005047340号明細書(Braun GmbH)に開示されている。歯間ブラシは、そのシャフトにおいてシャフトの、ブラシとは反対側の自由端部に、シャフトの長手方向に延びる溝を有している。歯間ブラシがグリップ部分の開口内に導入されると、溝の間における壁部分が、グリップ部分の開口の内壁とのクランプ部を形成する。これによって歯間ブラシは、グリップ部分において保持され、かつ必要な場合に交換のためにグリップ部分から解離することができる。
【0009】
交換可能な歯間ブラシの別の構成が、国際公開第1986/02532号(Curaden)に開示されている。この歯間ブラシはブラシ部分を含んでいて、このブラシ部分は、撚られたワイヤループから形成されていて剛毛を備えたブラシ保持体と、剛毛のない端部分とを有している。端部分は、プラスチック製の歯間ブラシの円筒形のシャフトの射出成形によりシャフト内に埋め込まれている。シャフトの自由端部には、2つのアームを備えていてストッパを形成するトラバースが形成されている。歯間ブラシは、トラバースが、グリップ部分に形成された溝内に導入され、グリップ部分のねじ山付スリーブがトラバースの方向にねじ込まれることによってグリップ部分に取り付けることができ、このときねじ込みは、ねじ山付スリーブがトラバースのアームに乗り上げ、かつこのアームが、ねじ山付スリーブと、グリップ部分の溝の底部との間においてしっかりとクランプされるまで行われる。
【0010】
剛毛ホルダの端部分における成形部によって、グリップ部分内において解離可能に固定可能である歯間ブラシにおいても、剛毛ホルダをシャフト内において確実に保持することができる。しかしながらこのような公知の歯間ブラシは、剛毛ホルダとシャフトとの間における結合に関して幾つかの欠点を有している。
【0011】
剛毛ホルダは、歯間ブラシの使用中にしばしば弾性的に、またはそれどころか塑性的に曲がるので、剛毛ホルダの材料には、部分的に極めて強い荷重が加えられる。それに加えて、剛毛ホルダの屈曲が、主として1つの箇所、つまり剛毛ホルダがシャフトから進出している箇所において生じるという問題が生じる。これによってこの進出箇所において、しばしば材料疲労が発生し、このことは、剛毛ホルダの破損を惹起するおそれがある。
【0012】
剛毛ホルダの折れ曲がりまたは破損のおそれを回避するために、国際公開第1986/02532号(Curaden)には、剛毛ホルダの端部分を収容するための、特殊に成形された孔を備えたシャフトが開示されている。硬質プラスチック製のシャフトは、円錐形にまたは双曲面状に出口に向かって広がる前側部分を含んでいる。剛毛ホルダの端部分の後ろ側部分は、孔の後ろ側部分内において不動に固定されている。剛毛ホルダの端部分の前側部分は、剛毛の方向において増大する遊びをもって、孔の、徐々に広がる部分内において可撓性に支持されている。これによって端部分の前側部分は、孔部分内において弾性的に曲がることができ、このとき孔部分の壁は、剛毛ホルダの弾性限界を越える屈曲を阻止する。
【0013】
シャフト内における孔の最適化されたこの形状にもかかわらず、剛毛ホルダには、進出箇所において強い荷重が加えられ、剛毛ホルダは、損傷を受けること、またはそれどころか破損することがある。さらに、円錐形の出口を備えた上に記載された孔は、高い製造コストを必要とする。
【0014】
本発明の説明
本発明の課題は、冒頭に述べた技術分野に属する歯間ブラシを改良して、シャフト内における剛毛ホルダの改善された収容部を有していて、しかもこのときシャフトを簡単に製造することができる歯間ブラシを提供することである。
【0015】
この課題は、請求項1記載の特徴によって定義付けられている。本発明によれば、シャフトは2つの部分から製造されている。
【0016】
これによって簡単な形式で、歯間ブラシのシャフトを、シャフトが領域毎に異なった特性を有するように構成することが可能である。このようにして例えば、第1の部分が別の形状を有することができ、かつシャフトの第2の部分とは別の製造方法で製造されることができる。これによって、シャフトの個々の領域に対する異なった要求を比較的良好に満たすことができる。
【0017】
このようにして例えばシャフトの、剛毛ホルダがシャフトから進出している領域を、極めて正確に成形されていてかつ剛毛ホルダを正確に案内する第1の部分によって形成することができ、この結果剛毛ホルダは、使用時に破損することなく曲がることができる。これに対して例えばシャフトの下側の端部領域は、第2の部分から成っていてよく、この第2の部分は、さほど正確に製造される必要はなく、単に、剛毛ホルダの第1の端部を不動に固定するためにだけ働く。相応に第2の部分を、比較的単純な工具によって安価に製造することができる。このようにして第2の部分を例えば、打抜きによって、または簡単な射出成形法によって製造することができる。これによってシャフトのそれぞれの部分のために、最も効果的でかつ最も安価な製造方法を選択することができる。これによりシャフトを最適に構成することができる。
【0018】
「歯間ブラシ」という概念は、本明細書の記載では、人または動物の歯の歯間室をクリーニングするために適したブラシを意味している。このとき歯間ブラシの使用のためにはグリップ部分が必要であり、このグリップ部分に歯間ブラシは、例えばクランプまたはねじ結合を用いて解離可能に固定することができる。グリップ部分は、歯間ブラシを良好に取り扱うことができるようにするために、ひいては歯の間において正確に位置決めし、かつ運動させることができるようにするために働く。したがって歯間ブラシを手によって把持することができるグリップ部分は、歯間ブラシの「シャフト」という概念とは区別されねばならない。シャフトは、剛毛ホルダを固定するために、かつ歯間ブラシをグリップ部分に解離可能に結合するために働く。
