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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-14
(45)【発行日】2023-08-22
(54)【発明の名称】網膜イメージング装置及び関連方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/10 20060101AFI20230815BHJP
【FI】
A61B3/10 100
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2020544702
(86)(22)【出願日】2018-11-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-21
(86)【国際出願番号】 IL2018051174
(87)【国際公開番号】W WO2019092697
(87)【国際公開日】2019-05-16
【審査請求日】2021-11-02
(31)【優先権主張番号】62/582,772
(32)【優先日】2017-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】315013021
【氏名又は名称】ノータル ビジョン リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100137969
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 憲昭
(74)【代理人】
【識別番号】100104824
【弁理士】
【氏名又は名称】穐場 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100121463
【弁理士】
【氏名又は名称】矢口 哲也
(72)【発明者】
【氏名】レファエリ,オメール
(72)【発明者】
【氏名】ラップ,ムキ
(72)【発明者】
【氏名】ベンヤミニ,ハノック ギデオン
(72)【発明者】
【氏名】アルスター,イェイール
(72)【発明者】
【氏名】シャリーフ,エイタン
(72)【発明者】
【氏名】パスカル,アミット
【審査官】▲高▼木 尚哉
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-514659(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0259274(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0033593(US,A1)
【文献】特開2015-139527(JP,A)
【文献】特開2014-113250(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0127932(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/00-3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼科イメージング装置であって、
光軸を有する光干渉断層撮影(OCT)イメージングアセンブリと、
前記OCTイメージングアセンブリが取り付けられるハウジングアセンブリであって、前記ハウジングアセンブリは、前記OCTイメージングアセンブリの動作中に水平面上で不動状態にされるように構成されており、前記ハウジングアセンブリが前記水平面上で不動状態にされているときに前記光軸は前記水平面からある角度に向けられ、前記角度は前記水平面から45度~85度の範囲にある、ハウジングアセンブリと、
前記ハウジングアセンブリに接続されるビューアアセンブリであって、前記ビューアアセンブリは、前記光軸に対する複数の異なる使用者の頭部のそれぞれの位置及び向きを安定させるように、前記複数の異なる使用者の頭部のそれぞれと組み合うように成形されている接触面を備え、前記ビューアアセンブリは前記光軸に対する前記使用者の頭部の異なる位置及び/又は向きに対応する、ビューアアセンブリとを備え、
前記眼科イメージング装置は、前記OCTイメージングアセンブリによる前記複数の異なる使用者のそれぞれの第1の眼の各イメージングセッションの間に使用するための第1の構成を有し、
前記眼科イメージング装置の前記第1の構成において、前記光軸は、前記ビューアアセンブリに対して固定された位置及び向きを有し、
前記眼科イメージング装置の前記第1の構成において、前記各イメージングセッションのそれぞれの間に、それぞれの使用者前記使用者の前記第1の眼が前記光軸からオフセットしている前記ビューアアセンブリと組み合っている第1の状態から、前記使用者の前記第1の眼を前記光軸と交差する方向に移動させて前記使用者の前記第1の眼を前記光軸に合わせるための前記ビューアアセンブリと組み合っている第2の状態へと、前記それぞれの使用者の頭を再位置決めできるように、前記接触面は、前記接触面に対して前記それぞれの使用者の頭を再位置決めすることに適応する
眼科イメージング装置。
【請求項2】
前記接触面は、前記使用者の眼を取り囲む周縁部に途切れなく沿って前記複数の異なる使用者の頭部のそれぞれと組み合うように構成されており、
前記周縁部は、途切れなく、前記使用者の左眼の下から延びて、前記使用者の左眼と前記使用者の左耳との間の前記使用者の左眼の周囲で延び、前記使用者の両眼の上で延び、前記使用者の右眼と前記使用者の右耳との間の前記使用者の右眼の周囲で延び、前記使用者の右眼の下まで延びる、
請求項1に記載の眼科イメージング装置。
【請求項3】
前記接触面は、前記各イメージングセッションのそれぞれの間であり、前記眼科イメージング装置が前記第1の構成である間に、前記ビューアアセンブリに対する前記複数の異なる使用者の頭部のそれぞれの異なる位置及び/又は向きに対応するように構成されている、請求項1に記載の眼科イメージング装置。
【請求項4】
前記OCTイメージングアセンブリが前記第1の眼をイメージングするのに用いる開口を備え、前記ビューアアセンブリは、前記接触面と前記開口との間で延びて前記接触面に途切れなく沿って遮光する遮光側面を備える、請求項1に記載の眼科イメージング装置。
【請求項5】
前記ビューアアセンブリは、前記接触面が前記複数の異なる使用者の頭部のそれぞれに順応して、前記ビューアアセンブリに対する前記使用者の頭部の異なる位置及び/又は向きに対応するように変形可能である、請求項1~4のいずれか一項に記載の眼科イメージング装置。
