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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-14
(45)【発行日】2023-08-22
(54)【発明の名称】ライダシステムおよび動作方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 17/32 20200101AFI20230815BHJP
   G01S 17/10 20200101ALI20230815BHJP
   G01S 17/89 20200101ALI20230815BHJP
   G01S 7/495 20060101ALI20230815BHJP
【FI】
G01S17/32
G01S17/10
G01S17/89
G01S7/495
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021523249
(86)(22)【出願日】2019-10-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-17
(86)【国際出願番号】 US2019057946
(87)【国際公開番号】W WO2020086903
(87)【国際公開日】2020-04-30
【審査請求日】2021-06-18
(31)【優先権主張番号】62/749,795
(32)【優先日】2018-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/750,058
(32)【優先日】2018-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521173546
【氏名又は名称】レッド リーダー テクノロジーズ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】RED LEADER TECHNOLOGIES,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ヒラード,ジェイコブ
(72)【発明者】
【氏名】ディーン,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ミラレス,エルドリック
(72)【発明者】
【氏名】ウォン,レベッカ
(72)【発明者】
【氏名】ヘレーラ,ロガン
【審査官】藤田 都志行
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0188358(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第103616696(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0188368(US,A1)
【文献】特開2018-009829(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0259645(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48- 7/51
G01S 17/00-17/95
G01C 3/00- 3/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環境マッピングのための方法であって、
・一定の期間の前に:
・所望の性能メトリクスの第1のセットに基づいて、第1のシーケンス長を決定するステップであって、所望の性能メトリクスの第1のセットが、精度、レンジ、分解能およびレイテンシのうちの1つ以上を含む、ステップと、
・前記第1のシーケンス長に基づいて第1のコードシーケンスを決定するステップであって、前記第1のコードシーケンスの長さが前記第1のシーケンス長に等しい、ステップと、
・前記第1のコードシーケンスを符号化した周期的な出力信号を表す周期的なレーザ出力を生成するステップであって、前記第1のコードシーケンスに基づいて実質的に連続波の搬送波信号を変調することを含む、ステップと、
・前記期間を通じて、前記周期的なレーザ出力を環境に連続的に送信するステップと、
・前記期間中に、光学センサで、前記環境内の物体からの前記周期的なレーザ出力の反射を含む戻り信号を受信するステップと、
・前記戻り信号の連続する時間ウィンドウを示すサンプルを決定するステップであって、前記連続する時間ウィンドウの持続時間が、前記周期的な出力信号の周期よりも長い、ステップと、
・フィルタリングされたサンプルを生成するステップであって、前記第1のコードシーケンスに基づいてサンプルをフィルタリングすることを含む、ステップと、
・前記フィルタリングされたサンプルに基づいて、
・前記フィルタリングされたサンプルの極値を求めるステップと、
・前記極値に関連する遅延時間を求めるステップと、
・前記遅延時間に基づいて、前記物体の相対的な位置を求めるステップと、
・前記戻り信号に基づいて、第2のシーケンス長を決定するステップであって、当該第2のシーケンス長は前記第1のシーケンス長と異なる長さであるステップと、
・前記第2のシーケンス長に基づいて第2のコードシーケンスを決定するステップであって、前記第2のコードシーケンスの長さが前記第2のシーケンス長に等しい、ステップと、
・前記第2のコードシーケンスを符号化した第2の周期的な出力信号を表す第2の周期的なレーザ出力を生成するステップであって、前記第2のコードシーケンスに基づいて実質的に連続波の搬送波信号を変調することを含む、ステップと、
・前記期間に続く第2の期間を通じて、前記第2の周期的なレーザ出力を環境に連続的に送信するステップと、
・前記第2の期間中に、前記光学センサにおいて、前記物体からの前記第2の周期的なレーザ出力の第2の反射を含む第2の戻り信号を受信するステップと、
・前記第2の戻り信号の第2の連続する時間ウィンドウを示す第2のサンプルを決定するステップと、
・第2のフィルタリングされたサンプルを生成するステップであって、前記第2のコードシーケンスに基づいて前記第2のサンプルをフィルタリングすることを含むステップと、
・前記第2のフィルタリングされたサンプルに基づいて、
・前記第2のフィルタリングされたサンプルの第2の極値を求めるステップと、
・前記第2の極値に関連する第2の遅延時間を求めるステップと、
・前記第2の遅延時間に基づいて、前記物体の更新された相対位置を求めるステップと、を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記第1のコードシーケンスに基づいてサンプルをフィルタリングすることは、前記サンプルに、前記周期的な出力信号の整合フィルタを適用することを含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、
前記整合フィルタを適用することは、前記サンプルと前記周期的な出力信号の時間反転バージョンとの巡回畳み込み、および前記周期的な出力信号と前記サンプルの時間反転バージョンとの巡回畳み込み、のうちの1つ以上を決定することを含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法において、
前記遅延時間を求めることは、
・前記極値を含む補間されたサブサンプルを決定するステップと、
・前記補間されたサブサンプルに基づいて、前記遅延時間を求めるステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法において、
前記補間されたサブサンプルを決定することは、連続曲線補間を実行することを含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法において、
前記戻り信号は、前記環境内の第2の物体からの前記周期的なレーザ出力の第3の反射をさらに含み、前記方法は、
・前記フィルタリングされたサンプルに基づいて、前記第2の物体に関連する第3の遅延時間を求めるステップと、
・前記第3の遅延時間に基づいて、前記第2の物体の相対的な位置を求めるステップとをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法において、
前記第3の遅延時間を求める前に、前記極値に関連する第1のピーク領域を求めるステップをさらに含み、前記第3の遅延時間を求めることは、
