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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-14
(45)【発行日】2023-08-22
(54)【発明の名称】表示基板及びその製造方法、表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/30 20060101AFI20230815BHJP
   H10K 59/10 20230101ALI20230815BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20230815BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20230815BHJP
【FI】
G09F9/30 309
H10K59/10
H10K50/10
G09F9/30 365
G09F9/00 308E
G09F9/00 342
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2020563401
(86)(22)【出願日】2019-03-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-03
(86)【国際出願番号】 CN2019079717
(87)【国際公開番号】W WO2020191623
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.10 Jiuxianqiao Rd.,Chaoyang District,Beijing 100015,CHINA
(73)【特許権者】
【識別番号】511121702
【氏名又は名称】成都京東方光電科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】CHENGDU BOE OPTOELECTRONICS TECHNOLOGY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.1188,Hezuo Rd.,(West Zone),Hi-tech Development Zone,Chengdu,Sichuan,611731,P.R.CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】黄 ▲ウェイ▼▲ユン▼
(72)【発明者】
【氏名】高 永 益
(72)【発明者】
【氏名】姜 尚▲勲▼
(72)【発明者】
【氏名】胡 文博
【審査官】新井 重雄
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0148856(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第109360843(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0062755(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0149155(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/30
H10K 59/10
H10K 50/10
H05B 33/10
H05B 33/02
H05B 33/04
G09F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開孔領域と、前記開孔領域を囲む表示領域とを有する表示基板であって、前記表示領域と前記開孔領域との間には、前記開孔領域を囲む第1のバリア壁を含み、
前記第1のバリア壁は、前記開孔領域を囲む少なくとも1つの側面に凹部を有する第1の金属層構造を含み、
前記表示基板は、ベース基板をさらに含み、
前記第1の金属層構造は、
前記ベース基板の第1の側にある第1の金属サブ層と、
前記第1の金属サブ層の前記ベース基板から離れる側にある第2の金属サブ層と、を含み、
前記第1の金属サブ層の前記ベース基板への正射影は、前記第2の金属サブ層の前記ベース基板上への正射影内に位置することにより、前記凹部が形成される、表示基板。
【請求項2】
前記表示領域は、第2の金属層構造を含む電極パターンを含み、
前記第1の金属層構造と前記第2の金属層構造とは、同じ構造を有するとともに、同じ材料を含む、請求項1に記載の表示基板。
【請求項3】
前記第1の金属層構造は、前記ベース基板の前記第1の側に位置する第3の金属サブ層をさらに含み、
前記第1の金属サブ層は、前記第3の金属サブ層の前記ベース基板から離れる側にあり、前記第1の金属サブ層の前記ベース基板への正射影は、前記第3の金属サブ層の前記ベース基板への正射影内に位置する、請求項に記載の表示基板。
【請求項4】
前記第2の金属サブ層の前記ベース基板への正射影は、前記第3の金属サブ層の前記ベース基板への正射影内に位置する、請求項に記載の表示基板。
【請求項5】
前記第1の金属サブ層の厚さは、前記第2の金属サブ層の厚さ及び前記第3の金属サブ層の厚さよりも大きい、請求項に記載の表示基板。
【請求項6】
前記第1の金属サブ層の厚さは150nm-900nmであり、前記第2の金属サブ層の厚さは30nm-300nmであり、前記第3の金属サブ層の厚さは30nm-300nmである、請求項に記載の表示基板。
【請求項7】
前記凹部の開口方向は、前記ベース基板に平行となる、請求項から請求項の何れかに記載の表示基板。
【請求項8】
前記表示領域と前記開孔領域との間には第2のバリア壁をさらに含み、
前記第2のバリア壁は、前記開孔領域を囲み、前記第1のバリア壁と同じ構造を有し、前記第1のバリア壁の前記開孔領域から離れる側に設けられる、請求項1に記載の表示基板。
【請求項9】
前記表示領域は、発光素子を形成するための第1の電極層と、第2の電極層と、第1の電極層と第2の電極層との間にある有機機能層とをさらに含み、前記有機機能層は、前記第1のバリア壁の前記凹部を有する側面で分断されている、請求項1に記載の表示基板。
【請求項10】
前記第2の電極層は陰極層であり、前記陰極層は、前記第1のバリア壁の前記凹部を有する側面で分断されている、請求項に記載の表示基板。
【請求項11】
イメージセンサおよび/または赤外線センサをさらに含み、
前記イメージセンサおよび/または赤外線センサは、前記ベース基板に接合されるとともに、前記ベース基板への正射影が前記開孔領域と少なくとも部分的に重なる、請求項に記載の表示基板。
【請求項12】
前記第1の金属層構造をエッチングして形成するためのエッチング液の作用により、前記第1の金属サブ層の材料がエッチングされる速度は、前記第2の金属サブ層の材料がエッチングされる速度よりも大きい、請求項に記載の表示基板。
【請求項13】
前記第1の金属サブ層の材料はアルミニウム又は銅を含み、
前記第2の金属サブ層の材料はチタン又はモリブデンを含む、請求項12に記載の表示基板。
【請求項14】
前記第1のバリア壁は、前記ベース基板の前記第1の側に位置する絶縁層構造をさらに含み、前記第1の金属層構造は、前記絶縁層構造の前記ベース基板から離れる側にある、請求項から請求項のいずれか一項に記載の表示基板。
【請求項15】
前記絶縁層構造は、複数のサブ絶縁層を含む、請求項14に記載の表示基板。
【請求項16】
開孔領域と、前記開孔領域を囲む表示領域とを形成するステップと、
前記表示領域と前記開孔領域との間に第1のバリア壁を形成するステップであって、前記第1のバリア壁は、前記開孔領域を囲み、前記開孔領域を囲む少なくとも1つの側面に凹部を有する第1の金属層構造を含むステップと、を含む、表示基板の製造方法であって、
前記製造方法が、ベース基板を提供するステップをさらに含み、
前記第1の金属層構造は、
前記ベース基板の第1の側にある第1の金属サブ層と、
前記第1の金属サブ層の前記ベース基板から離れる側にある第2の金属サブ層と、を含み、
前記第1の金属サブ層の前記ベース基板への正射影は、前記第2の金属サブ層の前記ベース基板上への正射影内に位置することにより、前記凹部が形成される、表示基板の製造方法
【請求項17】
前記開孔領域は、レーザー切断または機械的打抜きにより形成される、請求項16に記載の製造方法。
【請求項18】
前記表示領域を形成するステップは、第1の金属層構造の形成と同時に電極パターンを形成するステップを含み、
前記電極パターンは、第2の金属層構造を含み、前記第1の金属層構造と前記第2の金属層構造とは、同じ膜層で形成する、請求項16に記載の製造方法。
【請求項19】
前記第1のバリア壁を形成するステップは、
前記ベース基板の第1の側に第1の金属材料層を形成し、前記第1の金属材料層の前記ベース基板から離れる側に第2の金属材料層を形成するステップと、
前記電極パターン及び初期バリア壁を形成するように、前記第1の金属材料層と前記第2の金属材料層に対して第1のエッチングを行うステップと、
前記第1のバリア壁を形成するように、前記バリア壁に対して第2のエッチングを行うステップであって、前記第2のエッチングはウェットエッチングであり、且つ使用されるエッチング液により前記第1の金属材料層がエッチングされる速度は、前記第2の金属材料層がエッチングされる速度よりも大きくすることにより、前記凹部が形成されるステップと、を含む、請求項18に記載の製造方法。
【請求項20】
前記第1のバリア壁を形成するステップは、
前記ベース基板の第1の側に第3の金属材料層、第1の金属材料層および第2の金属材料層を順に形成するステップと、