【請求項6】
前記ビューアアセンブリは、ベース要素と、前記ベース要素に取り付けられる変形可能要素と、前記変形可能要素を被覆する生体適合層とを備え、
前記生体適合層は前記接触面を含む、
請求項5に記載の眼科イメージング装置。
【請求項7】
前記眼科イメージング装置の前記第1の構成は前記ビューアアセンブリに対する前記複数の異なる使用者の頭部のそれぞれの異なる位置及び/又は向きに対応することにより、前記それぞれの使用者が前記それぞれの使用者の眼の一方を前記光軸上に位置決めすることを可能にし、
前記複数の異なる使用者は前記それぞれの使用者の前記眼を離間する複数の異なる距離を有する、
請求項1~4のいずれか一項に記載の眼科イメージング装置。
【請求項8】
前記接触面は前記使用者の前額部と組み合うように構成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の眼科イメージング装置。
【請求項9】
前記接触面は前記使用者の頬の各々と組み合うように構成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の眼科イメージング装置。
【請求項10】
前記OCTイメージングアセンブリは焦点を有し、
前記ハウジングアセンブリが前記水平面上で不動状態にされるときに前記焦点は前記水平面よりも上のある高さに配置され、前記高さは180mm~350mmの範囲にある、
請求項1~4のいずれか一項に記載の眼科イメージング装置。
【請求項11】
前記ハウジングアセンブリは、前記焦点が前記水平面よりも上に配置される前記高さを変更するように調節可能である、請求項10に記載の眼科イメージング装置。
【請求項12】
前記ハウジングアセンブリは、前記焦点が前記水平面よりも上に配置される前記高さを変更するように調節することができる一対の脚部を備える、請求項11に記載の眼科イメージング装置。
【請求項13】
前記ハウジングアセンブリは、前記焦点が前記水平面よりも上に配置される前記高さと、前記水平面に対する前記光軸の前記角度とを同時に変更するように調節可能であり、
各高さは前記水平面に対する前記光軸の固有の対応する角度をともなう、
請求項10に記載の眼科イメージング装置。
【請求項14】
前記接触面は、前記眼科イメージング装置の前記第1の構成において、前記各イメージングセッションのそれぞれの間に、前記光軸と直交する任意の軸に沿って前記ビューアアセンブリに対して20mmだけ前記それぞれの使用者の眼を再位置決めすることに対応する、請求項1~4のいずれか一項に記載の眼科イメージング装置。
【請求項15】
前記ハウジングアセンブリは、前記それぞれの使用者の各々によって保持されて、前記ビューアアセンブリが前記それぞれの使用者の頭部と組み合っている状態を保つように構成されている一対のハンドルを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の眼科イメージング装置。
【請求項16】
前記ビューアアセンブリを前記ハウジングアセンブリに接続する位置変更機構であって、前記位置変更機構は、前記ハウジングアセンブリに対して前記ビューアアセンブリを、前記OCTイメージングアセンブリによる前記複数の異なる使用者のそれぞれの第2の眼のイメージングセッションの間に使用するための前記眼科イメージング装置の第2の構成に、再位置決めすることを可能にするように構成されている、位置変更機構をさらに備え、前記第2の構成は、前記複数の異なる使用者の前記第2の眼のイメージングセッションの間に、前記それぞれの使用者によって、前記ビューアアセンブリに対して前記使用者の頭部を再位置決めすることに対応し、前記第2の眼を前記光軸上に再位置決めするために前記光軸に対して横方向に前記第2の眼を再位置決めし、前記光軸は、前記眼科イメージング装置の前記第2の構成において、前記ビューアアセンブリに対して固定された位置及び向きを有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の眼科イメージング装置。
【請求項17】
前記ビューアアセンブリは前記位置変更機構を介して前記ハウジングアセンブリにスライド可能に接続される、請求項16に記載の眼科イメージング装置。
【請求項18】
前記ビューアアセンブリは前記光軸と交差する2つの異なる方向に前記位置変更機構を介して前記ハウジングアセンブリに対してスライド可能である、請求項17に記載の眼科イメージング装置。
【請求項19】
前記ハウジングアセンブリは、前記光軸が前記水平面に対して向けられる前記角度を変更するように調節可能である、請求項1~4のいずれか一項に記載の眼科イメージング装置。
【請求項20】
前記ハウジングアセンブリは、前記光軸が前記水平面に対して向けられる前記角度を変更するように調節することができる一対の脚部を備える、請求項19に記載の眼科イメージング装置。
【請求項21】
前記ビューアアセンブリが前記使用者の頭部と組み合っている間に、前記ハウジングアセンブリに対する前記ビューアアセンブリのスライドを抑制するように構成されたロック機構をさらに備える、請求項17に記載の眼科イメージング装置。
【請求項22】
前記ビューアアセンブリは、前記使用者の頭部が前記接触面に組み合っているときに、前記使用者の鼻を収容するように構成された凹部を備え、
前記凹部は、前記眼科イメージング装置が前記第1の構成である間に前記眼を前記光軸上に再位置決めするために、前記イメージングセッションの間に、前記使用者によって、前記光軸と交差する垂直方向及び水平方向に前記眼を再位置決めすることに対応するための前記凹部内の前記鼻の異なる位置に対応するように構成される、請求項1に記載の眼科イメージング装置。
【請求項23】
前記OCTイメージングアセンブリは、
前記使用者の前記眼をイメージングして、前記眼の画像を生成し、
前記画像を処理して、前記使用者の前記眼が、前記光軸に合っていること、または前記光軸からオフセットしていることを決定し、
前記使用者の前記眼が前記光軸からオフセットしている場合、前記眼を前記光軸上に再位置決めするために、前記使用者が前記眼を再位置決めすべき前記光軸と交差する方向を示すフィードバックを前記使用者に提供するように構成される、請求項1に記載の眼科イメージング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連する出願の参照
[0001]本出願は2017年11月7日出願の米国仮出願第62/582,772号の利益を主張する。本仮出願の全体が目的を問わず本明細書に参照として援用される。
【背景技術】
