(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-14
(45)【発行日】2023-08-22
(54)【発明の名称】トシル酸スプラタストを含む組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/167 20060101AFI20230815BHJP
A61K 9/56 20060101ALI20230815BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20230815BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20230815BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20230815BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20230815BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20230815BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20230815BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20230815BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20230815BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20230815BHJP
【FI】
A61K31/167
A61K9/56
A61K9/48
A61K9/14
A61K47/68
A61K47/10
A61K47/12
A61K47/36
A61P17/00
A61P11/06
A61P37/08
(21)【出願番号】P 2020512637
(86)(22)【出願日】2018-08-28
(86)【国際出願番号】 EP2018073123
(87)【国際公開番号】W WO2019042995
(87)【国際公開日】2019-03-07
【審査請求日】2021-08-18
(32)【優先日】2017-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520066887
【氏名又は名称】コンリグ ファーマ エーピーエス
(73)【特許権者】
【識別番号】516353342
【氏名又は名称】ソルラル ファーマ エーピーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ハンセン,ジョン ボンド
(72)【発明者】
【氏名】トムセン,ミカエル ソンダーガード
(72)【発明者】
【氏名】ホジガード,ベント
【審査官】新熊 忠信
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-370968(JP,A)
【文献】特表2000-507613(JP,A)
【文献】特開2002-179554(JP,A)
【文献】特表平09-500645(JP,A)
【文献】特表2002-523358(JP,A)
【文献】特表2002-541186(JP,A)
【文献】特公平03-070698(JP,B2)
【文献】特開2011-246454(JP,A)
【文献】特開2006-131521(JP,A)
【文献】特表2007-535518(JP,A)
【文献】特開2006-335771(JP,A)
【文献】特表2010-510241(JP,A)
【文献】国際公開第2017/032384(WO,A1)
【文献】特表2005-519053(JP,A)
【文献】特表2001-527034(JP,A)
【文献】国際公開第2002/087549(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-33/44
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
A61P 17/00
A61P 37/00
A61P 11/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多重微粒子固体経口投薬形態である、医薬組成物であって、
式(I)の化合物:
【化1】
または薬学的に許容されるその塩または結晶を含
み、
a.複数の、
半透過性フィルムを含む持続放出のフィルムコーティングされたミニ錠剤または
半透過性フィルムを含む持続放出のフィルムコーティングされたペレットを含む、第1の放出構成要素であって、前記化合物を含み、前記化合物の持続放出を提供する、第1の放出構成要素と、
分離して、
b.複数の、
可溶性フィルムを含む即時放出のフィルムコーティングされたミニ錠剤または
可溶性フィルムを含む即時放出のフィルムコーティングされたペレットを含む、第2の放出構成要素であって、前記化合物を含み、前記化合物の即時放出を提供する、第2の放出構成要素と、
を含む、前記組成物。
【請求項2】
前記トシル酸スプラタストがラセミ化合物であり、および/または、
前記トシル酸スプラタストが、(+)-トシル酸スプラタスト鏡像異性体であるかまたはそれを含み、および/または、
前記トシル酸スプラタストが、(-)-トシル酸スプラタスト鏡像異性体であるかまたはそれを含む、
請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記半透過性フィルムがエチルセルロースに基づき、前記可溶性フィルムがヒプロメロースに基づく、請求項
1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記半透過性フィルムがエチルセルロースおよびエタノールを含み、または、前記半透過性フィルムがエチルセルロース、ヒプロメロースおよびエタノールを含み、かつ、
前記可溶性フィルムがヒプロメロースおよびポリエチレングリコールを含む、請求項
1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記第1の放出構成要素が、15~25%の重量増加まで追加された半透過性フィルムでフィルムコーティングされる、請求項1~
4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記第2の放出構成要素が、最大3%の重量増加まで追加された可溶性フィルムでフィルムコーティングされる、請求項1~
5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記第1の放出構成要素および前記第2の放出構成要素が、適切な容器(カプセル、パウチ、分包またはスティックパック等)中で一緒に提供される、請求項1~
6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
最初に前記第2の放出構成要素からの即時放出が、続いておよび随意にオーバーラップして、前記第1の放出構成要素からの持続放出が起こり、および/または、
前記第2の放出構成要素からの即時放出および前記第1の放出構成要素からの持続放出が、同時に起こり、および/または、
最初に前記第1の放出構成要素からの持続放出が、続いておよび随意にオーバーラップして、前記第2の放出構成要素からの即時放出が起こる、
請求項1~
7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記第1の放出構成要
素が、50~500mgのトシル酸スプラタストまたは薬学的に許容されるその塩(50~100mg、100~150mg、150~200mg、200~250mg、250~300mg、300~350mg、350~400mg、400~450mg、450~500mg等;50mg、100mg、150mg、200mg、250mg、300mg、350mg、400mg、450mgまたは500mg等のトシル酸スプラタストまたは薬学的に許容されるその塩)の投薬量を含み;
前記第2の放出構成要
素が、25~250mgのトシル酸スプラタストまたは薬学的に許容されるその塩(25~50mg、50~75mg、75~100m、100~150mg、150~200mg、200~250mg等;25mg、50mg、75mg、100mg、150mg、200mgまたは250mg等のトシル酸スプラタストまたは薬学的に許容されるその塩)の投薬量を含む、
請求項1~
8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記第1の放出構成要素が、フィルムコーティングされたミニ錠剤またはフィルムコーティングされたペレットであり、前記フィルムコーティングされたミニ錠剤またはフィルムコーティングされたペレットが、
トシル酸スプラタスト、
微結晶性セルロース、
L-HPC、
クロスカルメロース、および
ステアリン酸マグネシウム、
のうちの1つまたは複数を含み、
前記フィルムコーティングが、エチルセルロース(エチルセルロースおよびエタノール等)に基づく半透過性フィルムを含む、
請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記第1の放出構成要素が、7.5mgの重量および2mmのサイズを備え、3mgのトシル酸スプラタストを保持する、フィルムコーティングされたミニ錠剤であり、前記ミニ錠剤は、
200gのトシル酸スプラタスト、
120gの微結晶性セルロース、
125gのL-HPC、
50gのクロスカルメロース、および
5gのステアリン酸マグネシウム、
からなる混合物から圧縮され、
前記フィルムコーティングが、100/1000のエチルセルロース7cpsおよび900/1000のエタノール96%を含む半透過性フィルムを含み、前記フィルムコーティングが、錠剤重量の20%~25%の増加まで適用される、
請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記第1の放出構成要素が、フィルムコーティングされたミニ錠剤またはフィルムコーティングされたペレットであり、前記フィルムコーティングされたミニ錠剤またはフィルムコーティングされたペレットが、
トシル酸スプラタスト、
微結晶性セルロース、
デンプングリコール酸ナトリウム(タイプA)、
αデンプン、
クエン酸一水和物、および
ステアリン酸マグネシウム、
のうちの1つまたは複数を含み、
前記フィルムコーティングが、エチルセルロース(エチルセルロース、ヒプロメロースおよびエタノール等)に基づく半透過性フィルムを含む、
請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記第1の放出構成要素が、7.5mgの重量および2mmのサイズを備え、3mgのトシル酸スプラタストを保持する、フィルムコーティングされたミニ錠剤であり、前記ミニ錠剤は、
72.74gのトシル酸スプラタスト、
71.26gの微結晶性セルロース、
18gのデンプングリコール酸ナトリウム(タイプA)、
18gのαデンプン、および
121gの純水、
ここで、346.50gのトシル酸スプラタスト粒は、3.5gのステアリン酸マグネシウムと混合される、
からなる粒から圧縮され、
前記フィルムコーティングが、54/600のエチルセルロース7cps、6/600のヒプロメロース3、405/600のエタノール96%、および135/600の水を含む半透過性フィルムを含み、前記フィルムコーティングが、錠剤重量の12.5%~17.5%の増加まで適用される、
または、
前記第1の放出構成要素が、7.6mgの重量および2mmのサイズを備え、2mgのスプラタスト塩基を保持する、フィルムコーティングされたミニ錠剤であり、前記ミニ錠剤は、
20.21gのトシル酸スプラタスト、
19.80gの微結晶性セルロース、
5gのデンプングリコール酸ナトリウム(タイプA)、
5gのαデンプン、
0.012gのクエン酸一水和物、および
12gの純水、
ここで、346.50gのトシル酸スプラタスト粒は、3.5gのステアリン酸マグネシウムと混合される、
からなる粒から圧縮され、
前記フィルムコーティングが、54/600のエチルセルロース7cps、6/600のヒプロメロース3、405/600のエタノール96%、および135/600の水を含む半透過性フィルムを含み、前記フィルムコーティングが、錠剤重量の15%の増加まで適用される、
請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記第2の放出構成要素が、フィルムコーティングされたミニ錠剤またはフィルムコーティングされたペレットであり、前記フィルムコーティングされたミニ錠剤またはフィルムコーティングされたペレットが、
トシル酸スプラタスト、
微結晶性セルロース、
L-HPC、
クロスカルメロース、および
ステアリン酸マグネシウム、
のうちの1つまたは複数を含み、
前記フィルムコーティングが、ヒプロメロース(ヒプロメロースおよびポリエチレングリコール等)に基づく可溶性フィルムを含む、
請求項1~13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記第2の放出構成要素が、7.5mgの重量および2mmのサイズを備え、3mgのトシル酸スプラタストを保持する、フィルムコーティングされたミニ錠剤であり、前記ミニ錠剤が、
200gのトシル酸スプラタスト、
120gの微結晶性セルロース、
125gのL-HPC、
50gのクロスカルメロース、および
5gのステアリン酸マグネシウム、
からなる混合物から圧縮され、
前記フィルムコーティングが、10/200のヒプロメロース15、1/200のポリエチレングリコール6000、および189/200の純水を含む可溶性フィルムを含み、前記フィルムコーティングが、錠剤重量の3%の増加まで適用される、
請求項1~14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記第2の放出構成要素が、6.7mgの重量および2mmのサイズを備え、1.75mgのスプラタスト塩基を保持する、フィルムコーティングされたミニ錠剤であり、前記ミニ錠剤が、
200gのトシル酸スプラタスト、
120gの微結晶性セルロース、
125gのL-HPC、
50gのクロスカルメロース、および
5gのステアリン酸マグネシウム、
からなる混合物から圧縮され、
前記フィルムコーティングが、10/200のヒプロメロース15、1/200のポリエチレングリコール6000、および189/200の純水を含む可溶性フィルムを含み、前記フィルムコーティングが、錠剤重量の3%の増加まで適用される、
請求項1~15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