・前記フィルタリングされたサンプルの第2の極値を求めるステップであって、前記第2の極値が前記第1のピーク領域内になく、前記極値の大きさが前記第2の極値の大きさよりも大きい、ステップと、
・前記第2の極値に基づいて前記第3の遅延時間を求めるステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法において、
・前記光学センサで、前記戻り信号を受信した後、前記環境内の第2の物体からの、前記周期的なレーザ出力の第3の反射を含む第3の戻り信号を受信するステップと、
・前記第3の戻り信号の第3の連続する時間ウィンドウを示す第3のサンプルを決定するステップと、
・第3のフィルタリングされたサンプルを生成するステップであって、前記第1のコードシーケンスに基づいて前記第3のサンプルをフィルタリングすることを含む、ステップと、
・前記第3のフィルタリングされたサンプルに基づいて、第3の極値に関連する第3の遅延時間を求めるステップと、
・前記第3の遅延時間に基づいて、前記第2の物体の相対的な位置を求めるステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法において、
・第3の周期的な出力信号を符号化した第3の周期的なレーザ出力を生成するステップであって、第3のコードシーケンスに基づいて第2の実質的に連続波の搬送波信号を変調することを含む、ステップと、
・前記期間中、前記第3の周期的なレーザ出力を環境に連続的に送信するステップと、
・前記第3のコードシーケンスに基づいて前記サンプルをフィルタリングすることを含む、第3のフィルタリングされたサンプルを生成するステップであって、前記戻り信号が、前記環境内の第2の物体からの前記第3の周期的レーザ出力の第3の反射をさらに含む、ステップと、
・前記第3のフィルタリングされたサンプルに基づいて、
・前記第3のフィルタリングされたサンプルの第3の極値を求めるステップと、
・前記第3の極値に関連する第3の遅延時間を求めるステップと、
・前記第3の遅延時間に基づいて、前記第2の物体の相対的な位置を求めるステップとをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法において、
前記第1のコードシーケンスに基づいて実質的に連続波の搬送波信号を変調することは、位相偏移変調を用いて前記第1のコードシーケンスを符号化することを含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法において、
前記周期的な出力信号と、前記光学センサで受信した他の光信号との間の相互相関が閾値よりも小さくなるように、前記第1のコードシーケンスが決定されることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法において、
前記第1のコードシーケンスを決定する前に、
・候補コードシーケンスを選択するステップと、
・前記候補コードシーケンスを符号化した候補出力信号を表す候補レーザ出力を生成するステップと、
・前記候補レーザ出力を送信するステップと、
・前記光学センサで、テスト信号を受信するステップと、
・前記テスト信号に基づいて、前記候補出力信号と他の光信号との間のテスト相互相関が前記閾値よりも大きいことを判定するステップとをさらに含み、
前記テスト相互相関が前記閾値よりも大きいことを判定することに応答して、前記第1のコードシーケンスが決定されることを特徴とする方法。
【請求項13】
環境マッピングのための方法であって、
・第1の周期的な出力信号を表す第1の周期的な光出力を生成するステップであって、第1のコードシーケンスに基づいて第1の実質的に連続波の搬送波信号を変調することを含む、ステップと、
・第2の周期的な出力信号を表す第2の周期的な光出力を生成するステップであって、第2のコードシーケンスに基づいて第2の実質的に連続波の搬送波信号を変調することを含み、前記第2のコードシーケンスは前記第1のコードシーケンスと異なるものであるステップと、
・一定の期間を通じて、前記第1および第2の周期的な光出力を環境に連続的に送信するステップと、
・前記期間中に、光学センサで、戻り信号を受信するステップであって、前記戻り信号が、
・前記環境内の第1の物体からの前記第1の周期的な光出力の第1の反射と、
・前記環境内の第2の物体からの前記第2の周期的な光出力の第2の反射とを含む、ステップと、
・前記戻り信号の連続する時間ウィンドウを選択することにより、サンプルを決定するステップと、
・第1のフィルタリングされたサンプルを生成するステップであって、前記第1のコードシーケンスに基づいてサンプルをフィルタリングすることを含む、ステップと、
・前記第1のフィルタリングされたサンプルに関連する第1の遅延時間を求めるステップと、
・前記第1の遅延時間に基づいて、前記第1の物体の相対的な位置を求めるステップと、
・第2のフィルタリングされたサンプルを生成するステップであって、前記第2のコードシーケンスに基づいてサンプルをフィルタリングすることを含む、ステップと、
・前記第2のフィルタリングされたサンプルに関連する第2の遅延時間を求めるステップと、
・前記第2の遅延時間に基づいて、前記第2の物体の相対的な位置を求めるステップとを備えることを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法において、
前記期間の前に、前記第1および第2の周期的な出力信号間の相互相関が実質的にゼロとなるように、前記第1および第2のコードシーケンスを決定するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法において、
前記期間の前に、シーケンス長を決定するステップをさらに含み、前記第1および第2のコードシーケンスの長さが、それぞれ前記シーケンス長に等しいことを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項13に記載の方法において、
前記期間の前に、コードシーケンスのセットを決定するステップをさらに含み、前記セットの各コードシーケンスが、前記コードシーケンスを符号化したそれぞれの周期的な出力信号に関連付けられており、
・前記コードシーケンスのセットを決定することは、前記セットのコードシーケンスの各ペアについて、そのペアのコードシーケンスに関連付けられたそれぞれの周期的な出力シーケンス間のそれぞれの相互相関が閾値よりも小さくなるように、確率的最適化を実行することを含み、
・前記コードシーケンスのセットは、前記第1および第2のコードシーケンスを含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項13に記載の方法において、
・前記第1の周期的な光出力は,第1のレーザによって前記環境中に送信され、
・前記第2の周期的な光出力は,第2のレーザによって前記環境中に送信されることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項13に記載の方法において、
前記光学センサがフォトダイオードを含み、前記戻り信号が前記フォトダイオードで受信されることを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法において、
前記第1および第2の反射が、前記フォトダイオードで同時に受信されることを特徴とする方法。
【請求項20】
エミッタおよび検出器を備えたライダシステムであって、
請求項1乃至19の何れか一項に記載の方法を実行するように構成されていることを特徴とするライダシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、物体検出および/またはイメージング分野に関し、より具体的には、物体検出および/またはイメージング分野における新規かつ有用なライダシステムおよび動作方法に関する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年10月24日に出願された米国仮出願第62/749,795号、並びに、2018年10月24日に出願された米国仮出願第62/750,058号の利益を主張するものであり、これら出願の各々は、引用によりその全体が援用されるものとする。
【背景技術】
【0003】
