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特許7331051n-アルキルメタクリルアミドを含むシリコーンヒドロゲル及びそれから作製されたコンタクトレンズ
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  • 特許-n-アルキルメタクリルアミドを含むシリコーンヒドロゲル及びそれから作製されたコンタクトレンズ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-14
(45)【発行日】2023-08-22
(54)【発明の名称】n-アルキルメタクリルアミドを含むシリコーンヒドロゲル及びそれから作製されたコンタクトレンズ
(51)【国際特許分類】
   C08F 230/08 20060101AFI20230815BHJP
   C08F 8/00 20060101ALI20230815BHJP
   G02C 7/04 20060101ALI20230815BHJP
   C08F 220/56 20060101ALI20230815BHJP
【FI】
C08F230/08
C08F8/00
G02C7/04
C08F220/56
【請求項の数】 17
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021143104
(22)【出願日】2021-09-02
(62)【分割の表示】P 2019500303の分割
【原出願日】2017-06-13
(65)【公開番号】P2021185246
(43)【公開日】2021-12-09
【審査請求日】2021-09-10
(31)【優先権主張番号】62/358,967
(32)【優先日】2016-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/609,088
(32)【優先日】2017-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510294139
【氏名又は名称】ジョンソン・アンド・ジョンソン・ビジョン・ケア・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Johnson & Johnson Vision Care, Inc.
【住所又は居所原語表記】7500 Centurion Parkway, Jacksonville, FL 32256, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】アリ・アザーム
(72)【発明者】
【氏名】シンハ・ドーラ
【審査官】久保田 葵
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-525512(JP,A)
【文献】特開2011-197196(JP,A)
【文献】特表2016-524178(JP,A)
【文献】特表2012-533090(JP,A)
【文献】特表2015-503632(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08C19/00-19/44
C08F6/00-246/00,301/00
G02C7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
約965~約13,790kPa(約140~約2000psi)の弾性率及び約20~約50%の含水率を有し、少なくとも1のN-アルキルメタクリルアミド及び少なくとも1のシリコーン含有成分を含む反応性混合物から形成された、非イオン性の、シリコーンヒドロゲルであって、
前記シリコーン含有成分が、式I~Vの化合物、及びこれらの組み合わせから選択され、
【化1】
式中、Rは、水素原子又はメチルであり、Zは、O、N、又はSから選択され、jは1~20の整数であり、qは1~50であり、n及びnは4~100であり、nは1~50であり、
Z=O又はSであるとき、Rは不要であり、Z=Nであるとき、Rは、Hであるか、又は1~8個の炭素原子を含有する線状、分枝状、若しくは環状のアルキル基であり、これらのうちのいずれかは、少なくとも1つのヒドロキシ基で更に置換されたものであってもよく、これらはアミド、エーテル、及びこれらの組み合わせで置換されたものであってもよく、
は、式(CHの置換若しくは未置換のC1~6アルキレンセグメントであって、各メチレン基が、エーテル、アミン、カルボニル、カルボン酸塩、カルバメート及びこれらの組み合わせで独立して置換されていてもよいものであるか、又はオキシアルキレンセグメント(OCHであって、kが1~3の整数であるものであるか、又は、Rは、アルキレンセグメント及びオキシアルキレンセグメントの混在物であってよく、rとkの和は1~9であり、
各Rは、独立して、1~6個の炭素原子を含有する線状、分枝状、若しくは環状のアルキル基、1~6個の炭素原子を含有する線状、分枝状、若しくは環状のアルコキシ基、線状若しくは分枝状のポリエチレンオキシアルキル基、フェニル基、ベンジル基、置換若しくは未置換のアリール基、フルオロアルキル基、部分フッ化アルキル基、ペルフルオロアルキル基、フッ素原子、又はこれらの組み合わせであり、
は、1~8個の炭素原子を有する、置換若しくは未置換の線状若しくは分枝状アルキル基、若しくはアリール基であり、これらのうちのいずれかは、1つ又は2つ以上のフッ素原子で置換されたものであってもよく、
少なくとも1の前記N-アルキルメタクリルアミドが式XVを有しており、
【化2】
式中、Rは、1~8個の炭素原子を含有する線状、分枝状、又は環状の、未置換のアルキル基である、シリコーンヒドロゲル。
【請求項2】
少なくとも1の光開始剤を更に含む、請求項1に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項3】
前記シリコーンヒドロゲルが、光、又は可視光への暴露によって硬化されている、請求項2に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項4】
(a)前記反応性混合物が、すべての反応性成分に基づいて、約20~約60重量%の前記シリコーン含有成分を含み、かつ/又は、
(b)前記反応性混合物が、すべての反応性成分に基づいて、約5重量%~約50重量%の少なくとも1前記N-アルキルメタクリルアミドを含む、請求項1に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項5】
前記N-アルキルメタクリルアミドがN-メチルメタクリルアミドである、請求項1に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項6】
約1034kPa~約1,378,951kPa(約150psi~約200,000psi)の弾性率及び約10~約50%の含水率を有し、少なくとも1のN-アルキルメタクリルアミド、約5~約15重量%の少なくとも1の架橋成分、及び式I~Vの化合物からなる群から選択される少なくとも1のシリコーン含有成分を含む反応性混合物から形成された、シリコーンヒドロゲルであって、
【化3】
式中、Rは、水素原子又はメチルであり、Zは、O、N、又はS又から選択され、式中、jは1~20の整数であり、qは、50までであり、n及びnは4~100であり、nは、1~50であり、
Z=O又はSであるとき、Rは不要であり、Z=Nであるとき、Rは、Hであるか、又は1~8個の炭素原子を含有する線状、分枝状、若しくは環状のアルキル基であり、これらのうちのいずれかは、少なくとも1つのヒドロキシ基で更に置換されたものであってもよく、これらはアミド、エーテル、及びこれらの組み合わせで置換されたものであってもよく、
は、式(CHの置換若しくは未置換のC1~6アルキレンセグメントであって、各メチレン基が、エーテル、アミン、カルボニル、カルボン酸塩、カルバメート及びこれらの組み合わせで独立して置換されていてもよいものであるか、又はオキシアルキレンセグメント(OCHであって、kが1~3の整数であるものであるか、又は、式中、Rは、アルキレンセグメント及びオキシアルキレンセグメントの混在物であってもよく、rとkの和は1~9であり、
各Rは、独立して、1~6個の炭素原子を含有する線状、分枝状、若しくは環状のアルキル基、1~6個の炭素原子を含有する線状、分枝状、若しくは環状のアルコキシ基、線状若しくは分枝状のポリエチレンオキシアルキル基、フェニル基、ベンジル基、置換若しくは未置換のアリール基、フルオロアルキル基、部分フッ化アルキル基、ペルフルオロアルキル基、フッ素原子、又はこれらの組み合わせであり、
は、1~8個の炭素原子を有する、置換若しくは未置換の線状若しくは分枝状アルキル基、若しくはアリール基であり、これらのうちのいずれかは、1つ又は2つ以上のフッ素原子で置換されたものであってもよく、
少なくとも1の前記N-アルキルメタクリルアミドが式XVを有しており、
【化4】
式中、Rは、1~8個の炭素原子を含有する線状、分枝状、又は環状の、未置換のアルキル基である、シリコーンヒドロゲル。
【請求項7】
前記反応性混合物が、約5重量%~約40重量%の少なくとも1のヒドロキシル官能性シリコーン含有成分を更に含む、請求項6に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項8】
前記反応性混合物が、約4~約15重量%のシリコーン含有架橋剤を含む、請求項1~のいずれか一項に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項9】
前記シリコーン含有架橋剤が、式LXII~LXXIIの構造を有しており、
【化5】
【化6】
【化7】
式中、nは1~200である、請求項に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項10】
(a)約689kPa~約1,378,951kPa(約100psi~約200,000psi)の弾性率及び約9~約40%の含水率を有し、少なくとも1のN-アルキルメタクリルアミド及び少なくとも1のヒドロキシル官能化シリコーン含有成分を含む反応性混合物から形成された、シリコーンヒドロゲルであって、
前記ヒドロキシル官能化シリコーン含有成分が、式I~Vの化合物、及びこれらの組み合わせから選択され、
【化8】
式中、Rは、水素原子又はメチルであり、Zは、O、N、又はSから選択され、jは1~20の整数であり、qは1~50であり、n及びnは4~100であり、nは1~50であり、
Z=O又はSであるとき、Rは不要であり、Z=Nであるとき、Rは、Hであるか、又は1~8個の炭素原子を含有する線状、分枝状、若しくは環状のアルキル基であり、これらのうちのいずれかは、少なくとも1つのヒドロキシ基で更に置換されたものであってもよく、これらはアミド、エーテル、及びこれらの組み合わせで置換されたものであってもよく、
は、式(CHの置換若しくは未置換のC1~6アルキレンセグメントであって、各メチレン基が、エーテル、アミン、カルボニル、カルボン酸塩、カルバメート及びこれらの組み合わせで独立して置換されていてもよいものであるか、又はオキシアルキレンセグメント(OCHであって、kが1~3の整数であるものであるか、又は、Rは、アルキレンセグメント及びオキシアルキレンセグメントの混在物であってもよく、rとkの和は1~9であり、
各Rは、独立して、1~6個の炭素原子を含有する線状、分枝状、若しくは環状のアルキル基、1~6個の炭素原子を含有する線状、分枝状、若しくは環状のアルコキシ基、線状若しくは分枝状のポリエチレンオキシアルキル基、フェニル基、ベンジル基、置換若しくは未置換のアリール基、フルオロアルキル基、部分フッ化アルキル基、ペルフルオロアルキル基、フッ素原子、又はこれらの組み合わせであり、
は、1~8個の炭素原子を有する、置換若しくは未置換の線状若しくは分枝状アルキル基、若しくはアリール基であり、これらのうちのいずれかは、1つ又は2つ以上のフッ素原子で置換されたものであってもよく、
少なくとも1の前記N-アルキルメタクリルアミドが式XVを有しており、
【化9】
式中、Rは、1~8個の炭素原子を含有する線状、分枝状、又は環状の、未置換のアルキル基である、シリコーンヒドロゲル。
【請求項11】
少なくとも1のN-アルキルメタクリルアミドと、少なくとも1のシリコーン含有成分と、少なくとも約2重量%の少なくとも1の架橋成分と、を含む、反応性混合物から形成されたシリコーンヒドロゲルであって、前記シリコーン含有成分が、式I~Vの化合物、及びこれらの組み合わせから選択され、
【化10】
式中、Rは、水素原子又はメチルであり、Zは、O、N、又はSから選択され、jは1~20の整数であり、qは1~50であり、n及びnは4~100であり、nは1~50であり、
Z=O又はSであるとき、Rは不要であり、Z=Nであるとき、Rは、Hであるか、又は1~8個の炭素原子を含有する線状、分枝状、若しくは環状のアルキル基であり、これらのうちのいずれかは、少なくとも1つのヒドロキシ基で更に置換されたものであってもよく、これらはアミド、エーテル、及びこれらの組み合わせで置換されたものであってもよく、
は、式(CHの置換若しくは未置換のC1~6アルキレンセグメントであって、各メチレン基が、エーテル、アミン、カルボニル、カルボン酸塩、カルバメート及びこれらの組み合わせで独立して置換されていてもよいものであるか、又はオキシアルキレンセグメント(OCHであって、kが1~3の整数であるものであるか、又は、Rは、アルキレンセグメント及びオキシアルキレンセグメントの混在物であってもよく、rとkの和は1~9であり、
各Rは、独立して、1~6個の炭素原子を含有する線状、分枝状、若しくは環状のアルキル基、1~6個の炭素原子を含有する線状、分枝状、若しくは環状のアルコキシ基、線状若しくは分枝状のポリエチレンオキシアルキル基、フェニル基、ベンジル基、置換若しくは未置換のアリール基、フルオロアルキル基、部分フッ化アルキル基、ペルフルオロアルキル基、フッ素原子、又はこれらの組み合わせであり、
は、1~8個の炭素原子を有する、置換若しくは未置換の線状若しくは分枝状アルキル基、若しくはアリール基であり、これらのうちのいずれかは、1つ又は2つ以上のフッ素原子で置換されたものであってもよく、
少なくとも1の前記N-アルキルメタクリルアミドが式XVを有しており、
【化11】
式中、Rは、1~8個の炭素原子を含有する線状、分枝状、又は環状の、未置換のアルキル基である、シリコーンヒドロゲル。
【請求項12】
前記反応性混合物が、少なくとも1の湿潤剤を更に含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項13】
少なくとも1の強靭化剤を更に含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項14】
前記強靭化剤が、メチルメタクリレート、tert-ブチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、スチレン、置換スチレン、N-4-ビニルベンジル-N-アルキルアセトアミド、N-4-ビニルベンジルピロリドン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項13に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項15】
中央領域と、周縁領域と、を含み、前記中央領域が、請求項1~14のいずれか一項に記載の第1のシリコーンヒドロゲルを含み、前記周縁領域が、前記中央領域よりも低い弾性率を呈する第2のシリコーンヒドロゲルを含む、複合材料コンタクトレンズ。
【請求項16】
(a)前記中央領域が、約68,948kPa~約1,378,951kPa(約10,000psi~約200,000psi)の弾性率を呈し、前記周縁領域が、約345kPa~約2068kPa(約50psi~約300psi)の弾性率を呈し、かつ/又は、
(b)前記第1及び第2のシリコーンヒドロゲルが、互いの約5重量パーセント以内の含水率を含み、かつ/又は、
(c)前記中央領域が、前記周縁領域によって包み込まれている、請求項15に記載の複合材料コンタクトレンズ。
【請求項17】
複合材料コンタクトレンズを作製するためのプロセスであって、
(a)請求項1~14のいずれか一項に記載の第1のシリコーンヒドロゲルの配合物を第1の成形型内に投入することと、
(b)前記第1のシリコーンヒドロゲルの配合物をゲルへと部分的に硬化させることと、
(c)第2のシリコーンヒドロゲルの配合物を前記第1の成形型内に投入することと、
(d)前記第2のシリコーンヒドロゲルの配合物が前記ゲルに吸収される時間を与えることと、
(e)前記第1の成形型の上に第2の成形型を配置することと、
(f)この組み合わせを完全に硬化させて前記複合材料コンタクトレンズを形成することと、を含む、プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2017年5月31日に出願された米国特許出願第15/609,088号、及び2016年7月6日に出願された米国特許仮出願第62/358,967号に対して優先権を主張するものであり、その全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、N-アルキルメタクリルアミドとシリコーン含有成分とを含む反応性モノマー混合物から誘導された、弾性率を含む物理的及び機械的特性の驚くべき組み合わせを示すシリコーンヒドロゲルに関する。これらのシリコーンヒドロゲルは、医学装置、眼用装置、及びコンタクトレンズを含む複数の分野での使用に適している。
【背景技術】
【0003】
ソフトコンタクトレンズは、ヒドロゲルを主成分にしている。多くのユーザーは、ソフトコンタクトレンズを一日中装用するのに十分快適であると感じている。大別して2種類のソフトコンタクトレンズ材料、即ち、シリコーンを含有していないヒドロゲルから形成されている従来型のソフトコンタクトレンズ、及びシリコーンヒドロゲルが存在する。従来型及びシリコーンヒドロゲルは、約0.14MPa~2.1MPa(約20psi~約300psi)の範囲の弾性率を有しており、これにより、レンズは眼の形状に適合することができる。これらの弾性率レベルでは、製造業者は、多くの屈折力及び光学構成を有するコンタクトレンズを製造することが必要となり得る。
【0004】
シリコーンヒドロゲルは、一般に、約0.34MPa~約2.1MPa(50psi~約300psi)の範囲の値で従来型ヒドロゲルよりも高い弾性率を有する。約1.0MPa(150psi)よりも大きい弾性率を示すシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、患者の快適性を低下させ、特定の機械的な有害事象を増加させる恐れがある。それでもなお、これらのより高い弾性率であっても、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、依然として実質的に眼の形状に適合するので、患者集団に適するように多くのレンズ設計を必要とする。
【0005】
イソボルニルメタクリレート、メチルメタクリレート及び架橋剤などの強靭化剤は、コンタクトレンズの弾性率を増加させることが知られている。しかしながら、強靭化剤は、一般に、伸長性など、レンズの他の機械的特性に有害な影響を及ぼす。
【0006】
米国特許第4182822号及び同第4343927号は、N-アルキルメタクリルアミド、短鎖ポリシロキサニルアルキルメタクリレート、及び任意追加的に他のモノマーを含む、アミドモノマーの反応性混合物から作製されたシリコーンヒドロゲルを開示している。米国特許第5298533号は、N-メチルメタクリルアミドから調製された従来型ヒドロゲル(シリコーンを含有していないヒドロゲル)が、N,N-ジメチルアクリルアミドから作製されたヒドロゲルよりも加水分解的に安定性が低いことを開示している。これらの特許のいずれも、4つ又は5つ以上のポリシロキサン繰り返し単位を有するポリシロキサン含有成分又は本明細書に開示されている特性の驚くべきバランスを有するシリコーンヒドロゲルを含むシリコーンヒドロゲル配合組成を開示していない。
【0007】
the Polymer Journal Vol.20,No.11,pp 1021~1029(1988)におけるKodairaらは、メチルメタクリレートとのN-メチルアクリルアミド又はN-メチルメタクリルアミドのコポリマー反応率に対する溶媒の影響を開示した。
【0008】
Macromolecules Vol.23,No.21,pp 4497~4507(1990)におけるSheaらは、N-メチルメタクリルアミド及び様々なビス-メタクリルアミド架橋剤から作製されたものを含めて、高度に架橋されたポリアクリルアミド及びポリメタクリルアミドの合成を報告した。ポリ(N-メチルメタクリルアミド)もまた、調製された。
【0009】
N-メチル、N-シクロヘキシル、及びN-イソボルニルメタクリルアミドとのメチルメタクリレートの共重合(the Journal of Polymer Science Vol.82,pp 400~405(2001)におけるChenら)、熱処理時に置換ポリ(メタクリルイミド)発泡体を生成する、N-オクチル、N-エチル、N-シクロヘキシル、及びN-ベンジルメタクリルアミドとのtert-ブチルメタクリレートの共重合(Macromolecules Vol.36,pp 318~322(2003)におけるRitterら)、N-フェニル、N-4-メトキシフェニル、及びN-4-ブロモフェニルメタクリルアミドからのホモポリマーの合成(Polymer Vol.52,pp 2600~2608(2011)におけるKuoら)を含めて、多様な非ヒドロゲルコポリマーを作製するために様々なN-置換メタクリルアミドが使用されてきた。
【0010】
Macromol.Chem.Phys.Vol.214,pp 2283~2294(2013)におけるSchrootenらは、水溶液中でのN,N-ジメチルアクリルアミド、N-メチルメタクリルアミド、及びメタクリルアミドのラジカル重合の連鎖成長動力学を研究した。連鎖成長速度定数は、1つには水素結合及び双極子-双極子作用の付随する変化によりモノマー濃度と共に減少した。この参考文献はまた、N,N-ジメチルメタクリルアミドがラジカル単独重合を受けないことを開示した。科学文献からのこれらの印刷された公開のいずれも、N-アルキルメタクリルアミドと共にシリコーンヒドロゲルを開示したものではない。いくつかは、N-アルキルメタクリルアミドから作製されたポリマーに対して高いガラス転移温度を報告したが、他のものは、N-アルキルメタクリルアミドの重合動力学を報告し、反応率に対する溶媒の影響を強調していた。
【0011】
米国特許第862662号は、中央部分と周縁部分の両方が、3.00MPa~99.995MPa(435psi~14,503psi)及び0.20MPa~3.00MPa(29psi~435psi)のヤング率をそれぞれ有する含水性軟質材料から形成されている、ハイブリッドソフトコンタクトレンズを開示している。含水性軟質材料は、(メタ)アクリルアミドモノマーを含む、スチリルシロキサンモノマー及び親水性モノマーから形成され得る。しかしながら、N-アルキルメタクリルアミドモノマーは、開示されていない。
【0012】
