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特許7331008フランクフルト平面を用いたX線医療用撮影装置のアラインメント
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-14
(45)【発行日】2023-08-22
(54)【発明の名称】フランクフルト平面を用いたX線医療用撮影装置のアラインメント
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/14 20060101AFI20230815BHJP
   A61B 6/08 20060101ALI20230815BHJP
   A61B 6/04 20060101ALI20230815BHJP
【FI】
A61B6/14 310
A61B6/08 300
A61B6/04 301
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020554438
(86)(22)【出願日】2019-03-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-19
(86)【国際出願番号】 EP2019057661
(87)【国際公開番号】W WO2019192902
(87)【国際公開日】2019-10-10
【審査請求日】2022-03-03
(31)【優先権主張番号】15/946,310
(32)【優先日】2018-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509353665
【氏名又は名称】パロデックス グループ オイ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】アリ アンティカイネン
【審査官】亀澤 智博
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-135241(JP,A)
【文献】特開2016-010687(JP,A)
【文献】特表2018-500958(JP,A)
【文献】特開2014-138692(JP,A)
【文献】国際公開第2016/087894(WO,A1)
【文献】特開2015-177963(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 - 6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用撮影のためのX線撮影システムであって、
カラムと、
前記カラムに連結された上部シェルフと、
前記上部シェルフに回転可能に連結され、前記上部シェルフに対する回転軸を有する回転部分であって、前記回転部分は、第1X線源、レーザ、及びX線撮影検出器を具備し、前記第1X線源及び前記X線撮影検出器は、少なくとも前記回転部分の回転移動(R)により画像を提供するように構成されている、回転部分と、
撮影対象の患者を支持するように構成され、第1アームにより前記カラムに取付けられ、各々がイヤーバッドを有する1対の調整可能なイヤーロッドを具備する頭部計測患者支持体と、を具備し、
前記レーザは、レーザビームを発生させて、前記X線撮影検出器上の固定位置に投影するように構成され、前記固定位置は、前記患者のフランクフルト平面に関連付けられ、
前記頭部計測患者支持体は、前記イヤーバッドを前記レーザビームに位置合わせするよう調整可能である、X線撮影システム。
【請求項2】
第2アームにより前記カラムに取り付けられて、X線ビーム制限装置を具備する第2X線源であって、前記第2X線源は、X線ビームを発生させて、前記X線撮影検出器と組み合わせて、頭部計測画像を提供するように位置決めされる、第2X線源と、
前記第2X線源の走査移動(S)及び高さ移動(Z)を制御するように構成された制御装置と、をさらに具備する、請求項1に記載のX線撮影システム。
【請求項3】
前記回転部分は、頭部計測撮影中に前記第2X線源からのX線ビームを平行にするように構成された頭部計測コリメーターを具備し、前記回転部分は、回動移動(P)により前記頭部計測患者支持体の上方に位置決めされるように構成されている、請求項2に記載のX線撮影システム。
【請求項4】
前記第2X線源の回転軸は、前記第2X線源の焦点を通過する、請求項2に記載のX線撮影システム。
【請求項5】
前記第2X線源は、前記第2X線源に取り付けられた前記X線ビーム制限装置と前記走査移動(S)とにより前記患者を走査するように構成され、前記X線撮影検出器は、頭部計測撮影中に回転移動、直線移動、及び回動移動により前記第2X線源と同期して移動するように構成されている、請求項2に記載のX線撮影システム。
【請求項6】
前記第1X線源で発生させた前記レーザビームを、前記X線撮影検出器上の前記固定位置に位置合わせするように構成された制御装置をさらに具備する、請求項1に記載のX線撮影システム。
【請求項7】
前記第1X線源及び前記X線撮影検出器は、前記X線撮影検出器が前記回転部分に取り付けられたときにコンピュータ断層撮影画像を提供するように構成され、前記回転部分は、コンピュータ断層撮影中に回転移動、直線移動、及び回動移動の少なくとも1つにより位置決めされるように構成されている、請求項1に記載のX線撮影システム。
【請求項8】
医療用撮影のためのX線撮影システムであって、
カラムと、
第1X線源、レーザ、及びX線撮影検出器と、
撮影対象の患者を支持するように構成され、第1アームにより前記カラムに取り付けられ、患者接触部を含む、患者支持体と、を具備し、
前記レーザは、レーザビームを発生させ、前記X線撮影検出器上の固定位置に投影するように構成され、前記固定位置は、前記患者のフランクフルト平面に関連付けられ、
前記患者支持体は、前記患者接触部を前記レーザビームに位置合わせするよう調整可能である、X線撮影システム。
【請求項9】
第2アームにより前記X線撮影システムに取り付けられた第2X線源と、
前記第2X線源の走査移動(S)及び高さ移動(Z)を制御するように構成された制御装置と、をさらに具備する、請求項8に記載のX線撮影システム。
【請求項10】
上部シェルフと前記上部シェルフに取り付けられた回転部分とをさらに具備し、前記回転部分は、前記第1X線源と、前記レーザと、前記X線撮影検出器と、頭部計測撮影中に前記第2X線源からのX線ビームを平行にするように構成された頭部計測コリメーターと、を具備し、前記回転部分は、回動移動により前記患者支持体の上方に位置決めされるように構成されている、請求項9に記載のX線撮影システム。
【請求項11】
前記第2X線源の回転軸は、前記第2X線源の焦点を通過する、請求項9に記載のX線撮影システム。
【請求項12】
前記第2X線源は、前記第2X線源に取り付けられたX線ビーム制限装置と走査移動とにより前記患者を走査するように構成され、前記X線撮影検出器は、頭部計測撮影中に回転移動、直線移動、及び回動移動により前記第2X線源と同期して移動するように構成されている、請求項9に記載のX線撮影システム。
【請求項13】
制御装置は、前記第1X線源で発生させた前記レーザビームを、前記X線撮影検出器上の前記固定位置に位置合わせするように構成されている、請求項8に記載のX線撮影システム。
【請求項14】
上部シェルフと前記上部シェルフに取り付けられた回転部分とをさらに具備し、前記第1X線源及び前記X線撮影検出器は、前記X線撮影検出器が前記回転部分に取り付けられたときにコンピュータ断層撮影画像を提供するように構成され、前記回転部分は、コンピュータ断層撮影中に回転移動、直線移動、及び回動移動の少なくとも1つにより位置決めされるように構成されている、請求項8に記載のX線撮影システム。
【請求項15】
カラムと、前記カラムに連結された上部シェルフと、前記上部シェルフに回転可能に連結され、前記上部シェルフに対する回転軸を有する回転部分と、を具備し、前記回転部分は、X線源、レーザ、及びX線撮影検出器を具備する、X線撮影システムの較正方法であって、
前記回転部分を、第1アームにより前記カラムに取り付けられた、患者接触部を具備する患者支持体の上方に位置決めすることと、
前記レーザからレーザビームを発生させることと、
患者のフランクフルト平面に関連付けられた前記X線撮影検出器上の固定位置に、前記レーザビームを投影することと、
前記患者接触部を前記レーザビームに位置合わせすることで、前記患者支持体を調整することと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、広くは、X線医療用撮影のためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