一般的なライダシステムおよび使用方法は、固定された範囲、分解能および/または精度を有する。さらに、それらのメトリクスに関する性能は、次の光パルスを発する前に各光パルスが戻るのを待つ必要があるため、通常は著しく制限される。そのため、物体検出の分野では、新規かつ有用なライダシステムおよび動作方法が求められている。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1図1Aおよび図1Bは、それぞれ、本方法の一実施形態および実施形態の一例のフローチャートである。
図2図2Aは、本システムの一実施形態の概略図である。図2Bは、使用中の本システムの実施形態の概略図である。
図3図3Aおよび図3Bは、信号を決定する例の概略図である。
図4図4Aおよび図4Bは、戻り信号を分析する例の概略図である。
図5図5は、戻り信号を分析する具体的な例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本発明の好ましい実施形態の以下の説明は、本発明をそれらの好ましい実施形態に限定することを意図するものではなく、当業者が本発明を製造および使用することを可能にすることを意図している。
【0006】
1.概要
ライダシステムの動作方法100は、好ましくは(例えば、図1Aおよび図1Bに示すように)、信号を決定するステップS110、信号を出力するステップS120、戻り信号を受信するステップS130、および/または戻り信号を分析するステップS140を含む。しかしながら、本方法100は、任意の適切な方法で実行される他の任意の適切な要素を追加的または代替的に含むことができる。本方法100は、好ましくは、ライダシステム200を用いて実行されるが、追加的または代替的には、他の任意の適切な1または複数のシステムを用いて実行することができる。
【0007】
2.システム
ライダシステム200は、好ましくは(例えば、図2Aに示すように)、光エミッタ210、光検出器220、ビームディレクタ230および/または処理モジュール240を、1または複数含む。しかしながら、システム200は、任意の適切な配置で他の任意の適切な要素を追加的または代替的に含むことができる。
【0008】
1または複数の光エミッタ210は、好ましくは、1または複数の光信号を放出するように機能する(例えば、動作可能である)。光信号は、好ましくは、ビーム状(例えば、レーザビーム)であるが、追加的または代替的には、他の任意の適切な光学的特性を有することができる。
【0009】
光エミッタは、好ましくは、1または複数のレーザ(例えば、ダイオードレーザ)を含む。レーザは、例えば、エッジ発光レーザ、面発光レーザ(例えば、VCSEL)、ファイバ結合レーザ、および/または他の任意の適切なタイプのレーザを含むことができる。レーザは、好ましくは、連続波レーザである(例えば、実質的に連続波放射を放出するように動作可能かつ/または構成されている)が、追加的または代替的には、パルスレーザ(例えば、放射のパルスを放出するように動作可能かつ/または構成されている)および/または他の任意の適切なレーザを含むことができる。第1の具体例では、1または複数のレーザが、実質的に900nm(例えば、890~910nm、875~925nmなど)の波長の光を放出する。第2の具体例では、1または複数のレーザが、実質的に1550nm(例えば、1540~1560nm、1525~1575nmなど)の波長の光を発する。第3の具体例では、1または複数のレーザが、実質的に835nm(例えば、820~850nm、800~870nmなど)の波長の光を発する。レーザによって放出される光強度は、好ましくは、規制基準によって規定された制限値以下である(例えば、レーザは、IEC-60825、IEC-62471などに準拠することができる)が、代替的には、より高くすることができる。信号電力は、規制制限内(例えば、5W、2W、1W、500mW、200mW、100mW、50mW、20mW、10mW、5mW、2mW、1mW、0.5mW、0.2mWまたは0.1mWなど、閾値電力未満)、好ましくは1mW未満とすることができるが、代替的には、より高くまたは低くすることもできる。しかしながら、レーザは、追加的または代替的には、他の任意の適切なレーザを含むことができる。
【0010】
各光エミッタ210は、好ましくは、1または複数の変調器を含む。各変調器は、好ましくは、エミッタによって放出される光の1または複数の態様(例えば、位相、強度、波長など)を変調するように動作可能である。しかしながら、システム200は、追加的または代替的に、他の任意の適切な光エミッタを含むことができる。
【0011】
1または複数の光検出器220は、好ましくは、(例えば、検出された光信号を示す)光学的検出に応答して、電気信号(例えば、電流、電圧など)を生成するように機能する(例えば、動作可能である)が、追加的または代替的には、光信号検出に応答して、(例えば、検出された光信号を示す)他の任意の適切な信号を生成することができる。例えば、光検出器は、1または複数のフォトダイオード(例えば、アバランシェフォトダイオード)を含むことができる。1または複数の光検出器220は、任意選択的には、変調器に相補的な(例えば、符号化された信号を元のシーケンスに戻すように変換するように構成された)復調器など、1または複数の復調器(例えば、コンピュータ的に実装された復調器などのデジタル復調器、アナログ復調器回路など)を含むことができる(かつ/または、それによって補完される)。しかしながら、システム200は、追加的または代替的に、他の任意の適切な光検出器を含むことができる。
【0012】
1または複数のビームディレクタ230は、好ましくは、システム200の態様と外部環境との間で1または複数の光信号を導くように機能する。例えば、ビームディレクタ230は、放出された光信号(例えば、ビーム)を光エミッタ210から(外部環境内の)外部位置30に向けることができ、光信号は、外部位置30(および/または他の外部位置)で反射する。光信号は、好ましくは、ビームディレクタ230に反射して戻り、ビームディレクタは、反射した信号を光検出器220に向ける。しかしながら、光信号は、追加的または代替的には、別のビームディレクタ230(例えば、信号を光検出器220に向ける別のビームディレクタ)、光検出器220、および/またはシステム200の他の任意の適切な1または複数の要素に反射させることができる。各ビームディレクタ230は、1または複数の放出された信号および1または複数の反射された信号を方向付けることができ、(例えば、図2Bに示すように)1または複数の光エミッタ210、外部位置30および/または光検出器220の間で信号を方向付けることができる。一例では、ビームディレクタ230が、1または複数のミラー、好ましくは、回転ミラー(例えば、連続的に回転する回転ミラー)および/またはMEMSベースのミラー(例えば、制御入力に応じて移動するように構成されるミラー)などの移動ミラーおよび/または可動ミラーを含み、時間の経過とともに多くの外部位置30に光信号を導くことができる(例えば、ミラーが回転するときに、それら位置にわたってビームを走査することができる)。しかしながら、システム200は、追加的または代替的には、他の任意の適切なビームディレクタを含むようにしても、あるいはビームディレクタを含まないようにしてもよい。
【0013】
1または複数の処理モジュール240は、好ましくは、光エミッタ210(例えば、光放射および/または変調を制御する)および/またはビームディレクタ230(例えば、ビームの方向を制御する)など、システム200の他の要素を制御し、光検出器220(例えば、光検出に関連する信号を受信する)など、システム200の他の要素からデータを受信し、かつ/または、外部環境に関する情報(例えば、外部位置30の位置)を決定するなど、受信したデータを処理する(例えば、解釈する)ように機能する。処理モジュール240は、好ましくは、光エミッタ210、光検出器220、ビームディレクタ230および/またはシステムの他の任意の適切な要素に通信可能に(例えば、電子的に)結合される。処理モジュール240は、好ましくは、1または複数のプロセッサ(例えば、CPU、GPU、マイクロプロセッサ、FPGA、ASICなど)および/または記憶ユニット(例えば、Flash、RAMなど)を含むが、追加的または代替的には、他の任意の適切な要素を含むことができる。いくつかの変形例では、処理モジュール240(および/または補助的な処理モジュール)をライダシステムの他の要素から物理的に分離することができる(例えば、ライダシステムが、処理モジュールと通信するように構成された、無線通信モジュールなどの通信モジュールを含む)。例えば、処理モジュール240は、リモートコンピューティングシステム(例えば、インターネットに接続されたサーバ)とすることができ、ライダシステムは、リモートコンピューティングシステムと通信することができる(例えば、本方法の一部またはすべての演算が、リモートコンピューティングシステムによって実行される)。しかしながら、システム200は、追加的または代替的には、他の任意の適切な処理モジュールを含むことができる。