前記電極パターン及び初期バリア壁を形成するように、前記第3の金属材料層、第1の金属材料層および第2の金属材料層に対して第1のエッチングを行うステップと、
前記第1のバリア壁を形成するように、前記初期バリア壁に対して第2のエッチングを行うステップであって、前記第2のエッチングはウェットエッチングであり、且つ使用されるエッチング液により前記第1の金属材料層がエッチングされる速度は、前記第2の金属材料層および前記第3の金属材料層がエッチングされる速度よりも大きくすることにより、前記凹部が形成されるステップと、を含む、請求項18に記載の製造方法。
【請求項21】
前記第1のエッチングは、ドライエッチングである、請求項19または請求項20に記載の製造方法。
【請求項22】
前記表示領域を形成するステップは、発光素子に用いられる第1の電極層と、第2の電極層と、第1の電極層と第2の電極層との間にある有機機能層とを形成するステップをさらに含み、
前記第2のエッチングに用いられるエッチング液は、前記第1の電極層をエッチングして形成するのに用いられるエッチング液と同じであり、前記有機機能層は、前記第1のバリア壁の前記凹部を有する側面で分断されている、請求項19または請求項20に記載の製造方法。
【請求項23】
前記第1のバリア壁を形成するステップは、
前記ベース基板の第1の側に第1の金属材料層を形成するステップと、
前記第1の金属材料層の前記ベース基板から離れる側に第2の金属材料層を形成するステップと、
前記第1の金属材料層と前記第2の金属材料層に対してウェットエッチングを1回行い、前記ウェットエッチングに用いられるエッチング液により、前記第1の金属材料層をエッチングする速度は、前記第2の金属材料層をエッチングする速度よりも大きいステップと、を含む、請求項18に記載の製造方法。
【請求項24】
前記表示領域と前記開孔領域との間には第2のバリア壁をさらに形成し、前記第2のバリア壁は前記開孔領域を囲むとともに前記第1のバリア壁の前記開孔領域から離れる側に形成され、前記第2のバリア壁と前記第1のバリア壁とが同じ膜層で形成される、請求項16に記載の製造方法。
【請求項25】
請求項1から請求項15のいずれか一項に記載の表示基板を含む、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施例は、表示基板及びその製造方法、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、表示デバイスのディスプレイが大画面化、全画面化の方向に進んでいる。一般的に、表示デバイス(例えば、携帯電話、タブレットコンピュータ等)は、撮像装置(又は、イメージング装置)を有し、該撮像装置が一般的にディスプレイ表示領域外の側に設置される。しかしながら、撮像装置を取り付けるのに一定の位置を必要とするため、ディスプレイのフルスクリーン化や狭額縁化の設計にとって不利になる。例えば、撮像装置をディスプレイの表示領域に組み合わせて、表示領域において撮像装置用の予備位置を残しておくことで、ディスプレイの表示領域を最大化するようにする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示の少なくとも1つの実施例は、開孔領域と、前記開孔領域を囲む表示領域とを有する表示基板であって、前記表示領域と前記開孔領域との間には、前記開孔領域を囲む第1のバリア壁を含み、前記第1のバリア壁は、前記開孔領域を囲む少なくとも1つの側面に凹部を有する第1の金属層構造を含む。
【0004】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例に係る表示基板においては、前記表示領域は、第2の金属層構造を含む電極パターンを含み、前記第1の金属層構造と前記第2の金属層構造は、同じ構造を有するとともに、同じ材料を含む。
【0005】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例に係る表示基板は、ベース基板をさらに含み、前記第1の金属層構造は、前記ベース基板の第1の側にある第1の金属サブ層と、前記第1の金属サブ層の前記ベース基板から離れる側にある第2の金属サブ層とを含み、前記第1の金属サブ層の前記ベース基板への正射影は、前記第2の金属サブ層の前記基板への正射影内に位置することにより、前記凹部が形成される。
【0006】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例に係る表示基板において、前記第1の金属層構造は、前記ベース基板の前記第1の側に位置する第3の金属サブ層をさらに含み、前記第1の金属サブ層は、前記第3の金属サブ層の前記ベース基板から離れる側にあり、前記第1の金属サブ層の前記ベース基板への正射影は、前記第3の金属サブ層の前記基板への正射影内に位置する。
【0007】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例に係る表示基板において、前記第2の金属サブ層の前記ベース基板への正射影は、前記第3の金属サブ層の前記ベース基板への正射影内に位置する。
【0008】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例に係る表示基板において、前記第1の金属サブ層の厚さは、前記第2の金属サブ層の厚さ及び前記第3の金属サブ層の厚さよりも大きい。
【0009】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例に係る表示基板において、前記第1の金属サブ層の厚さは150nm-900nmであり、前記第2の金属サブ層の厚さは30nm-300nmであり、前記第3の金属サブ層の厚さは30nm-300nmである。
【0010】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例に係る表示基板において、前記凹部の開口方向は、前記ベース基板に平行となる。
【0011】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例に係る表示基板において、前記表示領域と前記開孔領域との間には第2のバリア壁をさらに含み、
前記第2のバリア壁は、前記開孔領域を囲み、前記第1のバリア壁と同じ構造を有し、前記第1のバリア壁の前記開孔領域から離れる側に設けられる。
【0012】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例に係る表示基板において、前記表示領域は、発光素子の形成に用いられる第1の電極層と、第2の電極層と、第1の電極層と第2の電極層との間にある有機機能層とをさらに含み、前記有機機能層は、前記第1のバリア壁の前記凹部を有する側面で分断されている。
【0013】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例に係る表示基板において、前記第2の電極層は陰極層であり、前記陰極層は、前記第1のバリア壁の前記凹部を有する側面で分断されている。
【0014】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例に係る表示基板は、イメージセンサおよび/または赤外線センサをさらに含み、前記イメージセンサおよび/または赤外線センサは、前記ベース基板に接合されるとともに、前記ベース基板への正射影が前記開孔領域と少なくとも部分的に重なる。
【0015】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例に係る表示基板において、前記第1の金属層構造をエッチングして形成するためのエッチング液の作用により、前記第1の金属サブ層の材料がエッチングされる速度は、前記第2の金属サブ層の材料がエッチングされる速度よりも大きい。
【0016】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例に係る表示基板において、前記第1の金属サブ層の材料はアルミニウム又は銅を含み、前記第2の金属サブ層の材料はチタン又はモリブデンを含む。
【0017】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例に係る表示基板において、前記第1のバリア壁は、前記ベース基板の前記第1の側に位置する絶縁層構造をさらに含み、前記第1の金属層構造は、前記絶縁層構造の前記ベース基板から離れる側にある。
【0018】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例に係る表示基板において、前記絶縁層構造は、複数のサブ絶縁層を含む。
【0019】
本開示の少なくとも1つの実施例に係る表示基板の製造方法は、開孔領域と前記開孔領域を囲む表示領域とを形成するステップと、前記表示領域と前記開孔領域との間に第1のバリア壁を形成するステップであって、前記第1のバリア壁は、前記開孔領域を囲み、前記開孔領域を囲む少なくとも1つの側面に凹部を有する第1の金属層構造を含むステップと、を含む。
【0020】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例に係る製造方法において、前記開孔領域は、レーザー切断または機械的打抜きにより形成される。
【0021】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例に係る製造方法において、前記表示領域を形成するステップは、第1の金属層構造の形成と同時に電極パターンを形成するステップを含み、前記電極パターンは、前記第1の金属層の構造と同じ膜層で形成される第2の金属層構造を含む。