X線照射等の高エネルギー放射線を利用して、対象物の内部構造を検査するシステムは、公知である。これらのシステムは、身体部分の画像を生成するために使用され得る。検出システム、特に医療分野で使用する検出システムは、対象とする身体部分に対し、X線検出器向きにX線を照射する。歯科パノラマX線撮影において、X線発生装置と撮影装置が、所定の幾何学的経路と速度プロファイルにしたがって患者の頭部の周囲を移動するプロセス中に画像を撮影する。X線発生装置と撮影装置の移動を、撮影装置面を対象となる層に直交するように従来から同期させている。
【発明の概要】
【0003】
いくつかの実施形態の目的は、患者支持体をX線撮影システムに位置合わせ(アライン)又は較正するための機構を提供することである。記載の較正方法とシステムは、頭部計測撮影のみに設計されるシステム等の単一モード撮影システムで使用され得る。しかしながら、記載の方法とシステムは、パノラマ撮影モード、頭部計測撮影モード、及び/又はコンピュータ断層撮影モードの組み合わせ等の組み合わせ撮影システムにおいても使用される場合がある。
【0004】
1つの実施例において、記載の方法とシステムは、撮影システムに関連する重要な構成要素の較正に関するパノラマ/頭部計測/コンピュータ断層の組み合わせ撮影システムの欠点を減じるのに役立つ。例えば、画像システムが、複数タイプの画像(パノラマ、頭部計測、及び/又はコンピュータ断層撮影画像等)を可能にするよう改良又は補完される場合、X線撮影システムは正確に較正する必要があり、撮影を確実に正確に行って、画像を複数回再撮影することを防止して、それによって、患者がX線照射を繰り返し受けることや、X線に不必要に暴露されることを防止する。
【0005】
例えば、頭部計測撮影設備の部分として、X線ビームの正確なアラインメントが重要である。いくつかの例において、頭部計測撮影の構成要素を、パノラマ撮影で設計されるシステムの追加機器又は付属品として提供する。本明細書記載のシステム及び方法は、患者のパノラマ、頭部計測、及び/又はコンピュータ断層撮影画像を撮影可能な撮影システムの較正用に提供される。すべてではないがいくつかのシステムにおいて、第1X線源がパノラマ及びはコンピュータ断層撮影用に使用され、第2X線源が頭部計測撮影用に使用される。本明細書記載のシステム及び方法は、X線検出器上の固定位置に、X線源から投影されたレーザビームを使用して、X線検出器に対して頭部計測患者支持体を正確に位置決めすることにより、患者に関連するフランクフルト平面に印をつけ、強調し、アラインすることを特に提供する。いくつかのシステムにおいては、特殊な患者支持体(頭部計測患者支持体)は提供しない。反対に、(いくつかの例においては、複数タイプの撮影で使用する)単一の患者支持体を提供する。本明細書記載の方法とシステムは、このような種類の一般的な患者支持体の較正にも使われ得る。
【0006】
1つの実施形態は、医療用撮影のX線撮影システムを具備する。X線撮影装置は、カラムを具備する。X線撮影システムは、カラムに連結された上部シェルフも具備する。X線撮影システムは、上部シェルフに回転可能に連結されて、上部シェルフに対する回転軸を有する回転部分を具備する。回転部分は、X線源と、レーザと、X線撮影検出器と、を具備する。X線源とX線撮影検出器は、少なくとも回転部分の回転移動(R)により画像を提供するように構成される。X線撮影システムは、撮影対象の患者を支持するように構成された頭部計測患者支持体も具備する。頭部計測患者支持体は、第1アームによりカラムに取り付けられ、1対の調整可能なイヤーロッドを具備し、イヤーロッドの各々はイヤーバッドを有する。レーザは、レーザビームを発生させて、X線撮影検出器上の固定位置に投影するように構成されて、固定位置は、患者のフランクフルト平面に関連付けられる。頭部計測患者支持体は、イヤーバッドをレーザビームに位置合わせ(アライン)するよう調整可能である。
【0007】
1つの実施形態は、医療用撮影のX線撮影システムを具備する。X線撮影システムは、第1X線源と、レーザと、X線撮影検出器と、を具備する。X線撮影システムは、撮影対象の患者を支持するように構成され、第1アームによりX線撮影システムに取付けられた患者支持体を具備する。患者支持体は、下あご支持体と、鼻支持体と、1対の調整可能なイヤーロッド(各々イヤーバッドを有する)と、又は他の患者接触部と、を具備する。レーザは、X線撮影検出器上の固定位置にレーザを投影するように構成される。固定位置は、患者のフランクフルト平面に関連する。患者支持体は、患者接触部をレーザビームに位置合わせ(アライン)するよう調整可能である。
【0008】
1つの実施形態は、カラムと、上部シェルフに回転可能に連結され、上部シェルフに対する回転軸を有する回転部分と、を具備し、回転部分は、X線源と、レーザと、X線撮影検出器とを具備する、X線撮影システムの較正方法を含む。該方法は、回転部分を、第1アームによりカラムに取り付けられた患者支持体の上方に位置決めすることを含む。患者支持体は、1対の調整可能なイヤーロッド等の患者接触部を具備し、イヤーロッドの各々は、イヤーバッドを有する。該方法はまた、X線撮影検出器に対向するX線源の線源表面に設置されたレーザからレーザビームを発生させることを含む。該方法はまた、X線撮影検出器上の固定位置にレーザビームを投影して、固定位置は、患者のフランクフルト平面に関連することを含む。該方法はまた、患者接触部をレーザビームに位置合わせ(アライン)するよう、患者支持体を調整することを含む。
【0009】
該方法はまた、患者位置決め手段の上方の第1撮影構成体に回転部分を位置決めすることを含み、パノラマ画像とコンピュータ断層画像の1つを提供する。該方法はまた、パノラマ画像とコンピュータ断層画像の1つを提供する間又はそのステップ中に、上部シェルフに対する回転軸を直線的に移動することで回転部分を移動し、上部シェルフを回動し、及び/又は回転部分を回転することを含む場合がある。
【0010】
別の実施例は、1つ以上の電子プロセッサにより実行される場合、該1つ以上の電子プロセッサに、カラムと、カラムに連結された上部シェルフと、上部シェルフに回転可能に連結され、上部シェルフに対する回転軸を有する回転部分と、を具備し、回転部分は、X線源と、レーザと、X線撮影検出器と、を具備するX線撮影システムの較正方法に関連する動作を実行させる命令を含む非一時的なコンピュータ可読媒体を含む。該方法は、回転部分を、第1アームによりカラムに取り付けられた頭部計測患者支持体の上方に位置決めすることを含む。頭部計測患者支持体は、1対の調整可能なイヤーロッドを具備し、イヤーロッドの各々は、イヤーバッドを有する。該方法はまた、レーザからレーザビームを発生させることを含む。該方法はまた、X線撮影検出器上の固定位置にレーザビームを投影して、固定位置は、患者のフランクフルト平面に関連することを含む。該方法はまた、イヤーバッドをレーザビームに位置合わせ(アライン)するよう、頭部計測患者支持体を調整することを含む。
【0011】
用語「医療用撮影」は、歯科、顎外、口部、顎顔面、又は耳、鼻、及び咽頭等の撮影を指す。
【0012】
さらなる実施形態は、従属請求項で定義される。従属請求項に記載の特徴は、明示的に別段の記載がなければ、相互に自由に組み合わせ可能である。
【0013】
下記に規定される動詞や用語の定義は、請求の範囲や明細書中に、違う定義が与えられなければ、適用されるものとする。
【0014】
動詞「comprise(具備する又は含む)」は、本明細書では、記載のない特徴の存在を排除することも必要とすることもない非限定語句として使用する。動詞「include(具備する又は含む)」及び「have/has(有する)」は、動詞「comprise(具備する又は含む)」と同様に定義される。
【0015】
用語「a」、「an」及び「少なくとも1つ」は、本明細書で使用される通り、1つ又は2つ以上と定義され、用語「複数の」は、2つ又は3つ以上と定義される。用語「別の」は、本明細書で使用される通り、少なくとも第2の又はそれ以上の序数と定義される。
【0016】
用語「又は」は、文脈で明示的に別段の定めがなければ、通常「及び/又は」を含む意味で使用する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1A】デジタル式のパノラマ/頭部計測/CT撮影システムを正面から示す。
図1B】デジタル式のパノラマ/頭部計測/CT撮影システムを上面から示す。
図2A】医療用撮影のためのX線撮影システムとその主要部品と動作を示す。
図2B】撮影中のX線撮影システムとパノラマ/CT撮影位置の患者を示す。
図2C】撮影中のX線撮影システムと頭部計測撮影位置の患者を示す。
図2D】X線源とX線検出器との間に設置された頭部計測患者支持体の較正を示す。
図2E】患者のフランクフルト平面を示す患者の側面図である。
図2F】X線撮影システムの機能要素を示す。