乱視を有する患者の場合、ソフトコンタクトレンズは、光学補正がすべての頭部位置で有効であるために、回転安定化される必要がある。このような安定化は、通常、回転を制限するコンタクトレンズの後部側にある安定化ゾーンの使用によって達成される。また別の方法として、角膜の上でアーチ型にたわんでいるレンズの中央部分を有しており、それにより、角膜表面とレンズとの間に空間を設ける乱視マスキングレンズが開発されてきた。涙液層がその空間を満たし、乱視をマスクする。中央領域において十分な剛性を有する現行のマスキングレンズは、不所望に厚いか又は周縁部に使用されているヒドロゲル材料と不適合であるかのいずれかである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、ケイ素含有成分及び少なくとも1つのN-アルキルメタクリルアミドモノマーを含み、これらからなり、及びこれらから本質的になる反応性混合物から形成されたシリコーンヒドロゲルを含む、組成物に関する。
【0014】
本発明は、少なくとも約6.9MPa(約1000psi)の弾性率及び少なくとも約10%の含水率を有し、少なくとも1つのN-アルキルメタクリルアミド及び少なくとも1つのシリコーン含有成分を含む反応性混合物から形成された、シリコーンヒドロゲルに関する。
【0015】
本発明は、約0.97~約13.8MPa(約140~約2000psi)の弾性率及び約20~約50%の含水率を有し、少なくとも1つのN-アルキルメタクリルアミド及び少なくとも1つのシリコーン含有成分を含む反応性混合物から形成された、非イオン性シリコーンヒドロゲルに関する。
【0016】
本発明は、約1.03MPa~約1.4GPa(約150psi~約200,000psi)の弾性率及び約10~約50%の含水率を有し、少なくとも1つのN-アルキルメタクリルアミド、約5~約15重量%の少なくとも1つの架橋成分、及び式I~Vの化合物から選択される少なくとも1つのシリコーン含有成分を含む反応性混合物から形成された、シリコーンヒドロゲルであって、
【0017】
【化1】
式中、Rは水素原子又はメチルであり、ZはO、N、S又はNCHCHOから選択され、Z=O又はSであるとき、Rは不要であり、式中、jは1~20の整数であり、qは、50まで、又は5~30若しくは10~25であり、n及びnは4~100、4~50、又は4~25であり、nは1~50、1~20、又は1~10であり、
式中、Rは、Hであるか、又は1~8個の炭素原子(又は3~8個の炭素原子)を含有する線状、分枝状、若しくは環状のアルキル基であり、これらのうちのいずれかは、少なくとも1つのヒドロキシ基で更に置換されたものであってよく、これらはアミド、エーテル、及びこれらの組み合わせで任意追加的に置換されたものであってよく、
式中、Rは、(CHなどの置換若しくは未置換のC1~6、C1~4若しくはC2~4アルキレンセグメントであって、式中、各メチレン基は、任意追加的に、エーテル、アミン、カルボニル、カルボン酸塩、カルバメート及びこれらの組み合わせで独立して置換されたものであってよく、又は(OCHなどのオキシアルキレンセグメントであって、kは1~3の整数であり、又は、式中、Rは、アルキレンセグメント及びオキシアルキレンセグメントの混合物であってよく、rとkの和は1~9であり、
式中、各Rは、独立して、1~6個の炭素原子を含有する線状、分枝状、若しくは環状のアルキル基、1~6個の炭素原子を含有する線状、分枝状、若しくは環状のアルコキシ基、線状若しくは分枝状のポリエチレンオキシアルキル基、フェニル基、ベンジル基、置換若しくは未置換のアリール基、フルオロアルキル基、部分フッ化アルキル基、ペルフルオロアルキル基、フッ素原子、又はこれらの組み合わせであり、
式中、Rは、1~8個の炭素原子、若しくは1~4個の炭素原子、若しくはメチル若しくはブチルを有する置換若しくは未置換の線状若しくは分枝状アルキル基、又はアリール基であり、これらのうちのいずれかは、1つ又は2つ以上のフッ素原子で置換されたものであってよい、シリコーンヒドロゲルに関する。
【0018】
本発明は、少なくとも1つのN-アルキルメタクリルアミドと、少なくとも1つのシリコーン含有成分と、少なくとも約2重量%、又は少なくとも5~15重量%の少なくとも1つの架橋成分と、を含む、反応性混合物から形成されたシリコーンヒドロゲルに関する。
【0019】
本発明は、シリコーンヒドロゲルであって、約0.1GPa~約1.4GPa(約20,000psi~約200,000psi)の弾性率及び約10~約40%の含水率を有し、
(a)少なくとも1つのN-アルキルメタクリルアミドと、
(b)少なくとも1つの架橋成分と、
(c)トリス(トリメチルシロキシ)シリルスチレン、3-トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメタクリレート、N-[3-トリス(トリメチルシロキシ)シリル]-プロピルアクリルアミド、2-ヒドロキシ-3-[3-メチル-3,3-ジ(トリメチルシロキシ)シリルプロポキシ]-プロピルメタクリレート、及び式VI~XIVにおけるものなど、式中、各Rが、独立して1~8個の炭素原子を含有する線状、分枝状、若しくは環状のアルキル基であるか、又はトリメチルシロキシ基である、他の嵩高いシリコーンモノマーからなる群から選択される少なくとも1つの嵩高いシロキサン含有成分と、を含む、反応性混合物から形成された、シリコーンヒドロゲルに関する。
【0020】
【化2】
【0021】
【化3】
【0022】
【化4】
【0023】
本発明は、シリコーンヒドロゲルであって、
a)少なくとも1つのN-アルキルメタクリルアミドと、
b)少なくとも1つのヒドロキシル含有のシリコーン含有成分と、
c)少なくとも1つの湿潤剤と、
d)少なくとも1つのヒドロキシアルキルモノマーと、
e)少なくとも1つの架橋剤と、を含む、反応性混合物から形成された、シリコーンヒドロゲルに関する。
【0024】
本発明は、複合材料コンタクトレンズであって、中央領域と、周縁領域と、を含み、中央領域は、少なくとも1つのN-アルキルメタクリルアミドと、少なくとも1つのシリコーン含有成分と、を含む、反応混合物から形成された第1のシリコーンヒドロゲルを含み、周縁領域は、中央領域よりも低い弾性率を呈する第2のシリコーンヒドロゲルを含む、複合材料コンタクトレンズに関する。
【0025】
本発明は、複合材料コンタクトレンズを作製するためのプロセスであって、
(a)少なくとも1つのN-アルキルメタクリルアミドと、少なくとも1つのシリコーン含有成分と、を含む、反応混合物から形成された、第1のシリコーンヒドロゲル配合ヒドロゲルを第1の成形型内に投入することと、
(b)第1のシリコーンヒドロゲル配合物をゲルへと部分的に硬化させることと、
(c)第2のシリコーンヒドロゲル配合物を第1の成形型内に投入することと、
(d)第2のシリコーンヒドロゲル配合物がゲルに吸収される時間を与えることと、
(e)第1の成形型の上に第2の成形型を配置することと、
(f)組み合わせを完全に硬化させて複合材料コンタクトレンズを形成することと、を含む、プロセスに関する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】実施例57による調製された複合材料レンズの顕微鏡写真であり、コンタクトレンズと人工的な角膜表面との間にアーチ型にたわんだ間隙を示している。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は、以下の説明に記載されている構造又はプロセス工程の詳細に限定されるものではないことを理解されたい。本発明は他の実施形態が可能であり、本明細書に記載の教示を用いた様々な方法によって実行又は実施することが可能である。
【0028】
架橋剤、親水性モノマー、湿潤剤、及び強靭化剤を含む、少なくとも1つのシリコーン含有成分及び追加の任意の成分でN-アルキルメタクリルアミドを重合することによって形成されたシリコーンヒドロゲルは、望ましい含水率での高い弾性率を含めて、驚くべき特性の組み合わせを示すシリコーンヒドロゲルをもたらすことが明らかになっている。この特性のバランスは、N,N-ジメチルアクリルアミド(dimethlyacrylamide)、メタクリルアミド、又は両方のN置換基がH又はアルキルのいずれかであるメタクリルアミドといった、アクリルアミドなどの構造的に類似しているアミドがシリコーン含有成分と共に使用されている配合物において同じ効果が見られないことから、特に驚くべきものである。
【0029】
本開示における用語に関しては、以下に定義が提供される。ポリマー定義は、Richard G.Jones、Jaroslav Kahovec、Robert Stepto、Edward S.Wilks、Michael Hess、Tatsuki Kitayama、及びW.Val Metanomskiによって編集された「Compendium of Polymer Terminology and Nomenclature,IUPAC Recommendations 2008」に開示されているものと一致している。
【0030】
本明細書において、「約」という用語は、変更されている数字の+/-5%の範囲を指す。例えば、「約10」という表現は、9.5と10.5を共に含むであろう。
【0031】
用語「(メタ)」は、場合によりメチル置換基を指す。したがって、「(メタ)アクリレート」などの用語は、メタクリレート及びアクリレートラジカルの両方を示す。
【0032】
どこに化学構造が記載されていようと、構造における置換基について開示された選択肢を任意の組み合わせで組み合わせてよいことを理解すべきである。したがって、構造が置換基R及びR**を含有しており、これらがそれぞれ3つの可能性のある基のリストを含んでいる場合、9通りの組み合わせが開示される。特性の組み合わせについても同じことが当てはまる。
【0033】
一般式[***における「n」などの下付き文字が、ポリマーの化学式における繰り返し単位の数を示すために使用されているとき、式は巨大分子の数平均分子量を表すと解釈されるべきである。
【0034】
「巨大分子」は、1500を超える分子量を有する有機化合物であり、反応性であっても非反応性であってもよい。
【0035】
「ポリマー」は、鎖状又は網状構造に連結された繰り返し化学単位からなる巨大分子であり、モノマーから誘導された繰り返し単位及び反応性混合物に含まれているマクロマーから構成される。
【0036】
「ホモポリマー」は、1つのモノマー又はマクロマーから作製されたポリマーであり、「コポリマー」は、2つ又は3つ以上のモノマー、マクロマー又はこれらの組み合わせから作製されたポリマーであり、「ターポリマー」は、3つのモノマー、マクロマー又はこれらの組み合わせから作製されたポリマーである。「ブロックコポリマー」は、組成的に異なるブロック又はセグメントから構成されている。ジブロックコポリマーは2つのブロックを有する。トリブロックコポリマーは3つのブロックを有する。「櫛形又はグラフトコポリマー」は、少なくとも1つのマクロマーから作製されている。
【0037】
「繰り返し単位」又は「繰り返し化学単位」は、モノマー及びマクロマーの重合に由来するポリマー内の最小の繰り返し原子団である。
【0038】
「生物医学装置」は、哺乳類の組織又は体液、及び好ましくはヒトの組織又は体液のいずれかにおいて用いられるように設計されている任意の物品である。これらの装置の例としては、傷用包帯、シーラント、組織補填材、薬物送達システム、コーティング、癒着防止障壁、カテーテル、インプラント、ステント、縫合糸、並びに眼内レンズ及びコンタクトレンズなどの眼用装置が挙げられるが、これらに限定されない。生物医学装置は、シリコーンヒドロゲルから作製されたコンタクトレンズを含む、コンタクトレンズなどの眼用装置であってよい。
【0039】
「個体」は、ヒト及び脊椎動物を含む。
【0040】
「眼の表面」は、角膜、結膜、涙腺、副涙腺、鼻涙管及びマイボーム腺の表面上皮及び腺上皮、並びにそれらの表層及び基底マトリクス、涙点及び、神経支配による上皮の連続性と内分泌及び免疫系との両方によって機能的システムとして連結されている瞼を含む、隣接又は関連構造を含む。
【0041】
「眼用装置」は、眼の表面を含めて、眼又は眼の任意の部分の中又は上にある任意の装置を指す。これらの装置は、光学補正、美容増進、視力強化、治療効果(例えば、包帯として)、若しくは医薬成分及び栄養補助成分などの活性成分の供給、又は前述の任意の組み合わせを提供することができる。眼用装置の例としては、レンズ、並びに、光学挿入物及び、涙点プラグなどを含む眼内挿入物が挙げられるが、これらに限定されない。「レンズ」は、ソフトコンタクトレンズ、ハードコンタクトレンズ、ハイブリッドコンタクトレンズ、眼内レンズ、及びオーバーレイレンズを含む。眼用装置は、コンタクトレンズを含み得る。
【0042】
「コンタクトレンズ」は、構造体であり、個体の眼の角膜上に配置されることができる眼用装置を指す。コンタクトレンズは、創傷治癒、薬剤若しくは栄養補助剤の供給、診断的評価若しくは監視、又は紫外線遮断及び可視光線若しくはグレアの抑制又はこれらの組み合わせを含む、矯正的、美容的、治療的な利益をもたらし得る。コンタクトレンズは、当該技術分野において周知の任意の適当な材料からなることができ、ソフトレンズ、ハードレンズ、又は弾性率、含水率、光吸収特性、若しくはこれらの組み合わせなど、異なる特性を有する少なくとも2つの別個の部分を含有するハイブリッドレンズであり得る。
【0043】
本発明の生物医学装置、眼用装置、及びレンズは、シリコーンヒドロゲルから構成され得る。これらのシリコーンヒドロゲルは通常、硬化済み装置で互いに共有結合した、シリコーン成分並びに/又は、疎水性モノマー及び親水性モノマーを含む。
【0044】
「シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ」は、少なくとも1つのシリコーンヒドロゲル材料を含むコンタクトレンズを指す。シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、一般に、従来型ヒドロゲルと比べて増加した酸素透過度を有する。シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、それらの含有する水及びポリマーの両方を使用して、酸素を眼に送る。
【0045】
「ポリマーネットワーク」は、膨張することはできるが、溶媒中に溶解することはできない、架橋された巨大分子であり、これは、ポリマーネットワークが本質的に1つの巨大分子であるためである。「ヒドロゲル」又は「ヒドロゲル材料」は、平衡状態において水を含有するポリマーネットワークを指す。ヒドロゲルは、一般に、少なくとも約10重量%の水を含有する。
【0046】
「従来型ヒドロゲル」は、シロキシ基、シロキサン基、又はカルボシロキサン基のいずれも有しないモノマーから作製されたポリマーネットワークを指す。従来型ヒドロゲルは、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(「HEMA」)、N-ビニルピロリドン(「NVP」)、N,N-ジメチルアクリルアミド(「DMA」)、又は酢酸ビニルなどの親水性モノマーを主として含有するモノマー混合物から調製される。米国特許第4,436,887号,同第4,495,313号,同第4,889,664号,同第5,006,622号,同第5,039459号,同第5,236,969号,同第5,270,418号,同第5,298,533号,同第5,824,719号,同第6,420,453号,同第6,423,761号,同第6,767,979号,同第7,934,830号,同第8,138,290号,及び同第8,389,597号は、従来型ヒドロゲルの形成を開示している。市販のヒドロゲル配合物としては、エタフィルコン(etafilcon)、ポリマコン(polymacon)、ビフィルコン(vifilcon)、ゲンフィルコン(genfilcon)、レネフィルコン(lenefilcon)、ヒラフィルコン(hilafilcon)、ネソフィルコン(nesofilcon)、及びオマフィルコン(omafilcon)が、それらの変形のすべてを含めて挙げられるが、これらに限定されない。
【0047】
「シリコーンヒドロゲル」は、少なくとも1つ親水性成分との少なくとも1つのシリコーン含有成分の共重合によって得られたヒドロゲルを指す。親水性成分はまた、非反応性ポリマーも含み得る。シリコーン含有成分及び親水性成分のそれぞれは、モノマー、マクロマー又はこれらの組み合わせであり得る。シリコーン含有成分は、少なくとも1つのシロキサン基又はカルボシロキサン基を含有する。
【0048】
市販のシリコーンヒドロゲルの例としては、バラフィルコン(balafilcon)、アクアフィルコン(acquafilcon)、ロトラフィルコン(lotrafilcon)、コムフィルコン(comfilcon)、デレフィルコン(delefilcon)、エンフィルコン(enfilcon)、ファンフィルコン(fanfilcon)、フォルモフィルコン(formofilcon)、ガリーフィルコン(galyfilcon)、セノフィルコン(senofilcon)、ナラフィルコン(narafilcon)、ファルコンII(falcon II)、アスモフィルコンA(asmofilcon A)、サムフィルコン(samfilcon)、リオフィルコン(riofilcon)、ステンフィクロン(stenficlon)、ソモフィルコン(somofilcon)、並びに米国特許第4,659,782号、同第4,659,783号、同第5,244,981号、同第5,314,960号、同第5,331,067号、同第5,371,147号、同第5,998,498号、同第6,087,415号、同第5,760,100号、同第5,776,999号、同第5,789,461号、同第5,849,811号、同第5,965,631号、同第6,367,929号、同第6,822,016号、同第6,867,245号、同第6,943,203号、同第7,247,692号、同第7,249,848号、同第7,553,880号、同第7,666,921号、同第7,786,185号、同第7,956,131号、同第8,022,158号、同第8,273,802号、同第8,399,538号、同第8,470,906号、同第8,450,387号、同第8,487,058号、同第8,507,577号、同第8,637,621号、同第8,703,891号、同第8,937,110号、同第8,937,111号、同第8,940,812号、同第9,056,878号、同第9,057,821号、同第9,125,808号、同第9,140,825号、同第9156,934号、同第9,170,349号、同第9,244,196号、同第9,244,197号、同第9,260,544号、同第9,297,928号、同第9,297,929号、及び国際公開第03/22321号、同第2008/061992号、及び米国特許出願公開第2010/048847号で調製されているものとしてのシリコーンヒドロゲルが挙げられる。このパラグラフで記載される他の特許同様、これらの特許はその全体が参考として本明細書に組み込まれる。
【0049】
「シリコーン含有成分」は、少なくとも1つのケイ素-酸素結合をシロキサン[-Si-O-Si]基又はカルボシロキサン基の形態で含有する、モノマー、マクロマー、プレポリマー、架橋剤、開始剤、添加物、又はポリマーを指す。シリコーン含有成分の例としては、シリコーンマクロマー、プレポリマー、及びモノマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
シリコーンマクロマーの例としては、ペンダント親水基を有するポリジメチルシロキサンメタクリレートが挙げられるが、これらに限定されない。本発明において有用なシリコーン含有成分の例は、米国特許第3,808,178号、同第4,120,570号、同第4,136,250号、同第4,153,641号、同第4,740,533号、同第5,034,461号、同第5,962,548号、同第5,244,981号、同第5,314,960号、同第5,331,067号、同第5,371,147号、同第5,760,100号、同第5,849,811号、同第5,962,548号、同第5,965,631号、同第5,998,498号、同第6,367,929号、同第6,822,016号、同第5,070,215号、同第8662,663号、同第7,994,356号、同第8,772,422号、同第8,772,367号、欧州特許第080539号及び国際公開第2014/123959号に見出され得る。
【0051】
「反応性混合物」及び「反応性モノマー混合物」は、共に混合されている成分の混合物(反応性及び非反応性の両方)を指し、重合条件にさらされると、本発明のシリコーンヒドロゲルを形成する。反応性混合物は、モノマー、マクロマー、プレポリマー、架橋剤、開始剤、希釈剤などの反応性成分と、湿潤剤、離型剤、染料、UV吸収剤などの光吸収化合物、色素、染料及びフォトクロミック化合物など、これらのうちのいずれも反応性又は非反応性であってよいが、医薬化合物及び栄養補助化合物などの活性成分、並びに任意の希釈剤と同様に、結果として得られる生物医学装置内に保持されることができる、追加の成分と、を含む。製造される生物医学装置及びその使用方法に基づいて、広範囲の添加物を加え得ることは、理解されるであろう。反応混合物の構成成分の濃度は、希釈剤を除く、反応混合物の全成分の重量%で示される。希釈剤が使用されるとき、濃度は、反応混合物及び希釈剤の全成分の量に基づく重量%として示される。
【0052】
「モノマー」は、非繰り返しの官能基を有する分子であり、連鎖成長重合、特に、フリーラジカル重合を受けることができる。いくつかのモノマーは、架橋剤として作用することができる2官能の不純物を有する。「マクロマー」は、繰り返し構造と、連鎖成長重合を受けることができる少なくとも1つの反応性基と、を有する、線状又は分枝状ポリマーである。モノメタクリルオキシプロピル末端モノ-n-ブチル末端ポリジメチルシロキサン(分子量=500~1500g/mol)(mPDMS)及びモノ-(2-ヒドロキシ-3-メタクリルオキシプロピル)-プロピルエーテル末端モノ-n-ブチル末端ポリジメチルシロキサン(分子量=500~1500g/mol)(OH-mPDMS)は、マクロマーと呼称される。
【0053】
「反応性成分」は、共有結合、水素結合又は相互貫入ネットワークの形成により、結果として得られるシリコーンヒドロゲルのポリマーネットワークの構造の一部となる反応性混合物中の成分である。ポリマーの構造の一部にならない希釈剤及び加工助剤は、反応性成分ではない。典型的には、マクロマーの化学構造は、標的巨大分子の化学構造とは異なる、即ち、マクロマーのペンダント基の繰り返し単位は、標的巨大分子又はその主鎖の繰り返し単位とは異なる。
【0054】
「重合性」とは、化合物が、フリーラジカル重合など、連鎖成長重合を受けることができる少なくとも1つの反応性基を含むことを意味する。反応性基の例としては、以下に記載されている一価の反応性基が挙げられる。「非重合性」とは、化合物が、このような重合性基を含まないことを意味する。
【0055】