【0022】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例に係る製造方法において、前記第1のバリア壁を形成するステップは、ベース基板の第1の側に第1の金属材料層を形成し、前記第1の金属材料層の前記ベース基板から離れる側に第2の金属材料層を形成するステップと、前記電極パターン及び初期バリア壁を形成するように前記第1の金属材料層及び前記第2の金属材料層に対して第1のエッチングを行うステップと、前記第1のバリア壁を形成するように前記初期バリア壁に対して第2のエッチングを行うステップであって、前記第2のエッチングはウェットエッチングであり、使用されるエッチング液により、前記第1の金属材料層がエッチングされる速度は前記第2の金属材料層がエッチングされる速度よりも大きくすることにより、前記凹部が形成されるステップと、を含む。
【0023】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例に係る製造方法において、前記第1のバリア壁を形成するステップは、ベース基板の第1の側に第3の金属材料層、第1の金属材料層および第2の金属材料層を順に形成するステップと、前記電極パターン及び初期バリア壁を形成するように前記第3の金属材料層、第1の金属材料層および第2の金属材料層に対して第1のエッチングを行うステップと、前記第1のバリア壁を形成するように前記初期バリア壁に対して第2のエッチングを行うステップであって、前記第2のエッチングはウェットエッチングであり、使用されるエッチング液により、前記第1の金属材料層がエッチングされる速度が前記第2の金属材料層および前記第3の金属材料層がエッチングされる速度よりも大きくすることにより、前記凹部が形成されるステップと、を含む。
【0024】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例に係る製造方法において、前記第1のエッチングは、ドライエッチングである。
【0025】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例に係る製造方法において、前記表示領域を形成するステップは、発光素子に用いられる第1の電極層と、第2の電極層と、第1の電極層と第2の電極層との間にある有機機能層とを形成するステップをさらに含み、前記第2のエッチングに用いられるエッチング液は、前記第1の電極層をエッチング形成するのに用いられるエッチング液と同じであり、前記有機機能層は、前記第1のバリア壁の前記凹部を有する側面で分断されている。
【0026】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例に係る製造方法において、前記第1のバリア壁を形成するステップは、ベース基板の第1の側に第1の金属材料層を形成するステップと、前記第1の金属材料層の前記ベース基板から離れる側に第2の金属材料層を形成するステップと、前記第1の金属材料層と前記第2の金属材料層に対してウェットエッチングを1回行うステップであって、前記ウェットエッチングに用いられるエッチング液により前記第1の金属材料層がエッチングされる速度は、前記第2の金属材料層がエッチングされる速度よりも大きいステップと、を含む。
【0027】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例に係る製造方法において、前記表示領域と前記開孔領域との間に第2のバリア壁を形成するステップをさらに含み、前記第2のバリア壁は、前記開孔領域を囲むとともに、前記第1のバリア壁の前記開孔領域から離れる側に形成され、前記第1のバリア壁と同じ膜層で形成される。
【0028】
本開示の少なくとも1つの実施例は上記いずれかの表示基板を含む表示装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本発明の実施例の技術案をより明確に説明するために、以下に実施例の図面を簡単に説明するが、以下の説明における図面は、本発明の一部の実施例のみに関連するものであることが明らかであり、本開示を限定するものではない。
【0030】
図1A図1Aは表示基板の平面模式図である。
図1B図1B図1Aにおける表示基板のAーA線に沿った断面模式図である。
図2A図2Aは本開示のいくつかの実施例に係る表示基板の平面模式図である。
図2B図2B図2Aにおける表示基板のBーB線に沿った断面模式図である。
図2C図2C図2Aにおける表示基板のBーB線に沿った別の断面模式図である。
図3図3は本開示のいくつかの実施例に係る表示基板におけるバリア壁の断面模式図である。
図4図4は本開示のいくつかの実施例に係る表示基板におけるバリア壁の断面模式図である。
図5A図5Aは本開示のいくつかの実施例に係る別の表示基板の平面模式図である。
図5B図5B図2Aにおける表示基板のCーC線に沿った断面模式図である。
図5C図5C図2Aにおける表示基板のCーC線に沿った別の断面模式図である。
図6図6は本開示のいくつかの実施例に係る別の表示基板におけるバリア壁の断面模式図である。
図7図7は本開示のいくつかの実施例に係る別の表示基板におけるバリア壁の断面模式図である。
図8A図8Aは本開示のいくつかの実施例に係るさらに別の表示基板の平面模式図である。
図8B図8B図8Aにおける表示基板のDーD線に沿った断面模式図である。
図9図9は本開示のいくつかの実施例に係るさらに別の表示基板におけるバリア壁の断面模式図である。
図10図10は本開示のいくつかの実施例に係るさらに別の表示基板におけるバリア壁の断面模式図である。
図11図11は本開示のいくつかの実施例に係るさらに別の表示基板におけるバリア壁の断面模式図である。
図12A図12Aは本開示のいくつかの実施例に係る表示基板の製造過程における平面模式図である。
図12B図12Bは本開示のいくつかの実施例に係る表示基板の製造過程における平面模式図である。
図13A図13Aは本開示のいくつかの実施例に係る表示基板の製造過程における断面模式図である。
図13B図13Bは本開示のいくつかの実施例に係る表示基板の製造過程における断面模式図である。
図13C図13Cは本開示のいくつかの実施例に係る表示基板の製造過程における断面模式図である。
図14図14は本開示のいくつかの実施例に係る表示装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の実施例の目的、技術案および利点をより明確にするために、本発明の実施例の技術案を、本発明の実施例の図面を参照して以下に明確かつ完全に説明する。記載された実施例は、本開示の一部の実施形態であって、全ての実施形態ではないことは明らかである。記載された本開示の実施例に基づいて、当業者が創造的な労力を必要とせずに得られる他の全ての実施例は、全て本開示の範囲内である。
【0032】
他に定義されない限り、本開示で使用される技術用語または科学用語は、当業者にとって理解される一般的な意味であるべきである。本開示において使用される「第1」、「第2」、および類似の用語は、順序、数、または重要性を意味するものではなく、単に異なる構成要素を区別するために使用される。「含む」又は「備える」等の類似の用語は、他の要素又は物品を除外することなく、当該用語の前に存在する要素又は物品が、用語の後に列挙された要素又は物品及びそれらの同等物を包含することを意味する。「接続」又は「連結」などの類似の用語は、物理的または機械的接続に限定されず、直接的または間接的ないずれかの電気的接続を含むことができる。「上」、「下」、「左」、「右」等は相対位置関係を示すものに過ぎず、説明する対象の絶対位置が変わると、該相対位置関係も変わる。
【0033】
表示装置の表示領域を最大化するために、表示装置に備える撮像装置(イメージング装置)を表示領域に組み込んで、撮像装置を表示領域に配置してもよい。
【0034】
例えば、図1Aは表示装置に用いられる表示基板の平面模式図を示し、図1B図1Aにおける表示基板のA-A線に沿った断面模式図である。図1Aに示すように、表示基板100は、表示領域101を含み、表示領域101は、画素アレイを含み画素アレイにある開孔1011を有し、この開孔1011は撮像装置(図示せず)の予備位置となり、撮像装置がこの表示基板100の表示側とは反対側である裏側に設けられて、撮像装置が開孔1011を介して画像を取得する。これにより、撮像装置を表示基板100の表示領域101に組み込んでいる。
【0035】
表示領域101は、表示のための発光素子を有し、この発光素子は、例えば有機発光ダイオードであり、表示領域101の全部または一部における複数の発光素子が有する有機機能層103および電極層104は、通常、表示領域101において全面に亘って形成され、したがって、封止層105を用いて封止する場合、開孔1011の近傍に位置する領域が封止されることは困難であったり、封止されていてもこの領域の封止効果を確保することが困難である場合が多い。このとき、図1Bに示すように、例えば、水、酸素等の不純物が、開孔1011から、全面に亘って形成された有機機能層103及び電極層104に沿って表示領域101の内部に侵入することがあり、表示領域101の機能材料を汚染した結果、これらの機能材料の性能を悪化させ、ひいては表示領域101の表示効果表示効果を損なってしまう。
【0036】
本開示の少なくとも1つの実施例は、開孔領域と、開孔領域を囲む表示領域とを有する表示基板であって、表示領域と開孔領域との間には開孔領域を囲む第1のバリア壁を含み、第1のバリア壁は、開孔領域を囲む少なくとも1つの側面に凹部を有する第1の金属層構造を含む、表示基板を提供する。
【0037】