図2G】パノラマ撮影位置で典型的に構成された、2つの検出器のX線撮影システムの典型的な実施形態を示す。
図3】いくつかの実施形態に係るX線撮影システムの較正方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
1つ以上の実施形態は、以下の実施形態や添付図面に記載及び図示される。このような実施形態は、本明細書記載の具体的な詳細に限定されることなく、様々な方法で変更される場合がある。さらに、他の実施形態は、本明細書に記載しないが存在する場合がある。また、1つの構成要素で実行されるような、本明細書記載の機能は、分散形式で複数の構成要素により実行され得る。同様に、複数の構成要素により実行される機能は、単一の構成要素により統合・実行される場合がある。同様に、特定の機能を実行するように記載された構成要素もまた、本明細書に記載のない追加の機能を実行し得る。例えば、特定の方法で「構成」される装置又は構造体は、少なくともその方法で構成されるが、記載のない方法でも構成される場合がある。
【0019】
図1A~1Bは、提供された実施例で、上下移動(図1Aの「Z」で表示)を具備し、システム100の高さを、パノラマ、頭部計測、及びCBCT撮影モード用の患者の高さに適合させるカラム140を有する、デジタル式のパノラマ/頭部計測/円錐ビームコンピュータ断層撮影(CBCT)組み合わせシステム100を示す。
【0020】
システム100の上部シェルフ150は、固定継手等でカラム140に取り付けられる。上部シェルフ150は、回転部分120を支持する。回転部分120(別称「ガントリー」)は、一般にC字形を有し、1端部にX線源124を、他端部にX線撮影検出器126を組み込む。回転部分120は、回転軸122の周りを最大400度等で(図1Bの「R」で表示)回転する。X線源124は、3つすべての撮影モードに共通し、X線ビーム制限装置128は、X線源124の正面に取り付けられる。
【0021】
検出器126は、1つ又は2つのいずれかの検出器を具備する。いくつかの実施形態において、検出器126は、頭部計測検出器(パノラマ撮影も可能)と、1つのパノラマ/CBCT/頭部計測の組み合わせ検出器と、又は頭部計測撮影で使用されるように構成された1回撮影用の検出器と、を具備する。いくつかの実施形態は、2つの検出器を具備する。例えば、検出器126は、パノラマ撮影も可能な頭部計測検出器とCBCT検出器とを具備する場合がある。検出器を互いに対して取り付けて、X線ビーム内に配置される特定の検出器を変更する方法が複数存在する。
【0022】
撮影中に、X線ビーム制限装置128は、X線ビームの大きさや形状を、選択された撮影モード、選択された画像の大きさ、関連する検出器の大きさの要件にX線ビームが適合されるように制御する。
【0023】
回転部分120は、上部シェルフ150に接続される。回転部分120は、一般的に可動式(少なくとも1つの直線移動)であるため、回転軸122、すなわち上部シェルフ150に対する回転部分120の回転中心は、撮影中上部シェルフ150に平行なY軸(又は移動線)に沿って調整可能である。さらに、回転部分120は、第1直線方向に直交する第2直線方向に(X軸又は移動線に沿って)移動可能であるため、回転軸122は、直線移動X、Yにより画定された平面内に位置決め可能である。
【0024】
さらに、回転部分120に対する回転軸122の固定位置を移動する第3N移動も可能である。回転軸122をX線ビームNAに沿った移動を利用して、パノラマ及びCBCT撮影モード内で倍率を変更することができる。回転軸122をX線ビームNPに直交して移動することは、CBCT撮影のオフセット走査と対称走査とを変更可能であり、すなわち視野(FOV)に影響を与える。
【0025】
頭部計測アーム160は、頭部計測ヘッド162をシステム100に取り付けるために使用する。頭部計測アーム160は、1端部に専用のX線撮影検出器164を、他端部に第2コリメーター166等を有する。これら2つの主要部品164、166の間に、調整可能なイヤーロッド168と調整可能な鼻(鼻根点)支持体169からなる、頭部計測患者位置決め支持部品168、169が懸装される。患者の頭部は、イヤーロッド168で外耳道の外側部分から、また対応する調整可能な鼻支持体169を使用して鼻から支持される。
【0026】
頭部計測X線検出器164は、検出器164をX線ビームに直交して移動するC移動でヘッド162に取り付けられる。その代わりに、検出器164が十分に大きい場合、頭部計測撮影を1回撮影用方法により行うことは可能である。
【0027】
頭部計測第2コリメーター166はまた、C移動に平行な、すなわちX線ビームに直交するC移動でヘッド162に取り付けられる。
【0028】
支持部品168、169は、2つの主要な撮影位置、即ち、側面及び前後(PA)投影位置に該部品を回転可能にする方法で、ヘッド162に取り付けられる。側面投影は基本的に、頭蓋骨の側面図であって、PA投影は、前後図である。
【0029】
パノラマ及びCBCT撮影用に、患者は、下部シェルフ142により、また可能であれば、こめかみ支持体143により典型的に支持される。支持点又は患者接触部は、患者の下あごの先端、及び額又はこめかみ等である。
【0030】
パノラマ撮影システム100は、パノラマ画像を得る走査中に、回転R及び直線X移動、Y移動、又はX・Y両移動を使用する。さらに、使用するセンサ技術によっては、検出器の時間差積分(TDI)又は全フレーム読み出しモードを使用して、画像撮影を終える。パノラマ(鮮明な)層は、移動の速度、またTDIの場合は、パノラマ検出器の読み出し速度により画定される。全フレーム検出器を使用する場合、層の最終的な形状は、走査後にコンピュータで計算される。回転角は、約270度等である。
【0031】
システム100において、CBCT撮影は、例えば、回転移動Rを使用して、フルフレームモードでCBCT検出器を読み出すことで実行される。このため、注目画像領域(ROI)の投影X線画像は、例えば、ROIの中心と回転移動Rが一致する方法で作成される。有効な回転角(開口)は、例えば、システム100に応じて約180度から360度の範囲である。
【0032】
頭部計測撮影において、患者は、システム100の頭部計測ヘッド162で配置された患者位置決め構造体168、169により支持される。X線ビームは、患者頭部を回転Rと直線Y移動の組み合わせで走査するよう配列される。X線ビームは、その後さらに、第2コリメーター166により平行にされて、最終的に頭部計測検出器164により捕捉され、両方ともX線ビームと同期して移動する。
【0033】
図2Aは、顎外歯科撮影等の医療用撮影で使用可能な、X線撮影システム200の主要部品を示す。
【0034】
システム200は、第1X線源224を含む、回転部分(ガントリー)220を具備する。X線撮影検出器226はまた、回転部分220に取り付けられる。X線撮影検出器226の位置は、X線撮影検出器226が回転可能又は直線的に移動可能である等、調整可能である。X線源224及び/又はX線撮影検出器226は、少なくとも回転部分220の回転軸222の周りの回転移動Rにより、パノラマ、CT又は頭部計測画像を提供する。回転部分220のR移動は、例えば、回転軸222の周りで最大400度である。記載の実施例において、第1X線源224は、ハウジングH内に位置決めされて、ハウジングHはまた、レーザ263が発生させるレーザビームLBが、X線源224に対向するX線撮影検出器226の表面に衝突するように位置決めされるレーザ263を具備する。レーザ263は、レーザビームLBを発生させて、レーザビームLBをX線撮影検出器226上の固定位置に投影するように構成される(図2Dに表示)。レーザ263は、レーザビームLBを、X線撮影検出器226上の固定位置等の所望の位置に向け得るよう、レーザ263を移動するように構成される1つ以上の電動機駆動装置等の調整可能な機構内に設置され得る。電動機は、以下でさらに詳細に記載する制御装置により制御され得る。
【0035】
システム200はまた、第2アーム261でカラム240に取り付けられた第2X線源265を具備する。第2X線源265は、X線ビーム制限装置267を具備する。第1アーム260と第2アーム261は、2つの別個のアームとして記載されているが、実際は単一アームとして作動するよう機械的に連結され得る。単一アームは、単一アームの1端部を上昇させてその他端部を下降させるように(シーソーと同様の方法で)、カラム240に回動可能に接続され得る。
【0036】
回転部分220は、回転手段(表示せず)により回転部分220を回転するように構成される回転モータを具備する。その代わりとして、回転モータは、システム200の上部シェルフ250に配置可能である。1つの実施例において、回転部分220は、上部シェルフ250に取り付けられる。