【0002】
[0002]黄斑変性は米国において失明の主要な原因である。黄斑変性では網膜の中央部(通称、黄斑)が劣化する。健常時には、黄斑は高精細の画像を収集して視神経を介して脳に送る。初期には黄斑変性は一般的に視界に大きな影響は及ぼさない。黄斑変性が初期より先に進行する場合、視界が歪みかつ/又は霞むようになる。黄斑変性が増悪期まで進行し続ける場合、中央の視界を喪失する場合がある。
【0003】
[0003]黄斑変性は現在難治であると考えられているが、視界の重篤な喪失を避けるように疾患の進行を遅らせることができる治療が存在する。治療の選択肢には、抗血管新生薬の眼内注入と、活発に増殖する異常な血管を破壊するレーザ治療と、異常な血管に損傷を与えるのに光感受性の薬剤を用いる光線力学的レーザ治療とが含まれる。黄斑変性の早期発見は、疾患の進行を抑制するために治療前に黄斑変性の増悪進行を妨げる際に最も重要である。患者の視界を維持するには、増悪したAMDを適時に治療することが重要である。
【0004】
[0004]黄斑変性の早期発見と適時の治療法の決定とを適切な網膜イメージングシステムを用いて実現することができる。たとえば、光干渉断層撮影(OCT)は、黄斑の断面画像を生成するのに用いることができる低コヒーレンス光干渉に依存する非侵襲性のイメージング技術である。黄斑の断面表示は黄斑の層が歪んでいるか否かを示し、これを用いて、黄斑の層の歪みが初期の断面画像と比較して増減したか否かをモニタして黄斑変性の治療の効果を評価することができる。
【0005】
[0005]しかし、既存のOCTイメージングシステムは一般的に高価であり、熟練技師によって操作されなければならない場合がある。たとえば、熟練技師には、OCTイメージングシステムの光軸を被験対象の眼の光軸に適切に合わせることが要求される場合がある。この結果、一般的にこのようなOCTイメージングシステムの使用は専門眼科にとどまり、したがって、初期黄斑変性の広範なスクリーニングに対するこのようなOCTイメージングシステムの使用は限られる。これの代わりに、必要な位置決めを実現するのにイメージング、処理及びモータを利用する閉ループ制御システムによってアライメントを自動的に行うことができる。別の例としては、光軸を患者の瞳孔に合わせる技師や電動制御ループが網膜の画像を撮ることができることを必要とする眼底カメラが挙げられる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
[0006]以下、本発明の基本的な理解を提供するために、本発明のいくつかの実施形態の簡略化された概要を示す。この概要は発明の克明な要旨ではない。本発明の鍵となる要素/重要な要素を特定したり本発明の範囲を定めたりすることを意図していない。その唯一の目的は、後述されているより詳細な説明の前段として本発明のいくつかの実施形態を単純な形式で示すことである。
【0007】
[0007]眼科イメージング装置及び関連方法では、眼科イメージング装置が支持される水平面から45度~85度の角度にイメージング装置の光軸を向け、光軸に対して適切な位置及び向きで使用者の頭部を安定させるビューアアセンブリを用いる。多くの実施形態では、イメージング装置は比較的長い期間(たとえば30秒)にわたってイメージングを行い、使用者は使用者の頭部をビューアアセンブリと組み合わせてイメージング期間にわたって光軸に対する使用者の頭部の位置及び向きを安定させる。多くの実施形態では、ビューアアセンブリは、使用者が使用者の眼の一方を光軸に合わせるのを可能にするように、光軸に対する使用者の頭部の異なる位置及び/又は向きに対応する。光軸が水平に対して角度がつけられていることとビューアアセンブリの構成とを組み合わせることで、使用者は自然で快適な姿勢で着座しつつ使用者の眼を光軸に自動的に合わせてイメージング期間にわたって光軸に対する眼の位置を維持することができる。さらに、光軸が水平に対して角度がつけられていることとビューアアセンブリの構成とを組み合わせることで、イメージング期間中に使用者による重力に起因する下方のぐらつきの動きが効果的に抑制される。
【0008】
[0008]このように、多くの実施形態では、眼科イメージング装置は、光軸を有するイメージングアセンブリと、イメージングアセンブリが取り付けられるハウジングアセンブリと、ハウジングアセンブリに接続されるビューアアセンブリとを含む。ハウジングアセンブリは、イメージングアセンブリの動作中に水平面上で不動状態にされるように構成されている。ハウジングアセンブリが水平面上で不動状態にされているときに光軸は水平面から45度~85度の角度に向けられる。ビューアアセンブリは、使用者の頭部と組み合って光軸に対する使用者の頭部の位置及び向きを安定させるように成形されている接触面を含む。ビューアアセンブリは、使用者が使用者の眼の一方を光軸に合わせるのを可能にするように、光軸に対する使用者の頭部の異なる位置及び/又は向きに対応する。
【0009】
[0009]多くの実施形態では、ビューアアセンブリは、使用者の頭部が組み合わされるときに遮光して暗所を形成して使用者の瞳孔を散瞳させて、使用者の網膜のイメージングを向上させるように構成されている。たとえば、いくつかの実施形態では、接触面は、使用者の眼を取り囲む周縁部に途切れなく沿って使用者の頭部と組み合うように構成されている。このような実施形態では、周縁部は、途切れなく、使用者の左眼の下から延びて、使用者の左眼と使用者の左耳との間の使用者の左眼の周囲で延び、使用者の両眼の上で延び、使用者の右眼と使用者の右耳との間の使用者の右眼の周囲で延び、使用者の右眼の下まで延びることができる。
【0010】
[0010]多くの実施形態では、接触面は、光軸に対する使用者の頭部の異なる位置及び/又は向きに対応するように構成されている。たとえば、光軸に対する使用者の頭部の異なる位置及び/又は向きに対応するように接触面の寸法を設定しかつ/又は接触面を成形することができる。
【0011】
[0011]多くの実施形態では、眼科イメージング装置は、イメージングアセンブリが光軸に合わせられている使用者の眼の一方をイメージングするのに用いる開口を含む。多くの実施形態では、ビューアアセンブリは、接触面と開口との間で延びて接触面に途切れなく沿って遮光する遮光側面を備える。
【0012】
[0012]多くの実施形態では、ビューアアセンブリは、接触面の形状が使用者の頭部に順応して、光軸に対する使用者の頭部の異なる位置及び/又は向きに対応するように変形可能である。たとえば、いくつかの実施形態では、ビューアアセンブリは、ベース要素と、ベース要素に取り付けられる変形可能要素と、変形可能要素を被覆する生体適合層とを含む。このような実施形態では、生体適合層は接触面を含むことができる。