【0019】
「固定する」という概念は、解離不能な結合を意味している。したがって例えば剛毛ホルダの第1の端部は、シャフト内に接着されていても、埋め込まれていても、またはクランプされていてもよい。ゆえに例えば差込み結合またはねじ結合、またはバヨネット継手のような解離可能な結合は、「固定する」という概念には当て嵌まらない。
【0020】
本発明によれば、シャフトは2つの部分から製造されている。これによって好ましくは、シャフトは2部分から形成されている。すなわちそれぞれの部分は、個々に製造可能であり、次いで、シャフトを製造するために他方の部分と結合することができる。このとき第1の部分と第2の部分とは、例えば差込み結合またはねじ結合を用いて解離可能に互いに結合されても、または例えば接着または接合によって解離不能に互いに結合されてもよい。第2の部分がプラスチックから成っている場合には、第2の部分を、例えばプラスチック射出成形を用いて第1の部分を覆うように射出成形することができ、または第2の部分を、超音波溶接、振動溶接(VIB溶接)、オービタル溶接、ミラー溶接を用いて、または接着を用いて第1の部分に結合することができる。
【0021】
第1の部分と第2の部分とは、同じ材料から成っていてもよいし、またはそれぞれ異なった材料から製造されていてもよい。
【0022】
好ましくは、シャフトは、シャフトの長手方向において第1の部分と第2の部分とに分割されている。すなわちシャフトの両部分は、シャフトの長手方向において相前後して配置されている。しかしながらこのことは、シャフトの第1の部分および/または第2の部分の個々の領域または要素が、長手方向においてそれぞれ他方の部分内に進入していることを排除するものではない。したがって第1の部分は例えば、長手方向においてシャフトの第2の部分内に進入する張出し部、舌片、または羽根を含んでいてよい。
【0023】
好ましくは、シャフトの第1の部分が張出し部を含んでおり、この張出し部は、第1の部分の長手方向において第1の部分から突出していて、かつシャフトの第2の部分における相応の切欠き内に収容される。これによってシャフトの第1の部分と第2の部分との間における接触面を増大させることができる。このことは、両部分の間における安定的でかつ確実な結合を可能にする。
【0024】
好ましくは、シャフトは、異なった2つの材料を含んでいる。これによってシャフトの個々の領域を、それぞれの要求に特に良好に適合させることができる。好ましくは、シャフトの第1の部分は第1の材料から製造されていて、かつシャフトの第2の部分は第2の材料から製造されている。このことは、異なった機械的な特性および異なった色を有する材料の使用を可能にする。さらに両部分を、異なった製造方法によって製造することが可能である。
【0025】
このようにして例えば、シャフトの、剛毛ホルダがシャフトから進出している部分を、シャフトの自由端部の領域における、グリップ部分内において収容されるように形成されている第2の部分よりも、可撓性のまたは弾性の材料から製造することができる。そのとき第2の部分は、例えば耐摩耗性の硬質の材料から成っていてよい。シャフトからの剛毛ホルダの進出領域における、第1の部分の可撓性のまたは弾性の材料によって、剛毛ホルダが曲げられる場合に、シャフトの第1の部分は撓むことができ、かつそれにもかかわらず剛毛ホルダを良好に支持することができ、この結果進出領域における剛毛ホルダの弾性限界を超える屈曲を回避することができる。これによって剛毛ホルダの破損を阻止することができる。これに対してシャフトの自由端部の領域における第2の部分は、硬質の材料によって耐摩耗性であり、これによって損傷することなしにグリップ部分に結合することができる。さらに硬質の材料によって、シャフトとグリップ部分との間における安定的な結合を可能にすることができる。しかしながらまた材料の選択は、例えばまさに逆に行うことも可能であり、かつ軟質のまたは弾性の材料を、シャフトの自由端部の領域における第2の部分のために使用することが可能であり、このようにすると、歯間ブラシとグリップ部分との間における弾性的な結合を可能にすることができる。
【0026】
異なった材料によって、シャフトの自由端部の領域における剛毛ホルダの固定のために、剛毛ホルダの第1の端部のそれぞれの形状に特に良好に適合させることができる材料を選択することができ、この結果剛毛ホルダはシャフト内において確実に保持される。シャフトにおける固定のための、剛毛ホルダの第1の端部は、例えば半円形に、V字形に、ジグザグに、または曲げられて形成されていてよい。
【0027】
これによって歯間ブラシの、2つの材料から成るシャフトを、特に良好に要求に適合させることができる。さらにシャフトにおける異なった材料によって、領域を、シャフトの領域のそれぞれの形状のために最も適した材料で製造することができる。このようにして例えばシャフトの上側の領域を特殊プラスチックから製造することができ、これによってプラスチック射出成形によって進出開口の特に正確な形状付与を可能にすることができる。これに対してシャフトの下側の領域は、例えば安価な材料から製造することができる。それというのは、ここではあまり正確な形状付与を必要としないからである。このことは、効果的でかつ安価な製造を可能にする。
【0028】
しかしながらまたシャフトは、3つ、4つ、またはそれ以上の異なった材料を含んでいてよい。このとき「異なった」という概念は、材料の特性に関するものであり、かつ例えば材料の上位の名称に関するものではない。すなわち第1の硬度を有する第1のプラスチックと第2の硬度を有する第2のプラスチックとは、両者が「プラスチック」という概念の範疇に含まれているにもかかわらず、本明細書の記載では「異なった2つの材料」と見なされる。しかしながらまたシャフトは、例えばプラスチックと金属とを含んでいてよい。さらに異なった色を有する材料も本明細書の記載では、このような材料が色以外では同じ特性を有しているとしても、異なった2つの材料と見なされる。このようにして例えば青いプラスチックはこの定義によれば、赤いプラスチックとは別の材料である。