a.前記第1の放出構成要素が、フィルムコーティングされたミニ錠剤またはフィルムコーティングされたペレットであり、前記フィルムコーティングされたミニ錠剤またはフィルムコーティングされたペレットが、
i.トシル酸スプラタスト、
ii.微結晶性セルロース、
iii.デンプングリコール酸ナトリウム(タイプA)、
iv.αデンプン、
v.クエン酸一水和物、および
vi.ステアリン酸マグネシウム、
のうちの1つまたは複数を含み、
前記フィルムコーティングが、エチルセルロース(エチルセルロース、ヒプロメロースおよびエタノール等)に基づく半透過性フィルムを含み、かつ、
b.前記第2の放出構成要素が、フィルムコーティングされたミニ錠剤またはフィルムコーティングされたペレットであり、前記フィルムコーティングされたミニ錠剤またはフィルムコーティングされたペレットが、
i.トシル酸スプラタスト、
ii.微結晶性セルロース、
iii.L-HPC、
iv.クロスカルメロース、および
v.ステアリン酸マグネシウム、
のうちの1つまたは複数を含み、
前記フィルムコーティングが、ヒプロメロース(ヒプロメロースおよびポリエチレングリコール等)に基づく可溶性フィルムを含み、
前記第1の放出構成要素および前記第2の放出構成要素は、適切な容器中で提供される、
請求項1~16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
a.前記第1の放出構成要素が、フィルムコーティングされたミニ錠剤またはフィルムコーティングされたペレットであり、前記フィルムコーティングされたミニ錠剤またはフィルムコーティングされたペレットが、
i.トシル酸スプラタスト、
ii.微結晶性セルロース、
iii.L-HPC、
iv.クロスカルメロース、および
v.ステアリン酸マグネシウム、
のうちの1つまたは複数を含み、
前記フィルムコーティングが、エチルセルロース(エチルセルロースおよびエタノール等)に基づく半透過性フィルムを含み、かつ、
b.前記第2の放出構成要素が、フィルムコーティングされたミニ錠剤またはフィルムコーティングされたペレットであり、前記フィルムコーティングされたミニ錠剤またはフィルムコーティングされたペレットが、
i.トシル酸スプラタスト、
ii.微結晶性セルロース、
iii.L-HPC、
iv.クロスカルメロース、および
v.ステアリン酸マグネシウム、
のうちの1つまたは複数を含み、
前記フィルムコーティングが、ヒプロメロース(ヒプロメロースおよびポリエチレングリコール等)に基づく可溶性フィルムを含み、
前記第1の放出構成要素および前記第2の放出構成要素は、適切な容器中で提供される、
請求項1~17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
前記組成物が、1日1回(朝にまたは夜/睡眠の前に等)投与される予定であり、および/または、
前記組成物が、1日2回(朝におよび夜/睡眠の前に等)投与される予定で
ある、
請求項1~
18のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トシル酸スプラタストの急性効果および亜慢性効果を達成するために製剤化された、前記トシル酸スプラタストまたは薬学的に許容されるその誘導体を含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
トシル酸スプラタスト((±)-3-{[4-(3-エトキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)フェニル]アミノ}-3-オキソプロピル)(ジメチル)スルホニウム;4-メチルベンゼンスルフォネート)(本明細書においてSTと省略される)は、アトピー性皮膚炎、喘息およびアレルギー(鼻炎)の経口治療のために日本で市販される薬物である。それは、Th2サイトカイン産生を阻害する能力および高度な安全性によって特徴づけられる。他の複数の障害、特にTh2炎症と関連する障害および過好酸球増加症において、STが有益な効果を有し得ることは、複数の前臨床研究および臨床研究において示されている。
【0003】
STの通常の投薬は1日3回であり、大部分の研究は、化合物が有効性を得るには少なくとも2週間投与されるべきであることを指摘する。他の研究は例えば、動物モデルでの単回投与のSTが咳を軽減するなど、急性および亜慢性効果をさらに指摘しています。
【0004】
他の研究は、加えて急性効果および亜慢性効果を指摘する。例えば、STの単回用量は動物モデルにおける咳嗽を低減する。他の研究は、炎症および線維症の発症についての重要な機構に対するSTの顕著な効果および用量依存的効果を示した。これは、もしSTの曝露が関係のある器官で十分ならば、一般に炎症、線維症および過好酸球増加症によって特徴づけられる疾患に対して、化合物が急性効果を有し得ることを指摘する。
【0005】
喘息患者において、症状としては、喘鳴、咳嗽、胸苦しさおよび息切れのエピソードが挙げられる。これらのエピソードは1日数回または1週間あたり数回起こり得る。人に依存するが、夜にまたは運動により、さらに悪くなり得る。
【0006】
アトピー性湿疹としても公知のアトピー性皮膚炎は、皮膚の炎症のタイプ(皮膚炎)である。それは、掻痒感の有る赤く腫れた、ひびの入った皮膚をもたらす。この病態は典型的には小児期に開始し、年齢にわたって重症度が変化する。引っ掻きは症状を悪化させ、罹患した人は皮膚感染のリスクの増加を有する。さらに、アトピー性皮膚炎の有る多くの人々は花粉症または喘息を発症する。多くの患者が夜間の掻痒および引っ掻きに悩まされる。
【0007】
アレルギー性鼻炎患者において、症状開始は多くの場合曝露後数分内であり、それらは睡眠、働く能力、ならびに一般に学校および人生での集中能力に影響し得る。
【0008】
これらの患者に共通することは、昼間の全ておよび/または夜間の全てをカバーするものが生活の質を改善するだろうということである。
【発明の概要】
【0009】
上で言及された病態に共通することは、患者の生活の質における利益を達成する際に、トシル酸スプラタスト(ST)の急性効果および亜慢性効果が、最適な有効性を確実にするであろうということである。
【0010】
本発明者らは、本明細書において、トシル酸スプラタストの連続的な有効性のカバーは、投薬頻度の低減および患者コンプライアンスの改善が有る一方で、疾患症状に対する即時の効果を同時に支持して、1つの用量設定内で達成され得ることを見出している。本発明は、この目的を達成するために、トシル酸スプラタストのボーラス用量および放出に加えて、トシル酸スプラタストの持続放出プロファイルを提供する医薬製剤を提供する。
【0011】
本医薬製剤は、患者の生活の質の利益において最適な効果を確実にする時間で1日1回または1日2回投与され得る。これは、出勤日の良好な開始を促進するために朝におけるものおよび良好な夜間の睡眠を確実にするために夜におけるものであり得る。したがって薬物の急性効果および亜慢性効果は、1日2回のみの投与により得られ得る。加えて、本医薬製剤は、急性症状を緩和するために、1日1回または2回の投与に加えて、必要に応じて投与され得る。
【0012】
本開示の態様は、式(I)の化合物:
【化1】
または薬学的に許容されるその誘導体を含む医薬組成物であって、
a.前記化合物を含み、前記化合物の持続放出を提供する、第1の放出構成要素と、
b.前記化合物を含み、前記化合物の即時放出を提供する、第2の放出構成要素と、
を、分離してまたは一緒に含む、前記組成物を提供する。
【0013】
一実施形態において、前記組成物は、疾患の亜慢性症状または慣性症状を緩和するために朝におよび/または夜/睡眠の前に;疾患の出現する急性症状を緩和するために随意に要求に応じて、投与される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1A:各々がトシル酸スプラタストを含む、即時放出構成要素および持続放出構成要素を含む組成物の薬物動態プロフィールであり;一定の曝露を保つように朝および夜に投薬した。
図1B:持続放出(ER)コアおよび即時放出(IR)コーティングを含む医薬組成物の本開示の実施形態。
図1C:互いの上部に圧縮される個別の持続放出(ER)層Aおよび個別の即時放出(IR)層Bを含んで二層錠剤を形成する、医薬組成物の本開示の実施形態。
【
図2】エチルセルロースフィルムによりコーティングされたトシル酸スプラタストミニ錠剤の期待される放出プロフィール(実施例1を参照)。
【
図3】エチルセルロース/ヒプロメロースフィルムによりコーティングされたトシル酸スプラタストミニ錠剤の期待される放出プロフィール(実施例2を参照)。
【
図4】ヒプロメロースフィルムによりコーティングされたトシル酸スプラタストミニ錠剤の期待される放出プロフィール(実施例3を参照)。
【
図5】エチルセルロースフィルム-ERによりコーティングされたトシル酸スプラタストミニ錠剤の放出プロフィール(実施例10を参照)。
【
図6】ヒプロメロースフィルム-IRによりコーティングされたトシル酸スプラタストミニ錠剤の放出プロフィール(実施例11を参照)。
【
図7】カプセル中の、エチルセルロースフィルム(ER)またはヒプロメロースフィルム(IR)によりコーティングされたトシル酸スプラタスト混合ミニ錠剤の放出プロフィール(実施例12を参照)。
【
図8】トシル酸スプラタストのバリアコーティングされた(ER)およびフィルムコーティングされた(IR)錠剤の放出プロフィール(実施例13を参照)。
【
図9】トシル酸スプラタストのバリアコーティングされた(ER)およびフィルムコーティングされた(IR)錠剤の放出プロフィール(実施例14を参照)。
【
図10】トシル酸スプラタストの二層状錠剤(IR+ER)の放出プロフィール(実施例15を参照)。
【0015】
定義
本文脈における「薬学的に許容される誘導体」という用語は、薬学的に許容される塩を包含し、それは、患者に有害でない塩を指す。かかる塩は、薬学的に許容される塩基性付加塩または酸付加塩に加えて、薬学的に許容される金属塩、アンモニウム塩およびアルキル化アンモニウム塩を包含する。薬学的に許容される誘導体は、エステルおよびプロドラッグ、または活性化合物へと生物学的に代謝され得る化合物の他の前駆体、または化合物の結晶形態をさらに包含する。
【0016】
「酸付加塩」という用語は、「薬学的に許容される酸付加塩」を包含することを意図し、それは、患者に有害でない塩を指す。酸付加塩は、有機酸に加えて無機酸の塩を包含する。好適な無機酸の代表的な例としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸、硫酸、硝酸および同種のものが挙げられる。好適な有機酸の代表的な例としては、蟻酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、安息香酸、桂皮酸、クエン酸、フマル酸、グリコール酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、シュウ酸、ピクリン酸、ピルビン酸、サリチル酸、コハク酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、酒石酸、アスコルビン酸、パモ酸、ビスメチレンサリチル酸、エタンジスルホン酸、グルコン酸、シトラコン酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、EDTA、グリコール酸、p-アミノ安息香酸、グルタミン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸および同種のものが挙げられる。薬学的に許容される無機酸付加塩または有機酸付加塩のさらなる例としては、J.Pharm.Sci.66,2,(1977)(参照により本明細書に援用される)中でリストされる薬学的に許容される塩が挙げられる。
【0017】
化合物の「治療有効量」という用語は、本明細書において使用される時、所与の疾患または障害およびその合併症を、治癒させるか、緩和するか、予防するか、そのリスクを低減するか、またはその臨床症状を部分的に停止するのに十分な量を指す。これを達成するのに適切な量は、「治療有効量」として定義される。各々の目的のための有効量は、被験体の体重および一般的な状態に加えて疾患または傷の重症度にも依存するだろう。適切な投薬量の決定は、ルーチンの実験を使用して、値のマトリックスの構築およびマトリックス中の異なるポイントの試験によって(それは全て訓練された医師または獣医の通常の技能内である)、達成され得ることが、理解されるだろう。
【発明を実施するための形態】
【0018】
トシル酸スプラタスト(suplatast tosilate)(またはトシル酸スプラタスト(suplatast tosylate))((±)-3-{[4-(3-エトキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)フェニル]アミノ}-3-オキソプロピル)(ジメチル)スルホニウム;4-メチルベンゼンスルフォネート)(本明細書においてSTと省略される)は、アトピー性皮膚炎、喘息およびアレルギー(鼻炎)の経口治療のために日本で市販される薬物である。それは、Th2サイトカイン産生を阻害する能力および高度な安全性によって特徴づけられる。それは小児の治療のために承認され、20年間市販されており、非常に少数の重篤な副作用のみが付随する。
【化2】
【0019】
トシル酸スプラタストはラセミ混合物である。薬理学に関して、2つの鏡像異性体間で有意差はない(Tada et al:J.Med.Chem.1998,41,3330-3336)。
【0020】
トシル酸スプラタストは、アレルギー性障害の治療に好適な臨床候補を見出すという最終目標により、免疫学的活性を備えたスルホニウム化合物を同定しようとして、S-メチルメチオニンの誘導体として開発された(Tada et al:J.Med.Chem.1998,41,3330-3336)。細胞保護作用および創傷治癒におけるS-メチルメチオニンの潜在的な治療効果が記載されている(Kim et al:Pharmacology 2010;85:68-76)。
【0021】
本文脈において、トシル酸スプラタストまたは薬学的に許容されるその誘導体の投与の急性効果に加えて亜慢性効果を達成するために、前記トシル酸スプラタストは即時放出および持続放出の特徴を備えた組成物から放出される。
【0022】
昼間の全てカバーのために朝に1回(一定の薬物曝露)および/または夜間の全てカバーのために夜もしくは睡眠の前に1回(一定の薬物曝露)服用され得る1つの製剤において、トシル酸スプラタストまたは薬学的に許容されるその誘導体の有益な急性効果に加えて亜慢性効果を得るようにデザインされた特別の医薬製剤が、本明細書において提供される。
【0023】