「一価の反応性基」は、フリーラジカル重合及び/又はカチオン重合など、連鎖成長重合を受けることができる基である。フリーラジカル反応性基の非限定的な例としては、(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、O-ビニルカルバメート、O-ビニルカーボネート、及び他のビニル基が挙げられる。一実施形態では、フリーラジカル反応性基は、(メタ)アクリレート官能基、(メタ)アクリルアミド官能基、N-ビニルラクタム官能基、N-ビニルアミド官能基、及びスチリル官能基、又は(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、及び前述のものの任意の混合を含む。
【0056】
前述のものの例としては、置換又は未置換のC1~6アルキル(メタ)アクリレート、C1~6アルキル(メタ)アクリルアミド、C2~12アルケニル、C2~12アルケニルフェニル、C2~12アルケニルナフチル、C2~6アルケニルフェニルC1~6アルキルが挙げられ、前述のC1~6アルキル上の好適な置換基としては、エーテル、ヒドロキシル、カルボキシル、ハロゲン及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0057】
リビングフリーラジカル重合及びイオン重合などの他の重合経路もまた使用することができる。装置形成モノマーは、ヒドロゲルコポリマーを形成し得る。ヒドロゲルの場合、反応性混合物は、典型的には少なくとも1つの親水性モノマーを含むことになる。
【0058】
親水性成分は、10重量%の濃度で、25℃で、脱イオン水と混合される場合、透明な単相を得るものである。
【0059】
「相互貫入ポリマーネットワーク」又は「IPN」は、分子レベルで少なくとも部分的に交錯しているが、互いと共有結合してなく、化学結合が破壊されない限り分離することはできない、2つ又は3つ以上のポリマーネットワークを含むポリマーである。
【0060】
「半相互貫入ポリマーネットワーク」又は「半IPN」は、1つ又は2つ以上のポリマーネットワークと、1つ又は2つ以上の線状又は分枝状ポリマーと、を含み、線状又は分枝状鎖のうちの少なくともいくつかによるネットワークのうちの少なくとも1つの分子レベルでの貫入によって特徴付けられる、ポリマーである。
【0061】
「架橋剤」は、分子上の2つ又は3つ以上の場所でフリーラジカル重合を受けることができ、これにより、分岐点及びポリマーネットワークを形成する、2官能又は多官能成分である。一般的な例は、エチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、メチレンビスアクリルアミド、トリアリルシアヌレートなどである。
【0062】
本発明のシリコーンヒドロゲルは、(a)少なくとも1つのN-アルキルメタクリルアミドモノマーと、(b)少なくとも1つのシリコーン含有成分と、(e)少なくとも1つの架橋剤と、を含む、反応性混合物から形成されている。N-アルキルメタクリルアミドモノマーは、式XVに示されている構造を有しており、
【0063】
【化5】
式中、Rは、1~8個の炭素原子、ベンジル又はフェニルを含有する線状、分枝状、又は環状のアルキル基から選択され、これらのうちのいずれかは、ヒドロキシル、アミノなどの追加の官能基で置換されたものでなくても置換されたものであってもよい。
はまた、未置換のC~Cアルキル基からなる群からも選択されてよい。Rがメチルであるとき、N-アルキルメタクリルアミドモノマーは、N-メチルメタクリルアミド(NMMA)である。
【0064】
N-アルキルメタクリルアミドモノマーは、すべての反応性成分に基づいて、約1~約50重量パーセント、約5~約50、約7~約30、約7~約25又は約7~約20重量%の濃度で反応性混合物中に存在してよい。
【0065】
驚くべきことに、少なくとも1つのN-アルキルメタクリルアミドモノマーと少なくとも1つのシリコーン含有成分とを含む反応性混合物から作製されたヒドロゲルが、依然として10%又は15%を超える水の含水率値を維持したまま、有意に増加した弾性率を示すことが明らかにされてきた。弾性率値は、1.4GPa(200,000psi)までの範囲であり得る。それらの驚くほど増加した弾性率にもかかわらず、本発明のシリコーンヒドロゲルはもろくなく、5%を超える、又は10%を超える受け入れ可能な%伸長値を有する。これらの材料は、ハイブリッドコンタクトレンズを作製するために使用され得、眼の上に配置されたとき、硬い中央部が、角膜の上でアーチ型にたわむ代わりにその形状を維持する。これにより、コンタクトレンズの周縁区域と比較してより硬い中央光学区域が作製される。剛性は、材料の弾性率Eに厚さtの3乗を乗じたもの、即ち、Etである。
【0066】
コンタクトレンズの場合、レンズが厚くなると、特に約150又は200マイクロメートルを超えると、レンズへの気づきが増す。したがって、ハイブリッドレンズを作製するときは、約1,000、10,000又は100,000よりも大きい弾性率を有する材料を使用することが望ましい場合がある。少なくとも1つのN-アルキルメタクリルアミドモノマー及び少なくとも1つのシリコーン含有成分上のシロキサン基は、互いと相互作用して、少なくとも1つのN-アルキルメタクリルアミドモノマー及び少なくとも1つのシリコーン含有成分の両方を有しない配合物と比べて増加した弾性率値を有するヒドロゲルを作製すると思われる。
【0067】
シリコーン含有成分は、モノマーであってもマクロマーであってもよく、少なくとも1つの一価の反応性基と少なくとも1つのシロキサン基とを含んでよい。シリコーン含有成分は、少なくとも4つの繰り返しシロキサン単位を有してよく、この単位は以下に定義される基のうちのいずれであってもよい。
【0068】
シリコーン含有成分はまた、少なくとも1つのフッ素原子を含有してもよい。シリコーン含有成分は、式XVIのポリ二置換のシロキサンマクロマーから選択されてよく、
【0069】
【化6】
式中、少なくとも1つのRは一価の反応性基であり、残りのRは、ヒドロキシ、アミノ、オキサ、カルボキシ、アルキルカルボキシ、アルコキシ、アミド、カルバメート、カーボネート、ハロゲン、又はこれらの組み合わせから選択される官能基をいずれも更に含み得る、一価の反応性基、一価のアルキル基、又は一価のアリール基;フルオロアルキルアルキル又はアリール基;部分フッ化アルキル又はアリール基;ハロゲン;線状、分枝状又は環状のアルコキシ又はアリールオキシ基;線状又は分枝状のポリエチレンオキシアルキル基、ポリプロピレンオキシアルキル基、又はポリ(エチレンオキシ-co-プロピレンオキシアルキル基;及びアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、オキサ、カルボキシ、アルキルカルボキシ、アルコキシ、アミド、カルバメート、ハロゲン又はこれらの組み合わせから選択される官能基を更に含み得る1~100のシロキサン繰り返し単位を含む一価のシロキサン鎖から独立して選択され、式中、nは0~500又は0~200、又は0~100、又は0~20であり、nが0以外であるとき、nは、指定された値に等しいモードを有する分布であることは理解される。
【0070】
式XVIでは、1~3つのRは、一価の反応性基を含み得る。好適な一価のアルキル及びアリール基としては、置換及び未置換のメチル、エチル、プロピル、ブチルなど、未置換及び置換の一価の線状、分枝状若しくは環状のC~C16アルキル基、若しくは未置換の一価のC~Cアルキル基、置換若しくは未置換のC~C14アリール基、又は置換若しくは未置換のCアリール基が挙げられ、置換基としては、アミド、エーテル、アミノ、ハロ、ヒドロキシル、カルボキシル、カルボニル基、又はフェニル若しくはベンジル基、これらの組み合わせなどが挙げられる。
【0071】
1つのRが一価の反応性基であるとき、追加のシリコーン含有化合物は、式I若しくはIIのポリ二置換のシロキサンマクロマー、式III若しくはIVのスチリルポリ二置換のシロキサンマクロマー、又は式Vのカルボシランから選択されてよく、
【0072】
【化7】
式中、Rは、水素原子又はメチルであり、Zは、O、N、S又はNCHCHOから選択され、Z=O又はSであるとき、Rは不要であり、式中、jは1~20の整数であり、qは、50まで、5~30又は10~25であり、n及びnは4~100、4~50、又は4~25であり、nは、1~50、1~20、又は1~10であり、
式中、Rは、Hであるか、又は1~8個の炭素原子(又は3~8個の炭素原子)を含有する線状、分枝状、若しくは環状のアルキル基であり、これらのうちのいずれかは、少なくとも1つのヒドロキシ基で更に置換されたものであってよく、これらはアミド、エーテル、及びこれらの組み合わせで任意追加的に置換されたものであってよく、
式中、Rは、(CHなどの置換若しくは未置換のC1~6、C1~4若しくはC2~4アルキレンセグメントであって、式中、各メチレン基は、任意追加的に、エーテル、アミン、カルボニル、カルボン酸塩、カルバメート及びこれらの組み合わせで独立して置換されたものであってよく、又はオキシアルキレンセグメント(OCHであって、kは1~3の整数であり、又は、式中、Rは、アルキレンセグメント及びオキシアルキレンセグメントの混合物であってよく、rとkの和は1~9であり、
式中、各Rは、独立して、1~6個の炭素原子を含有する線状、分枝状、若しくは環状のアルキル基、1~6個の炭素原子を含有する線状、分枝状、若しくは環状のアルコキシ基、線状若しくは分枝状のポリエチレンオキシアルキル基、フェニル基、ベンジル基、置換若しくは未置換のアリール基、フルオロアルキル基、部分フッ化アルキル基、ペルフルオロアルキル基、フッ素原子、又はこれらの組み合わせであり、
式中、Rは、1~8個の炭素原子、若しくは1~4個の炭素原子、若しくはメチル若しくはブチルを有する置換若しくは未置換の線状若しくは分枝状アルキル基、又はアリール基であり、これらのうちのいずれかは、1つ又は2つ以上のフッ素原子で置換されたものであってよい、シリコーンヒドロゲルに関する。
【0073】
ポリシロキサンマクロマーの非限定的な例としては、式XVIIに示されているような、式中、nが3~15である、モノ-メタクリルオキシプロピル末端モノ-n-ブチル末端ポリジメチルシロキサン(mPDMS);式XVIII及びXXIIIに示されているような、式中、nが4~100、4~20、又は3~15であり、n及びnは4~100、4~50、又は4~25であり、nは、1~50、1~20、又は1~10であり、Rは水素又はメチル基であり、及びRはC~Cアルキル又はメチル又はブチルであってよい、モノ-メタクリルオキシプロピル末端モノ-n-アルキル末端ポリジメチルシロキサン、モノ-n-アルキル末端、ポリジメチル、ポリエチレングリコールシロキサン;並びに式XXIV~XXVIに示されているような化学構造有し、式中、nは4~100、4~20、又は3~15であり、n及びnは4~100、4~50、又は4~25であり、nは、1~50、1~20、又は1~10であり、Rは、Hであるか、又は1~8個の炭素原子を含有する線状、分枝状、若しくは環状のアルキル基であり、これらのうちのいずれかは、少なくとも1つのヒドロキシ基で更に置換されたものであってよく、これらはアミド、エーテル、及びこれらの組み合わせで任意追加的に置換されたものであってよく、及びRはC~Cアルキル又はメチル又はブチルであってよい、マクロマーが挙げられる。
【0074】
【化8】
【0075】
【化9】
【0076】
好適なモノ(メタ)アクリルオキシアルキルポリ二置換のシロキサンの例としては、モノ(メタ)アクリルオキシプロピル末端モノ-n-ブチル末端ポリジメチルシロキサン、モノ(メタ)アクリルオキシプロピル末端モノ-n-メチル末端ポリジメチルシロキサン、モノ(メタ)アクリルオキシプロピル末端モノ-n-ブチル末端ポリジエチルシロキサン、モノ(メタ)アクリルオキシプロピル末端モノ-n-メチル末端ポリジエチルシロキサン、モノ(メタ)アクリルアミドアルキルポリジアルキルシロキサン、モノ(メタ)アクリルオキシアルキル末端モノ-アルキルポリジアリールシロキサン、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0077】
式XVIでは、nが0であるとき、1つ又は2つ以上のRは、一価の反応性基を含んでよく、2つ又は3つ以上のRは、トリス(トリ-C1~4アルキル-シロキシシラン)基と、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、オキサ、カルボキシ、アルキルカルボキシ、アルコキシ、アミド、カルバメート、ハロゲン又はこれらの組み合わせから選択される官能基を更に含み得る1~100、1~10又は1~5のシロキサン繰り返し単位を含む一価のシロキサン鎖と、を含み、残りのRは、1~16、1~6又は1~4個の炭素原子を有する一価のアルキル基から選択される。シリコーン成分の非限定的な例としては、3ーメタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン(TRIS)、3-メタクリルオキシプロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、及び3-メタクリルオキシプロピルペンタメチルジシロキサンが挙げられる。
【0078】
シロキサン繰り返し単位の数nはまた、2~50、3~25、又は3~15であってもよく、式中、少なくとも1つの末端Rが一価の反応性基を含み、残りのR8は、1~16個の炭素原子を有する一価のアルキル基から、又は1~6個の炭素原子を有する一価のアルキル基から選択される。シリコーン含有化合物はまた、nが3~15であり、1つの末端Rが一価の反応性基を含み、他の末端Rが、1~6個の炭素原子を有する一価のアルキル基を含み、残りのRが、1~3個の炭素原子を有する一価のアルキル基を含むものも含み得る。シリコーン成分の非限定的な例としては、モノメタクリルオキシプロピルn-ブチル末端ポリジメチルシロキサン(M=800~1000)、(mPDMS、XVIIに示されているとおり)が挙げられる。
【0079】
式XVIはまた、nが5~400又は10~300であり、両末端Rが一価の反応性基を含み、残りのRが、炭素原子間にエーテル結合を有し得、更にハロゲンを含み得る、1~18個の炭素原子を有する一価のアルキル基から互いに独立して選択される、化合物も含み得る。
【0080】
式XVI中の1~4つのRは、式XXVIIのビニルカーボネート又はビニルカルバメートを含んでよく、
【0081】
【化10】
式中、Yは、O-、S-、又はNH-を示し、Rは、水素原子又はメチルを示している。
【0082】
シリコーン含有ビニルカーボネート又はビニルカルバメートモノマーとしては、具体的には、1,3-ビス[4-(ビニルオキシカルボニルオキシ)ブタ-1-イル]テトラメチル-ジシロキサン;3-(ビニルオキシカルボニルチオ)プロピル-[トリス(トリメチルシロキシ)シラン];3-[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルアリルカルバメート;3-[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカルバメート;トリメチルシリルエチルビニルカーボネート;トリメチルシリルメチルビニルカーボネート、及び式XXVIIIの架橋剤が挙げられる。
【0083】
【化11】
【0084】
約1.4MPa(200psi)未満の弾性率を有する生物医学装置が望ましい場合、1つのRのみが一価の反応性基を含み、残りのR基のうちの2つ以下が一価のシロキサン基を含む。
【0085】
別の好適なシリコーン含有マクロマーは、xとyの和が10~30の範囲内の数である式XXIXの化合物である。式XXIXのシリコーン含有マクロマーは、フルオロエーテル、ヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン、イソホロンジイソシアネート及びイソシアナトエチルメタクリレートの反応によって形成される。
【0086】
【化12】
【0087】
非ヒドロキシル含有のシリコーン含有成分は、米国特許第8,415,405号の非ヒドロキシル含有のアクリルアミドシリコーンから選択されてよい。本発明での使用に適した他のシリコーン成分は、ポリシロキサン、ポリアルキレンエーテル、ジイソシアネート、ポリフッ化炭化水素、ポリフッ化エーテル、及び多糖類基を含有するマクロマーなど、国際公開第96/31792号に記述されているものを含む。別の種類の好適なシリコーン含有成分としては、米国特許第5,314,960号、同第5,331,067号、同第5,244,981号、同第5,371,147号、及び同第6,367,929号に開示されているものなど、GTPを介して作製されたシリコーン含有マクロマーが挙げられる。米国特許第5,321,108号、同第5,387,662号、及び同第5,539,016号は、末端ジフルオロ置換炭素原子に結合した水素原子を有する極性フッ化グラフト又は側基を有するポリシロキサンについて記載している。米国特許出願公開第2002/0016383号は、エーテル及びシロキサニル結合を含有する親水性のシロキサニルメタクリレート、並びにポリエーテル及びポリシロキサニル基を含有する架橋可能なモノマーを記載している。前述のポリシロキサンのいずれもまた、本発明のシリコーン含有成分として使用することができる。
【0088】
非ヒドロキシル含有のシリコーン成分は、モノメタクリルオキシプロピル末端、モノ-n-アルキル末端の線状のポリ二置換のシロキサン;メタクリルオキシプロピル末端の線状のポリ二置換のシロキサン;及びこれらの混合物からなる群から選択されてよい。
【0089】
非ヒドロキシル含有のシリコーン成分はまた、モノメタクリレート末端、C~Cアルキル末端、線状のポリジメチルシロキサン、及びこれらの混合物から選択されてもよい。
【0090】
いくつかの場合、非ヒドロキシル官能化シリコーン含有成分は、約10重量%までの量で使用されてよい。例としては、Rがメチル又はブチルである式XXIIIのmPDMS、式XIX~XXVIの化合物及びnが1~50であり、mが1~50、1~20又は1~10である式XXX又はXXXIに示されているマクロマーから選択されるものが挙げられる。
【0091】
【化13】
【0092】
シリコーン含有架橋剤の具体的な例としては、nが4~200、又は4~150であり得る、ビスメタクリルオキシプロピルポリジメチルシロキサン、及び以下の式XXXII~XXXVIIの化合物が挙げられ、式中、n及びnは4~100、4~50、又は4~25から独立して選択され、nは1~50、1~20又は1~10であり、mは1~100、1~50、1~20又は1~10であり、qは50まで、5~30又は10~25であり、
式中、Rは、水素原子又はメチルであり、Zは、O、N、S又はNCHCHOから選択され、Z=O又はSであるとき、Rは不要であり、
式中、Rは、Hであるか、又は1~8個の炭素原子を含有する線状、分枝状、若しくは環状のアルキル基であり、これらのうちのいずれかは、少なくとも1つのヒドロキシ基で更に置換されたものであってよく、これらはアミド、エーテル、及びこれらの組み合わせで任意追加的に置換されたものであってよく、
式中、各Rは、独立して、1~6個の炭素原子を含有する線状、分枝状、若しくは環状のアルキル基、1~6個の炭素原子を含有する線状、分枝状、若しくは環状のアルコキシ基、線状若しくは分枝状のポリエチレンオキシアルキル基、フェニル基、ベンジル基、置換若しくは未置換のアリール基、フルオロアルキル基、部分フッ化アルキル基、ペルフルオロアルキル基、フッ素原子、又はこれらの組み合わせである。
【0093】
【化14】
【0094】
非ヒドロキシル含有のシリコーン成分は、約400~約4000ダルトンの平均分子量を有してよい。
【0095】
ZがOであるのとき、シリコーン含有成分は、式XVIIに示されているような、式中、nが3~15である、モノ-メタクリルオキシプロピル末端モノ-n-ブチル末端ポリジメチルシロキサン(mPDMS);式XVIIに示されているような、式中、nが3~15であり、Rが水素又はメチル基であり、Rが、1~8個の炭素原子を含有する線状、分枝状、又は環状のアルキル基である、モノ-メタクリルオキシプロピル末端モノ-n-アルキル末端ポリジメチルシロキサン;及び式X~XIIIに示されているような、式中、nが4~20、又は3~15、3~30、3~25、3~20又は3~15である、化学構造を有するマクロマーであってよい。
【0096】
ZがNであるとき、ポリシロキサンマクロマーの更なる例としては、米国特許第8415405号に開示されているもの、及び式XXXVIIIに示されているものから選択され得るモノ(メタ)アクリルアミドアルキルポリジアルキルシロキサン、式XXXIX~XLIIにあるものなど、式中、nは4~20、又は3~15、3~30、3~25、3~20又は3~15であり、
式中、Rは、水素又はメチル基であり、
式中、Rは、Hであるか、又は1~8個の炭素原子を含有する線状、分枝状、若しくは環状のアルキル基であり、これらのうちのいずれかは、少なくとも1つのヒドロキシ基で更に置換されたものであってよく、これらはアミド、エーテル、及びこれらの組み合わせで任意追加的に置換されたものであってよく、
式中、各Rは、独立して、1~6個の炭素原子を含有する線状、分枝状、若しくは環状のアルキル基、1~6個の炭素原子を含有する線状、分枝状、若しくは環状のアルコキシ基、線状若しくは分枝状のポリエチレンオキシアルキル基、フェニル基、ベンジル基、置換若しくは未置換のアリール基、フルオロアルキル基、部分フッ化アルキル基、ペルフルオロアルキル基、フッ素原子、又はこれらの組み合わせであり、
式中、Rは、1~8個の炭素原子、若しくは1~4個の炭素原子、若しくはメチル若しくはブチルを有する置換若しくは未置換の線状若しくは分枝状アルキル基、又はアリール基であり、これらのうちのいずれかは、1つ又は2つ以上のフッ素原子で置換されたものであってよい、モノ(メタ)アクリルアミドアルキルポリジメチルシロキサン、並びにN-(2,3-ジヒドロキシプロパン)-N’-(プロピルテトラ(ジメチルシロキシ)ジメチルブチルシラン)アクリルアミドが挙げられる。
【0097】
【化15】
【0098】
【化16】
【0099】
スチリルモノマーの例としては、トリス(トリメチルシロキシ)シリルスチレンが挙げられる。スチリルマクロマーの例は、以下に化学式XLIV~XLIXで示されており、式中、nは4~20、又は3~15、3~30、3~25、3~20又は3~15である。
【0100】
【化17】
【0101】
シリコーン鎖の長さは、結果として得られるシリコーンヒドロゲルの弾性率に影響し得、物理的及び機械的特性の所望のバランスを達成するために反応性混合物の他の成分と共に調整され得る。例えば、NMMAの量及びシリコーン鎖の長さは、剛性をやわらげると同時に破断までの伸長を増加させるシリコーンヒドロゲルの含水率を達成するように選択され得る。ポリジアルキルシロキサン鎖長が増加すると、弾性率は減少し、破断までの伸長は増加することになる。1~20、1~15、3~30、3~25、3~20又は3~15のポリジアルキルシロキサン鎖長が選択され得る。
【0102】
シリコーン含有成分は、分枝状のシロキサン基を有するシリコーン含有モノマーを更に含み得る。例としては、トリス(トリメチルシロキシ)シリルスチレン(スチリル-TRIS)、3-トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメタクリレート(TRIS)、N-[3-トリス(トリメチルシロキシ)シリル]-プロピルアクリルアミド(TRIS-Am、式XI)、2-ヒドロキシ-3-[3-メチル-3,3-ジ(トリメチルシロキシ)シリルプロポキシ]-プロピルメタクリレート(SiMAA、四季XXII)、及び、式VI~XIVにあるものなど、他の嵩高いシリコーンモノマーが挙げられる。