【0029】
シャフトは、好ましくは移行部分と固定部分とを含んでおり、このとき剛毛ホルダの第1の端部は、固定部分内において固定されている。移行部分および固定部分は、任意の形状を有していてよい。このようにして移行部分および固定部分は、例えばそれぞれ円筒形に、球形に、または直方体形状に形成されていてよい。移行部分および固定部分は、さらに差込み結合を介して互いに解離可能に結合されていても、または互いに解離不能に結合されていてもよい。
【0030】
好ましくは、移行部分はシャフトの第1の部分に、かつ固定部分は第2の部分に相当している。シャフトが移行部分と固定部分とを含んでいることによって、シャフトの機能は第1の部分と第2の部分とに分割されている。このことは、単純な構成および簡単な製造を可能にする。このようにして例えば固定部分を、剛毛ホルダの第1の端部の最適な固定に関して構成することができ、これに対して移行部分を、例えば剛毛ホルダの最適な支持に関して構成することができる。
【0031】
好ましくは、移行部分と固定部分とは互いに注型成形されており、この結果移行部分と固定部分とは、互いに不動にかつ解離不能に結合されている。これによってシャフトは安定的である。
【0032】
それとは択一的に、シャフトが移行部分および固定部分を有しておらず、剛毛ホルダの第1の端部がシャフトの両部分に固定されていることも可能である。
【0033】
好ましくは、固定部分は、固定部分の長手方向において移行部分に向かって突出している2つの羽根を有している。好ましくは、移行部分は、固定部分の羽根を収容するために2つの切欠きを有している。
【0034】
羽根によって、移行部分と固定部分との間における接触面が増大させられる。このことは、移行部分と固定部分との間における特に強い結合を可能にする。固定部分が移行部分を覆うように射出成形される場合には、増大させられた接触面によって、移行部分と固定部分との間における特に安定的な結合を達成することができる。
【0035】
好ましくは、剛毛ホルダは剛毛領域を有しており、このとき移行部分は、剛毛ホルダの、固定された第1の端部と剛毛領域との間に配置されている。これによって剛毛ホルダを、その剛毛領域と第1の端部との間の領域において、最適な形式で移行部分によって案内し、かつ支持することができる。このようにして剛毛ホルダを例えば、剛毛ホルダが歯のクリーニング時に曲げられる場合に、剛毛ホルダによって支持することができる。これによって、剛毛ホルダが固定部分内に進入する移行箇所における剛毛ホルダに対する荷重を減じることができる。これによって剛毛ホルダに対する荷重を減じることができ、かつ剛毛ホルダの破損または座屈のおそれを回避することができる。
【0036】
移行部分は、任意の形状を有することができる。移行部分は、例えば剛毛ホルダの側部においてそばに配置されていてよく、または移行部分は、剛毛ホルダを取り囲んでいてもよい。
【0037】
好ましくは、移行部分は、2つの材料のうちの第1の材料を含んでいて、かつ固定部分は、2つの材料のうちの第2の材料を含んでいる。
【0038】
これによって移行部分のために、剛毛ホルダを案内するために最適な材料を選択することができ、これに対して固定部分のためには、剛毛ホルダの第1の端部の特に安定的な固定を可能にする材料を選択することができるので、シャフトを特に好適に構成することができる。このようにして、上において既に記載されたように、剛毛ホルダを変形時においても案内しかつ支持することができるようにするために、例えば移行部分は弾性材料から成っていてよい。
【0039】
移行部分は場合によっては歯間クリーニング時に歯および/または歯肉と接触するので、歯または歯肉が傷付くおそれを減じるために、移行部分を比較的軟質の材料から構成することができる。これに対して固定部分のためには、剛毛ホルダの第1の端部を安定的にかつ不動に固定部分内において固定できるようにするために、剛性のまたは硬質の材料を選択することができる。
【0040】
択一的に、移行部分および固定部分を第1の材料から製造することも可能であり、かつ第3の部分、例えば結合部分を、シャフトをグリップ部分に結合するために、第2の材料から製造することも可能である。
【0041】
好ましくは、第2の材料は、第1の材料よりも大きな曲げ強さを有している。
【0042】
例えば固定部分が、移行部分の材料よりも大きな曲げ強さを有している場合には、剛毛ホルダの第1の端部を、剛性の材料によって特に安定的にかつ不動に固定部分内において固定することができ、これに対してあまり剛性ではない移行部分によって、剛毛ホルダの特に良好な案内および支持を達成することができる。それというのは、移行部分は剛毛ホルダと一緒に容易に弾性変形することができるからである。
【0043】
したがって好ましくは、固定部分は、移行部分の材料よりも大きな曲げ強さを有している材料を含んでいる。
【0044】
択一的に、異なった両材料は、等しい曲げ強さを有していてもよい。
【0045】
好ましくは、第1の材料はプラスチックである。好ましくは、第2の材料はプラスチックである。プラスチックは、簡単に使用することができ、かつプラスチック射出成形によって移行部分および/または固定部分を製造するために良好に適している。これによって移行部分および固定部分を、大量の個数で安価に製造することができる。
【0046】
択一的に、移行部分と固定部分とは、例えばセラミックスまたは金属のような別の生体適合性の材料から製造されていてもよい。