【0037】
回転部分220は、例えば、C字形に近い形状を有し、X線源224は、回転部分220の1端部に存在する。X線源224は、X線ビームが円錐形ビームであるCBCT撮影等のパノラマ撮影とCT撮影の2つの画像モードに共通する。いくつかのCT撮影方法において、X線ビームは、ピラミッド状ビーム、半月形の円錐ビーム、又は他の形状のビームの1つである。
【0038】
記載の実施例において、X線源224はまた、X線源224用のビーム制限装置228と、X線ビーム制限装置228を調整するように構成されたX線ビーム制限モータとを具備する。撮影中に、X線ビーム制限装置228は、X線ビームの大きさや形状を、選択された撮影プロトコル、選択された画像の大きさ、関連する検出器の大きさのニーズにX線ビームが適合されるように制御する。
【0039】
回転部分220の他端部には、1つ又は2つのX線検出器227a、227b(図2G参照)等を具備可能であるX線撮影検出器226が設置されている。1つの検出器のX線撮影検出器226の典型的な実施形態は、1つのパノラマ検出器と、パノラマ撮影も可能な1つの頭部計測検出器と、1つのパノラマ/CT組み合わせ検出器と、1つのパノラマ/CT/頭部計測組み合わせ検出器と、又はパノラマ/CT撮影と1回撮影用の頭部計測撮影で使用されるように構成される1つの検出器と、を具備し得る、1つのX線検出器227を具備可能である。
【0040】
1つの検出器のX線撮影検出器226は、例えば、X線撮影検出器226の1つの検出器が、使用されるX線源224又は265(本明細書でさらに詳細に記載)に好ましくは直交して位置決め可能なように、回転部分220に対してX線撮影検出器226を回転して、及び/又はパノラマ/CT撮影において、1つの検出器又はX線撮影検出器226とX線源224との間の距離を調整するための回転部分220に対して直線的にX線撮影検出器226の1つの検出器を移動することで、調整可能である。
【0041】
2つの検出器のX線撮影検出器226の実施例において、検出器226は、1つのパノラマ検出器と1つのCT検出器、又はパノラマ撮影も可能な1つの頭部計測検出器を具備可能である。検出器226の2つの検出器の実施形態において、検出器を、例えば、パノラマ撮影で連続して配列し、その後すぐに、パノラマ又は頭部計測検出器を、撮影モードの倍率を整えるための前方検出器として配列し、CT検出器を、後方検出器として配列する。検出器227a、227b(図2Gを参照)について、前方検出器227aが、レール231a、231bと、レール231a、231bに沿って移動して、CT撮影において後方検出器227a又は頭部計測撮影において前方検出器227aを使用する必要がある場合、後方検出器227bの隣等に正面検出器227aが摺動するよう回転するように構成された回転体等の移動手段230により、わきに移動するように、2つの検出器を交換する。その代わりに、前方検出器227aは、頭部計測撮影において後方検出器227bに対して別の位置に移動可能である。頭部計測撮影での前方検出器227aの場所は、前方検出器227aが、交換移動及び使用するX線源265に対するR及びL移動により、どのように移動されるかで決まる場合がある。頭部計測検出器227aは、使用するX線源265に好ましく直交して位置決め可能である。前方検出器227aは、正面検出器227aを前方位置に戻して移動することが必要な場合、同様に摺動して復帰する。
【0042】
回転部分220は、検出器226が、パノラマ及びCT撮影に別個の検出器227a、227bを具備するならば、移動手段230により少なくとも1つの検出器を移動するように構成された検出器モータ235を具備可能である。
【0043】
システム200は、システム200と回転部分220の高さZを調整するためのカラム240を具備する。カラム240は、上下移動Zを与えるための高さモータ、ギア、ネジ式ロッド、及び高さモータで駆動されるよう構成される入れ子式手段又は釣り合い重り手段等を含み得る高さ適合手段241を具備して、パノラマ、頭部計測、又はCT撮影モード用に回転部分220の高さを患者201の高さに適合させる。高さ適合手段241は、例えば、高さ適合手段の移動及び/又は入れ子式移動又は釣り合い重り移動として、Z移動を実現可能である。
【0044】
下部シェルフ又は第2患者支持体242は、カラム240に取り付けられる。下部シェルフ又は第2患者支持体242は、パノラマ及び/又はCT撮影等の撮影用に患者201を位置決めし、撮影中に下あご支持体CSにより患者201の下あごの先端等から患者201を支持するために使用される。いくつかの場合において、システム200は、下部シェルフ又は第2患者支持体242等の1つの患者支持体のみを具備する場合がある。
【0045】
その代わりに、システム200が、座位の患者201の位置決めシステム(表示せず)を具備する場合、Z移動は、例えば、以下の椅子、下部シェルフ242、及びカラム240の少なくとも1つの高さをZ方向に適合させることで実現される。
【0046】
下部シェルフ242はまた、パノラマ/CT撮影位置の患者201の額及び/又はこめかみ等を支持する頭部支持体(表示せず)を具備可能である。
【0047】
システム200は、回転部分220を支持する上部シェルフ250を具備する。1つの実施例において、上部シェルフ250は、カラム240の周りで、下部シェルフ242に対して上部シェルフ250を回動移動可能にすることで、回転部分220が下部シェルフ242等の上方にくるように、回動継手(手段)252でカラム240の上端部に取り付けられる。
【0048】
上部シェルフ250は、回動継手252によりカラム240の周りで上部シェルフ250を回動するように構成された回動モータ253等を含む回動移動手段を具備する。
【0049】
上部シェルフ250は、回転部分220の回転手段を支持して、回転部分220が回転軸222の周りで回転可能に構成されたリニアコンベアと、リニアコンベアを上部シェルフ250にガイドするように構成された少なくとも1つのレール及び/又は軌道と、回転部分220と回転手段とを直線移動Lにより上部シェルフ250に対して移動可能にする、少なくとも1つのレール及び上部シェルフ250に沿ってリニアコンベアを駆動するように構成されたリニアモータ等の、直線移動手段223を具備する。上部シェルフ250の平面内のL移動が直線移動、例えば、それが上部シェルフ250に平行で、平行方向に対して特定の角度をなし、又は上部シェルフ250の平面内のL移動が曲線状の経路又は非直線経路等を有する非直線移動であるように、上部シェルフ250の直線移動手段223を提供可能である。
【0050】
回転手段は、回転部分220を上部シェルフ250に取り付ける。回転手段は、少なくとも1つのL移動で移動可能なため、軸222と、したがって上部シェルフ250に対する回転中心はL移動に沿って調整可能である。このため、軸222は、撮影中に、上部シェルフ250のP移動と回転部分220のL移動とで画定された平面内で位置決め可能である。
【0051】
直線X移動ではなく回転P移動を使用して、回転部分220の側方位置を調整することで、上部シェルフ250をより軽量かつ薄型に設計することが可能で、したがって、システム200の設置面積が小さくなる。対照的に、直線X移動に依存する従来の方法では、上部シェルフ250が幅広い形状であることが求められ、NP移動に依存するには、図1bに示す通り、回転部分220が幅広い形状であることが求められる。
【0052】
いくつかの場合において、回転部分220の1端部のX線源224は、他端部の検出器226よりも重量が大きい。結果として、回転部分220の重心の移動は、直線移動手段223を具備する回転部分220の結合構造体(表示せず)に変動荷重を生じ得るため、回転部分220は撮影中にふらついて、したがって、画質を低下させる。
【0053】
このような問題を軽減するために、上部シェルフ250は、上部シェルフ250に対して回転部分220のR移動を可能にする制御装置(表示せず)を具備することで、軸222が、回転部分220の重心を略移動し、これにより撮影中に回転部分220の結合構造体の中立軸に留まる。回転部分220の仮想回転軸は、走査中にR、L及びP移動を同期させて達成される。
【0054】
制御装置は、回転部分220を上記記載の方法で回転することで、結合構造体にかかるトルクを低減して、ふらつきで生じる人為的な不具合を除去することで画質を向上させる。
【0055】
さらに、制御装置により、回転部分220とその結合構造体がより軽量に、安価にかつ薄型に作製可能である。
【0056】
さらに、システム200は、カラム240の一端側に、特定の第1長さを有する第1頭部計測アーム260を具備する。アーム260は、頭部計測患者支持体262を、カラム240からの第1長さに一致する特定の第1距離でシステム200に取り付ける。
