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特許7330976金属製品の製造方法及び金属製品の製造装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-14
(45)【発行日】2023-08-22
(54)【発明の名称】金属製品の製造方法及び金属製品の製造装置
(51)【国際特許分類】
   B21D 43/00 20060101AFI20230815BHJP
【FI】
B21D43/00 V
B21D43/00 H
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020533443
(86)(22)【出願日】2019-07-22
(86)【国際出願番号】 JP2019028705
(87)【国際公開番号】W WO2020026876
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2022-04-20
(31)【優先権主張番号】P 2018146180
(32)【優先日】2018-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000144038
【氏名又は名称】株式会社三井ハイテック
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【弁理士】
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(74)【代理人】
【識別番号】100153969
【弁理士】
【氏名又は名称】松澤 寿昭
(72)【発明者】
【氏名】松尾 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】大場 克彦
(72)【発明者】
【氏名】松林 敏
(72)【発明者】
【氏名】蓮尾 裕介
【審査官】永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-191625(JP,A)
【文献】特開昭62-275535(JP,A)
【文献】特開平09-085496(JP,A)
【文献】特開昭54-085305(JP,A)
【文献】特開2013-220467(JP,A)
【文献】特開2009-125780(JP,A)
【文献】実開昭63-174929(JP,U)
【文献】特開2012-101276(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の金属板の先端部分に設けられている孔部内に規制部材を挿入することと、
前記規制部材前記孔部内に挿入されている状態で、前記金属板を搬送機構によって把持することと、
前記搬送機構が把持している前記金属板を下流側に向けて搬送することとを含む、金属製品の製造方法。
【請求項2】
前記孔部内に前記規制部材を挿入する前に、前記先端部分に前記孔部を形成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記金属板を下流側に向けて搬送することは、前記規制部材前記孔部内から抜去して、前記搬送機構が把持している前記金属板を下流側に向けて搬送することを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記孔部内に前記規制部材を挿入する前に、前記金属板の先端をストッパ部材に当接させることをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記規制部材の外形は前記孔部の内寸よりも小さい、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記金属板の搬送方向における前記規制部材と前記孔部との間のクリアランスは、前記金属板のうち前記搬送方向において製品となる領域同士の間隔の1/2よりも小さい、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記孔部は、前記先端部分に設けられた貫通孔、前記金属板の先端に設けられた切欠、又は前記先端部分の側縁に設けられた切欠である、請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記孔部は前記金属板のうち製品とならない領域に形成されている、請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記孔部の一部は前記金属板のうち製品となる領域に重なり合うように形成されている、請求項いずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
帯状の金属板の先端をストッパ部材に当接させること
前記金属板の先端を前記ストッパ部材に当接させることの後に、前記金属板の先端部分の側縁に設けられている切欠内に規制部材を挿入して、前記金属板の幅方向において前記先端部分を前記規制部材によって押圧することと、
前記先端部分が前記規制部材によって押圧されている状態で、前記金属板を搬送機構によって把持することと、
前記搬送機構が把持している前記金属板を下流側に向けて搬送することとを含む金属製品の製造方法。
【請求項11】
前記切欠は、前記金属板の後端側に向かうにつれて前記金属板の幅方向外側に向かうように傾斜する傾斜縁を含み、
前記規制部材は前記傾斜縁に対応する傾斜部を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記先端部分を前記規制部材によって押圧させることの後で、且つ、前記金属板を下流側に向けて搬送することの前に、前記規制部材による前記先端部分の側縁の押圧を解除することをさらに含む、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
帯状の金属板の先端をストッパ部材に当接させること
前記金属板の先端を前記ストッパ部材に当接させることの後に、前記金属板の先端部分における前記金属板の表面を規制部材によって押圧することと、
前記金属板の表面が前記規制部材によって押圧されている状態で、前記金属板を搬送機構によって把持することと、
前記搬送機構が把持している前記金属板を下流側に向けて搬送することとを含む、金属製品の製造方法。
【請求項14】
帯状の金属板を下流側に向けて搬送するように構成された搬送機構と、
前記金属板の先端部分設けられている孔部内に挿入可能と構成された規制部材と、
制御部とを備え、
前記制御部は、
前記規制部材前記孔部内に挿入されるように前記規制部材を制御する処理と、
前記規制部材前記孔部内に挿入されている状態で前記搬送機構が前記金属板を把持するように前記搬送機構を制御する処理と、
前記搬送機構が把持している前記金属板を下流側に向けて搬送するように、前記規制部材及び前記搬送機構を制御する処理とを実行するように構成されている、金属製品の製造装置。
【請求項15】
帯状の金属板を下流側に向けて搬送するように構成された搬送機構と、
前記金属板の先端部分における位置決め部と係合するように構成された規制部材と、
前記金属板の先端と当接するように構成されたストッパ部材と、
制御部とを備え、
前記制御部は、
前記金属板の先端に前記ストッパ部材が当接するように前記ストッパ部材を制御する処理と、
前記金属板の先端を前記ストッパ部材に当接した状態で、前記金属板の先端部分の側縁に設けられている切欠内に前記規制部材を挿入して、前記金属板の幅方向において前記先端部分を前記規制部材によって押圧するように、前記規制部材を制御する処理と、
前記先端部分が前記規制部材によって押圧されている状態で、前記搬送機構が前記金属板を把持するように前記搬送機構を制御する処理と、