【0047】
好ましくは、移行部分は、移行部分の第1の側から移行部分の第2の側に延びている開口を有しており、かつこのとき剛毛ホルダの1つの領域が、開口内に位置している。これによって剛毛ホルダは、移行部分によって移行部の領域において全面的に取り囲まれる。これにより移行部分による剛毛ホルダの最適な案内および支持が可能である。好ましくは、開口は孔として形成されていて、かつ真円形の横断面を有している。別の構成では、開口はまた、方形の、三角形の、または多角形の横断面を有していてもよい。
【0048】
それとは択一的に、移行部分は単に剛毛ホルダの一方の側にだけ配置されていて、かつ開口を含んでいないことも可能である。
【0049】
好ましくは、開口は、移行部分の第1の側に斜面を有している。すなわち開口は、移行部分の第1の側に向かって徐々に広がるように構成されている。これによって開口内に位置している剛毛ホルダは、移行部分の第1の側に向かう方向において開口内において益々大きく運動し、かつ曲がることができる。これにより均一な曲げ荷重が得られ、これによって、移行部分の第1の側における開口の進出部における剛毛ホルダの、さもないと発生する座屈および破損のおそれを減じることができる。好ましくは、斜面は、開口の長手方向軸線と斜面の面との間において測定された、30°未満の角度を有している。これによって剛毛ホルダの特に良好な案内および支持が可能である。
【0050】
開口が真円形の横断面を有している場合に、開口は、好ましくは移行部分の第1の側における開口の周囲に、環状の斜面を有している。開口が、方形の、三角形の、または多角形の横断面を有している場合には、開口は、好ましくは移行部分の第1の側における開口のそれぞれの縁部に斜面を有している。
【0051】
択一的に、移行部分が斜面を有していないことも可能である。
【0052】
好ましくは、開口の内寸は、剛毛ホルダの、開口内に位置している領域の外寸よりも大きく、これによって剛毛ホルダは開口内において可動である。このとき外寸は、剛毛ホルダの横断面に関係している。すなわち剛毛ホルダが、ほぼ真円形の横断面を有している場合には、外寸は剛毛ホルダの外径に相当している。内寸は、開口の2つの内壁の間における最小間隔に相当している。開口が真円形の横断面を有している場合には、内寸は開口の内径に相当している。
【0053】
開口の内寸は剛毛ホルダの外寸よりも大きいので、剛毛ホルダは開口内において運動し、かつ容易に変形することができる。すなわち剛毛ホルダは、移行部分の開口内において幾分遊びをもって案内されている。これによって剛毛ホルダの座屈および破損のおそれを回避することができる。
【0054】
択一的に、剛毛ホルダは移行部分の開口内において遊びなしに案内されている。
【0055】
好ましくは、移行部分と固定部分とは、一体に形成されている。すなわち、好ましくは個々に製造可能である移行部分と固定部分とは、互いに一体に結合されている。これによってシャフトをコンパクトに構成することができる。好ましくは、移行部分と固定部分とは射出成形によって互いに結合可能であり、この結果移行部分と固定部分とは一体に形成されている。
【0056】
択一的に、移行部分と固定部分とは一体に形成されておらず、例えば剛毛ホルダを用いてルーズにまとめられる2つの個々の部分から成っていてもよい。
【0057】
好ましくは、固定部分は、グリップ部分における歯間ブラシの解離可能な固定のためにロック要素を含んでいる。ロック要素を用いてシャフトを、グリップ部分に簡単な形式で確実に固定することができる。このことは、歯間ブラシの取扱いを容易にする。好ましくは、ロック要素は、シャフトの長手方向軸線に対して直角に配置されている2つのアームを備えたトラバースの形態で形成されている。これによってグリップ部分との歯間ブラシのロックを、例えばバヨネット継手を用いて簡単に行うことができる。
【0058】
それとは択一的に、固定部分がロック要素を有していないことも可能である。この場合には、シャフトを例えば簡単にグリップ部分における開口内に差し込むことができる。
【0059】
好ましくは、剛毛ホルダは、撚られたワイヤから製造されている。これによって剛毛を剛毛ホルダに不動にかつ確実に保持することができ、このとき剛毛は、撚られたワイヤの螺条の間においてクランプされる。これにより剛毛ホルダの簡単かつ安価な製造が可能である。
【0060】
択一的に、剛毛ホルダは、例えばプラスチックロッドから製造されていてよい。
【0061】
好ましくは、剛毛ホルダは、第1の端部に湾曲形状の成形部を有している。これによって剛毛ホルダをシャフト内において特に確実に固定することができる。それというのは、剛毛ホルダは、剛毛ホルダの軸線方向においては固定部分から簡単に抜け出すことができない、または剛毛ホルダはその軸線を中心にして固定部分内において不所望に回転することができないからである。湾曲形状の成形部は、好ましくは半円形に形成されていて、かつ第1の端部の最も後ろ側の領域は、好ましくは再び真っ直ぐに形成されており、この結果成形部は、窪みまたはボスの形式で剛毛ホルダ内において形成されている。
【0062】
好ましくは、剛毛ホルダは、剛毛と第1の端部との間に剛毛のない部分を有しており、これによって剛毛と移行部分との間に間隔が存在している。
【0063】
剛毛のない部分において剛毛ホルダは、特に良好に弾性変形することができる。それというのは、この部分には、剛毛ホルダの運動を阻止する可能性がある剛毛が存在していないからである。これによって、剛毛ホルダの、使用時に必要な弾性変形が可能である。
【0064】
択一的に、剛毛ホルダが、シャフト内において固定されていないその全長に沿って、剛毛を有していて、かつこれにより剛毛のない部分を有していないということも可能である。