本開示の少なくとも1つの実施例は、表示領域と、開孔領域とを形成するステップと、表示領域と開孔領域との間において第1のバリア壁を形成するステップとを含む表示基板の製造方法であって、表示領域は開孔領域を囲み、第1のバリア壁は、開孔領域を囲み、且つ第1の金属層構造を含み、第1の金属層構造の開孔領域を囲む少なくとも1つの側面には凹部が形成される表示基板の製造方法を提供する。
【0038】
本開示の少なくとも1つの実施例は上記の表示基板を含む表示装置を提供する。
【0039】
以下、本開示のいくつかの実施例に係る表示基板およびその製造方法、表示装置について、いくつかの具体的な実施例により説明する。
【0040】
本開示の少なくとも1つの実施例は表示基板を提供し、図2Aはこの表示基板の平面模式図を示し、図2B図2Aにおける表示基板のBーB線に沿った断面模式図である。
【0041】
表示基板200は、図2A図2Bに示すように、開孔領域2011と、開孔領域2011を囲む表示領域201とを含み、表示領域201と開孔領域2011との間には、開孔領域2011を囲む第1のバリア壁2012を含み、第1のバリア壁2012は、開孔領域2011を囲む少なくとも1つの側面に凹部2012Aを有する第1の金属層構造を含む。この開孔領域2011は、表示基板の表示側(図2Bにおける上側)からの光が伝送して表示基板を透過し、表示基板の裏側(図2Bにおける下側)に到達することを可能とする。
【0042】
例えば、図2Bに示す第1の金属層構造では、第1の金属層構造の開孔領域2011に向かう側面と、開孔領域2011と反対側の側面のいずれにも凹部2012Aを有するが、本実施形態の他の例では、第1の金属層構造の1つの側面に凹部2012Aを有していてもよい。
【0043】
例えば、本実施例では、表示領域201は、表示操作を行うための画素アレイを含み、この画素アレイは、複数の画素ユニットがアレイ状に配列されてなり、画素ユニットは、駆動回路や発光回路等を含み、したがって、この表示領域201は、電極パターンをさらに含み、この電極パターンは、第1の金属層構造と同じ構造で同じ材料を有する第2の金属層構造を含む。例えば、第1の金属層構造と第2の金属層構造とは、製造プロセスにおいて同一層で形成されかつ同じ多層構造を有することができ、さらに第1の金属層構造と第2の金属層構造とにおける対応する層の材料がいずれも同一であるので、同じ膜層で形成することができる。
【0044】
例えば、表示領域201は、図2Bに示すように、画素アレイを含み、画素アレイにおける複数の画素ユニットが複数の表示用発光素子と、これらの発光素子を駆動する駆動回路とを含む。例えば、この発光素子は、電極層や有機機能層等の構成を含み、この駆動回路は、薄膜トランジスタやコンデンサ等の構成を含む。
【0045】
発光素子は、図2Bに示すように、第1の電極層218と、第2の電極層204と、第1の電極層218と第2の電極層204との間にある有機機能層とを含み、有機機能層は、例えば、有機発光材料層220と補助発光層203とを含み、補助発光層203は、例えば、電子輸送層または電子注入層などである。複数の画素ユニットにおける発光素子に用いられる有機機能層の少なくとも一部、例えば補助発光層203、及び第2の電極層204は、通常、表示領域201において全面に亘って形成されており、このとき、有機機能層は、第1のバリア壁2012の凹部2012Aを有する側面で分断されている。例えば、第1の電極層218は陽極層(又は画素電極層とも呼ばれる)であり、第2の電極層204は陰極層であり、陰極層も第1のバリア壁2012の凹部1012Aを有する側面で分断されている。これにより、開孔領域2011に近い側に位置する有機機能層と第2の電極層204とが水、酸素等の不純物で汚染された場合、有機機能層と第2の電極層204とが第1のバリア壁2012によって遮断されるため、これらの汚染不純物が有機機能層と第2の電極層204における発光素子の発光に用いられる部分にまで広がらない。例えば、第1のバリア壁2012の頂部にも、有機機能層の一部と第2の電極層204の一部とが形成されているが、これらの部分は他の部分から分離されている。
【0046】
例えば、薄膜トランジスタは、ゲート電極211及びソースドレイン電極212等の構成を含み、コンデンサは、第1の電極213、第2の電極214、及び第1の電極213と第2の電極214との間の第1の絶縁層215を含む。例えば、ゲート電極211またはソースドレイン電極212は、第2の金属層構造を有する電極パターンとして実現することができる。例えば、図2Bには、ソースドレイン電極212が第2の金属層構造を含むように示されている。このとき、第1のバリア壁2012の第1の金属層構造は、ソースドレイン電極212の第2の金属層構造と同じであり、同じ材料を含んでおり、例えば、第1のバリア壁2012の第1の金属層構造とソースドレイン電極212の第2の金属層構造とが同一層で形成され且つ同一の多層構造を有することにより、第1のバリア壁2012の第1の金属層構造とソースドレイン電極212の第2の金属層構造を、表示基板200の製造プロセスにおいて同じ膜層を用いて形成することができる。例えば、いくつかの例では、第1の金属層構造と第2の金属層構造とは、いずれも2層構造または3層構造などの多層構造を有する。
【0047】
例えば、図2Bに示すように、表示基板200は、ベース基板202をさらに含み、表示領域201は、ベース基板202にあり、ベース基板202は、開孔領域2011に位置する開孔2021を有する。例えば、第1のバリア壁2012の第1の金属層構造における凹部の開口方向は、ベース基板202と平行になる。例えば、図2Bの実施例では、ベース基板202は水平方向に配置され、凹部の開口方向は水平方向である。
【0048】
例えば、一例では、図3に示すように、第1のバリア壁2012の第1の金属層構造は、第1の金属サブ層20121と第2の金属サブ層20122との2層金属層構造を含む。第1の金属サブ層20121は、ベース基板202の第1の側(発光素子が形成される側、図示では上側)にあり、第2の金属サブ層20122は、第1の金属サブ層20121のベース基板202から離れる側(図示では上側)にあり、第1の金属サブ層20121のベース基板202への正射影は、第2の金属サブ層20122のベース基板202への正射影内に位置しており、これにより、このような2層の積層の側面に凹部2012Aが形成される。このとき、第1のバリア壁2012が形成されたベース基板202に有機機能層および第2の電極層204を形成する際には、有機機能層及び第2の電極層204を第1のバリア壁2012で分断させることができるため、水や酸素等の不純物が表示領域201の内部に入り込む経路が遮断される。
【0049】
例えば、一例では、図4に示すように、第1のバリア壁2012の第1の金属層構造は、第1の金属サブ層20121、第2の金属サブ層20122及び第3の金属サブ層20123の3層の金属層構造を含み、第3の金属サブ層20123は、ベース基板202の第1の側(図示では上側)にあり、第1の金属サブ層20121は、第3の金属サブ層20123のベース基板202から離れる側(図示では上側)にあり、第2の金属サブ層20122は、第1の金属サブ層20121のベース基板202から離れる側(図示では上側)にあり、第1の金属サブ層20121のベース基板202への正射影は、第2の金属サブ層20122のベース基板202への正射影内に位置し、且つ第1の金属サブ層20121のベース基板202への正射影も、第3の金属サブ層20123のベース基板202への正射影内に位置しており、これにより、このような3層の積層の側面に凹部2012Aが形成される。このとき、第1のバリア壁2012が形成されたベース基板202に有機機能層および第2の電極層204を形成する際には、有機機能層と第2の電極層204とを第1のバリア壁2012で分断させることができるため、水や酸素等の不純物が表示領域201の内部に入り込む経路が遮断される。
【0050】
例えば、いくつかの例では、第2の金属サブ層20122のベース基板202への正射影は、第3の金属サブ層20123のベース基板202への正投影内に位置する。このとき、第3の金属サブ層20123のベース基板202への正射影が最大となることにより、第1のバリア壁2012の第1の金属層構造と表示基板との接合強度が増大され、第1の金属層構造の安定性が向上され、有機機能層と第2の電極層204とが第1のバリア壁2012で分断されるのに役立つ。
【0051】
例えば、図2Bに示すものは、このような3層の金属層構造を有する例であり、このときのソースドレイン電極212が有する第2の金属層構造は、第3の金属サブ層20123と同一層にある金属サブ層2123と、第1の金属サブ層20121と同一層にある金属サブ層2121と、第2の金属サブ層20122と同一層にある金属サブ層2122とを含む。
【0052】
図2Bに示す場合、薄膜トランジスタにおけるソースドレイン電極212の第2の金属層構造は、第1の金属層構造と同一層で形成され且つ同じ多層構造、すなわち3層の金属層構造を有する。これにより、第1のバリア壁2112の第1の金属層構造とソースドレイン電極212の第2の金属層構造とを、表示基板200の製造プロセスにおいて同じ膜層を用いて同一の製造プロセスで形成することができ、工程の簡略化を図ることができる。
【0053】