前記搬送機構が把持している前記金属板を下流側に向けて搬送するように、前記ストッパ部材、前記規制部材及び前記搬送機構を制御する処理とを実行するように構成されている、金属製品の製造装置。
【請求項16】
帯状の金属板を下流側に向けて搬送するように構成された搬送機構と、
前記金属板の先端部分における位置決め部と係合するように構成された規制部材と、
前記金属板の先端と当接するように構成されたストッパ部材と、
制御部とを備え、
前記制御部は、
前記金属板の先端に前記ストッパ部材が当接するように前記ストッパ部材を制御する処理と、
前記金属板の先端を前記ストッパ部材に当接した状態で、前記金属板の先端部分における前記金属板の表面を前記規制部材によって押圧するように、前記規制部材を制御する処理と、
前記金属板の表面が前記規制部材によって押圧されている状態で、前記搬送機構が前記金属板を把持するように前記搬送機構を制御する処理と、
前記搬送機構が把持している前記金属板を下流側に向けて搬送するように、前記ストッパ部材、前記規制部材及び前記搬送機構を制御する処理とを実行するように構成されている、金属製品の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、金属製品の製造方法及び金属製品の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、帯状の金属板(例えば、電磁鋼板)の先端部分が所定形状となるように当該先端部分を打ち抜く先端加工装置を開示している。先端部分が打ち抜かれた金属板は、通常、搬送機構によってクランプされた状態で、下流側に位置する金型に搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平07-204754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、搬送機構による金属板のクランプの際に、金属板が搬送方向にずれることがある。この場合、下流側に位置する金型の打抜パンチが金属板の先端にかかってしまい、不良品が発生しうる。一方で、近年、金属板の材料歩留まりを極力高める観点から、金属板のうち製品となる領域同士の間の部分(桟部分)が小さくなるように設定される傾向にある。この場合、金属板からより多くの打抜部材が得られるものの、搬送方向において金属板が多少ずれただけで不良品が発生してしまう。そのため、不良品の発生率が高まり、歩留まりの向上が抑制されてしまいうる。
【0005】
そこで、本開示は、不良品の発生を抑制しつつ歩留まりの向上を図ることが可能な金属製品の製造方法及び金属製品の製造装置を説明する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一つの観点に係る金属製品の製造方法は、帯状の金属板の先端部分が含む位置決め部と規制部材とを係合させることと、規制部材と位置決め部とが係合している状態で、金属板を搬送機構によって把持することと、搬送機構が把持している金属板を下流側に向けて搬送することとを含む。
【0007】
本開示の他の観点に係る金属製品の製造装置は、帯状の金属板を下流側に向けて搬送するように構成された搬送機構と、金属板の先端部分が含む位置決め部と係合するように構成された規制部材と、制御部とを備える。制御部は、規制部材と位置決め部とが係合するように規制部材を制御する処理と、規制部材と位置決め部とが係合している状態で搬送機構が金属板を把持するように搬送機構を制御する処理と、搬送機構が把持している金属板を下流側に向けて搬送するように、規制部材及び搬送機構を制御する処理とを実行する。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る金属製品の製造方法及び金属製品の製造装置によれば、不良品の発生を抑制しつつ歩留まりの向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、固定子積層鉄心の一例を示す斜視図である。
図2図2は、固定子積層鉄心の製造装置の一例を示す概略図である。
図3図3は、先端加工装置の一例を示す概略図である。
図4図4は、打抜装置の一例を示す概略図である。
図5図5は、電磁鋼板の先端部分を加工する方法の一例を説明するための図である。
図6図6は、電磁鋼板の位置決め方法の一例を説明するための図である。
図7図7は、打抜加工のレイアウトの一例を示す図である。
図8図8は、電磁鋼板の位置決め方法の他の例を説明するための図である。
図9図9は、電磁鋼板の位置決め方法の他の例を説明するための図である。
図10図10は、電磁鋼板の位置決め方法の他の例を説明するための図である。
図11図11は、電磁鋼板の位置決め方法の他の例を説明するための図である。
図12図12は、電磁鋼板の位置決め方法の他の例を説明するための図である。
図13図13は、電磁鋼板の位置決め方法の他の例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本開示に係る実施形態の一例について、図面を参照しつつより詳細に説明する。以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0011】
[固定子積層鉄心の構成]
まず、図1を参照して、固定子積層鉄心1の構成について説明する。固定子積層鉄心1は、固定子(ステータ)の一部である。固定子は、固定子積層鉄心1に巻線が取り付けられたものである。固定子が回転子(ロータ)と組み合わされることにより、モータが構成される。固定子積層鉄心1は、図1に示されるように、円筒形状を呈している。すなわち、固定子積層鉄心1の中央部分には、中心軸Axに沿って延びる貫通孔1a(中心孔)が設けられている。貫通孔1a内には、回転子が配置可能である。
【0012】
固定子積層鉄心1は、複数の打抜部材Wが積み重ねられた積層体である。打抜部材Wは、後述する帯状の電磁鋼板ES(金属板)が所定形状に打ち抜かれた板状体である。固定子積層鉄心1は、いわゆる転積によって構成されていてもよい。「転積」とは、打抜部材W同士の角度を相対的にずらしつつ、複数の打抜部材Wを積層することをいう。転積は、主に固定子積層鉄心1の板厚偏差を相殺することを目的に実施される。転積の角度は、任意の大きさに設定してもよい。
【0013】
固定子積層鉄心1は、ヨーク部2と、複数のティース部3と、複数のカシメ部4とを含む。ヨーク部2は、円環状を呈しており、中心軸Axを囲むように延びている。ヨーク部2の径方向における幅、内径、外径及び厚さはそれぞれ、モータの用途及び性能に応じて種々の大きさに設定しうる。
【0014】
各ティース部3は、ヨーク部2の内縁から中心軸Ax側に向かうようにヨーク部2の径方向に沿って延びている。すなわち、各ティース部3は、ヨーク部2の内縁から中心軸Ax側に向けて突出している。固定子積層鉄心1においては、12個のティース部3がヨーク部2に一体的に形成されている。各ティース部3は、ヨーク部2の周方向において、略等間隔で並んでいる。隣り合うティース部3の間には、巻線(図示せず)を配置するための空間として機能するスロット5が画定されている。
【0015】
カシメ部4は、ヨーク部2に設けられていてもよいし、各ティース部3に設けられていてもよいし、ヨーク部2及び各ティース部3の双方に設けられていてもよい。高さ方向において隣り合う打抜部材W同士は、カシメ部4によって締結されている。具体的には、カシメ部4は、固定子積層鉄心1の最下層以外をなす打抜部材Wに形成されたカシメ(図示せず)と、固定子積層鉄心1の最下層をなす打抜部材Wに形成された貫通孔(図示せず)とを含む。カシメの凸部は、隣り合う他のカシメの凹部又は貫通孔と接合される。貫通孔は、固定子積層鉄心1を連続して製造する際、既に製造された固定子積層鉄心1に対し、続いて形成された打抜部材Wがカシメによって締結されるのを防ぐ機能を有する。