【0057】
頭部計測患者支持体262は、従来の頭部計測装置よりも大幅に単純な構造を有し、撮影対象の患者201を支持するための2つの調整可能なイヤーロッド268と調整可能な鼻(鼻根点)支持体269等の頭部計測患者支持手段268、269を具備する。患者の頭部は、例えば、イヤーロッド268に含まれるイヤーバッド268A(図2Dに記載)で外耳道の外側部分から、また鼻支持体269を使用して鼻から支持される。調整可能なイヤーロッド268と調整可能な鼻支持体269は、それらが、2つの主要な撮影位置、即ち、側面とPA投影位置に回転できるような方法で、頭部計測患者支持体262に取り付けられる。側面投影は基本的に、患者の頭蓋骨の側面図であって、PA投影は、前後図である。
【0058】
イヤーロッド268は、下方位置と上方位置とを有する傾斜可能又は回転可能なイヤーロッドであり得、下方位置で傾斜又は回転したイヤーロッド268が、患者に明確な通路を提供する場合、下方位置でイヤーロッド268が患者201を支持し、上方位置で患者を頭部計測撮影位置に配置又は患者が頭部計測撮影位置から離れることができる。
【0059】
さらに、システム200は、カラム240の他端側に、特定の第2長さを有する第2頭部計測アーム261を具備する場合がある。頭部計測撮影で使用する第2X線源265は、第2頭部計測アーム261に取り付けられる。第2頭部計測アームは、カラム240からの第2長さに対応するシステム200からの第2距離で第2X線源を保持する。X線源265は、頭部計測撮影用のX線ビーム制限装置267を具備する。オプションとして、X線ビーム制限装置267は、X線源265に取り付け可能である。X線源265は、走査移動Sを実行するように構成された回転手段264Aにより回転軸264の周りを回転するように構成可能である。X線源265の軸264は、X線源265の焦点を通過するように、焦点と同一線上にある。アーム261又はX線源265は、回転モータを具備して、該モータは、軸264の周りにX線源265を回転するように構成されて、該軸は、X線源265の焦点に一致する。
【0060】
記載の通り、いくつかの実施形態において、アーム260、261は、カラム240に取り付けられた別個のアームであり得、又は、単一アーム260、261の1端部には頭部計測ヘッド262を、他端部にはX線ビーム制限装置267を備えたX線源265を具備する1つのアーム260、261を使用可能である。
【0061】
さらに、回転部分220は、検出器226の1つの検出器とともに頭部計測撮影で使用する頭部計測(第2)コリメーター266を具備可能である。頭部計測コリメーター266は、図2C記載の通り、例えば、回転部分220の1つの(右)側面(X線源224等)に取り付けられる。その代わりとして、頭部計測コリメーターは、例えば、回転部分220の別の(左)側面(X線源224等)に取り付け可能である。
【0062】
さらに、回転部分220は、頭部計測撮影用の検出器226の少なくとも1つの検出器を回転するように構成された検出器モータ235と、Z方向の頭部計測コリメーター266の位置(高さ)及び/又はX線源224のコリメーターの位置とを調整するように構成されたコリメーター用モータと、を具備可能である。その代わりとして、又は追加として、X線ビーム制限モータ又はコリメーター用モータは、X線ビーム制限装置228と頭部計測コリメーター266との両方を調整するように構成され得る。
【0063】
回転部分220は、例えばP、R及びL移動で、頭部計測ヘッド(支持体)262の上方で駆動されることで、検出器226と頭部計測コリメーター266が頭部計測撮影用に位置決めされる。
【0064】
X線源265は、例えば、回転部分220内の検出器226(検出器226に取り付けられた頭部計測検出器227a等)や頭部計測コリメーター266とともに、それがS移動により軸264の周りで回転される場合、位置決めされた患者201からの頭部計測画像を提供するように構成可能であり、検出器226と頭部計測コリメーター266は、回転部分220のP、R及びL移動の少なくとも1つ等により移動するように配列される。その代わりとして、直線S移動等のX線ビームの走査移動は、X線源265のX線ビーム制限装置267を移動することで実行可能である。
【0065】
1回撮影用の検出器を使用するならば、検出器226と頭部計測コリメーター266は、P、R及びL移動の少なくとも1つにより位置決めされるが、画像は、これらの移動及び/又はS移動がなくても撮影可能である。
【0066】
このため、走査移動がP、R、L及びS移動等で実行される場合、専用ホルダー又は検出器164のC移動と頭部計測コリメーター166のC移動を必要としない。
【0067】
アーム260、261は、イヤーロッド268と鼻支持体269を備えた頭部計測ヘッド262の高さをX線源265に対して固定するように配列される。
【0068】
しかしながら、固定高さが問題を生じる場合があるが、それは、外耳道口が患者201の肩に対して位置する垂直距離が、患者201により大幅に異なる等、患者201の解剖学的構造が異なるためである。このため、患者201は結果得られる頭部計測画像には、位置が低すぎるため上部椎骨しか映らず、又は患者201が撮影画像で非常に高い位置であれば、患者201の肩が検出器226に接触し、どちらの場合も、特に走査時で問題となる。さらに、好ましい頭部計測撮影の幾何学配列では、イヤーロッド268の焦点と先端が同一(水平)軸上にあることが求められる。
【0069】
これらの問題を軽減するために、様々な長さのイヤーロッド268は、アーム260、261を互いに対し固定高さにすることで使用可能である。
【0070】
その代わりとして、又は追加として、これらの問題を排除するために、システム200は、1端部で頭部計測ヘッド262を、他端部でX線源265を支持するアーム260、261のカラム240に対して、高さを独立して調整するように構成される頭部測定高さ調整手段(表示せず)を具備可能である。
【0071】
オペレーターが上方/下方Z移動によりアーム260、261の高さを調整すると、焦点がイヤーロッド268の先端を自動的に追跡し、したがって、幾何学配列(イヤーロッド先端から焦点までの線)は変更されない。さらに、患者201の各側面の検出器226と頭部計測コリメーター266は、カラム240から高さをとり、したがって、イヤーロッド268と患者201に対して調整前と高さが異なる。
【0072】
頭部測定高さ調整手段は、オペレータ(ユーザ)が幾何学配列を損なうことなく、患者201の高さを調整できることで、患者201の特定の解剖学的構造に露出部を適合させる方法を提供する。
【0073】
第1及び第2X線源224、265は、高さ適合手段241及び/又は頭部測定高さ適合手段によりZ方向にカラム240に対して異なる高さで配列可能であるため、頭部計測撮影用に回転部分220のX線源224を使用する場合に頭部計測ヘッド262を追加で調整することが必要となるものの、該調整がなくても患者201を位置決め可能である。
【0074】
システム200の移動は、単純であるが、それは、従来のX移動に加えて頭部計測ヘッド262内の検出器226と第2コリメーター266のC及びC移動を、P移動を使用して置き換えられるからである。移動は、上部シェルフ250のL移動とP移動を使用して実行される。
【0075】
さらに、P移動を使用して、システム200の構造体は、より単純に安価に製作されるが、それは、頭部計測撮影が、1つの「分離不能」検出器226のみを使用してオプションとして実行されるためである。これにより、検出器226が壊れるリスクが低減されるが、それは、撮影モードをパノラマ/CTモードから頭部計測モードに変更する場合、検出器226を回転部分220のホルダーから取り外して、頭部計測ヘッド262のホルダーから分離する必要がないためである。検出器226内のパノラマ撮影用の検出器は、パノラマ撮影位置から頭部計測撮影位置まで回転可能なため、パノラマ撮影と頭部計測撮影の両方で同一の検出器を使用可能である。
【0076】
さらに、システム200の構造体は、パノラマ/CTモードから頭部計測モードへの変更、即ち、検出器226を1つのホルダーから別のホルダーに変更せずにパノラマ/CT撮影位置から頭部計測位置までの回転部分220の移動が自動化され、したがって、必要な手作業の量と作業流れに要する時間の両方を低減する場合に、作業流れを単純化して提供する。
【0077】
システム200が、カラム240の周りで回動する上部シェルフ250と、パノラマ及び/又はCT撮影を提供するための上述したL及びP移動により位置決めされるように構成される回転部分220と、を具備するが、頭部計測検出器と、第2コリメーターと、患者位置決め支持部品と、を具備するさらに従来式の頭部計測ヘッド262を有することも可能である。