【0065】
本発明はさらに、上に記載されたような、少なくとも2つの歯間ブラシを備えた詰め合わせであって、このとき少なくとも2つの歯間ブラシのそれぞれの歯間ブラシが、シャフトに個々の特徴を含んでいる、詰め合わせに関する。
【0066】
この特徴によって、1つの歯間ブラシを、他の歯間ブラシと区別することができる。「詰め合わせ」という概念は、互いに異なった特性を有する少なくとも2つの歯間ブラシのことを意味している。歯間ブラシは、例えば以下の特性、すなわち:
・剛毛の長さ
・剛毛の太さ
・剛毛の弾性
・剛毛の形状
・剛毛ホルダの弾性、または
・例えばクリックプラスチックホルダ、アルミニウムホルダのため、またはアングル部材のためのような、確定されたグリップ部分のための使用可能性
といった特性において異なっていることができる。
【0067】
個々の特徴によって、詰め合わせにおける歯間ブラシを、使用者に対して視覚的に良好に特徴付けることができる。このことは、互いに異なった特徴を有する複数の歯間ブラシの取扱いを簡単にする。
【0068】
個々の特徴付けは、例えばシャフトの形状、シャフトの部分の表面構造、剛毛の外輪郭、剛毛の色、またはシャフトの部分の色、シャフトの2つの部分の材料選択、またはシャフトの2つの部分相互の結合形式によって行うことができる。このようにして例えばシャフトは、歯間ブラシを特徴付けるために、方形の、三角形の、または円形の横断面を有することができる。
【0069】
シャフトの2つの部分のそれぞれの部分が、コードを形成している。これによって簡単な個々の特徴付けが可能である。例えば第1の部分は、シャフトの第2の部分とは別の色を有しても、または第1の部分は、例えばシャフトの第2の部分とは別の材料から製造されていてもよい。さらにコード化は、レーザ彫刻、タンポ印刷、エンボス加工によって、または挿入プレートを用いて行うことも可能である。さらに例えばシャフトの第1の部分は方形の横断面を有していて、かつシャフトの第2の部分は円形の横断面を有していてよい。さらに部分毎の幾つかの要素で、両部分コードの組合せによって比較的多様の情報をコード化することができる。
【0070】
択一的にまた、シャフトの個々の部分が、コードを有しておらず、ひいては互いに区別することができないような構成も可能である。
【0071】
本発明はさらに、歯間ブラシを製造するための方法であって、以下のステップ、すなわち:
a)剛毛ホルダと、剛毛ホルダに固定された剛毛とを含むブラシ部分を準備するステップと、
b)移行部分を準備するステップであって、このとき移行部分は、移行部分の第1の側から移行部分の第2の側に延びている開口を有している、ステップと、
c)剛毛ホルダの第1の端部を、移行部分の第1の側から、第1の端部の領域が移行部分の第2の側において突出するまで、開口を通して押し込むステップと、
d)移行部分の第2の側に固定部分を取り付け、これによって剛毛ホルダの第1の端部の、突出している領域を、固定部分内において固定し、かつ固定部分を移行部分に固定する、ステップと、
を含んでいる、歯間ブラシを製造するための方法に関する。
【0072】
本発明に係る方法によって、歯間ブラシを効果的に製造することができる。固定部分は、例えば超音波溶接、振動溶接、オービタル溶接、ミラー溶接を用いて、または接着を用いて、移行部分の第2の側に取り付けることができる。さらに、固定部分を、移行部分の第2の側を覆うように射出成形によって移行部分の第2の側に取り付けるという可能性もある。
【0073】
移行部分との固定部分の溶接によって、両部分の接着によって、または移行部分を覆うように行われる固定部分の射出成形によって、固定部分と移行部分とは互いに不動にかつ解離不能に結合されている。すなわち、移行部分と固定部分とを含むシャフトは、一体に形成されている。これによってシャフトのコンパクトな構造が可能である。
【0074】
好ましくは、固定部分はプラスチック射出成形によって移行部分の第2の側を覆うように射出成形される。射出形成用のプラスチックは、簡単に使用可能であり、かつ様々な特性を含むことができる。これによって歯間ブラシのシャフトを、要求に最適に適合させることができる。さらに覆うように固定部分の射出成形によって、剛毛ホルダはその第1の端部で固定部分内において確実に保持されている。
【0075】
好ましくは、開口を通した剛毛ホルダの第1の端部の押込み後に、第1の端部を変形させる。好ましくは、剛毛ホルダの第1の端部は湾曲形状に変形させられる。しかしながらまた第1の端部は、別の形式で、例えば方形の折曲げ部、ジグザグ形状を用いて、または屈曲によって変形させることも可能である。変形によって剛毛ホルダの第1の端部は、固定部分内において特に良好に固定させることができ、この結果剛毛ホルダは、固定部分から引き抜けなくなるか、または剛毛ホルダは、その長手方向軸線を中心にして固定部分内において回転できなくなる。
【0076】
剛毛ホルダがワイヤ構造から成っている場合には、剛毛ホルダの第1の端部を、ワイヤの屈曲によって簡単な形式で湾曲形状に成形することができる。
【0077】
それとは択一的に、第1の端部が変形されないという可能性もある。
【0078】
以下の詳細な記載および請求項の全体から、本発明のさらなる好適な実施形態および特徴の組合せが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
図面は、実施例を説明するために使用される。
【
図1】本発明に係る歯間ブラシを概略的に示す断面図であって、このとき断面が歯間ブラシの長手方向軸線を通って延びる断面図である。
【
図2】本発明に係る歯間ブラシの別の構成を概略的に示す側面図である。
【
図4】
図3に示された移行部分を示す正面図である。
【