【0016】
複数の打抜部材W同士は、カシメ部4に代えて、種々の公知の方法にて締結されてもよい。複数の打抜部材W同士は、例えば、接着剤又は樹脂材料を用いて互いに接合されてもよいし、溶接によって互いに接合されてもよい。あるいは、打抜部材Wに仮カシメを設け、仮カシメを介して複数の打抜部材Wを締結して積層体を得た後、仮カシメを当該積層体から除去することによって、固定子積層鉄心1を得てもよい。なお、「仮カシメ」とは、複数の打抜部材Wを一時的に一体化させるのに使用され且つ製品(固定子積層鉄心1又は固定子)を製造する過程において取り除かれるカシメを意味する。
【0017】
[固定子積層鉄心の製造装置]
続いて、図2を参照して、固定子積層鉄心1の製造装置100について説明する。製造装置100は、電磁鋼板ES(被加工板)から固定子積層鉄心1を製造するための装置である。製造装置100は、アンコイラー110と、送出装置120(搬送機構)と、先端加工装置130(加工機構)と、打抜装置140と、コントローラCtr(制御部)とを備える。
【0018】
アンコイラー110は、コイル状に巻回された帯状の電磁鋼板ESであるコイル材111が装着された状態で、コイル材111を回転自在に保持する。送出装置120は、電磁鋼板ESを上下から挟み込む一対のローラ121,122を有する。一対のローラ121,122は、コントローラCtrからの指示信号に基づいて回転及び停止し、電磁鋼板ESを先端加工装置130に向けて間欠的に順次搬送する。なお、アンコイラー110は、電磁鋼板ESを上流側から下流側に向けて送り出すように構成されていてもよいし、電磁鋼板ESを上流側から下流側へと引き込むように構成されていてもよいし、これらの組み合わせであってもよい。
【0019】
先端加工装置130は、コントローラCtrからの指示信号に基づいて動作する。先端加工装置130は、送出装置120によって間欠的に搬送される電磁鋼板ESの先端部分ESaを所定形状に加工する機能を有する。
【0020】
打抜装置140は、コントローラCtrからの指示信号に基づいて動作する。打抜装置140は、送出装置120によって間欠的に搬送される電磁鋼板ESを順次打抜加工して打抜部材Wを形成する機能と、打抜加工によって得られた打抜部材Wを順次積層して固定子積層鉄心1を製造する機能とを有する。
【0021】
コントローラCtrは、例えば、記録媒体(図示せず)に記録されているプログラム又はオペレータからの操作入力等に基づいて、送出装置120、先端加工装置130及び打抜装置140をそれぞれ動作させるための指示信号を生成し、これらに送信する。
【0022】
[先端加工装置]
続いて、図3を参照して、先端加工装置130についてより詳しく説明する。先端加工装置130は、ベース131と、下型132と、ダイプレート133と、ストリッパ134と、上型135と、天板136、プレス機137と、吊り具138と、パンチA1,A2とを含む。
【0023】
ベース131は、ベース131に載置された下型132を支持する。下型132は、下型132に載置されたダイプレート133を支持する。下型132には、電磁鋼板ESから打ち抜かれた材料(例えば廃材等)が排出される排出孔C1,C2が、パンチA1,A2に対応する位置にそれぞれ設けられている。
【0024】
ダイプレート133は、パンチA1,A2と共に、先端部分ESaを加工する機能を有する。ダイプレート133には、パンチA1,A2に対応する位置にダイD1,D2がそれぞれ設けられている。各ダイD1,D2にはそれぞれ、上下方向に延びる貫通孔D1a,D2a(ダイ孔)が設けられている。各貫通孔D1a,D2aはそれぞれ、対応する排出孔C1,C2と連通している。各貫通孔D1a,D2aの径は、対応するパンチA1,A2の先端部が挿通可能で且つ当該先端部よりも若干大きく設定されている。
【0025】
ストリッパ134は、パンチA1,A2で電磁鋼板ESを加工する際にパンチA1,A2に食いついた電磁鋼板ESをパンチA1,A2から取り除く機能を有する。ストリッパ134には、パンチA1,A2に対応する位置に貫通孔F1,F2がそれぞれ設けられている。各貫通孔F1,F2はそれぞれ、上下方向に延びると共に、対応するダイD1,D2の貫通孔D1a,D2aと連通する。各貫通孔F1,F2内にはそれぞれ、パンチA1,A2の下部が挿通されている。パンチA1,A2の当該下部はそれぞれ、各貫通孔F1,F2内においてスライド可能である。
【0026】
上型135は、ストリッパ134の上方に位置している。上型135には、パンチA1,A2の基部(上部)が固定されている。そのため、上型135は、パンチA1,A2を保持している。上型135のうち先端加工装置130の上流側及び下流側にはそれぞれ、天板136側に位置し且つ上下方向に延びる収容空間135aと、収容空間135aから下方に向けて貫通する貫通孔135bとが設けられている。
【0027】
天板136は、上型135の上方に位置している。天板136は、上型135を保持している。プレス機137は、天板136の上方に位置している。プレス機137のピストンは、天板136に接続されており、コントローラCtrからの指示信号に基づいて動作する。プレス機137が動作すると、ピストンが伸縮して、ストリッパ134、上型135、天板136、吊り具138及びパンチA1,A2(以下、これらを可動部139という。)が全体的に上下動する。
【0028】
吊り具138は、ストリッパ134を上型135に吊り下げて保持する。吊り具138は、長尺のロッド部138aと、ロッド部138aの上端に設けられた頭部138bとを有する。ロッド部138aの下端部は、ストリッパ134に固定されている。ロッド部138aの上端部は、上型135の貫通孔135bに挿通されている。頭部138bは、下端部よりも径が大きく、上型135の収容空間135a内に収容されている。そのため、頭部138bは、収容空間135a内において上型135に対して上下動可能である。
【0029】
パンチA1,A2は、ダイプレート133(ダイD1,D6)と共に、先端部分ESaを加工する機能を有する。パンチA1,A6は、先端加工装置130の上流側(送出装置120側)から下流側に向けてこの順に並ぶように配置されている。
【0030】
[打抜装置]
続いて、図4を参照して、打抜装置140について説明する。打抜装置140は、ベース141と、下型142と、ダイプレート143と、ストリッパ144と、上型145と、天板146、プレス機147と、吊り具148と、パンチA3~A7と、位置決めピンB1~B4と、昇降ピンG1,G2とを含む。
【0031】
ベース141は、ベース141に載置された下型142を支持する。下型142は、下型142に載置されたダイプレート143を支持する。下型142には、電磁鋼板ESから打ち抜かれた材料(例えば、打抜部材W、廃材等)が排出される排出孔C3~C7が、パンチA3~A7に対応する位置にそれぞれ設けられている。排出孔C7内には、電磁鋼板ESから打ち抜かれた打抜部材Wを支持するシリンダが配置されている。当該シリンダ上において、カシメ部4同士が締結されながら複数の打抜部材Wが積層され、固定子積層鉄心1が形成される。形成された固定子積層鉄心1は、打抜装置140の外に払い出される。
【0032】
ダイプレート143は、パンチA3~A7と共に、打抜部材Wを成形する機能を有する。ダイプレート143には、パンチA3~A7に対応する位置にダイD3~D7がそれぞれ設けられている。各ダイD3~D7には、上下方向に延びる貫通孔D3a~D7a(ダイ孔)が設けられている。各貫通孔D3a~D7aはそれぞれ、対応する排出孔C3~C7と連通している。各貫通孔D3a~D7aの径は、対応するパンチA3~A7の先端部が挿通可能で且つ当該先端部よりも若干大きく設定されている。
【0033】