【0078】
頭部計測撮影は、回転部分220のX線源224と、頭部計測ヘッド262の第2コリメーターと頭部計測検出器とにより提供される。X線源224は、患者201の頭部をR及びL移動で走査するように配列される。X線ビームは、X線ビームにより同期される第2コリメーターと頭部計測検出器により、それぞれ平行にされ、捕捉される。
【0079】
システム200は、パノラマ、CT、及び頭部計測撮影を提供するための複数の位置を有する、1つのX線源を具備するように提供される。1つのX線源は、撮影中に回転部分220に対して位置決めされる。
【0080】
図2Bは、パノラマ/CT撮影中の患者201の位置決めを示す。患者201は、下部シェルフ242により、また可能であれば、回転部分220が下部シェルフ242の上方にある、パノラマ/CT撮影位置のシステム200の頭部支持体により支持される。
【0081】
上部シェルフ250に加えて回転部分220が、パノラマ/CT撮影位置と異なる位置、即ち、頭部計測撮影位置、又はパノラマ/CT撮影位置と頭部計測撮影位置等の間の中間位置にあれば、上部シェルフ250は、P移動により該位置からパノラマ/CT撮影位置まで移動し、その後、回転部分220は、R及びL移動でさらに調整されて、回転部分220がパノラマ/CT撮影に備える。
【0082】
さらに、回転部分220は、回転部分220が下部シェルフ242又は頭部計測ヘッド262の上方にあるときは、X線源224又は検出器226が、患者201のパノラマ/CT及び/又は頭部計測撮影位置への位置決めの邪魔や妨害とはならない患者位置決め位置を有し得る。患者位置決め位置は、R移動により達成可能なことにより、回転部分220は、患者201の頭部をX線源224と検出器226との間で移動することで、患者201をパノラマ/CT及び/又は頭部計測撮影位置に配置又は患者201をそこから離すことが可能であるような位置に回転される。その代わりとして、P移動により患者位置決め位置を実現可能で、その後すぐに、回転部分220全体は、患者201が位置決めされると、パノラマ/CT及び/又は頭部計測撮影位置から離れるよう移動する。
【0083】
位置決めされたX線源224と検出器226は、回転軸222、即ち、回転部分220の回転中心がP及びL移動の少なくとも1つにより位置決めされると、パノラマ画像を提供するように構成される。
【0084】
使用するセンサ技術によっては、TDIモード又は全フレーム読み出しモードを使用して、画像撮影を終える。TDIモードでは、画像は、1回につき1カラム読み出され、一方全フレームモードでは、画像は、1回につき全画像フレームが読み出される。パノラマ(鮮明な)層は、移動の速度、またTDIの場合は、パノラマ検出器の読み出し速度により画定される。全フレーム検出器を使用する場合、層の最終形状は、走査後のコンピュータ上で計算される。回転角は、約270度等であるが、これに限定する意図はない。
【0085】
CT撮影中に、患者201はまた、下部シェルフ242により、また可能であれば、パノラマ/CT撮影位置のシステム200の頭部支持体により支持される。X線源224と検出器226は、検出器226が回転装置に取り付けられて、回転部分220の回転中心がROIに一致できるように位置決めされたときに、CT画像を提供するように構成される。
【0086】
位置決めされたX線源224と検出器226は、検出器226が回転部分220に取り付けられて、CT撮影中に回転軸222がR、L及びP移動の少なくとも1つにより位置決めされたときに、CBCT画像等のCT画像を提供するように構成される。
【0087】
システム200が対称撮影幾何学配列で使用される場合、CT撮影は、R移動のみを使用して、全フレームモードでCT検出器を読み出すことで実行可能である。その代わりとして、又は追加として、CT撮影は、回転部分220の仮想回転軸を、それがROIに一致するように位置決めするための上部シェルフ250内の制御装置を使用し、P、R及びL移動を使用することで実行可能である。このため、ROIの投影X線画像は、ROIの中心とR移動が一致する方法で作成される。1つの実施形態において、有効な回転角(開口)は、例えば、システム200に応じて、約180度~360度の範囲である。
【0088】
システム200をオフセット撮影で使用する場合、CT撮影は、R、L及びP移動を使用して、画像を走査することで実行可能である。これらのR、L及びP移動を同期して駆動することで、有効な回転中心は、X線ビームの側にそれることがあり、したがって、オフセット幾何学配列を形成する。オフセット走査は、第1「立体(solid)」オフセット幾何学配列とCT検出器の全360度回転により提供される。
【0089】
その代わりとして、オフセット走査は、患者201が、第1撮影方向に検出器を約180度回転して、基本的に最大の第1撮影オフセットを走査して撮影される、第2オフセット幾何学配列により提供される。その後、検出器を、回転中心の他の側に移動して、第1方向に対向する第2撮影方向に、検出器を約180度回転させて、基本的に最大の第2撮影オフセットを得る。その代わりとして、検出器は、開始位置に回転されて、回転中心の他の側に移動されて、その後、第1方向に約180度回転させて、基本的に最大の第2撮影オフセットを走査する。
【0090】
その代わりとして、オフセット走査は、X線ビーム領域の縁が回転中心に接触する第1撮影オフセットにより患者201が撮影される、第3オフセット幾何学配列、かつ検出器の360度回転により提供される。次に、検出器とX線源224は、X線ビーム領域が回転中心から離れて移動し、それが以前撮影された領域に衝突又はわずかに重なるような方法で、平行に移動される。その後、検出器は、第2撮影オフセットを完了するために360度で回転される。
【0091】
システム200は、いくつかの従来のシステムによる撮影や患者の位置決めで必要なR、L、X及びN移動に代えて、R、L及びP移動により、CT撮影の幾何学配列で同一の汎用性を提供する。
【0092】
図2Cは、頭部計測撮影中の患者201の位置決めを示す。患者201は、回転部分220が頭部計測ヘッド262に位置された患者支持手段268、269の上方にある頭部計測撮影位置において、患者支持手段268、269に支持される。
【0093】
上部シェルフ250に加えて回転部分220が、パノラマ/CT撮影位置、又はパノラマ/CT撮影位置と頭部計測撮影位置との間の中間位置等の、頭部計測撮影位置と異なる位置にあれば、上部シェルフ250は、P移動により該位置から頭部計測撮影位置まで移動し、その後、回転部分220は、R及びL移動でさらに調整されることで、回転部分220は、頭部計測撮影に備える。
【0094】
位置決めされたX線源265は、X線源265に取り付けられたX線ビーム制限装置267により、またS移動により支持された患者201を走査するように構成される。検出器226と回転部分220は、頭部計測撮影中にR、L及びP移動によりX線源265と同期して移動するように構成される。
【0095】
X線源265からのX線ビームは、軸264の周りのS移動で、X線源265とX線ビーム制限装置267を回転して患者201の頭部を走査するように配列される。その代わりとして、S移動は、X線ビーム制限装置267を(直線的等に)移動することで実行可能である。S移動は、頭部計測撮影で使用する検出器226の検出器が水平に位置決めされると、水平S移動の代わりに、垂直の走査移動として提供される。その代わりとして、頭部計測撮影は、十分に大きい検出器(いわゆる「1回撮影用」検出器)を1回撮影用の頭部計測画像に使用すれば、S移動なしで実行可能である。
【0096】
その後、X線ビームは、さらに頭部計測コリメーター266で平行にされて、最終的に検出器226内の同期的に移動する頭部計測検出器又は組み合わせ検出器により捕捉される。システム200は、頭部計測撮影中に移動を単純化するが、それは、頭部計測コリメーター266や検出器226の検出器に追加の移動手段が必要ないためである。
【0097】