【0014】
3.方法
3.1 信号の決定
信号を決定するステップS110は、好ましくは、ライダシステムが出力する信号を決定するように機能し、それは、物体検出性能の様々な態様を制御するように機能することができる。信号を決定するステップS110は、好ましくは(例えば、図3Aに示すように)、シーケンス長を決定するステップS111、シーケンスを決定するステップS112、および/またはシーケンスを符号化するステップS113を含み、追加的または代替的には、他の任意の適切な要素を含むことができる。
【0015】
シーケンス長を決定するステップS111は、好ましくは(例えば、さらに詳細に後述するように)、様々なシステム性能メトリクス間のトレードオフを制御するように機能する。シーケンス長は、好ましくは、ビット長である(例えば、シーケンスが2進シーケンスである)が、追加的または代替的には、シーケンスサイズに関連する他の任意の適切なメトリクスとすることができる。同じシーケンス長は、同時放出シーケンス(例えば、複数のシーケンスが実質的に同時に出力される、例えば、各々がシステムの異なる光エミッタによって出力される;図3Bに示す例)および/または直列的シーケンス(例えば、システムの単一の光エミッタによって放出される、時系列の複数のシーケンス)など、複数のシーケンスに対して使用されることが好ましい。代替的には、単一の連続信号および/または複数の同時放出信号に対して、異なるシーケンス長を使用することができる。
【0016】
シーケンス長は、好ましくは、(例えば、第1のメトリクスのセットについて少なくとも最小限の性能レベルを達成するように、第2のメトリクスのセットに従って性能を最大化するように)1または複数の所望の性能メトリクスに基づいて決定される。シーケンス長は、地理的位置、システムの運動学(例えば、速度、加速度)、所与の物理的範囲内で検出された物体の存在、性能メトリクス値、および/または他のコンテキスト変数などの動作コンテキストに基づいて自動的に決定され(例えば、選択され、計算され)、目標性能メトリクス値のセット(例えば、ユーザから受信されるもの、動作コンテキストに基づいて決定されるもの)に基づいて自動的に決定され、手動で決定され、かつ/または他の方法で決定される。例えば、本方法は、1または複数の性能メトリクスの目標値を受信して、受信した性能メトリクス目標値に関連するシーケンス長を(例えば、シーケンス長-性能メトリクス値のテーブルまたは他のデータ構造から)選択することを含むことができる。性能メトリクス値とシーケンス長との間の関連性は、予め決定され(例えば、計算され、テストされ)、反復的に決定され、かつ/または他の方法で決定される。別の例では、本方法が、性能メトリクスが性能メトリクス目標値のセットを満たすまで、シーケンス長を調整することを含むことができる。しかしながら、シーケンス長は別の方法で決定することもできる。
【0017】
性能メトリクスは、精度、範囲、分解能、レイテンシ、消費電力および/または他の任意の適切なメトリクスを含むことができる。
【0018】
精度は、検出失敗確率(例えば、付属書でより詳細に説明されているような「完全なミス」)、検出された距離の精度(例えば、「クラメールラオの下限」または「CRLB」)、および/または他の任意の適切な精度メトリクスを含むことができる。精度は、通常、より長いシーケンスで改善される。いくつかの例では、CRLBが、0.1、0.2、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、50、100、0.01~0.1、0.1~1、1~3、3~7、7~20、20~100、または100~1000cmなど、閾値の距離の不確実性を下回るように、それ以下となるように、かつ/またはそれと実質的に等しくなるように、シーケンス長が選択される。具体的な例では、閾値となる距離の不確実性が5cmである(例えば、5cm以下のCRLBを達成するようにシーケンス長が選択される)。
【0019】
範囲は、好ましくは、方法200を実施している間に(例えば、出力信号の周期性から生じるようなエイリアシングおよび/または範囲のアンビギュイティの問題の可能性無しに、あるいは失敗確率を0.1%、0.2%、0.5%、1%、2%、5%または10%の完全なミスの確率未満、好ましくは1%の完全なミスの確率未満など、閾値未満に維持しながら、あるいは方法を確実に実行するために十分に強い戻り信号を受信しながら)物体を確実に検出することができる最大距離である。信号周期は、典型的にはシーケンス長とともに増加する(例えば、固定シンボルレートの場合、直線的に増加する)ため、範囲は、典型的にはシーケンスが長くなると増加する(例えば、潜在的な周期的範囲のアンビギュイティを回避するために、範囲は、最大範囲の物体を反射する信号の往復伝播時間に対応する、信号の1周期の間に信号が伝播する距離の半分以下となる)。追加的または代替的には、有効範囲は、システムが受信する戻り信号の強度によって制限される場合がある(例えば、環境内のより遠くの物体から反射される戻り信号は、より近い物体から反射される信号よりも弱くなる)。シーケンス長を長くすることで、整合フィルタの識別力を高めることができ、かつ/または検出積分時間を長くすることができ、それにより、環境内のより遠くの物体(および/または他の弱く戻る物体)をより確実に検出することができる。いくつかの例では、シーケンス長(および/または、シンボルレートなどの他の信号パラメータ)を選択することで、範囲(例えば、アンビギュイティ制限範囲、戻り信号強度制限範囲など)が、50、100、150、200、250、275、300、325、350、400、450、500、600、10~50、50~150、150~450、または450~1000mなどの閾値距離を超えるように、それ以上となるように、かつ/またはそれと実質的に等しくなるように選択される。第1の具体例では、閾値距離が300mである。第2の具体例では、閾値距離が200mであり、戻り信号の強度によって制限され、1~5km(例えば、約2km)のアンビギュイティ制限範囲を可能にするシーケンス長に対応することができる。
【0020】
レイテンシは、好ましくは、1回の掃引あたりの時間(例えば、プローブされたすべての外部位置でのビーム出力に対応するような、特定のビーム方向での連続する信号出力の間の時間)である。レイテンシは通常、シーケンスが長くなると悪化する(大きくなる)。例えば、固定された分解能の場合、信号周期の増加(例えば、固定されたシンボルレートの場合、シーケンス長とともに直線的に増加)は、各ビーム方向での滞留時間に対応し、よってレイテンシの増加に対応する。
【0021】
分解能は、好ましくは、隣接するビーム方向間の角度間隔(例えば、光エミッタから隣接する2つの外部位置の各々へのベクトル間で規定される角度)である。分解能は通常、シーケンスが長くなると低下する(例えば、点間の間隔が大きくなる)。例えば、固定されたレイテンシの場合、信号周期の増加は、1回の掃引あたりのビーム方向の減少に対応する(例えば、1回の掃引あたりの時間は、1回の掃引あたりのビーム方向の数と信号周期との積に少なくとも等しくなければならないため)。
【0022】
いくつかの実施形態では、シーケンス長が、10~10,000ビットの範囲(例えば、100~5000ビットの範囲)になるように選択される。しかしながら、S111は、追加的または代替的には、任意の適切な方法で他の任意の適切な1または複数のシーケンス長を決定することを含むことができる。
【0023】
シーケンスを決定するステップS112は、好ましくは、シーケンス長に基づいて1または複数の固有のシーケンスを決定するように機能する(例えば、各シーケンスは、S111で決定された長さを有する)。各シーケンスは、好ましくは、2進シーケンスなどのデジタルシーケンスであるが、シーケンスは、追加的または代替的には、他の任意の適切なシーケンスを含むことができる。
【0024】