本組成物により治療される予定の障害は、主として、慣性的な管理およびしたがって多くの場合生涯にわたる医学的治療を要求する慢性病態である。したがって、患者の最適なコンプライアンスを保証するために、経口利用可能な医薬製剤(固体投薬形態または錠剤等)を開発することは極めて有利であり、それは投与の容易性および日々の投薬量の低減を可能にするだろう。
【0024】
医薬組成物
医薬組成物は、本明細書において開示される時、腸内投与(より具体的には経口投与)のために製剤化される。
【0025】
本開示は、式(I)の化合物:
【化3】
であって、
((±)-3-{[4-(3-エトキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)フェニル]アミノ}-3-オキソプロピル)(ジメチル)スルホニウムおよびそのカウンターイオン4-メチルベンゼンスルフォナート)または薬学的に許容されるその誘導体を含む、前記化合物
を含む、医薬組成物を提供する。
【0026】
本開示によれば、式(I)(トシル酸スプラタスト)の薬学的に許容される誘導体は、スプラタスト塩基((±)-3-{[4-(3-エトキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)フェニル]アミノ}-3-オキソプロピル)(ジメチル)スルホニウムおよび好適なカウンターイオンを含む。カウンターイオンは、電気的中性を保つためにイオン種に付随するイオンである。
【0027】
一実施形態において、カウンターイオンは負に荷電したカウンターイオンである。本開示の態様は、式(I)の化合物:
【化4】
または薬学的に許容されるその誘導体を含む医薬組成物であって、
a.前記化合物を含み、前記化合物の持続放出を提供する、第1の放出構成要素と、
b.前記化合物を含み、前記化合物の即時放出を提供する、第2の放出構成要素と、
を、分離してまたは一緒に含む、前記組成物を提供する。
【0028】
a.トシル酸スプラタストまたは薬学的に許容されるその誘導体を含み、その持続放出を提供する、第1の放出構成要素と、
b.トシル酸スプラタストまたは薬学的に許容されるその誘導体を含み、その即時放出を提供する、第2の放出構成要素と、
を、分離してまたは一緒に含む、医薬組成物も開示する。
【0029】
式(I)の化合物:
【化5】
または薬学的に許容されるその誘導体を含む医薬組成物であって、
a.前記化合物を含む持続放出構成要素と、
b.前記化合物を含む即時放出構成要素と、
を、分離してまたは一緒に含む、前記組成物も開示する。
【0030】
a.トシル酸スプラタストまたは薬学的に許容されるその誘導体の持続放出構成要素と、
b.トシル酸スプラタストまたは薬学的に許容されるその誘導体を含む即時放出構成要素と、
を、分離してまたは一緒に含む、医薬組成物も開示する。
【0031】
一実施形態において、本明細書において定義される組成物は、トシル酸スプラタストのラセミ化合物を含む。
【0032】
一実施形態において、本明細書において定義される組成物は、(+)-トシル酸スプラタスト鏡像異性体を含むかまたはそれからなる。一実施形態において、本明細書において定義される組成物は、(-)-トシル酸スプラタスト鏡像異性体を含むかまたはそれからなる。一実施形態において、本明細書において定義される組成物は、(+)-トシル酸スプラタスト鏡像異性体および(-)-トシル酸スプラタスト鏡像異性体を含む。
【0033】
本医薬組成物はしたがって、2つの構成要素;第1の放出構成要素a.(または持続放出構成要素a.)および第2の放出構成要素b.(または即時放出構成要素b.)を含み、各々の構成要素は、同じ医薬品有効成分(API);トシル酸スプラタストまたは薬学的に許容されるその誘導体を含む。
【0034】
本医薬組成物は、したがって医薬品有効成分を異なって放出するようにデザインされ、第1の放出構成要素はトシル酸スプラタストまたは薬学的に許容されるその誘導体の持続放出を提供し、第2の放出構成要素はトシル酸スプラタストまたは薬学的に許容されるその誘導体の即時放出を提供する。
【0035】
一実施形態において、最初に第2の放出構成要素からの即時放出が、続いておよび随意にオーバーラップして、第1の放出構成要素からの持続放出が起こる。
【0036】
一実施形態において、第2の放出構成要素からの即時放出および第1の放出構成要素からの持続放出が、同時に起こる。
【0037】
一実施形態において、最初に第1の放出構成要素からの持続放出が、続いておよび随意にオーバーラップして、第2の放出構成要素からの即時放出が起こる。
【0038】
時限放出技術または制御放出技術(持続放出または継続放出)は、薬物を徐々に溶解し経時的に放出する、ピル錠剤またはカプセルにおいて使用される機構である。持続放出の錠剤またはカプセルの利点は、それらが即時放出製剤よりも低い頻度で服用され、血流中で薬物のより堅調なレベルを保つということである。
【0039】
制御放出薬物は、医薬品有効成分が不溶性物質(複数可)のマトリックス中に包埋され、その結果、溶解薬物がマトリックス中の穴を介する通路を見出すように、製剤化され得る。いくつかの薬物は、1つの側面上のレーザードリル穴および他の側面上の多孔性膜を備えて、ポリマーベースの錠剤中に封入される。胃酸は多孔性膜を介して押し出され、それによってレーザードリル穴を介して薬物を押し出す。時間内に、薬物用量全体は、正常な消化を介して後に排泄される予定のポリマー容器がインタクトなままである間に、系の中へ放出される。いくつかの製剤において、薬物はマトリックスの中へ溶解し、マトリックスは物理的に膨張してゲルを形成し、薬物がゲルの外部表面を介して出ることを可能にする。マイクロカプセル化は複雑な溶解プロファイルも産生する。不活性コアの周囲に医薬品有効成分をコーティングし、それを不溶性物質により重層して、マイクロスフェアを形成することを介して、他の即時放出医薬成分と混合され得る好都合な形式で(例えば任意のツーピースゼラチンカプセルの中へ)、より一貫した再現可能な溶解速度が得られる。
【0040】
投薬形態は、活性薬物構成要素および非薬物構成要素の混合物である。本明細書において開示される医薬組成物は、一実施形態において、経口投薬形態等の医薬投薬形態である。特定の実施形態において、前記投薬形態は、固体投薬形態、固体経口投薬形態(錠剤またはミニ錠剤等)である。
【0041】
固体投薬形態(または固体形態調製物)としては、粉末、錠剤(ミニ錠剤およびマイクロ錠剤を包含する)、ピル、カプセル、球体、ペレット剤、カシェー、坐剤および分散可能顆粒が挙げられる。
【0042】
本開示によれば、同じ固体投薬形態中で、医薬品有効成分は、一実施形態において、前記医薬品有効成分の制御放出および即時放出を提供するように組み合わせられる。
【0043】
錠剤は、固体用量へとプレスまたは圧縮された、活性物質および賦形剤の混合物を含む医薬投薬形態である。錠剤は、使用するには単純で好都合である。それらは、好都合な携帯用パッケージで活性成分の正確に測定された投薬量を提供する。製造のプロセスおよび技法は、錠剤の特別な性質(例えば持続放出または迅速溶解製剤)を提供することができる。
【0044】
ミニ錠剤は≦3mmの直径の錠剤であり、固体投薬形態デザインの新しい傾向を表わすものであり、いくつかの治療障害(嚥下障害および多剤投与療法等)を克服することおよびいくつかの治療利益(用量融通性および組み合わせ放出パターン等)も提供することを主要な目標とする。
【0045】
一実施形態において、本開示に従うミニ錠剤は、3mm以下(≦)(≦2.5mm等)、例えば≦2mm(≦1.5mm等)、例えば約1mmの直径の錠剤である。一実施形態において、例えば、本開示に従うミニ錠剤は、1~1.5mm(1.5~2mm等)、2~2.5mm(2.5~3mm等)の直径の錠剤である。
【0046】
医薬品の製造において、カプセル化は、それらが例えば経口服用されるかまたは坐剤として使用されることを可能にするカプセルとして公知の比較的安定的なシェル中の範囲の投薬形態を指す。2つの主要なタイプのカプセルがある。それらは、2つの半分(より小さな直径の「ボディ」に充填し、次いでより大きな直径の「ケープ」を使用してシールする)で作製されるハードシェルカプセル;主として油および油中で溶解または懸濁される活性成分のために使用されるソフトシェルカプセルである。両方のタイプのカプセルは、動物性タンパク質(主としてゼラチン)および植物ポリサッカライドまたはそれらの誘導体(カラギーナン、ならびにデンプンおよびセルロースの修飾形態のような)を含む、ゲル化剤の水溶液から作製される。可塑剤(カプセルの硬さを減少させるグリセリンおよび/またはソルビトール等)、着色剤、防腐物質、崩壊剤、滑沢物質および表面処理のような、他の成分は、ゲル化剤液へ添加され得る。
【0047】
一実施形態において、第1の放出構成要素および/または第2の放出構成要素は、錠剤、ミニ錠剤、マイクロ錠剤、球体、ペレット、顆粒、およびカプセルからなる群から選択される、投薬形態中にある。
【0048】
一実施形態において、第1の放出構成要素および/または第2の放出構成要素は、コーティングされた錠剤、コーティングされたミニ錠剤、コーティングされたマイクロ錠剤、コーティングされた球体、コーティングされたペレット、コーティングされた顆粒、およびコーティングされたカプセルからなる群から選択される、投薬形態中にある。
【0049】
他の箇所で詳述されるように、医薬組成物または投薬形態は、本明細書において開示される時、
a.トシル酸スプラタストまたは薬学的に許容されるその誘導体を含み、その持続放出を提供する、第1の放出構成要素と、
b.トシル酸スプラタストまたは薬学的に許容されるその誘導体を含み、その即時放出を提供する、第2の放出構成要素と、
を分離してまたは一緒に含む。
【0050】
第1の放出構成要素a.は、制御放出の手順または率によって(すなわち持続放出によって)活性成分を放出するように製剤化される一方で、第2の放出構成要素b.は活性成分の即時放出のために製剤化される。
【0051】
一実施形態において、組成物は、本明細書において開示される時、第1の放出構成要素および第2の放出構成要素を、分離した区画、部分または層中で含む。
【0052】
一実施形態において、組成物は、本明細書において開示される時、
a.トシル酸スプラタストまたは薬学的に許容されるその誘導体の持続放出を提供する内部コアである、第1の放出構成要素と、
b.トシル酸スプラタストまたは薬学的に許容されるその誘導体の即時放出を提供する外部のコーティングまたは層である、第2の放出構成要素と、
を含み、
そこで、前記第2の放出構成要素の外部のコーティングまたは層は第1の放出構成要素の内部コアの上へ適用される。
【0053】
一実施形態において、組成物は、本明細書において開示される時、
a.トシル酸スプラタストまたは薬学的に許容されるその誘導体の持続放出を提供する錠剤、ミニ錠剤、球体、ペレットまたは顆粒(随意にコーティングされた)である、第1の放出構成要素と、
b.前記錠剤、ミニ錠剤、球体、ペレットまたは顆粒上の外部のコーティングまたは層であり、前記外部のコーティングまたは層がトシル酸スプラタストまたは薬学的に許容されるその誘導体の即時放出を提供する、第2の放出構成要素と、
を含む。
【0054】
一実施形態において、組成物は、本明細書において開示される時、
a.トシル酸スプラタストまたは薬学的に許容されるその誘導体の持続放出を提供するフィルムコーティングされた錠剤、フィルムコーティングされたミニ錠剤またはフィルムコーティングされた球体である、第1の放出構成要素と、
b.前記フィルムコーティングされた錠剤、フィルムコーティングされたミニ錠剤またはフィルムコーティングされた球体上の外部のコーティングまたは層であり、トシル酸スプラタストまたは薬学的に許容されるその誘導体の即時放出を提供する、第2の放出構成要素と、
を含む。
【0055】
一実施形態において、第1の放出構成要素a.は、随意にコーティングを含む持続放出錠剤(持続放出ミニ錠剤等)であり、第2の放出構成要素b.は、前記錠剤へ適用された即時放出の外部のコーティングまたは層である。
【0056】
一実施形態において、組成物は、本明細書において開示される時、
a.トシル酸スプラタストまたは薬学的に許容されるその誘導体の持続放出を提供する外部のコーティングまたは層である、第1の放出構成要素と、
b.トシル酸スプラタストまたは薬学的に許容されるその誘導体の即時放出を提供する内部コアである、第2の放出構成要素と、
を含み、
そこで、前記第1の放出構成要素の外部のコーティングまたは層は第2の放出構成要素の内部コアの上へ適用される。
【0057】
一実施形態において、第1の放出構成要素a.は二層化された投薬の形態または錠剤での構成要素であり、第2の放出構成要素b.は、同じ二層化された投薬の形態または錠剤での別の構成要素である。
【0058】
一実施形態において、組成物は、本明細書において開示される時、
a.トシル酸スプラタストまたは薬学的に許容されるその誘導体の持続放出を提供する、第1の放出層と、
b.トシル酸スプラタストまたは薬学的に許容されるその誘導体の即時放出を提供する、第2の放出層と、
を含み、
そこで、各々の層が同じ錠剤内に存在する、
二層化された錠剤(またはミニ錠剤)である。
【0059】
一実施形態において、第1の放出構成要素a.および/または第2の放出構成要素b.は各々ミニ錠剤であり、そのミニ錠剤はカプセルの中へ充填される。
【0060】
一実施形態において、第1の放出構成要素a.は即時放出ミニ錠剤であり、第2の放出構成要素b.は持続放出ミニ錠剤であり、そのミニ錠剤a.およびb.は混合され、カプセルの中へ充填される。
【0061】
一実施形態において、組成物は、本明細書において開示される時、2つ以上の投薬形態を分離してまたは一緒に含む多重微粒子投薬形態である。
【0062】
一実施形態において、組成物は、本明細書において開示される時、
a.トシル酸スプラタストまたは薬学的に許容されるその誘導体を含む1つまたは複数の持続放出の錠剤、ミニ錠剤、顆粒またはペレットである、第1の放出構成要素と、
b.トシル酸スプラタストまたは薬学的に許容されるその誘導体を含む1つまたは複数の即時放出の錠剤、ミニ錠剤、顆粒またはペレットである、第2の放出構成要素と、
を含む。
【0063】
一実施形態において、組成物は、本明細書において開示される時、
a.第1の放出構成要素(それは半透過性フィルムを含む1つまたは複数の持続放出の錠剤またはミニ錠剤である)および
b.第2の放出構成要素(それは可溶性フィルムを含む1つまたは複数の即時放出の錠剤またはミニ錠剤である)を含む。
【0064】
一実施形態において、組成物は、本明細書において開示される時、
a.複数の持続放出の錠剤、ミニ錠剤、顆粒またはペレットである、第1の放出構成要素と、
b.複数の即時放出の錠剤、ミニ錠剤、顆粒またはペレットである、第2の放出構成要素と、
を含み、
そこで、前記第1の放出構成要素および第2の放出構成要素は、適切な容器(カプセル、パウチ、分包またはスティックパック等)中で一緒に提供される。