ダイプレート143には、位置決めピンB1~B4に対応する位置に挿通孔E1~E4がそれぞれ設けられている。ダイプレート143には、ダイD3の上流側に、昇降ピンG1,G2が挿通される挿通孔E5,E6が設けられている。
【0034】
ストリッパ144は、パンチA3~A7で電磁鋼板ESを打ち抜く際にパンチA3~A7に食いついた電磁鋼板ESをパンチA3~A7から取り除く機能を有する。ストリッパ144は、ダイD3~D7と重なり合うが昇降ピンG1,G2とは重なり合わないように、上流側から下流側に向けて延びている。
【0035】
ストリッパ144には、パンチA3~A7に対応する位置に貫通孔F3~F7がそれぞれ設けられている。各貫通孔F3~F7はそれぞれ、上下方向に延びると共に、対応するダイD3~D7の貫通孔D3a~D7aと連通する。各貫通孔F3~F7内にはそれぞれ、パンチA3~A7の下部が挿通されている。パンチA3~A7の当該下部はそれぞれ、各貫通孔F3~F7内においてスライド可能である。
【0036】
ストリッパ144には、位置決めピンB1~B4に対応する位置に貫通孔F8~F11がそれぞれ設けられている。各貫通孔F8~F11はそれぞれ、上下方向に延びると共に、対応する挿通孔E1~E4と連通する。各貫通孔F8~F11内にはそれぞれ、位置決めピンB1~B4の下部が挿通されている。位置決めピンB1~B4の当該下部はそれぞれ、各貫通孔F8~F11内においてスライド可能である。
【0037】
上型145は、ストリッパ144の上方に位置している。上型145には、パンチA3~A7及び位置決めピンB1~B4の基部(上部)が固定されている。そのため、上型145は、パンチA3~A7及び位置決めピンB1~B4を保持している。上型145のうち打抜装置140の上流側及び下流側の各端部にはそれぞれ、天板146側に位置し且つ上下方向に延びる収容空間145aと、収容空間145aから下方に向けて貫通する貫通孔145bとが設けられている。
【0038】
天板146は、上型145の上方に位置している。天板146は、上型145を保持している。プレス機147は、天板146の上方に位置している。プレス機147のピストンは、天板146に接続されており、コントローラCtrからの指示信号に基づいて動作する。プレス機147が動作すると、ピストンが伸縮して、ストリッパ144、上型145、天板146、吊り具148、パンチA3~A7及び位置決めピンB1~B4(以下、これらを可動部149という。)が全体的に上下動する。
【0039】
吊り具148は、ストリッパ144を上型145に吊り下げて保持する。吊り具148は、長尺のロッド部148aと、ロッド部148aの上端に設けられた頭部148bとを有する。ロッド部148aの下端部は、ストリッパ144に固定されている。ロッド部148aの上端部は、上型145の貫通孔145bに挿通されている。頭部148bは、下端部よりも径が大きく、上型145の収容空間145a内に収容されている。そのため、頭部148bは、収容空間145a内において上型145に対して上下動可能である。
【0040】
パンチA3~A7は、ダイプレート143(ダイD3~D7)と共に、電磁鋼板ESを所定形状に打ち抜く機能を有する。パンチA3~A7はそれぞれ、打抜装置140の上流側(送出装置120側)から下流側に向けてこの順に並ぶように配置されている。
【0041】
電磁鋼板ESの幅方向(以下、単に「幅方向」という。)において、略同一形状の複数のパンチA1(例えば2つのパンチA1)が並んでいる。幅方向において、略同一形状の複数のパンチA2(例えば2つのパンチA2)が並んでいる。幅方向において、略同一形状の複数のパンチA3(例えば2つのパンチA3)が並んでいる。幅方向において、略同一形状の複数のパンチA4(例えば2つのパンチA4)が並んでいる。幅方向において、略同一形状の複数のパンチA5(例えば2つのパンチA5)が並んでいる。幅方向において、略同一形状の複数のパンチA6(例えば2つのパンチA6)が並んでいる。
【0042】
位置決めピンB1~B4は、パンチA3~A7によって電磁鋼板ESが打ち抜かれる際に電磁鋼板ESをダイプレート143に位置決めする機能を有する。位置決めピンB1~B4はそれぞれ、打抜装置140の上流側(送出装置120側)から下流側に向けてこの順に並ぶように配置されている。
【0043】
昇降ピンG1,G2はそれぞれ、挿通孔E5,E6を通じて昇降可能に構成されている。具体的には、昇降ピンG1,G2はそれぞれ、先端がダイプレート143よりも上方に位置する上昇位置と、先端が挿通孔E5,E6内に位置する下降位置との間で昇降する。
【0044】
昇降ピンG1(ストッパ部材)は、上昇位置にあるときに、電磁鋼板ESの先端縁ESb(後述する)と当接して、電磁鋼板ESを昇降ピンG1の位置で位置決めする機能を有する。換言すれば、昇降ピンG1は、搬送方向における電磁鋼板ESの移動を規制可能に構成されている。昇降ピンG2(規制部材)は、昇降ピンG1よりも上流側に位置している。昇降ピンG2は、昇降ピンG1によって搬送方向における移動が規制されている電磁鋼板ESに向けて上昇し、電磁鋼板ESの先端部分ESaにおける位置決め部(詳しくは後述する)と係合する機能を有する。
【0045】
[固定子積層鉄心の製造方法]
続いて、図2図7を参照して、固定子積層鉄心1の製造方法について説明する。まず、電磁鋼板ESが送出装置120によって先端加工装置130に搬送され、電磁鋼板ESの先端部分ESaがパンチA1,A2に到達すると、コントローラCtrがプレス機137に指示して、プレス機137が可動部139をダイプレート133に向けて下方に押し出す。ストリッパ134がダイプレート133に到達してこれらで電磁鋼板ESが挟持された後も、コントローラCtrはプレス機137への指示を継続し、プレス機137が可動部139を下方にさらに押し出す。
【0046】
このとき、ストリッパ134は移動しないが、パンチA1,A2の先端部はそれぞれ、ストリッパ134の貫通孔F1,F2内を移動して、ダイプレート133のうち対応するダイD1,D2の貫通孔D1a,D2aに挿通される。そのため、先端部分ESaが打ち抜かれる。具体的には、図5に示されるように、パンチA1によって、電磁鋼板ESのうち製品とならない領域で且つ昇降ピンG2と対応する位置に貫通孔R1(位置決め部;孔部)が形成される。また、パンチA2によって、電磁鋼板ESの先端部分ESaが所定形状に打ち抜かれ、電磁鋼板ESの先端縁ESbが凹凸状となるように加工される。パンチA2により形成される凹凸状の先端縁ESbは、電磁鋼板ESのうち製品となる領域同士の間の部分(桟部分)を通るように延びている。パンチA1,A2によって打ち抜かれた廃材は、下型132の排出孔C1,C2から排出される。なお、パンチA2は、電磁鋼板ESに先端縁ESbを形成するように、先端部分ESaを切断してもよい。その後、プレス機137が動作して可動部139を上昇させる。可動部139は、一巻き分の電磁鋼板ESの後端が先端加工装置130を通過し、次の電磁鋼板ESの先端部分ESaが先端加工装置130によって加工されるまでの間、上昇したままとされる。
【0047】
次に、コントローラCtrが昇降ピンG1に指示して、昇降ピンG1を上昇位置まで上昇させる。次に、コントローラCtrが送出装置120に指示して、先端縁ESbが昇降ピンG1に当接するまで電磁鋼板ESを下流側に搬送する(図6参照)。次に、コントローラCtrが送出装置120に指示して、ローラ121,122による電磁鋼板ESのクランプを解除する。なお、ここでの電磁鋼板ESの搬送は、ローラ121,122による電磁鋼板ESのクランプを解除した状態で、人手によって行われてもよい。次に、先端縁ESbが昇降ピンG1に当接した状態で、コントローラCtrが昇降ピンG2に指示して、昇降ピンG2を上昇位置まで上昇させる。これにより、貫通孔R1内に昇降ピンG2が挿通される(同参照)。次に、コントローラCtrが送出装置120に指示して、ローラ121,122により電磁鋼板ESを再びクランプする。次に、コントローラCtrが昇降ピンG1,G2に指示して、昇降ピンG1,G2を下降位置まで下降させる。