【0103】
前述のマクロマーは、メタクリレート、アクリルアミド、又はメタクリルアミド(methacylamide)反応性基を有する。これらの反応性基は、アクリレート、スチレン、ビニルエーテル、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、N-ビニルイミド、N-ビニル尿素、O-ビニルカルバメート、O-ビニルカーボネート、及び他のビニル化合物など、フリーラジカル重合を受けることができる任意の他の反応性基で置き換えられてよい。約34MPa(5000psi)を超える弾性率が所望される場合、スチリル反応性基を有するモノマー及びマクロマーは、有利に含められる。
【0104】
使用に適した代替シリコーン含有成分としては、国際公開第96/31792号及び米国特許第5314960号、同第5331067号、同第5244981号、同第5371147号、同第6367929号、同第5321108号、同第5387662号、同第5539016号、同第6867245号に記載されているものが挙げられ、他のものは、当業者には明らかであろう。
【0105】
ヒドロキシル含有シリコーン成分
シリコーン含有成分はまた、1つ又は2つ以上のヒドロキシル含有シリコーン成分も含み得る。ヒドロキシル含有シリコーン成分は、高濃度のシリコーン含有成分を、ポリマー親水性成分を含む、親水性成分、及び嵩高いシロキサン基又はより長い繰り返しシロキサン単位の鎖を有するシリコーン成分と相溶化させるのに役立ち得る。ヒドロキシル含有シリコーン成分としては、ヒドロキシル含有シリコーンモノマー及びマクロマーが挙げられる。ヒドロキシル含有シリコーン成分は、4~200、4~100又は4~20のシロキサン繰り返し単位を有してよく、単官能性であっても多官能性であってもよい。
【0106】
シロキサン鎖中に4つのポリ二置換シロキサン繰り返し単位を有するヒドロキシル含有シリコーン成分は、分布ではなく、各モノマー中に4つの繰り返し単位を有する。シロキサン鎖中に5つ以上のポリ二置換シロキサン繰り返し単位を有するすべてのヒドロキシル含有シリコーン成分では、繰り返し単位の数は分布であり、記載された繰り返し単位数を中心にした分布のピークを有する。
【0107】
ヒドロキシル含有シリコーンモノマーの例としては、プロペン酸-2-メチル-2-ヒドロキシ-3-[3-[1,3,3,3-テトラメチル-1-[(トリメチルシリル)オキシ]-1-ジシロキサニル]プロポキシ]プロピルエステル(「SiGMA」、式XII)、及び2-ヒドロキシ-3-メタクリルオキシプロピルオキシプロピル-トリス(トリメチルシロキシ)シラン、並びに式IXの化合物が挙げられる。
【0108】
ヒドロキシル含有シリコーン成分は、式Lの単官能性ヒドロキシル置換ポリ(二置換シロキサン)から選択されてよく、
【0109】
【化18】
式中、Zは、O、N、S又はNCHCHOから選択され、ZがO又はSであるとき、Rは存在せず、
は、独立して、H又はメチルであり、Rは、Hであるか、又は1~8個の炭素原子を含有する線状、分枝状、若しくは環状のアルキル基であり、これらのうちのいずれかは、少なくとも1つのヒドロキシ基で更に置換されたものであってよく、これらはアミド、エーテル、及びこれらの組み合わせで任意追加的に置換されたものであってよく、Rは、独立して、1~8個の炭素原子を含有する線状、分枝状、若しくは環状のアルキル基であり、これらのうちのいずれかは、少なくとも1つのヒドロキシ基で更に置換されたものであってよく、これらはアミド、エーテル、及びこれらの組み合わせで任意追加的に置換されたものであってよく、又はRは、メチル、エチル若しくはフェニルから独立して選択されてよく、若しくはメチルであってよく、nは、シロキサン単位の数であり、第1の単官能性ヒドロキシル置換ポリ(二置換シロキサン)モノマーでは4~8であり、Rは、直線状又は分枝状のC~Cアルキル基から選択され、これらは1つ又は2つ以上のヒドロキシル、アミド、エーテル、及びこれらの組み合わせで任意追加的に置換されたものであってよい。Rは、直線状又は分枝状のCアルキルであってよく、そのいずれかが、ヒドロキシルで任意追加的に置換されたものであってよく、又はメチルであってよい。
【0110】
単官能性ヒドロキシル含有シリコーン成分の例としては、式LIに示されているような、式中、nが4~30、4~8又は10~20である、モノ-(2-ヒドロキシ-3-メタクリルオキシプロピル)-プロピルエーテル末端モノ-n-ブチル末端ポリジメチルシロキサン(OH-mPDMS)、及び式LII~LVIIIに示されているような化学構造を有し、式中、Zが、O、N、S又はNCHCHOから選択され、Z=O又はSのとき、Rは不要であり、式中、nは4~30、4~8又は10~20であり、式中、n、n、及びnは、独立して、4~100、4~50、4~25であり、式中、Rは、水素又はメチル基であり、
式中、Rは、Hであるか、又は1~8個の炭素原子を含有する線状、分枝状、若しくは環状のアルキル基であり、これらのうちのいずれかは、少なくとも1つのヒドロキシ基で更に置換されたものであってよく、これらはアミド、エーテル、及びこれらの組み合わせで任意追加的に置換されたものであってよく、
式中、Rは、直線状若しくは分枝状のC~Cアルキル基から選択され、これらは、C(OH)の式を有し、式中、f=1~8及びg+h=2f+1である、直線状若しくは分枝状のC~C基、並びにC(OH)の式を有し、式中、f=1~8及びg+h=2f-1である、環状のC~C基、並びにこれらの組み合わせから選択される1つ又は2つ以上のヒドロキシル、アミド、エーテル、ポリヒドロキシル基で任意追加的に置換されたものであってよく、又はRは、ヒドロキシルエチル、ヒドロキシルプロピル、ヒドロキシルブチル、ヒドロキシルペンチル及び2,3-ジヒドロキシプロピルを含む、メチル、ブチル若しくはヒドロキシル置換C~Cアルキルから選択されてよい、ポリジメチルシロキサン、並びにaが第1のヒドロキシル含有シリコーン成分に対して4~100又は4~8であり、R及びRが上に定義したとおりである、式LVII~LVIIIのポリカルボシロキサンが挙げられる。
【0111】
【化19】
【0112】
【化20】
【0113】
ヒドロキシル含有シリコーン成分はまた、10~500、又は10~200、又は10~100のシロキサン繰り返し単位を有する式LIXの多官能性ヒドロキシル置換、ポリ(二置換シロキサン)、及びこれらの混合物からも選択されてもよく、
【0114】
【化21】
式LIX中、Zは、O、N、S又はNCHCHOから選択され、式中、Rは、独立して、水素原子又はメチル基であり、Z=O及びSの場合、Rは不要であり、
式中、Rは、Hであるか、又は1~8個の炭素原子を含有する線状、分枝状、若しくは環状のアルキル基であり、これらのうちのいずれかは、少なくとも1つのヒドロキシ基で更に置換されたものであってよく、これらはアミド、エーテル、及びこれらの組み合わせで任意追加的に置換されたものであってよく、
式中、R、R10、R11、R12、R13は、水素原子又はR14及びR15に対して定義される任意の置換基からなる群から独立して選択され、
式中、R14及びR15は、いずれかが少なくとも1つのヒドロキシ基、アミド、エーテル、アミノ、カルボキシル、カルボニル基及び組み合わせで更に置換されたものであってよい、1~8個の炭素原子を含有する線状、分枝状、又は環状のアルキル基、線状又は分枝状のアルキレンオキシ基、具体的には、pが1~200、又は1~100、又は1~50、又は1~25、又は1~20であり、1つ又は2つ以上のヒドロキシル、アミノ、アミド、エーテル、カルボニル、カルボキシル、及びこれらの組み合わせで任意追加的に置換される、エチレンオキシ基[CHCHO]、1つ又は2つ以上のヒドロキシル、アミノ、アミド、エーテル、カルボニル、カルボキシル、及びこれらの組み合わせで任意追加的に置換されるC~Cの線状又は分枝状のフルオロアルキル基、置換又は未置換のアリール基、具体的には、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニル、及びカルボキシル基、及びこれらの組み合わせで更に置換されたものであってよいハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニル、カルボキシ、及び線状又は分枝状又は環状のアルキル基から置換基が選択される、フェニル基からなる群から独立して選択され、a、b、c、x、y及びzは、独立して、0~100、0~50、0~20、0~10、又は0~5であり、nは、シロキサン繰り返し単位の数であり、10~500、10~200、10~100、10~50、10~20である。
【0115】
シリコーンを含有する多官能性ヒドロキシルの例としては、α-(2-ヒドロキシ-1-メタクリルオキシプロピルオキシプロピル)-ω-ブチル-デカメチルペンタシロキサン及び式LX又はLXIの2官能性ポリシロキサンが挙げられ、
【0116】
【化22】
式中、Rは、独立して、水素原子又はメチル基であり、R16及びR17は、独立して、1~8個の炭素原子を含有する線状、分枝状、若しくは環状のアルキル基であり、これらのうちのいずれかが、少なくとも1つのヒドロキシ基、アミド、エーテル、アミノ、カルボキシル、カルボニル基及びこれらの組み合わせで更に置換されたものであってよいか、又は未置換のC1~4アルキル基及びヒドロキシル若しくはエーテルで置換されたC1~4アルキル基から独立して選択されるか、又はメチル、エチル若しくは-(CHCHO)OCHから選択され、n及びnは、4~100、4~50、又は4~25から独立して選択され、nは、1~50、1~20、及び1~10であり、m=1~50、1~20、及び1~10である。
【0117】
少なくとも1つのシリコーン含有成分は、所望の弾性率及び酸素透過度のシリコーンヒドロゲルを提供するのに十分な量で反応性混合物中に存在する。N-アルキルメタクリルアミドは、シリコーン含有成分も含まれている配合物中に含められると、弾性率の驚くべき増加をもたらすことが分かっている。この弾性率の増加は、従来型ヒドロゲル配合物では見られない。シリコーン含有成分は、すべて全反応性成分の合計重量に基づいて、約20~約60重量%、又は約30~約55重量%、約30重量%~約50重量%、約50重量%~約60重量%で反応性混合物中に含められ得る。
【0118】
結果として得られるシリコーンヒドロゲルは、約50バーラー超、約50バーラー~約200バーラー、約70バーラー~約150バーラー、又は約80バーラー~約150バーラーの酸素透過度を呈することが望ましいこともある。
【0119】
架橋剤
本発明のシリコーンヒドロゲルは、少なくとも1つの架橋剤を含む。シリコーン含有及び非シリコーン含有の架橋剤、及びこれらの混合物を含めて、様々な架橋剤が使用され得る。非シリコーン含有の架橋剤としては、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPTMA)、テトラエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)、トリアリルシアヌレート(TAC)、グリセロールトリメタクリレート、1,3-プロパンジオールジメタクリレート、2,3-プロパンジオールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、1,4-ブタンジオールジメタクリレート、メタクリルオキシエチルビニルカーボネート(HEMAVc)、アリルメタクリレート、メチレンビスアクリルアミド(MBA)、ポリエチレングリコールジメタクリレート(ポリエチレングリコールは、好ましくは5,000ダルトンまでの分子量を有する)が挙げられる。上に開示した多官能性シリコーン含有成分のいずれかは、架橋剤として使用され得る。
【0120】
他の架橋剤は当業者には周知であり、本発明のシリコーンヒドロゲルを作製するために使用され得る。
【0121】
非シリコーン含有架橋剤は、すべて全反応性成分の合計重量に基づいて、約0.5重量%~約20重量%、3重量%~20重量%又は約3重量%~約15重量%の量で使用される。正確な量は、機械的特性目標及び反応性混合物中の他の反応性成分によって様々である。他の単位では、架橋剤は、反応性混合物100グラム中約16ミリモル~反応性混合物100グラム中約30ミリモル、及び好ましくは反応性混合物の16ミリモル/100グラム~25ミリモル/100グラムの範囲で変化し得る。シリコーンヒドロゲルネットワークを形成するために、他の成分のものと同様の反応速度の反応性基を有する架橋剤を選択することが望ましい場合がある。したがって、他の反応性成分に含まれている反応性基と同じである少なくとも1つの反応性基を有する架橋剤を選択することが望ましい場合がある。結果として得られるシリコーンヒドロゲルの構造及び形態はまた、使用される希釈剤及び硬化条件によっても影響を受ける。
【0122】
マクロマーを含む、多官能性シリコーン含有成分もまた、弾性率を更に増加させ、引張強度を維持するために含められ得る。シリコーン含有架橋剤は、単独で、又は他の架橋剤と組み合わせて使用され得る。架橋剤として作用でき、存在する場合に反応混合物への架橋モノマーの追加を必要としないシリコーン含有モノマーの例としては、α,ω-ビスメタクリロイルプロピル(bismethacryloypropyl)ポリジメチルシロキサンが挙げられる。
【0123】
配合物中にシリコーン架橋剤が使用されるとき、シリコーン架橋剤中のシロキサン繰り返し単位の数を5~200、5~150、5~120に制限すると、酸素透過度及び伸長などの他の特性に有意な影響を与えることなく、103MPa(15,000psi)を超えて弾性率値を維持することができる。103MPa(15,000psi)を超える弾性率が所望されるとき、シリコーン架橋剤は、すべて全反応性成分の合計重量に基づいて、0~約25重量パーセント、又は約10重量パーセント~20重量パーセントの量で含められ得る。
【0124】
シリコーン架橋剤の非限定的な例が、式XXVIII、XXIX、及びXXXII~XXXVII、並びに以下の化学式LXII~LXXIIに示されており、式中、nは1~200であり、好ましくはnは50~150、より好ましくは50~100であり、最も好ましくはnは10~50である。
【0125】
【化23】
【0126】
【化24】
【0127】
前述のシリコーン架橋剤はまた、アクリレート、メタクリレート、O-ビニルカーボネート、又はメタクリルアミド反応性基も有し得る。これらの反応性基は、スチレン、ビニルエーテル、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、N-ビニルイミド、N-ビニル尿素、O-ビニルカルバメート、及び他のビニル化合物など、フリーラジカル重合を受けることができる任意の他の反応性基で置き換えられてよい。いくつかの実施形態では、スチリル反応性基を有するシリコーン架橋剤が好ましい。
【0128】
硬い化学構造、及びフリーラジカル重合を受ける反応性基を有する架橋剤もまた使用され得る。好適な硬い構造の非限定的な例としては、1,4-フェニレンジアクリレート、1,4-フェニレンジメタクリレート、2,2-ビス(4-メタクリルオキシフェニル)-プロパン、2,2-ビス[4-(2-アクリルオキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(2-ヒドロキシ-3-メタクリルオキシプロポキシ)フェニル]プロパン、及び4-ビニルベンジルメタクリレート、及びこれらの組み合わせなど、フェニル及びベンジル環を含む架橋剤が挙げられる。硬い架橋剤は、全反応性成分の合計重量に基づいた約2~約15、又は2~10、3~7の量で含められ得る。
【0129】
より多くのNMMAを使用すると、依然として目標含水率、及び弾性率に到達しながら、より多くの架橋剤を使用することができる。
【0130】
本発明のシリコーンヒドロゲルの物理的及び機械的特性は、反応性混合物中の成分を調整することによって特定の用途に最適化され得る。所望の弾性率が、単官能性シリコーン含有成分を用いて達成され得ることは、本発明の利益である。
【0131】
親水性モノマー
本発明のシリコーンヒドロゲルは、1つ又は2つ以上の親水性モノマーを更に含み得る。親水性モノマーは、ヒドロゲルを製造するのに有用であることが知られている親水性モノマーのいずれであってもよい。好適な親水性モノマーの種類としては、アクリル含有モノマー及びビニル含有モノマーが挙げられる。親水性モノマーの好適なファミリーの例としては、N-ビニルアミド、N-ビニルイミド、N-ビニルラクタム、親水性(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、親水性スチレン、ビニルエーテル、O-ビニルカーボネート、O-ビニルカルバメート、N-ビニル尿素、他の親水性ビニル化合物及びこれらの混合物が挙げられる。
【0132】
本発明のポリマーを作製するために使用され得る親水性モノマーは、少なくとも1つの重合性二重結合及び少なくとも1つの親水性官能基を有する。そのような親水性モノマーはそれ自体、架橋剤として使用されることが可能であるが、その場合、2つ以上の重合性官能基を有する親水性モノマーが使用され、その濃度は、所望の弾性率を有するコンタクトレンズを提供するために、上述のように制限されなければならない。「ビニル型」又は「ビニル含有」モノマーという用語は、ビニル基(-CH=CH)を含有するモノマーを指し、一般に反応性が高い。かかる親水性ビニル含有モノマーは、比較的容易に重合することが知られている。
【0133】
「アクリル型」又は「アクリル含有」モノマーは、アクリル基(CH=CRCOX)を含有するモノマーであり、式中、RがH又はCHであり、XがO又はNであり、これはまた、N,N-ジメチルアクリルアミド(DMA)、2-ヒドロキシエチルメタクリルアミド、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、メタクリル酸、アクリル酸、これらの混合物などを容易に重合することが知られている。
【0134】
少なくとも1つのヒドロキシル基(ヒドロキシルアルキルモノマー)を有する親水性モノマーが使用され得る。ヒドロキシルアルキル基は、C~Cモノ若しくはジヒドロキシ置換アルキル、及び1~10の繰り返し単位を有するポリ(エチレングリコール)から選択されてよく、又は2-ヒドロキシエチル、2,3-ジヒドロキシプロピル、若しくは2-ヒドロキシプロピル、及びこれらの組み合わせから選択される。
【0135】
ヒドロキシアルキルモノマーの例としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(HEMA)、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1-ヒドロキシプロピル2-(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシ-2,2-ジメチル-プロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(2-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N-(3-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、グリセロール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0136】
ヒドロキシアルキルモノマーは、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、グリセロールメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、3-ヒドロキシ-2,2-ジメチル-プロピルメタクリレート、及びこれらの混合物からなる群からも選択され得る。
【0137】
ヒドロキシアルキルモノマーは、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、3-ヒドロキシ-2,2-ジメチル-プロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート又はグリセロールメタクリレートを含み得る。
【0138】
約3重量%を超える量の親水性ポリマーが所望されるとき、ヒドロキシル含有(メタ)アクリルアミドは、一般に、相溶化ヒドロキシアルキルモノマーとして含めるには親水性が高すぎるので、ヒドロキシル含有(メタ)アクリレートが反応性混合物中に含められ得、より低い量のヒドロキシアルキルモノマーが、最終レンズに対して約50%未満又は約30%未満のヘイズ値を提供するように選択され得る。
【0139】
ヒドロキシル成分の量は、ヒドロキシアルキルモノマーにおけるヒドロキシル基の数、シリコーン含有成分における親水性官能基の量、分子量、及び存在を含む、複数の要因に依存して変動することが理解される。親水性ヒドロキシル成分は、約15%まで、約10重量%まで、約3~約15重量%又は約5~約15重量%の量で反応性混合物中に存在してよい。
【0140】
ヒドロゲルに組み込まれ得る親水性ビニル含有モノマーとしては、N-ビニルピロリドン(NVP)、N-ビニル-2-ピペリドン、N-ビニル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-4-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-4-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3-エチル-2-ピロリドン、N-ビニル-4,5-ジメチル-2-ピロリドン、N-ビニルアセトアミド(NVA)、N-ビニル-N-メチルアセトアミド(VMA)、N-ビニル-N-エチルアセトアミド、N-ビニル-N-エチルホルムアミド、N-ビニルホルムアミド、N-ビニル-N-メチルプロピオンアミド、N-ビニル-N-メチル-2-メチルプロピオンアミド、N-ビニル-2-メチルプロピオンアミド、N-ビニル-N,N’-ジメチル尿素、1-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-メチル-5-メチレン-2-ピロリドン、5-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-エチル-5-メチレン-2-ピロリドン、N-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、5-エチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-N-プロピル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-N-プロピル-5-メチレン-2-ピロリドン、1-イソプロピル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-イソプロピル-5-メチレン-2-ピロリドン、N-ビニル-N-エチルアセトアミド、N-ビニル-N-エチルホルムアミド、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルイソプロピルアミド、N-ビニルカプロラクタム、N-カルボキシビニル-β-アラニン(VINAL)、N-カルボキシビニル-α-アラニン、N-ビニルイミダゾール、及びこれらの混合物を含む、親水性N-ビニルラクタム及びN-ビニルアミドモノマーなどのモノマーが挙げられる。