【0065】
一実施形態において、組成物は、本明細書において開示される時、
a.複数の持続放出の錠剤、ミニ錠剤、顆粒またはペレットである、第1の放出構成要素と、
b.複数の即時放出の錠剤、ミニ錠剤、顆粒またはペレットである、第2の放出構成要素と、
を含み、
そこで、前記第1の放出構成要素は、適切な容器(カプセル等、パウチ、分包またはスティックパック)中で提供され、前記第2の放出構成要素は、適切な容器(カプセル等、パウチ、分包またはスティックパック)中で提供される。
【0066】
医薬組成物 - 賦形剤
本開示に従う医薬組成物は、本明細書の他の箇所で詳述されるような医薬品有効成分(API)に加えて、1つまたは複数の賦形剤を含む。
【0067】
賦形剤は、医薬物の有効成分(API)と共に製剤化される薬理学的に不活性な物質である。賦形剤は、投薬形態を産生する場合に、薬物物質の好都合且つ正確な分配を可能にするように、活性成分を含有する製剤のかさ増しに一般的に使用される。
【0068】
一実施形態において、医薬組成物は、本明細書において開示される時、1つまたは複数の賦形剤を含む。前記1つまたは複数の賦形剤は、固体担体、希釈物質、着香剤、可溶化物質、滑沢物質、流動化物質、懸濁化剤、結合物質、充填物質、防腐物質、抗接着物質、湿潤剤、膨潤剤、錠剤崩壊剤、吸着剤、および/またはカプセル化材/コーティング材として作用し得る。
【0069】
本医薬組成物は、ER(持続放出)およびIR(即時放出)の特徴を備えた経口投与に好適な製剤(投薬形態等)を所望に応じてそれぞれ得るために、少なくとも1つの賦形剤を含む。
【0070】
一実施形態において、第1の放出構成要素および第2の放出構成要素は各々、1つまたは複数の放出制御賦形剤を含む。
【0071】
第1の放出構成要素 - 持続放出
一実施形態において、本明細書で開示される医薬組成物の第1の放出構成要素は、トシル酸スプラタストまたは薬学的に許容されるその誘導体、および1つまたは複数の放出制御賦形剤、および随意に1つまたは複数のさらなる賦形剤(膨潤剤、充填物質、結合物質および滑沢物質等)を含む。
【0072】
一実施形態において、前記第1の放出構成要素は、持続放出を提供する1つまたは複数の放出制御賦形剤を含む。
【0073】
放出制御賦形剤は、当業者に公知の任意の放出制御賦形剤であり得る。一実施形態において、第1の放出構成要素は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC、ヒプロメロース)、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、酢酸コハク酸ヒプロメロース、フタル酸ヒプロメロース、酢酸セルロース、モノステアリン酸グリセリン、モノオレイン酸グリセリル、パルミチン酸グリセリル、ベヘン酸グリセリル、水素添加植物油、グアーガム、ポリビニルアルコール、アルギン酸塩、キサンタンガム、カルナウバ蝋、黄蝋、白蝋、ゼイン、カレギーナン(carregeenan)、カルボマーおよびアガーからなる群から選択される、1つまたは複数の放出制御賦形剤を含む。
【0074】
一実施形態において、第1の放出構成要素は、非イオン性またはイオン性の膨潤剤等の膨潤剤(低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L-HPC)、HPC、アルギン酸、アルギン酸カルシウム、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、グアーガム、ヒドロキシプロピルセルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、メチルセルロース、微結晶性セルロース(MCC)、ポラクリリンカリウム、ポビドン、デンプングリコール酸ナトリウムデンプンまたはαデンプンからなる群から選択される、膨潤剤等)を含む。
【0075】
一実施形態において、第1の放出構成要素は、充填物質(炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、セルロース、酢酸セルロース、圧縮糖、デキストレート(dextrate)、デキストリン、デキストロース、エチルセルロース、果糖、イソマルト、ラクチトール、ラクトース、マンニトール、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、マルトデキストリン、微結晶性セルロース(MCC)、ポリデキストロース、アルギン酸ナトリウム、ソルビトール、タルクおよびキシリトールからなる群から選択される、充填物質等)を含む。
【0076】
一実施形態において、第1の放出構成要素は、結合物質(アカシア、アルギン酸、カルボマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カラギーナン、酢酸フタル酸セルロース、キトサン、コポビドン、デキストレート、デキストリン、デキストロース、エチルセルロース、ゼラチン、グアーガム、ヒドロイエチルセルロース(hydroyethyl cellulose)、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルデンプン、ヒプロメロース、メチルセルロース、ポロキサマー、ポリデキストロース、ポリエチレンオキシド、ポビドン、アルギン酸ナトリウム、ショ糖、デンプン、αデンプンおよびマルトデキストリンからなる群から選択される、結合物質等)を含む。
【0077】
一実施形態において、第1の放出構成要素は、滑沢物質(ステアリン酸カルシウム、モノステアリン酸グリセリン、ベヘン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、水素添加カスターオイル、水素添加植物油、ラウリル硫酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、中鎖トリグリセリド、パルミチン酸、ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸、タルク、シリカ、ステアリン酸およびステアリン酸亜鉛からなる群から選択される、滑沢物質等)を含む。
【0078】
本開示の目的に好適であり、当業者に公知の他の賦形剤も、本明細書に網羅されると判断される。
【0079】
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)(ヒプロメロースとしても公知)は経口錠剤および経口カプセルの製剤中の賦形剤として使用され、そこで、それはグレードに依存して制御放出剤または放出制御賦形剤として機能して、消化管の中への医用化合物の放出を遅延させる。それは、結合物質および錠剤コーティングの構成要素としても使用される。
【0080】
異なるグレードのHPMCは、例えば粘度に関して異なる特徴を有する。したがって、異なるHPMCは包埋されたAPIの放出率に対する異なる影響を有するだろう。同様に、製剤中のHPMCの量、錠剤への製剤の圧縮の硬さまたは程度に加えて、任意の可能なコーティングは、APIの放出率に影響を与える可能性があるだろう。放出率は、産生された顆粒またはバッチの溶解プロファイルの評価によって決定され得る。溶解試験実験から生成されたインビトロ薬物溶解データは、インビトロ-インビボ相関(IVIVC)の手段によって、インビボの薬物動態のデータに関連づけることができる。複数の溶解装置が存在する。
【0081】
STを含む持続放出の錠剤またはミニ錠剤:
一実施形態において、第1の放出構成要素a.は、持続放出特性を備えたフィルムコーティングされた錠剤またはミニ錠剤である。かかる実施例は、実施例1、2、10および12~14において提供される。
【0082】
一実施形態において、第1の放出構成要素a.は、
-トシル酸スプラタスト、
-微結晶性セルロース、
-L-HPC、
-クロスカルメロース、および
-ステアリン酸マグネシウム、
のうちの1つまたは複数を含み、
そこで、フィルムコーティングが、エチルセルロースに基づく半透過性フィルム(エチルセルロースおよびエタノール)を含む、
フィルムコーティングされた錠剤またはフィルムコーティングされたミニ錠剤である。
【0083】
一実施形態において、第1の放出構成要素a.は、
-トシル酸スプラタスト、
-微結晶性セルロース、
-デンプングリコール酸ナトリウム(タイプA)、
-αデンプン、
-クエン酸一水和物、および
-ステアリン酸マグネシウム、
のうちの1つまたは複数を含み、
そこで、フィルムコーティングが、エチルセルロースに基づく半透過性フィルム(エチルセルロース、ヒプロメロースおよびエタノール)を含む、
フィルムコーティングされた錠剤またはフィルムコーティングされたミニ錠剤である。
【0084】
持続放出の錠剤またはミニ錠剤は、本開示に従う即時放出投薬形態と共に投薬されるだろう。
【0085】
第2の放出構成要素 - 即時放出
一実施形態において、本明細書で開示される医薬組成物の第2の放出構成要素は、トシル酸スプラタストまたは薬学的に許容されるその誘導体、および1つまたは複数の賦形剤(1つまたは複数のフィルム形成賦形剤、結合物質、充填物質、崩壊剤または滑沢物質)を含む。
【0086】
フィルム形成賦形剤は、当業者に公知の任意のフィルム形成賦形剤であり得る。一実施形態において、第2の放出構成要素は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、酢酸コハク酸ヒプロメロース、フタル酸ヒプロメロース、キトサン、コポビドン、エチルセルロース、ゼラチン、酢酸セルロース、ポリメタクリレート、ポリビニルアルコールおよびアルギン酸塩からなる群から選択される、1つまたは複数のフィルム形成賦形剤を含む。
【0087】
一実施形態において、第2の放出構成要素は、充填物質(炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、セルロース、酢酸セルロース、圧縮糖、デキストレート(dextrate)、デキストリン、デキストロース、エチルセルロース、果糖、イソマルト、ラクチトール、ラクトース、マンニトール、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、マルトデキストリン、微結晶性セルロース(MCC)、ポリデキストロース、アルギン酸ナトリウム、ソルビトール、タルクおよびキシリトールからなる群から選択される、充填物質等)を含む。
【0088】
一実施形態において、第2の放出構成要素は、結合物質(アカシア、アルギン酸、カルボマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カラギーナン、セルロース、酢酸フタル酸セルロース、キトサン、コポビドン、デキストレート、デキストリン、デキストロース、エチルセルロース、ゼラチン、グアーガム、ヒドロイエチルセルロース(hydroyethyl cellulose)、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルデンプン、ヒプロメロース、メチルセルロース、ポロキサマー、ポリデキストロース、ポリエチレンオキシド、ポビドン、アルギン酸ナトリウム、デンプン、αデンプン、マルトデキストリンおよび合成ポリマー(PVP(ポリビニルピロリドン)およびPEG(ポリエチレングリコール)等)からなる群から選択される、結合物質等)を含む。
【0089】
一実施形態において、第2の放出構成要素は、崩壊物質(低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L-HPC)、HPC、アルギン酸、アルギン酸カルシウム、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、グアーガム、ヒドロキシプロピルセルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、メチルセルロース、微結晶性セルロース(MCC)、ポラクリリンカリウム、ポビドン、デンプングリコール酸ナトリウムデンプンまたはαデンプンからなる群から選択される、崩壊物質等)を含む。
【0090】
一実施形態において、第2の放出構成要素は、滑沢物質(ステアリン酸カルシウム、コロイド状二酸化ケイ素(cooloidal silicon dioxide)、モノステアリン酸グリセリン、ベヘン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、水素添加カスターオイル、水素添加植物油、ラウリル硫酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、中鎖トリグリセリド、パルミチン酸、ポリエチレングリコール、二酸化ケイ素、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸、タルクおよびステアリン酸亜鉛からなる群から選択される、滑沢物質等)を含む。
【0091】
一実施形態において、第2の放出構成要素は、コーティング(第1の放出構成要素を含む、内部コア、内部マトリックス、錠剤またはミニ錠剤上のコーティング等)である。前記コーティングは、当業者に公知の任意の種類のコーティングまたは噴霧によって適用され得る。
【0092】
第2の放出構成要素は、一実施形態において、即時放出の特徴を有するマトリックス(固体マトリックス、錠剤またはミニ錠剤等)の形態でもあり得る。かかる製剤は当業者に公知である。
【0093】
STを含む即時放出の錠剤またはミニ錠剤:
一実施形態において、第2の放出構成要素b.は、即時放出特性を備えたフィルムコーティングされたミニ錠剤である。かかる実施例は、実施例3および11~13において提供される。
【0094】
一実施形態において、第2の放出構成要素b.は、
-トシル酸スプラタスト、
-微結晶性セルロース、
-L-HPC、
-クロスカルメロース、
-ステアリン酸マグネシウム、
を含み、
そこで、フィルムコーティングが、ヒプロメロースに基づく可溶性フィルム(ヒプロメロースおよびポリエチレングリコール)を含む、
フィルムコーティングされた錠剤またはフィルムコーティングされたミニ錠剤である。
【0095】
即時放出のミニ錠剤は、本開示に従う持続放出投薬形態と共に投薬されるだろう。
【0096】
第1の放出構成要素および第2の放出構成要素を含む医薬組成物
一実施形態において、第1の放出構成要素a.は、持続放出特性を備えた半透過性フィルムコーティングされたミニ錠剤または錠剤であり、第2の放出構成要素b.は、即時放出特性を備えた可溶性フィルムコーティングされたミニ錠剤または錠剤であり;そのミニ錠剤は混合され、例えばカプセル中で組み合わせられる。かかる実施例は、実施例4、5および12において提供される。
【0097】
一実施形態において、組成物は、本明細書において開示される時、
a.