シーケンスは、好ましくは、高度な直交性(例えば、異なるシーケンス間の直交性、異なるシーケンスに対応する符号化信号間の直交性、環境ノイズに対する直交性など)を達成するように決定される。このため、シーケンスは、好ましくは、以下の基準(および/または基準のサブセット)を満たすように決定される。
【0025】
先ず、各シーケンス(および/または対応する符号化信号、好ましくは周期的に繰り返す信号)は、好ましくは、ゼロの時間遅延で(および、対応する符号化信号については、好ましくは符号化信号周期の整数倍に等しい時間遅延で)高い自己相関を有し、かつゼロ時間遅延から離れた低い(例えば、実質的にゼロ、ゼロ時間遅延自己相関に対して閾値未満などの)自己相関を有する(例えば、閾値を超える時間遅延、対応する符号化信号については、好ましくは、符号化信号周期の整数倍に等しいおよび/またはそれに近い、例えば閾値時間内の時間遅延を除く)。
【0026】
第二に、各シーケンス(および/または対応する符号化信号、好ましくは周期的に繰り返す信号)は、好ましくは、システムの環境に存在する他の信号(例えば、検出器によって検出される可能性のある信号、例えば、他のそのようなシーケンスに対応する信号など、システムによって出力される他の信号、定常光源からの信号など、一定および/または実質的に一定の信号など)との低い(例えば、実質的にゼロ、例えば、好ましくはゼロ時間遅延の自己相関に対して、かつ/または基準値の0.1%、0.2%、0.5%、1%、2%、5%、10%、20%、30%または50%未満などの他の適切な基準値に対して閾値未満である)相互相関を有する。この低い相互相関は、符号分割多重アクセス(CDMA)技術(例えば、非同期CDMA)および/または他の技術によるように、(例えば、外部位置からの出力信号の反射に続いて)検出された信号間の識別を可能にすることができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、S112は、複数のシーケンスを決定することを含み(例えば、各々が、システムの様々なエミッタなど、様々なシステムの異なるエミッタに関連付けられ)、好ましくは、各々が同じシーケンス長(例えば、S111で決定された単一のシーケンス長)を有する。そのような実施形態では、好ましくは、シーケンスがすべて上記の基準を満たすように決定される。第1の例では、シーケンスが、高い直交性を有するゴールドコードおよび/または他の予め設定されたシーケンスのセットから選択される。具体的な例では、シーケンスが、所与のシーケンス長の予め設定されたシーケンスのセット(例えば、所与のシーケンス長を有する直交シーケンスまたはゴールドコード)から選択され、シーケンス長は、目標性能メトリクスに基づいて決定することができる。この例では、システムは、複数のシーケンス長の各々について直交シーケンスセットのデータベースを維持することができる。データベースは、任意選択的には、各直交シーケンスセットについて整合フィルタセット(例えば、シーケンスおよび/または対応する符号化信号の各々のフーリエ変換および/または離散フーリエ変換)を含むことができる。第2の例では、シーケンスは、最長シーケンスなどの疑似乱数シーケンス(例えば、疑似乱数2進シーケンス)である。第3の例では、シーケンスは、1または複数の基準に基づいて(好ましくは、すべての基準に関連するコスト関数に基づいて)、1または複数の最適化技術(例えば、シミュレーテッドアニーリングなどの確率的最適化技術)を用いて決定される。第3の具体的な例では、すべてのシーケンス(および/または対応する符号化信号)が最小閾値の直交度に達するまで、最適化技術の反復が適用される。しかしながら、シーケンスは、追加的または代替的には、他の任意の適切な方法で決定することができる。
【0028】
シーケンスを符号化するステップS113は、好ましくは、シーケンスに基づいて符号化信号を生成するように機能する(例えば、S112で決定された各シーケンスについて、対応する符号化信号を生成する)。生成された信号は、好ましくは、符号化されたシーケンスを繰り返す周期的なものであり、より好ましくは、シーケンスの繰り返しの間に時間的なギャップがない(または実質的にない)ものである(例えば、符号化されたシーケンスは、前の反復が終了するとすぐに再開される)。
【0029】
シーケンスは、変調方式(または複数の方式)、好ましくはデジタル変調方式を用いて(例えば、正弦波などの搬送波信号上に)符号化することができる。変調方式は、好ましくは位相偏移変調(例えば、BPSK、QPSK、8-PSK、高次PSKなど)であるが、追加的または代替的には、直交振幅変調(QAM)、周波数偏移変調(FSK)、振幅偏移変調(ASK)、および/または他の任意の適切な変調方式を含むことができる。代替的には、搬送波信号および/または変調方式を使用しなくてもよい(例えば、0ビットを低いまたは実質的にゼロの強度にマッピングし、1ビットを高い強度にマッピングするなど、ビットおよび/またはシンボルを出力強度に直接マッピングするようにしてもよい)。
【0030】
シーケンスを符号化するステップS113は、任意選択的に、符号化周波数(例えば、シンボルレート)を決定することを含むことができる。例えば、符号化周波数を下げることは、本方法の要素(例えば、S140および/またはS150)に関連する計算負荷を低減することができ、それによって、消費電力を低減し、かつ/または(例えば、複数の異なる処理モジュールを含む、または含むことができるシステムにおいて、より安価および/または簡素なハードウェアの使用を可能にするための符号化周波数の永続的な低減に対応するシステムなどにおいて)、性能の低い処理モジュールの使用を可能にすることができる。しかしながら、符号化周波数の低減は、他の性能メトリクスにも影響を与える。例えば、固定のシーケンス長の場合、符号化周波数を下げると、通常、CRLB、分解能および/またはレイテンシが悪化する(しかしながら、各ビーム方向での滞留時間が長くなるため、範囲が広がることもある)。S113で実行されるすべてのシーケンスの符号化には、好ましくは同じ符号化周波数が使用されるが、代替的には、異なる符号化周波数を使用して様々なシーケンスを符号化することができる。第1の例では、符号化周波数を決定することは、高性能周波数(例えば、50、75、100、125、150、200、500、1000、50~200、200~1000、または1000~5000MHz)または低電力周波数(例えば、5、10、20、50、75、100、1~10、10~60、または60~200MHz)の何れかなど、2つの周波数のうちの一方を選択することを含む。第2の例では、符号化周波数を決定することは、高性能周波数と低電力周波数の間の範囲の周波数を選択することを含む。代替的には、固定された100MHzの周波数のように、固定された符号化周波数(例えば、10、20、50、75、100、125、150、200、500、1000、1~10、10~60、60~200、200~1000、または1000~5000MHz)を使用することができ、かつ/または符号化周波数(または複数の周波数)を、他の任意の適切な方法で決定することができる。
【0031】
しかしながら、S110は、追加的または代替的に、他の任意の適切な方法で1または複数の信号を決定することを含むことができる。
【0032】
3.2 信号の出力
信号を出力するステップS120は、好ましくは、出力される信号(例えば、S110で決定された信号)を含む出力(例えば、ビーム、好ましくは光のビーム)を放出するように機能する。S120は、トランスデューサ、好ましくは上述のような光エミッタ(例えば、レーザ)を制御して、信号を出力することを含むことができる。例えば、変調器(例えば、上述したように、システム200に関する変調器など)を採用して、信号を出力に含めることができる。S120は、好ましくは、信号を連続的に出力することを含むが(例えば、周期的な信号の場合)、代替的には、信号を1回および/または他の任意の適切な回数、任意の適切なタイミングで出力することを含むことができる。複数のトランスデューサ(例えば、複数のレーザなどの複数の光エミッタ)を含む実施形態では、S120は、好ましくは複数の出力を、より好ましくは同時にまたは実質的に同時に放出すること(例えば、すべての出力を連続的または実質的に連続的に放出すること、パルス状および/または散発的な出力を互いに実質的に同時に放出すること等)を含む。しかしながら、複数の出力は、追加的または代替的には、他の任意の適切なタイミングで放出することができる。