【0013】
[0013]多くの実施形態では、ビューアアセンブリは異なる多数の使用者のいずれにも用いることができる。たとえば、多くの実施形態では、ビューアアセンブリは光軸に対する複数の異なる使用者の頭部の各々の異なる位置及び/又は向きに対応することにより、それぞれの使用者がそれぞれの使用者の眼の一方を光軸に合わせることを可能にする。このような実施形態では、複数の異なる使用者はそれぞれの使用者の眼の複数の異なる離間距離を含む。
【0014】
[0014]多くの実施形態では、ビューアアセンブリは、使用者の頭部の安定した部分と組み合うように構成されている。たとえば、多くの実施形態では、接触面は、使用者の前額部及び/又は使用者の頬と組み合うように構成されている。
【0015】
[0015]多くの実施形態では、イメージングアセンブリは焦点を有する。多くの実施形態では、ハウジングアセンブリが水平面上で不動状態にされるときに焦点は水平面よりも上の180mm~350mmの高さに配置される。多くの実施形態では、ハウジングアセンブリは、焦点が水平面よりも上に配置される高さを変更するように調節可能である。たとえば、ハウジングアセンブリは、焦点が水平面よりも上に配置される高さを変更するように調節することができる一対の脚部を含むことができる。いくつかの実施形態では、ハウジングアセンブリは、焦点が水平面よりも上に配置される高さと、水平面に対する光軸の向きとを同時に変更するように調節可能である。このような実施形態では、各高さは水平面に対する光軸の対応する固有の角度をともなうことができる。
【0016】
[0016]多くの実施形態では、ビューアアセンブリは、光軸に対する使用者の頭部の位置及び/又は向きの適切な範囲を可能にするように構成されている。たとえば、多くの実施形態では、ビューアアセンブリによって対応される使用者の頭部の異なる位置及び/又は向きにより、光軸と直交する任意の軸に沿って20mmだけ使用者の眼を再位置決めすることを可能にする。
【0017】
[0017]多くの実施形態では、眼科イメージング装置は、使用者によって押さえられ、ビューアアセンブリが使用者の頭部と組み合っている状態を保つように構成されている。たとえば、ハウジングアセンブリは、使用者によって保持されて、ビューアアセンブリが使用者の頭部と組み合っている状態を保つように構成されている一対のハンドルを含むことができる。
【0018】
[0018]多くの実施形態では、眼科イメージング装置は使用者の右眼網膜をイメージングするための構成と使用者の左眼網膜をイメージングするための構成との間で再構成可能である。たとえば、多くの実施形態では、眼科イメージング装置は、ビューアアセンブリをハウジングアセンブリに接続する位置変更機構を含む。このような実施形態では、ハウジングアセンブリに対してビューアアセンブリを位置変更することを可能にして、使用者の眼の各々を光軸に個別に合わせることを可能にするように位置変更機構を構成することができる。いくつかの実施形態では、ビューアアセンブリは位置変更機構を介してハウジングアセンブリにスライド可能に接続される。いくつかの実施形態では、ビューアアセンブリは光軸と交差する2つの異なる方向に位置変更機構を介してハウジングアセンブリに対してスライド可能である。いくつかの実施形態では、位置変更機構は、光軸に平行に焦点に対してビューアアセンブリを位置変更するように動作可能である。
【0019】
[0019]いくつかの実施形態では、ハウジングアセンブリは、光軸が水平面に対して向けられる角度を変更するように調節可能である。たとえば、いくつかの実施形態では、ハウジングアセンブリは、光軸が水平面に対して向けられる角度を変更するように調節することができる一対の脚部を含む。
【0020】
[0020]本発明の性質及び効果をより完全に理解するには、以降の詳細な説明及び添付の図面を参照するべきである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】多くの実施形態に係る、眼科イメージング装置の光軸を使用者に自動的に合わせるのに用いられるビューアアセンブリを介して使用者が眼科イメージング装置と組み合っている様子を示す側面図である。
図2】多くの実施形態に係る、水平面上で支持され、イメージング装置の光軸を水平面に対して所定の角度に向けるように構成されている眼科イメージング装置の簡略化した概略側面図である。
図3】多くの実施形態に係る、光軸が水平に対して所定の角度に向けられている状態で使用者の眼が眼科イメージング装置の光軸に合っていることを示す簡略化した概略側面図である。
図4】多くの実施形態に係る、光軸が水平に対して所定の角度に向けられている状態で使用者の眼が眼科イメージング装置の光軸に合っていないことを示す簡略化した概略側面図である。
図5】多くの実施形態に係る、眼科イメージング装置の等角図法視点の図を示す。
図6】イメージング装置のビューアアセンブリが使用者の右眼のイメージング用に位置決めされている図5の眼科イメージング装置の上面視図を示す。
図7】ビューアアセンブリが使用者の左眼のイメージング用に位置決めされている図5の眼科イメージング装置の上面視図を示す。
図8図5の眼科イメージング装置のビューアアセンブリの拡大上面視図を示す。
図9】多くの実施形態に係る、眼科イメージング装置の光軸に対する眼科イメージング装置のビューアアセンブリの接触面の位置及び向きの簡略化した概略図である。
図10】第1の使用者の左眼が眼科イメージング装置の光軸と合わせられている状態の図9のビューアアセンブリの接触面及び第1の使用者の位置及び向きの簡略化した概略図である。
図11】第2の使用者の左眼が眼科イメージング装置の光軸と合わせられている状態の図9のビューアアセンブリの接触面及び第2の使用者の位置及び向きの簡略化した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[0032]以下の説明では、本発明の様々な実施形態を説明する。説明のために、実施形態の完全な理解を実現するために特定の構成及び詳細を示す。しかし、特定の詳細を用いずに本発明を実施してもよいことも、当業者にとっては明らかである。さらに、説明されている実施形態を不明確にしないように周知の特徴を省略したり単純化したりしてもよい。
【0023】
[0033]導入
【0024】