〇トシル酸スプラタスト、
〇微結晶性セルロース、
〇デンプングリコール酸ナトリウム(タイプA)、
〇αデンプン、
〇クエン酸一水和物、および
〇ステアリン酸マグネシウム、
のうちの1つまたは複数を含み、
そこで、フィルムコーティングが、エチルセルロースに基づく半透過性フィルム(エチルセルロース、ヒプロメロースおよびエタノール)を含む、
フィルムコーティングされた錠剤またはフィルムコーティングされたミニ錠剤である、第1の放出構成要素と、
b.
〇トシル酸スプラタスト、
〇微結晶性セルロース、
〇L-HPC、
〇クロスカルメロース、および
〇ステアリン酸マグネシウム、
のうちの1つまたは複数を含み、
そこで、フィルムコーティングが、ヒプロメロースに基づく可溶性フィルム(ヒプロメロースおよびポリエチレングリコール)を含む、
フィルムコーティングされた錠剤またはフィルムコーティングされたミニ錠剤である、第2の放出構成要素と、
を含み、
そこで、前記第1の放出構成要素および第2の放出構成要素は、適切な容器(カプセル、パウチ、分包またはスティックパック等)中で一緒に提供されるか;または、そこで、前記第1の放出構成要素は、適切な容器(カプセル等、パウチ、分包またはスティックパック)中で提供され、前記第2の放出構成要素は、適切な容器(カプセル等、パウチ、分包またはスティックパック)中で提供される。
【0098】
一実施形態において、組成物は、本明細書において開示される時、
a.
〇トシル酸スプラタスト、
〇微結晶性セルロース、
〇L-HPC、
〇クロスカルメロース、および
〇ステアリン酸マグネシウム、
のうちの1つまたは複数を含み、
そこで、フィルムコーティングが、エチルセルロースに基づく半透過性フィルム(エチルセルロースおよびエタノール)を含む、
フィルムコーティングされた錠剤またはフィルムコーティングされたミニ錠剤である、第1の放出構成要素と、
b.
〇トシル酸スプラタスト、
〇微結晶性セルロース、
〇L-HPC、
〇クロスカルメロース、
〇ステアリン酸マグネシウム、
のうちの1つまたは複数を含み、
そこで、フィルムコーティングが、ヒプロメロースに基づく可溶性フィルム(ヒプロメロースおよびポリエチレングリコール)を含む、
フィルムコーティングされた錠剤またはフィルムコーティングされたミニ錠剤である、第2の放出構成要素と、
を含み、
そこで、前記第1の放出構成要素および第2の放出構成要素は、適切な容器(カプセル、パウチ、分包またはスティックパック等)中で一緒に提供されるか;または、そこで、前記第1の放出構成要素は、適切な容器(カプセル等、パウチ、分包またはスティックパック)中で提供され、前記第2の放出構成要素は、適切な容器(カプセル等、パウチ、分包またはスティックパック)中で提供される。
【0099】
一実施形態において、第1の放出構成要素a.は持続放出特性を備えた錠剤であり、第2の放出構成要素b.は即時放出特性を備えたコーティングである。かかる実施例は、実施例6、7、9、13および14において提供される。
【0100】
一実施形態において、組成物は、本明細書において開示される時、
a.トシル酸スプラタストの持続放出を提供するフィルムコーティングされた錠剤であり、前記錠剤が、
〇トシル酸スプラタスト、
〇ヒプロメロース4000、
〇随意に、微結晶性セルロースおよびクエン酸一水和物、
〇二酸化ケイ素、ならびに
〇ステアリン酸マグネシウム、
のうちの1つまたは複数を含み、
そこで、フィルムコーティングが、エチルセルロースに基づく半透過性バリアフィルムを含み、前記フィルムコーティングが、エチルセルロース7cps、エタノール96%およびヒプロメロース3cpsのうちの1つまたは複数を含む、
第1の放出構成要素と、
b.前記コーティングされた錠剤の上へ適用されたトシル酸スプラタストを含有する即時放出フィルムであり、前記フィルムが、
〇トシル酸スプラタスト、
〇ポリエチレングリコール、および
〇ヒプロメロース15cps、
を含む、第2の放出構成要素と、
を含む。
【0101】
一実施形態において、組成物は、本明細書において開示される時、
a.トシル酸スプラタストの持続放出を提供するフィルムコーティングされた錠剤であり、前記錠剤が、
〇トシル酸スプラタスト、
〇ヒプロメロース4000、
〇微結晶性セルロース、
〇クエン酸一水和物、
〇二酸化ケイ素、および
〇ステアリン酸マグネシウム、
のうちの1つまたは複数を含み、
そこで、フィルムコーティングが、エチルセルロースに基づく半透過性バリアフィルムを含み、前記フィルムコーティングが、エチルセルロース7cps、エタノール96%およびヒプロメロース3cpsのうちの1つまたは複数を含む、
第1の放出構成要素と、
b.前記コーティングされた錠剤の上へ適用されたトシル酸スプラタストを含有する即時放出フィルムコーティングであり、前記フィルムが、
〇トシル酸スプラタスト、
〇ポリエチレングリコール、および
〇ヒプロメロース15cps、
を含む、第2の放出構成要素と、
を含む。
【0102】
一実施形態において、組成物は、本明細書において開示される時、
a.トシル酸スプラタストの持続放出を提供する錠剤であり、前記錠剤が、
〇トシル酸スプラタスト、
〇ヒプロメロース4000、
〇微結晶性セルロース、
〇カルボキシメチルセルロースナトリウム、および
〇ステアリン酸マグネシウム
のうちの1つまたは複数を含む、第1の放出構成要素と;
b.前記錠剤上へ適用されたトシル酸スプラタストを含有する即時放出コーティングであり、前記フィルムが、
〇トシル酸スプラタスト、
〇ヒプロメロース4000、
〇微結晶性セルロース、
〇ラクトース、
〇クロスカルメロース、および
〇ステアリン酸マグネシウム、
を含む、第2の放出構成要素と、
を含み、
そこで、第2の放出構成要素は、第1の放出構成要素錠剤上に圧縮コーティング(プレスコーティング)として適用される。
【0103】
一実施形態において、第1の放出構成要素a.は、二層錠剤の持続放出層であり、第2の放出構成要素b.は、二層錠剤の即時放出層である。かかる実施例は、実施例8および15において提供される。
【0104】
一実施形態において、組成物は、本明細書において開示される時、二層化された錠剤(またはミニ錠剤)であって、
a.トシル酸スプラタストまたは薬学的に許容されるその誘導体の持続放出を提供し、前記層が、
〇トシル酸スプラタスト、
〇ヒプロメロース4000、
〇微結晶性セルロース、
〇クエン酸一水和物、
〇カルボキシメチルセルロースナトリウム、および
〇ステアリン酸マグネシウム、
のうちの1つまたは複数を含む、第1の放出層と、
b.トシル酸スプラタストまたは薬学的に許容されるその誘導体の即時放出を提供し、前記層が、
〇トシル酸スプラタスト、
〇ヒプロメロース4000、
〇微結晶性セルロース、
〇クエン酸一水和物、
〇ラクトース、
〇クロスカルメロース、および
〇ステアリン酸マグネシウム、
のうちの1つまたは複数を含む、第2の放出層と、
を含む、前記錠剤であり、そこで、二層錠剤プレス上で、第1の放出層は層1として圧縮され、第2の放出層は層2として圧縮されて、二層化された錠剤を提供する。
【0105】
医薬組成物 - さらなる活性成分
本開示に従う医薬組成物は、本明細書の他の箇所で詳述されるような医薬品有効成分(API)、および一実施形態において、1つまたは複数のさらなる活性成分を含む。
【0106】
一実施形態において、トシル酸スプラタストまたは薬学的に許容されるその誘導体を含む医薬組成物であって;
a.前記化合物を含み、前記化合物の持続放出を提供する、第1の放出構成要素と、
b.前記化合物を含み、前記化合物の即時放出を提供する、第2の放出構成要素と、
を、分離してまたは一緒に含み、
そこで、前記組成物が、1つまたは複数のさらなる医薬品有効成分を分離してまたは一緒にさらに含む、
前記組成物が提供される。
【0107】
投与および投薬量
本開示によれば、式(I)の化合物を含む組成物は、薬学的有効用量で治療を必要とする個人へ投与される。化合物の治療有効量は、所与の疾患およびその合併症を、治癒させるか、予防するか、そのリスクを低減するか、緩和するか、またはその臨床症状を部分的に停止するのに十分な量である。特定の治療目的のための有効な量は、被験体の体重および一般的な状態に加えて障害の重症度および種類にも依存するだろう。
【0108】
本開示に従う組成物は、1日あたり1または複数回(1日あたり1~4回等、1日あたり1~3回等、1日あたり1~2回等、1日あたり2~4回等、1日あたり2~3回等)投与され得る。あるいは、化合物は、1日1回未満(例えば1日1回、2日ごとに1回等、例えば3日ごとに1回、4日ごとに1回等、例えば5日ごとに1回、6日ごとに1回等、例えば1週間ごとに1回)で投与され得る。
【0109】
一実施形態において、本組成物は、朝に1回および/または夜もしくは睡眠の前に1回投与される。一実施形態において、本組成物は、朝に1回および夜または睡眠の前に1回投与される。一実施形態において、本組成物は、朝に1回投与される。一実施形態において、本組成物は、夜または睡眠の前に1回投与される。
【0110】
一実施形態において、本組成物は、疾患の急性症状を緩和するために要求に応じてまたは必要に応じて、朝の1回および/または夜もしくは睡眠の前の1回の投与に加えて、投与される。
【0111】
投与は、限定的な時間に起こり得るか、または投与は慣性的であり得て、治療は診断の開始から慣性的(個人の生涯を通してまたは個人がそれから利益を得る限り等)であり得る。組成物は、治療の様々なタイムポイントで個人へ投与され得る。治療は、1つの継続的な期間にわたって、またはその間の期間の間隔(そこで、投与は停止、減少または変更される)で行われ得る。
【0112】
本医薬組成物中の医薬品有効成分の濃度は、その適切な投薬量を達成するために至適化される。第1の放出構成要素および第2の放出構成要素中の医薬品有効成分の濃度は、同じまたは異なり得る。
【0113】
一実施形態において、トシル酸スプラタストまたは薬学的に許容されるその誘導体の濃度または投薬量は、第1の放出構成要素および第2の放出構成要素中で本質的に同じである。
【0114】
一実施形態において、トシル酸スプラタストまたは薬学的に許容されるその誘導体の濃度または投薬量は、第1の放出構成要素および第2の放出構成要素中で異なり;第1の放出構成要素中でより高い濃度または投薬量、または第2の放出構成要素中でより高い濃度または投薬量等である。
【0115】
一実施形態において、トシル酸スプラタストまたは薬学的に許容されるその誘導体の濃度は、第2の放出構成要素(IR)中よりも、第1の放出構成要素(ER)中でより高い。
【0116】
一実施形態において、トシル酸スプラタストまたは薬学的に許容されるその誘導体の濃度または投薬量は、第2の放出構成要素(IR)中よりも、第1の放出構成要素(ER)中で1~10倍高い(第1の放出構成要素(ER)中で1倍高い、2倍高い、3倍高い、4倍高い、5倍高い、6倍高い、7倍高い、8倍高い、9倍高い、もしくは10倍高い等、または第1の放出構成要素(ER)中で1~2倍高い、2~3倍高い、3~4倍高い、4~5倍高い、5~6倍高い、6~7倍高い、7~8倍高い、8~9倍高い、9~10倍高い等)。
【0117】
一実施形態において、第1の放出構成要素(ER)および第2の放出構成要素(IR)のトシル酸スプラタストまたは薬学的に許容されるその誘導体の濃度または投薬量の比は、10:1~1:1(10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1または1:1等)である。
【0118】
一実施形態において、第1の放出構成要素(ER)および第2の放出構成要素(IR)のトシル酸スプラタストまたは薬学的に許容されるその誘導体の濃度または投薬量の比は、10:1~9:1、9:1~8:1、8:1~7:1、7:1~6:1、6:1~5:1、5:1~4:1、4:1~3:1、3:1~2:1または2:1~1:1である。
【0119】
一実施形態において、第1の放出構成要素(ER)および第2の放出構成要素(IR)は各々、1つの構成要素あたり25~1000mgまたは50~1000mg(1つの構成要素あたり25~50mg、50~100mg、100~200mg、200~250mg、250~300mg、300~400mg、400~500mg、500~600mg、600~700mg、700~800mg、800~900mg等、900~1000mg等)のトシル酸スプラタストまたは薬学的に許容されるその誘導体の投薬量を含む。