例えば、第1のバリア壁2012の第1の金属層構造では、第1の金属サブ層20121の厚さは、第2の金属サブ層20122の厚さ及び第3の金属サブ層20123の厚さよりも大きいため、凹部の形成が容易になり、有機材料層203と第2の電極層204とを第1のバリア壁2012で分断させることが容易となり、それによって、第1のバリア壁2012のバリア効果をさらに向上させることができる。例えば、第1の金属サブ層20121の厚さは、150nm-900nm、例えば、200nm、400nm、600nm又は800nm等であり、第2の金属サブ層20122の厚さは、30nm-300nm、例えば、100nm、150nm又は200nm等であり、第2の金属サブ層20123の厚さは、30nm-300nm、例えば100nm、150nm又は200nm等である。例えば、一例では、第1の金属サブ層20121の厚さは600nmであり、第2の金属サブ層20122の厚さは200nmであり、第3の金属サブ層20123の厚さは200nmであり、この場合、第1のバリア壁2012はバリア効果を十分に発揮することができる。
【0054】
例えば、本開示のいくつかの実施例では、第2の金属サブ層20122の材料と第3の金属サブ層20123の材料とは、同じであってもよく、第1の金属サブ層20121の材料と第2の金属サブ層20122の材料とは、エッチング時のエッチングレートが異なる。例えば、第1の金属層構造をエッチングして形成するためのエッチング液の作用により、第1の金属サブ層20121の材料がエッチングされる速度を、第2の金属サブ層20122の材料がエッチングされる速度よりも大きくすることで、製造時に凹部2012Aを有する第1の金属層構造を容易に形成することができる。
【0055】
例えば、いくつかの実施例では、第1の金属サブ層20121の材料は、アルミニウムまたは銅などの金属またはその合金を含み、第2の金属サブ層20122の材料は、チタンまたはモリブデンなどの金属またはその合金を含み、第3の金属サブ層20123の材料は、第2の金属サブ層20122の材料と同じであり、チタンやモリブデンなどの金属またはその合金を含む。表示基板の電極構造、例えば第2の電極層204をエッチングして形成するためのエッチング液の作用により、アルミニウム又は銅がエッチングされる速度は、チタン又はモリブデンがエッチングされる速度よりも大きくなる。これにより、第2の電極層204等の電極構造をエッチング形成しながら、第1の金属サブ層20121、第2の金属サブ層20122、第3の金属サブ層20123をエッチングして凹部2012Aを形成することができる。
【0056】
例えば、いくつかの例では、第1の金属層構造が2層構造を採用する場合に、第1の金属サブ層20121及び第2の金属サブ層20122の材料の組み合わせには、アルミニウム/チタン、アルミニウム/モリブデン、銅/チタン、銅/モリブデン等が挙げられ、第1の金属層構造が3層構造を採用する場合に、第3の金属サブ層20123、第1の金属サブ層20121及び第2の金属サブ層20122の材料の組み合わせには、チタン/アルミニウム/チタン、モリブデン/アルミニウム/モリブデン、チタン/銅/チタン、またはモリブデン/銅/モリブデンなどであってもよい。
【0057】
例えば、本開示のいくつかの実施例では、図2Bに示すように、表示基板200は、イメージセンサおよび/または赤外線センサをさらに含み、イメージセンサおよび/または赤外線センサは、ベース基板202、例えばベース基板202の発光素子から離れる側に接合され、且つ、ベース基板202への正射影が開孔領域2011と少なくとも部分的に重なっており、例えばイメージセンサおよび/または赤外線センサが図中の符号210で示す位置に設けられる。これにより、イメージセンサおよび/または赤外線センサは、開孔領域2011を介してグラフィックギャザリング、顔認識、赤外線センシング等の機能を実現することができる。
【0058】
なお、本実施例のいくつかの例では、表示基板200は、コンデンサを覆う第2の絶縁層216、駆動回路を平坦化する平坦層217、画素アレイを画定する画素定義層219、封止空間を形成する柱状スペーサ208、密閉のための封止層205、及び封止効果をより高めるための第2の封止層206、第3の封止層207等の構成をさらに含むが、本開示の実施例ではこれらについて説明を省略する。この実施例の例では、薄膜トランジスタのソースドレイン電極212の一方が第1の電極層218に接続されているため、この薄膜トランジスタを駆動トランジスタとすることができ、すなわち、印加されたデータ信号に応じて発光素子に流れる発光電流の大きさを制御することにより、表示時における画素ユニットの階調を制御する。
【0059】
例えば、封止層205は、酸化シリコン、窒化シリコン等の材料を含む無機封止層であり、第2の封止層206は、ポリイミド等の有機材料を含む有機封止層であり、第3の封止層207は、酸化ケイ素、窒化ケイ素などの材料を含む無機封止層である。例えば、図2Bの例では、封止層205、第2の封止層206および第3の封止層207は、いずれも第1のバリア壁2012の開孔領域2011に近い側まで延びており、そのため、これらの3つの封止層のいずれも第1のバリア壁2012を封止する。他の例では、図2Cに示すように、封止層205は、第1のバリア壁2012の開孔領域2011に近い側まで延び、第2の封止層206と第3の封止層207とはいずれも第1のバリア壁2012の表示領域201に近い側で終止する。また、有機材料の水や酸素を遮断する能力が比較的弱いため、有機材料を含む第2の封止層206は、第2の封止層206を介して表示領域201の内部に水や酸素等の不純物が侵入することを避けるために、開孔領域201から遠く離れた位置で終止する。例えば、いくつかの例では、封止層205及び第3の封止層207は、第1のバリア壁2012の開孔領域2011に近い側まで延び、第2の封止層206のみは第1のバリア壁2012の表示領域201に近い側で終止する。この例も同様に、有機材料を含む第2の封止層206を介して表示領域201の内部に水や酸素等の不純物が侵入することを避けることができる。本開示の実施例は、封止層205、第2の封止層206および第3の封止層207の具体的な設置方式を限定するものではない。
【0060】
本開示のいくつかの実施例では、例えば、表示パネルの開孔領域2011の周囲には、一つ以上のバリア壁を設けてもよく、即ち、バリア効果を高めるために、二つ、三つ、四つ、五つ等のような複数のバリア壁を含んでもよい。
【0061】
例えば、図5A図5Bに示す表示基板は、二つのバリア壁を含む。図5Aは、この表示基板の平面模式図であり、図5Bは、図5Aにおける表示基板のC-C線に沿った断面模式図である。
【0062】
図5A図5Bに示すように、表示基板300は、開孔領域3011を囲む表示領域301と開孔領域3011とを含み、表示領域301と開孔領域3011との間には、第1のバリア壁3012と第2のバリア壁3013とを含み、第1のバリア壁3012と第2のバリア壁3013とは、開孔領域3011を囲む。第2のバリア壁3013は、所定の距離を隔て第1のバリア壁3012の開孔領域3011から離れる側に設けられている。第1のバリア壁3012と第2のバリア壁3013とは、いずれも第1の金属層構造を含み、第1のバリア壁3012の第1の金属層構造の開孔領域3011を囲む少なくとも1つの側面は凹部3012Aを有し、第2のバリア壁3013の第1の金属層構造の開孔領域3011を囲む少なくとも1つの側面は凹部3013Aを有する。
【0063】
表示領域301は、上記実施例と同様に、第2の金属層構造を含む電極パターンを含み、第1のバリア壁3012と第2のバリア壁3013の第1の金属層構造は、この第2の金属層構造と同じであり、同じ材料を含む。例えば、第1のバリア壁3012および第2のバリア壁3013における第1の金属層構造および第2の金属層構造は、同一層で形成され、同じ多層構造を有する。
【0064】
例えば、表示領域301は、画素アレイを含み、この画素アレイにおける複数の画素ユニットが、複数の表示用発光素子と、これらの発光素子を駆動する駆動回路とを含む。例えば、この駆動回路は、薄膜トランジスタやコンデンサ等の構成を含む。
【0065】
図5Bに示すように、発光素子は、第1の電極層318と、第2の電極層304と、第1の電極層320と第2の電極層との間にある有機機能層とを含む。有機機能層は、例えば、有機発光材料層210と補助発光層303とを含む。有機機能層の少なくとも一部、例えば補助発光層303、および第2の電極層304は、通常、表示領域301において全面に亘って形成されており、この場合、有機機能層は、第1のバリア壁3012及び第2のバリア壁3013の凹部3012A/3013Aを有する側面で分断されている。例えば、第1の電極層318は陽極層(又は画素電極層とも呼ばれる)であり、第2の電極層304は陰極層であり、陰極層も第1のバリア壁2012及び第2のバリア壁3013の凹部1012A/3013Aを有する側面で分断されている。これにより、開孔領域3011に近い側に位置する有機機能層と第2の電極層304とが水、酸素等の不純物で汚染される場合、有機機能層と第2の電極層304とが第1のバリア壁3012によって遮断されるため、この汚染が有機機能層および第2の電極層304における発光素子の発光に用いられる部分にまで広がらないようにする。例えば、第1のバリア壁3012にも有機機能層と第2の電極層304とが形成されているが、これらの部分は他の部分から分離されている。
【0066】
同様に、薄膜トランジスタは、ゲート電極311、ソースドレイン電極312等の構成を含み、コンデンサは、第1の電極313、第2の電極314、及び第1の電極313と第2の電極314との間の第1の絶縁層315を含む。例えば、ゲート電極311またはソースドレイン電極312は、第2の金属層構造を有する電極パターンとして実現することができる。例えば、図5Bに示すように、ソースドレイン電極312は第2の金属層構造を含み、且つ、第1のバリア壁3012及び第2のバリア壁3013の第1の金属層構造は、ソースドレイン電極312の第2の金属層構造とは同一層で形成され、同一の多層構造を有しており、そのため、第1のバリア壁3012及び第2のバリア壁3013の第1の金属層構造とソースドレイン電極312の第2の金属層構造とを、表示基板300の製造プロセスにおいて、同じ膜層を用いて形成することができる。例えば、いくつかの例では、第1の金属層構造と第2の金属層構造とが、いずれも2層構造または3層構造などの多層構造を有する。