[0034]多くの網膜疾患患者は平均的な患者を基準にした一般的な指針にしたがって眼内注入を用いて治療される。いずれの特定の患者の網膜疾患の進行も、平均的な患者とは異なる進行を示す場合がある。さらに、特定の患者が治療に対して平均的な患者とは異なる反応を示す場合がある。したがって、患者が患者独自の疾患進行に基づいて治療を受けることができるように、一部の患者の網膜疾患の進行を常時モニタすることが臨床上きわめて必要である。患者の網膜をイメージングして網膜疾患の進行をモニタするのに、光干渉断層撮影(OCT)イメージングを用いた眼科イメージング装置が眼科で用いられることが多い。しかし、一部の患者では、眼科に行かなければならないことが十分に常時モニタすることの妨げになる場合がある。このため、患者の網膜疾患の進行を常時モニタするのに患者が自宅で用いることができ、眼科イメージング装置をベースにした入手容易なOCTが必要である。このような網膜疾患は、AMD、眼ヒストプラスマ症、近視、中心性漿液性網膜症、中心性漿液性脈絡膜症、緑内障、糖尿病性網膜症、網膜色素変性症、視神経炎、網膜上膜、血管異常及び/若しくは閉塞、脈絡膜ジストロフィー、網膜ジストロフィー、黄斑円孔、又は脈絡膜変性若しくは網膜変性などの脈絡網膜眼疾患である場合がある。
【0025】
[0035]多くの実施形態では、入手容易な眼科網膜イメージング装置(たとえば、OCTイメージングを用いる入手容易な眼科網膜イメージング装置、眼底カメラと付属の網膜イメージング装置とを用いる入手容易な眼科網膜イメージング装置)には、患者の眼をイメージング装置の光軸に合わせることに関していくつかの困難がある。たとえば、患者の瞳孔のセンタリングを行う必要があり(たとえば、光軸と交差する2方向)、また、患者の瞳孔がイメージング期間にわたってイメージング装置の光軸に対して安定している必要がある。イメージング期間にわたって患者に固視させる(fixated)(たとえば、固視(fixation)目標を注視する)必要がある。患者の網膜はイメージング期間にわたって光軸に沿った適切な位置にある必要がある。しかし、多くの患者、特に高齢患者は、適切なイメージング期間にわたってイメージング装置に対する患者の眼の適切な位置及び向きを維持することがきわめて困難であると感じる。
【0026】
[0036]したがって、一般的に、眼科で用いられる眼科網膜イメージング装置は技師による大規模な支援を必要とし、高価なハードウェアを含み、かつ/又は、患者が適切なイメージング期間にわたってイメージング装置に対する患者の眼の適切な位置及び向きを維持することができないことを補償する複雑なアルゴリズムを用いる。たとえば、眼科では、リアルタイムでモニタに注目して患者の瞳孔及び網膜の位置をモニタし、イメージング装置を患者の眼に合わせるようにアライメント装置を操作し、かつ/又は、アライメントしかつ/若しくは患者の眼に対するイメージング装置のアライメントを維持するために行うことについて患者に指示する技師を従事させる場合が多い。患者の眼に対するイメージング装置のアライメントを自動的に維持するのに高スキャン速度のアイトラッキングを用いた自動アライメントシステムを含む眼科イメージング装置も存在する。しかし、このような自動アライメントシステムは一般的に高価であり、大量生産に不向きである。解剖学的ランドマークの登録(当該症例の血管又は網膜イメージングの血管)を用いて、イメージング期間中のイメージング装置に対する患者の眼の動き及び/又は向きの変化を補正する眼科イメージング装置も存在する。しかし、このような解剖学的ランドマークの登録には一般的に眼底カメラを用いるので、この場合もイメージング装置のコストが上昇し、このイメージング装置は大量生産に不向きになる。さらに、黄斑の中央部などの眼の特定の部位には、可視化可能なランドマークとして用いるのに適した血管がない。
【0027】
[0037]さらに、患者に対して目標を固視し、動かないように求めるだけでは一般的に不十分である。患者が何をするように求められているかを患者が理解する場合であっても、既存の手法を用いる場合には、所望の画像品質を維持したり低コストの構成要素の使用を可能にしたりするのに必要であるいずれの重要な期間にも患者の眼の位置及びアライメントを患者が維持することは、きわめて困難である可能性がある。たとえば、OCTは、患者が装置の前にいる重要な時間(数秒以上)を一般的に必要とするスキャン装置である。
【0028】
[0038]入手容易な眼科イメージング装置
【0029】
[0039]非臨床的環境(たとえば患者宅)で用いられるのに好適であり、したがって、患者の網膜疾患の進行のモニタリングの増加に関連するコストを削減するのに有用である入手容易な眼科イメージング装置及び関連方法を以下説明する。以下、図面を参照して、いくつかの図にわたって同様の参照番号が同様の部分を表し、図1は多くの実施形態に係る眼科イメージング装置10のビューアアセンブリ14を介して使用者12が眼科イメージング装置10と組み合っている様子を示す。ビューアアセンブリ14は、使用者12が使用者の眼をイメージング装置10の光軸に合わせるのに用いられる。多くの実施形態では、イメージング装置10は水平面(たとえば、テーブル18の上面16)に配置され、イメージング装置10のイメージング期間にわたって水平面上で不動状態にされるように構成されている。多くの実施形態では、イメージング装置10は、眼科イメージング装置10が支持される水平面16から45度~85度の角度で延びる光軸を有する。多くの実施形態では、ビューアアセンブリ14は、使用者12の眼を取り囲む使用者12の頭部の部位(たとえば、使用者の前額部及び頬)と接続して光軸に対して適切な位置及び向きで使用者の頭部を安定させるように構成されている。多くの実施形態では、イメージング装置10は比較的長い期間(たとえば30秒)にわたってイメージングを行い、使用者12は使用者の頭部をビューアアセンブリ14と組み合わせてイメージング期間にわたって光軸に対する使用者の頭部の位置及び向きを安定させる。多くの実施形態では、ビューアアセンブリ14は、使用者が使用者の眼の一方を光軸に合わせるのを可能にするように、光軸に対する使用者の頭部の異なる位置及び/又は向きに対応する。光軸が水平に対して角度がつけられていることとビューアアセンブリ14の構成とを組み合わせることで、使用者12は自然で快適な姿勢で着座しつつ使用者の眼をイメージング装置10の光軸に自動的に合わせてイメージング期間にわたって光軸に対する眼の位置を維持することができる。光軸が水平に対して45度を超える角度がつけられていることとビューアアセンブリ14の構成とを組み合わせることで、適切なイメージング期間中に使用者12による重力に起因する下方の動きも効果的に抑制される。適切な高さを組み入れて、光軸が水平に対して角度がつけられていることを組み合わせることで、卓上装置の使用者の快適な位置が可能になり、重力によるぐらつきが最小になって位置が安定する。多くの実施形態では、得られた眼科イメージング装置は持ち運び可能であり、取り扱いが容易で費用対効果の良い、網膜疾患の在宅モニタリング向けの解決手段が実現される。