【0120】
一実施形態において、第1の放出構成要素(ER)は、50~500mgのトシル酸スプラタストまたは薬学的に許容されるその誘導体(50~100mg、100~150mg、150~200mg、200~250mg、250~300mg、300~350mg、350~400mg、400~450mg、450~500mg等;50mg、100mg、150mg、200mg、250mg、300mg、350mg、400mg、450mg、500mg等のトシル酸スプラタストまたは薬学的に許容されるその誘導体)の投薬量を含み;
第2の放出構成要素(IR)は、25~250mgのトシル酸スプラタストまたは薬学的に許容されるその誘導体(25~50mg、50~75mg、75~100mg、100~150mg、150~200mg、200~250mg等;25mg、50mg、75mg、100mg、150mg、200mg、250mg等のトシル酸スプラタストまたは薬学的に許容されるその誘導体)の投薬量を含む。
【0121】
一実施形態において、第1の放出構成要素(ER)は100~500mgのトシル酸スプラタストまたは薬学的に許容されるその誘導体の投薬量を含み、第2の放出構成要素(IR)は50~100mgのトシル酸スプラタストまたは薬学的に許容されるその誘導体の投薬量を含む。
【0122】
一実施形態において、第1の放出構成要素(ER)は150~750mgのトシル酸スプラタストまたは薬学的に許容されるその誘導体の投薬量を含み、第2の放出構成要素(IR)は75~150mgのトシル酸スプラタストまたは薬学的に許容されるその誘導体の投薬量を含む。
【0123】
一実施形態において、第1の放出構成要素(ER)は100~250mgのトシル酸スプラタストまたは薬学的に許容されるその誘導体の投薬量を含み、第2の放出構成要素(IR)は50~100mgのトシル酸スプラタストまたは薬学的に許容されるその誘導体の投薬量を含む。
【0124】
一実施形態において、濃度または投薬量は、1日1回(QD)、1日2回(BID)、1日3回(TID)および/または1日4回(QID)投与される。好ましい実施形態において、投薬量は、1つの投薬量を1日1回(QD)または1つの投薬量を1日2回(BID)で与えられる。
【0125】
一実施形態において、本明細書において定義される式(I)の化合物を含む組成物は、治療有効量で(1日あたり0.1mg~5000mgの式(I)の化合物(遊離塩基として計算される)の量で等;1日あたり1mg~1000mgの化合物の量で等)投与される。
【0126】
一実施形態において、1日あたり0.1mg~1mgのトシル酸スプラタストまたは薬学的に許容されるその誘導体(1日あたり1~10mg等、10~20mg、20~40mg、40~60mg、60~80mg、80~100mg、100~150mg、150~200mg、200~250mg、250~300mg、300~350mg、350~400mg、400~500mg、500~600mg、600~700mg、700~800mg、800~900mg、900~1000mg、1000~1250mg、1250~1500mg、1500~1750mg、1750~2000mg、2000~2250mg、2250~2500mg、2500~2750mg、2750~3000mg、3000~3500mg、3500~4000mg等、例えば4000~5000mgのトシル酸スプラタストまたは薬学的に許容されるその誘導体)の量で、化合物が投与される。
【0127】
1日あたりとは、投薬量が、1つの投薬量で与えられ得るか、または1日あたり複数の投薬量に分割され得る(1日1回(QD)、1日2回(BID)、1日3回(TID)および/または1日4回(QID)を包含する)ことを意味する。好ましい実施形態において、投薬量は、1つの投薬量を1日1回(QD)または1つの投薬量を1日2回(BID)で与えられる。
【0128】
一実施形態において、化合物は、1日1回(QD)、1つの投薬量で投与されるかまたは複数の投薬量に分割される。一実施形態において、化合物は、QDで100mgのトシル酸スプラタストまたは薬学的に許容されるその誘導体(QDで150mg等、QDで200mg等、QDで250mg等、QDで300mg等、QDで400mg等、QDで500mg等、QDで600mg等、QDで700mg等、QDで750mg等、QDで800mg等、QDで900mg等、QDで1000mg等のトシル酸スプラタストまたは薬学的に許容されるその誘導体)で投与される。
【0129】
一実施形態において、化合物は、QDで100~1500mgのトシル酸スプラタストまたは薬学的に許容されるその誘導体(QDで100~200mg等、QDで200~300mg等、QDで300~400mg等、QDで400~500mg等、QDで500~600mg等、QDで600~700mg等、QDで700~800mg等、QDで800~900mg等、QDで900~1000mg等、QDで1000~1100mg等、QDで1100~1200mg等、QDで1200~1300mg等、QDで1300~1400mg等、QDで1400~1500mg等のトシル酸スプラタストまたは薬学的に許容されるその誘導体)で投与される。
【0130】
一実施形態において、化合物は、1日2回(BID)、1つの投薬量で投与されるかまたは複数の投薬量に分割される。一実施形態において、化合物は、BIDで100mgのトシル酸スプラタストまたは薬学的に許容されるその誘導体(BIDで150mg等、BIDで200mg等、BIDで250mg等、BIDで300mg等、BIDで400mg等、BIDで500mg等、BIDで600mg等、BIDで700mg等、BIDで750mg等、BIDで800mg等、BIDで900mg等、BIDで1000mg等のトシル酸スプラタストまたは薬学的に許容されるその誘導体)で投与される。
【0131】
一実施形態において、化合物は、BIDで100~1500mgのトシル酸スプラタストまたは薬学的に許容されるその誘導体(BIDで100~200mg等、BIDで200~300mg等、BIDで300~400mg等、BIDで400~500mg等、BIDで500~600mg等、BIDで600~700mg等、BIDで700~800mg等、BIDで800~900mg等、BIDで900~1000mg等、BIDで1000~1100mg等、BIDで1100~1200mg等、BIDで1200~1300mg等、BIDで1300~1400mg等、BIDで1400~1500mg等のトシル酸スプラタストまたは薬学的に許容されるその誘導体)で投与される。
【0132】
別の実施形態において、化合物は、0.01mg/kg体重のトシル酸スプラタストまたは薬学的に許容されるその誘導体~40mg/kg体重のトシル酸スプラタストまたは薬学的に許容されるその誘導体(0.01mg/kg体重~0.05mg/kg体重、0.05~0.1mg/kg体重、0.1~0.5mg/kg体重、0.5mg~1mg/kg体重、1~2mg/kg体重、2~3mg/kg体重、3~5mg/kg体重、5~10mg/kg体重、10~15mg/kg体重、15~20mg/kg体重、20~30mg/kg体重等、例えば30~40mg/kg体重)の量で投与される。
【実施例】
【0133】
本発明は以下の実施例によってさらに例証されるが、それは保護の範囲の限定として解釈するべきでない。
【0134】
実施例1
継続放出(SR)トシル酸スプラタストミニ錠剤
トシル酸スプラタストを、微結晶性セルロース、L-HPC(低置換度ヒドロキシプロピルセルロース)およびクロスカルメロースと、タンブルミキサー中で5分間混合する。次にステアリン酸マグネシウムを添加し、30秒間混合する。混合物を錠剤へ圧縮し、各々の錠剤は7.5mgの重量および2mmのサイズを備えた錠剤であり、各々は3.00mgのトシル酸スプラタストを保持する。錠剤厚は約1.8mmである。
【表1】
【0135】
トシル酸スプラタストミニ錠剤を、エチルセルロースに基づく半透過性フィルムにより流動床中でフィルムコーティングする。フィルム組成を以下の表中で示す。325gのコア錠剤のために、産生損失のための5%の過剰を含めて25.0%までの錠剤重量の所望される増加へフィルムコーティングすることができるように、1000gのフィルム溶液を産生する。噴霧条件を28~30℃の排出口の気体温度に制御する。20%、23%および25%の所望される重量増加に到達するために、682.0g、784.9gおよび853.1gのフィルム溶液をそれぞれ適用しなければならない。
【表2】
【0136】
33のミニ錠剤(100mgのトシル酸スプラタストに対応する)を、USP2パドル装置(USPパドル溶出試験方法)を使用して溶解について試験する。各々の容器は600mlの等張塩化ナトリウム溶液を含有し、75rpmで撹拌した。期待される放出を
図2中で示す。
【0137】
実施例2
継続放出(SR)トシル酸スプラタストミニ錠剤
トシル酸スプラタストを、微結晶性セルロース、デンプングリコール酸ナトリウムおよびαデンプンと、1Lの高剪断ミキサー中で2分間混合する。適切な湿度が達成され、次いで1分間粒状になるまで、純水を2~3分間にわたって混合しながら徐々に添加する。水分活性が20%未満になるまで、産生された粒をおよそ60℃でSTREA流動床中で乾燥し、1.4mmのスクリーンを介してふるいにかける。
【表3】
【0138】
産生されたトシル酸スプラタスト粒を、ステアリン酸マグネシウムと混合する。混合物を錠剤へ圧縮し、各々の錠剤は約7.50mgの重量および2mmのサイズを備えた錠剤であり、各々は3.0mgのトシル酸スプラタストを保持する。錠剤厚は約1.8mmであった。
【表4】
【0139】
ミニ錠剤を、エチルセルロースに基づく半透過性フィルムにより流動床中でフィルムコーティングした。フィルム組成を以下の表中で示す。325gのコア錠剤のために、産生損失のための5%の過剰を含めて17.5%までの錠剤重量の所望される増加へフィルムコーティングすることができるように、600gのフィルム溶液を産生する。噴霧条件を28~30℃の排出口の気体温度に制御する。12.5%、15%および17.5%の所望される重量増加に到達するために、426.6g、511.9gおよび597.2gのフィルム溶液をそれぞれ適用しなければならない。
【表5】
【0140】
33のミニ錠剤(100mgのトシル酸スプラタストに対応する)を、USP2パドル装置(USPパドル溶出試験方法)を使用して溶解について試験する。各々の容器は600mlの等張塩化ナトリウム溶液を含有し、75rpmで撹拌した。期待される放出を
図3中で示す。
【0141】
実施例3
即時放出(IR)トシル酸スプラタストミニ錠剤
実施例1からのミニ錠剤を、ヒプロメロースに基づく可溶性フィルムにより流動床中でフィルムコーティングした。フィルム組成を以下の表中で示す。325gのコア錠剤のために、産生損失のための5%の過剰を含めて3%までの錠剤重量の所望される増加へフィルムコーティングすることができるように、200gのフィルム溶液を産生する。噴霧条件を40~42℃の排出口の気体温度に制御する。3%の所望される重量増加に到達するために、186.0gのフィルム溶液を適用する。
【表6】
【0142】
33のミニ錠剤(100mgのトシル酸スプラタストに対応する)を、USP2パドル装置(USPパドル溶出試験方法)を使用して溶解について試験する。各々の容器は600mlの等張塩化ナトリウム溶液を含有し、75rpmで撹拌した。期待される放出を
図4中で示す。
【0143】
実施例4
カプセル中の即時放出(IR)および継続放出(SR)のトシル酸スプラタストミニ錠剤
実施例3からの33の即時放出(IR)トシル酸スプラタストミニ錠剤および実施例2からの33のフィルムコーティングされた継続放出(SR)トシル酸スプラタストミニ錠剤を混合し、ハードシェルゼラチンカプセルサイズ00の中へ充填する。その時カプセルは100mgのトシル酸スプラタストIR+100mgのトシル酸スプラタストSRの用量を保持し、そこで、活性構成要素は、開始時の用量によりおよび用量の残りは24時間にわたって放出される。投薬レジメンは1日2回である。
【0144】
実施例5
カプセル中の即時放出(IR)および継続放出(SR)のトシル酸スプラタストミニ錠剤