【0067】
本実施例では、図6図7に示すように、第1のバリア壁3012および第2のバリア壁3013の第1の金属層構造は、上記実施例と基本的に同様であり、具体的な説明は上記実施例を参照することができ、なお、類似の符号は同一構成を示すものであり、本実施例ではその説明を省略する。
【0068】
図5Bに示すように、表示基板300は、ベース基板302をさらに含み、ベース基板302は開孔領域3011に位置する開孔3021を有する。例えば、第1のバリア壁3012及び第2のバリア壁3013の第1の金属層構造における凹部の開口方向は、ベース基板202と平行になる。
【0069】
例えば、表示基板300は、イメージセンサおよび/または赤外線センサをさらに含む。イメージセンサおよび/または赤外線センサは、ベース基板302、例えばベース基板302の発光素子から離れる側に接合され、且つ、ベース基板302への正射影が開孔領域3011と少なくとも部分的に重なっており、例えば、イメージセンサおよび/または赤外線センサが図中の符号310で示す位置に設けられる。これにより、イメージセンサおよび/または赤外線センサは、開孔領域3011を介してグラフィックギャザリング、顔認識、赤外線センシング等の機能を実現することができる。
【0070】
同様に、本実施例のいくつかの例では、表示基板300は、コンデンサを覆う第2の絶縁層316、駆動回路を平坦化する平坦層317、画素アレイを定義する画素定義層319、封止空間を形成する柱状スペーサ308、密閉のための封止層305、及び封止効果をより高めるための第2の封止層306、第3の封止層307等の構成をさらに含むが、本開示の実施例ではそれらの説明を省略する。この実施例の例では、薄膜トランジスタのソースドレイン電極312の一方が第1の電極層318に接続されているため、この薄膜トランジスタを駆動トランジスタとすることができ、すなわち、印加されたデータ信号に応じて発光素子に流れる発光電流の大きさを制御することにより、表示時における画素ユニットの階調を制御する。
【0071】
例えば、封止層305は、酸化シリコンや窒化シリコン等の材料を含む無機封止層であり、第2の封止層306は、ポリイミド等の有機材料を含む有機封止層であり、第3の封止層307は、酸化ケイ素や窒化ケイ素などの材料を含む無機封止層である。例えば、図5Bの例では、封止層305、第2の封止層306および第3の封止層307は、いずれも第1のバリア壁3012の開孔領域3011に近い側まで延びているので、この3つの封止層がいずれも第1のバリア壁3012と第2のバリア壁3013とを封止する。他の例では、図5Cに示すように、封止層305は、第1のバリア壁3012の開孔領域3011に近い側まで延び、第2の封止層306及び第3の封止層307は、いずれも第1のバリア壁3012及び第2のバリア壁3013との間で終止する。例えば、いくつかの例では、封止層305及び第3の封止層307は第1のバリア壁3012の開孔領域3011に近い側まで延び、第2の封止層306のみは第1のバリア壁3012と第2のバリア壁3013との間に止めてもよい。例えば、いくつかの例では、封止層305及び第3の封止層307は、第1のバリア壁3012の開孔領域3011に近い側まで延び、第2の封止層306のみは第2のバリア壁3013の表示領域301に近い側に止めてもよい。本開示の実施例は、各封止層の具体的な設置を限定するものではない。
【0072】
本開示のいくつかの実施例では、第1のバリア壁は、上述した第1の金属層構造に加えて、例えば絶縁層構造をさらに含み、第1の金属層構造は、絶縁層構造に積層されて、より多層構造を有する第1のバリア壁が形成されるので、バリア効果を高めるようにする。
【0073】
例えば、図8A図8Bに示す表示基板は、第1の金属層構造と絶縁層構造とを有する第1のバリア壁を含み、図8Aは、この表示基板の平面模式図であり、図8Bは、図8Aにおける表示基板のD-D線に沿った断面模式図である。
【0074】
図8A図8Bに示すように、表示基板400は、開孔領域401と表示領域4011とを含み、表示領域401と開孔領域4011との間には第1のバリア壁4012を含み、表示領域401は開孔領域4011を囲み、第1のバリア壁4012は開孔領域4011を囲み、第1のバリア壁4012は、第1の金属層構造と絶縁層構造とを含み、第1の金属層構造は、開孔領域4011を囲む少なくとも1つの側面に凹部4012Aを有する。
【0075】
一例では、図9に示すように、第1のバリア壁4012は、第1の金属層構造4012Bと絶縁層構造4012Cとを含む。第1の金属層構造4012Bの構造は、上述実施例と基本的に同様であり、なお、類似の符号は同一構成を示すものであり、ここでは説明を省略する。絶縁層構造4012Cは、少なくとも1つの絶縁層を含み、この絶縁層は、例えば、第1の金属層構造4012Bの下方に形成された絶縁層をエッチングすることによって得られる。図9に示すように、絶縁層構造4012Cは、断面が長方形に形成されており、このとき、第1のバリア壁4012の後に形成された有機機能層の少なくとも一部403及び第2の電極層404は、第1のバリア壁3012の絶縁層構造4012Cの側面で分断さればよい。
【0076】
一例では、図10に示すように、工程の都合上、第1のバリア壁4012の絶縁層構造4012Cの断面を正台形状に形成してもよく、このとき、第1のバリア壁4012の後に形成された有機機能層及び第2の電極層404は、第1のバリア壁3012の絶縁層構造4012Cの側面に沿って第1の金属層構造4012Bまで延び、その後、第1の金属層構造4012Bの側面で分断される。この場合、第2の電極層404上に形成される封止層405と第2の電極層404との接触面積がより大きくなるため、封止層405による封止効果が向上される。
【0077】
一方、絶縁層構造4012Cは、通常、無機材料(例えば、窒化シリコン、酸化シリコン等)を含み、このとき、開孔領域4011の縁に無機絶縁層を有すると、この無機絶縁層は開孔領域4011を形成する際にクラックが発生しやすく、また、このクラックは、表示基板の表示領域の内部に広がりやすい。本実施例では、第1の金属層構造4012Bの下方に形成された絶縁層をエッチングして第1のバリア壁4012の絶縁層構造4012Cを形成することで、開孔領域4011の縁に無機絶縁層がなくなるようにし、または、開孔領域4011の縁に位置する無機絶縁層の材料を減少させる。これにより、クラックの広がり経路を減少させることができ、また、形成された第1のバリア壁4012は、クラックのそれ以上の広がりを防止することができる。
【0078】
例えば、図8Bに示す表示基板は、図10に示すような第1のバリア壁4012を有し、また、第1のバリア壁4012の絶縁層構造4012Cは、複数のサブ絶縁層を含み、例えば、第1の絶縁層415と第2の絶縁層416と同一層にあるサブ絶縁層などを含む。例えば、他のいくつかの実施例では、絶縁層構造4012Cは、ベース基板4012の上方のバッファ層4020と同一層にあるサブ絶縁層をさらに含んでもよく、このとき、バッファ層4020がさらにエッチングされて、ベース基板402の表面の一部を露出させて、この露出された表面の一部が、後に形成される有機機能層と直接接触することができる。例えば、他のいくつかの実施例では、絶縁層構造4012Cは、バッファ層4020の上方のゲート絶縁層430と同一層にあるサブ絶縁層をさらに含んでもよい。例えば、他のいくつかの実施例では、絶縁層構造4012Cは、1層または2層のサブ絶縁層のみを含んでもよく、本開示の実施例は、絶縁層構造4012Cの層数を特に限定しない。
【0079】
また、表示領域401は、上記実施例と同様に、電極パターンをさらに含み、電極パターンは、第1の金属層構造と同じ構造を有し且つ同じ材料を含む第2の金属層構造を含む。例えば、第1の金属層構造と第2の金属層構造とは同一層で形成し、且つ同じ多層構造を有している。
【0080】
例えば、表示領域401は、画素アレイを含み、この画素アレイにおける複数の画素ユニットが、複数の表示用発光素子と、これらの発光素子を駆動する駆動回路とを含む。例えば、この駆動回路は薄膜トランジスタ、コンデンサ等の構成を含む。
【0081】
図8Bに示すように、発光素子は、第1の電極層418と、第2の電極層404と、第1の電極層420と第2の電極層404との間にある有機機能層とを含み、有機機能層は有機発光材料層420と補助発光層403とを含み、有機機能層の少なくとも一部、例えば補助発光層403、及び第2の電極層404は、通常、表示領域401において全面に亘って形成されており、このとき、有機機能層は、第1のバリア壁4012の凹部4012Aを有する側面で分断されている。例えば、第1の電極層418は陽極層であり、第2の電極層404は陰極層であり、陰極層も第1のバリア壁4012の凹部4012Aを有する側面で分断されている。例えば、第1のバリア壁4012の頂部にも、一部の有機機能層と第2の電極層404とが形成されているが、これらの部分は他の部分から分離されている。
【0082】