【0030】
[0040]多くの実施形態では、眼科イメージング装置の光軸には水平面に対して45~85度の角度がつけられている。いくつかの実施形態では、使用者の頭部がビューアにもたれかかる状態で位置決めしながら光軸を使用者の瞳孔に合わせるのを可能にしつつ快適な姿勢を実現するように、水平面に対する眼科イメージング装置の角度を使用者が調節することができる。多くの実施形態では、使用者による調節や移動がなされない場合に眼科イメージング装置を固定型で構成し、使用者は光軸を使用者の瞳孔に合わせるために眼科イメージング装置のビューア及び/又はハウジングに対して使用者の頭部を僅かに水平に(たとえば、光軸と直交する軸X及びYに)調節することができる。多くの実施形態では、ビューア及び/又はハウジングに対する使用者の頭部の水平移動は僅か20mmにすぎず、一般的には0.5mm以下程度である。いくつかの実施形態では、ビューアはハウジングに対する使用者の頭部の水平移動に対応する可撓性を持つ。たとえば、このビューアについては、使用者が使用者の頭部をビューアの一部分にビューアの別の部分よりも押しつけて、使用者の頭部をハウジングに対して水平方向に再位置決めすることにより、光軸に対して水平に再位置決めすることができるように、ビューアの縁に可撓性の材料(たとえば軟質発泡体)を取り入れることができる。これの代わりに、眼科イメージング装置は、使用者が使用者の頭部をハウジングに対して傾けかつ/又は再位置決めして、ハウジングに対してビューアをスライドさせて、使用者の瞳孔が光軸に合わせられる状態にすることができるように、光軸と交差する方向に(たとえば、光軸と直交する軸X及び/又はY上で)ビューアがスライドすることを可能にする機構を含むことができる。
【0031】
[0041]図2は眼科イメージング装置10の実施形態の簡略化した概略側面図を示す。図示されている実施形態では、イメージング装置10は、ハウジングアセンブリ20と、ハウジングアセンブリ20に取り付けられているイメージングアセンブリ22と、ハウジングアセンブリ20に取り付けられているビューアアセンブリ14とを含む。イメージングアセンブリ22はレンズアセンブリ24を含む。イメージングアセンブリ22はテーブル18の上面16に対して所定の角度に向けられる光軸26を有する。多くの実施形態では、光軸26は、眼科イメージング装置10が支持される水平面16から45度~85度の角度で延びる。多くの実施形態では、イメージング装置10は上面16よりも上の180mm~350mmの高さに配置される焦点28を有する。
【0032】
[0042]多くの実施形態では、イメージング装置10は、使用者12が使用者12の眼30を光軸26に合わせることを実現し、イメージング装置10の適切なイメージング期間にわたって光軸26に対する眼の十分なアライメントを維持することを可能にするように構成されている。たとえば、図3に示されているように使用者の眼30が光軸26に合わせられているように使用者12がビューアアセンブリ14と組み合っているときには、イメージング装置10の適切なイメージング期間にわたって光軸26に対する眼30のアライメントを維持するのを支援するのに、使用者12がビューアアセンブリ14と組み合い続け、イメージングアセンブリ22によって使用者に表示される固視目標を使用者12が固視し続けることを利用することができる。図4に示されているように使用者の眼30が光軸26に合わせられていないように使用者12がビューアアセンブリ14と組み合っているときには、使用者12はビューアアセンブリ14に対して使用者の頭部を再位置決めしかつ/又は向け直して、使用者の眼30が光軸26に合わせられる状態にすることができる。多くの実施形態では、イメージング装置10は使用者の眼30を繰り返しイメージングし画像を処理して、使用者の眼30が光軸26に合わせられているのか光軸26に合わせられていないのかを判断する。多くの実施形態では、使用者の眼30が光軸26に合わせられていない場合、イメージング装置10は、使用者の眼30が光軸26に合わせられている状態にするために、光軸に対して使用者の眼30を使用者12が再位置決めするべき方向及び距離に関して使用者12にフィードバックする。
【0033】
[0043]図5は眼科イメージング装置10の実施形態を示す。図示されている実施形態では、イメージング装置10は、ビューアアセンブリ14の実施形態と、ハウジングアセンブリ20の実施形態と、一対のハンドル32と、タッチ画面ユーザインタフェース34とを含む。ハウジングアセンブリ20は高さ調節ノブ35と可調ベース36とを含む。高さ調節ノブ35は可調ベース36と駆動可能に接続されており、可調ベース36は、イメージング装置10を支持するのに用いられる水平面16に対するビューアアセンブリ14の高さを変更するようにノブ35の回転により調節可能である。図示されている実施形態では、一方の方向にノブ35を回転させると、水平面16に対するビューアアセンブリ14の高さが増加する。他方の方向にノブ35を回転させると、水平面16に対するビューアアセンブリ14の高さが減少する。一対のハンドル32は、使用者12によって保持され、イメージング装置10の適切なイメージング期間中に使用者の眼30のアライメントを維持するのを支援するようにビューアアセンブリ14が使用者の頭部と組み合っている状態を保つように構成されている。
【0034】
[0044]多くの実施形態では、ビューアアセンブリ14は、使用者の右眼のイメージング用の構成と使用者の左眼のイメージング用の構成との間でハウジングアセンブリ20に対して位置変更可能である。たとえば、図6は、ビューアアセンブリ14が使用者の右眼のイメージング用に位置決めされている眼科イメージング装置10の上面視図を示す。図7は、ビューアアセンブリ14が使用者の左眼のイメージング用に位置決めされている眼科イメージング装置10の上面視図を示す。いくつかの実施形態では、イメージング装置10は、ビューアアセンブリ14をハウジングアセンブリ20に接続する位置変更機構を含む。たとえば、図示されている実施形態では、使用者の眼の各々のイメージング用のそれぞれの構成間でハウジングアセンブリ20に対してビューアアセンブリ14をスライドさせるために設けられた位置変更機構を介して、ビューアアセンブリ14をハウジングアセンブリ20にスライド可能に接続する。
【0035】