【0141】
N-2-ヒドロキシエチルビニルカルバメート及びN-カルボキシ-β-アラニンN-ビニルエステルを含む、親水性O-ビニルカルバメート及びO-ビニルカーボネートモノマー。親水性ビニルカーボネート又は親水性ビニルカルバメートモノマーの更なる例は、米国特許第5,070,215号に開示されており、親水性オキサゾロンモノマーは、米国特許第4,910,277号に開示されている。
【0142】
N-2-ヒドロキシエチルビニルカルバメート、N-カルボキシ-β-アラニンN-ビニルエステルを含む、ビニルカルバメート及びカーボネート、ビニルイミダゾール、エチレングリコールビニルエーテル(EGVE)、ジ(エチレングリコール)ビニルエーテル(DEGVE)、アリルアルコール、2-エチルオキサゾリン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、及びこれらの混合物を含む、他の親水性ビニルモノマー。
【0143】
(メタ)アクリルアミドモノマーもまた、親水性モノマーとして含められ得る。例として、N-N-ジメチルアクリルアミド、アクリルアミド、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)アクリルアミド、アクリロニトリル、N-イソプロピルアクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、及び上に記載の任意のヒドロキシル官能性(メタ)アクリルアミドが挙げられる。
【0144】
本明細書に開示されているポリマーに組み込まれ得る親水性モノマーは、N,N-ジメチルアクリルアミド(DMA)、2-ヒドロキシエチルアクリルアミド、2-ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N-ヒドロキシプロピルメタクリルアミド、ビスヒドロキシエチルアクリルアミド、2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-ビニルピロリドン(NVP)、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、N-ビニルメタセトアミド(VMA)、及びポリエチレングリコールモノメタクリレートから選択され得る。親水性モノマーは、DMA、NVP、VMA、NVA、及びこれらの混合物から選択され得る。
【0145】
本発明の親水性モノマーは、線状若しくは分枝状のポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)のマクロマー、又はエチレンオキシド及びプロピレンオキシドの統計的ランダム若しくはブロックコポリマーであり得る。これらのポリエーテルのマクロマーは、1つの反応性基を有する。このような反応性基の非限定的な例は、アクリレート、メタクリレート、スチレン、ビニルエーテル、アクリルアミド、メタクリルアミド、及び他のビニル化合物である。一実施形態では、これらのポリエーテルのマクロマーは、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、及びこれらの混合物を含む。他の好適な親水モノマーは、当業者には明らかであろう。
【0146】
親水性モノマーはまた、アクリル酸、メタクリル酸、3-アクリルアミドプロピオン酸(ACA1)、4-アクリルアミドブタン酸、5-アクリルアミドペンタン酸(ACA2)、3-アクリルアミド-3-メチルブタン酸(AMBA)、N-ビニルオキシカルボニル-α-アラニン、N-ビニルオキシカルボニル-β-アラニン(VINAL)、及びこれらの組み合わせなどを含むがこれらに限定されない、仕込みモノマーも含み得る。
【0147】
親水性モノマーは、N,N-ジメチルアクリルアミド(DMA)、N-ビニルピロリドン(NVP)、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、N-ビニルメタセトアミド(VMA)、及びN-ビニルN-メチルアセトアミド(NVA)、N-ヒドロキシプロピルメタクリルアミド、モノ-グリセロールメタクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリルアミド、2-ヒドロキシエチルメタクリルアミド、ビスヒドロキシエチルアクリルアミド、2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド及びこれらの混合物から選択され得る。
【0148】
親水性モノマーは、DMA、NVP、HEMA、VMA、NVA、及びこれらの混合物から選択され得る。
【0149】
親水性モノマー(ヒドロキシルアルキルモノマーを含む)は、全反応性成分の重量に基づいて、約60重量%まで、約1~約60重量%、約5~約50重量%、又は約5~約40重量%の量で存在し得る。
【0150】
本発明のシリコーンヒドロゲルは、少なくとも1つの湿潤剤を更に含み得る。本明細書で使用するとき、湿潤剤は、約5,000ダルトン超、約150,000ダルトン~約2,000,000ダルトン、約300,000ダルトン~約1,800,000ダルトン、又は約500,000ダルトン~約1,500,000ダルトンの重量平均分子量を有する親水性ポリマーである。
【0151】
本発明の反応性混合物に添加される湿潤剤の量は、使用される他の成分及び結果として得られるシリコーンヒドロゲルの所望の特性によって様々であり得る。存在する場合、反応性混合物中の内部湿潤剤は、すべて全反応性成分の合計重量に基づいて、約1重量パーセント~約20重量パーセント、約2重量パーセント~約15パーセント、又は約2~約12パーセントの量で含まれ得る。
【0152】
湿潤剤としては、ホモポリマー、統計的ランダムコポリマー、ジブロックコポリマー、トリブロックコポリマー、セグメント化ブロックコポリマー、グラフトコポリマー、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。内部湿潤剤の非限定的な例は、アクリレート、メタクリレート、スチレン、ビニルエーテル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、O-ビニルカルバメート、O-ビニルカーボネート、及び他のビニル化合物を含む、好適なモノマーのフリーラジカル重合によって調製されたポリアミド、ポリエステル、ポリラクトン、ポリイミド、ポリラクタム、ポリエーテル、ポリ酸ホモポリマー及びコポリマーである。湿潤剤は、本明細書に記載のものを含む、任意の親水性モノマーから作製され得る。
【0153】
湿潤剤は、ペンダント非環式アミド基を含む非環式ポリアミドを含み得、ヒドロキシル基と結合することができる。環式ポリアミドは、環式アミド基を含んでおり、ヒドロキシル基と結合することができる。好適な非環式ポリアミドの例としては、式LXXIII又は式LXXIVの繰り返し単位を含むポリマー及びコポリマーが挙げられ、
【0154】
【化25】
式中、Xは、直接結合、-(CO)-、又は-(CO)-NHR-であり、式中、Rは、C~Cアルキル基であり、Rは、H、直線状又は分枝状の、置換又は未置換のC~Cアルキル基から選択され、Rは、H、直線状又は分枝状の、置換又は未置換のC~Cアルキル基、2個までの炭素原子を有するアミノ基、4個までの炭素原子を有するアミド基、及び2個までの炭素基を有するアルコキシ基から選択され、Rは、H、直線状若しくは分枝状の、置換若しくは未置換のC~Cアルキル基、又はメチル、エトキシ、ヒドロキシエチル、及びヒドロキシメチルから選択され、Rは、H、直線状若しくは分枝状の、置換若しくは未置換のC~Cアルキル基、又はメチル、エトキシ、ヒドロキシエチル、及びヒドロキシメチルから選択され、式中、R及びR中の炭素原子の合計数は、7、6、5、4、3又はそれ以下を含む、8以下であり、式中、R及びR中の炭素原子の合計数は、7、6、5、4、3又はそれ以下を含む、8以下である。R及びR中の炭素原子の合計数は、6以下又は4以下であってよい。R及びR中の炭素原子の合計数は、6以下であってよい。本明細書で使用するとき、置換アルキル基は、アミン、アミド、エーテル、ヒドロキシル、カルボニル、カルボキシ基又はこれらの組み合わせで置換されたアルキル基を含む。
【0155】
及びRは、独立して、H、置換又は未置換のC~Cアルキル基から選択することができる。Xは直接結合であってよく、R及びRは、独立して、H、置換又は未置換のC~Cアルキル基から選択されてよい。
【0156】
及びRは、独立して、H、置換又は未置換のC~Cアルキル基、メチル、エトキシ、ヒドロキシエチル、及びヒドロキシメチルから選択することができる。
【0157】
本発明の非環式ポリアミドは、式LXXIII若しくは式LXXIVの繰り返し単位の大半を含んでよく、又は非環式ポリアミドは、式LXXIII若しくは式LXXIVの繰り返し単位の、少なくとも約70モル%、及び少なくとも80モル%を含め、少なくとも約50モル%を含むことができる。
【0158】
式LXXIII又は式LXXIVの繰り返し単位の具体的な例としては、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、N-ビニルアセトアミド、N-ビニル-N-メチルプロピオンアミド、N-ビニル-N-メチル-2-メチルプロピオンアミド、N-ビニル-2-メチル-プロピオンアミド、N-ビニル-N,N’-ジメチル尿素、N,N-ジメチルアクリルアミド、メタクリルアミド及び式LXXV又は式LXXVIの構造の非環式アミドから誘導された繰り返し単位が挙げられる。
【0159】
【化26】
【0160】
環式ポリアミドを形成するために使用することができる好適な環式アミドの例としては、α-ラクタム、β-ラクタム、γ-ラクタム、δ-ラクタム、及びε-ラクタムが挙げられる。好適な環式ポリアミドの例としては、式LXXVIIの繰り返し単位を含むポリマー及びコポリマーが挙げられ、
【0161】
【化27】
式中、fは1~10の数であり、Xは、直接結合、-(CO)-、又は-(CO)-NH-R-であり、式中、Rは、C~Cアルキル基である。式LXXVII中、fは、7、6、5、4、3、2、又は1を含む、8以下であってよい。式LXXVII中、fは、5、4、3、2、若しくは1を含む、6以下であってよく、又は2、3、4、5、6、7、若しくは8を含む、2~8であってく、又は2若しくは3であってよい。
【0162】
Xが直接結合のとき、fは2であってよい。このような場合、環式ポリアミドは、ポリビニルピロリドン(PVP)であってよい。
【0163】
本発明の環式ポリアミドは、式Eの繰り返し単位の50モル%以上を含んでよく、又は環式ポリアミドは、式Eの繰り返し単位の、少なくとも約70モル%、及び少なくとも約80モル%を含め、少なくとも約50モル%を含むことができる。
【0164】
式LXXVIIの繰り返し単位の具体的な例としては、PVPホモポリマー及びビニルピロリドンコポリマーを形成するN-ビニルピロリドン又はホスホリルコリンなどの親水性置換基で置換されたN-ビニルピロリドンから誘導された繰り返し単位が挙げられる。
【0165】
ポリアミドはまた、環式アミド、非環式アミド繰り返し単位を含むコポリマー又は環式アミド及び非環式アミドの両方の繰り返し単位を含むコポリマーであってもよい。追加の繰り返し単位は、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート又は他の親水性モノマー及びシロキサン置換アクリレート又はメタクリレートから選択されるモノマーから形成されてよい。好適な親水性モノマーとして記載されているモノマーのうちのいずれかは、追加の繰り返し単位を形成するためにコモノマーとして使用され得る。ポリアミドを形成するために使用され得る追加のモノマーの具体的な例としては、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、酢酸ビニル、アクリロニトリル、ヒドロキシプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、メチルメタクリレート及びヒドロキシブチルメタクリレート、GMMA、PEGSなど、並びにこれらの混合物が挙げられる。イオン性モノマーもまた、含まれ得る。イオン性モノマーの例としては、アクリル酸、メタクリル酸、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、3-(ジメチル(4-ビニルベンジル)アンモニオ)プロパン-1-スルホネート(DMVBAPS)、3-((3-アクリルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ)プロパン-1-スルホネート(AMPDAPS)、3-((3-メタクリルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ)プロパン-1-スルホネート(MAMPDAPS)、3-((3-(アクリロイルオキシ)プロピル)ジメチルアンモニオ)プロパン-1-スルホネート(APDAPS)、メタクリロイルオキシ)プロピル)ジメチルアンモニオ)プロパン-1-スルホネート(MAPDAPS)が挙げられる。
【0166】
反応性モノマー混合物は、非環式ポリアミド及び環式ポリアミドの両方又はこれらのコポリマーを含み得る。非環式ポリアミドは、本明細書に記載されているそれらの非環式ポリアミドのいずれであっても、そのコポリマーであってもよく、環式ポリアミドは、本明細書に記載されているそれらの環式ポリアミドのいずれであっても、そのコポリマーであってもよい。ポリアミドは、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルメチルアセトアミド(polyvinylmethyacetamide)(PVMA)、ポリジメチルアクリルアミド(PDMA)、ポリビニルアセトアミド(PNVA)、ポリ(ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド)、ポリアクリルアミド、並びにこれらのコポリマー及び混合物からなる群から選択され得る。
【0167】
湿潤剤は、DMA、NVP、HEMA、VMA、NVA、及びこれらの組み合わせから作製され得る。湿潤剤はまた、例えば、内部湿潤剤のHEMA繰り返し単位上にあるペンダントヒドロキシル基とメタクリロイル塩化物又はメタクリロイル無水物との間のアシル化反応によって作製された反応性基を有することによって、本明細書に定義されているように、反応性成分にもなり得る。官能化の他の方法は、当業者には明らかであろう。
【0168】
このような内部湿潤剤は、米国特許第6367929号、同第6822016号、同第7,052,131号、同第7666921号、同第7691916号、同第7786185号、同第8022158号、及び同第8450387号に開示されている。
【0169】
本発明のシリコーンヒドロゲルは、強靭化剤を含み得る。前述したように、強靭化剤は、対応するホモポリマーが40℃よりも高いガラス転移温度を呈するモノマーであり、反応性混合物に添加されると、結果として得られるシリコーンヒドロゲルの伸長を改善する。このようなモノマーの非限定的な例は、メチルメタクリレート、tert-ブチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、スチレン、置換スチレン、N-4-ビニルベンジル-N-アルキルアセトアミド、N-4-ビニルベンジルピロリドン、及びこれらの組み合わせである。
【0170】
反応混合物は、これらに限定されるものではないが、UV吸収剤、可視光吸収剤、フォトクロミック化合物、医薬品、栄養補助剤、抗微生物物質、着色剤、色素、共重合性及び非重合性染料、離型剤並びにこれらの組み合わせなどの追加の反応性又は非反応性成分を含有し得る。
【0171】
一般に、反応性成分は、希釈剤中で混合して、反応混合物を形成する。好適な希釈剤は、当該技術分野で周知である。シリコーンヒドロゲルについては、好適な希釈剤は、国際公開第03/022321号及び米国特許第6020445号において開示されており、これらの開示は、参照により本明細書に援用される。
【0172】
シリコーンヒドロゲル反応混合物用の好適な希釈剤の種類としては、2~20個の炭素を有するアルコール、一級アミン由来の10~20個の炭素原子を有するアミド、及び8~20個の炭素原子を有するカルボン酸が挙げられる。一級及び三級アルコールが使用されてもよい。好ましい種類としては、5~20個の炭素を有するアルコール及び10~20個の炭素原子を有するカルボン酸が挙げられる。
【0173】
使用され得る具体的な希釈剤としては、1-エトキシ-2-プロパノール、ジイソプロピルアミノエタノール、イソプロパノール、3,7-ジメチル-3-オクタノール、1-デカノール、1-ドデカノール、1-オクタノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、2-オクタノール、3-メチル-3-ペンタノール、tert-アミルアルコール、tert-ブタノール、2-ブタノール、1-ブタノール、2-メチル-2-ペンタノール、2-プロパノール、1-プロパノール、エタノール、2-エチル-1-ブタノール、(3-アセトキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ)-プロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、1-tert-ブトキシ-2-プロパノール、3,3-ジメチル-2-ブタノール、tert-ブトキシエタノール、2-オクチル-1-ドデカノール、デカン酸、オクタン酸、ドデカン酸、2-(ジイソプロピルアミノ)エタノール、及びこれらの混合物などが挙げられる。
【0174】
好ましい希釈剤には、3,7-ジメチル-3-オクタノール、1-ドデカノール、1-デカノール、1-オクタノール、1-ペンタノール、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、2-オクタノール、3-メチル-3-ペンタノール、2-ペンタノール、t-アミルアルコール、tert-ブタノール、2-ブタノール、1-ブタノール、2-メチル-2-ペンタノール、2-エチル-1-ブタノール、エタノール、3,3-ジメチル-2-ブタノール、2-オクチル-1-ドデカノール、デカン酸、オクタン酸、ドデカン酸、及びこれらの混合物などが含まれる。
【0175】
更に好ましい希釈剤には、3,7-ジメチル-3-オクタノール、1-ドデカノール、1-デカノール、1-オクタノール、1-ペンタノール、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、2-オクタノール、1-ドデカノール、3-メチル-3-ペンタノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、t-アミルアルコール、tert-ブタノール、2-ブタノール、1-ブタノール、2-メチル-2-ペンタノール、2-エチル-1-ブタノール、3,3-ジメチル-2-ブタノール、2-オクチル-1-ドデカノール、及びこれらの混合物などが含まれる。
【0176】
N-メチルピロリドン、N-エチルピロリドン、N,N-ジメチルプロピオンアミド、及びヒドロキシエチルピロリドンなどを含む、環式及び非環式アミドを含む、アミド部分上でヒドロキシル置換、アルキル置換された、アミド溶媒を含む、非プロトン性溶媒。
【0177】
希釈剤の混合物を、使用してもよい。希釈剤は、反応混合物中の全成分の合計の、約55重量%までの量で使用してもよい。更に好ましくは、反応混合物中の全成分の合計の約45重量%未満の量、更に好ましくは、約15~約40重量%の量で使用される。
【0178】
重合開始剤は、コンタクトレンズなどの基材を形成するのに使用される反応混合物に含まれることが好ましい。非限定的な開始剤としては、過酸化ラウリル、過酸化ベンゾイル、過炭酸イソプロピル、アゾビスイソブチロニトリルなどの適度な昇温でフリーラジカルを発生する化合物、並びに芳香族α-ヒドロキシケトン、アルコキシオキシベンゾイン、アセトフェノン、アシルホスフィンオキシド、ビスアシルホスフィンオキシド、及び三級アミンを有するジケトン、これらの混合物などが挙げられる。
【0179】
光開始剤の具体例は、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4-4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド(DMBAPO)、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド(Irgacure 819)、2,4,6-トリメチルベンジルジフェニルホスフィンオキシド、及び2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ベンゾインメチルエステル、並びに、カンファーキノンとエチル4-(N,N-ジメチルアミノ)ベンゾエートの配合物である。市販の可視光開始剤系には、Irgacure 819、Irgacure 1700、Irgacure 1800、Irgacure 819、Irgacure 1850(いずれもCiba Specialty Chemicalsより)及びLucirin TPO開始剤(BASFより販売)が挙げられる。市販のUV光重合開始剤は、Darocur1173及びDarocur2959(Ciba Specialty Chemicals)を含む。使用できるこれら及び他の光開始剤は、Photoinitiators for Free Radical Cationic & Anionic Photopolymerization,2nd Edition、J.V.Crivello & K.Dietliker著、G.Bradley編、John Wiley and Sons、New York、1998の第III巻に開示されており、これらの開示は、参照により本明細書に援用される。
【0180】
開始剤は、反応混合物の重合を開始するのに有効な量で、典型的には反応性混合物の約0.1~約2重量パーセントの量で、反応混合物中で使用される。反応混合物の重合は、使用する重合開始剤に応じて熱、可視光、紫外線照射、又は他の手段を適切に選択して開始することができる。あるいは、例えば、電子ビームを使用して、光開始剤なしで開始させることもできる。しかしながら、光開始剤を使用するとき、好ましい開始剤は、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド(Irgacure 819(登録商標))などの酸化ビスアシルホスフィン、又は1-ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトンとビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4-4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド(DMBAPO)との組み合わせであり、好ましい方法は、可視光照射である。最も好ましい光開始剤は、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド(Irgacure 819(登録商標))である。