【0048】
次に、コントローラCtrが送出装置120に指示して、電磁鋼板ESの被加工部位がパンチA3に到達するまで電磁鋼板ESを下流側に搬送する。次に、コントローラCtrがプレス機147に指示して、可動部149を昇降させる。これにより、幅方向に並ぶ複数のパンチA3によって電磁鋼板ESが所定形状に沿って打ち抜かれ、電磁鋼板ESの両側縁近傍に一対の貫通孔R3が形成される(図4及び図7の位置S1参照)。打ち抜かれた廃材は、下型142の排出孔C3から排出される。
【0049】
次に、コントローラCtrが送出装置120に指示して、電磁鋼板ESの被加工部位がパンチA4に到達するまで電磁鋼板ESを下流側に搬送する。次に、コントローラCtrがプレス機147に指示して、可動部149を昇降させる。これにより、幅方向に並ぶ複数のパンチA4によって電磁鋼板ESが所定形状に沿って打ち抜かれ、打抜部R4,R4が幅方向に並ぶように形成される(図4及び図7の位置S3参照)。打ち抜かれた廃材は、下型142の排出孔C4から排出される。パンチA4による電磁鋼板ESの打ち抜きの際、貫通孔R3内には位置決めピンB1,B2が挿通される(図4及び図7の位置S2,S4参照)。
【0050】
打抜部R4,R4はそれぞれ、円形状に並ぶ複数の貫通孔によって構成されている。各貫通孔は、スロット5に対応している。
【0051】
次に、コントローラCtrが送出装置120に指示して、電磁鋼板ESの被加工部位がパンチA5に到達するまで電磁鋼板ESを下流側に搬送する。次に、コントローラCtrがプレス機147に指示して、可動部149を昇降させる。これにより、幅方向に並ぶ複数のパンチA5によって電磁鋼板ESが所定形状に沿って打ち抜かれ、打抜部R5,R5が幅方向に並ぶように形成される(図4及び図7の位置S5参照)。打ち抜かれた廃材は、下型142の排出孔C5から排出される。パンチA5による電磁鋼板ESの打ち抜きの際、貫通孔R3内には位置決めピンB2,B3が挿通される(図4及び図7の位置S4,S6参照)。
【0052】
打抜部R5,R5はそれぞれ、円形状に並ぶ複数の貫通孔によって構成されている。打抜部R5を構成する各貫通孔は、打抜部R4を構成する複数の貫通孔の間に一つずつ位置している。打抜部R5を構成する各貫通孔は、打抜部R4を構成する複数の貫通孔の間に一つずつ位置している。打抜部R5,R5の各貫通孔は、カシメ部4の貫通孔に対応している。なお、カシメ部4のカシメを形成する場合には、パンチA5による電磁鋼板ESの打ち抜きが行われない。
【0053】
次に、コントローラCtrが送出装置120に指示して、電磁鋼板ESの被加工部位がパンチA6に到達するまで電磁鋼板ESを下流側に搬送する。次に、コントローラCtrがプレス機147に指示して、可動部149を昇降させる。これにより、幅方向に並ぶ複数のパンチA6によって電磁鋼板ESが所定形状に沿って加工され、加工部R6,R6が幅方向に並ぶように形成される(図4及び図7の位置S7参照)。このとき、加工部R6の形成に際して、貫通孔R1を含む領域が電磁鋼板ESから打ち抜かれる。加工部R6,R6のうち打ち抜かれた廃材は、下型142の排出孔C6から排出される。パンチA6による電磁鋼板ESの打ち抜きの際、貫通孔R3内には位置決めピンB3,B4が挿通される(図4及び図7の位置S6,S8参照)。
【0054】
加工部R6,R6はそれぞれ、円形状に並ぶ複数の凹凸部と、その中央に位置する一つの貫通孔によって構成されている。加工部R6を構成する各凹凸部は、打抜部R4を構成する複数の貫通孔の間に一つずつ位置している。加工部R6を構成する各凹凸部は、打抜部R4を構成する複数の貫通孔の間に一つずつ位置している。各凹凸部は、カシメ部4のカシメに対応している。加工部R6,R6の各貫通孔は、貫通孔1aに対応している。
【0055】
次に、コントローラCtrが送出装置120に指示して、電磁鋼板ESの被加工部位がパンチA7に到達するまで電磁鋼板ESを下流側に搬送する。次に、コントローラCtrがプレス機147に指示して、可動部149を昇降させる。これにより、幅方向に並ぶ複数のパンチA6によって電磁鋼板ESが所定形状に沿って打ち抜かれ、打抜部R7,R7が幅方向に並ぶように形成される(図4及び図7の位置S9参照)。パンチA7による電磁鋼板ESの打ち抜きの際、貫通孔R3内には位置決めピンB4が挿通される(図4及び図7の位置S8参照)。
【0056】
各打抜部R7,R7は、打抜部材Wに対応している。電磁鋼板ESから打ち抜かれた各打抜部R7,R7は、打抜部材Wとして排出孔C7内において、既に打ち抜かれた打抜部材Wとカシメ部4を介して締結されつつ積層される。以上の工程が繰り返されることにより、固定子積層鉄心1が形成される。
【0057】
[作用]
以上の実施形態では、貫通孔R1が昇降ピンG2に係合した状態で電磁鋼板ESが送出装置120によって把持されるので、搬送方向における電磁鋼板ESのずれが抑制される。そのため、桟部分が小さく設定されたとしても、適切な位置で打抜加工が行われるので、不良品が発生し難くなる。従って、歩留まりの向上を図ることが可能となる。
【0058】
以上の実施形態では、昇降ピンG2による電磁鋼板ESの位置決めの前に、電磁鋼板ESの先端部分ESaに貫通孔R1を形成している。そのため、電磁鋼板ESのうち昇降ピンG2に対応する位置に予め貫通孔R1を形成することが可能となる。
【0059】
以上の実施形態では、貫通孔R1に昇降ピンG2を挿入することにより、貫通孔R1を昇降ピンG2に対して係合させている。そのため、搬送方向のみならず、幅方向(搬送方向に交差する方向)においても、電磁鋼板ESのずれが抑制される。従って、更なる歩留まりの向上を図ることが可能となる。
【0060】
以上の実施形態では、電磁鋼板ESの先端縁ESbを昇降ピンG1に当接させた状態で、貫通孔R1に昇降ピンG2を挿入している。そのため、昇降ピンG1にて搬送方向で位置決めされた電磁鋼板ESの貫通孔R1に対して、昇降ピンG2を容易に挿入することが可能となる。
【0061】
以上の実施形態では、貫通孔R1は電磁鋼板ESのうち製品(打抜部材W)とならない領域に形成されている。そのため、電磁鋼板ESの位置決めのために用いられる貫通孔R1が製品(固定子積層鉄心1)に影響を与えない。
【0062】
[変形例]
以上、本開示に係る実施形態について詳細に説明したが、特許請求の範囲及びその要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を上記の実施形態に加えてもよい。
【0063】
(1)図6に示されるように、昇降ピンG2の外形は、貫通孔R1の内寸よりも小さく設定されていてもよい。この場合、昇降ピンG2が貫通孔R1に挿入される際に、昇降ピンG2が貫通孔R1に引っかかり難くなる。そのため、電磁鋼板ESを予め正確に位置決めしていなくても、昇降ピンG2を貫通孔R1に容易に挿入することが可能となる。
【0064】
より具体的には、貫通孔R1と昇降ピンG2との間のクリアランスL1は、搬送方向における打抜部R7(後述する)同士又は打抜部R7(後述する)同士の間隔L2の1/2よりも小さく設定されていてもよい。この場合、昇降ピンG2が貫通孔R1に挿入されている状態で搬送方向において電磁鋼板ESがずれたとしても、そのずれが桟部分に収まり易くなる。そのため、不良品の発生を更に抑制することが可能となる。
【0065】
(2)上記の実施形態において、先端加工装置130がパンチA1を含んでおらず、打抜装置140が昇降ピンG2を含んでおらず、電磁鋼板ESに貫通孔R1が形成されなくてもよい。この例において、昇降ピンG1に先端縁ESbが当接することにより電磁鋼板ESの位置決めが行われてもよい。すなわち、昇降ピンG1が規制部材として機能し、先端縁ESbが位置決め部として機能してもよい。この場合、少なくとも搬送方向において電磁鋼板ESが位置決めされる。そのため、極めて簡易な手法により、電磁鋼板ESのずれを抑制することが可能となる。