[0045]多くの実施形態では、ビューアアセンブリ14は、使用者12が眼30を光軸26に合わせるのを可能にするように光軸26に対する使用者の頭部の異なる位置及び/又は向きに対応するように構成されている。たとえば、図8は眼科イメージング装置10のビューアアセンブリ14の拡大上面視図を示す。図示されている実施形態では、ビューアアセンブリ14は、ビューアアセンブリ14に対する使用者の頭部の異なる位置及び/又は向きのために使用者の鼻に対応するギャップ38,40を有する。特に、ギャップ38,40の寸法は、ビューアアセンブリ14に対する使用者の頭部及び鼻の異なる水平位置(すなわち、軸42に平行)に対応するように設定される。ギャップ38,40の寸法は、ビューアアセンブリ14に対する使用者の頭部の異なる向き(すなわち、方向44について異なる向き)に対応するように設定される。ギャップ38,40によって設けられるビューアアセンブリ14の凹所の深さは、ビューアアセンブリ14に対する使用者の頭部の異なる傾斜向き(たとえば、軸36まわりの傾斜向き)に対応し、かつ使用者が使用者の眼の垂直位置を調節することを可能にして、使用者の眼が光軸26に合わせられる状態で使用者が使用者の頭部をビューアアセンブリ14と組み合わせることを可能にするように、ビューアアセンブリ14に対する使用者の頭部の(軸42に垂直な)異なる垂直位置に対応するように設定される。
【0036】
[0046]多くの実施形態では、ビューアアセンブリ14は、使用者の眼を取り囲む周縁部に途切れなく沿って使用者の頭部と組み合うように構成されている接触面46を有する。多くの実施形態では、周縁部は、途切れなく、使用者の左眼の下から延びて、使用者の左眼と使用者の左耳との間の使用者の左眼の周囲で延び、使用者の両眼の上で延び、使用者の右眼と使用者の右耳との間の使用者の右眼の周囲で延び、使用者の右眼の下まで延びる。多くの実施形態では、接触面46は、光軸26に対する使用者の頭部の異なる位置及び/又は向きに対応するように構成されている。多くの実施形態では、ビューアアセンブリ14は、接触面46の形状が使用者の頭部に順応して、光軸に対する使用者の頭部の異なる位置及び/又は向きに対応するように変形可能である。多くの実施形態では、ビューアアセンブリは、ベース要素と、ベース要素に取り付けられる変形可能要素と、変形可能要素を被覆する生体適合層とを含む。多くの実施形態では、生体適合層は接触面46を含む。いくつかの実施形態では、変形可能要素の変形のし易さの度合いは接触面の異なる領域で異なる。
【0037】
[0047]多くの実施形態では、ビューアアセンブリ14が光軸26に対する複数の異なる使用者の頭部の各々の異なる位置及び/又は向きに対応することで、それぞれの使用者がそれぞれの使用者の眼の一方を光軸26に合わせることを可能にする。たとえば、ビューアアセンブリ14によって対応がなされる複数の異なる使用者は、それぞれの使用者の眼の複数の異なる離間距離を有することができる。図9は、光軸26に対するビューアアセンブリ14の接触面46と、イメージングアセンブリ22が眼30をイメージングするのに用いるイメージング装置10の開口48との位置及び向きの簡略化した概略図である。図10は、第1の使用者50の左眼が光軸26と合わせられている状態の第1の使用者50に対する接触面46、光軸26及び開口48の位置及び向きの簡略化した概略図である。図11は、第2の使用者52の左眼が光軸26と合わせられている状態の第2の使用者52に対する接触面46、光軸26及び開口48の位置及び向きの簡略化した概略図である。図10及び図11に示されているように、第1の使用者50の眼は第2の使用者52の眼と比較するとより長い距離だけ離間しており、ビューアアセンブリ14はイメージング装置10の第1の使用者50と第2の使用者52との両者による使用に対応する。
【0038】
[0048]他の変形例が本発明の精神の範囲内にある。したがって、本発明には様々な修正及び代替構成を容易に設けることができるが、そのいくつかの図示実施形態が図面に示され、詳細に上記で説明されている。しかし、本発明を開示されている1つ以上の特定の形態に限定する意図はなく、さらに言えば、その意図は、本発明の精神及び範囲に含まれるすべての修正、代替構成及び均等物をカバーすることであり、これらは添付の請求項で定められると解するべきである。
【0039】
[0049]本発明を説明する文脈で(特に以下の請求項の文脈で)用語「a」及び「an」及び「the」並びに同様の指示物の使用は、本出願において別段の記載がなかったり明確に文脈と矛盾したりしない限り、単数と複数との両方をカバーすると解釈されるべきである。用語「備える」、「有する」、「含む」及び「包含する」は、特記が別段なされていない限り、オープンエンド用語(すなわち、「含むがこれに限定されない」を意味する)と解釈されるものとする。用語「つなげられる」は、なんらかの介在するものがある場合であっても、部分的又は全体的に含められる、取り付けられる、又は結合されて一体になると解釈される。本出願における値の範囲の記載は、本出願において別段の記載がない限り、範囲に含まれる各別々の値を個別に言及する簡略表記法として用いられることを意図するにすぎず、各別々の値は、本出願で個別に記載されているかのように本明細書に援用される。本出願で説明されているすべての方法は、本出願において別段の記載がないか、これとは別に明確に文脈と矛盾しない限り、任意の適切な順序で実行することができる。本出願で用いられている一切の例又は例示的な文言(たとえば「など」)の使用は、本発明の実施形態を一層明らかにすることを意図しているにすぎず、別段請求されていない限り、本発明の範囲を限定しない。本明細書中の文言は、請求されていない、なんらかの要素を本発明の実施に必須であるものとして示すものと解釈されるべきではない。
【0040】
[0050]発明者が認識している本発明を実施するための最良の形態を含む本発明の好ましい実施形態が本出願で説明されている。当該好ましい実施形態の変形例は上記の説明を理解すれば当業者に明らかになると言える。発明者は、このような変形例を当業者が適切に採用することを期待しており、発明者は、本出願で具体的に説明されているのとは異なるように本発明を実施することを意図している。したがって、本発明は、本明細書に添付されている請求項に記載され、適用される法律によって許容される保護対象のすべての修正及び均等物を含む。さらに、そのすべての可能な変形例の上記要素の任意の組み合わせが、本出願において別段の記載がないか、これとは別に明確に文脈と矛盾しない限り、本発明に含まれる。
【0041】