【0181】
反応混合物は、振盪又は攪拌など、当業者に周知のいずれかの方法によって形成され、次いで、ポリマー物品又は装置を周知の方法によって形成するために使用されることができる。例えば、生物医学装置は、反応性成分及び希釈剤を重合開始剤と混合し、適切な条件下で硬化させて、その後、旋盤加工、切断などによって適切な形状に形成することができる生成物を形成することによって調製することができる。別法として、反応混合物は、型に入れた後に硬化させ、適切な物品とすることができる。
【0182】
コンタクトレンズの製造における反応混合物の加工には、スピンキャスティング及びスタティックキャスティングを含めた様々なプロセスが既知である。スピンキャスティング法は、米国特許第3408429号及び同第3660545号に開示されており、スタティックキャスティング法は米国特許第4113224号及び同第4197266号に開示されている。コンタクトレンズを製造するための好ましい方法は、シリコーンヒドロゲルの成形によるものであり、この成形は経済的であり、水和したレンズの最終形状を正確に制御することを可能にする。この方法の場合、反応混合物は、最終的な所望のシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズの形状を有する成形型内に置かれ、反応混合物は、モノマーが重合する条件に暴露される。その後、成形されたレンズは、希釈剤を除去するように溶媒で処理され、最終的に希釈剤は水又は包装用溶液で置き換えられ、これにより、水和されたシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズが製造される。いくつかの希釈剤は、熱、真空又は蒸発によって除去され得る。これらの場合、レンズは、溶媒なしで機械的に離型され得る。この方法は、コンタクトレンズを形成するために使用することができ、米国特許第4495313号、同第4680336号、同第4889664号、及び同第5039459号において更に説明されており、これらは参照により本明細書に援用される。
【0183】
生物医学装置、特に眼用レンズは、これらを特に有用にする、釣り合いのとれた特性を有する。これらの特性は、本質的に、物理的、機械的、又は生物学的であり得る。コンタクトレンズの非限定的な物理的特性としては、ヘイズ、含水率、酸素透過度、及び接触角が挙げられる。コンタクトレンズの非限定的な機械的特性としては、ヤング率、引張強度、破断までの伸長、及び強靱性が挙げられる。
【0184】
上記の範囲のすべての組み合わせは、本発明の範囲内に含まれるものとみなす。
【0185】
乱視を有する患者の場合、ソフトコンタクトレンズは、光学補正が有効となるために、回転安定化される必要がある。このような安定化は、通常、回転を制限するコンタクトレンズの後部側にある安定化ゾーンの使用によって達成される。また別の方法として、角膜の上でアーチ型にたわみ、それにより、角膜表面とレンズとの間に空間を設ける、乱視マスキングレンズが装用され得る。その空間により、角膜の乱視特性が有効にマスクされる。ソフトコンタクトレンズが角膜表面の上でアーチ型にたわむために、レンズの中央部分は、患者を不快にさせないと同時にアーチ型にたわむのに必要な形状を維持するほど十分に硬くなければならない。本発明は、装用に快適な他のシリコーンヒドロゲルと共に複合材料ソフトコンタクトレンズを形成する、比較的高い含水率でアーチ型にたわむのに十分な剛性を有するシリコーンヒドロゲルを対象とする。
【0186】
本発明のシリコーンヒドロゲルは、単一のコンタクトレンズ、又は中央領域と周縁領域とを有する複合材料コンタクトレンズの中央領域を形成するために使用され得る。中央領域は、少なくとも1つのN-アルキルメタクリルアミド、少なくとも1つの親水性モノマー、少なくとも1つのケイ素含有成分、及び少なくとも1つの架橋剤を含む反応性混合物から形成されたシリコーンヒドロゲルから形成され、約10重量パーセント~約40重量パーセントの含水率及び約103MPa~約1.4GPa(約15,000psi~約200,000psi)の弾性率を有しており、周縁領域は、約10~約40重量パーセントの含水率及び約0.14~約3.4MPa(約20~約500psi)の弾性率を有する組成的に別個のシリコーンヒドロゲルから形成されている。
【0187】
別の実施形態では、このような複合材料コンタクトレンズを作製するためのプロセスが説明されており、同プロセスは、(a)請求項1に記載の第1のシリコーンヒドロゲル配合物を第1の成形型に投入することと、(b)第1のシリコーンヒドロゲル配合物をゲルへと部分的に硬化させることと、(c)第2のシリコーンヒドロゲル配合物を第1の成形型に投入することと、(d)第2のシリコーンヒドロゲル配合物がゲルに吸収される時間を与えることと、(e)第1の成形型の上に第2の成形型を配置することと、(f)組み合わせを完全に硬化させて複合材料コンタクトレンズを形成することと、を含む。
【0188】
中心環状領域は、光学区域と同一の大きさであってよく、典型的なコンタクトレンズでは直径約9mm以下である。一実施形態では、中心環状領域は、約4~約7mmの直径を有し、また別の実施形態では、約4~約6mmの直径を有する。
【0189】
任意追加的に、第1のモノマー混合物は、制御された硬化メカニズムを通じて少なくとも部分的に重合されてよい。次いで、約1.4MPa未満、又は約1.0MPa未満(約200psi未満、又は約150psi未満)の弾性率を有するヒドロゲルを形成することになる、少量の第2のモノマー混合物が、第1のモノマー混合物の上に投与される。この投与量の第2のモノマー混合物は、凹部フロントカーブを所望の量まで充填し、次いで、ベースカーブが提供され、成形型の半型が、最終硬化位置に押し込まれ、モノマー混合物が硬化及び/又は重合され、成形プロセスが完了する。重合プロセスが光重合メカニズムを含む場合は、放射線が、フロントカーブ成形半型若しくはベースカーブ成形半型のどちらか、又はその両方に向けられてもよい。成形されたレンズは次に、抜き取られ、不要な化学成分が除去され、かつ水和される。
【0190】
代替方法では、第1のモノマー混合物は、フロントカーブ成形型の中央部に提供され、次いで、第2のモノマー混合物の環状輪がフロントカーブ成形型の縁部に投与される。結果として生じる第2の反応性混合物の環状輪は、重力によってフロントカーブの中央に引き寄せられる。次いで、ベースカーブ成形型が供給され、硬化が開始及び完了され、最終的なヒドロゲルコンタクトレンズ製品を形成するために、抜き取り及び水和工程が続く。
【0191】
中央区域及び周縁区域において所望の弾性率値を維持するために、第1及び第2のモノマー混合物の実質的な混合を防ぐことが望ましい。中央区域における第1のモノマー混合物の硬化(部分的又は完全のいずれも)が使用されていないとき、第2の、周縁部モノマー混合物と比較して第1のモノマー混合物の粘度を増加させると、モノマーの分子拡散を低減させることができる。透明モノマー混合物より高い粘度を有する第1のモノマー混合物を使用することは、2つのモノマー混合物の境界面の剪断力を低減し、それによって物理的混合を低減するのに役立つ。下記のStokes-Einstein式による解析は、材料の拡散率に影響するパラメーターを説明する。
【0192】
【数1】
式中、Dは分子拡散率、kはBoltzmann定数、Tは温度、μは粘度、rは分子の半径である。より低温で操作すること、及びより高粘度のモノマーを使用することは、分子拡散率を低減させる傾向にある。一実施形態では、第1のモノマー混合物の粘度は、周縁部モノマー混合物の粘度より少なくとも約1000cp高く、別の実施形態では、少なくとも約1500cp高い。
【0193】
しかしながら、US2003/0142267号に開示されるようにモノマー混合物の粘度を制御することは、好適な光学及び快適性を有するヒドロゲルコンタクトレンズを提供するには不十分であった。第1のモノマー混合物の部分又は完全硬化を使用すること並びに第1及び第2のモノマー混合物から形成されたポリマーの膨張係数のバランスをとることは、望ましい光学及び快適性を有するヒドロゲルコンタクトレンズをもたらし得ることが明らかになっている。一実施形態では、それぞれのモノマー混合物から形成されるポリマーの膨張係数は、約10%以内であり、いくつかの実施形態では約8%以内、また他の実施形態では約5%以内である。膨張係数は、希釈剤濃度、親水性成分及び疎水性成分の濃度及び親水性又は疎水性、並びに開始剤及び架橋剤の濃度、並びにそれらの組み合わせを含む、複数の製剤変数を操作することによって、調節され得る。シリコーン成分の濃度を維持し、親水性成分のうちの1つの一部を置き換えることが望ましい場合もある。これらの実施形態では、所望の膨張係数を達成するために、複数の調節が必要な可能性がある。
【0194】
それに加え、所望の膨張係数を達成するために、他の製剤変数が修正されることもある。例えば、親水性成分の濃度を変化させると、希釈剤濃度及び開始剤濃度、並びにこれらの組み合わせは、望ましい光学及び快適性を有する調光コンタクトレンズを提供するのに有効であった。一実施形態では、ポリ(ビニルピロリドン)(PVP)、メタクリル酸、ポリジメチルアクリルアミド、又はポリ(ビニルメタセトアミド)などの湿潤剤が、モノマー混合物に添加され得る。
【0195】
第1及び第2のモノマー混合物の両方において、同じ又は類似の成分が使用され得る。例えば、双方のモノマー混合物に同一の親水性成分を含むことが望ましい場合がある。この場合、親水性成分の濃度に加えて製剤変数を変化させてよい。
【0196】
片面硬化が使用されるとき、膨張係数は、モノマー、希釈剤濃度、及びこれらの組み合わせを使用して適合され得る。硬化が一方からのみ生じる(光硬化等)場合は、同様に開始剤濃度を増加することが望ましいこともある。
【0197】
試験法
標準偏差は括弧内に示す。本明細書で明記される試験のすべてが、一定量の必然的に生じる誤差を有することは、理解されるであろう。したがって、本明細書で報告される結果は、絶対数として利用されないが、特定の試験の精度に基づく数値の範囲とされる。
【0198】
含水率は、次のように測定した:テストすべきレンズを24時間包装用溶液中に静置した。先端がスポンジ状のスワブを使用して、3枚のテストレンズのそれぞれを包装用溶液から取り出し、包装用溶液で湿らせておいた吸い取り紙上に置いた。レンズの両面をこの紙と接触させた。ピンセットを使用してテストレンズを秤量皿(事前に重さを計量済み)に置き、湿潤レンズの重量を得た。更に2組の試料を準備し、前述のように秤量した。
【0199】
乾燥重量は、60℃で30分間予熱した真空オーブンに試料皿を置いて測定した。少なくとも1.4ギガパスカル(0.4インチHg)の真空が達成されるまで減圧した。真空バルブ及びポンプをオフにし、レンズを最低12時間乾燥した。パージ弁を開け、オーブンを大気圧に戻した。秤量皿を取り出し、秤量した。含水率は、次のように計算した。
湿潤重量=皿とレンズの合計湿潤重量-秤量皿の重量
乾燥重量=皿とレンズの合計乾燥重量-秤量皿の重量
【0200】
【数2】
【0201】
試料の含水率の平均値及び標準偏差が計算され報告されている。
【0202】
ヘイズは、水和したテストレンズを、平坦な黒色背景の上に置かれた室温で透明のガラスセル内のホウ酸緩衝生理食塩水中に置き、下から光ファイバーランプ(直径0.5インチの光導波路付きのDolan-Jenner PL-900光ファイバー光源)を使用して、レンズセルの法線に対して66度の角度でこれを照射し、レンズホルダーの14mm上方に配置されたビデオカメラ(好適なズームカメラレンズ付きのDVC 1300C:19130 RGBカメラ)で、上から、このレンズセルの法線上のレンズの画像を撮影することによって測定した。バックグラウンド散乱は、EPIX XCAP V3.8ソフトウェアを使用して、ホウ酸緩衝生理食塩水を含むブランクセルの画像(ベースライン)を減じることによって、テストレンズの散乱から減じる。最も高い散乱(すりガラス)の値は、光強度を900~910の平均グレースケールとなるように調節することによって得る。バックグラウンド散乱(BS)の値を、生理食塩水で満たしたガラスセルを用いて測定する。減じられた散乱光画像を、レンズの中央10mmにわたって積分し、次いですりガラス標準と比較することによって定量的に分析する。光強度/出力設定は、すりガラス標準に対して900~910の範囲の平均グレースケール値を達成するように調節し、この設定において、ベースライン平均グレースケール値は50~70の範囲内であった。ベースライン及びすりガラス標準の平均グレースケール値を記録し、使用して、それぞれに0~100のスケールを作成する。グレースケール分析では、ベースライン、すりガラス、及びすべてのテストレンズの平均及び標準偏差を記録した。各レンズに対して、スケールされた値=平均グレースケール値(レンズ-ベースライン)÷平均グレースケール値(すりガラスーベースライン)×100の式により、スケールされた値を計算した。3~5枚のテストレンズを分析し、結果を平均する。
【0203】
含水率を重力測定で測定した。レンズを包装用溶液中で24時間平衡化した。先端がスポンジ状のスワブを使用して、3枚のテストレンズのそれぞれを包装用溶液から取り出し、包装用溶液で湿らせておいた吸い取り紙上に置く。レンズの両面をこの紙と接触させる。ピンセットを使用してテストレンズを風袋引きされた秤量皿に置き、秤量する。更に2組の試料を準備し、秤量する。すべての重量測定を3連で行い、それらの値の平均を計算に使用した。湿潤重量は、皿と湿潤レンズの組み合わせ重量から秤量皿単独の重量を引いたものとして定義される。
【0204】
乾燥重量は、60℃で30分間予熱した真空オーブンに試料皿を置いて測定した。少なくとも0.003メガパスカル(1インチHg)に達している圧力が達成され、低圧が維持されるまで、減圧を適用した。真空バルブ及びポンプをオフにし、レンズを少なくとも12時間、典型的には一晩、乾燥する。パージ弁を開けて、乾燥空気又は乾燥窒素ガスが入るようにする。オーブンを大気圧に戻す。秤量皿を取りだし秤量する。乾燥重量は、皿と乾燥レンズの組み合わせ重量から秤量皿単独の重量を引いたものとして定義される。テストレンズの含水率は、次のように計算した。
【0205】
【数3】
【0206】
含水率の平均及び標準偏差を計算し、平均値をテストレンズのパーセント含水率として報告した。
【0207】
コンタクトレンズの屈折率(RI)をLeica ARIAS 500アッベ屈折計によって手動モードで、又はReichert ARIAS 500アッベ屈折計によって自動モードで、プリズム間隙距離100マイクロメートルで測定した。機器は、脱イオン水を20℃(+/-0.2℃)で使用して較正した。プリズムアセンブリを開き、テストレンズを光源に最も近い磁気ドット間の下部プリズムの上に置いた。プリズムが乾燥している場合、数滴の生理食塩水を底部プリズムに適用した。レンズのフロントカーブを底部プリズムに当てた。次いで、プリズムアセンブリを閉じた。影線がレチクルフィールド内に出現するようにコントロールを調節した後、屈折率を測定した。RI測定を5枚のテストレンズに対して行った。5つの測定値から計算した平均RIを屈折率として、その標準偏差と共に記録した。
【0208】
酸素透過度(Dk)は、ISO9913-1:1996及びISO18369-4:2006に概説されているポーラログラフィー法に以下の変更を加えて測定した。測定は、試験チャンバーに適切な比率、例えば、窒素1800mL/minと空気200mL/minに設定して窒素及び空気の注入を同時に行うことにより作り出される、2.1%の酸素を含有する環境で行った。t/Dkは、調整酸素濃度を使用して計算する。ホウ酸緩衝生理食塩水を使用した。MMAレンズを使用する代わりに、純粋加湿窒素環境を使って暗電流を測定した。レンズは、測定前に拭き取らなかった。センチメートル単位で測定された様々な厚さ(t)のレンズを使用する代わりに、4枚のレンズを束にした。フラットセンサーの代わりにカーブセンサーを使用し、半径は7.8mmであった。7.8mm半径のセンサー及び10%(v/v)の空気流量に対する計算は以下のとおりである。
Dk/t=(測定された電流-暗電流)×(2.97×10-8mLのO/(μA-sec-cm-mmHg)
【0209】
エッジ補正は材料のDkに関係した。
【0210】
90バーラー未満のすべてのDk値の場合:
t/Dk(エッジ補正されている)=[1+(5.88×t)]×(t/Dk)
【0211】
90~300バーラーのDk値の場合:
t/Dk(エッジ補正されている)=[1+(3.56×t)]×(t/Dk)
【0212】
300バーラーを超えるDk値の場合:
t/Dk(エッジ補正されている)=[1+(3.16×t)]×(t/Dk)
【0213】
エッジ補正されていないDkを、x変数がセンチメートル単位の中心厚であり、y変数がt/Dk値である、データの線形回帰分析から得られた傾きの逆数から計算した。その一方で、エッジ補正されたDkを、x変数がセンチメートル単位の中心厚であり、y変数が、エッジ補正されたt/Dk値である、データの線形回帰分析から得られた傾きの逆数から計算した。結果として得られたDk値をバーラー単位で報告した。
【0214】
レンズの湿潤性を、以下の方法を使用して判定した。動的接触角(DCA)を、Cahn DCA-315機器を室温で使用し、脱イオン水をプローブ溶液として使用して、ウィルへルミプレート法によって判定した。既知のパラメーターを有するレンズ標本を既知の表面張力を有する包装用溶液に浸漬することによって、濡れに起因して敏感なバランスにより試料に働く力を測定しながら、実験を実施した。レンズ上の包装用溶液の前進接触角を、試料浸漬の間に収集された力データから判定する。後退接触角を、試料を液体から引き出しながら、力データから同様に判定する。ウィルへルミプレート法は、以下の式に基づいている:Fg=γρcosθ-B、式中、F=液体とレンズとの間の湿潤力(mg)、g=重力加速度(980.665cm/sec)、γ=プローブ液体の表面張力(dyne/cm)、ρ=液体/レンズメニスカスにおけるコンタクトレンズのペリメーター(cm)、θ=動的接触角(度)、及びB=浮力(mg)である。Bは、浸漬深さ0において0である。4本のテストストリップをコンタクトレンズの中央領域から切り出した。各ストリップは幅およそ5mmであり、包装用溶液中で平衡化した。次いで、各試料について4回繰り返し、結果の平均をとってレンズの前進接触角を得た。
【0215】
いくつかの実施例では、レンズの湿潤性は、液滴法を使用し、室温で、KRUSS DSA-100 TM機器を使用し、プローブ溶液として脱イオン水を使用して測定され、判定された。テストすべきレンズ(3~5/試料)を、脱イオン水中ですすぎ、包装用溶液を取り除いた。それぞれのテストレンズを包装用溶液で湿らせておいた糸くずの出ない吸い取り紙上に置いた。レンズの両面をこの紙と接触させて、レンズを乾燥させることなく、表面の水を取り除いた。適切な平坦化を確保するために、レンズを、コンタクトレンズプラスチック製成形型の凸面上に「くぼみ側を下」にして置いた。プラスチック製成形型及びレンズを静滴器具ホルダー内に置いて、適切な中央注射器位置合わせを行った。3~4マイクロリットルの脱イオン水の液滴を、その液滴がレンズから離れて垂れるように、DSA 100-Drop Shape Analysisソフトウェアを使用して注射器の先端上に形成した。その液滴は、その針を下に移動することによって、レンズの表面上に円滑に放出された。その針は、液滴を分注した後、直ちに回収された。液滴を5~10秒間レンズ上で平衡化し、接触角を液滴画像とレンズ表面との間で測定した。
【0216】
コンタクトレンズの機械的特性を、ロードセル及び空圧式グリップコントロールを搭載したInstronモデル1122又は5542などの引張り試験機を使用することによって測定した。マイナス1ジオプターのレンズは、その中央の均一な厚さプロファイルにより、好ましいレンズ形状である。長さ1.33センチメートル(長さ0.522インチ)、「耳」の幅0.701センチメートル(0.276インチ)、及び「首」の幅0.541センチメートル(0.213インチ)を有する、-1.00度のレンズから切り出されたドッグボーン形試料をグリップに乗せ、破断するまで5センチメートル毎分(2インチ毎分)の定ひずみ速度で伸長した。ドッグボーン試料の中心厚を、試験よりも前に電子厚さゲージを使用して測定した。試料の初期ゲージ長さ(Lo)及び破断時の試料長さ(Lf)を測定した。各組成物の少なくとも5つの標本を測定し、その平均値を使用して、破断までのパーセント伸長を計算した:パーセント伸長=[(Lf-Lo)/Lo]×100。引張弾性率を、応力-ひずみ曲線の初期直線部分の傾きとして計算した。弾性率の単位は、ポンド毎平方インチ又はpsiである。引張強度を、ピーク荷重及び元の断面積から計算した:引張強度=ピーク荷重を元の断面積で割った値。引張強度の単位はpsiである。強靱性を、破断までのエネルギー及び試料の元の体積から計算した:強靱性=破断までのエネルギーを元の試料体積で割った値。強靱性の単位はin-lbs/inである。
【0217】
平坦の場合の試料もまた、Instron試験によって測定した。しかしながら、テスト物品は、コンタクトレンズを作製するのに使用した成形型に類似しているが、曲率を有しない、平坦な円形ディスクを製造する、平坦な円形のプラスチック製成形型(直径約15mm)から調製した。成形型は、投与された反応性モノマー混合物の体積に応じて、250~550マイクロメートルの中心厚を有するディスクを作製するように設計した。ディスクを所望の試料サイズ(幅:3.1mm、長さ:約7mm)に切断した。定移動速度型試験機のクロスヘッドに、100ニュートンのロードセル及びダイアモンド製鋸歯状顎面を有する空圧作用グリップ(最大250ニュートン)を装備した。標本をグリップに載置し、次いで、破断するまで2.5センチメートル毎分(1インチ毎分)で伸長した。引張特性を、結果として得られた応力-ひずみ曲線から取得する。加えて、すべての機械的な試験の実験に対して、脱水の影響を最小にするために、分析の直前まで試料を包装用溶液中に保管した。
【0218】
中心厚を、電子厚さゲージを使用して測定した。
【0219】
OCT試験方法:
角膜マスキング用の原型レンズ設計をインビトロで試験することを目的として、模型眼をPMMAから製造した。模型眼は、急勾配の経線及び平坦な経線に対してそれぞれ、主経線曲率7.688mm及び8.016mmで、およそ1.80ジオプターの角膜乱視を有するように設計した。原型レンズ設計を、レンズと眼表面との間で涙の代用物として働く生理食塩水溶液と共に、模型眼の上に配置した。20mm対物レンズを有するBioptigen Envisu Optical Coherence Tomographer(OCT、モデルR2310)を使用して原型レンズ及び模型眼システムを撮像し、模型表面とレンズ裏面との間に生理食塩水の体積を見ることができるかどうかを判定した。下の図を見て分かるように、OCT画像は、模型眼とレンズ裏面との間に涙体積の存在を確認し、模型角膜表面の上でうまくアーチ型にたわんでいることを示した。