図6】
図5に示された移行部分を示す正面図である。
【
図7】歯間ブラシのシャフトの別の構成を示す側面図である。
【
図8】
図5に示されたシャフトを示す平面図である。
【
図9】歯間ブラシの詰め合わせを概略的に示す図である。
【
図10】歯間ブラシの詰め合わせの別の構成を示す図である。
【
図11】歯間ブラシの詰め合わせのさらに別の構成を示す図である。
【0080】
基本的に図面において等しい部分には、等しい符号が付されている。
【0081】
本発明の実施の形態
図1には、本発明に係る歯間ブラシ1が概略的に断面図で示されている。このとき断面は、歯間ブラシ1の長手方向軸線を通って延びている。歯間ブラシ1は、ブラシ部分2とシャフト3とを含んでいる。ブラシ部分2は、歯間室をクリーニングするための剛毛領域6を有している。シャフト3は、ブラシ部分2と、ここでは図示されていないグリップ部分との間の結合部を形成している。
【0082】
ブラシ部分2は、撚られたワイヤ製の剛毛ホルダ4と、撚られたワイヤの間に保持されている繊細な剛毛5とを含んでいる。剛毛ホルダ4の、剛毛のない第1の端部7の領域に、剛毛ホルダ4は剛毛5を有していない。第2の端部の、歯間室をクリーニングするために働く領域に、剛毛領域6は配置されている。歯間ブラシ1のシャフト3は、移行部分8と固定部分9とによって形成される。移行部分8は、移行部分8の第1の側から移行部分8の第2の側へと連続する開口10を有している。このとき移行部分8の第1の側は、剛毛領域6に向けられており、これに対して移行部分8の第2の側は、固定部分9に接続している。剛毛ホルダ4の剛毛のない端部7は、移行部分8のこの開口10を貫いて延びていて、かつ固定部分9において固定されている。すなわち移行部分8は、剛毛領域6と剛毛ホルダ4の剛毛のない端部7との間に配置されており、これに対して固定部分9は、シャフト3の剛毛のない端部を、かつこれによって歯間ブラシ1の終端部を形成している。この自由端部に固定部分9は、グリップ部分との歯間ブラシ1の固定のために、2つのアーム12.1,12.2を備えたトラバース(横軸部)11の形態のロック要素を有している。ここでは図示されていないグリップ部分は、使用者の手によって把持することができ、この結果使用者は、歯間ブラシ1を、グリップ部分を用いて正確に歯の間に位置決めし、かつ運動させることができる。
【0083】
トラバース11は、シャフト3の自由端部の領域において固定部分9に位置していて、つまりシャフトの、斜面14を備えた開口10の入口とは別の端部に位置している。トラバース11のアーム12.1,12.2は、互いに反対側に配置されていて、かつシャフト3の長手方向軸線に対して直角にシャフト3から突出している。アーム12.1,12.2は、ほぼ正方形の横断面を有している。グリップ部分は、上方に向かって開放した溝を有しており、このときそれぞれの溝は、トラバース11のそれぞれ1つのアーム12.1,12.2を収容することができる。
【0084】
歯間ブラシ1をグリップ部分において固定するために、アーム12.1,12.2はグリップ部分の溝内に位置決めされ、かつ次いで歯間ブラシ1はその長手方向軸線を中心にして回転させられる。これによってアーム12.1,12.2はさらに溝内に導入され、この結果歯間ブラシ1は、もはやその長手方向軸線の方向においてグリップ部分から離反運動され得なくなる。これによって歯間ブラシ1は、そのトラバース11でバヨネット継手の形式でグリップ部分にロック可能である。
【0085】
図2には、本発明に係る歯間ブラシ200の別の構成が側面図で示されている。
図1に示された第1の構成とは異なり、
図2に示された構成では歯間ブラシ200は、固定部分209の自由端部に環状溝215を有している。これによって歯間ブラシ200のこの構成は、突出部を含むグリップ部分を必要としており、この突出部は、歯間ブラシ200がグリップ部分内に挿入される場合に、溝215内に係合し、この結果歯間ブラシ200は、グリップ部分において保持される。
【0086】
以下においては、歯間ブラシ1の個々の要素について詳説する。
【0087】
図1において認識できるように、剛毛5は剛毛ホルダ4の剛毛領域6に、撚られたワイヤの全周にわたって配置されており、この結果剛毛5は、撚られたワイヤからもしくは剛毛ホルダ4から、すべての方向において隙間なく突出している。このとき剛毛5は、剛毛ホルダ4の長手方向軸線に対して60°~80°の角度を成して、撚られたワイヤから突出している。剛毛領域6と剛毛ホルダの剛毛のない端部7との間において、剛毛ホルダ4は剛毛のない領域13を有している。これによって剛毛5と移行部分8の第1の側との間に間隔が形成される。
【0088】
図2において見えるように、シャフト3は図示の構成では、移行部分8と固定部分9とから形成される。このとき移行部分8および固定部分9は、共に真円形の横断面を有している。さらに移行部分8と固定部分9とは、同じ外径を有している。移行部分8は、軟質のプラスチックからプラスチック射出成形によって製造されており、これに対して固定部分9は、移行部分に比べて硬質のプラスチックであって、軟質のプラスチックよりも大きな曲げ強さを有するプラスチックから、射出成形によって製造されている。このとき固定部分9は、移行部分8を覆うように射出成形(aufspritzen)されていて、この結果移行部分8と固定部分9とは、互いに解離不能に結合されていて、かつ一体に形成されている。
【0089】
このとき剛毛ホルダ4の剛毛のない端部7は、固定部分9の射出成形により固定部分9内に埋め込まれている。剛毛ホルダ4が固定部分9から引き抜け(herausreissen)得ないようにするために、剛毛ホルダ4の、埋め込まれた剛毛のない端部7は、半円形状の成形部20を有している。この成形部によって、剛毛のない端部7が剛毛ホルダ4の長手方向軸線を中心にして回転できず、かつ軸方向において移動できないことが保証されている。