【0033】
S120の間、ビームディレクタは、好ましくは、1または複数の外部位置30(例えば、上述したように、システム200に対する外部位置など)に向けて出力信号を方向付けるように制御される。1または複数の外部位置に達すると、ビームは反射する(例えば、システムに向かって戻る)ことができる。一例では、ビームディレクタは、第1の滞留時間間隔(例えば、信号の1周期に実質的に等しい)にわたって実質的に第1の方向にビームを誘導し、次に、好ましくは第1の滞留時間間隔と持続時間が実質的に等しい第2の滞留時間間隔にわたって第2の方向にビームを誘導し、最終的に実質的に第1の方向に戻り、(例えば、シーケンス長、分解能、シンボルレートなどの出力パラメータが変更されるまで)連続的に繰り返すように制御することができる。
【0034】
しかしながら、S120は、追加的または代替的には、他の任意の適切な方法で1または複数の信号を出力することを含むことができる。
【0035】
3.3 戻り信号の受信
戻り信号を受信するステップS130は、好ましくは、出力信号の1または複数の反射(例えば、1または複数の外部位置の物体など、システムを取り巻く環境内の1または複数の物体からの反射)を検出するように機能する。信号は、トランスデューサ(例えば、システムの光エミッタまたは他の出力トランスデューサの近くおよび/または他の方法で配置された、システムのトランスデューサなど)、好ましくは、システム200に関して上述したような光検出器(例えば、アバランシェフォトダイオード(APD)などのフォトダイオード)で受信することができる。いくつかの実施形態では(例えば、複数の信号が実質的に同時に出力される場合)、複数の信号(例えば、異なる出力信号の反射、単一の出力信号の異なる反射など)が、S130の間にトランスデューサで受信され得る(例えば、実質的に同時に受信され、かつ/または他の方法で時間的にオーバーラップする)。戻り信号は、好ましくは、出力信号の反射(例えば、直接反射、鏡面反射など)である。しかしながら、S130は、追加的または代替的には、出力信号に関連する(例えば、誘導される)任意の戻り信号を受信すること、および/または他の任意の適切な信号を受信することを含むことができる。
【0036】
1または複数の受信信号は、好ましくは、予想される1または複数の信号の帯域幅の少なくとも2倍の速度でサンプリングするなど、1または複数の信号を分解するのに十分な速度で(例えば、受信信号の受信に応答してトランスデューサによって生成される電流および/または電圧など、トランスデューサの電気出力をサンプリングする、アナログ/デジタル変換回路などの回路によって)サンプリングされる。一例では、受信信号は、出力信号のシンボルレートの少なくとも2.5倍のレートでサンプリングされる(例えば、125MHzの出力信号帯域幅に対応する100MHzのシンボルレートの場合、少なくとも250MHzのレートでサンプリングする)。
【0037】
しかしながら、戻り信号は、追加的または代替的には、他の任意の適切な方法で受信することができる。
【0038】
3.4 戻り信号の分析
戻り信号を分析するステップS140は、好ましくは、システムに対する(例えば、信号が反射される)1または複数の外部位置の位置を求めるように機能する。戻り信号を分析するステップS140は、好ましくは(例えば、図4Aに示すように)、戻り信号からサンプルを選択するステップS141、サンプルをフィルタリングするステップS142、および/または、信号に基づいて情報を決定するステップS143を含む。しかしながら、戻り信号を分析するステップS140は、追加的または代替的には、追加の情報および/または他の任意の適切な要素を求めるステップS144を含むことができる。
【0039】
戻り信号からサンプルを選択するステップS141は、好ましくは、分析のために戻り信号の一部を選択するように機能する。選択したサンプルは、好ましくは、受信信号の連続するウィンドウである。サンプルウィンドウは、好ましくは、出力信号の全期間を捕捉するのに十分な長さの持続時間である。一例では、サンプル持続時間は、好ましくは、信号周期(例えば、シーケンス長をシンボルレートで割った値に等しい)と最大伝播遅延(例えば、範囲の2倍を、システムを取り巻く環境における光速などの信号伝播速度で割った値に等しく、範囲に等しい距離にある外部位置で反射する出力信号の往復伝播時間に相当する)との合計以上である。しかしながら、S141は、追加的または代替的には、他の任意の適切な持続時間のウィンドウを選択すること、および/または他の任意の適切なサンプルを選択することを含むことができる。
【0040】
サンプルをフィルタリングするステップS142は、好ましくは、対応する出力信号に関連する(例えば、実質的に一致する)サンプルの部分を分離するように機能する。S142は、好ましくは、(例えば、上述したような)処理モジュールによって実装されるような、(例えば、コンピュータ的に実行される)デジタルフィルタリング処理を実行することを含む。しかしながら、S142は、追加的または代替的には、他の方法でフィルタリング処理(例えば、フィルタ回路によって実装されるような、アナログおよび/またはデジタルのフィルタリング処理)を実行することを含むことができる。サンプルに適用されるフィルタは、好ましくは、対応する出力信号に対する整合フィルタ(または実質的に整合されたフィルタ)であるが、追加的または代替的には、他の任意の適切なフィルタとすることができる。
【0041】
一実施形態では、S142は、出力信号とサンプルの畳み込み(例えば、巡回畳み込み)を求めることを含み、好ましくは、周期的な出力信号の時間反転バージョンとサンプルとの巡回畳み込みなど、2つのうちの一方が時間反転している(例えば、周期的な出力信号の時間反転バージョンとサンプルとの畳み込み、または周期的な出力信号とサンプルの時間反転バージョンとの畳み込み)。例えば、畳み込みを求めることは、サンプルのフーリエ変換(例えば、FFTなどの離散フーリエ変換)を求めること、出力信号のフーリエ変換(例えば、離散フーリエ変換)を求めること(および/または、S142の前の反復において求められたものなど、出力信号の以前に求められたフーリエ変換を取り出すこと)、変換された出力信号と変換されたサンプルとを乗算すること、並びに、(両者の畳み込みである)積の逆フーリエ変換(例えば、逆離散フーリエ変換)を求めることを含むことができる。
【0042】
S142は、好ましくは、遅延時間の関数であるフィルタリングされたサンプルを生成する。フィルタリングされたサンプルは、典型的には離散関数である(例えば、サンプルおよび/または出力信号が、時間内の離散点でのみデータを含み、計算が、遅延時間内の離散点で実行される)が、代替的には、連続関数および/または他の任意の適切な関数であり得る。
【0043】
S142は、任意選択的には、サンプルをゼロパディングすることを含むことができる(例えば、S130で決定されたサンプルの各観測点の間のように、1または複数のゼロ値の点がサンプルに挿入される)。サンプルは、フィルタリングを実行する前にゼロパディングすることができ、かつ/または、フィルタリングされたサンプルは、フィルタリング後にゼロパディングすることができる。
【0044】
しかしながら、S142は、追加的または代替的には、他の任意の適切な方法でサンプルをフィルタリングすることを含むことができる。
【0045】
信号に基づいて情報を求めるステップS143は、好ましくは、環境内の物体(例えば、出力信号が反射される外部位置)の存在および/または不在を検出する(かつ/または、距離、光学的特性などの物体に関する情報を求める)ように機能する。S143は、好ましくは、S142で生成されたフィルタリングされたサンプルに基づいて実行されるが、追加的または代替的には、S141で選択された受信時のサンプル、および/または、信号(例えば、受信信号)に関連する他の適切な情報を使用して実行することができる。
【0046】
S143は、任意選択的には、サンプルのノイズフロアを測定することを含むことができる。ノイズフロアは、好ましくは出力信号が放出されていない間(例えば、出力信号が放出されていない間、他のすべての出力信号が放出されている時など)に収集された、S141で選択されたサンプルに基づいて、較正サンプルに基づいて、推定される他の任意の適切なサンプルに基づいて(例えば、典型的な条件に基づいて)、求めることができ、かつ/または他の任意の適切な方法で求めることができる。ノイズフロアは、ノイズフロアを求めるために使用されるサンプル(例えば、S141で選択されたサンプル、較正サンプルなど)のパワースペクトルの測定値(例えば、中央値、平均値、αトリム平均、四分位平均など)に基づいて求めることができる(例えば、測定値に等しい)。