同様に、薄膜トランジスタは、ゲート電極411、ソースドレイン電極412等の構造を含み、コンデンサは、第1の電極413、第2の電極414、及び第1の電極413と第2の電極414との間の第1の絶縁層415を含む。例えば、ゲート電極411またはソースドレイン電極412は、第2の金属層構造を有する電極パターンとして実現することができる。例えば、図8Bに示すように、ソースドレイン電極412は第2の金属層構造を含み、且つソースドレイン電極412の第2の金属層構造は、第1のバリア壁4012の第1の金属層構造とは同一層で形成され同一の多層構造を有しており、そのため、表示基板400の製造プロセスにおいて、第1のバリア壁4012の第1の金属層構造とソースドレイン電極412の第2の金属層構造とを、同じ膜層を用いて形成することができる。例えば、いくつかの例では、第1の金属層構造と第2の金属層構造とが、いずれも2層構造または3層構造などの多層構造を有する。
【0083】
図8Bに示すように、表示基板400は、ベース基板402をさらに含み、ベース基板402は開孔領域4011に位置する開孔4021を有する。
【0084】
例えば、表示基板400は、イメージセンサおよび/または赤外線センサをさらに含み、イメージセンサおよび/または赤外線センサは、ベース基板402、例えば、ベース基板402の発光素子から離れる側に接合され、また、ベース基板402への正射影が開孔領域4011と少なくとも部分的に重なっており、例えば、イメージセンサおよび/または赤外線センサが図中の符号410で示す位置に設けられる。これにより、イメージセンサおよび/または赤外線センサは、開孔領域4011を介してグラフィックギャザリング、顔認識、赤外線センシング等の機能を実現することができる。
【0085】
同様に、本実施例のいくつかの例では、表示基板400は、コンデンサを覆う第2の絶縁層416、駆動回路を平坦化する平坦層417、画素アレイを限定する画素定義層419、封止空間を形成する柱状スペーサ408、密閉のための封止層405、及び封止効果をより高めるための第2の封止層406、第3の封止層407等の構成をさらに含むが、本開示の実施例では説明を省略する。この実施例の例では、薄膜トランジスタのソースドレイン電極412の一方が第1の電極層418に接続されているため、この薄膜トランジスタを駆動トランジスタとすることができ、すなわち、印加されたデータ信号に応じて発光素子に流れる発光電流の大きさを制御することにより、表示時における画素ユニットの階調を制御する。例えば、封止層405、第2の封止層406および第3の封止層407の設置は上述の実施例を参照することができ、ここでは説明を省略する。
【0086】
例えば、この実施例の他の例では、表示基板400は、一つの以上のバリア壁、すなわち、複数のバリア壁を含むように形成されてもよく、図5A図11を参照するように、この多層バリア壁は、表示領域401への保護を多重化することができる。
【0087】
本開示の少なくとも1つの実施例に係る表示基板の製造方法は、表示領域と開孔領域とを形成するステップと、表示領域と開孔領域との間に第1のバリア壁を形成するステップとを含む。形成される表示領域は、開孔領域を囲む。第1のバリア壁は、開孔領域を囲み、且つ開孔領域を囲む少なくとも1つの側面に凹部を有する第1の金属層構造を含む。
【0088】
例えば、一例では、表示領域を形成するステップは、第1の金属層構造の形成と同時に電極パターンを形成するステップを含み、電極パターンが第2の金属層構造を含み、第1の金属層構造と第2の金属層構造とが同じ膜層を用いて形成される。例えば、第1の金属層構造及び第2の金属層構造は、2層、3層等の多層電極構造である。
【0089】
例えば、第1の金属層構造と第2の金属層構造を2層電極構造として形成する場合には、第1のバリア壁の形成と同時に電極パターンを形成するステップは、ベース基板の第1の側に第1の金属材料層を形成し、第1の金属材料層のベース基板から離れる側に第2の金属材料層を形成するステップと、電極パターン及び初期バリア壁を形成するように第1の金属材料層と第2の金属材料層に対して第1のエッチングを行うステップと、次ぎに、第1のバリア壁を形成するように、初期バリア壁に対して第2のエッチングを行うステップと、を含み、第2のエッチングはウェットエッチングであり、また、使用されるエッチング液により第1の金属材料層がエッチングされる速度は、第2の金属材料層がエッチングされる速度よりも大きくすることにより、凹部が形成される。
【0090】
例えば、第1の金属層構造と第2の金属層構造を3層電極構造として形成する場合には、第1のバリア壁の形成と同時に電極パターンを形成するステップは、ベース基板の第1の側に第3の金属材料層、第1の金属材料層および第2の金属材料層を順に形成するステップと、電極パターン及び初期バリア壁を形成するように第3の金属材料層、第1の金属材料層および第2の金属材料層に対して第1のエッチングを行うステップと、第1のバリア壁を形成するように初期バリア壁に対して第2のエッチングを行うステップと、を含み、第2のエッチングはウェットエッチングであり、また、使用されるエッチング液により第1の金属材料層がエッチングされる速度は、第2の金属材料層および第3の金属材料層をエッチングされる速度よりも大きくすることにより、凹部が形成される。
【0091】
例えば、表示領域を形成するステップは、表示領域に位置する発光素子に用いられる第1の電極層と、第2の電極層と、第1の電極層と第2の電極層との間にある有機機能層とを形成するステップをさらに含み、第2のエッチングに用いられるエッチング液は、第1の電極層をエッチングして形成するのに用いられるエッチング液と同じでる。これにより、第1のバリア壁は、電極パターンと第1の電極層との形成と同時に形成することができるので、従来のプロセス工程を増加させることがない。
【0092】
例えば、他のいくつかの実施例では、第1の金属層構造及び第2の金属層構造は、1回のウェットエッチング工程を用いて形成することができる。例えば、第1のバリア壁の形成と同時に電極パターンを形成するステップは、ベース基板の第1の側に第1の金属材料層を形成するステップと、第1の金属材料層のベース基板から離れる側に第2の金属材料層を形成するステップと、第1の金属材料層及び第2の金属材料層に対してウェットエッチングを1回行うステップと、を含み、このウェットエッチングに用いられるエッチング液により第1の金属材料層がエッチングされる速度は、第2の金属材料層がエッチングされる速度よりも大きくすることにより、1回のウェットエッチングで凹部が形成される。この方法は、3層構造を有する第1の金属層構造及び第2の金属層構造の形成にも同様に適用可能であり、ここでは説明を省略する。
【0093】
以下、本開示のいくつかの実施例に係る製造方法を、図2A図2Bに示す表示基板200の形成を例にして詳細に説明する。
【0094】
図12Aに示すように、まず、表示領域201と開孔領域2011を形成する。開孔領域2011は位置20111において開孔することにより形成される。
【0095】
図13A図13Cに示すように、表示領域201の形成には、画素アレイに用いられる発光素子、および発光素子を駆動する駆動回路等の構成の形成が含まれる。例えば、表示領域201と開孔領域2011との間に形成された第1のバリア壁2012は、表示領域201における複数の機能層と同一層に形成されている。本開示の実施例は、画素アレイの発光素子および発光素子を駆動する駆動回路等の具体的な構造を限定するものではない。
【0096】
図12Aに示すように、まず、ベース基板202に駆動回路層を形成し、薄膜トランジスタと蓄積コンデンサ等の構成を形成することを含む。例えば、パターニングプロセスにより、ベース基板202に薄膜トランジスタ及び蓄積コンデンサ等の構成の各膜層を順に形成する。1回のパターニングプロセスには、例えば、フォトレジストの形成、露光、現像、およびエッチング等の工程が含まれる。
【0097】
例えば、薄膜トランジスタのゲート電極211と蓄積コンデンサの第1の電極213とを同一膜層で同一パターニングプロセスで形成することにより、製造プロセスを簡略化する。例えば、ゲート電極211および蓄積コンデンサの第1の電極213は、アルミニウム、チタン、コバルトなどの金属または合金材料を含む。まず、スパッタ法や蒸着法等によりゲート電極材料層を1層形成した後、このゲート電極材料層に対してパターニングを行って、パターニングされたゲート電極211と蓄積コンデンサの第1の電極213とを形成するようにする。
【0098】
例えば、薄膜トランジスタのソースドレイン電極212は、チタン材料層、アルミニウム材料層及びチタン材料層を、例えばスパッタリングや蒸着等により順に形成した多層電極構造として形成することができ、次に、3層の材料層を同一パターニングプロセスによりパターニングして、ソースドレイン電極212を構成するチタン2121/アルミニウム2122/チタン2123の3層電極構造を形成するとともに、開孔領域2011が形成される位置20111を囲む初期第1のバリア壁20120を形成する。例えば、上記パターニングプロセスで用いられるエッチングは、ドライエッチングであり、それにより、形成されたソースドレイン電極212及び初期第1のバリア壁20120の側面は平坦である。
【0099】
図13Bに示すように、薄膜トランジスタ及び蓄積コンデンサの各膜層の形成が完了した後、平坦層217、第1の電極層218、画素定義層219を形成し、そして、画素定義層219の開口に、有機発光材料層220および補助発光層203などを含む有機機能層を形成する。
【0100】
例えば、平坦層217は、樹脂材料等の有機材料や、窒化シリコン、酸化シリコン等の無機材料を用いてパターニングプロセスにより形成することができ、形成された平坦層217にはビアを有することで、後に形成される第1の電極層218がこのビアを介してソースドレイン電極212に接続される。
【0101】