【0220】
以下の略語は、実施例全体を通して使用される。
BC:バックカーブプラスチック製成形型
FC:フロントカーブプラスチック製成形型
NVP:N-ビニルピロリドン(Acros Chemical)
DMA:N,N-ジメチルアクリルアミド(Jarchem)
HEMA:2-ヒドロキシエチルメタクリレート(Bimax)
NMMA:N-メチルメタクリルアミド
VMA:N-ビニルN-メチルアセトアミド(Aldrich)
ブルーHEMA:1-アミノ-4-[3-(4-(2-メタクリロイルオキシ-エトキシ)-6-クロロトリアジン-2-イルアミノ)-4-スルホフェニルアミノ]アントラキノン-2-スルホン酸、米国特許第5944853号の実施例4に記載のもの
スチリル-TRIS:トリス(トリメチルシロキシ)シリルスチレン
pVMA:ポリ(N-ビニルN-メチルアセトアミド)
PVP:ポリ(N-ビニルピロリドン)K90(ISP Ashland)
EGDMA:エチレングリコールジメタクリレート(Esstech)
TEGDMA:トリエチレングリコールジメタクリレート(Esstech)
TMPTMA:トリメチロールプロパントリメタクリレート(Esstech)
BMPP:2,2-ビス(4-メタクリルオキシフェニル)-プロパン(PolySciences)
BAPP:2,2-ビス[4-(2-アクリルオキシエトキシ)フェニル]プロパン(PolySciences)
BHMPP:2,2-ビス[4-(2-ヒドロキシ-3-メタクリルオキシプロポキシ)フェニル]プロパン(PolySciences)
Tegomer V-Si 2250:ジアクリルオキシポリジメチルシロキサン、20の平均ジメチルシロキシ繰り返し単位を有する(Evonik)
D3O:3,7-ジメチル-3-オクタノール(Vigon)
Irgacure 819:ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド
Irgacure 1870:ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルホスフィンオキシド及び1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトンのブレンド
mPDMS:モノメタクリルオキシプロピル末端モノ-n-ブチル末端ポリジメチルシロキサン、(800~1000MW)(Gelest)
HO-mPDMS:モノ-(2-ヒドロキシ-3-メタクリルオキシプロピル)-プロピルエーテル末端モノ-n-ブチル
末端ポリジメチルシロキサン(400~1000MW)(DSM)
SiMAA:2-プロペン酸、2-メチル-2-ヒドロキシ-3-[3-[1,3,3,3-テトラメチル-1-[(トリメチルシリル)オキシ]ジシロキサニル]プロポキシ]プロピルエステル(Toray)
SA2:N-(2,3-ジヒドロキシルプロピル)N-(3-テトラ(ジメチルシロキシ)ジメチルブチルシラン)プロピル)
アクリルアミド
TAM:t-アミルアルコール(BASF)
3E3P:3-エチル3-ペンタノール
DI水:脱イオン水
IPA:イソプロピルアルコール
ノルブロック:2-(2’-ヒドロキシ-5-メタクリルイルオキシエチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール(Janssen)
PP:ポリプロピレン
Zeonor:ポリシクロオレフィン熱可塑性ポリマー(日本ゼオン株式会社)
ホウ酸緩衝液:8.3グラムのNaCl(Sigma Aldrich製)、9.1グラムのホウ酸(Mallinckrodt製)及び1グラムのホウ酸ナトリウム(Mallinckrodt製)を1Lの脱イオン水(Milli Q製)中に溶解することによって調製された溶液。
【0221】
合成実施例1:ポリ(N-ビニルN-メチルアセトアミド)(pVMA)の調製
380mL(3.48mol)の蒸留したN-ビニル-N-メチルアセトアミド及び187mg(1.14mmol)のアゾビスイソブチロニトリルを還流凝縮器、磁気撹拌子及び熱電対の付いた3口丸底フラスコに添加し、窒素ガスを反応混合物に通してバブリングすることによって酸素ガスを2時間パージした。次いで、反応混合物を75℃で24時間加熱し、この間に反応混合物は凝固した。反応生成物を空気中でクエンチし、ワークアップ手順1又はワークアップ手順2によって単離した。ワークアップ手順1:反応生成物を800mLの塩化メチレン中に40℃で溶解し、室温まで冷却した。溶液を手撹拌しながら2Lの低温のジエチルエーテル内に注ぎ、溶媒のデカント後に白色の固体を得た。固体生成物を空気乾燥し、続いて、50℃で一晩真空乾燥した。沈殿生成物を微細な白色の粉末に粉砕し、50℃で一晩真空乾燥した(85%収率)。ワークアップ手順2:反応生成物を水中に溶解し、透析膜チュービング(Spectra Pore MWCO 3500)で広範囲に透析し、凍結乾燥(LABCONCO、Freezone(登録商標)Triad(商標)凍結乾燥システム、モデル#7400030)又は噴霧乾燥(BUCHIミニスプレードライヤー、モデル#B-290)した。多角度光散乱を有するサイズ排除クロマトグラフィー(SEC-MALS)によって分子量を判定した。SEC-MALSセットアップは、流量0.6mL/min、50℃で、メタノール(10mMのLiBrを含む)を移動相として使用した。直列した3本のTosoh Biosciences TSK-ゲルカラム[SuperAW3000 4μm、6.0mm ID×15cm(PEO/DMF排除限界=60,000g/モル)、SuperAW4000 6μm、6.0mm ID×15cm(PEO/DMF排除限界=400,000g/モル)及びSuperAW5000 7μm、6.0mm ID×15cm(PEO/DMF排除限界=4,000,000g/モル)]をオンラインAgilent 1200 UV/VISダイオードアレイ検出器、Wyatt Optilab rEX干渉屈折計、及びWyatt miniDAWN Treos多角度レーザー散乱(MALS)検出器(λ=658nm)と共に使用した。絶対分子量判定に、30℃での0.1829mL/gのdη/dc値(λ=658nm)を使用した。Wyatt ASTRA 6.1.1.17 SEC/LSソフトウェアパッケージを使用して、絶対分子量及び多分散性データを計算した。重量平均分子量は、典型的には約500KDa~約700KDaの範囲で変動し、多分散性は、約1.8~約2.8の範囲で変動した。
【0222】
比較実施例1~12及び実施例1~5
表1及び2に列挙する反応性成分を混合することによって各反応性混合物を形成し、次いで、約20分間周囲温度で真空を適用することによって脱気した。次いで、窒素ガス雰囲気及び0.1パーセント未満の酸素ガスを有するグローブボックス内で、約100μLの反応性混合物を、Zeonorから作製されたFC内に室温で投入した。55:45(w/w)のZeonor:ポリプロピレンのブレンドから作製されたBCをフロントカーブ成形型の上に配置した。投入する前に、成形型をグローブボックス内で最低12時間平衡化した。50~60℃に維持されている隣接グローブボックス内にトレーを移し、4~5mW/cmの強度を有するTLO3蛍光バルブを使用してレンズを底部から20分間硬化させた。
【0223】
ほとんどのレンズがBCに固着している状態でレンズを手で離型し、70~50%のIPAを使用して脱離させ、続いて、70~25%のIPAで約0.5~2.0時間、DI水で約1時間、2回洗浄し、最後に、ホウ酸緩衝包装用溶液で約30分間、2回洗浄した。122℃で30分間、オートクレーブによってレンズを無菌化した。無菌レンズの物理的及び機械的特性を測定した。測定した値を表3に示す。
【0224】
【表1】
【0225】
【表2】
【0226】
【表3】
【0227】
比較実施例は、NMMAを含有せず、約0.62MPa(90psi)未満の弾性率を有する。驚くべきことに、DMA又はNVPのいずれかをNMMAで置き換えると、弾性率値が劇的に増加する。例えば、比較実施例5のNVPをNMMA(46.65%、実施例5)で置き換えると、弾性率が0.52MPaから2.52MPa(75psiから365psi)に増加した。同様に、比較実施例9~12のDMAをNMMAで置き換えても、以下の表4に示されているように、弾性率が、特に約20%以上の濃度において、劇的に増加した。弾性率値の増加は、11.5重量%のNMMAでの10%から46.65重量%のNMMAでの300%超までの範囲にわたった。実施例2~5の含水率は、59~63%のままであり、透明度は、実施例2~5において受け入れ可能な範囲であった。
【0228】
【表4】
【0229】
実施例6~16
表4に列挙する反応性成分を混合することによって各反応性混合物を形成し、次いで、約20分間周囲温度で真空を適用することによって脱気した。次いで、窒素ガス雰囲気及び0.1パーセント未満の酸素ガスを有するグローブボックス内で、約100μLの反応性混合物を、90:10(w/w)のZeonor:ポリプロピレンのブレンドから作製されたFC内に室温で投入した。次いで、ポリプロピレンから作製されたBCをフロントカーブ成形型の上に配置した。8つのこのような成形型アセンブリのトレーの上に水晶板を配置して、適切なフィッティングを維持した。投入する前に、成形型をグローブボックス内で最低12時間平衡化した。60~65℃に維持されている隣接グローブボックス内にトレーを移し、4~5mW/cmの強度を有するTLO3蛍光バルブを使用してレンズを頂部から12分間硬化させた。
【0230】
ほとんどのレンズがBCに固着している状態でレンズを手で離型し、70~50%のIPAを使用して脱離させ、続いて、70~25%のIPAで約0.5~2.0時間、DI水で約1時間、2回洗浄し、最後に、ホウ酸緩衝包装用溶液で約30分間、2回洗浄した。122℃で30分間、オートクレーブによってレンズを無菌化した。無菌レンズの物理的及び機械的特性を測定した。測定した値を表5に示す。
【0231】
【表5】
【0232】
【表6】
【0233】
実施例6~10は、同じ量のNMMA(%)を含むが、シリコーン含有架橋剤Tegomerの量が増加している。シリコーン含有架橋剤の添加は、少量であっても、%ヘイズを120%から10~50%に減少させた。実施例6~11は、7MPa(1000psi)を超える弾性率、100バーラーを超えるDk、及び20~約34%の含水率を示した。比較実施例13は、NMMAの代わりにDMAを含有し、実施例12よりもはるかに低い、2.65MPa(385psi)の弾性率を有した。実施例12は、NMMAを含有し、8.818MPa(1279psi)の弾性率を有した。実施例12はまた、比較実施例13と比較して、増加した強靱性、及び引張強度、並びにほぼ同じ伸長も示した。
【0234】
実施例17~26
表6に列挙する反応性成分を混合することによって各反応性混合物を形成し、加熱又は非加熱のステンレス鋼又はガラス注射器を使用して3μmフィルターに通して濾過し、次いで、約15分間周囲温度で真空を適用することによって脱気した。次いで、窒素ガス雰囲気及び0.1パーセント未満の酸素ガスを有するグローブボックス内で、75~100μLの反応性混合物を室温でFC内に投入した。次いで、BCをフロントカーブ成形型の上に配置した。投入する前に、成形型をグローブボックス内で最低12時間平衡化した。60~65℃に維持されている隣接グローブボックス内にトレーを移し、4~5mW/cmの強度を有するTLO3蛍光バルブを使用してレンズを頂部から20分間硬化させた。光源は、トレーの上方約15センチメートル(6インチ)であった。硬化プロセス及び装置の詳細な説明は、米国特許第8,937,110号に見出すことができる。
【0235】
ほとんどのレンズがFCに固着している状態でレンズを手で離型し、64枚のレンズを約1リットルのIPA水溶液中に約1又は2時間浮遊させることによって脱離させ、続いて、別のIPA水溶液で洗浄し、DIで2回洗浄し、最後にホウ酸緩衝包装用溶液で2回洗浄した。IPA水溶液の濃度を表6に示す。各洗浄工程は約30分間続けた。122℃で30分間、オートクレーブによってレンズを無菌化した。無菌レンズの物理的及び機械的特性を測定した。測定した値を表7に示す。
【0236】
【表7】
【0237】
【表8】
【0238】
本発明の配合物は、広範囲の弾性率を提供する。架橋剤の濃度及び種類を変化させること(TMTPAなど、短鎖の、より高い官能性の架橋剤を含めることなど)により、約0.14GPa(20,000psi)までの弾性率を達成することができる。
【0239】
実施例27~41
表8及び9に列挙する反応性成分を混合することによって各反応性混合物を形成し、次いで、約20分間周囲温度で真空を適用することによって脱気した。次いで、窒素ガス雰囲気及び0.1パーセント未満の酸素ガスを有するグローブボックス内で、約100μLの反応性混合物を、表8及び9に示されている材料から作製されたFC内に室温で投入した。次いで、表8及び9に示されている材料から作製されたBCをフロントカーブ成形型の上に配置した。8つのこのような成形型アセンブリのトレーの上に水晶板を配置して、適切なフィッティングを維持した。投入する前に、成形型をグローブボックス内で最低12時間平衡化した。60~65℃に維持されている隣接グローブボックス内にトレーを移し、4~5mW/cmの強度を有するTLO3蛍光バルブを使用してレンズを頂部から12分間硬化させた。
【0240】
ほとんどのレンズがBCに固着している状態でレンズを手で離型し、40%のIPAを使用して脱離させ、続いて、表に記載のない限り40%のIPAで約0.5~1時間、2回洗浄し、DI水で約0.5~1時間、2回洗浄し、最後に、ホウ酸緩衝包装用溶液で約30分間、2回洗浄した。122℃で30分間、オートクレーブによってレンズを無菌化した。無菌レンズの物理的及び機械的特性を測定した。測定した値を表10に示す。
【0241】
【表9】
【0242】
【表10】
【0243】
【表11】
【0244】
0.41GPa(60,000psi)を超える弾性率を有するが、依然として15~約25%の含水率を示すシリコーンヒドロゲルを製造した。シリコーンヒドロゲルは、望ましいヘイズ、Dk及び接触角を示した。
【0245】
実施例43~52
表11に列挙する反応性成分を混合することによって各反応性混合物を形成し、次いで、約20分間周囲温度で真空を適用することによって脱気した。次いで、窒素ガス雰囲気及び0.1パーセント未満の酸素ガスを有するグローブボックス内で、約100μLの反応性混合物を、Zeonorから作製されたFC内に室温で投入した。次いで、55:45(w/w)のZeonor:ポリプロピレンのブレンドから作製されたBCをフロントカーブ成形型の上に配置した。投入する前に、成形型をグローブボックス内で最低12時間平衡化した。60~65℃に維持されている隣接グローブボックス内にトレーを移し、4~5mW/cmの強度を有する420nmのLED光を使用してレンズを頂部から20分間硬化させた。
【0246】
ほとんどのレンズがBCに固着している状態でレンズを手で離型し、40%のIPAを一晩使用して脱離させ、続いて、40%のIPAで0.5~1時間洗浄し、DI水で約0.5~1時間、2回洗浄し、最後に、ホウ酸緩衝包装用溶液で約30分間、2回洗浄した。122℃で30分間、オートクレーブによってレンズを無菌化した。無菌レンズの物理的及び機械的特性を測定した。測定した値を表12に示す。
【0247】
【表12】
【0248】
【表13】
【0249】
実施例53~57
表13に列挙する反応性成分を混合することによって各反応性混合物を形成し、次いで、約20分間周囲温度で真空を適用することによって脱気した。次いで、窒素ガス雰囲気及び0.1パーセント未満の酸素ガスを有するグローブボックス内で、約100μLの反応性混合物を、Zeonorから作製されたFC内に室温で投入した。次いで、55:45(w/w)のZeonor:ポリプロピレンのブレンドから作製されたBCをフロントカーブ成形型の上に配置した。投入する前に、成形型をグローブボックス内で最低12時間平衡化した。60~65℃に維持されている隣接グローブボックス内にトレーを移し、4~5mW/cmの強度を有するTL03光を使用してレンズを底部から20分間硬化させた。
【0250】
ほとんどのレンズがBCに固着している状態でレンズを手で離型し、40%のIPAを一晩及び50%のIPAを一晩使用して脱離させ、続いて、40%のIPAで約0.5~1時間、2回洗浄し、DI水で約0.5~1時間、2回洗浄し、最後に、ホウ酸緩衝包装用溶液で約30分間、2回洗浄し、最後に、ホウ酸緩衝包装用溶液で約30分間、2回洗浄した。122℃で30分間、オートクレーブによってレンズを無菌化した。実施例53~56の無菌レンズの物理的及び機械的特性を測定した。測定した値を表14に示す。
【0251】
【表14】
【0252】
【表15】
【0253】
実施例53~56のシリコーンヒドロゲルは、0.30GPa(43,000psi)までの弾性率、及び約20~30%の含水率を示している。
【0254】
実施例58
反応性成分を混合することによって各反応性混合物を形成し、加熱又は非加熱のステンレス鋼又はガラス注射器を使用して3μmフィルターに通して濾過し、次いで、約10~20分間周囲温度で真空を適用することによって脱気した。次いで、窒素ガス雰囲気及び0.1パーセント未満の酸素ガスを有するグローブボックス内で、実施例31からの約20μL~約35μLの脱気された反応性混合物を、55:45(w/w)のZeonor:ポリプロピレンのブレンドから作製されたFC内に60~65℃で投入した。実際の体積を使用して、光学区域を制御した。次いで、FCを、4~5mW/cmの強度を有する420nmのLED光下で2分間照らし、部分的に硬化したゲルを製造した。その後、表15からの約125μLの脱気された反応性混合物をFC内へ前述の部分的に硬化したゲルの上に投与した。Zeonorから作製されたBCをフロントカーブ成形型の上に配置した。投入する前に、成形型をグローブボックス内で最低12時間平衡化した。4~5mW/cmの強度を有する420nmのLED光を使用して、レンズを底部から18分間硬化させた。結果として得られるコンタクトレンズの中央領域と周縁領域との間にコヒーレントな相間又は遷移区域が形成されるように、各段階の間に共重合の動力学を制御することが重要であった。
【0255】
2つの配合物における差異により、レンズへのいかなる損傷も防ぐ以下の方法を使用することによって、レンズを溶媒で成形型から外した:(1)20%のIPA中に一晩、20%のIPA中に1時間、30%のIPA中に2~4時間、40%のIPA中に一晩、30%のIPA中に2~4時間、20%のIPA中に一晩、最後にDI水中に一晩浮遊させた。122℃で30分間、オートクレーブによってレンズを無菌化した。
【0256】
周縁区域及び中央区域に使用されたヒドロゲルの特性を以下の表16に示す。結果として得られたコンタクトレンズは、コンタクトレンズを眼の模型の上にフィッティングさせ、光干渉断層法(OCT)を使用して模型眼上のコンタクトレンズの画像を生成する、インビトロ試験方法を使用して、乱視マスキングを評価した。図1において、OCT画像は、実施例57で調製されたコンタクトレンズが、眼の模型の角膜領域の上でアーチ型にたわむことができ、それにより、光学的な観点から見て角膜上で乱視をマスクする人工的な涙液で満たされている間隙を提供したこと実証している。
【0257】
【表16】
【0258】
【表17】
【0259】
本発明について本明細書において特定の実施例を参照して説明してきたが、これらの実施例は、本発明の原理及び用途を説明するものに過ぎないことが理解されよう。本発明の趣旨又は範囲から逸脱することなく、本発明の組成物、方法及び装置に様々な修正及び変更を実施できることが当業者に明白であろう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物の範囲内に含まれる修正物及び変更物を包含することが意図される。
【0260】
〔実施の態様〕
(1) 少なくとも約6.9MPa(約1000psi)の弾性率及び少なくとも約10%の含水率を有し、少なくとも1つのN-アルキルメタクリルアミド及び少なくとも1つのシリコーン含有成分を含む反応性混合物から形成された、シリコーンヒドロゲル。
(2) 約0.97~約13.8MPa(約140~約2000psi)の弾性率及び約20~約50%の含水率を有し、少なくとも1つのN-アルキルメタクリルアミド及び少なくとも1つのシリコーン含有成分を含む反応性混合物から形成された、非イオン性シリコーンヒドロゲル。
(3) 約20~約40%の含水率を更に含む、実施態様1又は2に記載のシリコーンヒドロゲル。
(4) 少なくとも1つの光開始剤を更に含む、実施態様1~3のいずれかに記載のシリコーンヒドロゲル。
(5) 前記シリコーンヒドロゲルが、光、又は可視光への暴露によって硬化されている、実施態様4に記載のシリコーンヒドロゲル。
【0261】
(6) 前記シリコーン含有成分が、3~30、3~25、3~20又は3~15のシロキサン繰り返し単位を有する少なくとも1つのシリコーン鎖を含む、実施態様1又は2に記載のシリコーンヒドロゲル。
(7) 前記少なくとも1つのシリコーン鎖がポリジアルキルシロキサン鎖である、実施態様6に記載のシリコーンヒドロゲル。
(8) 前記少なくとも1つのシリコーン鎖がポリジメチルシロキサン鎖である、実施態様6に記載のシリコーンヒドロゲル。
(9) 前記少なくとも1つのシリコーン鎖がポリジアリールシロキサン鎖である、実施態様6に記載のシリコーンヒドロゲル。
(10) 前記反応性混合物が、すべての反応性成分に基づいて、約20~約60重量%又は約30~約50重量%の前記シリコーン含有成分を含む、実施態様1又は2に記載のシリコーンヒドロゲル。
【0262】
(11) 前記反応性混合物が、すべての反応性成分に基づいて、約5重量%~約50重量%、約7重量%~約30重量%、約7重量%~約25重量%又は約7重量%~約20重量%の少なくとも1つのN-アルキルメタクリルアミドを含む、実施態様1又は2に記載のシリコーンヒドロゲル。
(12) 前記シリコーン含有成分が、式I~Vの化合物、及びこれらの組み合わせから選択され、
【化28】
式中、Rは、水素原子又はメチルであり、Zは、O、N、S又はNCHCHOから選択され、Z=O又はSであるとき、Rは不要であり、jは1~20の整数であり、qは1~50であり、n及びnは4~100であり、nは1~50であり、
は、Hであるか、又は1~8個の炭素原子を含有する線状、分枝状、若しくは環状のアルキル基であり、これらのうちのいずれかは、少なくとも1つのヒドロキシ基で更に置換されたものであってよく、これらはアミド、エーテル、及びこれらの組み合わせで任意追加的に置換されたものであってよく、
は、式(CHの置換若しくは未置換のC1~6、C1~4若しくはC2~4アルキレンセグメントであって、各メチレン基が、任意追加的に、エーテル、アミン、カルボニル、カルボン酸塩、カルバメート及びこれらの組み合わせで独立して置換されているものであるか、又はオキシアルキレンセグメント(OCHであって、kが1~3の整数であるものであるか、又は、Rは、アルキレンセグメント及びオキシアルキレンセグメントの混合物であってよく、rとkの和は1~9であり、