【0066】
(3)図8に示されるように、電磁鋼板ESの側縁に切欠R10(位置決め部;孔部)が形成されていてもよい。切欠R10の形状は特に限定されないが、例えば、矩形状、三角形状、半円状、台形状等であってもよい。この場合、昇降ピンG2が切欠R10内に挿入されることにより、搬送方向及び幅方向において電磁鋼板ESの位置決めを行うことが可能となる。
【0067】
(4)図9に示されるように、電磁鋼板ESの先端縁ESbに切欠R11(位置決め部;孔部)が形成されていてもよい。切欠R11は、先端縁ESbに向かうほど幅が狭くなるような形状とされている。この場合、切欠R11に対応する形状を有する昇降ピンG2が切欠R11内に挿入されることにより、搬送方向及び幅方向において電磁鋼板ESの位置決めを行うことが可能となる。
【0068】
(5)図10に示されるように、貫通孔R1の一部が打抜部R7に重なり合うように形成されていてもよい。この場合、貫通孔R1の一部である切欠が形成されている打抜部材Wが製品に含まれるので、当該切欠を目印として、ロットの異なる電磁鋼板ESから打ち抜かれた打抜部材Wが製品(固定子積層鉄心1)に混在していることを容易に識別することが可能となる。
【0069】
(6)図11に示されるように、電磁鋼板ESの側縁に少なくとも一つの切欠R12(位置決め部)が形成されていてもよい。切欠R12は、電磁鋼板ESの各側縁にそれぞれ一つずつ形成されていてもよい。切欠R12は、電磁鋼板ESの後端側に向かうにつれて電磁鋼板ESの幅方向外側に向かうように傾斜する傾斜縁を含んでいる。また、図11に示されるように、打抜装置140は、昇降ピンG2に代えて、少なくとも一つの押圧ピンG3(規制部材)を含んでいてもよい。少なくとも一つの押圧ピンG3は、少なくとも一つの切欠R12に対応して配置されていてもよい。例えば、切欠R12が電磁鋼板ESの各側縁にそれぞれ一つずつ形成されているような場合、各切欠R12に対応するように押圧ピンG3がそれぞれ一つずつ配置されていてもよい。押圧ピンG3は、バネ等の付勢部材M1により電磁鋼板ESの側縁に向けて付勢されている。そのため、押圧ピンG3は、電磁鋼板ESの幅方向において、電磁鋼板ESの側縁を押圧している。押圧ピンG3は、切欠R12の傾斜縁に対応する傾斜部を含んでいる。
【0070】
図11に例示される形態によれば、電磁鋼板ESが押圧ピンG3に向かって搬送されると、電磁鋼板ESの先端が押圧ピンG3の傾斜部に当接する。そのため、電磁鋼板ESがさらに搬送されると、電磁鋼板ESは、電磁鋼板ESの幅方向外側に押圧ピンG3を押しのけながら下流側に進行する。その後、電磁鋼板ESの切欠R12が押圧ピンG3に到達すると、押圧ピンG3は、切欠R12内に入り込み、先端部分ESaの側縁を押圧する。以上のように、電磁鋼板ESの搬送の過程で、押圧ピンG3が自然と切欠R12内に入り込んで、電磁鋼板ESのずれが抑制される。したがって、更なる歩留まりの向上を図ることが可能となる。一方、押圧ピンG3が切欠R12内に入り込んでいる状態で、電磁鋼板ESがさらに搬送されると、押圧ピンG3の傾斜部と切欠R12の傾斜縁とが当接しながら電磁鋼板ESが下流側に進行し、押圧ピンG3が切欠R12の外側に押し出される。すなわち、電磁鋼板ESの進行時において、駆動源等を用いることなく押圧ピンG3が自然と切欠R12の外側に押し出される。したがって、押圧ピンG3の自発的な移動により、押圧ピンG3が電磁鋼板ESの進行の妨げとなることを抑制することが可能となる。
【0071】
(7)図11に例示される形態では、押圧ピンG3がバネ等の付勢部材M1により電磁鋼板ESの側縁に向けて付勢されていたが、図12に示されるように、直動機構M2により押圧ピンG3が水平方向に駆動されてもよい。直動機構M2は、例えば、油圧アクチュエータ、空圧アクチュエータ、電動アクチュエータ、電磁ソレノイドなどであってもよい。直動機構M2は、コントローラCtrからの指示信号に基づいて、電磁鋼板ESの側縁に対して押圧ピンG3を近接又は離間させるように構成されていてもよい。コントローラCtrは、昇降ピンG1が上昇位置に上昇するのと同じ又は近接したタイミングにおいて、押圧ピンG3が電磁鋼板ESの側縁に近づくように、直動機構M2を制御してもよい。コントローラCtrは、押圧ピンG3が切欠R12内に入り込んだのと同じ又は近接したタイミングにおいて、押圧ピンG3による電磁鋼板ESの側縁の押圧を解除するように、直動機構M2を制御してもよい。コントローラCtrは、例えば、押圧ピンG3が電磁鋼板ESの側縁から離れるように直動機構M2を制御することで、押圧ピンG3による電磁鋼板ESの側縁の押圧の解除を行ってもよい。コントローラCtrは、例えば、押圧ピンG3が自由にスライド可能となるように直動機構M2から押圧ピンG3への力の作用を停止することで、押圧ピンG3による電磁鋼板ESの側縁の押圧の解除を行ってもよい。図12に例示される形態によれば、電磁鋼板ESの進行中に、電磁鋼板ESの側縁が押圧ピンG3によって押圧されない。そのため、電磁鋼板ESと押圧ピンG3との間に摩擦力が作用し難くなるので、電磁鋼板ESの側縁におけるバリ等の発生を抑制することが可能となる。
【0072】
(8)図13に示されるように、打抜装置140は、昇降ピンG2に代えて、押圧ピンG4(規制部材)及び直動機構M3を含んでいてもよい。押圧ピンG4及び直動機構M3は、昇降ピンG1よりも上流側に配置されていてもよい。押圧ピンG4及び直動機構M3は、電磁鋼板ESの上方に配置されていればよく、例えば、下型142及びダイプレート143の上方に設けられていてもよいし、打抜装置140の外側に設けられていてもよい。押圧ピンG4及び直動機構M3が打抜装置140の外側に設けられている場合には、上型145の昇降に影響を受けることなく押圧ピンG4の伸縮量を調整することができると共に、押圧ピンG4及び直動機構M3のメンテナンスを容易に行うことができる。直動機構M3は、例えば、油圧アクチュエータ、空圧アクチュエータ、電動アクチュエータ、電磁ソレノイドなどであってもよい。直動機構M3は、コントローラCtrからの指示信号に基づいて、電磁鋼板ESの表面Sに対して押圧ピンG4を近接又は離間させるように構成されていてもよい。コントローラCtrは、昇降ピンG1が上昇位置に上昇するのと同じ又は近接したタイミングにおいて、押圧ピンG4が電磁鋼板ESの表面Sを押圧するように、直動機構M3を制御してもよい。図13に例示される形態によれば、電磁鋼板ESの表面に押圧ピンG4を押しつけるという極めて簡易な手法により、電磁鋼板ESのずれを抑制することが可能となる。
【0073】
(9)上記の実施形態では、電磁鋼板ESから打抜部材Wを複数列一組で形成する、いわゆる「複数列取り加工」の場合について説明したが、1列取り加工に対して本開示を適用してもよい。
【0074】
(10)上記の実施形態では、非分割型の環状の固定子積層鉄心1について説明したが、複数の鉄心片が組み合わされてなる分割型の固定子積層鉄心1に対して本開示を適用してもよい。あるいは、複数の鉄心片が連結部により直接につながっており、当該連結部が折り曲げられることによって環状となる固定子積層鉄心1に対して本開示を適用してもよい。
【0075】
(11)固定子積層鉄心1のみならず、回転子積層鉄心、半導体パッケージの内部配線として用いられるリードフレーム、燃料電池用のセパレータなどの種々の金属製品に本開示を適用してもよい。
【0076】
(12)固定子積層鉄心1となる打抜部材Wと、回転子積層鉄心となる打抜部材とを同じ電磁鋼板ESから形成する、いわゆる「共取り加工」に対して本開示を適用してもよい。