実施例3からの33の即時放出(IR)トシル酸スプラタストミニ錠剤および実施例1からの167のフィルムコーティングされた継続放出(SR)トシル酸スプラタストミニ錠剤を混合し、3つのハードシェルゼラチンカプセルサイズ00の中へ充填する。その時カプセルは100mgのトシル酸スプラタストIR+500mgのトシル酸スプラタストSRの用量を保持し、そこで、活性構成要素は、開始時の用量によりおよび用量の残りは24時間にわたって放出される。投薬レジメンは1日1回である。
【0145】
実施例6
即時放出(コーティング)および継続放出(コア)のコーティング錠剤
トシル酸スプラタストを、微結晶性セルロースおよびヒプロメロース4000と、1Lの高剪断ミキサー中で2分間混合する。適切な湿度が達成され、次いで1分間粒状になるまで、純水を10~12分間にわたって混合しながら徐々に添加する。水分活性が40%未満になるまで、産生された粒をおよそ60℃でSTREA流動床中で乾燥し、1.4mmのスクリーンを介してふるいにかける。
【表7】
【0146】
産生されたトシル酸スプラタスト粒を、ヒプロメロース4000、二酸化ケイ素およびステアリン酸マグネシウムと、混合する。混合物を錠剤へ圧縮し、各々の錠剤は約175.5mgの重量および8mmのサイズを備えた錠剤であり、各々は100mgのトシル酸スプラタストを保持する。
【表8】
【0147】
トシル酸スプラタスト錠剤を、エチルセルロースに基づく半透過性バリアフィルムにより有孔ドラムコーティング装置中でフィルムコーティングする。フィルム組成を以下の表中で示す。225gのコア錠剤のために、産生損失のための10%の過剰を含めて7.0%の錠剤重量の所望される増加へフィルムコーティングすることができるように、250gのフィルム溶液を産生する。噴霧条件を27~29℃の産物の気体温度に制御する。所望される重量増加に到達するために、173.25gのフィルム溶液を適用する。
【表9】
【0148】
バリアコーティングされたトシル酸スプラタスト錠剤を、トシル酸スプラタストを含有する即時放出フィルムにより有孔ドラムコーティング装置中でフィルムコーティングする。フィルム組成を以下の表中で示す。225gのコア錠剤のために、50mgのトシル酸スプラタストに対応する47.1%の錠剤重量の所望される増加へフィルムコーティングすることができるように、800gのフィルム溶液を産生する。噴霧条件を40~42℃の産物の気体温度に一致させるように制御する。所望される重量増加に到達するために、705.1gのフィルム溶液を、産生損失のための10%の過剰を含めて適用する。
【表10】
【0149】
錠剤を、USP2パドル装置(USPパドル溶出試験方法)を使用して溶解について試験する。各々の容器は600mlの等張塩化ナトリウム溶液を含有し、75rpmで撹拌した。その時錠剤は50mgのトシル酸スプラタストIR+100mgのトシル酸スプラタストSRの用量を保持し、そこで、活性構成要素は、開始時の用量によりおよび用量の残りは12時間にわたって放出される。投薬レジメンは2つの錠剤を1日2回である。
【0150】
実施例7
即時放出(コーティング)および継続放出(コア)のコーティング錠剤
実施例6からのトシル酸スプラタスト粒を、以下の表中で与えられるように、ヒプロメロース4000、二酸化ケイ素およびステアリン酸マグネシウムと混合する。錠剤混合物を錠剤へ圧縮し、各々の錠剤は約512.6mgの重量および12mmのサイズを備えた錠剤であり、各々は250mgのトシル酸スプラタストを保持する。
【表11】
【0151】
トシル酸スプラタスト錠剤を、エチルセルロースに基づく半透過性バリアフィルムにより有孔ドラムコーティング装置中でフィルムコーティングする。フィルム組成を以下の表中で示す。225gのコア錠剤のために、産生損失のための10%の過剰を含めて6.0%の錠剤重量の所望される増加へフィルムコーティングすることができるように、250gのフィルム溶液を産生する。噴霧条件を27~29℃の産物の気体温度に制御する。所望される重量増加に到達するために、185.625gのフィルム溶液を適用する。
【表12】
【0152】
バリアコーティングされたトシル酸スプラタスト錠剤を、トシル酸スプラタストを含有する即時放出フィルムにより有孔ドラムコーティング装置中でフィルムコーティングする。フィルム組成を以下の表中で示す。225gのコア錠剤のために、50mgのトシル酸スプラタストに対応する21.9%の錠剤重量の所望される増加へフィルムコーティングすることができるように、525gのフィルム溶液を産生する。噴霧条件を40~42℃の産物の気体温度に一致させるように制御する。所望される重量増加に到達するために、422.5gのフィルム溶液を、産生損失のための10%の過剰を含めて適用する。
【表13】
【0153】
錠剤を、USP2パドル装置(USPパドル溶出試験方法)を使用して溶解について試験する。各々の容器は600mlの等張塩化ナトリウム溶液を含有し、75rpmで撹拌した。その時錠剤は50mgのトシル酸スプラタストIR+250mgのトシル酸スプラタストSRの用量を保持し、そこで、活性構成要素は、開始時の用量によりおよび用量の残りは24時間にわたって放出される。投薬レジメンは2つの錠剤を1日1回である。
【0154】
実施例8
即時放出および継続放出の二層錠剤
実施例6からのトシル酸スプラタスト粒を、以下の表中で与えられるように、微結晶性セルロース、ラクトース、クロスカルメロースおよびステアリン酸マグネシウムと混合して、錠剤混合物IRを構成する。
【表14】
【0155】
実施例6からのトシル酸スプラタスト粒を、以下の表中で与えられるように、ヒプロメロース4000、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムと混合して、錠剤混合物SRを構成する。
【表15】
【0156】
二層錠剤プレス上で、錠剤混合物SRを層1(500mg)として圧縮し、錠剤混合物IRを層2(200mg)として圧縮する。各々の錠剤重量は約700mgであり、各々は、即時放出のために100mgのトシル酸スプラタストおよび12時間にわたる放出のために200mgのトシル酸スプラタストを保持する。
【0157】
錠剤を、USP2パドル装置(USPパドル溶出試験方法)を使用して溶解について試験する。各々の容器は600mlの等張塩化ナトリウム溶液を含有し、75rpmで撹拌した。その時錠剤は100mgのトシル酸スプラタストIR+200mgのトシル酸スプラタストSRの用量を保持し、そこで、活性構成要素は、開始時の用量によりおよび用量の残りは12時間にわたって放出される。投薬レジメンは1つの錠剤を1日2回である。
【0158】
実施例9
即時放出および継続放出のプレスコーティングされた錠剤
実施例6からのトシル酸スプラタスト粒を、以下の表中で与えられるように、ヒプロメロース4000、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムと混合して、錠剤混合物SRを構成する。錠剤混合物SRをSR錠剤へ圧縮し、各々の錠剤は約196mgの重量および8mmのサイズを備えた錠剤であり、各々は100mgのトシル酸スプラタストを保持する。
【表16】
【0159】
実施例6からのトシル酸スプラタスト粒を、以下の表中で与えられるように、微結晶性セルロース、ラクトース、クロスカルメロースおよびステアリン酸マグネシウムと混合して、錠剤混合物IRを構成する。錠剤混合物IRを外部層として使用し、SR錠剤を、圧縮コーティング(同様にそれはプレスコーティングまたは錠剤中の錠剤(tablet in tablet)としても公知である)のための特別の錠剤プレスを使用して、錠剤コアとして適用する。外部IR層はおよそ400mgの重量を有し、100mgのトシル酸スプラタストを保持しなくてはならない。したがって、圧縮コーティングされた錠剤の全重量はおよそ596mgであるだろう。
【表17】
【0160】
錠剤を、USP2パドル装置(USPパドル溶出試験方法)を使用して溶解について試験する。各々の容器は600mlの等張塩化ナトリウム溶液を含有し、75rpmで撹拌した。その時錠剤は100mgのトシル酸スプラタストIR+100mgのトシル酸スプラタストSRの用量を保持し、そこで、活性構成要素は、開始時の用量によりおよび用量の残りは12時間にわたって放出される。投薬レジメンは1つの錠剤を1日2回である。
【0161】
実施例10
トシル酸スプラタストを、微結晶性セルロース、デンプングリコール酸ナトリウムおよびαデンプンと、1Lの高剪断ミキサー中で2分間混合した。適切な湿度が達成され、次いで1分間粒状になるまで、純水中のクエン酸の0.1%の溶液を2~3分間にわたって混合しながら徐々に添加した。産生された粒子を1.7mmのスクリーンを介してウェットスクリーニングし、およそ40℃で約90分間キャビネット中で乾燥した。次いで粒子を0.7mmのスクリーンを介してふるいにかけた。水分活性はおよそ23%であった。
【表18】
【0162】
産生されたトシル酸スプラタスト粒を、ステアリン酸マグネシウムと混合した。混合物を錠剤へ圧縮し、各々の錠剤は約7.60mgの重量および2mmのサイズを備えた錠剤であり、各々は2.0mgのスプラタスト塩基を保持していた。錠剤厚は約2.0mmであった。
【表19】
【0163】
ミニ錠剤を、エチルセルロースに基づく半透過性フィルムにより流動床中でフィルムコーティングした。フィルム組成を以下の表中で示す。325gのコア錠剤のために、産生損失のための5%の過剰を含めて15%の錠剤重量の所望される増加へフィルムコーティングすることができるように、600gのフィルム溶液を産生した。噴霧条件を28~30℃の排出口の気体温度に制御した。15%の所望される重量増加に到達するために、それぞれ511.9gのフィルム溶液を適用した。
【表20】
【0164】
50のミニ錠剤(100mgのスプラタスト塩基に対応する)を、USP2パドル装置(USPパドル溶出試験方法)を使用して溶解について試験した。各々の容器は600mlの等張塩化ナトリウム溶液を含有し、75rpmで撹拌した。サンプルを280nmのUVによって分析した。放出プロフィールを
図5中で示す。
【0165】
実施例11
トシル酸スプラタストを、微結晶性セルロース、L-HPCおよびクロスカルメロースとタンブルミキサー中で5分間混合した。次にステアリン酸マグネシウムを添加し、30秒間混合した。混合物を錠剤へ圧縮し、各々の錠剤は6.7mgの重量および2mmのサイズを備えた錠剤であり、各々は1.75mgのスプラタスト塩基を保持していた。錠剤厚は約1.9mmであった。
【表21】
【0166】
ミニ錠剤を、ヒプロメロースに基づく可溶性フィルムにより流動床中でフィルムコーティングした。フィルム組成を以下の表中で示す。325gのコア錠剤のために、産生損失のための5%の過剰を含めて3%までの錠剤重量の所望される増加へフィルムコーティングすることができるように、200gのフィルム溶液を産生した。噴霧条件を34~36℃の排出口の気体温度に制御した。3%の所望される重量増加に到達するために、186.0gのフィルム溶液を適用した。
【表22】
【0167】
57のミニ錠剤(100mgのスプラタスト塩基に対応する)を、USP2パドル装置(USPパドル溶出試験方法)を使用して溶解について試験した。各々の容器は600mlの等張塩化ナトリウム溶液を含有し、75rpmで撹拌した。サンプルを280nmのUVによって分析した。放出プロフィールを
図6中で示す。
【0168】
実施例12
実施例11からの57の即時放出(IR)トシル酸スプラタストミニ錠剤および実施例10からの50のフィルムコーティングされた継続放出(SR)トシル酸スプラタストミニ錠剤を混合し、ハードシェルゼラチンカプセルサイズ000の中へ充填した。その時カプセルは100mgのスプラタスト塩基IR+100mgのスプラタスト塩基SRの用量を保持し、そこで、活性構成要素は、開始時の用量によりおよび用量の残りは12時間にわたって放出された。投薬レジメンは1日2回である。カプセルを、USP2パドル装置(USPパドル溶出試験方法)を使用して溶解について試験した。各々の容器は600mlの等張塩化ナトリウム溶液を含有し、75rpmで撹拌した。サンプルを280nmのUVによって分析した。放出プロフィールを
図7中で示す。
【0169】
実施例13
トシル酸スプラタストを、微結晶性セルロースおよびヒプロメロース4000と、1Lの高剪断ミキサー中で2分間混合した。適切な湿度まで、純水中のクエン酸の0.1%の溶液を13分間にわたって混合しながら徐々に添加した。産生された粒子を40℃で12時間キャビネット中で乾燥した。粒子を1.0mmのスクリーンを介してふるいにかけた。