各Rは、独立して、1~6個の炭素原子を含有する線状、分枝状、若しくは環状のアルキル基、1~6個の炭素原子を含有する線状、分枝状、若しくは環状のアルコキシ基、線状若しくは分枝状のポリエチレンオキシアルキル基、フェニル基、ベンジル基、置換若しくは未置換のアリール基、フルオロアルキル基、部分フッ化アルキル基、ペルフルオロアルキル基、フッ素原子、又はこれらの組み合わせであり、
は、1~8個の炭素原子、若しくは1~4個の炭素原子、若しくはメチル若しくはブチルを有する、置換若しくは未置換の線状若しくは分枝状アルキル基、又はアリール基であり、これらのうちのいずれかは、1つ又は2つ以上のフッ素原子で置換されたものであってよい、実施態様1又は2に記載のシリコーンヒドロゲル。
(13) 前記少なくとも1つのN-アルキルメタクリルアミドが式XVを有しており、
【化29】
式中、Rは、1~8個の炭素原子、ベンジル又はフェニルを含有する線状、分枝状、又は環状のアルキル基から選択され、これらのうちのいずれかは、ヒドロキシル、アミノ、及びこれらの組み合わせなどの追加の官能基で置換されたものでなくても置換されたものであってもよい、実施態様1~12のいずれかに記載のシリコーンヒドロゲル。
(14) 前記N-アルキルメタクリルアミドがN-メチルメタクリルアミドである、実施態様13に記載のシリコーンヒドロゲル。
(15) 約1.03MPa~約1.4GPa(約150psi~約200,000psi)の弾性率及び約10~約50%の含水率を有し、少なくとも1つのN-アルキルメタクリルアミド、約5~約15重量%の少なくとも1つの架橋成分、及び式I~Vの化合物からなる群から選択される少なくとも1つのシリコーン含有成分を含む反応性混合物から形成された、シリコーンヒドロゲルであって、
【化30】
式中、Rは、水素原子又はメチルであり、Zは、O、N、S又はNCHCHOから選択され、Z=O又はSであるとき、Rは不要であり、式中、jは1~20の整数であり、qは、50まで、5~30又は10~25であり、n及びnは4~100、4~50、又は4~25であり、nは、1~50、1~20、又は1~10であり、
は、Hであるか、又は1~8個の炭素原子を含有する線状、分枝状、若しくは環状のアルキル基であり、これらのうちのいずれかは、少なくとも1つのヒドロキシ基で更に置換されたものであってよく、これらはアミド、エーテル、及びこれらの組み合わせで任意追加的に置換されたものであってよく、
は、式(CHの置換若しくは未置換のC1~6、C1~4若しくはC2~4アルキレンセグメントであって、各メチレン基が、任意追加的に、エーテル、アミン、カルボニル、カルボン酸塩、カルバメート及びこれらの組み合わせで独立して置換されてよいものであるか、又はオキシアルキレンセグメント(OCHであって、kが1~3の整数であるものであるか、又は、式中、Rは、アルキレンセグメント及びオキシアルキレンセグメントの混合物であってよく、rとkの和は1~9であり、
各Rは、独立して、1~6個の炭素原子を含有する線状、分枝状、若しくは環状のアルキル基、1~6個の炭素原子を含有する線状、分枝状、若しくは環状のアルコキシ基、線状若しくは分枝状のポリエチレンオキシアルキル基、フェニル基、ベンジル基、置換若しくは未置換のアリール基、フルオロアルキル基、部分フッ化アルキル基、ペルフルオロアルキル基、フッ素原子、又はこれらの組み合わせであり、
は、1~8個の炭素原子、若しくは1~4個の炭素原子、若しくはメチル若しくはブチルを有する、置換若しくは未置換の線状若しくは分枝状アルキル基、又はアリール基であり、これらのうちのいずれかは、1つ又は2つ以上のフッ素原子で置換されたものであってよい、シリコーンヒドロゲル。
【0263】
(16) 前記シリコーンヒドロゲルが、前記N-アルキルメタクリルアミド以外のアミド含有モノマーから形成されたシリコーンヒドロゲルよりも少なくとも約10%大きい弾性率を有する、実施態様15に記載のシリコーンヒドロゲル。
(17) 前記弾性率が、約6.9MPa~約0.69GPa(約1000~約100,000psi)、又は約34.5MPa~約0.69GPa(約5000~約100,000psi)である、実施態様15に記載のシリコーンヒドロゲル。
(18) 前記反応性混合物が、すべての反応性成分に基づいて、約20~約80重量%又は30~80重量%の前記シリコーン含有成分を含む、実施態様15に記載のシリコーンヒドロゲル。
(19) 前記反応性混合物が、すべての反応性成分に基づいて、約5重量%~約50重量%、約7重量%~約30重量%、約7重量%~約25重量%又は約7重量%~約20重量%の少なくとも1つのN-アルキルメタクリルアミドを含む、実施態様15に記載のシリコーンヒドロゲル。
(20) 前記反応性混合物が、約5重量%~約40重量%の少なくとも1つのヒドロキシル官能性シリコーン含有成分を更に含む、実施態様15に記載のシリコーンヒドロゲル。
【0264】
(21) 前記ヒドロキシル官能性シリコーン含有成分が、ポリジアルキルシロキサン及びポリジアリールシロキサンからなる群から選択されるヒドロキシル官能性ポリシロキサンである、実施態様20に記載のシリコーンヒドロゲル。
(22) 前記反応性混合物が、約10~約40重量%のヒドロキシル官能性ポリシロキサンを含む、実施態様21に記載のシリコーンヒドロゲル。
(23) 前記ヒドロキシル官能性ポリシロキサンが、少なくとも1つのポリジメチルシロキサンを含む、実施態様22に記載のシリコーンヒドロゲル。
(24) 前記ヒドロキシル官能性シリコーン含有成分が、式Lの単官能性ヒドロキシル置換ポリ(二置換シロキサン)からなる群から選択され、
【化31】
式中、Zは、O、N、S又はNCHCHOから選択され、ZがO又はSであるとき、Rは存在せず、
は、独立して、H又はメチルであり、Rは、Hであるか、又は1~8個の炭素原子を含有する線状、分枝状、若しくは環状のアルキル基であり、これらのうちのいずれかは、少なくとも1つのヒドロキシ基で更に置換されたものであってよく、これらはアミド、エーテル、及びこれらの組み合わせで任意追加的に置換されたものであってよく、Rは、独立して、1~8個の炭素原子を含有する線状、分枝状、若しくは環状のアルキル基であり、これらのうちのいずれかは、少なくとも1つのヒドロキシ基で更に置換されたものであってよく、これらはアミド、エーテル、及びこれらの組み合わせで任意追加的に置換されたものであってよく、又はRは、メチル、エチル若しくはフェニルから独立して選択されてよく、若しくはメチルであってよく、nは、シロキサン単位の数であり、第1の単官能性ヒドロキシル置換ポリ(二置換シロキサン)モノマーでは4~8であり、Rは、直線状又は分枝状のC~Cアルキル基から選択され、これらは1つ又は2つ以上のヒドロキシル、アミド、エーテル、及びこれらの組み合わせで任意追加的に置換されたものであってよい、実施態様21に記載のシリコーンヒドロゲル。
(25) 前記ヒドロキシル官能性シリコーン含有成分が、式LIに示されているような、式中、nが4~30、4~8又は10~20である、モノ-(2-ヒドロキシ-3-メタクリルオキシプロピル)-プロピルエーテル末端モノ-n-ブチル末端ポリジメチルシロキサン(OH-mPDMS)と、式LII~LVIに示されているような化学構造を有するポリジメチルシロキサンであって、nが4~30、4~8又は10~20であり、n、n、及びnが、独立して、4~100、4~50、4~25であり、Rが、直線状若しくは分枝状のC~Cアルキル基から選択され、これらは、C(OH)の式を有し、式中、f=1~8及びg+h=2f+1である、直線状若しくは分枝状のC~C基、並びにC(OH)の式を有し、式中、f=1~8及びg+h=2f-1である、環状のC~C基、並びにこれらの組み合わせから選択される、1つ又は2つ以上のヒドロキシル、アミド、エーテル、ポリヒドロキシル基で任意追加的に置換されたものであってよく、又はRは、ヒドロキシルエチル、ヒドロキシルプロピル、ヒドロキシルブチル、ヒドロキシルペンチル及び2,3-ジヒドロキシプロピルを含む、メチル、ブチル若しくはヒドロキシル置換C~Cアルキルから選択されてよい、ポリジメチルシロキサンと、式LVII~LVIIIのポリカルボシロキサンであって、aが4~100又は4~8であり、R及びRが上に定義したとおりである、ポリカルボシロキサンと、を含む、実施態様21に記載のシリコーンヒドロゲル。
【化32】
【化33】
【0265】
(26) 前記反応性混合物が、約20~約40重量%の前記ヒドロキシル官能性シリコーン含有成分を含む、実施態様23に記載のシリコーンヒドロゲル。
(27) 少なくとも1つのシリコーン含有架橋剤を更に含む、実施態様15に記載のシリコーンヒドロゲル。
(28) 前記反応性混合物が、約4~約15重量%、又は約5~約10重量%の前記シリコーン含有架橋剤を含む、実施態様1~27のいずれかに記載のシリコーンヒドロゲル。
(29) 前記シリコーン含有架橋剤が、式LXI~LXXIIの構造を有しており、
【化34】
【化35】
【化36】
式中、nは1~200、50~150、50~100、又は10~50である、実施態様26に記載のシリコーンヒドロゲル。
(30) 前記少なくとも1つのN-アルキルメタクリルアミドが式XVを有しており、
【化37】
式中、Rは、1~8個の炭素原子、ベンジル又はフェニルを含有する線状、分枝状、又は環状のアルキル基から選択され、これらのうちのいずれかは、ヒドロキシル、アミノなどの追加の官能基で置換されたものでなくても置換されたものであってもよい、実施態様15~27のいずれかに記載のシリコーンヒドロゲル。
【0266】
(31) 前記N-アルキルメタクリルアミドがN-メチルメタクリルアミドである、実施態様28に記載のシリコーンヒドロゲル。
(32) 前記反応性混合物が、すべての反応性成分に基づいて、約20~約80重量%又は30~60重量%の前記シリコーン含有成分を含む、実施態様15に記載のシリコーンヒドロゲル。
(33) 前記反応性混合物が、すべての反応性成分に基づいて、約5重量%~約50重量%、約7重量%~約30重量%、約7重量%~約25重量%又は約7重量%~約20重量%の前記少なくとも1つのN-アルキルメタクリルアミドを含む、実施態様15に記載のシリコーンヒドロゲル。
(34) (a)約0.69MPa~約1.4GPa(約100psi~約200,000psi)の弾性率及び約9~約40%の含水率を有し、少なくとも1つのN-アルキルメタクリルアミド及び少なくとも1つのヒドロキシル官能化シリコーン含有成分を含む反応性混合物から形成された、シリコーンヒドロゲル。
(35) 前記弾性率が、約0.69MPa~約0.69GPa(約100~約100,000psi)又は約6.9MPa~約0.69GPa(約1000~約100,000psi)である、実施態様34に記載のシリコーンヒドロゲル。
【0267】
(36) 前記含水率が約20~約40%である、実施態様34に記載のシリコーンヒドロゲル。
(37) 前記反応性混合物が、すべての反応性成分に基づいて、約5~約50、約7~約30、約7~約25又は約7~約20重量%の少なくとも1つのN-アルキルメタクリルアミドを含む、実施態様1に記載のシリコーンヒドロゲル。
(38) 少なくとも1つのN-アルキルメタクリルアミドと、少なくとも1つのシリコーン含有成分と、少なくとも約2重量%、又は少なくとも5~15重量%の少なくとも1つの架橋成分と、を含む、反応性混合物から形成されたシリコーンヒドロゲル。
(39) (a)約137.9MPa~約1.4GPa(約20,000psi~約200,000psi)の弾性率及び約10~約40%の含水率を有するシリコーンヒドロゲルであって、
(a)少なくとも1つのN-アルキルメタクリルアミドと、
(b)少なくとも1つの架橋成分と、
トリス(トリメチルシロキシ)シリルスチレン、3-トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメタクリレート、N-[3-トリス(トリメチルシロキシ)シリル]-プロピルアクリルアミド、2-ヒドロキシ-3-[3-メチル-3,3-ジ(トリメチルシロキシ)シリルプロポキシ]-プロピルメタクリレート、及び式VI~XIVにおけるものなど、式中、Rが、独立して、1~8個の炭素原子を含有する線状、分枝状、若しくは環状のアルキル基であるか、又はトリメチルシロキシ基である、他の嵩高いシリコーンモノマーからなる群から選択される、少なくとも1つの嵩高いシリコーン含有成分と、を含む、反応性混合物から形成された、シリコーンヒドロゲル。
【化38】
【化39】
【化40】
(40) 前記嵩高いシリコーン含有成分がトリス(トリメチルシロキシ)シリルスチレンである、実施態様39に記載のシリコーンヒドロゲル。
【0268】
(41) 少なくとも1つのヒドロキシル含有シリコーン成分を更に含む、実施態様39に記載のシリコーンヒドロゲル。
(42) 少なくとも約10%又は約10~約40%の含水率を更に含む、実施態様1に記載のシリコーンヒドロゲル。
(43) シリコーンヒドロゲルであって、
a)少なくとも1つのN-アルキルメタクリルアミドと、
b)少なくとも1つのヒドロキシル含有のシリコーン含有成分と、
c)少なくとも1つの湿潤剤と、
d)少なくとも1つのヒドロキシアルキルモノマーと、
e)少なくとも1つの架橋剤と、を含む、反応性混合物から形成された、シリコーンヒドロゲル。
(44) 最大で約1.4GPa(約200,000psi)、約6.9MPa~約0.69GPa(約1,000psi~約100,000psi)、約68.9MPa~約0.69GPa(約10,000psi~約100,000psi)の弾性率を有する、実施態様43に記載のシリコーンヒドロゲル。
(45) 約20~約40重量%の含水率を更に含む、実施態様43に記載のシリコーンヒドロゲル。
【0269】
(46) 前記反応性混合物が、前記反応性混合物中のすべての反応性成分に基づいて、約1~約50重量%の少なくとも1つのN-アルキルメタクリルアミドを含む、実施態様43~45に記載のシリコーンヒドロゲル。
(47) 前記反応性混合物が、前記反応性混合物中のすべての反応性成分に基づいて、約1~約20重量%、又は約5~約15重量%の親水性モノマーを更に含む、実施態様39に記載のシリコーンヒドロゲル。
(48) 前記親水性モノマーが、N-ビニルピロリドン(NVP)、N-ビニル-2-ピペリドン、N-ビニル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-4-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-4-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3-エチル-2-ピロリドン、N-ビニル-4,5-ジメチル-2-ピロリドン、N-ビニルアセトアミド(NVA)、N-ビニル-N-メチルアセトアミド(VMA)、N-ビニル-N-エチルアセトアミド、N-ビニル-N-エチルホルムアミド、N-ビニルホルムアミド、N-ビニル-N-メチルプロピオンアミド、N-ビニル-N-メチル-2-メチルプロピオンアミド、N-ビニル-2-メチルプロピオンアミド、N-ビニル-N,N’-ジメチル尿素、1-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-メチル-5-メチレン-2-ピロリドン、5-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-エチル-5-メチレン-2-ピロリドン、N-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、5-エチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-N-プロピル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-N-プロピル-5-メチレン-2-ピロリドン、1-イソプロピル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-イソプロピル-5-メチレン-2-ピロリドン、N-ビニル-N-エチルアセトアミド、N-ビニル-N-エチルホルムアミド、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルイソプロピルアミド、N-ビニルカプロラクタム、N-カルボキシビニル-β-アラニン(VINAL)、N-カルボキシビニル-α-アラニン、N-ビニルイミダゾール、及びこれらの混合物からなる群から選択される、実施態様47に記載のシリコーンヒドロゲル。
(49) 前記親水性モノマーが、N,N-ジメチルアクリルアミド(N,N-dimethyacrylamide)、N-ビニルピロリドン、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、ビニルメタセトアミド及びこれらの混合物からなる群から選択される、実施態様47に記載のシリコーンヒドロゲル。
(50) 前記ヒドロキシアルキルモノマーが、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(HEMA)、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1-ヒドロキシプロピル2-(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシ-2,2-ジメチル-プロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(2-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N-(3-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、グリセロール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、及びこれらの混合物からなる群から選択される、実施態様43~49に記載のシリコーンヒドロゲル。
【0270】
(51) 前記親水性モノマーが、N,N-ジメチルアクリルアミド(DMA)、N-ビニルピロリドン(NVP)、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、N-ビニルメタセトアミド(VMA)、及びN-ビニルN-メチルアセトアミド(NVA)、N-ヒドロキシプロピルメタクリルアミド、モノ-グリセロールメタクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリルアミド、2-ヒドロキシエチルメタクリルアミド、ビスヒドロキシエチルアクリルアミド、2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド並びにこれらの混合物からなる群から選択される、実施態様47に記載のシリコーンヒドロゲル。
(52) 前記反応性混合物が、少なくとも1つの湿潤剤を更に含む、実施態様1~51のいずれかに記載のシリコーンヒドロゲル。
(53) 前記反応性混合物が、前記反応性混合物中のすべての反応性成分に基づいて、約1重量%~約15重量%又は4重量%~約12重量%の内部湿潤剤を含む、実施態様52に記載のシリコーンヒドロゲル。
(54) 前記反応性混合物が、約1~約10重量%の架橋剤を含む、実施態様38~53のいずれかに記載のシリコーンヒドロゲル。
(55) 前記架橋剤が、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPTMA)、テトラエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)、トリアリルシアヌレート(TAC)、グリセロールトリメタクリレート、1,3-プロパンジオールジメタクリレート、2,3-プロパンジオールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、1,4-ブタンジオールジメタクリレート、メタクリルオキシエチルビニルカーボネート(HEMAVc)、アリルメタクリレート、メチレンビスアクリルアミド(MBA)、ポリエチレングリコールジメタクリレート(前記ポリエチレングリコールは、好ましくは5,000ダルトンまでの分子量を有する)からなる群から選択される少なくとも1つの非シリコーン架橋剤を含む、実施態様54に記載のシリコーンヒドロゲル。
【0271】
(56) 前記架橋剤が、式LXI~LXXIIからなる群から選択される少なくとも1つのシリコーン架橋剤を含み、式中、nは1~200であり、好ましくはnは50~150、より好ましくは50~100であり、最も好ましくはnは10~50である、実施態様54に記載のシリコーンヒドロゲル。
【化41】
【化42】
【化43】
(57) 前記湿潤剤が、ヒドロキシル基と結合することができるペンダント環式又は非環式アミド基を含む、環式及び非環式ポリアミドからなる群から選択される、実施態様1~56のいずれかに記載のシリコーンヒドロゲル。
(58) 前記内部湿潤剤が、PVP、PDMA、PVMA、並びにこれらのコポリマー及び混合物からなる群から選択される、実施態様1~57のいずれかに記載のシリコーンヒドロゲル。
(59) 少なくとも1つの強靭化剤を更に含む、実施態様1に記載のシリコーンヒドロゲル。
(60) 前記強靭化剤が、メチルメタクリレート、tert-ブチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、スチレン、置換スチレン、N-4-ビニルベンジル-N-アルキルアセトアミド、N-4-ビニルベンジルピロリドン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、実施態様59に記載のシリコーンヒドロゲル。
【0272】
(61) 実施態様1~60のいずれかに記載のシリコーンヒドロゲルを含むコンタクトレンズ。
(62) 中央領域と、周縁領域と、を含み、前記中央領域が、実施態様1~57のいずれかに記載の第1のシリコーンヒドロゲルを含み、前記周縁領域が、前記中央領域よりも低い弾性率を呈する第2のシリコーンヒドロゲルを含む、複合材料コンタクトレンズ。
(63) 中央領域が、約68.9MPa~約1.4GPa(約10,000psi~約200,000psi)の弾性率を呈し、前記周縁領域が、約0.34MPa~約2.07MPa(約50psi~約300psi)の弾性率を呈する、実施態様62に記載の複合材料コンタクトレンズ。
(64) 前記第1及び第2のシリコーンヒドロゲルが、互いの約5重量パーセント以内の含水率を含む、実施態様62に記載の複合材料コンタクトレンズ。
(65) 前記中央領域が、前記周縁領域によって包み込まれている、実施態様62に記載の複合材料コンタクトレンズ。
【0273】
(66) 複合材料コンタクトレンズを作製するためのプロセスであって、
(a)実施態様1~57のいずれかに記載の第1のシリコーンヒドロゲル配合物を第1の成形型内に投入することと、
(b)前記第1のシリコーンヒドロゲル配合物をゲルへと部分的に硬化させることと、
(c)第2のシリコーンヒドロゲル配合物を前記第1の成形型内に投入することと、
(d)前記第2のシリコーンヒドロゲル配合物が前記ゲルに吸収される時間を与えることと、
(e)前記第1の成形型の上に第2の成形型を配置することと、
(f)前記組み合わせを完全に硬化させて前記複合材料コンタクトレンズを形成することと、を含む、プロセス。
図1