【0077】
(13)上記の実施形態では、一枚の電磁鋼板ESを打ち抜く場合について説明したが、重ね合わされた状態の複数の電磁鋼板ESを同時に打ち抜く場合にも本開示を適用してもよい。
【0078】
(14)上記の実施形態では、先端加工装置130と打抜装置140とが別体であったが、これらが一体とされていてもよい。
【0079】
(15)先端加工装置130は、パンチA2を含んでいなくてもよい。すなわち、電磁鋼板ESの先端縁ESbが凹凸状となるように加工されなくてもよい。
【0080】
(16)電磁鋼板ESの側縁に沿って一対のガイドレールが配置されており、当該ガイドレールによって幅方向における電磁鋼板ESの位置決めが行われてもよい。この場合、図13に例示される押圧ピンG4及び直動機構M3が、当該ガイドレールに保持されてもよい。
【0081】
[例示]
例1.本開示の一つの例に係る金属製品(1)の製造方法は、帯状の金属板(ES)の先端部分(ESa)における位置決め部(R1)を規制部材(G2)に係合させることと、規制部材(G2)が位置決め部(R1)に係合している状態で、金属板(ES)を搬送機構(120)によって把持することと、搬送機構(120)が把持している金属板(ES)を下流側に向けて搬送することとを含む。この場合、位置決め部が規制部材に係合した状態で金属板が把持されるので、搬送方向における金属板のずれが抑制される。そのため、桟部分が小さく設定されたとしても、適切な位置で打抜加工が行われるので、不良品が発生し難くなる。従って、歩留まりの向上を図ることが可能となる。
【0082】
例2.例1の方法は、位置決め部(R1)を規制部材(G2)に係合させる前に、先端部分(ESa)に位置決め部(R1)を形成することをさらに含んでいてもよい。この場合、規制部材に適した位置決め部をあらかじめ先端部分に形成することが可能となる。
【0083】
例3.例1又は例2の方法において、金属板(ES)を下流側に向けて搬送することは、規制部材(G2)による位置決め部(R1)に対する係合を解除して、搬送機構(120)が把持している金属板(ES)を下流側に向けて搬送することを含んでいてもよい。この場合、金属板の搬送時において規制部材による位置決め部に対する係合が解除されるので、規制部材が金属板の搬送の妨げとならない。
【0084】
例4.例3の方法において、位置決め部(ESb)と規制部材(G1)とを係合させることは、金属板(ES)の先端(ESb)を規制部材(G1)に当接させることを含んでいてもよい。この場合、極めて簡易な手法により、金属板を搬送方向において位置決めすることが可能となる。
【0085】
例5.例3又は例4の方法において、位置決め部(R1)と規制部材(G2)とを係合させることは、先端部分(ESa)に設けられている孔部(R1)内に規制部材(G2)を挿入することを含んでいてもよい。この場合、規制部材が孔部内に挿入されるので、搬送方向のみならず、搬送方向に交差する方向においても、金属板のずれが抑制される。従って、更なる歩留まりの向上を図ることが可能となる。
【0086】
例6.例3の方法は、位置決め部(R1)と規制部材(G2)とを係合させる前に、金属板(ES)の先端(ESb)をストッパ部材(G1)に当接させることをさらに含み、位置決め部(R1)と規制部材(G2)とを係合させることは、金属板(ES)の先端(ESb)がストッパ部材(G1)と当接している状態で、先端部分(ESa)に設けられている孔部(R1)内に規制部材(G2)を挿入することを含んでいてもよい。この場合、ストッパ部材にて搬送方向で位置決めされた金属板の孔部に対して、規制部材を容易に挿入することが可能となる。
【0087】
例7.例5又は例6の方法において、規制部材(G2)の外形は孔部(R1)の内寸よりも小さくてもよい。この場合、規制部材が孔部に挿入される際に、規制部材が孔部に引っかかり難くなる。そのため、金属板を予め正確に位置決めしていなくても、規制部材を孔部に容易に挿入することが可能となる。
【0088】
例8.例7の方法において、金属板(ES)の搬送方向における規制部材(G2)と孔部(R1)との間のクリアランス(L1)は、金属板(ES)のうち搬送方向において製品(W)となる領域(R7,R7)同士の間隔(L2)の1/2よりも小さくてもよい。この場合、規制部材が孔部に挿入されている状態で搬送方向において金属板がずれたとしても、そのずれが桟部分に収まり易くなる。そのため、不良品の発生を更に抑制することが可能となる。
【0089】
例9.例5~例8のいずれかの方法において、孔部は、先端部分(ESa)に設けられた貫通孔(R1)、金属板(ES)の先端(ESb)に設けられた切欠(R11)、又は先端部分(ESa)の側縁に設けられた切欠(R10)であってもよい。
【0090】
例10.例5~例9のいずれかの方法において、孔部(R1)は金属板(ES)のうち製品とならない領域に形成されていてもよい。この場合、金属板の位置決めのために用いられる孔部が製品に影響を与えない。
【0091】
例110.例5~例9のいずれかの方法において、孔部(R1)の一部は金属板(ES)のうち製品(W)となる領域(R7)に重なり合うように形成されていてもよい。この場合、孔部の一部である切欠が形成されている打抜部材が製品に含まれるので、当該切欠を目印として、ロットの異なる金属板から打ち抜かれた打抜部材が製品に混在していることを容易に識別することが可能となる。
【0092】
例12.例1又は例2の方法は、位置決め部(R12)と規制部材(G3)とを係合させる前に、金属板(ES)の先端をストッパ部材(G1)に当接させることをさらに含み、位置決め部(R12)と規制部材(G3)とを係合させることは、先端部分(ESa)の側縁に設けられている切欠(R12)内に規制部材(G3)を挿入して、金属板(ES)の幅方向において先端部分(ESa)を規制部材(G3)によって押圧することを含み、切欠(R12)は、金属板(ES)の後端側に向かうにつれて金属板(ES)の幅方向外側に向かうように傾斜する傾斜縁を含み、規制部材(G3)は傾斜縁に対応する傾斜部を含んでいてもよい。この場合、金属板が規制部材に向かって搬送されると、金属板の先端が規制部材の傾斜部に当接する。そのため、金属板がさらに搬送されると、金属板は、金属板の幅方向外側に規制部材を押しのけながら下流側に進行する。その後、金属板の切欠が規制部材に到達すると、規制部材は、切欠内に入り込み、先端部分の側縁を押圧する。以上のように、金属板の搬送の過程で、規制部材が自然と切欠内に入り込んで、金属板のずれが抑制される。したがって、更なる歩留まりの向上を図ることが可能となる。一方、規制部材が切欠内に入り込んでいる状態で、金属板がさらに搬送されると、規制部材の傾斜部と切欠の傾斜縁とが当接しながら金属板が下流側に進行し、規制部材が切欠の外側に押し出される。すなわち、金属板の進行時において、駆動源等を用いることなく規制部材が自然と切欠の外側に押し出される。したがって、規制部材の自発的な移動により、規制部材が金属板の進行の妨げとなることを抑制することが可能となる。
【0093】
例13.例12の方法は、位置決め部(R12)と規制部材(G3)とを係合させることの後で、且つ、金属板(ES)を下流側に向けて搬送することの前に、規制部材(G3)による先端部分(ESa)の側縁の押圧を解除することをさらに含んでいてもよい。この場合、金属板の進行中に、金属板の側縁が規制部材によって押圧されない。そのため、金属板と規制部材との間に摩擦力が作用し難くなるので、金属板の側縁におけるバリ等の発生を抑制することが可能となる。
【0094】
例14.例3の方法は、位置決め部(S)と規制部材(G4)とを係合させる前に、金属板(ES)の先端をストッパ部材(G1)に当接させることをさらに含み、位置決め部(S)と規制部材(G4)とを係合させることは、金属板(ES)の表面(S)を規制部材(G4)によって押圧することを含んでいてもよい。この場合、金属板の表面に規制部材を押しつけるという極めて簡易な手法により、金属板のずれを抑制することが可能となる。