図2Dは、頭部計測患者支持体262の較正を示す。1つの実施例において、頭部計測患者支持体262は、レーザ263からのレーザビームLBがイヤーバッド268に衝突するように位置決めされる。図2Dに示す通り、レーザビームLBは、記載の通り、X線源224とともにハウジングHに位置される場合がある、レーザ263(図2Dに表示せず)から発生される。レーザビームLBは、X線撮影検出器226の表面に投影される。いくつかの実施形態において、X線撮影検出器226は、X線源224に対向する表面上にアラインメント印(黒点又は「X」等)を有する。アラインメント印は、X線撮影検出器226の底縁から120mm~130mmの間付近にあり得る。レーザビームLBは、X線撮影検出器226上のアラインメント印に衝突することを目的とする。これにより、頭部計測患者支持体262をX線撮影検出器226上のアラインメント印にアラインするための機構が提供される。アラインメント印のある平面は、患者のフランクフルト平面に該当する。このため、イヤーバッド268Aを患者のフランクフルト平面とアラインすることが可能である。1つの実施例において、アラインメントは、オペレーターが第1アーム260の回動等で第1アームを調整して、次に、頭部計測患者支持体262を回動方向に応じて上下に移動させ得ることで、手動で実行される。さらに、カラム240に対する第1アーム260の位置を調整し得る。例えば、頭部計測患者支持体262がシステム200に付属品として付加されると、第1アーム260の高さは、取付け溝内の特定の位置でボルトやスクリューを締めることでカラム240に対して調整され得る。他の実施形態において、第1アーム260は、第1アーム260がカラム240に対して垂直に移動可能になる摺動可能なクランプ又は軸受け設置クランプ等の調整可能な機構を使用して、カラムに取り付けされ得る。例えば、ブレーキを備えた摺動可能なクランプは、電動機により駆動され得、カラム240に対して第1アーム260を調整可能で、移動装置275の1つとして具備され得る。別の実施例において、カメラ(位置決め手段227の部分等)は、X線撮影検出器226上に投影されたレーザビームの画像を捕捉して、画像を解析して、(メモリ280に格納された画像解析ソフトウェアを使用する等して)イヤーバッド268がレーザビームとアラインされているかどうかを判定する。制御装置270は、その後、移動装置275を制御して、イヤーバッド268Aがレーザビームとアラインされるよう第1アーム260を調整する。結果として、イヤーバッド268Aは、患者のフランクフルト平面とアラインされる。例えば、第1アーム260(また、いくつかの場合において、第2アーム260)は、カラム240に対して回動され得る。他の場合において、調整可能な機構は、カラム240に対して第1アーム260の垂直位置を調整するように構成される場合がある。
【0098】
図2Eは、患者201のフランクフルト平面を示す患者の側面図である。患者201は、調整可能なイヤーロッド268と調整可能な鼻支持体269を使用して、位置決めされる。
【0099】
第2患者支持体242等の単一の患者支持体が存在するシステム200の他の実施形態において、頭部計測患者支持体262をアラインするために使用する方法を適用する場合がある。例えば、レーザビームLBと下あご支持体CSとの間の関係(2つの間の所定高さの差等)は、上記記載の調整機構の1つ以上を使用して、カラム240に対する第2患者支持体242の位置をアラインするように使用され得る。
【0100】
図2Fは、システム200の機能要素を示す。システム200は、制御盤から入力を受信して、システム200と、その上述の移動と撮影プロセスとを制御するように構成される制御装置270と、を具備する。制御装置270は、カラム240等に取り付けられる。制御装置270は、ユーザ及び/又はソフトウェア起動命令を実行し、データ処理するための少なくとも1つのプロセッサ(部分)272と、命令と、ソフトウェアとデータファイル等のデータを格納及び保持するための少なくとも1つのメモリ(部分)280と、を具備する。
【0101】
さらに、制御装置270は、回動モータ、リニアモータ、高さモータ、回転モータ、検出器モータ、X線ビーム制限モータ、コリメーターモータ、ドライバー、又はシステム200の部品を移動させるために構成された他の手段(モータ、デバイス)275等に制御コマンドを送信し、及び/又は計測装置又はシステム200の部品の機能を検出するために構成された他の検出装置276からデータを受信するためのデータ転送部分274を具備する。
【0102】
さらに、データ転送部分274はまた、以下のX線源224及び/又はX線源265の少なくとも1つ、検出器226、患者201の正確な位置決めを指示することでパノラマ撮影位置及び/又はCT撮影位置の患者201の位置決めを容易にするように構成された位置決め手段277(少なくとも1つのレーザ、カメラ、又は他の指示手段)の少なくとも1つに制御コマンドを送信するように構成される。データ転送部分274はまた、以下の少なくとも1つのX線源224、265と、検出器226と、位置決め手段277の少なくとも1つから情報を受信するように構成される。
【0103】
さらに、制御装置270は、制御コマンドを入力し情報及び/又は命令を受信するための以下の少なくとも1つのファンクションキー、タッチスクリーン及び有線又は無線遠隔制御装置の少なくとも1つを含み得るユーザインターフェース部分278を具備する。
【0104】
少なくとも1つのメモリ280は、少なくとも、データ転送部分274を制御するプロセッサ272により実行するためのデータ転送アプリケーション284と、ユーザインターフェース部分を制御するためのプロセッサ272により実行するためのユーザインターフェースアプリケーション288と、少なくとも移動装置275、検出装置276、少なくとも1つのX線源224、265、検出器226、及び位置決め手段277等のシステム200の機能を制御するためのコンピュータプログラム(コード)289とを格納する。さらに、コンピュータプログラム289を実行すると、撮影パラメータ、撮影大きさ及び撮影モード等を制御可能である。
【0105】
少なくとも1つのメモリ280とコンピュータプログラム289は、少なくとも1つのプロセッサ272とともに、システム200が、図2A図2Dに記載の移動を少なくとも提供して、R、L及びP移動の少なくとも1つ又は2つにより検出器226と頭部計測コリメーター266の位置を制御するように構成される。
【0106】
コンピュータプログラム289は、コンピュータ(制御装置270)と使用するために、構成されたコンピュータプログラム289を有する、有形不揮発性(非法定)コンピュータ可読媒体を含むコンピュータプログラム製品であり得る。
【0107】
図2Gは、パノラマ、CT、及び頭部計測画像を提供可能な、少なくとも1つの検出器227a、227bを具備する1つの検出器226を示す。
【0108】
回転部分220は、撮影用に少なくとも1つの検出器227a、227bを位置決めするための回転部分220に対する少なくとも1つの20検出器227a、227bを移動する移動手段230と、移動手段230を駆動するように構成された検出器モータ235と、を具備する。検出器227aは、パノラマ画像を提供するように構成されるパノラマ検出器、又は頭部計測画像とパノラマ画像を25提供するように構成される頭部計測検出器等であり得る。CT検出器227bは、CT画像を提供するように構成される。
【0109】
移動手段230は、レール231a、231bの少なくとも1つと、ネジ式ロッド232と、コンベヤ装置233と、コンベヤ装置233に接続されて、検出器227aを回転部分220に取り付けるガイド装置234と、30ガイド溝236等と、を具備可能である。
【0110】
検出器モータ235は、レール231a、231bに沿ってコンベヤ装置233を移動するネジ式ロッド232により検出器227aを移動することにより、ガイド装置234が、直線、曲線、又は非直線溝等であり得るガイド溝236に沿って検出器227aを横にガイドする。
【0111】
図2Gは、回転部分220に取り付けられるX線源224及びパノラマ又は頭部計測検出器227aがパノラマ画像を提供可能であるパノラマ撮影位置の1つの実施例を示す。
【0112】
検出器227aとCT検出器227bは、パノラマ撮影位置に連続して配列されることで、検出器227aは、X線源224、265とCT検出器227bとの間に位置し、即ち検出器227aは、使用されるX線源224、265に対してCT検出器227bの正面に位置する。
【0113】
いくつかの実施形態において、CT撮影位置は、頭部計測撮影位置でもあり得、そこでは、X線源265が、回転部分220に取り付けられる頭部計測検出器227aとともに、頭部計測画像を提供可能である。検出器227aは、図2G記載の位置又は検出器227aがCT検出器227bの略後方であるように移動される位置等で、頭部計測撮影でCT検出器227bに対する別の位置にくることがあり得る。さらに、検出器227a、227bが配列されたときに頭部計測撮影が可能となり、そのとき、パノラマ撮影位置は頭部計測撮影位置でもある。いくつかの実施形態において、第1X線源224と組み合わせ検出器227は、回転部分220に取り付けられて、パノラマ画像とCT30画像を提供するために使用される。第2X線源265と組み合わせ検出器227は、回転部分220に取り付けられて、頭部計測画像を提供するために使用される。組み合わせ検出器227は、同様の移動手段230等によるが、必ずしもその全ての移動によらずに、図2G記載の検出器226で、検出器227aと同様に駆動可能である。