【0047】
S143は、好ましくは、データの極値(例えば、サンプルの最大値、好ましくはフィルタリングされたサンプルの最大値)に対応する遅延時間を求めることを含む。この遅延時間は、好ましくは、1または複数の補間技術を用いて求められる(例えば、求められた遅延時間が最大値の補間された点に対応する)。このような補間は、例えば、検出精度の向上および/またはCRLB推定を可能にするなど、いくつかの利点がある。
【0048】
例えば、S143は、連続曲線補間(例えば、放物線型補間、次数2、3、4、5、6、7~10または他の適切な次数の多項式を使用する多項式補間、sinc関数補間、テイラー系列補間など)、離散フーリエ変換ベースの補間(例えば、データの離散フーリエ変換に関連する周波数スペクトルをゼロパディングし、ゼロパディングされた周波数スペクトルをsinc関数カーネルなどの補間カーネルで畳み込み、畳み込みの逆離散フーリエ変換を求めることで補間された時間領域データを生成する)、および/または他の適切な補間技術によって、補間された遅延時間(例えば、補間されたデータの極値に対応する遅延時間)を求めることを含むことができる。補間は、線形演算のみ(または実質的に線形演算のみ)で行われることが好ましく、これにより迅速な計算が可能になるが、追加的または代替的には、他の任意の適切な演算を用いて実行することもできる。遅延時間は、追加的または代替的には、(例えば、データまたはそのサブセット、例えば極値付近のサブセットに適合する、補間に関して上述したタイプの1つの曲線および/または他の任意の適切なタイプの曲線などの連続的な曲線を決定するために)1または複数の回帰手法を使用して求めることができる。
【0049】
S143は、任意選択的には、(例えば、補間および/または回帰の後に)遅延時間の補正を適用することを含むことができる。例えば、本方法は、分析曲線に関連する関係(例えば、次数2、3、4、5、6、7~10の多項式または他の適切な次数の多項式)および/または数値関係(例えば、ルックアップテーブルに格納された数値関係)などの、補間された遅延時間と補正された遅延時間との間の補正関係(例えば、システムの較正中に決定される、あるいはすべてのそのようなシステムに対して固定される、予め設定された関係など)に基づいて、補間された遅延時間を補正することを含むことができる。
【0050】
一例では、補間された遅延時間は、極値データ点および極値データ点の両側に隣接する点の3つのデータ点を用いて放物線補間を行うことによって求められる。この例の一態様では、補間された遅延時間が、その後、(例えば、補間された遅延時間の6次多項式に関連する)多項式の補正関係に基づいて補正される。
【0051】
しかしながら、S143は、代替的には、補間せずに遅延時間を求めること(例えば、求められた遅延時間が、サンプルの最大値の離散化された点に対応する時間である)、および/または、他の任意の適切な方法で遅延時間を求めることを含むことができる。ノイズフロアが求められる実施形態では、求められた遅延時間が、ノイズフロアを超える点(例えば、ノイズフロアより大きい、ノイズフロアに比例する値、閾値以上大きいなど;単一の点、少なくとも閾値数の点を含むピークなどを考慮)に対応する場合、遅延時間は戻り(例えば、検出イベント)を表すと見なすことができ、一方、ノイズフロアを超えない点は、戻りを表すと見なされないことが好ましい。ノイズフロアが求められない場合、本明細書に記載のように求められた任意の遅延時間は、戻りを表すと見なされることが好ましい。
【0052】
この遅延時間(例えば、戻りを表すと見なされる場合)は、出力信号の伝播時間(例えば、光エミッタからの放出と光検出器での受信との間の時間)に対応する。このため、遅延時間は、通常、ビームが反射した外部位置までの距離に対応する(例えば、遅延時間は、距離の2倍を信号の伝播速度(通常は光速)で割った値に等しい)。
【0053】
S143で求められた情報(例えば、各戻りに対応する遅延時間および/または距離)は、好ましくは、システムに対する検出された物体の向き(例えば、ビームの方向)に関連する情報と関連付けて記憶される。例えば、システムに対する物体の相対的な位置を、3次元空間内の点(例えば、空間の原点がシステムを表す)として格納するなどして、記憶することができる(例えば、そのような数多くの戻りが、システムを取り巻く環境を表す点群の決定および/または記憶をもたらす)。任意選択的には、対応する値(例えば、未加工のおよび/または補間されたサンプルの値)、位相情報、および/または他の任意の適切な情報など、他の情報をこの情報と関連付けて記憶することができる。
【0054】
しかしながら、S143は、追加的または代替的には、任意の適切な方法で他の任意の適切な情報を求めることを含むことができる。
【0055】
S140は、任意選択的には、追加の情報を求めるステップS144を含むことができる。いくつかの実施形態では、S144は、単一のサンプルにおける複数の極値(例えば、複数の反射に対応する極値)を検出するように機能し得る。例えば、S144は、「複数の戻り」イベントの認識を可能にすることができる(例えば、ビームが物体のエッジに入射し、その結果、ビームの第1の部分が物体によって反射され、ビームの第2の部分がそのまま進み、場合によっては第2の物体によって反射される場合や、ビームが半透明の物体に入射し、その結果、ビームが物体によって部分的に反射されるとともに、物体を部分的に透過して、場合によっては第2の物体によって反射される場合など)。好ましくは、S144は、関心のあるすべての識別可能な極値(例えば、ノイズフロアより上の極大値)を検出することを含む。
【0056】
一実施形態では、S144は、(例えば、図5に示すように)S143を実行した後、サンプル(例えば、フィルタリングされたサンプル)を変更して、S143で求めた遅延時間を含むピークを除去することを含む。第1の例では、ピークを除去することは、求めた遅延時間の両側で最も近い極小値(最大値に対応)を見付けることによってピークを選択し、それらの極小値の間のすべてのデータを変更すること(例えば、極小値間のすべての値をゼロにすること、極小値の間を線形補間することなど)を含む。第2の例では、ピークを除去することは、ピークフィット手順を実行してピークを選択し(例えば、ピークに対応するピークフィット関数を決定し)、その後、サンプルの対応する点からピークフィット値(例えば、ピークフィット関数の値)を減算することを含む。第3の例では、ピークを除去することは、求めた遅延時間の両側の点(好ましくは、求めた遅延時間の点を含む)のウィンドウ(例えば、予め設定された数の点、予め設定された遅延時間ウィンドウなど)を選択することによってピークの選択を近似し、ウィンドウ内のすべてのデータを変更すること(例えば、極小値間のすべての値をゼロに設定すること、ウィンドウの両側のすぐ外側の点の間を線形補間することなど)を含む。しかしながら、ピークは、追加的または代替的には、他の任意の適切な方法で除去すること(および/または他の方法で減少させること、無視するようにマークすること等)ができる。
【0057】
この実施形態では、ピークを除去した後、変更されたサンプルを使用してS143を繰り返す(例えば、このS143の繰り返しにより、変更されたサンプルの最大値に対応する、第2の遅延時間を求めることができる)。ピークを除去し、新たに変更されたサンプルを使用してS143を繰り返すプロセスは、好ましくは、追加の戻りが見付からなくなるまで(例えば、ノイズフロアを超えるすべてのピークが除去されるまで)繰り返される。
【0058】