【0090】
固定部分9は、互いに反対側に位置している2つの羽根19.1,19.2を有していて、両羽根19.1,19.2は、シャフト3の長手方向において剛毛5の方向に固定部分9から進出している。羽根19.1,19.2は、半円形状を有している。しかしながらまた別の構成では、羽根19.1,19.2は別の形状を有することもできる。例えば羽根19.1,19.2は、
図5および
図6に示されているように、三角形に形成されていてよい。移行部分8は、2つの切欠きを有していて、両切欠きは、逆向きの形状を有していて、かつ両切欠き内にはそれぞれ1つの羽根19.1,19.2が収容され、この結果シャフト3の外輪郭はその全長にわたって円筒形の形状を維持している。固定部分9の羽根19.1,19.2によって、固定部分9と移行部分8との間における接触面が増大させられる。これによって固定部分9を、該固定部分9が移行部分8を覆うように射出成形される場合に、特に良好に固定部分9に結合させることができる。増大させられた接触面は、固定部分9が超音波溶接、振動溶接、オービタル溶接、またはミラー溶接を用いて、または接着によって移行部分8に結合される構成の場合に有利である。
【0091】
このとき固定部分9は、着色プラスチック(例えば紫)から製造されており、これに対して移行部分8は、別の着色プラスチック(例えば黒)から製造されている。これによってコードが設けられており、このコードを用いて、使用者は剛毛の弾性および剛毛の長さを良好に認識することができる。しかしながらまた別の構成では、コード化を、レーザ彫刻、タンポ印刷、エンボス加工、または挿入プレートを用いて行うことも可能である。
【0092】
図3および
図4には、移行部分8がブラシ部分2なしに示されている。
図3には、移行部分8が側面図で示されている。
図4には、移行部分8が正面図で示されている。すなわち移行部分8は、
図3に比べて90°その長手方向軸線を中心にして回転させられて示されている。
図3および
図4において見える切欠き18.1,18.2内には、固定部分9の羽根19.1,19.2が収容される。
【0093】
図3および
図4においてさらに見えるように、移行部分8における開口10は、貫通するように形成されている。開口は、真円形の横断面を有している。このとき開口10の内径は、剛毛ホルダ4の外径よりも幾分大きく、この結果剛毛ホルダ4は開口内において運動することができる。移行部分8において開口10は、移行部分8の第1の側に斜面14を有している。このとき斜面14は、開口10の入口に向かって、もしくは移行部分8の第1の側に向かって大きくなる。これによって斜面14は、
図3および
図4において見えるように、横断面において双曲線の形状を有している。
【0094】
この斜面14によって、
図3および
図4には示されていない剛毛ホルダ4は、移行部分8の第1の側における開口10の入口に向かって、開口10内において運動することができ、かつ屈曲することができる。これによって、運動不能にかつ不動に固定部分9内に埋め込まれている、剛毛ホルダ4の第1の端部7から、自由に可動の剛毛領域6への連続的な移行が達成される。
【0095】
図5および
図6には、移行部分108の別の構成がブラシ部分2なしに示されている。
図3および
図4における移行部分8とは異なり、
図5および
図6における構成は、三角形の切欠き118.1,118.2を有しており、これらの切欠き118.1,118.2内には、固定部分9の相応に三角形の羽根19.1,19.2を収容することができる。
【0096】
図7および
図8には、歯間ブラシのシャフト303の別の構成がブラシ部分2なしに示されている。このとき
図7には、シャフト303が側面図で示されている。このときシャフト303の上側の領域は、断面図で示されており、このときこの領域における断面は、シャフト303の長手方向軸線を通って延びている。これによってシャフト303における開口310を良好に見ることができる。さらにシャフト303は、スペースの理由からその全長が示されていない。
図8には、
図7に示されたシャフトが平面図で示されている。
【0097】
図7および
図8に示されたシャフト303は、本発明に係る歯間ブラシの別の構成のために使用される。この構成は、
図1および
図2に示された構成とは製造において異なっている。
図7および
図8に示された歯間ブラシの構成では、固定部分309の製造時に、上に記載したように後で覆うように射出成形されるのではなく、移行部分308と一緒に前もって個々に製造されている。次いで剛毛ホルダ4の剛毛のない端部7が、シャフト303における開口310内に導入され、かつシャフト303内において接着される。しかしながら図面を見やすくするために、
図7および
図8においてはシャフト303だけが剛毛ホルダ4なしに示されている。
【0098】
図7において見えるように、シャフト303における開口310は、移行部分308を貫いて延びていて、固定部分309において終端している。このとき開口310は、3つの内壁313.1,313.2,313.3によって形成され、かつ三角形の横断面を有しており、このとき三角形の横断面のすべての辺は、等しい長さである。開口310のこの形状は、
図8においてよく見える。図面から認識できるように、開口310は、連続しておらず、かつほぼ長手方向においてシャフト303の真ん中に、終端部を有しており、この終端部は、シャフト303の長手方向軸線に対して直角に方向付けられている終端面によって形成される。さらに開口310は、その端部領域311に先細り部を有している。すなわち内壁313.1,313.2,313.3は、この端部領域311に向かって互いに延びている。