【表23】
【0170】
産生されたスプラタスト粒を、ヒプロメロース4000、二酸化ケイ素およびステアリン酸マグネシウムと混合した。混合物を8mmの円形工具で錠剤へ圧縮し、各々の錠剤は約267mgの重量を備えた錠剤であり、各々は100mgのスプラタスト塩基を保持していた。
【表24】
【0171】
スプラタスト錠剤を、エチルセルロースに基づく半透過性バリアフィルムにより有孔ドラムコーティング装置中でフィルムコーティングした。フィルム組成を以下の表中で示す。200gのコア錠剤のために、産生損失のための10%の過剰を含めて7.0%の錠剤重量の所望される増加へフィルムコーティングすることができるように、250gのフィルム溶液を産生した。噴霧条件を27~29℃の産物の気体温度に制御した。所望される重量増加に到達するために、154gのフィルム溶液を適用した。
【表25】
【0172】
バリアコーティングされたスプラタスト錠剤を、トシル酸スプラタストを含有する即時放出フィルムにより有孔ドラムコーティング装置中でフィルムコーティングした。フィルム組成を以下の表中で示す。200gのコア錠剤のために、所望される50mgのスプラタスト塩基へフィルムコーティングすることができるように、600gのフィルム溶液を産生した。噴霧条件を40~42℃の産物の気体温度に一致させるように制御した。スプラタスト塩基の所望される用量に到達するために、598.1gのフィルム溶液を、産生損失のための5%の過剰を含めて適用する。
【表26】
【0173】
錠剤を、USP2パドル装置(USPパドル溶出試験方法)を使用して溶解について試験した。各々の容器は600mlの等張塩化ナトリウム溶液を含有し、75rpmで撹拌した。サンプルを280nmのUVによって分析した。その時錠剤は50mgのスプラタスト塩基IR+100mgのスプラタスト塩基SRを含有し、そこで、活性構成要素は、開始時の用量によりおよび用量の残りは12時間にわたって放出される。投薬レジメンは2つの錠剤を1日2回である。放出プロフィールを
図8中で示す。
【0174】
実施例14
実施例13からのスプラタスト粒を、以下の表中で与えられるように、ヒプロメロース4000、二酸化ケイ素およびステアリン酸マグネシウムと混合した。錠剤混合物を8×18.8mmの楕円形工具で錠剤へ圧縮し、各々の錠剤は約779,5mgの重量を備えた錠剤であり、各々は250mgのスプラタスト塩基を保持していた。
【表27】
【0175】
スプラタスト錠剤を、エチルセルロースに基づく半透過性バリアフィルムにより有孔ドラムコーティング装置中でフィルムコーティングした。フィルム組成を以下の表中で示す。225gのコア錠剤のために、産生損失のための10%の過剰を含めて6.0%の錠剤重量の所望される増加へフィルムコーティングすることができるように、250gのフィルム溶液を産生した。噴霧条件を27~29℃の産物の気体温度に制御した。所望される重量増加に到達するために、165.0gのフィルム溶液を適用した。
【表28】
【0176】
バリアコーティングされたスプラタスト錠剤を、トシル酸スプラタストを含有する即時放出フィルムにより有孔ドラムコーティング装置中でフィルムコーティングした。フィルム組成を以下の表中で示す。225gのコア錠剤のために、50mgのスプラタスト塩基に対応する錠剤重量の所望される増加へフィルムコーティングすることができるように、400gのフィルム溶液を産生した。噴霧条件を40~42℃の産物の気体温度に一致させるように制御した。所望される重量増加に到達するために、358.5gのフィルム溶液を、産生損失のための5%の過剰を含めて適用した。
【表29】
【0177】
錠剤を、USP2パドル装置(USPパドル溶出試験方法)を使用して溶解について試験した。各々の容器は600mlの等張塩化ナトリウム溶液を含有し、75rpmで撹拌した。サンプルを280nmのUVによって分析した。その時錠剤は50mgのスプラタスト塩基IR+250mgのスプラタスト塩基SRの用量を保持し、そこで、活性構成要素は、開始時の用量によりおよび用量の残りは経時的に放出された。放出プロフィールを
図9中で示す。放出時間は、バリヤーコーティングのフィルム厚の調整によってより速い放出へ調整され得る。
【0178】
実施例15
実施例13からのスプラタスト粒を、以下の表中で与えられるように、微結晶性セルロース、ラクトース、クロスカルメロースおよびステアリン酸マグネシウムと混合して、錠剤混合物IRを構成した。
【表30】
【0179】
実施例13からのスプラタスト粒を、以下の表中で与えられるように、ヒプロメロース4000、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムと混合して、錠剤混合物SRを構成する。
【表31】
【0180】
10×22mmの工具を使用して二層錠剤プレス上で、錠剤混合物SRを層1(760mg)として圧縮し、錠剤混合物IRを層2(304mg)として圧縮する。各々の錠剤重量は約1064mgであり、各々は、即時放出のために100mgのスプラタスト塩基および12時間にわたる放出のために200mgのスプラタスト塩基を保持する。
【0181】
錠剤を、USP2パドル装置(USPパドル溶出試験方法)を使用して溶解について試験した。各々の容器は600mlの等張塩化ナトリウム溶液を含有し、75rpmで撹拌した。サンプルを280nmのUVによって分析した。その時錠剤は100mgのスプラタスト塩基IR+200mgのスプラタスト塩基SRの用量を保持し、そこで、活性構成要素は、開始時の用量によりおよび用量の残りは12時間にわたって放出された。放出プロフィールを
図10中で示す。投薬レジメンは1つの錠剤を1日2回である。
以下の付記を開示する。
(付記1)式(I)の化合物:
【化6】
または薬学的に許容されるその塩、エステル、プロドラッグ、前駆体または結晶形態を含む医薬組成物であって、
a.化合物を含み、化合物の持続放出を提供する、第1の放出構成要素と、
b.化合物を含み、化合物の即時放出を提供する、第2の放出構成要素と、
を、分離してまたは一緒に含む、組成物。
(付記2)トシル酸スプラタストがラセミ化合物であり、および/または、
トシル酸スプラタストが、(+)-トシル酸スプラタスト鏡像異性体であるかまたはそれを含み、および/または、
トシル酸スプラタストが、(-)-トシル酸スプラタスト鏡像異性体であるかまたはそれを含む、
付記1に記載の組成物。
(付記3)医薬組成物が医薬投薬形態である、付記1および2のいずれか一項に記載の組成物。
(付記4)組成物が、固体投薬形態、経口投薬形態、および/または経口固体投薬形態である、付記1~3のいずれか一項に記載の組成物。
(付記5)組成物が、錠剤、ミニ錠剤、マイクロ錠剤、球体、ペレット、顆粒およびカプセルからなる群から選択され、および/または、
組成物がコーティング(フィルムコーティング等)を含み、および/または、
組成物が、コーティングされた錠剤、コーティングされたミニ錠剤、コーティングされたマイクロ錠剤、コーティングされた球体、コーティングされたペレット、コーティングされた顆粒およびコーティングされたカプセルからなる群から選択される、
付記1~4のいずれか一項に記載の組成物。
(付記6)組成物が、第1の放出構成要素および第2の放出構成要素を、分離した区画または層中で含み、および/または、
組成物が、
a.化合物の持続放出を提供する内部コアである、第1の放出構成要素と、
b.化合物の即時放出を提供する外部のコーティングまたは層である、第2の放出構成要素と、
を含み、そこで、第2の放出構成要素の外部のコーティングまたは層が第1の放出構成要素の内部コアの上へ適用され、および/または、
組成物が、
a.化合物の持続放出を提供する錠剤、ミニ錠剤、球体、ペレットまたは顆粒である、第1の放出構成要素と、
b.錠剤、ミニ錠剤、球体、ペレットまたは顆粒上の外部コーティングであり、化合物の即時放出を提供する、第2の放出構成要素と、
を含み、および/または、
組成物が、
a.化合物の持続放出を提供する外部層である、第1の放出構成要素と、
b.化合物の即時放出を提供する内部コアである、第2の放出構成要素と、
を含み、そこで、第1の放出構成要素の外部のコーティングまたは層が第2の放出構成要素の内部コアの上へ適用される、
付記1~5のいずれか一項に記載の組成物。
(付記7)組成物が、
a.化合物の持続放出を提供する第1の放出層と、
b.化合物の即時放出を提供する第2の放出層と、
を含み、
そこで、各々の層が同じ錠剤内に存在する、
二層化された錠剤である、付記1~6のいずれか一項に記載の組成物。
(付記8)組成物が、2つ以上の投薬形態を分離してまたは一緒に含む多重微粒子投薬形態である、付記1~7のいずれか一項に記載の組成物。
(付記9)組成物が、
a.1つまたは複数の持続放出の錠剤、ミニ錠剤、顆粒またはペレットである、第1の放出構成要素と、
b.1つまたは複数の即時放出の錠剤、ミニ錠剤、顆粒またはペレットである、第2の放出構成要素と、
を含み、および/または、
組成物が、
a.半透過性フィルムを含む1つまたは複数の持続放出の錠剤またはミニ錠剤である、第1の放出構成要素と、
b.可溶性フィルムを含む1つまたは複数の即時放出の錠剤またはミニ錠剤である、第2の放出構成要素と、
を含み、および/または、
組成物が、
a.複数の持続放出の錠剤、ミニ錠剤、顆粒またはペレットである、第1の放出構成要素と、
b.複数の即時放出の錠剤、ミニ錠剤、顆粒またはペレットである、第2の放出構成要素と、
を含み、そこで、第1の放出構成要素および第2の放出構成要素が、適切な容器(カプセル、パウチ、分包またはスティックパック等)中で一緒に提供される、
付記1~8のいずれか一項に記載の組成物。
(付記10)最初に第2の放出構成要素からの即時放出が、続いておよび随意にオーバーラップして、第1の放出構成要素からの持続放出が起こり、および/または、
第2の放出構成要素からの即時放出および第1の放出構成要素からの持続放出が、同時に起こり、および/または、
最初に第1の放出構成要素からの持続放出が、続いておよび随意にオーバーラップして、第2の放出構成要素からの即時放出が起こる、
付記1~9のいずれか一項に記載の組成物。
(付記11)第1の放出構成要素(ER)が、50~500mgのトシル酸スプラタストまたは薬学的に許容されるその塩またはエステル(50~100mg、100~150mg、150~200mg、200~250mg、250~300mg、300~350mg、350~400mg、400~450mg、450~500mg等;50mg、100mg、150mg、200mg、250mg、300mg、350mg、400mg、450mgまたは500mg等のトシル酸スプラタストまたは薬学的に許容されるその塩またはエステル)の投薬量を含み;
第2の放出構成要素(IR)が、25~250mgのトシル酸スプラタストまたは薬学的に許容されるその塩またはエステル(25~50mg、50~75mg、75~100m、100~150mg、150~200mg、200~250mg等;25mg、50mg、75mg、100mg、150mg、200mgまたは250mg等のトシル酸スプラタストまたは薬学的に許容されるその塩またはエステル)の投薬量を含む、
付記1~10のいずれか一項に記載の組成物。
(付記12)第1の放出構成要素および第2の放出構成要素が各々、1つまたは複数の賦形剤を含み、および/または、
第1の放出構成要素および第2の放出構成要素が各々、1つまたは複数の放出制御賦形剤を含む、
付記1~11のいずれか一項に記載の組成物。
(付記13)第1の放出構成要素が、持続放出を提供する1つまたは複数の放出制御賦形剤を含み、および/または、
第2の放出構成要素が、即時放出を提供する賦形剤(フィルム形成賦形剤等)を含む、
付記1~12のいずれか一項に記載の組成物。
(付記14)組成物が、1つまたは複数のさらなる医薬品有効成分を分離してまたは一緒に含む、付記1~13のいずれか一項に記載の組成物。
(付記15)組成物が、1日1回(朝にまたは夜/睡眠の前に等)投与される予定であり、および/または、
組成物が、1日2回(朝におよび夜/睡眠の前に等)投与される予定であり、および/または、
組成物が、朝におよび/または夜/睡眠の前に;疾患の急性症状を緩和するために要求に応じてまたは必要に応じて、投与される予定である、
付記1~14のいずれか一項に記載の組成物。