[0051]本明細書で引用されている出版物、特許出願及び特許を含むすべての引用物は、各引用物が参照により援用されることが個別にかつ明確に示され、その全体が本明細書に記載されているようであるのと同程度に参照により本明細書に援用される。
【0042】
[0052]以下の項に照らして本開示の実施形態の例を説明することができる。
【0043】
[0053]第1項.光軸を有するイメージングアセンブリと、イメージングアセンブリが取り付けられるハウジングアセンブリであって、ハウジングアセンブリは、イメージングアセンブリの動作中に水平面上で不動状態にされるように構成されており、ハウジングアセンブリが水平面上で不動状態にされているときに光軸は水平面から45度~85度の角度に向けられる、ハウジングアセンブリと、ハウジングアセンブリに接続されるビューアアセンブリであって、ビューアアセンブリは、使用者の頭部と組み合って光軸に対する使用者の頭部の位置及び向きを安定させるように成形されている接触面を備え、ビューアアセンブリは、使用者が使用者の眼の一方を光軸に合わせるのを可能にするように、光軸に対する使用者の頭部の異なる位置及び/又は向きに対応する、ビューアアセンブリとを備える眼科イメージング装置。
【0044】
[0054]第2項.接触面は、使用者の眼を取り囲む周縁部に途切れなく沿って使用者の頭部と組み合うように構成されており、周縁部は、途切れなく、使用者の左眼の下から延びて、使用者の左眼と使用者の左耳との間の使用者の左眼の周囲で延び、使用者の両眼の上で延び、使用者の右眼と使用者の右耳との間の使用者の右眼の周囲で延び、使用者の右眼の下まで延びる、第1項に記載の眼科イメージング装置。
【0045】
[0055]第3項.接触面は、光軸に対する使用者の頭部の異なる位置及び/又は向きに対応するように構成されている、第1項~第2項のいずれかに記載の眼科イメージング装置。
【0046】
[0056]第4項.イメージングアセンブリが光軸に合わせられている使用者の眼の一方をイメージングするのに用いる開口を備え、ビューアアセンブリは、接触面と開口との間で延びて接触面に途切れなく沿って遮光する遮光側面を備える、第1項~第3項のいずれかに記載の眼科イメージング装置。
【0047】
[0057]第5項.ビューアアセンブリは、接触面の形状が使用者の頭部に順応して、光軸に対する使用者の頭部の異なる位置及び/又は向きに対応するように変形可能である、第1項~第4項のいずれかに記載の眼科イメージング装置。
【0048】
[0058]第6項.ビューアアセンブリは、ベース要素と、ベース要素に取り付けられる変形可能要素と、変形可能要素を被覆する生体適合層とを備え、生体適合層は接触面を含む、第5項に記載の眼科イメージング装置。
【0049】
[0059]第7項.ビューアアセンブリは光軸に対する複数の異なる使用者の頭部の各々の異なる位置及び/又は向きに対応することにより、それぞれの使用者がそれぞれの使用者の眼の一方を光軸に合わせることを可能にし、複数の異なる使用者はそれぞれの使用者の眼の複数の異なる離間距離を備える、第1項~第6項のいずれかに記載の眼科イメージング装置。
【0050】
[0060]第8項.接触面は使用者の前額部と組み合うように構成されている、第1項~第7項のいずれかに記載の眼科イメージング装置。
【0051】
[0061]第9項.接触面は使用者の頬の各々と組み合うように構成されている、第1項~第8項のいずれかに記載の眼科イメージング装置。
【0052】
[0062]第10項.イメージングアセンブリは焦点を有し、ハウジングアセンブリが水平面上で不動状態にされるときに焦点は水平面よりも上の180mm~350mmの高さに配置される、第1項~第9項のいずれかに記載の眼科イメージング装置。
【0053】
[0063]第11項.ハウジングアセンブリは、焦点が水平面よりも上に配置される高さを変更するように調節可能である、第10項に記載の眼科イメージング装置。
【0054】
[0064]第12項.ハウジングアセンブリは、焦点が水平面よりも上に配置される高さを変更するように調節することができる一対の脚部を備える、第11項に記載の眼科イメージング装置。
【0055】
[0065]第13項.ハウジングアセンブリは、焦点が水平面よりも上に配置される高さと、水平面に対する光軸の向きとを同時に変更するように調節可能であり、各高さは水平面に対する光軸の対応する固有の角度をともなう、第10項~第12項のいずれかに記載の眼科イメージング装置。
【0056】
[0066]第14項.ビューアアセンブリによって対応される使用者の頭部の異なる位置及び/又は向きにより、光軸と直交する任意の軸に沿って20mmだけ使用者の眼を再位置決めすることを可能にする、第1項~第13項のいずれかに記載の眼科イメージング装置。
【0057】
[0067]第15項.ハウジングアセンブリは、使用者によって保持されて、ビューアアセンブリが使用者の頭部と組み合っている状態を保つように構成されている一対のハンドルを含む、第1項~第14項のいずれかに記載の眼科イメージング装置。
【0058】
[0068]第16項.ビューアアセンブリをハウジングアセンブリに接続する位置変更機構であって、位置変更機構は、ハウジングアセンブリに対してビューアアセンブリを位置変更することを可能にして、使用者の眼の各々を光軸に個別に合わせることを可能にするように構成されている、位置変更機構をさらに備える第1項~第15項のいずれかに記載の眼科イメージング装置。
【0059】
[0069]第17項.ビューアアセンブリは位置変更機構を介してハウジングアセンブリにスライド可能に接続される、第16項に記載の眼科イメージング装置。
【0060】
[0070]第18項.ビューアアセンブリは光軸と交差する2つの異なる方向に位置変更機構を介してハウジングアセンブリに対してスライド可能である、第17項に記載の眼科イメージング装置。
【0061】
[0071]第19項.位置変更機構は、光軸に平行に焦点に対してビューアアセンブリを位置変更するように動作可能である、第16項~第18項のいずれかに記載の眼科イメージング装置。
【0062】
[0072]第20項.ハウジングアセンブリは、光軸が水平面に対して向けられる角度を変更するように調節可能である、第1項~第19項のいずれかに記載の眼科イメージング装置。
【0063】
[0073]第21項.ハウジングアセンブリは、光軸が水平面に対して向けられる角度を変更するように調節することができる一対の脚部を備える、第20項に記載の眼科イメージング装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11