【0099】
移行部分308において開口310は、移行部分308の、剛毛部分に向いている第1の側に、斜面314を有している。このとき斜面314は、第1の斜面部分315.1,315.2,315.3を有しており、これらの斜面部分315.1,315.2,315.3は、通常の真円形でかつ円錐形の斜面フライス工具を用いた面取り(Anfasen)によって製造されている。さらに斜面314は、第2の斜面部分316.1,316.2,316.3を含んでおり、これらの斜面部分316.1,316.2,316.3は、3つの内壁313.1,313.2,313.3の面取りによって製造されている。すなわち3つの内壁313.1,313.2,313.3は、移行部分308の第1の側の方向において、それぞれ第2の斜面部分316.1,316.2,316.3のうちの1つの斜面部分316.1,316.2,316.3へと移行している。このとき第1の斜面部分315.1,315.2,315.3は、シャフト303の長手方向軸線に対して20°~30°の角度を有しており、かつ第2の斜面部分316.1,316.2,316.3は、シャフト303の長手方向軸線に対して30°未満の角度で方向付けられている。
【0100】
図7において見えるように、固定部分309はその自由端部に、幾分小さな外径を備えた端部領域を有しており、この結果固定部分309には、段部317が形成される。さらに固定部分309は、比較的小さな外径を備えたこの端部領域に、環状溝319を有している。さらにこの端部領域において固定部分309は、固定部分309の長手方向において切断されており、この結果固定部分309は、固定部分309の長手方向軸線に平行に方向付けられた面318を有している。さらに固定部分309の端部において固定部分309は、面取りされており、この結果固定部分309を、図示されていないグリップ部分における開口内に比較的簡単に導入することができる。シャフト303が挿入されるグリップ部分は、相応の対応形状を有しており、この結果シャフト303がグリップ部分に結合されている場合に、面318はグリップ部分における面に接触している。さらにグリップ部分は、固定部分309の溝319内に係合する張出し部(Auskragung)を有しており、これによって、シャフト303がグリップ部分に挿入されている場合に、シャフト303を保持することができる。
【0101】
図9には、歯間ブラシ400.1~400.5を備えた詰め合わせが概略的にかつ簡単に示されている。詰め合わせは例えば、異なった硬度および形状を備えたそれぞれの剛毛を含む5つの歯間ブラシ400.1~400.5を含んでいる。歯間ブラシ400.1~400.5を使用者のために区別可能にするために、それぞれのシャフトは別のコードを有している。そのために好ましくはそれぞれ移行部分408.1~408.5は、固定部分409.1~409.5とは別の色を有している。このとき固定部分409.1~409.5の色は、好ましくは剛毛の弾性のためであり、かつ移行部分408.1~408.5の色は、好ましくは剛毛の形状または長さのためである。別の構成では、コード化はまたシャフトの形状を用いて行うこともできる。例えばそれぞれの固定部分409.1~409.5またはそれぞれの移行部分408.1~408.5は、例えば方形、三角形、または円形のような別の横断面を有していてもよい。固定部分409.1~409.5および移行部分408.1~408.5の横断面の確定された組合せによって、同様に歯間ブラシ400.1~400.5の個々の特徴付けを可能にすることができる。
【0102】
図10には、歯間ブラシ500.1~500.5を備えた詰め合わせの別の構成が示されている。
図9における詰め合わせとは異なり、
図10に示された歯間ブラシ500.1~500.5はシャフトにそれぞれ1つの溝を有しており、この溝には、歯間ブラシ500.1~500.5がそれぞれグリップ部分に保持される場合に、グリップ部分の張出し部が係合する。
【0103】
図11には、歯間ブラシ600.1~600.6を備えた詰め合わせのさらに別の構成が示されている。これらの歯間ブラシ600.1~600.6は、球形の、平行四辺形に類似の、または三角形の外輪郭を有する剛毛ヘッドを有している。
【0104】
このとき
図9~
図11における配置形態は、図示の組合せに制限されるものではない。例えば
図11に示された歯間ブラシ600.1~600.6または
図10に示された歯間ブラシ500.1~500.5も、歯間ブラシ400.1~400.5のようにグリップ部分に結合するためのトラバースを有することができる。さらに図示されたすべての歯間ブラシ400.1~400.5,500.1~500.5,600.1~600.6の任意の組合せが、1つの詰め合わせに配置されていてよい。
【0105】
本発明は、歯間ブラシのここに記載された構成に制限されるものではない。例えば歯間ブラシのシャフトは、方形または多角形の横断面を有する開口を有していてもよい。さらに移行部分における斜面は、別の形に成形されていてもよい。さらに、移行部分および/または固定部分が円筒形の横断面ではなく、例えば方形または多角形の横断面を有することが可能である。さらに歯間ブラシは、必ずしもロック要素を有する必要がなく、歯間ブラシがロック要素を含んでいる場合には、ロック要素は、上に記載されたようにトラバースとして、または溝の形態で形成されている必要がない。またブラシ部分も別の形態で形成されていてよい。例えば剛毛ホルダは、プラスチックから製造されていてよい。
【0106】
まとめると、シャフト内における剛毛ホルダの改善された収容部を有していて、かつ簡単に製造可能なシャフトを含んでいる、歯間ブラシが得られるということを確認することができる。