第2の実施形態では、S144は、複数の極値(例えば、フィルタリングされたサンプル内の極値)および/または関連する遅延時間が実質的に同時に求められる(例えば、フィルタリングされたサンプルの一回の通過中にすべて求められる)S143の修正バージョンを実行することを含む。この実施形態では、S144は、好ましくは、S143の代わりに実行されるが、追加的または代替的には、S143の後および/または他の任意の適切なタイミングで実行することができる。この実施形態では、S144は、好ましくは、フィルタリングされたサンプルを局所的な極値(好ましくは極大値だが、任意選択的には極小値)について検索することを含み、最初のいくつかまたはトップ(例えば、最大または最小の大きさ)のいくつかの極値が格納される。この実施形態の一例では、極値に関連する情報(例えば、遅延時間、大きさなど)を格納するために、特定の数のバッファが指定される。極値が見付かると、関連する情報が空のバッファに格納される。第1の態様では、空のバッファが残っていない場合、極値の探索が終了する(例えば、さらにS144が完了する)。第2の態様では、空のバッファが残っていない場合、現在の極値の大きさが、格納されている最下位(例えば、極大値の場合、最小の大きさ)の極値と比較され、現在の極値が最上位である場合、その関連するデータがバッファに格納されて、最下位の極値に関連する以前に格納された情報が置き換えられる。
【0059】
しかしながら、S144は、追加的または代替的には、任意の適切な方法で他の任意の適切な情報を求めることを含むことができる。
【0060】
複数の信号が同時におよび/または時間的に近い状態で出力される(例えば、いくつかのそのような信号がS130で同時に受信される)実施形態では、S140は、好ましくは(例えば、図4Bに示すように)そのような出力信号ごとに実行される。例えば、(すべての信号のシーケンス長およびシンボルレートが等しい場合)、すべてのそのような出力信号に対して(S141に関して上述したように)単一のサンプルを選択することができ、その後、S140の一部またはすべての残りの要素(例えば、S142、S143、S144など)を、同じサンプルを使用して、そのような出力信号ごとに(例えば、独立して)実行することができる。異なる出力信号は、(例えば、上述したように)好ましくは高い相互直交性を有するため、異なる出力信号間の高度な識別がこの方法によって可能になる(例えば、他の出力信号に関連する殆どのノイズがS142でフィルタリングされる)。本方法の実施形態は、追加的または代替的には、特により長いシーケンス長に対して、高い相互干渉耐性(例えば、他のライダシステムおよび/または他の任意の適切なエミッタからのような他の源から生じるノイズからの干渉に対する耐性)を達成することができ、これは、それらのノイズ源が、通常、ライダシステムによって使用される出力信号に対して適度に高い直交性を有することになるからである。
【0061】
しかしながら、S140は、任意の適切な方法で実行される他の任意の適切な要素を追加的または代替的に含むことができる。
【0062】
3.5 本方法の要素の繰り返し
本方法100は、任意選択的には、上述した要素のうちの1または複数を繰り返すステップを含むことができる。一実施形態は、好ましくはS140を繰り返しながら、かつ/またはビーム方向を変更しながら(例えば、上述したように環境の周りでビームを掃引しながら)、S120および/またはS130を実行すること(例えば、S120およびS130を連続的に実行すること、好ましくはほぼ同時に実行すること)を含む。この実施形態では、S130で受信した信号のすべてまたは実質的にすべてが、好ましくは、S140の反復にわたって分析される(例えば、S140の各反復について、受信した信号の異なるサンプル、好ましくは、前のサンプルの直後のサンプルが使用される)。
【0063】
この実施形態の一態様では、(例えば、閾値期間の後、S140の閾値反復回数の後、ビームの閾値掃引回数の後などのように、定期的に、あるいは散発的に、あるいはトリガ等に応答して)S110の一部またはすべての要素を任意に繰り返すことができ、S120、S130および/またはS140は、(例えば、S110の最新の反復で決定された1または複数の新しいシーケンスに基づいて)継続して実行することができる。この態様の第1の例では、S111に関して上述したように(例えば、精度、範囲、分解能、レイテンシなどの性能メトリクスの一部またはすべてを変更するために)、新しいシーケンス長が選択され、その後、新しいシーケンス長に基づいてS112が実行される。第2の例では、(例えば、S112に関して上述したように)以前と同じシーケンス長を使用して、新しいシーケンス(または複数のシーケンス)が選択される。この第2の例は、シーケンスの直交性(例えば、他のライダシステムからのノイズなどの外部ノイズ源に対する直交性)が不十分であると疑われる場合(例えば、信号識別性能が悪い場合)に、任意選択的に実行することができる。例えば、近くの別のライダシステム(例えば、現在のライダシステムの近くで動作している車両に取り付けられている別のライダシステム)が、現在のライダシステムの1または複数の現在の出力信号に類似した(例えば、十分に直交していない)1または複数の出力信号を使用している場合、本方法は、この干渉源に対する十分な耐性を達成できない可能性がある。したがって、1または複数のシーケンスを変更することにより、より大きな相互干渉耐性を達成することができる。この第2の例は、追加的または代替的には、定期的に、散発的に、かつ/または他の任意の適切なタイミングで(例えば、システムが所望通りに動作しているか否かを診断するために動作を変更するタイミングで)実行することができ、かつ/または他の任意の適切な理由で実行することができる。
【0064】
しかしながら、本方法100は、追加的または代替的には、他の任意の好適な要素を任意の適切なタイミングで繰り返すことを含むことができる。
【0065】
代替的な実施形態は、好ましくは、コンピュータ可読命令を格納するコンピュータ可読媒体において、上述した方法の一部またはすべてを実装する。この命令は、好ましくは、通信ルーティングシステムと統合されたコンピュータ実行可能コンポーネントによって実行される。通信ルーティングシステムは、通信システム、ルーティングシステムおよび価格設定システムを含むことができる。コンピュータ可読媒体は、任意の適切なコンピュータ可読媒体、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EEPROM、光学デバイス(CDまたはDVD)、ハードドライブ、フロッピードライブ、または任意の適切なデバイス等に格納することができる。コンピュータ実行可能コンポーネントは、好ましくはプロセッサであるが、命令は、代替的または追加的に、任意の適切な専用ハードウェアデバイスによって実行されるものであってもよい。
【0066】
簡潔にするために省略されているが、システムおよび/または方法の実施形態は、様々なシステムコンポーネントおよび様々な方法プロセスのあらゆる組合せおよび順列を含むことができ、本明細書に記載の方法および/またはプロセスの1または複数のインスタンスは、本明細書に記載のシステム、要素および/またはエンティティの1または複数のインスタンスによって、かつ/またはそれらを使用して、非同期的に(例えば、逐次的に)、同時に(例えば、並行して)、または他の任意の適切な順序で実行することができる。
【0067】
図面は、好ましい実施形態、例示的な構成およびそれらの変形例に係るシステム、方法およびコンピュータプログラム製品の可能性のある実装のアーキテクチャ、機能および動作を示している。この点に関して、フローチャートまたはブロック図の各ブロックは、モジュール、セグメント、ステップまたはコードの一部を示し、指定された1または複数の論理機能を実装するための1または複数の実行可能命令を含む。また、いくつかの代替的な実装形態では、ブロックに記載の機能が、図面に記載される順序とは異なる順序で行われ得ることにも留意されたい。例えば、連続して示される2つのブロックは、事実上、実質的に同時に実行され得るか、あるいはそれらブロックは、関連する機能に応じて時に逆の順序で実行され得る。また、ブロック図および/またはフローチャートの各ブロック、並びに、ブロック図および/またはフローチャートのブロックの組合せは、指定された機能または動作を実行する専用ハードウェアベースのシステム、または専用ハードウェアおよびコンピュータ命令の組合せによって実装され得ることにも留意されたい。
【0068】
当業者であれば、前述した詳細な説明、並びに、図面および特許請求の範囲から認識されるように、特許請求の範囲で規定される本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の好ましい実施形態に対して修正および変更を加えることができる。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5