【0114】
パノラマ画像は、図2Gの記載と同様に、組み合わせ検出器227がパノラマ撮影位置に駆動されたときに撮影され、その後すぐに、組み合わせ検出器227は正面位置にくる。
【0115】
CT及び頭部計測画像は、組み合わせ検出器227がCT/頭部計測撮影位置に駆動されたときに撮影され、その後すぐに、組み合わせ検出器227が後方位置にくる。さらに、組み合わせ検出器227は、移動手段230により、かつR、L及びP移動の少なくとも1つにより位置決め可能である。その代わりとして、組み合わせ検出器227は、R、L及びP移動の少なくとも1つにより位置決め可能である。
【0116】
そのため、組み合わせ検出器227は、移動手段230により及び/又はR、L及びP移動の少なくとも1つによりパノラマ、CT及び頭部計測撮影位置の少なくとも2つの間を移動可能である。
【0117】
図3は、いくつかの実施形態に係るX線撮影システムの較正方法300のフローチャートである。方法300は、回転部分220を、第1アーム260でカラム240に取り付けられた頭部計測患者支持体262の上方で位置決めすることを含む(ブロック310)。記載の通り、頭部計測患者支持体262は、1対の調整可能なイヤーロッド268と、調整可能な鼻支持体269と、を具備する。イヤーロッド268の各々は、イヤーバッド268Aを有する。方法300はまた、レーザ263からレーザビームLBを発生させることを含む(ブロック320)。
【0118】
方法300はさらに、X線撮影検出器226上の固定位置にレーザビームを投影することを含み、固定位置は、患者のフランクフルト平面に関連する(ブロック330)。方法300はまた、イヤーバッド268Aをレーザビームとアラインすることで、頭部計測患者支持体262を調整することを含む(ブロック370)。
【0119】
本明細書記載のいくつかの実施形態は、非一時的なコンピュータ可読媒体に格納された命令を実行して記載の機能を実行するように構成された1つ以上の電子プロセッサを具備し得る。同様に、本明細書記載の実施形態は、記載の機能を実行するために1つ以上の電子プロセッサにより実行可能な命令を格納する非一時的なコンピュータ可読媒体として実施される場合がある。本出願に使用される通り、「非一時的なコンピュータ可読媒体」は、全てのコンピュータ可読媒体を含むが、一時的な伝搬信号からなることはない。したがって、非一時的なコンピュータ可読媒体は、ハードディスク、CD-ROM、光学記憶装置、磁気記憶装置、ROM(読み取り専用メモリ)、RAM(ランダム・アクセス・メモリ)、レジスタ記憶装置、プロセッサキャッシュ、又はそれらのいかなる組み合わせ等を含む場合がある。
【0120】
実施形態や実施例は、上述の実施形態に関して上記で説明され、複数の利点が示された。本発明は明らかに、これらの実施形態に限定されることはないが、他の実施形態及び請求項を含む。
[構成1]
医療用撮影のためのX線撮影システムであって、
カラムと、
前記カラムに連結された上部シェルフと、
前記上部シェルフに回転可能に連結され、前記上部シェルフに対する回転軸を有する回転部分であって、前記回転部分は、第1X線源、レーザ、及びX線撮影検出器を具備し、前記第1X線源及び前記X線撮影検出器は、少なくとも前記回転部分の回転移動(R)により画像を提供するように構成されている、回転部分と、
撮影対象の患者を支持するように構成され、第1アームにより前記カラムに取付けられ、各々がイヤーバッドを有する1対の調整可能なイヤーロッドを具備する頭部計測患者支持体と、を具備し、
前記レーザは、レーザビームを発生させて、前記X線撮影検出器上の固定位置に投影するように構成され、前記固定位置は、前記患者のフランクフルト平面に関連付けられ、
前記頭部計測患者支持体は、前記イヤーバッドを前記レーザビームに位置合わせするよう調整可能である、X線撮影システム。
[構成2]
第2アームにより前記カラムに取り付けられて、X線ビーム制限装置を具備する第2X線源であって、前記第2X線源は、X線ビームを発生させて、前記X線撮影検出器と組み合わせて、頭部計測画像を提供するように位置決めされる、第2X線源と、
前記第2X線源の走査移動(S)及び高さ移動(Z )を制御するように構成された制御装置と、をさらに具備する、構成1に記載のX線撮影システム。
[構成3]
前記回転部分は、頭部計測撮影中に前記第2X線源からのX線ビームを平行にするように構成された頭部計測コリメーターを具備し、前記回転部分は、回動移動(P)により前記頭部計測患者支持体の上方に位置決めされるように構成されている、構成2に記載のX線撮影システム。
[構成4]
前記第2X線源の回転軸は、前記第2X線源の焦点を通過する、構成2に記載のX線撮影システム。
[構成5]
前記第2X線源は、前記第2X線源に取り付けられた前記X線ビーム制限装置と前記走査移動(S)とにより前記患者を走査するように構成され、前記X線撮影検出器は、頭部計測撮影中に回転移動、直線移動、及び回動移動により前記第2X線源と同期して移動するように構成されている、構成2に記載のX線撮影システム。
[構成6]
前記第1X線源で発生させた前記レーザビームを、前記X線撮影検出器上の前記固定位置に位置合わせするように構成された制御装置をさらに具備する、構成1に記載のX線撮影システム。
[構成7]
前記第1X線源及び前記X線撮影検出器は、前記X線撮影検出器が前記回転部分に取り付けられたときにコンピュータ断層撮影画像を提供するように構成され、前記回転部分は、コンピュータ断層撮影中に回転移動、直線移動、及び回動移動の少なくとも1つにより位置決めされるように構成されている、構成1に記載のX線撮影システム。
[構成8]
医療用撮影のためのX線撮影システムであって、
カラムと、
第1X線源、レーザ、及びX線撮影検出器と、
撮影対象の患者を支持するように構成され、第1アームにより前記カラムに取り付けられ、患者接触部を含む、患者支持体と、を具備し、
前記レーザは、レーザビームを発生させ、前記X線撮影検出器上の固定位置に投影するように構成され、前記固定位置は、前記患者のフランクフルト平面に関連付けられ、
前記患者支持体は、前記患者接触部を前記レーザビームに位置合わせするよう調整可能である、X線撮影システム。
[構成9]
第2アームにより前記X線撮影システムに取り付けられた第2X線源と、
前記第2X線源の走査移動(S)及び高さ移動(Z )を制御するように構成された制御装置と、をさらに具備する、構成8に記載のX線撮影システム。
[構成10]
上部シェルフと前記上部シェルフに取り付けられた回転部分とをさらに具備し、前記回転部分は、前記第1X線源と、前記レーザと、前記X線撮影検出器と、頭部計測撮影中に前記第2X線源からのX線ビームを平行にするように構成された頭部計測コリメーターと、を具備し、前記回転部分は、回動移動により前記患者支持体の上方に位置決めされるように構成されている、構成9に記載のX線撮影システム。
[構成11]
前記第2X線源の回転軸は、前記第2X線源の焦点を通過する、構成9に記載のX線撮影システム。
[構成12]
前記第2X線源は、前記第2X線源に取り付けられたX線ビーム制限装置と走査移動とにより前記患者を走査するように構成され、前記X線撮影検出器は、頭部計測撮影中に回転移動、直線移動、及び回動移動により前記第2X線源と同期して移動するように構成されている、構成9に記載のX線撮影システム。
[構成13]
制御装置は、前記第1X線源で発生させた前記レーザビームを、前記X線撮影検出器上の前記固定位置に位置合わせするように構成されている、構成8に記載のX線撮影システム。
[構成14]
前記第1X線源及び前記X線撮影検出器は、前記X線撮影検出器が前記回転部分に取り付けられたときにコンピュータ断層撮影画像を提供するように構成され、前記回転部分は、コンピュータ断層撮影中に回転移動、直線移動、及び回動移動の少なくとも1つにより位置決めされるように構成されている、構成8に記載のX線撮影システム。
[構成15]
カラムと、前記カラムに連結された上部シェルフと、前記上部シェルフに回転可能に連結され、前記上部シェルフに対する回転軸を有する回転部分と、を具備し、前記回転部分は、X線源、レーザ、及びX線撮影検出器を具備する、X線撮影システムの較正方法であって、
前記回転部分を、第1アームにより前記カラムに取り付けられた、患者接触部を具備する患者支持体の上方に位置決めすることと、
前記レーザからレーザビームを発生させることと、
患者のフランクフルト平面に関連付けられた前記X線撮影検出器上の固定位置に、前記レーザビームを投影することと、
前記患者接触部を前記レーザビームに位置合わせすることで、前記患者支持体を調整することと、を含む、方法。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図3