【0095】
例15.本開示の他の例に係る金属製品の製造装置(100)は、帯状の金属板(ES)を下流側に向けて搬送するように構成された搬送機構(120)と、金属板(ES)の先端部分(ESa)における位置決め部(R1)と係合するように構成された規制部材(G2)と、制御部(Ctr)とを備える。制御部(Ctr)は、規制部材(G2)と位置決め部(R1)とが係合するように規制部材(G2)を制御する処理と、規制部材(G2)と位置決め部(R1)とが係合している状態で搬送機構(120)が金属板(ES)を把持するように搬送機構(120)を制御する処理と、搬送機構(120)が把持している金属板(ES)を下流側に向けて搬送するように、規制部材(G2)及び搬送機構(120)を制御する処理とを実行するように構成されている。この場合、例1と同様の作用効果を奏する。
【0096】
例16.例15の装置(100)は、位置決め部(R1)を形成するように構成された加工機構(130)をさらに備え、制御部(Ctr)は、規制部材(G2)を制御する処理の前に、先端部分(ESa)に位置決め部(R1)を形成するように加工機構(130)を制御する処理をさらに実行してもよい。この場合、例2と同様の作用効果を奏する。
【0097】
例17.例15又は例16の方法において、金属板(ES)を下流側に向けて搬送することは、規制部材(G2)による位置決め部(R1)に対する係合を解除して、搬送機構(120)が把持している金属板(ES)を下流側に向けて搬送することを含んでいてもよい。この場合、例3と同様の作用効果を奏する。
【0098】
例18.例17の装置(100)において、規制部材(G1)を制御することは、搬送機構(120)によって搬送されている金属板(ES)の先端(ESb)が規制部材(G1)に当接するように規制部材(G1)の位置を調節することを含んでいてもよい。この場合、例4と同様の作用効果を奏する。
【0099】
例19.例17又は例18の装置(100)において、規制部材(G2)を制御することは、先端部分(ESa)に設けられている孔部(R1)内に規制部材(G2)が挿通されるように規制部材(G2)の位置を調節することを含んでいてもよい。この場合、例5と同様の作用効果を奏する。
【0100】
例20.例17の装置(100)は、金属板(ES)の先端(ESb)と当接するように構成されたストッパ部材(G1)をさらに備え、制御部(Ctr)は、規制部材(G2)を制御する処理の前に、搬送機構(120)によって搬送されている金属板(ES)の先端(ESb)がストッパ部材(G1)に当接するようにストッパ部材(G1)の位置を調節する制御をさらに含み、規制部材(G2)を制御することは、金属板(ES)の先端(ESb)がストッパ部材(G1)と当接している状態で、先端部分(ESa)に設けられている孔部(R1)内に規制部材(G2)が挿通されるように規制部材(G2)の位置を調節することを含んでいてもよい。この場合、例6と同様の作用効果を奏する。
【0101】
例21.例19又は例20の装置(100)において、規制部材(G2)の外形は孔部(R1)の内寸よりも小さくてもよい。この場合、例7と同様の作用効果を奏する。
【0102】
例22.例21の装置(100)において、金属板(ES)の搬送方向における規制部材(G2)と孔部(R1)との間のクリアランス(L1)は、金属板(ES)のうち搬送方向において製品(W)となる領域(R7,R7)同士の間隔(L2)の1/2よりも小さくてもよい。この場合、例8と同様の作用効果を奏する。
【0103】
例23.例19~例22のいずれかの装置(100)において、孔部は、先端部分(ESa)に設けられた貫通孔(R1)、金属板(ES)の先端(ESb)に設けられた切欠(R11)、又は先端部分(ESa)の側縁に設けられた切欠(R10)であってもよい。
【0104】
例24.例19~例23のいずれかの装置(100)において、孔部(R1)は金属板(ES)のうち製品(W)とならない領域に形成されていてもよい。この場合、例10と同様の作用効果を奏する。
【0105】
例25.例19~例23のいずれかの装置(100)において、孔部(R1)の一部は金属板(ES)のうち製品(W)となる領域(R7,R7)に重なり合うように形成されていてもよい。この場合、例11と同様の作用効果を奏する。
【0106】
例26.例17の装置(100)は、金属板(ES)の先端(ESb)と当接するように構成されたストッパ部材(G1)をさらに備え、制御部(Ctr)は、規制部材(G4)を制御する処理の前に、搬送機構(120)によって搬送されている金属板(ES)の先端(ESb)がストッパ部材(G1)に当接するようにストッパ部材(G1)の位置を調節する制御をさらに含み、規制部材(G4)を制御することは、金属板(ES)の表面(S)を規制部材(G4)によって押圧することを含んでいてもよい。この場合、例14と同様の作用効果を奏する。
【0107】
例27.本開示の他の例に係る金属製品の製造装置(100)は、帯状の金属板(ES)を下流側に向けて搬送するように構成された搬送機構(120)と、金属板(ES)の先端部分(ESa)における位置決め部(R1)と係合するように構成された規制部材(G3)と、金属板(ES)の先端(ESb)と当接するように構成されたストッパ部材(G1)と、制御部(Ctr)とを備える。制御部(Ctr)は、搬送機構(120)によって搬送されている金属板(ES)の先端(ESb)とストッパ部材(G1)とが当接するようにストッパ部材(G1)の位置を調節する処理と、規制部材(G3)と位置決め部(R1)とが係合している状態で搬送機構(120)が金属板(ES)を把持するように搬送機構(120)を制御する処理と、搬送機構(120)が把持している金属板(ES)を下流側に向けて搬送するように搬送機構(120)を制御する処理とを実行するように構成されている。規制部材(G3)は、金属板(ES)の幅方向において先端部分(ESa)を押圧するように付勢されており、これにより、金属板(ES)の側縁に設けられている切欠(R12)内に挿入可能に構成されている。切欠(R12)は、金属板(ES)の後端側に向かうにつれて金属板(ES)の幅方向外側に向かうように傾斜する傾斜縁を含んでいる。規制部材(G3)は傾斜縁に対応する傾斜部を含んでいる。この場合、例12と同様の作用効果を奏する。
【0108】
例28.例27の装置(100)において、制御部(Ctr)は、搬送機構(120)が金属板(ES)を把持するように搬送機構(120)を制御する処理の前に、規制部材(G3)が切欠(R12)内に挿入されるように規制部材(G3)を先端部分(ESa)に押圧する処理と、規制部材(G3)を先端部分(ESa)に押圧する処理の後で、且つ、搬送機構(120)が把持している金属板(ES)を下流側に向けて搬送するように搬送機構(120)を制御する処理の前に、規制部材(G3)による先端部分(ESa)の側縁の押圧を解除する処理をさらに実行するように構成されていてもよい。この場合、例13と同様の作用効果を奏する。
【符号の説明】
【0109】
1…固定子積層鉄心、100…製造装置、130…先端加工装置(加工機構)、140…打抜装置、Ctr…コントローラ(制御部)、ES…電磁鋼板(金属板)、ESa…先端部分、ESb…先端縁(位置決め部)、G1…昇降ピン(ストッパ部材;規制部材)、G2…昇降ピン(規制部材)、G3…押圧ピン(規制部材)、G4…押圧ピン(規制部材)、R1…貫通孔(位置決め部;孔部)、R10,R11…切欠(位置決め部;孔部)、R12…切欠(位置決め部)、W…打抜部材。
図1
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