例えば、第1の電極層218は、パターニングプロセスにより平坦層217に形成される。例えば、第1の電極層218は陽極層であり、第1の電極層218の材料はITO、IZO等の金属酸化物、またはAg、Al、Mo等の金属またはその合金を含む。例えば、平坦層217に第1の電極層218をパターニングプロセスにより形成し、第1の電極層218が平坦層217におけるビアを介してソースドレイン電極212に接続される。
【0102】
例えば、第1の電極層218をパターニングするエッチング工程では、用いられるエッチング液は初期第1のバリア壁20120を同時にエッチングする。このエッチング液により、第1のバリア壁20120を構成するチタン/アルミニウム/チタンの3層電極構造における中間層に位置するアルミニウムがエッチングされるレートは、上下両側に位置するチタンがエッチングされるレートよりも大きくすることにより、初期第1のバリア壁20120の側面に凹部が形成される。
【0103】
例えば、第1の電極層218に、第1の電極層218を露出する画素定義層219をパターニングプロセスにより形成する。例えば、画素定義層219の材料は、樹脂材料等の有機材料や、窒化シリコン、酸化シリコン等の無機材料を含み、後に形成される発光素子の有機機能層と第2の電極層204のため、形成された画素定義層219には開口を有する。
【0104】
例えば、図13Bに示すように、画素定義層219の開口には有機発光材料層220をインクジェット記録法や蒸着法等により形成することができる。次に、図13Cに示すように、有機発光材料層220が形成された画素定義層219に、柱状スペーサ208、補助発光層203および第2の電極層204を形成する。
【0105】
例えば、柱状スペーサ208は、樹脂材料等の有機材料や、窒化シリコン、酸化シリコン等の無機材料を用いてパターニングプロセスにより形成することができ、柱状スペーサ2026は、後に形成される封止層のため、封止空間を形成する。
【0106】
例えば、補助発光層203および第2の電極層204は、蒸着、堆積又はインクジェット印刷等により全面に亘って形成されている。有機発光材料層220は、赤、緑、青等の色に発光可能な発光材料を含み、補助発光層203は、例えば、電子注入層や電子輸送層等である。第2の電極層204は、例えば陰極層であり、第2の電極層204の材料は、例えばMg、Ca、LiまたはAlなどの金属またはその合金、あるいはIZO、ZTOなどの金属酸化物、あるいはPEDOT/PSS(ポリ3,4-エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸塩)等の導電性能を有する有機材料を含む。このとき、全面に亘って形成された有機機能層および第2の電極層204は、第1のバリア壁2012の凹部を有する側面で分断されており、図における第1のバリア壁2012の両側にいずれも凹部を有するため、有機機能層および第2の電極層204が第1のバリア壁2012によって完全に遮断される。
【0107】
これにより、有機機能層及び第2の電極層204が第1のバリア壁2012の開孔領域2011に近い部分で汚染されると、第1のバリア壁2012のバリア作用により、水、酸素等の不純物が有機機能層及び第2の電極層204の発光用の部分までに拡散、延在することはない。例えば、第1のバリア壁2012の上にも、有機機能層および第2の電極層204が形成される。
【0108】
例えば、封止層205は、化学蒸着、物理蒸着、コーティング法等により第2の電極層204上に形成することができる。封止層205は、表示領域に位置する機能構造を封止して保護することができる。例えば、封止層205上には、第2の封止層206及び第3の封止層207を形成してもよい。第2の封止層206は、封止層205を平坦化することができ、第3の封止層207は、外層の封止として形成することができる。例えば、封止層205及び第3の封止層207には、例えば、窒化シリコン、酸化シリコン、酸窒化シリコン等の無機材料が用いられ、第2の封止層206には、例えば、ポリイミド(PI)、エポキシ樹脂等の有機材料が用いられる。これにより、封止層205、第2の封止層206と第3の封止層207は、表示領域の機能構造を多重に保護する複合封止層として形成され、より良好な封止効果を有する。
【0109】
本開示のいくつかの実施例では、必要に応じて、表示領域201に他の必要な機能膜層を形成してもよく、これらの膜層は従来の方法で形成することができるので、ここでは説明を省略する。
【0110】
例えば、表示領域の形成が完了した後、図12Bに示すように、位置20111内に開孔領域2011を形成する。例えば、位置20111は、レーザー切断または機械的打抜きによって開孔されて、開孔領域2011を形成する。
【0111】
例えば、開孔領域2011は、ベース基板202を貫通しているため、ベース基板202上にも開孔が形成されている。この開孔位置には、イメージセンサ、赤外線センサ等の構成が取り付けられ、例えば中央処理装置等に信号で接続されていてもよい。例えば、このイメージセンサや赤外線センサ等の構成は、ベース基板202の発光構造から離れる側(すなわち表示基板の非表示側)に設けられていてもよく、開孔領域2011を介して写真撮影、顔認識、赤外線センシングなどの多様な機能を実現することができる。
【0112】
なお、本発明の実施例では、薄膜トランジスタをトップゲート型として示したが、本発明の実施例はこれに限定されるものではなく、例えばボトムゲート型としてもよい。例えば、駆動回路は、トップゲート型であってもボトムゲート型であってもよく、N型であってもP型であってもよい複数の薄膜トランジスタを含んでもよく、本開示の実施例はこれに限定されるものではない。
【0113】
本開示のいくつかの実施例では、発光素子は、有機発光ダイオードまたは量子ドット発光ダイオードであり、例えば、この有機発光ダイオードはトップゲート発光型、ボトム発光型、または両面発光型であってもよく、また、有機発光ダイオードの有機機能層は、有機発光材料層及び電子注入層、電子輸送層、正孔輸送層、正孔注入層等の他の補助発光層を含む複合層であってもよい。本開示の実施例は、有機発光ダイオードの具体的な構造や種類について限定するものではない。
【0114】
例えば、本開示のいくつかの実施例の製造方法は、図5A図5Bに示すような表示基板を形成することも可能であるが、上記の例とは異なる点は、図5A図5Bに示すような表示基板を形成する時に、表示基板の表示領域と開孔領域との間には第2のバリア壁がさらに形成され、この第2のバリア壁は開孔領域を囲むとともに第1のバリア壁の開孔領域から離れる側に形成されており、このとき、第2のバリア壁は、第1のバリア壁と同じ膜層を用いて形成することができ、よって、工程のステップを増加せずに形成された多層バリア壁は、より良好なバリア効果を発揮することができる。
【0115】
例えば、本開示のいくつかの実施例の製造方法は、図8A図8Bに示すような表示基板を形成することも可能であるが、上記の例とは異なる点は、図8A図8Bに示すような表示基板を形成する時に、第1のバリア壁を形成するステップは、第1のバリア壁の第1の金属層構造の下方に位置する絶縁層をエッチングするステップをさらに含み、このエッチングは、第1の金属層構造を形成する前に行ってもよく、第1の金属層構造を形成した後に行ってもよく、他の絶縁層のエッチング(例えばソースドレイン電極412が位置するビアのエッチング)と同時に行ってもよく、よって、工程ステップを増加させることなく、より良好なバリア効果を有する第1のバリア壁を得ることができる。
【0116】
本開示の少なくとも1つの実施例は表示装置をさらに提供し、図14に示すように、表示装置500は、本開示の実施例に係るいずれかの表示基板を含み、図には表示装置200として示されている。この表示装置500は、タブレット、テレビ、ディスプレイ、ノートパソコン、デジタルフォトフレーム、ナビゲーションなど、表示機能を有する任意の製品または部品であってよく、本開示の実施例は、これに限定されない。
【0117】
また、以下の点について説明する必要がある。
【0118】
(1)本開示の実施例の図面は本開示の実施例に関する構造だけに係り、その他の構造について通常設計を参照すればよい。
【0119】
(2)明瞭にするために、本開示の実施例を説明する図面において、層又は領域の厚さは拡大又は縮小されており、すなわち、これら図面は実際の縮尺で作成するものではない。例えば、層、膜、領域又は基板のような素子が別の素子「上」又は「下」に位置すると表現する際、該素子は、別の素子の「上」又は「下」に「直接に」位置してもよく、又は中間素子が介在されてもよいことは、理解できる。
【0120】
(3)矛盾がない限り、本開示の実施例及び実施例における特徴を互いに組み合わせて新たな実施例を得ることができる。
【0121】
上記述べたのは、本開示の具体的な実施形態のみであるが、本開示の範囲はこれに限定されるものではなく、当業者であれば、本開示に開示された技術的範囲内における変更または代替は、本開示の保護範囲内であることが容易に理解されるべきである。したがって、本開示の保護範囲は、請求の範囲の保護範囲に準じるべきである。
【符号の説明】
【0122】
201 表示領域
200 表示基板
300 表示基板
301 表示領域
400 表示基板
401 表示領域
2011 開孔領域
2012 第1のバリア壁
2012A 凹部
3011 開孔領域
3012 第1のバリア壁
3012A 凹部
4011 開孔領域
4012 第1のバリア壁
4012A 凹部
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13A
図13B
図13C
図14